平成10年2月定例会 予算特別委員会会議録

前へ 次へ

平成10年3月17日(火)
   

1開会  午前10時4分

1出席委員  別紙出席簿のとおり

1事務局職員
事務局長 村上勝治
議事課長 及川宣夫
議事課長補佐 駿河 勉
主任議事管理主査 千田正和
議事管理主査 上柿 聡
議事管理主査 木村 稔
議事管理主査 南 敏幸
議事管理主査 筒井則裕

1説明員
商工労働観光部長 佐藤孝司
商工労働観光部次長 小野寺彰
商政課長 菊池毅逸
岩手ブランド推進室長 山口和彦
経営金融課長 山火弘敬
工業振興課長 本田敏秋
企業立地推進監 土井 進
観光課長 保坂貢一
全国菓子博覧会推進室長 渡邊主喜
労政能力開発課長 武田 弘
職業安定課長 小林 訓
雇用保険課長 関澤 明
医療局長 渡辺 勲
医療局次長 佐藤 勝
参事兼職員課長 伊藤勝也
参事兼経営指導室長 吉川達男
参事兼医師対策監 高橋隆治
管理課長 長澤忠雄
業務課長 大川正裕
システム管理室長 佐藤 巖
地方労働委員会事務局長 藤田貞治
総務課長 相馬直人
審査調整課長 仙石隆夫
財政課長 千葉 弘
   

〇折居委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入る。
 議案第4号から議案第24号まで、議案第32号から議案第38号まで、議案第40号、議案第43号、議案第45号、議案第49号、議案第50号及び議案第53号、以上34件を一括議題とする。
 本日は、商工労働観光部、医療局及び地方労働委員会関係を終わるように進行したいと思うので、御協力をお願いする。
 また、世話人会の申し合わせにより、質疑項目が複数ある場合、関連する事項についてはできるだけまとめて質疑されたいこと、また、質疑及び答弁については簡潔明瞭に行い、午後5時を目途に審査が終了するよう議事進行に御協力をお願いする。
 なお、関連質疑については、質疑冒頭に質疑を表明している委員より優先して発言を認めているものであるので、その性格上、関連性の強いもののみ短時間、簡潔に発言されるよう、また、要望のみで終わることのないよう御協力をお願いする。
 最初に、商工労働観光部長から商工労働観光部関係の説明を求める。

〇佐藤商工労働観光部長 平成10年度の商工労働観光部関係の予算について御説明申し上げる。
 まず、一般会計予算であるが、議案その2の7ページをお開き願う。
 5款労働費のうち、3項労働委員会費を除いた32億8、216万2、000円と7款商工費の633億2、782万2、000円、あわせて666億998万4、000円が商工労働観光部関係の予算総額である。これは、前年度当初予算に比較して20億2、419万円、率にして約3・1%の増となっているものである。
 各項目ごとの内容については、便宜、お手元の予算に関する説明書によって御説明申し上げる。予算に関する説明書の149ページをお開き願う。
 5款労働費1項労政費1目労政総務費2億2、286万円余は、中小企業の労務改善や労使関係の安定促進などに要する経費である。2目労働教育費は、各種労働講座の開設などに要する経費である。次に、150ページに参って、3目労働福祉費2億7、370万円余は、岩手労働金庫等に対する貸し付けなどに要する経費である。4目雇用促進費2億5、656万円余は、障害者雇用対策費など、雇用の安定に要する経費である。
 次に、152ページに参って、2項職業訓練費1目職業訓練総務費9億7、941万円余は、技能労働者の技術水準の向上を図るための認定職業訓練及び青年技能者の育成などに要する経費である。2目職業訓練校費15億4、649万円余は、県立産業技術短期大学校を初めとする公共職業能力開発校等の管理運営、153ページに参って、技能労働者の向上訓練等に要する経費である。
 次に、飛んで202ページをお開き願う。7款商工費1項商工業費1目商工業総務費30億6、056万円の主なものであるが、銀河系いわてプラザ(仮称)設置事業費は、首都圏における総合的な情報発信拠点の整備を行おうとするものである。いわて新産業創造支援事業費は、内発的な工業振興を図るため、ベンチャー企業や起業家の育成等を行おうとするものである。特定産業集積活性化事業費は、地域産業の空洞化に対応するため、基盤的技術産業集積の活性化を図ろうとするものである。次に、203ページに参って、2目中小企業振興費483億9、609万円余の主なものであるが、商工業小規模事業対策費は、商工会や商工会議所などが行う経営改善普及事業等を助成しようとするものである。魅力ある商店街整備事業費補助は、商店街の組合や市町村等が実施する商業基盤の整備に対し補助しようとするものである。いわてあきんど塾開催事業費補助は、意欲ある中小小売商業者などの研修事業に要する経費を補助しようとするものである。商店街交流づくり事業費補助は、商店街の組合等が実施する広域的な交流事業等に対し補助しようとするものである。次に、204ページに参って、貸付金関係であるが、商工観光振興資金貸付金は、中小商工業者の設備改善等に要する経費に対する貸付金である。中小企業経営安定資金貸付金は、中小企業に対して運転資金を融資することにより経営の健全化を図るための貸付金である。いわて起業家育成資金貸付金は、創意と活力ある企業の育成のために、創業に要する経費に対する貸付金である。中小小売商業者等強化支援資金貸付金は、意欲的な中小小売商業者などが積極的に店舗展開等を行うために要する経費に対する貸付金である。次に、工業振興の関係であるが、中小企業創造技術研究開発費補助は、新製品や新技術開発等の経費に対して補助しようとするものである。次に、206ページに参って、3目企業立地対策費69億9、376万円余の主なものであるが、工業立地促進資金貸付金は、長期低利の設備資金を融資し、工業立地の促進を図ろうとする貸付金である。企業立地促進奨励事業費補助は、県北・沿岸地域等への企業立地を促進するため、市町村が誘致企業に助成する経費の一部を補助しようとするものである。4目中小企業経営指導費3億7、581万円余は、商工業研修及び中小企業地域情報センターに対する助成などに要する経費である。次に、207ページに参って、5目貿易振興費は、県産品の輸出拡大などに要する経費である。6目計量検定所費は、計量器の検査や指導監督に要する経費である。次に、208ページに参って、7目工業技術センター費13億7、776万円余は、特定産業集積活性化研究開発機能強化事業費など、試験研究等に要する経費である。次に、209ページに参って、8目大阪事務所費及び9目北海道事務所費、次の210ページに参って、10目名古屋事務所費は、それぞれの管理運営に要する経費である。11目福岡事務所費は、県産品の販路拡大及び観光客の誘致拡大等を図るため、福岡県福岡市に事務所を設置しようとするものである。
 次に、若干飛んで212ページに参って、2項鉱業費1目鉱業総務費は、鉱業関係業務の管理運営に要する経費である。2目鉱業振興費は、中小鉱山が行う探鉱事業を助成しようとするものなどである。次に、213ページに参って、3目鉱業対策費8億4、567万円余は、旧松尾鉱山の鉱害発生源対策工事及び新中和処理施設の維持管理などに要する経費である。4目銃砲火薬ガス等取締費は、火薬類、高圧ガス等の取り締まり、保安指導などに要する経費である。
 次に、214ページに参って、3項観光費1目観光総務費7億2、819万円余の主なものであるが、北東北広域観光推進事業費は、岩手県、青森県及び秋田県の3県が一体となって観光客の誘致拡大を図ろうとするものである。全国菓子大博覧会推進費は、平成10年4月24日から本県において開催される同博覧会の経費を負担しようとするものである。新しい旅推進事業費は、県内の広域的な地域ごとに旅行商品の開発及び宣伝活動等を行おうとするものである。2目観光施設費11億2、964万円余の主なものであるが、オートキャンプ場施設整備事業費は、陸前高田市に整備を進めておるオートキャンプ場の施設整備工事等を行おうとするものである。
 以上で一般会計歳出予算の説明を終わる。
 次に、債務負担行為について御説明申し上げる。議案その2の11ページをお開き願う。
 第2表債務負担行為のうち、事項欄の7から10までの4件が当部関係のものである。
 7は、岩手県火災共済協同組合が行う火災共済契約の履行に係り、8億円を限度として損失補償をしようとするものである。
 8は、岩手県信用保証協会が信用保証した創造的中小企業支援資金に係り、600万円を限度として損失補償をしようとするものである。
 12ページに参って、9は、財団法人岩手県中小企業振興公社が貸与した設備に係り、被貸与者から償還金の納入がない場合、6億6、200万円を限度として損失補償をしようとするものである。
 10は、市中金融機関が財団法人岩手県観光開発公社に融通した資金について、元利金の償還がない場合、9億円を限度として損失補償をしようとするものである。
 次に、特別会計について御説明申し上げる。議案その2の35ページをお開き願う。
 議案第10号平成10年度岩手県中小企業振興資金特別会計予算であるが、これは、歳入歳出をそれぞれ36億3、974万9、000円とするものであり、歳入及び歳出の区分は、36ページ及び37ページの第1表のとおりとするものである。
 第2表地方債は、歳出予算の事業費に充当するものであるが、この限度額を4億8、519万円としようとするものである。
 詳細については予算に関する説明書により御説明申し上げる。予算に関する説明書の388ページをお開き願う。
 歳入歳出の合計についてはただいま申し上げたとおりであるが、まず、歳入について御説明申し上げる。389ページに参って、1款繰入金1項一般会計繰入金1目一般会計繰入金2億6、539万円余は、中小企業高度化資金の貸付原資として一般会計から繰り入れるものである。
 次に、390ページに参って、2款繰越金1項繰越金1目繰越金2億2、642万円余は、前年度からの繰越金を予定するものである。
 次に、391ページに参って、3款諸収入1項貸付金元利収入1目貸付金元利収入26億5、871万円余は、中小企業設備近代化資金などの貸付償還金である。
 次に、392ページに参って、2項預金利子1目預金利子は、歳計現金の利子である。
 次に、393ページに参って、3項雑入1目雑入は、違約金収入などである。
 次に、394ページに参って、4款県債1項県債1目県債4億8、519万円は、中小企業高度化資金の貸付原資の一部として中小企業事業団から借り入れしようとするものである。
 次に、歳出であるが、395ページに参って、1款中小企業近代化資金貸付費1項貸付費1目設備近代化資金貸付費5億4、000万円は、設備の近代化を促進しようとする中小企業者に対して貸し付けしようとするものである。2目設備貸与資金貸付費5億9、000万円は、中小企業の設備の近代化を促進するため、財団法人岩手県中小企業振興公社が行う設備貸与事業に要する資金を貸し付けしようとするものである。3目高度化資金貸付費24億7、563万円余は、構造改善等高度化資金貸付金などの貸付金及び中小企業事業団に対する償還資金などである。
 次に、396ページに参って、2項貸付事務費1目貸付事務費は、貸付事務及び資金の回収などに要する経費である。
 以上で商工労働観光部関係の予算についての御説明を終わる。
 続いて、予算以外の議案について御説明申し上げる。議案その3の45ページをお開き願う。
 議案第45号産業技術短期大学校条例の一部を改正する条例であるが、これは、産業技術短期大学校の授業料、聴講料、入学検定料及び入学料の額を改定し、平成10年4月1日から施行しようとするものである。
 以上で商工労働観光部関係の予算及び予算以外の議案についての説明を終わる。よろしく御審議のほどお願い申し上げる。

〇折居委員長 ただいまの説明に対し質疑はないか。

〇藤原(良)委員 最初の御指名ありがたい。
 まずもって、日ごろの県政に対する真摯な取り組みに心から敬意を表したいと思っておる。
 私は、第7款の2目に関係して予算について御質問したいと思う。
 ブランドについて御質問する。
 まずもって、施策でブランド推進室をつくってブランド推進をしているわけであるけれども、私、簡潔にお答えをいただきたいと思うのであらかじめ申し上げておくけれども、取り組んでいる担当から、まず、ブランドの定義についてひとつ御報告いただきたい。

〇山口岩手ブランド推進室長 ブランドの定義ということであるが、一般的にはマーケティング用語ということで、広辞苑等によると、ブランドというのは焼き印とか商標とか銘柄と書いておる。正確な定義はないけれども、通常、ブランドというのは全国的なメーカーのブランド品というものを指すもので、売り手が提供する製品と他の類似の製品との差別化、これを図るということで、競争上有利な地位を築くために使われる例えば名称とか、あるいは言葉、サイン、シンボルマーク等を指すものと言われておる。
 ただ、近年、このブランドという言葉がそういう全国的なメーカーのブランド品だけではなくて、例えば1次産品から2次産品まで含めてさまざまな分野について広く使われておる。この場合、このブランドの一般的な解釈としては、例えば原材料とか製品の製法とか品質、デザイン、こういうような面で他の産地の製品との差別化が図られているもの、あるいは生産シェアが高くて高品質であるもの、知名度が高くて市場価値の高いものを指しておる。
 いわてブランドというのは、そういう意味で、さまざまな面で本県を代表するような特産品を一応指しているということである。

〇藤原(良)委員 なぜお聞きしたかというと、一言で言うと、流通を強化していく上で有利な商品をつくっていくということがブランドだと思う。このもととなっているのは流通である。私は、岩手県の産業が成り立っていく上で、付加価値がなおさらついていって、いわゆる地場産業もそうであるけれども、発展していくのは、いいものをつくると同時に流通が重要だと思う。流通を強化していくということは岩手県の大きな施策である。その意味でこのブランド推進室をつくっているのだと思う。そういう意味でお聞きしたのである。ブランドをどう思っているのかというのは、そういうことだったのである。
 そこでお聞きしていくけれども、10年度予算を計上されておるけれども、この予算の概要について、まず、御説明いただきたいと思う。これが1点。
 それから、今度の予算計上をするに当たって、これまでの流れがあればこそつくったわけであるから、これまでの成果、そして、それらから臨んで今後どういう取り組みをしていくかということをまずお披瀝をいただきたいと思う。この2点についてである。

〇山口岩手ブランド推進室長 簡潔にということであるが、平成7年にブランド推進室をつくったけれども、それ以来、今、委員おっしゃるとおり、総合的に情報発信していこうということで事業を進めてきておる。平成10年度においては、21世紀のブランドということで、実は平成9年度についてはサケ加工品をやったわけであるけれども、それのアクションプランをつくったので、それの実際の販路拡大ということで需要の拡大の事業を考えておる。
 それから、あとは岩手の魅力をアピールするための総合的な情報発信ということで、東京に情報発信拠点を整備するとか、いろいろそういうような事業を考えておるし、あとは、先ほどあったように、九州にそういう情報発信拠点を設けるということを考えているところである。
 今後の取り組みについては、独創的な商品開発の支援とか販路拡大ということで、消費者の購買意欲を喚起するような情報を体系的に発信して、全国各地の特産品との差別化を図る、それから、地場産業の振興と県産品の販路拡大に努めてまいりたい、そういうことを考えておる。

〇藤原(良)委員 私は、これはどうしてお聞きしているかというと、今申し上げたことと同時に、今度岩手県で農産物流通課をつくる、4月1日から。これも施策である。流通が大事だということで農政部につくるわけである。そうすると、これとの関係が出てくる。私は、1次から2次までを一括していわてブランドとして販路拡大を図るべきだと、そう思うし、そして、そういう考え方をお持ちになっているのではないかと思うけれども、それをまず今回の予算計上の中でお披瀝を願いたいと思うし、そして、この農産物流通課は今までなかったわけであるから、それが今度できて、商工労働観光部の山口室長のところで担当している岩手ブランド推進室とどういう関係になっていくのか、それをどうぞ御説明いただきたい。

〇山口岩手ブランド推進室長 最初に、どういう関連があるかということであるけれども、実は、平成9年から首都圏で岩手フェアというのをやっておるけれども、今までは各部が例えばいわて牛フェアとかさまざまな事業をやってきておるが、これを一緒に代々木で、平成9年10月に商工労働観光部だけではなくて林業水産部、それから農政部含めて一緒に情報発信をしたところである。そういうこととか、あと、ブランド推進室ができてからCD−ROM化したり、さまざまな面で1次産品から2次産品までいろいろと一緒にやろうということで事業を進めてきておる。そういうことで、ブランド推進室は、御存じだと思うけれども兼務職員が農政部、林業水産部にもおって、そことも常時連携をとりながらやっているところである。
 それから、10年度予算ということであるけれども、10年度予算には、そういうものも含めて、具体的には先ほどお話し申し上げた岩手フェア、これを一緒にまた首都圏でやりたいと考えておるし、それから、いわてめぐみフェアということで農政部がやっておるけれども、そういうものについても一緒にやりたいと考えておるところである。

〇藤原(良)委員 一言だけ申し添えておく。よろしくひとつ頑張ってやっていただきたいと思うけれども、先般、樋下委員、佐藤啓二委員、水上委員と私と大分県に行ってまいった。シイタケを見に行ったのであるけれども、その中で、外国でも大分県のシイタケは有名であるけれども、いずれ岩手県のシイタケの方が天皇賞をとっているので数段中身がいいのである。今、贈答品づくりをしておった。その贈答品づくりの流通の中で、3段ぐらい並べて箱に入れているのであるが、大分県の箱の中の一番上は岩手県のどんこ、干しシイタケにかわっているのである。要するに岩手県のシイタケが一番上になって、そして大分県産で売られているわけである。それくらい岩手県の品物がいいのである。シイタケに限って言うと、ましてや中国から入ってくるのをとても恐がっているわけであるけれども、干しシイタケになると半分ぐらいまぜ合わせると全く味がわからないし、値段が中国のものは3分の1だと。岩手県のものは非常にいいのだけれども、いわゆるブランド化をして、そういう意味での流通体系をきちっとしていくということは極めて岩手県の産業が強くなっていくことである。そういう意味で、これから農政部でもそういう流通課をつくるわけであるけれども、連携をしながら、どうぞ自信を持って対応していただきたい。せっかく予算を計上しているわけであるから、そういう意味でお聞きしたわけである。

〇谷藤委員 巨大ショッピングセンター進出問題についてお聞きしたいと思う。
 実は先日、東京インテリア家具というところが進出するという話で、地元の方々に説明会があるということで私もちょっとのぞいてまいった。なぜのぞいてきたかというと、あそこは運動公園のそばに予定しているようで、私もちょっと体育関係の方の絡みもあって、大会等のときとバッティングすると交通渋滞が大変なことになるということで、交通対策はどうなっていくのかという意味でちょっと出席をさせていただきながら取り組み状況をお聞きしたけれども、業者側というのは地元の人たちの声に耳をかす気は全くなしという感じで、予定している時間をいかにして消化するかということに終始しておった。そういうことで、非常に地元の方々にしてみると大変な問題なのだけれども、法的にはクリアできるということで、強気で、業者の方はどんどん説明をした部分に、きょうも回数に入るということで時間を消化していくというような対応だったと思って、ちょっと残念だった。1歩でも2歩でも地元の方々の声に耳を傾けて対応してくれればよかったという感じは持ったけれども、いずれいろいろな形で進んでいくのだろうと思う。
 そういうことで、今、県が把握している情報として、県内に進出しようとしている大型店、巨大ショッピングセンター、それをどういうふうに把握されているのかお聞かせいただきたいと思う。
 それから、一般的に巨大ショッピングセンターが進出をした場合、その地域におけるメリット、デメリット、これをどのように考えておられるのか、どう評価するのか、その辺をお聞かせいただきたいと思う。これは県民の消費生活面の部分と、それから、既存商店街への影響がどのように出てくるのかと心配するのであるけれども、その辺を含めてお聞かせいただきたい。

〇菊池商政課長 2点ほどであったけれども、県内の大型店の出店動向ということであるけれども、現在、10年2月1日現在で出店しておるのが第1種では63店、第2種では302店となっておるが、これからの出店ということで主なものとしては、例えば新聞でも話題になっておるけれども、盛岡市の南インターチェンジの近くにダイエーを建てる予定だとか、あるいは前潟の地区にマイカルが出店する予定であるとか、そのような動向が現在のところ把握されておって、第1種大型小売店舗としては、やはり2月1日現在であるけれども、18店舗が県下で予定されておるし、第2種が3店舗予定されておるところである。
 次に、大型店が出店した際のメリット、デメリットはどうかということであるけれども、メリットとしては、やはり消費者の選択の幅が大変広くなるということ。特にも今、消費者のニーズが多様化し、高度化している中で、特に多様化への対応ということで、大型店というのはさまざまな商品の品ぞろえがあるということ、そういったことから大きなメリットというのが考えられるのかなと。ただ、一方、デメリットとしては、御承知のように、郊外にこのような大型店が進出することによって、中心市街地にある商店街、既存の商店街が地盤沈下を起こすというようなこと、そして、個店を見れば空き店舗が増加してくるというようなこと、そんなことから地域のコミュニティーといったことが崩壊するのではないかという懸念が見られるというようなことがデメリットとして考えられると、そのように思う。

〇谷藤委員 今の御説明のとおり、消費者にとってプラスの面も確かにあるし、しかしながら、既存の商店街にとっては大変な事態である。長年培ってきた地域が崩壊していくということにも結びついていくということで、大変心配もする。
 そこで、環境面ということをとらえればこれは生活環境部であろうか、それから、大きなものをつくるときにはどうしても農地とのかかわりが出てくるから農政部関係とのかかわり、そういうことで、横断的な、市の方から例えば県に上がってきてから対応するという形ではなくて、既にこの近くも含めて、全国的に見れば進出したことによっての影響というのはかなり出てきている地域がたくさんある。まさに商店街の空洞化とか、そういうようなことを含めて、全国的に見ればたくさん出てきている。そういうところに出向いていって、県レベルでそうなった場合の対応をどうしたらいいのかということも含めて、横断的に各部署との話し合いというか、その辺を進めていく必要があるのではないかと思うけれども、現在までのところでそういう話し合いをしたことはあるか。

