平成9年9月定例会 第11回岩手県議会定例会会議録

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〇27番(三河喜美男君) 初めに、去る8月13日に逝去されました藤倉正巳先生の冥福をお祈りいたします。
 21世紀はもうすぐそこまで来ております。我が国、我が県が将来にわたって明るく活力ある県であるために、今、我々にできることは何でありましょうか。今年2月の第9回県議会定例会における知事演述において、増田知事は八つの重点施策と今後の基本方針を示されたところであります。1に連携、交流の促進、2に高度情報化の推進、3に地域経済の活性化、4に自然との共生、5に文化新時代の創造、6に科学技術の振興、7に安心して暮らせる地域社会の実現、8に未来を切り拓く人材の育成をうたい上げ、しかも、その実現のためには、行政の枠を超えた県民参加型県政の推進によりドリームランド岩手をつくり上げていこうという、すばらしい、いわば増田知事の県政推進に向けての哲学が示されたものと高く評価をするものであります。21世紀を目前にして私たちは何をなすべきか、子、孫のために何を残すべきかについて光を見出した思いであります。
 そこでお伺いいたします。東京、神奈川、千葉、埼玉に匹敵する広大な県土を有する本県にあって、8項目の重点施策の中でも、特に連携、交流の促進や地域経済の活性化、さらには自然との共生といった面での現状の認識と、その基本方針実現に向けての決意のほどをお示し願います。
 次に、沿岸地域振興についてお伺いいたします。
 第17回全国豊かな海づくり大会は、本定例会終了後、大槌町において天皇、皇后両陛下御臨席のもと開催される運びとなりましたが、県並びに大槌町を初め、関係された皆様の労を多とし、心から拍手と感謝を表するとともに、沿岸住民はもとより、県民の喜びとするところであります。平成6年6月定例会の私の一般質問において、その誘致開催を訴えたのが昨日のように思われてまいります。平成4年に釜石市を中心に開催されました三陸・海博に次ぐ大きなイベントとして、岩手の海、三陸の海を全国にアピールできる好機と認識するものであります。
 さて、沿岸地域の現状は、水産業の伸び悩みや企業の撤退、三陸鉄道の不振等厳しい状況はなお改善されずに続いております。県北沿岸部の振興は今なお県政の重要な課題であり、知事も公約の一つとされておられるところであります。沿岸部は水産業関連を除いてこれといった産業が育たず、就業の場は少なく、また、交通事情が悪いなど、住民が抱える悩みは数多い状況にあります。地域にしがみつき、必死に努力をしても低迷から抜け出せないことに対するいら立ち、人口の減少、高齢化や後継者難、格差の拡大等、こうしたマイナス要因が重なることにより住民を無気力化させかねず、豊かな海づくり大会を機に、県は本気で沿岸の振興に取り組むべきと考えますが、知事の御所見を伺いたいと思います。
 あわせて、新設2年目を迎えました特定地域振興室の取り組みと活動状況についてもお示し願います。
 次に、農政部における行政機構の再編整備についてお伺いいたします。
 質問の前に、第7回全国和牛能力共進会が岩手産業文化センターを主会場に今月11日から15日までの5日間、37道府県から432頭が集い、開催されたのでありますが、期間中40万人を超す集客があるなど、大成功裏に終了したことにまずもって祝意を表したいと思います。本県からは32頭が出品され、種牛の部でグランドチャンピオン、内閣総理大臣賞を受賞し、繁殖雌牛群では準優勝に輝くなど過去最高の成績を上げたところであり、まさに畜産県岩手であることを内外に広く発信できたものと考えております。これもひとえに長年にわたり心血を注ぎ込んでこられた生産者の努力はもとより、優秀な種雄牛を造成いたしました県当局並びに農業団体が一体となって努力された結果であり、関係各位に衷心から敬意と祝意を表する次第であります。
 さて、本県の農業振興策は、平成8年3月に県が策定した第三次新いわて農業確立計画の後期推進計画に基づき多様な事業が展開されているのでありますが、県、市町村、農業関係団体がそれぞれの立場で21世紀を切り開く食糧供給基地岩手の実現に向けて鋭意取り組んでおられることに対し評価をいたすものであります。しかしながら、農業農村は、長引く経済不況や農産物の輸入拡大に伴う価格の低迷、さらには、米余り、生産調整の強化に加え、担い手の減少、農業就業者の高齢化の進行等により農業生産力の弱体化を招いており、生産活動、地域活動等の低下が憂慮される事態となっていることは御案内のとおりであります。今こそ県、県議会は、農業農村の課題を踏まえ、体質の強い農業経営体の育成や地域集落活動の活性化対策等に積極的に取り組んでいかなければならないときであると考えるものであります。さらに、担い手対策や農用地の利用集積の促進等の農業構造対策を進めるため、新たな視点での施策が求められていることを肝に銘じ、本県農業者が将来にわたって営農の安定が確保できるよう、きめ細かな諸施策の展開を願うものであります。
 このような農業を取り巻く厳しい環境の中で、先般、農政部の組織再編の方向性、いわゆる検討のためのたたき台が示されたのでありますが、基本的考え方等についてお伺いいたします。
 まず、農政部の組織再編については、平成8年1月に策定された行政改革大綱に定められた行政改革の具体的方策を十分踏まえたものとするとのことであり、一連の県行政組織再編の最後のものになると認識いたしております。農業の現状と課題をどのように分析し、これに対してどのように組織再編をしようとしているのか、基本的な考え方をお伺いいたします。
 第2に、本庁組織については現在の9課1室を9課体制にするとのことでありますが、私は、本庁はできるだけスリム化し、企画立案機能を充実するとともに、生産現場と直結する出先機関を効率的に指導調整する機能を発揮すべきものと考えております。再編後の本庁組織はどのように機能するのか、消費流通課を含めてそのポイントについてお伺いいたします。
