平成9年2月定例会 第9回岩手県議会定例会会議録

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〇知事(増田寛也君) 第9回県議会定例会の開会に当たり、今後の県政運営並びに平成9年度の主要な施策について、所信の一端を申し上げます。
 昨年は、宮沢賢治生誕100年、石川啄木生誕110年という節目の年に当たり、私たちをはぐくんできた岩手の自然、風土や一人一人の生き方、社会のあり方などを改めて考えたり、あるいは、この美しい環境や個性と伝統のある文化などを、21世紀にどのように継承し発展させていくべきか、思いをめぐらす年でもありました。
 さて、21世紀を間近に控え、私は、これからの数年間は、自由で新鮮な発想のもと、輝きのある岩手を創造していくための貴重な準備のときであり、新しい時代の扉を開き、大きくはばたく助走の期間と位置づけたいと考えております。
 本県は、広大な県土を有し、四季折々の変化に富んだ自然、特色ある歴史、こうした自然と歴史に培われてきた固有の文化に恵まれ、また、進取の気性を待った人材を数多く輩出するなど、全国に誇れる無限の可能性を秘めたフロンティアであります。
 岩手のあるべき姿とは、このような自然、歴史、文化などを生かした地域づくりが各地で繰り広げられる躍動感あふれる心豊かな地域社会、すなわちドリームランド岩手であると考えます。
 私は、岩手の明るい未来を切り拓くため、県民の多様な価値観に応じた自己実現の選択可能性を広げ、一人一人が将来の夢や人生の目標を抱き、すべての県民が手を携えてそれにチャレンジし達成できるような環境をつくり上げ、イーハトーブの新しい風を興すことに全力を傾注する考えであります。
 今日、人々の価値観、生活様式が大きく変わりつつある中で、少子・高齢化や高度情報化の急激な進展、国境を越えた地域間競争の一層の激化など、我が国はこれまでの経済構造や社会構造、それを支える制度や仕組みでは解決できない事態に直面をしており、これらを放置すれば世界の潮流に取り残されかねない状況にあります。
 国においては、このような認識のもと、財政構造改革を初め社会保障構造改革、経済構造改革、行政改革などが進めらてれおり、時代は、今まさに歴史的な転換期にあります。
 私は、県政推進に当たっての基本姿勢として、県民に開かれたわかりやすい県政を掲げ、県政をわかりやすく、また、身近なものとするため、すべての市町村で県政懇談会を開催するなど、可能な限り県民の皆様の活動の場に出向き、県政に対する御意見、御提言を直接お聞きし、各分野の施策に反映させております。
 また、経済社会の情勢を見据え、平成12年度、すなわち西暦2000年度を目標年次とする第三次岩手県総合発展計画後期実施計画を策定するとともに、地方分権の時代を展望し、新たに行政改革大綱を定め、その着実な推進を図っております。
 さらに、秋田新幹線の開通、花巻空港滑走路の2、500メートル化、三陸縦貫自勤車道及び八戸久慈自動車道の県内全区間の基本計画の決定に努力してきたほか、東北新幹線の整備促進、県都圏と県内各都市間との90分交通を目指す新交流ネットワーク道路の整備など、総合交通体系の構築に積極的に取り組んでおります。
 また、ウルグァイ・ラウンド農業合意関連対策を推進するとともに、ベンチャー企業への投資を促進する支援制度を創設したほか、この4月の開校に向けて県立産業技術短期大学校を整備するなど、地域経済の活性化に努めております。
 福祉の充実については、ひとにやさしいまちづくりを促進するとともに、就労と育児の両立を支援するため、延長保育など保育事業を拡大したほか、県立胆沢病院などの移転新築、防災ヘリコプターひめかみの就航など、女性の働きやすい環境づくりや安心できる暮らしの充実に努めております。
 人材の育成については、岩手県立大学の開学に向け、世界的に著名な西澤潤一先生を学長にお迎えすることが決まるなど、その準備に万全を期すとともに、生涯学習推進センターの整備による生涯学習の振興、青少年を取り巻く環境の浄化に努めるほか、審議会等への女性登用を積極的に進めております。
 今後とも、3県総後期実施計画の目標達成に向けて、引き続き、多様な施策を積極的に推進する考えであります。
 また、賢治・啄木生誕祭や食パラダイス岩手'96などが成功裏に終了し、これらの開催を通じて本県の魅力を内外に発信することができましたが、新たに生まれた県民の自信や誇り、エネルギーを、これからの地域づくりにつなげていきたいと考えております。
 なお、この間、いわゆる奥産道問題など、県政に対する県民の信頼を損ねたことについて、ここに改めて、県民の皆様や関係機関に対し心からおわびを申し上げます。