〇菊池商政課長 今の横断的な話し合いということであるが、ダイエーの出店計画というものが示されてから、我々商工労働観光部商政課が中心となって、昨年後半からであったけれども、関係部局、つまり都市計画の法律を扱っている都市計画課あるいは農地法なり、農振法なりを扱っている農政部サイドの方々、非公式な形であったけれども、連絡会議というものを設けて逐次情報交換をしているということである。なお、来年度においては、新年度早々と考えておるけれども、例えば、今、国では中心市街地活性化ということで11省庁にまたがって施策を検討しているということであるので、県としてもそういった動きに対応して、連絡会議を拡大して横断的な話し合いをさらに密にしていきたい、そう思っておる。

〇佐藤商工労働観光部長 ちょっと私から補足させていただく。
 さきの本会議で谷藤委員から御質問があったし、あるいは12月議会あるいはその前の9月議会にもそれぞれ委員から御質問をいただいた。
 実は、私ども従前所管しておった大店法から申し上げると、今までの対応というのはどうも内にこもり過ぎていたのではないかという反省があって、正直申し上げて現時点の法制度の中においてもちょっと出過ぎたまねがあるのかなという感じがなきにしもあらずである。ただ、現実の問題として大店法が廃止されるといったような情勢をかんがみると、それではちょっと間に合わないのではないかという感じがしたので、さきの本会議でもこういう勉強会をつくって検討させていただきたいということを申し上げた。これは恒常的なものとして、部局横断的な課題として取り上げていきたい、かように思っておる。

〇谷藤委員 県外からゴルフ場ということで県内に進出してきたときには、大規模開発要綱というか、それらをつくってある程度規制をしてきたわけである。ちょっと質は違うであろうけれども、こういう形で県で独自の対応をしていくという形は考えていけるものかどうかということをお聞かせいただきたいと思う。
 それから、市町村レベルでいろいろな意見を聞いて、それを県の方に最後に上げてくるという形になると思うが、そこの中で一生懸命情報を収集しながら委員会もつくりながらやっているようであるけれども、県として、やっぱりこれからの岩手県、巨大ショッピングセンターというのは、その1地域だけではない。県全体、そしてまた、場合によっては、スケールによっては隣県にまで及ぶ商圏という考え方でやっているわけである、業者側というのは。それだけ大きな影響を及ぼしていく。ただ市町村の問題というとらえ方ではなくて、県は、それぐらい影響力があるということは当然データ的に持っていると思う。どれぐらいの売り場面積でどれぐらいあればどの辺までの商圏というのがある、距離的にどうだとか、いろいろ試算しているものがあるだろうと思う。そういうことで、やっぱり県がもっと積極的に他県の状況も含めて調査をして、県民のためにトータルでどういうことになればいいのかということも、市町村レベルでもやっているであろうけれども、県がやはりそこを後押しするような形の部分の情報等も出せるような形をとっていく、そういう姿勢が必要ではないのかと思っておるので、その辺お聞かせいただきたいと思う。
 それと関連して、中心市街地の活性化、これは同時並行していかなければならないわけであるけれども、これから高齢化社会になっていったときに、大型店が例えば出ていって郊外型になっていく。そうすると、高齢の方々は歩いて買い物に行くときに、近所の店舗がどんどん閉鎖しているということで、大変不便を感ずる時代になりはしないかと思って心配している。そういうことで、やはりきちっとしたまちづくりをしていくことが必要だろうと思っておるし、既に空き店舗になっているところがあるわけである。これをどうやって地域の活性化に結びつけていくか。例えば空き店舗になっているところを近所とうまく交換等ができて一つのブロックに固まるとすれば、そこに新たな、福祉関係の施設でもいいであろうし、何か集客できそうな、集まることができそうなものにどんどん積極的に土地交換等も含めるような形で推進していくとか、あとは空き店舗の使い方では、場合によっては県であれば旅券室とか保健所関係とかいろいろな形に分散化していくというか、公の施設もそういうところに入れるものがあるとすればそこに住民サービスのために持っていくというような形の展開とか、幅広くその分野も考えていく必要があるのではないかと思ったりもする。ちょっと幅広い質問になったけれども、その辺についてのお考えをお示しいただきたい。

〇佐藤商工労働観光部長 3点ばかりだと思ったが、第1点目と第2点目は関連するので、あわせて御答弁申し上げたいと思う。
 先ほど申し上げたとおり、大型店舗を所管している私どもとしては、従前の対応というのは御案内のとおりの対応であった。しかし、どうもそれでは間に合わないのではないかといったようなことから、部局横断的に勉強会をやろうということでスタートした。二つ目のコミュニティーの破壊だとか、あるいはその影響度の問題、市町村とのかかわりの問題あるいは振興局とのかかわりの問題、いろいろその問題点が挙がってくるだろうと思う。それから、それぞれの所管している法律なり固有の権限、特にも同じ県としてやる場合でもバッティングすることが相当あるのだろうと思う。そういったことを含めて、4月から勉強会をしてどうやればいいのかと。振興局なり市町村なりを巻き込んで、できればその議論の経過を公開できるような形でお知らせしたいと、かように思っておる。
 それから、3番目の市街地活性化の問題であるが、これは今回の予算の中にも若干入っておる。一つのアイデアとして、例えば盛岡市内の某商店街、お年寄りが買い物はしたいけれども行けないという場合に、例えばファクスなり電話なりで出前ができないかとか、あるいは空き店舗を利用して、これは私どもの所管をちょっとオーバーするけれども、例えばお年寄りに幾つかのグループに分かれていただいて中古品を売買するとか、あるいは御自分たちでおつくりになったものを出していただくとかといったようなことで、お年寄りたちに町の中心部にお集まりいただいていろいろなことができないかといったようなことを実は今、考えておる。それらも含めてその検討会の中で勉強させていただきたいと思う。
 それから、ちょっと申し落としたが、県独自の規制については、新法なり、あるいはそれぞれの所管法律を見て、どの辺までが可能なのか、これも含めて、連絡会議で各部局の意見を聞きながら勉強させていただきたい、かように思っておる。

〇谷藤委員 いずれ県としてできる部分、環境面も含めていろいろなこと、交通問題もあるであろうけれども、そこの部分については、やはりやれる範囲のことはこれから県民のためにやっていくという姿勢をきっちり岩手県としては出していった方がいいのではないかと思う。これは農政部の方でも後で質問したいと思うけれども、やはり場所によっては、初めからだめなところに計画を立てること自体もおかしいのであるけれども、そういうものについてはやはり頑としてその辺は指導していく。初めからこういう規制がかかっていると。県の方としても、国に対して、その地域は国営かん排の方の事業を進めている地域であるとかと事前に教えておけば、これは難しい地域だということも計画段階でわかるだろうと思うので、いろいろその辺、騒ぎが起きる前に、ここは難しい地域であるとか、やるのだったらこの辺あたりでやったらどうかとか、少し指導してやらないと、収拾がつかないような騒ぎになってからおたおたしているような感じに見えるので、ひとつその辺も前向きに対応していただきたいと思う。

〇高橋委員 私から3点お尋ねしたいと思う。
 まず、観光施策についてであるが、知事が提唱した北東北3県知事サミットが開かれたわけであるが、そのテーマは観光を重視した話し合いを持たれたわけであるが、県民は少なくともこのことについて大変注目もし、大きな期待を持っておられるわけである。
 そこで、観光の予算を見ると何ら目ぼしいものが見当たらないわけである。少なくとも知事がああいう演述もしているわけである。その中には、魅力ある観光企画とか、あるいは広域観光の推進、そしてまた、情報発信の機能強化とか、そしてまた九州に拠点設置、そういうことをうたわれておるわけであるが、観光というと、やはりお客さん方に本当に注目されるような、他県と違った観光を推進することこそ岩手県らしい観光開発あるいは観光の推進につながるものだと私は理解しているわけであるが、いかんせん予算等を見ると何ら前年度と変わりのないような予算を組まれておるわけである。そこで、一体どこに着目して、あるいはどこに視点を持った観光をこれから進めようとしておるのか、それらの御所見をお伺いしたいと思う。
 それから、岩手県は大変広大な県土であるから、今までのようなパターンの観光PRであっては、県民はもちろんであるが、他県の方々から言わせれば、今までのあれから見ると余り魅力がないというようなことがよく言われておるわけである。と申すのは、やはり大きい観光地が控えておるし、また、自然も雄大であってすばらしい観光地があるわけであるが、私は、特に隠れておる名所旧跡、そういったものがかなり多く存在しておるものと思っているわけである。そういったものをむしろ発掘調査なり、掘り起こしをして、それらを重点的にこれから各市町村にも指導助言するなり、そういうことをやらないと、経済もそのとおりであるし、殊にも今の旅行の形態を見ると、むしろ小家族化あるいは小グループ的な観光客が多くなってきているわけである。そういうことからすると、やはり何といっても開かれておらない、隠れておった、そういった名所旧跡をどんどん発掘してこれからの観光に結びつけなければ岩手の観光というものは何ら未来のない方向に行くのではなかろうかという懸念もあるわけであるから、そういった面で、当局ではこれからどのような考え方で進めようとしているのか、その辺のことをお聞きしたいと思う。

〇佐藤商工労働観光部長 観光振興についてお答え申し上げる。
 私、全国の観光地と岩手県とを比較してみて、実は、岩手県にないのは中部山岳地帯の山岳美だけで、あとの観光美というのはすべて岩手県にそろっている、全国に誇れるものは県内にたくさんあると、かように認識いたしておる。そういう認識から、昨年度から始めた四つの王国、四国4県に匹敵する面積があるといったようなことと、北と南、内陸と海岸、全く態様が違う。あるいは景色も違う、人情も違う、食べ物も違うといったようなことから四つの王国ということで立ち上げた。実は、四つの王国の中で、大枠は示しておるが、あとはそれぞれの王国を構成される振興局なり市町村なり観光協会なり、あるいは業界の方々それぞれの知恵とアイデアによって売り出しを図るようにしておる。したがって、同じ王国の中でもそれぞれ濃淡があるといったような取り組みをしておる。その中で、委員から御指摘のあったような、多分私も知らないような全国的なレベルの旧所名跡がたくさんあるのだろうと思う。そういったものもどんどんその中で提案いただいて全国に発信していきたいと、かように思っておる。
 それから、10年度の具体の事業の内容については観光課長から答弁させる。

〇保坂観光課長 平成10年度の観光予算の関連等についてであるけれども、まず、観光というものは、やはりたくさんのお客さんに我が岩手に訪れていただく、こういうことがまず第1点大きな方向であろうと思う。もう一つの柱としては、魅力ある観光地をつくっていく、こういう二つの大きな柱があるのではないか、そのように考えておった。そういう観点から、ただいま部長も答弁したけれども、新しい旅、観光の方向が変わってきておる。委員先ほど御指摘のように、家族で観光する、あるいは、ただ単に観光地をめぐるということではなくて、参加体験型の観光を志向してきている、こういう形もあって、新しい旅、こう私ども言っておるけれども、四つの王国をつくって、地域の隠れた観光資源等を掘り起こしながら、それこそ商品開発等を進めている。さらには、観光のPR、これは、たくさん来ていただく、県内の方々にももちろん動いていただきたいと思っておるけれども、1億3、000万円ほどであるが、広域的な観光という形で、青森、秋田と一緒になって、首都圏、それから関西圏等々にPRを強力に行いたい、そういうように考えておる。特にことしの7月から9月までは、北東北デスティネーションキャンペーンと申すが、全国から北東北3県にお客さんにたくさん来ていただこうというキャンペーンを3県で共同で行うと、こういう形にしておる。
 それから、新しい観光資源の開発をするべきだと、こういうことであるが、地域には伝統芸能であるとか食材であるとか、我々知らない部分の資源というものがたくさんあるように思う。これらについても四つの王国ごとにいろいろと研究をしたり、それらを見つけ出しながら、それらの活用というか、観光ルート等を新しくつくり出す、新しいお土産品をつくり出す、ことし4月からであるが、こういう準備をしているところである。今後とも新しい観光資源の開発等については努力をしていきたいと考えておる。

〇高橋委員 いずれにしても、せっかく知事が観光を取り上げたわけであるから、岩手県は他県とこういうところが違うというようなこと、確かに四つの王国を設定してやられておるわけであるが、それは知事サミット以後のことではなくて、それ以前にそういう計画をされてやっているわけである。知事サミットをやられたのは10月であるから、知事の考えておった観光を目玉に、テーマにしたわけであるから、何かしらこういうことで知事が観光を取り上げたのかなという感じを持たれるような観光施策を講ずるべきだと私は思う。その辺のことをもう1回お聞きしたいと思う。

〇佐藤商工労働観光部長 先ほど観光課長が申し上げたが、事業の中に北東北3県と。これは今まで考えていたようなことではなくて、例えば高速道路を走ってきて一関から入ったときに、青森県も秋田県も岩手県に入ったところで3県の情報がわかるようにする。あるいは秋田空港に入ったときに岩手県、青森県の情報もそこでわかるようにする。あるいは青森空港、三沢空港に入ったときもすべてそれがわかるようにする。あるいは東京で、岩手県の事務所に来れば青森なり秋田の観光情報もすべてわかるようにする。あるいは、これは蛇足であるけれども、北九州福岡県に3県で共同の事務所をつくって、そこで物産と観光の共同事業をやるといったようなこと。委員おっしゃるように、知事サミットを受けてやるのがこの北東北3県、それから、九州地区における事務所設置、これがまさにその目玉となっておる。

〇高橋委員 わかった。いずれにしても、やはり観光を進めるためには、知事がせっかくああいうようなことを話し合ってこれから岩手の観光をすばらしいものにしたいと、こういうことの願いからああいうようなテーマにしたのだろうと思うので、いずれにしても他県にないような、こういうことが岩手の観光だということにひとつ今後とも努力をしていただきたいと思う。
 あと1点お伺いする。
 釜石職業能力開発センターの合理化についてお聞きしたいと思う。
 釜石職業能力開発センター、いわゆるポリテクセンターについては、さきの一般質問で部長から前向きな答弁をいただいているところであるが、閣議決定もあり、ポリテクセンターとして存続することは困難であるとの見解が出されたところである。ポリテクセンターは釜石地域の高揚に大きな役割を果たしているところで、平成11年度以降の対策を今から考えなければならないと思うわけである。部長答弁では、職業能力開発センターを別の形で残したいとされておるが、ポリテクセンター廃止後どのような形で残すことができるのか、その辺のことをお聞きしたいと思うし、また、県がどのような形で関与されようとしているのか、あわせてお伺いしたいと思う。

〇武田労政能力開発課長 ポリテクセンター釜石分所の廃止については、さきの一般質問で部長が答弁したわけであるが、あの際の答弁は、これから勉強しておくという答弁であったやに記憶しているところである。平成14年に廃止という日程は示されておるところであるが、ただいま委員も御指摘のとおり、あのポリテクセンターがなくなるということは地域の能力開発に大きな影響を与えることは確かである。したがって、その機能が低下しないようなことを含めて、現在、策定準備作業を進めておる新しい商工労働観光振興計画及び平成13年度に策定しようとしておる第7次の岩手県職業能力開発計画の策定作業の中で、沿岸地域における職業能力開発施設のあり方について検討してまいりたいと考えているところであるる
 労働省では、この廃止問題について提案されるに当たって、廃止後のセンターのあり方について四つほどの例を示しておる。職業訓練法人による認定訓練校としての活用。二つ目としては、施設を有償譲渡して、県または市で職業能力開発施設等に活用する。それから三つ目としては、事業団施設としてそのままにしておって、地域職業訓練センターとして活用する。四つ目としては、この三つの活用方法を組み合わせて複合施設として活用するというものである。こういったことも検討材料の一つであろうかと考えているところである。

〇高橋委員 今の答弁であると、何か消極的な面も若干受けとめられたような形であるけれども、前向きな形でいくのだと、こういうお話であるが、いずれにしても、この施設を地域の方々の期待に添うような、しかも後退するようなことはない形での活用ができるようなお話なわけである、今の段階では。そういうことで、ポリテクセンターは単に釜石だけではなく、周辺市町村はもとより、この天井走行クレーンの能力開発は東北でもただ一つの施設であるわけであり、県も、これに対して何らかの関与をし、釜石とよく協議をして、地域のために最善の努力をしていただきたいと、このようにお願い申し上げたいと思う。どうかひとつ努力していただきたいと思う。

〇伊沢委員 1項4目の雇用促進費にかかわってお伺いしたいと思う。
 何点かお伺いしたいと思うけれども、最初に、県内の企業の、いわば不況を含めた大変な状況がずうっと言われているわけであるが、こういった状況の中で、ことしの高校卒業生を中心とする新規の学校卒業生の、言ってみれば就職状況についてはどのようになっているのかお伺いしたいと思っているわけである。
 また、いろいろな予算書の中を見ると、企業に対する新規雇用等を含めた働きかけや就職を求める人たちのガイダンスを含めて、県としてもかかわってきている部分があるのではないかと、こう思うわけである。9年度どのようなかかわりをしてきたのか、また、新年度においてはどのようにしていくのかお伺いしたいと思う。
 あわせて、これから高齢化社会が言われているわけであるが、中高年齢層の方々、企業の倒産も含めて、再就職を含めて今後大変出てくると思うのであるけれども、この中高年層の再雇用に向けた対策について、どのような形で進められていこうとしているのか。受け皿づくりというか、そういった部分についてお願いしたいし、あわせて、障害を伴う人の雇用の問題については毎回取り上げられているわけであるが、法定雇用率の達成率等について、どのように把握されているのかお伺いしたいと思う。福祉分野のみならず、ノーマライゼーションということが言われているわけであるけれども、企業において障害を持った人も働けるというのが基本でなければならないと思うわけである。そういった意味での企業に対する指導等についてお伺いしたいと思う。

〇小林職業安定課長 まず、第1点目の新規学卒者の就職に関してであるが、これは県内各公共職業安定所が教育機関と連携して、就職担当の先生あるいは就職を御希望の生徒さんたちを対象として、職場見学であるとか、それから生徒に対する職業の指導ということを行っておるわけである。その結果、今の見込みであると、おおむね100%就職が決まるという見込みになってきておる。
 次に、中高年齢層の雇用の促進であるが、高年齢者の就業のニーズというのが近年いろいろ多様化してきており、再就職の援助を進めるに当たってさまざまな形をとらざるを得ないという状況になっておる。そういった中で求人・求職の情報の提供、あるいは助成金の活用、そういったことをフルに活用して就職をしていただく。さらに、臨時、短期的なお仕事を望まれる方については、シルバー人材センター事業を10年度からさらに拡充するというような形で新たな就業についていただくという方向を模索しておる。
 3番目であるが、障害者の就職促進であるが、現在の法律上の定められた雇用率は1・6%以上ということになっておるわけであるが、県内ではその1・6%を逆算すると、1人以上雇わなければならないという会社が642社ある。この642社の平均実雇用率として現在1・6%という状況で、全国平均が1・47%であるから、全国ベースから比べると大分高くなっているという状況である。さらに、未達成の企業も当然まだあるので、個別に指導しているところであるが、さらにことしの7月1日から、この1・6%という法定の雇用率が1・8%まで引き上げられる。これに伴って未達成の企業がまたふえてくるということであるので、さらに指導を強めていく、あるいは助成金等の給付を活用していくということで考えておる。

〇伊沢委員 高校の新規卒業ということで今お話をいただいたが、県内、県外の別がわかるのであればお知らせいただきたいと思うわけである。
 あわせて、ちょっと違う課題でお伺いしたいのであるが、職業訓練校費にかかわってお伺いしたい部分であるが、昨年、産業技術短期大学校が開学し、1年生が勉学をしてきたと思う。ことし2学年が入学しながらやっと満杯で運転をしていく、こういうことになるわけであるが、1年間を経過して、学生さんの、言ってみれば向学心というか、勉強に臨む態度を含めてどのように把握されているのかという部分をお示しいただきたいと思うわけである。勉強の課程において、私も校内を見せていただく機会があり、大分フランクな服装の中で伸び伸びとやっているのかと、こういう感覚を持ってきたわけであるが、途中でやめた方があったりしていれば大変であると思うわけであるが、その辺の部分をお知らせいただきたいのと、ことしの入学生の中で、県内、県外の、いわば入学金というか授業料を含めて差をつけてきたわけであるけれども、県内、県外の入学の別というか、それがどのような状況になっているのか、把握していればお知らせいただきたいと思う。
 あわせて、先ほど高橋委員の方から釜石の部分についての御質問があったわけであるが、県内に高等技術専門校があるわけであるが、何カ所か私も見る機会があり、お話を聞いてまいった。すべてではないと思うが、地方においてこの高等技術専門校に対する言わば入学予定者というか、募集にかなり苦労されているということも聞いてきたものであるから、今後の短期大学校を含めて、水沢にある学院もあるわけであるけれども、全体の高等技術専門校のあり方というか、地場産業を含めて、ニーズにこたえる、先ほど中高年の皆さんの雇用問題も含めて私聞いたわけであるけれども、再雇用に向けた職業の訓練、技術の習得、そういった部分に向けてどのような方針をお持ちなのか、あわせてお伺いしたいと思う。

〇小林職業安定課長 まず、私の方から高校生の県内、県外の就職状況についてお答えする。
 ことし3月卒業見込みの方々で1月末現在で統計をとっておるが、69・1%が県内に就職が決まっておる。あと、まださらに、1月末現在であるので、全員が就職が決まっているわけではないので、この後数字は動いてくるかと考えておる。