 第3に、出先機関の再編についてであります。
 たたき台によりますれば、地域農業改良普及センターについては地方振興局に統合し、17カ所を11カ所に再編し、22市町村に配置している駐在農業改良普及員はセンターに統合するとのことであり、また、家畜保健衛生所については8カ所を県北、中央、県南の3カ所に統合するとのことであります。私は、これら出先機関は地域の農業者にとっては身近な指導機関であり、農業に対する意欲を持たせ、また、奮い立たせてくれるよりどころであると考えております。これからの本県農業は、それぞれの地域に適した野菜、果樹、花卉、新需要穀類等戦略品目の設定とその生産拡大、米、畜産部門の生産性の向上などにより収益性の高い農業への再編を加速的に促進し、いわゆるトライアングル構想の早期実現を図る必要がありますが、このためには生産現場を重視し、きめ細かな施策の取り組みの強化が必要であると思うのであります。果たして農業改良普及センターや家畜保健衛生所を統合することにより、現状よりその指導等のサービス機能を強化できるのか危惧するものでありますが、その統合の目的と現状とを比較した効果についてもお伺いいたします。
 20世紀が幕を閉じようとしている今日、環境問題は最重要課題であります。人類と地球の生存がそこにかかっているからであり、環境問題とはもはや数ある問題の中の一つではなく、我々の生活、企業活動、政治、その他あらゆる要素を結び合わせる文脈なのであります。我々は、生物、植物や人間生活に危害を及ぼすさまざまな問題に地球的規模で直面いたしております。
 昨年8月1日より2週間にわたり、環境問題にいち早く気づき、その問題解決に国、県民、企業が一体となって取り組みをなし、今や先進国であるドイツを訪れる機会を与えられました。人々が関与することにより見事に回復をした森林、護岸工事を壊し、もとの川に戻している工事現場、企業にあっては、地球に負荷を最小限にするための徹底したリサイクルの実施等、さらには環境に配慮したエコロジー住宅等、環境共生についての見聞を広めてきたところであります。
 千里の道も一歩からの精神で、地球と人に優しい住宅をつくるべくプロジェクト久慈を組織し、伝統技術と自然素材にこだわった我が国初のエコロジー住宅3棟の完成を今年7月に見たところであります。7月、8月、9月と開放展示をし、体験宿泊も実施し、夏休みの時期であったからと思われますが、県内外から多くの方々が見えられ、北は北海道から南は四国徳島まで飛行機を乗り継がれて見えた方もあり、環境、健康に対する関心の高さを知ったところであります。設計に当たっては、東京新宿区在住の高橋元氏A棟、東京都世田谷区在住の相根昭典氏B棟、京都府在住の足立和郎氏C棟の3氏で、現在、我が国を代表するエコロジー住宅の権威者に依頼をし、それぞれの主張を取り入れたものであり、地元の木材と土、木炭を用い、地元の大工さん、左官の技術でつくり上げたものであります。
   〔議長退席、副議長着席〕
 NHKテレビを初め、朝日新聞社、岩手日報社、デーリー東北あるいは業界誌、雑誌等に多くの報道もなされ、県当局でも多くの方の御見学をいただきました。日本古来の伝統技術を生かし、木と土、竹、アシ、木炭と自然に帰るもののみを使用し、環境問題に対するささやかな挑戦を試みたプロジェクト久慈の活動に対する評価と御所見を賜りたいと思います。
 この発信により多くの反響があり、地元にあっては販売の問い合わせや、遠くにあっては建築の話等があり、林業振興はもとより、地域おこし、地域活性化の見地より起業化の方向も検討されております。県当局の指導、支援が待たれるところであります。
 次に、視点を変えて、環境問題の重点である自然環境保護について私の提言を試みたいと考えます。
 自然保護といいますと、我が国の場合、何もさわっちゃいけない、触れちゃいけないという運動が行われているように思われます。例えば、原生林を残すためには放置するだけではだめで、人間の行動が必要であります。無論荒らされた自然を直すためには人間の努力が必要であり、まさに自然との共生が地球環境を維持し、持続可能な社会を目指すものであると考えるからであります。
 一方、動物の分野におきましても、シカ、カモシカ、クマ、カラス等による林業、農産物の被害は、気仙地区を初め、上閉伊、下閉伊、二戸、九戸地域では深刻な事態となっており、保護行政の抜本的見直しが求められている状況にあります。
 そこで私は、3点につき提案を申し上げます。
 その一つは、本県独自のレインジャーの創設であります。ヨーロッパ、アメリカ、カナダの先進国に学び、広大な県土、自然環境を保護していくために必要と考えるからであります。その2は、オオカミなどの天敵のいない我が県で、シカ、カモシカ等を人間の手で間引くことが必要であります。数がふえ過ぎることによる作物被害、環境破壊が問題となっております。レインジャーの綿密な調査、指導のもとに正しい数を間引くのであります。その3に、間引かれたシカ、カモシカあるいはクマ等は資源と考え、財産として、肉はおいしいステーキとして販売をし、また、薬、強精剤、民芸品等の分野で生かし、地域の活性化に結びつけていく方向での法改正、規制緩和の働きかけをなすべきと考えますが、御所見と可能性についてお伺いいたします。
 次に、林業振興、特にもカラマツの需要拡大についてお伺いいたします。
