平成10年2月定例会 第13回岩手県議会定例会会議録

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〇6番(佐々木博君) 県民会議の佐々木博でございます。
 通告に従い、順次質問いたしますので、明確で前向きの御答弁をよろしくお願いいたします。
 また、前壇者と一部重複する点については、あらかじめ御了承を賜りたいと存じます。
 最初に、岩手県中期財政見通しにつきお伺いします。
 県はこのたび、平成10年度予算案を公表すると同時に、平成10年度から平成14年度までの5年間にわたる中期財政見通しを公表されました。昭和54年に一度作成したことがあるとのことですが、今後の県の財政運営が厳しくなるということについては、だれもが共通の認識を有しているものの、実際このような形で数字で示されますと、なお一層の危機感を覚えるとともに、県政に参画している議員の一人として、その責任の重大さを痛感するものであります。
 さて、このような状況の中で、県は平成10年度予算案を編成されたわけでありますが、右肩上がりに行きにくくなっている現在、中期的財政見通しを立ててから来年度予算案を編成されたという手法は、単年度財政主義の弊害がいろいろ言われている中にあって高く評価するものであり、県当局の御努力に敬意を表するものであります。
 さて、この中期財政見通しによると、来年度から平成13年度まで歳入は引き続きマイナスで推移する見通しでありながら、一方歳出は、来年度だけはマイナスとなるものの、その後はプラスに転じるため、歳入不足が平成11年度で早くも444億円生じ、以後毎年増加して平成14年度には999億円もの歳入不足が生じる見通しだということであります。歳入が不足する、しかし、県債にも依存できないとなれば、歳出を抑制するしか手だてがないわけですが、不足する金額が大きいだけに非常に困難を伴うものと予想されるところであります。事務事業の徹底した見直しを初め、行財政システム改革指針に盛り込まれた改革を断行し歳出規模を厳しく抑制することが何よりも求められるところであり、そういった観点から、来年度予算案に行政運営改善状況調査診断費を計上し、本県の行政運営が効率的に行われているか外部の専門のコンサルタントに診断してもらい、どこがむだか、どこをどう改善すると一層効率的な行財政運営が図られるのかのアドバイスを得ることは、まことに時宜を得たものと考えるものであります。しかしながら、いかに節約に節約を重ねても限度があり、県が行う大規模な施設整備等の大幅な見直しは避けて通れない問題と思われます。例えば、県立図書館や来年度予算に調査費が計上されている盛岡駅西口地区の県有地を活用する事業などの大規模プロジェクトを初め、3県総の後期実施計画や次期総合計画にも大きな影響を与えるものと思われるのですが、知事の御所見をお伺いします。
 また、現下の我が国の経済は、各種の経済指標を見るまでもなく低迷しており、本県経済もまた深刻な状況にあります。去る2月20日には、国の緊急経済対策に呼応した補正予算を可決したところではありますが、国の財政構造改革の影響もあり、今度の不況は出口が見えない、かなり長引くのではないかとも言われております。このような状況の中で、県に対する機動的な経済対策を求める県民の声が高まってくることが予想されるのでありますが、中期財政見通しを見ますと、人件費や公債費等の義務的経費の伸びばかりが目立って、投資的経費の伸びは期待できない見通しとなっており、今後機動的な経済対策が求められても、財源の不足から対応に苦慮されるのではないかと心配するものでありますが、御所見をお伺いします。
 次に、県民総参加の県政という観点から、県の広聴広報機能の強化についてお伺いします。