〇武田労政能力開発課長 産業技術短期大学校の生徒の勉学状況ということであるが、現在のところ、入学当初は、高等学校を終わって入ってきたわけであるけれども、いわゆるカリキュラムが若干今までと違ったことで、一生懸命勉強しなければならないという状況もあり戸惑いがあったようであるけれども、夏休み以降そういったこともなくなり、勉学にいそしんでいるということを聞いておる。ただ、やはり進路指導というか、若干進路の見きわめができなかったということもあり、残念ながら退学した生徒もいる。現在、100名の定員のうち99名ということである。
 それから、県内、県外の生徒の状況であるけれども、平成9年度の入学については3名が県外から入っている。平成10年度については1名という状況である。
 それから、今後の職業能力開発の考え方ということであるが、県立施設としては、ただいま申し上げた産業技術短期大学校、それから水沢にある高度技術専門学院、それから二戸、宮古にある高等技術専門校、それから久慈、大船渡にある職業能力開発センターである。生徒の募集に苦労されているというような話があったけれども、確かに、新規学卒者の生徒の募集については、指導員ともども苦労しているところである。そういったことがあり、在職者訓練にシフトする傾向があるので、昨年、久慈、大船渡については在職者訓練を主に行うセンターに指定しているところである。
 今後とも、地元の産業等のニーズを把握しながら、いわゆる時代に即応した職業訓練を担っていきたいと考えているところである。

〇伊沢委員 県内に就職される方が決まっている段階で70%近いということで、ちょっと意外な部分があるのであるが、先ほど谷藤委員の質問の中で、部長が、大店法に絡めて私がおととし聞いたのとは180度も違うような御答弁をいただいているわけである。安易に大きなところをやるという形ではないように私は受けとめたわけであるが、大型店舗が来れば雇用もふえるであろうという部分は当然期待されるのであるが、そうではなくて未来永劫地元でやれる、働ける、そして地域のまちづくりを含めてやるということになれば、中小の商店なり、工業関係でいろいろ誘致をされているところ、これからも努力されていかなければこの雇用問題も含めて解決できないのかと、こう思ったところである。改めて、企業誘致を含めたいろいろな産業の集積を含めて、雇用問題について部長の御決意というか考え方があればお示しいただいて、私の質問を終わりたいと思う。よろしくお願いする。

〇佐藤商工労働観光部長 若干舌足らずであるけれども、日本の産業の構造の中で大変他国に誇れるのは、大から、特にも中小企業、非常に元気のある中小企業がたくさんあるということが、他国に比べて誇れる一つの大きな要素であろうと思う。その中小企業を支えているのは何か。例えば、私ども産業集積活性化と常日ごろ言っているけれども、東京の大田区を岩手県につくりたい。というのは、大田区で何が支えているかというと、大田区の零細企業が日本のトップ企業を支えているという構造である。要するに、一例を申し上げると、全く設計図がなくても、世界の最先端を電話1本で、言葉のやり取りだけでさっとつくり上げるという大変すばらしい技術、これが他国に比べて日本のよさ、強みであろうと、かように思う。
 そういうことから申し上げると、職業訓練教育も、あるいは教育委員会所管の産業技術教育も相まって、さらに深度を深めればいいのではないかと、かように思っておる。

〇折居委員長 この際、進行に御協力を願うため、質疑も答弁ももう少し簡潔にお願いしたいと思う。

〇伊藤委員 1点だけお伺いする。
 213ページの休廃止鉱山の坑廃水処理という部分であるが、これは、言ってみれば北上川の清流化対策と、こういうことであろうと思う。昨年暮れに、こういった部分に国の予算がカットされるのではないかという危惧が報道されたところであったが、今回はうまく満額ついたということで、ことしもまず大丈夫であるなと思うわけであるが、これについてちょっとお伺いをしたいのであるが、これは五つの国の省庁から幾らかずつ、それから県も独自に出した中で、総額で幾らでやっていると、こういう部分があったと思うが、まずこの点をひとつお知らせいただきたいと思う。

〇本田工業振興課長 213ページの休廃止鉱山の坑廃水処理費事業補助であるけれども、8億3、462万4、000円、全部計上しておるけれども、通産省の方で所管しておる補助事業であるので、これにより昨年の財政構造改革の一連の流れがあったわけであるけれども、いろいろ要望活動を展開した結果、この坑廃水処理については非常に大事な経費であるということで、削減の対象にならず満額措置されておる。これは通産省の補助金である。

〇伊藤委員 これは私、前にもこの予算委員会で取り上げた記憶があるのであるが、一昨年が清流化の20周年であった。ということは、人が生まれて物心がつくのが三つ、四つ、五つぐらいと、こうなると、現在では恐らく二十五、六歳以下の若い世代は、かつてあの北上川がああいう色をして流れていたということをほとんどがもう知らないと思うのである。岩手県民の中では、地域性もあれば、恐らく半分近い人がもう知らない、忘れてしまっているのではないのか。そういったときに、これは未来永劫人工清流としてこの部分をやっていかなければならない部分であるから、もしかして国の方でそういった部分も一律カットすると、こういうようなことになると、岩手県は環境創造元年ということをうたい出した新年度から、まさか途中でやめるわけにはいくまいと。そうすると、もしそういった部分がカットになると、8億幾らを丸々県単のお金を出してやっていかなければならないのではないかという危惧があるわけである。したがって、私が前に言ったのは、知らない層に、これは人工の清流であって、今後も未来永劫続けていかなければならない部分なのであるという部分をまず県民に知らしめるべきではないか。これが、言ってみれば環境創造のいいお手本なのであると、こういう部分のサンプルにしていただいてもいいのではないか。しかも今度は、国の省庁の人たちについてはほとんど知らないわけであるから、だんだん知らない方に知らない世代が陳情していくというのは説得力がなかろうと思うのである。前にもこれを言ったときに千葉副知事は、貴重な御意見であると、こういうことであったが、その貴重な御意見がどのように生かされてきたのかと。これは次なる世代にも申し送っていかなければならない部分であるが、満額勝ち取っていくためのこれからの働きをどのようにお考えになっているのかお聞かせいただきたい。

〇本田工業振興課長 伊藤委員からは作年の決算特別委員会でも御提言をいただいているところであり、私どもも委員の提言、もっともなことであると承知している。実際こうした実務を担当しておると、文字どおり知らない世代が大分ふえておる。県庁の中においても、当時の状況などをわからない方々もどんどんふえてきているということもあるので、まず第1点に行ったのは、生活環境部あるいは企画調整部あるいは土木部、その関係課との密接な連携の会議を持っておる。それから、建設省の岩手工事事務所の方ともいろいろな打ち合わせ会を持っておる。それから、これまでの経緯、非常に実質的な経過もあるので、その経過も一度全部まとめて、それでそれぞれの関係者、これは国の5省庁に対する働きかけをする場合においても、客観的な事実経過というものが必要であるから、その経過を全部まとめ上げておる。
 それから、啓発ということは非常に大事であると考えており、金属工業事業団の方で、幸いにも昭和57年当時制作した清流化に取り組んだもろもろの経緯を啓発用にまとめたビデオがあるので、これをリニューアルして、できれば県内の教育機関、学校も含めて、あるいは市町村、それから関係機関等にも配布しながら啓発、啓蒙に取り組んで、この北上川清流化がいわゆる県民一丸となって取り組む課題であるといったようなことを働きかけてまいりたいと考えておる。

〇船越委員 私、観光問題について3点お伺いする。
 214ページの、東北3県の知事さん方がサミットで観光立県ということを打ち出したということで説明があったので、それではということで、今までも何度か申し上げたけれども、勇気を出してまた申し上げる。
 第1点は、たびたび話になっているのであるけれども、これも最後は交通アクセスによってなかなか大変なのであろうと思うけれども、重茂半島の月山観光開発、これは我が友である伊藤委員がよく、函館の夜景より1万ドル余計であるとか、すばらしいPRをしておるので今さら言うまでもないが、これについて、私宮古市議会等でもう何度もやっているのであるが、2代、3代、4代の市長さん方にあれしているが、話すことはいいけれども、なかなか1枚のガードレールもつかないし、1メートルの舗装にもならないということで、何でこれははかどらないのかということであるので、何か県の方で援助して何とかこれを実現できないかと。要するに、高橋賢輔委員が言ったように、観光の拠点をつくるべきではないかと、同じ発想である。
 それから二つ目は、今まさにNHKドラマ徳川慶喜で明治維新、攘夷か開国かをやっているのであるが、宮古湾海戦という一つの事実が宮古にあるわけである。これに対する記念館とか博物館とか、こういった資料を集めてからこういったような観光の拠点をつくらないかということ。
 3点目は、新潟県の三面川に有名なサケ川があるのであると。この間も天皇陛下が行幸した。天皇陛下が三面川の方が日本一であると思っていたらしいのである。それで津軽石の人が、冗談ではない、とんでもない、津軽石川の方がはるかに本邦随一であると。三面川はサケの遡上数が二、三万であろう。ことしあたりでも宮古は断然本邦随一で、この間までに十七、八万本揚がっているのである。今も何本か揚がっているかもしれない。そういったようなことで、これは日本一であるということで、これを何とかサケ博物館なり記念館なりに、県が応援しなければ、これもかけ声ばかりでなかなかはかどらないのである。
 この3点について、観光立県をうたっている積極性をひとつ御答弁いただきたいと思う。

〇佐藤商工労働観光部長 3点ばかりあったが、最後の新潟と津軽石川の件について私から答弁させていただく。前段の重茂半島開発、あるいは宮古湾海戦記念館については観光課長から答弁させていただく。
 実は私、先ほど山口ブランド室長が御答弁申し上げた中で、サケのブランド品についていろいろ検討していた。その中で、私自身もかねてより不思議と思っていたのであるが、実は私ども新潟県に行くと、御案内のとおりサケの頭からしっぽまで全部使った料理がある。岩手県内で頭からしっぽまで使ったサケを常時出してくれるようなお店がない。何かこれが観光に使えないのかということで、実は私もそちこちでお話し申し上げているのであるが、なかなか、どうも岩手県民はサケをそういう形で常食する習慣がないようであると、それが1点。
 それから、新潟県は、御案内のとおり川に上がったサケを消費する日本一の県といったようなことで、多分そういう記念館もおありになるのであろうと。ただ、船越委員から御示唆のあった、記念館は別の話として、サケを使った料理で、例えば魚彩王国とは別の観点で村おこし、地域おこしができないかということは、実は私どもも危機感を持っているし、御提案申し上げている。

〇保坂観光課長 2点ほどであるけれども、まず重茂半島の観光開発についてであるが、重茂半島、啄ヶ崎であるとか、いろいろ自然にあふれた地域であると、そう認識をしておる。どちらかというと観光開発の関連については、自然公園サイドでいろいろ施設整備がなされている面もあるわけであるが、昨年であったか、宮古市で重茂半島地域を観光レクリエーションゾーンと位置づける調査報告書を取りまとめたと承知しておる。私どもも拝見させてもらっておるけれども、あの調査報告に基づいて市が具体的な計画づくりをすると、こういう形になると、私どももある程度助言をしたり、あるいはその計画に基づいた事業展開、事業実施、そういう段階になったならば、これは必要な支援等についても私どもは検討しなければならないと、そう思っておるところである。
 もう一つは、宮古湾海戦、戊辰戦争のときの歴史的な海戦であったと、130年前であったか、そう思っておるし、浄土ヶ浜等に記念碑等があるのは承知はしておる。しかし、ただいまお話があったように、観光拠点という形でハードな施設ということになると、これはまず、そういう宮古湾の海戦があって歴史的なものがあるぞと、そういうことをまずもってPRをして、周知をすることが先ではないのかと。私どもは、先ほど質問もあったけれども、地域の隠れた観光資源、これを地域で一生懸命になって開発をしながら、PRしながら観光に結びつけていく、こういうものが非常に大事になると、そう思っておるし、この宮古湾海戦の関係についても、例えば、これは魚彩王国を今やっているわけであるが、そういうバスの周遊コース等に取り入れることができないのかどうか、そのことも含めて地域の方々と少し検討してみたいと、そう思う。

〇船越委員 私たちが観光に行って、高知の桂浜とか、あるいは播磨屋橋、ああいったようなものも、岩手県の松とか岩に比べたらさっぱり、こういうのはどこにもあるというような、さえたところではないのであるけれども、たかが演歌で播磨屋橋でかんざし買ったとか、こういったようなことで桂浜が有名になり、播磨屋橋が有名になり。二見浦と言っても、あの岩といい松といいさっぱり、何だこんなものどこにもあるといったようなことであろう。そういったようなことでもあるし。
 だから私は、花輪の殿様、南部公の落し種のあったところ、あそこで秋に部落で文化祭をやる。大変な資料があるのである。それから、津軽石川のあたりで盛合様という、非常にすばらしい素朴感があって、この人を中心にしたすばらしい文物が出てくるそうである。だから、集めればいっぱいある。だからサケも、三面川で有名になったのは、有名な稲葉修、彼らの奨学金を生み出した川であると、その他もろもろ偉人を生み出しているそうであるが、それから比べれば非常にすばらしい素材を持っている。問題は、今課長が言ったように、まず県が先にやるわけにはいかないから宮古市に声を上げさせろというように私は受け取ったから、私は帰ったらすぐ市長のバネを巻くので、そうしたら皆様方は、よくやったということで懇ろに面倒を見ていただくことをお願いして終わる。

〇佐々木(大)委員 観光開発についての関連をさせていただきたいと思う。
 今お話出たように、いろいろ観光開発の手法というものはあるのであろうと思うけれども、特にその中で、日本一運動というのがふるさと創生でも出た。ふるさと創生の場合は地域開発の日本一競争であったであろうと思うが、観光の開発の方法論としても、日本一というのは一つの大きな観光開発の基本になるのではないかと、そう思うわけである。そうした場合に、今出たサケの遡上の数などでは日本一がはっきりうたわれたし、そういう分野で、岩手県は案外日本一というものが少ないように感じているわけであるけれども、観光開発の手法がいろいろ漠然とし過ぎているものであるから、具体的に持っていくときにこの日本一というのは非常に大事な要素であると、そう考えるわけであるけれども、岩手県にまだ知られていない日本一がどれほどあるのか、そういう調査はされておるであろうか。

〇保坂観光課長 日本一ということであるけれども、たしか岩手日報あたりで岩手の日本一という形で本にまとめられているのも知っておるわけであるが、その中には、御案内のとおり陸中海岸国立公園の自然海岸率と申すか、手つかずの海岸の率、これが78%ほどであったと思うけれども、そういう日本一もあるし、木炭の生産量の問題であるとか、たくさんある。その中でも特に、私どもは観光に結びつける要素というものをいろいろ検討はしているわけであるが、観光サイドから日本一という調査というものはいまだにしておらない。ただ、今後はそういうPRの方法とかやり方の問題で、今の日本一運動も含めて検討はしたいと思うけれども、おかみ会の、例えば優しさというのであろうか、そういうことが日本一であるとか、いろいろ方向はあると思うので、検討はしてみたいと思う。

〇佐々木(大)委員 いろんな意味での日本一があると思うけれども、その日本一の中で、観光に可能性のあるものというのは今前向きに検討するというお話であったが、具体的な内容を詰めていくと、先ほど高橋賢輔委員から話が出たように、今の観光の需要というのはかなり小規模化というか、団体ツアーではない形になってきておる。そういうときに求めてくるものが多様化しているものであるから、そういう部分がバラエティに富んだ対応ができないと、観光の需要というものにはついていけない。そういうことを考えると、今のお話を早速実行していただくようにお願い申し上げたいと思う。

〇伊藤委員 ただいまの船越委員と部長のやり取りの中で、部長からサケを丸ごと使った料理がないと、こういうお話であったが、実はいつお話をしたらいいか温めていたのであるが、宮古にはあるのである。サケの新巻き、ちょうどこれからの時期であろうか、丸ごと1匹を昆布をだしにして日本酒だけを入れて6時間ぐらい炊く。そうすると、頭からしっぽから骨から、全部食べられるようにやわらかくなる料理方法がある。これはある80歳になるおばあさんの独特のつくり方のようで、いつもごちそうにはなっているのであるが、おかくれになる前にこれはお聞きしておかなければならないと思っておったので、ぜひいつかの機会に皆さんに御賞味いただくような機会を提供したいと思っておる。

〇菊池(勲)委員 こんな風景はめずらしい委員会なのである。私も7年になるけれども、同じ選挙区で戦っている2人が、一緒になって観光に当たるというのは、これはめずらしいことなのである。特異中の特異なのであるから、課長の答弁ではうちの船越賢太郎委員は満足いかないと思う。せっかく伊藤委員と合わせてやろうと言っているのであるから、部長、予算的な問題は今審議中であるから、平成10年度の当初予算には間に合わないであろうと思うけれども、4回の補正があるであろう。僕も何度か聞いているのであるけれども、まだ行ってみたことはないのである。来てくれと呼ばれないから行っていないのであるけれども、恐らく2人が言っているからすばらしいところであると思う。そして、宮古選出の2人が気を合わせてやると言っているのであるから、課長の答弁では満足いかないのである。部長、何とか答弁してもらいたい。

〇佐藤商工労働観光部長 ちょっと出過ぎた答弁になるかもしれないが、振興局の方にも私どもの方から、本日のやり取りを含めて御提案申し上げて、あるいは市長さんの方に私どもの方からアプローチをしたいと、かように思っておる。

〇大久保委員 3点お伺いする。
 まず1点であるけれども、地域人材育成総合プロジェクト事業についてである。
 近年、若年層を中心としたものづくり離れが顕著となり、特にも製造業や建設業において技能者が不足し、技能の維持・継承や新たな製品開発に必要な技能の高度化が難しい状況になりつつあると言われておる。私は、この問題が近い将来、企業の発展や雇用の安定確保に影響をもたらすのではないかと危惧しているわけであるが、こういう時期こそ、若年技能者の育成・強化が必要であると考えておる。
 そこでお伺いするが、地域人材育成総合プロジェクト事業費補助を計上しておるが、若者の技能者育成策としてどのような事業を考えておられるのか、まずお伺いする。

〇武田労政能力開発課長 地域人材育成総合プロジェクト事業は、指定された北上川流域地域の集積された製造業の基盤的技能を中心にして、熟練技能の維持・継承、それから高度化を補う人材の育成に対する地域の取り組みについて補助・支援する事業である。この事業は平成9年度から実施していて、10年度予定している8事業のうち5事業が若年労働者の育成に関する事業である。
 まず、若者の技能への関心を高め、技能啓発を行うことを目的としておる技能フェスタ'98の開催、それから、技能競技会を開催して、その優勝者を全国の技能グランプリに派遣して、技能者の意欲を喚起し、技能レベルを向上させるという青年技能育成事業がある。また、小学生を対象として、ロボットを作成させ、そのタイムレースをする、それによって物づくりに関心を持たせ、将来を担う人材の育成を図る事業も考えておるところである。また、金型設計、それから精密加工に従事する若者、若年労働者の技術向上するための機械機具を整備して研修を行う事業、それから、水沢であるが、鋳造に従事する若年労働者の高付加価値製品の開発力を養成するための事業も考えているところである。

〇大久保委員 ひとつよろしくお願いする。
 次に、いわて文化デザイン会議についてであるが、昨年5月開催された第18回日本文化デザイン会議'97岩手は、多くの県民の方々とさまざまな分野における講師との直接交流により、地域文化の活性化に大いに貢献したところであり、また、本県から全国に多くの情報が発信され、本県のイメージアップにもつながったものと考えておる次第である。今回、いわて文化デザイン会議実行委員会(仮称)負担金を計上しておるが、これは、さきのデザイン会議を継承するものであると思うが、どのような内容で実施するのか、それをお伺いする。

〇保坂観光課長 県版の文化デザイン会議についてであるけれども、昨年5月開催をして、およそ3万2、000人を超える県民の方々が講師の方々と交流をした。地域文化の振興という観点で非常に効果があったと私どもは考えておる。こういうこともあり、このデザイン会議を一過性のイベントに終わらせてはよくない、やはり次代にこの成果をつなげていく必要があると、こういうことを考え、今回、県版の文化デザイン会議という形で我々計画をしているものである。事業の中身については、現在関係する団体といろいろと協議しておることなのであるが、まず、岩手の特色あるテーマをつくり出して、もちろんこれは観光に関係するとかしないとか、そういう問題ではない。テーマをつくり出して、このテーマのもとに、シンポジウムであるとか、ワークショップであるとか、展示会であるとか、そういう形で事業を実施してみたいと。2、000人ぐらいの規模でこの秋盛岡市で開催してみたい、そう考えておる。
 なお、この企画運営に当たっては、もちろんこれは県だけではとてもできない。地元のJCの方々、青年会議所の方々であるとか、関係する団体の方々、あるいはボランティアの方々の御協力をいただきながら、実行委員会をつくってこれを事業展開してまいりたい、そう考えておる。

〇大久保委員 最後に、全国菓子大博覧会についてであるが、この博覧会は4年ないし5年ごとに開催され、明治44年から今日まで連綿と続いてきた歴史と伝統を有する博覧会と認識しておる。今回は、24日間の会期中に60万人の入場者を予定しておるようであるが、これは産業文化センターで開催されたイベントの中でも最大規模ではないかと思っておる。
 ところで、これまでの大規模なイベント開催時には、会場周辺の交通渋滞がしばしば指摘されてきたところである。そこでお伺いするが、交通渋滞対策としてどのような交通輸送計画を立てておられるのか。また、誘客目標の60万人に対して、前売り入場券の販売状況がなかなか厳しいとも伺っておるが、前売り入場券の販売状況はどうなっておるか。また、今後どのように取り組まれようとしているのかお尋ねする。
 このイベントが前回の金沢や前々回の松江での博覧会のように盛況のうちに閉幕を迎えるためには、今回の博覧会の魅力をもっともっと積極的にアピールしていかなければならないのではないかと考えておるが、こうした盛り上げを今後どのように図っていこうとされているのかお尋ねする。

