平成9年9月定例会 第11回岩手県議会定例会会議録

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〇21番(谷藤裕明君) 自由民主党の谷藤裕明でございます。
 質問に先立ち、過日御逝去されました藤倉正巳議員に対しまして、謹んで哀悼の意をささげ、心より御冥福をお祈り申し上げます。
 質問に入らせていただきます。今議会の一般質問の最終でありますので、項目的に重複する質問もありますが、誠意のある御答弁を期待するものであります。
 まず、最近連日のように取りざたされております財政改革下における次期県総合計画における公共投資についてお伺いいたします。
 国においては御承知のとおり、公共事業費を集中改革期間内の平成10年度から12年度の3カ年で15%以上削減することとしており、これに伴う本県への多大なる影響が懸念されることは、我が党菅原温士議員の質問に対する御答弁においても明らかにされたところであります。間もなく21世紀を迎える今日、我々は次世代のために社会資本の整備の目指すべき方向を冷静にとらえ、したたかにこの難局を乗り越える必要があると存じます。
 その方向は、経済社会の要請が産業重視から生活重視、ハード重視からソフト重視へと質的に大きく変化していることを踏まえ、県民生活の質のさらなる向上や次世代の発展基盤の維持、すなわち、県土保全や自然環境の保全、さらには定住条件の整備等に資する分野への重点的かつ効率的な投資ではないかと存じます。そして、高齢化時代を迎え、貯蓄率や潜在成長力が今後ますます低下していくことを想定するなら、投資力の比較的ある今こそ、社会資本整備を積極的に推進していかなければならない重要な場面ではないかと存じます。加えて、全国に比較しても社会資本整備が立ちおくれている本県においては、この格差を早急に解消しなければならない切実な要請があることを考慮するならば、厳しい財政環境下である今だからこそ、本県への重点的な投資を国に対して強く訴えていく必要があると考えます。
 一方、国においては公共事業を進めるに当たって、ダム事業の凍結に見られるように、事業の採算評価、効率化などといった尺度で公共事業の採択成否を決める動きがあることは御案内のとおりであります。そのことが妥当か否かは別として、それが採用されるということになれば、本県における公共投資の推進にも少なからずの影響が予想されるところであります。
 そこでお伺いいたしますが、公共事業の採算評価による採択成否の動きについての問題点をどのように認識しておられるでしょうか。
 また、県政の最高指針である次期県総においては、社会資本整備の大宗を占める建設省所管の道路、港湾、下水道、公園など、公共事業の整備水準をいつまで、どのレベルまで引き上げていくのかをまず議論した上で、具体的かつ明確に目標として掲げ積極的に推進していくことが必要であると存じますが、いかがでしょう。
 次に私は、国の財政改革下に適切に対処し、本県への公共投資を傾斜配分させていくためには、国際社会をも視野に入れた上で、本県の豊かな自然環境等の資源、自然との共生可能な開発、後発なるがゆえの潜在的価値について、広く着実に理解を求めていくことが決め手となるものと考えます。
 また、本県におけるかけがえのない自然等潜在的な価値を明確にし、それをどう生かしていくのかということについて、次期県総の根本に据えるのでなければならないと考えます。このような観点に立って、主体的に本県独自の企画構想力で21世紀へ向けての公共投資のあり方について、次期県総に夢のある構想を描いていくことこそが必要であると存じますがいかがでしょうか、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、地方分権問題についてお伺いいたします。
 地方分権推進委員会は、昨年末の第1次勧告に続き、この7月に明治以来の中央集権型行政システムの変革を目指す第2次勧告を発表したところであります。この中では、地方分権型の行政システム構築に向け、国庫補助負担金の整理合理化と地方税財源の充実確保についての指針が示されたところでありますが、とりわけ法定外普通税の許可制の廃止や法定外目的税の新設等、自治体の課税権の裁量を拡大するなど、税財源の拡充に向けた自治体の自主権を明確にしたものとなっております。
 御存じのとおり、我が国の財政は最終収支ベースでは国と地方の比率がおおむね1対2に対し、租税収入の配分においてはおおむね2対1と逆転しており、その乖離を地方交付税や補助金等の国庫支出金によって充当する仕組みが続いており、地方公共団体には真の意味で財源の自治が確立していない現状の中にあって、このたびの勧告を評価する声があるのも事実であります。
 しかしながら、理念としては歳入の自治を確立する方向を目指しているとはいえ、今回の勧告に係る税財源委譲は現実性が極めて乏しく、実効性の薄いものであると受けとめております。なぜなら、国税から地方税の税源委譲については具体性がなく、地方財源の確保の見通しが立たない状況にあることに加え、課税客体が乏しい本県の実態を考慮したとき、実のある税源の拡充が行われ得るはずがないからであります。このことは、財源基盤が脆弱な本県にとって、今後における次期県総の財源を確保する上で、深刻かつ重要な問題となってくるのでありますが、県当局の認識はいかがでしょうか、お伺いいたします。
 また、今回の勧告においては、国の自治体に義務づけている必置規制の見直しが盛られたところでありますが、それによる今後本県に与える影響が見込まれるところであります。もとより、国と地方の役割分担の明確化、国と地方の関係を上下主従の関係から対等協力の関係とすることや、国の包括的な監督権を排除することなど、もとより必要であることは存じております。しかしながら、人的にも中央官僚のいわゆる天下りを返上し得ない実態があることも、また現実の問題であります。
 知事は、この勧告をどのように受けとめているのか、また、21世紀を見据えた実のある地方分権のあり方をどのように考えているのか、あわせてお伺いいたします。
 さらに、必置規制の見直しの本県への影響、人的実態をどうとらえているのでしょうか、お伺いいたします。
 次に、盛岡都市圏の機能充実の観点から、幾つかの課題についてお伺いいたします。
 まず、盛岡駅西口問題についてでありますが、県におかれましては、県有地の開発に関し、県有地活用基本構想策定委員会を設置し鋭意検討を重ねてきておりますが、これまでの当該委員会の検討状況と今後の方針について明らかにしていただきたいと存じます。
 なお、検討に当たっては、当該企業局所有地は9、000平方メートルと承知しておりますが、当該面積にこだわることなく、必要に応じ拡大取得するという前提に立って検討すべきものと存じますがいかがでしょうか、御所見をお聞かせ願います。
 また、西口構想に対しては、盛岡商工会議所など、民間からの提言が数多く寄せられておりますが、市民の立場から貴重な内容のものと存じておりますが、県所有地の活用に当たって、このような提言にどのように対応していかれるのか、あわせてお伺いいたします。
 さらに、施設の完成時期については6月議会において企画振興部長は、新幹線の盛岡以北開業、中央大橋の供用、盛南開発の進展等の情勢を見きわめ、財政事情を勘案して取り組むと答弁されましたが、できるだけ早く基本的な整備の方向を示した上で取り組むべきではないでしょうか。
 このほど盛岡市と盛岡地区広域土地開発公社では、土地区画整理事業で開発可能となる公的保有地の土地譲渡に着手したところでありますが、当該用地は新たな機能導入を図るエリアであり、北東北の都市機能充実を左右することとなると存じております。したがって、当該地への機能導入が円滑に進むためには、進出民間企業の立地判断にかかわるものであることから、早急にまとめ上げることが必要であるからであります。
 また、付随する問題として、当該地区の駐車場問題は、当初と比較しかなりの不足が見込まれていると指摘があります。全体的な調整はどのように進めていくのでしょうか、お聞かせ願います。区画整理事業の主体が市であるとはいえ、このような問題一つ取っても、後手後手の対応ではいかがなものでしょうか。もっと本来県がイニシアチブをとって進めるべきではないでしょうか。
 次に、盛岡駅南大橋線について、いわゆる下開運橋についてお伺いいたします。
 このたび盛岡駅西口に立地する交通センタービルの建設事業コンペが行われ、その建設主体が決定し、駅周辺へのアクセスとして重要な役割を有するこの計画路線については、このほど県都市計画地方審議会において了承されたと聞いております。この路線は、市中心部の円滑な交通を確保する観点から、都心環状道路の一部を形成する重要な役割を担った路線であり、今後の盛岡の都市機能充実の観点からも早期完成が待たれるところであります。公共事業予算抑制下、財政的に厳しい見通しの中において、その建設の推進は厳しいものが見込まれますが、整備の必要性を強調するなど、積極的な取り組みが肝要であると存じます。
 一方、審議会の過程においては、既存道路拡張に伴い、建物移転の対象となる地権者の保護や、町並みの保全を求める意見等も多く提出されたようでありますが、今後そのような意見にも十分耳を傾けながら取り組んでいく必要があると存じますが、県としての今後の取り組み方針と見通しについてお伺いいたします。
 次に、大型店進出問題についてお伺いいたします。これにつきましては、我が党の菅原温士議員も取り上げたところでありますが、私なりにお伺いしたいと存じます。
 大型店構想は、御承知のとおりさまざまな影響、問題が予想されるところであります。まず第1には、まちづくりへの影響であります。
 現実に商店街の空き店舗も増加している中にあって、構想される大型店が進出することになれば、さらに商店街の空洞化が進展することは明らかなことであり、まちづくりへの影響ははかり知れないものと予想されておりますが、県ではどのように認識し、今後のまちづくりにおいてどのように対応すべきか、まず土木部長にお伺いいたします。
 菅原議員も指摘されましたが、この問題の対応において不可欠なのはまちづくりへの視点であり、それに基づく積極的な県の対応が待たれているところでありますが、東京都においては、西友が東京都調布市で進めている大規模ショッピングセンターの出店計画について、出店予定地近くで進む再開発事業などに悪影響を及ぼし、計画的なまちづくりが難しくなるためという理由で、すなわち、都市計画との整合性を理由に意見書を提出した例があるのであります。本県としても積極的に対応すべきと考えますがいかがでしょうか、商工労働観光部長にお伺いいたします。
 第2には、農業への影響であります。農政部長に伺います。
 これら構想では、優良農地に立地することを前提としておりますが、いずれも農業振興地域の農用地区域であり、生産性が高く農地がまとまっている第一種農地であると聞いておりますが、これら農業用地が大量に転用されるということに伴う影響はどうとらえているのでしょうか。
 また、当該地区の大部分は国営の土地改良事業を実施しているところであり、多額の公費が投入されておりますが、容易に他用途に転換できるものなのでしょうか。何らかの規制があると存じますが、それらはどのようになっているのかお聞かせを願います。
 仮に当該規制をクリアできるとしても、そもそも当該国営事業については、本県が長年、議会・執行部一体となって統一要望に盛り込み、その結果、国に認められ事業推進してきたところであると承知しております。県として勝手に転用が認められることでしょうか。国営の土地改良事業規制区域のその地に、かかる構想を対外的にも発表するのは、業者側の自由とはいえ、事業完了後、たしか7年か8年間転用規制がある地域であったと思います。開業予定の時期が規制期日内であり、農業振興の立場から農政部として説明して理解していただく努力が必要ではないでしょうか、御見解をお示し願います。
 第3には、生活環境問題でございます。
 答弁は不要でありますけれども、数千台の車がひしめき、大量の排気ガスや想定される大量のごみの排出など、環境汚染、環境公害の問題の発生も予想されるなど、生活環境に及ぼす影響も懸念されるところであります。慎重な対応を求めるものであります。
 次に、スポーツ振興について伺います。
 このたびの第24回東北総合体育大会、いわゆるミニ国体において、本県勢の総合優勝は、ホッケー、ハンドボール、山岳の3競技にとどまり、東北6県において前年に引き続き最下位という結果になったところであります。とりわけ平成11年度に開催が予定されているインターハイが2年後に差し迫っておりますが、そこでの活躍が大いに期待されている少年勢の成績がいま一つ低調であったことは残念なことであります。インターハイに向けた選手の強化策については、これまでも事あるごとに要請してまいりましたが、現在どのように取り組まれているのかお伺いいたします。