 昨年9月25日の一般質問において林業振興の諸問題、施策等をただしたところでありますが、積極的な答弁をいただいたところであります。ところで、戦後、北上山地や県北部において積極的に植林をされましたカラマツも50年以上経過し、その蓄積量は、昨年度当局で示された蓄積量プラス営林局統計書による国有林分を含めますとおよそ1、246万立方メートルとなります。伐採周期70年、利用可能率50%で、年間8万9、000立方メートルと試算されるところであります。これを大断面集成材に加工するとして、製材歩どまり、乾燥モルダー歩どまり等を勘案しますと、集成材生産可能量は年間約2万6、700立方メートルと見込まれます。県内の需要を予測いたしますと、現在、学校は、小学校494校、中学校220校、高校80校、計794校ありますが、これらについて校舎、体育館、プールの上屋を全校の50%、武道館は高校の80%を30年周期で建てかえするものとした場合、年間約1万1、300立方メートルと、先ほどの集成材生産可能量の半分の石数需要が見込まれ、ほかに一般体育施設、文化伝承館、交流センター、公民館等、その他福祉施設、農業関係にありましては畜舎、漁業、林業施設、民間ではショッピングセンター等、木造の特性を生かした建物の需要は潜在的に相当あるものと考えるところであります。既に県内で集成材による建築を計画しているところは、広田保育園、千厩保育園、金ヶ崎高校のセミナーハウス、盛岡北高のセミナーハウス、浮島小学校、花輪小学校等の情報を得ているところであります。ちなみに、隣県秋田県の大館樹海ドームは、4、000立方メートルの大断面集成材を使用したと聞いておるところであります。この事業がもたらす効果を売り上げで試算をいたしますと、森林所有者、伐採、運送、製材業者、乾燥モルダー業者、集成材加工者、集成材販売業者、集成材の建築業者、合わせて231億6、000万円の売り上げとなり、これを原木供給のみで考えますと7億1、200万円ぐらいでありまして、地元加工により実に32・5倍の経済効果をもたらすことになります。さらに、雇用の場としても300人以上は超えるところであると考えるところであります。これは、単年度ではなく継続するわけであり、まさに地場産業、地元企業として成り立つものであり、問題となる点は、定時、定量のカラマツ供給体制の確立にあります。県は、関係団体、民間と一体となって林業の振興はもとより、地場産業、企業の育成と地域の活性化の観点より取り組むべきテーマと考えますが、林業水産部長の御所見を求めるものであります。
 また、カラマツも含めた県産材の需要拡大を図るためには、建築用材としての利用促進のみならず、付加価値を高めるための商品開発やその販路拡大が重要であると考えますが、この点について商工労働観光部長の御所見をあわせてお伺いをいたします。
 次に、道路網の整備についてお伺いをいたします。
 東京、神奈川、千葉、埼玉に匹敵する広い県土を有する本県にとりまして、県土の均衡ある発展を図り、産業経済活動の活性化や豊かで快適な県民生活を実現するため、その発展基盤となる道路網の整備は極めて重要であり、その早期整備は県政の重要課題であります。
 一方、国におきましては財政構造改革に伴い、公共事業の建設コストを平成11年度までに10%以上に縮減する行動計画を策定するとともに、平成10年度の公共投資予算については、前年度比7%以上削減することとしており、厳しい環境下にあることは御案内のとおりであります。
 しかし、我が県にとりましては格差是正の好機ととらえ、従来の配分方式を改め、後発地域の集中的、重点的投資、傾斜配分を試みるべきと考えますが、英断を期待するものであります。地域の経済レベルは、その地域の交通網レベルを超えることはできない。名言にはならないと思いますが、私はかように考えておるところであります。
 そこで、毎回の私のテーマとなっております国道4号盛岡以北の4車線化についてであります。
 さきの答弁にもありました渋民地内、小鳥谷地内、金田一地内でのバイパス事業着手、茨島跨線橋の工事再開等お伺いをいたしたところでありますが、その後の進捗状況をお聞かせ願います。国道4号盛岡以北、全線4車線化の実現に向けて国、関係機関に積極的な働きかけを願うものであります。
 次に、地域課題についてお伺いをいたします。
 既に御案内のとおり今年11月30日に、久慈広域圏8万人が待望の県立久慈病院が救急センターを併設して完成を見ることとなりました。この間、県、県医療局を初め、関与された方々の労を多とするものであります。
 さて、都市計画道路久慈湊大川目線について、県道認定の上、早期整備を図ることについてでありますが、この問題につきましては、平成8年9月議会におきましても一度質問をいたしておりますが、この道路は県立久慈病院へのアクセス道路となるものであり、現在、久慈市におきまして、この路線の一部区間の整備を進めているところでありますが、全線の開通には、なお多くの時間と予算を必要とする状況にあります。平成10年3月の開院と伺っておるところでありますが、現在の道路状況でありますと混乱を来すおそれがあります。幸い、この路線上、寺里、畑田、大川目地区は、工業団地等将来に向けての開発ポテンシャルの高い地域を通りますし、県道認定の要件として求められている地方の幹線道路として広域的な生活圏を形成し、各種地域振興施策、地域の生活環境の向上を図ることにまさに合致をするものであります。土木部長の英断を期待し、答弁を求めるものであります。
 最後に、県立久慈病院の移転新築に関して、医療局長にお伺いをいたします。
 まず、県立久慈病院は、県内28県立病院の中でもトップクラスの経営成績を上げており、平成8年度末で30億円を超す累積黒字を達成しているところであります。また、県立久慈病院は久慈地域唯一の総合病院として、圏域住民の医療、福祉の向上に寄与しているところであります。この県立久慈病院の開院後におきましては、これまでにも増して患者さんが集まるものであると考えるものであります。このことから、先ほど申し上げましたように、開院後の病院付近の交通渋滞が心配されるところでありますが、医療局長はこのことについて、どのような対応をされるおつもりなのか、お伺いをいたします。
 あわせて、現在の久慈病院は敷地が狭く、限られた台数の車しか駐車できず、利用者は大変不便を感じておりましたが、新しい病院については、この点を考慮し、十分な駐車スペースが確保できているのか、お伺いをいたします。
