平成10年2月定例会 第13回岩手県議会定例会会議録

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〇7番(中屋敷十君) 県民会議の中屋敷十でございます。
 先輩、同僚議員の御高配により、本定例会におきまして一般質問の機会を与えていただきましたことに感謝申し上げ、通告に従いまして順次質問させていただきますが、一般質問も3日目であり、一部重複する点もあるかとは思いますが、知事並びに県当局からの誠意ある御答弁を御期待申し上げます。
 まず、今議会冒頭の知事演述における県政運営方針等に関連し、幾つかお伺いいたします。
 戦後半世紀を過ぎた今日、我が国においては、人々の価値観や生活様式が大きく変化する中で、歴史上に類を見ない少子・高齢化や高度情報化の急激な進展、さらには国境を越えた地域間競争の激化など、これまでの経済構造や社会構造、それを支える制度やシステムでは解決できない事態に直面し、先行き不透明な、まさに時代の転換期となっているというのが経済社会情勢をとらえる一般的な認識であろうと思うところであります。
 このような時代の大転換期にあって、県民の若きリーダーとして、増田知事には知事就任以来県内各地に直接足を運び、県民との対話に努められ、21世紀の本県のあるべき姿として、躍動感あふれる、心豊かな地域社会、ドリームランド岩手の創造を昨年の2月定例県議会において提案され、このドリームランド岩手を現実のものとするために各般の施策を積極的に展開されておりますことを私は高く評価するものであります。特にも、さきの知事演述における今後の県政運営方針における施策の方針として、地域主権社会への展開を掲げ、環境、福祉、防災等県民生活に直接かかわる分野においては、社会サービスに対するニーズが一層多様化し、行政のみで解決することは困難になってくることから、行政と民間の連携と参画を強く意識することが必要であり、このため、ボランティアなどを含む多様な民間主体と行政とのきずなをより一層強め、民間との共同により、さまざまな社会サービスが提供されるようなシステムの整備を図ってまいるとしておりますが、私は、このことこそまさにこれまでの行政主導型地方自治からの脱却であり、まさに住民自治と団体自治から成る地方自治のあり方そのものであると考えるのであります。いわんや、直接住民へのサービス主体となる市町村にとっては、もはや現実の課題となってきていると思われるのであります。
 そこでお伺いいたしますが、知事は、ボランティアを含む多様な民間主体というものをどの範囲でとらえられているのか、また、行政と民間との共同により、さまざまな社会サービスが提供されるようなシステムの整備とは、市町村を含めた形でどのようなシステムを想定されているのか、そのお考えをお示し願います。
 次に、行財政システム改革の推進についてお伺いします。
 知事は、県民生活向上のため、生活者主権、地域主権の視点に立脚し、新しい時代に即応した機動性と効率性を兼ね備えた行財政システムの再構築を明言されておりますが、その具体的な推進方針となるのが昨年10月に発表された行財政システム改革指針であろうと思います。この指針の策定の趣旨は、地方分権が本格化することに伴い、これまでの行財政システムのあり方を見直し、限られた財源の中で、最小の経費で最大の効果を上げるため、施策の重点化、効率化、財政運営の一層の健全化、組織機構の簡素化、合理化を図るとともに、より県民の視点に立った透明性の高い行政運営を推進しようとするものであり、先行き不透明な時代の転換期にあって、新時代に対応した本県の行財政システムの改革に本格的に取り組まれたことに対しまして敬意を表するものでありますが、その具体的な取り組み方途につきまして2点お伺いいたします。
 まず、指針では、行財政システム改革の推進期間を平成10年度以降3年間に集中して取り組むこととしておりますが、その理由はいかなることによるものでしょうか。国の財政構造改革や新しい総合計画の策定等に絡んでのことであれば、その辺のところも含めて御見解をお示し願いたいと存じます。
 また、改革のための具体的方策を見ますと、財政運営面の改革については、中期財政見通しや事務事業の評価システムの導入など既に個々の計画が示されており、今後修正があったとしてもそれなりの評価ができるものでありますが、行政運営面の改革については、県民サービスの向上についての行動計画や人材育成プログラム(仮称)等の計画を示しながら、具体的なものが示されていないのはいかなる理由によるものなのか、お知らせ願います。
 行財政運営改革が財政運営改革に即応するという基本認識であれば、両改革は同時並行的に作業を進めるぐらいの意気込みがなければ、あくまでも財政主導型の改革が進み、県民の視点に立った透明性の高い行政運営の実現はなかなか難しいとの危惧感からあえてお伺いするものであります。 
 次に、新しい総合計画と岩手県第三次総合発展計画後期実施計画との関係についてお伺いしたいと思います。