 我が郷土岩手が将来とも発展を続け、健康で活力に富んだ個性豊かな社会を築いていくためには、活動的でかつ開放的な積極果敢な県民性を有したたくましい人間を育成していくためにも、競技力の振興はもとより不可欠であります。本県選手が国内においてはもちろんのこと、世界的レベルにおいても大いに活躍することは、次代を担う青少年を初めとする県民に夢や感動を与えるとともに、スポーツへの関心を高め、県民が健康で活力ある長寿社会を築いていくことにもつながることであり、このことの重要さは今さら申し上げるまでもないことであります。本県としても、次期県総において、スポーツの競技力の向上にこれまで以上に積極的に取り組むべきものと存じますが、いかがでしょうか、御所見をお伺いいたします。
 そもそも、競技力の向上は子供のころからの取り組みが必要であります。しかしながら、現在子供たちの体力・運動能力が、調査を初めました昭和39年以来低下傾向にあることから、本県の競技力水準も低迷していると考えるものであります。本県の児童生徒の体力、運動能力の低下傾向はゆゆしき問題であり、かつて本会議でも取り上げた経緯がございます。
   〔副議長退席、議長着席〕
 県当局は、児童生徒のためにスポーツ環境の整備に努めると答弁されたところでありましたが、現実は思うように成果が上がっておらないのではないでしょうか。県と東京大学体育学研究室が平成6年度に実施した児童調査によりますと、本県児童の場合、横浜市の児童と比較し運動時間が少ないという結果であります。これではいかにスポーツ環境を整備したところで、児童生徒が利用しないのでは実効性が高まろうはずがなく、次世代の活性化を引き出すには到底無理があるというものであります。今後これら現状を踏まえ、その対策をどのように講じていかれるのか、お伺いいたします。
 次に、介護保険制度に対応した高齢者医療、福祉の問題についてお伺いいたします。
 急激な高齢化の進展に伴い、平成12年には高齢化率が世界一になろうという超高速加齢社会を迎えるに当たり、国においては介護保険制度の創設を予定しており、介護サービスに必要な施設等は平成11年度までに体制を整える必要があるとされています。
 御承知のとおり、本県においては国の新ゴールドプランに対応した高齢者保健福祉計画を平成6年2月に策定し、平成11年度までに確保すべき保健福祉サービスの目標値を定め、その整備に努めているところであります。在宅福祉サービスは充実しつつあるとはいえ、家族介護が中心であることから、お年寄りがお年寄りを世話するという、いわゆる老・老介護が増加し、介護疲れなどにより家庭崩壊に至った例も少なくないと聞いております。そのような中で、県内各地から特別養護老人ホーム、老人保健施設、長期療養型病院等の設置の要望が相次いでおります。岩手県高齢者保健福祉計画の目標値では、平成12年度に介護保険制度が導入されたとしても、果たして適正な医療、介護が提供できないであろうことが予想されますことから、以下のことについて順次お伺いしたいと存じます。
 まず、特別養護老人ホームについてでありますが、当該計画策定に当たっては市町村からの要望の積み上げ総数は4、688床であったにもかかわらず、県の目標値を4、230床に抑制したのはいかなる根拠によるものなのか、まずお伺いいたします。
 また、第三次総合発展計画においては270床増の4、500床であると承知しておりますが、今後の平成10年度以降の計画の見通しについてお示しを願います。
 次に、老人保健施設についてでありますが、当該施設は医療と福祉、病院から在宅へのいわゆる中間に位置するもので、その担う役割は今後ますます重要になってくると存じております。県高齢者保健福祉計画では、その目標値が4、400床とされておりますが、平成9年度で既に3、413床が予定され、さらに多くの開設・増床希望が提出されていることや、各市町村の希望も多いと聞いております。このようなことから、当該目標値の上積みへ向けた見直しが必要と考えますがいかがでしょうか、御所見をお願いいたします。
 次に、有床診療所の有効利用についてお伺いいたします。
 平成8年度に策定された第三次岩手県保健医療後期計画においては、医療機関の機能分担と連携の推進について明記されているところであります。高齢化の推進に伴い、長期療養患者を対象とした療養型病床群の整備が急がれているところでありますが、医療法に基づく必要病床数の縛り等、種々の問題を内包しているのが現状であると認識しております。
 そこで提案申し上げたいのは、休止している有床診療所のミニ老健化施設としての活用でありますが、このことについては、療養型病床群の進展を視野に入れて、本県独自の対応として医療審議会等で真剣に議論してみたらいかがでしょうか。住みなれた地域で身近にいる家族とかかりつけの医師にみとられて一生を終えるということをだれもが願っているのでありますが、そのような希望にかなうこととなるのではないでしょうか。県当局の御所見をお伺いいたします。
 次に、訪問看護ステーションについてお伺いいたします。
 在宅において医療と福祉の連結役を担うのが訪問看護ステーションであります。特にも、介護保険制度が導入されることとなれば、その役割はますます重要になると存じております。そのシステムは、かかりつけ医師と家族、ホームヘルパーとの連携の核となり、医療と福祉が一体となったサービスの提供が可能となることは明らかであります。
 本県の計画における目標は70カ所であり、現在14カ所整備されているものの、盛岡市、二戸市の医師会による計画があるとは聞きますが、医師会立の訪問看護ステーションは、残念ながら現状皆無であります。全国的に見ますと、郡市医師会が運営する訪問看護ステーションの数は、平成9年5月末で2、002施設のうち216施設、10・8%を占めております。かかりつけ医師にかかる機能に直結する医師会立の訪問看護ステーションの奨励や、県単独事業等による助成、支援に取り組むべき時期と存じますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。
 以上で質問を終わります。
 なお、答弁によっては再質問させていただきます。
 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 谷藤裕明議員の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、公共事業の採算性評価による事業採択の問題点についてお尋ねがございましたが、国における財政構造改革の一環といたしまして、公共事業の実施についても見直すことといたしまして、この方針を受けての平成10年度政府予算概算要求の内容が先般明らかになったところでございます。この中で、建設省の平成10年度概算要求におきましては、コスト縮減や費用効果分析の実施による事業採択などを行いまして、効率的、効果的な公共事業の執行を図ることとする一方で、生活関連の社会資本につきましては、地域間格差の是正という視点に留意をして、真に整備がおくれている分野、地域への重点化を図ることとしていますほか、安全な国土、地域づくりの推進のため、緊急に生命、財産を危険から守る施策への重点化を図ること、こういったことが示されているわけでございます。したがいまして、ただいま議員が御懸念されております採算性優先の費用対効果の分析面を重視しました内容に加えまして、国土全体の中での均衡面や緊急性についてもあわせて重視する姿勢と、このように理解をしておりまして、本県における公共事業の導入に当たりましては、真に必要な事業の選択について十分に検討を行いながら、引き続き本県の社会資本整備の必要性を強く国に訴えていく必要があると、このように考えております。
 また、次期県総において社会資本の整備水準を掲げるべきと、こういう御質問につきましては、新しい総合計画の策定作業の中で県民各位の御意見をいただきながら、本県における社会資本の整備水準目標を検討してまいりたいと、このように考えております。
 次に、新しい総合計画に公共投資のあり方に係る構想を描くことについてでございますけれども、近年、人々の価値観は、自然や文化を生かしながら、環境との共生や持続可能な発展を重視する方向へと大きく転換をしてきておりまして、このような変化は、まさに21世紀が広大な県土や豊かな自然、多様な地域文化など、本県の有しております資源、すなわちただいま議員の言葉では、潜在的な価値の優位性、これを生かす絶好の機会となることを示唆していると、このように考えております。
 また、今後、本格的な少子・高齢社会の到来によりまして、経済の潜在的な活力の低下が見込まれる中にございまして、これまでの社会を支えてまいりました仕組みや構造を見直し、新しい経済社会システムの構築を目指すことが必要となってきておりまして、こうしたシステムの中では、それぞれの地域がその個性や特色を一層発揮していくことが重要になるものと、このように考えております。
 このような認識に立ちまして、新しい総合計画の策定に当たりましては、新たな時代のフロントランナーを目指すと、こういうような発想のもとに、本県の発展可能性を十分に引き出すことに全力を傾注し、我が国のみならず、世界に通ずる理想郷を目指してまいりたいと、このように考えております。
 新しい総合計画におきましては、厳しい財政環境のもとではございますが、ただいま申し上げましたような考え方に基づきまして、事業の優先度を十分に吟味しながら、公共投資のあり方について検討を行いまして、本県の特徴や特性を最大限に生かした構想を描き、その実現に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、地方分権における地方税財源の充実確保についてでございますけれども、地方分権推進委員会の第2次勧告におきましては、地方税について、ただいま御指摘のございました法定外普通税の許可制を廃止することや、法定外目的税の創設などに加えまして、地方における歳出規模と地方税収入との乖離をできるだけ縮小すると、こういう観点に立って充実確保を図るとともに、中長期的な課題ということで、税源の偏在性が少なく、税収の安定性を備えた地方税体系の構築と、国と地方との税源配分のあり方について検討すると、このようになっているところでございます。
 また、税源の偏在による財政力の格差を是正するために、地方交付税の全体の総額の安定的な確保を図ることとしまして、算定方法の簡素化や地方公共団体の意見を反映する制度的仕組みについてもこれを検討することと、このようになっているところでございます。私は、地方分権を推進するためには、地方公共団体が地域の実情に応じて自主的、主体的な判断と責任のもとに施策を展開し、個性豊かな活力に満ちた地域社会づくりが可能となるような地方税財源が安定的に確保されることが、特に極めて重要であると、このように考えております。したがいまして、第2次勧告において、引き続き検討することとされました、ただいま申し上げました諸課題や、この中で明確に記述されていない国から地方への税源の委譲などについて、今後におきまして十分な検討がなされ、本県の意見が反映されたものとなりますように、統一要望の機会はもちろんでございますが、北海道東北地方知事会や全国知事会などの場を通じまして、引き続き強く要望していく必要があると、このように考えております。
 次に、今回の勧告でございますが、国と地方を対等協力の関係に変えまして、地方公共団体の自主性、自律性を高め、実効ある地方分権を推進すると、こういう観点からなされておりまして、個々の内容についてはただいま申し上げましたが、例えば地方への税源委譲などが具体化されておらないわけでございまして、地方公共団体の主張と開きのある部分もありますが、全体としてはおおむね評価すべき内容と、このように考えております。
 私は、分権型地域社会は地域住民の知恵や工夫が行政に生かされ、活力に満ちた個性豊かな魅力ある地域づくりが行われて、生活者の視点に立った住民本位の総合行政が可能となる一方で、当然のことながら地方の責任がより拡大するなど、まさに地方の主権を確立した社会である、このように認識をしております。このためには、行政への住民参加を促進し、その透明性をより高めるとともに、行財政改革を積極的に推進をして自主財源の充実確保に努め、地方が主体的に改革、改善に取り組んでいく必要があると、このように考えております。
 また、必置規制の見直しの本県への影響についてでございますけれども、本県におきましては既に保健所、そして地域農業改良普及センター、各種監視員など、必置規制のある組織や職につきまして、これまでも地方振興局との組織的、業務的連携を図るなど、地域におきます行政の総合化、効率化に努めてきたところでございますが、今回の見直しによりまして一層自主的な行政運営が可能となるものと、このように期待をしているところでございます。
 さらに、国と地方とが対等協力の関係と変わっていった場合には、職員一人一人が新たな役割を積極的に担えるように、一層の意識改革を進めることが当然必要になってくるわけでございまして、こうした意識改革を随時進めてまいりますとともに、こうした新たな時代の流れに対応できます政策形成能力を有する人材の育成に積極的に取り組んでいく必要がある、このように考えているところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので、御了承お願い申し上げます。
   〔企画振興部長武居丈二君登壇〕