 今後は、かかる問題が生ずることのないよう、事務の適正な執行を心がけ、すべての職員が公務意識の高揚に努めることにより、県民の信頼の回復に全力を尽くしてまいります。
 次に、本県を取り巻く経済社会情勢やこれまでの取り組みを踏まえ、今後の県政運営に当たっての基本方針と重点施策について申し上げます。
 まず、基本方針であります。
 ことしは、昭和22年に地方自治法が施行されて50周年に当たり、地方自治のあり方を考える上で、極めて意義深い年であります。
 私は、住民に身近な行政は地方が担い、地方の自主性・自立性を高め、個性的な地域づくりを展開するなど、地方のことは地方で考えていくことが基本であると存じます。
 この場合、地方は、国に過度に依存することなく、みずからの主体的判断により地域の実情に即した地域経営を行い、その結果についてみずから責任を負わなければなりません。
 そのため、私たちは、このことを十分自覚し、新たな役割を積極的に担えるよう、一層の意識改革を行うとともに、こうしたことを実現するのにふさわしい体制を整備していく必要があります。
 とりわけ、これからは、県民が主役であることを特に強く意識するとともに、住民に身近な先端行政については、市町村が創意と工夫を凝らしながら推進できるよう、また、広域的な課題に対しても、市町村が連携して取り組んでいけるよう、それらを支援する体制を整備していく考えであります。
 私は、こうした分権型の地域社会を創造するため、これまで以上に地域を重視し、市町村や県民一人一人との間に、しっかりとしたパートナーシップを築き、それぞれの役割を尊重しつつ、相互に連携を図りながら、さまざまな施策を展開してまいりたいと考えております。
 次に、今後の重点施策であります。
 ただいま申し述べましたように、分権型の地域社会の創造を基本として、3県総後期実施計画策定に当たって留意した7つの視点を踏まえつつ、特に、次の8つの施策分野に重点を置きながら、県政全般にわたる課題の解決を図ってまいります。
 第1に、連携・交流の促進であります。
 私は、従来の行政単位の枠を超え、県内外においてさまざまな分野、レベルでの連携・交流を促進し、各地域がそれぞれの特性に応じた役割を担い、総体として地域の発展を図っていくことが重要であると考えます。
 このため、これを支える交通網や情報通信網などの基盤を整備するとともに、市町村を初めとする各主体が多様な連携を図ることができるよう、地域活性化事業調整費を初めとする諸施策を充実するなど、その条件整備に努めてまいります。
 また、北海道・東北各県との連携・交流はもとより、国内各地や海外との交流を積極的に推進してまいります。
 第2は、高度情報化の推進であります。
 地理的・地形的なハンディキャップを抱えている本県にとって、高度情報通信社会いわての構築は、時間・距離の制約を克服し、新たな発展可能性を切り拓くものと確信をしております。
 このため、地域の情報化を促進するための新たな構想を策定し、将来的には、だれでも、いつでも、どこでも容易に情報通信を利活用できるよう、その基盤の整備を促進するとともに、日々刻々と進展する情報通信技術の成果を取り入れながら、産業、医療・福祉、教育など各分野における高度情報化を積極的に推進してまいります。
 第3は、地域経済の活性化であります。
 国境を越えた地域間競争が激化する中にあって、地域経済を活性化していくためには、既存産業の生産性の向上を図るとともに、地域の内部から新しい産業が展開していく構造に転換を図ることが急務であると認識をしております。
 このため、生産基盤の整備や情報通信の活用などにより各産業の高度化を促進するとともに、起業家精神に富み、創造的な事業活動を行う意欲的な人材の育成・支援に努めてまいります。
 また、工業技術センターや4月に開所する農業研究センターを初めとする試験研究機関における研究・技術開発を一層推進し、地域の特性・条件を最大限に生かした新しい産業が展開できるよう、その条件整備を進めてまいります。
 第4は、人と自然との望ましい共生であります。
 豊かな自然を初めとする快適な環境は、真にゆとりと潤いのある暮らしを実現する上で、必要不可欠であります。
 とりわけ、本県の豊かな自然は、県内外から高く評価されておりますが、単にあるがままの姿を誇るだけではなく、温暖化などの地球規模の環境問題にも、県民一人一人が共通の理解と認識を持って取り組むことが、地球時代に生きる私たちの責務であります。
