平成9年2月定例会 第9回岩手県議会定例会会議録

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〇25番(千葉浩君) 清和会の千葉浩でございます。
 質問に先立ちまして、過日御逝去されました飯澤忠雄議員に対しまして、心から哀悼の誠をささげ、御冥福をお祈り申し上げます。
 私どもは、このたび、無所属クラブと緑政会を発展的に解消いたし、地域住民の負託にこたえるべく、新会派、清和会を結成したところでございます。
 会派の先駆けとして代表質問する機会を与えていただきましたことに対し、感謝を申し上げます。
 増田県政が誕生して、はや2年目が経過し、これより折り返し点に入ろうとしております。これまでの間、知事は、行政改革を初め、数々の諸課題に果敢に取り組み、着々とその実を上げてこられました。特にも、知事みずからが県内全域に精力的に出向かれ、県民の方々の御意見に耳を傾け、その対応に全力を注ぐなど、誠心誠意、努力を重ねてこられたことは、あまねく県民の理解いたすところであります。
 さて、21世紀を間近に控えた我が国は、国際的にも、国内的にも大きな転換期を迎え、さまざまな面における変革が迫られ、まさに激動の時代を迎えており、本県においても、立ちおくれております社会資本の整備や農産物輸入自由化対策、少子・高齢化対策、過疎対策等の推進など、いずれもゆるがせにできない多くの課題に直面しておるわけでございます。このような中にあって、142万県民は新世紀を希望と期待の持てる時代とするため、増田知事の若さと行動力に寄せる期待は、まことに大なるものがあると存じております。私ども清和会といたしましても、県民の幸せを第一義とし、県民の意見、要望を尊重しつつ、増田知事とともにこれら課題に立ち向かい、県勢のより一層の発展を目指して全力を傾注してまいる所存であります。知事におかれましても、この際、政治的にも全県民の立場に立って邁進すべきときと存じますがいかがでしょうか、知事の御所見を賜りたいと存じます。
 次に、新しい県総合計画策定の考え方についてお伺いをいたします。
 知事は、このたび、新しい総合計画の策定に取りかかる旨表明されましたが、折しも国においては、昨年12月、ポスト4全総となる新しい全国総合開発計画についての中間報告がなされたところであります。この中では、従来の開発計画における定住構想や交流ネットワーク構想といった開発方式ではなく、新たに参加と連携という推進方式が提示されたところでありますが、県計画を策定するに当たっては、これを念頭に置いて取り組んでいくべきものと存じますがいかがでしょうか、御所見を賜りたいと存じます。
 次に、平成9年度予算についてお伺いをいたします。
 長引く景気の低迷などによる税収財源等の伸び悩みに加え、公債費等の義務的経費の負担増など、極めて厳しい財政事情にありながらも、平成9年度は、地財計画の伸び率2・1%を大きく上回る8・6%の伸びの積極的な予算を編成されました。
 そこで伺いますが、今回いかなる面に力点を置き、いわゆる増田カラーとしての政策を打ち出されたのかお尋ねをいたします。あわせて、歳出予算の裏づけとなります税収等一般財源の確保は十分になし得るのか、その見通しについてもあわせてお示しを願います。
 また、本県財政は、近年、県債への依存度を高めてきておりますが、これに伴い、将来公債費償還が増加し、結果として財政の硬直化が一層進展することにより、今後必要とされる新たな施策、特にも、新しい総合計画の推進に支障がでるのではないかと危惧されるものでありますが、今後の財政運営の見通しについてどのようなお考えかお伺いをいたします。
 次に、知事演述にあった躍動感あふれる、心豊かな地域社会、いわゆるドリームランド岩手を形成するという観点から、幾つかの課題についてお伺いしてまいります。
 まず、地方分権と地方振興局の機能の充実強化についてであります。
 目下、国家的課題として取り組んでおります地方分権を推進する基本は、国民が豊かさとゆとりを実感できる魅力ある地域社会を実現するところにあり、そのためには、地方公共団体が地域の総合的な行政主体として、みずからの創意による施策を積極的に展開していくことが何よりも必要であるとされております。これを本県の組織機構に照らしてみたときに、地域社会の形成に大きな役割を持った地方振興局の使命は極めて大きいものがあり、その機能の充実強化を図ることこそが、今後の地方分権の趣旨を実現する私はかぎになるのではないかと存じます。