〇企画振興部長(武居丈二君) 盛岡駅西口地区県有地の活用に関する検討状況と今後の方針等についてでありますが、当用地の活用については、昨年来、全庁的な取り組みを行い、本年3月末に盛岡駅西口地区県有地の活用に当たっての基本的な考え方を取りまとめたところであります。本年度は、この基本的な考え方をもとに、新たに企画振興部長をキャップに庁内の部局長等で構成する委員会を設置するとともに、これとあわせましてまちづくりの専門家や学識経験者の方々からなる専門委員会を設置し、活用構想の策定に向けて鋭意検討を進めているところであります。現在、これらの委員会では、西口地区全体における県有地の位置づけを踏まえつつ、主として当用地に導入することがふさわしい諸機能等について議論が重ねられておりますが、委員の間からは、当用地が県内各地域から容易にアクセスできる恵まれた立地条件にあることや、施設整備をする場合に相当程度の事業費が見込まれることなどから、多くの県民が広く交流できるさまざまな施設機能を複合的に盛り込むべきではないかなど、多くの意見、提言をいただいているところであります。今後、これらの委員会での議論や並行して進めております先進事例調査、専門家との意見交換を踏まえながら、単に一県有地の活用を図るという発想ではなく、マリオスなど周辺施設の機能の状況を考慮しながら、幅広い視点で、西口地区全体の機能の向上を図るために持つべき機能などについて、さらに具体的に検討してまいりたいと考えております。
 また、この県有地につきましては、その四方が道路で囲まれ、そのうち2方面の全部または一部が高架になる1街区で独立的に形成されていることから、この地域で完結する施設が基本になるものと考えているところでありますが、また一方で、延べ床面積で見ましても、当用地で最大容積率を600%とした場合に5万4、000平方メートルということで、現在の県庁舎の約1・74倍ということで、相当大規模な延べ床面積を確保できるものであります。こうしたことから、今後の検討に当たりましては、まずは県有地の有効活用を前提にいたしまして、地区内の基盤整備や景観に配意するとともに、地区内の施設相互間の円滑なアプローチの確保が必要との専門家の意見などを参考にしまして、導入する機能の検討に資するとともに、施設内外のアクセスとの関係から、大まかな物理的なレイアウトにつきまして幾つかのケーススタディーを行うことによりまして、具体的なイメージを描きながら、今年度末を目途に基本的な整備の方向を示した活用構想をまとめてまいりたいというふうに考えております。
 なお、議員御指摘のございました盛岡商工会議所の盛南・駅西口開発特別委員会から寄せられました西口地区に関する提言につきましても、これらの検討過程におきまして参考としてまいりたいというふうに考えております。
   〔土木部長藤本保君登壇〕