 知事は、就任以来、県民に開かれた、わかりやすい県政の推進に努力され、平成7年度、8年度の2年間で県内59市町村のすべてで県政懇談会を開催し、延べ8、270人の参加を得て、2、228件の貴重な意見、提言が寄せられたほか、たびたび直接現地に足を運んで住民の生の声を聞く姿勢は、まさしく県民に開かれた県政の実践であり、高く評価するものであります。ところで、県は本年1月5日から県政に対する幅広い意見、提言を受け付けるため、フリーダイヤルとファクシミリを本庁とすべての地方振興局に設置しました。以前からインターネットによるホームページで意見、提言を受け付けておりましたから、これでいわば3点セットが全部そろったわけであります。開設してまだ間もないところではありますが、どのような意見、提言がどの程度寄せられているのか、その状況をお伺いします。
 私は、県民に多くの意見、提言を求めるためには、県もまた多くの情報を発信することが必要であり、県民からの意見、提言と情報発信は、県と県民との交流であり、一体の関係にあるものと考えるものであります。そういった観点から、例えば、高度情報化いわて構想や保健、医療、福祉の情報化について、その中間報告を広く公表し、幅広く意見や提言を求める姿勢に賛意を評するものでありますが、これまで以上に県政に対する意見、提言をきめ細かく把握し、県政に生かしていくためにも、積極的に情報を発信し、県民ひとしく情報を共有し合って、行政に対する理解をより一層高めるべく努力をすべきと考えますが、具体的方策があれば御所見を企画振興部長にあわせてお伺いします。
 次に、大型店問題についてお伺いします。
 大型店問題については、今までも盛岡市の周辺に同時に三つの進出計画があるということで、本議会でも何度か取り上げられておりますが、2月17日にそのうちの一つであるダイエーが位置に関する事前指導申出書を盛岡市に提出したと報ぜられ、また、新たに店舗面積1万平方メートルを超える家具店の盛岡市への進出計画や、また、別の大型ショッピングセンターの進出もうわさされるなど、関係者ばかりでなく、県民の間でも大きな話題となっているところであります。そこで最初に、ダイエーの提出した事前指導申出書につきお伺いします。
 この申出書は、予定区域が市街化調整区域であるため、当該場所での開発行為の適否の判断を求めたものでありますが、県が回答する時期はいつごろか、また、その際、主にどのような事項が検討課題となるのか、お伺いします。
 ところで、通産省は現在の大規模小売店舗法を廃止し、かわりに大型商業施設の出店を、交通混雑や騒音など周辺環境に与える影響から調整する、仮称大規模小売店舗立地法案の骨子を固め、法案を今国会に提出し、1999年度からの施行を目指す方針を固めたと報ぜられております。この法案の内容を見ますと、出店審査を国から都道府県、政令指定都市に一本化したのが特徴であり、また、審査対象も、交通渋滞、交通安全、駐車・駐輪、騒音、廃棄物等の6項目を基準に、周辺地域の環境に与える影響に限定し、今まで大型店の出店に当たり大きな争点の一つになっていた、大型店が中小小売業者に与える営業上の影響等の地域的な需給関係は考慮しなくてよいとされており、いわば規制緩和と地方分権を強く打ち出した法案との印象を強く持つものであります。いずれ新法が成立すると大型店の出店につき県は重責を担うこととなるわけですが、このことを県はどのように受けとめておられるのか、御所見をお伺いします。 
 また、大型店に対する規制緩和、モータリゼーションの急速な進展に伴い、今後ますます郊外型大型店の出店増加が予想される中で、中心市街地の空洞化、空き店舗の増加等に対する対策が急務となっております。県では、中心市街地の活性化対策については、関係各部局ともかねてから積極的に取り組んでこられたところであり、来年度予算案においても、中心市街地の活性化のため、5部8課で合わせて20億5、000万円が計上されているところでありますが、それに加えて来年は、関係各部局間の連携を図るため、仮称中心市街地活性化推進連絡会議を設置するとのことであり、その成果に大いに期待するとともに、積極的な取り組みを強く要望するものであります。
 次に、北東北の観光振興の今後の取り組みについてお伺いします。