 以上をもちまして私の質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。
 なお、答弁の内容によりましては、再質問も辞さないつもりでありますので、よろしくお願いを申し上げます。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 三河喜美男議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、知事演述の八つの重点施策のうち、3点についての現状認識と基本方針実現に向けての決意についてお尋ねがございました。
 まず、連携、交流の促進につきましては、これまで県都圏と県内各都市間との90分交通を目指す新交流ネットワーク道路の整備を初めといたしまして、これを支えます基盤の整備に努めてきたところでございます。最近では、ことしの3月、秋田新幹線の開業、東北横断自動車道北上-秋田間の7月の開通など、その整備が着実に進んでいるところでございますが、今後におきましても、東北横断自動車道、三陸縦貫自動車道の整備促進を初めとするこうした道路網の整備、また、東北新幹線の盛岡以北の建設促進、花巻空港滑走路の延長整備や高度情報通信基盤の整備促進などに努めてまいる考えでございます。
 また、こうした基盤整備とあわせまして、地方振興局を中心に、地域活性化事業調整費の一層の活用などによりまして、市町村を初めとする各主体が多様な連携を図ることができるよう、その条件整備に努めますとともに、県際交流や海外との交流を一層促進するなど、連携、交流の取り組みをさまざまな分野に広げていくことが重要であると、このように考えております。
 次に、地域経済の活性化につきましては、県内の各種試験研究機関の整備や盛岡西リサーチパークの整備など、活力ある地域産業が展開されるように環境整備を進めてきているところでございます。今後におきましては、新規産業の創出や物流の効率化に資する社会資本や産業基盤の重点的整備を促進していきますとともに、中小企業や商業の振興、中山間地域の活性化、さらには、次代を担う人材の育成支援など、地域の自律的な発展を支える経済環境の創出に一層努力してまいりたいと、このように考えております。
 また、自然との共生、この点につきましては、本県は御案内のとおり豊かな自然に恵まれているところでございますが、さらに文化、歴史なども含めた広い意味での環境と、ゆとりある暮らしとの共生を図り、真に豊かな地域社会を実現していくことが極めて重要なことと認識をしております。このため、環境基本条例や環境影響評価に関する条例の制定に取り組むなど、本県の豊かな自然環境やすぐれた景観の保全に今後努めていきますとともに、快適な都市、生活空間の創出や、歴史的、文化的環境の維持、活用を図るなど、積極的な施策の展開を図っていくことが必要であると、このように考えております。
 これらを含みます重点施策につきまして、ドリームランド岩手を実現するための喫緊の課題であり、今後さらにこうした課題の解決に積極的に取り組みますとともに、その成果を現在策定作業中でございます新しい総合計画に継承いたしまして、21世紀の輝きのある岩手を創造してまいりたいと、このように考えております。
 次に、沿岸振興への取り組みについてお尋ねがございましたが、このたび大槌町を会場といたしまして、第17回の全国豊かな海づくり大会が開催をされるわけでございますが、これを契機といたしまして、沿岸地域の基幹産業でございます水産業の一層の振興はもとより、この大会に結集いたしました沿岸住民の方々の情熱、エネルギー、ノウハウなどが地域振興に継承されるように努力をしていく考えでございます。沿岸振興に当たりましては、この地域が有しております農山漁村などの豊かな自然環境を生かしながら、そのそれぞれが持つ発展可能性を最大限に引き出して、個性や特色を生かした活力に満ちた地域づくりを進めることが極めて重要であると、このように考えております。
 このような考え方から、地理的、地形的なハンディキャップを克服し、交流、連携を一層促進することにより、地域の活性化を図るために、東北横断道の釜石秋田線、二戸-久慈間の新幹線関連道路整備など沿岸部とそして内陸部を結ぶ横の道路網の整備でございますとか、縦軸の三陸縦貫自動車道の建設の促進、また、鉄道では東北新幹線の盛岡以北の整備促進など、こうしたこれらの交通基盤の整備や高度情報通信基盤の整備を推進いたしますほか、港湾機能の高度化など地域振興のための基盤整備を積極的に推進をしていきたいと考えておりますし、地域資源を活用した農林水産業の振興や提案型の観光リゾート、これは穀彩王国あるいは魚彩王国といったような形の取り組みでございます。こうした観光あるいはリゾートを推進することなどによりまして、当地域の振興を積極的に図ってまいりたいと考えております。
 また、来年春開院いたします県立久慈病院の移転整備など、地域の中核となる医療や保健、福祉の充実、下水道、公園などの生活環境の整備を促進いたしますとともに、個性ある地域づくりのための地域地域での主体的な数々の取り組みがございますが、こうした取り組みに対しましては、地域活性化事業調整費、これにつきましては今議会において、沿岸地域を含む特定地域枠2億円の増額補正をお願い申し上げているところでございますが、こうした地域活性化事業調整費の活用による地域の主体的な取り組みに対する支援と、こうしたことも行ってまいりたいというふうに考えております。総合的な施策を講じまして沿岸地域の振興を図ってまいる考えでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係をいたします部局長から答弁をさせますので、御了承をお願いいたします。
   〔企画振興部長武居丈二君登壇〕

