平成10年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成10年3月18日(水)
   

1開会  午前10時4分

1出席委員  別紙出席簿のとおり

1事務局職員
事務局長 村上勝治
議事課長 及川宣夫
議事課長補佐 駿河 勉
主任議事管理主査 千田正和
議事管理主査 上柿 聡
議事管理主査 木村 稔
議事管理主査 南 敏幸
議事管理主査 筒井則裕

1説明員
林業水産部長 中村陽兒
林業水産部次長 篠田隆一
林業水産部次長 中山博文
林政課長 小国平二
木材振興課長 井上 榮
緑化推進課長 秋山英男
松くい虫対策監 佐々木 健 策
森林土木課長 近藤勝人
漁政課長 武市正明
漁業振興課長 上村俊一
漁港課長 小林貴史
 
農政部長 中村盛一
農政部次長 鈴木一夫
農政部次長兼地域農政推進室長 猪股正二
農政部次長 渕沢光雄
農政企画課長 赤津征男
農村振興課長 山内吉朗
農地計画課長 永嶋善隆
総合国営対策監 高橋重安
農地建設課長 高橋民和
農業経済課長 相原正明
農蚕課長 佐々木 正 勝
畑作振興課長 石川格司
畜政課長 橋本裕治
畜産課長 菊地清彦
全国和牛能力共進会推進室長 帷子剛資
地域農政推進監 千田 勉
 
財政課長 千葉 弘
   

〇折居委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入る。
 議案第4号から議案第24号まで、議案第32号から議案第38号まで、議案第40号、議案第43号、議案第45号、議案第49号、議案第50号及び議案第53号、以上34件を一括議題とする。
 本日は、林業水産部及び農政部関係を終わるように進行したいと思うので、御協力をお願いする。
 また、世話人会の申し合わせにより、質疑項目が複数ある場合、関連する事項についてはできるだけまとめて質疑されたいこと、また、質疑及び答弁については簡潔明瞭に行い、午後5時を目途に審査が終了するよう、議事進行に御協力をお願いする。
 なお、関連質疑については、質疑冒頭に質疑を表明している委員より優先して発言を認めているものであるので、その性格上、関連性の強いもののみ、短時間、簡潔に発言されるよう、また、要望のみで終わることのないよう御協力をお願いする。
 最初に、林業水産部長から林業水産部関係の説明を求める。

〇中村林業水産部長 平成10年度の林業水産部関係の予算について御説明申し上げる。
 予算の御説明に入る前に、まず、平成10年度の林業水産施策の推進に当たっての基本的な考え方を申し上げる。
 まず、林業であるが、本県は、県土の77%を森林で占める全国有数の森林県であり、その資源は年々充実してきておる。この豊かな森林資源を有効に活用し、林業、山村の活性化を図るため、林業基本計画後期実施計画の基本目標である木材供給基地の形成、全国に誇る特用林産物の産地づくり、潤いある森林空間の創造に向け、特に、水土保全など公益的機能の高い森林を中心とする間伐の推進、県産材の付加価値向上のための流通加工体制の整備、及び特用林産物の生産振興と需要拡大に重点的に取り組むとともに、各般の施策を総合的に展開してまいる考えである。
 次に、水産業であるが、近年の水産業は、水産資源の減少や魚価の低迷など厳しい状況下にあり、一方で、消費者ニーズは、健康、安全、本物志向などへ多様化、高度化してきているところである。こうした状況に対応し、本県水産業の一層の振興を図るため、水産業基本計画後期実施計画の基本目標である、新たなつくり育てる漁業の展開、販売戦略の強化、活力あふれる漁港、漁村の建設に向け、これまでに培ってきた成果を踏まえながら、魚類栽培の推進を初め、沿岸漁場の整備開発、漁港施設、漁村環境の整備のほか、秋サケを中心とした新鮮で安全な三陸いわての水産物の消費拡大や、漁協信用事業の統合による漁業系統組織の基盤強化に努めるなど、水産振興対策を総合的に推進してまいる考えである。
 それでは、林業水産部関係の議案について御説明申し上げる。
 まず、議案第4号平成10年度岩手県一般会計予算についてであるが、お手元の議案その2の7ページをお開き願う。6款農林水産業費のうち、4項林業費と5項水産業費、次に9ページをお開き願って、11款災害復旧費のうち、1項農林水産施設災害復旧費の一部を合わせた、総額486億7、505万4、000円が当部関係の予算である。これは、前年度当初予算対比で8・1%の減少となっており、一般会計予算の総額に占める割合は5・8%となるものである。
 以上、一般会計の総括について申し上げたが、予算の内容については、平成10年度の予算に関する説明書により御説明申し上げる。
 予算に関する説明書の183ページをお開き願う。6款農林水産業費4項林業費1目林業総務費30億5、320万円余の主なものは、人件費などの管理運営費と、県有林事業特別会計に対する繰出金である。次に、184ページをお開き願う。2目林業構造改善対策費16億7、099万円余の主なものは、林業構造改善事業費であるが、これは、25地区において市町村などが実施する林道や木材加工施設等の整備に要する経費に対し、助成しようとするものである。次に、3目林業振興指導費43億2、876万円余の主なものであるが、説明欄三つ目の木材産業振興対策事業費は、木材産業の経営安定を図るため、素材の共同購入などに必要な運転資金を低利で貸し付けようとするものである。次に、二つ飛んで、県産材流通促進対策事業費は、県産材の需要拡大やブランド化の確立、乾燥材の安定供給対策を総合的に実施しようとするものである。次に、185ページの四つ目の間伐材利用緊急対策事業費は、新たに間伐材の供給体制の確立や新用途開発、普及宣伝などに取り組み、間伐材の積極的な利用を図ろうとするものである。次の、木材流通合理化特別対策事業費は、新たに木材の流通加工体制の整備に要する経費に対して助成し、県産材の流通の合理化と付加価値の向上を図ろうとするものである。次の森林組合経営体質強化資金貸付金と、一つ下の林業振興資金貸付金は、森林組合の経営安定を図るため、財務改善などに必要な資金と、系統事業に必要な資金を岩手県森林組合連合会に貸し付けようとするものである。次に、186ページをお開き願う。中ほどの水土保全森林緊急間伐対策事業費は、新たに水土保全など公益的機能の高い森林を中心に間伐を推進し、森林資源の有効利用と森林の適正な管理を図ろうとするものである。次に、187ページの一つ目の森林計画樹立事業費は、馬淵川上流森林計画区の地域森林計画の樹立に要する経費である。次に、六つ飛んで、乾しいたけ等主産地形成促進対策事業費から特用林産振興総合対策事業費までの四つの事業は、すぐれた品質を誇る県産しいたけの生産施設の整備や原木確保、流通対策などの産地体制の整備、強化に要する経費である。次に、一つ下の日本一の炭の里づくり事業費は、九戸高原地域に日本一の炭の里を形成するため、製炭施設や木炭展示販売施設などの整備に要する経費に対し、助成しようとするものである。次に、188ページをお開き願う。4目森林病害虫等防除費2億4、070万円余は、松くい虫などの森林病害虫の防除と被害拡大の防止のほか、五葉山周辺のシカ被害の防止に要する経費である。次に、189ページの5目造林費26億2、351万円余の主なものであるが、説明欄の造林事業費は、人工造林や保育事業などに要する経費である。次の健康とゆとりの森整備事業費は、三陸町の大窪山において、県民のいこいの森を整備しようとするものである。次に、6目林道費113億4、895万円余は、素材の生産体制を整備するとともに、山村の生活環境を改善するため、県営80路線、市町村営36路線で行う林道整備などに要する経費である。次に、190ページをお開き願う。7目治山費58億8、482万円余は、森林の適正な管理により県土を保全するため、山腹崩壊地の整備など164カ所で行う山地治山工事等に要する経費である。次に、191ページの8目林業技術センター費4億3、753万円余の主なものは、林業技術センターの管理運営と各種試験研究に要する経費である。また、説明欄のヤマブドウ優良品種育成事業費は、ヤマブドウの安定生産を図るため、新たに優良品種候補木の特性調査、栽培適用実証試験などを実施しようとするものである。
 以上で林業費を終わって、次に、水産業費について御説明申し上げる。
 193ページをお開き願う。5項水産業費であるが、1目水産業総務費5億988万円余の主なものは、人件費などの管理運営費と、水産科学館の運営に要する経費である。次に、2目漁業構造改善対策費23億3、293万円余の主なものであるが、説明欄の沿岸漁場整備開発事業費は、水産資源を計画的に造成するため、10カ所において増殖場を造成し、沿岸漁場の整備を図ろうとするものである。次に、194ページをお開き願う。説明欄の三つ目の沿岸漁業活性化構造改善事業費は、沿岸漁業の振興と漁業経営の近代化を図るため、漁業近代化施設の整備に要する経費に対し、助成しようとするものである。次に、3目水産業振興費21億3、484万円余の主なものであるが、説明欄の三つ目のさけ、ます増殖費は、サケ、マス資源の増大を図るため、各河川に放流する稚魚の買い上げに要する経費、及び増殖施設の整備や、サケが遡上する16河川の環境整備などに要する経費に対し、助成しようとするものである。次に、二つ飛んで、特定海域栽培漁業定着強化事業費は、つくり育てる漁業の強化を図るため、種苗放流事業などに要する経費に対し、助成しようとするものである。次に、一つ飛んで、サクラマス増殖効率化推進事業費は、サクラマスの経済効率の高い放流手法を開発するため、幼魚の秋放流を実施しようとするものである。次に、195ページの二つ目の魚類栽培推進事業費は、魚類栽培の一層の推進を図るため、これまで実施してきたアワビ、ウニ等に加え、新たにヒラメ、マツカワの種苗生産施設の整備などを行おうとするものである。次に、四つ飛んで、海洋法対策事業費は、新海洋法秩序下における資源管理計画の策定や、漁獲可能量、いわゆるTAC制度の管理体制の整備を行うとともに、漁獲管理情報処理システムの整備、関係漁業者への指導などを行おうとするものである。次の資源管理型漁業推進総合対策事業費は、水産資源の効果的な培養と、資源の水準に見合った適切な管理の方策などを明らかにしようとするものである。次に、六つ飛んで、漁業系廃棄物再資源化システム開発促進事業費補助は、新たにワカメの残滓やカキ殻などの漁業系廃棄物の再資源化、及び処理システムの開発に要する経費に対し、助成しようとするものである。次に、196ページをお開き願う。説明欄の二つ目の秋さけ等消費定着化推進事業費は、秋サケを中心とした本県水産物の利用定着化を図るため、学校給食等による魚食の普及、その他、水産物のPRなどを行うとともに、いわてのイクラのブランド化に要する経費に対し、助成しようとするものである。次に、三つ飛んで、水産物新品質管理方式導入推進事業費は、産地魚市場と水産加工場における新たな食品衛生・品質管理方式、いわゆるハセップ方式の導入などについて検討を行おうとするものである。次の岩手県漁業信用基金協会出資金は、信用補完基盤の強化を図るため、同協会の基本財産に対し出資しようとするものである。次に、五つ飛んで、漁村青壮年育成対策費は、漁業後継者を育成確保し、活力ある漁村社会の形成を図ろうとするものである。次に、一つ飛んで、社団法人岩手県栽培漁業協会育成事業費は、同協会の事業の円滑な運営を図るため、年度初めの運転資金の貸し付けなどを行おうとするものである。次の先端技術開発導入試験事業費は、バイオテクノロジーの導入により、優良形質を持つ魚などを作出し、養殖業の振興を図ろうとするものである。次に、197ページの4目水産業協同組合指導費8億5、311万円余の主なものであるが、説明欄の四つ目の漁業協同組合事業基盤強化総合対策資金利子補給は、漁業協同組合の財務改善に必要な資金借り入れに対し、利子補給をしようとするものである。次に、一つ飛んで、漁業協同組合信用事業統合促進資金貸付金は、新たに漁業系統信用事業の基盤強化を図るため、岩手県信用漁業協同組合連合会に対し、信用事業の統合に必要な資金を無利子で貸し付けようとするものである。次の漁業近代化資金金融対策費は、漁業者に長期、低利の施設整備資金を融資する金融機関に対し、利子補給をしようとするものである。次に、5目漁業調整委員会費7、804万円余と、198ページをお開き願って、6目漁業調整費7、402万円余は、海区漁業調整委員会の運営や漁業調整などに要する経費である。次に、7目漁業取締費2億2、918万円余は、漁業取締事務所の人件費と漁業取締船などの管理運営に要する経費である。次に、199ページの8目水産技術センター費8億9、807万円の主なものは、水産技術センターの管理運営と各種試験研究に要する経費である。また、説明欄の新水産情報システム整備事業費は、リモートセンシングによる海水温情報を漁業者などに即時に提供するため、新たに人工衛星データの受信等に必要な機器を整備しようとするものである。次に、200ページをお開き願う。9目内水面水産技術センター費1億1、041万円は、内水面水産技術センターの管理運営と試験研究に要する経費である。次に、10目漁港管理費1億2、211万円は、県管理漁港の維持管理などに要する経費である。次に、11目漁港建設費110億5、810万円余は、漁港、海岸関係事業に係る、県営、延べ53港、市町村営、延べ64港の整備に要する経費である。
 以上で水産業費を終わって、次に、少し飛んで264ページをお開き願う。11款災害復旧費について御説明申し上げる。1項農林水産施設災害復旧費2目林道災害復旧費1億6、779万円余と、265ページの3目治山災害復旧費1億2、467万円、4目漁業用施設災害復旧費2、000万円、266ページをお開き願って、5目漁港災害復旧費3億7、336万円余は、いずれも現年災害の復旧に要する経費である。
 以上で一般会計歳出予算の説明を終わる。
 次に、債務負担行為について御説明申し上げる。恐れ入るが、再び議案その2の14ページをお開き願う。
 林業水産部関係は、事項欄の39から45までの7件であるが、これらは、農林漁業金融公庫が社団法人岩手県林業公社に融通した、造林事業資金の元利償還に係る損失補償と、いわて優良木造住宅建設資金など、六つの資金の融通に伴う利子補給について、それぞれ期間と限度額を定めて、債務を負担しようとするものである。
 次に、特別会計予算について御説明申し上げる。27ページをお開き願う。議案第7号平成10年度岩手県県有林事業特別会計予算についてであるが、予算総額は、歳入歳出それぞれ51億7、628万4、000円である。
 次に、28ページをお開き願う。第1表歳入歳出予算の歳入は、一般会計からの繰入金と県債が主なものである。
 次に、29ページの歳出の主なものは、1款県有林事業費であるが、これは、県行造林造成事業や水源林造成事業等の新植、下刈り、素材の生産などに要する経費である。
 次に、第2表地方債についてであるが、これは、県有林事業費に充当するため、その限度額を19億6、600万円にしようとするものである。
 次に、30ページをお開き願う。議案第8号平成10年度岩手県林業改善資金特別会計予算についてであるが、予算総額は、歳入歳出それぞれ14億7、386万円である。
 次に、31ページの第1表歳入歳出予算の歳入は、一般会計からの繰入金と貸付金元利収入が主なものである。
 次に、32ページをお開き願う。歳出であるが、1款林業改善資金貸付費は、林業経営の改善を図るため、林業従事者などに対し、無利子の林業生産高度化資金等を貸し付けようとするものである。
 次に、2款木材産業等高度化推進資金貸付費は、森林組合や木材加工業者などに対し、木材生産等に必要な運転資金を低利で貸し付けるため、その原資を金融機関に預託しようとするものである。
 次に、3款林業就業促進資金貸付費は、新規林業就業者の住居移転などに必要な就業準備資金を、無利子で貸し付けようとするものである。
 次に、33ページの議案第9号平成10年度岩手県沿岸漁業改善資金特別会計予算についてであるが、予算総額は、歳入歳出それぞれ3億594万7、000円である。
 次に、34ページをお開き願う。第1表歳入歳出予算の歳入は、一般会計からの繰入金と貸付金収入が主なものである。
 次に、歳出の1款沿岸漁業改善資金貸付費は、近代的な漁業技術の導入を促進し、漁業経営の改善を図るため、沿岸漁業者に対し、無利子の経営改善資金などを貸し付けようとするものである。
 次に、予算以外の議案について御説明申し上げる。77ページをお開き願う。議案第21号林業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてであるが、これは、平成10年度に実施する林業関係の建設事業に要する経費の一部を、受益市町村である大船渡市ほか14市町村に負担を願おうとするものである。
 次に、79ページの議案第22号水産関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてであるが、これは、平成10年度に実施する水産関係の建設事業に要する経費の一部を、受益市町村である大船渡市ほか11市町村に負担願おうとするものである。
 以上で林業水産部関係の議案の説明を終わる。よろしく御審議のほどお願い申し上げる。

〇折居委員長 ただいまの説明に対し質疑はないか。

〇黄川田委員 それでは、議事進行のため、1点のみお尋ねする。6款4項3目林業振興指導費のうち、いわて優良木材住宅資金利子補給補助事業についてお伺いする。
 この事業は、県産材の利用拡大を図ることを目的に、県民が県産材を使用した優良な木造住宅を建築または購入する際に、住宅金融公庫借入金の残高に対して、県の利子補給が受けられる制度として昭和62年から実施されておる。そこで、本事業について、平成10年度は9、732万3、000円の予算計上がされておるけれども、第1にこれまでの利子補給の実績はどうなっておるか。
 そしてまた、第2に、この事業が県産材の利用拡大に果たしてきた役割について、どのように林業水産部では評価しているか、あわせてお尋ねする。

〇井上木材振興課長 いわて優良木造住宅資金の利子補給補助事業であるけれども、この事業は在来の軸組み工法による木造住宅で、柱や土台、寸法、基礎の構造などに一定の基準を設けておって、これをクリアして、かつ使用する木材のうち県産材を1戸当たり10立方メートル以上使用する場合に、住宅金融公庫の融資の額に対して利息の0・5%を県が5カ年間にわたって補給するという制度である。
 まず、お尋ねのこの利子補給の実績であるけれども、昭和62年度から平成8年度までの10カ年間であるが、約1、900人の方が利用しておる。利子補給の総額であるが、この10カ年間で約3億8、000万円というようになっておる。また、地域別の利用状況であるけれども、新設住宅着工数の多い盛岡地方振興局管内の市町村で全体の6割を占めているという現状である。
 次に、この事業が県産材の利用拡大に果たしてきた役割ということであるが、利子補給の対象戸数は年々ふやしてきておるけれども、平成8年度の新規対象戸数は300戸となっておる。また、あわせて、平成元年度から毎年、いわて優良木造住宅コンクールを実施しておって、優良な事例についてパンフレットで県民に紹介するなど、県産材を利用した木造住宅のPRに努めているところである。この結果であるが、全国的には新設住宅着工戸数に占める木造住宅の割合が減少する中にあって、本県においては、県産材を利用した優良木造住宅が県内の各地に建設されたことによって、全国平均の木造化率を3割ほど上回る約8割の木造住宅の建設が維持されておる。これも県産材の利用促進に波及効果を上げていると考えているわけである。

〇黄川田委員 一定の成果を上げておられるようであるが、本制度ができてから既に10年が経過しておる。先ほどお話があったように、県においてはいわて優良木材住宅コンクールを毎年実施するなど、制度の普及活動には努めているところであるが、この10年を一区切りとして、今後さらに県産材の利用拡大を図っていくために、利用条件、建設基準、補助対象融資枠、あるいは期間、補助率等、この制度の見直しを検討するお考えはないのであろうか、お尋ねする。

〇井上木材振興課長 この制度については、御指摘のとおり既に10年を経過しておる。現在の事業の実施期間が一応平成10年度までということになっておるけれども、県産材の利用促進や良好な住環境の整備に効果を上げてきておる。さらに、木材の利用を推進するということは、環境に対する負荷が少ないということや、また、地球温暖化の防止など、人と環境の共生にとって大きな役割を果たしているということから、引き続き実施はしたいというように考えておる。
 このため、平成11年度以降については、これまでの各地域での優良木造住宅の展示的な効果による県産材の利用拡大を図るという目的から、さらに、県産材の加工、流通と優良木造住宅の建設との連携を一層強化をして、県産材のブランド化を推進するとともに、これまで進めてまいった制度の改善すべき点などについて検証して、新たな制度のあり方について検討してまいりたいというように思っておる。

〇山内委員 私は、5項4目にかかわってお伺いをする。
 ある情報が寄せられた。釜石市の東部定置漁業生産組合が破産手続中であると、−−これはもう終わったのかな−−それで4億円近い倒産と聞いた。この倒産の原因がその定置の不漁によるといったような本来の意味での倒産原因ではなくて、不動産投資に対する失敗から破産をしたのではないかと、こういったふうに情報が寄せられたのであるが、その事実確認をさせていただきたいと思う。

〇武市漁政課長 倒産という情報が寄せられているわけであるが、県の林業水産部の今までの組合から聞いている業務報告では、どうも漁業において漁業不振のために倒産−−倒産というか、まだ手続中なわけであるけれども、そのような状況に至ったとは考えておらない。

〇山内委員 今の答えは、結局、漁業不振によるものとは考えていないと、こういうお答えである。結構である。要するに不動産投資等が原因で倒産したとはまだ断定はできないけれども、いずれ漁業不振によるものではないと、こういうふうにお聞きした。そこで、漁業協同組合なりその生産組合なり、県下にさまざまな漁業にかかわっての組合、法人があるわけであるけれども、これらのその不動産投資に対する指導といったものについて、林業水産部が今までどのような御指導をなさってきたのかなと、こういうことを確認をしたい。

〇武市漁政課長 県の指導についてであるが、生産組合に認められておる事業については、漁業及びこれに附帯する事業ということであるので、それから、県の指導については常例検査からは除外されておるわけである。それで、仮にもし組合の業務または会計について、法令等に違反する疑いがある場合は認定検査ができるわけであるけれども、今まで県の方で生産組合から必要な業務報告等を徴しておるわけであるが、これまでの報告の中にはそのような状況はちょっと見当たらないという状況である。

〇山内委員 業務報告にそういったものが認められないということなのであるけれども、恐らく生産組合なり何なりは都合の悪い部分については、さまざま知恵を働かせて文言作成をしてくるのだろうと思う。やはり県の方が積極的に、抽出でいいと思うのであるが、サンプル調査というのであるか、そういった形でその実態を調査しながら指導をしていくと、こういう姿勢が必要なのではないのかなと、こう思う。この点についてお考えをまずお聞きする。
 それと、今、漁業及び附帯事業が業務として認められるわけだけれども、例えば、生産組合が土地、家屋等を所有すると、これは許されると思うのである。ただ、その使用状況が専らその個人のために用いられていると、こういった場合はそれは附帯事業からは外れてくるのではないのかなと私は判断する。この点について2点お伺いする。

〇武市漁政課長 まず、調査が必要ではないかということであるが、先ほど申し上げたように、認定検査については法令等の違反があるということの疑いがあるというような場合には検査できるわけであるが、これまでそのような状況に、生産組合の方で違法性があるということは判断しておらないし、また、いわゆる組合員の方からの請求検査、そういったものも近年ないので特にやっていないが、いわゆる認定検査の必要があるかどうかについては、またちょっと検討を要するのではないかなと、そのように思っておる。
 それから、組合で取得した建物については、そこら辺については少し実態の把握がまだ十分でないところがあるので、もう少しちょっと時間をかしていただければと思っておる。

〇山内委員 認定検査ができる環境にないと、こういうことなのであるけれども、誤解なきように、釜石市の生産組合という意味ではないので、これは誤解ないように受けとめていただきたいのであるが、要するに、県は情報がなければ動かないという姿勢なのであるけれども、やはりサンプル調査というか、随時どういった経営実態にあるのかということを、これはお調べになって指導していかなければならぬのではないのかなと、こう思うのである。これはぜひそのようなお答えをいただきたい。
 それから、先ほどの続きになるけれども、専ら個人のために使われているというのは、これはどうなのであるか。税制面、法制上の問題はないか。例えば、ある建物が盛岡にある。それの登記所有者というのが持ち分3分の1ずつで、生産組合が3分の1、3分の1、残りが個人の持ち分と、こういうことになって専らその個人が住まいする住所になっていると。それから、組合が所有している車両があるけれども、これも専ら個人が常時使用していると、こういった実態があるとすれば、これでも調査というのはできないと、こういうことなのであるか。