〇渡邊全国菓子博覧会推進室長 全国菓子博覧会の交通輸送計画についてまずお答えする。
 第23回全国菓子大博覧会における交通輸送計画であるが、過去に岩手産業文化センター・アピオで行われたイベントの経験を踏まえながら、全国博覧会としての特性を考慮した上で、可能な限り交通渋滞を緩和するよう万全の対策を講じていきたいと思っておる。それで、国道4号と東北自動車道があるけれども、ここを自家用車を利用して大量交通輸送するというようなことになると交通渋滞になるので、基本的にはそこを重点的にというようなことは考えていない。各種広報媒体を通じて、自家用車の利用の自粛を呼びかけて公共交通機関の充実を図っていきたいと思っておる。
 それはどういうことかということであるけれども、まず、JR東日本の臨時列車の増便ということである。これは、上り下り合わせて6本、合計で15本ぐらいということを含めて−−臨時列車としては6本であるけれども、それから、在来線の滝沢駅への臨時停車というようなことで、JR滝沢駅の有効活用をしたいと思っておる。それから、盛岡駅前と会場を結ぶ既存路線バスがあるが、これを増発したい。1日当たり11本から13本ぐらい増発したいということを考えている。それからあと、無料のシャトルバスを盛岡市内から会場まで走らせたいと考えておる。盛岡市内から会場までの分については30分間隔で13本ぐらい、それからJRの滝沢駅から会場までは10ないし15分間隔で20本ぐらい、無料シャトルバスの大量輸送に努めたいと思っておる。
 このほかに、JRさんの方では、一関から滝沢駅までのイベント列車も運行する予定になっている。24日間の期間中に11日間ということである。あと、三陸鉄道なのであるが、これは滝沢駅直通イベント列車ということで、1日1往復、期間中の込み合う久慈駅から滝沢駅であるが、4月26日、5月5日、5月10日の3本、それから盛駅から滝沢駅については、5月3日、5月4日の2本というような形になっている。
 こういうことで、こうした公共交通機関の利用を促進するために、県の広報番組とか広報紙により周知を図っていきたいと考えておる。新聞、チラシ等によっても啓発したいと考えておる。
 次であるけれども、入場券の販売状況であるが、前売り入場券の販売状況については、平成10年2月末時点で13万枚となっており、販売目標枚数の54万枚の24・3%となっている。このうち市町村分については、25万7、000枚の販売委託枚数であるが、約1万3、000枚で5%の達成率になっておるところである。
 なお、県職員については約2万4、000枚の購入実績となっている。それから、菓子工業組合については4万7、000枚の実績となっておる。
 今後どうするかということであるが、今後、前売り入場券の販売の取り組みについては、まず、県内を振興局単位に4ブロックに分けて、今専属チームを編成して、振興局とか菓子工業組合、市町村と一体となって販売してまいったのであるが、残された期間、さらに意欲的に企業、団体、学校関係、あと自治会等への要請をやっていきたいと思っておる。それから、前売り入場券の大口委託先、特に盛岡市ほかの市町村に、県の責任者から販売について協力を依頼して、知事、部長等が出席する会議等で菓子博の周知と協力依頼を行い、県庁内では各部局、各課に関係する機関、団体への呼びかけを依頼することとしておる。
 それから、県外については、今後誘客の重点地域である岩手県周辺の青森、秋田、宮城、そういったところの広報活動を積極的に進めていきたいと考えている。これから前売り券がどんどん売れてくるような形で頑張っていきたいと思っておるので、どうぞよろしくお願いしたいと思う。
 それから、博覧会の盛り上げということであるけれども、今までも、菓子博レディーやいわてふるさとボランティアの会と事務局職員で、東北各県、首都圏、それから全国主要都市の全国キャラバンであるとか、地方振興局、市町村、マスコミや団体などへのキャラバン、県人会とか観光と物産展、記者招待会等でPRを行ってきた。ポスターとかパンフレットもいろいろまいて頑張ってきたわけであるが、今後は、さらに県庁だより、それからみんなの広場などの県の広報番組でのPRや、広報いわての3月全戸配布のほか、テレビ、ラジオスポット、新聞広告など、マスメディアを集中活用して頑張っていきたいと思っている。
 具体的には、テレビでは3月後半から、県内4局、延べ464本のスポット、それから青森、秋田、宮城も同様、テレビCMを実施して、そのほか、IBCラジオ、FM岩手、合わせて300本、このほか、NHKや民放の特集番組などで御協力いただくこととしている。それから新聞では、地方紙ほかで、4月当初、全15段から5段の広告、それから開幕直前には全5段集中して菓子博のPR広告を展開することとしておる。誘客の重点地域である近隣県へは、菓子博レディーを中心としたキャラバンやショッピングセンター等でのPRを現在もやっておるし、これからもやっていきたいと考えておる。そのほか、バスエプロンとかタクシーステッカーなどの交通広告、こういったものを活用していきたいと思うし、菓子博の楽しい内容を満載した4号ポスター、これは2月26日に作成したのであるけれども、その魅力を具体的にアピールしたチラシ、これも2月下旬に作成しているが、こういったものを市町村とか関係先に配布して、諸会議での周知や入場券の購入促進に活用いただくこととしておる。このほかにもいろいろな形で盛り上げを図ることを考えておるので、どうぞよろしくお願いしたいと思う。

〇折居委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩する。
   午前11時58分 休 憩
 
   午後1時4分 再 開

〇折居委員長 休憩前に引き続き会議を開く。
 午前中の説明に対する質疑を続行する。

〇黄川田委員 1点お尋ねする。
 広域指導センターについてお伺いする。
 岩手県商工会連合会の広域指導センターについては、専門経営指導員3名、補助員1名体制で、個々の商工会では対応が困難な小規模事業者の専門分野に係る指導や業種別の指導などを行うため、昭和55年度から57年度にかけて県内九つの広域生活圏ごとに設置されて今日に至っているものと私は承知しておる。しかしながら、今般、商工会連合会においては、平成10年度から広域指導センターの再編整備を行うとのことである。これは岩手県の強力な指導によるものと聞いておるが、商工会連合会や県の財政硬直化の回避というだけで実施されるのであろうか。大型店問題など、商工業を取り巻く厳しい状況下にあって、今なぜと思われる小店主の方もおるので、まず、再編の理由を伺う。
 そしてまた、再編後、県内の指導・運営体制はどのようになるのであろうか、お伺いする。

〇菊池商政課長 広域指導センターの再編整備に係って、まず、再編に当たっての考え方という御質問であったが、お話のあったように、商工会連合会では、広域指導センターを現在九つあるものを平成10年4月1日から5カ所に再編整備すると伺っておる。この再編整備については、商工会連合会としてもこれまで十分に年数をかけて検討してきたと聞いておるし、主にその際の再編整備の考え方としては2点ほど大きく考えていると伺っておる。一つは、現在、商工業の振興に当たっては、やはり、より広域的な視点からの商工業の振興を進める必要があるということ。例としては、地場の農林水産業と製造業との連携によって特産品を開発するといった場合にも、特定の地域ではなく、ある程度の広がりという考え方に立って地域の産業おこしを広域的に取り組むことも大事だと。あるいは、地域の小さな中小商店が共同店舗を建設するに当たっても、やはり広域的な視点からのそういった取り組み、商店の参画誘導といったものも大事だと。そんなことで、一つは、そういう広域的な視点からの商工業の振興ということが再編整備の理由。もう一つは、やはり財政面での効率化、厳しい財政状況を今後展望すると、厳しい中で効率的な商工指導センターの運営という観点からこの再編整備を進めておると、そのように伺っておるところである。
 これからの指導に当たってどのような考え方でいくのかということであったけれども、県としては、このような動きの中で、やはりこういった地域の商工業の指導体制の充実を図って、今回の指導センターの再編整備に伴うサービスの低下がないようにという考え方から、来年度から地方振興局に対して商業振興や工業振興のための施策を大幅に権限委譲を行って、より地域に密着した商工業振興体制を充実するというようなことを考えておる。特に、この中では、広域指導センターが実施する事業に関する権限も委譲して、振興局と広域指導センターがより広域的な観点から商工業に取り組む、いわゆるただいま申した商工会連合会の方針と軌を一にするような形で県としても進めてまいりたい、そのように考えておる。このような取り組みを通じて、一層地域の商工業の振興体制の充実に努めてまいりたいと、そのように考えておる。

〇黄川田委員 具体的に九つの広域指導センターがどのようになるのかというお答えがないが、例えば気仙地区はどうなるであるとか、あるいはその他、宮古とか釜石とか遠野とかいろいろあると思うが、その点はどうなのであろうか。

〇菊池商政課長 九つの再編の考え方、ちょっと細かくなるけれども御説明したいと思うが、広域生活圏ごとに現在九つある。盛岡の圏域についてはそのまま1カ所、両磐と気仙と統合して南部広域指導センター、これを千厩町に、岩手中部地区と胆江地区を統合して北上に中部広域指導センター、釜石と宮古を統合して遠野市に遠野広域指導センター、二戸と久慈を統合して二戸市に北部広域指導センターという形で5カ所ほどの指導センターに再編整備して、より地域に密着した商工業振興に努めてまいりたい、そのように考えておる。

〇黄川田委員 県内で五つに統合、そして、交通事情も大分よくなったので、気仙地区は千厩町の南部広域指導センターに統合ということであるが、それぞれ振興局をまたぐ形になるので、より広域的な商工業の振興のためにもこれからは地方振興局同士の連携というのも重要になってくるのではないかと思われるし、それから、先ほど振興局の商工担当課の権限の強化というお話もされたけれども、具体的に本庁から何か権限でも譲り受けるのか、それもあわせてお願いする。

〇菊池商政課長 先ほどの権限委譲の中の例示として御説明したいと思うが、例えば小規模事業指導費補助金というのがあるけれども、これの採択、地域における取り組みに対する採択、これまで本庁の方で行っておったわけであるが、これを振興局に委譲すると。そのことによって、これまでは広域指導センターというのが何ら採択の場に携わっていなかったということであったが、今後、地方振興局に権限を委譲することによって地域における施策というものに地方振興局と広域指導センターというものが一緒になって採択なり事業展開というものも期待できる、そのように考えておる。

〇菊池(勲)委員 当該委員であるから、2点だけ聞かせていただきたいと思う。
 202ページ、商工業総務費の中にテクノポリス推進事業費という項目があるけれども、今調べてもらっていてまだ来ないのであるけれども、私どもはあと2週間で3市町村が合併してちょうど丸7年になるわけである。当時の斎藤町長が合併当時、北上市、江釣子と合併をすれば和賀町もテクノポリス構想圏内に入るという答弁をして、私ども議会の立場からして、では合併しようと。それも合併の一つの条件として協力したわけである。かなり前であるから、当時の部長は、それは面積が大きいから無理だという話をしたのであるけれども、私どもでは、和賀町全域、1カ所は秋田県との境もあるし湯田、沢内の境もあるけれども、工業団地の指定をしている都市計画指定の区域は入るという答弁だったのである、合併前は。ところが、それもいまだに入っていない。そのとき次長である高橋源さんという方がおった、和賀町出身で。彼は、入っていなくても、例えば工業団地の企業、後藤野工業団地はその恩恵をこうむっているという話をしたのだけれども、入ってなければこうむっていると言っても一時的なものであって、その制度に入れば永久にそれの恩典があるわけであるから、これをまず部長から聞かせていただきたい、これが第1点。
 私ども合併する前に、セイコー電子工業という大会社に約16ヘクタールの後藤野工業団地の土地を売却した。当時、私ども議会では、当然一般の自治体は、企業、その他に町有地を売却するときは、公共用地を売却するときは、目的の年度内にそれを使用しなければ買い戻しの特約事項をつけて売却することになっておった。それがたまたま大会社なものだから、信用できなければ私はやめると言われたものだから、その特約事項をつけないで売ったのである。いまだにそのままである、更地のまま。もう10年過ぎている。本来であれば10年で買い戻せるわけである。当時の価格では、更地であるから坪換算にして三千数百円である。今は何万であろう、幾ら土地の値段が下がったといっても。私の家のすぐ前なのである。歩くたびに何としても気になる。よくもだましやがったと思っている。いつか委員会で質問したら、あのときは商工労働部のときであったが、すぐにセイコー電子工業に電話してくれたのだそうである。そうしたら、会社の係官は、北上市との協議の中であと2年ほど検討期間を与えてくれという話をしたという答弁は後でもらった。それから約2年たっているのだけれども、一番の核になる団地の一番いいところを売ったのである。残念ながらそれは昔のままで更地のまま。これは部長から聞きたい、担当課長の答弁は要らないから、お願いする。

〇佐藤商工労働観光部長 大変難しい御質問で、どうお答えしようかと思って実は大変迷っているのであるが、冒頭のテクノポリス指定関係については私より工業振興課長の方が詳しいので工業振興課長から答弁させるが、二つ目のセイコー電子の後藤野の取得について、現下のような経済情勢で、県内にも進出したい、取得したいという企業が実は水面下ではたくさんある。岩手県中部にも超大型の企業が平成10年度にも入りたいということで、実は去年の暮れあたりまで知事を先頭に関係の市町村長と一緒に何度もお伺いして、99%まで多分大丈夫だろうと私どもは思っておった。ところが、年明け後こういう情勢になって、2年ないし3年はこの話はなかったことにしてくれというぐらい実は厳しい経済情勢になっておって、セイコー電子の用地の取得関係については、子細については承知しておらないのでコメントは差し控えさせていただくが、現下のような厳しい経済情勢では、どうも民間企業といえどもなかなか約束を履行していただけないような情勢のようである。

〇本田工業振興課長 テクノポリス圏域への旧和賀町の編入問題についてであるけれども、ただいま当時の経緯等からも御質問があったわけであるけれども、結論から申し上げれば、市町村合併によって自動的に圏域が拡大するものではないという通産省の見解がある。圏域については、さらに面積要件が13万ヘクタールという要件がある。したがって、旧和賀町を含めると2万8、000ヘクタールほど面積がふえるので、これはちょっとやはり無理だと。それからもう一つは、大蔵省サイドにおいても、その租特法の税制上の対象地域を拡大することについては非常に難色を示しているということで、私どもも旧和賀町をどうにかできないかということで過去に私どもの先輩もいろいろ動いたわけであるけれども、そういった正式な見解をいただいておるので、旧和賀町をテクノポリスの圏域の中に含めるということについては非常に困難だと考えておる。
 ただ、昨年の特定産業地域活性化法に基づいて、テクノポリスの圏域4市1町が指定されておる。その場合に、今回は新たに可住地面積という概念が出てきておる。これは、山林を除いた面積を考えようと。7万ヘクタールという一つの概念があって、およそ7万ヘクタールであれば地域指定するということで、山林等を除いた面積を足すと和賀町が入る。したがって、今回の特定産業集積活性化法に基づく地域指定においては旧和賀町も入っての指定であるので、そういった新たな制度をうまく活用しながら、余り不公平のないような形での対応を考えていきたいと考えておる。

〇菊池(勲)委員 ありがたい、待ったかいがあった。
 これは相手があることだから、まして世界のセイコーであるから、私ども小さい町などがとやかく言ったって始まらないと思ったから、よし、いいだろうということで、議会はさんざんやりとりして議論したけれども、千葉の習志野工場約2、000人の従業員が岩手の和賀の工場に来るという約束だったのである、これは口約束だけれども。私も当時議長をやっておったから、わざわざ常務だかと一緒に千葉の工場に見に行った。そういう話があったから、見事に喜んで飛びつくような格好だったのである。10年来ずっと思い出していた、いまだに、そのイメージだけ。先般質問したときも、せっかくそちらの方から会社に連絡してくれたという話だったから、確かに財政も厳しいし世の中変わるから、大きな事業であるから簡単には手をかけないと思うけれども、優しく愛の手を差し伸べて、私ども地元も満場から御支援を差し上げるので、どうかその意思も含めて、部長の方から会社の方に丁寧な言葉で、再度考慮しながら早めにひとつ目的を達成できるような配慮をお願いしたいという注文をつけてほしいのだが、部長、いかがであろうか。

〇佐藤商工労働観光部長 大変子細な御教示ありがたい。そういうつもりで実は企業誘致をやっているつもりである。殊にも、ここ2年間やってまいったのは、おいでいただいた企業に対するフォローが随分おろそかになっているのではないかと。おいでいただくときについては随分、言葉は悪いがおいしい話は申し上げているけれども、おいでいただいた後のフォローが若干足りないのではないかと。そういうことが結局2次展開、3次展開に差しさわりがあるのではないかといったような所感を持っておるので、ただいまのようなお話をいただきながら、改めてまた地道な活動をさせていただきたいと思う。

〇斉藤委員 私も2点に絞って簡潔に聞く。
 一つは、東京インテリア家具出店問題の対応である。谷藤委員の質問に呼応して私もお聞きしたいと思う。
 既に3条申請されておる。出店計画の内容を見ると、売り場面積が1万828平米、売上目標は24億6、000万円。盛岡市内の家具店の売り場面積が9、856平米である。私は、これでは共存共栄はできないと考えるが、いかがであろうか。大店法上の中小小売業の事業活動の確保に触れるのではないか。既に仙台に東京インテリア家具が出店しているけれども、最近、青山の商店街、町内会の方々が仙台に調査に行って、私、その報告を聞いた。仙台に出店している東京インテリア家具は7、000平米、その影響を受けて既に7店の家具店が閉店している。100万都市である。7、000平米で7店が閉店。盛岡だったらその3分の1でもそういう影響を受けると思う。そういう点で、この東京インテリア家具の出店計画というのは、とても地元商店街、同業者との共存共栄はできない規模ではないかというのが第1点である。
 第2点は、これは谷藤委員も指摘していたが、説明会で交通渋滞、環境公害への不安、質問、対策が取り上げられた。しかし、東京インテリア家具では、交通事情の調査もしていないし対策も持っていない。そして、再説明会を求めたけれども、その約束をほごにしている。もうやったからいいと。もう説明会は終わりだと、こういう態度である。当地域は、御承知のように県の運動公園の真向いである。こうした出店は本当に許されるのか、これを規制する手だてはないのか。聞くところによると、他県でこういう例がある。最近、大型店が、これは1万2、000平米だそうであるけれども出店して、16キロの渋滞になって、警察本部が閉店命令を出したと。こういう事例を、私、最近聞いたけれども、なってからでは遅いので、こういう問題にどう対応するのか。
 私もこれを本会議でも取り上げた。部長の答弁はこうである。盛岡市や盛岡商工会議所などの意見を踏まえながら、必要に応じて適切な対応をしてまいると述べられた。具体的にどういう対応を考えているのか、このことを東京インテリア家具の問題でお聞きしたい。
 第2点であるが、これも私一般質問で取り上げた問題であるが、政府が大店法を廃止して、大規模小売店舗立地法、いわゆる立地法を、今、国会に出している。これは現行の大店法の目的のかなめである中小小売業の事業活動の確保を削除して、店舗面積、営業時間、休業日数などの基準を一切設けていない。対象となる店舗面積は500平米以上から1、000平米以上に変え、規制範囲を狭めている。この立地法というのは、文字どおり大型店出店が野放しになってしまうのではないか、そういうことについて部長はこう答弁された。全体が規制緩和なので理解してほしい。立地法の趣旨は、大型店と共存共栄を図る趣旨のものであると。そういう趣旨は立地法には全然書かれていないし、明記されてないし、中身もない。私は、それは正確ではなかったのではないかと思う。
 日本共産党は、この同じ国会に大店法の規制強化の法案を出している。その中身を簡単に言うと、一つは、現行の目的に、小売業の確保とあわせて住環境への影響、青少年、高齢者に配慮したまちづくり、これも目的に入れるべきだ。第2は、出店を都道府県の許可制にすべきだ。第3点は、大型店の撤退閉店計画は届け出を義務づける。第4点は、大店審、この構成は消費者、商業者、学識経験者の3者構成にして公開にすべきだと。こうした中身を私どもは国会に提出して、今、一緒に討議されている。大店法廃止は既成事実ではない。この日本共産党の法案要綱に対して、商工業者からこれこそ我々の求めるものだと、こういう声もたくさん寄せられているが、立地法に対する考え方を改めてお聞きする。