 このようなことから、地方振興局については、地域活性化調整費を増額するなど、所要の財源を拡充することはもとより、権限委譲が予定されている約350件もの執行が円滑に行い得るよう、人的体制の充実や質的にも職員の政策形成能力の向上を図るとともに、さらに大事なのは、地元市町村との連携の緊密性を深めていくことが不可欠であると考えますがいかがでしょうか、御所見をお伺いいたします。
 次に、高度情報化の推進についてであります。
 高度情報化の推進は、距離的障壁の克服を可能とし、中央と地方の情報ギャップを解消することにより、国土の均衡ある発展に大きく寄与するとともに、地方の側の情報発信能力を大きく向上させるものと期待しているところであります。本県としても、躍動感あふれるドリームランド岩手形成のためにも、大いに推進していくべきものと存じますが、本県における高度情報化の今後をいかに構想し、いかに取り組んでいかれるのかお尋ねをいたします。
 次に、若者の定住促進対策についてお伺いをいたします。
 心豊かな、躍動感あふれる地域社会を形成していくためには、より多くの若い人材の定住促進がもとより不可欠であります。しかしながら、本県の人口の社会動態の状況を見ると、長年、県外への転出超過をたどってきておりますことは、まことに残念でなりません。あすの本県を担う有為な人材が、他県等に流出せず本県に定住できるよう、教育や雇用機会の拡充など、定住のための環境条件の整備を鋭意促進することこそが必要であると存じますが、本県としてのお取り組みについてお尋ねをいたします。
 次に、今後の保健医療サービス提供の体制整備についてお伺いをいたします。
 本県においては、全国を上回るスピードで高齢化が進展しておりますが、これにより寝たきりや痴呆、さらにはがん、循環器などの慢性疾患などを有する高齢者の増加が予想され、これに対応した保健医療サービスの整備が喫緊の課題となっていると存じております。
 また、近年の少子化の傾向は、合計特殊出生率が1・43となったことに示されるように急速な進行を見せております。今後、引き続き子供の数の減少が進みますと、地域社会の活力維持に大きな影響を及ぼすものと憂慮されますことから、これに対応し、子供を安心して生み育てることができるよう、その支援体制の整備充実も必要であると存じております。
 一方、がんや循環器疾患に関する研究や診療の技術は目覚ましく進展しております。これらの最先端の医療情報や技術を地域の医療機関に積極的に普及させ、県民が常に適切な保健医療サービスを受けることができるような医療情報のネットワーク化が絶対私は必要であると存じております。
 以上の状況を踏まえまして、今後、21世紀を見据えた保健医療サービス提供体制の整備をどのように進めていくのか、御所見をお伺いいたします。
 次に、中小企業の活性化並びに経営基盤の強化についてであります。
 不安定な為替相場のもと、生産拠点の海外への移転や輸入品の増加等に伴い、国内生産力が減少し、さらには、エネルギーや環境問題に直面するなど、県内の中小企業は一段と厳しい状況にあります。このようなことから、中小企業がなお一層の自律的な発展を遂げていくためには、総合的でかつきめ細かな対策を積極的に展開していくことが必要であり、具体的には技術面、資金面、人材面等にわたる多面的な支援が求められております。本県としての中小企業の活性化、経営基盤の強化に向けた取り組みについてお尋ねをいたします。
 次に、科学技術の振興についてお伺いをいたします。
 本県における科学技術の振興の取り組みは、平成元年の科学技術振興会議の設置に始まり、平成5年には、神奈川県に次いで全国で2番目に科学技術振興室を設置するなど、他県に先駆けて推進してきたところであります。中でも、超電導工学研究所が平成6年に盛岡市に立地できたことは、本県が科学技術を推進していく上で極めて大きな成果であったと受けとめております。今後におきましては、県内の研究者や民間企業との連携を進め、ひいては、この世界最先端の研究所が本県産業の活性化につながるよう具体的なアプローチが必要であると存じます。
 今回、超電導など先端科学技術の研究拠点となる研究施設を工業技術センターの敷地内に設置すると伺っておりますが、超電導研究の今後の県内での展開についてどのようにお考えなのか、知事の御所見を賜りたいと存じます。
 次に、本県の基幹産業たる農業問題について伺います。