 このため、環境保全の基本理念、行政・事業者・県民の役割と責務及び基本施策の方向などを検討するとともに、それぞれの主体が環境問題に率先して取り組めるよう、その条件整備に努めるほか、太陽光などのクリーンなエネルギーの導入促進を図るなど、21世紀における人と自然との望ましい共生に向けて、全国をリードするような取り組みを進めてまいります。
 第5は、文化新時代の創造であります。
 文化は人々の生活、生き方、考え方そのものの表現であると考えます。
 また、特色ある地域文化は、その地域のアイデンティティーを形成し、住民に誇りと愛着をもたらすとともに、その創造と発信は、ドリームランド岩手を築くためにはなくてはならないものであります。
 このため、地域に根差した伝統芸能、伝統産業、観光などの振興を図るとともに、木の文化、水の文化といった新たな観点からの文化の創造に努め、世界に向けてイーハトーブの新しい風を興してまいります。
 第6は、科学技術の振興であります。
 私は、新しい経済社会のフロンティアを生み出す源泉は、科学技術であり、真の豊かさを実感できる暮らしの実現は、科学技術がそのかぎを握っているものと考えます。
 このため、高等教育機関や試験研究機関の整備充実、個性ある人材の育成・確保など知的資本の充実強化を図るとともに、産学官交流や県内外との試験研究機関の連携などにより、先端的、独創的な研究開発、技術の向上を促進し、科学技術に立脚した新産業の創出と豊かな暮らしの実現に取り組んでまいります。
 第7は、安心して暮らせる地域社会の実現であります。
 少子・高齢化の一層の進展に伴い、質の高い多様なサービスの提供を受けながら、だれもが安心して住みなれた家庭や地域で暮らしていけるよう、地域全体で支援するシステムを構築していく必要があります。
 このため、県立病院の計画的な整備を図りながら、医療機関の情報通信の高度利用及びそのネットワーク化を推進するなど、地域医療の充実を図るとともに、総合的な視点に立った新たな高齢社会対策のための指針を策定するなど、保健、医療、福祉など広範にわたるサービスが有機的かつ効率的に提供される体系の構築に努めてまいります。
 第8は、未来を切り拓く人材の育成であります。
 ドリームランド岩手を築くためには、心豊かで創造性に富み、チャレンジ精神や国際的視野を持って行動できる人材を育成することが必要であります。
 このため、将来を担う次の世代が、みずからの夢や目標に向かってチャレンジし実現できるよう、その可能性を十分に引き出し、創造力をはぐくむことのできる環境づくりに努めてまいります。
 また、高齢者や青少年、男性、女性といった、それぞれの立場と役割を尊重しつつ、お互いに協調しながら、地域社会において、その能力を十分発揮できるよう、その支援体制の整備を図ってまいります。
 以上、今後の県政運営に当たっての基本方針と特に重点を置く施策について申し上げましたが、今まさに、さまざまな可能性を秘めた新時代に向けて、その歩むべき方向をしっかりと見定め、明確な戦略を持って船出すべき時期であります。
 このため、国際化や高度情報化の急激な進展などの経済社会の情勢を的確に見据えながら、21世紀初頭までを展望し、県の行財政運営や県民一人一人が地域において活動する際の基本指針となる、新たな総合計画の策定に取りかかりたいと考えております。
 私は、県政の主役が県民であり、県民の皆様のためのものであるという、その本来のあり方を考えるとき、これからの計画づくりやその推進に当たっては、県民とともに考え、つくり、実践していくこと、すなわち、県民提案型・県民参加型県政の推進が何よりも肝要であると認識をしており、新しい総合計画の策定過程においても、このような考えのもとに進めてまいります。
 次に、機動的かつ効率的な行財政運営の推進であります。
 経済社会情勢の変化に伴う新たな行政課題に適切に対応するため、限りある財源を有効に活用する観点から、事務事業の見直しを絶えず行い、施策の優先順位を厳しく選択し、地方分権の時代を展望した施策展開にこたえ得る、機動的かつ効率的な行財政運営に努めてまいります。
 特に、地方振興局については、行政機構の整備や本庁の有する権限の大幅な委譲などを通じて、総合性、自己完結性を高め、地域振興の拠点としての機能強化を図るなど、県民が望む質の高いサービスを提供してまいります。
 また、市町村におかれても、今後とも一層、機動的かつ効率的な行財政運営に当たられるよう、強く期待するものであります。
 次に、平成9年度におきます予算編成方針と行財政運営方針について申し上げます。
 平成9年度は、3県総後期実施計画を着実に推進するとともに、躍動感あふれ、心豊かなドリームランド岩手の創造や新しい総合計画につなげていく重要な時期と考えております。