〇土木部長(藤本保君) まず、西口地区の駐車場問題についてでありますが、本地区の駐車場整備計画につきましては、盛岡市が昨年度行った中心市街地の駐車場利用実態調査を踏まえて、現在、関係機関で構成する駐車場整備連絡協議会を設置し、将来の駐車需要予測を行うなど具体的な整備目標を定め、今年度内に県有地の東側に予定されている市営駐車場も含めた駐車場整備計画を取りまとめることとしております。
 なお、商業地域等における劇場や百貨店、事務所等の特定の建築物につきましては、市条例で駐車場の附置義務が課されており、中心的な施設であるマリオスにつきましても、この条例に沿って314台の駐車施設を整備しているところであります。
 県といたしましては、本地区が広域的な交通の結節点にもなる重要な地区であることから、駐車施設が適切に確保されるよう、盛岡市と連携を密にしながら市を支援、指導してまいりたいと考えております。
 次に、盛岡駅南大橋線についてでありますが、本路線は都心地区に発生集中する交通を円滑に処理する都心環状道路の一部を形成するとともに、国道4号や国道396号からの交通に対応して、都心及び駅前地区への連絡性を高める盛岡広域都市圏の幹線道路として位置づけられるものであります。この路線は、都心部の交通渋滞の緩和に貢献することはもとより、今後の盛岡市の発展に大きく寄与する道路であると認識しております。計画につきましては、地元や審議会委員の方々からさまざまな意見が出されておりますことから、盛岡市では、地元住民の意見を十分に反映した沿道のまちづくりのあり方や地域活性化方策等の調査を、本年度から2カ年にわたって実施すると伺っております。
 県といたしましては、事業実施に際しまして、説明会等を通じて地元関係者の一層の理解が得られるよう盛岡市を指導してまいる考えであります。
 また、仮称下開運橋につきましては、昨今の公共事業を取り巻く環境は極めて厳しい状況にありますが、事業の重要性にかんがみ、早期に着工できるよう国に強く働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、大型店構想によるまちづくりへの影響についてでありますが、近年、核家族化の進行や持ち家志向、モータリゼーションの進展などにより郊外への住宅開発が進み、中心市街地においては夜間人口の減少や商店街の売り上げの減少、空き店舗の増加等が指摘されているところであります。このようなことから、中心市街地の活性化を図るため、盛岡市内では、材木町のコミュニティ道路整備事業や中央通りの歩道のカラー化等のまちなみ整備事業、中ノ橋通りの電線類の地中化を実施し、さらに、中ノ橋地区の市街地総合再生事業や映画館通りでの電線類の地中化等の事業を進めているところであります。
 また、国では、関係11省庁が一体となって中心市街地の活性化のため、既製の都市基盤や社会資本の集積のある中心市街地を再整備し、居住人口や購買層の呼び戻しを図るとともに、高齢者や障害者も安全で快適に暮らすことのできる住環境を推進するための諸施策を打ち出しているところであります。
 これらの事業の導入に当たりましては、地元の商店街の方々のまちづくりに対する意欲や盛り上がりが肝要であると考えており、県といたしましては、今後とも市町村と十分連携を図りながら、中心市街地を活性化するための関連事業の導入に向けて、積極的に対処してまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長佐藤孝司君登壇〕