 知事は、昨年の7月28日開催の岩手県総合計画審議会において、21世紀に向け県勢の新たな発展を図り、県民生活の一層の向上を期するため、同審議会に対し、新しい総合計画の基本方向についてを諮問し、現在、計画策定に向けての作業が鋭意取り進められているところであり、本年10月には中間答申がなされ、そして平成11年8月ごろまでには新しい総合計画が策定される予定であると承知しております。さきの知事の所信表明においても新しい総合計画に触れられ、力強い基本姿勢が打ち出されたところでありますが、新しい総合計画が平成11年に策定されることとなると、3県総後期実施計画に位置づけられている事業、すなわち平成11年度と12年度に継続であれ新規着手であれ計画されている事業はどのような取り扱いとなるのかをお伺いします。
 次に、情報システムの整備についてお伺いいたします。
 知事は、さきの演述において、新しい時代に対応したこれからの地域社会を構築していくためには、環境、人づくりと並んで情報の視点から、岩手の新時代を展望し、施策を展開していく旨を表明されたところであります。情報の進展は、地理的、地域的ハンディキャップを抱える本県にとって、時間や距離の制約から解放され、21世紀に新たな発展を図っていく可能性をもたらすものであり、私も、情報通信基盤が一層整備され、医療、福祉、環境、教育、文化、産業などあらゆる分野においてその活用を図ることによって、県勢全体の発展に大きく貢献するものと期待しているものであります。平成10年度の予算を見ましても、地域情報化の推進という面から、61事業、60億円の予算が措置されており、積極姿勢が見受けられるのですが、情報発信機能という面からとらえると、県及び市町村がそれぞれ別のセクションにおいて情報発信を図るのではなく、情報を一元化し、同一のハード及びソフトでリアルな岩手の情報をいつでも、どこでも、だれでも、見たい、知りたい人の立場に立って容易に利活用できるソフト整理を図り、これらの整備により、県内の主要施設や県外の出先機関等とネットワークで結合するとともに、情報発信の形態は、情報の送り手側の願望だけを一方的に送り出すのではなく、情報の受け手側に立って、より見やすい大型映像、いわゆるマルチビジョンモニターにより不特定多数の方々に情報の提供を広く行えるように整備しなければなかなか効果が上がらないと思いますが、担当部長の御所見をお伺いします。
 また、仄聞するところによりますと、平成9年度に地域活性化事業調整費を活用し、広域情報提供システム整備事業を進めた広域生活圏が数カ所あったようですが、これらについても、各広域生活圏でかなりの温度差があるように見受けられるのですが、この点についてもばらばらな対応にならないよう県として一元化を図るべきと考えるのでありますが、お考えをお示し願いたいと思います。
 次に、介護保険制度についてお伺いいたします。
 介護保険制度につきましては、代表質問やこれまでの一般質問におきまして、数多くの質疑が交わされたところであり、それだけこの制度が平成12年度からスタートするまでに多くの解決しなければならない課題を抱えている証左だと思うのでありますが、私からも、介護サービスの提供という面から1点のみお伺いします。
   〔議長退席、副議長着席〕
 県においては、平成10年度から介護保険事業支援計画策定事業を創設し、具体的な課題への取り組みを行うこととしているようでありますが、私が一番懸念していることは、マンパワー、すなわち介護労働者の人手不足が生じるのではないかということであります。それは、単なる人手不足という意味ではなく、看護婦の人手不足と同じく、介護労働の条件の悪さということであり、福祉先進国であるスウェーデンの実例からも容易に想像ができるからであります。介護保険制度においては、ホームヘルパー等の在宅介護サービスの提供事業者は、市町村直営、民間事業者、非営利団体等、公民の主体の種別を問わず同じ位置づけとなるわけであり、ある学者の見解では、自治体ではコスト高、業者では質の低下が懸念され、介護サービスはNPO法案が成立し法人格が得られれば、資格を獲得する非営利団体、すなわち市民グループが行うのが最も望ましいと提言しておりますが、市町村を指導する立場にある県としては、このような実際面での介護サービスの提供形態をどのようにとらえ、市町村をどう指導していくつもりなのか、基本的な考えをお示し願いたいと思います。
 次に、さきの2月定例県議会においても質問いたしましたが、環境影響評価制度についてお伺いいたします。
 知事は、平成10年を岩手の環境創造元年と位置づけ、岩手県環境の保全及び創造に関する基本条例の制定を初め、真に豊かな暮らしを創造する環境共生、循環型社会の実現に向けた取り組みを新たにスタートさせるとし、環境に対する各般の施策の積極的な取り組みに並々ならぬ決意を示されたところであります。私は、地元の地域課題でありました国見地区のスキー場開発に関連いたしまして、自然保護と開発のあり方について強い関心を持っているところであり、県議会の場においても再三にわたり自然環境の保全と調和のとれた開発整備を進めるためには、ゴルフ場等大規模開発指導要綱や同要綱に基づく環境影響評価実施要領の見直しを行い、環境保全に対する強化策を講ずるべき旨を提言いたしてまいりましたが、今般、岩手県環境の保全及び創造に関する基本条例(案)が上程されましたことは、まことに意義深いものがあると考えているところであり、その推進に大きな期待を持っておりますが、県としての環境影響評価制度がいまだ確立されていないことに、不満を抱いているところであります。
