平成9年12月定例会 決算特別委員会会議録

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平成9年12月5日(金曜日)

1開会 午前10時3分

1出席委員 別紙出席簿のとおり

1事務局職員
事務局長       村 上 勝 治
議事課長       及 川 宣 夫
議事課長補佐     駿 河   勉
主任議事管理主査   千 田 正 和
議事管理主査     上 柿   聡
議事管理主査     木 村   稔
議事管理主査     南   敏 幸
議事管理主査     筒 井 則 裕

1説明員
土木部長       藤 本   保
土木部次長      盛 合 桂三郎
土木部次長      大 石   幸
土木部次長      佐 藤 重 光
総務課長       千 葉 和 男
用地高速道課長    砂子沢 勝 男
道路建設課長     今 野 正 春
道路維持課長     北 田 節 男
都市計画課長     坂 東   守
下水道課長      鈴 木 惠 藏
河川課長       吉 田   健
河川開発課長     佐々木 康 勝
港湾課長       笠 原 光 雄
砂防課長       佐 藤 榮 一
建築住宅課長     金 子   弘
建設振興課長     千 葉 仁 市
技術管理課長     阿 部 丕 顕
警察本部長      池 田 克 彦
警務部長       菅 沼   篤
生活安全部長     境 谷   満
刑事部長       小 池   進
交通部長       石 川 瑞 彦
警備部長       及 川   剛
警務部参事官兼警務課長 沼 崎 喜四郎
生活安全部参事官兼生活安全企画課長 及 川 光 雄
生活安全部参事官兼地域課長 楢 木 鉄 蔵
刑事部参事官兼捜査第一課長 高 橋 信 夫
交通部参事官兼交通企画課長 添 田 信 之
交通部参事官兼運転免許課長 及 川   攻
警備部参事官兼警備課長 日 山   忠
総務課長       吉 村   浩
会計課長       菊 池 幸 男
少年課長       佐 藤 久 孝
捜査第二課長     佐 野 朋 毅
交通規制課長     加 藤 睦 夫
交通指導課長     滝 田 忠 州
出納長        高 橋 洋 介
副出納長兼出納局次長 石 川   誠
監査委員       源 新 義 弘
監査委員       橋 本 光 男
監査委員事務局長   飛 澤 重 嘉
総務課長       山 瀬 宗 光
監査課長       青 木   拓
財政課長       千 葉   弘

〇長谷川委員長 これより本日の会議を開く。
 これより議事に入る。認定第1号から認定第12号まで決算12件を一括議題とする。
 本日は、土木部及び警察本部関係の質疑を行い、その後、決算12件について意見の取りまとめと採決をいたしたいと思うので、御了承を願う。
 なお、世話人会の申し合わせにより、8年度決算の審査であるので、当該年度に関する質疑とされたいこと、質疑項目が複数ある場合、関連する事項についてはできるだけまとめて質疑されたいこと、また、質疑及び答弁については簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いする。
 最初に、藤本土木部長から土木部関係の説明を求める。

〇藤本土木部長 それでは、平成8年度土木部関係の決算について御説明申し上げる。
 その前に、この場をお借りして、このたびの宮古地方振興局土木部及び盛岡地方振興局土木部での道路工事における不適切な事務処理について、県議会並びに県民の皆様方に深くおわび申し上げる。
 このたびの事態については、昨年、いわゆる奥産道の委託調査における自然破壊が発覚し、その反省から土地利用手続の徹底を期した対応を行ってきたにもかかわらずまたこのような問題を引き起こしたことは、土木部長として極めて遺憾なことと反省をしておる。
 なぜかかる事態を招いたのか、その経緯について、事件発生後これまで調査を行った中で判明したことを申し上げると、宮古地方振興局土木部におけるチョウセンアカシジミの生育に必要なトネリコの木の無断伐採問題については、前年度、市との協議により環境の保全策を講じてきた経験を踏まえ、工事着手に先立ち、自然保護への配慮のもと、監督員及び請負業者の現場代理人は現場調査などを再三行ったものの、移植が必要なトネリコの木の発見ができなかったものであり、結果的にその思い込みにより事前の手続を怠ったものである。さらに、関係職員によるチェックが十分でなかったことも原因と考えられる。
 次に盛岡地方振興局における埋蔵文化財の誤認による工事施行の実施についてであるが、埋蔵文化財を記載しておる遺跡基本図により遺跡の存在を確認した際に、表示されている線を見誤り、文化財が当該区域にはないものとして処理したものである。
 なお、この確認過程において複数の職員が直接図面をチェックしたにもかかわらずその過ちを発見できなかったことは、いかに図面が判読できがたいものとしても、疑問を持って対処すべきだったと考えておる。
 これら2件は、事前に関係機関と協議しておけばこのような事態は避けられたものと考えておる。昨年のいわゆる奥産道問題を契機とした再発防止の対応が十分に機能しなかったことにより、県の土木行政そのものに対する県民の信頼を大きく損なうことになったものと考えておる。
 そこで、本日、本年度事業の全箇所を対象にして、他の業務を差しおいても再点検を実施するよう指示しているところで、また、チェックリストについても、改善を要する点がないか、見直しに着手することとしておる。
 また、今回の事態を土木部全体の問題ととらえて、職員の公務に対する認識を徹底し、資質の向上を図り、県政の推進に努めてまいりたいと考えておる。
 それでは、決算の内容に入る前に、平成8年度の土木施策の推進状況について説明させていただく。
 近年は、ゆとり、安らぎのある豊かな生活と、安全で安心できる生活を支える県民生活に密着した社会資本整備の要請が高まってきておる。このような状況の中で、土木部としても第三次岩手県総合発展計画後期実施計画に基づき、積極的な土木施策の展開に取り組んだところである。
 まず、県土の均衡ある発展を支える交通基盤の整備についてであるが、平成8年度からは従来の交流ネットワーク道路整備事業を見直し、県都と県内主要都市間を90分で結ぶいわゆる90分構想の実現を目指す新交流ネットワークの形成を図るため、高規格幹線道路、地域高規格道路、アクセス道路の体系的な整備を積極的に進めたところである。また、空港、港湾の有する機能の充実を図り、快適性、安全性に配慮した整備を進めてまいった。
 次に、都市基盤の整備についてであるが、快適で潤いのある生活環境の創出に向け、街路、住宅、下水道等の整備を進めてきたところであり、特に本県の中枢的役割を果たしている盛岡広域の都市開発整備については、既存の都心と盛岡南地区を結ぶ重要な路線に位置する-仮称であるが-中央大橋の早期着工のための調査を行ったところである。また、住宅の整備については、既設の県営住宅の有効利用を図るため、住宅の改善に努めてきたところである。
 次に、県土の保全についてであるが、さきの大震災やがけ崩れ等における防災上の問題を教訓として、地震や津波、地すべり等の大規模災害に備えた災害に強い県土づくりに取り組んだところである。
 以上述べたとおり、各分野にわたる施策を積極的に推進してきたところであるが、御案内のとおり、近年、地方における公共事業を取り巻く環境には極めて厳しいものがあるが、引き続き良質な社会資本の整備を目指し、21世紀を展望した施策の展開に取り組んでまいる所存である。
 次に、決算の詳細について御説明申し上げる。
 平成8年度の土木部所管一般会計歳出決算額の総額は1、640億798万円余、前年度決算額1、697億4、375万円余に対し、額で57億3、577万円余、率にして3.4%の減である。
 お手元の平成8年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開き願う。第8款土木費について御説明する。予算現額1、784億676万円余に対し、支出済額は1、612億9、200万円余で、翌年度繰越額170億7、057万円である。
 16ページをお開き願う。第11款災害復旧費であるが、第2項土木施設災害復旧費は、予算現額40億6、344万円余に対し、支出済額は27億1、598万円余で、翌年度繰越額は13億4、654万円余である。
 以上、一般会計の総括について御説明申し上げたが、具体的な内容と特別会計については、便宜、歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げるので、平成8年度歳入歳出決算事項別明細書の246ページをお開き願う。
 以下、主な時報について順を追って御説明申し上げるが、金額については省略させていただく。
 まず、第8款土木費第1項土木管理費1目土木総務費は、人件費など土木部の管理運営に要した経費のほか、流域下水道事業特別会計ほか3特別会計に対する県債の償還等に充当するための繰出金等である。248ページをお開き願う。2目建設業指導監督費は、建設業者等指導監督等に要した経費である。250ページをお開き願う。3目建設指導費は、住宅金融公庫から委託を受けて行う融資住宅の現場審査及び建設確認の事務等に要した経費である。4目空港費は、花巻空港の管理運営に要した経費及び空港周辺地域住民の静穏な居住環境を確保するための騒音対策事業等に要した経費である。
 252ページをお開き願う。次に、第2項道路橋りょう費であるが、1目道路橋りょう総務費は、市町村が行う道路事業の指導監督及び第53回冬季国体に関連する町道の整備を促進するため、整備費の一部補助した経費等である。2目道路維持費中、交通安全施設整備事業費は、国の補助を受けて、交通事故多発箇所を重点に自転車歩行者道1万167メートルの整備を図るとともに、道路標識の設置等に要した経費である、道路維持修繕費は、県管理に係る国道及び県道の維持修繕に要した経費、緊急歩道整備事業費は、自転車及び歩行者の安全確保のため、一般国道106号盛岡市川目ほか49カ所、6、814メートルの歩道整備に要した経費である。254ページをお開き願う。3目道路新設改良費中、道路改良事業費は、一般国道282号西根町西根バイパスほか23カ所、1万4、994メートルの改良工事に要した経費であり、緊急地方道路整備事業費は、国の地方道路整備臨時交付金を受けて、一般県道藪川川口線岩手町穀蔵ほか145カ所、4万503メートルの県道の整備に要した経費であり、地方特定道路整備事業費は、地域のさまざまなプロジェクトを支援するため、主要地方道上米内湯沢線盛岡市手代森ほか123カ所、3万9、432メートルの整備に要した経費である。また、全国豊かな海づくり大会支援道路整備事業費は、第17回全国豊かな海づくり大会に合わせ、会場周辺道路の整備に要した経費であり、直轄道路事業費負担金は、国道4号など建設省が実施した道路事業等に対して支出した県負担金である。4目橋りょう維持費は、一般県道盛岡鶯宿温泉線雫石町猿田橋ほか42橋の維持修繕工事に要した経費である。5目橋りょう新設改良費中、橋りょう整備事業費は、一般国道284号一関北上大橋ほか5橋、308メートルの橋梁かけかえ工事等に要した経費であり、震災対策緊急橋りょう整備事業費は、一般国道456号紫波町彦部橋ほか81橋の橋梁の落橋防止工事等に要した経費である。256ページをお開き願う。6目高速道路対策費は、日本道路公団の委託を受けて、東北横断自動車道釜石秋田線の建設用地取得事務等に要した経費である。
 次に、第3項河川海岸費であるが、1目河川総務費中、河川水門管理費は、河川及び海岸堤防水門管理等に要した経費であり、258ページに参って、直轄ダム管理費負担金は、国の管理する御所ダムほか4ダムの管理経費に対して支出した県負担金である。2目河川改良費中、中小河川改修事業費は、滝名川ほか15河川の改修工事に要した経費であり、小規模河川改修事業費は、南川ほか20河川の改修工事等に要した経費、三陸高潮対策事業費は、気仙川ほか5河川の改修工事等に要した経費であり、地方特定河川等環境整備事業費は、和賀川ほか17河川について、河川講演整備、親水護岸整備工事等に要した経費、直轄河川事業費負担金は、北上川上流及び一関地区遊水池など建設省が実施した河川改修事業等に対して支出した県負担金である。3目砂防費中、砂防事業費は、馬場の沢ほか61カ所の堰堤工及び流路工等に要した経費であり、260ページに参って、火山砂防事業費は、松川ほか10カ所の堰堤工及び流路工に要した経費であり、急傾斜地崩壊対策事業費は、鶯宿ほか35カ所の擁壁工等に要した経費である。また、魚にやさしい渓流整備事業費は、永沢川の砂防施設に魚道を設置した経費である。4目海岸保全費中、海岸高潮対策事業費は、金浜海岸ほか3海岸の防潮堤等の工事に要した経費であり、海岸浸食対策事業費は、高田海岸の人工リーフ等の工事に要した経費である。262ページをお開き願う。5目水防費は、河川情報提供システムを構成するための施設整備工事に要した経費等である。6目河川総合開発費は、県営の早池峰ダムなど5ダムの建設に要した経費並びに津付ダム等の実施調査等に要した経費である。
 264ページをお開き願う。次に、第4項港湾費であるが、1目港湾管理費は、久慈港ほか4港の港湾管理に要した経費等である。2目港湾建設中、港湾改修事業費は、久慈港ほか5港の施設整備等に要した経費えあり、直轄港湾事業費負担金は、釜石港の湾口防波堤など運輸省が実施した港湾整備事業に対して支出した県負担金である。
 266ページをお開き願う。次に、第5項都市計画費であるが、1目都市計画総務費中、都市計画調査は、都市計画基礎調査等に要した経費であり、広域公園管理費は、花巻広域公園及び御所湖広域公園等の維持管理に要した経費である。また、景観形成推進事業費は、総合的な景観形成の推進に要した経費である。次に、2目街路事業費中、街路事業費は、市街地の交通混雑の解消を図るため、盛岡広域都市計画道路向中野安倍館線ほか11カ所の道路拡幅工事等に要した経費である。緊急地方道路整備事業費は、国の地方道路整備臨時交付金を受けて、盛岡広域都市計画道路矢幅駅徳田橋線ほか45カ所の都市計画道路の整備に要した経費である。268ページをお開き願う。3目下水道事業費中、下水道整備促進対策費は、大船渡市ほか5市町村が実施した下水道計画策定費及び宮古市ほか18市町村が実施した下水道事業債償還基金の積み立てに対し補助した経費等である。また、過疎地域公共下水道整備代行事業費は、大迫町ほか4町村で実施した過疎代行下水道整備に要した経費である。
 次に、第6項住宅費1目住宅管理費であるが、県営住宅5、195戸の維持管理に要した経費及び住宅供給公社に対する貸付金等である。270ページをお開き願う。2目住宅建設費中、公営住宅建設事業費は、盛岡市青山団地ほか2団地80戸の県営住宅建設に要した経費であり、県営住宅ライフアップ事業費は、盛岡市岩脇緑が丘団地ほか3団地の72戸について、狭小な2戸の住宅を1戸に改造するなど住宅改善に要した経費である。
 次に、第11款災害復旧費を御説明申し上げる。少し飛んで306ページをお開き願う。第2項土木施設災害復旧費であるが、1目河川等災害復旧費中、河川等災害復旧事業費は、過年災、現年災あわせて199カ所の災害復旧工事等に要した経費であり、県単独災害復旧事業費は、一般国道284号ほか10カ所の災害復旧工事に要した経費である。308ページに参って、2目港湾災害復旧費中、港湾災害事業は、小本港ほか1港の港湾災害復旧工事等に要した経費である。
 以上で一般会計の説明を終わる。
 引き続いて特別会計について御説明申し上げる。ずっと飛んで364ページをお開き願う。
 364ページから367ページにかけて、岩手県土地先行取得事業特別会計の決算について御説明申し上げる。
 その決算の状況であるが、収入済額合計は12億9、615万円余である。その主な内容は、事業施行者に用地を売り払いした財産売り払い収入、県債及び前年度からの繰越金等である。
 次に、歳出についてであるが、支出済額合計12億9、571万円余りである。その主な内容は、土地開発基金の管理、県債の償還、事業用地の先行取得等に要した経費である。
 この結果、歳入総額から歳出総額を差し引いた43万円余は、翌年度に繰り越しているものである。
 以上で岩手県土地先行取得事業特別会計の説明を終わる。
 次に、370ページから375ページにかけて、岩手県流域下水道事業特別会計の決算について御説明申し上げる。
 その決算の状況であるが、収入済額合計は108億7、776万円余である。その主な内容は、14市町村からの流域下水道事業負担金、流域下水道の建設事業に対する国庫補助金及び県債等である。
 次に歳出についてであるが、支出済額合計106億7、609万円余である。その主な内容は、北上川上流流域下水道及び磐井川流域下水道の維持管理、建設工事及び県債の償還に要した経費である。
 この結果、歳入総額から歳出総額を差し引いた2億166万円余は、翌年度に繰り越しているものである。
 以上で岩手県流域下水道事業特別会計の説明を終わる。
 次に、376ページから379ページにかけて、岩手県港湾整備事業特別会計の決算について御説明申し上げる。
 その決算の状況であるが、収入済額合計は29億5、408万円余である。その主な内容は、港湾施設、工業用地等の使用料、繰入金及び県債等である。
 次に、歳出についてであるが、支出済額合計29億4、372万円余である。その主な内容は、久慈港ほか3港の維持修繕、久慈港ほか2港の施設整備及び県債償還に要した経費である。
 この結果、歳入総額から歳出総額を差し引いた1、036万円余は、翌年度に繰り越しているものである。
 以上で岩手県港湾整備事業特別会計の説明を終わる。
 次に、380ページから383ページにかけて、岩手県県民ゴルフ場事業特別会計の決算について御説明申し上げる。
 その決算の状況であるが、収入済額合計は2億5、723万円余である。その主な内容は、花巻広域公園ゴルフ場の使用料及び繰入金等である。
 次に、歳出についてあるが、支出済額合計2億5、717万円余である。その主な内容は、花巻広域公園ゴルフ場の管理及び県債償還に要した費用である。
 この結果、歳入総額から歳出総額を差し引いた6万円余は、翌年度に繰り越しているものである。
 以上で岩手県県民ゴルフ場事業特別会計の説明を終わる。
 なお、土木部の主要な事業の成果については、主要施策の成果に関する説明書にそれぞれ記載しておるので、ごらんいただきたいと存じる。
 以上をもって土木部所管に係る平成8年度決算についての説明を終わる。よろしく御審議賜るようお願い申し上げる。

〇長谷川委員長 ただいまの説明に対し質疑はないか。

〇伊藤委員 宮古市の田代川におけるトネリコの伐採についてお伺いしたいと思うが、私も独自に調査した結果を踏まえながら御質問したいと思う。
 この工事は平成4年からずっと連続をしてやってきている工事のようで、地元住民の要望の高い道路で、その完成が一日も早く待たれているところである。その中で、昨年の工事期間中であろうか、トネリコという木がチョウセンアカシジミの食餌になっているという部分を知らないままに、丁張りをかけるときにどうも3本伐採をしたらしいと。そういったことが教育委員会等から指摘をされて、今後こういうことがあってはならないということで協議が始まった、このように伺っているわけであるが、そういう中において、これは田代川の君田というところで、1994年版-平成6年版の昆虫と自然という月刊誌によると、室谷洋司さんという青森昆虫研究会の方が出している本のようであるが、これによると、我が国におけるチョウセンアカシジミの産地一覧という中に宮古市の馬場とか君田とか、細越とかという部分が載っているが、この君田というところには当時の調査ではチョウセンアカシジミはいないとなっておる。したがって、地域の人たちもそういう因果関係というのは知らなかったのだと思う。トネリコという木はよく地元ではタモノキとか言われておって、太くなると野球のバットに使う木だとか、あるいは稲木というか、稲をかける木だとか、そういった程度の理解しかなかったようである。しかし、そういう中で伐採があったという大変センセーショナルな大きな新聞報道があったわけであるが、確かに現地に行ってみたとき、こういう状況で伐採された木が多く積まれておった。しかし、200本という数がどこから出てきたかについてはだれもよくわからないようである。この工事はもちろん県の工事であるから、道路の片側を川の方に拡幅をしていく、こういう工事であるから、河川は県の管理であろうから、民間の土地があった場合に民間の土地を買収をして進めていくと、こういうことだと思うが、まず、そこをお伺いしたいと思う。