〇武市漁政課長 先ほど申し上げたように、その事実確認についてはもうちょっと時間をいただきたいということである。

〇山内委員 だから、事実確認をこちらから進んでやらなければならぬのではないかと、こういう質問になるわけである。部長、どうなのであるか、これ。そういった実態調査というのは、こちらで何か情報が入ってこない限りやらないということなのであるか。

〇中村林業水産部長 漁業関係については、漁業協同組合あるいは生産組合という協同組合があるわけであるけれども、それのいわゆる業務の運営状況については、いろいろな指導のやり方はあろうかと思う。したがって、委員御指摘のサンプル調査をすべきではないかということであるが、通常の組合の指導の中で適正を期してまいりたいと考える。
 それから、一般的に生産組合の土地なり家屋が漁業のために利用されているのは問題ないけれども、個人の使用についての場合は問題があるのではないかということである。もちろんその協同組合の所有物としてやっていっているわけであるので、完全にそのような形態がとられておるのであれば、これはやはり問題だと思うけれども、その具体的な事案については、個々正確にやはり慎重に調べる必要があろうかと思う。もしそういうことがあるということであるならば、調べる必要があろうかと思うが、一般論として申し上げて、協同組合なり生産組合の土地、家屋等については、漁業振興のために適正に使用されていると、私どもはこれまでのところ考えておる。

〇山内委員 これで終わる。考えておるでは困るのである。実態が明らかに違った内容で報告があった。それもただ単に伝聞される証拠だけではないわけで、後でお知らせするからしっかりとお調べになっていただきたい。これから金融ビッグバン等が始まっていく中で、漁業協同組合、あるいは生産組合、さまざまな大変な局面に至るわけである。大変な困難も予想される。だからこそ、こういった不動産等に対する投機であるとか、実際にその生産組合がやらなければならない事業というものをしっかりと指導していただきたい。でなければその構成組合員の方々に不利益をこうむらせると、こういうことになるわけであるから、しっかりと指導していただきたい。

〇菊池(雄)委員 特別会計が11会計ある。先ほど部長から御説明があったように、林業水産部にも三つの特別会計があるわけであるが、そのうち県有林事業特別会計についてお尋ねをしたいと思う。
 これは県が所有をしている山林である、模範林と言っているが、それと民間と分収契約を結んで、いわゆる県行造林の経営にかかわる歳入歳出予算である。歳入は、先ほど御説明あったように一般会計からの繰入金が25億円、県債が19億円、まず歳入総額が51億円であるからほとんどで、いわゆるその林野の収益というのは1億4、000万円ぐらいしかないと、こういう状態である。つまり現在のその県有林事業というのは、一般会計からの繰入金と借金で造林事業が行われていると、こういうことである。それで、この特別会計、46年から創設されたものであるけれども、一つは、昭和60年度以降の一般会計からの繰入金の総額がどのぐらいになっているのかと、県債残高は486億円、これは平成10年度末で486億円になると、こういうふうになっているが、繰入金は大体どのぐらいこの会計に繰り入れられてきたかということである。
 それから、2番目に、この県有林事業で整備されている山林の県総林野面積に占めるシェアはどの程度あるかということである。
 それから、県行造林で、戦後50年以上たつわけであるから、伐期に達している立木の処分、そしてその分収、そういったようなものの算定は具体的にどういうふうになるのであろうか。
 それから、近く県有林の基本計画を見直しするということであるが、その基本的な考え方は何であるか。
 それから、県有林造成基金というのがある。この基金の根拠、どうしてつくられたかということ、そしてその財産の内容、まずとりあえずこれを説明してもらいたい。

〇秋山緑化推進課長 5点の御質問だと思うが、まず第1点目、一般会計からの県有林特別会計への繰入金が昭和46年から行われておるけれども、これまで総額で、平成8年度までのデータで申し上げたいと思うが、これまでどのぐらい繰入額になっているかという御質問だと思うが、現在まで昭和46年から平成8年まで27年間になるけれども、この間296億7、000万円の一般会計からの繰り入れを行っておる。
 この結果であるが、現在の県有林、先ほどお話しあったように、直接経営する模範林、それから分収で行っておる県行造林、合わせて6万3、000ヘクタールの経営面積になっておって、これが全県の民有林に占める割合で申すと8%の割合である。ただ、経営面積はそういうわけであるが、いわゆる経営面積のうち除地とか、そういう林木以外、いわゆる造成した面積以外の面積も入っているので、造成した立木のある面積で申すと5万3、000ヘクタールがその経営面積の中の面積になる。これは民有林の全体の立木地の割合で申すと、高くなって16%を占めているということであって、その立木の大部分は人工林であるので、人工林で申すと全民有林の約2割近くが県有林で占めているという状況になっておる。
 それから、3点目の、その立木が伐期が参って、現在その分収を行っている箇所もあるわけであるが、その分収に当たってその立木の評価をどういう形でしているのかというお尋ねかと思うが、いわゆる現在の山から市場にその丸太が出ていった際に幾らの価格で売れるのかという、いわゆる市場価をまず算定して、それをもとにして現在のその山にある立木の価格を算定しておる。いわゆる我々市場逆算価方式という形であるが、現在の市場の丸太の価格をもとにして立木を算定しておる。よって、その都度その立木の価格が上下するという形になるけれども、いずれにしてもそういう形で算定した価格をもとにして、森林所有者と県との当初決めた分収割合に基づいて分割しているという状況である。
 それから、4点目であるが、いわゆる県有林においては、県有林の基本計画を策定して、それに基づいていろいろな造成から管理運営をしているわけであるが、その見直しに当たっていろいろと考慮するべきでないかという御質問だと思う。現在の県有林の状況を簡単に特徴的なことを申し上げると、一般の民有林、私有林ということであるが、そういう私有林と比べると、まず特徴的には齢級、いわゆる林齢が一般よりは県有林の方が高くなっているという特徴が一つある。それから、もう1点は、まとめて造林をしてきたということもあって、1団地と、塊がほかの一般の民有林よりは大きい状況になっていると、こういったことから、これから林業関係では21世紀に向かって我が国の木材供給基地を目指しているわけであるが、それを担う大きな担い手であろうという、そういう役割を担っているであろうと思っておる。そういうこと等あって、今年度、平成9年度からであるが県単独の木材生産団地路網整備事業を御承認いただいて、今実施しているわけであるが、これにはいわゆる県有林を中心とした団地を県内に30団地これから設定をして、その団地内の路網整備を充実することによって、今より安い価格で木材を出せると、いわゆる低コスト林業を目指そうということで、しかも、その30団地を県内の核として、いわゆる県有林事業が牽引的な役割を果たしながら、これからの地域林業の核となっていこうという目的で始めている事業である。そういったことで県有林のその役割としては、地域林業の核となるというそういう役割も大きいものがあるということで認識しているところであって、今後とも県有林の長期計画の見直しに当たっても、これまでの森林の整備状況等も勘案しながら、今後とも県有林事業の果たす役割について幅広く検討してまいりたいと考えておる。
 最後に、5点目、県有林の造成基金がどういう根拠で設立され、今はどうなっているか、内容はどうかというお尋ねかと思うが、まずこの県有林の造成基金と申すのは、昭和39年に県有林造成基金条例を設定して、その条例に基づいて設置しておるが、この目的はいわゆる県有林を造成することと、その管理の財源に充てるというために、この基金条例に基づいて設置したものである。この中身であるが、いわゆる財産の内訳と申して、こういったものを基金とするというぐあいに定めておる。その中身は、まず一つは土地である。いわゆる県有林としての土地と、その土地の上にある立木、生立している立木と、それからいわゆる伐採収入等で入ってくる現金も含めて、現金あるいは有価証券、この三つの内容で基金が造成されておる。

〇菊池(雄)委員 ちょっと説明が長過ぎるから簡単にやってもらいたい。
 今、一般会計からの繰入金が平成10年の予算では25億円、累積約300億円あると、こうなっている。それで、さっき申し上げたように特別会計の県債残高は486億余円あると、その一般会計から繰り入れる金、これは農林漁業金融公庫に対する償還金等職員の人件費に充当させておるようであるけれども、この特別会計の県債というのは、その一般会計の県債と本質的には同じではないか。つまり歳入でその一般会計から繰入をして、さらに県債を入れてそして運営しているわけであるが、今度はその繰入金でその借金を支払っていくと、こういうことになると、どうなのであるかこれ、一般会計の、つまり486億円のその借金というのは、これは11会計全部分析してみるとそういうのは出てくると思うのであるけれども、どういうことなのであろう。これ特別会計で払える能力は私はないと思うのであるが、どうであるか、財政課長も来ているようであるが、両方の御見解をお伺いする。

〇秋山緑化推進課長 今、材価と申すか、木材価格が長期的に低迷しているのは御存じのとおりで、当初、県有林造成を始めた当時は今より木材価格が総体的に相当高かった時期である。こういう状況がこれからどこまで続くかということはだれも予測はできないが、仮に今の状態が続くとしても、現在造成している6万ヘクタールに及ぶ県有林は、現在、間伐の真っ最中という状況で、今後、10年、20年後には、これがいわゆる主伐の真っ最中になるものである。我々は、その時期が到来すれば、一つは希望的観測もあるけれども、今の木価が上がることと、先ほど申したように、路網整備等を充実して、低コストで、いわゆる費用の低い形で木材を提供することができるならば、必ず、今、投入している資金は回収できるものという確信で行っているところである。

〇菊池(雄)委員 今、大変気概のあるお話を承って、私は、決してこの事業をやめろとか足を引っ張る意味で申し上げているのではなくて、やっぱりお互いに実態を知らなければならないと思う。私は、この会計というのは、我が国の林業の実態を象徴しているものだと言っても過言ではないと思う。大体木材の輸入が80%を超えている、こういう状況の中では、当然セーフガードなどを発令して木材の輸入を抑制するということをやらない限り、今おっしゃるような気概のあるお話をしたって、とても今、借金を支払うなどというようなことにはならないと私は思う。その点を考えてもらいたいと思うし、同時に、国の方では国有林に3兆円ぐらいの赤字があるとか債務があるということで、営林署をなくすとか、国有林を民間にやらせるとか、そんな話があるけれども、私はこれは間違っていると思うから、県もこういう状態であればあるほど、県土に占める山林もかなりのシェアを持っているわけだから、緑を保全する、環境を保全する、国土、県土を保全する、そういう非常に重要な役割を果たしているのだという気概を持って、再編計画はぜひ今お話があったような形で進めてもらいたい、そのことを要望して終わる。

〇谷藤委員 林業労働力確保支援センターの関係、これについてお聞かせいただきたいと思う。
 林業労働者の新規就労促進ということではいろいろ御努力もしていただいていると思っておるけれども、これまでの実績、それからまた、平成10年度の目標というのはどの辺に置かれているのかと思って、その辺をお聞かせいただきたいと思う。
 県とか各市町村から、また、林業団体からの拠出で36億円ほどの林業労働対策基金があると伺っているけれども、非常に今、金利が低下の局面にあるということで、非常に原資たる運用益というのは少なくなってきているのではないかと思っておる。そういう厳しい状況であると思うけれども、その辺、若年労働者の新規参入を図っていくという意味からも、どういう対応で来年度はやっていくのか、その辺の計画をお知らせいただければと思う。

〇井上木材振興課長 林業労働力確保対策に関する質問であるけれども、まず、第1点目の支援センターの実績についてであるけれども、林業労働力確保支援センターは平成8年度から事業を開始しておる。これまで新規参入を促すための受け皿となる林業事業体について、37の林業事業体の改善計画を認定しておって、この結果、本年度は二つの事業体において新たに5名の方が月給制で採用されたということである。また、この5名の方々の就労条件の改善などを支援するために無利子の林業就労促進資金を貸し付けたところである。
 また、センターとは別に、林業労働対策基金においても、これらの月給制による新規雇用をした事業主に対して奨励金を交付しておる。さらにこのほかに、新規参入者の対策として、林業に興味を持っている方々22名の若い方々を集めて体験学習などを県内各地でやっておる。また、県内4カ所において林業事業主を対象とした雇用改善のセミナーなども開催しておる。さらに、65事業体を対象にして、林業雇用改善巡回指導の説明会なども実施しているところである。
 平成10年度であるけれども、10年度においては、さらにこれらに加えて、新規就労者を対象とする研修あるいは事業主を対象とする経営者資質向上のための研修などを実施してまいりたい。そして、新規就労者の促進に努めてまいりたいと考えておる。
 また、36億円の基金の事業であるけれども、平成10年度の基金の事業計画であるが、この基金は平成3年度に県単事業で創設されて、その後平成5年から国の地方財政措置によって大幅に基金が造成され、現在、36億円になっているわけである。ただ、この超低金利時代のもとで運用益が非常に伸び悩んでいるということは御指摘のとおりで、この基金の効率的な運用も図って、林業の退職金共済、さらには社会保険等の加入金の助成あるいは月給制に対する奨励金などの緊急性の高い事業を重点的に実施してきておる。
 10年度における基金事業についても、総事業費が約6、500万円ということで、前年度の1・5倍と、むしろ高い伸びになっておる。特にも新規参入の促進を図るために、就労条件を改善するための新たな事業あるいは高性能林業機械の導入を促進するレンタル事業などに力を入れてまいりたいと思っておる。

〇谷藤委員 いろいろ苦労しながらも、貴重な林業関係、特にも山林関係の維持をしていくという重要な役目を担っていただく方の労働力であるので、ただ、特に岩手県の場合はこれだけ広大な面積を有しているわけで、相当な林業労働力というか、林業にかかわる労働力確保というのは、それぞれ今までも努力してきているのであろうけれども、かなり高齢化してきているという話もお聞きするわけである。その中で、確保していく上での課題というのは何であろうかと。
 それから、その対応、それに向けてどう対応していったらいいのかというもの、この辺のお考えがあればお聞かせいただきたいと思う。

〇中村林業水産部長 林業労働力、委員おっしゃるように、大変高齢化、減少化が進んでいるわけで、戦後営々として築いてきた岩手県の林業を将来に引き継いでいくためには、最重要課題としてこの林業労働力対策に取り組んでいかなければならないと思っておる。
 その際、三つの視点があろうかと思っておる。一つは、まずもって林業労働に従事される方にとって、働きがいのある、いわば雇用の近代化というか、就労条件の改善、こういったものを進めていかなければならないというのが一つだと思う。2点目は、そのような条件を提示し得る、やはり足腰のしっかりした林業事業体、経営体と申すか、そういったものを育成していかなければならない。3点目は、実際働く方々、特に若手の方々の参入を期待するわけであるが、技能、技術を身につけ、しかも意欲を持って働いていただく、そういった若手の方々の参入をいかに促進していくか、こういう三つの課題が重要ではなかろうかと思っておる。
 したがって、この三つの課題については、先ほど担当課長からも申し上げたように、昨年立ち上げた岩手県の林業の労働力確保支援センターと県が一体となって、若手の確保対策なり、あるいはしっかりした経営体の基盤強化対策なりに真剣に取り組んでまいりたいと思っておる。

〇谷藤委員 いずれ林業の振興という意味では特にも若手の新規就労者の確保というのがこれからも大切であるし、また、育成をしていくというか、専門的な知識も持っていただかなければならないであろうけれども、これからもその充実強化に向けた対応をぜひしていただきたいと思う。これはどちらかというと佐々木大和委員の専門分野であるけれども、私の方からもお願い申し上げて質問を終わる。

〇船越委員 197ページに、今回、信用事業の援助のために6億8、700万円の予算を計上していただいて、本当に林業水産部にありがたくお礼を申し上げる。
 ただ、非常にありがたいわけであるけれども、これは固定化した債権あるいはその他について、預金、貯金は0・1%とか何ぼといったような実情であると。借りた金は4%台ということになってどんどん借金が膨らむ。これでは大変だろうということからこういう措置をいただいたのであるが、ただ、これも5年間であるので、その5年間のうちにこれを何とか自助努力でもって返済していくか格好をつけなければならないというのが現状であるわけである。それで、一般質問のときも私るる申し上げたのであるが、かいつまんで申すならば、部長の答えは、事業統合、すなわち信連の統合あるいは漁協合併の実現等が急務だと、こうはっきり申しておる。そしてまた、組織のあり方、運営方法についてはオープンに討議して、議論をよく詰めながらこれを展開しなければならないと、こういうすばらしい答弁をいただいたけれども、私はそこのところが非常に心配でしようがない。ということは、ビックバン時代であるから、2人か3人あるいは1人か2人といったような信用事業を行うような漁協というのはどうしてもビックバンで統合しなければならないというのは、これはもう常識中の常識であるから何とかクリアしなければならないが、本来は信用事業と経済事業−−漁協というのは一体のものでなければならないのだけれども、とにかく大変なのは信用事業だということで、それが一歩早く始まったということであるが、漁協の統合ということに関して、先ほども前者の質問に対して漁政課長からもやもやもやもや、なかなか返事ができないというのが私はよくわかっている。だから、ここでそれを全部出すわけにもまいらないであろうが、そこが問題だということなのである。部長はオープンにどんどんしゃべらせると言うけれども、オープンにしゃべらせてどんどんみんなで討議したらいいのだけれども、私は、一般質問で意見の無視とか恫喝といったようなことを書いたのであるが、そういうのはやめてくれということで難を受けたようであるが、ここでまたそれを出すわけではないが、なるべく短く申し上げるけれども、こういうことなのである。
 七、八年前だったか、せっかく春に金をかけて定置を敷設した。ところが、ある日突然20メートル引っ込めろ、30メートル引っ込めろと100何カ統が一斉に、号令が海区の方から出て、上の方から出て、そしててんやわんやの大騒ぎで、金をかけて暇だれをしたことがある。船具屋だけがもうかった、そういうこと。あるいはまた、今、合併問題等に組合長たちの承認をなかなか得られないということは、ここで指導者に刃向かったのでは、定置の海区調整の委員長としての権力を持っているから、かつてのようなこと。あるいは沖出し計数をこうだとか場所をどうだとかいう漁業権という一つの大きな権力を持ったのでは大変だということだったのであるが、持ってしまったということで、それの後害をおそれて物を言えないというのが私は実情だと思う。そうした場合に、部長は本当にオープンに議論をさせてとか何とかとうまいことを言っているけれども、とても私は距離があると思う。だから、これがなかなか進みがたいということが現実ではないかと思うわけである。
 それで前任者たちが、やはり海区調整委員会で学識とか、あるいは業者選出とかといろいろ区分けして、せっかくこういうふうに利害に関係する人は引っ込んでもらった時代がある。ところが、今、現在になったら中村部長になったときひょいとそれが元に戻ったということなので、全く心ある人たちは暗黒を感じたと思う、正直言って。だから、なかなかこの漁協合併問題だってオープンに物を言えないというのが現実の問題だろうと思う。だから、その辺を本当にあなたが答弁したように、立派に、私が常にしゃべっているのは、業界だけではおさまらない……。

〇折居委員長 船越委員、簡潔にお願いする。

〇船越委員(続) 私にだけ来る。斉藤委員の半分もしゃべっていない、私は。もう終わるから。一つだけに絞っている、長いと言われると思って。でも、大事なところなのである。これがわからないと水産行政は語れないのである、わかったようなふりをしていたって。全然問題の解決にならないと。
 だから、国の方から来た人には、弁慶みたいに矢を受けて帰った本省派遣の役人さんたちもある。無難に過ごすには業界と丸まっている方がいいのだけれども、そういうことで、中村部長にもう一度強力な、これから信連統合あるいは漁協合併を果たすならば、業界を引っ張っていくというような迫力というものを県知事とともに、その辺の強い意見を求めて、あとは余りしゃべらせたくないようだからこの辺で終わるけれども、ひとつよろしくお願いする。

〇中村林業水産部長 漁協合併、信用事業統合、これは本当に今の漁業環境を考えると大変重要であり、緊急を要する課題であると認識しておる。この漁協合併については、非常に個々の漁業者、それから漁業協同組合の今後のあり方に極めて重大な影響を及ぼすわけなので、その漁業関係者、現在、漁業系統団体の中ではそれぞれの漁業の部門別に委員会をつくっていただいて検討を始められておるわけであるが、みずからの問題として、その場の中で、私、申し上げたようにオープンに議論をしていただいて、そして合併のあり方を真摯になって検討していただきたいと考えておるわけである。これに対しては、この合併の帰趨については県の漁政全般について大変影響があるわけなので、県としても漁協合併のそのような論議が進んでいくように指導をしてまいりたいと思っておる。その決意は変わらないわけである。

〇船越委員 あなたは、漁協の持つ社会的使命は大きいということも答弁の中で言っておった。私は、海の見えない水産会館にだけ権力を集中したがっているというのは長い間関係しているからありありと見えるわけである。それよりも私は、漁協の持つ社会的使命ということで、地域、地域に根差した産業の集合体であると。だから、1市町村ごとにまとまって、そして調整力のある、あるいは補助もできる市町村等を中心にしてまとまった方が海の見えない盛岡にまとまるよりははるかにいいということで、私はその方から先にやろうということを提唱しているのであるけれども、38分の1であるのでいかんせん意見が通らないけれども、それも含めて、ひとつあなた方行政に期待して終わる。

〇伊沢委員 1点だけお伺いしたいと思う。
 生活環境部のときに谷藤委員が御質問した環境ホルモンということでお伺いしたいわけであるが、予算書からいけば水産技術センターないしは内水面水産技術センターのことに絡むのかと、こう思うが、よろしくお願いしたいと思う。
 ダイオキシンを初めとする化学物質について、一部の学者の方々はかなり前から生物に対する影響があるということで警鐘を鳴らしていたのであるけれども、やっと国の方でもこれについて環境ホルモンという俗称をつけながら、いろいろな検査をするという形になってきたと思う。本県の場合、言ってみればつくり育てる漁業ということで、この間、内水面におけるカキなりホタテなりを含めていろいろ養殖をしてきた。さらには、新しいものでヒラメ、マツカワを含めてつくり育てる、こういうことになっていると思う。この間、いろいろなところの文献を見ると、養殖をした魚等からのダイオキシンを含めた化学物質が食物連鎖の中で蓄積されている、そういうデータ等もあるわけである。岩手は、要するにきれいな水、三陸のところで育てたもの、とったもの、こういうことで、これからも市場に対して自信を持って送り出せるものだと思うわけであるが、この間、試験場等で環境問題も含めて検査をする中で、こういう化学物質が生物に及ぼす影響等についての基礎研究のようなものをやってこられたのかどうか教えていただきたいと思うし、今後こういった問題にターゲットを絞りながら、県の機関一つでやれということにはなかなかならないと思うけれども、これからの考え方の一端をお示しいただきたい、こういうことで御答弁をお願いしたいわけであるが、よろしくお願いする。

〇中村林業水産部長 環境ホルモンのことについてお答えする。
 この課題については水産の立場からも関心を持っておるところである。現在、環境庁を主体として研究班が設けられて、これまでのいろいろな知見の整理なり、あるいは今後の解明すべき課題等の検討を行っておられて、昨年7月には中間報告が御案内のとおり出されたところである。一方、水産庁においてもこの問題には大きな関心を持っておって、ことしの2月に入って中央水産研究所や環境庁国立環境研究所などの研究者から成る環境ホルモン影響調査検討会を設けて、水産庁として実施すべき調査あるいは検討内容等について整理することを目的に、現在、検討が開始されておる。
 林業水産部としては、県の生活環境部と連携を図りながら、さらに水産庁など国の研究機関の研究成果についても情報収集に努め、適切に対応してまいりたいと考えておる。