 世界観光機関は、1996年の世界じゅうの外国旅行者は5億9、000万人であったものが、2000年には7億人を超え、2010年には10億人になるとしており、21世紀初頭には大観光時代が到来するとして、観光は21世紀の基幹産業と予測しております。また、昨年12月に発表された21世紀の岩手県についてのアンケートの県民意向調査結果によりますと、地域の産業、経済の発展のため特に力を入れていくことが大切な部門として、観光が農業や商業、工業などを上回ってトップになっております。私は、今後、地域振興や地域の活性化を図るためには、交流を拡大し、人の動きを活発にする観光の持つ役割はますます大きくなってくるものと考えております。観光客のニーズは多様化してきており、その特徴的な一面として、高速交通網の整備やマイカーの普及などによる観光行動の広域化、さらには、外国人観光客の受け入れに対応した観光の国際化などが挙げられると思います。観光に県境はありません。北東北3県は、十和田八幡平国立公園を核として、自然や文化など共通する観光資源も多く、また、東北新幹線や東北縦貫自動車道に加え、秋田新幹線や秋田自動車道が開通するなど、高速交通網の整備が一層進展してきており、これからの観光振興を図るためには、県境を越えた連携が求められているところであります。
 そこで、このような状況を踏まえ、昨年の10月に、観光をテーマとする北東北3県知事サミットが開催され、3県がスクラムを組んで北東北の観光振興に取り組んでいくこととされたところでありますが、この知事サミットの成果を受け、今後、3県が連携して北東北の観光振興を図るため、どのように取り組んでいこうとしているのか、お伺いします。
 次に、本県の基幹産業である農業が抱える諸課題のうち、米の生産調整目標面積が強化される中での、本県の圃場整備事業等の基盤整備の推進方針についてお伺いします。
 本県の稲作については、昨年も1等米比率が90%を確保できる見込みであり、さらには、ひとめぼれが日本穀物検定協会の食味ランキングで最高の特Aの評価を4年連続で受けるなど、農家の方々の努力が成果としてあらわれてきており、大変喜ばしいことだと思っております。
   〔副議長退席、議長着席〕
 さて、ことしの米の作柄については、先日行われたたろし滝の氷柱の太さで占う判定では豊作と出たと報ぜられておりました。また、その際に詠まれた川柳は、さあ大変 減反増える この太さと伝えられております。本来、豊作は農家ばかりでなく、すべての人々の喜びでなければならないのに、このような川柳が詠まれることが、今の我が国の米問題を如実に反映したものであり、私はこの川柳は、稲作農家すべての気持ちをあらわしているのではないかと思っております。国から示された本県の平成10年度の生産調整目標面積は、前年度の2万5、600ヘクタールに6、300ヘクタールが新たに加わり、転作率が34%に強化され、本県水田の3分の1は米の作付ができない厳しい局面に立たされております。現在の深刻な米余りと米価のこれ以上の低落は、稲作農家にとって耐えられるものではなく、この転作強化策は、米の価格安定のためにはやむを得ない措置と農家は受けとめ、苦汁の取り組みを行っていると強く感じております。
 従来から県は、生産コストの低減に直結する大区画圃場等の整備を進めてきたわけですが、せっかく大区画圃場に整備しても、米の作付ができない現状では、圃場整備に対する農家の意欲が減退し、おくれている本県の水田整備率の向上に影響が出るのではないか、さらには、担い手農家の規模拡大意欲を阻害するのではないかと危惧するものであります。また、中山間地域など土地基盤整備がおくれている地域は、排水が不良のため畑作物に適さない水田や、農道がなかったり、狭く不整形のため機械化、集団化ができない水田など、転作への多様な取り組みが困難なところを多く抱えており、そうした課題を解決する上からも地域のニーズに沿った基盤整備に対する支援が不可欠であると考えるものであります。
 そこで、お伺いしますが、このような転作目標面積の大幅な増加の中で、県では今後、圃場整備事業等の基盤整備の推進に当たりどのように対応しようとしているのか、農政部長のお考えをお伺いします。