〇今野道路建設課長 ただいま御指摘のとおりである。

〇伊藤委員 そうすると、現場の近隣の人たちから聞いた部分であると、今後の工事にかかわる部分の立木補償をした部分は25本ぐらいの木しかなかったと。業者が切って買っていった木のほとんどはクルミの木だったと、こういう部分も業者から聞いてまいった。したがって、伐採をされた200本という部分がどこから来たのだろう。いっぱい積み上げてある木がどこから来たのだろうということで調べたところ、今回の工事区間の道路のわきに位置をしておる個人の所有の土地、そこの部分の木を、個人の所有の方が道路が立派になると利用価値が高くなるということで、原野だったみたいなところを自分の手で切って平らにしたと。そして、その残材を重ねておいた。そうすると業者に片づけてもらえるのではないかと、こういう思いがあったやに聞いておる。
 しかも、昨年、来年度はそういうことがあってはいけないということで調査をする話し合いにはなってそうであるが、どうも調査をしないままにやったと、こういうことのようであるが、現地を見たところ、今年度の工区の部分に上流側に1本の木、そして田代橋の下に2本、印がついた木があって、それも見てまいった。それにはちゃんと卵もついておる。だから、そういうことからいくと、8年度に県の工事にかかわる部分で伐採をしたのは3本だったのではないか。しかも、そのとき近隣で調べたところ、対岸側に17本のトネリコもあったそうであるが、これは工事区間外であるから、工事関係者が一切手をつけるものではない。しかも、これが去年のうちであろうか、その17本もいつの間にかだれかが伐採をしたらしいというのがわかった。これは県の工事のかかわる人たちではないようである。一説には、このチョウセンアカシジミは国内においては岩手県、山形県、新潟県の一部にしかすんでいないということで大変な希種だと。そういうことから、一説には1匹15万円ぐらいでマニアの間では取引をされているというような話もある。15万円が仮に話半分として10万円だとしても、相当高い部分ではないのか、そういうふうに思うが、いずれこれは私が見るところ、どうしても県の工事区間にかかわる部分で200本も切ったとは見えないのであるけれども、こういう点についての県としての調査というか、検討結果というか、そういった部分についてお聞かせいただきたい。

〇今野道路建設課長 ただいまお尋ねのトネリコの伐採本数については、平成9年度工事区域では、切り株や残った枝から、私どもが工事をしておる区域内では10数本あったことは確認されておるが、既に現地が施工されているため、その本数の確認はできない状況となっているのが現状である。今回、この事態後に、私どもとして地元の方々に御協力をいただいて、これまでのその地域における記憶とか既存写真等によってどのような状況であったかという調査や、田代川流域でトネリコの木が多く自生していると言われるところをやはり同じようにお聞きして、そこでの本数調査を、だいたいどのぐらいの面積にどのぐらい生えているかという調査を行っておる。それらから類推すると、報道されている200本は、私どもから考えると相当多い数字となっているのではないかと、そのような考えを持っているところである。
 このようなことについては、結果的にはきちっとした確認は、やはり現在となれば答えはなかなか出しにくいものだなと、このように考えておる。

〇伊藤委員 200本が過大な報道で、実際はそれが1割の20本だったとしても、それで責任は免れるものではないと思うけれども、現地を知らない方々が最初に新聞を見て200本と、こういう部分は大変ショックな部分だったと思う。だから、こういった部分は、現地をさらに精査されて明らかにしていった方がいいのではないか。今後のことも含めて、これはぜひそういう観点をお持ちいただきたいと思う。
 さらに、天然記念物ということで県内で指定をしておるのは、下閉伊郡田野畑村で1973年7月、同岩泉町が1974年6月、同田老村が1984年1月、普代村が1984年10月、そして宮古市が1986年7月、滝沢村が1987年6月、順次町の条例等によって保護ということが指定されているわけであるが、岩手県においては、1973年12月に県の自然環境保全条例によって指定をされたのは田野畑村大字沼袋と大字田野畑のうち中井沢と姫松川、松前沢あわせて60ヘクタール地域、こういうことだけで、地域の住民も、トネリコの木、地元ではタモノキというが、タモノキとチョウセンアカシジミの因果関係というか、それはほとんどの方が知らないのが現状である。宮古市では、平成7年から市内の一般の人を募ってチョウセンアカシジミを観察する会というのを田代川でやって、余り参加は多くなかったと聞いたけれども、沿川をずっと歩いたりしたということであるから、昆虫と自然という本にはないことになっていたわけであるけれども、実際はあったと。それを教育委員会も勉強するために見ていった。そういうことであれば、宮古市の教育委員会も、せっかく工事をしているのはわかっているわけであるので、もう少し早くいろいろな手をうつべきだったのかなと私は思うところである。
 それと、この陰に隠れておってなかなか報道されていない部分であるが、昨年は、現場の川には蛍がいると。そういった部分を保護してもらいたいという地域の要望があって、これは県内で最初だと聞いたけれども、わざわざ緑化ブロックというブロックを採用していただいて自然に優しい配慮もしていただいておるわけで、こういう部分の評価もあわせて本当は私たちはしながら、いいものはいい、悪いものは悪い、こういう観点に立っていかなければならないと思うが、せっかくのこういう御努力が消えてしまうようなことでは大変もったいないと思う。したがって、こういうことについても、最初は処女のごとく、後は脱兎のごとく、最初にいろいろ手を尽くして優しく調査をされてから仕事を進めていただきたと思うわけである。
 今、県内の59市町村を新進・公明会派で来年度予算要望ということでいろいろ歩かせていただいた。県北、沿岸を歩いたとき、10点の要望がある中の5点ないし6点は道路、橋、トンネル、この部分にかかわっておって、岩手県土木部の責任は大変重く大きなものがあると思っておる。こういうことは大変残念なことであるが、どうぞ精査をされて、いい教訓とされながらも、土木部に県民が期待する部分というのはいささかもこれでは減じるものではない、このように思うので、改める点は改めながら、ひとつ元気を出して今後に臨んでいただきたいと思う。
 この自然保護団体の尾形会長も言っている。やはり同じ本であるけれども、天然記念物として奉るのではなく、その地域の自然のシンボルとして積極的に活用することでその地域の自然保護も保たれるものと考える。この貴重な文化的財産を守りながら、生態的にも特異な点の多いチョウセンアカシジミを子供たちの学習教材や自然科学の芽を養う自然観察の対象として活用し、そして、人間とチョウセンアカシジミが共存できる保護活動を各地で展開していこうと思っている。まさにここだと思うので、こういった点にもひとつ手を差し伸べていただいてお願いをしたいと思う。
 最後に一つ、この点についての要望であるが、現地で担当された担当官が大変憔悴をし切っておって、事の重大さに打ちひしがれておるようであるが、これは、罪を憎んで人を憎まずという点もある。また、宮古振興局の中の上司の人たちは、自分たちはともかく、現場の若い将来のある者に傷をできるだけつけないでくれ、こういう声もあるやに聞いておるので、悪いことは悪いとしながらも、どうぞ将来のある若者に傷のつかないような恩情ある、処分、処罰なりは仕方がないかとは思うけれども、強く要望して終わりたいと思う。

〇谷藤委員 今、伊藤委員の方からいろいろ御質問があって、関連するわけであるけれども、このチョウ センアカシジミに関する問題であるけれども、昨年の奥産道問題がまだ解決していない中でこういう問題がまたおきたということで、まことに遺憾に思う。しかし、今、伊藤委員からもいろいろ現場の状況なり、報道と大分食い違っているというということもお話しいただいた。どこから200本という数字がいきなり出てきたのかちょっと今になると不思議でならない気もするけれども、現実としてはそんな数字ではなかったのではないかというように私なりに思ったわけである。
 そこで、今回の問題の発生の事実経緯というのはどんなものだったのか。
 それから、なぜこのような事態が発生したのか。
 それから、今、担当の職員の話もでたけれども、担当者の自然保護に対する認識に問題はなかったのかということについてお伺いしたいと思う。

〇今野道路建設課長 平成9年度の道路工事にかかるまでの事実経緯についてであるが、平成7年度に県で道路工事を行っていたところ、宮古市の教育委員会から、翌年度の道路工事からはこの天然記念物に考慮して協議を行うよう申し出があったところである。それを受けて、平成8年度になって振興局土木部の方で市と現地立会を行った際に、施工業者が準備作業において誤って3本ほどの伐採を行い、市より注意を受けたところである。その後、再び現地立会で、指示のあった移植が必要な木とされる卵のついているトネリコの木14本と、それに県の独自調査で自主的にトネリコの木を4本加えた計18本の移植を平成8年度には行っておる。平成9年度になって、前年度の経緯もあって協議をすることとしておったが、監督員と現場代理人が調査を行い、最終的に移植の必要なトネリコは存在しないと独自に結論づけ、事前協議を行わずこのような無断伐採の事態を招いたものである。
 次になぜこのような事態発生に至ったかの経緯についてであるが、工事を担当した監督員の認識として、当然工事着手前に協議をする予定であって、県のチェックリストにも記入しておったところで、平成8年度に-前年度であるけれども-市の現地指導等を受けた中で、移植を行う必要のあるものは先ほど申し述べたように卵のついている木で、それには印がついている、そのような理解を持っていたところである。また、監督員は、市の教育委員会で作成しておる平成7年度の天然記念物チョウセンアカシジミ生息調査報告書という報告書があって、これを事前に平成7年度分について入手しておって、平成9年度の工事区域には卵のついている木は1本と記載されていると、そのようなことを了知していたものである。
 それらも踏まえて工事着手前に現地調査を監督員、現場代理人等が行ったところで、監督員は2度にわたって調査を実施したが、該当する木は印がついているという認識をもっていたものだから、木は発見できず、また、卵のついている木も発見に努めたところであるけれども、それはできなかったものである。また、移植経験のある現場代理人も独自に調査を行って発見できなかったと。これらのことを踏まえて、同工事区域には移植が必要なトネリコは存在しないと結論づけたところである。この結果、担当者は未協議のまま立木の伐採を指示したもので、当然市に協議し、確認すべきものであり、そうすることによってこのような事態は未然に防げたものではなかろうかと、このように考えておる。
 なお、若干つけ加えさせていただくと、、先ほど申した平成7年度の調査報告書を監督員が了知していたわけであるけれども、そこでああるとされた1本の木については、今回の事態発生後、私どもの出先の方で調査した中で、それと思われる木が現在も付近の工事区域外の民地で生育している、そのような印がついた木があるということを確認しておるところである。
 また、自然保護に対する担当者の意識について問題はなかったのかと、こういうお尋ねであるけれども、監督員の知識と行動等について若干御説明させていただくと、学生時代から自然保護そのものに大分関心を持っておって、チョウセンアカシジミの卵数調査にも自主的にボランティアとして2度参加しておった、そのように聞いておるし、自然保護に対するいろいろな啓蒙活動に対してもお手伝いしたいと、そういう目的意識も有しておったと聞いておる。そのため、地元の住民の方々にチョウセンアカシジミが生息しているということを周知させるための看板を市の教育委員会等にこちらの方から提案して、どうだろうと、そのような話で協議をしていた矢先のことだったと、このように聞いておる。昨年度も同じ工区を担当したことから、その際の移植の経験によってトネリコの木についても知識を有してきたかと、このような状況である。
 これらのことから、本工事における監督員としては本来は適任であったものと私どもとしては考えておる。しかし、協議と確認行為を行わなかったのは大きな判断ミスがあったのではなかろうかと、このように考えておる。

〇谷藤委員 ずっとこの経緯からお話を伺ってくると、それなりに調査もずっとされてきている。それから、宮古市の教育委員会、こことも調査もやってきている。それから、チョウセンアカシジミの会とか、そういうところもあるのだろうけれども、そこともいろいろ協議しながらやってきたように承った。そうすると、実際に工事区域に本当に移植するような木があったのかどうかということすら何か疑問になってくるような感じなのである。報道で200本とかいきなり数字が出てきて、この問題はどうなっているのかよくわからないような感じになったけれども、いずれこの自然保護という立場からいけば、これからも工事を進めていく上ではきちっとした調査は必要であろうけれども、事実は事実として、これからもきっちり現場の物を再度確認していただいて、最後の詰めが甘かったと言われればそうかもしれないけれども、事実は事実としてもう一度確認をして、今後工事を進める上で、そこをちゅうちょしながらやっていたのではさっぱり工事も進まなくなるのではないかと思うので、それはそれとして分けて考えていただきたいと思う。
 この問題にも関連するのでちょっとお伺いするけれども、これらの調査を含めて、どうも土木部の人員が附則しているのではないか。もっと工事なりを促進していく上では調査も必要であろうし、いろいろな形で要員が必要だろうと思う。私は昨年の12月にも質問させていただいたけれども、平成4年あたりから経済対策ということもあって非常に公共事業に積極的に仕事を出していく。それに対応していくために土木部は夜寝ないぐらい一生懸命やってきたと思う。ところが、人員が増員にならないままできている。土木部の職員が1人当たりどれぐらいの公共事業費の対応をしてきているのか。例えば盛岡振興局の土木部で結構であるけれども、そういう数字的なものというのは1人でどのぐらいこなしてやってきているものなのか、まずお聞かせいただきたい。

〇千葉総務課長 土木部職員の問題であるが、確かに土木職の職員数は年々減少しておる。国の公共事業投資基本計画あるいは県におけるだい三次総合発展計画を基本にして新規行政需要への対応を図るために業務量に見合った職員の確保を図るということを基本としておるところであるが、その一方で新たに業務の見直しを行って、権限委譲あるいは事務の効率化、それから、委託可能な業務の積極的な委託の推進、電算機の導入などを行っておって、こういった業務の効率化に努めた結果こういった人数になっているものと理解しているところである。
 なお、お尋ねの1人当たりの公共事業費等の推移については、現在手元に数字を持参していないので、お許しいただきたいと存ずる。

〇谷藤委員 いずれ大変御苦労されているだろうと思う。奥産道のときもそうであったけれども、要するに庁内の職員では対応できない。外部にそういうふうな管理をするような感じになったのだろうと思う。そういうことで目が行き届かなかったというところからこういう問題も出てきている。そういうことを考えていくと、やはり人員を増強していかなければならないのではないかと思う。
 それから、これから公共事業が、非常に国の方も財政が厳しくなっていく。そうすると、さらに事業費との比率からいって人員削減という方向にこれからまたなるのか。今でさえ私は少ない中で苦労してやっているのではないかと思うのだけれども、またさらに公共事業費が削減されると、それに合わせて定数の削減というようなことになっていくのかどうか、その辺についてお伺いする。

〇千葉総務課長 公共事業費の動き等にも密接に関連はあるが、いずれにせよ必要な人員等の確保については今後とも配慮してまいりたいと人事当局とも協議しながら努めてまいりたいと考えておる。

〇谷藤委員 いずれ大変だろうと思う。職員の士気低下につながるような事件が続いているわけであるけれども、お聞きすると、土木部の職員の昇格というのか、内部の係長とかそれぞれあるわけであるが、そこに行く年齢がかなりほかの部署に比べると進み方が遅いと。箇所が足りないのか人数が多いのか年齢的なバランスの問題なのかよくわからないけれども、その辺があるので士気が低下しているのではないか。だから、それなりの意欲を持って仕事に取り組めるような処遇というか、その辺を何か講じないと、内部的に士気が低下している、このような声も聞かれるので、その辺の考え方をお聞かせいただいて終わる。

〇藤本土木部長 いろいろ勇気づけられるというか、御支援の御質問、本当にありがたい。
 土木部の職員、確かに委員御指摘のとおり、私も岩手県に参ってまず感じたのがそれであった。そういった意味で、本年度、振興局に土木部が入る際にかなりの処遇改善というか、組織をつくらせていただいたということである。例えば、各振興局土木部には、3振興局であるが、言ってみれば所長と同格の調整主幹というポストを三つつくったし、あるいは主任、主査というポストを14つくっておるし、それから、これまで工務課と言っていたものを工務一課、二課に分けたり、そういった意味でいろいろな処遇改善にはこれまでも努めてまいったし、今後とも私としても努めてまいりたい、このように思っておる。ただ、先ほど委員からも御指摘があったが、年齢構成というか、どうしてもある時期、公共事業の重要性から大量に採用したということもあって、そのトンネルを抜けるまではちょっときついのかとは思っておるが、引き続き頑張ってまいりたいと思う。
 いずれにしても、今回の二つの事件もいま一歩のところだったと、こういう思いがしておる。先ほどのトネリコの問題にしても、電話1本教育委員会にしておけば済んだのではないかと思うし、遺跡の調査についても、幸い教育委員会の話だと遺跡破壊に至らなかったかのように私仄聞しておるが、もうちょっと見ておけば事前にちゃんと調査できたのではないかというような思いもしておる。そういうささいなことをきっちり今後やらなければいけないと、こう思っておる。そういった意味で、奥産道の再発防止策としてチェックリストというものをつくって、それでしっかり事前にチェックした上で事業を進めようということにしたわけであるが、やはり私どもなかなか耳だけで聞いたのではわからない。自分の手で動かすと初めて身につくというか、これは何でもそうだと思うが、そういった意味で、今回すべての仕事をきょうはなげうって、とにかくそれだけに集中して再点検するように指示したところである。そういった意味で、今後、私としては起きないだろうという希望を持っておるが、今後とも環境に配慮したいというか、環境と共生するような公共土木事業の推進に努めてまいりたいとこのように思っておる。

〇小原委員 ただいまの質問に関連をして私からもお尋ねしたいと思う。
 トネリコの伐採の問題である。
 私は、総括質疑の中でもこの件に触れた。このトネリコという木が何本伐採されたか、もちろんそのことも大事であるけれども、ただ、そこにある問題というのは、今、部長からお話があったように、特にも土木部の場合は一般論を超えて具体的な形で現場に対応をしていく、こういう部署である。それだけに、自然との共生という理念を具体的な場で実現をする、発揚していく、そして、県民の意識とあわせてお互いに高まっていく、こういう場である。なるがゆえに、細かなミスというか、細かな作業ではあるけれども、そこを怠っていくと大きな意識という問題あるいは価値観という問題にぶち当たっていく、問題が提起をされていく、こういう部署だと思う、皆さんの現場を預かる部署は。そういう意味で、ぜひともこうした部分に気を使いながら、子細にわたって気を使って仕事をしていただくということがどうしても必要になってくるわけである。特にも、先ほど伊藤委員からもお話があったように、子供たちの観察の対象でもあるという意味では、社会教育や学校教育という部分までも含めた分野でもあるというところにその現場があるわけであるから、確かに卵のある、なしということもあるであろうが、それは土木部の独自調査で済むものではない。これは、お話があったように、宮古市の教育委員会と事前協議という約束をしているわけであるから、それはないか、ない場合でも、では、翌年は、これからは卵をそこに産みつけるという可能性はないのか、そういう判断というのはお互いの調査の中で判断をしていくということであるから、これは土木部の独自判断ということでは、済まされないことだと思う、仮に同じ結果が出るにしても。そういうことについては、やはり反省をしていかなければならない問題であろうと。
 同時に、それは地域とのかかわり、要するに自然環境のどの木だと特定してやっていかなければならない対象物も物によってはあるであろうが、やはり地域としてとらえて、今後の工事とのかかわりはどうだというふうに考えていかないといけない問題ではないか。確かに本数も問題ではあるけれども、その地域のかかわりの中で自然環境とどう共生していくかという観点を持っていかないと、何本だからいいという話ではないだろうと思う。そういう観点で、遺跡の問題もかかわってまいるけれども、いろいろな面で最前線であるから、自然とのかかわりの中では最前線における工事現場を担当している土木部の皆さんであるから、そういう点を十分に配慮をし、お互いに自然との共生を図っていく。それに配慮をした工法なり工事なりというものが、優良事例がいっぱいあるが、それらが一層高まっていくことによって県民は県の土木行政に対して大きな評価と、それから激励が高まっていくのだろうと、そういう関係にあると思う。そういう意味で、部長から再度そうした観点をお聞きしたいということである。