〇伊沢委員 言ってみればいきなり県でものをやってもなかなか進まないと思うが、生活環境部のときにも谷藤委員の質問に関連で私しゃべらせてもらったが、環境保健センターを含めて、つくっていく中でいろいろな意味でのタイアップが今後必要になるだろうと、こう思うわけである。林業と水産が一緒の部なわけであるけれども、森が水をつくり、きれいな清流を確保する、飲み水を含めてやっていく。その中で培われた水産物が食卓をにぎわす、こういう形になっておるので、林業と水産あわせての取り組みをひとつ御要望申し上げて終わりたいと思う。

〇高橋委員 当該委員であるからどうかと思って20日の常任委員会で伺おうと思っておったけれども、林業水産部の予定がないということであるので、この際、1点だけ質問させていただきたいと思う。
 間伐材の利用促進についてお伺いする。
 本県は北海道に次いで全国第2位の森林面積と蓄積を有する森林県である。森林は再生産可能な資源であるとともに、加工に要するエネルギーが小さいことなどから、その利用を促進することは地球環境問題に対する観点からも重要であり、また、木材は、温度調節や断熱、衝撃吸収などの面ですぐれた性質を有していることから、人間の健康面においてもよい環境を与えるものと認識しているところである。
 本県のスギ、アカマツ、カラマツなど約50万ヘクタールに及ぶ人工林は、21世紀を前にして年々成熟度を高めているものの、大部分が育成途上にあるため、間伐を特に必要とする森林面積がピークを迎えておるわけである。しかしながら、森林・木材産業を取り巻く状況は厳しいことから、長期にわたる木材価格の低迷や伐採、搬出経費の高騰などにより間伐の実施がおくれており、また、間伐材は主に一般建材やパルプ原料として使用されているものの、その利用割合は50数%にとどまっており、残りは未利用のまま山の中に放置されているのが現状である。この貴重な森林資源の有効活用が図られない限り、地域林業の活性化や木材産業の振興につながらないと考えるのである。
 そこでお伺いするが、本県の森林整備を促進するためにも、間伐材の積極的な利用促進が不可欠と考えるが、県ではどのように取り組んでいくお考えなのであろうか、お聞かせいただきたい。

〇中村林業水産部長 間伐材の利用状況については、先ほど委員御指摘のとおり、生産量のうちの54%程度しか使われていないということで、この利用の促進が間伐の推進に大変重要な課題となっておるわけである。したがって、県としては、平成9年度から林業水産部が中心となって、土木部を初めとする公共工事担当部局や間伐材の供給側である岩手県森林組合連合会などと協議して、県産中小径材利用推進ネットワーク−−ネットワークと呼んでいるけれども−−それをつくって、これまで以上に間伐材の供給サイドと需要サイドの連携の強化ということを図って、9年度ではおかげさまで土どめ工事とか、あるいは道路のスノーポール、牛舎などに平成8年度の4倍に当たる約3、000立方メートルの間伐材が使用される見込みとなったところである。
 平成10年度においては、国庫補助事業を新たに導入して、間伐材の新用途開発や土木用製品カタログの作成なり、あるいは間伐材利用定着のための講習会の開催などを行う間伐材利用緊急対策事業というものを創設したいと考えておる。また、国においては、自然を生かした川づくりの整備への間伐材の利用を推進するという観点から、豊かな河川環境の保全や整備を図る森をはぐくむ川づくりに取り組むこととしておる。土木部の関係課と連携を図りながら、この森をはぐくむ川づくりを推進する過程で間伐材の新たな利用についても進めてまいりたいと考えておる。
 今後とも、先ほど申し上げたネットワークを効果的に運用していくために、これまで以上に供給サイドと需要サイドの間の情報交換を緊密にするというようなことに10年度はさらに力を入れていきながら利用促進に努めてまいりたいと考えておる。

〇高橋委員 いずれにしても、林業に従事しておる方々は、少なくとも国土保全あるいは水源涵養あるいは環境保全に貢献されておるわけである。人工林は、植栽から伐期まではアカマツあるいはカラマツは30年、あるいはスギは50年と言われておるわけで、大変気の長い産業でもあるわけである。その間には、下刈りとか枝打ちなど、大変苦労されていろいろやられておるわけである。10数年たてば今度は伐期ということで、従事される方々の心情を考えると大変はかり知れないものがあろうかと思うわけである。そうしたことから、ぜひ間伐材を捨てることなく、100%利用されるようにひとつ頑張っていただきたい、このことを御要望申し上げて終わりたいと思う。

〇斉藤委員 三つぐらいに分けてお聞きする。
 第1は、林業水産部関係の公共事業の見直しについて、来年度予算における公共事業の占める比率、額、これは林業、水産業それぞれどうなっているであろうか。
 事務事業の見直しによって37件28億7、700万円の事業について廃止、縮減したとしているけれども、何をどう廃止、縮減したのか。その観点、根拠は何か示していただきたい。
 公共事業の見直しはどのように行われたのであろうか。
 第2、秋サケの消費拡大策について、来年度の事業はどのように拡充されるのであろうか。平成9年度はたしか60万食、全小中学校で実施された。私はこれは一層拡充する必要があると思うけれども、来年度の事業の内容について、その特徴でいいから示していただきたい。
 第3点、サケ・マスに関する輸入秩序の確立について、2月14日、山田町において守ろう育てよう日本の漁業、自治体労働者と漁業者の全国交流集会、これが全漁連、県漁連の後援を得て、地元町村の協賛を得て開催された。全国の代表者の発言は、共通してサケ・マスの無秩序な輸入制限を求める声であった。また、経営が成り立つ価格保証と後継者対策を求める声であった。サケ・マスの輸入実態、価格、そして漁獲高の推移、後継者の確保状況など、対策を含めて示していただきたい。
 昨年6月の県議会でサケ・マスに関する輸入秩序の確立について意見書が採択されたが、県として、どうこの立場で努力、取り組まれてきたのか。

〇小国林政課長 林業関係の平成10年度予算について私の方からお答えする。
 公共事業費の占める比率、その額についてであるが、一般会計の予算総額は298億8、100万円となっておる。そのうち公共事業費は201億5、000万円ということで、予算総額に占める公共事業費の割合は67・4%という数字になっておる。

〇武市漁政課長 続いて、水産業関係の平成10年度一般会計予算総額であるが、187億9、400万円で、そのうち公共事業費は134億4、200万円、予算総額に占める割合は71・5%となっておる。

〇中村林業水産部長 事務事業をどのように見直したのかという点であるが、本県の行財政システムを改革するための方策の一つとして導入された事務事業の評価システムに基づいて、必要性、重要性、効率性、緊急性など、可能な限りの評価指標を用いて公共事業を含む各事務事業を客観的に評価することにより見直しを行い、廃止、縮減が可能なものについてはこれを行ったところである。この結果、委員御指摘のとおり、林業関係については15事業、16億600万円、水産関係については22事業、12億7、100万円を廃止、縮減したものである。特に公共事業については、評価指標に基づいた評価を勘案の上、事業実施箇所に優先順位を付し、新規事業の採択や中止、事業費の配分などに反映させたところであり、例えばふるさと林道緊急整備事業4億1、700万円、治山事業3億3、100万円、沿岸漁場整備開発事業5億5、100万円、漁港局部改良事業2億600万円など17件、約25億1、000万円の廃止、縮減を図ったところである。

〇上村漁業振興課長 お尋ねの秋サケの消費拡大対策についてであるけれども、秋サケの消費拡大対策については、県としては、秋サケの消費のすそ野を広げることが何よりも大事だということから、これまで学校給食への利用拡大を中心として消費拡大に取り組んできたところである。平成10年度からは新たに秋さけ等消費定着化推進事業を起こし、秋サケの給食への定着化、これは今まで60万食であるけれども、80万食に広げていきたいと。そのほか、九州地区への販路拡大、あたかも県の福岡事務所が開設されるので、それに合わせて九州地区への販路拡大。それから、さらにイクラの品質向上、それから各種キャンペーン等を強化することにより消費の定着化を図ってまいりたいと考えておる。
 それから、サケ・マスに関する輸入秩序の確立であるが、サケ・マスの輸入については近年20万トン程度で推移しており、平成6年は過去最高の25万トンを記録したが、ここ数年は下降ぎみで、平成9年は約21万トンになっておる。
 一方、本県の秋サケの漁獲高と価格について見ると、平成8年は御存じのように7万トンと史上最高を記録したが、逆に価格がキロ当たり154円と最低を記録して、水揚げ金額は107億円にとどまっておる。平成9年度は、数量は前年の70%の5万トンであったが、価格は前年の180%、キロ当たり281円と上昇したために、水揚げ金額は前年より約30億円多い138億円となっておる。
 また、秋サケ漁業の従事者は、一般的に高齢化あるいは減少傾向にある。そういうことで、本県漁業の基幹魚種である秋サケ漁業の振興を図ることは、漁業の総生産の拡大あるいは漁業後継者の確保の点からも重要であることから、県としては、秋さけ等消費拡大推進協議会を中心として、より一層の秋サケの消費拡大に取り組んでまいりたいと考えておる。
 さらに、昨年6月議会で採択された意見書への対応についてであるけれども、意見書の趣旨に沿い、国内需給バランスに即した秩序ある輸入がなされるよう、統一要望など、機会あるごとに国に働きかけてきているところである。

〇斉藤委員 来年度予算でも林業で67・4%、水産業で71・5%を公共事業が占める。私は、これはやっぱりゆがみだと思う。今、本当に沿岸漁業も林業も大変深刻な危機に直面しているときに、その施策の中心が7割方公共事業というのは、私はやっぱり漁業者や林業者の本当の要望にこたえるものではないのではないかと思う。しかし、公共事業の見直し、事務事業の見直しを見ると、その他の部局と比べると私は林業水産部はよくやったと思っている。例えば農政部関係は、午後からの論議になるけれども、28件1億5、500万円で、ほとんど公共事業を見直さなかった。公共事業を見直したのは林水と土木である。私は、そういう点で、公共事業を見直したということは評価したい。しかし、それでも7割方公共事業偏重ということは、まだまだ見直す余地がある。
 私、この点で1点だけ聞きたい。公共工事コスト縮減計画がある。特に林業関係では、大規模林道についてはなぜ7メートルの幅員が必要なのかと、こういう問題提起があったはずである。漁業、林業の公共工事コスト縮減計画について、どういうふうに検討されたのか、大規模林道のことも含めてお示しいただきたい。

〇近藤森林土木課長 公共事業の見直しの中のコスト縮減で、確かに大規模林業圏の道路の幅員についての適用方針の見直しということでうたっておる。見直しというのは、イコールやめるという意味ではないので、見直しした結果、岩手県においては従来どおりでいいであろうという方針を国が出したので、私どももこれには賛成しておる。

〇小林漁港課長 水産関係のコスト縮減の実際の取り組みについて御説明する。
 漁港・漁村の事業についても設計手法の見直し等についていろいろ検討した。具体的には、既存コンクリートのブロックの流用とか、橋梁があって、その橋梁が大分悪いのであるけれども、それを壊してかけかえるというのではなくて、補強工事をするとか、あるいは一部−−新しい技術であるけれども−−比重の高いコンクリートを採用するとか、そういういろいろな検討をした。設計手法の見直しをしたところが14カ所ぐらいある。それからもう一つは、特に海の工事は作業船を使うわけであるけれども、この作業船を効率的に使えないかということで、その地域の発注時期を合わせて発注することによって効率のよい作業船を使用したと。いわゆる作業船の回航費の費用を節減したという箇所が10カ所ぐらいある。あわせて24カ所ほどのところでコスト縮減を図ったわけであるけれども、約4億円ぐらいのコスト縮減が図られたのではないかということで試算しているところである。

〇斉藤委員 次に、大規模林道川井住田線についてお聞きする。
 猛禽類生息状況調査報告書によると、今後も継続的に調査を実施し、林道周辺における希少猛禽類の生息特性を把握することが必要と考えられると、このように指摘されている。タイマグラ地区、横沢地区のクマタカの繁殖状況の確認調査、イヌワシ、オオタカ、ハイタカの飛翔確認調査が挙げられている。今後の調査スケジュールでは、4〜7月に毎月1回調査を実施し、8月以降の調査については営巣期の調査結果が出た時点で再度検討するとしている。繁殖が確認されれば引き続き工事をストップして調査が必要と考えるが、どうであろうか。
 クマタカの生息については、平成7年度、川井住田線クマゲラ生息確認調査業務委託調査報告書で、実は平成7年10月下旬調査時に確認されていた。この報告書にきちっと、約3年前に確認をされていた。本来ならこの時点でクマタカの生息確認調査を行うべきではなかったのか。
 タイマグラ沢は土石流危険溪流に指定されていたが、公団は知らずに工事を進めていた。驚くべきことである。1973年に災害地質地形調査を行ったと言うが、どういうメンバーでどういう調査をしたのか、その内容も、今その資料がないという異常な事態である。私は、土木に聞いてみた。土木の場合、道路建設事業の場合どうなのか。地形、地質の調査は当然必要だ。ボーリング・サンプリング調査で地滑りなどの危険性があれば対応しなければならない。資料がなくなるなどということは考えられない。土石流危険溪流地帯の対応は、迂回もしくは橋梁という対応が基本は考えられると。幅員についてはこう言っている。計画交通量の調査で決めるのであると。だから、今問題になっている奥産道の場合は、1日の計画交通量が500台未満で幅員4メートルなのである。あの早池峰の峰を越える大規模林道が何で7メートル必要なのか、私はその根拠を示していただきたい。

〇近藤森林土木課長 1番目の、繁殖が確認された場合、工事をストップして調査が必要と考えるがということであるが、これについては、公団は、大規模林道の実施に当たって、委員が言われる林野庁や環境庁のマニュアルに基づいて調査したけれども、貴重な鳥類の情報内容が具体的かつ信憑性があり、しかも繁殖の可能性が高い場合に該当しなかったので工事を中止せずに事業を継続してきたわけである。今後の工事については、当然県としても、やはり林野庁とか環境庁のマニュアルに基づいた対処を公団に要請しておる。
 2番目の、クマタカの生息が平成7年10月に確認されたが、この時点で生息の確認を行うべきではなかったのかということであるが、この時点で確かにクマタカが1度確認されたが、工事箇所周辺での飛来あるいは営巣情報がなくて、マニュアルにある繁殖の可能性が高いと判定される場合の判定基準に該当しなかったので調査をしなかったものと聞いておる。
 それから、タイマグラの土石流危険溪流の指定と1973年の調査あるいはその後再調査すべきではないかということであるが、委員指摘のとおり、いずれ20年以上も前の資料で、これについては破棄されておって、どのような内容のものであったか不明である。公団においては、工事の実施に当たり、当然災害の未然防止に十分配慮した設計、施工を行うこととされているので、今後ともこのような適切な工事が実施されるものと我々は確認しておる。

〇斉藤委員 クマタカについては、今回初めて調査したのである。調査もしないで、その繁殖の確認情報がマニュアルに当たらないなどというのは出てこないであろう。本来なら平成7年に確認されているわけだから、わざわざ報告書に記述されているのである。このときに私は調査をされたら、もっと早く工事をストップして本格的な調査ができたと思う。そして、私は、あなたが見せないというから国会を通して猛禽類の生息状況調査をもらった。この調査報告でそういうふうに書いているわけである。いわば繁殖の可能性があるから4〜7月に調査するのである。そして、その結果を見て8月の調査スケジュールは決めると。だから、これを読めば、繁殖が確認されたら1年半にわたって調査をするというのが環境庁マニュアルなのである。私はそのことを聞いたのである。初めて調査してこういうことになった。かなりの確認がされたということである。そして、そのときにはイヌワシもオオタカもハイタカも確認されたのである。これから本格的な調査が始まるのである。
 そして、重要なことは、工事について、私は土木の場合のことを言った。地質、地形、災害の調査をやったと言うが、資料がないということでは調査に値するのか。7メートル幅員の山岳ハイウエー道路である。私はそういうのは再調査すべきだと思う。ましてや、先ほど私が指摘したように、タイマグラ沢は土石流危険溪流である。知らないでやって、資料もなしでやってきたと。私は二重の意味でこれは環境破壊だ、自然破壊だと思う。
 部長、こういう状況でもこのままあなたは進めるつもりか。

〇中村林業水産部長 大規模林道については、北上山系の豊富な森林資源を活用して、林業を基軸とした産業の振興なり、あるいは当該地域の定住環境の改善を図る上では大変大事な林道だと考えている。したがって、これまで森林開発公団においては、林野庁、環境庁マニュアルに基づいて調査をしながら工事を継続してきておるわけで、県としても、今後ともそのような方針で推進していただくように要請をしてまいりたいと考えておる。

〇斉藤委員 部長は私の質問に答えていない。言いたいことだけ言っている。私はそんなことは全然聞いていない。二重の環境破壊、自然破壊について、部長はどう対応するのかと、私はそのことを聞いている。そして、私はやめろと言ってないのだから。地質、地形、災害の調査資料がない。土石流危険溪流の上に道路を通すというときに、このままでやっていいのかと私は常識的に聞いているのである。異常なことではないのか。7メートル幅員の山岳ハイウエー道路をやるというのに、こんなずさんなやり方でいいのか。私は、横沢川からあの峰越しまで行った。私は専門家ではないけれども、あそこの土質はぼろぼろである。私は、本当に専門家が調査しなければだめだと思っている。部長、私の聞いたことに答えていただきたい。

〇中村林業水産部長 先ほど担当課長から申し上げたように、その資料については20年以上前のもので、ないわけである。公団においては、工事の実行に当たっては、災害の未然防止に十分意を用いながら工事を継続していただいておると認識しておる。
 また、土石流の危険溪流の中でやっているということについては、この土石流危険溪流については、県が土石流による災害から人命を守るための警戒避難態勢を徹底させるということを目的として箇所づけをしておるわけで、この箇所づけは直接工事を規制するものではないわけであるから、森林開発公団がこのことを承知していなかったことについては特に問題ではないと考えておるし、先ほど申し上げたように、公団においては、工事に当たっては災害の未然防止に十分留意しながら工事を執行しておると考えておる。

〇折居委員長 ほかに質疑はないか。

〇伊藤委員 時間が迫って失礼であるが、また、当該委員でもあるけれども、一つだけお願いする。
 平成10年度は、増田知事は環境創造元年と位置づけておられるわけであるが、そういう観点からこの林業水産部の予算を見ると、195ページの例えば3目漁場保全対策費あるいは重要貝類毒化対策費、貝毒監視等事業費あるいは赤潮・貝毒情報ネットワークシステム利用試験事業費等、言ってみれば二千二、三百万円しかない。しかもこれはずっと継続をしてきている事業だと思う。今、大船渡湾ではヘドロの除去をやっているけれども、宮古湾内においても相当ヘドロが堆積をしているのではないかという状況にあると思っておる。もうすぐ端午の節句が参るけれども、端午の節句の風物詩として、宮古地方ではホッキガイを突いて、それをとって近隣に配る、こういうことがずっとあったのであるが、このところほとんどとれないと言ってもいい状況にある。あるいはアサリとりというのも、あらかじめばらまいてからではないといないような状況にあるから、相当これは県内の湾のいろいろなところでヘドロの堆積があるだろうと思う。そのヘドロの中には、先日も出たけれども、船底塗料のすずの部分が堆積をしているかもしれない。あるいは、宮古湾内においては、かつてラサ工業から排出をされたというカドミウムもある。そういった部分を的確に現在の環境がどういうふうにあるのかという予算を盛り込んで、まず、現状調査をして、それをどのように維持発展をさせていくか、あるいは保護していくか、そういう部分の予算が当然盛り込まれてしかるべきだったと思うわけであるが、私が見るところにはない、このように思うが、こういった部分についてどのようにお考えなのか。
 そしてまた、ぜひともそういう部分を盛り込んでいただいて、先ほど伊沢委員からも出たけれども、守り育てる漁業という部分には、ぜひとも海を守るという、あるいは湾内を清浄化をしていく部分が絶対これは必要だと思うので、それについてのお考えをお示しいただきたい。

〇上村漁業振興課長 確かに一つの湾を見ると、その湾を取り巻く環境はさまざまなものがある。いろいろな汚染物質が常に海域を汚染する状況にあって、海域にとっては、あるいは水産生物にとっては危害を受ける状況にある。そういったことから、水産側としては、新鮮で安全な食品を提供するという立場からいろいろな調査をやっておる。それは、県でやる場合と国でやる場合とがある。例えばTBTOとかダイオキシンとか、そういった全国的なレベルのものについては国がやるとか、あるいは地域性の問題については水産技術センターがやるといったようになっておる。確かに予算書にはそういったことは見えないけれども、例えば貝毒の問題等についても、間接的には有機汚染が原因である場合があるので、そういった原因については水産技術センターが調査しているし、あるいは過去においてはカドミの問題とかすずの問題とか、そういった重金属については国の委託を受けながら県がやってきた経緯があるので、決して予算書には見えてないという話はないと考えるので、今後とも十分気をつけてやっていきたいと思う。

〇折居委員長 ほかに質疑はないか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇折居委員長 質疑がないようなので、これで林業水産部関係の質疑を終わる。
 この際、昼食のため1時10分まで休憩する。
   午後0時6分 休 憩
 