〇企画振興部長(武居丈二君) 特定地域振興室の取り組みと活動状況についてでありますが、特定地域振興室は、県北沿岸地域などの振興を図るために設置したものであり、当地域の振興に係る総合窓口として、各部局間の連絡調整を行いながら、地方振興局や市町村と連携を図りつつ、振興策の企画立案及び関係事業の導入に取り組んでいるところであります。平成9年度におきましては、昨年度、関係部局の連携により策定いたしました県北活性化方策につきまして、これは国土庁の方でございますが、国の多自然居住地域の形成に向けた調査事業として採択されるよう働きかけてまいりまして、それが導入される見通しとなっております。この調査を通じまして県北地域の地域資源の徹底した掘り起こしを行いまして、その結果を踏まえ、久慈及び二戸両地方振興局管内における具体的な活性化方策について、プロジェクトの導入を検討していくこととしております。
 さらに、県北沿岸地域等の活性化を図るため、今議会において、先ほど知事の方の御答弁にもございましたが、地域活性化事業調整費の増額補正をお願いしているところでございまして、この調整費の活用により個性ある地域づくりをより一層促進することとしております。
 また、エコパーク平庭高原の整備に向けた基本調査でございますとか、あるいはリゾート施設整備費補助などによるリゾート地域の振興、さらには、海洋開発関連施策の推進などに鋭意取り組んでいるところであります。
 今後におきましても、沿岸地域の一層の振興を図るため、これらの事業を着実に推進するとともに、新規施策の立案にも鋭意取り組みながら、機動的に対応するよう努めてまいります。
   〔農政部長中村盛一君登壇〕

〇農政部長(中村盛一君) まず、農政部の組織再編検討のためのたたき台の基本的考え方などについてでありますが、本県農業は、ウルグァイ・ラウンド農業合意に伴う急速な国際化の進展や新食糧法の施行に伴い、新たな米の流通システムが導入されるなど、大きな転換期を迎えております。こうした情勢に適切に対応し、国際化の波を乗り越える力強い農業と生き生きとした農村を構築するためには、今後とも、主業型農家を中心とした意欲のある農業者の育成、産地間競争に勝ち抜く流通、加工、販売等の強化、農政の広域的な展開などの課題に対応した各種の施策を推進していく必要があります。しかしながら、現在の農政部の執行体制は、本庁及び地方振興局が昭和61年度に、家畜保健衛生所及び地域農業改良普及センターが昭和44年度に再編整備され、それぞれ11年から28年が経過しており、これらの課題への取り組みに必ずしも十分に対応できない状況にあります。このため、本県農業を取り巻く情勢の変化を踏まえ、新たな課題にも迅速に対応できるよう、本庁、出先機関を通じ、より機動的かつ効率的な執行体制を確立する必要があると考えているところであります。
 次に、組織再編後の本庁組織の機能についてでありますが、いわゆるたたき台におきましては、類似業務、関連業務の移管統合を含め、新しい行政需要が見込まれる部門は積極的に充実することを基本としながら、現行の9課1室を9課体制とする検討をしているところであります。
 また、再編のポイントといたしましては、企画調整機能の強化、主業型農家の育成や農地の利用集積など農地関連業務の集約化、米、野菜などの生産振興部門及び畜産振興部門の一元化などでありますが、特にも激化する産地間競争と多様化する農産物流通に的確に対応し、安全、新鮮などの消費者ニーズを先取りした販売戦略の展開を図るなどマーケティングを強化し、いわてものとしてのブランドを確立するため、農産物全般の流通部門を集約化し、専担課を新設しようと考えております。このことにより、本庁におきましては、企画立案機能が強化され、関連業務が集約されることから、より効率的な執行体制が確立されるとともに、出先機関に対する指導調整機能が発揮されるものと考えております。
 次に、農業改良普及センターと家畜保健衛生所の統合の目的と効果についてでありますが、地域農業改良普及センターにつきましては、地域振興班、担い手班、専門技術班の3班活動体制となっておりますが、限られた人員の配置となっているため、大部分が兼務となっておりまして本来の活動に支障を来すとともに、市町村駐在につきましても、それぞれ少ない人員配置となっているため、多岐にわたる専門分野ごとの技術指導などの地域からの要請に十分こたえられない状況にあります。このため、本センターに職員を集中することにより、専任の作目担当職員、経営、担い手育成の担当職員を配置して、地域の実情や農業の発展方向に即した高度専門的な技術指導や農家の経営指導を行うとともに、各市町村ごとに専任の担当職員を定め、常に地域の動向を把握するなど、組織としての総合力を高めることを目的として再編を検討しているものであります。このような体制を整備することによりまして、地域との日常的な連携が図られますとともに、高度な専門技術、農業経営の指導を重点的かつ濃密に行い、農業者からのニーズに、より的確に対応することができるものと考えております。
 また、家畜保健衛生所につきましては、少人数で多様な業務に対応しておりますことから、計画的、体系的な家畜防疫や衛生技術指導の実施が困難な状況にあります。一方、大規模な経営体が増加し主要産地の形成が変化するなど畜産を取り巻く環境が変化してきておりますし、さらには、道路網が整備されてきておりますことから、地域によっては広域的対応が可能な状況となっております。このようなことから、小規模な体制を見直し、集中化することによりまして家畜別専門職員や細菌、ウイルス、病理、生化学の部門別専門職員を配置して、高度な知識、技術が生かされる総合的な指導体制や病性鑑定等の分野を充実する体制を確立するため再編を検討しているものであります。このような体制を整備することによりまして、主業型経営体や主要産地などが求めております計画的、体系的な家畜防疫や衛生技術指導のニーズに的確に対応することができるものと考えております。
   〔土木部長藤本保君登壇〕