 予算編成に当たりましては、厳しい財政環境にありますが、限られた財源の効果的な活用を図りながら、緊急度と優先度の高い施策を厳選いたしました。
 また、国、地方を通じ、行財政環境は一層厳しい状況が続くものと見込まれますので、絶えず、財政運営の健全化と行政改革を引き続き推進し、県民の信頼と期待にこたえてまいります。
 さらに、職員の一層厳正な職務の執行と公務意識の高揚に努めるとともに、人材の育成を図りながら、多様化、高度化する行政需要に積極的に対処してまいります。
 以下、平成9年度の主要な施策の概要について申し上げます。
 第1に、安全で快適な県土づくりについてであります。
 まず、交通網の整備については、東北横断自動車道や三陸縦貫自動車道の整備を促進するとともに、国道283号仙人峠道路の用地を先行取得するほか、地域高規格道路を初めとする連携・交流に資する道路整備を積極的に推進してまいります。
 また、東北新幹線盛岡以北の建設を一層促進するとともに、三陸鉄道の経営の安定化と利用促進を図ってまいります。
 さらに、官民一体となった花巻空港の利用促進に努めながら、平成10年度の滑走路延長工事の着手を目指して、関連道路の調査・設計に取り組むとともに、大船渡港永浜・山口地区の整備に着手をいたします。
 都市においては、盛岡南地区と盛岡駅西口地区を結ぶ橋梁の整備に着手するとともに、農山漁村においては、景観形成や環境保全を通じた美しい村づくりを促進するほか、生活関連道路や給排水施設などの整備を進めてまいります。
 また、情報化に対応した住宅のあり方を調査するほか、下水道事業を促進するなど、居住環境の整備に努めてまいります。
 地域の情報化については、地域における情報交流ネットワークの整備や広域的な情報化への取り組みを支援するとともに、県外向けの広報誌の発行や首都圏におけるラジオ放送など、本県の魅力を総合的に発信してまいります。
 環境の保全については、自然環境保全指針の策定に取り組むほか、環境影響評価制度のあり方の調査・検討を行うとともに、地球温暖化などに配慮した新エネルギーの導入促進に努めてまいります。
 第2に、地域産業の新たな展開についてであります。
 まず、農林水産業について申し上げます。
 農業の振興については、大区画圃場などの生産基盤を整備するとともに、集団的な農地利用調整を推進するほか、営農組織活動を支援するなど、体質の強い農業構造の確立を図ってまいります。
 また、ゆめさんさ、かけはしなどの県産米の作柄安定と品質向上を図るとともに、有力な野菜・花卉産地としての地位確立を目指し、積極的に取り組んでまいります。
 さらに、中山間地域においては、グリーン・ツーリズムなど、地域の特性を生かした取り組みを促進してまいります。
 加えて、新たにニューヨークにアンテナショップを開設するとともに、この9月に開催される第7回全国和牛能力共進会の成功に向け、鋭意取り組んでまいります。
 林業の振興については、木材生産団地の道路網を整備するとともに、公共建築物などへの県産材の利用を促進するほか、林業労働力確保支援センターの着実な事業展開を推進し、担い手の育成・確保に努めてまいります。
 また、日本一の炭の里づくりの事業促進など特用林産物の生産と需要の拡大を図るとともに、県民の憩いの場となる森林公園の整備を推進してまいります。
 水産業の振興については、マツカワなどの魚類栽培を推進し、つくり育てる漁業の積極的な展開を図るとともに、漁業経営の活性化を図るため、秋サケの需要拡大に関係者と一丸となって取り組んでまいります。
 また、この10月に開催される第17回全国豊かな海づくり大会については、その成功に向け、万全を期してまいります。
 次に、商工業について申し上げます。
 工業・科学技術の振興については、先端科学技術の研究施設を整備するなど、独創的な研究開発を促進するとともに、ベンチャー企業やマルチメディア関連産業を育成するための拠点施設を整備してまいります。
 また、優良企業の誘致促進に努めるほか、部品や金型製造などの基盤的技術企業群の活性化を図るとともに、中小企業がインターネットを活用して新たな取引先を開拓できるシステムの整備を支援してまいります。
 さらに、本県ブランドの計画的な育成や創出に努めるとともに、首都圏において県産品の総合的なイベントの開催や多様なメディアを活用した情報発信など、戦略的なマーケティングを展開してまいります。
 商業の振興については、長期・低利の融資制度の創設や若手経営者の育成など、意欲的な中小小売業者に対する支援を強化してまいります。
 観光の振興については、広域的な連携の強化を図りながら、各地のすぐれた観光資源を活用した特色ある観光ルートの創設やイベントの開催など、観光客の誘致拡大に一層力を注いでまいります。