〇藤本土木部長 御指摘のとおり、私ども公共土木事業、自然を常に相手にしている事業である。そういった意味では、当然自然とは上手におつき合いしていかなければいけないわけで、現に私も、来年からの新しい道路5計についてもそのために新道路ビジョンというものをつくっておるが、その四つの柱の中の一つに、自然を大切に、自然と触れ合う岩手の道づくりというものを挙げているわけで、私ども決して自然をないがしろにしているわけではないということは御理解いただきたいと、こう思うし、奥産道以降についても、例えば釜石におけるイワツバメの対策であるとか、あるいは陸前高田の海岸工事における高田松原の産卵に対する工事への配慮とか、いろいろなことをやっているわけで、その点もぜひ御理解いただきたいと思うが、いずれにしても必要な協議をきっちりするということは当然のことであるし、それを怠ったということは我々の責任だと、こう思っておる。今後はこういうことがないように私どもも事業推進に努めてまいりたい、このように思っておる。

〇久保田委員 私からは3点の御質問をするので、よろしくお願いする。
 一つは、県事業によって発生する廃棄物のリサイクルと資源化再利用の状況についてである。
 第2点は、道路管理者の責任に帰する交通事故の発生状況と損害賠償の状況についてお尋ねする。
 第3点は、ダムの土砂堆積防止対策についてである。
 まず、第1点の、県事業によって発生する建設廃材の利用はどのようになっておるか。木材、コンクリート、プラスチック等々あるわけであるが、これらの利用状況について、まず、お知らせをいただきたいと思う。
 次に、流域下水道の汚泥の処理はどうなさっているのか。有効活用が求められるものであるから、お伺いする。
 一連の建設廃材については建設業界への指導が欠かせないことであるが、こうした面での業界指導はどのように行われておるか。
 最後に、リサイクルの推進体制は部内にどのように設置されておるのかのことについてまずお尋ねをする。

〇阿部技術管理課長 建設廃材等を含む建設副産物の利用に関するお尋ねであるけれども、まず本県の公共土木工事関係から発生をしている実態についてである。平成7年度調査、これは全国調査は平成2年度を初年度として5年ごとに調査しておって、7年度調査、これは一番新しい全国統計である。この調査では建設発生土は123万3、000立方メートル、それからアスファルト塊あるいはコンクリート塊等の建設廃棄物は14万6、000トンとなっておる。これらの利用状況についてであるけれども、建設発生土の再利用率は38%、東北の平均値の13%ほど上回っている状況にある。しかしながら、アスファルト塊あるいはコンクリート塊、それから木材等も含めた建設廃棄物の再利用率は59%であって、東北平均値の65%に比べて6ポイントほど落ちていると、こういう状況にある。
 それから、お尋ねの2点目であって、建設業界への指導はどうかと、こういうようなお尋ねだったと思うが、各工事の着工前に建設副産物の利用計画書あるいは建設副産物利用促進計画書等の提出を義務づけておって再利用の促進を図るようにしておるし、建設廃棄物については各段階で処理伝票、私どもマニフェストと言っておるけれども、こういうものにより確認しながら不法投棄の防止に努めているところである。
 次に、リサイクルの推進体制についてのお尋ねであるが、国や県、市町村、さらには関係業界団体からなる岩手県建設副産物対策会議というものを平成4年度に設置しておって、リサイクルの推進に努めてきているところであって、本年度も11月に開催して、具体的な取り組みについて協議をしてまいったところである。しかし、アスファルト塊とかコンクリート塊等の建設廃棄物の、先ほど申し上げたのは県だけのあれであるが、市町村とか民間とか含める県全体となると利用率が非常に低い状況であるので、今後ともそれらの団体との連携を密にしながら、さらには、情報交換等の電算システムを導入する。こういうことも検討しながら、より一層のリサイクルに努めてまいりたいと、そういうふうに考えておる。

〇鈴木下水道課長 下水道の汚泥処理についてであるけれども、現在稼働している下水道の処理場は、県が管理している流域下水道の都南浄化センター等の4処理場となっておるが、参考までに市町村を申し上げると、さらに市町村の公共下水道の処理場11処理場も合わせて15処理場がある。下水処理に伴って発生する汚泥は、平成8年度末に、流域下水道が約1万3、000トン発生しておる。また、公共下水道からは7、000トンの合計約2万トンに達しておる。下水汚泥は、適正な処分を行う必要があるとともに、有機物など資源としての有効成分も多く含まれていることから、再利用を図ることも大変重要な課題であると認識し、その推進に取り組んできているところである。
 この結果、平成8年度の実績で、流域下水道の都南浄化センターで発生する汚泥の大部分に当たる9、000トン余りについては、平成4年度に建設した汚泥焼却炉において焼却した上、残った灰を民間セメント会社に処理をお願いしておるし、これはセメント材料として再利用しておる。そのほかの1万トン余りの汚泥については、民間会社に肥料化して緑化や農業に再利用するなど、下水汚泥のほぼ全量を再利用している状況にある。今後、下水道の新規供用開始などの普及拡大に伴って、下水汚泥の発生量も大幅に増加する見込みであって、関係市町村等と協力しながら一層の有効利用に努めてまいりたいと考えておる。

〇久保田委員 お答えいただいた。わかった。いずれコンクリートとかアスファルトなどの利用率を高めていただくことが大事だと思うので、一層の努力をお願いしたいと思う。
 下水道の汚泥の処理については今お話しいただいたように有効活用されておるわけであるが、先般コンポストで処理する岩手コンポストという会社ができたわけであるが、それらの関係はどのように活用される予定になっておるか、あわせてお答えいただきたいと思う。
 次に、道路管理者の責任に帰する交通事故の関係であるが、これまで平成8年度における訴えられた事件数はどの程度あろうか。事件の特徴はどういう内容であるか。判決やあるいは和解によって処理していると思うが、賠償額はどの程度になっておるであろうか。
 それから、責任賠償保険に加入していると思うが、加入の状況についてお尋ねをしておく。
 最後なんであるが、道路管理者が賠償すべき責任の範囲というのはどういう場合が通常考えられるものであるか、そのことについてお答えをいただきたいと思う。

〇鈴木下水道課長 コンポストの関係であるけれども、8年度末であるが流域分としては約27.5%、3、600トン弱である。それから、公共については6、700トン弱であるが、97%分がコンポストとして利用されておる。それで、全体で約52%ほどとなっておって、今後はこれについても公共の部分については焼却炉等の設備がないので、そういうコンポスト方向に流れていくのではないのかなと認識しているところである。

〇北田道路維持課長 道路管理の責任に帰する交通事故の発生状況、その後の対応ということのお尋ねである。
 5点あったが、まず第1点目の、平成8年度何回ぐらいあったかと、こういうことであるけれども、平成8年度道路管理箇所に係る件数、9件発生しておる。
 次に、その事故の特徴はいかんと、こういうことであるけれども、道路管理箇所に係る事故、例えば道路ののり面からの落石あるいは側溝のふたの不備等で事故が起こるとか、あるいは路面の穴ぼこ、そこにはまって事故が起こるというようなたくさんな事例があるけれども、本県の場合はほとんどが道路ののり面からの落石による事故が多くあって、手持ちの資料であると過去6年、平成3年から以降ちょっと累計とってみたけれども、全体の7割ぐらいが道路のり面からの落石事故に伴うものが圧倒的である。ちなみにそれは全国的に40%ぐらいだというのに比較すると圧倒的に多いのが特徴かと思う。
 3点目は、それらの処置状況というか、和解状況と、こういうようなお話であるけれども、先ほど申し上げた平成8年度に発生した9件については、現段階ですべて和解というか、示談で解決しておる。その賠償金額は301万4、000円という状況である。
 その次は、責任賠償保険の加入状況というお尋ねであったけれども、道路賠償保険は本県の場合昭和61年から加入しておって、それは道路の延長掛けるメートル当たり単価ということで、平成8年度実績で申し上げると4、218キロメートルの延長に対してキロ当たり1、300円を掛けて548万3、000円が保険料として支払っているところである。
 5番目は、道路管理者が負う責任の範囲というようなお尋ねだったと思ったけれども、道路管理者が責任を負う範囲として、国家賠償法第2条において、道路の設置または管理に瑕疵があったため、他人に損害を与えた場合にはこれを賠償する責任があるとうたわれておって、いろいろの判例等を見ると、道路の管理に瑕疵があるとは、道路が通常有すべき安全性に欠けている場合とされておって、具体的には、事故当時の気象条件あるいは通行の道路利用者等々、諸般の事情、予報等もあっていろいろ総合的にしんしゃくし、その責任の所在を個別に判断するものと考えておる。

〇久保田委員 わかった。
 最後の質問になるが、ダムの土砂の堆積の防止対策について具体的にお尋ねするが、早池峰ダムの建設にかかわって土砂堆積の防止対策というのは具体的にどのような方法を講じられておるであろうか。
 なお、ダムの堆積状況については本年の予算委員会でも私お尋ねしているわけであるが、ダムの寿命を延長させるということとも関係があるものであるから、改めてこの機会にお伺いするものである。

〇佐々木河川開発課長 早池峰ダムの土砂堆積防止対策についてであるが、計画に当たって、ダム上流域から年間平均流入土砂量の100年間分の容量を確保するということになっておる。したがって、早池峰ダムにおいては150万立方メートルの容量を見込んでいるところである。
 また、ダム湖に流入する本川、支川の上流部では、地形が急峻で山地崩壊が見受けられる箇所があるわけであって、砂防事業や治山事業により、土砂流出防止対策として既に21の砂防、治山、堰堤が完成しているところである。さらに、砂防事業等も今後も進められていくところである。
 また、本ダムの貯水池上流部には早池峰国定公園、また、森林生態系保護地域などに指定されておって、立木等の伐採は規制されているところである。したがって、早池峰ダム流域の森林については、良好な保全が図られていくものと考えておる。今後とも、よりよい森林保全が図られるよう関係機関に働きかけてまいりたいと思っておる。

〇船越委員 私からは国道106号時間短縮問題1点だけについてお願いする。
 90分構想であるが、広域圏15万人の待望が久しいわけであるが、なかなか3年がかりで達曽部トンネル、私たちは今か今かと思って通っているんであるが、さっぱり反対の方に穴が抜けてこない。前にもこれ聞いたんであるけれども、この間せっかく天皇陛下の行幸啓を豊魚祭にお招きした際も、非常に曲がりくねっているものだろうと思うんであるが、それで山田線を利用したといったようなことであって、私たち春に秋田の視察に行って、湯田ダムのほとりから北上を通って、そして県議会にあっという間に来て、まことに快適な道路網できたものだなあと思って感心したわけであって、私も週に2回も3回もこの106号を来ているんであるが、はらわたがあっちへ行ったりこっちへ行ったり、とてもとても疲れる。それから見たら湯田ダムの方は眠っているうちにすうっと来るといったようなことで、ああいう道路ができないものかなと思って沿線15万人の人々は熱望しておるわけなんであるが、なかなか出てこない、3年がかりなので。そこで、私、聞くところによると何か地権者が頑張って、さっきは木を切って大変だと話したが、土木部長は非常に快刀乱麻、すばらしい決断力を持っていると、殊に地元の出身の部長でないところがいいところなんだ。だから、ここでずばっと発動すべきものは発動して、そして立派な足跡を残して、次に来たときは天皇陛下がこの106号を利用すると、こういったようなことにやってもらいたいんであるが、その決意のほどをお聞かせいただけば私はこれで終わるが、いかがなものであろうか。

〇藤本土木部長 お尋ねの国道106号の達曽部トンネルの件であるが、委員御指摘のとおり、1人地権者の方で了解が得られていない方がおる。平成5年度からこれまでに約30回の用地交渉を重ねてきておるが、現在までいまだ了解が得られてないという状況である。これだけやっておるので、現在事業認定の手続を進めているところであるが、なお、これと並行して任意交渉による解決が図られるよう引き続き努力してまいりたいと、二本立てで今現在事業を進めているところである。

〇藤原(泰)委員 私からは道路の整備の関係であるが、部長には大変冒頭の予算説明の中で陳謝されたりというようなことで、その御心労を十分わかるが、ただ、それはそれとして、そのことによってこれからの土木行政に萎縮するようなことのないように、それぞれの委員からも出ておるが、私からも強くその点お願い申し上げる。
 さて、道路整備については、冒頭の予算の説明でも90分構想ということでお話あったわけであるが、このことはかつての委員会でも、90分というのは盛岡のどこまでかということで、中心部とかあるいは盛岡周辺とかというお話あったんであるが、いずれは盛岡市を中心にしてその周辺の乗り入れということは非常に渋滞していることは御案内のとおりなわけである。特にも、私は地元意識を申し上げるわけではないが、国道396号、これもなかなか大変なところである。競馬のあるときにはあの辺一帯が渋滞するという実態なわけである。ただ、恒常的に渋滞しておるのは都南大橋、いわゆる日赤からあの周辺の道路整備の環境であるが、これについては既にお話も聞いてあるわけであるが、トンネルを通して106号に通ずるという構想もあるわけであるが、しかし、それは何年のことかもちょっと見通しがつかないという現況なわけであるが、そうした場合に今現在の川目線の信号、スタンドがあるわけであるが、あの周辺が渋滞するために都南大橋で車もまた渋滞してなかなか396号に乗り入れができないという実態もあるわけである。そんなことで非常にこの関係については、どこの道路も同じような状況であろうが、特にも私ども利用している者にとっては非常に交通の渋滞がネックになっているようなこともあるので、396号から川目線に入るあの周辺、わずか何十メートルでもないんであるが、ただ、あそこにはスタンドがありそれぞれの施設があるわけであるが、その辺について今までどのような理解でもって対応されておるのか、あるいは全くあの辺は改良する気持ちがないのか、今までの経過あればその辺お伺いし、また、これからの若干の関係についてをお伺いする。

〇今野道路建設課長 国道396号と主要地方道上米内湯沢線の手代森地区の交差点についてのお尋ねである。
 あそこの交通渋滞の状況等から地元からも強く要望されておって、昨年度、県道及び国道に現況の道路幅員を利用した中で右折レーンの設置を行ったところであって、そのことによって、特に南の方から市内方面に向かう交通渋滞については大きな効果があったものと理解しているところである。しかし、今、委員おっしゃるように、国道4号から396号の方を経由して南進する車等も増加傾向を示しておって、交通量とすれば相当の規模になっている。そのような現況である。396号については主要な幹線道路であって、この区域については先ほど申し上げたように交通量も相当で、現在私ども把握しているところではその区域は大体12時間交通量で1万8、000台ぐらい今、超えているのかなと、そのような状況で、当然整備が必要な区間、2車線の道路ではやはり将来的にこの対応はできないものだと、このように考えておる。ただ、現地の交差点の付近の状況については、国道の西側については一級河川である北上川の河川区域がすぐ隣接しておる。河川管理上の制約がなかなかクリアできないという事情もあるし、また、東側については開発行為等で整備された住宅地域もあって、なかなか現在の状況等を踏まえると早急な整備は難しいというか、容易ではないものと、このように考えているところである。
 また、交通渋滞の抜本的な解消と申すと、そこの交差点部分ではやはりその出口、交差点を改良してその先の出口についてはまたそこでパンクする状況がある。私どもとすれば交差点部分のみならず、ある一定区間の整備が不可欠だ、そのように考えているところであって、その整備に当たってはやはり盛岡の広域都市計画での計画策定も予定されているということも踏まえて、それらを勘案した中で整備の基本的な方向性などをやっぱり十分勉強していく必要があるんじゃなかろうかなと、このように考えているところである。

〇藤原(泰)委員 終わりと思ったんであるが、ちょっと落ちたところがあるので、というのは、決算の関係であるので今までの経過だけをお聞きするのが本当であるが、ただ、関連の中で106号に通ずるところのトンネル構想のこれからの考え方、その点をお聞きしたいと思う。
 なおまた、先ほどお答えがあったように、北進する右折レーンについては非常に狭小な右折レーンであるけれども、好評を得ていると、非常に気配りのよかった右折レーンだなということで、非常に地元からも高く評価されておるわけであるが、その点は厚く感謝申し上げ、なおこれからも今お答えいただいたようなことで、ひとつ進めていただきたいと思う。
 では、106号の関係お願いする。

〇今野道路建設課長 宮古盛岡横断道路に位置づけられておる盛岡市の川目から手代森に至る、いわゆる都南・川目道路についてのお尋ねであるが、この道路は地域高規格道路として昨年新規事業採択を国に要望していたところ、昨年8月になって整備区間の指定を受けて、本年度より国の直轄事業として事業化されたところであって、現在国においてはその路線の検討をすべく環境影響評価等の調査を行っていると聞いておる。本道路の整備が図られると、当然沿岸地域の宮古市と東北縦貫自動車道の盛岡南インターチェンジが直結されることになる。そのような意味で広域的な幹線としてますます機能強化が求められていると、このように考えておるので、これらについて調査熟度を一日も早く詰めていただいて、実際の工事促進がなされるように国に強く働きかけてまいりたいと、このように考えておる。

〇田村委員 簡略に3点だけお尋ね申し上げる。
 まず、このたびの政府の景気対策の一環として、ハイウエーオアシスの事業の推進というのが載せられておるわけであるけれども、景気対策でのこの事業の推進ということになると、今までのハイウエーオアシス事業に係るいろんな規制とか、そういったものが幾らかでも緩和になっているのかどうか、それをまずお尋ね申し上げる。
 それと同時に、今年度であったか、湯田のハイウエーオアシス完成したわけであるけれども、そこの利用状況等もあわせてお尋ねする。
 あと次に、山林の間伐材利用ということで建設省あるいは林野庁であるか、合同での今後間伐材を大いに利用していこうということで、県においても9月中には内部に連絡会議を設置しろというようなことがあるようであるけれども、実際にこの連絡会議というのは岩手県で設置されているものかどうか、これをまずお尋ねする。
 次に、これは決算ベースで見ると土木部予算総額で1、700億円、膨大な予算なわけであるけれども、実はこの総予算の中で道路維持費関係の予算が107億円、純粋に道路補修費はたったの28億円という決算の状況である。私、非常に懸念しているのは、道路新設改良、これは多分昭和45年以降非常な進捗力で進んでいると私は認識しておる。もう既に以来30年近くたっておって、また、道路事情あるいは県民の生活状況もどんどん変わってきている。そういった中で当時つくった道路の維持管理というのが非常にこれからウエートを占めてきているんじゃないか。また、その維持管理というのが直接的に住民生活が一番今望まれているのがこの道路維持管理じゃないのかなと思っておるわけである。そういった中でたった28億円の、純粋なこれは道路修繕費なんであるけれども、こんな予算ベースでいいのか。総枠でも道路維持費107億円、私はもうちょっと──もうちょっとじゃなくて、本当に今、県民が間近に道路行政について望んでいること、あるいは交通渋滞、子供たちの交通安全、そういったものを望んだ場合、この道路維持費というのは今後どうしてもふやしていかなきゃならないし、この確保は図っていかなきゃならないと思うんであるが、その辺の御見解をお尋ねする。