 そこで、お伺いいたしますが、平成9年度から県においては環境影響評価制度推進事業を創設し、検討しているようですが、国においても昨年の6月に長年の懸案であった環境アセスメント法が成立していることも踏まえ、現状での取り組みがどうなっており、今後、どのようなスケジュールで当該制度の制定を進めるお考えなのか、お聞かせ願いたいと存じます。
 次に、商店街のパティオ事業についてお伺いいたします。
 県内各地の商店街は、駅前などそのまちの中心部を形成し、近隣や周辺の消費者の買い物の場として大きな役割を果たしてきましたが、今日の経済構造改革の一環として進められてきた大規模小売店舗法の規制緩和の中で、郊外型の大型店やロードサイドにおける店舗が増加し、商店街は、空き店舗の増加や売り上げの減少など、極めて厳しい状況に置かれているところであります。このような商店街の空洞化の現状については、まちづくりの観点からも憂慮すべき事態との懸念が表明されているところであり、その活性化に向けた対策を一層充実することが必要であります。私は、商店街の競争力を高め、郊外の大型店に対抗するためには、駐車場の整備など基盤整備を充実することに加え、中小商店が協力して店舗の集団化を図る、いわゆるパティオ事業への地元の取り組みを積極的に支援する必要があると考えているところであります。県内においても、私の地元である雫石町を初め、パティオ事業の構想が動き始めていると聞いておりますが、商店街の活性化を図るためのパティオ事業の促進に向けた取り組みについて、御所見をお聞かせ願います。
 次に、中小企業対策についてお伺いいたします。
 御承知のとおり、最近の我が国の経済情勢について、先般発表された2月の月例経済報告では、景気を足踏み状態から停滞へと大幅に下方修正するなど、景気判断を6カ月連続で後退させております。しかしながら、日々、受注の確保や資金繰りに奔走している中小企業経営者にとっては、景気は停滞どころではなく、長期不況の真っただ中にあり、将来への不安を抱いているのが実態ではないかと推察するものであります。本県におきましても、長引く景気低迷のもと、中小企業の経営環境は一向に改善する気配はなく、民間の信用調査機関によりますと、1月には前年同月を上回る倒産が発生している状況であり、長期不況の影響はじわじわと本県中小企業に深刻な影響を与えているのではないかと危惧するものであります。
 一方、企業への融資の担い手である金融機関においては、我が国の金融システムの再構築を目指す金融ビッグバンの本格実施を目前に控え、自己資本比率の改善が生き残りのための大命題であり、これがいわゆる貸し渋りの原因となっているのではないかと懸念されるところであります。私は、本県経済の活性化のためには、本県の特色を生かした多様な企業が生き生きと活躍できるための支援基盤が構築されることが極めて大切だと考えております。特にも、中小企業の発展、成長のため、経済の血液とも言うべき金融の円滑化が確保されることが最も重要であり、金融に支障が生じていては、地域の雇用を支える中堅企業も、操業意欲あふれる成長途上の企業も、その命脈を絶たれてしまうものと考えるものであります。
 そこで伺いますが、県では、このように厳しい環境下において、年度末の資金需要の繁忙期を迎える中小企業に対して、どのような対策を講じていくのか、御所見をお聞かせ願いたいと存じます。
 最後に、地域課題について2点お伺いします。
 まず、盛岡西リサーチパークへの企業誘致についてであります。
 本県においては、昭和62年に北上川流域地域がテクノポリス地域に指定されて以来、積極的な工業導入施策を展開してきた結果、この地域を中心として、全国でも有数の工業集積圏を形成するに至っております。しかしながら、本地域に立地した企業の多くは、量産型の加工組み立て部門であったことなどにより、必ずしも本県の工業付加価値生産性は高い水準とはなっていないことから、生産技術の高度化や新たなニーズに対応し得る新技術、新製品の研究開発等による県内製造業の高付加価値化への転換が課題となっているところであります。このため、本県では、平成6年にいわゆる頭脳立地法による地域指定を受け、盛岡市を中心とした地域に、研究所、ソフトウエア業などの産業の頭脳部分と称される産業支援サービス業の集積を図り、既に立地している先端技術産業との連携による地域産業の高度化の促進を図っているところであります。盛岡西リサーチパークは、この頭脳立地構想の中核プロジェクトとして、地域振興整備公団が滝沢村に整備を進めてきたものでありますが、工事も順調に進み、昨年11月に分譲開始の運びとなったところであります。