 今日の農業は、農業労働力の減少や高齢化の進行等に加え、平成7年4月からのウルグァイ・ラウンド農業合意の実施に伴い、輸入農産物が増大するなど、内外ともさまざまな課題を抱えております。その中でも、特に生産者が最も苦慮している問題の1つに、米の生産調整への対応が上げられます。米の生産調整については、昭和45年から始まり年々強化されてきたため、基盤整備済みの水田までが休耕を余儀なくされるなど、農家は泣く泣く協力してきた経緯がございます。そして、今やこの減反面積は、本県の場合に全水田面積の4分の1に当たる2万5、000ヘクタール余に及んでおり、これは4年に1度は全く米をつくらないということと全く私は同じことになるのではないかと思っております。したがって、この転作田をどう活用していくかは、本県農業生産の根幹に私はかかわる問題であり、まさに農政の最重要課題であると存じます。
 この生産調整については、高知県の橋本知事が、県は、国からの機関委任事務は行うが、農家に対する実際の指導は農業者団体が行うべき問題である、といったような趣旨の発言をしたとの報道がございました。私は、生産調整の目標達成のため、日本じゅうの農家が頑張って取り組んでいるさなかにおいて、その指導のすべてを農業者団体に任せて、県は単に事務処理のみをしておれば事足りるという考え方はいかがなものかと私は存じます。
 そこでお伺いいたしますが、こうした発言に対し、増田知事はどのような所感をお持ちになりましたでしょうか。また、本県としては、今後この生産調整にどのように取り組んでいくお考えなのか、その基本的な考え方についてあわせてお伺いをいたします。
 次に、転作とも関連しますが、本県農業の振興と作目再編についてお伺いをいたします。
 申し上げるまでもなく、今や本県農業はかつてない変革のときを迎えており、農産物総自由化を背景とした海外との競争の中で、また国内的にも一層熾烈な産地間競争の中で、本県農業の振興発展を目指し、その将来展望を切り開いていかなければならない時代となってきております。
 例えば、米で見ますと、ミニマムアクセスの導入により輸入米が増加し、国産米も含めて米の需給は大幅に緩和する中にあって、販売競争は目に余るものがあります。さらには、自主流通米価格は低落傾向にあるなど、先行きどうなるか極めて危惧すべき状況にあると存じます。しかしながら、こうした中にあっても、全国的に見ますと、一部の特定銘柄は群を抜いて高い価格水準を維持しております。これは消費者に好まれる品質、食味のものを安定的に生産するならば、必ず競争に打ちかてるということでもあります。先般、日本穀物検定協会が公表した食味ランキングによりますと、本県の県内ひとめぼれがブランドの銘柄の最高峰であります新潟県の魚沼産のコシヒカリと同等の、3年連続特Aの評価を受けたところであります。まことに喜ばしいことでもあります。さらに、意を強くした次第であります。
 私は、これまでもたびたび申し述べてまいりましたが、本県が我が国の総合食糧基地として生き残りをかけていくためには、これまで以上に適地適作を基本とした県農業全体の方向をさらに明確に打ち出す必要があると存じております。しかも、単に適地適作をスローガンに掲げるのみではなくて、抜本的に販売面まで含めた対策を積極的に講じるものでなければなりません。
 そこでお伺いいたしますが、適地適作を基本とした作目再編と販売戦略についてどのようにお考えなのか、知事の御所見を承りたいと思います。
 最後に、増田知事はこのたびの演述において、積極果敢に新しい時代を切り開いていくと力強く決意表明されましたが、今後、その意気をもって常に県民の先頭に立ち、県政の推進に取り組まれることを御期待申し上げまして、私の質問を終わります。御清聴まことにありがとうございます。(拍手)
〇知事(増田寛也君) 千葉浩議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、政治的にも全県民の立場に立って邁進すべきときと、こういった御意見についてでございますけれども、議員御指摘のとおり、我が国は21世紀を間近に控えまして、これまでの経済構造や社会構造、それを支える制度や仕組みでは解決できない事態に直面をしておりまして、これらを放置すれば世界の潮流に取り残されかねない状況にあり、まさに歴史的な転換期にございます。こうした中にありまして、私たちに求められておりますのは、県民の多様な価値観に応じた自己実現の選択の可能性を広げまして、一人一人が将来の夢や人生の目標を抱き、創造性とチャレンジ精神を存分に発揮できるような地域社会を築き、これを次世代に確実に引き継いでいくことでございます。
