平成9年9月定例会 第11回岩手県議会定例会会議録

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〇15番(伊藤勢至君) ただいまの三河議員の質問の中の農政部における行政機構の再編整備について関連質問をさせていただきます。
 農政部から行政機構の再編整備について、現在、たたき台としての案が示されてございます。戦後五十数年を経過した今日、いろいろな面に制度疲労が惹起していると言われておりまして、少ない投資で最大の効果を上げるという観点からの制度の見直しや再編については反対するものではございませんが、ただ、何でもかんでも画一的に見直していいものかどうかという観点から、家畜保健衛生所にかかわる畜産、養豚、養鶏に従事している方々から私が伺ってまいりました意見を申し上げながら、農政部長の家畜保健衛生所の統廃合についての考え方をお伺いいたしたいと思います。
 今回、私たちに示されておりますたたき台、試案の中の県内の家畜保健衛生所に関しては、現在の8カ所から3カ所に統廃合するとされております。二戸地区、そして盛岡地区、そして胆江地区の3カ所で、沿岸の部分が欠落をいたしておるようでございます。
 岩手県は、かねてから北上山地以東の農業振興の起爆剤といたしまして、夏山冬里の酪農あるいは畜産ということを合い言葉に北上山系農地開発を農用地開発公団、そして、各市町村と連携をいたしまして進めてまいりました。宮古下閉伊管内においては、川井村の一盃森地区、立臼地区と夏屋沢地区あるいは新里村においては源兵衛平西山地区、岩泉町においては有芸地区、そして、宮古、山田、大槌においては東金沢山、亀ヶ森などでありまして、巨額の投資がなされてまいりました。この岩手県の大政策の流れに乗って新たにこの地に入植をし、畜産に従事をし、外圧による価格の低迷にもめげずに歯を食いしばって頑張っている農家がたくさんございます。岩手県の進めてきた政策のもと、石にかじりついて頑張っている農家の牛、豚、そして鶏に対する愛情は、まさに我が子に対する愛情と何ら変わらないと言っても過言ではないと思います。病気をせずに育ってくれ、いい肉になってくれ、いい乳を出してくれ、うまい卵を産んでくれという気持ちは神にもすがるに等しいものであります。
 そういう中で、宮古下閉伊沿岸地区から家畜保健衛生所を盛岡に統合してしまうというのはいかがなものでございましょうか。県の政策に乗って入植をして頑張っている農家に対し、はしごをかけて屋根に上げ、はしごを外してしまうことになりはしないかと危惧するものであります。盛岡から宮古、山田、岩泉への時間距離としての片道2ないし3時間、往復で6時間ということはいかんともしがたいものがございまして、もし盛岡から岩泉町、山田町に出向いて診療なり指導を行うとなりますと、現地での実働時間は2時間しかないことになります。
 現在、宮古市下閉伊地区で牛、豚、鶏のいわゆる羽頭数は徐々にではありますけれども増加している状況にあると伺いました。先般は本県において第7回全国和牛能力共進会が開催され、大成功をおさめたばかりであります。いわて牛が各賞の上位を独占し、いわて牛の名を全国にとどろかせたことはまことに喜ばしいことであり、関係各位に敬意を表したいと思いますが、同時に、このことが県内の農家、とりわけ畜産に従事している人々に大いなる夢と希望を抱かせたことを思いますと、久しぶりに農業に関する明るい出来事であったと思います。
 まさにこのときに当たり、画一的に統廃合を決めて沿岸地区から家畜保健衛生所を撤収するということは、せっかく盛り上がった農家のやる気に水を差すことになるのではないかと思います。苦しさにも耐えて明るいあすが来ることを信じて頑張っている農家から、頑張ろうという気持ち、そして、やるぞという気持ちを奪いかねない統廃合はしないでほしいというのが畜産、養豚、養鶏及び飼料を供給している沿岸下閉伊地域の人々の願いでありまして、まさにこの地域は中山間地域の願いと、こういうことになるわけでございます。
 大きく申しますと、現在のこの地球の人口は58億、年間1億ふえておる。そうしますと、21世紀には60億を超すであろうと言われております。この現在の地球上の農業技術で賄える人口に対する穀物供給量は60億が限度だと言われておりますから、恐らく21世紀初頭には食糧危機が来るであろう、こういうことでございます。そういう中で、ちょっと数字が定かではありませんが、1個の鶏の卵をつくるために要る飼料、えさとしての飼料は0・4キロだそうでございます。豚肉1キロとるための飼料は穀物に換算をして8キロ、そして、牛肉の場合は何と14キロの穀物が要る。こういうことでございまして、発展途上国あるいはインド、中国等の人々が今まで1週間に一、二度食べていた卵から豚肉にシフトをしていく。豚肉から、今度はおいしいということで牛肉にシフトをしてまいりますと、当然これは穀物、飼料としての供給バランスが崩れて、なおさらに食物供給に拍車をかけるであろう、こういうふうに言われておるわけでございます。
 したがいまして、そのような大きな観点を含んだ農業の再構築、再編成ということでなければ、文字どおり角を矯めて牛を殺す、あるいは木を見て森を見ない、こういう議論になってはいけないと思いますので、そういう中において、壮大なる自然破壊であったかとも言われる北上山系山地の開発が生きてくる時代が必ず来る、こう思いますので、そういった部分をぜひお考えの中に入れて再編というものに慎重に取り組んでいただきたいというのが宮古下閉伊地域の皆さんの声でありますので、この部分を体して、ひとつ農政部長から御意見、お考えを伺えればありがたいと思います。
   〔農政部長中村盛一君登壇〕