〇菊池商政課長 大きくは二つ、東京インテリア家具と、いわゆる大店立地法の質問、細かくはさらにお尋ねがあったが、その中で、東京インテリア家具への対応についてということで三つほどあった。
 地元の中小小売店と共存共栄できるのかという御質問であったが、現行の大店法については、委員御承知のように、消費者利益の保護に配慮するということと、周辺の中小小売業の事業活動の機会を適正に確保する観点から大型店の事業活動を調整するものであるとうたわれておる。事業活動というのは、御承知のように、売り場面積とか開店日、開店時間、年間休業日数という項目があるわけであるが、本県については、先ほど委員からお話があったように、1万平米を超える店舗面積ということであるので、これは第1種小売店舗ということで、国において審査するものである。今後、国においては、消費者、小売業者あるいは学識経験者などの意見を聞きながら、御指摘のあったような点を十分踏まえて適正に調整するのではないか、そのように考えておる。
 次に、交通渋滞が予想されるのに調査の対策も考えていないような出店は許されるのかというお話であったが、地元商店街においては、交通渋滞を懸念するということで、説明会の中で意見が多く出たと承知しておる。先ほど申したが、大店法であるが、調整に当たっては、こういった交通渋滞などの環境面での影響は考慮されないこととなっておる。なお、新しい法律の中では、このような環境への影響といったものを今後問題解決するという方向にあるのは御承知のとおりである。
 三つ目の、部長答弁の中で、この東京インテリア家具の出店に当たって必要に応じて適切な対応をとるというのは具体的にどうかということであったけれども、大型店出店の調整過程で、御承知のように、知事は中小小売業者への影響等に関して通商産業大臣に意見を述べることができると、このようになっておる。したがって、盛岡市や商工会議所などの意見を踏まえながら、必要に応じて適切な対応をするということであって、なお、この例としては、本県では、平成8年に紫波町に大型店の立地届が国になされたときに、県として紫波町あるいは商工会等の意見を踏まえて、知事から意見を述べたケースがある。
 次に、二つ目の大きな質問であった大店立地法についてである。
 大店法の問題については、昨年以来、国の審議会でるる検討を進めてまいったが、12月24日の答申がなされたときには、大型店に関する施策は、大型店の立地に伴う計画的な地域づくりや交通環境に与える諸問題を解決するための新たな実効性のある政策的対応へ転換すべきだというような答申があった。この答申に沿って、現在、国会の方に法案の改正等がなされておるわけであるが、その一つは、計画的な地域づくりのための推進のためには市町村の判断が大事であり、大型店の立地の可否をあらかじめ定めることができるように土地計画法を改正するというのが第1点であるし、第2点は、個別の大型店と周辺の生活環境が調和を図るような手続を定めるために、新しい御指摘のような大規模小売店舗立地法を制定するということである。
 県としては、まずもって市町村が都市計画法の改正の趣旨に基づいて計画的な地域づくりに取り組むというのが最も大事かと、そのように思っておる。質問のあったように、新制度のもとでは市町村の考え方により大型店の出店をあらかじめ抑制することができると私ども考えられるし、また、市町村の地域づくりの計画によって大型店と中小商店のバランスのある配置など、共存共栄も可能かと、そう考えておる。
 なお、この法案と共産党が出されておる法案については、今後、国会の中で十分審議がなされると考えるので、その審議の動向について県としても注視してまいりたい、そのように考えておる。

〇斉藤委員 私は、東京インテリア家具の交通問題、環境への影響問題、これは大店法上の審査事項ではないけれども、先ほど他県の例を紹介したように、交通渋滞が起きてからの対応ではだめだと思う。だから、例えば大店法の許可審査の事項ではないけれども、大型店に求めたらいいではないか、交通調査をして対策をとっていただきたいと。これは出店のいかんにかかわらず必要なことではないかと思うけれども、私は、例えば商工労働観光部ができなかったら、警察なり何なり、それこそ連携してそのことを求めるべきだと思う。これが再質問。
 立地法の関係については、日本の都市計画法というのは、原則建築どこでも自由なのである。そして、一部の住宅地域だけこういうものは建てられないというのが日本の都市計画法なのである。だから、新しい法律で大型店を規制するというのは今まで以上にできなくなるのである。それは今度の法案を見たらはっきりしている。これは指摘だけにとどめるから、最初のことだけお答えいただきたい。

〇菊池商政課長 東京インテリア家具の出店に当たっての交通渋滞、県は調査しろと言うべきではないかというお話であったけれども、先ほど申したが、現行の大店法においては、届け出がなされた後に、県としては商業活動の調整に限って調整を行うということになっておる。環境問題への影響等については、現行の法律ではそれは法律を超えることになるので、県としてはそのような交通渋滞を調査しろとか何とかと言うことはできないと、そのように判断されるものである。

〇折居委員長 ほかに質疑はないか。

〇佐々木(俊)委員 どなたかが質問されると思って遠慮していたけれども、出なかったようなので1点お伺いするが、最近、どこに行っても景気の話がほとんどで、年金をもらっている方も景気の話をするような状況であるが、当局は、今の岩手県の景況、それをどのようにとらえているのか。特にも企業倒産の動向、これが随分多くなりそうだといううわさも聞くが、その実態なり、これからの傾向、あるいはまた、その中身等について把握しているのであれば教えていただきたいと思う。

〇佐藤商工労働観光部長 総括的には私から、細かい倒産件数等については経営金融課長から答弁させる。
 佐々木委員御案内のとおり、私ども、本音は停滞などということではなくて、完全に右肩下がりに落ちたのではないかというぐあいの認識をしておる。正直申し上げて、建前上は、銀行がないと言うものであるから貸し渋りもないと一応は言っておるけれども、私どもの耳にも、実は去年まではよかったがだめだ、先月まではよかったがだめだというぐあいに悲痛な声が届いていることは事実である。ただ、建前上からは、銀行さんにあるのかと聞いたら、ないとおっしゃるものなので、ないという話であるということで言っておる。
 それともう一つは、景気の判断であるが、これもしばしば申し上げているのであるが、従前であると中央の景気が岩手県に波及するのは大体半年ぐらいのタイムラグがあるということだったようであるが、今回の場合はずっと連動してきているのではないかという感じをしておる。ただ、幸いかな、見ておって、本会議でも申し上げたが、大きな倒産も今のところないし、過激ないろいろな事件も起きていないということで、実は胸をなでおろしているというのが実態である。これが先行きが見えない、正直申し上げて、いろいろなエコノミストの方々の書いた本だとか雑誌を見ても、出口が見えないと言っているのが実態である。そういうことから、たびたび申し上げているのであるが、企業誘致だとか、あるいは内発的工業の振興だとか、あるいは視点を変えて観光の振興だとかといったようなことで、考えられるありとあらゆることを総動員して景気対策に取り組んでいるというのが現状である。

〇山火経営金融課長 県内の倒産状況であるが、民間調査機関の調査によると、9年、年間であるが、倒産件数は72件であった。負債総額は277億円ということで、昨年に比べて件数では減少しておるが、9月に丸伊工業等の倒産があって、負債総額では前年対比で150億円ほどふえている状況である。
 業種では、卸・小売が全体の35%を占めておって、建設業、運輸、通信、サービス業等の順になっておる。
 なお、ことし1月、2月に入って負債総額が3、000万円あるいは4、000万円という小口の倒産がふえている傾向がある。

〇佐々木(俊)委員 総体的には、今、部長お話しであるが、正直言えば貸し渋りがあるというお話である。ところが、公式上はないと、こう言う。一体これはどっちが本当なのだろうかと。もし本音で貸し渋りがあると思うならば、一体金融機関とどんな話し合いをされているのか。やる気があるのかないのか。あるいはまた、もし金融機関が、これは商業的な一般的な金融機関、それ以外であると、例えば農協とか、そういうところは資金が余っているわけなので、それらとの話し合いというものを持たれたことがあるのかどうか。あるいはまた、出された予算書を見ると、随分県も頑張っているものだなと思ったことは、県の貸付事業資金の種類が大変たくさんあって、そのうち11件とも無利息なのである。無利息の貸付事業というのは一体あるのだろうかと。ということは、要するに補助である。そういうことも含まれて11件もよくまあ頑張って並べたものだと思うけれども、先ほどの貸し渋りがあるにもかかわらず、どうにもならない場合は県としてはさらに対策をとる気でいるのかどうか。ただあるでは通らないような気がするということが一つ。
 それからもう一つ、課長の方のお話、私の質問でもうちょっと聞きたかったことは、最近の倒産の傾向とその中身。中身というのは性格である。どういう性格の倒産になっているのか。よく言われることは、いろいろ金融上のことだとか、いろいろ言われるけれども、その中身をつかんでいるのであれば教えていただきたいと思う。

〇佐藤商工労働観光部長 先ほど私の言い方がちょっと悪くて若干誤解を招いたようなので訂正させていただくけれども、実は、昨年末から通産省挙げて景気対策をやろうということで、仙台の通産局から貸し渋りの有無等々についてしばしば問い合わせがあった。私どもも商工団体、金融機関、いろいろな場を通じて、実際にこういう実態はあるのかということをいろいろお伺いしておる。実は、そういう場でも、ありとあらゆる場でも貸し渋りという言葉は出てこなかった。ただ、先ほど申したのは、同じような案件だけれども、去年は貸してくれたが今回は貸してくれなかったといったような話が聞こえてくると。貸し渋りというのは大変難しい定義があって、私ども金融のプロではないからなかなか定義づけは難しいのであるけれども、そういうこともあろうかと。もしかしてあるのかもしれないといったようなことから、1月、相談窓口を設け、2月、関係者を集めて御要望申し上げ、さらに、3月期決算を目前に控えているわけである。こういう中で、商工団体等々からそういう声が出てくる前に、そういう兆しがあれば改めてまたそれぞれの金融機関、商工団体に御要請を申し上げたいと、かように思っておる。

〇山火経営金融課長 倒産の性格であるけれども、民間信用調査機関の分析によると、不況型倒産というか、売り上げが減少し、倒産に至るという例が多いという指摘がある。
 さらに、先ほどの無利子預託のことであるが、県単融資制度については、県が原資を無利子で信用保証協会に預託する。信用保証協会は、保証料率を一般保証料率1・0%を0・7%に引き下げる措置をそのことでとっておる。保証協会から民間金融機関に政策目的別にそれぞれ3分の1ないし4分の1の原資を預託して県単融資制度が成り立っているということである。

〇佐々木(俊)委員 本当は1回で終わろうと思ったのだけれども、どうも私の期待しているところが出てこない。
 最後であるが、部長、国の方の調査から見ると、そういう答えはしているけれども、実態は実は違うのだということで通すならば国も政策を誤るのではないか。ないという答えが来ているという形で、私はさっぱり的確な政策が出てこないような気がする。であるから、やっぱり正直に自分たちはこうだと。貸し渋りはあると。あるといった姿勢を示していかないとどこまでも政策を誤らせる大変な結果になるのではないだろうか。もともと金融機関というのは危ない人には貸さないのである、昔から。昔から貸し渋りなのである。それを借りるのが経営者の腕なのである。私も実際何回も経験しているけれども、そういうことなので、黙っておって貸さないから貸し渋りだではなくて、やっぱりそれが企業努力である。そうした中で企業というものは進むべきものであると、そういうことを判断をしながら、部長、正直に、やっぱりあるならあるという姿勢をきちっと打ち出して、そしてまた、ならば県としてはどういう対策を講ずるかというように正直に進めなければ本来の政策というものは出てこないだろうと思ったのである。これは意見である。

〇折居委員長 ほかに質疑ないか。

〇水上委員 206ページの5目企業立地促進奨励事業補助について一つ、それから3目、5目、2点から3点についてお聞きする。
 企業立地促進奨励事業についてお聞きしたいのであるけれども、これからの県北、久慈、二戸地方の企業誘致の見通しをお願いする。
 次に、207ページの5目海外販路開拓費、県産品の輸出のような話をしていたが、県産品の輸出で大体3番目ぐらいまで、量の多いのからわかっていたら教えていただきたい。
 それから、全体的なことで、大型店問題のことで、例えば大規模開発、ゴルフ場とか、ああいうのには環境アセスというものがあるが、ああいう大型店等が入ってくる場合、いろいろな商店アセスとか住民とか交通とかいろいろなことを調べる制度、もし国になかったら県でもそういうのを考えて6カ月から2年ぐらいかけていろいろ調査して、そして住民の意見も聞いて、それから県で判断して許可するかどうかというようなことを考えているかどうか。考えていった方がいいと思うが、その所見と三つお願いする。

〇本田工業振興課長 県北への企業誘致の見通しということである。
 これは、先般の一般質問等でもいろいろ議論されているところであるけれども、久慈の方と二戸の方にいわゆる拠点工業団地というものが整備されて、この4月から正式に分譲されることになっておる。したがって、特にも県北・沿岸、大きな課題になっておるので、そういった受け皿も整備されたという状況もあるから、現在、市町村と県と開発主体とでもって企業立地推進委員会という組織を持って一体となってやっているわけであるけれども、できればこの県北・沿岸向けの企業誘致の推進体制を充実強化して、今まで私ども取り組んでいるのは全県同じような形で取り組んでいるわけであるけれども、例えば久慈地区あるいは二戸地区あるいは沿岸地区というような形の、少し特化した形でのセールスポイントを明確にしての誘致活動ができるような体制の充実を図ってまいりたいと考えておる。
 なかなか経済事情が厳しいものであるから、見通しで何社決まるということは到底申し上げられないけれども、最大限努力をして、県央地区からの2次展開も含めて、何とか県北・沿岸への誘導というものに対して市町村ともども努力してまいりたいと考えておる。

〇菊池商政課長 私の方からは2点ほど、まず一つは、海外貿易の状況ということであるが、実は、平成8年度に9月補正で物流実態調査を行った。この中においては、平成7年の、対象は県内企業198事業所、これが扱った輸出入貨物に関して集計したものであるけれども、輸出が約10万トン、輸入が約98万トンという状況になっておる。
 また、大型店の関係で、ゴルフ場等を立地する際は環境アセス等の関係で事前に環境への影響調査というのがなされているけれども、大型店はどうかということであるけれども、先ほど来お話ししておるが、大型店の調整というものは、県に出店を届け出た後に、その調整する中身はあくまでも大型店の事業調整活動、いわば経済活動ということで、売り場面積とか開店日といったこと、これが周辺の中小小売業者に影響があるかどうかという観点での純粋な経済活動についての調整ということであるので、環境アセスという視点での考え方はないということで、御了承願いたいと思う。

〇水上委員 県北の見通しは一応今のところはないということか。これから努力するというだけであるのか。
 それから、大型店の方は環境のことではない。例えばの話で、例えば商店にどういう影響があるか、道路にどういう影響があるかというようなことをいろいろ影響を調査して、そういうのを県で考えて、県条例なり何なりつくった方がもっと住民とのコンセンサス、そして地域住民のためになると思う観点からその話をしたのである。環境の話だけではない。そういうシステム的にいろいろ、先ほど申し上げたように、商店街の意見、それから住民の意見、また、交通対策等の意見、いろいろ聞いて、そしてそれができたことによって総合して岩手県のためになるかならないかというような判断基準をするために県で何か特別な条例でもつくって、そういう事業を進めていく考えがないかということである。提案も含めてお話ししたつもりである。

〇本田工業振興課長 立地がないということではなくて、御案内のとおり、東京あるいは関西圏の方でも企業ネットワークいわてであるとか、あるいは県北の方では、八戸経済圏であるので、例えば八戸の方でいろいろな地元市町村とも説明会をやったりして、リストにはかなりの企業はもちろん載せておる。それらをいろいろな形で訪問活動というような形で、これもただ県の企業誘致担当職員が歩くだけではなくて、市町村あるいは開発者の方々と一緒に企業を訪問しながら、濃密な企業訪問活動を展開しながら、幾らでも熟度を高めて立地決定に結びつけたいということで努力をしているということである。

〇菊池商政課長 大型店の影響ということで、私、環境への影響ということに限定して御答弁した関係から、今後のいわゆる大型店の立地法、この中では重点が置かれるということであるけれども、先ほど水上委員からお話あった商店の御意見とか消費者の御意見とか、そういう形での意見を徴するというのは、今の大店法の中で審議会の活動の一環としてそういう商店の方々とか商店街の方々、消費者の方々の御意見をいただく機会があるということである。

〇瀬川委員 佐藤商工労働観光部長におかれては、この3月をもって県を勇退されると伺っておるので、この機会をおかりして一言お礼を申し上げたいと思う。
 佐藤商工労働観光部長は、昭和40年に当時の釜石労政事務所に勤務されて以来、およそ33年間の長きにわたり、県政のさまざまなセクションにおいてその幅広い見識と卓越した実行力を大いに発揮して県勢の発展に尽力されてまいった。
 平成3年には農政部次長、そして、平成5年には企画調整部次長に就任したが、農政部次長時代にはいわて牛といわて純情産地フェアの開催や岩手畜産流通センターの整備計画の策定などに手腕を発揮したほか、第7回全国和牛能力共進会の誘致に努め、昨年9月の開催に結びつけたものと承知しておる。企画調整部次長時代には、東北新幹線盛岡−八戸間の全線フル規格による早期完成の実現に向けた取り組みや、関西国際空港線や福岡線の開設など交通網の整備に尽力されたほか、3県総後期実施計画の策定に手腕を発揮された。
 平成8年には商工労働部長に就任され、大店法の規制緩和の構造的な変化に対応し、商店街の基盤施設整備や魅力ある商店街整備のための各種事業を進めるとともに、内発型の工業振興を図るため、先端的な研究開発の推進、ベンチャー企業への支援策など、本県の商工業振興施策の効果的促進に努められた。また、物産、観光においては、オートキャンプ場等の観光基盤の整備を進める一方、賢治、啄木生誕記念事業や日本文化デザイン会議、銀河系いわてフェスティバルなど、本県の資源を生かしたイベントを開催し、また、いわてブランドプラザなど、新たな物産観光の情報発信拠点の整備を進めるなど、物産、観光の振興に力を注がれ、さらに、労働行政においては、県立産業技術短期大学校の開校やいわて技能フェスタの開催による技能の普及、向上に努められた。
 以上、佐藤商工労働観光部長の長年にわたる県勢発展に対する御功績の一端を申し述べたが、地域間競争の激化、高度情報化の進展、さらには、規制緩和の影響など、現在の商工労働観光を取り巻く厳しい情勢に持ち前のバイタリティーでもって的確に対応し、今後の方向を形づくっていただいたものと確信をしているところである。
 ここで、改めて長年にわたる御尽力に対し敬意と感謝を申し上げる次第である。
 佐藤商工労働観光部長におかれては、新たな道に進まれても健康に十分留意されて、なお一層の御活躍、御発展をお祈り申し上げ、お礼の言葉とする。
 県庁生活を振り返っての御感想をお聞かせ願いたいと思う。

〇佐藤商工労働観光部長 ただいまは大変身に余るお言葉を賜って感激で胸がいっぱいである。
 瀬川委員お話しのとおり、昭和40年、大学は出たけれどもという戦前の歌が大流行した年、あるいは山陽特殊製鋼が大型倒産の第1号として倒産した年、あるいは、この3月をもって自主廃業をする山一証券が日銀特融によって生き返った年、さらにはまた、我々ただいまおる岩手県庁舎が供用開始された昭和40年春、大変な就職難の時代に、幸いかな岩手県庁に奉職できたということであった。
 自来、釜石労政事務所、総務部人事課、管財課、人事委員会、総務部財政課、農政部、東京事務所、土木部、農政部次長、企画、現職と、32年11カ月、顧みれば、生来の口下手あるいは不器用な性格で、こんなに32年11カ月という長きにわたって奉職できるとは実は考えておらなかった。多分どこかでへまをしてほうり出されるんだろうと思っておった。幸いかな、よき上司あるいはよき同僚に恵まれて、性格的には非常に雑なのであるが、一つだけ、絶対に後ろ向きにならない、どんなことがあっても前に進むということで32年11カ月やらせていただいた。
 殊にも、最後の2年間は商工労働部長あるいは商工労働観光部長として、非常に曲がり角に来ている行政を担任させていただいて、幸せを体いっぱいに感じておる。
 退職後は、必ずや21世紀は岩手の世紀が来ることを信じ、また、2年間、委員各位の温かい、あるいは厳しい御指導を心の中にしまって、市民の1人として委員各位の御発展と県勢のますますの繁栄を祈念して静かにかみしめていきたいと存ずる。大変皆様ありがたかった。(拍手)