 一方、最近の新聞報道によりますと、経済の先行きが不透明な中にあって、リサーチパークの分譲が難航しているということでありますが、リサーチパークは、産業支援サービス業の集積を図るための団地であり、通常の工業団地への企業誘致とは異なる面があろうかとは存じますが、これまでのいわゆる16特定業種の企業折衝の状況はどうか、また、今後どのように誘致活動を展開していくおつもりなのか、その方策をお示し願いたいと存じます。
 次に、一般県道雫石東八幡平線、いわゆる奥産道問題についてお伺いします。
 自然保護と開発という点から、県民が強い関心を持っている問題であります。道路検討委員会で検討中であり、答弁しにくい面もあるかもしれませんが、地元選出の議員という立場からあえて整備の方向についてお伺いします。県では、昭和40年から奥地産業道路として当該路線の整備を進めてきたところですが、国立公園の第1種特別地域を通過する三ツ石湿原周辺の自然環境問題が話題を呼び、工事を凍結してまで昭和47年から植生や地質の調査、環境庁との協議を踏まえ、昭和56年には環境調査を行い、結果的にトンネル計画で了解が得られ、工事が再開されていたところ、平成7年11月に湿原への影響等の解析のために実施した委託調査で、翌平成8年7月に自然破壊が発覚した、というのが大まかな経緯であります。私は、奥産道工事そのものは、施工延長で約81%、事業費で約62%の進捗率となっており、また、この奥産道の目的である観光による地域の活性化や、雫石町と松尾村を結ぶ唯一の路線であるこのルートによる地域間交流の活発化、さらには公園車道としての活用といった面を考えると、是が非でも道路は通していただき、むしろ自然環境に配慮した道路管理のあり方、人と自然の共生のあり方等の一つのモデルとすべきと思うのでありますが、県当局の御所見をお伺いいたします。
 以上をもちまして、私の一般質問を終了させていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 中屋敷十議員の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、行政と民間の連携と参画についてでございますけれども、今日、人々の価値観や生活様式が変化をする中で、社会サービスに対する要請は多様化、高度化をしております。行政側におきましては、行政側では県民個々の生活への視点が一層求められております。一方で、住民の側においても、近年、社会活動への参加意識が高まり、防災や環境、文化、福祉、地域づくりなど多様かつ広範な分野におきまして、個人やボランティア団体、企業などさまざまな民間主体による自発的な活動が活発化をしてきているところでございます。こうしたことから、地域に暮らす人々が責任を持って地域のあり方を的確に判断できるような、この生活者主権、地域主権の社会を実現していくためには、行政の新たな視点に立った取り組みとともに、行政と民間の連携と参画が不可欠であるものと、このように考えております。従来は、地域社会におけるさまざまな問題に対応するためには、自治会、町内会など、いわば地縁的つながりを基礎とした、いわゆるコミュニティー団体がその中心的な役割を果たしてきたと、このように言えようかと思いますが、新しい地域社会のあり方としては、こうした団体ももちろん加えていいと思いますけれども、社会的課題とのかかわり合いの中で共通の目的意識によって結ばれた個人やボランティア団体、企業などのこうした民間主体が相互にネットワーク化された、いわば多重的構造の社会が想定されるところでございます。
 お尋ねの民間主体の範囲は、こうした今申し上げましたようなさまざまな主体を想定しているわけでございますけれども、このような民間主体が、お互いの役割や責任を分担しながら、行政と対等な協力関係、すなわちパートナーシップということでございますが、このパートナーシップを築いて、さまざまな社会サービスの提供や地域づくりに、それぞれが自主的、主体的に参画していくことができるような社会システムの構築を目指していく必要があるというふうに考えております。このような社会システムにおける行政のかかわり方については、その対象とする目的や活動の内容に応じて、その対応はさまざまであるというふうに言えようかと思いますが、例えば、環境保全の分野ということを例にとって申し上げますと、従来からの行政分野でございます自然環境保全対策ですとか廃棄物処理対策などに限らず、民間企業による廃棄物ゼロ、いわゆるゼロ・エミッションへの取り組みですとか、ボランティアによる環境保全や環境教育への取り組みなども視野に入れて、共通の目的意識を持つ各主体との連携を強化していくことが、これまで以上に必要となってくるものと、このように考えておりまして、その際、住民に身近な行政サービスを担う市町村の役割はますます大きくなってくるものと、このように考えております。