〇今野道路建設課長 ハイウェイオアシス構想の現在の新しい動きということについてのお尋ねであるけれども、現在、国においては規制緩和の一環として、民間活力を活用するなど高速道路の高度利用やサービスエリア、パーキングエリアを活用した地域拠点整備事業の制度の見直し等を検討されていると伺っているところである。現在のところはそれについて具体的な内容等についてはまだ明らかになっておらないところであるけれども、弾力的な運用を図る中で高速道路をもっともっと利用してもらいたいという形での制度改正等の検討を行われていると理解しているところである。したがって、現行制度では認められていないものでも、このたびの制度改正等の動きが具体化することによっては、将来的には実現可能となる施設等、整備手法等が出てくるんじゃなかろうかなと、このように考えておる。私どもとしても、そのような国等の動きを的確に把握しながら、その辺の情報をきちんと地元関係者、そういう構想をお持ちになっている方々に勉強するなど指導助言をしてまいりたいと、このように考えているところである。
 それから、湯田町のハイウェイオアシスの利用状況についてのお尋ねである。
 施設としては、温泉や売店、レストラン等を備えた峠山パークランド・オアシス館と公園等を横断道の整備と軌を同じくして建設したものであって、開通後1週間ほどおくれたことしの8月1日にオープンしているところである。その中では利用状況について、温泉利用客は11月末で約4万8、000人と伺っておる。月平均にならすと1万2、000人、日平均約400人これまで利用されておって、当然そこと隣接している売店及びレストラン等の利用客も温泉利用客と同数程度との話を町の方から聞いておる。当初計画した入り込み客数は、日平均温泉利用客を300人と想定していたところであって、現在のところそれを上回る形で利用されていると、そのような状況になっておる。

〇藤本土木部長 山林の間伐材利用についてであるけれども、自然との共生を目指す土木部としては非常に重要なことだと、こう思っておる。そういった意味で昨年から土木部としてもこの間伐材を活用できないかということをいろいろ検討してまいってきたところである。その結果、スノーポールであるとかあるいは河川工事における利用であるとか、いろんな取り組みをしてきたところである。そういった意味で国の施策を先取りした形で現在土木部は進めていると御理解いただければと、こう思っておる。

〇北田道路維持課長 道路維持費は十分かと、こういうお尋ねだったかと思うけれども、その前に事実確認というか認識として、先ほど委員も御指摘の維持修繕費は28億云々というのは、たしかお手元の歳入歳出決算事項別明細書253ページの右の欄のところに書いている備考欄の28億円というお話かと思うけれども、実はこの道路補修、維持管理に関する事業費、次ページの例えば254ページあたりの路面補修等々いろいろあって、結果、平成8年度時点の、ちょっと長くなって恐縮であるけれども、県単、公共を問わず橋梁の補修費あるいは舗装の補修費、あるいは俗に言う道路維持修繕、施設修繕等々を加えると平成8年度では77億円ぐらいにトータルなろうかと思う。それを先ほどお話しの土木総事業費に割ればどんなことになるかということになると大体4.8%ぐらい、これを過去5年ぐらいで類推すると大体5.5%ぐらいか、総土木事業費に占める道路維持管理費、補修、全部足すとそういうような実態である。
 委員御指摘のとおり、管理する延長が年々ふえておるし、道路整備に伴って管理すべき施設もふえておる。本県の特徴として、地形、地質非常に気象条件も厳しいということから劣化も非常に進む度合いが南の方に比べて激しい。また、昨今は非常に車の大型化というか、そういうことの摩耗も激しいということで、道路の改築関係で新たな道路をつくる、あるいは老朽したような橋も含めて新たな橋にかけかえる、あるいは舗装を打ちかえるというような改築事業と一緒になりながら、補修についてもその整備計画におくれるものについては補修に努めているところである。
 いずれお話のあったとおり、道路維持補修については非常に財政事情厳しいんであるが、いずれそのこととまた道路利用者の方々のニーズというか、非常に多様、高度化しておって、私ども県としては安全で快適な道路環境の維持のために、適時適切にそういう意味では緊急の要する箇所について補修を行って、賢明な保守点検に努めてまいりたいと思っておる。

〇田村委員 ハイウェイオアシスについて再度、これは要望になるけれども、企画の方でもお話し申し上げたけれども、大変企画振興部の方でも積極的に取り組んでいきたいというようなお話であるし、ぜひ各部局詰めながら、課長お答えのとおり、湯田にしても非常に地域の活性化というか、それにつながる非常にいい事業じゃないかなと思うんで、ぜひこれ各部局内の調整を進めていただきたいと思う。
 それで、道路維持費関係、今、課長の方から話があったわけであるけれども、バイパス新設あるいは橋梁新設、そういった予算も一つの維持費とみなしてもいいんだぞと、それによって維持費も実際は減っているんだぞというようなお話と承っておるし、それでもなおかつ維持費というのは大変かかるし、この増額については努めていきたいというお話だったと思うんであるが、確かにバイパス建設によって旧来の維持管理というのはその部分は減ると思うんであるけれども、実際の話として盛岡市内の交通渋滞見てもそうであるし、また、周辺地域の交通渋滞を見てもそうである。やっぱり道路維持費の予算の増強というのはぜひ図っていくべきじゃないのか。本当にもろに県民生活にかかわる道路政策だと認識しておる。横断道路も高速道路もいいんであるけれども、まず一番県民生活に密着したこういう道路の整備予算を強化を図っていくべきだと思うんであるが、部長のこれに対する御見解をお尋ねしたいと思う。
 以上、2点だけ。

〇藤本土木部長 私ども公共土木施設、今ある施設をいかに有効に活用するかということは極めて重要だと、こう思っておるところである。そういった意味では適正な維持管理というのもそういう意味でも非常に大切だと、こう思っておる。
 一方、新設改良の要望も極めて強い要望がある。そういった新設のものと既存の施設活用とうまく調和をとって進めていかなければいけないと、こう思っておるところであるし、そういった意味で必要な道路維持管理費については強く要望してまいりたいと、こう思っておるところである。いずれにしても今、私ども限られた予算の中でいかにそれを効率的に使っていくかというところに腐心をしているところであるので、御理解いただきたいと、こう思っておる。

〇村田委員 平成8年度の執行状況の御説明、また、各委員とのやりとりをお聞きして、意欲的に絶え間のない行政需要にこたえつつ、限られた予算の中でさらに自然とか埋蔵文化財との調和、共生を図るということなど、大変な御心労があったのではないかと推察をしながら評価するものである。先ほど冒頭、質問事項について申し上げたいことは、国道改築に関する用買の経過について質問したかったわけであるけれども、考えてみると当該委員であるし、8日の委員会という席もあるので、資料を整えて改めて伺いたいと思うので、撤回させてもらう。

〇浅井委員 私からは1点御質問申し上げる。まず、ただいま建設中であり、しかも来年の3月に完成予定である県営の盛岡駅西通特定公共賃貸住宅に関してお伺いしたいと思う。
 これは、まず中堅所得層向けということであるけれども、この一番先のまず条件というか設置目的、従来の公営との違いをこのようになっておるが、中堅所得者層を対象に不足している優良な賃貸住宅供給ということであるが、この点については近年かなり民間の住宅も立派なものが建っておる。かなり供給がふんだんになっておるということがまず1点ある。それから、入居資格者の違いと、従来の公営と特定の今度の公共賃貸住宅であるが、控除後の月額所得が原則として20万円以上と、従来は20万円までであったが、しかも20万円以上60万1、000円までということである。これは月収が五、六十万というと民間としてはかなり恵まれた階層ではなかろうかと思うわけであって、果たしてこういう恵まれた階層に県あるいは国、すなわち、税金であるから、それらを使ってそういう人に果たしてこういう住宅を供給する意義があるのであろうか。そしてしかも、これは特定公共賃貸住宅は民間あるいは住宅供給公社、自治体、従来の公営住宅は自治体に限られておったわけであるけれども、民間、住宅供給公社、自治体と、こうなっておって、設置にかかわる国の助成制度は従来の公営が2分の1、それから今度の特定公共賃貸住宅は3分の1、これは民間に対しても3分の1当然補助されるものであろうと、このように思うわけであって、こういういわば高級住宅に対しては、これはむしろ民間に積極的にやらせた方がいいのではなかろうか。しかも、これを自治体でやるということは民業の圧迫にもなるのではなかろうかと考えるわけである。しかも、この家賃は民間の水準を下回る10万円以下で検討しておるとのことであるけれども、家賃の設定は原則としては大体近傍同種の住宅、民間等の家賃程度ということになっておるわけである。これを低廉に10万円程度で検討しているということであれば、当然近傍の民間のこういう住宅関係を圧迫することになると、このように思うわけである。岩手日報の11月16日によるというと、今後も建てかえ期になった県営住宅は中堅所得層向けへの切りかえを検討すると。しかも、民間の賃貸アパートは狭い部屋が多い。従来の県営住宅は県内に約5、200戸整備済みであり、今後は中堅所得者層向けに広くて快適な賃貸住宅を整備する必要がある。私は50万円も60万円もという恵まれた人に対して、県費を使って果たしてこういうことをつくっていく意義がどういうものかということを大変疑問に思わざるを得ないと、こう思うわけである。今後も建てかえ期になったものは切りかえて立派なものにつくっていくということであるので、これはどういうお考えであるのかと、まずそういう点をお聞きしたいと、このように思っておる。

〇長谷川委員長 浅井東兵衛委員に申し上げるけれども、本案件については条例改正案が上程をされておって、委員長としては若干この決算特別委員会にはなじまない質問ではなかろうかと、このように判断をするけれども、(「そんなこと注意する必要はないよ。発言を制約するようなことはだめだ。」と呼ぶ者あり)はい、もちろんそのとおりである。であるから、その辺を考慮して御質問をお願いしたい。(「それとこれとは違うであろう。条例と質問とは違うの。」と呼ぶ者あり)

〇金子建築住宅課長 ただいま御質問いただいた特定優良賃貸住宅、県では、御指摘のとおり来年4月入居に向けて盛岡駅西口に第1号のモデルということで整備しているものであるが、それについての幾つかの御質問についてお答えをしたいと思う。
 まず、委員長御指摘のとおり、これは条例の議案として私どもの方で用意しておって、また別途御説明をさせていただく機会があるかと思っておるけれども、内容がダブるかと思うが、まずこの特定公共賃貸住宅の目的、必要性というところについて説明をしたいと思う。
 実はこの制度に関しては、平成5年に特定優良賃貸住宅の整備の促進に関する法律というのがあって、それに基づいて今建設しているわけであるが、背景としては、我が国の住宅の居住水準というのは御指摘のとおり相当上がってきておる。ただ、中身を見てみると、持ち家に関してはこれは平均床面積が140平米を超えるということで、これは諸外国と比べても相当広いということが言えるわけであるが、借家に限ってみると50平米程度と、本県においてもフローベース、建設しておるものを調べさせていただくと平均で48平米というようなことで、依然狭小な状態にあって、そういう面では住宅の水準を上げていくためには借家の住宅供給というものをよりいいものに誘導していく必要があると、そういうものがベースになっておるものである。この法律において、特に民間を中心に優良な賃貸住宅を中堅所得者層向けに供給していくということを目指しておるものである。
 さらに、御指摘の県の特定公共賃貸住宅ということで整備していく際の考え方であって、その中でも特に対象となる階層が相当月収が多い方も入っているではないかという御指摘であるけれども、これは制度としては月収が20万円以上で、所得収入のパーセンテージからいくと25%以上の方から80%の方をカバーするということである。60万円というのは相当多いという御指摘であるけれども、この特定公共賃貸住宅のそれぞれの各県の状況を調べて、もともとこの目的とするところにUターン、Iターンなど地域定住の観点から不足している優良な賃貸住宅を供給することによってそういうものも促進していこうというねらいがあって、大都市圏を除く全国の事例ですべてこの階層までカバーしているということで、ぜひこういった考え方から対象階層は設定させていただきたいと考えておる。
 それから、この事業そのものが民業圧迫につながるものではないかという御指摘である。これは盛岡駅の西口の今建設中の特定賃貸住宅についての御指摘と理解しておって、実は盛岡駅西口については、御指摘のとおりこれは西口における区画整理区域内の都市型住宅用地として位置づけられた敷地に、職住近接の優良な都市型住宅を実現するということを目的に、特定公共賃貸住宅の先導的なモデルとして、さらに既存の県営住宅に入居されておる収入超過者の方々の受け皿としての役割も期待して、平成8年度から建設に着手しているところである。家賃に関しては近傍の市場家賃で決めておって、これは同種と思われるものを相当調査して、それに基づいて家賃設定をしたいと考えておる。
 それから、供給戸数に関しては24戸ということで、極めて限定的に供給するということで、私どもとしては民間業者を圧迫するというようなものではないと考えておる。
 それから、最後に、日報の記事で御指摘があった件であるけれども、日報の記事の中に誤解を招くような表現があったかと思う。今後県営住宅の建てかえの中でこういったものを整備していくというように、それに建てかえていくというふうに読み取れる箇所があったかと思うが、これは中身が違うというふうに御理解いただければと思う。私どもの考えとしては、老朽化した公営住宅の建てかえにおいては、その中に一部含まれる収入超過者の方々というものを考慮する必要があって、そういった方は制度上は公営住宅にもともとはなじまない部分があるわけである。ただ、公営住宅法の趣旨から申し上げると、従前居住者の居住安定というものが一義的に決められておって、そういった方々の居住の安定継続ということを重視して、今後は建てかえの際に必要に応じて所要の収入超過者向けの住宅も必要な分については整備させていただきたいと考えておる。そういう趣旨で私どもは進めてまいりたいと思うので、委員御懸念の部分はないかと思うので、よろしく御理解いただければと思う。

〇浅井委員 よく答弁がのみ込めない点があったし、なお低かったのでよく聞き取れない点もあったわけであるけれども、結局今後ともにそういう必要な箇所にはつくっていくと、こういうことであるか。

〇金子建築住宅課長 盛岡駅西口の現在建設中のものについては、少なくとも今、私どもの方では類似のものを建設する予定はない。ただ、公営住宅の建てかえの中で収入超過者の方々の居住安定を図るために必要な住宅については、これはごく例外的にということになろうかと思うんであるが、供給が必要ではないかと考えておる。

〇長谷川委員長 斉藤委員はかなり時間を要するか。
(斉藤委員「要する。」と呼ぶ)
  この際、昼食のため午後1時まで休憩をする。
   午前11時57分 休 憩
   午後1時5分 再 開

〇長谷川委員長 休憩前に引き続き会議を開く。
   〔「議事進行について」と呼ぶ者あり〕

〇菅原委員 課長、今、あなたが私に何と言った。先ほどの私の発言に対して委員長が陳謝すれば手を挙げないかと言ったから、挙げないと言ったのである。ということは、先ほどの浅井東兵衛委員の質問であるが、住宅問題、条例で審議するからどうのこうのと言ったのであろう。条例の審議はここでやるのか。特定住宅何とかかんとかというのはここでやるのか。あの問題は、8年度決算について質疑したのである。それを何で条例審議のとき審査するからどうのこうのと発言を制限したか。それはおかしい。
 それから、30分以内の会派の時間内で2分30秒ぐらい余っていた。そのとき菊池勲委員が手を挙げたら、世話人の自覚に基づいて発言をするようにと、こう言っている。時間以内ならいいであろう。何も発言を制限する必要はないのである。勘違いしないで、やっぱり発言したい人はあるのだから発言させると。ただ、これも長々とやったり、答弁を長々とやったり、それを制限することはいいのであるが、制限する要素がないのである。ちょっとおかしい。まず、その見解をお聞きしたい。

〇長谷川委員長 今、議事進行についての御発言があったわけであるけれども、今の御発言では、課長の方から陳謝というお話であったわけであるけれども、私は、陳謝する必要はないのではないかと、そのような判断に基づいて議事を進めさせていただいたわけである。
 浅井委員の発言については、当然のこととして平成8年度の決算にはかかわるわけである。ただし、その後に条例案を控えていると。委員の発言の中では、例えば家賃の問題等条例にかかわる部分がかなり私としてはあったと、このように判断をして、8日に審議される条例案であるけれども、それがあるということを配意して御質問を願いたいということを申し上げたわけである。したがって、私は発言を制限したというつもりは毛頭ない。であるから、浅井委員も2回目の発言はされておるわけで、十分に発言を許していると、そういうことを考えておって、陳謝ということになると、私も陳謝の必要があるのかということをとっさに判断できなかったので、会議をそのまま開かせていただいたわけである。

〇菅原委員 その特定公営住宅の条例の審議はどこでやるのか。

〇長谷川委員長 土木委員会である。

〇菅原委員 浅井委員は土木委員ではない。

〇長谷川委員長 そのとおりである。ただ、会派制をとって・・・・・・。

〇菅原委員 おかしいであろう。決算の審査をしているとき、条例の案には関係ない、ここは。関係あるか。ないであろう。ないのに、なぜそうあるからと発言を制限するのか。ないであろう。あなたは土木委員会の委員長かもしれないけれども、浅井委員は土木委員会の委員ではないのである。

〇長谷川委員長 それは存じておる。

〇菅原委員 浅井委員は、それならその条例問題についてどこで意見を言ったり発言する機会があるのか。ないであろう。関係ない。全然関係ない。決算委員会で質問するのに対して、条例案との関連性はないのである。おかしくないか。ここにいる方全部が条例案の審議はできないのである。みんなでやるのだったら、それも関連あるからというのだったらわかる。全然別個でやるのである。おかしくないか。
 それから、菊池勲委員の2分何十秒あるとき、世話人の自覚に基づいてどうのこうのと。時間をオーバーすればそれはいいけれども、時間内の制限をする必要はあるのか。ないであろう。ひとこと多いのである、あなたは。まず、そこをはっきりしてもらいたい。

〇長谷川委員長 本会議で付託された条例案であるけれども、それに対する質疑というのは、御存じのとおり、議案の提案をされた日、斉藤委員もよく質疑を行うわけであるけれども、基本的には初日に条例案を提案されて、そこで質疑をするという道は残って、普通はそうされているわけである。であるから、本来は、私は、提案理由の説明を行われた日に、問題であればそこで質疑を行うというのが普通ではなかろうかと思っておる。ただ、過ぎておってその機会はなくなったわけであるが、審査については常任委員会で行われるわけで、土木委員会で行っているわけであるけれども、本当に重要で質問をしなければならないということであれば、土木委員会に出席、他の委員会に所属していてもできないわけではないわけである。また、最終日に討論という方法も残っておるわけで、その道は全く閉ざされているということはないと、このように理解をしているわけである。
 ただ、浅井委員の御質問について、私は発言を制限したと、そういうとらえ方ではなく、他の委員の方々も多分この問題については質問をされたいと。例えば会派に所属されておられる方は、自分の会派の他の委員に質問をお願いするということもできるわけであるので、そういう道も残されておって、特定優良住宅について質問を私は制限したつもりは全くないと。勘違いはあったかもしれないけれども、陳謝ということについては、私は、果たしてそういうところを陳謝しなければならないのかということについて、ちょっと今のところ理解できないものだからお願いをしたわけである。

〇菅原委員 何も意地悪をしてあなたをいじめるとか、そういう意味ではなく、決算の内容、決算審議のために発言しているのである。それは条例の案と関係がないのである。聞きたかったら所属の会派の委員言って聞けばいいのだという話は、そんな話子供だましで、だれもそんなことをまともに聞く人はない。おかしい。全くおかしい。ただ、不手際だったと、そういう一言があるというから、ああ、そうか、では手を挙げないと言ったのである。不手際であろう。完全に不手際である。条例の審議ではないのである。ここでやるのだったら、そのときやっていいのでないかという関連性があるから発言はいいけれども、土木委員会でやるのである。浅井委員は土木委員会に行けないのである。行けないから、聞きたい場合には所属の、自民党なら自民党の所属の土木委員に聞いてもらうという手もあるのではないかという、そんな会議はあるか、世の中に。そんなことはない。だめだ、それは。絶対これは許されない。