 こうした時代認識のもとに、厳正で公正、県民に開かれた、わかりやすい県政の実現を基本姿勢に掲げまして、また、県政を身近なものとするため、私は、可能な限り県民の皆様の活動の場に出向き、県政に対する御意見、御提言を直接お聞きし、各分野の施策に反映をさせてまいりました。今後とも、躍動感あふれ、心豊かな地域社会、すなわちドリームランド岩手の実現のために、私は県政の責任者として、県政の主役は県民であって、県民の皆様方のためのものであるということを強く意識しまして、厳正かつ公正を旨として、県民一人一人としっかりとしたパートナーシップを築きながら、積極果敢に新しい時代を切り拓いていく考えでございます。
 次に、新しい総合計画策定の考え方についてでございますが、連携と交流を3県総後期実施計画における重要な視点の1つとして、これを積極的に推進をしているところでございますけれども、県内各地域においては、地域づくり団体やボランティア、民間企業などのさまざまな主体が参加をし、地域の個性や特色を生かした地域づくりが展開されるとともに、各分野にわたり、従来の行政単位の枠を超えた連携が行われているところでございます。今後、検討に入ります新しい総合計画においても、こうした県内各地におきます多様な主体の参加と連携による地域づくりへの取り組みが一層促進されること、そのことによって、このドリームランド岩手が築かれるように広範な角度から検討を加えてまいりたいと、このように考えております。
 次に、平成9年度予算についてでございますけれども、平成9年度は21世紀に向けて、躍動感あふれ、心豊かな地域社会づくりを進めていくための、いわゆる橋渡しとなる重要な時期であると、このようにとらえております。このため、予算編成に当たりましては、行政改革の推進と3県総後期実施計画に掲げる施策の効率的な推進はもとより、新たな時代の潮流を見据えて予算編成上の重点課題として昨年の秋に掲げまして、高度情報化の推進と情報発信機能の充実強化、地域の連携・交流の促進、国際的視野に立った地域経済の振興の以上の3つの柱に基づく施策につきましては、緊急性、重要性を勘案しながら、厳しい財政環境にありながらも積極的に予算編成を行ったところでございまして、例えば、マルチメディアの研究開発支援施設の整備や、北東北3県の地域連携の推進、また独創的、先端的な研究開発の共同施設整備などの事業を盛り込むといった--これは、ほんの一例でございますけれども--こうした特色のある予算の編成に努めたところでございます。
 次に、一般財源確保の見通しについてでございますけれども、平成9年度予算におきましては、税制改正に伴い、県税としての地方消費税が新たに創設されたことによりまして、税源の充実が図られております。県税につきましては、国の経済見通しや各種統計資料などを参考としながら、本県の実情をも加味して積算を行いまして、所要の伸びを見込んだところでございまして、地方交付税やその他の一般財源につきましても、地方財政計画の伸び率や過去の実績などを勘案しながら相応の増減を見込んだところであり、予算計上しました一般財源については確保できるものと、このように考えております。
 次に、今後の財政運営についてでございますけれども、国、地方を取り巻く財政環境は、今後とも一段と厳しさを増すと、このような予想でございます。したがいまして、21世紀の輝きのある岩手を創造していくためには、財政の健全性を確保しながら、経済社会情勢の新たな変化や県民の方々の新たな要請に対して、適切に対応できるような柔軟性のある財政構造を維持していくことが肝要であるというふうに思っております。このため、従前にも増して、スクラップ・アンド・ビルドを基本としながら事務事業の徹底した合理化を図るなど、行財政改革に積極的に取り組む一方で、県債の導入に当たりましては、金利の情勢に配慮しながら適正な発行規模というものを見きわめまして、可能な限り交付税措置のある県債の活用を図るなど、創意と工夫を凝らしながら限られた財源の効果的な活用が図られるよう、最大限努力をする考えでございます。
 次に、地方振興局の機能の充実強化についてでございますけれども、住民の利便性の向上を図り、より一層特色ある地域施策を展開できるように本庁から地方振興局への権限委譲、これを積極的に推進して、その振興局への人的体制についても、その適正配置に努めるとともに、政策形成能力の向上に力点を置いた研修などによりまして、これからの高度化、多様化する行政需要に積極的に対応できる人材の育成に努めてまいりたいと考えております。また、来るべき地方分権時代のパートナーとして、市町村の役割はますます重要になるものと認識をしておりますので、今後とも地元市町村の意向を十分に踏まえながら、密接に連携を図って、市町村と地方振興局が一体となって地域づくりを進めることが肝要であると、このように考えております。