 このような観点を踏まえて、今後は、行政と民間との連携と参画によるシステムづくりに向けまして、住民意識の醸成を図りつつ、住民が必要とする情報を積極的にこちらサイドから提供するとともに、施策の立案過程、そして実施段階における住民参加についても、可能なものから順次取り組んでいきたいと、こういうふうに考えております。
 次に、新しい総合計画と3県総の後期実施計画との関係についてのお尋ねですけれども、後期実施計画においては、県内外にわたるさまざまな分野の連携、交流の促進、人と自然との望ましい共生の実現、国際的視野に立った地域経済の構築など、七つの視点を掲げておりまして、こうした点に留意しながら、重点的に取り組むべき事業として330事業を選定したところでございまして、平成10年1月1日現在で、そのうち95・2%に当たります314事業に着手をしておりまして、現在、その着実な推進に努めているところでございます。現在策定中の新しい総合計画が平成11年度からスタートしますと、3県総後期実施計画の計画期間と、お尋ねのとおり平成11年度、そして平成12年度が重なると、ダブることになるわけですが、3県総の後期実施計画において、今申し上げましたこの11年度、12年度の2カ年度の間に継続して実施をする予定の事業、あるいは新たにその期間に着手する予定の事業については、これから具体的に検討してまいります新しい総合計画の施策体系を踏まえまして、その中で盛り込む新規事業との調整を図りつつ、これを新しい総合計画の中にはっきりと位置づけをしまして、そして県政における継続性の確保を図ってまいりたいと、このように考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承お願いしたいと思います。
   〔総務部長大隅英喜君登壇〕
〇総務部長(大隅英喜君) まず、行財政システム改革の推進期間についてでありますが、地方分権の時代を展望し、財政運営の健全化と県民の視点に立った行政運営を推進するため、昨年10月、行財政システム改革指針を策定し、その改革に集中的に取り組む期間を平成10年度から12年度までの3年間と定めたところであります。この期間は、21世紀における活力ある地域社会を実現するための基礎づくりとして、3県総の計画期間である今世紀中の平成12年度までに計画に掲げる重点施策に効果的、効率的に取り組むとともに、あわせて、県の行財政システムの改革についてもその実現を図っておくことが肝要であるとの考えから設定したものであります。
 また、少子・高齢社会に移行する中にあって、変化の激しい経済社会情勢や新たな行政課題に的確に対応するとともに、将来を見通すことが難しい右肩上がりでない経済社会にも即応した行財政システムを確立するためには、可能な限り短期、集中的な改革が望ましいこと、さらには、国におきましても、財政構造改革を今世紀中の3年間を集中改革期間として取り組むこととしており、これへの呼応も考慮し、改革の推進期間を平成10年度から12年度までの3年間と定めたものであります。
 次に、県民サービスの向上のための行動計画や人材育成プログラム等の具体化についてでありますが、行財政システム改革指針におきましては、生活者の視点に立った県民サービスの提供、市町村との連携強化、地域主権時代の新たな行政執行体制の整備や地域経営を担う職員の育成など、財政運営が一層の厳しさを増していく中にあっても、早急な対応を要する行政運営上の課題があることから、財政面の改革と連動して県民サービス向上のための行動計画や人材育成プログラムの策定等、各種の方策を講ずることとしたところであります。
 まず、県民サービスの向上のための行動計画につきましては、平成10年度において、県立図書館の開館時間やパスポートの交付取扱時間の延長、県税、県立病院利用料の口座振替などのシステム開発を実施するほか、次年度以降も窓口事務の改善、許認可処理日数の短縮、施設の利用改善、行政情報の積極的提供などを行うこととしており、現在、この計画の最終的な調整を行っております。
 一方、人材育成プログラムにつきましては、研修や人事配置のあり方、職場の環境づくり、多様な人材の確保など、広範囲な内容のものを現在検討しているところであり、平成10年度の早い時期には取りまとめたいと考えております。
 なお、新年度からは、その前倒し実施として、民間企業派遣の拡充や大学院派遣、他の自治体との人事交流などにも新たに取り組んでまいります。
 また、市町村との連携強化、行政執行体制の整備につきましても、市町村に対する権限委譲や地方振興局の機能強化など、現行の行政改革大綱に沿って鋭意実施してきたところでありますが、生活者主権、地域主権の視点に立って、新しい時代に即した行財政システムを再構築する必要があることから、平成10年度におきまして新たな行政改革大綱を策定し、これらをも含む諸対策を着実に推進してまいりたいと考えております。
   〔企画振興部長武居丈二君登壇〕