〇商工労働観光部長(佐藤孝司君) 大型店進出問題についてでありますが、まちづくりの視点につきましては、現在、いわゆる大店法の見直しを検討している国の産業構造審議会及び中小企業政策審議会の合同会議の場において、多様な商業機能の必要性や既存商店街への影響、住環境や高齢者等への影響、さらには都市計画上の視点といった幅広い角度からの議論がなされていると承知しており、このような都市政策的な観点からの議論が深まっていくものと考えております。
 このような中で、県といたしましても、大型店問題に対するまちづくりの観点に立った総合的な検討の必要性について、去る9月8日に開催されたこの審議会の東北、関東ブロックの中央ヒアリングで、各都県を代表して意見を述べたところであり、また、さきに行われた政府予算統一要望においても、最重点項目として要望したところであります。
 また、現在、盛岡市においていわゆる西口・盛南地区開発といったまちづくりや農業振興との整合性の観点などから検討していると伺っておりますので、今後、大型店の届け出がなされた場合には、地元市や地元商工団体、消費者、学識経験者の意見も聴取しながら、国への意見提出をも含めて対応を検討してまいりたいと考えております。
 なお、平成8年1月に、第1種大型店の紫波ツインプラザの届け出が国になされた事案について、地元意見を尊重されたい旨、知事の意見提出を行ったところであります。
   〔農政部長中村盛一君登壇〕