〇長谷川委員長 どうすればいいのか。

〇菅原委員 どの角度から考えたっておかしいのだから、ちょっとおかしかったと。世話人会を開いていただきたい、それでは。
   〔「議事進行について」と呼ぶ者あり〕

〇吉田(洋)委員 経過を私もこの場におって聞いておったが、委員長の配意をしてほしいということと、そしてまた、その後に継続して浅井委員が2度にわたって再質問をしておったから、声も低くてなかなか聞き取れない部分についても再度また御発言をして、そうした発言の趣旨にお答えになったと。そして理解をしていただいたものと私は思っておるから、したがって、その一連の経過の中で、委員長があえてここで発言を制限したということで陳謝をするという事態はあり得ないと思う。これが、その後に発言をしないでその場で終わってしまったということであれば、これは制限があったのではないかというふうにも受け取られるけれども、その後に2度にわたって再質問をして、十分な意思統一ができたものと判断したから、委員長が陳謝することもないと思うし、整々とひとつ議事を進めていっていただきたと、こう思う。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇菅原委員 今、吉田委員から、結果はうまくいったからいいのではないかという話、それはそれでもいい。ただ、委員長もプライドがあるから陳謝するのも嫌であろうが、今後、あとやるかやらないかわからないけれども、十分に配慮してやっていただくように、わかったか。

〇長谷川委員長 わかった。

〇菅原委員 それならそれでいい。わかったと最初からいえばいいのだ。
   〔「進行」と呼ぶ者あり〕

〇中屋敷委員 トネリコの伐採の問題とか埋蔵文化財の関係等で土木部長は大変御心労も重なっていると思うけれども、私、地元委員でもあるので、ひとつ奥産道の問題について、確認の意味を含めて若干お尋ねしたいと思う。
 この問題については、今、どういう方向かということを内部で専門委員の方々で検討を進めているということであるけれども、水源工事調査のためにこういう植生破壊を起こしたという事実で、それは当然原形復旧ということは措置をなされて、今、自然に戻ってきているということであるけれども、実際、この工事、いろいろ自然環境問題が話題を呼んで、昭和47年から48年にかけてはいろいろ植生や土質の調査、それから環境庁や十和田八幡平国立公園管理事務所との協議等を踏まえて、昭和56年に環境影響評価を行っているわけである。内容とすれば、三ツ石湿原周辺一帯の地質とか地形、植物、動物、景観及び需要動向等環境影響評価を実施し、結果的にトンネル案でいいだろうということになっていて、もう工事が進められてきたという経緯がある。それと、今、実際これがまだ生きているわけであろう、その環境影響評価に基づいた形でトンネル案でいくということが。それが、今回の水源調査工事のための植生破壊とどのような結びつきがあるのかということをひとつ確認したいと思っておる。
 私は、むしろこの工事全体、全長16キロ余りであるけれども、既にもう13キロ以上工事が進んでいるという過程の中において、せっかくつくったものをこれだけ進捗率があるものをどのように生かすか。これから自然環境に配慮するということになれば、むしろ道路管理のあり方、人と自然との共生とのあり方で、どのような形での道路管理をするかということが大きな視点だと思うのであるけれども、あわせてこの点について御所見をお伺いしたいと思う。

〇藤本土木部長 奥産道の件であるが、今回、道路検討委員会を設けて審議しておるのは、一昨年のトンネルのための調査によって原生林を伐壊してしまったということが契機になっておるわけである。確かに委員御指摘のとおり、その本工事というか、奥産道そのものの工事とその調査とは全く別ものではあるが、ある見方をすれば一連の工事であるという見方もある。過去いろいろな議論があって、現在の計画に基づいて進めてきたわけであるが、やはりそのときにもかなりくすぶっていたのではないか。必ずしも県民の方々が合意をしてやられたのかどうかということがあって、それを契機に噴き出したと、こういう理解をしておる。そういった意味で、やはりさらに1歩前に進むには、地元の方々から見ると遠回りかもしれないが、やはりここで1回足をとめて、もう1回見直すということの方がやるとしても近道ではないかと判断して検討委員会を設けたわけである。
 それから今後の話については、もちろんこの奥産道の検討委員会の中で種々議論されるものと、こう思っておる。委員の方の御意見も、やはりこれは今後の岩手県における道路工事のあり方、自然との共生のあり方のいい見本になるように十分審議をしたいと、こうおっしゃっておるので、私どももそれを踏まえて道路事業を進めてまいりたい、このように思っておる。

〇斉藤委員 最初に、盛岡駅南大橋線の問題についてお伺いする。
 地域住民の多くがこの問題に反対もしくは危惧を表明しておる。盛岡駅南大橋線とはどういう計画か、事業費を含め、明らかにしていただきたい。いつ、どういう経過で計画され、決められたものなのか。事業化の今後の計画はどうなっているのか。
 計画路線地域の大沢川原住民の会、南大通二丁目年計画道路反対協議会、鉈屋町都市計画道路対策協議会から盛岡市と市議会、県都市計画地方審議会に対し嘆願書、意見書が出されているが、どのような内容か。嘆願書、意見書はどのくらの住民の声を反映したものか。
 意見書によると、平成6年から8年の間に41回の懇談会、相談会が開かれたというものの、住民の意見を無視した市側の一方的な説明に終始している。地権者の願いを何一つ取り上げてもらえない。何回行われても計画推進のための説明であって、内容の変更または手直しに全く聞く耳を持たない状況で、強硬に事業を押しつける態度で貫き通されている、このように意見書では述べられている。こうしたやり方で住民の合意、同意を取りつけたといえるのであろうか。こうした懇談会は、回数の実績づくりではないのか。
 県都市計画審議会では、意見書に見られる住民の声がどのように審議されたのか。都市計画決定で線引きされると地域住民は自由に家も建てられなくなり、財産権を数十年にわたって規制する重大な問題である。盛岡南大橋線について、どの程度審議をされ、決定されたのか。
 盛岡南大橋線の都市計画決定は、盛岡のまちづくりと直結する問題である。28メートル道路が計画され、地域住民が住みなれた町から追い出される結果となることは明らかである。どのようなまちづくりとなるか、住民には全く知らされていない。車のための道路、人より車を優先するものとの住民の訴えは合理性のあるものである。
 また、計画路線地域は、盛岡市では唯一藩政時代を思わせる町並みが残されている地域となっておる。旧馬町、寺の下、惣門、鉈屋町、大慈寺町、川原町、神子田町など城下盛岡400年のまちづくりを考える上でも極めて重大な問題があると考えるのであるが、いかがであろうか。
 盛岡市と県は、盛岡駅南大橋線について、盛岡広域都市圏総合都市交通体系調査において策定された将来道路計画網に基づく都市環境道路の一部だから必要不可欠の路線と一方的に住民に押しつけている。将来道路網計画とはどういうものか。この計画作成に当たって、市民、住民の声、要望を酌み上げることはしたのか。2環状6放射の道路計画の根拠、実現の見通しはどうであろうか。
 現在、大沢川原の住民の会は市の計画に納得せず、測量に反対をしている。住民が反対するこの計画をごり押しすることはあるのか。

〇坂東都市計画課長 委員お尋ねの盛岡駅南大橋線の都市計画についてお答え申し上げる。
 道路計画については、計画延長が約2、910メートルで、計画幅員が4車線で両側歩道つきの全幅28メートル、全体事業費が約300億円で、盛岡駅を起点として国道4号線南大橋に至るルートで計画されておる。計画の経過についてであるが、昭和59年から61年度に行われたパーソントリップ調査をベースとして、盛岡都市圏総合都市交通体系調査において策定された将来道路網計画を基本にしてルート検討を行い、平成6年7月から住民説明会を開催し、平成9年10月に都市計画決定されたところである。当面の事業計画については、開運橋周辺の円滑な交通の確保を図るために、盛岡駅前から北上川を渡る仮称下開運橋を含めて、都市計画道路明治橋大沢川原線に至る延長約315メートルについて早期に整備を図ってまいりたいと考えておる。
 次に、計画路線地域の協議会などから提出されておる意見書などはどのような内容になっておるのか、また、その意見書はどれくらい住民の声を反映したものかについてであるけれども、都市計画案の縦覧の結果、県知事に提出された意見書は、大沢川原住民の会のほか2団体の代表者計12名から提出されたものである。その内容は、盛岡市の住民対応に対する不満、28メートル4車線道路の不要、環境破壊への懸念などが主なものとなっておる。なお、盛岡市あるいは市議会あてに出された意見書などの内容もほぼ同じ趣旨のものであったと伺っておる。
 次に、意見書はどのくらいの住民の声を反映したかとの御意見であるけれども、盛岡市に対する署名などから、土地所有者、借地借家人の関係権利者数の割合でみると、約1、110名中約150名の方が反対の意見を表明されておって、その占める割合は約13%と伺っておる。
 それから、盛岡市の懇談会などのやり方で、住民の合意、同意を取りつけたと言えるのかという点についてであるけれども、これまで盛岡市の行った多くの懇談会や説明会については、その路線の重要性にかんがみ、道路線の位置づけや内容について地区ごとに、また、個別に説明をして、住民の皆様の御理解と御協力を得られるよう、盛岡市ができる限りの配慮を尽くしてきたものと県では認識しておるところである。
 次に、県都市計画地方審議会で住民の声をどのように審議されたのか、また、どの程度審議して決定されたのかについてであるけれども、都市計画地方審議会においては、意見書全文を事前に審議会委員に送付して、目を通していただいた上で付議したものである。都市計画の意見の取り扱いについては、都市計画の案に直接関係しないものは審議会に提出しなくてもよいことになっておるけれども、今回の意見の中にもそういった部分もあったけれども、住民の意向の把握のために意見書の内容のすべてを付議して検討していただいたものである。
 なお、審議会は、提出された意見書の採否を審議いただくものではなくて、その意見書の内容を踏まえて、議案である都市計画の是非を審議していただくものである。審議会委員の方々からは、反対されておる住民の皆様方に対する一層の合意形成の推進や、歴史的町並みなど景観にも配慮するようにとの提言のほか、都市内の渋滞解消のために県都盛岡市の幹線道路の一日も早い整備促進を望む意見もあった。
 それから、盛岡らしさを残している地域に28メートルの道路を通すのは問題があるのではないかについてであるけれども、藩政以来の歴史を有する市街地を通過することから、まちづくりの観点からも非常に重要な道路であると認識しておる。地域住民の話し合いにおいてもまちづくりに関する強い要望が出されておることから、沿線地区における歴史性や景観を踏まえて、地域の個性と特色を生かしたまちづくり、景観について盛岡市を指導してまいりたいと考えておる。
 なお、盛岡市では、平成9年から10年度の2カ年で、住みやすく魅力あるまちづくり検討や商店街の活性化の方策などについて、住民の参画を得ながら、沿道周辺のまちづくり計画を策定していると伺っておる。
 それから、盛岡広域都市圏総合都市交通体系調査において策定された将来道路網計画とはどういうものなのか、それから、2環状6放射の道路網計画及びその実現の見通しについてであるけれども、盛岡都市圏総合都市交通体系調査は、交通発生の源である人の行動を主体に交通実体を把握して、将来、土地利用計画と整合のとれた総合的な交通体系を確立するために、交通工学の専門家や商工会議所、それからバス協会、トラック協会の代表者及び建設省、県、市町村の関係機関などによる協議会を設立して、昭和59年から61年にかけて検討策定された盛岡都市圏の総合交通計画である。この調査では、都心部に発生、集中する交通を分散、誘導するための二つの環状道路と広域交通をになく国道4号や国道396号ほか四つの放射道路を基本とした2環状六放射の道路網を計画したものである。
 なお、この道路網の整備については、市街地環状道路である国道46号西バイパスや放射道路である国道455号などが事業実施中で、都心環状道路である盛岡駅南大橋の早期整備などにより、円滑な自動車交通の確保に向けて、現在、鋭意努力しているところである。しかしながら、都市内の幹線道路の整備に当たっては長い時間と膨大な事業費を要し、さらには昨今の公共事業を取り巻く環境は極めて厳しい状況にあることから、事業の重要性にかんがみては、県としては、今後とも国や市と連絡を密にして、これからの幹線道路の整備促進に積極的に取り組んでまいりたいと考えておる。
 それから、住民が反対するこの計画をごり押しして進めるのかということについてであるけれども、盛岡市では、現況測量の立ち入りの御理解を得るために説明会を開催したが、中には御理解いただけない方もおられたと伺っておる。今後とも誠意を持って話し合いを重ねながら、御協力いただけるよう努力してまいることとしており、県としてもそのように指導してまいりたいと考えておる。

〇斉藤委員 今の経過を聞くと、この南大橋線については、計画策定の段階に当たって住民の声を聞いたところは一つもないわけである。この計画をつくってからの説明会も一方的だと。住民から幾ら意見を出しても、質問しても、この道路の必要性しか強調されなかったと。だから、だんだん回数のたびに参加する人たちが少なくなったというのが実態である。
 どれだけの住民を代表しているか紹介すると、大沢川原住民の会は43世帯128人分の署名を出して盛岡市に嘆願書を出している。これはその地域であるけれども、六、七割を越える道路にかかわる地権者である、43世帯128名というのは。そして、南大通二丁目の地権者の80%の声を代表して意見書を出している。鉈屋町の対策協議会の方々は地権者の95%を代表している。これは地権者のアンケートをとってやっているのである。1、110名のうち反対は150名だとなっているけれども、私は根拠がないと思う。どういう形で150名のピックアップをしたのか、何が根拠なのかを改めて示していただきたい。
 それと、この計画は、28メートル道路に示されるように、これが実行されればほとんど地域住民は追い出される。2分の1から3分の1の土地を取られる。ほとんど取られる方もある。その地域での生活が保障されていない。ここが区画整理と違うところなのである。私は、そういう点で、こういう地域住民の利益と反する計画する場合に、やっぱり地域住民の理解、合意というのは大前提だと思う。
 そういう点で、絶対に私はごり押しをすべきではないし、次に私が聞きたいのは、都市計画道路とまちづくりは、今、一体の問題だということである。車が急増し、そのための道路を整備するという、こういう時代は、今、変わりつつある。東京武蔵野市では、高齢者に優しい使いやすいまちづくりとして、ムーバス、これを運行し、予想以上の客が利用していると報告されている。ヨーロッパを見ると、自動車文明への価値観に変化が起きている。ドイツのミュンヘンでは1964年、東西の都心を貫く幹線道路を中心に、車の入れない町として都心をつくり直した。1972年春、古くて新しく、世界で最も楽しいと評価される歩行者の町がつくられた。今議会でも話題になった、最近テレビでも報道されたドイツのフライブルグ市の場合も、1973年、大聖堂を中心とする42ヘクタールに石畳の歩行者道路網が誕生した。毎日走っていた3万台の車を規制し、電車とバス、歩行者専用とした。1984年には環境を守るためのパスを発行し、かえって町の人通りはふえているとのことである。環境対策、CO2削減にも貢献している。フランスのストラスブールもオランダのアムステルダムも、同様に車優先から人優先に変わったまちづくりを、今、進めている。私は、今、盛岡もそういう転換点だと思う。車がどんどんふえる、それに対応する広大な28メートルの道路を通すのか、これも財政的には厳しい状況だけれども、今、本当に人が主体、住んでいる住民が主体のまちづくりを進めるのか。そもそも昭和59年から61年に検討されたというけれども、これはバブル全盛の時代である。バブル全盛の時代にこれは調査をされ、検討された計画で、今、バブルがもう落ち込んで、重大が事態にまで陥っているときにこれが実行されるというところに私は時代錯誤を感じるわけであるけれども、その点についてお答えをいただきたい。
 盛岡駅南大橋線の問題では、まちづくりの主人公はあくまでも住民という立場で住民と話し合い、納得と合意を通じて進めるべきだし、住民の声を聞いてまちづくりを進める。私は、この道路問題はそういう問題だと思うけれども、改めてこの問題をお聞きしたい。

〇藤本土木部長 簡潔にお答えする。
 都計審でも反対される方々に対する一層の合意形成の推進や歴史的町並み等景観にも配慮するようにという提言もあったし、また、一方において、地方部の方々だと思うが、都市内の渋滞解消のため、県都盛岡市の幹線道路の一日も早い整備促進を望むという声もあった。こういった声を踏まえて、この道路の整備を進めるよう盛岡市を指導してまいりたい、このように思っておる。(斉藤委員「150名の根拠を示していただきたい。」と呼ぶ)
 そのように盛岡市から聞いているところである。

〇斉藤委員 私が具体的に紹介したように、150名には根拠がない。審議会で盛岡市の課長がそういう質問に答えているけれども、あれは本当に実態を反映していないと私は指摘したい。
 続いて、ゼネコン型公共事業の見直しについて質問する。
 県土木部は8月、明戸ダム、日野沢ダムの中止を明らかにした。さらに、北本内ダムの凍結の方向も明らかになっている。遅きに失したとはいえ、むだと浪費のダム事業の見直しに向き出したことは評価できるものである。
 そこで、教訓を明らかにする上で、明戸、日野沢、北本内ダムの中止、凍結の具体的理由を示していただきたい。
 それぞれの総事業費、これまでの進捗状況、これまでの事業費の総額はどうなるか。国の指導のもとで行われていることだから返還ということはないと思うが、いかがであろうか。
 国の見直し基準によると、中止、凍結、足踏み、重点対象と四つのランクに分けられているが、県営10ダムはそれぞれどういう位置づけとなっているのか。
 県が重点としている簗川ダムについてお聞きする。水道用水計画では、平成28年の給水人口41万8、000人、これは盛岡市と矢巾町を含めている。そのうち盛岡市は38万5、640人、1日最大給水量は盛岡市で19万8、280立方となっている。これは、人口で10万人の増、1日最大給水量では現況の倍になるというものである。盛岡市は、御所ダムなどで今の給水能力は日量18万3、650立方である。それだけで人口約39万人を供給できる、そういう水準に達している。御所ダムだけで十分なのに、なぜ簗川ダムの利水が必要なのか。これでは先にダムありきということにならないであろうか。
 農業用水について、花巻市の豊沢川地区の536ヘクタールのかんがい用水に年間324万立方、宮野目用水536ヘクタールに110万立方供給するとなっているが、今日の農業、米情勢のもとで本当に必要なものであろうか。農業用水の費用は幾らになるのか。
 簗川ダムの総事業費と、県、市、各利用団体の負担額はどうなるのであろうか。
 絶滅危惧種クマタカなど貴重な動植物が生息、植生していると聞くけれども、自然環境調査の内容はどうなっているのか。私は、現状に即して大胆に見直すべきと思うが、いかがであろうか。
 港湾整備事業についてもあわせてお聞きする。平成8年の貨物取扱量の目標と実績を示していただきたい。
 4重要港湾、二つの地方港湾について。全国的にも港湾整備事業は見直しの対象になっているが、県はどう検討しているのか。来年の事業の見直しも示していただきたい。