〇土木部長(藤本保君) まず、住宅における環境対策の推進についてでありますが、地球温暖化等を防止する観点から、地球規模での環境問題の対応が重要な課題となっておりますのは議員御指摘のとおりであります。このため、住宅分野におきましても省エネルギー化や省資源、自然環境との調和等に配慮した環境共生住宅の普及を初めとする環境対策に取り組むことが喫緊の課題であると考えております。
 県の取り組みといたしましては、平成8年度に策定した岩手県住宅マスタープランにおいて、地域独自の課題への対応として、地場の木材産業と地域住宅産業との連携強化、並びに県産材の積極的な使用を図るとともに、住宅に関する技術開発の一つとして環境共生住宅等について研究を進め、その成果を共有できるシステムの構築、普及のための支援措置の充実を図ることとしております。
 これらを踏まえまして、ウッドタウンプロジェクトやいわて優良木造住宅利子補給制度等による木を活用した良好な住環境の形成や、省エネルギーの面ですぐれた高断熱仕様の県営住宅の整備を進めるとともに、平成8年度からは、岩手県住宅供給公社で開発予定の陸前高田市の鳴石団地において、環境に配慮した住宅の整備を行うべく環境共生住宅の検討を行っているところであります。
 御紹介のありましたプロジェクト久慈の取り組みは、環境に優しい地場の材料や技術の活用の観点から環境共生を推進する上で極めて時宜を得たものであり、県といたしましては、この成果も踏まえて今後とも県産材を活用し、環境に配慮した住宅の整備に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、国道4号盛岡以北の4車線化についてでありますが、本路線は、建設省により、現在県内各地でその整備が進められております。玉山村渋民地内は昭和61年に交通安全の確保等を目的とし、延長5・6キロメートルのバイパス事業に着手され、平成2年度から用地買収が進められてきたものであります。このうち船田橋から村道山屋馬場線までの約2・5キロメートル間が第1期工事区間として改良工事に着手され、本年度も引き続きその進捗を図ると伺っております。
 次に、一戸町小鳥谷地内でありますが、本箇所は昭和63年度に交通混雑の解消等を図るため、延長4・3キロメートルのバイパス事業に着手されたものであります。このうち、一戸町小鳥谷字中村地内から野中橋までの約2・6キロメートル間を第1期工事区間とし、平成7年度から用地買収が進められており、本年度も引き続きその促進を図ると伺っております。国ではこれらのバイパスは、いずれも4車線計画として用地を買収しておりますが、工事は当面2車線で整備し、今後の交通量の推移に応じて4車線化を図っていくものと伺っております。
 次に、二戸市金田一地内でありますが、本箇所は昭和54年度に4・7キロメートル間が2車線のバイパスとして事業着手され、平成8年度までに3・2キロメートルが部分供用されたものであります。残る1・5キロメートル間については平成8年度に調査設計が行われ、今年度より用地買収に入ると伺っております。
 また、盛岡市内の茨島跨線橋は、東北新幹線の規格が未定のため平成6年度から事業が休止されておりましたが、新幹線のフル規格が決定したことから平成8年度より事業が再開され、今年度も引き続き詳細設計等の調査を進める予定と伺っております。
 県といたしましては、国道4号の重要性にかんがみ、引き続き国に対し、これらバイパスや現道拡幅の整備促進を積極的に働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、都市計画道路久慈湊大川目線とその延長上にある畑田地区及び大川目地区を含むルートの県道認定についてでありますが、御指摘のとおり、このルートは地方の幹線道路を形成するものであると認識しているところであります。県道の認定に当たりましては、県道として早期に整備、管理する必要性、道路の整備状況、道路整備計画の成熟度等を総合的に勘案し、緊急を要する路線から段階的に認定することとしております。この都市計画道路久慈湊大川目線のうち、現在整備が行われている区間を除いては具体的な整備計画がされていない現状にありますので、地元久慈市において適切な道路整備計画を策定するよう指導してまいりますとともに、県といたしましても、今後、この地域における道路網のあり方やこのルート沿線の開発計画の動向などを勘案し、県道認定について総合的に検討してまいりたいと考えております。
 なお、県立久慈病院の移転に当たって、久慈市が病院へのアクセス道路として整備することとした久慈市道門前源道線及び門前源道2号線は、所期の予定のとおり開院までに完成することとなっており、また、一般国道281号から病院へのアクセス機能を強化するため、久慈市道久慈夏井線の新中の橋から門前源道線の区間については、平成9年度から久慈市においてその整備に着手しており、県といたしましても、これらの早期完成が図られるよう最大限の支援をしてまいりたいと考えているところであります。
   〔生活環境部長吉田敏彦君登壇〕

〇生活環境部長(吉田敏彦君) 自然環境保護についてでありますが、本県におきましては、自然公園保護管理員、自然保護指導員、鳥獣保護員を配置し、現地における保護管理を行っております。いわゆる欧米型のレインジャー制度は、みずからの権限のもとに一定地域の野生生物の生息管理を行うものでありますが、これを本県に直ちに導入することは、社会的事情や地域的な条件等の違いによる種々の課題があることから、当面は巡視管理の充実や調査研究体制の整備等を図り、野生生物のより適切な保護管理に努めてまいりたいと考えております。
 次に、野生動物は自然環境を構成する重要な要素でありますが、一方で、これらの中には生息数が増加したために農林業に被害を与えているものもあります。このため、著しい被害を及ぼしているシカについては、人との共生を図るため、学術調査の結果や研究者の意見も参考にしながら、庁内関係部局が連携し、被害防止対策の実施や個体数調整を行っているところであり、他の野生動物につきましては、生息状況調査の結果などを踏まえ、種の絶滅を招くことのないよう十分配慮の上、必要がある場合には個体数調整をも含め、適切に対処していかなければならないものと考えております。