〇折居委員長 ほかに質疑がないようなので、これで商工労働観光部関係の質疑を終わる。
 次に、医療局長から医療局関係の説明を求める。

〇渡辺医療局長 平成10年度岩手県立病院等事業会計予算について御説明申し上げる。
 御案内のとおり、我が国の医療は、社会経済状況の変化を反映し、医療提供体制と医療保険制度の両面にわたる抜本的な改革が求められるなど大きな転換の時代を迎えており、病院事業をめぐる環境は年々厳しさを増しておるが、引き続き県医療に寄せられる県民の期待と信頼にこたえるため、職員一人一人の意識改革と発想の転換を図りながら、今後段階的に具体化されていく構造改革の動きにも適切かつ柔軟に対応し、常に県民に等しく良質な医療を提供するという創業の理念の実現に向け、職員一丸となって最大限の努力をしてまいりたいと存じておる。
 それでは、議案の説明に入らせていただく。議案その2の51ページをお開き願う。
 議案第16号平成10年度岩手県立病院等事業会計予算について御説明申し上げる。
 まず、第2条の業務の予定量であるが、収益的収入及び支出については、病床数を6、322床と定め、年間延べ患者数を入院では198万9、000人、外来では462万4、000人と見込むものである。
 次に、資本的収入及び支出であるが、病院建築工事のうち一戸・北陽病院新築工事については11年度の竣工、伊保内病院新築工事については10年度内の竣工を目指し、9年度の実施設計に引き続き本工事に着手しようとするものである。
 また、大船渡病院に併設される救命救急センターの新築工事については、平成9年度に引き続き所要の事業費を計上しているところである。大迫病院新築工事については、現施設の老朽化等の対応として、また釜石病院増築工事については、現施設の狭隘化等の対応として、それぞれ診療機能の充実も図りながら、平成11年度の竣工を目ざして整備しようとするものである。
 さらに、医療器械の購入費としては、30億5、000余万円を予定しているところであるが、その主なものとしては、超電導式磁気共鳴画像診断装置等である。
 第3条の収益的収入及び支出と、52ページに参って、第4条の資本的収入及び支出の具体的内容については、後ほど予算に関する説明書により御説明申し上げる。
 次に、53ページに参って、第5条の債務負担行為であるが、これは工期が翌年度にわたる釜石病院増築工事と遠野病院附帯設備改修工事について、債務負担行為の期間とその限度額を定めようとするものである。
 第6条の企業債であるが、病院建築工事や医療器械購入等の財源となる起債の限度額を117億5、700万円とするほか、その償還方法を定めようとするものである。
 第7条は、一時借入金の限度額を123億円と定めようとするものである。
 次に、54ページに参って、第8条は、議会の議決を経なければ流用することのできない経費を定めようとするものである。
 第9条は、薬品、診療材料等のたな卸資産購入限度額を定めようとするものである。
 第10条は、重要な資産の取得であるが、これは、1件が面積2万平方メートル以上で取得予定額が7、000万円以上の土地及び、購入予定価格が1件7、000万円以上の医療器械の取得である。
 それでは、予算に関する説明書の451ページをお開き願う。平成10年度岩手県立病院等事業会計予算実施計画について御説明申し上げる。
 初めに、収益的収入及び支出である。
 まず、収入であるが、第1款病院事業収益は、1、110億1、300余万円で、9年度の最終予算に比較すると41億6、400余万円、3・9%の増加である。
 第1項医業収益は978億円であり、1目入院収益は542億1、100余万円、2目外来収益は379億8、400余万円である。3目その他医業収益は56億400余万円で、その主なものとしては、救急医療等の一般行政経費   に係る一般会計繰出金、健康診断等の公衆衛生活動収益等である。
 第2項医業外収益は126億7、300余万円で、主なものとしては、3目負担金交付金115億300余万円は、高度医療等の不採算経費に係る一般会計繰出金である。5目その他医業外収益6億5、300余万円は、不動産貸付料等である。
 452ページに参って、第3項特別利益5億3、900余万円は、旧胆沢病院跡地の売却益等である。
 次に、支出であるが、第1款病院事業費用は1、118億1、800余万円で、9年度の最終予算と比較すると47億600余万円、4・4%の増加である。第1項医業費用は1、046億8、100余万円で、その主なものとしては、1目給与費550億6、100余万円、2目材料費356億8、600余万円、3目経費101億5、100余万円、5目減価償却費32億1、900余万円等である。
 次のページ、453ページに参って、第2項医業外費用は61億6、800余万円で、その主なものとしては、1目の企業債に係る支払い利息等52億3、900余万円等である。
 第3項特別損失は9億6、400余万円で、旧久慈病院建物の除却費等である。
 以上、収入の合計額1、110億1、300余万円に対して、支出の合計額は1、118億1、800余万円となり、収入と支出の差し引きでは8億500余万円の純損失が見込まれるところであり、また、これにより平成10年度末の累積欠損金は91億3、300余万円が見込まれるものである。
 次に、資本的収入及び支出について御説明申し上げる。454ページをお開き願う。
 収入の総額は159億5、200余万円であり、その主なものとしては、第1款資本的収入の第1項企業債117億5、700余万円で、これはさきに業務の予定量で御説明申し上げた一戸・北陽病院新築工事等の病院建築工事や医療器械の購入等に充てるものである。
 第2項出資金11億1、500余万円は、用地の取得等に係る一般会計繰出金である。
 第3項負担金26億5、600余万円は、企業債償還等に係る一般会計繰出金である。
 次のページ、455ページに参って支出であるが、その総額は202億1、000余万円である。
 その主なものとしては、第1款資本的支出の第1項建設改良費139億9、100余万円であるが、その内容は、2目建物費94億3、500余万円、3目医療器械費30億5、000余万円等である。
 第2項企業債償還金は58億2、300余万円、第3項投資は、医学生等に対する奨学資金の貸付金で、4、800万円を計上している。
 第4項開発費は、情報処理システム等の開発費で3億4、700余万円である。
 なお、456ページ以降の資金計画、給与費明細書等については、説明を省略させていただく。よろしく御審議くださるようお願い申し上げる。

〇折居委員長 ただいまの説明に対し質疑ないか。

〇瀬川委員 昨日の保健福祉部の審査において、医薬分業定着促進事業について質問した経緯がある。その中で、その医薬分業の実態、それから問題点等を明らかにしていただいた。そういう中で、薬局の体制の地域差が非常にあるというお答えをいただいたわけであるけれども、そういう中で、緒方保健福祉部長から、地域医療計画の中でそれぞれの医師、それから歯科医師会とかそういう関係の中で、その地域に応じた分業というか、それを計画の中に組み入れていきたいという御答弁をいただいたところである。そういう中で、医薬分業の中でやはり一番大きなウエートを占めるものが県立病院の取り組みであると考えるところである。したがって、3点について質問させていただく。
 まず第1点、自治体病院経営ハンドブックには医薬分業が積極的に指導されている。県医療局の経営方針に医薬分業が明記されているのかどうかお伺いする。
 次に、現在の薬価差は何パーセントぐらい確保されているのかお伺いする。また、保健医療費及び国庫負担の削減を目標とし平成10年4月改定で平均利益が5%、長期収採品2%、また、高薬、新薬へのシフトを阻むため、新薬承認の激減等がなされる傾向にあるわけであるが、そういう措置で薬価差の解消がなされていくわけである。そういうものを経て、平成12年には薬価基準制度の廃止が現実化してまいった。薬価差を原資とする医療経営から脱却していかなければならないと思うが、どのように考えるかお伺いする。
 三つ目が、平成7年の決算審議において、院外処方箋発行の現状と今後の取り組みについての御答弁で、県立病院としては、患者の待ち時間、服薬指導の充実を図る上から医薬分業を推進するものであるが、受け入れ体制との関連もあるので、したがって、地元薬剤師会等との連携を図りながら推進してまいりたい、そういう答弁がある。その後、医薬分業の進捗状況がどの程度になっているかお伺いする。

〇渡辺医療局長 医薬分業の推進についての医療局の方針、そしてその方針が医療局の経営方針の中に明記されているかどうかというお尋ねであるが、県立病院ヒューマニティ21計画、長期経営計画であるが、この内容を紹介させていただくと、院外処方の導入については、処方LANシステムや調剤業務の自動化・省力化機器の整備、薬剤科職員の配置数あるいは薬剤管理指導料の算定や薬価基準の引き下げに伴う薬価差益の縮小など、患者サービスの向上と経済効果の両面から総合的に検討しながら導入を進めるということにしている。この線で引き続き努力してまいりたいと存じている。
 その他のお尋ねについては、業務課長から答弁させる。

〇大川業務課長 私から2点ほどお答え申し上げる。
 まず薬価差についてであるが、本年2月末における薬価差は14・77%となっている。また、薬価基準の廃止については、委員お話のとおり、国における医療保険制度の改革案においても、薬価制度の見直しが大きなポイントとなっている。現行の薬価基準制度を廃止し、新たに給付基準制度、日本型参照価格制度などを導入するとの考え方が示され、現在各種審議委員会等において審議されておるわけであるが、導入された場合においては、県立病院の経営においても大きな影響を及ぼすものと懸念されるところであるので、改正の動向を見きわめながら適切に対応していかなければならないものと考えているところである。
 二つ目の医薬分業の進捗状況であるが、平成7年度には中央、大船渡、花巻、磐井、北上及び福岡の6病院であったが、新たに平成8年度から久慈病院が発行を開始して、現在7病院が実施しているところである。

〇瀬川委員 今7病院というお話があったけれども、平成6年度で6病院、今平成7年度7病院ということ……。

〇大川業務課長 平成7年度末で6病院である。

〇瀬川委員 それでは、パーセンテージの方はわかるか。

〇大川業務課長 病院個別か。

〇瀬川委員 全体でいい。

〇大川業務課長 県病全体の発行率は4・3%である。

〇瀬川委員 今全体で4・3%で、6病院全体で11・4%という、これは下がっているということであろうか。

〇大川業務課長 経過から申し上げると、一番最初に導入したのが昭和62年6月、中央病院がスタートしたわけである。以降、順次拡大されてまいったわけであるけれども、見ておると、平成7年度の4・76%をピークに、8年度が4・54%、9年度上期であるが4・3%と、ちょっと下がり気味になってきている。

〇瀬川委員 今の答弁は間違いないであろうか。−−わかった。
 今、薬価差が14・77%あるという御答弁であったけれども、それが順次恐らくゼロに近づいていくと解釈してもいいわけであると思う。そういうときに、それをどうやって別なやり方で病院の利益を上げていくかということであろうと思うのである。そういう中で、例えばこの医薬分業の方式を徹底するとか、入院患者に対する薬剤管理指導であろうか、それを積極的に行うとか考えられるわけであろうと思う。だから、もし2000年に薬価差がなくなっていった状況にどのようなやり方を取り入れていくのか質問して終わる。

〇大川業務課長 委員おっしゃるとおり、確かに限りなく薬価差ゼロと、これは間違いない方向であろうと思う。先ほど私申し上げた日本型の参照価格制度、これはさまざま議論されており、果たして着地点がどこになるかは定かではないが、いずれ薬価差のない経営ということになるであろうと思う。ただ、薬価差だけがなくなって診療報酬点数は引き下げであるということになると、これはもう事業経営をやっていけないわけである。そういったことで、構造的改革の全体像がいまだ不透明な部分があるので、それらの動向を見きわめながら、いずれ生き延びていくための具体な方策というものを今後検討していくことになるであろうと思っている。

〇佐々木(大)委員 私からは、まず県立病院の経営改善への取り組みについてお伺いする。
 平成10年度の県立病院等事業会計予算書を拝見すると、赤字予算となっておる。また、さきに審議した平成9年度の最終予算においても赤字が見込まれておる。県立病院の経営環境は依然として厳しいものがあると思う。このように、今後大幅な収益の増加が見込めないこととなると、今まで以上に自助努力によって企業の経済性あるいは民間企業的経済性を発揮する必要があるのではないかと思う。そのためには経営改善ということにもっともっと真剣に取り組まないと、県立病院は赤字続きで県財政の負担になるようでも困るのではないであろうか。もとより、これまでも黒字・赤字にかかわりなく、経営改善のため、各県立病院においては鋭意努力されてきているものと思うが、これまでの経営改善について、具体的な取り組み状況と今後の考え方についてお伺いする。
 また、病院事業の中で赤字の原因となっているものの、県立病院であるがゆえにやらざるを得ないといった業務はないのであろうか。
 さらに、県立病院の赤字の議論をする場合には、採算がとりにくい高度医療や緊急医療、また県民に平等に医療の機会を与えるための過疎地等の不採算医療などを区分して論議する必要があると思うがいかがであろうか。あわせてお伺いする。

〇渡辺医療局長 県立病院の経営改善への取り組みということについてであるが、委員お話のとおり、医療を取り巻く経営環境が非常に厳しくなってきておるが、そういう中で、良質な医療サービスを安定的かつ継続的に提供していくためには、経営基盤の確立が不可欠であり、そのための経営改善というものは一層重要になっているものと考えるし、私どもこういう観点からその面に非常に力を入れているわけである。
 これまでの経営改善についての具体的な取り組みということであるが、経営改善の必要性、そしてまた、そのための具体的な改善項目、例えば病床の効率的な利用であるとか、あるいは医薬品等の廉価購入であるとか等々、そういった具体的な改善項目とその実施方法等についての研修を実施している。また、経営改善の事例集であるとか、経営分析資料を作成し、病院が主体性を持って経営改善に取り組むよう努力しているところである。
 特に効果のあった経営改善の具体例について申すと、診療報酬の適正な算定、これを事業運営の重点に定め業務指導で徹底したところ、この面については大きな改善効果を上げているところである。
 今後においても、県立病院の運営に当たっては、引き続き着実に経営改善を図りながら、単年度の収支の均衡などに向け一層の経営努力をしてまいりたいと考えている。
 それから、県立病院事業の役割というか、そういった点についてであるが、県立病院は自治体病院としての公的な使命がある。このような立場から、一般の医療のほかに、採算のとりにくい救急医療、がん、あるいは循環器病、リハビリテーションなどの高度医療や特殊医療などのほか、不採算地区の医療についても対応しているところである。これら不採算分野については、一般会計から明確な負担区分のもとで相応の繰り入れを得て、医療サービスの向上、さらには収支の面で均衡を図っているところであるが、その病院の運営に当たっては、採算、不採算を問わず一体的なものとして対応しているということである。

〇佐々木(大)委員 一層の経営努力をお願い申し上げたいと思う。
 次に、医療局職員の人事管理についてお伺いする。
 医療局職員の構成は、病院という特殊な事業の性格から、医師その他の医療技術職員など、さまざまな職種の人員で構成されているところである。また、病院事業そのものが、患者さんである県民に対して直接職員の手によってサービスを提供するという性格から、特にも知事部局などの組織とは異なり、職員個々の力で事業を運営していく、収入を上げていく、言いかえれば、職員が稼がないと病院が成り立たない、医師を初め、人がいないことには事業が成り立たないことになろうかと思う。しかしながら、病院の経営を考えるならば、患者サービスのためとは言いながらむやみに人を増員するわけにもいかない。そこで、必要最小限の職員で最大の効果を上げる、職員個々の資質や能力の向上を図ることが人事管理上必要になってくるのではないかと思う。医療局においては、病院という事業を運営していく上でどういった点に力を入れて職員の人事管理を行っているのかお伺いする。

〇伊藤参事兼職員課長 職員の人事管理についてであるが、良質な医療サービスの提供と効率的な事業運営のため、職員の資質とモラルの向上が喫緊の課題である。そういう観点から、人事等に当たっては、本庁と病院間、大規模病院と小規模病院の交流、有能な人材の登用等を積極的に行い、職員の能力の開発・向上とその有効活用、組織の活性化を図っているところである。
 他方、県民の医療需要に的確にこたえることのできる職員を要請するため、医療局職員研修体系を作成して、それに基づき計画的に職員の資質向上に努めるとともに、初任者・中堅職員等に対する基礎的な研修を初め、国立医療・病院管理研究所で実施している事務長研修への派遣、さらには、日本看護協会で実施している看護部門の研修へ積極的な派遣を行うなど、職員の資質や能力の向上に努めているところである。

〇佐々木(大)委員 患者さんに優しい、そして本当に安心できる病院になるようにお願い申し上げたいと思う。
 次に、医療廃棄物の処理についてお伺いする。
 県立病院の医療廃棄物の処理、特にも20病院の焼却炉から発生するダイオキシンについては、9月議会において同僚議員からその状況について質問があり、その際の答弁として、県立病院の焼却炉は昨年12月に施行された排出規制の対象になるものではないが、万全を期すためにダイオキシンの含有量について測定するとしておる。その測定結果はどうであったか、まずお伺いする。
 また、県の第三セクターとして一昨年建設されたいわてクリーンセンターを利用している病院が全部の病院の約3分の1に当たる9病院であると伺っておるが、県が出資し、医療局においても相当額の負担をして設立したいわてクリーンセンターの利用率としては低いように思うが、遠距離に位置する病院の運搬経費の問題などもあろうかと思うが、周囲の環境に与える影響も考慮すると、もう少し利用の促進を図ってもいいのではないかと考えられるが、いかがなものであろうか、あわせてお伺いする。

〇大川業務課長 ダイオキシンの濃度測定については、自家用焼却設備を整備している病院の中から、型式であるとか整備年度などを考慮して、代表的な4病院の設備を抽出し昨年の12月測定を行ったところである。測定の結果であるが、焼却炉の燃焼温度が800℃以上で補助バーナーや空気調節装置、あるいはまた集じん装置等がついておる、いわゆる無公害型の焼却炉については、3病院中2病院が、当面の基準値である80ナノグラム以下の数値であった。ただ、年次の古い1病院は、残念ながら基準を超えておったところである。また、補助バーナー等がついておらない旧式の焼却設備についても測定を行ったわけであるが、これについても基準値を超える濃度となっていた。このため、整備年次や型式の古い焼却設備については、基準値を超えるダイオキシンが発生する可能性が高いと、このような判断のもとに、該当病院に対しては、ポリ製品であるとかプラスチック製品の分別収集であるとか分別焼却の徹底を図るよう指示したところであるし、それから、自家処理が適当でない廃棄物については外部へ委託したところである。
 2点目のいわてクリーンセンターの利用に関するお尋ねについてであるが、県立病院においては、医療廃棄物という性質上、適正処理しなければいけないという観点から自家処理を基本としておる。ただ、敷地などの条件から、設備されていない病院であるとか、あるいはまた、焼却設備の焼却能力の問題などから自家焼却をできない病院、あるいはまた、焼却後の燃え殻等の処分については、いわてクリーンセンター初め専門業者に委託しているところであるが、いわてクリーンセンターを利用したのは、運搬費用等の関係から、平成8年度は地元の江刺病院のみであったけれども、平成9年度においては運搬費用の割引などもあり、新たに8病院が利用開始したところであり、現在9病院がお話のようにクリーンセンターを利用している。
 なお、いわてクリーンセンターの利用については、当該施設から遠方に所在する病院の搬送コストの問題であるとか経済性についても検討しながら取り進めてまいりたいと、このように考えておる。

〇佐々木(大)委員 病院が患者さんを助けなければならないので、ダイオキシン等でも、患者さんをつくるようなことはないように、十分積極的に対応していっていただきたいと思う。
 いずれ、県立病院は県民の健康を守る拠点として県民が等しく頼りにしているところである。県立病院の職員も医師も、看護婦を初め一丸となってその期待にこたえるよう努力していることは、県民等しく認めるところである。今後においても、これまで以上の経営努力をされて、財政面においても健全な経営を行って、さらに県民の信頼を得られる病院づくりに努力していただきたいと思う。

〇佐藤(正)委員 1点だけ関連であるが、今の佐々木大和委員からの質問の中で、いわゆる医療廃棄物、これは私も昨年聞いたわけであるが、今聞いていると、いわてクリーンセンターを利用しているのは地元の江刺病院だけである。あとはみずからの病院で焼却施設を持っているところはそれでいいが、そのほかは業者に委託をしているということであるが、問題は、業者に委託した廃棄物の処理の追跡調査をしたかということを昨年お聞きしたところが、そこまでしていないと。業者を信用してやっているということであったが、その際私は、やはりダイオキシンあるいは、特に医療廃棄物についてはいろいろ問題もあるので、業者の追跡調査まで含めてやるべきではないかと、こう申し上げておいたわけであるが、その結果はどうであろうか。

〇大川業務課長 平成5年から廃棄物管理表という、排出事業者、収集運搬業者、それから処理業者、これ6枚複写になっており、それぞれ確認をし判こを押し、5年間保存すると、こういうことが義務づけられておる。そういったことなどもあり、それらを確認するにとどまっているのが現状である。ただし、契約に当たっては、特にも最終処分場の確認、これは書面での確認であるが、やっているところである。

〇佐藤(正)委員 そこなのである。書面上の確認をやっているから問題が起きるのである。そこがお役所仕事ではないであろうかと言っているのであるから、なぜ一回も行ってみないのか。この前申し上げたであろう、一回でも現地に行って見るべきではないかと。そうであろう。医療局長、それはどうであろうか。

〇渡辺医療局長 書類等での審査、チェック、そういうことでやってまいったわけであるが、今後、委員お話のとおり、そういった対応をいろいろと検討してまいりたいと存ずる。

〇佐々木(博)委員 佐々木大和委員の質問に関連して、私も医療系廃棄物、感染性廃棄物についてちょっとお伺いしたいわけである。
 生活環境部の予算審査のときにも、私、産業廃棄物の県外からの搬入と、それから県外への搬出のことについてちょっと伺ったが、以前見た資料では、たしか岩手県内の医療系廃棄物のうち約400トンが県外に搬出されているというような資料を見た記憶がある。それは全体の量であるから、県立病院がすべてということではなく、県内全部ということである。ただ、今のそのお話であるが、特に感染性の廃棄物、何かいわてクリーンセンター、今度新たにふえて8病院で利用されるようになったということを今伺ったわけであるが、運賃の割引等になったのでその利用がふえたという今の答弁であったけれども、もっともっと遠くの方まで、例えば大阪であるとか、そっちの方まで実際県立病院の廃棄物で運んでいるものがあるのではないであろうか。ないであろうか。ちょっとそこを確認したい。

〇大川業務課長 私ども承知している範囲では、従前というか、平成8年度までは確かに県外というのがあった。これは岩手県北が青森にということがあったけれども、9年度からそれはできなくなり、現在はすべて県内で処理していると私ども承知しておる。

〇佐々木(博)委員 わかった。そこのところの確認をちょっとさせていただきたかったのであるが、いずれ今、各県事前協議制をやっており、それぞれの県で処理できるものについては持ち込ませないということになっているはずなのである。だから、そこのところはぜひとも徹底してやっていただきたいとかねてから思っていたわけであるが、そこが改善されたということを今確認したので、結構である。ありがたかった。

〇久保田委員 関連させていただきたい。医療廃棄物関係についてである。
 さきに完成した久慈病院の廃棄物については、どういう処理の方法になさっておるであろうか。新たな設備を講じたと思うのであるが、特徴のある処理体制になっておるであろうか。
 それから、今後建築予定の病院が数カ所あるわけであるが、そこの建築に当たっての廃棄物処理に対する対応策をお願いする。

〇大川業務課長 これは新しい久慈病院のみならずであるが、私ども感染性の廃棄物等も含まれておるものであるから、自家処理を基本としておる。整備に当たっては、現在基準にある温度が800度以上であるとか、あるいはまた補助バーナーがついているといういわゆる無公害型のものを整備している。したがって、これと同様新しい久慈病院についてもそのような焼却設備を整備したところである。
 なお、今後予定される病院についても同様の整備をしていく必要があろうかと、こう考えておる。

〇久保田委員 具体的にお尋ねするが、久慈病院のその廃棄物処理に当たっての年間費用はどの程度かかると見込んでおるのか。

〇大川業務課長 病院から排出される医療廃棄物、いわば御家庭と同じようなと申すか、紙くず類であるとか、そういった一般廃棄物が一つある。これは完全に焼却するわけである。ただし、残った燃え殻、そういったもの、それから感染性のものでも血液のついたガーゼであるとか脱脂綿、あるいはまた注射針などについても焼却するわけであるが、燃えないものもある。そういったものは久慈市にお願いして処理していただくわけであるが、年間の処理料はおよそ1、000万円ぐらいかと、こう見込んでおるところである。

