平成9年12月定例会 決算特別委員会会議録

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平成9年12月4日(木曜日)

1開会 午前10時5分

1出席委員 別紙出席簿のとおり

1事務局職員
事務局長       村 上 勝 治
議事課長       及 川 宣 夫
議事課長補佐     駿 河   勉
主任議事管理主査   千 田 正 和
議事管理主査     上 柿   聡
議事管理主査     木 村   稔
議事管理主査     南   敏 幸
議事管理主査     筒 井 則 裕

1説明員
林業水産部長     中 村 陽 兒
林業水産部次長    篠 田 隆 一
林業水産部次長    中 山 博 文
林政課長       小 国 平 二
木材振興課長     井 上   榮
緑化推進課長     秋 山 英 男
森林土木課長     近 藤 勝 人
漁政課長兼全国豊かな海づくり大会推進室長 武 市 正 明
漁業振興課長     上 村 俊 一
漁港課長       小 林 貴 史
農政部長       中 村 盛 一
農政部次長      鈴 木 一 夫
農政部次長兼地域農政推進室長 猪 股 正 二
農政部次長      渕 沢 光 雄
農政企画課長     赤 津 征 男
農村振興課長     山 内 吉 朗
農地計画課長     永 嶋 善 隆
総合国営対策監    高 橋 重 安
農地建設課長     高 橋 民 和
農業経済課長     相 原 正 明
農蚕課長       佐々木 正 勝
畑作振興課長     石 川 格 司
畜政課長       橋 本 裕 治
畜産課長       菊 地 清 彦
全国和牛能力共進会推進室長 帷 子 剛 資
地域農政推進監    千 田   勉
出納長        高 橋 洋 介
副出納長兼出納局次長 石 川   誠
監査委員       源 新 義 弘
監査委員       橋 本 光 男
監査委員事務局長   飛 澤 重 嘉
総務課長       山 瀬 宗 光
監査課長       青 木   拓
財政課長       千 葉   弘

〇長谷川委員長 これより本日の会議を開く。
 これより議事に入る。
 認定第1号から認定第12号まで、決算12件を一括議題とする。
 本日は、林業水産部及び農政部を終わるよう進行したいと思うので、御協力をお願いする。
 なお、世話人会の申し合わせにより、8年度決算の審査であるので、当該年度に関する質疑とされたいこと、質疑項目が複数ある場合、関連する事項についてはできるだけまとめて質疑されたいこと、また、質疑及び答弁については簡潔明瞭に行い、午後5時を目途に審査が終了するよう議事進行に御協力をお願いする。
 最初に、中村林業水産部長から林業水産部関係の説明を求める。

〇中村林業水産部長 平成8年度の林業水産部関係の決算について御説明申し上げる。
 決算の御説明に入る前に、まず、平成8年度の林業、水産施策の推進状況について御説明申し上げる。
 近年の林業、水産業を取り巻く環境は、輸入の増加などにより価格が低迷し、収益性が低下するとともに、労働力が減少、高齢化するなど、厳しい状況が続いておる。これらの諸課題を克服し、充実しつつある森林資源や豊かな沿岸漁場を活用して、本県を我が国の木材及び水産物の総合供給基地に発展させるため、平成8年度においても、平成3年に策定した林業及び水産業の基本計画に基づき、積極的に各般の事業の展開に努めてきたところである。
 まず、林業であるが、第1に、県産材の安定供給体制の確立については、我が国の木材の総合供給基地の建設を目指して、林道網などの整備を進めたほか、木材の高次加工施設の整備、アカマツ材のブランド化、公共施設への県産材の利用を促進するなど、生産、加工、流通体制の整備と、県産材の一層の需要拡大に努めたところである。
 第2に、林業の担い手対策の推進については、森林組合の広域合併を促進し、また、新たに林業労働力確保支援センターを設置したほか、林業労働対策基金を活用して、林業労働者の新規参入や就労条件の改善を促進するなど、林業労働力対策の拡充強化に努めたところである。
 第3に、多様な森林の整備については、計画的な造林や広葉樹林の整備、多様な樹種で構成する複層林の造成などを推進するとともに、森林病害虫の防除、除間伐、山腹崩壊地の整備など、森林の適正な管理に努めたところである。
 第4に、森林の総合的利用の促進については、地域の特性を生かした特用林産物の生産拡大を図るため、シイタケや木炭の生産施設の整備を促進したほか、森との触れ合いによる憩いの場を充実するため、県民の森や地域環境保全林の整備などを行ったところである。
 第5に、林業新技術の開発促進については、林業技術センターにおいて、アカマツ材と広葉樹材の難燃化技術の開発や、アカマツの松くい虫抵抗性品種の開発に取り組んだほか、林業技術に関する情報センター機能の充実や、試験研究成果の普及、定着に努めたところである。
 次に、水産業であるが、まず第1に、漁業生産の安定向上については、沿岸漁業の振興を図るため、増殖場や魚礁漁場の整備開発を実施し、漁場の高度利用と資源の積極的な維持培養や増養殖生産の拡大に努めるとともに、アワビ、ウニ、サケ等に加え、新たにつくり育てる漁業としてのマツカワやヒラメを対象とした魚類栽培漁業の推進を図ったところである。
 また、本年10月に大槌漁港で開催された全国豊かな海づくり大会の準備を進めたところである。
 第2に、資源の管理については、国連海洋法条約の締結によりTAC制度が導入されたことに伴い、漁業管理制度と管理体制の整備を図ったほか、漁業秩序の確立を図るため、漁業取締船による違反取り締まりを計画的に行うなど、資源の適切な保護と利用管理の推進に努めたところである。
 第3に、生産基盤の整備については、第9次漁港整備長期計画のもと、漁船を係留するための防波堤や岸壁の整備を進めるとともに、加工流通やつくり育てる漁業に対応した漁港の整備のほか、漁港漁村の環境整備をあわせて実施し、安全で機能的な漁港の整備を総合的に推進したところである。
 第4に、加工流通体制の整備については、本県の重要な水産資源である秋サケを中心に、県産水産物の消費と販路の拡大に積極的に取り組むとともに、高鮮度水産物の安定供給体制の確立、及び消費者ニーズに対応した新製品の開発等に努めたところである。
 第5に、水産経営の安定充実については、水産業を取り巻く厳しい環境に対応するため、漁業協同組合等の経営指導を実施し経営基盤の強化を図ったほか、漁業近代化資金及び沿岸漁業改善資金の貸し付けにより、漁業生産施設等の近代化に努めるとともに、漁業後継者の育成や確保等を目的として漁村青壮年育成対策の推進を図ったところである。
 第6に、水産技術の高度化については、水産技術センター及び内水面水産技術センター等において水産情報システムの整備や、高成長低コストアワビ育成試験及びバイオテクノロジーによる種苗生産など、先端技術の進展に即応した試験研究課題に取り組んだほか、栽培漁業を推進するため社団法人岩手県栽培漁業協会の育成強化を図ったところである。
 第7に、住みよい漁村の形成については、活力ある豊かで住みよい漁港漁村の形成を図るため、集落道や集落排水施設等の生活環境整備や、漁港関連道、防潮堤等の整備を推進するとともに、津波や高潮などの災害から人命や財産を守るため海岸保全施設の整備に努めたところである。
 以上が平成8年度における林業水産部の施策の概要である。
 次に、決算の内容について御説明申し上げる。
 まず、一般会計歳出についてであるが、平成8年度岩手県歳入歳出決算書の12ページをお開き願う。
 林業水産部関係の歳出の予算現額は、6款農林水産業費のうち、14ページの4項林業費、5項水産業費及び16ページの11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費の一部を合わせた総額574億6、619万8、920円である。
 これに対し支出済額は541億3、790万133円、翌年度繰越額は33億1、636万8、250円、不用額は1、193万537円である。
 以上、一般会計の総括について申し上げたが、この具体的な内容と特別会計については、お手元の平成8年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げる。
 210ページをお開き願う。歳出、第6款農林水産業費の4項林業費であるが、予算現額352億4、594万円余に対し、支出済額は327億9、503万円余、繰越明許費が24億4、316万円余である。
 以下、その主なものについて御説明申し上げる。2目林業構造改善対策費の支出済額31億600万円余の主なものは、林業構造改善事業費であるが、これは、41地区において市町村等が実施した林道及び木材加工施設などの整備に対し助成を行ったものである。なお、繰越明許費11億2、573万円余は、用地交渉の難航などにより年度内完成が見込まれないため、5地区の集成材加工施設等の整備について繰り越したものである。次に、212ページをお開き願う。3目林業振興指導費の支出済額41億3、895万円余の主なものであるが、備考欄3行目の木材産業振興対策事業費は、製材業及び木材チップ製造業の経営安定を図るため、素材の共同購入などに必要な運転資金を貸し付けたものである。次に、2行飛んで、県産材流通促進対策事業費は、県産材の需要拡大を図るため、地域材のブランド化の促進や乾燥材の安定供給対策などに要した経費である。次に、4行飛んで、森林組合経営体質強化資金貸付金と1行下の林業振興資金貸付金は、森林組合の経営安定を図るための運転資金と系統事業の拡大に要する資金を、岩手県森林組合連合会に貸し付けたものである。次に、備考欄の末尾から6行目の流域総合間伐対策事業費は、北上川中流域及び大槌・気仙川流域の間伐や、基幹作業道の整備などに要した経費に対し助成を行ったものである。次に、215ページをお開き願う。備考欄4行目の森林計画樹立事業費は、久慈・閉伊川森林計画区の地域森林計画の策定に要した経費である。次に、7行飛んで、乾しいたけ等主産地形成促進対策事業費は、県産干しシイタケの銘柄化の確立と生産者の経営安定を図るため、生産施設の整備に要した経費に対し助成を行ったほか、岩手健康シイタケモッコリくん流通促進資金を貸し付けたものである。次に、10行飛んで、地域環境保全林整備事業費は、県民の保健、休養、レクリエーションの場として森林空間を活用するため、金ヶ崎町千貫石地区ほか3地区の森林整備などに要した経費である。なお、繰越明許費についてであるが、前の213ページをお開き願う。3目林業振興指導費の繰越明許費9、927万円余は、流域総合間伐対策事業費及び森とのふれあい施設整備事業費で、国の第1次補正に伴う事業の追加などにより、年度内完成が見込まれないため、5地区の間伐作業道等の整備について繰り越したものである。次に、214ページをお開き願う。4目森林病害虫等防除費の支出済額2億3、356万円余は、松くい虫などの森林病害虫の防除や、五葉山周辺のシカ被害防止対策に要した経費に対し助成を行ったものである。次に、216ページをお開き願う。5目造林費の支出済額28億176万円余の主なものであるが、造林事業費は、人工造林や保育事業などに要した経費に対し助成を行ったものである。次の健康とゆとりの森整備事業費は、二戸市折爪岳地区ほか1地区において、県民の憩いの森を整備するために要した経費である。次に、6目林道費の支出済額127億7、555万円余の主なものであるが、林道開設事業費は、県営37路線、市町村営16路線の整備に、林道改良事業費は、県営5路線、市町村営2路線の整備に、農免林道事業費は、県営6路線、市町村営4路線の整備に、林業地域総合整備事業費は、県営6路線、市町村営9路線の林道整備に、県単独林道事業費は、県営3路線、市町村営8路線の整備に、ふるさと林道緊急整備事業費は、県営25路線の整備にそれぞれ要した経費である。次に、森林開発公団林道事業費は、森林開発公団が実施している大規模林道などの事業に係る県負担金等である。なお、繰越明許費8億679万円余は、林道開設事業費及びふるさと林道緊急整備事業費で、設計や工法の検討に不測の日数を要したことなどにより、年度内完成が見込まれないため、林道9路線の整備について繰り越したものである。次に、218ページをお開き願う。7目治山費の支出済額67億2、919万円余の主なものであるが、治山事業費は、223カ所の山地治山及び保安林整備などに、地すべり防止事業費は、8カ所の地すべり防止に、県単独治山事業費は、26カ所の崩壊地などの整備にそれぞれ要した経費である。なお、繰越明許費4億1、136万円余は、治山事業費及び地すべり防止事業費で、国の第1次補正に伴う事業の追加などにより、年度内完成が見込まれないため、13カ所の治山工事等について繰り越したものである。
 以上で林業関係を終わって、次に、水産業費関係について御説明申し上げる。
 220ページをお開き願う。5項水産業費であるが、予算現額220億9、136万円余に対し、支出済額は212億1、398万円余、繰越明許費が8億7、320万円余である。
 以下、その主なものについて御説明申し上げる。2目漁業構造改善対策費の支出済額30億1、813万円余の主なものであるが、備考欄1行目の沿岸漁場整備開発事業費は、沿岸漁業の安定的な発展と水産物の供給の増大を図るため、地先型増殖場8カ所、広域型増殖場3カ所、大型魚礁9カ所、人工礁漁場2カ所など、沿岸漁場の整備開発に要した経費である。次に、223ページをお開き願う。備考欄10行目の沿岸漁業活性化構造改善事業費は、沿岸漁業の振興と経営の近代化を図るため、増養殖用作業保管施設等の漁業近代化施設や、漁村環境の整備に要した経費に対し助成を行ったものである。なお、繰越明許費9、057万円余は、沿岸漁業活性化構造改善事業で、国の第1次補正に伴う事業の追加により年度内完成が見込まれないため、繰り越したものである。次に、3目水産業振興費の支出済額15億6、230万円余の主なものであるが、備考欄3行目のサケ、マス増殖費は、サケ、マス資源の増大を図るため、各河川に放流する稚魚の買い上げ及び増殖施設の整備や、サケが遡上する河川の環境整備に要した経費に対して助成を行ったものである。次に、3行飛んで、特定海域栽培漁業定着強化事業費は、アワビ資源の増大を図るため、放流効果調査や種苗の入手、生産及び中間育成に要した経費に対し助成を行ったものである。次に、1行飛んで、サクラマス資源増大対策事業費は、サクラマスの資源増大を図るため、経済効率の高い放流手法を開発することを目的に、飼育試験と放流を行ったものである。次に、1行飛んで、魚類栽培推進事業費は、今後建設を予定しているヒラメ、マツカワ等の新たな魚類栽培施設の立地条件調査等を行ったものである。次に、1行飛んで、内水面漁業振興対策費は、アユなどの稚魚放流経費に対する助成と魚道の整備を行ったものである。次に、3行飛んで、海洋法対策事業費は、TAC制度の導入により、漁獲情報収集のためのコンピューターネットワーク等の整備を行ったものである。次に、225ページの備考欄をお開き願う。6行目の事業、秋サケ等利用拡大推進事業費は、本県の重要な水産資源である秋サケを中心とした県産水産物の消費拡大を行うため、販路開拓、消費宣伝、学校給食への利用促進を図ったものである。次に、11行飛んで、社団法人岩手県栽培漁業協会育成事業費は、本県栽培漁業の推進を目的に設立された社団法人岩手県栽培漁業協会の事業の円滑な運営を確保するため、年度当初の運転資金の貸し付けなどを行い、協会の育成を図ったものである。次に、下から2行目の第17回全国豊かな海づくり大会岩手県実行委員会負担金は、本年10月に開催された全国豊かな海づくり大会の準備のため、大会実行委員会にかかわる経費を負担したものである。次に、4目水産業協同組合指導費の支出済額2億9、939万円余の主なものであるが、備考欄4行目の漁業協同組合事業基盤強化総合対策事業費は、漁業協同組合の基盤強化を図るため、合併や事業統合等の推進、指導に要した経費である。次の漁業近代化資金金融対策費は、漁業者に対し長期、低利の施設整備資金を融通した金融機関に対し、利子補給を行ったものである。次に、226ページをお開き願う。7目漁業取締費の支出済額4億5、510万円余の主なものであるが、備考欄4行目の漁業取締船代船建造事業費は、本年竣工した岩鷲の建造に要した経費である。次に、少し飛んで230ページをお開き願う。10目漁港管理費の支出済額1億1、789万円余は、県管理の漁港施設の管理運営に要した経費である。次に、11目漁港建設費の支出済額139億1、156万円余の主なものであるが、漁港修築事業費は、県営17港、市町村営3港の修築に、漁港改修事業費は、県営7港、市町村営17港の改修に、漁港局部改良事業費は、県営2港、市町村営19港の改良に、漁港関連道整備事業費は、県営1地区、市町村営4地区の整備に、海岸保全施設整備事業費は、県営7港、市町村営6港の整備に、海岸環境整備事業費は、県営2港の整備に、漁港漁村総合整備事業費は、市町村営3港の整備に、漁業集落環境整備事業費は、市町村営9地区の整備に、漁港環境整備事業費は、県営6港の整備にそれぞれ要した経費である。なお、繰越明許費7億8、262万円余は、漁港修築事業、漁港改修事業、漁港関連道整備事業、海岸保全施設整備事業、漁業集落環境整備事業において、用地交渉が難航したことなどにより年度内完成が見込まれないため、合わせて15漁港について繰り越したものである。
 以上で水産業費関係を終わる。
 次に、ページを飛んで304ページをお開き願う。災害復旧費関係について御説明申し上げる。
 11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費についてであるが、次の306ページをお開き願う。2目林道災害復旧費の支出済額4、318万円余は、過年災害に係る5路線の復旧事業に要した経費である。次に、5目漁港災害復旧費の支出済額8、570万円余は、市町村営漁港5港の復旧事業に要した経費である。
 以上で一般会計の歳出決算を終わる。
 引き続き特別会計の決算について御説明申し上げる。338ページをお開き願う。平成8年度岩手県県有林事業特別会計の決算について御説明申し上げる。
 まず、歳入であるが、340ページの歳入合計の収入済額は49億2、361万円余で、その主なものは、県債及び一般会計繰入金である。
 次に、歳出であるが、346ページをお開き願う。歳出合計の支出済額は49億1、232万円余で、その主なものは、公有林造成資金の元利償還金及び429ヘクタールの新植、1万2、507ヘクタールの保育などに要した経費である。なお、事故繰り越し250万円余は、模範林造成事業費で、作業道開設中の事故により工事が遅延し、年度内完成が見込まれないため繰り越したものである。
 次に、348ページをお開き願う。平成8年度岩手県林業改善資金特別会計の決算について御説明申し上げる。
 まず、歳入であるが、350ページの歳入合計の収入済額は19億5、007万円余で、その主なものは、貸付金元利収入及び繰越金である。
 次に、歳出であるが、352ページの歳出合計の支出済額は14億982万円余で、その主なものは、林業改善資金貸付金及び木材産業等高度化推進資金貸付金である。
 次に、354ページをお開き願う。平成8年度岩手県沿岸漁業改善資金特別会計の決算について御説明申し上げる。
 まず、歳入であるが、歳入合計の収入済額は4億3、538万円余で、その主なものは、貸付金収入及び繰越金である。
 次に、歳出であるが、356ページの歳出合計の支出済額は2億9、666万円余で、その主なものは、経営等改善資金貸付金などである。
 以上で林業水産部関係の決算について説明を終わる。よろしく審議のほど、お願い申し上げる。

〇長谷川委員長 ただいまの説明に対し、質疑はないか。

〇菅原委員 お尋ねをする。222ページの水産振興費に関連してお伺いする。
 去る1月14日、仙台市において東日本水回廊シンポジウムが開催されたそうである。これは岩大の平山教授が主催をしているシンポジウムなそうである。そこに川崎村の関係者が出席したそうであるが、そこでの話であるが、その先生は、岩手県内のサケの稚魚の放流が多過ぎるんではないかと、砂鉄川河口、石巻周辺では大変困難して困っていると、そういうような話である。かわって、川崎村には砂鉄川があるわけであるが、その方々の実は話を聞いたんであるが、1日100尾から200尾ぐらい魚が上ってくると、だれも今サケをとる人がないと。強いてとればハラコをとってあとは土を掘って埋めるんだというようことで、だれも今はサケを珍しい、食べる人もいないよというような話であった。私は知らなかったからびっくりしたわけであるが、その話を総合すると、平山先生の言った言葉、多過ぎるのではないかということなんだそうである。これ意味はよくわからないけれども、いずれそういう多過ぎるからだれも見向きもしない、あるいはまた、海サケの漁獲量も繁殖が多くて、いわゆるとり過ぎて魚価が下がるというような、そういうことに影響してくるのではないかと、そんなことを考えたわけである。ちなみに、この砂鉄川では70万尾を放流しているそうである。この回帰率は2%、3%あるいは5%というような、年によって違うそうであるけれども、というようなことであるが、こういう放流に対する影響、状況、どういう見解をお持ちであろうか、お伺いをする。