〇農政部長(中村盛一君) 大型店の進出に伴う農業への影響についてでありますが、まず、農用地の転用につきましては、農振計画上の農用地区域が、将来にわたり農業を振興する地域として設定されておりますことから、農振法及び農地法により農業以外の利用が制限されているところであります。農用地区域内の大規模な開発は、農用地の集団性を阻害し、水路や農道の分断など農業用施設の利用に支障を来すだけでなく、周辺の開発による農用地のスプロール化を助長するなどの影響を及ぼすものと思われますので、地元市町村が当該地区の土地利用をどのように計画していくのか、その動向を注視していく必要があると考えております。
 次に、国営土地改良事業実施中の地域において、容易に他用途に転換できるものかとのことでありますが、国営土地改良事業は受益者の同意のもとに、一定地域の農用地を受益地として施設の整備が計画されているところであります。そのため、受益地内での大規模な転用はその施設規模まで影響を与えますことから、農振法、農地法の規制のほかに、事前に国との事業調整及び土地改良区との除外のための調整手続が必要であり、さらには、事業完了後8年以内に受益面積の10%以上、または10ヘクタール以上の転用が行われた場合は、受益者であります農家がその面積に応じた事業費を返還することになっております。したがって、将来にわたり農業生産の向上等を目的に整備した農用地の転用につきましては、今後の地域農業の振興の観点からも慎重に対応すべきであると考えております。
 なお、構想の対外的発表につきましては、何ら規制できるものではありませんが、事業実施区域でありますことから、今後の事業の執行に少なからず影響を与えるものと理解しております。
   〔保健福祉部長緒方剛君登壇〕

〇保健福祉部長(緒方剛君) 高齢者医療福祉の問題についてでありますが、高齢者への介護サービスの充実のためには、保健、医療、福祉等介護に関する施設の整備を推進していくことが肝要であると考えております。
 まず、県高齢者保健福祉計画策定に当たっての特別養護老人ホームの整備目標数についてでありますが、当該施設は広域的に利用すべきものであることから、老人福祉法の定めにより、県の計画策定における目標数は、高齢者保健福祉圏域ごとに定めることとされており、また、市町村計画と県の圏域計画とは調整して設定すべきものとされているところであります。県計画の特別養護老人ホームの目標水準4、230人は、厚生大臣が定めたいわゆる参酌すべき水準を踏まえて、法で求められた平成4年度中に設定したものでありますが、一部市町村の老人保健福祉計画の策定が当該年度よりおくれたこと等から、県としては十分な調整を行わず、結果として市町村計画の積み上げ総数が県計画を上回ったものであります。
 特別養護老人ホームの平成10年度以降の整備につきましては、本県の整備状況は平成9年度の着工ベースで4、300人と県計画の整備目標を上回っており、国における事業の採択は厳しい状況にあります。当面は整備の推進について国の理解が得られるよう努めてまいりたいと考えております。
 また、3県総では平成12年度までに4、500床を整備することとしておりますが、平成12年度及びこれ以降の整備については、介護保険制度の導入に伴い、平成11年度に策定する予定の介護保険事業支援計画に基づいてこれを推進することとしたいと考えております。
 次に、老人保健施設についてでありますが、本格的な長寿社会に対応していく上で、入院患者の家庭等への復帰など、この施設の果たす役割は極めて大きいものであり、県といたしましても、高齢者保健福祉計画において、県内九つの高齢者保健福祉圏域ごとに目標値を設定し、平成11年度までに4、400床を整備することとしております。県全体の整備の状況は、平成9年度の着工ベースで、45カ所、3、906床で、目標に対して88・8%の進捗率となり、整備はおおむね順調に推移しているところであります。しかしながら、圏域別に見ますと、おおむね目標が達成されている圏域がある反面、釜石及び宮古圏域では目標の50%程度の進捗率となっていることから、平成11年度までにすべての圏域で目標の達成が図られるよう、最大限努力してまいりたいと考えております。
 また、目標値の見直しにつきましては、今後、特別養護老人ホームと同様、平成11年度に介護保険事業支援計画を策定する予定であることから、その作業の中で検討し見直してまいりたいと考えております。
 次に、有床診療所の病床活用についてでありますが、国におきましては、長期にわたり療養を必要とする患者の増大に対応して、療養環境の整った療養型病床群の整備の拡充等を内容とする医療法の改正案が、現在、国会において介護保険法案とあわせて継続審議となっております。この改正案におきましては、診療所にも療養型病床群を設置できることとなっており、増大する長期療養患者に対し適切な対応、処遇を図る上で有意義であると考えております。
 一方、この診療所の療養型病床群は医療計画上の病床規制の対象にされていることから、病床過剰域での増設は難しくなる可能性もあり、有床診療所の病床活用につきましては、今後、国会審議の動向を注視しながら、あわせて県内の有床診療所等の実態を把握し、関係する審議会等の意見をも聞きながら検討してまいりたいと考えております。
 次に、訪問看護ステーションについてでありますが、この施設は、在宅において介護を受けている高齢者などに対して、看護サービスを提供する拠点として、在宅福祉サービスとともに大きな役割を担うものとして期待されているところであります。本県における整備状況は、高齢者保健福祉計画の目標である70カ所に対して、現在14カ所で、進捗率20%となっていることから、今後、市町村や地域の医療団体等との連携のもとに、一層整備の促進に努めていくことが重要な課題となっております。
 地域医師会等による訪問看護ステーションの整備については、かかりつけ医と家族や訪問看護婦等との連携の強化を通じて、寝たきり老人などに対する在宅サービスの質の充実と拡充、家族介護者の負担の軽減に資するところが大きいことから、積極的に推進していきたいと考えており、その支援策等についても、今後検討してまいりたいと考えているところであります。
   〔教育長細屋正勝君登壇〕