〇佐々木河川開発課長 明戸、日野沢ダムの中止理由と北本内ダムの今後の進め方についてであるが、明戸ダムは、養魚用水の需要の増加が見込めず、ユーザーがダムの利水に参加しないということが明らかになったことからダムによる水資源開発が必要なくなったものということである。また、日野沢ダムは、久慈市の都市用水の需要予測では将来的には水資源開発が必要とされておるが、現在、久慈市ではその必要な時期及び需要量が確定していないことから、緊急的に水資源の確保は必要がないとかんがえられたことによるものであるが、地質調査の結果、事業費が大幅に増額になること、また、岩手中部水道企業団の水道用水の将来予測によると、入畑ダムで既に確保している供給量を上回る時期が平成20年代前半とされておったが、現在の水道用水の供給実績から勘案するとさらにずれ込むことが予想されるということから、現在、中止、休止等も含めて、平成10年に向けてその方向を検討しているところである。
 次に、中止ダムの総事業費、進捗率についてであるが、明戸ダムは平成2年に着工し、全体事業費353億円、9年までに4億500万円の調査費を実施し、地表地質調査及びボーリング等を行っており、進捗率は11.5%になっている。また、日野沢ダムについては、平成2年から実調に入っておって、150億の全体事業費に対し4億1、000万円を9年までに実施しておって、やはり地表地質調査及びボーリング等を行っておって、進捗率は2.7%になっておる。
 次に、国の指導のもとで実施されたので、国費の返還はないかという御質問であるが、国では、現時点では調査に要した費用に対する国庫補助金の返還はないとしておる。ただ、詳細にはまだ明確になっていない。なお、昨年度中止した、全国で4ダムであるが、補助金を返還したという話は聞いておらない。なお、県としては国の指導を受けながら対処していくことになるが、中止ダムに伴う国庫補助金の返還のないように強く国に働きかけてまいりたいと思っておる。
 次に県が実施している10ダムのランク分けについてであるが、本体発注している早池峰ダム、綾里川ダム、それと、地権者対策をやっている簗川ダム、この3ダムについては重点的に進めているところである。また、継続して進めているダムについては、鷹生ダム、遠野第二ダム、黒沢ダム、津付ダム、北本内ダムの5ダムである。また、今、御説明した日野沢ダム、明戸ダムの2ダムが中止ダム事業ということになる。
 続いて、簗川ダムに関する水道用水計画について御説明申し上げる。
 簗川ダムに利水参加している盛岡市、矢巾町の水需要量については、それぞれの水道拡張計画に基づいた数値であると認識しておる。所要の手続を経て国等の認可を得ているものである。
 続いて、花巻市の豊沢川地区に供給する農業用水についてであるが、簗川ダムの計画策定に当たっては、県の利水調整会議において上水、農水等の利水関係部局と協議の上、所要量を確保しているものである。
 簗川ダムの総事業費と県、市、町の負担額についてであるが、事業費は今340億円で、河川管理者が88.4%で約300億円、水道管理者が11%で37億円余、農水については0.29%で約1億円という内訳になっておる。
 次に、自然環境調査についてであるが、簗川ダム建設に伴う水没地域は自然環境が良好な地域で、これまでのダムと同様、独自の調査を行い、自然環境や景観の保全を図り、地域に愛されるダムをつくってまいりたい。そのために、ダム周辺環境の保全、整備について検討するために、学識経験者、イヌワシ研究会、自然保護団体、日本野鳥の会、市や県で構成する簗川ダム環境検討会を組織し、検討しておる。また、特に猛禽類の生息調査を行う簗川ダム周辺環境調査検討委員会も設置し、現在検討しているところである。いずれ環境対策については今後とも十分配慮しながら検討してまいりたいと思っておる。

〇笠原港湾課長 平成8年の重要港湾と地方港湾の貨物取扱量の目標と実績ということであるが、まず、重要港湾については、久慈港は計画貨物量が550万トンである。実績が46万トン。以下、この順序の御説明する。宮古港は370万トンに対して110万トン、釜石港が740万トンに対して209万トン、大船渡港が730万トンに対して572万トン。次に、地方港湾については、小本港が21万トンに対してゼロであるが、これは、ただいま新規に港湾を建設中であるので、実績はない。
 なお、この計画貨物量は、現在の港湾計画における施設が完成した場合の計画貨物量であり、平成8年度実績は現在併用されている施設における実績である。
 それから、二つ目の御質問であるが、見直しの対象ということと、県はどう検討しているか、それから、来年度の事業の見通しはどうかということであるが、港湾事業については、限られた財源の中で最小の経費で最大の効果を上げるため、施策の重点化、効率化を図ることとしておる。本県港湾の効率的、効果的な整備を進めるために、各港の役割と港湾相互の連携も考慮し、それぞれの機能の重点的な充実を図ることとしておる。来年度の事業については、行財政改革の中で、国は中枢中核港湾に予算を重点配分の方針で、地方の港湾にとっては大変厳しい状況である。そのため、早期に投資効果の発現が図られるよう、効率的な事業執行に勤めてまいりたいと考えておる。

〇斉藤委員 ダム事業の問題で、今、私はお聞きしたけれども、見直しのポイントは二つあると。利水の緊急性、必要性はあるか、治水の緊急性、必要性があるかである。それで、日野沢、明戸、北本内、なぜ今までこれを進めてきたか、そのことが不思議なぐらいの中止、凍結理由である。そういうところから見れば、簗川ダムはどうなのか。盛岡市の給水人口を10万人も水増しして、1日最大給水量を倍に見積もって、これは見直しの対象ではないのか。同じ状況ではないかと思うけれども、それを改めてお聞きしたい。
 そして、環境影響調査を今やっているように、大変貴重なところである。私はいろいろ調査したけれども、あの簗川ダムは洪水調整が最初の出発点だった。しかし、当時の建設省は、洪水調整だけではダムはつくれない。多目的ダムだというので、そういう利水も盛岡市にお願いする、農業用水も花巻市にお願いする、こうやってやったと聞いている。これはダム事業が枠があって、そうやって進められるからこうなるのである。本当に地元の必要性に基づいたダムの建設、こういう立場で、今、公共事業を見直すべきではないのか。そういう点で、改めてこういう立場で、貴重な動植物が生息するところであるから、まだまだ本体工事まで間があるから、北本内のように検討の対象になるのではないかお聞きする。
 続いて、県内中小企業発注比率の向上の問題についてであるが、東北各県の平成7年、8年の県営建設工事における中小企業発注額、発注比率はどうなっているか。
 公共工事のコスト縮減行動計画では、分離発注を見直し、経常JVを推進するとしている。これでは県内中小企業の受注が一層低下するのではないかと懸念される。公共工事の縮減としてゼネコンが工事を受注しても、県内経済への波及効果は極めて少なくなるものである。県内中小企業への発注比率をどう高めるか、どう考えているかお聞きする。
 縮減の重要な課題は談合を防止することである。そのためには、入札後に予定価格を公表することを考えるべきだと思うが、いかがであろうか。建設省もそのことを検討していると思うが、いかがであろうか。
 次に、食糧費の調査にかかわって、元土木部長の行動にかかわる問題について指摘をし、質問をする。
 平成5年、6年当時の土木部長は、週末の土、日となれば岩手の海へ山へと職員を随行させて出かけていたと言われる。その際、出かけた先の土木事務所が対応し、夜は市町村に接待をさせることが多々あった。随行した県職員、接待した土木事務所の職員は旅行命令を受けて対応したと聞いておる。土、日にかかわるこうした旅行命令はあり得るであろうか。土木部はこれを承知しているのであろうか。

〇長谷川委員長 斉藤信委員に申し上げる。質疑の内容は、既に認定を受けている平成5年、6年度決算にかかわるものと認められるので、本委員会に付託されている案件とされるよう願う。

〇斉藤委員 私がこの問題を特に取り上げたのは、今、食糧費の全庁調査をやっている。私もこの食糧費の調査の中で多くの少なからぬ方々からこの問題を指摘された。実は、この接待に当たっては食糧費の令達がされている。土木部から土木事務所に令達をされている。そして、旅行命令も出されている。公費が支出されているのである。これは一部局にかかわらない、恐らく土木部の全課にかかわる問題だと思う。だから指摘をした。

〇佐々木河川開発課長 ダムの必要性について御説明申し上げる。
 現在の河川は、渇水時に河川水を利用できないという河川がほとんどである。ダム等による水源手当てなしに河川から取水することは不可能であるということも御承知のとおりである。このために、不足する水が生じた場合に、水源手当ては突然では不可能だということで、盛岡市の水道拡張計画があるわけであるが、その拡張計画においては、現在、地下水等で不確実水源が1万7、000トンあると聞いておる。それらへの対応が、計画年度の平成28年までに不安定な水源を安定的に供給するダム等により供給するという考え方があると聞いておる。また、給水人口の増、それから、上下水道の普及率の向上、それから、1世帯当たりの構成人員の減少、これでかなり1人当たりの1日使用水量の原単位というのが高くなると伺っておる。そのようなことから、水利用については中長期的に考えながら手当てをやっていかなければならないということから簗川ダムは必要であるということである。

〇千葉建設振興課長 入札契約に係る3点についてお答えする。
 東北各県の平成7年、8年の発注状況であるが、明確な数字が得られないところもあったけれども、平成7年度については、青森県は1、792億6、500万円、86.1%である。宮城県であるが、1、563億6、800万円、69.5%である。福島県では、1、750億5、500万円、86.7%、本県は、1、713億190万円、81.8%となっておる。それから、8年度については把握できなかった。ちなみに、本県については1、619億2、900万円、77.5%である。
 2番目であるが、県内中小企業の発注比率を高めるにはどうしたらいいか、こういうことである。これは今までも県内業者優先でやっておる。ただ、県内業者でできない高度な技術のもの、これについてはジョイントを組むなどしてやっておるけれども、これは技術移転を図っていって、今後、県内業者の受注に配慮してまいりたい、こういうふうに思っておる。
 もう1点であるが、予定価格の事前公表、これについてである。入札契約制度についてはさまざま議論がある。委員御指摘の件についても、考え方としては確かにある。今後、私どもとしても、国や他の都道府県の動向を見ながら検討してまいりたい、こういうふうに思っておる。

〇千葉総務課長 平成5年、6年在任の元土木部長の行動についての御質問である。
 土、日にかかる旅行命令はあり得るのかということであるが、一般的に申し上げて、土木部長に限らず、行事等の用務によっては土曜日、日曜日にも公務のために出張することはあり得るものである。
 なお、5年、6年の出張旅行命令については、先ほど委員長の方からもお話があったとおり、監査委員の行う審査あるいは出納局の会計実施検査、こういったことによってもう既にチェックが行われているところで、特に問題となるようなものはなかったところで、これ以上の対応は考えていない。

〇斉藤委員 中小発注率、私は平成8年度こういうふうに報告を受けている。岩手県は77.5%、青森県は83.9%、福島県は81.1%である。秋田、山形は出ないけれども、やっぱり岩手の中小企業発注比率は残念ながら低い。大いにこれを改善するようにやっていただきたい。
 今の元土木部長の問題、そんな紋切り型では県民の信頼を得る食糧費の調査はできない。私が言っているのは、命令をもらった土木部長の行動ではない。土木部長が土、日に、紅葉の時期にはあそこに行きたい、夏は海に行きたい、これに県庁の職員が随行しているという例を言ったのである、私は。旅行命令が出ていないのは当然なのである。ところが、では、随行した職員はどうなのか。接待した土木事務所は、これはただで接待できないのである。もう少し私、リアルに言う。平成6年10月ごろ、七時雨に行った。盛岡土木事務所が対応している。夜は安代町が接待している。岩泉にも行って、宇霊羅山に行って、このときには恐らく食糧費が本庁から令達されているのではないか。そのほか、大迫町の新しい施設に行ったとか、たくさんある。土、日の海へ山への話なのである。旅行命令ではない。それに旅費や食糧費が使われていいのかという私の問題提起なのである。本当に真剣に調べてみていただきたい。ちゃんと調べれば出てくるから。調査する気があるか。

〇千葉総務課長 土、日に土木部長がそういった私事旅行に随行した職員に対しての旅行命令はあり得ないものと理解しておるし、さらに、そういった私事旅行について出張した場合の食糧費等の令達についても、およそ考えにくい話である。

〇斉藤委員 私は具体的に指摘したんだから、あり得ないから問題なんである。やってはならないことをやっているから私は問題にしているので、ちゃんとまじめにやっていればこんなこと問題にならないんだ。土木事務所を調べてもらいたい。そして、私はこういうふうに聞いている。最初は土木総務課の庶務が担当した。ところが、毎回のようにそういうことがあるものだから庶務部ではパンクして、来週は道路維持課だ、次は道路建設課だと回した、随行を。そういう問題だよ。あなた、そんな知らぬ存ぜぬ、あり得ない。そういうことをやっているから僕は問題にしているので、調査したらいいじゃないか。部長。

〇藤本土木部長 これは平成8年度の決算であるので、平成8年度土木部長をしていた者としてお答えするが、私の土、日の過ごし方は、ふれあいランドへ行ってプールで水泳をすることであって、一切、多分私と同じことをやっていたんだろうと、こう思っておる。
 なお、調査については、食糧費についてはそれらも含めて調査しているところであるし、その他については先ほど総務課長がお答えしたとおりである。

〇長谷川委員長 ほかに質疑はないか。

〇佐々木(博)委員 簡単に1点だけお伺いをしたいと思う。
 きょうも何人かの方から盛岡市内あるいはその周辺の道路渋滞の問題を提起されておるわけであるが、これからますます寒さが厳しくなってまいって雪が降ると、今以上に渋滞が例年厳しくなってくるわけである。それで、その路線の中でも何本か大変厳しいところがあるが、松園から盛岡市内に通じる道路、これが非常に渋滞が厳しくて、わずか六、七キロの距離だと思うが毎日1時間以上通勤に時間がかかるような状態が、またことしも多分続くだろうと思われるわけである。それで、今、松園から市内に通じる道路としては国道455号と、それから市道の上田深沢線と、この2本があるわけであるが、国道455号については県ではずっと道路拡幅の整備事業を継続してやってこられていたわけであるが、いわゆるトンネルの入り口の時点まで差しかかってからしばらく凍結されたままになっておって、かなりの時間がたっておるわけである。それで、この冬を間近に控えて、冬が近くなってくると住民の方々、あの渋滞の状況を思い出して、結局あの道路がどうなっているんだろうということが、かなり大きな話題になってまいる。そこで、現在地権者との協議、大変いろいろ御苦労なさっているというお話はよく承知をしておるけれども、どういうふうになっているのか、それから今後の見通しについてお伺いしたいと思うし、またあわせて、例年恐らくこの部分について予算計上されているだろうと思うんであるが、平成8年度分についてこの決算上どのように処理されているのか、あわせてお伺いしたいと思う。

〇今野道路建設課長 国道455号の北山バイパス計画についてのお尋ねである。
 まず、現況についてお話し申し上げると、この工事区間については2次改築事業として3.6キロメートルの事業化をやっておるわけであるけれども、現在、残る1.4キロメートルについて工事着手を見合わせているものである。地権者は全体で48名おって、残っておる地権者は現在1法人のみとなっておるところである。昭和59年よりその方々とこれまで約90回の交渉を持っておって、何とか交渉を行う中で、この事業計画について御理解を得れるように私どもとしても努めているところであるけれども、平成9年は7回交渉を持っておるわけである。先ほど委員おっしゃられたように、国道455号の交通の現状は、市の街路事業等の整合等も図る必要も考え合わせると、猶予のない事態だと、このように考えておって、ぜひとも御納得いただけるように努めていくことが大事だと思っておる。現在は測量調査を行う必要があることから、文書でことし測量調査等の実施依頼の文書を差し上げて、それについて御回答いただくようにということで再三お願いしているところであるけれども、その結果がまだ御回答いただいてないと、組織内で、その法人の中で御検討していると、そのように伺っておるところであって、引き続きなるべく早期に御回答いただけるようにお願いしてまいりたいと、このように考えておる。
 あと平成8年度の事業費についてであるけれども、当初予算が9、250万円箇所づけされておって、変更で3、000万円の事業消化を行っておる。残りの額については他工区の方で流用しておるところであって、事業消化した3、000万円については4号側交差点部の用地補償及び用地測量、水門調査委託等をやっておるところである。

〇長谷川委員長 ほかに質疑はないか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇長谷川委員長 質疑はないようなので、土木部関係の質疑をこれで終わる。

〇千葉副委員長 次に、池田警察本部長から警察本部関係の説明を求める。

〇池田警察本部長 平成8年度の警察本部関係の決算について御説明申し上げる。
 近年の交通体系の整備が、犯罪の広域化やスピード化をもたらすとともに、都市化の進展は、匿名性の増大をもたらし、情報提供による犯罪検挙が非常に困難になっているほか、従来、地域の連帯感に支えられてきた犯罪抑止機能が年々低下しているなど、本県の犯罪情勢は厳しい状況にある。
 このような犯罪情勢に対処するため、平成8年における岩手県警察運営重点の基本姿勢を県民の期待と信頼にこたえる警察とし、具体的な重点目標を、けん銃・薬物事犯の根絶、交通死亡事故の抑止、重要犯罪・重要窃盗犯、重要知能犯の徹底検挙、暴力団の壊滅、少年の非行防止、テロ、ゲリラの根絶、地域安全活動の推進と定め、県警察の総力を挙げて取り組んできたところである。今後も、安全で住みよい岩手を目指し、ボランティアの方々が中心となって推進している地域安全活動に対し支援を強化するとともに、県民の皆さんの御協力をいただきながら、各種犯罪捜査と被害者対策、交通事故防止、少年の非行防止、災害対策等に万全を期し、県民の安全確保に努めてまいる所存である。
 次に、決算の内容について御説明申し上げる。
 お手元の平成8年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開き願う。
 警察本部関係の歳出の予算現額は、第9款警察費323億3、766万3、000円である。これに対して支出済額は322億9、824万8、531円、不用額は3、941万4、469円である。不用額の主なものは人件費である。
 以下、平成8年度歳入歳出決算事項別明細書により項目ごとに御説明申し上げる。
 272ページをお開き願う。第9款第1項警察管理費第1目公安委員会費の支出済額919万円余は、公安委員会の運営に要した経費である。第2目警察本部費の支出済額243億675万円余は、人件費が主なものであり、そのほか物件費、職員の健康管理等に要した経費である。次に、274ページをお開き願う。第3目装備費の支出済額4億873万円余は、犯罪の量的増加、広域化、スピード化に的確に対処するため、警察機動力の中核である警察車両21台を更新したほか、ヘリコプター、警備船、車両等の維持管理及び警察装備品の整備に要した経費である。第4目警察施設費の支出済額38億8、285万円余は、財産管理及び庁舎等の施設整備に要した経費である。その主なものの1つは、大規模な災害や重大な事件・事故等が発生した場合に備え、ヘリコプター・テレビ中継基地局の鉄塔を建設整備したものである。その2は、警察署庁舎の建設である。岩泉警察署庁舎は、平成7年度、平成8年度の2カ年継続事業により、平成8年度は70%を施工し、昨年11月に完成しておる。また、花巻警察署庁舎は、平成8年度、平成9年度の2カ年継続事業により、平成8年度は20%を施工し、本年11月に完成しておる。その3は、交通機動隊水沢分駐隊ほか6件の庁舎を移転新築するため用地を取得したものである。これらのほか、交番等6カ所、職員宿舎2棟の新築及び職員宿舎2棟の改修を実施しており、行政サービスの向上と執務環境、居住環境の改善を図ったものである。第5目運転免許費の支出済額4億4、362万円余は、運転免許行政に要した経費である。本県における運転免許人口は、平成8年12月末には75万4、512人に達しており、県民のニーズに対応した迅速、的確な運転免許行政の展開に努めたほか、行政処分者講習や初心運転者対策の強化などを図ったものである。次に、276ページをお開き願う。第6目恩給及び退職年金費の支出済額1億5、677万円余は、恩給及び扶助料などに要した経費である。
 次に、第2項警察活動費第1目一般警察活動費の支出済額4億5、965万円余は、空き交番対策のための交番相談員の設置など主に地域警察に要した経費である。交番、駐在所等に勤務する地域警察官は、直接県民と接しながら、昼夜の別なく発生するすべての警察事象に即応する活動を行っておる。事件発生時における犯人の検挙や、街頭でのパトロール、各家庭及び事業所への巡回連絡等を通じて、警察活動の展開を図っているものである。第2目刑事警察費の支出済額2億8、490万円余は、暴力団対策、各種犯罪捜査及び鑑識活動並びに少年の非行防止活動等に要した経費である。悪質巧妙化する犯罪に対応するため、足跡微物検索装置等の犯罪捜査機材の整備を図ったものである。また、次代を担う少年の非行を防止し、健全な育成を図るため、関係機関と連携し、街頭における補導活動、少年相談、非行を誘発しない環境づくり等に努めているところである。次に、278ぺージをお開き願う。第3目交通指導取締費の支出済額23億4、575万円余は、交通安全活動、交通指導取締活動、交通安全施設整備等に要した経費である。安全かつ快適な交通環境の実現を目指し、交通管制センターの機能の高度化、交通情報を広くドライバーに提供するための他機関の情報板との接続、交通信号機の設置・改良等による都市幹線道路機能の確保、主要幹線道路の事故防止対策として簡易速度警告装置及び対向車接近表示装置の設置など交通安全施設の整備を図ったほか、暴走族封鎖用取締ネット等の交通指導取締機材の整備を図ったものである。
 以上をもって警察本部関係の説明を終わらせていただく。よろしく御審議のほどお願い申し上げる。