〇中村林業水産部長 本県は昭和61年に岩手県サケ増殖振興計画を定めたわけであるが、その中では平成12年に7万トンのサケの水揚げを目標に、昭和63年度から4億4、000万尾の稚魚を放流してきているところである。この結果、昨年度、平成8年度であるが、7万3、500トンの水揚げがあって計画の目標は達成したところであるけれども、過去の水揚げの状況を見ると3ないし5万トンの範囲でその水揚げが変動しておるわけである。また、回帰率についても2%から5%ということで、年によってこれもまた変動しておるわけである。県としては、いまだ安定をしていないという認識をしておるわけである。御案内のように、放流した稚魚については四、五年かけて生まれ育った川に帰ってくるわけであって、このサケの稚魚の放流については、長期的な視点に立って事に臨んでいく必要があると考えておる。県としては、このサケ漁業が本県の基幹漁業に、魚種になっておるわけであって、この経営の安定を図っていくためには、以上申したような状況を踏まえるならば、今後とも現状の放流数は維持していくことが必要であると認識しておるところである。

〇菊池(雄)委員 平成8年度の本県の水産関係の予算は約213億円である。そのうち沿岸漁場整備開発事業、いわゆる沿整事業である。それから、漁港整備事業、沿岸漁業構造改善事業などのいわゆる公共3事業は約173億円ある。実に81.5%のシェアになっておるわけである。私かなり前に取り上げたことはあるが、そのころは7割くらいの公共事業のシェアであったが、それが8割以上になったと、これはとりもなおさず景気浮揚対策、経済対策、そういったようなものがこういったような公共事業を押し上げておると、こういうことになると思うんであるけれども、水産業費全体としてこの構造は果たして適正なものだろうかというように私は思うんであるが、まずその所見を部長からお伺いする。

〇中村林業水産部長 水産業、漁業を振興していくためには、いわゆる増養殖業の振興なり、あるいはそれを担う漁業後継者の育成、あるいはそれからとれてくるところの水産物の消費拡大等を通じた魚価対策、このような事業のほか、その漁業の生産の基盤である漁港なり漁村の整備というものが重要であるわけである。これらの事業については、その予算の形態としては、今、委員から御指摘あったように公共事業の予算による、また、非公共事業の予算によるということで執行しておるわけであるが、漁業の振興を図っていく上においてはこの公共事業と非公共事業を適切に組み合わせながら推進していくことが肝要だと考えておる。先ほど8割ないし7割公共事業が占めておるという御指摘であるが、漁業の振興を図る上において、その根幹となる基盤的な整備である漁港の整備あるいは環境の整備は、まだまだおくれておるわけであって、そういう観点から申し上げると、私どもとしては適正な割合ではなかろうかなと考えておる。

〇菊池(雄)委員 私は、漁港が完備しているのに余計に事業費を投入しているとか何とかと言うんじゃなくて、今言われているのは、農業とか漁業、こういったようなものの予算というのは、何か土木建設業のためにやっているんじゃないかなどというような、そういう批判もあるわけである。今200海里時代から約20年余になろうとしているわけである。大きな日本の、いわば沿岸漁業を中心とした大きな転換を図らなくてはならぬと。今、部長もおっしゃったように、後継者対策とか、あるいは漁村の集落の近代化とか、あるいは何といっても価格政策、豊漁貧乏、そういったようなものに政策予算を使う必要がある。いわゆる公共と非公共の割合をもっと、いわば限られた枠内であるから、それをやっぱり適切に配分をしなければ、私は日本の置かれておる漁業の適切な近代化というか、転換のためにならないんじゃないかと、こういう気がするものであるから、ひとつ今後やはり適切な漁業、水産業関係の予算の配分に対して配慮していただきたいと、こういうことを要望しておきたいと思う。
 次に、これは水産振興費に関連するけれども、県が毎年公表しておる岩手県水産業の指標というのを見ると、大体沿岸漁業というのの生産構造というのは、漁船漁業と定置漁業、それから海面養殖漁業とこの三つに分けられるわけであるが、10年ぐらいを平均してみると、漁船漁業は、生産額で見るとシェアが大体20%から25%、それから定置が40%から50%、それから海面養殖業が30%から40%、こんなシェアで大体動いているわけである。経営体質を見ると、漁船漁業が40%で、定置漁業が1.4%、海面養殖業が60%、つまり経営体質が1.4%しかない定置漁業が40%から50%の生産額を上げている。これが本県の沿岸漁業の生産構造である。私はここに問題があるんではないかと、こういうように思うんであるけれども、これは昭和45年であるからかなり前であるけれども、定置の生産量でのシェアは23%、20年後の平成2年、生産量で32%、生産額で40%と大きく伸びたわけである。これは言うまでもなくサケが豊漁であったと。このことによって定置が非常に急速に漁獲が伸びてきた。大体サケというのは定置で85%以上漁獲されるわけであるから、この圧倒的な定置の漁獲に対して、いわゆる経営体である、ほとんど漁協であるけれども、漁協が正しく漁獲した利益を組合員に配分しているのだろうか。それから、一部は民間である。民間が定置網をやっている。その定置網をやっている一部の網元が、今、岩手県の増殖協会というか、ここに5%協力金を出しているが、これは果たして適正な、いわばさっきもちょっと菅原委員から話が出たんであるが、かなりの金を使ってふ化放流事業をやっているわけである。これをそういう一部の網元が巨額の利益を占めるというようなことでは困るわけであるから、本当にそこらが、いわゆる資源の再配分というのは適切に行われているのだろうかどうかと、こういうことに対してどう思うか。

〇武市漁政課長 定置が大量の漁獲をしていると、サケについても大部分、85%は定置だということであるが、先ほども委員お話があったとおり、やはり定置は多くは漁業協同組合が経営しておって、それから生産組合等の経営もあるけれども、沿岸の漁業者が乗り組んでおるということであるので、沿岸の漁業者にとっては重要な収入のもとになっているということである。定置、いろいろお話があったように、サケの定置に岩手県が依存しているということは紛れもない事実であって、やはりこの沿岸の漁業、それから漁業者の生活を支えているというところである。

〇菊池(雄)委員 念のために、サケのふ化放流事業、さっき部長も、8年度4億3、008万尾放流したと言っているが、もちろんそれは放流しただけのことであって、その施設をつくる、いろんな経費には県が何百億という金を使っているはずである。県もかなりの金を使っているわけである。大体どのぐらい今まで使ったかということを発表してもらいたい。
 それから、これは古い話で申しわけないけれども、昭和52年、1977年12月15日に、私、決算特別委員会で幼稚子魚の乱獲と定置の関連をただした。これに対して当時の漁政課長が、ことし──ことしというのは昭和52年である。ことしの4月から6月の間に沿岸の産地市場に揚がったタラの稚魚、イカの稚魚の捕獲状況を調べた結果、タラの稚魚で5グラム程度のもので3、000トン、イカの稚魚で22トン、タラの場合、尾数で換算すると約6億尾になる。これはわずか3カ月の間で、市場に揚がらないものも含めるとかなりの天然の幼稚子魚が乱獲されているということである。そこで、課長は、一方では栽培漁業をやるということでかなりこれも金を使って栽培漁業をやっておって、一方では自然のものを乱獲するというのは矛盾しているから、これは正さなくてはならぬ。しかし、これを正すには定置の網目を規制すると。それには実質的に大きくしなければならないが、何といっても海区調整委員会の許認可の場合の条件が必要だと、ところがなかなか今、海区調整委員会それができないんだと、これは当時の漁業振興課長の話であるけれども、だから今、県は指導していると──指導しているというのは強制力がないわけである。ところが、その後、約20数年間たつわけであるけれども、今どうなっている、定置の網目規制というか、そういうものはどういうふうに改善されてきているか。

〇上村漁業振興課長 まず、サケのふ化放流に要する経費、あるいは施設費なんであるけれども、今までどのくらいかかったかというお話あるけれども、施設整備の方については今手元に数字がないけれども、大体岩手県の海面、いわゆる沿岸には31河川にふ化場がある。それから、内陸には13ある。計44カ所のふ化場がある。したがって、1カ所当たりの施設整備費を掛けてやると大体出るんであるけれども、詳しい数字は今持っていないので後ほどお答えしたいと思う。
 ふ化放流経費であるけれども、これは毎年大体10億円かかる。10億円の中身であるけれども、大体3割が国、県の補助、それからあと半分半分が定置あるいははえ縄等々からの水揚げ協力金、それからその他の3分の1はふ化場の負担である。それで、最近、四、五年前、あるいはその前は魚価が高くて大分水揚げ協力金もよかったんであるけれども、最近魚価の低迷があって、特に昨年度は212円という史上最低の魚価であったから水揚げ協力金についてもかなり低下しておる。その分、いわゆる漁協とかふ化場の負担になっていっておる。しかし、先ほど部長が答弁したように、4億4、000万というのは放流しなきゃならないということであるので、ふ化放流経費の10億円は以後も続くわけである。したがって、今後はふ化場の経費の削減に努めるとともに、協力金についてもそれなりのお願いをしなきゃならないだろうということがある。そういった状況にある。

〇武市漁政課長 先ほど稚魚保護のための定置の網目の規制が、その後20数年以降どうなっているかというお尋ねであったけれども、昭和50年代前半には、主にイワシ大を目的とする定置網で、4月から5月ごろにかけてはサケやタラの稚魚が混獲されておって、これが資源保護の観点から問題となっておったわけである。当時、菊池委員方を初めとして、漁業者の中からも定置網の網目を大きくして稚魚の混獲を防いで、資源を保護すべきという提案があった。その後、漁業者や漁業団体のコンセンサスを得て、昭和58年度の定置漁業権の存続期間満了に伴う一斉切りかえの免許から、免許の制限または条件として網目の規制を実施しているところである。その内容について申すと、定置網漁で魚をどんどん追い込んで収納する部分の一番奥の魚を取り上げる部分に箱網というところがあるけれども、その箱網の一番奥のところの網目が、その当時は平均して1.5センチほどだったものを、一時期拡大することによって資源保護に対処するということにしたわけである。
 それで、現在の規制の状況であるが、内湾の漁場においては、4月1日から5月31日の61日間、その箱網の部分の網目を従来1.5センチだったものを4.3センチ以上、それから外海漁場においては、4月10日から6月10日の61日間、網目を5センチ以上に拡大するというふうに規制しておる。そういうことによって網目の規制以降は、定置網によるサケなどの稚魚の混獲が極端に少なくなっておって、その他の稚魚についても、漁業の現場において苦情やトラブルといったものが現在起きてないと、そういうことで委員からも御質問が以前あった問題については、網目規制を行うことによって、十分に所期の目的は果たして効果は上げているんじゃないかなと、そのように考えておるところである。

〇菊池(雄)委員 昭和58年になってようやく今お話あったように、約2カ月であるか、4月から6月まで2カ月間網目を大きくした。これは県の努力に対しては私は評価をするけれども、その間の私も経緯をいろいろ調べて、問題は海区調整委員会だと、海区調整委員会は岩手県の漁業をあるいは漁民の利益を守るためにあるはずなのに、何でそういうことをやらないのだろうかと私は疑問に感じたことは何回もあるんである。資源管理型漁業というのは、これは日本だけではなくて岩手県でもそうであるが、いわば漁業の戦略である。水産業の戦略、基本的には戦略。それを率先しやっぱり岩手県でやる必要があると思うので、この問題についてはこれですべていいんだと、こういうことでは私はないと思う。たった2カ月網目を規制すればそれでいいんだということじゃないと思う。もっと検討してもらいたいと思うし、それから、海区調整委員会、これは独立した機関であるから我々がこれに対して圧力をかけるとか何とかそんなつもりはないけれども、少なくとも民主的な話し合いの中で、今申し上げたような本当に資源管理培養の漁業が達成されるような、そういう方途を見出すような努力をしていただきたい。そのことを要望して私の質問を終わる。

〇谷藤委員 3点についてお伺いをする。
 まず、県民の森及び森林公園の整備についてお伺いをしたいと思う。
 先ほど部長も一部触れられたけれども、かなり整備についての方向というのを示されてきているんだろうと思うけれども、平成8年度の予算特別委員会においても、当時の田尾部長は、平成8年度中にその辺の整備についての方向を探っていきたいというようなことで答弁をされた経緯もあるし、相当その構想も固まっているんだろうと思うので、その構想の内容についてお伺いをしたい。

〇秋山緑化推進課長 松尾村にある森林公園も含んで7カ所あるが、この森林公園について平成8年度、民間のコンサルタントに委託して、森林公園の整備構想を策定しておる。この構想を概括的に申し上げると、森林公園として保健休養とかレクリエーションの場、また、森林、林業についての学習、体験の場として活用すると、そのような施設整備をして管理運営をする構想としておる。現在、この構想に基づいて実施計画をるる検討しておるが、そういった施設を含んで緊急度の高いものから順次実施していきたいと考えているところである。

〇谷藤委員 この森林公園関係の整備というのは、環境の教育観という観点、それからまた、野外スポーツという観点からも非常に将来の青少年の教育の場にも活用されるところだろうと、このように認識しておるのでぜひ、予算の関係も非常に厳しくなっておるけれども、順次それらを進めていただくようにお願いをしたいと思う。
 それから次に、林業担い手基金についてお伺いをしたいと思うわけであるけれども、今までもいろいろ増額等も図ってきた経緯はあるようであるけれども、林業事業の育成強化を図るために担い手の育成というのは非常に重要な分野になってきただろうと思う。そういうことで運用益を原資として事業活動をやっていくようであるけれども、この低利の時代でその基金の中から得られる運用益ではとてもなかなか事業といっても大変なんじゃないかなと思っている。そういうことで今の実際の状況、見通しについてお聞かせをいただきたい。

〇井上木材振興課長 岩手県の林業労働対策基金であるけれども、これは平成3年度に我が県の林業労働者の安定的な育成確保、この対策を進めるために5億円の基金造成を目標に、県がそのうちの半分ということで2億5、000万円、それから市町村、林業団体がそれぞれ1億2、500万円、これを出捐することで設置されたものである。その後、平成5年度から国の山村対策により、林業担い手育成のための基金積み増しに対する新たな財源措置が講じられることになり、本県においても、さらに充実した対策を展開するためにこの制度を活用して、県がその後25億円の基金の追加出捐をさせてもらっておる。平成7年までに合わせて30億円の基金を造成したところである。
 さらに、昨年度であるが、いわゆる林野3法の一つである林業労働力確保法が制定された。この法律に基づいて林業労働力確保支援センターを設置したところでもあるが、このセンター事業を円滑に推進するため、今年度新たに6億円の基金の造成を行ったところである。御案内のとおり、超低金利の状況が続いているわけであるが、このように基金の造成を積極的に行ってきた結果、今年度の運用益は約5、800万円という見込みである。昨年度の実績が5、200万円ほどであるから600万円ほど増額する見込みである。この運用益を活用して、基金においては林業労働者の新規参入の対策、あるいは優秀な技術や技能を持つ人材育成、さらには社会保険や退職金などへの掛金の助成、また労働安全性の確保、福利厚生などの各種の事業を実施してきているところである。県としても、林業労働力の育成確保対策に最大の効果があるような指導をしてまいりたいと思っておる。

〇谷藤委員 なかなか少ない予算の中でいろいろ苦労をされているであろうと思うけれども、基金で実施する事業と、それから一般会計で行う事業の線引きの基準というのはどうなっておるのかなと思うわけである。いずれ、基金を取り崩したりしなければならないようなことになるということは大変なことであろうと思うし、それができないとすれば、この運用益を生み出していくためにはさらに積み増しをしていくとか、そういうことをしていかなければならないのではないかなと思うわけであるが、その辺のことについてお知らせいただきたい。

〇井上木材振興課長 既に36億円の出捐をしており、資金的には全国から見ても相当高いレベルにあると思っておるし、また他の分野と申すか、農業等の分野から見ても、林業、これは大変手厚い造成をしていただいているという事情もある。そういったことも勘案しながら、さらにまた、国においてはそういう新たな財源措置が検討される段階になった時点で追加出捐についても考えていきたいなと。それまでは現在持っている36億円の基金を有効に運用して、事業等についても緊急かつ必要なものに絞り込んで重点的に実施をしてもらいたいと思っておる。

〇谷藤委員 わかった。
 次に、林業技術センターの周辺用地、この辺のことについてお伺いしたい。
 矢巾町の林業技術センター、ここの用地は、これは林野庁から取得したものであると思うけれども、林業技術センターの分の使用用地と、それから未利用地というか、まだ使っていないところもあるであろうと思うけれども、今この辺の用地の活用状況というのはどう考えておられるのか。

〇秋山緑化推進課長 今お尋ねあった場所については、現在ある林業技術センターの周辺のかつて国有林の苗畑に使われてきたところの、県として買収した土地のその後の利用状況ということであると思うが、現在の利用状況については、取得面積約27ヘクタールであるが、そのうちの7ヘクタールについては現在一部造成してあるが、平成8年度から、一つは優良系統樹種の保存林ということで使っていきたいということで今やっておるし、もう一つは、高性能林業機械があるが、これの研修用地ということで、その場所でいろいろ高性能機械を使って活用するという用地に充てて活用していきたいと考えておる。残りの20ヘクタールであるが、これは現在苗畑の跡地ということでそのままの状態になっている。今後はこの跡地については、先ほど申した県内に7カ所森林公園があるが、その一つとして都市型の森林公園、いわゆる都市的機能を備えた森林公園として、県民のニーズに対応した施設整備を進めていきたいと考えているところである。

〇谷藤委員 20ヘクタールはまだ利用していないと、計画自体はそれなりにあるようであるが、決してむだな買い物ではなかったと思うけれども、ぜひ有効な活用をしてもらいたいと思う。これは今、国有林や体系的にも非常に厳しい状況の中で、林野庁との関係もあっていろいろやってきたのであろうと思うが、その辺の利用についてきっちりやっていただきたい。
 そういうことから行けば、今ダイオキシン問題、いろいろ林野庁絡みもあるであろうが、その辺、林野庁出身の部長であるから、その問題についても前向きな対応を林野庁の方にもしていただくように、この際お願いをしておく。

〇伊藤委員 サケの一本釣りという部分についてお伺いをしたいと思う。
 私は当該委員であるが、いずれ県民世論も高まっていることでもあり、全体の議論になればいいと思う観点から、お許しをいただき質問をする。
 また、この席には漁業団体の長の方、あるいは漁業に造詣の深い方もいらっしゃるけれども、立場のない者が素朴に聞いていった方がいい面もあろうと思うので、お許しをいただきたいと思う。
 最近の県民世論の中で、このサケの一本釣りという部分に対して大変強い要望があると思っておる。平成8年12月11日岩手日報の社説、あるいは平成9年5月27日、そして6月2日の岩手日報の日報論壇あるいは先週の投稿等、いずれもサケの一本釣りを推進するべきであるという声であったように思うけれども、また今、期せずして、さきにお三方の先輩の議員の方々から、サケ、サケ、サケと、サケに関する心配の部分の質問があった。したがって、このサケの一本釣りというのも避けて通れない問題であろうと思うので、ひとつその辺の県民世論の高まりという部分についてどのように御認識をされておるのかお伺いする。

〇武市漁政課長 御質問の海面におけるサケの一本釣りについて、県民世論が高まっているというか、特に観光関係の業者の方々からその要望が強いということは十分認識しているところである。この海面におけるサケの一本釣りは、海区漁業調整委員会が漁業調整上必要な措置として委員会指示により禁止しているものである。サケの一本釣りに限らず漁業調整問題については、漁業権の設定など、海面の総合的な利用については多くの場合、漁業者、それから学識経験者及び公益の代表からなる海区漁業調整委員会の論議を経ることになっておる。
 さきの特別委員会でも委員の方から御提言があった以降、海面での船を使用するサケ一本釣りの場合について、問題点となる事項を検討整理してきたところである。その中で大別して三つあるのではないかと、そのように考えておるところである。一つは、遊漁と漁期漁場が競合するサケはえ縄及び定置網漁業の秩序維持の問題がある。それから、ふ化放流事業との調整である。遊漁者の増殖経費の一部負担の是非という問題がある。それから安全の確保という問題がある。冬季の非常に厳しい海況の中で一本釣りをされるということになると、事故があってはならないわけであるし、万一事故が起きた場合の補償をどうするか、そういった体制の整備といったことも問題になろうかと。これらの問題にはまた、秋サケが漁業者の長年にわたる努力によって資源造成が図られたという歴史的な背景がある。そこで、県としては観光業界の方からはそういった要望がかなり強いということは認識をしておるところであるが、今のところ漁業団体にはサケの一本釣りを積極的に導入しようという動きはまだないと認識しておる。これは、ただいま述べたような事情を踏まえての考えである。
 委員御指摘のとおり、サケの一本釣りは資源の有効利用方策の一つであるとも考えられるわけであるが、以上述べたようにさまざまな背景があることから、今後の扱いについては、漁業者を初めとする多方面の関係者を含めたいろいろな議論が必要と考えておる。その上で、漁業者の理解が得られるのであれば、最終的には海区漁業調整委員会の判断をお願いしたいと、そのように考えておる。

