平成10年2月定例会 第13回岩手県議会定例会会議録

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〇1番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第4号1998年度岩手県一般会計予算に反対の討論を行います。
 反対する理由の第1は、戦後最悪の不況のもとで苦しむ県民に背を向けた冷たい予算となっていることであります。
 橋本自民党内閣による9兆円の負担増、いわゆる消費税の5%増税、医療・社会保障の改悪、特別減税の廃止によって日本経済はついにマイナス成長となり、県民の暮らしと経営も冷え込んでいます。ところが、増田県政は、銀行には30兆円の税金を投入し、国民には負担を押しつける橋本内閣に追随する下請県政の姿をいよいよ明らかにしています。難病患者の94%に当たる3、400人余の方々に1億2、000万円も自己負担を押しつけるやり方は、冷たい県政そのものであります。988名にも及ぶ特養ホームの入所待機者、8割を超える特養ホームの入所者が負担増となり、また、ホームヘルプサービスを受けている8割を超えるお年寄りが新たに負担を強いられる介護保険の導入は、文字どおり保険あって介護なしの深刻な事態を引き起こしかねません。既に来年度から導入されるホームヘルプサービスの人件費補助から事業費補助への変更は大幅な補助金の削減となっており、常勤ホームヘルパーの削減につながりかねません。こうした事態に全く対策も対応もないのが増田県政の実態であります。
 戦後最悪の不況のもとで、金融機関による貸し渋り、債権回収、中小企業つぶしまで引き起こされているもとで、県内には貸し渋りはないと認識しているというのが増田県政であります。大型店問題が焦点となっている中で、大店法廃止を容認する姿勢も商業者、県民に背を向けるものと言わなければなりません。
 反対する第2の理由は、米の輸入自由化と新食糧法のもとで引き起こされた米の大暴落、戦後最悪とも言うべき農家経営の危機的状況に対してまともな対策が講じられていないことであります。
 自主流通米の大暴落による農家の減収は80億円、稲作専業農家1戸当たりでは平均180万円の減収であります。さらに、6、300ヘクタールの減反拡大による減収は90億円、生産者米価の引き下げによる減収は3億2、000万円に及びます。これだけの農家の減収に対して増田県政がとった対策はわずか2億円の減反拡大分の助成策にすぎません。さらに、自民党政治に追随して学校給食の米飯給食に対する補助金の削減廃止に追随し、県産米活用の助成事業を廃止したことは、米、農業問題に対する後ろ向きの姿勢を典型的に示すものでありました。
 反対する第3の理由は、むだと浪費の公共事業を温存し、1兆円を超える県債残高に見られるように、県財政の破綻を一層深刻にする予算となっていることであります。
 事務事業の見直しで、土木、林業水産関係で31件57億4、900万円の見直しを行ったものの、これはほんのわずかなものであります。計画と実績が大きく乖離している港湾整備事業、水道用水や工業用水などの根拠があいまいな県営ダム建設事業、農家の要望とかけ離れている国営かん排事業、自然破壊とも言うべき大規模林道など、むだと浪費とも言うべき公共事業は引き続き温存、継続されています。
 農政予算の63%、林業水産の約7割が公共事業に占められていることは、県政のゆがみを象徴するものであります。むだと浪費の公共事業を見直し、県民が切実に求める福祉、社会保障の充実に公共投資の流れを抜本的に転換することは、不況打開にとっても雇用の拡大にとっても福祉の充実にとっても極めて重要な課題となっています。
 反対する第4の理由は、ナイフによる殺傷事件が続発する深刻な子供たちをめぐる状況のもとで、教育切り捨て、管理主義強化の県政となっていることであります。
 県内でもこの1年間に小中学校で3人の子供がみずから命を絶つという悲しい事件が引き起こされています。この背景には、差別と選別の教育の推進とともに、子供たちを追い詰める管理主義教育の実態がありました。事件があったある学校では、わずかな修理費さえ使わず、生徒と父母に弁償を強いるという管理主義の典型とも言うべき深刻な実態がありました。