 また、個体数調整に伴う野生動物の資源としての活用につきましては、シカの肉や幼角を利用した健康食品の開発等に支援を行ってきた例もあり、現行法の中でも活用は可能と考えられますので、今後とも活用可能なものにつきましては、関係部とも連携し、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
   〔林業水産部長中村陽兒君登壇〕

〇林業水産部長(中村陽兒君) カラマツの安定供給体制の確立についてでありますが、本県は、県北地域や北上山地を中心に全国有数のカラマツ資源を有しておりますが、資源内容を見ますと、20年生から40年生のいまだ育成途上にあるカラマツ林が大半を占めております。このため、現在は間伐材の生産が中心で、かつ材価が低迷していることから、常時安定的に供給する体制となっていない現状にあります。このような中にありましても、岩手県合板事業協同組合が宮古市に建設した合板用単板工場に民有林、国有林が一体となって年間約1万立方メートルのカラマツを供給しており、また、遠野市や川井村におきましては木材加工事業協同組合を組織し、カラマツの大断面集成材などの製造を行う大型木材加工施設の建設に着手するなど、先進的な取り組みが見られるところであります。
 県といたしましては、今後、カラマツ林の成熟化が進んでくることから、生産から流通、加工に至る体制を整備し、林業の振興、地域の活性化を図ることが重要な課題と考えております。このため、平成8年に施行されました木材の安定供給の確保に関する特別措置法に基づき、安定的かつ低コストで生産できるように、流域を単位として林道や作業道等の生産基盤の整備や林業機械化を促進しますとともに、ソフト面では、森林所有者と木材製造業者との安定的な木材の取引関係の構築の輪を広げるなど、カラマツ材の安定供給体制の確立に向けて林業関係団体と一体となって積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長佐藤孝司君登壇〕

〇商工労働観光部長(佐藤孝司君) カラマツを含めた県産材の需要拡大についてでありますが、産地間競争が激化している中でその需要拡大を図るためには県産材の加工利用の高度化を図るとともに、積極的な販路拡大に努めることが重要であると考えております。このため、商工労働観光部といたしましては、これまでも通商産業省の補助事業を導入し、遠野木材加工事業協同組合のカラマツを利用した新商品の開発、さらには、大野村クラフト協会の木工品の販路拡大等を支援するとともに、県工業技術センターとアイルランドのリマリック大学との共同研究による軟質材の高度利用技術の開発や岩谷堂箪笥などの県産材の加工利用産業の振興に努めてきたところであります。さらに、盛岡駅西口のマリオス内に整備する物産観光施設の内装等に南部アカマツやナラ等の県産材を積極的に活用することとしているほか、カラマツの大断面構造用集成材を使用したシンボルオブジェや県産材のPRコーナーを設置することとしております。また、本年10月10日より岩手の魅力を丸ごと売り込むため、新たに東京都で開催する銀河系いわてフェスティバル'97におきましても県産材の情報を広く全国に発信し、その販路拡大に努めることとしているところであります。
 今後とも、商工労働観光部といたしましても林業水産部や関係団体等と一体となって県産材の高付加価値化に努めてまいりたいと考えております。
   〔医療局長渡辺勲君登壇〕

〇医療局長(渡辺勲君) 県立久慈病院の移転新築後において懸念されます病院周辺の交通渋滞への対応等についてでありますが、県立久慈病院の移転新築工事は現在順調に進捗し、明年3月の開院に向けその準備を着々と進めているところであります。県立久慈病院は久慈圏域唯一の総合病院であり、また、救命救急センターも併設されますことから、円滑な交通の確保がとりわけ重要であります。こうしたことから、これまで病院周辺の道路の新設改良、JR八戸線踏切の拡幅、旧国道45号の時間帯右折禁止措置などの道路管理、交通管理、さらには、病院へのバスの乗り入れなどについて、久慈市を初めとする周辺の市町村、久慈地方振興局及び久慈警察署などの関係機関と協議を進めてまいったところでございますが、現在、細部につきましては、なお鋭意協議を行っているところでございます。
 また、駐車スペースについてでありますが、現在の病院の駐車台数250台余を790台余と約3倍に拡充整備することとしてございまして、今までのように患者さん等に御不便をおかけするということはなくなるものと考えております。
 今後におきましても、患者さんを初め、住民の皆さんの利便が一層図られるよう、さらに努めてまいります。

〇27番(三河喜美男君) 御答弁ありがとうございました。しかし、ずれた面もありますので、再質問をさせていただきたいと思います。
 まず、農政部長にお伺い申し上げます。
 基本的な考え方についてお伺いしたところでありますが、農業の振興は地域からの盛り上げが大事だと思うのであります。その地域から施設を引き上げ、職員を引き上げるということは農業の衰退につながる、地域の意欲の減退につながると私は考えるのであります。まさにそのとおりと万人認めるところだろうと思うわけであります。そういう観点からしますと、私は、本庁のスリム化を提唱したつもりであります。現在、本庁はかなりのスペースがないような格好で皆さん頑張っておられます。それぞれに頑張っておられますので、風通しが非常に悪い。スリム化を図って風通しをよくし、施策が末端に流れるような形での改革をお願い申し上げたい。やはり他の部課と違いまして、末端--地元を大事にしないと農業は大変だと思います。そうじゃなくてもハンディを抱えている農村でありますので、皆様方にやる気を起こさせるためには、やっぱり県も地域にあって、ともにやろうという姿勢を示すことが意欲の向上につながってくると思うし、また、生産の振興につながってくるだろうと考えるわけでありますので、タコの足を切るみたいに末端を切り捨てることは農業の衰退を見ることになるだろうと思うわけであります。現場主義を大事に、もう少し慎重に検討を進めていただきたいというふうにお願いを申し上げます。御所見があれば賜りたいと思います。