   午後1時13分 再 開

〇佐々木副委員長 休憩前に引き続き会議を開く。
 農政部長から農政部関係の説明を求める。

〇中村農政部長 農政部関係の平成10年度当初予算の内容等について御説明申し上げる。
 予算の説明に入る前に、本年度の農業概要と10年度における農業施策の推進に当たっての基本的な考え方について御説明申し上げる。
 まず、平成9年度の作柄については、春先の天候不順が心配されたが、農家の適時適切な管理に加え、その後、6月中旬からの連続した好天により持ち直し、また、大きな気象災害もなく、米は作況指数105のやや良となり、園芸、畜産についてもおおむね順調な生産が確保されたところである。
 また、昨年は第7回全国和牛能力共進会が本県で開催され、本県出品牛が内閣総理大臣賞を受賞するなど、いわて牛の次世代を担う優良基礎牛としての育成基盤の強化が図られたところである。
 さて、最近の農業をめぐる情勢は、農産物の輸入の増大や消費者ニーズの多様化に伴い食料需給が変化しており、米価の低落や産地間競争の激化、さらには、地域農業の担い手不足など大きな転換期を迎えておる。このため、国においては、米をめぐる情勢を踏まえ新たな米政策を打ち出したところであり、また、新たな基本法の制定を含む農政全般の改革についての検討が進められているところである。
 県としては、こうした状況に対処し、新時代に向けた県農業・農村を構築していくため、平成10年度においては、転作田への園芸作物など高収益作物の導入拡大による水田農業の早期確立を初めとし、新規就農者や認定農業者への支援などによる本県農業を担うたくましい農業者の育成、確保、さらには、新たに設置する農産物流通課を核とした米、園芸、畜産が一体となった、県産農産物の総合的なマーケティング戦略の展開や、庁内関係部局との連携による中山間地域の活性化などに、重点的に取り組んでまいりたいと考えておる。特に、10年度は、農政部の組織再編実施の初年度に当たることから、これを契機として、生産と消費両面の現場をしっかり踏まえて、生産者等の意見、要望にも真摯に耳を傾けながら、新体制にふさわしい施策の推進と農業・農村の振興に努めてまいりたいと考えておる。
 それでは、ただいま議題となっておる農政部関係の各議案について御説明申し上げる。
 まず、議案第4号平成10年度岩手県一般会計予算についてであるが、お手元の議案その2の7ページをお開き願う。6款農林水産業費1項農業費、2項畜産業費、3項農地費と、9ページの11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費の一部を合わせた総額909億8、116万4、000円が農政部の所管する一般会計予算である。これは、前年度当初予算に比較して予算額で95億8、000万円余の減、率にして9・5%の減となっておる。また、県の一般会計予算に占める割合は10・8%となるものである。
 その内容については、便宜、予算に関する説明書により御説明申し上げる。なお、金額の読み上げは省略させていただいて、主な事業を中心に御説明申し上げるので、御了承願う。
 予算に関する説明書の155ページをお開き願う。6款農林水産業費1項農業費1目農業総務費であるが、まず農業委員会運営費補助は、市町村等農業委員会の管理運営費に対し、助成しようとするものである。次に、国土調査事業費は、宮古市ほか24市町村が、国土調査法に基づいて行う地籍調査等の実施に要する経費に対し、助成しようとするものなどである。次に、2目農業金融対策費であるが、まず農業近代化資金融通対策費のうち、次のページに参って農業近代化資金利子補給は、農業者等の資本装備を充実し、農業経営の近代化を促進するため、資金を貸し付けた融資機関に対し利子補給をしようとするものである。次に、稲作経営安定化資金利子補給は、新たに県単独資金として、米価低落に伴う大規模稲作農家等の経営安定を図るため、資金を貸し付けた融資機関に対し、利子補給をしようとするものである。次に、農業経営改善促進資金貸付金は、認定農業者の経営改善を図るため、資金を貸し付けた融資機関に対し、岩手県農業信用基金協会が、その原資として預託する資金の一部を無利子で貸し付けしようとするものである。次に、3目農業構造改善対策費であるが、まず地域農業基盤確立農業構造改善事業費は、経営感覚にすぐれた効率的かつ安定的な望ましい経営体を早期に育成支援するため、経営の基礎的要件である土地基盤の整備や経営利活用施設の導入等に対し、助成しようとするもので、一戸町奥中山地区ほか20地区を予定しておる。次に、いわてグリーン・ツーリズム促進事業費は、農山漁村地域、特にも、中山間地域の活性化を図る方策の一つとして、グリーン・ツーリズムを推進するため、市町村の緊急構想策定等に対し、助成しようとするものであり、雫石町ほか3市町を予定しておる。次に、4目農業改良普及費であるが、まず、農業改良普及センター管理運営費は、県内12の農業改良普及センターの人件費等の管理運営に要する経費である。次のページに参って、農業入門塾運営費は、新規就農希望者の掘り起こしを図るため、農業の基礎的な知識、技術の研修を実施しようとするものである。次に、5目農業振興費であるが、まず山村等振興対策事業費は、山村における農林業の振興、安定した就業機会の確保や所得の向上を図るため、生活環境の整備及び山村地域社会の形成を促進しようとするもので、江刺市伊手地区ほか33地区を予定しているものである。次に、160ページに参って、いわての大地で育まれた農産物販売戦略展開事業費は、純情産地いわてのイメージアップ、及び総合食糧供給基地としての地位を一層高めるため、米、園芸、畜産が一体となった、総合的なマーケティング調査や人材の育成等を図ろうとするものである。次に、6目農作物対策費であるが、県単独緊急生産調整推進対策費のうち、まず担い手育成生産調整支援事業費補助は、生産調整の実施に当たり、稲作担い手を育成する観点に立って、地域ぐるみで調整活動を行い、かつ転作営農を実施する地域に対し、農業協同組合が助成する経費に対し、助成しようとするものである。次の転作営農高度化条件整備事業費補助は、転作田の高度利用及び園芸主業型農家の経営の高度化を図るため、新たに導入する転作作物に必要な条件整備に要する経費に対し、助成しようとするもので、西根町ほか7市町を予定しておる。次に、有機農産物等認証事業費は、有機農産物等の生産及び流通の実態調査を実施するとともに、有機農産物等の認証制度の導入について検討し、取り組もうとするものである。次に、7目畑作振興費であるが、162ページに参って、野菜産地総合整備対策事業費は、生産者の高齢化、担い手不足、輸入野菜の増加等に対応した望ましい経営体を育成し、野菜の安定的な供給を確保するため、共同利用施設の整備、高付加価値型農業の推進など、野菜産地力強化のための総合的な整備に対し、助成しようとするもので、石鳥谷町ほか5市町を予定しておる。次に、新時代果樹農業総合対策事業費は、リンゴについて、高品質、省力、低コスト生産を基本とする新産地の育成及び既存産地の園地改良、改植等を推進し、収益性が高く、永続性のある果樹産地の形成を図るため、新時代に向けた総合的な果樹振興対策に対し、助成しようとするものなどで、滝沢村ほか26市町村を予定しておる。次に、8目北上奥羽山系開発費の広域農業開発事業償還金は、平成5年度末で完了した、北上・奥羽山系開発に係る建設費用の地元負担金等を農用地整備公団に償還するもので、葛巻地区ほか9地区の償還金である。次に、164ページに参って、9目植物防疫費は、病害虫防除指導、発生予察及び農薬安全指導等の防疫事業に要する経費である。次に、10目農業協同組合指導費の農協系統組織再編促進事業費は、農協系統組織が取り組んでいる組織再編を促進するとともに、農協の経営の健全化を図ろうとするものである。次に、11目農業共済団体指導費の農業共済団体等事務費補助は、岩手県農業共済組合連合会及び県内の9共済組合の運営費に対し、助成しようとするものである。次に、12目食糧管理費の米穀集荷対策費は、米の集荷を円滑に実施するため、計画出荷基準数量及び政府買い入れ基準数量の設定に要する経費に対し、助成しようとするものなどである。次に、166ページに参って、13目農業研究センター費の高生産性農業新技術開発促進研究費は、体質が強く、収益性の高い農業を早期に確立するため、高度な技術開発研究を行おうとするものである。次の14目農業大学校費は、農業大学校の管理運営、施設整備に要する経費である。次に、15目蚕業費であるが、次のページに参って、養蚕ブランド産地活性化対策事業費は、生産者及び製糸業者が一体となって良質繭の生産を行うブランド産地の育成や、養蚕資源を総合的に活用した複合経営の高度化を総合的に展開し、中山間地域の活性化及び地場産業の育成を図ろうとするものである。
 次に、2項畜産業費1目畜産総務費であるが、まず管理運営費は、畜産関係職員の人件費等である。次の畜産団体育成対策費のうち、岩手県肉牛生産公社経営改善資金貸付金は、同公社の経営の円滑化を図るため、無利子資金を貸し付けしようとするものである。次に、2目畜産振興費であるが、まず、畜産再編総合対策事業費のうち、次のページに参って、地域畜産再編対策推進事業費補助は、生産性の高い畜産経営の実現を図るため、畜産農家が構成する生産集団が、地域ぐるみで生産コストの低減や生産条件の整備に要する経費に対し助成しようとするもので、花巻市ほか26市町村を予定しておる。次に、家畜畜産物価格安定対策事業費は、肉用畜産経営の安定的発展及び食肉の安定供給に資するため、社団法人岩手県畜産物価格安定基金協会が行う生産者補給金交付準備金の積み立て等に対し、助成しようとするものである。次に、172ページに参って、3目草地対策費は、畜産関係の公共事業がその主なものであるが、畜産基盤再編総合整備事業費は、効率的な経営体の重点的な育成や、これを核とした畜産主産地の整備を行うため、草地整備改良等の基盤整備及び畜舎等の施設整備に要する経費に対し、助成しようとするもので、上閉伊地区ほか3地区を予定しておる。次に、県営畜産経営環境整備事業費は、畜産経営に起因する水質汚濁、悪臭等の環境汚染の発生を未然に防止し、畜産経営の安定を図ろうとするもので、東磐井地区ほか4地区を予定しておる。次に、4目家畜保健衛生費は、家畜保健衛生所の管理運営や家畜伝染病予防などに要する経費である。次に、5目農業研究センター費であるが、管理運営費は、畜産研究所の人件費等であり、施設整備費は、畜産研究所の本館建設等の施設整備に要する経費である。次に、174ページに参って、6目牧野費は、種山牧野事務所の管理運営に要する経費である。
 次に、176ページに参って、3項農地費1目農地総務費は、農地関係職員の人件費など管理運営に要する経費である。次に、2目土地改良費から180ページの4目開墾建設事業費までは、農業農村整備の公共事業が主なものである。かんがい排水事業費は、岩手町一方井地区ほか7地区、農道整備事業費は、広域農道で、二戸地区ほか8地区、一般農道で、釜石市和山地区ほか26地区、ほ場整備事業費は、遠野市綾織地区ほか49地区、中山間地域総合整備事業費は、一関厳美地区ほか35地区、農村総合整備事業費は、金ヶ崎町金ヶ崎地区ほか44地区、農業集落排水事業費は、陸前高田市下矢作地区ほか30地区、ふるさと農道緊急整備事業費は、北上市田合田地区ほか29地区を予定しておる。次に、179ページに参って、3目農地防災事業費の防災ダム事業費は、安代町の荒沢2号ダムほか1ダムを予定しておる。次に、180ページに参って、4目開墾建設事業費の開拓地整備事業費は、大野村帯島地区ほか26地区を予定しておる。土地改良関係のこれらの公共事業の総額は548億1、000万円余となるものである。次に、5目農地調整費の農地保有合理化促進費は、農業経営の規模拡大、農地の集団化や農地保全の合理化を促進するため、社団法人岩手県農地管理開発公社等が行う農用地等の売買、交換のほか、土地利用型大規模農業経営育成助成金の交付及び機械の借入費等に対し、助成しようとするものである。
 次に、ページを飛んでいただいて264ページをお開き願う。11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費1目農地及び農業用施設災害復旧費は、過年災及び現年災の災害復旧工事に要する経費を見込んだものである。
 次に、債務負担行為について御説明申し上げる。
 議案その2に戻っていただいて、12ページをお開き願う。第2表債務負担行為の表中、11から、次のページに参って38までの28件が農政部の所管に係るものである。まず、11は、市中金融機関が、社団法人岩手県農地管理開発公社に融通した、農地の買い入れ資金等について、元利金の償還がない場合の不足額の損失補償である。12の農業近代化資金の融通に伴う利子補給から、21の土地改良負担金償還平準化事業による資金の融通に伴う利子補給補助までは、各種資金の融通に伴う利子補給等である。22のかんがい排水事業から、次のページに参って、38の農地環境整備事業までは平成10年度から翌年度以降にわたって施工する工事等であり、いずれも、それぞれ期間及び限度額を定めて、債務を負担しようとするものである。
 次に、24ページをお開き願う。議案第6号平成10年度岩手県農業改良資金特別会計予算についてである。当該予算の総額は、歳入歳出それぞれ16億1、451万8、000円である。その主なものについて御説明申し上げる。第1表歳入歳出予算のうち、歳入の第1款繰入金は一般会計からの繰入金である。
 次に、3款諸収入は、貸付金に係る償還金等である。
 次に、4款県債は、貸付金の原資の一部になるものである。
 次に、26ページをお開き願う。歳出であるが、1款農業改良資金貸付費は、農業経営の安定や生産力の増強を図るため、一般資金、畜産振興資金、経営規模拡大資金、特定地域新部門導入資金について、貸付限度額、期間を定めて無利子で貸し付けしようとするものである。
 次に、3款就農支援資金貸付費は、財団法人岩手県農業担い手育成基金が、新規に就農しようとする青年等に、技術、経営研修や就農の準備に必要な資金を融通する原資に対し、無利子で貸し付けしようとするものである。
 次に、第2表地方債であるが、これは、ただいま御説明した就農支援資金貸付費に充当しようとするものである。
 次に、64ページをお開き願う。議案第20号農業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてであるが、これは、県営で実施するかんがい排水事業、圃場整備事業など、農業関係の建設事業に要する経費の一部を、受益市町村に負担させようとするものである。
 次に、議案その3の17ページをお開き願う。議案第34号家畜保健衛生所使用料等条例の一部を改正する条例についてであるが、これは、家畜伝染病予防法の一部改正に基づき、手数料の額を改正するとともに、あわせて、所要の整備をしようとするものである。
 次に、19ページをお開き願う。議案第36号、繭検定等手数料条例の一部を改正する条例についてであるが、これは、平成10年4月1日から蚕糸業法が廃止され、繭検定が任意化されることに伴い、任意化への円滑な移行を図るため、当面、岩手県農業研究センターが依頼に応じて繭の品質評価を行うこととし、その手数料の額を定めるなど、所要の整備をしようとするものである。
 次に、20ページをお開き願う。議案第37号家畜商講習手数料条例の一部を改正する条例についてであるが、これは、家畜商講習の手数料の額を改正しようとするものである。
 以上で農政部関係の議案の説明を終わらせていただく。よろしく御審議くださるようお願い申し上げる。

〇佐々木副委員長 ただいまの説明に対し質疑はないか。たくさんの方が手を挙げていただいた。最近のテレビニュースは前略方式でやるそうであって、5分間のニュースも5本が10本になったと言われておる。ひとつ議事運営には委員の皆様、執行部の皆様よろしく御協力をお願いする。

〇藤原(良)委員 まずもって、岩手県の発展は農業の発展が極めて重要であろうと思っておって、日ごろの取り組み姿勢に対して敬意を表したいと思っておる。私は委員長の御指導のもとで、1点お聞きする。その1点の中身について項目ごとに御質問するので、どうぞひとつ簡略に、簡潔にお答えいただきたいと思う。
 私は、農産物流通課の設置についてお尋ねする。大変的を射た政策だと思っておる。農業の発展はいいものをつくると同時に、流通をきちんと整備していくということが双璧だろうと思う。これはすべて1次産業に通ずることである。そういう意味で基幹産業である農政部の中に農産物流通課を設置するということは、非常に岩手県のこの政策が的を射たと思っておって高く評価したいと思う。そこでお尋ねをする。まずもって4点。
 設置をする目的、業務内容はどういうことかということ。
 予算措置をされている内容についてお示しをいただきたいということ。
 それから、農産物の流通をどのように推進をしていこうとされておるのか。その点もお尋ねする。
 それから、さきにもこれは商工労働観光部でも質問したけれども、岩手ブランド推進室の業務との関連について。
 この4点をまずもってお尋ねをしたいと思う。

〇中村農政部長 平成10年度から新設される農産物流通課について、その設置目的とその内容についてであるが、まず、近年の多様化する消費者志向あるいは市場流通など、流通環境が大きく変化してきておる中で、農業を産業としてとらえて農業を振興していくことを基本として、品質のすぐれた農産物の安定生産はもとよりであるが、流通改善によるコストの縮減などによって有利販売に結びつけるこの流通対策が一層重要となってきているところである。したがって、その対策の強化を目的に設置しようとするものである。これまで農蚕課における米、あるいは畑作振興課における青果物、畜政課における畜産物、あるいは農業経済課における卸売市場関係業務など、部内関係課においてそれぞれ取り組んできた農産物流通関連対策事務について一本化することによって、総合的、効果的な業務の推進をまず図っていきたいと考えておる。
 次に、推進の考え方であるが、首都圏等の大消費地への大量流通を基本として、大型の量販店を対象とした予約取引、あるいは県内消費向けの地場流通のほか、産直、宅配など多様な販売促進の仕組みづくりを行うとともに、いわて純情米あるいは純情野菜、いわて牛などの各種フェア、キャンペーンの協調開催によって、相乗効果をもたらす普及宣伝活動、あるいは消費者ニーズを先取りしたマーケティングの強化を図ろうとしておる。また、これらとあわせて、本県の独自性のある有機農産物の流通、あるいは付加価値の高い地域特産づくりの促進、あるいは流通に携わる人材の育成に努めながら、生産対策と一体となった農産物流通対策の総合的な展開を図って、県産農産物の評価の向上と一層の有利販売に努めてまいりたいと、あわせて人材の養成についても今後においても大手量販店への派遣やあるいは流通関係への派遣、あるいは研修の拡充強化もしてまいりたいと考えておる。
 次に、予算措置の状況であるが、農産物の流通対策推進方針のもとに人材の育成、あるいは流通業界とのネットワークの形成を図る、いわての大地で育まれた農産物販売戦略展開事業、あるいは有機農産物への関心の高まりに対応した有機農産物等認証事業、あるいはいわて純情米マーケティング戦略展開事業、いわて牛消費拡大促進事業など、約7億1、000万円余の予算措置を御提案申し上げているところである。
 また、農産物流通課とブランド推進室の業務の関連であるが、農産物流通課については、農家所得の総合的向上を図るということをまず基本として、1次産品である農畜産物そのものの流通販売に加えて、付加価値の高い農畜産物加工の生産販売を促進するなどの業務を所管していきたいと思っておるし、岩手ブランド推進室では、農林水産物及びその加工品のほかに木工、民芸品など、本県を代表する特産品全体について岩手ブランドとしての総合的な販路拡大業務を所管しているものである。したがって、農産物流通課と岩手ブランド推進室とは、こうした枠組みの中で本県産業の総合的発展を図る共通の視点のもとに、相互に連携しながら取り組んでまいりたいと考えておる。

〇藤原(良)委員 よくわかった。いずれ今申し上げたように、流通の体制整備が非常にこれから大きなウエートを占めていくということは申し上げるまでもないので、今までのブランド推進室とあわせて、それぞれ連携をして流通の体制整備を改めて強く我々も協力してやっていきたいと思うので、よろしく取り組みをお願い申し上げたいと思う。
 そこで、もう1点お尋ねをするけれども、DFCというのを御存じだと思う。ドリーミングファーマーズクラブの略である。岩手県高品質農畜水産流通協議会という、民間で設立をされて、昨年の8月1日の岩手日報に同協議会の設立総会の記事が載った。この中身は、県内企業が25社と、農業、畜産の生産者150名でつくられておって、県内ではもちろんであるけれども、日本でも非常に珍しい協議会である。この目的が、このメンバーで高品質な農畜水産物の生産流通を強力に推進をしていこうと、そして消費者の健康向上に寄与する、いわゆる地球的環境保全に貢献するという目的で設立をされたと伺っておる。そして、現在は県内のスーパー、東京圏の数店舗のスーパーにこのDFCブランドの米とか野菜等が陳列され販売されていると。民間でブランドを志向していこうと、流通を強化していこうというような目的で民間の動きがあるということは非常に喜ばしい限りである。私は、今回の農産物流通課の設立に当たって、大いに逆に生かして、流通を持っている民間企業等が25社集まってつくられており、役所としても私はこういうのを大いに活用していってもいいのだと思う。そういうこと等を含めて、農産物流通課の設置とあわせてこのDFCの行動についての御見解と、あわせて取り組み姿勢についてまず御見解をお聞きしておきたいと思う。

〇中村農政部長 ただいまお尋ねの民間の協議においてDFCであるが、生産者を初めとして流通企業、あるいは販売業者等と連携して地域の特色のある農産物を生産し、差別化商品として売り出しているということで、このことについては我々としてもそういう方向で県の農畜産物をやろうというように考えておることから、有利販売を進める上で大変有効な手段であるというように考えておるし、また、このような独自性のある取り組みを通じて関係農家の経営安定、あるいは地域農業の振興につながるようにということで、そうした職員の開発等についてもこの試験研究機関の研究成果の活用もしていただきながら、大いに技術の支援をしてまいりたいと考えておる。

〇菅原委員 1点だけお伺いをする。まず、農政部の皆様方、御苦労さまである。中村部長、長い間の御勤務、大変御苦労さまである。
 4月1日から家畜保健衛生所が再編されるわけである。盛岡には宮古の保健衛生所が吸収されるわけである。それから、水沢には花巻、一関、遠野の保健衛生所が入るわけである。盛岡の保健衛生所の管轄市町村は18市町村、水沢は30市町村を管轄すると、こういうことになるわけであるが、特にこの統合によって盛岡あるいはまた水沢家畜保健衛生所の庁舎のスペースがこのままでいいのかと、こういう問題である。特に水沢の場合は本務地勤務の職員数が3倍になるわけである。水沢の保健衛生所、私知っておるが、あの建物にとても入らない。そうすると本来の目的遂行のために業務ができないのではないかと、そういう心配がそれぞれの地域にあるようである。これの対策をお伺いする。

〇中村農政部長 水沢、盛岡のこの施設の整備の対策ということであるが、それぞれ盛岡については現在の2課3係体制の22名が、3課7係体制の32名になるし、水沢については現在の2係、職員数6名が、2課5係23名というように大幅にふえるものである。施設等の問題点については、ただいま委員からお話があったとおり、非常に狭隘になってきておるということで、まず当面、会議室あるいは図書室等を活用して業務を執行するということにしておるが、内容的には県民サービスに支障を来すことのないように対応してまいりたいと考えておる。今後については、家畜保健衛生所が広域的エリアを担当するというこの再編の趣旨に沿って、高度な知識、あるいは技術が生かされる総合的な指導体制のもとで、名実ともに地域家畜衛生のセンターとして機能を担っていくように、早急に新しい庁舎の整備について検討したいと考えておる。

〇千葉(伝)委員 家畜保健衛生所の再編整備に関連してお伺いをする。
 先ほど菅原委員の方の質問には、今の農政部長の御答弁は、高度の知識とか技術が生かされた総合指導を行うためには、今後、建物そのものが狭い、それから老朽化しているということで、早急な整備が必要だということなわけであるけれども、もうちょっとそこを具体的に、今後の庁舎整備において今の場所でいいのかどうかもあるのであろうし、具体的な場所をどこにお考えなのかをまず1点お伺いする。
 あわせて、先ほどは統合された家保の体制なり人的な対応、これは出たわけであるけれども、いわゆる統合になって廃止される地域というのは出てくる。ここの問題については前からいろいろそういったところの配慮というか、対応をどう進めるかということも議論があったところである。そういったことから、そういったその統合される地域の家畜防疫というか、緊急防疫対応とかそういったことも出てまいるかと思う。そういったことも含めて、その地域に対しての獣医師の配置はどうなっているであろうか。
 この2点をお伺いする。

〇中村農政部長 まず、建設場所についてであるが、再編によって広域化した管轄区域の、できるだけ全域に適切に対応できる位置ということなどの選定条件を踏まえて、現在、盛岡、水沢家畜保健衛生所ともに現在地を中心としながら、例えば、水沢については、御案内のとおり敷地も狭くなってきておるし、建物も現状ではふやすことができないということもあるから、ちょっとその辺、現在地を中心にしながら用地が取得できるものなのかどうか、そういったことにも配慮して検討をしてまいりたいというように考えておる。市の方からも若干は御紹介、内々いただいている分もあるようであるけれども、なかなか適当な場所もないようであるから、今後そういったことを中心としながら関係の部とも相談しながら進めていきたいと思う。
 それから、統合される地域の緊急防疫対応を含めた獣医師の配置ということであるが、当面、本所から離れておる一関、宮古のそれぞれ地方振興局の農政事務部内に新たに畜産衛生課を設置して、一関には2名、宮古には3名の獣医師の配置をするなど、家畜伝染病の発生時の緊急防疫対応に万全を期してまいりたいと、その他のところについては現在獣医師が配置されているところもあるし、全体の関係で配置されていないところもあるわけであるが、その他については現状の中でそういった体制にスムーズに対応できるようにして努めてまいりたいと考えておる。

〇千葉(伝)委員 家畜保健衛生所の水沢の分については、やっぱり狭いということは私も知っているつもりである。周辺に田んぼ等がたしかあるので、そこの所有者はもちろんであるが、水沢市にもそういった体制を早くつくってもらうためには、県は取得の方でこれはそうであるが、やっぱり地域からの合意をきちっと早く得て早急に詰めていただきたいと思う。
 獣医師の配置等については、やっぱり何らかの、万一発生したというような場合もあるので、ぜひその分はよろしくお願いしたいと思う。
 最後に一言、中村農政部長には3月で御勇退と聞いておる。今までの農業振興にさまざま御尽力いただいたことに、私からも改めて感謝を申し上げて終わる。