〇企画振興部長(武居丈二君) 情報システム整備についてでありますが、情報を発信するに当たりましては、だれが、いつ、どのような情報を必要としているか、そのためにはどのような情報発信の方法が最も効果的であるかといったことなどに配慮しつつ行うことが極めて重要であると認識しているところであります。したがいまして、情報発信の方法は、情報の受け手や目的などによりさまざまな選択肢がとり得るものと考えており、議員から御提案のありました大型画面のマルチビジョンモニターなどによる情報提供も含めまして、おのおのの情報発信主体が地域の実情に応じて、自主的、主体的に取り組むべきものと考えております。
 現在、市町村におきましては、地域の個性や特性を生かした地域情報化への取り組みがなされておりますが、おのおのの整備段階に応じて情報発信のシステムや内容が充実されていくことが望ましいと考えており、また、これらの進展状況に応じて、地域間をつなぐネットワーク化を促進していくことが重要であると考えております。現在策定中の高度情報化いわて構想におきましても、このような考え方のもとに取りまとめを進めており、地域の自主的、主体的な取り組みを尊重しつつ、ネットワーク化をいかに図るかという観点から、県全体の情報化が推進されるよう努めてまいる考えであります。
   〔保健福祉部長緒方剛君登壇〕
〇保健福祉部長(緒方剛君) 介護保険制度における介護サービスの提供形態についてでありますが、この制度においては、県民が保険料を負担し、高齢者やその家族がみずからサービスを選択し、利用する方式となるため、サービス利用に当たっての心理的な抵抗が少なくなり、介護サービスの需要が増大するものと予測されます。こうした増大する介護需要に対応するため、国においては、既に医療法人、民間企業においてデイサービス及びショートステイの事業を運営できるようにしたところであります。さらに、介護保険制度の施行後は、社会福祉法人、医療法人を初め、民間企業、農協、生協及び住民参加型非営利組織などにおいても、人員や設備などの一定の基準を満たす場合にはサービス提供事業者の指定を受けることができることとなっております。
 県といたしましては、このような多様な事業主体によるサービスの提供は、介護サービスの供給量の拡大や適切な競争などによる効率的で良質なサービスの確保につながり得るものと考えております。このため、市町村に対しては、民間事業者によるホームヘルプサービスや訪問入浴などの活動事例の情報を提供するとともに、今年度に住民参加型介護サービス研究交流事業を実施し、今後の在宅介護サービスの一翼を担う住民参加型団体などの育成を図っているところであります。
 今後さらに、市町村が策定する介護保険事業計画においても、高齢者のニーズに適応したきめ細かなサービスを確保するため、民間や住民参加型団体を含めた多様な事業主体の活用が可能となるよう指導してまいりたいと考えております。
   〔生活環境部長吉田敏彦君登壇〕
〇生活環境部長(吉田敏彦君) 環境影響評価制度、いわゆる環境アセスについての取り組み状況と今後のスケジュールについてでありますが、国は、平成9年6月に環境影響評価法を制定し、平成11年6月から施行されることとなっております。本県におきましても、環境保全への配慮を確保するため、法が対象としない事業など、環境に著しい影響を及ぼすおそれがある事業を対象とする新しい制度の創設に向けて取り組んでいるところでございます。
 その検討概要でありますが、平成9年度において学識経験者などで構成する環境影響評価検討委員会を設置するなど、環境アセスの対象事業と対象規模を初めとした制度のあり方について、同法の内容や本県のよりよい環境保全を目指すという観点から、産業経済と環境とのバランスにも留意しつつ検討をしているところであります。その内容としては、一定規模以上で必ず環境アセスを行わなければならない事業を第1種事業とし、第1種事業の規模に満たない事業で個別に環境アセスの実施の必要性を判定するものを第2種事業として考えたいというふうに検討しているところでございます。また、事業の種類や地域特性に応じた調査項目の設定、さらには、評価、審査のあり方や住民等の意見の反映方法等につきまして検討を進めているところでございます。
 今後の取り組みにつきましては、市町村や関係団体及び県民の皆様に本県の環境アセス制度の素案をお示しして御意見をいただき、さらには、関係する審議会における議をいただきまして、最終的には県議会の御審議をちょうだいし、早期に本県のよりよい環境を目指した制度として条例化に取り組んでまいる考えであります。
   〔商工労働観光部長佐藤孝司君登壇〕
〇商工労働観光部長(佐藤孝司君) まず、商店街のパティオ事業についてでありますが、この事業は、商店街の中に集客の核をつくるため、にぎわいの場としての中庭を取り囲むように個店を集積する事業であり、平成6年度に創設されたものであります。この事業につきましては、商業者が5人以上という比較的少ない事業者数で取り組めること、またポケットパークや駐車場などの公衆利便施設の整備事業費に対する2分の1の補助制度や、用地の取得と店舗の建設事業費に対する長期、無利子の中小企業高度化融資制度という手厚い支援を受けられることから商業者の関心を集めているところであります。全国では秋田市など3件の実例があり、本県では大船渡市や雫石町において構想の検討が進められているところであります。