 次に、環境問題につき何点かお伺いします。
 その第1は、2、4、5-T系除草剤埋設問題についてであります。
 猛毒ダイオキシンを含む同除草剤が、昭和46年に県内でも青森営林局5営林署管内21カ所で6、070キログラム国有林内に埋設処分されており、その安全性が問題となったため、昭和59年6月から61年6月にかけ、青森営林局、県及び関係市町村が埋設箇所を調査した結果、林野庁の指示どおりコンクリート固化の上、埋設されていることが確認され、埋設箇所周辺の土壤及び水質の検査の結果2、4、5-T系は検出されなかったこと、また、林野庁が事実上の安全宣言をしたことなどから、ほとんど忘れ去られていたのであります。それが、昨年盛岡市の河川で重油汚染事故が生じたのを発端として、水道水源汚染の観点から同除草剤埋設箇所の安全性が改めて問題提起されたものであります。関係市町村との協議の結果、県が代表する形で青森営林局との交渉を行い、調査経費を県及び関係市町村がそれぞれ4分の1を負担して、河川についてはすべての関係河川を、また、土壤については2カ所を調査することとなり、河川については既に着手されておりますが、土壤調査も含め、その調査結果の公表が待たれるところであります。しかしながら、今回の調査は、県民の不安を解消するためにも必要な調査であり、緊急に調査する必要があったことから、負担等やむを得なかったにしても、問題は今後についてであります。調査結果が公表された後、継続的調査、恒久対策の必要性などについても科学的に検討し、完全に県民の不安が解消される対策を国に強く要請されるよう望むものでありますが、御所見をお伺いします。
 次に、ごみ処理の広域化計画についてお伺いします。
 厚生省は、大型化によって燃焼温度を安定させ、猛毒のダイオキシンの発生を抑えるため、平成10年度からごみ処理施設を建設する際の国庫補助の基準を1日の処理能力が100トン以上の大型施設に限定することとなっており、ごみ処理の広域化が急がれるところであります。これを受け、県は、先ごろごみ処理施設の集約化をねらいとした広域ごみ処理の素案を市町村に提示しました。処理施設の集約化を平成14年度、19年度、29年度と段階的に実施し、最終の29年度にはすべての施設が1日100トン以上、できる限り1日300トン以上となるように施設の統合化を図り、全県で6施設とする計画であります。ダイオキシンの発生を防ぐという大義名分はあるものの、今の地方振興局単位よりも大きい6ブロックに分けるということになると、実現までいろいろ困難なことも想定され、また、市町村では、既に消防等を広域行政組合で運営していることから、事業ごとに組合の構成市町村が異なるのでは面倒だとの声もあると伺っております。
 また、厚生省による国庫補助基準の見直しの一方で、自治省は来年度から、国庫補助の対象外となる100トン未満の小型ごみ処理施設を建設する自治体の負担を軽減するため、起債充当率の引き上げや地方交付税措置を強化し、自治体の負担を国庫補助事業と同程度に抑える財政支援措置を行うことを決定しております。したがって、6ブロックでは広過ぎる、自治省の財政支援によるごみ処理施設の建設を認めてほしいとの要望が、今後市町村から出されることも想定されるのでありますが、県はどのように関係市町村を指導されていくお考えか、お伺いします。
 環境問題の最後に、産業廃棄物のうち建設廃棄物に絞ってお伺いします。
 知事演述において、知事は平成10年を岩手の環境創造元年と位置づけ、廃棄物ゼロを目指す資源循環型社会システム、いわゆるゼロ・エミッション社会の構築に取り組みたいと述べておられますが、環境問題は今や地球上最大のテーマであり、来年度予算案にゼロ・エミッション構想推進費を計上されたことは、まさしく時宜にかなったものであります。ところで、建設廃棄物は産業廃棄物全体の最終処分量の4割以上、不法投棄の約9割を占めているとも言われており、建設廃棄物のリサイクルなくしてゼロ・エミッションはあり得ないと言われております。