〇菊池(雄)委員 圃場整備と北上山系二つについてお伺いする。
 平成9年度の県営及び土地改良区で行っておる圃場整備事業は、44地区で928ヘクタール、事業費は148億余円である。計画では6、445ヘクタール、計画事業費は951億円と、これは平成9年度の農政部関係の一般会計の予算額、これは最終補正も含めるが、1、450億円に対し建設事業費、いわゆる公共事業が901億円で、農政部予算に対するシェアは78・9%、非常に高い水準である。この公共事業に対し圃場整備事業は18・3%という高い水準である。これはガット・ウルグアイ・ラウンド合意対策以降、そしてバブル崩壊以降の経済対策の大型補正が始まってから非常に高くなってきているわけである。ところで、一つは、この圃場整備によって岩手の農業、農家は経済的に、経営的にどういうふうになるだろうか。基本的な考え方を伺いたいと思う。
 2番目は、今言ったように事業費が偏在していると、2番、3番、4番、2番目は集落排水事業、次は農道整備事業、中山間地域総合整備事業が7%台であるけれども、今言ったように18・3%というように非常に高いのである。むしろ私は中山間地域総合整備事業などのような事業をやはりもっとやるべきではないかと、そういうふうに思うのであるが、いかがであるか。
 それから、この岩手の計画面積、これは岩手の水田面積9万5、000ヘクタールに対してわずか7%以下という数字であるが、今後、圃場整備についてはどういう考え方を持って対処するのか、これをまずお伺いする。

〇高橋農地建設課長 圃場整備の予算等についてお答えを申し上げる。
 まず、農家の経営とかそれから今後の大区画の7%どうなのかというお尋ねであるが、まず圃場整備事業は、水田の大区画化によって米の生産費の低減や労働時間の短縮など、低コスト生産、あるいは排水施設の整備によって転作の団地化、それからさらに、農地の利用集積による担い手の育成など、効率的な水田農業を確立する上では極めて重要な事業だと考えておる。それで、岩手県においては、水田の整備率で申し上げると、東北の平均が58%であるが、岩手県は本年度の整備も全部含めても53%台で、東北では5番目の整備水準だということで、今後の水田営農を考えた場合にはやはり圃場整備を推進しながら、集団的な転作とか、それから農地の流動化、担い手育成などを図っていかなければならないということを考えている。
 それで、事業費は確かに大きいわけであるが、実施した事例で申し上げると、かなり生産コストも下がっておる。例えば、これは前沢町の大桜地区の例で申し上げると、県平均の生産費が16万円に対して10万1、000円ぐらいの生産費であるし、労働時間にすると、同じく大桜で申すと、県平均が10アール当たりの労働時間が44時間に対して20・6時間、このようにかなりの低コスト生産に結びついているのではないかと思っておる。
 それから、大区画の7%という数字であるが、いずれこれは新いわて農業確立計画の中でも定めておるわけであるが、現在の圃場整備は30アール区画と1ヘクタール区画と、これを組み合わせたような格好でやっておって、大体1ヘクタール区画にできるのは7%程度のところだと認識しておる。無理に大きくするといろんな勾配との関係で工事費も割高になるので、そうした地形などを考慮しながらやっておるところである。

〇菊池(雄)委員 既に第2次大戦後10アールとか30アールなどといった圃場整備が行われ、区画整理とか農道とかかんがい排水路は一定の整備が図られている地帯に、さらに規模拡大をした圃場整備事業が行われている。つまり、今度は2回目の圃場整備だといったようなことで、前の借金も払えないのにというような話もあるわけである。大型の圃場整備したからといって私は稲作が飛躍的に増収するなどということは、これはあり得ないと思うのである。それで、今お話あったように低コスト生産とか、あるいは農業経営の効率化を図るということは確かにそのとおりである。ただ、一番の問題点は、そのために農家は大型機械、トラクターとかコンバインとか田植え機とか、そういうものを導入せざるを得ないと。いわゆる機械化貧乏を加速させているのではないか。こういう不満や不安は現地にあることは確かであるから、そういう点についてはどうお考えになっておるか。
 それから、この事業は実施過程で作業受託会がつくられるとか、結果的には農用地の流動化を促進すると、農林水産省の戦略的な課題である規模の拡大と、企業が農業に進出をしてくる、そういう地ならしではないかと、こういったような批評があるわけである。もっともそれはそのとおりだなどという答弁は出てこないと思うのであるが、やっぱりそういう点は十分念頭に置いてこれからは考えていかなければならぬと、今の農業を守っていくと、こういう立場で考えていく必要があると思うのであるが、いかがであるか。

〇千田地域農政推進監 私の方から大型機械化に対する対応について御答弁申し上げる。
 大区画化の効果を早く発現していくためには、やっぱり区画に適合したトラクターとか、あるいは田植え機、コンバイン、こういったものの大型の機械化体系、こういったものを導入していく必要があろうと思っておる。ただ、そのときの投資の仕方だと思うが、機械化の導入の形であるけれども、既存の今ある機械をいかに有効に活用していくかとか、あるいは機械の稼働率を高めるために生産の組織化をするとか、あるいは作業の受委託、こういったものを進めていく。こういったことを進めていわゆる機械の投資を割安にしていくということをしていきたいと考えておる。そういったことで指導しておる。
 そしてまた、そうは言っても新たに施設の投資が必要なわけであるので、こうした大型機械の導入、この負担を軽減するために、県単独の事業であるが、新いわて農業再編総合対策事業とか、あるいは金利の低い農業経営基盤強化資金というのがあるが、こういったもの、各種制度を活用して支援しているところである。さらに、来年度からであるけれども、認定農業者連携事業体育成事業というものが国で創設された。これを積極的に導入して、農協が行う機械のリース料、このリース料に助成して農家負担の軽減を図っていきたいと考えておる。

〇高橋農地建設課長 圃場整備の現在行われている形態についてであるが、現在行われている圃場整備は、主に今まで未整備であったところ、それから10アール区画であったところ、これは10アールは20年代から30年代の前半ぐらいに行われたと思っておるが、そうしたところが圃場整備の現在30アール、1ヘクタールの区画で整備しているところである。それで、いろいろ圃場整備については農家負担があるわけであるが、当時は恐らく27・5%ぐらいの農家負担があったと思うけれども、現在進めておる担い手育成基盤整備事業、これが主力になっておるが、これは農家の負担にもかなり配慮されておって、国が50、県が30、それから地元が20になるわけであるが、ほとんどの市町村から10%負担をいただき、地元農家は10%、そしてしかも、1ヘクタールが4分の1とか、担い手に農地集積の条件はあるが、その残りの10%についても6分の5は無利子資金で融通できるという事業を行っておるわけである。
 それから、もう1点あった企業参入の地ならしというお話であったが、あくまでも圃場整備は担い手農家の育成とか、地域ぐるみ農業の確立を目的としておって、全くそうしたことは考えておらない。

〇菊池(雄)委員 受益者負担が多いという不満は今度の区画整理事業ではそんなにない。ただ、私言ったのは、今言ったように大型機械を導入せざるを得ないと、とにかく600万円とか700万円とかというトラクターとかコンバインとか、そういったようなものを入れるととてもその支払いに困ると、こういうことが一番懸念されているようであるから、今おっしゃったようなことで、できるだけ低利で安い農機具の導入というものを進めるような努力をあわせてやっていただきたい。
 2番目であるけれども、北上奥羽山系開発で造成された牧野の経営はどうなっているのであろうか。放牧頭数とか入植者の最近の動向を伺いたいと思う。
 それから、約10カ所の広域牧野がつくられておるわけであるが、その管理運営は市町村、農協、牧野農協などがやっておるようであるが、現在、牧野造成の借入金の償還などはどのようになっているのであろうか。

〇中村農政部長 北上山系の造成牧野の経営状況であるが、御指摘のように、近年の畜産情勢の変化あるいは公共牧場の放牧頭数が減少傾向にある状況である。
 山系開発事業で造成した牧場の平成9年度における利用状況であるが、計画頭数に対しては7割弱の利用率になっておるし、また、入植農家は、乳価の低迷あるいは牛肉の輸入自由化の影響を受けて経営が厳しい状況にあることから、平成7年度からの県単事業で入植農家経営安定緊急対策事業を実施した結果、逐次経営が改善されてきている状況である。
 また、牧野組合の償還であるが、牧野組合の件についても、放牧頭数の減少によって十分に活用されておらない牧場もある。しかしながら、牧野組合の償還については、償還は滞っていないものの、経営の厳しさはそのとおりである。このため、現在、地方振興局単位に設置しておる地域公共牧場再編協議会において、黒毛和種あるいは日本短角種等、品種ごとの放牧あるいは釜石市の和山牧場で行われておるような野菜との輪作体系の導入など、有効利用方策について総合的に検討を進めているところであるし、また、こうした運営体制の見直しに加えて、地方競馬全国協会あるいは日本草地協会等の助成制度を活用しながら、経営改善に向けた取り組みを支援してまいる考えである。

〇菊池(雄)委員 私は、昭和50年6月定例県議会で、当時の千田知事にこの北上山系開発というのは非常に危険だからやめた方がいいのだと本会議の一般質問で提言したことがあるが、結局やってしまったわけであるが、かなり問題を残しておる。しかし、その後始末は当然やらなければならないと思うが、今、北上奥羽山系開発の建設費は大体総額986億円、まあ、1、000億円である。そのうち、借入金が約300億円あるわけである。金利を含めて693億円あるが、そのうち地元負担が231億円、直近の残高はまだ100億円ある。さっき言ったように、一番困っているのは牧野農協などで、支払いができないような状態になっていると聞くので、今、部長からもお話があったように、地域公共牧場再編協議会で再編計画を策定中だと、こういうことである。
 そこで、この再編計画協議会の再編計画の基本的な考え方は何なのか。つまり、今なぜこういう計画をつくろうとしているのか。
 それから、この計画をつくる段階で、今いろいろお話あったけれども、今の借金を整理する。整理するというか、借金に対する支援策をどうするかというようなことも考えていただきたい、このように思うが、いかがであろうか。

〇菊地畜産課長 公共牧場の再編整備についてであるが、現在、県内の151の公共牧場において放牧事業が実施されておるが、入牧頭数の減少等によって利用率が低下し、経営の悪化が顕在化しておる。そこで、本県の公共牧場を有効に活用して、粗飼料自給率の向上と生産コストの低減を図るという観点で、各公共牧場を地域ごとに置かれている条件なり特徴を検討して、放牧牛の品種別集約や採草牧場等の利用目的別に機能を再編するということで、その推進母体として、地方振興局ごとに地域公共牧場再編協議会を設置して公共牧場を中核とした地域畜産経営の活性化推進方針を作成し、地元の合意が得られた地域から順次再編整備に取り組んでいるところである。再編整備の基本方向はいろいろあるわけであるが、例えば牧場経営の改善を図るためには、広域に散在しておる放牧希望牛の集約放牧を推進し、これに適した放牧施設等の条件整備を図るとともに、良質粗飼料の安定確保のための採草牧場の整備あるいは担い手の高齢化とか規模拡大に対応した労力支援体制の確立と自給飼料の生産性向上を図るため、高度技術を有する自給飼料生産を請け負う組織、いわゆるコントラクターを育成することなどを基本としながら現在進めているところである。
 財政支援については、基本的には赤字に対する運営費助成というのはないが、例えば公共牧場の機能を強化して採草牧場に強化する、あるいは牛がもっと放牧しやすいように牧区を再編したり、いろいろ草地を改良したり、そういう部分については助成対策があるので、現在進めておる地域の公共牧場再編協議会の充実強化を図るとともに、家畜導入事業の推進等々対策を重ね合わせて、公共牧場を中核とした畜産振興が図られるように現在頑張っているところである。

〇菊池(雄)委員 非常に厳しい現状であるけれども、この事業はもともと県が指導してやってきた事業であるから、できるだけ地方の困っている牧野農協などに負担をかけないように御支援をしていただくということを要望して終わる。

〇菊池(勲)委員 農政問題はいっぱいあるけれども、委員長に協力してたった1点に絞って質問させていただく。
 中村農政部長を先頭とした農政部の職員、出先を含めて、大変私ども農業を営む者に対しては常に御協力をいただいてまことに感謝を申し上げたいわけである。だが、依然として日本の農政を取り巻く情勢は厳しい。この中で、改良区という組織があるけれども、最近農家から、減反面積の配分において3割以上も休まされた場合には、3年に1度は米がつくれない田んぼと同じであるから、改良区にする賦課金を出すことはないのではないかという問題が出てきておる。
 私は和賀川土地改良区で理事長をさせてもらっておるけれども、今の北上市は中央土地改良区と鬼柳土地改良区と和賀川土地改良区と三つあるわけである。和賀川土地改良区の管内は湯田までで3、600ヘクタールの開田を管理している土地改良区なのである。旧田を管理している和賀中央とか鬼柳は、農家は開田と旧田両方持っておる。配分面積は全部この開田に休耕面積を集中されておる。そこを有する1人として、大変今困っている。水は流さなくてもいつか米をつくれる状態が来るのを期待をしながら、私どもは4、500ヘクタールをいつでも水を流せる状態に管理させられる立場に置かれている。残念ながら農家からつめをはがすような状態でむしり取らなければならない。私も農民の1人として大変気の毒だけれども、農政部長が先頭に立ってすばらしい農政を展開してもらっているけれども、きょうここに財政課長もいる。どうも財政当局と農政部は仲が悪いという話を聞く。課長の顔を見れば仲がいい顔をしているんだけれども、どうもいざ行政マンになれば縦割りの立場でしのぎを削っておる状態なのだそうである。
 まず、農政部長にこの問題にいかに対応していただけるのか、それを聞かせていただく。

〇中村農政部長 農政部と財政当局とは連携を保ちながら仲よくやっておるので、よろしく御理解を賜りたいと思う。
 土地改良施設等の維持補修がなかなか大変だというお話であるが、維持補修費は、施設の大規模化あるいは高度化あるいは集落機能の低下等によって増大しておって、土地改良区の財政運営に大きな影響を及ぼしていると感じているところである。このため、比較的大規模な土地改良施設の維持補修に対しては国庫補助事業の土地改良施設維持管理適正化事業によって対応させていただき、また、部分的な補修には県単独事業の小規模農業農村整備事業によって対応してまいっているところである。また、土地改良施設維持管理適正化事業は、ポンプ・モーターのオーバーホールあるいは用排水路の補修などのため土地改良区が積み立てを行い、数年に1回行う整備補修に対して国30%、県30%を助成するというものであるし、また、小規模農業農村整備事業は、小規模なゲートあるいは水路の部分的な補修などに対して助成するもので、補助率は30%となっておる。
 いずれ、これらの事業を積極的に活用していただきながら、土地改良区の健全な運営と施設の適切な維持管理が行われるよう土地改良区を指導してまいりたいと思うが、いろいろな機会に国等に対してもそうした要望についても伝えてまいりたいと考えておる。

〇菊池(勲)委員 財政課長、大変失礼した。仲がいいそうで、ありがたい。そういううわさもあったものだから、さらに本人から聞いたのだけれども、向こうは仲がいいと言ったから、ありがたい。
 大変すばらしい答弁まことにありがたい。今、国の補助事業だと30%、県がそれに30%かさ上げすれば6割である。それに市町村の義務負担も重なってくるのか。今、部長が言った後段の方、県単独の小規模の修理改修に対しては県単独で30%出すと。そうすると、我々農家は70%持たなければ仕事ができない。大きな事業は4割持てば、市町村が10%出せば30%持てばいいわけである。これでは改良区の維持管理はほとんど不可能なのである。残念ながら、固形のものであれば運ぶことはできるけれども、水なものだから、手で持って歩くわけにはいかない。どうしても小さい穴があればそこから水がみんな流れて目的地には行かないわけである。であるから、県の単独事業であるから、当然県で6割持てというのは無理だけれども、厳しい財政の中だけれども、市町村にもやっぱり県の方から指導していくらかかさ上げしてもらわないと、水が漏って見えてても、いくら農民に怒られても我々改良区の職員は手をこまねいて見ているだけなのである。見事におしかりをこうむる。もう少しで耕作が始まるけれども、私も先頭に立って地域を回るわけである。するとみそくそ悪口なのである。だけれども、そのときは何も言うことができないから黙っている。それで面倒くさいからここでしゃべるしかなくなってしまうのである。農家に怒られて、農政部長には怒って、部長の御配慮をもらわないと県下の土地改良区はほとんど経営は不可能だと。それは賦課金を取ればできることであるけれども、今の農家からは取るということはできない。もらえばできることであるけれども、難しい。30%と言わず、もう5%ほど乗せてもらって、そして県もまた5%出すから市町村も10%持てよというような御指導をしていただければ大変農家もいいし、改良区はもちろんいいし、そして来る将来には全部米をつくる時代が来るだろうと期待しながらすべて立派な美田に管理していきたいと思うのであるが、農政部長の決意のほどをひとつお願いする。

〇中村農政部長 大変恐縮であるが、当面はそういう要望が強いというふうに承らせていただく。

〇田村委員 菊池委員の関連で2点ほどお尋ね申し上げる。
 今、お話あったとおり、土地改良区の運営というのは大変な状況に追い込まれている。特に減反強化ということで、農家に賦課金ということでこれを転嫁するには非常に苦しい状況にあるというのは御承知のとおりだと思う。
 私は、長期的な面と短期的な面、この2点でお尋ねするが、最初に、長期的な面で、水路の維持管理というのは、地域にあって景観維持あるいは環境面を考えても非常に重要な役割を担っている。その重要な役割を地方の土地改良区が担っているというのが現実だと思う。確かに国では交付税算入の基礎に入れているということではあるけれども、これがどういう入れ方をしてどういう交付がなされているかというのは現実の問題として全然出てこないわけである。そういったものも含めながら、やはり景観、自然、そういったものを維持管理しているという大きな観点に立って、例えば10アール当たり1、000円ぐらいの一つの事業を起こしていただくなり、そういったものが私は将来的にぜひ必要なことではないかと思う。そういった要望を私は国に常に要望していくべきだと思うが、その点についてお尋ね申し上げる。
 もう1点、短期的な改良区経営の改善ということは、いわゆる農家負担の軽減だと思う。そういった意味からも、今、国で行っている農地流動化支援水利用調整事業、この事業をぜひ積極的に導入していただきたい。これもラウンド対策の中での事業だと認識しているので、期限のある事業である。土地改良区でこの事業に乗りたいと言って手を挙げてもなかなか採択にならないというのが現実なわけである。財政課長も出ておられるので、これは県費40%負担ということで、かなり県財政にも影響してくることではあるけれども、あくまでも期間が決められた事業であるので、決められた期間内にぜひ積極的な採択、そういったものをしていくべきだと思うが、いかがお考えになっているかお尋ねする。

〇中村農政部長 まず、土地改良区の環境景観などの保持について、そういったものに対しての助成ということであるが、国においても、平成10年度から土地改良区が農業用水の循環利用による高度利用あるいは節水等を通じて景観、生態系保全用水あるいは水質浄化用水などの地域用水機能を維持、強化する活動に対して助成する地域用水機能増進事業を創設するというように伺っておるところである。このように、国においても、土地改良区の運営強化を重点事項として位置づけて制度の充実を図っておるところなので、県としてもこうした制度を積極的に活用してまいりたいと考えておる。
 さらにまた、土地改良区が環境、景観保全等の公益的機能を担っているという面からも、従来の維持管理費等に加え、こうした保全活動に対するさらなる財政支援が図られるよう国に対して要望しているところであるし、引き続き今後とも強力に要望してまいりたいと思う。
 次に、農地流動化支援水利用調整事業について大いに活用してはどうかということであるが、土地改良区において、農業用水の管理や調整という水利用の観点から農地の流動化を支援するという事業である。事業の採択期間は平成6年から平成14年までであり、平成9年度までに6地区を実施しておって、平成10年度以降についても7地区の要望が上がっているところである。国、県の財政事情が厳しい中ではあるが、各地区ともこの事業の重要性あるいは必要性が高い、そしてまた、農家からの要望も強いということを踏まえて、国に対してもこの採択に向けて今後とも努力してまいりたいと考えておる。

〇田村委員 念押しでひとつお願いしたいけれども、水利用調整事業、これは先ほども言ったとおりかなり県費の負担があるものであるから、やはり県の財政との調整、これは平成14年までの限られた事業だと。ここでつぎ込まなければもう後は機会がないという立場で、千葉課長もぜひそこのところは認識していただきたいと思う。ぜひ強力にお願いする。

〇千葉(浩)委員 生産調整について2点ほどお伺いする。
 今、農家は春作業を目前に控えて、集落での話し合いはそろそろピークを過ぎたのではないかと思っておる。市町村段階の取り組みの状況についてお伺いする。
 まず、県は、平成10年度の生産調整目標面積の配分に当たっては、これまでの分は固定化し、拡大分については一律配分とされたが、各市町村においてはどういう考えでどういう配分がなされたであろうか、まずお伺いする。
 また、あわせて、市町村の農家に対する配分などの手続の進みぐあい、どういう状況になっておるか、もう全部終わったということかどうか、その辺をお尋ねする。
 もう1点、転作営農をどう定着させていこうとしているかということであるが、この問題については私も代表質問で取り上げさせていただいたが、転作営農で少しでも所得に結びつけるという考え方でなければ、農家の所得というものは年々減る一方である。この質問に対して、知事は、関係機関、団体が一体となって取り組むことを強調されたし、新たに全県的に岩手県で水田営農確立運動というものを展開すると、こういう答弁があったわけであるが、この水田営農確立運動とは具体的にどういうことを意味するのか、ひとつお尋ねする。

〇中村農政部長 まず、生産調整の市町村の取り組みであるが、市町村における農業者ごとの面積配分の考え方であるが、これまでも基本的に一律としている市町村が多かったわけであるが、平成10年度においても、46の市町村が−−78%であるが−−一律の配分ということで大半を占めておる。その他の市町村については、転作が定着している農業者を中心に、前年度の実績をもとに配分されているところである。
 なお、この配分に当たって、米価の低落の影響を大きく受けておる大規模な担い手農家に対して転作率の軽減などの配慮の措置をとっているところが8市町村あって、大きな特徴ではないかと感じておる。
 また、農家に対する目標面積の配分状況であるが、来年度から生産調整面積が大幅に拡大され、また、制度も大きく変わるので作業がおくれるのではないかと心配しておったところであるけれども、今週中には全市町村で配分を終える見通しで、例年並みの進度となっておる。
 なお、全国の配分状況については、2月末では64%となっておるが、本県では52市町村、88%ということで、早めに進んでいる状況である。こうしたことは、やはり市町村において積極的に取り組んでいただいた結果だと感謝申し上げたいと思う。
 また、水田営農確立運動を全県的に展開するということであるが、これについては農蚕課長から答弁させるので、よろしくお願いしたいと思う。

〇佐々木農蚕課長 水田営農確立運動についてのお尋ねであるけれども、転作については、委員からお話があったように、農業経営の確立を図るためにも、転作営農の定着化が重要な課題であると認識しているところである。この実現に当たっては、まずもって農家の方々に十分に話し合いをやっていただいて、みずから取り組む目標を定めて、その達成に向けて取り組んでいただく必要があると思っておる。新たに取り組むこととしておる水田営農確立運動は、こうした観点に立って、それぞれの集落や地域段階において、例えば効率的な営農を行うための転作田の団地化であるとか、担い手を中心とした生産組織づくり、さらには、生産ロットを確保できるように転作作物を統一するというようなことについて、生産者がみずからのものとして実践計画を作成し、この計画の実現に向けて地域が一丸となって取り組んでいただくものである。
 一方、関係機関、団体については、新たに役割分担したチームをつくって、直接集落まで入ってこうした計画づくりから生産物の流通あるいは経営管理に至るまで個別、具体的にそれぞれの課題を踏まえて濃密に指導しようとするものである。この水田営農確立運動は、こうした生産者の自主的な取り組みと、関係機関、団体の密接な指導によって望ましい転作営農をできるだけ早めに確立していきたいという考えに基づいて展開するものである。