 雇用の安定と促進については、若年労働者の県内定着とUターン・Iターンを促進するとともに、障害者や高齢者の就業機会の拡大や青年技能者の育成に努めてまいります。
 第3に、安心できる暮らしの充実についてであります。
 まず、保健医療の充実については、在宅における難病患者の支援や高度不妊治療体制の整備など、きめ細かな保健医療サービスの向上に努めるとともに、県立久慈病院及び県立大船渡病院の救命救急センターを平成10年の開所に向けて整備してまいります。
 また、がんの予防・診療などの高度化を図るため、県立中央病院と国立がんセンターとの情報ネットワークシステムの構築を進めてまいります。
 さらに、伊保内病院の新築事業に着手するほか、引き続き、久慈病院、一戸・北陽病院を整備してまいります。
 福祉の充実については、福祉マンパワーの養成・確保を図るための対策指針を策定するほか、地域のボランティア活動の活発化を図るとともに、痴呆性老人向けグループホームへの支援や24時間ホームヘルプサービスを促進してまいります。
 また、児童の健全育成のための拠点施設の整備を進めるとともに、休日保育や低年齢児保育を拡充してまいります。
 さらに、身体障害者や知的障害者の授産施設の整備を促進するとともに、在宅の障害者がパソコンを活用して情報の入手や相談ができるネットワークの整備を進めるほか、精神障害者への救急医療体制を充実してまいります。
 県民生活の安全確保については、新しい地域防災計画に基づき、防災情報システムの構築に向けた基礎的調査を行うとともに、宮古警察署を整備してまいります。
 第4に、21世紀を担う人づくりについてであります。
 学校教育については、児童・生徒一人一人の個性を大切にするとともに、豊かな国際感覚を養うため高校生を欧米4カ国へ派遣するなど、国際理解教育や情報教育を充実するほか、私立学校に対し一層支援してまいります。
 体育・スポーツについては、平成10年の国民体育大会冬季大会及び平成11年の全国高等学校総合体育大会の成功に向け、鋭意準備を進めてまいります。
 文化の振興については、県立美術館の整備や第50回を迎える岩手芸術祭の記念事業を推進するとともに、日本文化デザイン会議'97岩手を開催してまいります。
 青少年の育成については、青年海外セミナーや少年洋上セミナーを実施してまいります。
 また、あらゆる分野に男性と女性とが平等な立場で参画できる社会を目指し、女性カレッジを開催するなど、その環境づくりに努めてまいります。
 国際交流の推進については、国際青年の村'97を開催するとともに、バリ州を中心としたインドネシアとの文化交流を促進するほか、海外技術研修員の受け入れなど国際協力活動の強化に努めてまいります。
 以上、平成9年度における施策の概要について申し上げました。
 今日、歴史的転換期の中にあって、私たちに求められているのは、県民一人一人が将来の夢や人生の目標を抱き、創造性とチャレンジ精神を存分に発揮できるような地域社会を築き、これを次世代に確実に引き継いでいくことにあります。
 我が郷土の先覚者新渡戸稲造博士は、近代国家建設の困難な時代にあって、人間の持つ可能性を信じ、その可能性を実現するため、勇気と情熱を持って行動し、その広い視野と深い見識によって将来を担う人材の育成や国際平和への貢献など、幾多の功績を残されました。
 私は、このような博士の精神を引き継ぎ、輝きのあるドリームランド岩手の創造に向けて、吾、21世紀へのかけ橋とならんとの不抜の志を持ち、市町村や県民一人一人としっかりとしたパートナーシップを築きながら、積極果敢に新しい時代を切り拓いていく決意であります。
 議員の皆様と県民の皆様の御理解と御協力を心からお願い申し上げ、私の所信表明を終わります。
 御清聴大変ありがとうございました。(拍手)
   
日程第8 議案第1号平成8年度岩手県一般会計補正予算(第4号)から日程第94 報告第1号道路の管理に関する事故に係る損害賠償事件に関する専決処分の報告についてまで
〇議長(堀口治五右衛門君) この際、日程第8、議案第1号から日程第94、報告第1号までを一括議題といたします。
 提出者の説明を求めます。大隅総務部長。
   〔総務部長大隅英喜君登壇〕
〇総務部長(大隅英喜君) 本日提案いたしました各案件について御説明いたします。
 議案第1号は、平成8年度岩手県一般会計補正予算であります。これは、国の補正予算に呼応し本県としても積極的に公共事業等を導入することとし、総額295億余万円を補正しようとするものであります。