 それから、岩手県は、何回も申しますが四国4県に匹敵する広い県であります。それぞれに地域特性を持っております。そういう中で、画一的な農政の推進は的を射ていないのではないかと思うわけであります。軽く見ましても、平らな地域、中山間地域あるいは沿岸地域とか、そういった形で地域の特性が生かされる農業の推進を図っていくことが大事だと考えるわけでありまして、そういう意味で、普及所なり、あるいは家畜衛生保健所というのは重要な役割を担ってきたと。少し転勤の年数が早過ぎるのではないかという声まであるくらいであります。それなりに地域に溶け込んで、それなりに地域の実情を把握して、農民とともに農政の推進に携わっている方を現地から引き上げるわけでありますから、何だ、またここも切り捨てられるのかという気持ちがまず農村地域に起きるのではないかということを私は心配するものでありまして、御発言申し上げます。
 それから、その地域の特性を生かした振興のあり方についてでありますが、今、我々人間が、人間と申しますか、人々が求めているニーズというものは何であろうかと考えた場合に、やはり安全と安心、そして健康、この三つが我々に今求められているものではないかと思うわけであります。また、それに向かっての大きな動きがあります。食品についてもそれが言えるだろうと思っているところであります。先ほど題目にはなかったけれども、新需要穀類、いわゆる雑穀についても振興を図るべきだという1項目を入れさせていただきました。今、東京都では大きな動きがございます。有機農産物を都でもって買い入れて、都民の健康を守るんだという形での働きかけがございます。岩手県におきましても、当初4自治体が提携を結びました。既に今、8自治体が結んでおります。とりあえず我が県で供給できる有機農産物と申しますと雑穀であります。アワ、ヒエ、キビ、モチキビ等であります。大豆、ソバ等であります。そういったものを東京都が求めているわけであります。我が県の地域特性と申しますか、沿岸部におきましてはやませが参ります。農薬は要りません。病虫害にかかる心配もございません。その中でも立派に実を結ぶわけでありまして、そういうものが、前におられます伊藤先生が申しますが、繩文の時代から、1億二、三千年前からつくられて我々の命の糧になってきたわけでありますが、それが、今、見直されているわけであります。そういうものの推進になぜ真剣に取り組まないかということについて私は疑問を持っておるところでございまして、県議会におきまして15名の議員が研究会を組織し、農家の方々あるいは販売の方々と一生懸命取り組んでおるところでありますけれども、これもひとつ重要な1品目として、地域活性化の中山間地域の1品目としてとらえていただき、欲しがっている方に供給するべきだと思います。今、米は余って大変でありますけれども、足りなくて欲しいという地域に足りないものを供給することも一つの農政の推進の方向ではないかと思うわけでありますので、御所見があれば承りたいと思います。
 それから、きょうの日報でございますが、1部持ってまいりましたけれども、1面でもって載ってございます。これは全国の建築士事務所全国大会が当盛岡で本日開催されております。第22回目の建築士の大会でございます。その中に先ほど申しました環境共生型住宅が大きく取り上げられております。この大会が持たれる前に、2日間、集まる方々が久慈市で家を見ながら研修あるいは勉強会をしたようであります。そういう中で、企業の少ない沿岸久慈地域において起業化の方向に向けて取り組もうという動きがあるわけであります。私は、佐藤商工労働観光部長にお聞きしたかったわけでありますが、それについての取り組みをお願いと申しますか、起業化でございますから、林業振興については中村林業水産部長でよろしいかと思いますけれども、起業化の方向での取り組みについてもお聞きおきを願いたいと思うわけであります。
 それから、県立久慈病院の道路整備の問題でございますが、先ほど来御答弁をちょうだいしました。それから、広域農道寺里から病院までの区間につきましては市道認定をちょうだいしました。それ以降についてはこれからでございますけれども、それまで約2キロ前後だと思いますが、それを開通をしておきませんと重大な混乱が起きるだろうと私は予測をいたしております。南北につきましては、今、御説明あったように何本かの道路が建設をされております。それから、45号、359号等ございまして、比較的アクセスはよろしいだろうと思うわけでありますが、東西についての道路は281号1本だけであります。あとは堤防を使っております。堤防を使った場合には、救急車がすれ違うたまり場所がない状況であります。そうしますと、かなりの混乱が予想されるだろうと思っております。せっかく救急病院を併設させていただきました。その機能が十分発揮できないで途中で亡くなるようなことがあっては大きな問題になろうかと思うわけでありますので、その辺も御配慮いただき、取り組みをお願い申し上げたいと思います。
 以上でございますが、答弁は求めません。要望をしておきます。関連質問もあるようでございますので、そちらの方によろしくどうぞお願い申し上げます。

〇副議長(吉田秀君) 全部要望ですね。

〇27番(三河喜美男君) はい。


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