〇千葉(浩)委員 いずれ生産調整というものはいろいろ課題が大変あるが、今日的な農政の最大課題だと私は思っておる。そういう意味では、ぜひ一生懸命強く推進をしていただくように御要望申し上げる。
 第2点目であるが、これも私、代表質問で取り上げさせていただいたが、金融機関への早期是正措置、これが4月1日から導入されるということで、岩手県の農協についてどういう対応になってくるのか、その辺について3点ほどお伺いしたいと思う。
 まず、第1点は、早期是正措置の対象となる自己資本比率4%を下回る農協というものは、今、岩手県で何農協あるのか、その辺をまず第1点お伺いする。
 それから、第2点目は、自己資本比率が4%の水準を下回る農協にあって、早急に自己資本比率を充実する努力が必要になってくるわけであるが、このために農協みずからの責任として、役職員、組合員が一丸となって経営改善に取り組むことが最も大事なことであるが、特に自己資本比率がマイナスになる農協については信用事業の業務停止命令というものを受けるわけで、こうなると農協は倒産、農協はなくなる、こういう事態になりかねないと思っておる。この経営の改善を図る農協の努力というものも今までの流れから限度があろうと思うが、農協系統がいろいろ支援していくというような話も聞いておる。そういう中で、さきの知事答弁で、自己資本比率がマイナスとなる農協については、マイナスから脱却を図る農協系統の支援事業があり、それを前提として、それを見てから経営改善計画が出された場合にその計画の実行を求めていくと、こういうわかったようなわからないような、私もわからなかったのであるが、そういう答弁があったわけであるが、まず、その仕組み、どういう仕組みになるのかお聞かせ願いたい。
 第3点目は、農協の特殊性、これはだれも言わなくてもわかるわけであるが、そういう農協があった場合、農協系統が支援する、そういう形になろうと思うが、そうなってきた場合に県がそれにどう対応しようとしているのか。見ないふりをするのか。大変な金額になってくると思うが、そういう県の支援策があるのか、考えているのか、その辺もあわせて、この3点についてお聞かせ願いたい。

〇中村農政部長 早期是正に係る県の対応関係であるが、まず、何農協あるのかということであるが、早期是正措置は自己資本比率が4%を下回る農協が対象になるが、この4%を下回る農協は、平成8事業年度の決算時点において9農協となっておる。このうちには自己資本比率がマイナスとなっている農協も当然含まれるということである。
 次に、そういう仕組み等ということであるが、自己資本比率がマイナスとなる農協に対する取り扱いの仕組みであるが、早期是正措置には経過措置というのがあって、まず、自己資本比率がマイナスの農協から脱却を図るための改善計画を提出していただく。それが確実な改善の裏づけのある合理的な計画であると、業務停止命令というものではなくて、軽度の命令である改善計画の実行等の命令を行うということになるものである。一方、農協系統では、農協の経営の健全化を図り、広域合併の早期実現に資するということで、徹底した自己努力などを前提として資金援助を行い、自己資本比率マイナスからの脱却を支援する事業を予定しているところである。したがって、当該農協から、農協系統事業に参画して支援を受けて、確実に自己資本比率のマイナスを解消し得る計画が提出されたときには、業務停止命令ではなく改善計画の実行等を求める命令をするということになるものである。
 また、こうした系統の事業に対する県の支援についての考えということであるが、農協系統の事業が農協の信用不安を回避し、地域農業の発展を図る上で必要な事業と認識しておるところから、今後、該当農協の徹底した自己努力などを見きわめた上で必要な支援を行ってまいりたいと考えておる。

〇千葉(浩)委員 4月1日であるから、非常に時間的に迫っているわけである。今々のことなわけである。当初予算には間に合わなかったわけであるが、これから経営計画を出して、それを基準として系統でも支援していくと、こういうことであるが、恐らく県でもそれに対応していかざるを得ないのではないかと。今、9農協という話があったが、それは4%で、恐らくマイナスのところも出てくるのではなかろうかと、私、しっかりとした数字はわからないが。何はともあれ、そういう形で業務停止命令などが出てくると農協が立ち行かないということになるわけであるから、そういうものを十分踏まえて、県ではそういう不安のないようにひとつ対応を、恐らく時間的には補正予算ということに相なってくるのではなかろうかと思うが、対応していかなければ大変だということで、ぜひそういう形の中で対応をお願いしたいと思う。

〇渡辺委員 今の農協の問題であるが、やっぱり自己資本を調べるためには、まず、不良債権がどれだけあるかということをしっかり確かめておかないと自己資本がマイナスなのかどうかということははっきりしないと思う。だから、それをしっかり監査していただけるかどうか、その気持ちがあるかどうかがまず第1点。
 もう一つは、先月の16日か、政府は、金融の安定化法案、要するに優先株等の支援をしながら金融機関を助けていくということが出た。それは、完全に難しいところはだめなのだけれども、何とかやれそうなところを助けていくという基準なのである。やっぱり国のそういうスキームに合わせて、もし我々の県でも支援するという場合にはそういうことを考えていかなければならないのではないか。今のお答えであるとマイナスというところもありそうであるから、むしろそういうところについては新しい農協をつくりながら、それらの預金なり健全な債権なりを引き継ぐというようなことを考えていった方がむしろその地域にとっていいのではないかと。どんどんつぎ込んでもつぎ込んでも大変な事態になっていくということでは県民の理解が得にくい。今の支援策を、お話しされたようなことをやるときには大変だと思うのである。その辺についてのお気持ちがあればお聞かせ願いたいと思う。

〇中村農政部長 不良債権の監査ということであるが、これについては、中央会と連携を密にしながら十分詰めているところであるし、また、今後詰めていかなければならないと、当然のことだと思っておる。
 それから、御意見として、一たんなくして再建したらどうかということについてであるが、御意見としてお伺いさせていただきたいと思う。

〇佐々木副委員長 冒頭に質疑を表明されている委員があと8名おる。議事進行に御協力いただきたいと思う。
 10分ほどおくれてスタートしたので、このまま続けて質疑を行う。

〇三河委員 私からは、161ページの有機農産物等認証事業費350万円についてお伺いしたいと思う。
 総括質疑において須藤委員からも質疑があったところであるけれども、よくのみ込めなかったものであるから再度質問をさせていただきたいと思う。
 今議会の冒頭において、知事は、所信表明演述の中において、環境問題、環境共生循環型社会の構築に向けての演述があったところであり、私も高く評価するところである。今、有機農産物というか、安全、安心、農薬あるいは化学肥料、それから除草剤、その他を使わない体に優しい安全な食品が、消費者のみならず、商社であるとか、あるいは外食産業であるとか、いろいろな面で需要が高まっておるところである。そういう中にあって、今回、県でも認証制度の取り組みをなされたということで評価したいと思っているところである。いずれ、農業は、突き詰めてまいれば有機農業、有機農産物に行き着くのではなかろうか。生き残るのはこれであろうと私は思っているところである。今回の350万円でどのような形での取り組みをなさるのか。
 それから、予算書の中には環境という言葉を付した事業が多々見受けられるけれども、それらとの関連はどういう形でなされるのか。
 いわゆる有機農産物の認証検査を実施するわけであるので、したがって、規制というか、検査だけがあって、それに対しての振興策がないようであればこれは大変なことになると思うわけである。有機農業を行っていく上においては、大きなリスクを伴うわけである。例えば収量の低下であるとか、あるいは除草のために多くの人員が必要であるとか、労力の問題であるとか、いろいろなことがかかわってくるわけであるけれども、しかし、県としては、これを全県的に推進していかなければならない立場にあるだろうと思うわけである。そういう観点から、御所感なり、例えば認証制度の持ち方、あり方等についてまずお伺い申し上げる。

〇中村農政部長 有機農産物の認証制度であるが、予算的には350万円でお願いをしているところである。内容については、有機農産物等認証事業ということで、認証制度を立ち上げるための経費であって、その具体的な内容であるが、一つは、有機農産物の生産流通等の実態を調査、特に生産コストや販売先、販売価格等がわからないので、その実態を把握するための調査を行うこととしておるし、また、認証制度の仕組み等を検討するため、農業団体、消費者団体、学識経験者等で構成する有機農産物等認証制度検討懇談会−−仮称であるが−−、こうしたものを開催して、関係者や消費者等から意見を十分聞きながら、信頼される認証制度を創設したいと思っておるし、また、創設された認証制度の普及啓発を図るための説明会の開催あるいは手引書の作成等を行うものである。
 いずれ、今後については、ただいま申し上げた認証制度検討懇談会(仮称)の検討結果を踏まえて、有機農産物等の生産振興を含めた必要な事業について検討してまいりたいと思う。
 また、リスクの大きい有機農産物への生産振興というお話であるが、有機農産物の生産振興については、できるだけ農家の負担にならないよう、当面、病害虫の発生が少ない作型や作物を中心に生産振興を図ってまいりたいと考えておる。
 また、環境保全型農業総合推進事業の中で、農業研究センターにおいて有機農業が成立する要因を明らかにするとともに、有機農産物等の生産技術の実証を行っておって、そうした成果をもとに、今後、技術の普及を図ってまいりたいと考えておる。

〇三河委員 そうすると、この団体の設立が早急に行われて、県内に認証団体をおつくりになるという考えなわけである。今、農業試験機関においての取り組み等もお話しされたわけであるけれども、既にお隣の宮城県においては、宮城有機農業推進事業費として今年度1、000万円予算計上されておるようである。それから、人と環境に優しい農業確立事業、これも仙台であるが、140万円ほどの予算づけをされておる。他県の例であるけれども、岡山県においては、高付加価値米産地育成事業費、これは有機米、有機農産物の米の生産に向けての取り組みなようであるが、これに対して900万円の予算づけがなされておるし、岡山有機の里推進事業、これは900万円がついておるようである。また、長野県においても、今年度、98年であるが、環境に優しい農産物の認証制度をスタートさせるということで、各県とも認証制度については取り組みをなしているという状況にある。
 この有機農産物については、我が岩手県は先陣を切っておると自負しておったわけである。現在、岩手県の有機農産物として自信を持って出せるものといえば、やはり雑穀、新需要穀類だろうと思うわけである。平成5年から雑穀の振興を訴えてきたところであるけれども、現在は15名の議員研究会を設置しておって、既に民間の認証団体であるが、御承知だと思うけれども、東京都と6地方自治体とが手を結んで、今年度から雑穀の流通を図っているという状況にある。また、さらに2市町村が提携を結ぶという状況にあるが、この団体との整合性、その他について御所感を賜りたいと思う。

〇中村農政部長 予算については各県いろいろのようであるが、本県としては、こうした有機農産物等認証制度検討懇談会を通じて、まず、制度として立ち上げるということを先にし、そして、その場でいろいろ、今後、有機農産物等の生産振興を図る上でどういう事業が必要かということを検討していきたいと思っておる。
 また、現在、東京都と有機農産物等の流通協定を締結している県内市町村は6市町村あるわけであるが、県としても、この制度の創設に当たっては、こうした市町村の意見も十分踏まえながら、今後、市町村に対する支援あるいは指導のあり方についてもこの懇談会で検討していきたいと思っておる。

〇三河委員 現在、農水省においては、コーデックスの国際基準の策定をにらんで制度化を検討しておるという情報を得ておるところである。ひとつ当県でも整合性のある形で、おくれないような形のものをつくっていただきたいと思うわけである。
 さらにまた、有機農産物の問題になると、これからは化学肥料ではなくて堆厩肥の問題が大きく取り上げられてくるだろうと。また、その堆厩肥も吟味をされなければならないということになると思う。そうすると、ここで畜産の役割がまた大きくなってくるのではないかと思うわけである。乳、肉、卵の生産だけではなく、堆厩肥の生産も畜産は担っていかなければならないと思うわけであるが、畜産部門における有機農産物に関しての取り組みはどのようになっておられるのかお伺いしたいと思う。

〇中村農政部長 畜産における有機農産物の生産取り組みであるが、畜産は、牛、豚、鶏などの畜種あるいは月齢によって給与飼料や飼育形態が多様化しておるし、また、家畜の病気の予防や治療が必要な場合も多いということから、国においても現在ガイドラインを示しておらないという状況である。しかしながら、今後、こうした有機飼料を給与して生産される畜産物の重要性が高まってくると思われるので、国内外の先進事例、あるいはそうした国の試験研究機関などの情報等も参考にしながら検討してまいりたいと考えておる。

〇佐々木副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩する。
   午後3時7分 休 憩
 
   午後3時24分 再 開

〇折居委員長 休憩前に引き続き会議を開く。
 説明に対する質疑を続行する。

〇谷藤委員 簡単にお聞きをしてまいりたいと思う。農業入門塾運営費についてお伺いしたいのであるけれども、まず、最近の新規就農者の状況はどうであるのか。
 それから、本県農業を担う30歳未満の基幹的農業従事者というのは、どういう状況に今あるのかをお知らせいただきたい。

〇中村農政部長 新規就農者の状況であるが、毎年ここ数年70名前後となっておる。実際に必要とするのはやはり200名ぐらいを必要としているところである。

〇山内農村振興課長 30歳未満というお話であるが、私ども若い青年農業者というものの位置づけは40歳未満ということにしておるが、それで申し上げると今、約4、800名というところである。

〇谷藤委員 いずれ必要な人数からちょっと不足しているというような認識のようであるので、最近は農家以外からの新規参入ということでUターンの方とか、農業に魅力を感じて新規に取り組んでいこうというような方々も出てきているようであるので、この農業入門塾というものを通じて指導をしていく意義というのは非常に大きいものがあるのだろうなと思う。その取り組みの状況、これについてお知らせいただきたい。

〇中村農政部長 農業の担い手の育成、確保ということで、昭和1けた台の世代の方々がリタイアするということからも、この新規就農者に対する就農啓発が極めて重要となっておる。したがって、県内外の方々の農業に関心を持つ方を対象に農業の知識や農作物の栽培方法等の研修を行って、本県農業への理解を深め、将来の就農に役立てることを目的に平成9年度からいわて農業入門塾というものを開講させていただいたところである。平成9年度は試行的に実施したものであるが、農業の基礎的な栽培方法、あるいは現地見学等を行った入門コースでは、募集定員50人に対して77人からの申し込みがあった。また、冬期間に各作目ごとに実施した専門コースにおいても、募集定員の85名に対して111名という幅広い層からの申し込みがあったところであって、農業への関心の高さをうかがわせるというところである。特にも、本県のみならず宮城、秋田、青森という他県からの応募もいただいておって大変感謝をしているところである。特にも、アンケート調査によると、平成9年度参加者の約9割の方々は塾の内容について満足しているという回答をいただいておる一方、講義時間が足りなかったとか、あるいは体験実習等を拡充していただきたいという要望があった。したがって、このような要望を踏まえながら、平成10年度からは研修内容の充実を図りながら本格的に取り組むこととして、運営費を計上させていただいているところであるが、10年度の計画を申し上げると、入門コースとしては5月から7月までの期間に6回の基礎的な講義や新規就農者との懇談を予定しておるし、また、専門コースでは8月から10月にかけて県立農業大学校を主会場として、各作目ごとに実習も積極的に組み入れながら、専門的な研修を実施してまいる予定にしておる。

〇谷藤委員 非常に好評のようであるし、今後ともさらに内容を充実していただいて、岩手で農業を取り組んでみたいという人たちがたくさん出るように頑張っていただきたいと思う。
 次に、総合農業情報システム整備事業、これはたしか平成8年から導入されたと思うが、これまで実施してきた課題、それから成果、それから10年度の目標、これらについてお聞かせいただきたい。

〇赤津農政企画課長 総合農業情報システム事業の状況ということから申し上げてまいりたいと思うが、平成7年9月に策定した総合農業情報システム整備基本構想というものがある。これに基づいてこれまでパソコン等の情報関連機器の整備、あるいは農業研究センター等における情報提供体制の整備、こういったものをやってまいったし、これに加えて、ファクシミリの情報提供システムあるいは試験研究機関の情報システム、さらには、パソコンを利用した農政部の技術情報等を受信できる岩手情報ネットと、こういったシステムの整備を進めてきたところである。
 現在であるが、一部このシステムを活用して農業技術や病害虫防除、あるいは試験研究の成果、気象あるいは地域情報等のデータの蓄積をさらに図りながら、一部ではあるが農業者に対する情報サービスを既に行っておるという状況にある。この事業であるが、お話あったように8年度から10年度にかけての事業である。したがって、今年度内にはほぼ全体として事業を終了するという状況にある。
 今後においては、県行政あるいは農業改良普及センター、それから研究機関などが一体となって総合的な情報データベース化を図りながら、農政部関係機関が情報の共有化を図るということを目指してまいりたい。一方では、農業者に対してこういったものを広くPRしながら、必要な情報を適時適切に提供しながら、主業型農家等の経営の安定に資するような形で運営、あるいは情報の充実を図ってまいりたいと考えておって、いずれこれらの体制が整うことによって、これまで、言ってみれば不利とされてきた地域においても、時間や距離の制約から開放され、産地形成や地域の活性化が図られるものだろうと考えておる。

〇谷藤委員 今後とも積極的に取り組んでいただければ、産地間の連携とかいろいろメリットあるわけであるし、それからまた、消費者に向けての対応ということでも、それぞれいいところがたくさんあるようなので、今後とも頑張っていただきたい。
 それから次に、優良農地にかかわる問題についてお聞かせをいただきたいと思う。
 県内の経営耕作面積は、農業従事者の高齢化や担い手不足ということで耕作放棄地、また、宅地化等により減少傾向にあると存ずるけれども、最近における傾向というのはどのようになっているか、お聞かせいただきたい。

〇永嶋農地計画課長 最近における集団的優良農地の改廃であるが、最近の5カ年間の平均であるが約720ヘクタールの改廃ということになっておる。

〇谷藤委員 いずれ知事は演述の中で、これから農業振興について、たくましい本県の農業を支える経営体の育成、確保に取り組んでいくということで知事演述で述べられておるわけであるけれども、そこの中で経営耕作面積、優良農地、これらの確保というのは不可欠だろう。農業振興という意味からいけば当然なことであるけれども、その整備をしていくために補助金とか公的な資金を導入して土地改良などを行ってきたわけである。それらの農地が減少するとか優良農地が減少していくということは、生産手段としては非常にまずい方向になっていくということだろうと思う。そういうことでこういう貴重な優良農地をこれ以上失わせないためにはどうすればいいのかということについてお聞かせ願いたい。

〇永嶋農地計画課長 優良農地の確保についてであるが、法律的には農振法、それから農地法、この二つがある。農振法については優良農地の部分について網をかけて、農用地以外の開発を防止するというようなことを行っているわけである。また、農地転用についても、大規模な開発によって優良農地を改廃されるということを防ぐために、現在では2ヘクタール以上のものについては農林水産大臣の許可を得るというような仕組みになっておる。また、土地改良事業を実施したところについては、8年間にわたって、転用が行われた場合については、受益者である農地はその面積に応じた事業費を返還するというようなことになっておって、そのところの土地改良区との協議、それから事業主体との協議、これらが必要になるということになっておる。このような法律を通じて優良農地の確保というか、優良農地を保全していくということを行っているわけである。

〇谷藤委員 いずれ岩手の農業振興という意味からいけば、その優良農地は確保していかなければならないわけである。今問題になっているのが盛岡周辺に立地が予定されている巨大ショッピングセンターがあるわけであるけれども、これらの、この間は商工関係であるか、のときにもちょっと触れたけれども、現在予定されているところは国営かん排事業が推進、平成10年度も続行している地域を予定しているようである。そこのところに予定していると伺っているのだけれども、決算特別委員会で私もお聞きした。そのときに、農用地の集団性を阻害し、水路や農道の分断、支障を来し、周辺開発により農用地のスプロール化等の影響が出るというようなことで心配をするという御答弁をいただいた。それから、本会議でも質問したときに、農政部長は、これらの補助金、または公費等を投入した国営かん排等の事業がなされているところを、事業完了してから8年間凍結をすると、それ以降の対応というような答弁をされたと記憶しておるわけである。確かにそれらを返還すれば可能だという論を持ってくる方もあるけれども、そういうことではこの農業政策というか、それらに対する今までの県の取り組み、国に対してもいろんな形での要望を申し上げて、それらを苦労しながら獲得してきた事業である。そのことを考えれば、これらというものはきちっと岩手の農業のために守っていかなければならないというのが、農政部の立場だろうなと思う。
 それで、4月から何か大型店対策の協議会等が設置されるように見たけれども、これらの、例えばまちの中、市街地の中での農地とか、それから不整形なところとか何かというのであれば別であるけれども、かなり圃場整備とかいろんなものも含めて整備されてきたところを、一たんつくったものを間もなくまたさらに壊してやるというような考え方がなされるというのはどうかなと私は思うのである。そういうことで、その連絡協議会というか、今度設置された場合、まだ設置されていないけれども、農政部としてもし出席をした場合にどういう考え方を述べるのかなとちょっと思うのであるけれども、今の段階で考えられることあったらお知らせいただきたい。

〇中村農政部長 3月27日に第1回の都市計画区域内大規模開発土地利用調整会議を開催するということになっておるようであるけれども、予定されている土地は農振の用地区域に含まれておって、農振法及び農地法によって農業以外の利用が厳しく制限されているところである。
 また、一方、この農用地区域内では大規模な開発は農用地の集団性を阻害することから、先ほど委員がおっしゃられたような支障が出てくるということで、いずれ将来にわたって農業生産の向上を図るという目的で整備をしておるわけであるので、農用地の転用については、今後のこの地域農業をいかにするかという観点からも、慎重に対応をすべきものと考えておる。

〇谷藤委員 そういうことでそれぞれの地域ごとの事情というのも農地転用の場合でもあるかとは思うけれども、特に公的な資金等を投入して整備を進めているところについては、きちっと農政部としては、そこの地域は余りそういう事業には向いておらないということを事前にお知らせした方が、相手側も何だかんだ苦労しなくていいのではないかなと思ったりもするものであるから、その辺の一つの線の引き方という考え方をきちっと持っていただければいいのではないかなと思う。終わる。

〇田村委員 まず、2点簡単にお尋ねする。
 生産調整、御案内のとおり、今年度またさらに厳しい状態なわけであるけれども、そういった厳しい実態をとらえて、県においては県単事業として−−私は来年度の目玉だと理解しておるが−−県単事業として稲作経営安定化資金利子補給事業であるか、これと担い手育成生産調整支援事業という二つの事業をお出しになった。本当にこれは御努力に感謝するし、ただ、若干、よそを減らしてこっちは出したというような面もあるので、この辺はちょっと不満であるけれども、ただ、こういう県独自の政策というか、そういったものを出していただいたというのは本当にすばらしいことだなと思っておる。そこで、お尋ねするけれども、両事業の中身、どういった中身なのか、お知らせいただきたいと思う。

〇相原農業経済課長 それでは、稲作経営安定化資金利子補給事業について内容を申し上げたいと思う。
 この資金は、急激な米価の低落によって規模の大きな稲作農家ほど大きな影響を受けているということから、こうした大規模稲作農家の経営を早期に安定させるため、農協が稲作経営に必要な営農資金を県、市町村、農業団体の利子補給の協力を得ながら1%で融資するものである。この資金の貸付対象であるが、稲作の作付面積が原則として市町村の平均作付面積の2倍以上であり、転作目標を達成している農業者であって、なおかつ、認定農業者であるか、年間農業従事日数が150日以上であるかの農業者であるか、それから稲作を主体としている法人であるか、このいずれかを対象としておる。また、この資金の使い道であるが、稲作経営に必要な種苗費、肥料費、農薬費、光熱水道費などの営農資金であって、貸し付けの限度額については、稲作作付面積10アール当たり6万9、000円、かつ1人当たり300万円を上限としておる。償還期間については5年以内としておる。なお、この資金については、県農業信用基金協会からの債務保証が得られるということになっておって、農家にとって借りやすい資金となるものと考えておる。