 生徒急減期で、予算をふやさずに30人学級が実現できる客観的条件があるものの、毎年100人以上の教員を削減していることは、教育の充実を求める子供と県民の願いに背を向けるものと言わなければなりません。
 反対する第5の理由は、食糧費の不正支出に見られる不正腐敗温存の県政となっていることであります。
 増田知事は、カラ懇談会の事実を突きつけられ、遅まきながら過去5年間にわたる食糧費の調査を行いましたが、その結果は、1億5、000万円余の不正支出を明らかにしたものの、調査総額の25%に当たる3億7、700万円余の不明金に見られるように、不正隠しの調査となったことであります。県議会の論戦で明らかになったことは、食糧費の実施伺書の保存年限が平成5年までは5年だったものを、その後、保存年限を2年に変更し、証拠資料を廃棄していたことであります。これは文字どおり不正隠しの証拠隠滅とも言うべきものでありました。288件5、171万円余の食事券をすべて不正支出としたことは、裏金の存在を想起させるものであります。食事券については、購入先も配付先も調査していないという驚くべき答弁もありました。食事券の存在については、今回の調査でも監査委員の調査でもついに明らかになりませんでした。さらに、懇談会の適正、不適正の判断基準は極めてあいまいなものでありました。懇談会出席者とされた相手側の確認が得られず、多数が否定し、傍証資料のないものさえ適正と判断されたことは、他県の調査の例と比べても不正隠しの調査と言うべきものでした。
 特に重大なことは、食糧費の不正支出が食糧費調査委員会の資料にも明記されているように組織的に行われてきたということであります。不正支出と判断された1、518件9、872万円余の懇談会支出は、実施伺どおりに開催されていないにもかかわらず、業者からの請求書も支出票も残されているのであります。このことは、業者と一体となって公文書と請求書を偽造し、不正支出を行っていたということであります。県当局は、業者への支出確認があるので裏金はないなどと言っていますが、業者と一体となって不正支出が行われてきたことは、支出確認だけでは何の証明にもならないことを示すものであります。
 私は、東京事務所の食糧費調査にかかわる総括表を調査しました。その中身は、懇談会出席者名簿も所管課も懇談会の可否も黒塗りにした、すべてを隠すものでした。これでは調査の信憑性をみずから否定する黒塗り県政そのものではないでしょうか。
 増田知事は、記者会見の中で、食糧費にかかわる資金がどういう形で流れていっているのかという、このようなことなどについてもできるだけ明らかにしたいと述べていましたが、その後何も明らかにされていないのではないでしょうか。こうした疑惑まみれの調査で幕をおろそうとしても、県民が納得しないことは明らかであります。私は、改めて食糧費支出の再調査を強く求めるものであります。
 議案第14号、15号、18号は、港湾整備事業、ゴルフ場事業特別会計予算と工業用水道事業会計予算でありますが、むだと浪費、赤字体質の事業と言うべきものであり、反対するものであります。
 議案第16号県立病院等事業会計予算は、医療局職員の定員増は評価するものの、深刻な2人夜勤体制が解消されず、まともに年休も生理休暇もとれない深刻な実態にあること、メディカルサポートとの癒着温存などの理由で反対するものであります。
 議案第19号から23号までは、建設事業に要する経費の一部を市町村に負担させるものであり、反対するものであります。
 議案第32号は、市町村合併、広域連合を上から推進するものであり、反対します。
 議案第34号から38号、40、43、45、49号までは、使用料、手数料の値上げで県民に負担を転嫁するものであり、反対するものであります。
 以上で予算案、予算関連議案に対する反対討論といたします。御清聴ありがとうございました。
〇議長(那須川健一君) 次に、佐藤正春君。
   〔43番佐藤正春君登壇〕(拍手)

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