 県といたしましては、これらの構想を促進するため、両市町や中小企業団体中央会、地元商工会議所などと連携して現地指導を重ねて実施してきたほか、構想策定に対する助成や中小企業事業団の専門家の派遣などに取り組んできたところであります。特にも、雫石町については、商店街活性化の拠点となる地域の日常的な消費に着目した魅力ある個店集積への取り組みを進めていることから、これまで商工会等地域振興実現化事業や商店街アドバイザーの派遣制度の導入などによりその構想づくりを推進してきたところでありますが、平成10年度においては、その早期実現に向けて具体的な計画づくりを支援することとしております。
 今後とも、両市町や中小企業団体中央会、地元商工会議所などと連携しながら、地域の商業者の意欲を十分に踏まえ、その取り組みの進捗度合いに応じたきめ細かな指導を行うなど、商店街活性化の核となるパティオ事業を積極的に促進してまいりたいと考えております。
 次に、中小企業対策についてでありますが、個人消費や住宅建設の低迷など景気の停滞傾向の中で、本県中小企業を取り巻く環境は厳しさを増しており、さらに金融ビッグバン等の影響が懸念されることから、今後の動向に十分注意する必要があると考えております。国においては、これらの状況を踏まえ、昨年11月の緊急経済対策の中で、金融環境変化対応特別貸付制度の創設や小企業等経営改善資金融資の拡充などの中小企業対策の実施に加え、平成9年度補正予算においても信用保証協会の経営基盤強化のための施策を打ち出したところであります。
 県といたしましても、1月から総合的な中小企業対策として、中小企業経営安定資金における融資枠の30億円の増枠や建設業、製材業などの特定不況業種及び徳陽シティ銀行関連の貸付対象者の別枠化のほか、年末商工金融110番に引き続く中小企業対策特別相談窓口の設置や県内各地域での巡回指導等、経営の相談、指導を実施しているところであります。また、3月期決算を控えた年度末の資金需要期を迎え、企業の資金需要の一層の増加が予想されることから、県では、さきの本会議で御審議、可決いただいた経済対策の一環として、商工観光振興資金の融資枠を30億円、中小企業経営安定資金の融資枠を70億円にそれぞれ増枠したほか、中小企業信用補完制度の拡充のため、県信用保証協会の経営基盤の強化策として新たに1億5、600万円の基金積み増しを行ったところであります。さらに、2月18日には、県は、厳しい環境下にある本県中小企業の経営問題に関し、迅速かつ的確に対処するため、県内金融機関、政府系金融機関及び商工団体の参集を求め、岩手県中小企業対策協議会を開催し、県内金融機関及び政府系の金融機関に対し、本県中小企業への円滑な融資について要請したところであります。
 平成10年度予算におきましても、中小企業金融の円滑な推進のため、中小企業経営安定資金を増枠するほか、今後とも制度融資の資金枠の確保に努めるとともに、融資の窓口となる県内金融機関、信用保証協会、市町村及び商工団体と密接な連携を図りながら、金融相談等の経営指導を強化するなど、中小企業の支援に万全を期してまいりたいと考えております。
 次に、盛岡西リサーチパークへの企業誘致についてでありますが、御案内のとおり、工事も順調に進み、昨年11月に分譲が開始されたところであり、県、地域振興整備公団及び地元滝沢村の3者で構成する盛岡西リサーチパーク企業誘致促進協議会に企業誘致部会を設置し、定期的に企業情報の分析を行うとともに、相互に連携を図りながら、積極的に企業訪問するなど、本格的な誘致活動を展開しているところであります。本年度も県内外のソフトウエア業等の情報支援サービス業約200社を対象にアンケート調査を行い、また、昨年9月に東京、本年2月に大阪で開催した企業ネットワークいわてにソフトウエア業関連企業等の積極的な参加を呼びかけるとともに、昨年11月には県内外企業11社の参加を得て現地視察会を開催するなど、本リサーチパークの宣伝や企業立地情報の収集、提供を行ってまいったところであります。さらには、盛岡西リサーチパーク専担職員を配置し、誘致体制の充実強化を図り、首都圏や東北地域等を対象に約150社余の企業に対し直接訪問を実施し、立地有望企業を絞り込み重点的に折衝を行うなど、分譲促進に向け積極的な企業誘致活動に努めているところであります。
 県といたしましても、公団及び地元滝沢村、さらには岩手大学や4月に開学しソフトウェア情報学部が設置される県立大学のほか、国の研究機関等関係機関相互の緊密な連携を図るとともに、産業支援機関としての県工業技術センター及び産業デザインセンターや人材育成機能としての株式会社岩手ソフトウェアセンターなどとの連携をも強化していくなど、産業支援サービス業集積拠点としての本リサーチパークへの立地促進に向け、より広く企業情報等の収集に努めてまいる考えであります。