〇佐々木農蚕課長 来年度から新たに実施する担い手育成生産調整支援事業の目的であるけれども、今、米価の大幅な低落と生産調整面積の拡大によって、稲作経営、特にも規模の大きい担い手ほど厳しい状況に置かれているところである。それから一方、農業労働力の減少、高齢化が急速に進んでおる中で、担い手を育成することも重要な課題となっているところであって、こうしたことを踏まえて、本事業は、稲作担い手を育成する観点に立って、地域ぐるみでの転作営農の取り組みを支援しようとするものである。具体的な補助条件としては、その一定のまとまりのある地域なり集落内において、先ほど申し上げたように、稲作担い手が育成されるような取り組みをしていただくということにしているものであるが、これにはいろんなやり方があろうと思う。例えば、周辺の農家が生産調整面積を少しずつ多く引き受けてその担い手の分を軽くしてやるやり方、それから加工用米は生産調整の実績となるので、担い手に優先的に配分してやる、あるいは他の農家から水田を借り受けた場合、その面積についても転作がついて回るということになるので、その分をみんなで引き受けて担い手の分を軽くしてやる。あるいはその集落の中でその受委託を進めて、その担い手の作業規模を拡大してやると。そういういろんな取り組み方があろうと思うけれども、地域ぐるみでこうした取り組みを行った場合に助成金を交付しようというものである。

〇田村委員 この安定化資金であるが、1%で米作を中心に頑張っておられる方に融資すると、非常にもう農家にとってはありがたい融資制度なのであるけれども、ただ、若干ここで懸念されるのが、余りにも利子が安いがために、例えば取り扱う農協が安い利息で高い利息の農協の負債をどんと返すと、そうすると農協の利子収入が減ると、そういう姑息と言ったら何であるけれども、そういったことでブレーキがかかるおそれもなきにしもあらずだということで、その辺のところはぜひ、その辺の対策をどう指導していかれるのかをお尋ねする。
 それから、この生産調整支援事業であるけれども、これは基本的には平成9年生産調整割り当て面積から今回の割り当て面積、ふえた分の10アール当たり1万円だと理解しておる。今の御答弁にあったとおり、あくまでも地域ぐるみでこれはやらなければだめだという観点に立って、安易に短絡的に個人にそれが交付されるということのないように、ひとつ万全を期していただきたい。これは要望である。

〇相原農業経済課長 融資機関のそういった御懸念であるけれども、やはり今回の緊急対応のこの制度創設の趣旨をきちんと農協に理解をしていただくということが基本であるので、系統、信連等と協力をして、ブロックごとに農協への説明、協力要請をきっちり行って、そういった御懸念のようなことのないような指導をしてまいりたいと考えておる。

〇田村委員 最後に、実は先ほどの資本比率に関する早期の是正措置の問題が出たので、部長の御答弁の中でこれは大変重要だとお聞きしたのであるが、農協に対して公的資金の導入を視野に入れた御発言があったわけであるけれども、スケジュール的にも、もしこれの導入を図るということ、公的資金いわゆる県費を入れるということになると、6月補正で出さざるを得ないのではないかなと思うのであるが、その辺のスケジュールはどうなっているであろう。もし導入する場合。

〇中村農政部長 ただいまのところはそうした単協の方からそういう改善計画がしっかりしたものが出てくるかどうか、それを待っている状況であって、そうしたものを見きわめた上で対応を検討してまいりたいと考えておる。

〇田村委員 これ以上はその件については求めないわけであるけれども、こういった一連のものに関連して、これは農協合併−−農協合併というのは全中あるいは中央会、そして農協と、これは自主的に独自の判断で合併を進めているというのが基本だと思うのである。ただ、従来の今までの合併を見ていると、いわゆる市町村の公的資金、合併に関してかなり負担をしているケースが実際多い。皆さんも御承知のとおりだと思うのであるけれども、そういった中でこれからの一つの、今の是正措置も含めた包括的な考え方の中でであるけれども、事前の財務検査というか、まだ合併していない地域というのが5地域ぐらいあるか、多分5地域ぐらいあると思うのであるけれども、そういった部長の答弁にもあったとおり、強く財政基盤の経営努力を求めていくのだという発言もあったし、努力を求めるということはやはり責任も一つ明確にしろということだろうと思う。過去の合併の状況を見ると、その責任を明確にした農協もあり、そして全くあいまいにした形で農家に負担を、出資の減額ということで農家の負担と行政の公的資金に安易に求めて、経営責任というのは一切とらないで合併しているというケースもある。合併に関しての報道などを見るといろんな問題も提起されているけれども、やはりそういったところに問題の根本があると思う。したがって、今後、県においては常例検査というのがあるわけであるから、そういった検査を通じて、合併の前にある程度の条件整備、経営努力、経営責任の明確化というものを指導していかなければならないのではないか。そうしなければなかなか平等な立場での合併というのが至難のわざだと考えるのであるが、その辺のところはどう御指導なさっていくつもりか。

〇中村農政部長 いずれ農協中央会との連携のもとに、まずそうした財務の面で強化を図るということが大事であるし、そういう中では当然自助努力というのも出てくるわけであるから、いずれそういった面の指導は今後中央会と一体となって進めてまいりたいと考えておる。

〇水上委員 165ページから166ページの12目の米飯学校給食環境整備支援等事業について、わかりやすく簡単にとりあえず教えてもらいたい。

〇佐々木農蚕課長 県としても消費拡大を図る観点から、米飯学校給食を推進しているわけであるが、具体的に申し上げると、調理員の研修会であるとか、あるいは今度新しく国の事業でできた内容であるけれども、地域の転作作物を学校給食に使って児童生徒に親しんでもらうというような取り組みであるとか、あるいは炊飯施設のないところにはそういう設備をしてやるというようなことで、学校給食を推進するための、言うなれば条件整備をする事業だということである。

〇水上委員 稲作の振興を図る上では米の需要安定が不可欠であるが、その意味で国の新たな米政策に沿った生産調整と、それに対する補助金は必要ではあると思うが、減反という後向きでなく、何とか米の消費を拡大するという観点からいろいろ研究していただきたいと思う。というのは、幼稚園、保育園、そして小学校、中学校、高校となるたけ米を食べていただくように。大体成人十五、六歳以上の日本人の全員の人が、1日普通のおにぎりを1個半食べれば、たしか年間400万トンぐらいの米の消費はできると自分なりの試算であるので、そういうような土台を築くためにいろいろな施策をしていただきたいと思うので、そのことについて所見をお願いする。何とか岩手県をその発祥地にしていただきたいと思うので。

〇中村農政部長 米の消費については、統計的に見ると、昭和37年ごろであると国民1人1年当たりの消費量が118キロぐらいなのであるけれども、平成8年になると67キロと、こう大幅に減ってきておる。いずれ御飯を中心とする日本型食生活というものは、大変栄養バランスにもすぐれ理想型と言われておるので、従来にも増してこうした健康面からの視点に立って、関係機関、団体とも連携しながら、新たな食生活の面からのいろんな御意見もちょうだいしながら、一層の消費拡大運動を展開してまいりたいと考えておる。

〇水上委員 何とか学校給食にも減反にやる気持ちで補助していただくことと、それから、国からはいろいろな要望があると思うし、生産者、消費者、そして各種団体いろいろな意見があって当局も大変だと思うが、何とか努力して一生懸命頑張っていただくことをお願いして質問を終わる。

〇伊藤委員 今の米の消費拡大という部分について関連でお伺いをする。
 今般、大変珍しいというか、有効だったと思う県の施策と言ったらいいのか、今回、お米ブラザーズが解消されるというか、残念ながら、そのままそれぞれ出世コースを歩いていただくためにはしようがないことと思うが、大変この2人には岩手県の米の宣伝をやっていただいたものと、やはり私たちは敬意を表さなければならないと思う。こういう部分をぜひ継承していただく2代目を養成していただけないものか、ちょっとその辺をお伺いしたい。

〇中村農政部長 農蚕課の職員2人によるお米ブラザーズということで、県の農畜産物のトップセールスマンとして、本県の環境に優しい農畜産物の宣伝、あるいはイメージアップを図る面で大変貢献をしていただいたということで、感謝にたえないところである。今般いろんな人事異動等の関係もあり、また、新たに4月から農産物流通課と、新たな観点に立ってスタートするということで、残念ではあるが惜しまれながら解散ということなのであるけれども、それは新しい組織ができたらその中で、また旧に倍して大いに本県のそういうPR、あるいはイメージアップにつなげるような効果的なことができるようにいろいろ検討してまいりたいと考えておる。

〇浅井委員 6款2項1目に関連して1点のみ簡単にお伺いする。
 岩手県肉牛生産公社についてであるが、大変初歩的な質問になるかとも思われるが、その経営面についてお伺いをするものである。同公社は平成3年度において、それまでの累積赤字が一掃されたわけであるが、残念ながら翌年の平成4年度には再び単年度赤字決算となったわけであって、さらに、平成6年度には1億5、000万円余り、あるいは同7年度には1億9、000万円余りと、さらに、平成8年度には県その他よりの補助金が約1億8、000万円ほどあったわけであるが、それにもかかわらず1億6、900万円余りの欠損となったところである。したがって、その累積赤字は8年度末で5億1、000万円余りとなっておるところであるが、平成9年度はまだ決算が当然わからないわけであるけれども、恐らくは赤字決算になるものと、このように思われるわけである。したがって、このままで推移するとすれば、10億円、20億円の累積赤字はもはや時間の問題ではなかろうかといったような危惧もあるわけであって、それらの処理等も大変に心配になるところである。平成3年度よりの牛肉輸入の自由化等もあったわけであって、その後、基盤、環境等も大きな変化がある現在であるけれども、あるいはその役割も既に終わったのではないかとの疑問もあるわけであるが、そこで、この際、その存廃等も視野に入れた抜本的な対策を講ずる必要があるのではなかろうかと、このように思われるわけであるが、どのようにこのことについて考えておられるのか、今後の見通し、対策等についてお伺いをする。

〇中村農政部長 肉牛生産公社の件については、委員からお話あったとおりであるが、平成3年度の牛肉の輸入自由化等の影響による枝肉価格の低落、あるいは感染下痢症の発生、あるいは飼料費の増大による経費増、さまざまな要因があって、平成8年度末で約5億2、000万円の累積欠損を抱える状況になったわけである。このような状況において、公社においては昨年度末に、平成9年度を初年度として13年度を目標年次とする経営改善計画を策定し、経営改善に努めてまいったところであるけれども、こういう中では、牧場の集約化あるいは施設整備による生産効率の改善、あるいは人員削減によって経営改善に努めるとともに、黒毛和種については、大規模飼養という公社の特性を生かした優良種雄牛の造成のための現場検定等の実施、あるいは優良雌牛、特にも種つけの終わった初妊牛の供給による繁殖農家の規模拡大支援を実行していきながら、短角については産直支援として秋子生産や端境期の出荷を行っていくこととしたところである。こうした公社の取り組みは本県における、近年、特にもこの黒毛和種も含めて肉用牛飼養頭数が減少してくる中では、公社の役割というものはまだ重要と考えておるが、何しろ非常に肉牛を取り巻く環境が大きく変わっておって、特にも、今まで短角で東京の大手スーパーに千二、三百頭出荷しておったけれども、そこの経営的な面、あるいはそうした面から産直の取引を来年から中止したいということがあって、さらに計画よりも赤字が上回るような状況になってきておる。したがって、より一層経営効率を高めるという面からは、短角については主産地に対する支援をしながら、そういう補完的役割を持ち、黒毛和種の方に重点を置きながら飼養頭数の見直し、あるいは人員削減等、新たな抜本的なリストラを検討していかなければならないということで、昨年改善計画をつくったばかりではあるが、今また再度そうした観点も踏まえてリストラ対策を進めてまいりたいと考えておって、いずれ今後とも一層の経営改善を図りながら、本県の畜産振興に寄与するよう努力してまいりたいと考えておる。

〇浅井委員 なかなか大変な環境にあるということはよくわかったわけであるけれども、やっぱりいろいろと経営の転換ということになるというと、知事が言われるまでもなく、柔軟な発想と知事は言われているわけであるけれども、やっぱり従来の慣例とかやり方にとらわれることのない新しい観点から、また見直す必要もあるのではなかろうかと、このように思われるわけであるが、なお一層、健全経営化に向けて御努力を願うように要望して終わる。

〇小野寺委員 まとめて全部お聞きする。最初に、農政部の職員についてであるけれども、予算書の右端の説明欄を読んでいくと、ところどころに管理費として一般職員の人数が出ておる。少し足してみたらかなりの人数になるのかなと、1、000人を超える大企業なみの職員を抱えているなと、そういう感じがしたが、本庁及びそのほかも含めて農政部の職員は一体どのくらいになっているのか、お聞きしたいと思う。
 知事は先ごろ知事演述で株式会社の観点をちょっとお話しあったけれども、仮に、極論であるけれども、各部独立採算制ということにいったならば、農政部の方々は給料が出ないのではないかなと、そんな気がする。というのは、農業粗生産が3、200億円くらいなのであるけれども、農家のほかにその取り巻きとして経済連、農協、共済組合、先ほどの土地改良区、そのほかに市町村には農政担当の職員がいるし、県職員も農政部にかなりいるわけである。こういったことを考えるととてもとてもこの3、200億円程度の農業粗生産では、産業としてもう現在でも成り立っていないのではないかなと、そういう気がする。先ほどことしの農政部の予算909億円、去年は1、005億円であったけれども、それでもことし10・8%を占めていると、こういった中で農家への貢献度、こういったものに対する認識、先ほどの人数、パーセント、そういった部分等これお聞きしたいと思う。
 2番、1年前にいただいた農政部の農家経営調査報告書、こっちの細かいのであるけれども、25ページに全都道府県の農家の所得が出ているわけなのであるが、岩手県のところを見ると農業依存度が22・5%と、よそでは35%、34%といったところもあるのであるが、岩手県は非常に農家の農業依存度の所得が低い。果たして農業県と言えるのかなという疑問が生じるのであるが、この点、部長どのような所感をお持ちなのか。
 あとこれに関連してであるけれども、日本国勢図会というデータブックなのであるが、この最新版のところで、いろいろ生産物あるが、岩手県はなかなかトップの方に出てない。ピーマン、リンゴ、サクランボが6番目であるか、なかなか岩手県の農産物が全国的には量が少ない。国全体で野菜が85%外国物、その中でもっともっと岩手県頑張れるのではないかなという気がするわけなのであるが、その辺お聞きしたいと思う。
 3、食糧自給率、国であるけれども、10年前、穀物で30%、その後、若干上がって94年で33%になった。カロリーベースでは95年の資料では42%、県としては特に意識して国の食糧自給率を高めるために何か予算措置しているのかどうか、お尋ねしたいと思う。
 4番、先ほどの1番とも関係するけれども、農業粗生産額、この目標をどのくらいに考えているのか。かつて私が議員になったばかりのときに農政部からいただいた資料によると、平成7年の場合は4、200億円の目標を掲げていた。ところが、その年は3、200億円の実績だった。1、000億円も見込みとずれたわけである。今後どのような目標値を持って農業行政をやっていくのか、お聞きしたいと思う。
 5番、先ほどの浅井委員の方からも肉牛生産公社の質問があったけれども、県は39%の出資しているわけであるが、なかなか改善が思うようにいかないと、今後も県費をつぎ込んでいくのかどうか。県費をつぎ込んでいってもどうにも立ち行かなくなった場合に県の責任はどうなるのか。出資割合の39%でとどまるのか、それとも秋田県の公社のように県が全面的に訴えられるような、そういった事態は想定されないのか、お伺いしたいと思う。
 6番、今度は地域農政推進室所管の農地管理開発公社についてであるけれども、流動資産のうち事業未収金が非常に多いと思うのであるが、この辺どのようにとらえておるのであろうか。
 7番、農業就業人口なのであるけれども、先ほど谷藤委員の質問に対する答弁で、新規就農者200人は本当は必要なのだけれども70人であったと、こういった何か人ごとのような感じなのであるが、やっぱり県農政の最高責任者として、本当に新規就農者獲得のために頑張るべきではないかなと、そういった部分で、今後、短期的なあるいは長期的な目標をお聞きしたいと思う。ちなみに、30年ほど前の農業者、きれいな正規分布を描いていたわけであるが、今そのグラフがずっと右に寄ってしまったと、あと数年で本当に危険な状態になるのではないかなと、そういうふうな危惧を覚える。そういった中で、農業高校、農業大学校に対する期待もあると思うのであるが、どのようにとらえているであろうか。特に農業高校であるけれども、せっかく農業高校を出ていながらなかなか農業にはつかないと、非常に残念な気がする。また、他の都道府県なのであるけれども、農業小学校という、余り聞きなれない言葉なのであるが、いわゆる体験農業だと思うのであるが、こういったことを掲げて、児童生徒、そういった子供たちに対する農業に関する啓発を行っているが、農政部としてはどのようにお考えなのか、お聞きしたいと思う。
 最後、農業研究センター−−農研と言われているが、秋田県に「のうけん」と言って行くとちょっと別な場所になるのであるが、岩手県の去年スタートした農研、人的、物的な体制はもうきちんと整ったのであろうか。ことし、出そうとしている成果等についてお聞きしたいと思う。
 以上、8点お願いする。

〇中村農政部長 まず、新規就農者の件であるが、努力が足りないのではないかというお話であるが、いずれ200名を目標にしながら頑張っておるわけである。けれども、現状はそういうふうになっておるが、そういう面からも今までそういう入門塾というのはなかったのであるけれども、そういう一環に結びつけたいということで平成9年度から岩手農業入門塾、入門コースやら専門コースをやりながら、そうした岩手の農業を理解していただきながら、さらに就農につながるようにという心も込めてやらせていただいているところである。また、農業関係の学校についても、担い手農業基金の方で各学校の活動にそういう基金利子を御援助しながら、そういうフォーラムだとか、あるいは実地研修だとかやっておるし、また、中学校に対しては副読本を作成して、本県の農業の理解の一助としておるところである。いずれ新規就農者の不足については、全国的な傾向にもあるわけであるが、特にも本県としてはそういった施策を通じながら、現在、東北には就農準備校というのが全国四、五カ所、特にも大都市圏を背景としたところにあるが、本県としてもそういったものの誘致にもつながるように、東北でも初めての入門塾なのであるけれども、そういったものを設けながら、さらにそういう担い手基金との連携、さらには、農業大学校を中心として農業関係の学校、あるいは小学校についてもそういう体験学習について支援しておるので、そうしたものも今後とも力を入れてまいりたいと考えておる。
 それから、職員数であるが、9年4月1日現在で農政部の職員数は1、276名ということで、全体の24・4%を占めておるところである。そのうち992名の77・7%が出先の方で勤務しておって、広大な県土を有し、しかも中山間地域が多いことから、そういう現地でのきめ細かな農家等への指導をするということで、約8割の職員を現地に出しておって頑張っていただいているところである。
 それから、本県は農業県と言えるかというお話であるけれども、平均的な農家の全国比較であると、委員がお話しあったとおり中位ぐらいにあるわけであるけれども、県全体の農業で見ると、耕地面積は全国4位、就業人口は7位、粗生産額は10位ということで、東北では常に1番になったり2番になったりということで、そうした面からも我が国の主要な農業県と認識しておるし、また、そうしたことから全国の総合食糧基地も標榜しておって、現在、稲作、畜産、園芸という3本柱のトライアングル構想でもって農業を展開しておるところである。
 それから、県内総生産に占める比率、農業粗生産の割合であるが、5・0%ということで、これは全国平均の4倍、東北平均の約2倍となっておるところであって、農業が県経済の基幹産業と理解しておるし、また、農業の場合にはこうした粗生産額だけでは、これは統計上のいろんな制約もあるから把握できない面もあるわけであるけれども、周辺産業では、例えば、流通だとか肥料あるいは農機具、自動車の購入だとか、いろんな産業にも絡んでまいることについても御理解をいただきたいと思う次第である。いずれ、そういうことで本県農業を担っている農家個々の方々の所得向上を一層図ってまいりたいということで、今後とも鋭意頑張ってまいりたいと思っておる。そういう中でそういう本県の広域な高標高地から平場までの農業資源もあるし、そういったものも活用しながら、いずれ今後、生産額でも本当に伸びるように努力してまいりたいと思う。
 その他の質問については、関係課長から答弁させるので、よろしくお願いする。

〇赤津農政企画課長 それでは、私の方から3点ほど御説明申し上げたいと思うが、まず最初に、食糧自給率について県としてどう考えるのかと、それから、自給率を高めるための予算措置は特に意識してなされておるのかというような観点であるが、これについては、国民生活にとって最も基礎的な物資である食糧については、極力国内で生産されるべきものであると、そして、食糧自給率の向上は経済社会の健全な発展を図る上で極めて重要なものという考え方をしているものである。
 自給率の関係であるが、本県として、いわゆる国内供給力の向上の一翼を担っていくということで、常々我が国の総合食糧供給基地の形成を目指して各般の施策を展開しているという状況であるので、意識という観点のお話であるが、日常の中でそういったことを十分に考えながら各般の業務を行っていると思っておる。
 それから、数字的なことであるが、農業粗生産額の目標の設定はどうなのかということであるが、これについては、現在、平成8年3月に策定した第三次新いわて農業確立計画の後期推進計画であるが、この計画において12年度目標ということで設定している数字がある。それは、農業粗生産額で4、216億円と設定しておるということである。
 それからもう1点、後でお話あったが、就業人口の関係、これについても同じ計画の中で12年度を見通しておる数値があるが、これについては13万300人という形で見通しをしておるということである。
 それから、最後の御質問だったが、農業研究センターについてお答えしたいと思う。
 人的あるいは物的体制は十分かと、整備は完了したのかということと、研究目標とその成果はということである。
 まず、整備の完了ということであるが、これについては、昨年、研究センターの再編整備をやらせていただいたということで、関連して施設整備等も進めてまいっておるけれども、現在は畜産研究所の本館を工事中である。これについては、この10月ぐらいには完成するという予定になっておるので、それが過ぎると全体的な施設整備は終了ということになる。
 人的な関係については、研究員であるが、現在137名、それから、研究を支援する技能員や事務員等をあわせると総勢で204名となっておる。そういった体制で研究に邁進している状況にある。
 それから、研究推進の状況、内容、成果等であるが、今回の農業研究センターにおける試験研究の推進目標ということについては、平成9年4月に第7次農業試験研究構想というものを策定して、これに基づいて研究に取り組んでいる状況にある。今年度の成果という点については、主なものを申し上げると、大規模圃場整備に対応した水稲の大幅省力技術、それから、リンゴのポット養成苗を利用した早期成園技術、それから、畜産で問題となっておる堆肥施設の無臭化技術、こういったものについての成果が上がっておるという状況にある。
 今後とも試験研究の効率化を進めながら、生産者はもとよりであるが、大学あるいは国立研究機関等とも密接な連携を図りながら、開かれた試験研究機関として県民の期待にこたえてまいりたいと考えておるところである。

〇佐々木農蚕課長 本県が農業県と言えるかというような御質問との関連であるけれども、たくさんあって、ホップもそうであるし、たばこもそうであるしリンドウもそうである。そういう形で、本県は総合食糧供給基地を標榜しておるので、全国でも有数の農業県だという認識でおって、今後ともそういう気持ちで頑張ってまいる。

〇千田地域農政推進監 農管公社の平成8年度における決算における事業未収金のことであるけれども、平成9年3月末時点で確かに38億5、500万円の事業未収金が計上されておる。ただ、この内容は、農管公社が実施しておる農地保有合理化事業あるいは草地整備事業等に関係した国庫、それから県補助金、それから、この事業に参加した方々の受益者負担分である。農管公社では出納閉鎖を5月末としておって、こうしたことから3月末時点でこのような未収となっているものである。現在、全額納付されているものである。