〇農政部長(中村盛一君) 再編後の家畜保健衛生所を沿岸にも存続していくべきだというお話でございます。まず、地域の畜産の振興を図るには、やはり、まずもって農家の皆さん、生産者の方々に意欲を持って生産に携わっていただくということが大事でございます。いわゆるたたき台におきましては、経営規模の大きさあるいは主要産地が大きく分けて県北、県央、県南の3カ所に集中しているというようなことでたたき台の案としたわけでございますが、現在、たたき台に対しましていろいろな御意見、御要望をいただいておりますので、それらを踏まえながら、今後11月の初めには再編案をお示ししたいと思っておりますので、いろいろ幅広く御意見、御要望を承りながら検討をしてまいりたいというように考えております。そういう意味で、沿岸地域の御意見ということで本日は承らせていただきます。
   

〇副議長(吉田秀君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時40分 休 憩
   

出席議員(43名)
1  番 斉  藤     信 君
2  番 佐 々 木  大  和 君
3  番 須  藤  敏  昭 君
4  番 佐 々 木  一  榮 君
5  番 黄 川 田     徹 君
6  番 小 野 寺     好 君
7  番 佐 々 木     博 君
8  番 中 屋 敷     十 君
9  番 大 久 保     豊 君
10  番 浅  井  東 兵 衛 君
11  番 千  葉     伝 君
12  番 伊  沢  昌  弘 君
13  番 藤  原  泰 次 郎 君
14  番 田  村  正  彦 君
15  番 伊  藤  勢  至 君
17  番 高  橋  賢  輔 君
18  番 瀬  川     滋 君
19  番 渡  辺  幸  貫 君
20  番 長 谷 川  忠  久 君
21  番 谷  藤  裕  明 君
22  番 水  上  信  宏 君
23  番 船  越  賢 太 郎 君
24  番 久 保 田  晴  弘 君
25  番 千  葉     浩 君
26  番 折  居  明  広 君
27  番 三  河  喜 美 男 君
28  番 村  上  恵  三 君
29  番 村  田  柴  太 君
30  番 藤  原  良  信 君
31  番 吉  田  洋  治 君
34  番 菅  原  温  士 君
35  番 菊  池     勲 君
36  番 小  原  宣  良 君
37  番 樋  下  正  光 君
38  番 及  川  幸  郎 君
39  番 那 須 川  健  一 君
42  番 山  内  隆  文 君
45  番 佐 々 木  俊  夫 君
46  番 山  崎  門 一 郎 君
47  番 菊  池  雄  光 君
48  番 佐  藤  啓  二 君
49  番 堀  口 治五右衛門 君
50  番 吉  田     秀 君

欠席議員(4名)
16  番 佐  藤  一  男 君
33  番 工  藤     篤 君
43  番 佐  藤  正  春 君
51  番 藤  原  哲  夫 君
   

説明のため出席した者
休憩前に同じ
   

職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   

午後4時 再 開

〇副議長(吉田秀君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第2、一般質問を継続いたします。小野寺好君。
   〔6番小野寺好君登壇〕(拍手)


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