 補正の主なものは、地域農業基盤確立農業構造改善事業費9億4、100余万円、山村等振興対策事業費5億6、000余万円、担い手育成畜産基盤総合整備事業費26億7、400余万円、かんがい排水事業費16億8、800余万円、新生産調整推進排水対策特別事業費5億500余万円、農道整備事業費28億1、600余万円、ほ場整備事業費26億9、800余万円、土地改良総合整備事業費7億600余万円、中山間地域総合整備事業費27億3、200余万円、農業集落排水事業費9億900余万円、湛水防除事業費9億2、800余万円、開拓地整備事業費6億7、500余万円、林業構造改善事業費5億5、300余万円、道路特殊改良事業費6億円、道路災害防除事業費14億4、100万円、直轄道路事業費負担金5億2、700余万円、港湾改修事業費5億6、000万円、直轄港湾事業費負担金6億8、600余万円、公営住宅建設事業費5億5、500余万円等であります。
 次に、債務負担行為の補正は、農村総合整備モデル事業ほか31件を新たに追加するとともに、かんがい排水事業ほか21件の限度額を変更しようとするものであります。また、地方債の補正は、土地改良事業ほか14件の起債の限度額を変更しようとするものであります。
 議案第2号は、平成8年度岩手県流域下水道事業特別会計の補正予算でありますが、これも国の補正予算に呼応して公共事業を導入しようとするものであり、所要額を補正しようとするものであります。
 議案第3号から議案第5号までは予算の補正に伴う建設事業に要する経費の一部負担及び一部負担の変更に関し議決を求めようとするものであります。
 議案第6号は、平成9年度岩手県一般会計予算であります。予算編成の基本となる主要な施策につきましては、知事から申し上げたとおりであります。当初予算の編成に当たりましては、国、地方を通じて厳しい財政環境下にあることにかんがみ、行財政運営全般について見直しを行うとともに、国の予算編成方針、地方財政計画等に留意し、スクラップ・アンド・ビルドを基本として、第三次岩手県総合発展計画の後期実施計画に基づく諸施策について、その7つの視点を踏まえて積極的に推進するよう配慮したところであります。
 以下、その概要について御説明いたします。
 第1条は、歳入歳出予算の総額を、それぞれ8、764億6、486万4、000円と定めるものであります。これを前年度当初予算に比較しますと、8・6%の増となっております。
 次に、歳入について御説明いたします。
 第1款県税につきましては1、269億3、400余万円を計上しており、前年度当初予算に比較しますと87億7、300余万円の増となっておりますが、この見積もりは、平成8年度の税収の最終見込みを基礎として、平成9年度の経済見通しによる経済指標、地方財政の収支見込みにおける税収の伸び及び県内経済の動向等を勘案するとともに、新たに創設された地方消費税収入を見込んだものであります。
 第2款地方消費税精算金につきましては83億7、200万円余を計上しておりますが、これは、地方消費税収入を都道府県間で清算することにより、本県が他県から支払いを受ける金額を見積もったものであります。
 第3款地方譲与税につきましては56億6、100余万円を計上しており、前年度に比較して46億7、200余万円の減となっておりますが、消費税の改正に伴う消費譲与税収入が減少することによるものであります。
 第4款地方交付税につきましては2、393億1、100余万円を計上しており、前年度当初予算に比較して69億3、600余万円の増となっております。
 第5款交通安全対策特別交付金につきましては6億7、600万円、第6款分担金及び負担金につきましては110億7、700余万円を計上しております。
 第7款使用料及び手数料は111億9、500余万円を計上しており、前年度当初予算に比較して2億9、300余万円の減となっております。
 第8款国庫支出金につきましては1、910億8、400余万円を計上しており、これを前年度当初予算に比較しますと15億4、700余万円の増となっております。
 第9款財産収入につきましては26億2、800余万円、第10款寄附金につきましては4、000余万円をそれぞれ計上しております。
 第11款繰入金につきましては556億5、100余万円を計上しておりますが、これは、県債管理基金及び公共施設等整備基金等からの繰り入れを行うものであります。
 第13款諸収入につきましては838億8、800余万円を計上しておりますが、公営企業等に対する貸付金の元利収入であります。
 第14款県債につきましては1、399億4、200余万円を計上しており、前年度当初予算に比較して176億5、500余万円の増となっております。