〇橋本畜政課長 肉牛生産公社についてであるが、先ほどの答弁にもあったように、平成3年度には一時累積赤字が解消されたけれども、平成8年度末で約5億2、000万円の累積欠損金が生じているという状況にある。こうした状況を受けて、公社の方で平成13年度を目標年次とする経営改善計画を作成して、現在、経営改善に努めているところである。
 先ほど申し上げたように、黒毛和種における優良種雄牛の造成あるいは初妊牛の供給等による繁殖基盤の強化、こういったものが畜産振興上大きな役割を果たしているところである。ただ、本年度に至って大変厳しい経営状況の見通しとなっておるところであるので、より経営効率を高めるという観点から、黒毛に重点を置きながら、飼養頭数の見直し、人員削減等抜本的なリストラ策を検討しておる。今後とも一層の経営改善を図りながら、本県の畜産振興に寄与できるよう努めてまいりたいと考えておる。

〇中村農政部長 作目的に全国上位のものというお話があったので、ちょっと御披露させていただく。
 葉たばこ、ホップ、夏ホウレンソウ、リンドウは全国一であるし、リンゴが第4位、大豆第4位、夏秋キュウリが第3位、夏秋ピーマンが2位、夏秋レタスが第3位、ブロイラーが第3位、肉用牛4位ということであるが、いずれ今後とも生産量並びに所得の向上に向けて頑張ってまいりたいと思う。

〇小野寺委員 肉牛生産公社の関係で再度お伺いしたいけれども、予算書の169ページにもかなりの額が出ているが、先ほどの浅井委員の質問の中で、存廃はということで、あの答弁は存続ということで理解してよろしいのであろうか。
 それと、平成13年が目標であるけれども、もし改善がない場合の責任はどうなるのか。存廃と責任をお聞きしたいと思う。

〇中村農政部長 いずれ、今また再度の改善計画に取り組んでいるところである。そうしたことで、公社としても、本県の畜産の振興ということもある。しかしながら、そういう経営的な面でも改善を図っていかなければならないということで、いろいろな視野から検討をしてまいっているところである。

〇斉藤委員 4項目を2回に分けて簡潔に聞く。
 一つは、農政部にかかわる事務事業、公共事業の見直しについて、公共事業の占める比率は来年度予算でどうなっているのか。
 価格補償の事業とその額、予算に占める比率はどうなっているのか。前年比を含めて示していただきたい。
 事務事業の見直しについて、28件1億5、500万円の事業を廃止、縮減したとしているが、その中身、観点はどうなっているのであろうか。林水、土木と比べると極めて不十分な感じがする。林水は28億7、700万円、公共事業を中心に見直した。土木は47億1、400万円、これも公共事業を中心に見直した。農政部はそれが見当たらない。公共事業の見直しに取り組んだのかどうか。公共工事コスト縮減計画というのもあったけれども、そのことをまず第1点お聞きする。
 第2点、馬淵川沿岸水利事業について、私、昨年の決算でもお聞きした。この事業に対し、農家の約7割が水を必要としていないという、こういうアンケート結果があった。私は、この農家の意向を踏まえて、この事業は見直しが必要だと指摘をした。今後の事業計画はどうなっているであろうか。見直しをしたのであろうか。この事業は、国営事業で約500億円、県営関連事業で約200億円、計700億円という大規模事業なのである。であるから、見直ししないで進めるとしたら、この必要のない水の維持管理、負担、こういうのは結局農家に押しつけられる危険性があるのではないか。今後の進め方、事業後の維持管理、負担も含めてどういう見通しか示していただきたい、これが第2点である。

〇中村農政部長 まず、馬淵川沿岸水利事業であるが、国営事業で、平成5年度に着手し、9年度からダムを本格着工したところである。
 今後の計画については、平成11年にパイプラインに、平成12年度以降に揚水機場に着手する予定と聞いておる。
 また、事業の実施に当たっては、集落懇談会等における農家の皆さんの要望を踏まえ、県としては、附帯県営事業である畑地帯総合整備事業等の実施と関連させながら、揚水機場やパイプライン、農業用水の調整池などの配置計画や規模、工法を見直し、経済的な施工方法を採用するなど、事業の進捗に応じ、弾力的な対応をされるよう、引き続き国に対して要望してまいりたいと考えておる。
 また、負担の押しつけ等についてであるが、農業用水の確保あるいは施設については、作物の定植やかんがいに使う用水として計画されたものであるが、実際の営農に当たっては、防除用水や春先の強風による表土飛散を防ぐための防じん用水、果樹に対する霜からの被害を防止する防霜用水及び機械や収穫物の洗浄用水など、営農用水として多様な利用も考えられるところである。このようなことから、実証圃場の設置あるいは先進地の視察を行うなどして、幅広い農業用水の利用法について啓蒙普及を行っているところであり、将来、この地域の営農を考えた場合には、畑かん営農の普及とともに、簡易な農業用水の利用方法から段階を踏みながら水は有効に活用されていくものと考えておる。
 また、今後の事業の進め方については、国営事業については、附帯県営事業の施行と関連させながら、パイプラインの配置計画や工法検討、見直すべきものは国に対して弾力的な対応をされるよう要請してまいりたいと考えておるし、また、附帯県営事業については、農家の皆さんの意見、御要望を踏まえ、畑地整備や水路工法などの整備水準等を検討して、可能な限り農家負担の軽減に配慮しながら事業執行に努めてまいりたいと考えておる。
 将来の施設の維持管理についてであるが、基幹施設の管理に必要な電気料、施設管理費及び修理費については基幹水利施設管理事業、また、ダムの操作の技術取得や操作体制の整備等については国営造成施設管理体制整備促進事業、そして、パイプラインや揚水機場の維持補修については土地改良施設維持管理適正化事業などの導入を図りながら農家負担の軽減に努めてまいりたいと考えておる。
 また、公共事業の比較等については担当課長の方から答弁させるので、よろしくお願いする。

〇赤津農政企画課長 初めに、農政部予算に占める公共事業の割合ということであるが、これは平成10年度予算ということで、63・0%という状況である。
 それから、農産物価格補償の事業ということであるが、これについては二つある。青果物等価格安定対策費、それから、家畜畜産物価格安定対策事業費である。これを二つあわせると、平成10年度は2億7、710万8、000円という形になる。全体の農政部予算に占める割合は0・3%ということである。9年度においては4億3、311万2、000円ということで、この割合は0・4%ということである。
 なお、前年対比ということであるが、前年度対比は64%という形になっておる。
 それから、事務事業の見直しの視点等ということであるけれども、事務事業の見直しについては、スクラップ・アンド・ビルドの原則を徹底し、新たな事務事業の評価システムに基づいて、これまでの実情にとらわれることなく、ゼロベースという視点から、可能な限り指標等によって客観的に評価をしながら、廃止あるいは縮減可能なものについてはこれをすると。それから、一層推進すべきは推進するという基本的な考え方に基づいて見直しをしたところである。
 具体的な見直しの状況であるが、廃止したものは、モデル的に実施した、具体的な事業名としては家畜共済特定損害防止事業など3事業あるが、こういった事業については一定の目標を達成したと認められることから、類似事業等に組み替え等を行う等、より効果的な執行を図ることとしたところである。また、縮減したものについても25事業あるわけであるが、それぞれ事業目的等がある程度達成されたということから、事業費の縮減を図ったという状況にある。

〇高橋農地建設課長 公共事業の見直しについて申し上げる。
 今回、事務事業の評価システムによって農業農村整備事業についても見直しを行ったところであるが、各地区事業とも重要性とか必要性、また、効率性が非常に高く、また、農家の要望もかなり強いことから、現段階においては廃止とか縮減の大きな見直しとなる事業とか地区がなかったということによるものである。今後においても、農業情勢や社会情勢などを勘案しながら、評価システムによる検討を加え、重点的、効率的な事業の執行に努めてまいりたいと思っておる。
 それから、コスト縮減についても、県の行動計画に沿った形で部の行動計画も作成して、11年度までのコスト縮減10%を目標に取り組んでいるところである。具体的には、いろいろ他事業との一体施工とか廃材の利用とか、あるいは新基準の速やかな適用とか、そうしたことによる縮減に取り組んでおるところである。

〇斉藤委員 農政部の予算は63%が公共事業で、そして、農民が一番求めている価格補償、これはわずか0・3%だと。去年が0・4%で、ますます後退というのは、私は本当に農政のゆがみだと思う。国の段階は9・5%なのである。これは世界から見ても低い。イギリスが60%台、フランス、ドイツは50%台、農政予算の半分以上が価格補償なのである。私は、そういう点で、岩手が農業県、食糧県と言うなら、一番農家が求めている安心して物がつくれる価格補償、所得補償を思い切って県独自でもやるべきだと、このことを指摘だけしておく。
 次に進むが、米の暴落対策について、総括質疑の答弁で、稲作専業農家の減収額が平均180万円ということで答弁があった。極めて私これは深刻だと思う。県の対策でどれだけこれが補てんされる見通しであろうか。農家の生産意欲と経営を守る抜本的補てん策が必要だと思うけれども、今度のさまざまな対策の補てん策の総額、これを示していただきたい。
 転作条件の整備について、大豆、その他についても、私は2年限りではなく、生産、加工、流通を含めた特産物として成り立つ、そういうものにすべきだと思うけれども、県の施策としてどうなっているのか。
 減反拡大について、県自身限界感があると知事も部長も言ってきた。しかし、今回、文字どおり岩手県内でも6、300ヘクタールの新たな減反拡大ということで、私はこういう減反の拡大は強制すべきではないし、達成しなかった農家にはペナルティーをかけるべきではないと思う。高知県では、強制しない、ペナルティーをかけないと答弁があるけれども、私はその点についても、これはもう限界感があるのだから、それは当然だと思うが、いかがであろうか。
 有機農産物等認証事業について、来年度新規で350万円の予算が提案されているが、有機農産物表示というのは、そもそもアメリカと日本の代表者が国民の安全でおいしい農産物をという声を逆手にとって、コーデックスの有機基準に沿って輸入を一層進めよう、こういうねらいのものだと私は考えている。そして、有機農産物の表示がなければ安全ではないという形で多くの農産物を買いたたくというのが極めて重要なねらいである。自民党政府も昨年12月に表示ガイドライン、生産管理要領を一本化して決定した。私は、その中身、県が考えている中身を示していただきたい。どのように農家にメリットがあるのか、そのことも私は問題を指摘したので、指摘していただきたい。
 有機農産物と言うなら、私は岩手型の、今まで岩手県は豊かな自然、純情野菜とか純情米とか、そういうことで売り出してきた。私は、そういう条件が岩手にあると思う。日本全体が火山灰土で、化学肥料を3年間使わないとか、農薬を3年間使わないというのは非現実的である。それよりも岩手の畜産と結びついた堆肥化など、この資源を循環した岩手型の有機農業を私は進めるべきだと思うが、家畜のふん尿やその処理量、その活用状況はどうなっているか示していただきたい。

〇中村農政部長 米の暴落対策の稲作農家の減収に対する補てんの状況ということであるが、国においても、9年産米に対して生産者の拠出を国の助成による資金を財源に補てん対策を講ずることとしたところであるが、この対策によると、減収額の約5割が補てんされるという見込みである。なお、県としては、新たな貸し付け、利率1%の稲作経営安定化資金も創設させていただきたいと思っておるので、こういったものを大いに活用していただきたいと思う。
 次に、転作大豆等が特産物として成り立つようにという話であるが、来年度から生産調整面積の大幅な拡大に対応して、大豆、小麦の生産拡大をより一層推進していくということとしておるが、その推進に当たっては、技術的には排水対策など圃場条件の整備や栽培管理技術の徹底あるいはコンバインの導入等による省力化対策を図りながら、生産物に一層の付加価値を高めて農家所得の向上につながるように努めてまいりたいと考えておる。
 県としては、県産の大豆、小麦が豆腐やうどんあるいはパンなどの原材料として、それらの差別化商品の原料として加工業者あるいは製粉会社からの需要が高まってきておるので、契約栽培や地場加工の促進などによって付加価値を高め、収益性の高い転作営農として定着できるようにと考えておる。
 また、生産調整目標面積の達成についてであるが、市町村から生産者に対する面積の配分は今週中に全市町村で終える見通しである。今後、生産者の意向等を踏まえて、地域内で調整が行われることになるわけである。平成10年度は生産調整面積が大幅に拡大されたところであるが、生産者の御理解と協力を得ながら、目標面積の達成が図られるよう、関係機関、団体と一体となって推進してまいりたいと考えておる。
 その他のお尋ねについては関係課長の方から答弁させるので、よろしくお願いする。

〇佐々木農蚕課長 米価が下がっている中で、県は独自に補てん対策を講じたかというお尋ねであるけれども、国の新たな米政策において、9年産米については新たな米政策確立円滑化対策ということである。10年産米については稲作経営安定対策ということでそれぞれ補てん対策を講じられたところであるので、県は、国の対策を踏まえながら、本県の実情に即した独自の観点から米対策についての予算措置を行ったところである。稲作担い手育成生産調整支援事業については2億円であるし、それから、1%の低利資金、それから、転作営農の条件整備ということで、それぞれ独自の予算を講じたところである。

〇相原農業経済課長 有機農産物等認証事業の中身であるけれども、これは、先ほどの答弁にもかかわるが、有機農産物の県内生産、県外流通等の実態を調査をする。それから、農業団体、消費者団体等の関係者から成る有機農産物等認証制度検討懇談会−−仮称であるが−−、これを設置して、望ましい認証制度のあり方を検討する。さらには、創設された認証制度の普及啓発を図るため、パンフレットの作成、説明会の開催等を行うということである。
 それから、農家のメリット、デメリットである。難しい問題であるが、生産農家にとっては、病害虫の発生であるとか、栽培に手間がかかるなどのことがある。その反面、有利販売にもつながってまいる。さらには、これをてこに新たな販路の拡大も期待できると考えておる。今後、先ほど申し上げた懇談会において、こうしたことも含めてさまざまな御意見を伺いながら、本県の有機農産物の生産流通のあり方について十分検討して制度を立ち上げたいと考えておる。

〇橋本畜政課長 本県における家畜ふん尿の発生量についてであるが、飼養頭数から見て約420万トンと推定されておる。また、本県における堆肥化処理量であるが、本県には2万2、000戸の畜産農家があるので、全戸について処理状況、処理量を調査することは現実には困難であるが、処理量の動向を把握するために平成8年度に896戸を抽出して調査した結果によると、堆肥化処理施設を利用し、堆肥を生産した農家は506戸ということで、調査対象農家の56・5%を占めておるが、今後とも堆肥化処理が進むよう指導に努めてまいりたいと考えておる。
 家畜ふん尿処理については、資源の有効活用を図る等の観点から、また、消費者の安全、健康等のニーズにこたえるいわて純情米、純情野菜の産地づくりの推進を図る上でも、適正な処理による堆肥化と農地土壤への還元が基本と考えておる。県営畜産経営環境整備事業等の導入、また、畜産農家と耕種農家との共同利用による堆肥化施設の整備、広域堆肥センターの整備等を行って、今後ともこうした処理施設の整備、それから、その活用について推進していきたいと考えておる。

〇斉藤委員 減収額の5割補てんされるという根拠を示していただきたい。そもそも80億円の減収になって、予算化されているのは2億円、市町村含めて4億円である。そして、国の施策も、例えば平成9年産の補てん策は300億円弱である。そして、全国の農家の減収額は二千数百億なのである。私は、全然計算が合わないと思う。大体県が今回予算を出しているのは、減反拡大分の4、200ヘクタール分である。全農家対象の補てん策ではないのである。だから、私は全然今のには根拠がないと思うので、その点を示していただきたい。
 それと、転作助成金は18年間で5分の1に減っている。1980年は10アール当たり6万1、000円だった。来年度は1万2、000円である。だから、補てんどころかどんどん下がって、来年減反拡大するけれども、国の予算額はマイナスである。農家の負担額を入れてことしを超えるという程度なのである。私は、そういう点で、国の対策も県の対策も本当に補てんされるものになっていないと思う。公共事業に63%かけるなら、本当に今、この補てん策や価格補償策にもっと思い切って力を入れてもらいたいけれども、ぜひこの根拠を示していただきたい。

〇佐々木農蚕課長 先ほども申し上げたけれども、米価の低落に対する補てん対策については、9年産米、10年産米それぞれについて国で対策を講じられたところであるので、県としては、別な視点で先ほど申し上げたような3点の対策を講じさせていただいたということである。
 2億円の事業費の話があった。これは稲作担い手育成生産調整支援事業ということであるが、これは価格差を補てんするという考え方ではなくて、転作営農の定着化をを図る観点から、稲作所得と転作作物との差額を補てんして転作営農の定着を図るというような事業であるので、価格差補てん対策を目的として講じたものではないということである。

〇折居委員長 ほかに質疑はないか。

〇三河委員 中村農政部長におかれては、この3月をもって勇退されると伺っておる。この機会をおかりして、一言お礼を申し上げたいと思う。
 先ほど来各委員からのねぎらいの言葉があったわけであるが、この観点からも、中村部長のお人柄がしのばれるところである。
 中村農政部長が総務部人事課主事として県に採用されたのは昭和39年4月のことであり、折しも東京オリンピックが開催され、日本は建設投資ブームで好景気に沸き立ち、県政においては、前年、現増田知事の父君である故増田盛氏と選挙戦で相まみえた千田正知事が誕生しておった。
 中村部長は、その卓越した能力、識見に当時から期待をかけられ、総務部の各課や土木部、農政部等の幅広い分野でいかんなく手腕を発揮し、昭和60年に監査委員事務局次長として県幹部の第一歩を踏み出したものと伺っておる。
 62年には、故中村直知事のもとで秘書課長として安定盤石の中村県政第3期目を支え、平成元年には参事兼人事課長、その後、土木部次長、総務部次長を経て、平成6年には医療局長に就任されたのである。当時、医療局は毎年の赤字決算となっていたのであるが、中村局長は、長期経営計画後期計画の見直しに当たって、県立病院の各職種の代表を経営検討委員会に参加させ、現場の率直な意見を吸い上げるとともに、各病院の経営分析表をもとに局長が一々病院を訪問し、ひざ詰め談判で改善方策を指導、助言するなどして職員の経営意識を高め、平成7年度決算ではついに7年ぶりに単年度黒字を計上させたのである。これは、職員の意識改革を上意下達ではなく、徹底的に議論し、職員みずから考え、みずから行動して成し遂げた結果であり、中村部長の他人の意見に真摯に耳を傾ける姿勢、決して強制的でない姿勢が実を結んだものであり、昨今言われている県職員の意識改革を進めるに当たって、学ぶべきものが多々あると考えておる。
 平成8年4月には農政部長に就任されたのであるが、この2年間の御活躍ぶりは皆様御承知のとおりである。県内各地域の集落懇談会等で農家の方々の生の声を積極的に聞きながら、米、畜産の生産体制の強化と園芸部門の重点的な振興による収益性の高い農業への再編、いわゆるトライアングル構想を強力に推進するとともに、全国農業青年交流大会、食パラダイス岩手、全国和牛能力共進会という全国的イベントを強力なリーダーシップで大成功に導いた。特にも、昨年の東和町の自主減反問題の際の部長の奮闘ぶりには頭の下がる思いであった。
 また、10年度からの農政部の組織再編に当たっては、特に農業改良普及センターや家畜保健衛生所を統合の上、職員を集中配置し、総合力を高めるとともに、地域課題に応じたより高度、専門的な指導を行う組織とすることが大きな柱の一つであったが、中村部長は、この再編の趣旨や効果を理解してもらうため、各市町村や団体を延べ9日間、約1、900キロメートルも走り続け、説得に当たったと聞いておる。県議会各会派に対しても部長の懇切丁寧な説明があり、各委員に十分に理解されたようで、その根回し上手には感服した次第である。結果、本県の農政推進の強力な体制の基礎を築いていただいたものと考えておる。
 以上、中村農政部長の34年にわたる県勢発展に対する功績の一端と人となりを申し述べたが、ここに改めて長年の御尽力に対し敬意を表し、ねぎらいを申し上げるとともに、我々委員とともに休日のゴルフにおつき合いいただいたり、あるいは余りアルコールは強いようではなかったようにお見受けするが、宴席にもたびたびおつき合いをいただいたことに特に心から感謝を申し上げる次第である。
 退任後におかれても、健康には十分留意され、なお一層の御活躍、御発展をお祈り申し上げて御礼の言葉とさせていただく。
 この際、中村部長から退任されるに当たっての御所感をお聞かせ願えれば幸いに存ずる。

〇中村農政部長 ただいまは身に余るねぎらいのお言葉をいただいて、まことに恐縮に存じているところである。
 ただいま三河委員からお話があったように、私は、昭和39年に県に奉職させていただいて以来、今まで34年間、7部局で微力ながら県行政の一端に携わらせていただいたところである。今、30数年を振り返ってみると、それぞれの職場でいろいろな課題や対応に追われてきてというか、そういうことであっという間に過ぎたという実感を持っているところである。
 その間、常によき先輩、上司、同僚、そうした方々に恵まれて、また、支えていただきながら何とかこれまで務めさせていただいたところである。また、特にも議会の委員の皆様からは、各般にわたってその折々につけて御懇篤のある御指導、御支援をいただいたことに対して厚く御礼申し上げる次第である。
 幸い、最後の2年間、農政を担当させていただいたわけであるが、今の農業・農村は大きな転換期を迎えておることから、なかなか農業・農村の将来というか、先を読むことが難しいというときである。しかしながら、農政に従事させていただいたおかげで、農業は食糧生産を通じて国民の健康と生命を守り、人間にとって最も根源的な食の楽しみを与える産業であるとの思いもまた強くしているところである。
 また、県内各地を回らせていただいたわけであるけれども、そうした中で農家の皆さん方と接してみて、農業をライフワークとして誇りを持って岩手農業の可能性に意欲的にチャレンジしているすばらしい農家がたくさんおられることにも大変心強いものを感じたところである。こうした農家の方々に加えて、本県は全国的にも屈指の農業資源を有しており、また、先人がこれまで築き上げてきた農業基盤をもってすれば、本県は単なる総合食糧供給基地にとどまらず、農業を通じて国民に安らぎと潤いを提供し得るかけがえのない農業立県として注目されるようになってくると思っておる。
 また、そうした農業を展開していくためにも、もっと経営感覚を研ぎ澄ます必要があるとも考えておる。それは、農業は総合的な知識をフルに活用しなければならない産業であるので、経営設計や生産、販売、市場開拓、さらには財務管理などにも精通するとともに、それぞれが持っている能力、あるいは置かれた条件に応じて役割を分担するなどの対応の仕方も必要であると考えておる。また、そうした立派な農業を行っておる農家の事例や、若い意欲的な担い手の活躍ぶりを不断に、かつ広範に発信していくことも大事ではないのかとも思っておる。
 こうしたことを進めることによって、若者や女性、都市住民の方々がぜひ岩手にやってきて農業をやってみたい、あるいは行ってみたいというような農村づくりにつながると思うし、そうしたことで本県農業・農村の明るい将来が開かれていくものと、また、開かれていくよう願っているものである。
 大変貴重な時間をちょうだいして農業・農村に対する私の思いの一端を述べさせていただいたが、これまで委員の皆様の御指導、御鞭撻をいただきながら、ここに任を終えることができた。改めてお礼と感謝を申し上げるとともに、農業はまだまだ多くの課題を抱えておる。今後とも皆様の一層の御指導、御鞭撻をお願い申し上げてお礼のあいさつとさせていただく。
 本当に長い間ありがたかった。(拍手)

〇折居委員長 ほかに質疑がないようなので、これで農政部関係の質疑を終わる。
 以上で本日の日程は全部終了した。
 本日はこれをもって散会する。
   午後5時12分 散 会


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