〇伊藤委員 今いろいろお話があった。私、平成8年12月の決算特別委員会で、これはサケの一本釣り海の部分であるが、お聞きしたところ、漁業者の理解が必要であり、今後の研究課題としていきたいということで今御答弁をいただいたわけである。これは否定をしていないのである。であるが、同じく平成9年2月の予算特別委員会においては、今度は川の部分についてお伺いをしたところ、河川でのサケ一本釣りについては、この採捕は水産資源保護法で禁止されており、河川での釣りは極めて困難である。これは否定をしたと、こういうことであるが、そこで前にもお示しをしたのであるが、これはアウトドアという釣り情報誌であり、これの9月号に北海道の標津町の忠類川の一本釣りの様子が載っている。昨年は1、500人の調査員を全国から募集をして、調査をしていただくのであると。法をうまくくぐり抜けたやり方であると思うけれども、1、500人の方が応募して調査に加わった。今年度は5、000人なそうである。この中で、全日空スカイホリデーが、忠類川サーモンフィッシングツアーを組んで、東京から3日間コース五万三千何がし、あるいは4日間コースで8万幾らと、こういう形でどんどん利用してきているわけであり、こういう部分はぜひとも、サケの販路拡大、消費拡大につながるものであると思う。
 ただ、入り方として危険なのは、観光会が、あるいは釣りのマニアたちが釣りたいからということではなくて、一番最初に7割も自分たちでお金を出してここまで育ててこられた方たちに、まず成果がある形から入っていかなければいけない。せっかく長年頑張ってこられた人たちの持ち場を荒らすようなやり方ではいけないと思うのである。したがって、例えばマイボートは禁止をするとか、漁業権を持っている、あるいははえ縄の漁業権等を持っている方たちの船を遊漁船に仕立てていただくとか、あるいは釣った魚については1匹3、000円なり5、000円なりを組合の方たちにお返しをする、こういう部分から入っていかないと、観光客が、釣らせろ、釣らせろと、こういうことでは説得力が弱いのであると思い、相手をまず尊重してお願いをするという、こういう部分であると思う。
 例えば、仮に宮古で許可をしたとして、宮古に5、000人もの釣り客が来てくれると、これは大変冬場の大きな起爆剤にもなるわけであるし、宮古に釣りに来た方たちがリンゴや大根をお土産に買っていくはずがない。やはり海産物、水産物、魚介類をお土産に買うわけであると思うので、そういう部分も広くひとつお考えをいただきたい、そして議論をしていくべきである。そしてやるならば、余りほかがどんどんやらないうちに岩手県でもやっていった方がいいのではないか、こう思う。
 その中で北海道では、今も言った忠類川では一本釣りをしている。本年は5、000人が来たと。そのほかに、根室と網走ではライセンスで、つまり漁業調整委員会の承認をもらって一本釣りを許可していると、こういうことがあるが、こういった部分についてはどのようにお考えであろうか。

〇武市漁政課長 北海道の方で行われていることは認識しておるところであるが、特に川の部分については岩手県では、2月定例会の予算特別委員会においても、水産資源保護法第25条において禁止されておるので、これは岩手県の川の特性、沿岸に流程が非常に短いし、サケが上がる距離も非常に短いということから、まず川の方はとても岩手県では無理であろうと思う。
 それから海においては、先ほど北海道では行われておるわけであるが、岩手県においても先ほどお答え申し上げたとおり、特にはえ縄船については、北海道は25隻ほどしか許されていないわけであるが、岩手県では昨年の許可数でいっても1、000隻余り、ことしもそうなのであるが、1、000隻のはえ縄船が、その漁期になると漁場で輻輳するわけである。ここいら辺の問題をやはり理解を得ていくのがかなり難しいところではないかと、そのように考えておるところである。

〇長谷川委員長 簡潔にお願いする。

〇伊藤委員 1点だけであるけれども、昨年のサンマのはしりの時期には1匹300円であった。ところがサケは、いっぱいとれたということもあってどんどん浜値が下がり65円ぐらいまで下がった。サンマよりも安かった、こういう状況であるから、ぜひ、私たちは貴重な動物たんぱくとして今後も摂取をしていく部分があるが、それはやはり漁業者と一体となってみんなで消費をしていくと、こういうことであると思うので、そういう県民の素朴な要求をぜひ団体の方たちと論を進めていただくように、そして早い実現をお願いをしたいということを要望して終わる。

〇船越委員 質問しないつもりだったけれども、何のためにお前は県議会議員に出てきたのであるという声が周りにあったので申し上げるが、ただしつこくなくやるので余り緊張しないでいい。
 去る10月20日に県公会堂において漁業危機突破大会というのを開き、6項目にわたってそれぞれのお願いをそれぞれ県知事あるいは議長、各委員長方にお願い申し上げたとおりである。あらまし問題は、業界はついに強気の鈴木会長も、自分たちだけではどうにもならないということでギブアップして、行政にお願いを求めてきたということであるが、そこで強力なる指導というものが私は絶対必要であると思う。というのは、過般先輩議員方あるいは佐藤正春議員たちからもいろいろ県当局部長方への指摘があったが、水産業界の方でも私、指摘を申し上げたいのであるが、余り緊張しないでもらいたい。
 例えば、先ほど海区調整委員会等の話も出たのであるが、これはかつて工藤知事たちのころに、せっかく公益代表、学識経験者、こういったものを勇気ある区分けをしたのであったが、県知事がかわり当局がかわったら、いきなりもとのもくあみに返ってしまったということで、非常に我々は落胆をしたといったようなことであるから、このような弱腰でこういう大変な革命的な改革が果たしてできるのであろうかということを私は心配するわけである。そういうことで、例えば私1点だけで終わるので、後は追及しないので、長いと思わないで我慢して聞いていてもらいたい。
 過般には県当局でイスラエルの前首相であるシモンペレスという人を呼んでお話を伺った。あのときのあの人が、偉大なる政治家は偉大なる教育者でもなくてはならないと、非常に示唆に富んだことを話されたのである。そういうところから私考えて、現県知事が若いものであるから、若くて、稲刈り機に乗ったりなど非常にすばらしくいいのであるが、かえって行政に疎いのではないかといったようなことから、部長方が好きなこと好きなことというか、いろいろ不祥事が出るのは、甘く見ているのではないかと、こういったようなことがあるのである。
 そういったようなこともあり、私は本論に戻せという話もあるが、そこで指導部が、部長たちが、一筋縄ではいかない漁業団体であるということはあなたはだれよりわかっている。だから、強力な覚悟でやらなければなかなか大変である。今度この信用事業、統合ばかりでなく、漁業協同組合の合同でも、案を見ると個人の定置などやめるなんて全然書いてない。それは保護したままである。そういったようなことで、今何とかかんとか飯を食っている漁業協同組合というのは、過去に大きな漁業権開放というような歴史的に血を流したような努力をし、あるいはそういったような赤字等を克服するためにいろいろ爪に灯をともしてやってきたものだけがうまくいっているのである。そういったような状況に乗せるためには、あなた方の強力な指導がなければ到底絵にかいた餅になるということを私申し上げておくが、そこさえしっかりすれば、後は細かいことは言う必要はないのである。だから、部長の決意のほどをお聞かせいただいて私は終わる。

〇中村林業水産部長 厳しい漁業環境にあることは十分私ども認識しており、今後の漁業の振興を図る上においては、漁協の役割は非常に大きいわけである。そういう観点から、漁協の信用事業を県組織に一本化するという系統組織の取り組みについては、私どもも強力に指導助言をしてまいりたいと思っておるし、また漁協の本体の合併についても、漁業の内外の競争環境は一層厳しくなってくることであるので、広域的な合併についても系統団体挙げての真摯な議論をお願いをしながら、県としてもそれが促進されるように努めてまいりたいと考えておる。

〇斉藤委員 私絞って2項目。大きな2項目であるが、第1点、秋サケの消費拡大について。
 96年度の秋さけ等利用拡大推進事業の実績を見ると、学校給食が62万食、料理教室16回、料理コンクール1回、消費拡大イベントが5地区、いくらブランド化などとなっておる。97年度の状況はどうなっているであろうか。この間の効果をどう評価しているであろうか。この事業は95年から97年までの3カ年事業であると思うけれども、さらに拡大充実させる必要があると思う。特に、学校給食に続いて県立病院や福祉施設などに広げる必要があると思うがいかがか。今後の事業の戦略方針を示していただきたい。
 第2点、大規模林道川井住田線について。
 大規模林道川井住田線の事業目的は何か、何のための工事か。横沢-荒川区間の工事の進捗状況はどうなっているか。9年度事業が進めば何キロ残るか。既設路線の利用状況はどうなっているであろうか。公共事業の縮減方針が林業水産部でも出ている。事業効果について評価して見直すべきは見直すとしているが、この大規模林道工事の事業効果、評価はどうなっているであろうか。幅員7メートル道路は5メートルに見直すとの指摘がある。大規模林道はなぜ7メートル道路となっているのであろうか。この見直しは検討されているのであろうか。
 第2点。クマゲラ生息確認調査が3カ年行われているが、調査報告書では、クマゲラの生息の確認、繁殖の可能性が指摘されている。どういう内容であろうか。最近、工事計画周辺でレッドデータブックの絶滅危惧種クマタカの生息情報、オオタカ、イヌワシの目撃情報も寄せられている。広域基幹林道夏油湯田線の場合は、各分野の猛禽類、植生、森林防災の専門家による調査委員会を設置して、工事を凍結して平成7年2月から2年以上にわたって調査をしている。大規模林道川井住田線の場合にも、工事を凍結して各分野の専門家による調査委員会を設置して科学的な調査を行うべきと思うがいかがであろうか。
 第3点。昨年の決算特別委員会で私はこの問題を取り上げた。森林土木課長の当時の答弁は、計画ルートの選定に当たっては、専門家の意見を踏まえ、自然環境の保全に十分留意して事業を進めるという答弁であった。実際にどう専門家から意見を聞き、計画ルートの選定に変更はあったのであろうか。

〇上村漁業振興課長 秋サケの消費拡大の推進についてであるけれども、まず、本年度11月末現在の秋サケの状況についてお話し申し上げたいと思う。
 11月末現在で3万トン程度の水揚げがあり、史上最高であった昨年、平成8年度に比べ65%となっておる。これは、8年度は非常に飛び抜けた数字であり、過去5カ年に比べると平均漁獲量とまず同じようになっておる。肝心の価格であるが、キログラム当たり257円で前年比166%と今好調に推移しており、水揚げ金額においても78億円と過去3年間を上回っている状況にある。
 本年度の秋さけの利用拡大推進事業であるが、一つには、高品質いくらの東京市場や全国豊かな海づくり大会でのPR、あるいは市場での鮮度管理の徹底や選別規格の統一促進、あるいは学校給食への利用拡大、あるいは加工品コンクールの実施、また盛岡や沿岸市町村での学校給食への知事やあるいは市町村長あるいは振興局長の出席によるPR、あるいは漁協婦人部を通じての秋サケ料理の普及等々をやってまいった。
 また、盛岡市内においては、11月11日のサケの日を中心に食べ歩きキャンペーンホテル、飲食店等の協力を得て食べ歩きキャンペーンを実施したところである。この結果については、東京市場でのいくらの評価が上がっているということと、県内全市場での取り扱い選別規格ができた、それから学校給食のサケの日の利用が増加している等々で、着実に効果が上がっていると考えておる。特に秋サケの学校給食への利用拡大については、本年度の実施率を100%昨年度88%であったので100%を目指して頑張っていきたいと考えておる。さらに、今後は県立病院等の公的な施設についても利用拡大ができないかということで働きかけていきたいと考えておる。
 今後とも県としては、関係者一体となって秋サケ消費拡大に取り組み、低迷している魚価の向上に努めてまいりたいと考えておる。

〇近藤森林土木課長 大規模林道の件についてお答えする。
 大規模林業圏開発林道は、旧薪炭林等の低利用の広葉樹が広く分布している山村地域において、森林資源の適正な利用と整備保全を図り、林業を中心とする地域振興等のための総合的な地域開発を促進するため、林道網の中核となる林道事業として実施しているものである。
 また、進捗状況であるが、横沢-荒川区間の工事の進捗状況は、計画延長が41.4キロメートル、平成9年度末見込みで34.5キロメートルとなり、進捗状況では83.3%となる見込みである。
 なお、そうすると残りは約7キロということになる。
 また、利用状況であるが、この林道の既設路線は、それぞれの地域の幹線道路として、森林の保育管理、シイタケ原木や木材の搬出等、林業本来の利用のほかに、林道沿いには放牧地が多いことから、畜産業の振興や、また集落間交流の生活関連道路などとして多目的に利用されておる。
 事業効果とか評価のことであるが、この林道については地元市町村から高く評価されており、また早期完成が強く望まれておることから、大変重要な路線と考えておる。
 なぜ7メートルかという質問であるが、まず、大規模林業圏開発林道は、広大な山間部の森林整備を図るための骨格となる林道であることから、やはり幅は7メートルが必要なものと申し上げておく。
 それから、見直すべき、むだ、浪費ということであるが、この大規模林業圏林道は、山村地域において林業の振興を基軸とした地域産業の振興と定住環境等の総合的整備を図るために実施している公共事業であり、必要なものであると考えておる。
 それからクマグラであるが、平成7年から実施した森林開発公団の報告書によると、クマゲラのものと思われる痕跡木は確認されておるが、クマゲラ本体や営巣木の存在は認められなかったと聞いておる。
 また、工事の凍結についてであるが、森林開発公団においては大規模林業圏開発林道の実施に当たり、林野庁マニュアル、環境庁の手引きに基づき調査したが、その要件となっている希少な鳥類の情報内容が具体的かつ信憑性があり、しかも繁殖の可能性がある場合、これに該当しなかったので工事を停止せずに事業が継続されているものである。しかしながら、森林開発公団においても自然環境に十分留意する観点から、工事を実施しながら希少な鳥類等の調査をしていると聞いておる。今後の工事についても、県としては、この林野庁マニュアルあるいは環境庁の手引きにのっとって対処されるように森林開発公団には要請してまいりたいと思っておる。
 それから、専門家の意見を聞いたのかということであるが、森林開発公団においては、クマゲラの生息確認調査を平成7年から9年の3年間にわたり社団法人の日本林業技術協会に委託し、調査を実施してきたところであるが、その調査結果を踏まえて適切に対処していると伺っておる。

〇斉藤委員 答弁漏れがあるけれども、私は本当に居直り答弁で驚いた。というのは、大体林業水産部自身が林業の公共事業の見直しの項目で大規模林道7メートルは見直すと、こうなっているのである。それで私は利用状況を聞いたけれども、抽象的な答弁であったけれども、横沢-荒川区間は山菜道路である。私は二度にわたって調査をしたけれども、本当に交通量はほとんどない。そして、もしこれが観光道路になったらどうなるか。早池峰の県道が問題になったけれども、今オーバーユースで、これ以上本当に観光客や登山客が来たら、あの早池峰の自然が大変になるという状況なのである。これは利用されても問題であるが、今は利用されていない。どっちに行っても問題ということなのである。そういう点で私は、あなた方が出した公共事業の見直しの項目に出ている大規模林道は見直すと、7メートル必要なのかと、この点を部長に聞きたい。本当にあなたは見直す気があるのかどうか。
 この横沢-荒川区間は、7メートルというのはもう2車線の立派なハイウエー道路である。ところが、道路ではないということで環境アセスはやられていない。しかし、立派な道路がつくられている。既につくられた道路からクマゲラのねぐら木が見つかるところなのである。環境アセスをやったら、通してはならないところに既に道路が通っている。これは事実である。
 クマゲラの生息確認調査報告書をじっくり見ていただきたい。どういうことが書かれているか。これは平成7年度報告書である。林道計画路線周辺及び早池峰山周辺は、現在もクマゲラの生息地となっていることが判明した。平成8年の報告書、早池峰山の主稜線尾根からつながる山地で、保護樹林帯には樹齢150年程度の通直なブナが残されており、クマゲラの生息の可能性は否定できない。そしてこう言っている、こうした地域での繁殖の可能性は考えられる。いわば繁殖の可能性もあると言っているわけである。これは、クマゲラが見つかったら全国的な重大ニュースなのである。それが見つかっていないから工事凍結をしないと、とんでもない話である。
 そしてクマタカの問題については、もう数十回もことしまじめに観測をして明らかになっている。繁殖の可能性も示されている。林野庁のマニュアルのフローを見ると、今課長が言ったけれども、工事実施中、貴重な鳥類の生息の発見情報、ニュース、繁殖の可能性が高い場合には工事の一時停止である。私はクマタカがこれに該当すると思う。なぜ工事を中止しないのか。今もう峰越しに来て、あと残り7キロ。幾ら調査するといっても、峰越しで調査が進んだら、重大な発見がされたときには工事は終わっていたということになったら大変なことになるのである。
 私はそういう点で、専門家の報告書も見てみた。専門家はこう言っているのである。現在残されている当地周辺の保護樹林帯は、本種にとってクマゲラである良好な生息地となり得る。したがって、可能な限り現在の環境を保持することが望まれる。そのような観点から、林道予定線は保護樹林帯を通過させることは好ましくなく、なるべく民有地やカラマツ林の人工林を通過させることが望ましい、これが専門家の提案である。私はもっと正確に答弁をしていただきたい。まともに答弁していただきたい。そんな答弁ではだめである。

〇中村林業水産部長 大規模林業圏開発林道の林道川井住田線の問題であるが、見直すべきではないかという御指摘である。先ほど課長からも申し上げたように、この林道については、北上山系の広大な森林の区域の持てる地域資源を最大限に活用して、地域の振興をいかに図っていくかと、それの基幹的な施設として大規模林道は開設をなされているところである。県としては、その自然環境の保全に留意をしながら工事を進めていただきたいということは、全く私どもとしては同じであるけれども、現在開発公団の方でそういう方針のもとで工事を続行していただいておる。県としても、地域の産業の振興上あるいは定住環境の改善を図る観点から、ぜひこれは早期に完成させるべき林道と私考えておるので、今後とも適切に実施されるよう公団の方にも要請をしてまいりたいと思っておる。

〇長谷川委員長 いいか。

〇斉藤委員 いや、私いろいろ聞いているであろう。林野庁のマニュアルとか。

〇近藤森林土木課長 大規模林道で7メートルを見直すと言っているのは、原則7メートルの中で、やはり地形であるとかいろいろな条件の中でそこまで必要ない、あるいはここはまずいというようなところについては縮小しようという基本論であると考えておる。であるから、先ほども言ったとおり、これから公団が実地測量をしながら進めていく中で、当然そういうところに遭遇すればそう対処すると言っているので、我々はそれを対処してくれという形で要請してまいっているわけである。

〇長谷川委員長 先ほどの菊池雄光委員の答弁を留保している部分があるので、答弁をさせる。

〇上村漁業振興課長 先ほどサケ・マス増殖にかかる施設整備、どのぐらいかかってきたかということであるけれども、サケ・マス増殖施設の整備は昭和46年から約25年以上やっておるけれども、対象河川として沿岸31河川をやってまいった。先ほど内陸13カ所あるが、これは自前で整備してまいった。沿岸の整備については総事業費45億6、800万円で、このうち国費が19億6、600万円、県費が10億5、900万円、国費県費計で30億2、500万円で、その他は自己負担になっておる。