 次に、歳出について御説明いたします。
 第1款議会費につきましては15億1、600余万円を計上しております。
 第2款総務費につきましては493億8、400余万円を計上しておりますが、その事業の主なものは、地区合同庁舎建設事業10億3、900余万円、東北新幹線建設促進対策事業費130億2、100余万円、地域活性化事業調整費9億円、先端科学技術研究施設整備事業費4億700余万円、自治振興基金貸付事業費34億1、000余万円、地域総合整備資金貸付金8億円等であります。
 第3款民生費につきましては428億4、100余万円を計上しておりますが、その事業の主なものは、民間社会福祉活動推進費3億4、100余万円、重度心身障害者(児)医療助成費13億100余万円、身体障害者療護施設整備費補助3億5、700余万円、精神薄弱者更生援護費18億9、300余万円、精神薄弱者福祉工場整備費補助1億6、400余万円、老人保護措置費22億300余万円、老人福祉活動推進費25億2、100余万円、老人福祉施設整備費30億3、800余万円、国民健康保険事業安定化推進費7億500余万円、財団法人岩手県国際交流協会出捐金1億円、特別保育事業費8億6、900余万円、児童保護措置費47億5、900余万円、生活保護扶助費39億8、400余万円等であります。
 第4款衛生費につきましては227億3、800余万円を計上しておりますが、その事業の主なものは、母子保健対策費6億2、600余万円、特定疾患対策費5億2、600余万円、精神障害者入院等措置費5億7、100余万円、老人保健対策費76億6、900余万円、診療施設情報高度化支援ネットワーク事業費2億円余、産業廃棄物処理モデル事業推進費5億3、200余万円、シーサイドウォーキングロード整備事業費2億9、500余万円、救急医療対策費11億2、800余万円、地域中核病院高度医療施設設備整備費補助2億7、800余万円等であります。
 第5款労働費につきましては36億4、500余万円を計上しておりますが、その事業の主なものは、職業能力開発推進事業費4億400余万円、産業技術短期大学校管理運営費5億9、700余万円等であります。
 第6款農林水産業費につきましては1、506億500余万円を計上しておりますが、その事業の主なものは、地域農業基盤確立農業構造改善事業費13億300余万円、山村等振興対策事業費14億4、800余万円、地域調整推進事業費補助37億3、800万円、畜産基盤再編総合整備事業費22億7、700余万円、かんがい排水事業費44億5、700余万円、農道整備事業費45億7、300余万円、ほ場整備事業費103億3、500余万円、中山間地域総合整備事業費35億2、500余万円、農村総合整備事業費44億6、100余万円、農業集落排水事業費32億9、600余万円、ふるさと農道緊急整備事業費34億5、400余万円、財団法人岩手県林業労働対策基金出捐金6億円、林道開設事業費37億8、100余万円、林業地域総合整備事業費12億800余万円、ふるさと林道緊急整備事業費60億7、700余万円、治山事業費54億8、500余万円、沿岸漁場整備開発事業費27億5、800余万円、全国豊かな海づくり大会開催事業費8億8、300余万円、漁港修築事業費52億4、000余万円、海岸保全施設整備事業費12億1、300余万円等であります。
 第7款商工費につきましては611億余万円を計上しておりますが、その事業の主なものは、いわて新産業創造支援事業費8億6、500余万円、マルチメディア創造センター--仮称でありますが--整備事業費8億2、700余万円、商工業小規模事業対策費28億8、700余万円、いわてブランドプラザ--仮称でありますが--整備事業費6億600余万円、商工観光振興資金貸付金140億5、300余万円、中小企業経営安定資金貸付金160億4、800余万円、工業立地促進資金貸付金75億4、500余万円、休廃止鉱山鉱害防止事業費9億700余万円、オートキャンプ場施設整備事業費8億6、700余万円等であります。
 第8款土木費につきましては1、518億3、600余万円を計上しておりますが、その事業の主なものは、交通安全施設整備事業費28億9、700万円、道路改築事業費137億8、800万円、緊急地方道路整備事業費127億7、600万円、新交流ネットワーク道路整備事業費67億円、地方特定道路整備事業費118億4、100万円、中小河川改修事業費28億8、200万円、砂防事業費31億5、100余万円、早池峰ダム建設事業費30億8、700余万円、港湾改修事業費24億1、000万円、街路事業費9億800万円、広域公園整備事業費10億2、600余万円、過疎地域公共下水道整備代行事業費12億円等であります。