〇久保田委員 最後である。
 多分、経費の算定は今直ちに正確なお答えは出てこないものと思うが、仮に1、000万円であるとすれば、これはどうであろうか、県内全体の医療廃棄物の処理についての統一的な処理方法を一括して考えてみた方がもっと安くいくものと思うわけである。たかが1、000万と言えばそれまでの話であろうが、これを全病院統括することによってより効果的な処理ができるのではないかと思うのであるが、その辺の考え方について伺っておく。

〇大川業務課長 内部的には、各病院それぞれ持った方がいいのか−−これは敷地の問題もある、それから、近隣の住家に対する環境の問題もあるので、望ましいあり方とすれば、比較的敷地の広いところに、ブロックというか、何カ所かずつまとめる、こんな整備の仕方もあるのかなということをいろいろ議論しているところである。今後、検討させていただきたいと思っている。

〇堀口委員 業務課長ばかり答弁しているようであるけれども、私は別の方、赤字関係の、医療局の公営企業という−−さっき赤字のことを言っておったから。
 かねて私は申し上げたこともあるけれども、本県医療局の県民に対する医療サービスというのは、本県は全国に誇る一つの状況であるわけであるけれども、その企業努力というか、赤字という問題、これさっきの不採算部門という救急センターとか、あるいはリハビリとか言っていたけれども、そうではなくて、27病院の中にどうしても赤字をつくる、いわゆる精神病院、北陽病院と一関の南光、この2病院が赤字のほとんどをつくっているのではないのか。だから、医療局の企業努力も見えてこないわけである。だから今後、この2病院の赤字というものを分離して、これはある程度医療ということよりも福祉の面も含んであるから、そういう表示を予算でも決算でもして説明したらどうかと思うのである。その2病院の赤字はどれぐらいであろうか。

〇長澤管理課長 精神病院の北陽、南光の2病院の赤字であるけれども、今8年度の資料であるが、2病院の単年度欠損では2億800万円余、この2病院の累積欠損金では68億9、000万円余となっている。

〇堀口委員 医療局の予算でも決算でも、そういうのがわかるようにひとつ、いわゆるディスクロージャー、そういうことをした方がいいと思う。
 立ったついでであるので、今度は一戸・北陽病院、ひとつ立派につくってもらいたい。そこの佐々木事務局長候補、しっかりやってもらいたい。要望して終わる。

〇千葉(浩)委員 1点だけ申し上げたいと思う。
 今いろいろ話があったが、今後の病院の整備の方向、これからやると思うのであるが、その病院の整備と財源確保の見通し等についてまずお聞きをしてまいる。
 いろいろ計画の中で新しい計画の策定をしていると伺っておるが、現在の計画では平成12年度までにいろいろ県立病院の新築を4カ所ぐらいであろうか、整備計画が盛り込まれている、こう伺っておる。問題は、国の方で行財政改革というものが進められておるわけであるが、この影響の関係で、病院を新築する場合、一番大きな財源となっておる企業債の確保ということであるが、国のこの動向とあわせて企業債が確保できるのか、こういうことが一番懸念され心配されることではないであろうかと思うのであるが、病院の整備計画の方向と財源確保の見通し、特に企業債についてひとつお聞かせを願いたいと思う。

〇渡辺医療局長 その前に、病院整備に当たっての私どもの基本的な考え方と申すか対応についてお話をさせていただくと、いずれ少子・高齢化の進展、そしてそれに伴う疾病構造の変化、あるいは医学・医術の進歩発展、そういったものを背景とする地域の住民の皆さんの医療ニーズの動向、あるいは投資効果、そういったものを総合的に検討しながら、また一方、今委員お話のとおり、その財源は大半が起債である。したがって、起債による後年度負担、この面についても十分配慮しながら、その事業の必要性と緊急性を吟味しながら施設整備を進めてまいらなければならないと考えている。
 そこで、その財源の確保の関係であるが、病院整備の財源の大宗を占めるのは、ただ今お話のとおり公営企業債である。この公営企業債については、現在の国の財政構造改革に伴う地方債の抑制ということで懸念されるわけであるが、平成10年度の地方債計画について申し上げると、総額では対前年比で4・3%ほど減少となっておるが、病院事業債については、それが住民生活に関連したものであるというような考え方から、これについては3・8%伸びているということである。私ども、こういった状況に照らして、これまでと同様に病院企業債については確保できるものと考えている。

〇千葉(浩)委員 大変安心したが、何で見て、地域住民というのは新しい病院を待ち望んでおるわけであるから、ぜひひとつそういう方向で取り組んでいただきたいと思う。
 第2点目であるが、医療保険制度改革、県立病院に与える影響についてお伺いしてまいる。
 国においては、昨年9月に健康保険法及び老人保健法の一部を改正して、老人や社会保険の本人の一部負担が大幅に伸びた、上昇した、こういうことであるし、外来の薬剤費の負担も相当ふえたという改定がなされたわけであるが、この改定により、実際に病院の経営面についてどれだけ影響があったかなかったか、その辺もまず1点お聞きしたいと思うし、それから、これから改革が、恐らく10年度もあると聞いておるし、12年もある、17年もあるというような、段階的に改革がなされようと話を聞いているわけであるが、病院経営というものについてこの医療保険制度改革がどれだけ影響してくるのかと。医療局長、いろいろ把握はしていると思うのであるが、そういうことで、影響というものをどう考えているかお聞かせ願いたいと思う。

〇吉川参事兼経営指導室長 医療保険制度の改革がどのように県立病院事業に与える影響ということでお答え申し上げたいと思う。
 まず、国における改革の主な内容というのを申し上げてみたいと思うが、医療機関の機能分担と連携の推進などによる医療提供体制の確立というのがまず一つある。それから、お話にも出たが、薬価基準制度を廃止して新たな制度を創設する、そういう内容がある。それから、技術料などを重視した新しい診療報酬の体系、こういうものがある。そういう中で、平成9年度には医療保険財政の破綻を避けるために健康保険法の改正、お話あったように患者さんの一部負担金の値上げ、それから10年4月1日に施行する医療法の改正というのがある。医療機関の機能分担と連携の推進のための地域医療支援病院の創設というのも出てまいる。それから、療養型病床群の設置というのも出てまいる。いずれ、これらは保健医療計画というものの関連があるので、それで具体的な目標数値というのも出てまいると思う。
 こういう中で進められておるが、まず、とりあえず9月に行われた改正による一部負担金の値上げでどうなったかというのを先にちょっとお答え申し上げたいと思うが、制度改正が行われた後6カ月の状況を見てみたのであるけれども、患者数でしかちょっととらえられなかったので、1日平均の患者数を見ると、前年同期で見ると、9月が大体4%台、これが減少であった。しかしその後、10年2月では逆に3%ほど増加している、こういう状況がある。この期間を通じて見ると、プラス・マイナスで一応1%程度の減少、こんな形で把握しているのであるが、いずれ医師の確保とか、あるいはちょっとインフルエンザが出た、そういうことで患者数については大きく左右するので、イコール影響であると、こう言い切れないのが実情である。
 それから、こうした動きが出てまいるが、今後の影響についてであるが、現時点では、薬価基準の制度の廃止というのは大きな影響を受ける。それから、大病院の外来紹介制というのもあるので、これも大きな影響を受ける。もう一つは、定額払い制というのがだんだん出てまいるので、こういう状況を見ると、もう従来どおりの収益確保は難しい、こういう状況になっておる。したがって、徹底した経営節減、あるいは患者サービスの向上に努めなければならない、こう考えておる。今後は、県医療審議会とか、あるいはそれらの検討経過を注意深く見ながら、逐次公表される内容を十分検討しながら適切に対応してまいりたいと、こう考えておる。

〇千葉(浩)委員 最後に、今も話が出たが、医師確保についてお伺いをしてまいる。
 全国的に医師の過剰時代が到来していると言われているわけであるが、これは関東、関西方面、全国的にはそういうことになっていると私は聞いておるわけであるが、東北地方ではやっぱりまだまだ医師が不足しておると聞いておる。特に岩手県であるが、沿岸部、県北地域病院では、非常に医師の不足が顕著であるということを承っておるわけであるが、この医師不足の原因というものはいろいろあると思うが、大学自体の医師派遣の不足の問題、それから、医師が都市部への勤務ということを非常に希望しているというような問題もあって、これはなかなか一朝一夕では解決できない問題があると思うが、1人でも多く医師を確保したいという病院はたくさんあるとも思っておる。今後、医師確保についてどう取り組んで、10年度の目標、どの程度を考えているのか。特に、その中で不足している沿岸部と県北部の病院の配置を含めて、全体でどれだけの人数の確保というものを今現在考えておるか。私は、そういう意味で大変不足している地域が相当数あるやに聞いておるので、やはり病院経営の骨幹は、それは立派な病院ができることもいいのであるが、やっぱり医師確保、お医者さんであるということも、これは理の当然であり、そういういい医師をどう確保していくか、その辺をひとつお聞き申し上げる。

〇高橋参事兼医師対策監 医師確保についての御質問にお答えする。
 平成9年度の医師確保の取り組みでは、今委員から出た中で、県北・沿岸あるいは小規模病院の医師確保など4点を重点課題として、今までにも増して、岩手医科大学とか東北大学等関係大学に足を運んで緊密な連携をとり、また不足する医師については公募採用も行った。さらに、中長期的な対策としては、御案内のとおり、9年度から医師の奨学資金制度の貸付人員とか貸付金額の枠も拡大して改善したところである。その結果、今現在、2月1日でまとめてあるけれども、常勤医師は前年度比較で18人増加して、さらに3月1日にオープンした久慈病院、あるいはその附属の救命救急センターの医師確保を含めると、今年度中には22人ぐらい純増になる予定であり、自画自賛かもしれないが、初めて20人台の大台に乗ったということで確保ができたということで、私どもとしては今までにない成績を上げたと思っておる。この結果、これは換算人員であるけれども、今現在県立病院で必要なドクターの数は628人と試算しており、医療法上の医師充足率からいくとまだ、トータルであと111人不足という結果になっている。なお、充足率は現在85%である。
 こうした中で、特にも今委員から御指摘あったように、県北・沿岸あるいは小規模病院の医師はまだ70%前後に低迷しているというか、非常に充足率が低いという状態であるので、かなり深刻なことは事実である。
 そこで、10年度における医師確保の課題としては、引き続き9年度と同様に全般的な医師の絶対数の確保と、県北・沿岸地区あるいは小規模病院の医師確保を重点的に進めてまいるけれども、4月の段階で県北では久慈病院と伊保内病院で合わせて5人、それから沿岸部では山田病院の1人の計6人の正規医師の増員が予定されており、このほかの病院も含めると、4月時点で大体11人の増加を現在見込んでいるところである。なお、10年度のトータルとしては、最終的に20人程度の確保は目標として努力してまいりたいと、このように考えているところである。

〇千葉(浩)委員 以上で終わるが、いろいろ病院の新しい建築あるいは医療確保、大変厳しいと思うのであるが、いろいろな問題があると思うのであるが、今後とも一生懸命努力していただくことをお願いして終わる。

〇折居委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩する。
   午後3時7分 休 憩
 
   午後3時25分 再 開

〇折居委員長 休憩前に引き続き会議を開く。
 質疑を続行する。

〇佐々木(一)委員 3点あるが、まとめてお伺いするので、よろしくお願いする。
 まず、第1点目、平成10年度当初予算と今後の事業運営についてということである。
 県立病院の平成10年度の当初予算と今後の事業運営であるが、今度の当初予算では80億500万円余の赤字予算となって、先日議決した平成9年度岩手県立病院等事業会計補正予算においても2億6、300万円余の赤字計上をしておる。平成7年度と平成8年度の2年連続の黒字が一転して赤字が続くことになるわけであるが、医療局がこのような赤字予算を組まざるを得なくなった状況をどのようにとらえていらっしゃるのか、大きな原因等、わかればお教え願いたいと思う。
 また、このような厳しい状況下で今までに増して経営努力が必要になるものと思われるが、医療局としては、このことを踏まえて今後の事業運営をどのようにされていくのか、これについてお伺いする。
 2点目である。県立病院事業の累積欠損金の解消についてお伺いする。
 先ほど堀口委員から精神病院2病院の欠損金の質問もあったところであるけれども、平成9年度と平成10年度は、それぞれ先ほど申し上げたように単年度赤字ということである。平成10年度末には91億3、000万円余の累積欠損金という御説明もあったわけであるが、伺うところによると、年度により単年度の黒字による若干の解消はあったと聞いておるが、43年度決算以来、30年間欠損金が累積したものと聞いておるところである。医療局としては、この多額になった累積欠損金を今後どのように解消していかれる御予定か、これについて2点目伺う。
 最後、3点目である。新しい経営計画についてお伺いする。
 県医療局では、平成3年に策定された岩手県立病院等事業経営計画の見直しを行い、平成8年6月に後期経営計画としてヒューマニティ21計画を策定したところであるけれども、策定からまだ2年ということであるけれども、県では、平成11年度を初年度とする新しい総合計画の策定を進めているところで、介護保険法の成立や、また、医療保険制度の抜本改革の検討が進められている現状下で、医療局としては、このような最近のさまざまな情勢を踏まえて、新しい計画の策定の必要性について、それをどのようにお考えなのかお伺いする。
 また、新しい経営計画の策定が必要であるとお考えであれば、現時点でどのようなコンセプトで、また、どのようなスケジュールで策定していこうとされているのか、この3点についてお伺いする。

〇渡辺医療局長 3点のお尋ねであったが、第1点の平成10年度当初予算と今後の事業運営については私からお答えする。2番目の累積欠損金の解消については管理課長から、3点目の新しい経営計画の必要性、コンセプト等については経営指導室長の方からお答えするので、御了解を賜る。
 まず、第1点目であるが、平成10年度予算においては、ただいまお話のとおり赤字予算を組んでいるところである。平成10年度においては、まず、収益であるが、医療保険制度改革の流れの中で、患者数や1日当たりの診療単価など、収入に関しては大幅な伸びが期待できないというところである。
 まず、入院及び外来収益について申し上げると、10年度の入院患者数は、過去の実績、9年度上半期における患者動向等を勘案して、9年度の最終予算ベースに比べて1・1%の増を見込んでおる。それから、外来患者数であるが、これも9年度最終予算ベースに比較して同様に見ると1・3%の増を見込んでおる。それから、患者1人1日当たりの診療単価であるが、ここ数年の実績や医療内容の高度化等によって、9年度最終予算ベースに比べると、入院で2・0%の増、外来で1・7%の増を見込んでおる。そのほかに、旧胆沢病院及び旧大船渡病院の跡地売却等による特別利益を計上しておる。
 一方、支出であるが、費用についてであるが、医療ニーズの多様化、高度化、人件費の増嵩等によって、これは一定の伸びが避けられない状況にある。給与費について申すと、定期昇給、診療体制の充実に伴う増員等によって、9年度最終予算に比較すると4・0%の増を見込んでおる。それから、材料費であるが、これは廉価購入に努めているものの、医療の高度化等に伴い増加傾向にあるし、また、先ほど申したとおり、患者数の増加を見込んでおるので、それに対応しなければならないということから、9年度最終予算に比較して4・0%の増を見込んでおる。それから、旧久慈病院の解体・除却費、それから、平成10年度予定しておる伊保内病院の新築に伴うその引っ越し費用を特別損失として計上いたしておる。
 以上のことから、収益合計で1、110億円余り、費用合計で1、118億円余りを計上したところで、その結果、予算上の収支損益は、9年度最終予算の2億6、300万円余の欠損に対して8億500万円余の欠損が見込まれたところである。その積み上げであるが、10年度累積欠損金は91億3、300万円余を見込んだところである。
 今後の事業の運営に当たっては、医療の経営を取り巻く環境は、診療報酬の抑制基調であるとか、医療保険制度改革の流れの中でますます厳しくなっていくこと、この点必至だと存じておる。一方、県民の医療ニーズは、健康に対する関心の高まりや医学・医術の急速な進歩に伴い、ますます拡大化、多様化、複雑化、高度化していくものと存ずるが、そういうことを考えあわせて、私ども8年6月に策定した経営計画の基本方向に沿って、良質で効率的な医療提供体制の整備、そして、これを支える安定した経営基盤の確立にさまざまな、できる限りの努力をしてまいらなければならないと存じておる。よろしくお願い申し上げる。

〇長澤管理課長 累積欠損金についてであるけれども、委員御指摘のとおり、平成10年度当初予算においては91億3、000万円余と見込んでおる。ただ、この額を料金収入というか入院外来収入の割合で見ると10年度末で9・9%となる。先ほど43年度から赤字という御指摘があったが、今までで最高の赤字額は平成6年度89億900万円余あった。このときの比率が11・1%となっておって、事業規模から見ると総体的には縮小してきているということがある。また、全国平均はどのくらいかということで見ると、平成8年度決算では30・3%である。したがって、これに比べると大分低い比率となるということである。
 また、事業運営に及ぼす影響であるけれども、内部留保資金、これが平成10年度資本収支に約42億円補てん財源として充当して、10年度末残高では85億円を予定しておる。また、現行繰り出しルールということで、企業債の元利償還金の3分の2一般会計からの繰り出し措置がされておるので、事業運営上直ちに支障を来すということではないが、しかし、今後においては、医療保険制度の抜本的改革等に伴って、従前に増して厳しい経営環境が続く。また、病院等の新築あるいは医療器械の整備、これに伴って後年度負担が発生していくということで、累積欠損金の解消はもとより、単年度収支の均衡を図ることも大変厳しい状況にあると認識しておる。いずれ、こういう状況の中で、まずは単年度収支の均衡を全力で図りながら、幾らかでも累積欠損金の解消に努力してまいりたいと考えておる。したがって、常にこういう財政状況を念頭に置いて、既存の施設あるいは医療器械等の有効利用の徹底、それには計画的な設備計画、そして、より一層効率的な事業運営に努めてまいりたいと考えておる。

〇吉川参事兼経営指導室長 新しい経営計画についてお答えする。
 現在進めておる県立病院等事業経営計画ヒューマニティ21計画は、平成12年度を目標年次としているものである。それから、県全体の新しい総合計画の策定が現在進められておる。それから、新しい保健医療計画についても、間もなく県医療審議会に諮問される予定である。基本的には、その枠組みの中で運営される病院事業と考えておるし、整合性を考慮する必要があると、このように考えておる。さらに、国においても、平成12年度実施を目指して医療供給体制や薬価制度、診療報酬体系の抜本的な改革の検討が進められておるので、順次具体的な内容が示されると思う。したがって、この対応も検討する必要があると、このように考えておって、県立病院の新しい経営計画の策定は、11年度中をめどにして、10年度早期に取りかかる予定としておる。
 それから、新しい計画のコンセプトというか、基本的な考え方として、まず一つには、県立病院間における機能分担と連携のほか、地域の医療機関との機能分担と連携、それからもう一つは、保健、福祉との連携による総合的なサービス体制の整備促進、三つ目には、サービスと医療の向上を目指した情報システムの構築、このように考えておって、働きがいのある職場づくりと組織の活性化、経営意識の醸成と生産性の高い効率的な事業運営の推進、こういうものを柱として県営医療の発展方向とその実現のための方策を明らかにしてまいりたい、このように考えておる。

〇斉藤委員 幾つかあるから、3回に分けて簡潔に聞くので簡潔明瞭に答えていただきたい。
 第1点は、医療法の改正、医療提供体制の抜本的改革の方向と県立病院に与える影響についてお聞きする。
 昨年12月に医療法の一部改正があり、医療保険及び医療提供体制の抜本的改革の方向が示されているが、主な内容、県立病院に与える具体的な影響問題はどうなっているのか。特に大病院への外来の集中の是正、給付率に差を設けるとの方向が示されているが、具体的にはどの病院が対象になり、患者負担はどうなるのか。地域の中核病院としての県立病院の存立にかかわる問題が提起されていると思うけれども、どう対応しようとしているのか。
 第2点、紹介外特別初診料の実態について、本会議でも浅井委員から質問があって、興味深い答弁があった。これまでの紹介外特別初診料の患者負担額、件数、紹介率はどうなっているのであろうか。
 本会議の保健福祉部長答弁で明らかになったが、特別初診料を徴収しても、200床以上の病院で外来患者が減るどころか4−7月期で見れば前年比で1万6、535人、1・5%増加しているようである。特別初診料徴収の意味がないと思うけれども、いかがであろうか。それでも取り続けるのであろうか。
 県内の病院でも徴収しているところは多くない。約半分程度である。私は、公的病院−−県立病院−−としてこの特別初診料は見直すべきと考えるが、いかがであろうか。

〇渡辺医療局長 第1点目の医療法改正等に伴う問題については私から、それから、紹介外特別初診料の実態については業務課長からお答えさせるので、御了解をいただく。
 まず、医療提供体制の抜本的改革ということでの厚生省案の内容であるが、これは昨年8月に厚生省が示したものであるが、主な内容について触れると、まず、現行の薬価基準を廃止し、薬価差益の解消と薬剤費の抑制を図るということがある。それから、診療報酬で申すと、現行の出来高払い制を見直し、慢性期医療では定額払い制を原則として、急性期医療も一定期間経過後は定額払いとする。それから、医療機関の機能分担の明確化等を通じた効率的な医療提供体制の整備などである。
 この改革案の内容の県立病院に与える具体的な問題ということについては、ただいま申し上げたとおりの薬価基準の廃止等々、どの項目をとっても、いずれも今後の病院経営に大きな影響を与えるものと認識しておる。
 それから、この厚生省案の内容としての大病院への外来の集中是正ということであるが、その是正策として、大病院の外来については、保険給付を5割程度の定率一部負担とするとされておる。
 なお、大病院がどういうものかということについては、その定義づけ等はまだなされていないところである。
 いずれ、県立病院としては、こういった厚生省案の内容、それに連動すると思われる今後の改正、そういったものについては私どもも十分注意しなければならない。そして、今後とも地域における医療機能の維持確保を基本としながら、環境の変化に適切に対応できるように、この制度改革の方向について引き続き注視していくほかに、新しい保健医療計画の策定にあわせて、地域医療支援病院あるいは療養型病床群等に関する県立病院の対応について、患者さんの状況であるとか、交通事情等地域のさまざまな状況があるわけであるが、そういうものを勘案しながら検討を進め、そして、限りある医療資源を有効かつ適切に活用するために、引き続き各県立病院の機能の明確化による連携、ネットワークの形成と経営の効率化に努めるほか、かかりつけ医との連携、そういったものについても一層進めてまいらなければならない、こういうふうに存じておる。