〇長谷川委員長 ほかに質疑ないか。

〇斉藤委員 私の質問に答弁していないのである。もう一回言う。林野庁のマニュアルからいけば、繁殖の可能性がある場合には工事の一時停止である。クマゲラについては、もう数十回の飛行と幾つかのつがいと、繁殖の可能性を具体的に指摘している。そして私は聞きたいのであるけれども、県がやっている広域基幹林道夏油湯田線、ちゃんと各種の専門家を選んで調査委員会をつくって2年以上もやっているであろう。もっと大規模な工事でもっと深刻な問題が提起されているのに、なぜこの大規模林道ではそういう専門家の調査委員会をつくってやらないのか。そういうことをあなたはなぜ求めないのか。山形県では、県の林政課が林野庁にこの調査を求めてやったのである。だから、調査をして工事を見直せばいいではないか。
 それで私はこの問題で、クマゲラの問題だけではなくて、大野線のところにも行ってきた。もう岩石は風化状態であった。だから本当にぼろぼろのもろい地質のところの稜線が今工事に入っているのである。私はそういう点では、地質防災、森林防災も含めた専門的な調査が必要であると思う。7メートルの立派な道路をやっているのであるから、本当に防災にも考慮したものを、部長、林野庁にそういう調査を当然求めるべきではないか、そうして必要な工事をやったらいいではないか、そう思うけれども、いかがであろうか。

〇中村林業水産部長 森林開発公団においては、平成7年度から9年度までの3カ年にわたり、社団法人日本林業技術協会という専門の調査機関に調査を委託して実施されておるわけであり、その調査結果を踏まえて適切に対処されていると考えておる。

〇長谷川委員長 ほかに質疑ないか。〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇長谷川委員長 質疑がないようなので、林業水産部関係の質疑をこれで終わる。
 この際、昼食のため午後1時まで休憩する。
   午前11時52分 休 憩
   午後1時4分 再 開

〇千葉副委員長 休憩前に引き続き会議を開く。
 これより、中村農政部長から農政部関係の説明を求める。

〇中村農政部長 平成8年度の農政部関係の決算について御説明を申し上げる。
 決算の内容に入る前に、平成8年度の農業の概要と農政の推進状況について御説明申し上げる。
 平成8年度は、春先の低温、日照不足により作物全般の生育のおくれから作柄への影響が懸念されたが、農家の方々の適切な管理に加え、7月以降の天候の回復もあって持ち直し、米は作況指数101の平年作を確保したところである。園芸、畜産については、病原性大腸菌O-157や欧州での狂牛病の発生の影響により、生食用野菜や牛肉の価格低迷等があったが、生産額は前年並みとなるなど、県農業全体として順調な生産を上げることができたものと存じておる。
 一方、平成8年度は、全国規模のイベントである第8回全国農業青年交換大会、第6回全国食文化交流プラザ食パラダイス岩手96が本県で開催され、ともに大成功をおさめたところであり、参加した農家や関係者の方々にとって大きな自信につながるとともに、本県の知名度の向上とイメージアップを図ることができたものと考えておる。
 また、平成8年度は第3次新いわて農業確立計画後期推進計画の初年度に当たることから、計画が目指すたくましい農業、魅力ある農村の早期実現に向けて、農業生産基盤、生活環境施設等の重点的な整備を初めとするウルグァイ・ラウンド農業合意関連対策や、生産流通施設等の整備対策、さらには中山間地域の活性化対策など、ソフト、ハード両面にわたる諸対策を積極的に講じ、農家の方々の農業所得の向上と農業の振興に努めてまいったところである。
 それでは、決算の内容について御説明申し上げる。
 まず、一般会計についてであるが、平成8年度岩手県歳入歳出決算書の12ページをお開き願う。
 農政部は、6款農林水産業のうち、14ページに参って、1項農業費、2項畜産業費、3項農地費であるが、平成7年度から平成8年度への繰越額290億5、367万8、000円を含めた予算現額は、1、518億824万5、000円と、16ページの11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費のうち、同じく繰越額を含めた3億7、072万1、000円を合わせた総額1、521億7、896万6、000円である。これに対する歳出済額は、1、289億8、416万3、001円となっておる。
 また、平成9年度への繰越額は、6款農林水産業費1項農業費から3項農地費までの33事業で、231億3、744万3、820円と、11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費の1事業3、498万1、472円を合わせた34事業で、231億7、242万5、292円である。その主なものは、国のウルグァイ・ラウンド農業合意関連予算の補正措置に対応したものであって、工事の施行期間等の関係から繰り越しを余儀なくされたものである。この結果、予算現額に対する支出済額の割合は84.8%となるものであり、また、県の一般会計決算額に占める農政部の割合は14.9%となるものである。
 以下、個々の内容については、便宜、平成8年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げる。なお、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心にその内容を御説明申し上げるので、御了承願う。
 歳入歳出決算事項別明細書の176ページをお開き願う。6款農林水産業費1項農業費1目農業総務費の主なものであるが、管理運営費は農政部職員に係る人件費等に要した経費であり、国土調査事業費は国土調査法に基づき、宮古市ほか28市町村が実施した地籍調査に要した経費について助成したものなどである。178ページをお開き願う。2目農業金融対策費の主なものであるが、農業近代化資金融通対策費、地域農業担い手育成資金利子補給、農家負担軽減支援特別資金利子補給などは、農業者等の資本装備の高度化による農業経営の近代化を図るため、農協など融資機関が貸し付けた制度資金に対する利子補給費について助成したものなどである。次に、3目農業構造改善対策費の主なものであるが、農業構造改善事業費は、岩手町岩手地区ほか4地区、地域農業基盤確立農業構造改善事業費は、前沢町前沢地区ほか19地区で、いずれも農業、農村の活性化及び望ましい農業経営体を育成するため、土地基盤整備、近代化施設整備、集落の環境条件の改善等に要した経費について助成したものである。次のページに参って、農村地域高密度情報社会形成事業費は、北上市和賀地区ほか2地区で、広域農業情報管理施設の整備等に要した経費について助成したものである。なお、翌年度への繰越額は、8億8、947万円であるが、これは、地域農業基盤確立農業構造改善事業費であって、先ほど申し上げたとおり、平成8年度において、国のウルグァイ・ラウンド農業合意関連予算の補正措置に対応したものであるが、年度内の完成が困難となり、翌年度に繰り越したものである。以下、同様の事情による事業繰り越しが関係する目にあるが、その説明は省略させていただくので御了承を願う。次に、4目農業改良普及費の主なものであるが、地域農業改良普及センター管理運営費は、県内17の地域農業改良普及センターの管理運営に要した経費である。次の全国農業青年交換大会開催費は、先ほど申し上げたが、次代の日本農業を担う全国の青年農業者が一堂に会し、その知識や技術を相互に交換することを目的に、平成8年8月28日から30日まで、岩手産業文化センターをメーン会場に、県内10地域での現地交流会の開催に要した経費を負担したものなどである。次に、岩手農業新規参入支援総合対策事業費は、就農促進や定着を図るため、農業以外からの新規参入者などを含めた若い農業者に対し、研修など各種の支援事業に要した経費について助成したものなどである。次に、5目農業振興費の主なものであるが、基礎的バイオテクノロジー技術開発促進事業費は、バイオテクノロジー応用化研究推進のため、財団法人岩手生物工学研究センターに、遺伝子組みかえなどの基礎的研究を委託し、農作物の新品種の作出、有用微生物利用技術の開発研究などに要した経費である。次のページに参って、農業研究センター整備事業費は、平成9年4月に供用開始をしておる北上市のセンター本部及び軽米町の県北農業研究所の本館建設や圃場整備等に要した経費である。次に、山村等振興対策事業費は、遠野市ほか27市町村が実施した定住環境の整備、都市との交流促進対策等に要した経費について助成したものである。次の全国食文化交流プラザ開催費であるが、これも先ほど申し上げたが、本県のすぐれた食文化や食の環境変化に対応した新たな食文化の創造と農林水産業及び食品加工業の振興を図るため、平成8年10月31日から11月4日までの5日間、岩手産業文化センター、県民会館を中心に開催した、全国食文化交流プラザの開催に要した経費を負担したものなどである。次に、中山間地域活性化推進事業費は、特定農山村法に基づき、沢内村ほか12市町村が、農林業など活性化基盤整備計画に即したソフト面の取り組みを計画的、安定的に促進するため造成した基金に対して助成したものである。次に、新いわて農業再編総合対策事業費は、収益性が高く、地域ごとに特色のある農業への再編を促進するため、釜石市橋野地区ほか308地区が、地域の事情に応じて実施した土地基盤、共同利用施設など生産から流通に至る各種の条件整備に要した経費について助成したものである。次に、6目農作物対策費の主なものであるが、農業生産体制強化総合推進対策事業費は、水稲種子需要の拡大に対応し、優良種子を安定的に確保するため、北上市農協、岩手紫波町農協が実施した施設整備、機械導入に要した経費について助成したものである。いわて純情米いきいき生産体制確立事業費は、低コスト、高品質の生産体制の確立を図るため、推進指導、共同利用施設整備など、ソフト、ハード両面の各種事業に要した経費について助成したものである。次のページに参って、地域調整推進事業費補助は、米の生産調整の実効性を確保するため、農協などがとも補償を行うため、農業者などの拠出により造成した基金に対して助成したものであり、次のとも補償定着化推進事業費補助は、稲作、畑作それぞれの経営志向に応じて営農の展開が図られるよう、特にガイドライン配分を超えて転作を引き受ける農家、いわゆる受け手農家対策として農協などが造成した基金に対して助成したものである。次に、7目畑作振興費の主なものであるが、農業生産体制強化総合推進対策事業費のうち、農業経営育成生産システム確立事業費は、中核的な野菜生産者を核とした地域農業生産システムを確立するため、加工処理施設、機械の導入、情報処理施設などハード、ソフト両面の整備に要した経費について助成したものであり、リンゴわい化栽培等緊急推進対策事業費は、岩泉町ほか12市町村が、省力化のため、矮化栽培の促進や優良品種への改植などに要した経費について助成したものであり、高付加価値型農業等育成事業費は、大野村ほか11市町村等が野菜、葉たばこ、ホップ、ソバなど、地域の条件を生かした栽培、流通体系の導入による産地育成、加工など、その条件整備に要した経費について助成したものである。次に、フードシステム高度化推進事業費は、地域で生産される青果物などの有効利用と高付加価値化を図るため、新事業の展開や施設整備等に要した経費について助成したものである。次のページに参って、花きセンター整備事業費は、本県の花卉生産の一層の振興を図るため、県立花きセンターに、担い手の研修、指導者の養成などの拠点施設の整備に要した経費である。次に、8目北上奥羽山系開発費の主なものであるが、広域農業開発事業償還金は、農用地整備公団が事業主体となって実施した、北上山系8区域、奥羽山系2区域の県及び地元負担金を同公団に償還した経費であり、北上山系入植農家経営安定緊急対策事業費は、広域農業開発事業で北上山系に入植し、経営不振に陥っている負債農家に対し、経営改善を図るための支援に要した経費について助成したものである。次に、9目植物防疫費の主なものであるが、病害虫防除所管理運営費は、病害虫の発生予察、防除指導、農薬安全使用指導などに要した経費であり、革新的防除システム確立実証事業費は、地域の防除指導体制の整備、育成強化を図るため、先進的防除機器による防除の実施、その後の環境影響のチェックを一貫して行うシステムの実証に要した経費である。188ページをお開き願う。10目農業協同組合指導費の主なものであるが、農業経営体質強化特別指導事業費補助は、農協の経営指導体制の充実強化及び農業法人の経営体質強化を図るため、県農協中央会が農協の営農指導員を対象とした農業経営コンサルタント研修などに要した経費について助成したものであり、農協系統組織整備促進事業費は、農協系統が取り組んでいる農業再編の促進に要した経費について助成したものなどである。次に、11目農業共済団体指導費の主なものであるが、農業共済団体等事務費補助は、農業災害補償法に基づいて、県農業共済組合連合会及び13農業共済組合が、農業共済に係る事務に要した経費について助成したものである。次に、12目食糧管理費の主なものであるが、地域米消費拡大対策事業費は、米の消費拡大などを推進するため、県米消費拡大推進協議会及び花泉ほか13市町が、米消費拡大キャンペーン、米料理教室などの広報、普及活動に要した経費について助成したものである。190ページをお開き願う。13目農業試験場費、14目園芸試験場費は、それぞれの管理運営、試験研究に要した経費である。192ページをお開き願う。15目農業大学校費は、農業の中核的担い手となる農業従事者などを養成するための農業大学校の管理運営、施設整備に要した経費である。次に、16目蚕業費の主なものであるが、いわてシルクの里育成推進事業費は、良質繭の生産、高品質化などを図るため、種市町農協ほか5農協が、生産技術の実証、生産指導に要した経費について助成したものなどである。194ページをお開き願う。17目繭検定所費、18目蚕業試験場費は、それぞれの管理運営に要した経費などである。

 196ページをお開き願う。2項畜産業費1目畜産総務費の主なものであるが、管理運営費は畜産関係職員の管理運営に要した経費であり、畜産団体育成対策費のうち、岩手県肉牛生産公社経営改善対策費は、同公社の経営健全化を図るため、無利子資金を貸し付けたものである。次に、2目畜産振興費の主なものであるが、畜産再編総合対策事業費のうち、次のページに参って、地域畜産活性化対策費は、安代町ほか28市町村が地域ぐるみで取り組んだ生産コストの低減、生産条件の整備等に要した経費について助成したものである。次に、家畜改良増殖対策事業費のうち、日本短角種集団育種推進事業費、黒毛和種牛群育種改良推進事業費は、県産優良種雄牛の作出と産肉能力検定に要した経費などである。次に、家畜畜産物価格安定対策事業費は、肉用子牛などの価格低落時に生産者補給金を交付するため、畜産物価格安定基金協会が行う生産者積立金に対して助成したものである。次のページに参って、家畜市場近代化総合整備事業費は、家畜流通の近代化、合理化を図るため、県経済連が中央、県南の両家畜市場の再編整備に要した経費について助成したものである。次に、農業研究センター整備事業費は、農業研究センターの畜産部門として、草地の整備、研究機器の整備等に要した経費である。次に、3目草地対策費は、畜産関係の公共事業がその主なものであるが、公共育成牧場整備事業費は、西根町寺田地区ほか7地区、担い手育成畜産基盤総合整備事業費は、下閉伊南部地区ほか4地区、県営畜産経営環境整備事業費は、二戸西部地区ほか4地区で、草地の造成、畜舎及び家畜排せつ物処理施設などの生産基盤、経営基盤の整備に要した経費について助成したものなどである。次に、4目家畜保健衛生費は、家畜の衛生対策、伝染病予防対策に要した経費などである。202ページをお開き願う。5目畜産試験場費、6目牧野費は、それぞれ畜産試験場、種山牧野事務所の管理運営に要した経費等である。
 204ページをお開き願う。3項農地費は、農業農村整備に係る公共事業がその主なものであるが、支出済額は、ウルグァイ・ラウンド農業合意関連対策予算の平成7年度からの繰越額を含めて、県営、団体営合わせて783億5、800万円余である。これによって本県の平成8年度の整備率は、水田で52%、畑地で49%となる見込みである。また、翌年度への繰越額は189億1、800万円余であるが、これは、先ほど申し上げたとおり、国の補正予算措置などに対応したものであるが、年度内執行ができなかったものである。この繰越事業の現在の執行状況であるが、おおむね契約済みの状況である。まず、1目農地総務費は、農地関係職員の管理運営に要した経費などである。次に、2目土地改良費の主なものであるが、かんがい排水事業費は、石鳥谷町大瀬川地区ほか10地区、農道整備事業は、広域農道では東磐井地区ほか7地区、一般農道では葛巻町の江刈中部地区ほか27地区、農免農道整備事業費は、大東町岩山地区ほか33地区、ほ場整備事業費は、花巻市豊沢川地区ほか36地区、中山間地域総合整備事業費は、宮守村鱒沢地区ほか18地区、農村総合整備モデル事業費は、久慈市久慈地区ほか34地区、次のページに参って、農業集落排水事業費は、盛岡市の太田第2地区ほか29地区、ふるさと農道緊急整備事業費は、金ヶ崎町六原地区ほか36地区の、それぞれの整備及び助成に要した経費である。次に、国営土地改良事業費負担金は、国営の胆沢平野かんがい排水事業ほか16地区の県及び地元負担金である。次に、3目農地防災事業費の主なものであるが、防災ダム事業費は、衣川4号ほか2地区、ため池等整備事業費は、雫石町の御所地区ほか32地区の整備に要した経費である。208ページをお開き願う。4目開墾建設事業費の主なものであるが、農地開発事業費は、普代村普代地区ほか1地区、開拓地整備事業費は、陸前高田市滝の里地区ほか35地区の整備に要した経費である。次に、5目農地調整費の主なものであるが、農地保有合理化促進費は、農業経営の規模拡大、農地の集団化など農地保有の合理化を促進するため、岩手県農地管理開発公社などが農地の売買、貸借等に要した経費について助成したものである。
 次に、ページを飛んで、304ページをお開き願う。11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費1目農地及び農業用施設災害復旧費は、災害を受けた169地区の農地及び農業用施設の復旧に要した経費について助成したものなどである。
 以上が一般会計の歳出決算である。
 次に、農業改良資金特別会計の決算の内容について御説明申し上げる。332ページをお開き願う。
 岩手県農業改良資金特別会計の予算規模であるが、歳入歳出それぞれ22億2、471万1、000円である。
 まず、歳入についてであるが、収入済額は22億2、624万3、619円で、その主なものは、一般会計からの繰入金、前年度からの繰越金、諸収入、貸付金に係る償還金などである。
 次に、歳出についてであるが、336ページをお開き願う。支出済額は20億4、573万4、628円で、その主なものは、農業改良資金の貸し付けが363件、就農支援資金の貸し付けが32件のほか、この事務推進に要した経費などである。この結果、歳入決算額から歳出決算額を差し引いた1億8、050万8、991円は翌年度に繰り越しているものである。
 以上が岩手県農業改良資金特別会計の決算である。
 なお、農政部の主要な事業の成果については、お手元に配布しておる主要施策の成果に関する説明書にそれぞれ記載しておるので、ごらんいただきたいと存ずる。
 以上をもって農政部所管に係る平成8年度決算についての説明を終わらせていただく。よろしく御審議くださるようお願い申し上げる。

〇千葉副委員長 ただいまの説明に対し質疑はないか。

〇村田委員 冒頭を承って二、三お聞きしたいと思う。
 平成8年度、ただいま部長がおっしゃった総括の所信の表明があったわけであるが、特に社会経済環境が大きく変化する中で、農業研究センターの開設のための諸条件の整備など、岩手県の農業、農政の確立のための各般の諸施策が意欲的に推進されたということ、大変敬意を表するわけであるが、その中から特に農業振興費の中で、環境保全型農業推進事業、とびっきり環境保全型育成事業、これはこの年度、新規じゃないかと思うんであるが、それから目が変わって農作物対策費の中にも、環境に優しい農業技術の開発事業というのが見えるわけであるが、これらはどのような意味合いのもので、どのような意図で計上されたものであるか。また、その実績についてのお考えをまずお聞きしたいと思うのである。
 それから、農業信用基金協会に出資をしておるわけであるが、この原資の累計額がどのくらいになっておるか、また、農業をめぐる環境が非常に厳しい折から、この信用基金協会の果たす役割も大変重かつ大であろうと思うのであるが、その運営の中身について説明を願いたいと思うのである。
 それから、国土調査の状況について承りたい。国土調査法に基づいて県が意欲的に市町村を促し、しりをたたいて予算の確保に努め、そしてまた、それの実績もまた着実に行われておるようであるけれども、これの調査確認面積、どの程度県土の全体の中のパーセンテージと、それから市町村関係のこれから5年、10年、20年というふうにかかる市町村もあると思うんであるけれども、これらの予算確保についての今度の財政構造改革に何らかのこれらの推進に変化がないものか、この辺の御所見もお聞きしてみたいと思うのである。
 まず、それだけの御答弁どうぞ。

〇中村農政部長 まず、環境保全型農業改善関連事業ということであるが、この事業については継続で実施させていただいているものであるが、まず環境保全型農業を推進するということがこの両事業の内容であるわけであるが、この内容と相違点について御説明申し上げると、まず環境保全型農業総合推進事業については、生産量あるいは品質を低下させずに、むだな肥料あるいは農薬を省くための技術の開発、あるいは普及ということであって、具体的には性フェロモンを利用したリンゴの害虫防除、あるいはハチを利用したトマトの病害虫防除法などである。
 また、とびっきり環境保全型産地育成推進事業については、有機農業や無肥料あるいは無農薬栽培など、化学肥料あるいは農薬を全く使用しなくとも経営的に成り立つ農業の技術を確立させようというものであって、言うなれば前段の環境保全型農業総合推進事業よりさらに高い技術の確立を目指しているというもので、具体的には堆肥を使用し、無化学肥料で収量の水準がどうなるのか、そういったことの要因の解明のためにいろんな調査を実施させていただいているところである。
 それから、農業信用基金協会の関係については農業経済課長、国土調査事業については農地計画課長から答弁をさせるので、よろしくお願いする。