〇教育長(細屋正勝君) スポーツの振興についてでありますが、まず、平成11年のインターハイに向けた選手強化策につきましては、これまで小、中、高等学校の指導者の養成や、中、高校生を対象とした県内交流や強化合宿を支援するとともに、従来、本県では行われていなかった水球と飛び込み競技の選手や指導者の養成等を実施しているところでありますし、成果としても中学生の全国大会での入賞数も、夏季の競技種目で昨年6種目であったものが、ことしは11種目と着実な増加が見られ、高校生についてもインターハイでの上位進出や善戦も見られ、徐々にではありますが、その成果も出てきていると考えております。
 さらに、今年度から新たに取り組んでおりますアドバイザリーコーチ招聘事業では、ほぼすべての競技を対象に、最新のスポーツ科学に精通している指導経験豊かな一流のコーチを全国から招聘して、選手や指導者の育成強化に努めているところであり、他に例を見ないこの事業は、本県の競技力の向上に大いに寄与するものと期待しております。今後におきましても、県体育協会や県高等学校体育連盟を初め、選手強化に携わる各競技団体の積極的な取り組みを期待し、インターハイに向けた選手強化の充実に努めてまいりたいと考えております。
 次に、新しい総合計画におけるスポーツの競技力向上についてでありますが、教育委員会としては重要な課題ととらえており、優秀選手や指導者の育成確保、ジュニア期からの一貫指導体制の構築、さらには、これらを支援する環境づくり等に重点を置き、今後広く意見を聞きながら積極的な施策を検討してまいりたいと考えております。
 次に、子供のころからのスポーツへの取り組みについてでありますが、学校においては、体育の授業を初め運動会や球技大会を通して、児童生徒が主体的に運動を実践する習慣を育て、運動好きの児童生徒を育成することが大切であると考えております。このため、これまでの陸上競技と水泳の記録を競う小学校運動競技奨励事業や、1級、2級の合格証を与える中学校体力向上事業に加えまして、小学校の指導者を対象とした基本運動の指導法を研修する学校スポーツ活動推進事業の導入によりまして、体力、運動能力についても全国平均を超える項目が目に見えて増加するなど、徐々にその成果があらわれてきているところであります。
 今後におきましても、学校はもとより、地域の実情に応じ、スポーツ少年団の活動やスポーツクラブ等を通して、競技力向上の基礎となる子供たちの体力、運動能力の向上に努めてまいりたいと考えております。

〇21番(谷藤裕明君) 御答弁ありがとうございました。
 一般質問の3日目と、特にも最後でございますので、皆さんも大変お疲れだと思いますけれども、少し時間を拝借いたしまして、提言を交えて若干再質問させていただきたいと、このように思いますので、御理解をいただきたいと思います。
 知事の方からも答弁もいただきましたけれども、次期県総の財源確保に当たっての県債の活用、これについてもう一度お伺いしたいと思います。
 社会資本整備に当たっては、それが将来にわたって便益を発揮するものであることから、当然次世代にも負担してもらうという意味で、すなわち、世代間の公平の見地からも借金、すなわち県債の発行にその多くをよらざるを得ないことは当然であろうかと、このように思います。したがって、次期県総においては、徹底した経費の節減はもちろんでありますけれども、各種基金の有効活用を図ることや、県債の計画的発行により財源を確保し、公共投資を積極的に推進をしていくべきじゃないか、このように私は思っております。
 しかし県では、このたび策定を予定している行財政改革システム指針によれば、今後県債発行額を抑制する方向とのことであります。県債発行残高が本年度末で9年度年間予算を上回る状況を踏まえての措置と知事は記者発表をされたようでありますけれども、県債残高は、その中で交付税措置のあるものについてはそれを除いた実負担ベースで評価すべきであり、総額の多寡をもっていたずらに県債の発行を抑制する必要はないと私は考えるものであります。次期県総の財源確保は県債の活用をおいてないと思うのでありますが、いかがでしょうか、お伺いをいたします。やはり財源がなくて--いろんなドリームランドもいいんですけれども、何かやっぱり財源がなければこれ、なかなか形にならない。これをどうやって見つけていくかというのは、これは大変な御努力がこれから必要だと思うんですけれども、そこの中で必要なものには積極的に取り組んでいくという姿勢も必要なのではないかなと思います。
 次に公共事業についてですが、当面の景気対策としては極めて有効な政策手段であります。もとより財政構造改革のもと、公共事業は効率的な投資が強く求められるものであり、内容を厳しく吟味した上で将来の活力を維持すべく、維持すべきは力強く推進していかなければならないと存じます。公共事業の依存度の高い本県にあっては、公共事業の削減は極めて深刻なる影響が懸念され、その見通しについては御案内のとおりであります。公共事業の見通しはともかくとして、自治体は地域経済の活性化を図ることが期待されております。このため、今後県として地域経済の振興策をどのように展開していこうとしているのか、お伺いをいたします。
 次に、地方分権推進委員会の第2次勧告における地方税財源の充実確保についてであります。
 要は、国から税財源の委譲がなされるといっても、制度上、最低限これまでと同じ程度の財源が確保し得るかどうかであります。勧告は、もとより地方の実態を踏まえたものでなければならないことは当然であります。しかし、地方は財源、財政的に富裕な東京や大阪府等から、本県のように財政的基盤が脆弱な県まであるのでありまして、その格差は著しいものがあることは明白であります。そのような格差を無視して一般的な概念として地方対国を議論し、改革の方向を出そうとしても、いかほどの実効性が確保し得るのでしょうか。本県はもっと地方の実態を理解してもらうよう努力すべきと存じますが、いかがでしょうか。特にも国に対して積極的に訴えていく、そういう姿勢が必要でありますし、今後どう取り組んでいくのか、もう一度お聞かせをいただきたいと思います。
 最後ですけれども、いろいろ大型店問題、各部署にまたがりましてお聞きをいたしました。やはりこれは全庁的な取り組みが必要になってくる、そういう調整が必要になっていくんじゃないかなと私は思っています。そういうことで、この問題については大変県民の多くが不安を感じているように私は感じとっています。(「そうだ」と呼ぶ者あり)そういうことで、県としてもこの不安を解消するというような意味も含めて誠意ある対応が必要だろうと、このように思います。県はどのように、今後横のつながりといいますか、そこの調整関係に取り組んでいくのか、知事から答弁をいただきたいところでありますが、この際、担当窓口になるでしょう商工労働観光部長から、明確なる答弁をお願いいたします。
 以上であります。
   〔総務部長大隅英喜君登壇〕