〇千葉副委員長 ただいまの説明に対し、質疑はないか。

〇村上委員 警察本部長にお伺いをするが、紫波警察署の見前交番の関係についてお尋ねをする。
 この交番所は旧都南村地域の治安の確保について、これまで一般質問などを通じて警察本部の積極的な取り組みを要請してきたところであったが、この結果、交番の格上げ、そして機動捜査隊と一体となった庁舎の整備が今行われておって、地域住民を代表して感謝を申し上げたいと、このように思うわけである。このように今、警察施設が着々と整備されておるが、私は警察活動はこうした施設の整備とあわせて、地域住民の十分な理解と協力、そうしたものを得ながらやっていくと、より効果を高めるであろうと、このように期待をしているところである。そうした観点から、地元の警友会を初めとして、あるいは町内会や消防団の後援会、あるいは安全活動のいろいろなさまざまな団体もあるし、事業所などそうした団体と意思の疎通を図りながら協力体制を強固にしていってはいかがかなと、こう思うわけである。そうしたことが限られた警察官の数の中で大変多くの実績を上げるであろうと、こう思っておる。そうした観点から、庁舎の完成時には地元の警友会やあるいは多くの住民の参加を得ながら落成行事等を行ってはいかがなものかなと、こう思うわけである。ただ、地域全体へのそうしたことによってPRも結構浸透するわけであって、今後の交番の運営についても円滑な効果のあるものになっていくだろうと、こう思うわけであって、御所見はいかがなものか、お伺いする次第である。というのは、盛岡といってもあの地域は紫波警察署管内であって、見前という小さなところの部落であるので、市もなかなか対応できないだろうと、こう思ってお伺いをする次第である。よろしくお願いする。

〇池田警察本部長 見前幹部交番、それから機動捜査隊の合同庁舎の進捗整備については、関係機関並びに地元の皆様方の絶大なる御支援、御理解によって、来年の3月業務開始に向けて現在整備中である。その点をまず御報告させていただきたいと思う。
 通常、交番あるいは駐在所については、警察主催の落成式行事等は行っていないわけであるけれども、本合同庁舎については、竣工を機にその任に当たる警察官の決意表明の場とするべく、関係者の御出席を仰いで、簡素ではあるけれども、開所式を実施したいと考えておる。
 また、今、委員の方からお話あった地元住民の方の御発による祝賀行事の関係であるけれども、大変ありがたいことだと考えておる。ただ、何分地元住民の御判断によるところがあるので、その御判断にお任せしたいと考えておる。

〇村上委員 ただいまは前向きなというか大変うれしい答弁をいただいて、地域の皆さんと検討してまいりたいと、こう思う。
 もう一点であるけれども、警務部長にお伺いする。
 あの施設は市からの土地が借り上げというようなことなようであって、私そのことを知らなかったわけであるけれども、あの土地を県有地として取得して建設した方がよかったのではないかなと、こう思うわけであるけれども、区画整理区域でもあるから、それは借りた方がよかったのか、買い上げた方がよかったのかということについて、どういう判断をなされたのか、お知らせをいただきたいと、こう思う。

〇沼崎警務部参事官兼警務課長 ただいまの件については委員の御指摘のとおり、そういう性格の土地であるものであるから、将来、建物の高層化とかそういう部分については考えられない次第であるから、当面は市から借り上げた方が得策であろうと、そういう判断をしたものである。

〇谷藤委員 2点についてお伺いをしたいと思う。
 今ちょっと新聞を見ると、最近、凶悪化する少年非行の一方で、犯罪の被害少年が急増しているというのが出ておる。その非行を重ねる少年とそれから被害を受ける少年があるわけである。ところが、その被害を受けた少年も相当なショックを受けてなかなか立ち直れない。そのまま今度は非行の方に走ってしまうというような形になっている。そういう傾向が非常に出ているということで、警察庁も支援に動くということで記事が出ておるわけであるけれども、岩手県警としてその辺の、もちろん非行防止というかそういうことでは当然日ごろから御苦労されて対応されていることに敬意を表するけれども、被害を受けた子供たちの立ち上がりというか、そこについてのカウンセラーとかいろんな力があるかと思うけれども、その辺についての岩手県の取り組みというのはどのようになされているのか。

〇境谷生活安全部長 犯罪の被害に遭った少年対策についてであるが、委員御指摘のとおり、犯罪被害に遭ったことによって、みずからどんどん犯罪にのめり込んでいくケース、例えば、性被害を受けてそれが原因で性非行に走る場合、あるいは自転車等を盗まれて盗み返すと、こういう事案が現実に見られているところである。特に性被害については、本人にとっては極めて深刻な問題であって、これを立ち直らせるためには、警察の被害者対策の重要な部分である、そのように認識をしておる。このため、警察職員のカウンセリング技術の向上を図るべく、部外の協力を得ながら職員に対する教養を実施しておるし、例えば、被害少年支援ガイドという小冊子を職員に配りながら、その辺の教養をしているところである。
 また、警察本部少年課に心の健康相談室を設けて、これは特に性被害ばかりではないが、いわゆるその専門家、岩手医大の医師をお願いしてあるが、カウンセリング等を実施しておる。また、青少年から直接心の悩みを聞くヤングテレホンコーナーの設置により対応しているところである。

〇谷藤委員 警察活動の分野かどうかということになると微妙な線引きのところもあるかもしれないけれども、いろいろ関係機関さまざまあると思うので、そこら辺との連携をとりながら、将来有意義な青少年の健全育成のためにも今後とも御助力をいただきたいなと思っておる。
 次に、地域的な課題で恐縮であるけれども、盛岡駅の駅前交番、そこの状況であるが、交流人口が非常に多い地域、そしてまた、今、西口の開発が進んできている。そして、マリオスがオープンした。すると、これからの発展ぐあいもあるけれども、非常に駅前交番の人員、これちょっと聞いたら11人ということであるが、3交代制であるから、日勤2人に、それから9人で3交代で3人、5人、それに出かけるときには相談員1名置いているというようなことであるけれども、なかなか緊急のときとか、線路を挟みながら向こうに渡るとか、大変これから忙しい交番になっていくのかなと思ったり、ただ、なかなか定数の関係とかさまざまあるかと思うけれども、特殊な交番と言えばあれであるが、場所を聞く、観光案内所じゃないんだけれども、どうもそういう方々もたくさん訪れる交番だと、そういうようなことも含めて、あそこの特殊な交番だという位置づけからいくと、ここをちょっと増員を図っていく必要があるのかなと思ったりする。そして、あわせて将来西口が、今は空き地の方が多いような状況であるが、ある程度整備されてきた段階で西口の方に交番を設けるというような方向は考えておられるのかどうか。もし考えておられる場合でも、その交番の設置する位置、今、東口の方でも本当に一番の端っこの方に、これからちょっとあそこ駅前の広場が変わるんで場所的には真ん中に大分近づいてくるのかもしれないけれども、非常に場所のところについても、もし設置を考える場合は何か考えた方がいいのかなと思うし、まずその辺のお考えをちょっとお聞かせいただきたい。

〇菅沼警務部長 まず、人員の増強の件については、委員御承知のとおり県警も非常に厳しい定数のもとで運用させていただいておる。したがって、人員の効率的な運用を図るという観点から、全県的な状況を見定めて業務負担のバランス等を考慮して勤務員を配置しているところである。増強については今後また状況に応じていろいろ検討してまいりたいと考えておる。
 また、西口開発に伴う交番の設置等については、現在、交番、駐在所の設置については、やはり地域の方の利便性の問題、あるいはその管内の人口、世帯数、犯罪の発生状況、治安状況等を勘案して、やはりこれも県下で47交番現在設置しておるけれども、全県的な観点から総合的に検討して判断をしておるところである。確かに現在、東口に盛岡駅前交番を設置しているわけであるけれども、西口の交番設置については、今御指摘もあった位置の関係も含めて、やはりここの開発状況あるいは警察事象の推移等を勘案しながら、全県的なバランスの上で検討してまいりたいと考えておる。

〇谷藤委員 そういうことでまだ西口はまだまだ開発の形が見えていない状況であるので、今早急にというわけにはいかないと思う。ただ、計画人口というか、そういうものが将来的には見えてくるだろうと思う。そういう中ではやっぱり今のうちから想定をしておくという必要はあるのではないかなと思うので、その辺の将来を想定した中での位置づけというものをぜひお考えをいただければなと思うので、よろしくお願いする。

〇佐藤(啓)委員 まずもって、過ぐる全国海づくり大会に御来県の天皇、皇后両陛下の警備に長い間携わった警察本部並びに関係者の皆さんに心から感謝を申し上げたいと思う。
 警察活動費の決算にかかわって、青少年の問題行動、ただいまも谷藤委員からも質問があったんであるが、青少年の問題行動についてお伺いしたいと思う。
 この問題は次代を担う青少年の問題ということで、私自身大人の責任ということを感じつつも大きな関心事だと思うわけである。特に少年補導というのは、これは思春期という人間の形成過程の中でどうしても通過をしなければならない、とは言いながら大変難しいそういう時期にある少年の補導に当たっては、特段の苦労をなさっていると思うわけである。私どももこの機会に青少年、とりわけ少年の問題行動について十分認識を深めたい、こういう観点からお伺いしたいと思うわけである。
 まず、全体的な問題であるが、刑法犯少年の検挙はどんな内容であるのか、これは大まかで結構である。そしてまた、刑法犯総検挙人員に対する少年の割合はどうなっているのか。それから、在学少年、特に高校生、中学生はどのぐらいの件数になっているのか、男女の比率はどうなっているのかということについてお聞かせ願いたいと思う。
 第2は、その問題行動の具体的な形態、その数についてお伺いしたいと思うわけである。特に警察本部でとらえている特徴的なことがあれば、そういう点にも触れてお聞かせ願いたいと思う。まず、第1は暴走族少年の問題、第2点は薬物乱用の実態、3番目に不良行為、喫煙とか深夜徘回とか、そういう不良行為の形態について、次に、ただいまもお答えがあったんであるが、性的被害を受けた女子少年について、それから家出少年、以上についてお伺いしたいと思うわけである。
 最後に、冒頭にも申し上げたわけであるが、少年補導に当たっての基本姿勢というか、基本的な考え方についてお聞かせ願いたいと思うわけである。特にこの補導に当たってはいろいろ御苦労があるんだと思うんで、できればそういう点にも触れてお聞かせ願えれば幸いだと思う。

〇境谷生活安全部長 最初に、少年非行の現状についてであるが、まず少年非行の現状を概括的に申し上げると、平成5年以降連続して増加しているほか、凶悪、粗暴化、性非行の深刻化の傾向が見られておる。
 以下、委員お尋ねの各項目に従って順次お答えするが、数字についてはいずれも本年10月末現在となっておるので、御了承いただきたいと思う。
 第1点目の刑法犯少年の検挙人員であるが、本年検挙は1、469人で、前年同期に比べて380人、34.9%の増加となっておる。また、全刑法犯に占める割合は57.6%で、過去10年間では、平成元年に続いて高い比率となっておる。その内訳は、万引き、自転車等の窃盗犯が1、244人、全体の84.7%になる。強盗、強姦等の凶悪犯が14人、傷害、恐喝等の粗暴犯が81人となっておる。また、この中の中高校生の割合は、中学生が28.4%、高校生が44.5%で、両者の全体比率は72.9%であるし、男女の比率は、男子が71.4%、女子が28.6%となっておる。ことしの刑法犯罪の大きな特徴は、少年、特に高校生による強盗事件の発生である。強盗事件全体で9件15人検挙しておるが、うち6件12人が少年である。さらに、その中で高校生による事件は4件6人と、このようになっておる。
 次に、暴走族については、6団体166名を把握しておるが、このうち少年は126名で、全体の75.9%となっておる。地域と団体名について申し上げると、盛岡に狂夜というのがある。字句説明まではいたしかねるが、北上がビビアン、一関に蜃気楼、大槌に鬼死墓神、釜石に魔天、宮古がレイジと、こういう団体があって、人員についてはひところより減少しているものの、ゼロヨン暴走であるとか、ローリング走行等をゲリラ的に行っておって、本年も共同危険行為で2件26名、うち少年25名を検挙するなど予断を許さない状況にある。
 次に、薬物乱用の実態であるが、本県の場合シンナーが中心であって、16人を検挙しておるが、平成5年以降減少傾向にあり、中高校生では3人の補導となっておる。覚せい剤の検挙は2人で、学生生徒の検挙はない。
 次に、不良行為少年の数、形態であるが、補導数は8、417人で、前年同期に比較すると215人、2.5%の減少である。その内訳が、飲酒、喫煙が45%、深夜徘回が39%、不良交遊が、約ではあるが6%、暴走行為が5.5%となっておる。ことしの傾向としては、不健全娯楽、怠学、家出といった享楽型が減少して、たかり、乱暴、不良交遊といった粗暴型が増加しているところである。特に女子少年の喫煙と不良交遊の増加が目につくところである。
 次に、性的被害女子少年では、性の逸脱で補導した女子少年は57人であるが、このうちいわゆる福祉犯罪の被害者として保護した少年は40人で、昨年同期より1人の増となっておる。なお、テレクラ介在の性被害女子少年の人員については、本年13名で、前年同期に比較して20人の減となっておる。性被害に遭った女子少年のうち、学生生徒は、中学生が6人、高校生が20人、計26人であるが、全体の65%になっておる。中学生については、いずれも家出中に被害に遭ったものである。
 次に、家出についてであるが、他県からの家出を含めて197人で、7人を保護しておる。中学生、高校生が69.1%、また、男女の比率では男子が39.6%、女子が60.4%となっておる。なお、この中には4人の男子小学生も含まれているところである。
 最後に、補導に当たっての基本というか、配意点についてであるが、少年の処遇に当たっては、少年の特性を理解し、また、関係者の信頼、協力の確保を基本としておるが、少年の特徴として、迎合的で暗示にかかりやすいとか、確信的で平然とうそをつく、一時の苦痛逃れのために、やらない事実を認める等のことがあるので、呼び出しであるとか面接においては、より慎重な対応が必要であると認識しているところである。いずれにしても、補導は少年に制裁を加えるものではなくて、健全育成の精神のもとに行うべきものと考え、厳しさとともに優しさを持って少年に接していくことを本旨としておる。

〇伊藤委員 二つ三つお伺いをする。
 今、菊池委員も触れられたが、本年の去る10月3、4、5の3日間、天皇、皇后両陛下におかれては、大槌町の豊かな海づくり大会においでをいただいて、この3日間おかげさまで天候にも恵まれて大過なく予定を終了せられてお帰りをいただいたこと、大変喜ばしく思っておる者の一人である。このことは増田知事を初め、県庁挙げての歓迎の御努力があったものと思うし、わけても池田本部長を中心として県警全職員の皆様の並々ならぬ御努力があったものと敬意を表し、感謝を申し上げるものである。当該の県警本部長として、最も身近に天皇、皇后を護衛されたという観点から感想をお伺いしたいのであるけれども、天皇、皇后両陛下におかれては、国民と本当に親しく接したいということから、余りハードな警護は望まれていらっしゃらなかったと聞いた。そういう中で県警の御配慮があって、半分ぐらいの方を私服のそういった警官で対応されたとか、あるいは応援をいただいた近隣の警官の人たちの中には、宿泊施設がないものであるからバスの中で2日、3日は宿泊されたとか、大変御苦労があったように伺ったけれども、最も身近に御警護をされたという中でエピソード等もあったら、含めて御感想をいただければと思う。

〇池田警察本部長 ただいまは大変心温まるお言葉をいただいて、まことにありがたい。
 身近で随従させていただいたということで、御感想を述べよということであるが、岩手県下においては大変いわゆる歓送迎の方々が多くて、両陛下はこれについて大変お喜びになっていたというところが大変印象的であった。
 なお、部隊運用その他については、ただいまお話あったとおり、できるだけ皇室と国民との融和を図るべく、私服の数を多くするとか、あるいは必要のない部隊は外すとか、そういうような形で運用させていただいたところである。
 また、宿舎その他については、関係当局とかあるいは住民の皆様方の非常に温かい対応によって、この点についても応援した部隊、非常に喜んで帰ったところである。
 以上のようなところであるが、大変今回の警衛に当たっては皆様方に御協力いただいて、心から感謝申し上げる次第である。

〇伊藤委員 岩手県にはラジオが聞こえない、テレビが見えない、携帯電話も聞こえないというところがまだまだいっぱいあるが、今回の天皇、皇后の行幸啓のおかげで106号は、セルラーであろうか、電話が聞こえるようになったと伺って、これは天皇、皇后の御遺徳だと思っておる。県の中で難視聴の解決が遅い場合には、いま一度恐れ多くも天皇、皇后両陛下においでをいただいて難視聴地域を回っていただけば早いのかと思ったりしておるが、その際にも警護大変だと思うが、よろしくお願いをしたいと思う。
 それから、宮古市で先般トカレフというけん銃にかかわる事件があって、県警の皆さんの努力で大変速やかに解決をしたわけである。この部分は大変すばらしいと思うが、その前に実はこれにかかわる部分で、宮古市内のある食品製造業の若い社長さんであるが、暴力団風の者から恐喝をされたようである。500万円を用意して云々と、こういう部分があって、実は私に相談があったものであるから、こういうときはちゃんと警察を信じて洗いざらい早くお願いをした方がいいから、すぐ警察に行きなさいということで行ってもらった。そういう中で車の中でらしいんであるが、いろいろ言われた中で、暴力団はどうのこうの、チャカを持っているどうのこうの、こういう部分があったように伺った。そういった部分から、早くこれが正しく解決をしていただければいいと思っていたところ、まさにその部分の人たちが今回にかかわっていた。こういうようなことのようであって、そうなると早く私どもが情報を提供したことが早い解決につながったのかな、これからもやはり我々は情報を早く提供していかなければならない、そう思うところであるが、これについてのまた御感想もお伺いをしたい。

〇池田警察本部長 やや一般論になるわけであるけれども、現在けん銃の蔓延は非常に多くなっておって、特に暴力団については、一時は全員が持っているんではないかというような説が出たぐらい非常に蔓延しておる。そういう意味で警察としても鋭意捜査しているわけであるけれども、なかなか隠匿場所がかつてに比べて巧妙化しておって、例えば自分の家に持っているというような者はまずおらない。ほとんどは別のところに隠匿しておる。そういう意味からいって、一般の方々の情報提供というのが非常に重要になると思う。そういう意味でいろいろな情報を提供していただいて心から御礼申し上げる次第である。

〇久保田委員 3点の御質問を申し上げるので、よろしくお願いする。
 第1点であるが、ヘリコプターテレビ中継システムの稼働状況と活用の成果についてお伺いするものである。
 この件については予算委会で触れさせていただいた。稼働することによって大きな成果を期待しておったわけであるが、その状況はどうであったであろうか。活用の効果についてお伺いをしたいと思う。