〇大川業務課長 紹介外初診時負担額については、導入後の平成8年8月から平成9年3月までの実績は、徴収件数が9万1、274件で、その金額が9、401万2、000円、紹介率は5・4%である。また、平成9年4月から12月までであるが、件数が10万2、433件、金額が1億752万3、000円、紹介率は8・1%となっておる。
 次に、紹介外初診時負担額を徴収しておる200床以上の14病院における外来患者の動向についてであるが、導入前の8年4月から7月までと導入後の9年度の同期間を比較すると、確かに外来患者総数は1万6、535人、1・5%増加しておるが、しかし、このうち初診患者数は4、886人、5%減少しておるし、また、他の医療機関から紹介状を持参した初診患者数は8年度に比較して1日平均24・3%と大幅に増加しており、この制度の趣旨である病院と開業医と診療所の機能分担と連携が促進されつつあるものと考えておるので、御理解賜りたいと存ずる。

〇斉藤委員 医療供給体制の抜本的改革、この定額払いというのは改悪と言うべき中身である。出来高払いというのは実態に合うわけだけれども、定額払いの場合には本当に必要なことをやったら赤が出る、こういうことである。
 また、大病院というのは定義がはっきりしていないと言うけれども、例えば300床以上であれば県立病院はかなりの病院が対象になるわけである。県立病院というのは、中央病院を除けばどの病院も地域の中核病院、そういう点では一番地域に密着した病院なのである。そこが入院専門ということになれば、県立病院としての経営が成り立たないし、県民の医療要求にもこたえられなくなる。私は、こういう改悪の方向を許してはならないと思うので、そういう方向で、ひとつ強力にこういうのはぜひ運動していただきたい。改悪に次ぐ改悪である。だから、私は、赤字問題も取り上げられているけれども、精神病院の赤字というのはあるけれども、もう一つ医療制度の改悪というのが赤字の最大の理由だと思う。そういう点で、そのことは指摘にとどめておく。
 紹介外初診料、やっぱり取りっ放しである、実態は。これは保健福祉部長が言っていたけれども、県内に44病院あるけれども、導入は23、そのうち14が県立病院なのである。県立病院が真っ先にこれを導入して、そして外来患者は減っていないわけだから、私は、公的−−県立−−病院は、この実態から見て見直すべきではないかと思うが、そのことも要望しておく。
 続いて、来年度の定員増の見通し、2人夜勤の解消の問題についてお聞きする。
 来年度の定員増の見通しは職種ごとにどうなっているのか。今年度の状況は医療局の資料で見ると平成9年度は91名増ということになっているので、来年度はどういう定員増の見通しか。
 看護婦さんの最大の要求は2人夜勤の解消である。しかし、定員増があるものの、2人夜勤は解消されていないというのが実態である。準夜勤、深夜勤、それぞれ2人夜勤の実態はどうなっているのか。
 久慈病院が新築オープンした。私もオープン直前に視察してまいった。院長先生や看護婦さんの話も聞いてきた。看護婦さんの生の声は、新しい病院になるけれども、労働条件が厳しくて希望が持てないと、大変厳しい声であった。なぜかというと、4病棟から6病棟になるのであるが、そのうちの5病棟は2人夜勤体制になる。新たに2人夜勤体制がふえてしまう、こういうことである。これは大変残念であるが、2人夜勤体制の解消、これを医療局としてどう進めようとしているかお聞きする。
 定員増の必要性について、年次休暇の取得状況を調べてみた。1人当たり平均で9・2日、前年比0・4日後退、10日もとっていない。1週間もとっていない病院がある。平均して1年間に6日程度しか年次休暇をとれないという深刻な実態がある。これは本庁も調べたけれども、医療局の方が厳しい。本当にこれは深刻な状況である。生理休暇は、取得しているのが12病院だけで、延べ日数でわずか197・9日、前年比73・2日も減少している。28病院のうち、とれない病院が多数である。生理休暇は死語になっている。県医労の調査によると、妊娠異常が75・2%、異常出産が38・2%と、極めて重大な状況である。私は、本当に年休、生理休暇を希望したときにとれるような労働条件の改善というのは急務だと思う。そのためにも定員増が必要であり、2人夜勤の解消が必要だと思うが、いかがであろうか。

〇伊藤参事兼職員課長 平成10年度の定数増の見通しについては、現在、作業を取り進めているところであるが、医師については10数名、看護婦については40数名、薬剤師等医療技術員についても若干名の増員を検討しているところである。
 次に、2人夜勤体制についてであるが、夜勤体制は、全病院について2人体制、月8日以内夜勤のいわゆる二・八体制を基本として、病棟の患者数の動向、患者の重症度をあらわす看護度などに応じて2人体制、3人体制、4人体制をとっているものである。2人夜勤体制については、全県立病院95病棟ある中で、準夜が2人、深夜が3人の2−3体制、または準夜が3人、深夜が2人の3−2体制を含めて49病棟あるが、平成6年度と比較すると、いわゆる2−2体制では4病棟の体制を強化しておる。
 次に、久慈病院の2人夜勤体制等についてであるが、久慈病院の一般病床は救急救命センターを含めて従前と同じ350床であるが、夜勤体制については、大規模病棟の解消を図るとともに、全体で看護婦44名を増員し、看護体制を強化充実したところである。
 それから、職員定数増についてであるが、医療局の職員定数については、医療環境の変化に柔軟に対応しつつ、将来を展望した良質で効率的な医療供給体制を確立するため、経営状況にも配慮し、必要な職員数を定数措置しているものであり、今後も診療体制及び業務量等を勘案しながら、定数等について考えてまいりたいと思う。

〇斉藤委員 着実に定数増しているということは評価する。しかし、残念ながら深刻な実態を解決する状況になっていない。年休、生理休暇の取得状況はそれを如実に示している。県医労がすべての県立病院で調査したアンケートを紹介すると、年休を使い残した理由、第1位が要員不足のため同僚の迷惑になるから44・8%、職場の雰囲気でとりにくいから10・8%、いわば約60%が要員不足だし、そういう雰囲気ではないと。仕事量、1年前との比較、ふえた59・2%、きつくなった67・2%。確かに定数増しているのだが、仕事の量も、そのきつさもきつくなったと答えている。中央病院の看護婦さんのアンケートを見ると、年休をとりにくくなったというのが263名中121名、仕事がきつくなったというのが106名、これが圧倒的である。私は、そういう点で、ぜひこの実態を改善していただきたい。本当に体をすり減らして看護婦さんは頑張っている。それにこたえる対策をとっていただきたいと思う。
 最後である。メディカルサポートへの出資の見直しについて、行政改革の課題として出資法人の見直しの課題があると思うが、メディカルサポートへの出資も見直すべきではないか。昨年9月の決算で私はこの問題を取り上げて、医療局長も常々これは見直すべき課題だと言っておったが、来年度どう見直すのか、そのことをお聞きしたい。
 次に、この間、医療機器の購入で競争入札が徹底されてきた。その成果が出ていると思うが、いかがであろうか。
 実は、私、昨年の予算議会でベッドの問題を取り上げた。これは、ことしも公正取引委員会が、全国的に談合があるということで、すべての公的機関に連絡をした。パラマウントベッドである。私は、具体的な事実を示して、医療局にも談合があるのではないかと指摘した。そして、今回のベッドの購入については、フランスベッド、パラマウントベッドで入札をした。私は、大幅に価格が下がっていると思う。それをお聞きしたい。競争入札してどのぐらい価格が下がっているか。そのことは、逆に言えば談合を証明することになると思う。
 最後に、食糧費の不正支出について、医療局の不正支出は124件617万4、417円となっている。2次会等の処理が48件、内部懇談会37件、それ以外のもの37件、具体的にどういう内容か。医療局の局内だけではなくて各病院にもあったのかどうか。
 私は、特に不正な支出懇談会の事務処理についてお聞きしたい。その期日どおりに行われなかった懇談会の実施伺というのは、結局職員が偽造したということにならないか。店の請求書はやっていない日の日付になっていると思うけれども、これは店がよこした日付なのか職員が書き直した日付なのか。懇談会をやったかどうかわからないという件数が37件あるけれども、懇談会をやっていないとすれば何に使ったのか、そのことをお聞きする。

〇渡辺医療局長 第1点については私から、第2点目については業務課長から、3点目は私と管理課長からお答えするので、御了解を賜りたい。
 まず、第1点のメディカルサポートへの出資の見直しについてである。
 医療をめぐる環境が、先ほど来お話し申し上げておるとおり、今、非常に大きく動いているところである。それに対応して、私ども医療を提供する側にとっても、その提供の仕方、医療の提供のために的確な対応を図るために、その体制についても常に見直さなければならないものと基本的に考えておる。一方、ただいま委員お話しのとおり、現在、国及び県の行政改革においても出資法人の見直しが進められておる。そういったこと等から、医療提供体制の見直しの一環として、このメディカルサポートについてもただいま見直しを進めているという状況にある。
 医療局における食糧費の不正支出についてである。
 私ども、平成4年度から平成8年度までの5年間について調査を行った結果、不適正な支出と認められたものが617万4、000円にも及んでおる。大変申しわけなく、県民の皆様に心からおわびを申し上げる。
 今後、かかることのないよう、公務員倫理の確立、職員の意識改革、チェック体制の充実強化に努め、より一層適正な執行ができるよう、その改善方策を着実に推進し、適正な事業運営を図り、県民の信頼回復に努めてまいる。
 この問題について、詳細については、なお管理課長から答弁させる。

〇大川業務課長 医療器械の購入の件についてお答え申し上げる。
 平成9年度本庁で購入した医療器械は156件35億9、000万円余の契約であるが、そのすべてが競争入札によるものである。また、前年度は180件で34億7、900万円余の契約となっておるが、そのうち、競争入札によるものは約82%となっておる。

〇長澤管理課長 食糧費の関係であるけれども、まず、三つのケースについてどういう内容かということであるが、2次会等の処理については、2次会等として行われた懇談の経費を処理するために、実態と異なる日付あるいは出席者の氏名等により支出を行ったものである。それから、内部懇談等については、職員間で行った懇談であるにもかかわらず、相手方を伴う情報交換の名目で処理されていたというものである。それから、それ以外のものということであるが、その他実施内容等が不明なものと分類しているケースだと思うけれども、これは実施伺に関係者の記載はあるけれども、その関係者から懇談の事実の確認を得ることができなかったもので、したがって、不明なものに区分したものである。しかし、これについては、支出関係書類により支出の事実が確認されたものである。
 それから、不適正な支出については医療局本庁及び一部病院にもあって、大変申しわけなく思っておる。
 それから、事務処理であるけれども、実施伺等であるが、今回の調査で不適正支出とされた124件であるが、支払いの事実は確認されたけれども、2次会の経費等の支払いのため事実と異なる処理をしたということで、事務処理に適正を欠くと判断されたものである。実施伺の作成から支払いに至る一連の事務処理が不適正な処理であったわけで、安易に前例を踏襲するということもあったが、いずれ職員が故意にみずからの利益を図るために行ったものではないと調査した限りでは認識しておる。
 それから、債権者への支払いは、その債権者からの請求書で支払いが行われたもので、例えば債権者から提出されたものを書き直したものはないと思っておる。
 その他の実施内容等が不明なものについては、先ほど申し上げたが、懇談会は行ったけれども実施伺の記載とは異なり、その関係者、相手側あるいはこちら側からも事実の確認を得ることができなかったものであり、いずれ調査した限りにおいては、それが懇談会以外のものに使われたということはないものと認識しておる。

〇大川業務課長 答弁漏れがあった。
 ベッドの関係である。これまでも廉価購入に大変努力してまいったわけである。納入率というか、契約率というか、約5割ぐらいで納入しておったわけであるが、今年度、昨年同様ベッドを購入したわけであるが、約10ポイントちょっと下がっておる。

〇斉藤委員 今のベッドの答弁、極めて重要なのである。今まではパラマウントベッドだけで入札をしていた。それで談合操作したというのが公取の指摘である。今回、医療局はフランスベッドとパラマウントをやった。そうしたら10%以上下がった。私はこれは改善だと思うけれども、今までしかし重大な疑惑が残ったと。去年私が指摘したとおりだったのではないかと思うけれども、まあしかし、そういう実態が明らかになった。
 それと、メディカルも一歩前進の答弁があったのだが、最近、私のところにこういう情報が寄せられた。伊保内病院の改築、既に設計は決まっている。ところが、ある業者が設計業者に対して営業活動をやったら、もう既にメディカルサポートが来ていると。もうそっちの関係でやっているというのである。私は、このメディカルサポートというのがなぜ問題かというと、県内外の有力業者だけ集まった。そこに岩手県が出資している。情報を一番早くわかって、営業活動ができる、癒着の機関だということが私が指摘した一番の問題である。今回も残念ながらそういうことが寄せられた。局長は今、一歩踏み込んで検討すると言っているから、これは早く検討しなければだめである。そのことを強調したいと思う。
 それと、食糧費、最後であるが、やっぱりよくわからないのは、実施内容が不明な懇談会が37件131万円ある。結局懇談会をやったかどうかわからない。増田知事は金の流れを明らかにすると記者会見で言っている。では、この金は何に使われたのか解明しなかったら、私は疑惑が残ったままだと思う。
 そして、事務処理を聞いた。結局やっていない日の日付で実施伺を書き、請求書が出されている。だから、その店にお金を払ったから疑惑がないということにはならない。事務処理上そういうつじつまを合わせるわけだから、私は、例えば店にお金を払ったって、その後どうなっているかわからないと思う。そして、他県の例でいうと預かり金というやり方がよくある。預かり金をあけておいて2次会、3次会でそこを使うと。これは医療局ではないけれども、私が調べた実施伺、請求書の中には内金などというのもある。50万円の請求書のうち20万円は内金と、これは預かり金のあらわれである。そういう点で、残念ながら医療局の食糧費調査でも、これで裏金はないとか、ほかの方に使ったことはないという証明がないのではないか。答弁があればお聞きしたい。

〇長澤管理課長 今、委員指摘の請求書の書きかえというか、内金とか、そういう表示というものはなかったということである。
 それから、調査した限りにおいてということで、債権者確認もしたけれども、当該37件のうち、実際回答があって確認できたものは19件、それから、帳票がないということで3件が未確認、それから、廃業したとか、そういうことで回答がなかったものが15件という状況で、調査をした限りはないものと認識しておる。

〇折居委員長 ほかに質疑はないか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇折居委員長 質疑がないようなので、これで医療局関係の質疑を終わる。
 次に、地方労働委員会事務局長から地方労働委員会関係の説明を求める。

〇藤田地方労働委員会事務局長 地方労働委員会関係の予算について御説明申し上げる。
 便宜、お手元の予算に関する説明書によって御説明申し上げるので、154ページをお開き願う。
 第5款労働費第3項労働委員会費のうち、1目委員会費3、354万5、000円は、委員の報酬及び委員会運営に要する経費である。それから、2目事務局費1億3、093万8、000円は、事務局職員の人件費など、事務局の管理運営に要する経費である。
 以上で地方労働委員会関係の予算について説明を終わる。よろしく御審議のほどお願い申し上げる。

〇折居委員長 ただいまの説明に対し質疑はないか。

〇佐藤(啓)委員 藤田事務局長にはこの3月をもって勇退されるとのことであるので、この場をおかりして一言お礼を申し上げたいと思う。
 あなたは、昭和39年4月、県職員となられ、以来34年の長い間、県勢の振興発展に努められた。その振り出しは農地林務部耕地課と伺っておるが、農政部に14年余り、また、経済部と商工労働部には11年間在職し、農政と商工労働行政のエキスパートとして活躍された。そして、昭和61年には大阪事務所長に就任され、企業誘致や岩手と関西とのつながりを開拓するため、大いに力を発揮された。そのとき築き上げられた基盤は今日にしっかりと受け継がれていると伺っておる。平成に入って再び農政畑に戻られ、農政企画課長、そして、平成5年には農政部次長に就任され、そして、昨年4月には労働行政とかかわりの深い地方労働委員会事務局長に就任されたのである。私は、そのころ、あなたのところに伺ったことがあった。物静かで包容力のある応対、そして、知見豊かなお話を伺い、深い感銘を受けた次第である。
 御存じのように、使用者、労働者、公益を代表する委員で組織される労働委員会、そして、事務局職員が一体となって本県の労使関係の安定を図らなければならない。そういう中で、あなたはそのかなめとなって、持ち込まれた不当労働行為事件など、迅速な審理促進、また、調整事件など、適切な解決を図られた。私は、あなたのお人柄にあずかって大なるものがあったと感じているところである。
 折しも我が国経済のグローバル化、加えて規制緩和の大きな流れの中で、本県農業者も中小企業者も、そして勤労者も大変厳しい環境の中に置かれている。こうしたときにあなたとお別れをするということはまことに残念でならない。局長には退職後もどうぞ健康に留意され、大所高所から県勢発展にお力添えをいただきたいものと存ずる。
 この際、局長から何か御所感の一端をお話しいただければ幸いに存ずる。本当に御苦労であった。(拍手)

〇藤田地方労働委員会事務局長 ただいまは佐藤委員から過分なお言葉を賜って恐縮の限りである。
 これまでの感想になろうか、若干申し述べてみたいと存ずる。
 私、県庁に採用されたのは昭和39年4月で、ベコっこ知事、道路知事とも言われた千田知事の2年目の年であった。現在の県庁舎が竣工する前の年で、東京オリンピックの年でもあった。
 ただいまから県庁に入った新鮮な気持ちの時代のこと、それから、大阪時代に外部から岩手県を眺めたこと、この2点について、感想というか、この場をおかりして若干申し述べてみたいと存ずる。
 まず、一つ目であるが、私、昭和39年4月1日に採用辞令の交付を受けた直後、その日の新採用職員研修で千田知事の講話があった。その中で、2点ほど知事はおっしゃっておられた。
 まず1点、南部藩と伊達藩の藩境の線引きを例にしてのお話であった。それぞれの藩の都である盛岡、仙台を出立して、双方が出くわしたところを藩境とすることとした。実際は、一方の藩ではのんびりと牛に乗って、片や早馬に乗ってやってきた。出会ったところは北上市の相去であった。そこが藩境になった。こういう事例を引用して、知事はいわく、ただ漫然と諸君は仕事に取り組むのではだめなのだと。相手の動向を把握する等、目的達成のためにはあらゆる情報手段を駆使してやらなければこういう結果になるのだという重要性を説かれたものと私は受けとめた。時あたかも、全国的に道路、その他、生活や産業基盤が未整備で、知事のお立場としては国の大型プロジェクトをいかにして導入するかが最大の課題であったことが背景にあったものと思われる。
 次に、知事がおっしゃった2点目は、知事が大学を卒業する際に、水沢の郷里の、当時国をリードする大会社の社長でもあった大先輩に就職を頼みに伺ったそうである。その結果は、自分で探すようにということで、一蹴されたとおっしゃっておられた。知事は、我が県民性のよさの一つに独立独歩の気概があると。諸君はこれからの県庁生活に当たって、フロンティアスピリットの精神で仕事に取り組めとおっしゃったのである。
 県庁生活の初日に、しかも大緊張していた私にとって、千田知事のこの講話の中身は今日に至るまでも私の指針の一つにしてまいったつもりである。
 それから、思い出すこと、県外から岩手を眺めた経験から申し上げたいと存ずる。
 大阪事務所時代、私は立場上、所長として他県の物産展をよく見学した。3年間のうち、常に本県は売り上げがナンバースリーに入るほどの人気であった。そのナンバースリーと申し上げるのは、我が岩手、北海道、石川県である。北海道は豊富な海産物とジャガイモ、タマネギの見本売り、言うなれば量で勝負するといったところであった。石川県は加賀百万石の伝統産業、これは九谷焼とか輪島塗といったものを中心にして、高付加価値で勝負といった感じであった。ところが、我が岩手は、とにもかくにも品ぞろえが豊富であるというのが特徴であった。県産の海産物、農産物、林産物を素材にした海のもの、里のもの、山のものが各地域バランスのよい構成になっておって、しかも一品一品が特色があった。このことは、過去さかのぼれば何十年あるいはそれ以上にもわたる地域、地域の産業おこしの熱意の成果だと、私、岩手県の第一線の現場にいて常に誇らしく思ったものである。いまだに誇りに思っていることの一つである。
 今後は、岩手の大自然に身を託しながら、一市民として、一県民としていささかなりとも自分を高める努力をしてまいりたいと存ずる。
 委員各位の御指導に心から感謝を申し上げるとともに、県勢の末広がりの発展を心より念じつつ所感とする。貴重な時間をちょうだいして大変ありがたかった。(拍手)

〇折居委員長 ほかに質疑がないようなので、これで地方労働委員会関係の質疑を終わる。
 以上で本日の日程は全部終了した。
 世話人の方々には当職からお諮りしたいことがあるので、散会後、議会運営委員室にお集まり願いたい。
 本日はこれをもって散会する。
   午後4時24分 散 会


前へ 次へ