〇相原農業経済課長 岩手県農業信用基金協会は、農業者などが、農業近代化資金などの制度資金や一般の営農、生活資金を農協等の融資機関から融資を受ける場合に、その債務保証を行っておるものであるが、債務保証に要する基金については、県、市町村、農協等がそれぞれの持ち分に応じて出資しておる。8年度末におけるその出資金については、合計で28億6、600万円となっておって、内訳を申し上げると、県が7億1、500万円、市町村が2億1、600万円、農協が13億7、800万円、連合会ほかが5億5、700万円という状況である。
 この基金の運営状況についてであるが、農業近代化資金の債務保証に係る基金分は十分確保されておるが、農家負担軽減支援特別資金であるとか、畜産関係の負債整理資金の債務保証に係る基金の分については、借入者である農家にかわって弁済する案件が発生していることなどから、毎年度必要な出資を行っている状況である。この基金協会の債務保証制度は、農家などに制度資金を円滑に融資するために不可欠な制度であるので、今後とも適切な運用が図られるよう支援、指導してまいりたいと考えておる。

〇永嶋農地計画課長 国土調査事業の県内の実施状況であるが、国土調査は、国土の開発及び保全、並びにその利用の高度化に資するとともに、あわせて地籍の明確を図る目的を持って昭和26年から実施されているもので、毎筆の土地について、その所有者、地番及び地目を調査するとともに、境界の測量、面積の測定を行い、その結果を地図及び簿冊に作成するものである。
 実施状況についてであるが、県内の調査対象面積は、国有林などを除外した1万1、091平方キロメートルであり、このうち平成8年度までの調査面積は7、950平方キロメートルで、その進捗率は72%となっておる。これは26市町村がもう既に完了しておる。また、本年度は27市町村で実施中であり、未着手の市町村はゼロとなっておる。ちなみに平成8年度末の全国の進捗率は40%、東北6県でも64%となっておって、本県は、全国で第8位の進捗率である。また、国土調査促進特別措置法に基づき国が策定した、平成2年度を初年度とする第4次国土調査事業10カ年計画の本県における実施状況は、目標計画面積2、600平方キロメートルに対し、平成8年度末においては1、400平方キロメートル余りで55%の進捗になっておる。これは全国比較では第2位の実施率ということである。県としては、地籍調査の早期完了に向け、進捗率の低い都市市街地の調査促進及び実施市町村の調査体制の強化について、関係市町村の指導を進めてまいりたいと考えておる。
 また、本事業の来年度予算の獲得であるが、財政構造改革会議の影響で公共事業については3年間で15%の削減が決定されたところである。本調査についてもこの影響でかなり来年度予算は厳しいという情報が入っておるが、予算の獲得に向けて一生懸命頑張ってまいりたいと考えている次第である。

〇村田委員 信用基金協会の出資金の原資が不足することは今のところはないか。
 それから、国土調査の場合であるが、大変成績のいいのに驚いたわけであるが、これは大変評価すべきことである。今後の予算の、状況にもよろうけれども、意欲的に中身の濃い事業推進が図られるよう、市町村の協力とあわせて御努力を願いたいと、これは要望であるが、この信用基金協会の原資の関係。

〇相原農業経済課長 資金の区分のうち近代化資金以外の制度資金に係る分については、きつい状況になってはおるが、運用できないというレベルではないので、これは今後を見据えてさらに出資の造成を図ってまいりたいと考えておる。

〇村田委員 それでは、角度を変えて地ビールの関係について伺いたいと思うんであるが、地ビールの取り組み、県として大変熱心に推進されておることは大変うれしいことであるが、今のところ銀河高原沢内ビール、それから一関、北上のわっか、それから宮守のわさびビールと、いずれも特色のある成績を上げておるようであるが、ただ、地ビールというのは、しかも農政部事業として推進されておるということの意味は、やはり原料の供給ということ、中山間にしろ一連の畑作振興の中で大麦を中心とする原料の自賄え体制をいかにするかということ、あるいはホップは大企業との契約で成り立っておるけれども、特色のあるホップを育成するためのこれは開発が必要であろう。これらの畑作振興の立場として目標がやはり100%地域特産の原料でいくということなのであろうか、限界はやっぱりやむを得ないんだと、この辺は外国に依存もしようがないんだと、あるいは採算の関係から、コストの関係からいってある程度外国依存もやむを得ないんだというようなことなのであろうか。いずれにせよこれらの事業は直接利益に結びつかない事業じゃないか、イメージアップ産業とも言えるものではないだろうか。その意味で大変関心度も高いし消費の拡大の余地もあると思うが、地ビールの取り組みについての現況と将来の見通しについて、どういうふうに部長お考えであろうか。
 それから、地ビールと地ワインというようなことと関連をして、生工研の方で最近、酸化しにくいワインの酵母の開発について熱心に取り組まれているようであるけれども、それの研究成果は大変注目すべきことであると思っておるが、あわせてお聞きしたいと思う。

〇中村農政部長 地ビールの関係であるが、委員御指摘のとおりであって、今、地元の地ビールサイドからも本県産のホップあるいはビール麦を利用したいという希望がある。特にも本県は、全国の4割を占めておるホップの主産県であるので、こうした県産の品質のよいホップを活用していきたいと考えておるし、ビール麦についても、県内では栽培技術が確立されておらないということから、農業研究センターにおいて、現在品種比較試験等を行う一方、北上市の現地においても10ヘクタール規模の大規模経営実証試験を実施しておって、早急に安定した栽培技術を確立したいと思っておる。現時点ではまだ県産のものを使用しておらないけれども、一部には来年度ぐらいからは県産のものを利用して、そうした特色のある地ビールの事業が展開されるように支援をしていきたいと思っておる。現在は、委員御指摘の4企業でもってやっておるが、特に具体的な目標は設定しておらないけれども、現在、遠野市において民間の方々が中心となって計画を進めていると伺っておる。
 県としては、こうした県産のホップあるいは野菜、あるいはハム、ソーセージなどの食材も大いに活用して、地域農業の振興あるいは活性化に結びつけていきたいと考えておるので、そうした計画がある場合には随時支援をしてまいりたいと考えている。
 先ほど生工研での酵母の関係の取り組みということであるが、現在、清酒用の優良酵母の育種技術ということで、お話あったワインについては生工研の方ともちょっと話し合いをしてみたいと思うが、いずれ現在は清酒の酵母の関係である。

〇村田委員 生工研の成果のデータを最近見たんであるけれども、確かにまだ安定性は、これから試験中だと言っているが、いずれ非常に興味のあるワイン酵母が開発されているということなようであるので、お調べの上ぜひひとつ、私どもの方でも試験をさせていただきたいと、こう思っておるのでお申し入れをしておく。

〇谷藤委員 今、村田委員の方からも質問あった部分とも関連するけれども、試験研究機関の部分についてお伺いをしたいと思う。
 農政部の試験研究機関としては生物工学研究所、それから農業研究センター等があると思う。農業研究センターについては開所したばかりということもあると思うが、とりあえず生物工学研究所の方でいろいろ研究をしてきたと思うが、この成果というのは主なものとなるとどういうものが、具体的に挙げていただければなと思う。
 そしてまた、その成果とともに、今後どのようなテーマで取り組んでいこうとしているものがあるのか。この分野については農業研究センターの方についても一つのテーマというものがあろうかと思うんであるけれども、その辺についてお知らせをいただきたいなと思う。
 それから、これらを進めていく上で国とか大学等との研究機関との効率的な研究分野の調整というものも必要になっていくのかなと思うけれども、その辺の取り組み、そしてまた、いろいろ連携等もとっていかなければならないであろうけれども、その辺のお取り組みの現状、今後どう考えていくのか、その辺もあわせてお聞かせをいただきたいと思う。
 それから、いろいろ研究をしてこられる中で非常に、結果が出るまでには時間のかかるものもたくさんあろうかと思うけれども、研究費というものを考えたときに、果たして十分だったのかどうか、もう少しあった方がよかったという感じなのか、その辺も含めてお答えをいただければと思う。
 それから、今いろいろ研究をしていく中でどういう成果があったかというその評価のシステム、これ山形県の方で導入したようであるけれども、民間を交えた形でその成果の点検を行っていくということがなされているようであるけれども、我が県としてはどういう形で今までの研究成果というものを評価しながら次に結びつけていく、そういう形というのをとってきたものか、今後新たなそういう、チェック機能でもないけれども、そういう点検をしながら結びつけていく、そんな機関がこれから必要になっていくんじゃないかなと思うし、それから研究員の任期というか、私ちょっと聞いたときには5年間か何かで一つの成果を目標に頑張っていくというようなお話を聞いたことがあるけれども、その辺の区切りというか、一つの研究に対するものというのはどういうふうに今もなっているのか。例えば、成果の上がらなかった研究員についてはもう入れかえをして新しい方を迎え入れるというような形で、今までそういうふうな方向になったものというのはあるものかどうか、その辺の考え方をお知らせいただきたいなと思う。
 それから、優秀なやはり研究員、スタッフをそろえる、これは非常に大切なことだろうと思うけれども、受け入れる環境としてはやはり研究員というのはいろんなところ、時間帯もそうであろうけれども独自の時間帯で研究をしていかなきゃないという部分もあるんじゃないかなと思う。そういうことで研究員を受け入れるための環境整備というのはどういうふうに今行われているのか、お知らせをいただきたい。

〇中村農政部長 まず、生物工学研究センターの研究推進に当たっての研究課題であるが、生物工学研究センターについては、県の試験研究機関のバイオテクノロジーの応用化研究を支援するということで、県から委託をしておるわけであるけれども、地域に密着した課題で技術開発をするということで、研究課題として、例えば水稲の耐冷性等にすぐれた品種の作出、あるいは花卉の形あるいは色にすぐれた品種の作出と、大量増殖技術の確立、あるいは野菜、果樹などの耐病性品種の作出などのテーマに取り組んでいるところであって、成果については、水稲では耐冷性あるいはいもち病抵抗性に関する遺伝子等を2、300余り収集し、いもち病抵抗性に関与するキチナーゼフユ遺伝子を本県オリジナル品種のかけはしに組みかえることに成功しておるが、いずれ効果が安定的に出るためには、環境への影響など安全性の評価した後に、実用化に向けた試験に持っていきたいと思っておるし、園芸作物についても、バイオテクノロジーを応用した研究を実施しておって、特にもトルコギキョウ等については、ウイルス病の抵抗性品種の育成に向けて取り組んでいるところである。結果として、新しい遺伝子導入法など10件の特許を現在出願中であって、さらに、水稲及びリンドウについては25件の遺伝子登録をしておるところである。
 また、研究機関との交流についてであるが、遺伝子などについての情報収集あるいは水稲のストレス耐性遺伝子など研究材料の交換、あるいは研究技術指導など広い分野にわたって大学あるいは国立の研究機関との連携をしておって、その研究の推進上大きな効果を得ているところであるので、今後とも連携を図ってまいりたいと考えておる。
 また、予算は十分かというお話であるが、活発な研究活動をする上でのかなめであるので、いわゆる施設等の運営費のほか、試験研究に必要な手当てについては現在十分なされてきているものと考えておるし、また、今後とも十分な試験研究活動ができるように、理解をもらいながらその確保に努めてまいりたいと考えておる。
 また、研究成果についてチェックというか、評価する制度についてであるが、センターが発足したのが平成5年である。そのときから国内有数のバイオテクノロジー分野の研究者である北本東京大学の教授など5名の方を委員とする研究推進委員会というのを置いて、そこで毎年数回厳密な評価をいただきながら、効率的な研究推進の御指導を願っているところである。
 また、研究スタッフについてであるが、現在中核研究員については5年の任期であって、再雇用もありとしているし、それ以外は女子については3年で最長ということも考えておるわけであるけれども、国内でも高い水準にあるスタッフの皆さんに来ていただいているというように認識しておる。研究環境についても、ソフト、ハード両面を充実させて、引き続き優秀な研究スタッフの確保定着化を図りながら、研究の活性化を促進してまいりたいと考えている。最近はそういうことで優秀なスタッフの方においでいただいておるものであるから、大学から助教授だとかそういったものへの登用のために引き抜かれる例も実態としてある。
 次に、農業研究センターについてであるが、試験研究の推進指針としては、おおむね10年ぐらい先を展望して、本年4月に第7次の農業試験研究推進構想というものを策定したところであって、その中身としては、一つにはバイオテクノロジー等を活用した本県オリジナル品種などの開発、あるいは大区画水田の省力、低コスト技術、さらには、環境保全に配慮した持続型の生産技術などに重点を置いておって、特にも重要かつ緊急な課題については、センター内の各部門の横断的なプロジェクト研究ということで、本年度から家畜排せつ物のリサイクル技術の開発ということで取り組んでいるところである。今後においても、農業者の皆さんの求めるニーズに即しつつ、効率の高い試験研究を進めて取り組んでまいりたいと考えている。

〇谷藤委員 いずれすばらしい研究成果があらわれることが県勢発展のために今後大きな力になるだろうと思うので、研究費も含めて必要なものについてはそれなりに確保しながら、人員もすばらしいスタッフでさらに研究を進めていただくことを御希望申し上げる。
 次に、9月議会でも取り上げたけれども、大型店の農用地地区への進出問題、これについて重ねてお伺いをしたいと思う。
 盛岡市の飯岡新田、東北自動車道の盛岡南インター付近に巨大ショッピングセンターの計画をしているということで、県民も重大な影響があるじゃないかということで注目をされておるわけであるけれども、この農用地区域、特にも現在は盛岡南部国営かんがい排水事業であるか、これらの事業が実施されている。平成10年に完了する予定ということである。
 ただ、本会議で御質問申し上げたときは、この事業が完了した後、原則として8年間用途変更を認めないというような方向にあるということも御答弁をいただいたわけであるけれども、今までこの地域の国営かんがい排水事業に投入してきた事業費というのは全体でどれぐらいになっているのか。それから、国、県、市町村、受益農家の負担ごとに数字的にあればお知らせをいただきたいと思っておる。それから、具体的に受益農家側からそういう動きがあった中で、返還手続等についての照会が現在までにあったかどうか、その辺についてもお知らせ願いたい。

〇中村農政部長 まず、いろいろ出店というか、予定されておる地区に係る国営土地改良事業の総事業費であるが、現時点で210億円となっておる。また、仮に事業完了後8年以内に転用が行われた場合には、受益者である農家は10アール当たり約42万円の事業費の返還ということになっておるけれども、現時点では私のところにはそういう返還をしたいというお話は伺っていないところである。
 それから、具体的な内訳については課長の方から説明する。

〇永嶋農地計画課長 国営かんがい排水事業盛岡南部地区の総事業費関係であるが、総事業費210億円になっておる。また、平成9年度までの進捗であるが、199億6、600万円ということで95.1%である。また、国、県、市町村、受益農家のそれぞれの金額であるが、これについては手持ちがない。率については国が3分の2、県については30分の7、市町村が6%、受益農家が4%ということになっておる。

〇谷藤委員 今のところは返還手続等の照会はないということである。9月議会で商工労働観光部長は、この問題に関して庁内各部と個別の情報交換を随時とり進めていくと、このように答弁をされたわけであるけれども、商工労働観光部とのその後やりとりその他あったら、その経緯を。

〇永嶋農地計画課長 商工労働観光部とは連絡を密にしながらやっているところであるが、この件については盛岡市議会で特別委員会をつくって現在検討しているということもあり、盛岡市がどのような土地利用計画を今後つくっていくのかということについて注視しているところである。

〇谷藤委員 それでは、例えばこれを転用した場合どのような影響が出るかというのを、農政部なりの御見解をお伺いしたい。
 なお、この構想の対外的な発表については、事業実施区域であることから、今後事業の執行に少なからず影響を与えると、このように農政部長は答弁をされたけれども、具体的にどういう影響があると予想されるか、その辺について具体的に、もしあればお知らせいただきたい。

〇中村農政部長 当地区は農用地区域内の大規模な開発であるので、農用地の集団性を阻害し、水路や農道の分断など農業施設の利用に支障を来すだけでなく、周辺の開発による農用地のスプロール化などを助長するなどの影響を及ぼすものと感じておるところである。

〇伊沢委員 農政部の皆さん、大変厳しい中でいろいろな施策を8年度やってこられたということで、まず敬意を表しながら、2点にわたって御質問させていただきたいと思う。
 1点目は、蚕業についてということでサンギョウというといろいろあるのであるが、蚕のことについてお伺いをしたいと思っておる。
 昨年、実は食プラザが滝沢の産文センターであったわけであるが、私も見に行った際に、岩手のいろいろな催し物の中に天蚕を使った絹の着物が展示をしてあった。ブライダルで男性用、女性用含めてセットであったのであるが、値段を見たところ1、000万ほどするというようなことを含めて、すばらしいものであるなと。たしか1、000万と思ったのであるが、高い形のものがあったなと思っているわけである。
 蚕業に関しての基本施策は、新いわて農業確立計画第3次のもので見せていただいたのであるが、この計画を見ると、平成5年に比べて目標年次の12年には、そのほかの作物が粗生産額で見ればすべて上がっているのにもかかわらず、この養蚕だけはまず半分以下に下がっていく。生産トン数にしても200トン以上あるのが100トンになってしまう。粗生産額の金額にしても2億円ぐらいまで下がってしまう、こういうことで計画がされているわけであるが、これまで蚕業に関係をしてきた農家戸数の変化なり生産量、生産高について、年次的な推移があればまずお示しをいただきたいものであると思うし、今申し上げたように減少する一つだけ、この平成12年の目標が全部で4、216億円という粗生産額の中で2億円、比率は0.0という表があるわけであるが、なぜこの繭だけが下がっていくのかという部分を、この理由についてお示しをいただきたいものであると思う。
 また、この繭に関してであるが、たしか蚕糸業法という法律があったやに記憶しているが、繭検定というものを義務づけで県がやるという部分が、ことしの法改正で義務づけがなくなったやに思うわけである。来年以降これがどのような形になっていくのか。現在ある繭検定所に職員もいるわけであるが、どのような形で推移をしていくものなのかお示しをいただきたいと思うわけである。繭の検定をすることで一定程度の価格の安定を含めてあるのではないかと私は思っているのであるが、こういう法律の改正の中でますます繭をやる農家が少なくなってくるということを含めてちょっと懸念するものであるから、お願いをしたいと思っている。
 このような質問をするのはなぜかというと、中山間地の複合営農として、養蚕について今後も岩手県としては推奨していくべきものではないか。今輸入を含めて中国からどんどん入ってくるというのがあるわけであるけれども、将来的にも外国からこういうものが入ってくるのかという部分、私は危惧するものである。実は10月に中国を訪れる機会があり、いろいろ三峡下りで船遊びをしてきた経緯があるわけであるけれども、向こうの今の改革解放路線の中で、農地を離れて、言ってみれば工業化を目指すという形で戦後の日本が歩んできた道を中国もやっているのではないかなと。同じようにこういう分野、農業の中でも、この養蚕も含めて大変なわけであるけれども、中国でも将来的にやめてくるということになれば、日本で言えば、シルクと言えば太古の昔というか有史以前からも含めて、日本の衣ずれの音ということも含めてすばらしい文化があるわけであるけれども、なくなってしまうのではないかということを含めて、岩手県とすればもっともっとやっていく必要があるのではないかと、こう思うわけで、そういった意味での御所見をぜひお願いをしたいと思う。
 ちょっと長くなったので、別の件については後ほどということで、とりあえずここまでお願いする。

〇中村農政部長 それでは、蚕業に関する基本政策のうち、私からは繭検定所の今後についてであるが、検定所については昭和8年に設置以来、繭の品位検定を蚕糸業法の規定により県の責務として行ってまいり、適切な売買取引に資してまいったわけであるが、平成9年5月に蚕糸業法が廃止され、10年4月から県の検定業務の法的義務づけがなくなったものである。繭の品質評価については売買取引当事者の相互合意に基づいて行うとされたわけであるけれども、委員御指摘のように、そういう売買取引にも影響があるということで、これまでの経緯もあるので直ちに検定業務をやめるということは、繭生産農家の皆さんの売買取引に影響を与えることも考えられるので、繭検定所は廃止の方向で検討をしておるが、検定業務については当分の間、県として継続してまいりたいと考えておる。
 なお、農家戸数あるいは生産量、生産高の推移、あるいは生産量の目標の減少の理由、あるいは中山間地の複合営農としての蚕業については、農蚕課長より答弁させるので、よろしくお願いする。