 次に、高度情報化の推進についてでございますけれども、御案内のとおり、近年の高度情報化の進展はまことに目覚ましいものがございまして、生活と生産の両面にわたって大きなインパクトをもたらしております。このような状況の中で、情報通信を積極的に活用したさまざまな施策の推進が、県勢の全体の発展にとって大きな課題となっているところでございます。このため県では、だれでも、いつでも、どこでも必要な情報を利用することによりまして、県民生活の利便性の向上や地域間の連携と交流、さらには新たな産業の創出を進めまして、高度情報化社会いわての形成を図ると、こういう観点に立ちまして、平成9年度において具体的な構想を策定していきたいと、このように考えております。また、その取り組みにつきましては、地域地域の推進体制を強化するとともに、産学官一体となった全県的な展開を図ってまいる考えでございます。
 次に、若者の定住促進対策についてでございますけれども、少子・高齢化が進展する中で、21世紀の岩手に新たな活力を生み出すためには、こうした若者が将来の夢や人生の目標を抱き、それにチャレンジできるような環境づくりを進めて定住を促進することが極めて重要でございます。このため、県立大学を初めとする高等教育機関の整備など、進学機会の充実を図りますとともに、農林水産業の活力ある発展や特色ある地域産業の振興、研究開発型企業の誘致など、多様な就業機会の創出に努めてまいります。また、商店街や町並みの整備、公園や下水道といった快適な生活環境、居住空間の整備を促進するとともに、文化、スポーツ・レクリエーションの振興を図りますほか、県内外の若者が活発にいろいろな場面で交流できますように、その取り組みを支援するなど、地域のそれぞれの魅力を高め、真に豊かな暮らしを実現するためにさまざまな施策を展開していく考えでございます。
 次に、今後の保健医療サービス提供体制の整備についてでございますけれども、私は、21世紀を展望した保健医療施策を展開するために、第三次の岩手県保健医療計画の見直しについて岩手県医療審議会に諮問をいたしまして、このほど答申をいただいたところでございます。答申の基本的な内容といたしましては、少子・高齢化に対応して、福祉サービスとの連携も含めた高齢者に対する総合的な保健医療サービス提供体制、これの整備・充実を進めますとともに、きめ細かな母子保健医療施策を展開いたしますほか、広大な面積を有しているという本県の特性もございますので、質の高い医療サービスを県内に均等に普及させるため、医療分野におきます高度情報化に取り組んでいく必要があるとされております。
 具体的には、療養型病床群の整備促進やかかりつけ医による在宅医療の充実、地域リハビリテーションの推進を図りますとともに、高度不妊治療や総合的な周産期医療の体制整備に係る調査検討に努めますほか、救急医療の充実や僻地医療の支援強化を進めるべきであると、このように内容されております。さらに、国立がんセンターと県立中央病院とのネットワークシステムの構築によるがんの予防、診療等の高度化の推進や医療機関と家庭などを結びます医療情報のネットワーク化を促進することがこの答申の中に盛り込まれております。私は、この答申の方向に沿って、年度内の3月中に計画の改定を行いまして、その積極的な推進に取り組んでまいるところでございます。
 次に、中小企業の活性化及び経営基盤の強化についてでございますけれども、県内企業の大宗を占める中小企業が、そのすぐれた機動性や果敢な企業家精神を発揮いたしまして、活発な企業活動を展開することが本県経済の発展を図るかぎであると、こういうふうに考えております。このような観点から、中小企業の経営基盤を強化するために、各種の金融制度や診断指導、人材育成のための研修制度、商工会議所などによる小規模企業対策や組織化対策、さらには、技術開発に対する助成制度など、総合的に施策を展開してきたところでございます。
 平成9年度におきましては、県単独事業によりまして、新規の開業者や中小小売商業者の資金調達を支援するため、最長15年という長期・低利の融資制度の創設をするなど、金融制度に一層の充実を図りますほか、工業技術センターによる移動工業技術相談事業の実施、首都圏におけるいわてブランドフェアの開催による地場産品の販路拡大の支援強化に取り組むなど、中小企業施策の拡充を図ることといたしております。また、新たに国の施策を導入いたしまして、鋳造、プレス、板金加工など、基盤的な技術産業の活性化やマルチメディアソフトの開発環境の整備に取り組むこととしておりまして、さらに、県単独事業といたしまして、インターネットの利用促進を図るモデル事業を拡充するなど、中小企業が技術革新や高度情報化にも的確に対応した発展ができるよう、事業を行っていく考えでございます。