〇総務部長(大隅英喜君) まず、新しい総合計画の財源確保に当たっての県債の活用についてでありますが、本県の財政は、御案内のように県税などの自主財源に乏しく、国庫支出金や地方交付税、県債に財源の多くを依存する構造となっておりますことから、これまで公債費などの義務的な経費の増嵩が財政の硬直化を招き、将来の財政運営に支障を来すことのないよう配慮した運営を行ってきたところであります。
 特に県債の発行に当たりましては、健全財政の維持と世代間の負担の公平等に留意しながらその活用を図るとともに、元利償還金に交付税措置のある優良な県債を優先的に導入するなど、後年度の財政負担にも配意してきたところであります。
 一方、国におきましては、現在財政構造改革の実現に向けた歳出の改革と縮減が進められ、地方財政についても国と同一基調での改革の推進を求められておりますことから、平成10年度の地方債計画案におきましては、公共事業、地方単独事業それぞれに係る地方債の発行を厳しく抑制するとともに、交付税措置のある起債についても縮減する方向で検討がなされております。したがいまして、県といたしましては今後の国の動向を踏まえるとともに、地方分権の時代にふさわしい機動的で効率的な行財政システムを確立しながら、新しい総合計画の推進に支障が生じないよう、県債の活用を含めた財源の確保に向けて努力していく必要があると考えております。
 次に、地方分権における地方税財源の充実確保についてでありますが、地方公共団体が自主的、自立的に事務事業を展開していくためには、地方税財源の充実確保が図られることはもちろんのこと、税源の偏在により地方公共団体間に格差が生じないような税財政制度の確立が必要であると存じております。先般の第二次勧告におきましては、地方における歳出規模と地方税収入との乖離をできるだけ縮小することや、税源の偏在性が少なく、税収の安定性を備えた地方税体系の構築と、国と地方との税源配分のあり方について検討を行うこととされ、また、税源の偏在を調整するため、地方交付税の安定的確保を図ることとしております。
 県といたしましては、国における地方税財源に係る今後の検討が、本県のような財政基盤の弱い地方公共団体に十分かつ安定的なものとなるよう、その動向を注視するとともに、統一要望を初めあらゆる機会を通じてその実現を強く要望していく必要があると考えております。
   〔企画振興部長武居丈二君登壇〕

〇企画振興部長(武居丈二君) 地域経済振興策についてでありますが、今後産業の振興を図り、本県の地域経済を活発化していくためには、産業経済活動の基盤となる社会資本の整備充実、いわゆるハード面の充実に努めるとともに、新たな時代に対応した産業の振興を図る、いわゆるソフトをこれに重ねていくということが極めて重要であるというふうに認識しております。
 こういった観点から、国、地方とも極めて厳しい財政状況下ではありますが、高規格幹線道路でありますとか、地域高規格道路、あるいは東北新幹線盛岡以北などの交通網の整備でありますとか、あるいは地理的、地形的なハンディキャップを克服する高度情報化の急激な進展に対応した情報通信網の整備を進める、あるいは下水道などの良好な居住環境の形成、都市機能の一層の充実、教育環境の整備など、生産・生活基盤の整備充実に努めてまいる必要があるものと考えております。
 先ほど知事から答弁がございましたとおり、公共投資は地域にとりまして大変重要な役割を担っておりますので、県といたしましても、地域経済の活性化に資するよう、効率的な事業の推進に努めてまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長佐藤孝司君登壇〕

〇商工労働観光部長(佐藤孝司君) 大型店問題についてでありますが、県の対応につきましては、大店法初め、都市計画法や農振法などの法手続を視野に入れるとともに、地元商工団体、消費者、学識経験者の意見も聴取しながら、今後の方針を検討することが必要と考えているところであります。
 特にも、現在盛岡市においては、市として法手続への対応も含め検討を行っており、また、市議会も特別委員会を設置して、まちづくりの観点などから調査を進めていると伺っているところであり、今後これらの動向を踏まえて、市との間で十分協議してまいりたいと考えております。
 したがいまして、現段階では他県の大型店の影響調査結果の入手など、各方面からの情報収集を行うとともに、庁内関係部との個別の情報交換を随時取り進めているところでありますが、議員御提案の趣旨を踏まえ、勉強してみたいと思います。(「よし」「じっくりやれ」と呼ぶ者あり)

〇議長(那須川健一君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
   

〇議長(那須川健一君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   
日程第2 認定第1号平成8年度岩手県立病院等事業会計決算から日程第31 議案第28号財産の取得に関し議決を求めることについてまで

〇議長(那須川健一君) この際、日程第2、認定第1号から日程第31、議案第28号までを一括議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので発言を許します。斉藤信君。


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