〇佐々木農蚕課長 養蚕に関する御質問であるけれども、まず戸数等であるが、本県の養蚕は、かつて大正から昭和にかけて4万戸もあった時代もある。そういうことで畑作地域の重要な作物として振興が図られ、本県経済の発展と農業経営の安定に大きく寄与してまいったものと思っておる。しかし、残念ながら繭価格の低迷あるいは養蚕従事者の高齢化等から、戸数、生産量ともに大幅に減少している。農家数であるが、平成元年には1、115戸あったけれども、現在では200戸足らずということである。生産量は、同じく元年には456トンあったが、8年には78トンと。それから粗生産額は、元年で3億4、500万円であったけれども、8年は1億1、400万円ということで、残念ながらいずれも大幅に減少しているところである。
 それから、新いわて計画で繭の生産目標が大幅に落ちているということについてであるが、ただいま申し上げたように、繭価格の低迷であるとか、従事者の高齢化というようなことで、毎年養蚕農家戸数が減少を続けていたということ、それから、輸入の拡大により繭価格の回復が期待できない状況にあったというようなことで、生産量の拡大は難しいという判断から下方修正になったものである。
 それからもう一つ、今後の養蚕振興の考え方であるけれども、ただいま申し上げたように、養蚕は全体として年々減少はしておるけれども、中山間地域の複合部分として、他の作物にかえがたい地域やそういう農家もあるわけであるので、これからはこうした農家の生産の効率化とあわせて、輸入物と差別化できる生産にも取り組んでいく必要があると考えており、現在、試験的ではあるけれども、黄色い黄金の色の繭の生産に一部で取り組んでおる。あるいは普通の繭よりもより細い繭、あるいはより太い繭というような特色のある生産にも取り組んでいるところである。
 11月に農家から来年度の生産計画を取って見たが、戸数、生産量ともやや下げどまりの傾向にあると見ており、委員からお話あったように、中国でも今までどおりにいくかというような話もあるので、国産繭が見直される時期が来ることを期待しているところである。

〇伊沢委員 計画そのものよりも、実質的にそういう形であるという部分で難しい面はあると思うが、これから先岩手が何を売り出すかという部分を含めてぜひ前向きに、計画を見直して3倍、4倍にしろとは言わないが、できるだけ、今の最後にお話があったような新たなブランドも含めた形での研究も続くと思うので、ここは御要望させていただきたいと思う。
 2点目であるが、アジアアフリカ飢餓救援米のことについてお伺いをしたいと思う。
 実は、きのう発送式があり、この春から食と緑、水を守る労農の岩手県民会議というところに結集する皆さんが、2、100キロ、ことしは60キロ入れ35袋をまとめてきのう盛岡から発送するということで、その発送式があったので私立ち会ってまいった。ことしマリ共和国というところと朝鮮民主主義人民共和国のところにそれぞれ半分ほどこれを送るということになったのであるが、全国的に今回が第1次ということで30トン、これを二つに分けてやるということで進んでいるようである。
 この救援米については、たしか前にもうちの方の小原委員の方からいろいろお話をして御答弁をいただいている部分があるのであるが、実は減反を含めてこの間強化をされてきておる。農家の人たちは、この運動に参加をしている皆さんは、米をぜひつくりたいのである。米をやめて違うものをつくっていけば、新たにまた米を次の年につくるということはできなくなるということで、米をつくることに一つの目標を持っている。加えて、米余りと言われるのであれば、飢餓で苦しんでいる方たちに幾らかでも送れればと、こういうことでやっているわけである。幸いなことに、減反面積には参入をされているようであるけれども、奨励金の交付にはなっていない、つくりっ放し。加えて春先からいろいろな除草も含めて、最終的に刈り取りをして、きのう見た場合では、精米も含めて、玄米も含めて、袋に詰めて、そしてマリ共和国に行くものは東京港から出るということで日通の車に乗せてやる、北朝鮮に行くものは新潟港まで送っていくということで考えると、北朝鮮に行くには60キロ1袋6、000円かかるそうである。マリ共和国はアフリカにあるわけであるけれども9、000円かかる。2、100キロ汗水たらしてつくって、刈り取って、袋に詰めて、20万からの部分がこの35袋にかかる、こういう状況が今あるわけである。
 国の制度の中で、救援米を含めて国のお金でやるというのは、なかなか国際的な問題があるやに聞いているわけであるが、私はどうしても解せない。県としてもいろいろな形でこの部分、例えば減反も含めて来年は強化をされると聞いているわけであるが、減反面積に参入するのであれば何らかの措置が県としてできないのか。また、送る際の輸送費についていろいろな措置が考えられないのか。直接的に輸送費ということで出せないとすれば、いろいろな形で助成ができないものかどうか、この辺の御所見を改めてお伺いしたいと思い、追加をさせていただいた部分であるので、どうか御答弁いただくようお願い申し上げる。

〇佐々木農蚕課長 人道的見地から無償で行う海外援助に投ずる米については、ただいまお話があったように、本県においては今年度4市町村で約38アール取り組まれているところである。海外援助には、国が行う援助と民間で取り組まれる援助があるわけであるが、この民間援助に対する支援については県としては、県など地方自治体が個別で実施するのではなくて、国が一元的に支援を行っていただきたいというような考え方であるけれども、国の方では、民間の行う援助は本来自主的に行われるべきものであるというような考え方であり、なかなかそこのところがかみ合わないところなわけであるけれども、いろいろ転作制度等の関係については国に要望すべき点は要望してまいりたいと思っておる。

〇伊沢委員 答弁そこまでしかないのかなと思っていたわけであるが、やっぱり転作を含めていろいろな形、米をつくるという部分を含めて、38アールで皆さんやっているところがあるし、今回はカンパ米ということで、そのほかにもつくったものを足してこの35俵、60キロ入れ35袋で2、100キロというのが集まったようなわけなのであるけれども、やっぱり減反をしてもらいたい、いろいろなことで割り当てをする、その部分ではいろいろなものをつくる、これはいろいろな指導もする、受け答えると。しかし、お米をつくってその分はいろいろな意味で民間のそういう組織を使ってやっていくというときに何もなしというのは、余りにも御無体ではないのかなという形で思うわけである。今、課長にお話いただいたように、県としても国に対していろいろな形での要望をしていただくということで引き下がるけれども、ぜひ岩手県としての、減反にも協力するがある程度である東和問題含めて、私は減反そのものに全部賛成ではないのであるが、いろいろな形の制度の中でやる部分を含めていくのであれば協力もするが、いろいろな施策を考えてもらいたいということもぜひ強力に申し入れていただくよう、今の答弁で結構であるので、御要望を申し上げて終わりたいと思う。ありがたかった。

〇堀口委員 関連である。私は養蚕に関連して。
 本県の養蚕業というのは歴史的にあったのであるけれども、かつては県議会にも養蚕議員連盟と、議員連盟数ある中にさん然と輝いておった時代があった。県の農政部の組織の中から蚕という字が消えるのかなと非常にわびしい気持ちでおったけれども、農蚕課という、これまた立派に残していただいて、まず敬意を表する。
 かつては蚕というと千厩か二戸と言われておったのであるが、きょうは、盛岡の伊沢委員から養蚕業について質問されるという、すごく時代の変遷を感ずるわけである。しかし、よく三峡下りに行かれていい点を視察されて御指摘いただいたと、まずこれに敬意を表する次第である。どうか今後の養蚕についても、県農政部においても先ほどの課長のお話のように進展させていただきたいと思うが、ひとつ最近の県下における天蚕繭の状況についてちょっと教えていただきたい、こう思う。

〇佐々木農蚕課長 天蚕も先ほどと同じように残念な状況にあるわけであるが、本県の天蚕は昭和63年ごろから本格的に取り組まれてきたと思っており、その時期は100戸を超える戸数があった。それが最近では十数戸というようなことで、これまた大幅に減少しているところである。その理由はいろいろあるわけであるけれども、当初、生糸で1キロ80万円ぐらいで売れておったわけであるけれども、平成3年ごろからの不況でかなり需要が減少して、近年では30万円ぐらいに落ちてきているというような価格の問題もある。それから売り先、そういう意味でそれなりに人気はあるわけであるが、販売実績が芳しくないというような状況にある。そういう中でも、お話があったように一戸町等ではいろいろな小物の製品等、工夫しながらいろいろな形で販売実績を上げているという実績もある。やはり今後の課題としてはその販売面であると思っておるので、その面から県としても支援をしてまいりたいと思っておる。

〇堀口委員 現在、蚕業試験場というのは、水沢の試験場は壊れてしまったのか。病院になってしまったのであろうか。

〇佐々木農蚕課長 そういうことになっておる。

〇堀口委員 あと、蚕業試験場の主体というのは今どこにあるのか。そして、さっきの課長の新しい繭の研究というのは、そこでやっているのであろうか。

〇赤津農政企画課長 従前の関係について、現在北上の研究センターを統合して、蚕桑技術研究室というような組織を設けて研究等を行っておるということである。

〇菊池(勲)委員 さっきから農家に対して応援していると思ったら、さっぱり尻すぼみで、救援米何万トンか知らないけれども、出したけれども、農家にはほとんど影響はないのである。さっぱりおもしろくないと思ってさっきから聞いておったのであるけれども、厳しい転作を強いられる平成10年度に向けて、私は農業者の一人という大変苦しい立場に今立たされておるわけであるけれども、私ども農家は、国の政策に反発をして農業がもしやれるのであればもちろん反発してやりたいのであるけれども、現下の情勢からすれば、いかんせんこれは反対するわけにはいかんと、喜んでは取り組まないけれども、やむを得ず、涙をこぼしながら取り組んでまいりたいというのが心境である。中村農政部長、その心境でこれから質問していく。
 米価が急激な低下をする現状において、水稲耕作者には大変厳しい状況に立たされておるわけであり、低コスト生産の普及拡大と耕作放棄地という対策がますます重要になってくるわけである。この受委託の促進という農地の流動化については、行政のみならず、農協、農業委員会等が連携をとりながらそれぞれの役割を果たしておるが、農業施設と密接な関係にある土地改良区の担っている役割も大変大きいわけである。
 そこで、農地の流動化に関して、土地改良区が果たしている役割を県はどのように認識をされているか、気持ちのある答弁をひとつお願いしたい。
 次に、この農地流動化の促進については圃場整備事業による水田の整備が最もインパクトがあるわけで、これは論を待たないところであるが、またハード事業である圃場整備の実施とかみ合わせながら、ソフト事業はさまざま実施をされており、着々と成果が上がっていると聞いておる。しかし、圃場整備が完了した地域や圃場整備をまだ実施していない地域もあり、農地の流動化を進める必要があるわけであるが、そのような地域では、農地を貸したい人あるいは農地を借りて規模を拡大したい人がなかなか話がまとまらないのが現状である。その原因としては、圃場整備事業を実施中の地域とそうでない地域とではソフト事業の意味によって流動化に関する情報量に大きな差があるからであると考えておる。
 そこでお伺いするが、圃場整備事業を現在行っている地域での農地の流動化を促進するソフト事業の現状についてお伺いをする。

〇中村農政部長 まず、土地改良区が農地の流動化等に果たしておる役割ということであるが、その前に、今般の生産調整面積の拡大ということで、稲作農家の方々には大変厳しい状況の中にあると認識をしておる。委員御指摘のとおり、生産調整を円滑に推進するという上では集団転作を促進することが重要であるし、また、このため県としても市町村あるいは農業団体等と一体となり、特にも稲作農家の皆さんの営農指導による転作作物の選定、あるいは栽培指導をなお一層行ってまいらなければならないと思っているところである。
 また、集団転作を進める上では、農家の合意形成あるいは転作田における排水条件の改善などが必要であり、農地の貸し借りや作業受委託による農地の利用集積を図ることが重要である。
 土地改良区においては、水の利用調整あるいは農地に関する情報を豊富に有しておるということから、集団転作のための水管理のあり方、あるいは農地の流動化の促進を図る面で大いに貢献していると認識をしているところである。したがって、今後も農地の流動化あるいは集団転作を一層推進する上からは、ますます土地改良区の役割が重要になると考えておる。
 それから、流動化を進めるためのソフト事業については農地建設課長から答弁させるので、よろしくお願いする。

〇高橋農地建設課長 農地流動化については、全県的な視野に立って行うということが重要であると考えており、これまでは主に圃場整備の実施地区においてソフトと絡めながらいろいろ促進してまいったところであるけれども、圃場整備を行っていない地区においても、やはりそうした取り組みをする必要があると考えておる。
 圃場整備をやっていない地区がいろいろ問題になるかと思うが、この地区において農地流動化を円滑に進めるための現在実施されているソフト事業いかんということであるが、そうした事業もある。例えば国庫補助事業であると、農地流動化支援水利用調整事業というのがあるし、県単独補助事業であると、農地利用集積促進対策事業等がある。農地流動化支援水利用調整事業と申すのは、国、県へのかんがい排水事業をやっている地区で、担い手農家等の経営規模が20%以上増加するということを条件として、いろいろなデータ解析やら水利用あるいは水管理の方法等を調整して圃場の条件、例えば暗渠排水、排水条件など整えて効率的な集団転作を図るものであり、これは事業主体は土地改良区等となっている。
 それから、この地区の実施状況であるが、平成6年度に創設されていて、これまで胆沢平野地区ほか5地区で実施しておる。この事業は平成12年度までの採択期間ということになっておるが、まだまだ希望地区がある。いろいろ財政条件も国、県とも厳しい状況にあるけれども、今後とも引き続き新規採択について国に要望してまいりたいと存じておる。
 また、県単の方の農地利用集積促進対策事業であるが、これは農地利用集積の実績に応じて認定農業者等に促進費を交付するものであり、平成9年度に創設したものである。平成9年度においては、交付面積は180ヘクタール、交付額は1、380万円の見込みであり、こうした事業を活用して今後とも流動化推進に努めてまいりたいと、そのように存じておる。

〇菊池(勲)委員 部長の答弁も課長も大変ありがたい答弁なのであるけれども、たまたま4月1日から、私が改良区の理事長になったのである。集団転作で1カ所に、そこに休耕田が集まってくれればいいのであるけれども、その間に生産の調整がうまくいかなくて、三角田を1枚つくったりすることがある。すると、同じ水系に水を流すわけであるけれども、ほとんどU字溝であるから、継ぎ手に支障を来すと、後ろに行くと1トン流してゼロなのである。そして途中で漏るものであるから休耕田にも水がおりる。どちらも被害をこうむっているのが実態であるからこんな質問になるわけであるけれども、できるだけ農協、行政が一体となって推進してもらっているけれども、これを決めるときには改良区には一切相談がないわけである。たまたま去年、ことし平成9年、転作確認のときにうちの改良区にも職員を出してくれという連絡があり、延べ四、五日出したわけであるけれども、確認はどうでもいいのである。そのスタートのときにもし入れていただければ、隣同士の流動化の促進をお互いに力を合わせて連携をとると、私どもは大変水を効率よく使えるわけである。残念ながら、それはひとつ平成10年度に向かって御指導賜りたいとお願いを申し上げる次第である。
 それから、今の課長の答弁、いい答弁なのであるけれども、いいものがいっぱいあるのであるけれども、そこに取りかかるためには、どうしても財政の弱い改良区は一銭も持たないで仕事を探さなければいけないのである。一銭も持たなくては仕事を探せないから、当然農家に賦課、徴収しなければいけないのである。これが我々改良区の実態なのである。であるから、そこに対して県の農政部の御支援策をひとつお願いしたいということである。
 それから今回、米の問題についてであるけれども、今議会でいろいろ議論されておるが、稲作を基幹とする本県農業にとって米価の値下がりは深刻な問題である。農家の直接的な収入が減るばかりでなく、地域経済にも相当の影響を及ぼすことであると思うが、米に元気がないと地域全体の元気がなくなるわけであり、先日の総括での米の値下がりによる県全体の減収額は、農政部は80億と答弁されておるが、この米の減収、収入減が地域経済にどのような影響を及ぼすのか、でき得れば数字を示してお願いしたいと思う。
 それから、ちょっと聞き方が悪いかも知れない、これは実態であるからそのとおりしゃべらせていただく。
 畜産振興については大変助けてもらっておるから、これは農政部に感謝をしながら伺うわけであるけれども、とにかく私の町は今は、北上市なのであるけれども、昔は和賀町という町であった。もちろん奥羽山系のふもとであるから豪雪地帯、降るときは2メートルも降るのである。すると、畜産をしたい、畜舎をつくりたいという農村の市の農政課から振興局に上がって、農政部に上がって、農政局に行くわけであるけれども、どういうわけか豪雪地帯という意味合いが悪くて、どうしても見事な鉄骨で牛舎をつくらないと牛が入らなくなっているのである。体育館でもつくるような強固な鉄骨で牛小屋をつくるわけである。
 これは私が町議会議員の時代であったから、今から十五、六年前である。東北農政局の係官が落成式に来たけれども、菊池さんあいさつしてくれと言うから、私は話したのである。体育館ならこれだけの太い鉄骨が必要なのであるが、ここに牛を入れてもうかればいいのであるがと言ったら、10年もたたないうちにこの会社が倒産してしまった。ところが、鉄骨でコンクリートなものであるから壊すのに金がかかると、見事に景観が悪い。これが大きな原因でつぶれたわけではないと思うけれども、これは経営者にも責任があると思うが、だけれども、どうしてこんなことをしなければ牛が飼えないのかと、私はいつも不思議に思っていた。
 例えば今、盛岡の中央通りとか、表には電柱のない地域がある。そういう時代になったのであるから、今はコンクリートであるけれども、昔は木柱であった。この古い電柱でも牛は飼えるわけである。ところがそれは補助金の対象にならないのである。確かに安くできていい牛ができる、前沢牛に近い牛ができる。残念ながらコンクリートのつぶれ会社では、牛は最後まで育たないで肉にならないでしまった。そんな実態があるわけであり、
先ほど村田柴太委員からも質問があったのであるけれども、これから米をつくるには、おいしい米はもちろんであるけれども、今までは量を取る方が重点であったが、最近は味をつくる方が重点。これからつくるとしたら何が条件かといえば、農薬の少ない健康なものをつくるのが前提なのである。そうすると日本の米は絶対に余らない、下手すれば足りなくなると思っているのである。伊沢委員、救援米をもうちょっとたくさん出すには、もう少したくさん救援米を送らなければならない。そうすれば米も余らなくなるので、私はそういう時代が来ると思うから、先ほどの村田委員に関連するけれども、立派につくった農業研究センター、これにも将来に向けて無農薬でつくれるような栽培研究をする方法を設置してほしいとお願いしたのであるが、農政部長の御判断をひとつ聞きたい。

〇中村農政部長 まず、先ほどの米価の低落が地域経済にもたらす影響ということであるが、米は本県農業の基幹であり、米価の低落が地域経済に及ぼす影響は極めて大きいと感じておる。お尋ねの80億円についてであるが、地域経済に及ぼす影響について岩手県産業連関表により試算をすると、この波及額は農業所得そのものでの80億円と、それから農家の消費あるいは設備投資等の減少による二次波及効果というので30億円、合わせて110億円程度になるものと見られておる。
 次に、畜舎建設の関係であるが、畜産物の生産コストの低減を図る、そして経営を安定させるという上では、畜舎等の建築費の縮減を図ることが極めて大事であるので、農家等からもこれまでお話のとおり、畜舎等の建築基準法では過剰投資になるのではないかという問題が提起されてきたところである。お話のように、これまでの建築基準法においては畜舎等についても一般住宅と同じ基準で規制されていたことから、県としても農家の皆さんの御要望を踏まえて、国に対して畜産施設等に関する独自の建築基準法を設けるよう働きかけてきたわけである。
 そういう中で、建設省と農林水産省が合同で畜舎建築物に係る関連基準に関する検討会を平成7年度に設置し検討してきた結果、今年の3月に防火措置の緩和としての防火壁の省略、あるいは構造上の緩和としての使用部材の基準緩和、あるいは荷重というか、先ほどもあった積雪荷重あるいは風荷重の基準緩和ということで、新たな畜舎設計基準が認定公表されたところである。これによると、これまで建築された畜舎では、従来のコストに比べると1割程度は縮減が図られるのではないかと見られておる。
 県としては、今後ともこうした畜舎設計基準等の周知徹底を図りながら、県産の間伐材等を積極的に活用したりして低コスト畜舎等の建設を強力に推進をしてまいりたいと考えておる。
 また、無農薬栽培についてということであるが、農業研究センターの方でもたしかいろいろな収量等の関係で研究しているはずである。ちょっと手元には資料がないのであるが。