〇境谷生活安全部長 このシステムは平成7年に導入して、平成8年までの2カ年間で機上設備と地上設備等の設備機材を整備して、本年4月から県内全域をカバーできる状態で本格的に運用しているものである。
 本年のこれまでの主な稼働状況は、5月2日、石鳥谷町、紫波町で発生した大規模山林火災、それから10月に開催された、ただいまの豊かな海づくり大会に伴う警衛警備などにおいて、現場の映像を警備本部等に正確に送信し、警備方針決定に寄与するなど、有効に機能しておる。今後とも、本システムは、将来予想される大規模災害であるとか突発重要事案にも大きな戦力になるものと確信をしておる。

〇久保田委員 わかった。
 第2点であるが、警察の施設整備事業についてお伺いをする。
 花巻警察署及び岩泉警察署の新築移転での御報告もあったが、その整備をされた特徴面についてお伺いをしたいわけである。きのうの日報夕刊で花巻警察署のことが紹介されていて、例えば留置所が快適──快適という言葉なかったが、そういうすばらしい設備になったというお話である。もとよりお世話にならないように心しておるわけであるが、この移転新築によって機動力の面や機能性についてどういう特徴面、すばらしいものが発揮されるのかについてお伺いしたいのである。
 あわせて、今後の署の新築計画などがあればお示しをいただきたいと思う。

〇菅沼警務部長 花巻警察署については本年11月、岩泉警察署については平成8年、昨年の11月にそれぞれ完成した。県議会初め関係各位に対して感謝申し上げる次第である。
 それで、御質問の特徴点等について御説明申し上げる。まず、1点目は、それぞれの警察署が庁舎がやはり整備された幹線道路沿いに移転したことから、現場臨場等市内の渋滞箇所等を通らなくても行けるということで、事案対応についてスピード化というものが図られておる。そのほか、高齢者対策等、いわゆる人に優しいまちづくりということに呼応して、エレベーターの設置あるいは点字案内板、あるいは玄関のスロープというようなのを設置しておる。また、今後の情報化社会というものを勘案して対応するため、通信機のOAフロア化、いわゆる通信機器の整備の際に床下に配線ができるような特殊なフロア化をさせていただいておる。そのほか、現在、先ほど委員からもあった留置所の関係については非常に施設を充実させておる。特に女性専用の留置所等、女性用の各種施設についても庁内各種整備をさせていただいておる。したがって、それぞれの観点において機能強化が図られていると理解しておる。
 次に、今後の警察施設の整備計画についてであるが、宮古警察署については明年の10月完成を目指して現在工事を進めさせていただいておるところである。そのほか昭和32年建築という老朽化、狭隘化の激しい盛岡東警察署について、今後建てかえ等について現在検討しておるところである。

〇久保田委員 花巻警察署の落成式が12日であることは御案内いただいておるわけであって、大変喜ばしく思う。これまでの努力に感謝を申し上げる。
 最後の質問であるが、高速道路の交通事故の発生状況についてである。平成8年度における事故発生の状況はどうであったであろうか。特に冬期間の交通事故が頻発するわけであるが、先般も事故が発生しておるわけであるが、冬期間における交通事故の防止対策についてどのような御指導や交通規制を考えておられるのかについてお伺いしたいわけである。
 多少蛇足であるが、自動取締機械が設置されているが、これの効果はいかほどの効果を上げておるであろうか。

〇石川交通部長 高速道路における交通事故の実態、それと対策ということでお答えするが、まず、平成8年中の岩手県の高速道路における交通事故の発生状況、これは人身事故100件、これは前年比プラス18件、プラス22%である。それから、死者8名、前年比プラス7、700%、それから負傷者166人、前年比プラス36、27.7%増、それから物損事故791件、前年比マイナス1、マイナス0.1%、こういう状況になっておるが、特に1月、2月、それから12月、この3カ月で1年間の34.5%、こういう形の事故、すなわち307件、これが発生しておる。
 次に、冬期間の交通事故の防止対策ということであるが、冬の高速道路では、特に降雪により圧雪、凍結した路面、そして吹雪あるいは地吹雪、こういう中での視界の不良など非常に厳しい道路環境にもかかわらず、これらの中での速度超過あるいは車間距離の不保持、そしてまた、急ハンドル、急ブレーキ、こういう不適切な運転期、こういうものが特に事故多発の要因の一つであろう。こう分析をしておる。
 それから、警察としては、積雪、凍結時については、警戒活動を強化するとともに、あわせて各インターチェンジでの検問活動、これらを通じて安全走行、それからチェーン装着等の指導を実施する。これらのほかに地吹雪等による視界不良、こういうこともある。これらの気象状況、そしてアイスバーンと路面状況に応じて、速度の規制、それからチェーン規制、これは滑りどめ装置の着装ということがあるが、そのほか通行どめ、これらの交通規制を実施しているところである。
 また、道路公団等関係機関、これらとの連携を図って、気象状況、路面状況、これらを早期に把握して、交通情報センターあるいはまたハイウエーラジオ、そして交通情報板、これらを通じて高速道路あるいは一般道路のドライバーの方々に交通情報を積極的に提供する。そして、安全走行の指導、そして広報という形に努めておる。
 それから、速度違反の自動取締装置の状況ということであるが、効果ということになるが、これら特に、例えばパトカーあるいは白バイ、こういうものについては天候等いろいろと状況によって活動が非常に難しい場合も中にはある。自動装置取り締まりについては、時間とかあるいは天候とか、そういうものに制約されることがないので、常時速度違反等についての監視の取り締まりができると、こういう形で、また、危険な場所で暴走をさせないというようなところで、常時抑止力が大きく、特に速度等についてのコントロールができる、こういう形で大いに効果が上がっていると、こう思っておる。

〇千葉副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間程度休憩をする。
   午後3時4分 休 憩
   午後3時24分 再 開

〇長谷川委員長 休憩前に引き続き会議を開く。

〇小野寺委員 3点ほど質問させていただく。
 最初に、交通事故の関係であるけれども、最も尊重されるべき命が交通事故で露のごとく消えるのは本当に痛ましいことである。もちろん交通事故は警察本部だけの責任ではないが、平成8年、池田本部長が御就任になった年であるけれど、犠牲者が増加して、さらにことしはもっとふえているという、そういう悲惨な状況にある。
 そこで、かつては歩行中あるいは自転車の高齢者が夜間、幹線道路で犠牲になると、そういうふうに掌握して追ったけれども、8年度の統計を見ると、薄暮時間帯、若者の無謀運転、60歳台、70歳台の高齢者が犠牲と、少し形態が変化してきているように思う。そこで、こういった事故を分析して、天候、時間帯、場所、そういったことを勘案して集中的に取り締まりをして、できるだけ減らす方向で活動していただきたいと思うけれども、そういった啓発活動を含めた部分についてお伺いする。
 2つ目であるが、警察官の能力の育成についてお伺いする。
 近年、複雑な社会構造になっておって、最近では簿外債務ということばがはやっているけれども、大がかりな経済犯罪も非常にふえておる。
 そこで、警察官の各分野への能力を育成するため、警察本部以外の地方自治体あるいは民間企業、こういったところへの派遣を行って、いろいろな分野で幅広く知識を取得すべきではないかと思うが、この辺についての取り組みをお伺いする。
 3点目であるが、子供の犯罪犠牲者、そういった部分であるけれども、子供が犯罪に巻き込まれるというのはひところ都市型の犯罪かと思っておったところ、実はそうではなくて、全国どこでも起こり得る、そういう傾向にあるようである。
 そこで、児童が凶悪犯罪の被害者にならないために、警察では学校とか地域、そういった部分での情報交換、情報提供はどのようになっているのか、以上3点についてお伺いする。

〇石川交通部長 交通事故の発生の状況に合わせた指導取り締まり、それから、いろいろと目に見えるような形での指導という形でお答えする。
 本県の交通事故については、特に交通死亡事故、これらの特徴として、国道等の主要幹線道路に多発、それから、午後6時から8時ごろまで、薄暮から夜間にかけての多発、それから、速度超過等を原因とする路外逸脱の単独事故、こういうものが多い。それから、飲酒運転事故が多い。それから、委員御指摘の道路横断中の高齢者被害の事故が多い。あるいはまた、青少年ドライバーによる事故が多発している。こういう形で交通死亡事故の特徴が出ておる。これら交通事故等については、月別あるいは時間別、そして路線別、事故類型別、年齢別あるいは違反別等に十分に分析をして、その結果と県民の要望、こういうものを踏まえて、交通事故に直結する悪質、危険な違反に重点を指向するという形とあわせて、交通事故の増加の傾向が見られる地域については特に交通機動隊の白バイ等を投入して、集中的な取り締まり、あるいはまた、薄暮、夜間の時間帯に取り締まり力をシフトして、交通事故の実態を勘案した指導取り締まり、あるいはいろいろと指導という形を行っているところである。
 特に、横断歩道等高齢者の事故、あるいはまた、青少年のドライバーの危険な運転、こういうことについては警察官の姿が見えるような形で、特に街頭監視活動、こうれらを強化して、また、姿が見えることで一番効果が上がる、こういうことであるので、とくに出勤なり、あるいは退庁なり、あるいは登下校時、こういうものについては重点的に実施をしておる。
 今後も、これらについては、可能な限り制服の警察官による交通監視あるいは現場での指導、こういうものについて、それからまた、パトカー等の機動力も生かして警戒活動を強化する、そして、交通事故の防止という形に努めてまいりたいと思っておる。

〇菅沼警務部長 私の方から、警察官の能力育成についてお答え申し上げる。
 御指導の通り、犯罪の変化に伴って、いろいろ勉強するところがある。民間企業研修については、実は、ことし初めて実施しておる。とりわけ金融犯罪等においては、金融期間の実務あるいはコンピューター機器等の取り扱い、あるいは民間企業における経営姿勢とかコスト意識あるいは応接態度等幅広く警察官の見聞を広めさせるために実施しておる。
 具体的には、本年の4月から6月までの2カ月間似ついて、岩手銀行の本店あるいは一関のNEC東北へそれぞれ警察官2名ずつを派遣して研修を受けさせたところである。この成果似ついては、やはり将来、当然警察には十分役に立ってくれるだろうということで考えておる。
 御指摘の自治体等幅広い分野への派遣については、今後、積極的に検討してまいりたいと考えておる。

〇境谷生活安全部長 児童の安全確保対策についてお答え申し上げる。
 全国的には神戸市須磨区の事件に代表されるように、児童を対象とした凶悪で痛ましい事件が発生しておる。本県においてはこのような凶悪事件の発生はないが、女子小学生等を対象としたわいせつ事件や声かけ事案あるいはその前兆と見られる事案が発生しているところである。この種事案は、誘拐とか殺人等の凶悪事件に発展するおそれが強いため、御指摘のとおり、小さな危険から未然に防止する対策をとっているところである。
 具体的には、交番駐在所連絡協議会というのがあるが、ここと連携して、子供を持つ母親等を対象にミニ集会を開催してこの種事件の情報収集と事態発生時における速報体制の強化等、事前対策について協議をしておる。
 また、交番、駐在所において発行しておるミニ広報紙等による広報啓発活動、それから、つきまといとか声かけとか、そういった危険を感じた際に対応してもらうために、防犯協会等による防犯ブザーの貸し出し、それから、新聞にも載ったが、子供が危険を感じた際に助けを求めて駆け込める場所、いわゆるこども110番の家、これの設置等をしているところである。
 特に御指摘のあった学校とか、そういったところとの連絡、連携であるが、これは、学校と警察の連絡協議会という場があって、警察本部の対応もしくは警察署の対応、定期や臨時、そういった形で随時連絡をとっておるし、学校、PTA関係者等による被害防止懇談会の開催等も行っておる。また、幼稚園の子供たちに対しては紙芝居とか縫いぐるみとか、ああいったものを用いて被害防止啓発、それから、具体的にそういう危険が発生するおそれがある場合、情報がある場合についてはファクス等情報連絡等を活発に行っておる。
 こども110番の家については、今後、地域の方々の協力を得ながら、県下各地に設置の拡大を要請してまいりたいと考えておるし、ミニ集会における広報啓発や防犯ブザーの貸し出し等についても継続して行い、この種事案の未然防止を図ってまいりたい、このように考える。

〇小野寺委員 警察官の能力育成のところで一つ聞くのを落とした。
 語学の部分であるけれども、密入国とか不法就労、そういった部分で、英語以外の部分でほかの国の言葉が非常に難問になると思うが、そういった部分でどのような努力をなさっているか。特に警察とは関係なかったけれども、1ヵ月ほど前、テレビで東京入国管理事務所が茨城県に、踏み込んだという言葉はどうかと思うが、行ったら、タガログ語で会話して逃がしてしまったという非常に笑えないような、そういったことがあった。そういった部分で、英語以外の部分についてどのような御努力を払われているのかお聞きしたいと思う。

〇菅沼警務部長 通訳については警察も非常に苦労しておって、現在、養成については御配慮いただいて、北京語、いわゆる中国語については台湾の方に警察官を6ヵ月ほど派遣をして現地で研修を受けさせておる。そのほか、内部で語学学校に通わせるということで中国語等には対応している。しかし、今、御指摘があったタガログ語あるいはウルルー語、いわゆるイラン人とか、非常に少数言語等があって、その辺については民間の方に部外通訳という形で人材を発掘して事件、事故等にはお願いをしている状況にある。しかし、今後は、やはり事件、事故等の扱いが多くなるので、できるだけ警察部内において広く語学教育あるいは教養を実施して人材の確保を努めてまいりたいと考えておる。

〇斉藤委員 簡潔に2点のみお聞きする。
 最初に、県議会議員選挙遠野選挙区での補欠選挙において買収の公職選挙法違反容疑で逮捕者が出たことは極めて残念である。買収は有権者を愚弄する最悪の犯罪である。逮捕者の中には後援会幹事長も含まれていると報道されているが、事件の概要を示していただきたい。公職選挙法上、連座制の可能性もあると思うが、いかがであろうか。
 第2点、最近、中高生が万引きを行い、警察に補導された場合、指紋や顔写真を撮られると聞くが、本当であろうか。事実とすれば、どのような根拠、法令に基づいて行っているのか。指紋や顔写真を撮るのは全国的に行われているのであろうか、岩手県だけなのであろうか。未成年者に対しこのような扱いをすることは人権侵害に当たると思うが、いかがであろうか。卒業年次になれば焼却処分するという話も聞くが、いかがであろうか。

〇小池刑事部長 本年11月30日に県議会議員の遠野選挙区で補欠選挙が施行された。この選挙の取り締まりをに際しては、12月2日に現金買収で4名を逮捕し、翌3日に盛岡地方検察庁に送致したところである。現在、容疑の事実関係ということで、これについて鋭意捜査中である。先ほど幹事長というお話があったけれども、この点に関しては、通称であるのか正式なのかまだわからないし、それから、先ほど斉藤委員からお話があった連座制の問題については、これは果たして連座制につながるものかどうかについては、私ども警察の方の調査の結果、他機関によって判断されるということで、この点については答弁を差し控えさせていただきたいと思う。

〇境谷生活安全部長 万引きに伴う指紋、写真についてお答え申し上げる。
 初めに、御指摘の事件がどういうものか承知してないので一般的にお話申し上げるが、まず、事件について捜査上必要があれば指紋の採取や写真撮影を実施しておる。その法的根拠であるが、警察では、犯罪捜査の過程において被疑者を逮捕したときは、刑事訴訟法第218条第1項及び第2項、身体の拘束をうけていない被疑者については、その捜査の必要があると認められ、かつ被疑者本人の承諾を得たときに、これは刑事訴訟法第189条第2項及び同法第197条第1項を根拠に指紋採取や写真撮影を行っておる。他県の場合についても、同様に法令に基づいて適正に行われているものと承知しておる。
 なお、未成年者の被疑者については、その心情等に配慮しながら、慎重かつ適正に行っているところである。
 最後に、高校3年生になったらというお話があったが、事案の具体的な内容を承知しておらないので、答弁は差し控えさせていただく。

〇斉藤委員 中高生の万引きの際の指紋、顔写真、これはとる場合もとらない場合もあるのか、一律にとっているのか。
 私はこういうふうに聞いている。初犯の場合、本当にちょっとしたことでやった場合でもとられている。これは人権侵害じゃないかと現場の学校の先生からも指摘をされているわけで、私は、本当に青少年の人権に配慮した対応すべきだと思うが、いかがであろうか。

〇境谷生活安全部長 先ほども申し上げたが、捜査上必要がある場合、こういった形であって、そういう裏には、一律だと、すべて全部と、そういった意味合いではないと、このように理解しておる。

〇斉藤委員 捜査の必要ということで、私が今、紹介したように、初犯の場合もやられているという。例えば本当に繰り返しているという場合にはそういうこともあるかもしれないが、私が聞く範囲では、もう本当に軽微な場合でもそういう扱いになっていると。恐らく以前はなかったと思う、そういうことは。いつからそういうことになっているのか。そういうことは改善すべきは改善すべきだと思うが、いかがであろうか。

〇境谷生活安全部長 何度も申し上げるが、捜査の必要という部分で申し上げれば、初犯の証明の部分あるいは犯人の特定の部分、こういった局面で必要かそうでないかというあたりが判断されると、このように思っておる。具体的な中身について承知しておらないから、これ以上はなかなか申し上げられない。

〇長谷川委員長 ほかに質疑はないか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇長谷川委員長 質疑がないようなので、警察本部関係の質疑をこれで終わる。
 お諮りする。当委員会に付託された決算12件について、その意見の取りまとめの方法であるが、午後3時40分から議会運営委員会室において各会派の代表の方々で御協議をお願いし、その結果を待って午後4時から委員会を開き、結論を出すことといたしたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇長谷川委員長 御異議なしと認め、さよう決定する。
 この際、意見の取りまとめのため午後4時まで休憩する。
   午後3時38分 休 憩
   午後4時4分 再 開

〇長谷川委員長 休憩前に引き続き会議を開く。
 決算12件に対する各会派の意見を取りまとめたので、その結果を御報告申し上げる。
 認定第1号については、次の意見、すなわち、平成8年度における本県財政は、県税や地方交付税の伸びが低い中にあって、公債費等の義務的経費が増嵩するなど極めて厳しい財政環境にありながらも、第三次岩手県総合発展計画後期実施計画の初年度として各般にわたる施策を積極的に展開したことは多とするところである。しかしながら、今後とも国、地方を通じ行財政環境は一段と厳しいものが予想されることから、引き続き国に対し地方財政対策の強化について強く要望するとともに、行財政改革の着実な推進を図りながら自主財源の確保に努め、諸施策の推進に当たっては、財源の重点的かつ効率的な配分に配慮し、第三次岩手県総合発展計画に即した各般の施策を積極的に展開し、活力に満ちた地域社会の形成と地域の特性を生かした県土の均衡ある発展を図るよう一層努力せられたい。
 なお、今後においても、より一層職員の士気の高揚を図るとともに、公務員規律を確保し、適正な事務事業の執行がなされるよう配慮せられたい旨の意見を付し、認定することとし、認定第2号から認定第12号までは、認定することとした次第である。
 これより採決する。
 認定第1号については、ただいま報告した意見を付して認定することに賛成の諸君の起立を求める。
   〔賛成者起立〕

〇長谷川委員長 起立多数である。よって、認定第1号については意見を付して認定することに決定した。
 次に、お諮りする。認定第11号及び認定第12号の2件について、賛成の諸君の起立を求める。
   〔賛成者起立〕

〇長谷川委員長 起立多数である。よって、認定第11号及び認定第12号の2件については、認定することに決定した。
 次に、お諮りする。認定第2号から認定第10号までの9件について、賛成の諸君の起立を求める。
   〔賛成者起立〕

〇長谷川委員長 起立全員である。よって、認定第2号から認定第10号までの9件については、認定することに決定した。
 以上を持って当特別委員会に付託された案件の審査は全部終了した。委員各位の御協力に対し深く感謝を申し上げる。
 これをもって決算特別委員会を閉会する。(拍手)
   午後4時7分 閉 会


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