 第9款警察費につきましては323億5、000余万円を計上しておりますが、その事業の主なものは、警察行政運営費231億2、900余万円、警察署庁舎整備事業費10億3、600余万円、交通安全施設整備費17億7、100余万円等であります。
 第10款教育費につきましては2、238億7、500余万円を計上しておりますが、その事業の主なものは、校舎建設事業費6億7、400余万円、校舎大規模改造事業費27億300余万円、文化財保護推進費2億3、700余万円、美術館整備事業費3億1、700余万円、国民体育大会冬季大会推進事業費6億2、600余万円、インターハイ関連スポーツ施設整備費補助21億6、900余万円、県立大学整備事業費404億4、300余万円、私立学校運営費補助43億3、000余万円等であります。
 第11款災害復旧費につきましては129億8、900余万円を計上しております。
 第12款公債費につきましては772億7、600余万円を計上しております。
 第13款諸支出金につきましては460億200余万円を計上しており、その内容は、公営企業貸付金145億円、公営企業負担金157億1、900余万円、地方消費税交付金42億500余万円、自動車取得税交付金43億5、900余万円等であります。
 第14款予備費につきましては3億円を計上しております。
 以上をもって第1条の説明を終わりますが、歳出に充当した一般財源の額は、県税、地方交付税等で4、594億8、600余万円となっており、その割合は52・4%になっております。
 第2条債務負担行為は、県立大学整備事業等59件について債務負担行為をしようとするものであります。
 第3条地方債は、地区合同庁舎建設事業等62件について、起債の限度額、起債の方法、利率及び償還方法を定めようとするものであります。
 第4条一時借入金及び第5条歳出予算の流用は、それぞれ所要の措置を講じようとするものであります。
 議案第7号から議案第17号までは、平成9年度の母子寡婦福祉資金特別会計予算、農業改良資金特別会計予算、県有林事業特別会計予算、林業改善資金特別会計予算、沿岸漁業改善資金特別会計予算、中小企業振興資金特別会計予算、土地先行取得事業特別会計予算、証紙収入整理特別会計予算、流域下水道事業特別会計予算、港湾整備事業特別会計予算、県民ゴルフ場事業特別会計予算でありますが、これらは、それぞれの事業計画等に基づき、その所要額を計上したものであります。
 議案第18号から議案第20号までは、平成9年度の県立病院等事業会計予算、電気事業会計予算、工業用水道事業会計予算であります。これらは、それぞれの事業計画に基づき、収益収支及び資本収支等の所要額を計上したものであります。
 議案第21号から議案第25号までは、建設事業等に要する経費の一部を受益市町村に負担させることに関し、それぞれ議決を求めようとするものであります。
 議案第26号から議案第85号までは条例議案でありますが、岩手県部設置条例の一部を改正する等の条例の施行に伴う関係条例の整理に関する条例を新たに制定するとともに、病害虫防除所条例等、59条例の一部改正等を行おうとするものであります。
 議案第86号は、当せん金付証票の発売に関し議決を求めようとするものであります。
 次に、報告第1号は、道路の管理に関する事故に係る損害賠償事件に関する専決処分について報告するものであります。
 以上のとおりでありますので、よろしく御審議の上、原案に御賛成くださるようお願いいたします。
   
日程第8 議案第1号平成8年度岩手県一般会計補正予算(第4号)から日程第12 議案第5号土木関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関する議決の変更に関し議決を求めることについてまで
〇議長(堀口治五右衛門君) 次に、お諮りいたします。ただいま議題となっております議案第1号から議案第5号までは、公共事業等の早期導入の観点から、日程の順序を変更し、先議いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(堀口治五右衛門君) 御異議なしと認めます。よって、議案第1号から議案第5号までは、先議することに決定いたしました。
 これより、議案第1号から議案第5号までについて質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。

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