〇菊池(勲)委員 部長、かなりあれであるけれども、結果的には1割しか下がらないということなのであるけれども、1割でも大変大きいわけであるけれども、今間伐材を使うような形でこれから検討していきたいという答弁が最後にあったからほっとしたわけであるけれども、できるだけそういう方法で有効な戦いをひとつさせてほしいなと。
 正直申し上げて、今の情勢の農業政策の傘下での我々農民の立場からすれば、もう立つ瀬がないわけである。どこへかかっても物にならないのである。たまたま私は県議会議員をやっているからいいけれども、あとの農家は全部県議会議員をやっていないのである。家で百姓をしているわけである。私もうちで約10ヘクタールの農業を経営しているのであるけれども、朝3時半ごろ起きて働いていて、新聞を見るとうんざりする。であるけれども、本当は合わないからやめたいのである。残念ながら我々農民がなぜやめられないかというと、これは先祖の財産を管理しているからやめられないのである。これが人のものならやめる、採算が合わないのであるから。採算の合わない企業はみんなつぶれるであろう。つぶれないのは農業だけである。足りない分はどうかといえば、よそで働いてきて、みんな積み合わせて先祖の財産を守っているわけであるから、残念ながら日本農業は絶対につぶれる。しかし、私はつぶれないと思う。であるから、つぶれないからといってこのままでは農民はやり切れないから、農政部長に高い声でお願いしているわけである。本当は静かに頭を下げなければいけないのであるけれども、お願いするのであるから高い声ではだめなのであるけれども。
 残念ながらそういう時代であるので、私ども農民も一生懸命頑張るけれども、特に農政部は頑張ってくれているのである。残念ながらその下に農協という組織があるのである。きょうは組合長はいないな、いなくなった。一番大事なときにいないのである。そういう方々にもう少ししっかり頑張るように農政部長から指導してほしいのであるけれども、この意気込みをひとつ聞かせてほしい。

〇中村農政部長 いずれ団体と一体となりながら、活性化あるいはそういう生産の向上を目指して、振興を目指して頑張りたいと思う。

〇佐々木(大)委員 私からは、農村の居住環境整備ということで、農業集落排水事業について質問させていただく。
 これは、今県内で142万人口の中で公共下水道がおおよそ95万ぐらいであるか、あとコミュニティープラントで四、五万と、そしてあとの40万台の人口対象に農業集落排水、漁業集落排水、そして合併処理浄化槽ということになっておるけれども、特に農業集落排水はその中でも30万以上の人口を対象に計画されていると伺っておる。この農業集落排水は合併浄化槽とともにこの59市町村全部を対象に計画しているわけであり、公共下水道は半分ぐらいの都市型になるわけであるけれども、そういう意味ではともに大事な事業であるが、農業集落排水事業の現在の進捗状況をお伺いしたいと思う。それと、市町村ごとの計画があるようであるが、どれぐらいの事業計画の箇所数になっておるのか、そしてまた、私もわからないのであるけれども、農業集落の規模というか、どれぐらいのところを対象に集落としてとらえているかも説明いただければありがたいと思う。

〇中村農政部長 農業集落排水施設については、今後の快適な農村環境生活づくりを進める上で基幹となるものであるので、現在、全県域汚水適正処理構想に基づき整備を進めているところである。この構想の中では、農業集落排水事業の占める割合は22.4%となっており、本事業は農業振興地域内の32万6、000人を対象に整備を進めることとしておる。
 なお、平成12年度までの整備目標は10万2、000人で、31.4%を目指しているところである。
 平成9年度現在で申し上げると、本年度新たに着工した8地区を合わせて27市町村75地区で事業が実施されており、本年度末には完了する7地区、9、500人を加えると4万3、000人、13.4%の進捗が見込まれておるところである。
 今後ともこの構想を基本に、既に着手をしておる地区についてはできるだけ早期に供用開始ができるように計画的効率的な事業の推進に努め、また、特にも県北沿岸地域などにおいては未着手の市町村があるので、一層の事業の促進を図るために、それぞれ重点地域を設定しながら事業の導入に向けた啓発普及活動に努めてまいりたいと思っているし、集落の規模であるが、対象は20戸以上1、000人未満の集落である。

〇佐々木(大)委員 27市町村に着手されているということであるが、いずれこれらが先ほど示されたように平成12年31%、10万2、000人であるか、ここに向かって今進められていると。ぜひこの目標を達成していただきたいと思うが、これからのこの31%、そしてまた、ここまで行くのは幾つも目標が出たであろうけれども、これからの予算の状況等についてはどんなとらえ方をしているであろうか。今いろいろそういう予算的な面が難しくなってきておるが、来年度からに向けての今後の方向というのはどうなっているか、その点をお伺いしたいと思う。

〇中村農政部長 来年度に向けては、特にも新規採択が厳しいという話を要望した際に言われておるが、いずれ本県の生活環境の向上の上では最重点の事業でもあるので、引き続き採択されるよう努力してまいりたいと思う。

〇佐々木(大)委員 合併処理浄化槽の方でも平成7年まで順調に伸びてきていたけれども、8年、9年はやっぱり予算的な削減が見られるということであるので、特にまだ半分ぐらいが未着手の市町村であるので、予算確保にぜひ努力していただき、早い時期に100%を目指した体制をつくっていただきたいと思う。
 それからもう一つお伺いするが、県産食肉こだわり消費推進事業であるか、こういう事業もされたようであるが、この事業の内容と、そしてまた成果についてお伺いしたいと思う。多分この消費拡大のための短角牛等々、和牛等々の事業であると思うけれども、この内容と成果についてお伺いしたいと思う。

〇橋本畜政課長 県産食肉の消費拡大の取り組みであるが、これまで大きく分けて三つほど取り組んできておる。一つは、県内の農協、市町村団体等で構成するいわて牛普及推進協議会において、レストランなどでのいわて牛取り扱い推奨店の設置、あるいは首都圏でのいわて牛フェアの開催その他のいわて牛の普及PRに努めてきておる。
 また、特に短角牛については、これまで国の支援を得ながら産地、農協などで構成するいわて短角牛生産流通協議会を中心に普及宣伝と消費の拡大に努めてきておる。これについては、ことし開催された第7回全国和牛能力共進会あるいはいわてめぐみフェアなどでPRするとともに、あるいは短角牛取り扱い推奨店を42店舗指定してタウン情報誌などに掲載するなど、広く宣伝してきておる。また、各産地においても短角牛まつりや赤べこフェスティバルの開催、宅配事業や学校給食、地域での料理講習会など、地場消費の拡大にも積極的に取り組んできておる。
 また、食肉全般にわたる消費拡大について、食肉消費拡大促進協議会を通じて、いわて食肉まつり、あるいは県産食肉料理コンクールの開催など、食肉消費の拡大に取り組んできておる。

〇佐々木(大)委員 この食肉を精肉のままレストラン等々で加工して商品にするということが中心であると思うけれども、どちらかと言えば最近の食生活というのはレトルトとか総菜とか、いろいろな加工で、電子レンジでも使えるというところまで、最終の商品まで持っていく傾向にあるわけであるけれども、それらについての取り組みはいかがか。また今、例えば短角牛の場合などで加工向けというのはどんな割合で行かれているのか、その辺をお伺いしたいと思う。

〇橋本畜政課長 レトルト食品の消費の増加についてであるが、短角牛独自のデータというものもないのであるけれども、平成7年度における牛肉の消費量は全国で106万8、000トンであり、そのうち精肉での消費が104万トン、97.5%と大部分を占めておる。レトルトを含めた加工消費の割合については2万7、000トンと2.5%である。ただ、平成5年度対比で見ると17%増加している状況にある。
 それから、全国データであるけれども、日本缶詰協会でまとめた牛肉を素材としたレトルト食品の生産量は、平成7年において約12万8、000トンと考えられておる。これは、その平成5年に比較して11%の増加となっており、やはり委員御指摘のような傾向が見られるところである。
 それから本県、特に短角牛を使用してつくったレトルト食品としては、山形村産のおらほのべこカレーなど、幾つかある。県としては、こうしたレトルト食品等の加工については、食生活の多様化あるいは女性の社会進出などに伴い、より利便性、多様性が求められているという中で今後とも需要の伸びが期待でき、それから牛肉の部分肉流通が増加する中で、低需要部位の高度活用を図るという観点からも、こうしたレトルト食品、総菜などの加工施設の整備を支援して県産牛肉の消費拡大に努めてまいりたいと考えておる。
 また、短角牛については、いわて短角牛生産流通協議会が岩手畜産流通センターに委託して、加工品の開発試作に努めているところであるし、今後とも普及拡大に努めてまいりたいと考えておる。

〇佐々木(大)委員 本当に難しい環境の中で短角牛などの普及増販のために努力していただいておるが、特に今の傾向としては、やはり部位によってはお話のとおり、加工技術が要求されたレトルトとかそういう缶詰等にどんどん入っていくのであろうと思う。やはりそういう利用度の低いと言われている商品性の低い部位をどう利用するかということが普及の一番の決め手になるのではないかと、そういう考え方も持っておるので、ぜひ積極的にその辺を進めていただきたいと思う。
 また、去年は議会でもたしか短角牛の昼食会などもやらせていただき、レストランの方でもやったし、昼もやった。それで、どちらかと言えば結果として、やはり和食的な分野を日本人は好むから、多分あのときもしゃぶしゃぶなどが評判がよかったのではないかと思うけれども、将来早い時期にそういうものが盛岡でも見えるような方向づけをしていただければと思っておるし、そういう意味では、販売の専門の分野とも強く連携をとって今後の短角牛振興をお願いしたいと思う。

〇千葉副委員長 要望でいいか。

〇佐々木(大)委員 はい。

〇千葉副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間程度休憩をする。
   午後3時3分 休 憩
   午後3時21分 再 開

〇長谷川委員長 休憩前に引き続き会議を開く。

〇田村委員 農政部の皆さんにおかれては、昨年の食パラ、そしてまた、ことしの和牛共進会、そして東和町の問題、そしてまた、農政部の再編と、いろんな意味で大変な御努力をいただいていることにまず敬意を表し感謝申し上げるものである。
 委員会審査ももう4日目ということで、大分皆さんお疲れだし、このとおり出席率も大分落ちておるということで、通告しておったけれども畜産関係については特別委員会の方に回すということで、まことに失礼ではあるけれども割愛させていただいて、農政の関係でお尋ね申し上げたいと思う。
 まず、菊池委員の関連で若干お伺い──お伺いと申すより要望をぜひしたいんであるけれども、菊池委員もおっしゃっていたが、基盤整備事業あるいは先ほどあった農地流動化支援水利用調整事業であるか、こういった事業はすべて年度を区切られた事業である。したがって、知事が言うところの重点的な施策、重点的な予算配分をしていくんだということを考えると、時期を区切られたまことに有利な事業であるので、ぜひこの財源確保には部長を先頭に一生懸命努力していただきたいということを、まずもってお願い申し上げたい。これは農家──改良区は別にして──農家そのものが待ち望んでいる事業であるので、ぜひこの期間内に早く財源確保をしていただきたいということを要望申し上げたいと思う。
 まず、質問の最初であるけれども、これは一般質問でも申し上げたが、県では国の基本法策定に向けて岩手県農業農村対策検討会議というものを設けられ、そしてまた、中間報告がなされたわけである。その中で前書きで、農政審議会あるいは各種団体、いろんな声を聞きながらこれを取りまとめていくんだという表現がなされている。まず最初に、過般開かれた農政審議会にこの中間報告は出ていると思うんであるけれども、これに対しての審議会各委員の御意見はどうであったか、これをまずお聞きしたいと思う。
 次に、米の備蓄量の適正化、何が適正なのかということに関連してお尋ねしたいんであるが、平成5年の大冷害の際の国としての米の不足量、これが幾らだったのか。
 次に、農業共済、昭和45年当時50組合を超える組合数があったわけであるけれども、県の御努力によって平成9年現在では13組合、そして来年の4月には9組合まで合併が進むということで、非常に県当局の御努力には大変敬意を表するものであるけれども、その合併の効果というか、これはどう評価なされているのか、それをまずお聞きしたいと思う。
 それに絡めてであるが、農協合併も大分進んでいるということで、これは実態をつかむというか、まだまだ早いわけであるけれども、新岩手農協、かなりな面積、規模の大きい農協合併がことし当初なされたわけであるけれども、その課題、今現在もっての課題というのはどういったものがあると認識しているのか。
 まず4点、その辺お尋ね申し上げたいと思う。

〇中村農政部長 農政審議会でどういう意見があったかということについてであるが、一つは、消費者サイドの意見も入れてもらいたいということで、懇談会などをしてほしい、あるいは県独自の有機農産物認証制度は、つくりやすさの視点も入れたものとしてほしい、あるいは大豆の生産振興を図ってほしい、あるいは女性の社会参加では、底辺で盛り上げている人たちを入れ、そういった話す機会の場に出してほしいというようなことであった。
 それから、まず農業共済組合の合併の効果ということであるが、これまで盛岡地区が平成6年8月、胆江地区が平成8年4月に合併しておって、残るところは3地区となっておって、3地区のうち岩手東南部あるいは宮古、岩手北部については10年の4月に、2地区は11年度までにということで、現在の13組合を平成11年度までに7組合制にして推進するということにしておる。既に合併した共済組合においては、執行体制の充実によって任意共済を中心に共済金額が増加したり、あるいは損害防止事業など農家サービスが充実したこと、あるいは事務費の節減が図られたことなどの合併メリットがあらわれているところである。
 また、合併後の課題として、まだ間もないということもあって、計画どおりの業務改善やあるいは合理化が進んでいない面も見受けられることから、こういった点については今後一層本所あるいは支所ともその改善に努める必要があるというように感じておるので、今後においては今までの広域合併した組合の経験を踏まえながら、合併の効果が十分発揮されるよう県農業共済組合連合会とも連携しながら、指導してまいりたいというように考えておる。
 それから、新岩手農協についての合併の課題ということであるが、新岩手農協が抱える課題については、まず一つは、地区及び経営規模の拡大に伴う組織運営の効率化と内部管理体制の整備充実及び行政との連絡協調、あるいは財務の健全性の確保のための自己資本の造成などが大きな課題と認識しておるが、現在、合併農協については平成9年度から3カ年にわたって合併の経営計画書というのを作成して、最終年度の11年までの計画達成を目指しているところである。
 したがって、県としてもこれらの課題がその期間中に解決されていくことを期待しておるし、また、新しい営農指導体制についての組合員への周知徹底、あるいは組合員の組織の体制づくり、あるいは生産、生活資材の大量仕入れによる供給価格の低減など、具体的な課題についても農協中央会とも連携を図りながら指導してまいりたいと考えておるが、一方、合併の効果としては、生産農家の負担軽減を図るために販売手数料を作目ごとに、9農協のうちで一番低い率に統一したとか、有利販売の展開のためのロットの拡大あるいは統一ブランド化を図ったというような成果も上がっているというように聞いているところである。
 それから、備蓄については農蚕課長の方から答弁させるので、よろしくお願いする。

〇佐々木農蚕課長 最初に、備蓄の関係であるけれども、国の備蓄水準については、こういう基本に立って備蓄を取り進められているということである。過去の不作の状況を踏まえて、ゆとりある需給操作が可能な水準を基本としつつ、一定の幅を持って運用するということであって、具体的には戦後の不作年、平年並みは99から101であるので、98以下のやや不良以下の不作年の平均作況を出して、これは92ということになる。1ポイント10万トンであるので、そういう意味では80万トンということになるわけであるけれども、そういう年が2年続いても対応できるような量を備蓄するということで、80万トンの2年間であるから160万トンになるわけであるけれども、これをイコールちょんちょんということで150万トンにしたということである。区切りのいいところで150万トンにしたということが一つである。それから、あとはもう一つ、一定の幅を持って運用するということについては、作況の標準偏差を出して、それが5という数字になるので50万トンということで、プラス・マイナス50万トン、150万トンに50万トンということで、最大200万トンの備蓄量ということ、そういう考え方のもとに取り進められているところである。
 それから、平成5年の大冷害のときの全国での米の不足量、どのぐらいであったかということであるが、平成5年産米の全国の作況は74であった。未曾有の不作となったわけであるけれども、そういうことで主食用の生産量は766万トンであって、それから6米穀年度の実際の需要量942万トンであるので、これを差し引くと176万トンということで、結果として176万トンが不足したと見ておる。

〇田村委員 後段の備蓄の問題であるけれども、これからお尋ねするけれども、今、課長のおっしゃった数字というのは確かにそのとおりだとは思うけれども、我々からすれば何か予算ありきで、それにこじつけで合わせた数量じゃないのかなというのが常に疑念を持っておる。この数字のあやというか、平成5年度の176万トンの不足額というのも実際はもっともっと、需要に対しての云々という話であったので、実際の減収量はもっともっと莫大なものであったろうなと推察をするものである。この備蓄の問題は後の話になると思うんであるが、県でいわゆる中間取りまとめ、国の基本法に対しての要望するための中間取りまとめ、これは岩手県としての国に対する要望事項だと認識してよろしいかなと思うんであるが、その中に重要な項目というか、表現がされておる。国への要望事項として検討する内容として、経営安定対策という項目で日本型収入保険制度を創設してくれと、こういう表現がなされておる。私はいつも国の悪口ばかり言っている男のように見られておるけれども、実は今回の米の過剰については速やかに、本当に素早く平成9年産の減収分を補てんする措置をこれからとろうと国ではしているんであるが、この努力はもう素直に私は評価したいと思っておるものである。それで、県で言うところの日本型収入保険制度というのは一体どういう中身なのか、お尋ね申し上げたいと思う。

〇中村農政部長 新基本法の検討に向けた中間取りまとめの中に国に対する要望事項として、日本型収入保険制度の創設ということを出しておるわけであるけれども、最近の頻発傾向にある気象災害による減収や、食料需給の変化に伴う農産物価格の低落が農業経営に影響を及ぼしているということで、現在の農業経営安定対策としては、国の農業共済制度と青果物あるいは肉用子牛などの価格安定制度があるわけであるが、価格安定制度については価格維持対策として、WTOの世界貿易機構農業協定で削減を約束する施策として位置づけられておるものである。こうした状況を踏まえて、国においては国際的にも通用する農業経営安定対策の一つとして、農家単位での総合的な補償制度、いわゆる日本型収入保険制度のようなものの制度が可能かどうかということで検討を進めていると伺っているところである。県としても、県農業の振興を図る上からは、何よりも農業経営の安定が最重要課題であるという考え方の中で、中間取りまとめにおいて国に対する要望事項として、日本型収入保険制度の創設を盛り込んだところである。仮にこのような収入保険制度を組み立てるとすると、財源の確保に加えて補償すべき収入の基準の設定、あるいは農業収入の把握の透明性を確保するなどの課題が指摘されているところであるが、いずれにしても県としては農家経営の安定を図る新たな制度の創設が必要というように考えておるので、そういう御提言の趣旨なども踏まえながら、諸課題の解決が図られるように、実効性の上がる制度となるものとするように国に働きかけてまいりたいということで取り上げておるものである。