 次に、超電導研究の県内での展開についてお尋ねがございましたけれども、新しいこうした経済社会のフロンティアを生み出す源泉は、私は、新しいテクノロジーの開発にあるというふうに考えておりまして、超電導技術につきましても、輸送や電力、医療、エレクトロニクスなど、幅広い分野で実用化が見込まれますし、21世紀の基幹技術として大きな期待が寄せられている最先端の技術であるというふうに考えております。このため、超電導工学研究所の盛岡への開設を機に、その受け入れ体制を充実するなど、研究活動の支援に努めてきたわけでありますが、この結果、盛岡研究所において世界最大の単結晶の育成や新たな接合技術の開発など、特筆すべき成果が上がりまして、また共同研究を通じて、工業技術センターや岩手大学におきましても、多くの研究者が研究開発に取り組むなど、研究活動が活発化をしてきましたほか、県内企業の関心も高まっているところでございます。
 今後におきましては、これまでの超電導研究への取り組みやその成果を踏まえまして、平成9年度から本県超電導研究の中核となる施設の整備に新たに着手をいたしますとともに、超電導工学研究所と県の工業技術センターや岩手大学との共同研究を一層推進することといたしております。さらに、産学官一体となった新たな研究開発プロジェクトの導入に向けて、県内の数多くの研究者や技術者が、超電導技術を活用した新しい分野の研究や技術開発にも取り組めるよう調査するなど、幅広い研究活動の展開に努め、岩手が世界の超電導研究の拠点となるよう、その形成を目指していく考えでございます。
 次に、米の生産調整に関しましての高知県知事の発言についてでございますけれども、私自身、その真意を承知しているわけではございませんけれども、生産調整はそれだけさまざまな問題をはらんでおりますし、また一方で、高知県としての事情があってのことと、こういうふうに思っているところでございます。しかし、生産調整の推進指導を生産者団体にすべて委ねることは現実的には難しいものと、このように考えております。需給バランスが崩れて、結局、農家が損をするということになってはならないと、こういうふうに思うところでございます。
 また、生産調整の推進に当たっての基本的な考え方についてでございますけれども、ただいまの議員御指摘のとおり、水田面積の4分の1に及ぶ転作田の有効活用が、本県農業の生産力の維持向上や農家経済の安定を図る上で極めて重要な課題であると、こんなふうに考えておりまして、このため、地域農業の振興方向や労働力事情に応じて、収益性の高い作物の導入、拡大や土地利用型作物の団地的な栽培による産地形成を一層促進する必要があります。農家向けの啓発資料を作成配付するとともに、集落座談会などを通じた指導を実施しているところでございます。また、先般、体質の強い水田農業の確立生産者の集いというものを開催いたしまして、転作田の高度利用を目指して意志の結集を図ったところでございまして、今後とも望ましい転作営農が早期に実現をされるよう、指導に万全を期す考えでございます。
 次に、適地適作を基本とした作目再編と販売戦略についてお尋ねがございましたけれども、本県農業の一層の発展を図るためには、豊富な農業資源を積極的に生かし、米、畜産の経営基盤の強化と園芸の生産拡大による農業再編を進めていくことが重要であるというふうに考えております。このため、平場地域におきましては、良食味米の効率的な生産や転作田への園芸作物等の団地的な導入、また中山間地域におきまして、野菜、畜産の土地利用型の農業の展開、さらには施設園芸や地域特産物の導入など、それぞれの立地条件に応じた作目再編を加速してまいりたいというふうに考えております。こうした地域での取り組みに加えまして、販売戦略を強化するために、新たに売れる米づくりに向けたいわて純情米品質・食味ワンランクアップ事業、こうしたものや野菜産地の市場競争力を高めるためのいわて純情野菜日本一産地育成事業などを展開することとしているところでございまして、今後とも、米、園芸、畜産を基軸といたしまして、消費者ニーズに的確にこたえ得る産地づくりを強力に推進していく考えでございます。
 以上でございます。
   
〇議長(堀口治五右衛門君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時32分 散 会

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