 本リサーチパークは、地域産業の高度化に寄与する特定事業の集積の促進に関する法律、いわゆる頭脳立地法により整備された団地であることを十分に踏まえ、本県の地域産業の高度化を図る拠点団地としての機能を果たすべく、立地対象業種企業の動向の把握や的確な情報提供に努め、よりきめ細かな企業訪問活動を粘り強く展開してまいりたいと考えております。
   〔土木部長藤本保君登壇〕
〇土木部長(藤本保君) 一般県道雫石東八幡平線、いわゆる奥産道についてでありますが、御案内のとおり、県では昨年5月に有識者10名から成る道路検討委員会を設置し、自然との共生や道路整備の方向性等について各種の検討をいただいているところであります。これは、奥産道が過去にもその整備の是非をめぐりさまざまな議論がなされた経緯があることや、県の委託調査による原生林破壊を契機として再び県民の皆様方からいろいろな意見が寄せられていることにかんがみ、この道路の今後のあり方について専門的見地から十分に検討していただく必要があると判断して本委員会を設置したものであります。
 これまで5回にわたり委員会が開催されましたが、この中で、環境調査の実施や奥産道の整備に対する県民の意見や提言を伺う必要があるとの要請を受け、昨年6月から動物、植物、景観等を調査項目とする環境調査を実施するとともに、本年1月及び2月には県民の意見を伺うための委員会が開催され、奥産道の整備を担当している立場から、県も意見発表者の一人として、これまでの整備経緯やその整備の必要性等について基本的な考え方を述べたところであります。
 本委員会では、これらの調査等を踏まえ、さらに具体的な検討を行っていただくこととしておりますので、御提案の道路管理や自然との共生のあり方等についても提言の一つとして委員会に報告し、今後の検討過程の中で御議論いただきたいと考えております。
 また、環境調査については、許可申請の手続の関係から昨年の春先の調査ができず、本年7月ごろまで調査を続ける必要が生じたことから、本委員会も継続して検討いただくこととなったものであります。
 県といたしましては、この委員会での検討が十分に行えるよう環境調査の進捗を図るとともに、各種資料の提供を行い、早期に委員会の提言がなされるよう努めていくことが肝要と考えており、今後の奥産道のあり方等については、この委員会からの提言を踏まえ、適切に判断してまいりたいと考えております。
   
〇副議長(吉田秀君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時56分 休 憩
   
出席議員(44名)
1番 斉  藤     信 君
2番 上  澤  義  主 君
3番 佐 々 木  一  榮 君
4番 黄 川 田     徹 君
5番 小 野 寺     好 君
6番 佐 々 木     博 君
7番 中 屋 敷     十 君
9番 佐 々 木  大  和 君
10番 浅  井  東 兵 衛 君
11番 千  葉     伝 君
12番 伊  沢  昌  弘 君
13番 須  藤  敏  昭 君
14番 藤  原  泰 次 郎 君
15番 田  村  正  彦 君
16番 伊  藤  勢  至 君
17番 高  橋  賢  輔 君
18番 瀬  川     滋 君
19番 渡  辺  幸  貫 君
20番 長 谷 川  忠  久 君
21番 谷  藤  裕  明 君
22番 水  上  信  宏 君
23番 船  越  賢 太 郎 君
24番 久 保 田  晴  弘 君
25番 千  葉     浩 君
26番 折  居  明  広 君
27番 三  河  喜 美 男 君
28番 村  上  恵  三 君
29番 村  田  柴  太 君
30番 藤  原  良  信 君
31番 吉  田  洋  治 君
33番 工  藤     篤 君
34番 菅  原  温  士 君
35番 菊  池     勲 君
36番 小  原  宣  良 君
37番 樋  下  正  光 君
38番 及  川  幸  郎 君
39番 那 須 川  健  一 君
42番 山  内  隆  文 君
45番 佐 々 木  俊  夫 君
46番 山  崎  門 一 郎 君
47番 菊  池  雄  光 君
48番 佐  藤  啓  二 君
49番 堀  口 治五右衛門 君
50番 吉  田     秀 君
欠席議員(3名)
8番 大 久 保     豊 君
43番 佐  藤  正  春 君
51番 藤  原  哲  夫 君
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
午後3時35分 再 開
〇副議長(吉田秀君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。佐々木博君。
   〔6番佐々木博君登壇〕(拍手)

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