〇田村委員 多分これは農家単位に野菜も米もすべてひっくるめた形で、収入が減った場合はこれを補てんしていくんだというような制度を想定しているものだと認識してよろしいかなと思うんであるけれども、私は一般質問でも申し上げたけれども、今、国が緊急的にやろうとしている価格補償制度、2カ年の緊急と言っているけれども、今までの、昭和45年減反が始まってからずっと国の手法を見てみると、緊急対策でやるんだけれどもそれが恒久対策になってしまうと、こういう傾向がずっとあるんである。私は一番懸念するのは、今やろうとしている緊急対策が過去3カ年の標準米市場価格であるか、その平均の8割を補てんしていくんだというような制度だと理解している。その理解に立てば、あくまでもそれは農家の収入を保証するものではない。価格面だけだ。再生産、いわゆる再生産に伴う労働対価を加味したものをある程度の基準をつくってそれを補償するものではないわけである。したがって、そこに非常に私は危険を感じるわけであるが、そういった面で農家収入方式というか、これは一つの方策ではあろうと思う。ただ、そこで私は言いたいのは、野菜にしても、特に野菜──野菜はもう既に価格安定基金なりいろんな作物ごとに補償制度がある。ただ、そういったあるものに対してまた米までひっくるめて農家単位に考えるということが果たしていいのか。米の重要性というのがそこで薄れてしまうんじゃないのかなという、私は懸念を持っているわけなんである。
 したがって、米はやっぱり国家の主食であるし、これをずっと継続して再生産していかなきゃならない作物なわけであるから、野菜とは若干これは違う、若干じゃない大幅にこれは考え方が違うと思うんである。したがって、やはり本当に米の価格として米を再生産するための補償制度というのをつくるためには、やっぱり米は分離して、農業共済制度との併合という字句もここにあるけれども、そういった災害に対する補償、そしてまた、再生産をする補償、これをセットした米一本の補償制度というのは私は必要じゃないのかなと思うんであるが、御見解をお尋ねする。

〇中村農政部長 今の制度はお話のように米の低落実態から安定化を図るという意味で2年間の暫定的な制度なわけであるが、こうした再生産補償制度ということで、米だけを分離して米だけでというのは、なかなか制度とすると面倒な面もあるのではないかなという感じもするけれども、いずれ制度として十分支えていくためにはそうした財源の問題だとか、基準をどこに設定するとかという問題もいろんな課題があると思う。そうした課題も検討しながら、そうしたものも含めて、また、国の動向も見きわめながら国に働きかけてまいりたいと考えておる。

〇田村委員 ちょっとしつこくなるんでこれ1点でやめるけれども、ひっくるめて大ざっぱに補償するというのは私は本当に危険だと思う。やはり米は米、災害に対する補償制度もあることである。そこはもうすべてデータがそろっているわけである。収量にしても価格にしても。そういったものを大いに利用して、共済制度には1、000数百億円の国家財政負担があるわけであるから、そういったものをより有効に使ってそれを米のいわゆる再生産を補償する制度と合体させた形で進めるというのは、私は国の財政負担上からも非常にうまくいくんじゃないかなと思っておる。とにかく野菜をこれを包括してやるというのは、とてもじゃないけれども絶対に無理がある。やっぱり米は米、主食として取り扱ってもらう。そういう取りまとめの仕方が私は、よりベストじゃないのかなと思うけれども、最終的取りまとめは今年度末までであるか、ぜひ検討していただいて、よく内部で本当に、どうすれば農家のためになるのか、そこを基本に置いてぜひ再検討なり討議をしていただきたいということを要望して終わらせていただく。

〇斉藤委員 米の暴落対策について。
 総括質疑でも明らかになったように、自主流通米の価格暴落で平成6年度に比べれば農家は約80億円の減収になっていく。さらに、来年度の政府米米価2.5%引き下げで3億2、000万円の減収の予想だと。6、300ヘクタールの異常な減反拡大では、転作助成金を考慮しないと約90億円の減収となる。減反の今年度の状況を見ると、調整水田が16.6%、飼料作物が転作作物の中での61.7%となっているから、この転作奨励金というものも大した額ではない。平成8年度全体で19億円である。であるから大変これは膨大な減収になりかねない。特に大規模農家ほど打撃を受けている。胆沢町で8町歩の稲作専業農家は米の暴落で150万円の減収になっている。150万円の減収というのは、生産費変わらないわけだから所得の半分以上である。これは大変な事態である。これにさらに来年は減反が拡大され政府米米価が引き下げられるわけである。県はこうした減収の実態をどう認識しているか。減反拡大は農家にとって耐えがたいものではないかと思うけれども、どうであろうか。こうした減反を絶対に強制すべきじゃないと思うが、いかがであろうか。
 二つ目に、政府の米新政策について。
 本当に農家にとってメリットとなるのかどうか。稲作経営安定対策は、これまでの助成金の振りかえというのが実態ではないだろうか。97年産の価格補てん策は約1俵当たり1、000円ということであるけれども、実態は半分の500円は農家負担、さらに、この支給は来年の6ないし7月以降と聞いているけれども、これで本当に補てん策になるんであろうか。
 三つ目、自主流通米の暴落。
 米余りの責任はどこにあるか。私は、最大の責任は政府が新食糧法のもとで米の価格と流通の安定に対する責任を放棄したことにある、そして市場任せにしたことにあると思う。さらに、価格引き下げを誘導する政策をとってきた。値下げ幅の拡大、米余りの直接の原因は、毎年大量の義務輸入米、いわゆるミニマムアクセス米にある。95、96、97の3年間の輸入米は154万トンである。94年の緊急輸入米の売れ残りは98万トンあった。加えると262万トン、ことしの10月末の在庫分は352万トンであるけれども、このミニマムアクセス米がなかったら適正在庫の水準だった。私はそういう点で米余りは農家に責任はない。つくられたものだと思う。来年は86万トン新米が不足をして国民は古米、また輸入米を食べさせられる深刻な事態になるけれども、そこでこれだけの暴落と減収に対する特別の対策が私は県としても必要と思う。北海道など他県で既に実施されている対策の内容を承知しているか。価格や利子補給などの対策を私は岩手県としても具体化すべきだと思うけれども、いかがであろうか。
 次に、学校給食の米飯給食補助廃止が打ち出されている。米飯給食こそ最大の消費拡大の対策と考えるけれども、どう県は対応するであろうか。県産米による米飯給食への補助事業を進めるべきと思うが、来年度、さらにその後、削減が予想される額はどうなっているであろうか。

〇中村農政部長 まず、減収の実態の認識等であるが、最近の米価の大幅な低落の中で、しかも来年度は面積的にも限界感があると我々も訴えてきたわけであるが、そういう中でさらに生産調整の面積が拡大されることになり、稲作農家の方々にとっては厳しい状況に置かれているというように認識をしておる。今回、国において稲作経営安定対策等の新たな対策を講ずることとされたことから、こうした制度の活用を促進するとともに、できるだけ転作作物によって所得が確保されるように転作経営の定着化について関係機関、団体の連携のもとに指導をしてまいりたいと考えておる。
 次に、米余りは農家に責任はなくて、つくられたものではないかというお話であるが、米余りや米の低落については、御案内のとおり、連年の豊作あるいは消費量の減退など、予想を超える需給のアンバランスによるものと受けとめておるところである。
 ミニマムアクセス米については、国産米の需給にできるだけ影響を与えないようにということで、国に要望してきたところであるし、国においても国産米でしか対応しがたい加工用に仕向けるほか、現在の在庫量の39万トンのうち29万トンを飼料用に向けると伺っているところである。
 また、本県独自の対策ということであるが、県としては、米価低落によって稲作農家の皆さんには極めて厳しい状況にあることから、国に対してその対策を要望してきたところである。今般、新たな米政策の一環として平成10年からの稲作経営安定対策を実施することとしたところであるし、また、新対策への移行措置として平成9年産米についても同様の対策を講ずるということとされたところであるので、これらの制度を活用していただいて、この難局を乗り切っていただきたいと考えておる。
 なお、お話の他県の状況であるが、承知しておるが、例えば北海道においては初期生育のおくれから品質が著しく低下したということで、1等米比率が平成8年の場合には88%であったのが今年は54.6%になったこと、あるいは島根県においては作況指数が8年産米が108であったけれども、9年産米は98あるいは同様に1等米比率についても8年産に比べて比率が落ちているというようなことによる減収額が大きかったと、そういうことのためと存じておる。
 それから、メリットの関係あるいは学校給食の関係については農蚕課長から答弁をさせるので、よろしくお願いする。

〇佐々木農蚕課長 1点目は国の新しい対策は財源のこれまでの助成金の振りかえではないかということであるけれども、この国の新しい対策は2年間で総額6、100億円余と、単年度で見ると約3、000億円となるわけであるけれども、現対策の予算額は2、000億円余となっておるので、それに比較しても約1、000億円増加しているものと思っておる。その財源については全体的に調整されたものと思っておる。
 それから、新しい対策の稲作経営安定対策の補てん金が翌年度5月、6月になるという話なんであるけれども、この制度は補てん基準価格と、それから当年産の自主流通米平均価格との差額を補てんするということであって、当年産の価格は出来秋から翌年の3月までの間に販売されて、その価格で補てん金が決まるものであるので、翌年度になるというそういう仕組みのものである。
 それから、学校給食であるけれども、学校給食に対する助成についてはこれまで、米飯給食の実施回数に応じて供給する米の値引きという形で助成が行われてきたところであるが、国はこれを今般段階的に廃止するというような方針が打ち出されたところであって、今後はそういう形ではなくて新たな視点で推進措置を講ずると伺っておる。
 額の減額どれぐらいかということであるけれども、本県の米飯学校給食については全量県産米を使用しておる。現在の値引き率は一番高い率を適用していただいておって、47.5%であって、その額は約2億円、これが10年度には30%、それから11年度には10%と段階的に逓減される方針が打ち出されたところである。

〇斉藤委員 本当に膨大な減収をことし受けているし、来年はもっと被害を受けるというのが実態である。それで、政府の対策は残念ながら財源が明らかにならないんだ。今ある制度の中から金を集めてやろうと言うんである。その中に学校給食の200億円があるわけである。だから、1、000億円新たに予算化されるわけじゃないんである。今まで農家が受け取っていたものの、私はそういうことも含めて言ったので、だから決して期待するほどのメリットは残念ながら期待できない。私はそういう点で、これだけの大変な事態なんだから、岩手県が国だけの対策ではなくて、県独自にやっぱり価格補てんをする。例えば、先ほど私紹介したように、所得の半分減収した場合に制度資金のこの償還金払えなくなるんである。こういうところにきちんと利子補給するとか、そういうやっぱり対策をしないと、本当に今やっている農家は手放す。特に受委託でやっている規模拡大農家がもう借りるのやめたと、これは必至である。私は岩手の農地、岩手の農業を守るためにも本当に真剣にこれを、そうなってからではなくて、そうならないような対策を来年度の予算編成でぜひやっていただきたい。これは要望にしておく。
 それと、米余りの問題で言うと、例えばことしは豊作と言ったけれども983万トンである。消費量は幾らかと言うと965万トンで、差額は18万トンなんである。豊作、豊作と言ったって。350万トンも余る最大の理由は、先ほど紹介したようにこれはミニマムアクセス米である。国会では自民党の国会議員だってそのとおりだって言っているんだから、私はそういう点でこれは本当に農家に責任がない。そういう点でぜひ岩手県の農政の対策でこの特別の対策を考えていただきたい。
 次に、馬淵川の沿岸地区国営かんがい排水事業についてお聞きをする。
 この事業は総事業費500億6、000万円、これは平成9年度の単価であるが、大規模公共事業である。国、県、市町の負担額はどうなっているであろうか。元利償還含めて示していただきたい。
 ことしの2月にまとめられたと思われる農家意向調査によると、畑地用水の必要を感じたことがあるか、ないというのが57.1%、国営かんがい排水事業に関心を持っているか、余りない、全然ない、合わせて55%。農業用水を新たに確保したいと考えるか、現状のままでいい、62.6%。農業生産の基盤の整備を必要と感じたことがあるか、ない、61.4%。対象農家の。約6割の農家が事業の必要性を感じていないという、この500億円の事業をどうして進めるのか。この事業はどういう農家の要望で計画をされた事業か。上からの過大な事業計画ではないのか。農家意向調査の結果をどう受けとめているのか。
 私はこの問題で調査もし、奥中山農協とも懇談をしてきたが、確かに4割程度の農家の要望がある。だからやめろとは言わない。しかし、農家の希望にふさわしい適切な規模に大幅に見直すべきだ。公共事業の縮減方針によると、事業効果の検討項目があるけれども、私はこうした500億円の国営かん排事業、こういうものこそもう検討の対象、見直しの対象だと、こういうのを見直さなかったらどんな公共事業を見直すのかと思われる。むだと浪費の私は一つの典型だと思う。この事業はさらに国営かん排事業にとどまらない。関連する県営事業が実施される。県営事業の現段階での規模、事業量の見込みはどうであろうか。
 そして、その県営事業の国、県、市町村の負担割合、農家の負担額、これはどう見込まれるであろうか。

〇中村農政部長 馬淵川沿岸地区国営かんがい排水事業の負担金、元利償還どうなっているかということである。
 平成9年度時点で総事業費が500億6、000万円での計算によると、国が335億800万円、県が126億4、800万円、二戸市が15億6、600万円、一戸町が23億3、800万円の負担額となっておって、事業完了の翌年度から始まる年償還額では、二戸市が約1億5、100万円、一戸町が約2億2、500万円であるが、償還額の35%が基準財政需要額に算入され交付税で措置されることから、実際の年償還額は、二戸市の場合には約1億800万円、一戸町が約1億5、700万円となる。
 次に、アンケート結果についての農家の要望、どういう農家の要望で計画された事業か、あるいは過大ではないのか、あるいは意向調査の結果をどう受けとめているか等々であるが、この事業については、事業計画を作成した段階で関係農家に計画をお示しし、受益農家全体の3分の2以上の同意を得なければ事業は実施できないこととされておる。このために集落ごとに説明会を開催し、事業内容を受益農家に十分説明して、平成5年度に受益農家2、039戸のうち1、919戸の94%強の同意のもとに地元からの事業申請を受けて事業に着手しているところであるが、二戸市あるいは一戸町、そして関係の農協からも本事業に対する強い要望が出されておって、本事業に寄せる期待も大きなものがあると感じておる。
 また、アンケート調査結果については、畑作に対する水利用というものについては、経験はこれからであるし、事業が発足した当時と最近の状況では農業情勢についても変化してきておるなどのために、現状維持の志向が強くなったのではないかというように思っておる。いずれ事業を進めるに当たっては、将来の営農計画をきめ細かく、具体的内容についても畑作用水あるいは畑地の整備内容について、農家の希望に即しながらパイプラインの配置計画あるいは工法を検討し、経済的な施行方法を採用するなど、その整備内容を弾力的に検討されるよう国に対しても要請してまいりたいと考えておる。いずれにしてもこの地域は中山間地域であるので、農業による振興が重要であって、国営かんがい排水事業を契機として畑作の振興が当地域の活性化に必要であると考えておる。
 次に、事業効果をどう把握しているかということなどであるが、土地改良事業については土地改良法によって投資効果を算定することが義務づけられておる。したがって、当事業についてもこの方法によって事業の必要性と妥当性について検証をしているところである。本事業の実施によって干ばつの防止あるいは播種、あるいは定植等の適期作業を可能とし、増収や品質向上のほか、付加価値の高い作物の導入や地域の立地条件を生かした多彩な農産物の生産の拡大が図られるなど、事業効果が発現されるものと思っておる。
 附帯県営事業の規模あるいは見込み、負担額等であるが、当初計画においては、附帯県営事業の規模であるが2、590ヘクタール、185億円となっておるが、他地区の例などによりモデル的に算定をすると、10アール当たり農家負担額が8万8、000円になる。無利子資金等を活用した上3年の据え置き、15年償還で年率3%で算出すると10アール当たり6、600円となるものである。事業の実施についてはいずれ関係農家の皆さんと十分協議しながら、農地の傾斜勾配あるいは道路密度、排水路のランニングなどの整備水準を検討し、可能な限り農家負担の軽減に配慮しながら、事業の執行に努めてまいりたいと考えておる。

〇斉藤委員 国営事業が500億円で附帯の県営事業が185億円である。対象農家の6割が水を必要としていないと。私はこういう公共事業を見直さないで何を見直すのかと。県が公共事業の縮減プログラムを出しているであろう。こういうのにメスを入れないで何にメスを入れるか。私はそういう点で本当に真剣に考えていただきたい。それで、国営事業については同意率が高かったと言うけれども、国営かん排事業は農家負担ゼロなんである。いや、負担がないならいいんじゃないかと、こうなる。ところが、これが進んでくると附帯の県営事業は農家負担がある。話が違うんじゃないかと、こんな負担じゃ困るというので、今、意向調査で、私は要らないよとなるんである。そういうやり方にも問題があるし、そういう点で本当にこれは営農計画も成り立たないという話がある。これだけ700億円投資しても営農が成り立たないと、だから本当にこれは見直していただきたい。
 最後であるけれども、県信連の温泉開発に対する融資問題についてお聞きする。
 県信連は昨年の住専問題の際、農家、農協の貴重な資金を336億円も住専に融資をして、約70億円を超える不良債権、負担を背負うことになった。ところが、最近私のところに寄せられた情報では、事実上倒産した丸伊工業に関連した温泉開発に24億円の融資を行っていると、これは本当であろうか。この温泉開発は倒産の約1カ月前に有限会社に分離したものである。丸伊工業が倒産となった場合、この分離は認められず債権没収となる可能性があると思うが、いかがであろうか。なぜ県信連がこのような融資を行ったのか。こういう融資は許されるのか。農協の精神から見て極めて問題があると思うけれども、いかがであろうか。住専の問題以降、県はどのように指導、対応してきたんであろうか。

〇相原農業経済課長 県信連に対する指導監督は国が行っておって、特にも個々の融資の状況については県として承知していないところである。県信連の融資のあり方については、農協法等の規定によって、会員の事業に必要な資金の貸し付けを行うことができる、あるいは会員以外への貸し付けもできることとされているところであるが、その経営に当たっては堅実な資金運用によって財務の健全化に努めることが不可欠であると考えているところである。県信連の最近5カ年の決算の状況を見ると、毎年度当期剰余金を計上してはおるが、県信連の経営が御指摘のように個々の農協の経営にも関係することから、県としては国の指導のもとに県信連の経営が今後とも適切に行われるよう期待するものである。

〇斉藤委員 これで最後であるけれども、本当に私は県信連、異常だと思う。住専問題であれだけ批判を受けたのに今回このような事態になっている。知らぬ存ぜぬではこれは通用しない。県は単位農協を指導する責任があるんだから、農家の利益を守る立場なんだから、私はそういう点でぜひ県信連に聞いて実態はどうなのかと、単位農協や農家に負担を押しつけることはないかと、そういうことをぜひやっていただきたい。
 私はきょうこれは聞かないけれども、農地計画課の平成8年度の懇談会の実態を調べてみた。余りにも分厚いのでびっくりした。299枚の資料が来て、年間74件懇談会をやっていたと、余り多いので見る時間がなくて私は4月分まで見た。4月は13件あったけれどもこういうのがあった。4月18日、去年である。浅虫温泉で青森の県農林部の職員と接待をしているんだ。こういうのは本当に許されるのか。こういう旅費問題も私は重大だと思う。わざわざ青森に行って何で接待しなきゃだめか。聞いても今調査中だと答えないだろうから、私はこういう懇談会を徹底して明らかにして、そしてこういう懇談会、問題だとすれば旅費も問題なんだから、旅費の支給のあり方、命令のあり方、こういうことも徹底して追及すべきだ、このことを申し述べて終わる。

〇長谷川委員長 ほかに質疑はないか。

〇堀口委員 斉藤委員に関連するけれども、馬淵川沿岸の、斉藤委員はすごく勉強されておってまずまず感心するけれども、少し偏る傾向もある。しかし、私はこの馬淵川沿岸については、計画してからは相当時間たって状況が変わっているので、見直すことがあったらやはり多少見直した方がいいと思う。
 それから、併用して農地の流動化というか、そういうものがどうなるのか。やっぱり雨量が日本一というくらい少ない地域だから確かにかんがい用水というのが必要だとは思うし、基盤整備というか区画整備が必要であろうけれども、やっぱりやる意欲のある人に農地を拡大させてやらせなきゃならないものだろうと思うので、その農地の流動化というのがどういうふうに併用してやられるものかどうか、教えていただきたいと思う。

〇永嶋農地計画課長 附帯県営事業については、できれば平成11年から着工してまいりたいと考えているわけであるが、事業としては畑地帯総合整備事業で行いたいと考えておる。これについては担い手型というのがあって、担い手に集中すると無利子資金を導入できるというような制度になっておる。できればこのような制度を利用して農地の流動化を図ってまいれればいいのかなと考えている次第である。

〇長谷川委員長 ほかに質疑はないか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇長谷川委員長 質疑がないようなので、農政部関係の質疑をこれで終わる。
 以上で本日の日程は全部終了した。本日はこれをもって散会する。
   午後4時17分 散 会


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