 このような状況の中、建設省は昨年、建設廃棄物の最終処分量を半減させるため、2000年度のリサイクル率を80%とすることや、公共工事発注者に計画、設計段階におけるリサイクル計画書作成を義務づけることなどを盛り込んだ建設リサイクル推進計画を策定いたしました。この計画では、廃棄物の発生を抑制するには、施工段階の取り組みだけでは限界があり、計画、設計段階で取り組む必要があること。また、発生したものについては、極力再利用や減量化を図るべきと記されておりますが、この建設リサイクル推進計画を受け、県として建設廃棄物のリサイクルにどのように取り組まれるお考えか、お伺いします。
 最後に、最近頻発に起き、かつ凶悪化している少年犯罪につきお伺いします。
 昨年中の県内の犯罪発生件数は、認知件数で1万5、925件と過去最高であり、検挙、補導人員に占める少年の割合は57・6%で、刑法犯少年が前年に比較して29・2%と大幅に増加したほか、東北6県主要都市での犯罪発生率は、盛岡市が3年連続1位となっております。私自身、このことは大変不名誉なことと思っておりますが、どうして盛岡市はこんなに犯罪発生率が高いのか、また、少年犯罪がどうして大幅に増加するのか、警察本部長の御所見がありましたならぜひお聞かせください。
 また、平成10年に入ってからの犯罪発生件数、とりわけ少年犯罪の発生件数は昨年と比較してどうなのか、あわせて最近の少年犯罪の特徴につきお伺いします。
 さて、栃木県黒磯市で起こった中学1年男子生徒による女性教師刺殺事件や、中学3年男子の警察官襲撃事件など少年によるナイフを使った事件が相次いでおります。本県では幸いこのような事件は起こっておりませんが、先日の報道によると、県教育委員会が県内の中、高校長を対象に実施したナイフなど危険物の所持に関する調査結果では、ナイフ所持は中学で48件、高校で7件あり、実際にはもっと多いだろうとのことでありました。県と警察は、県内のナイフ取扱店に少年へのナイフ販売の自粛を文書で要請したとのことですが、正当な理由のないナイフの携帯は、それ自体が銃刀法違反の犯罪であり、また、先日の報道によると、全国の世論調査では、少年への刃物の販売規制を容認するものが8割を超え、16才未満でも刑事罰を適用できるようにするための少年法の改正についても、7割以上が容認との結果が公表されておりますが、このように世論が極めて厳しい状況になっていることは、私も実感しているところであります。そこで、少年によるナイフを使用した事件が多発している今日、これを防止するため、警察ではどのような対策を講じているのか、御所見をお伺いします。
 最後に、教育長にお伺いします。
 このような少年の凶悪事件が頻発するのを見ると、人ごとでないと感じるとともに、子供の質が変わったのだろうかという思いがいたします。家庭での教育力の低下が指摘されて久しいわけですが、今の子供たちは、そのほとんどが少子化で、親に甘やかされ、手をかけられて育ったため、自己中心的、短絡的で、何でも自分の思いどおりになるという体験ばかりしているため、少しでも認められないと感情に走る傾向が強いのではないでしょうか。教育には知識を学ぶ知、人間性を豊かにする徳、体を鍛える体、すなわち知、徳、体の三位一体が必要だと考えておりますが、現在は、とりわけ人間性を養い、豊かにする徳の教育に重点を置くべきであり、学校教育においても、集団生活という特徴を生かした道徳教育のあり方につき、より深く議論すべきと考えるものであり、21世紀を担う子供たちを人間性豊かにはぐくむための特色ある岩手の道徳教育を研究、実践されるよう強く要望するものであります。教育長の、頻発する少年犯罪に対する感想と、道徳教育に対する御所見をお伺いし、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 佐々木博議員の御質問にお答えします。
 まず、中期財政見通しにおける財源不足対策についてでございますが、国、地方を通じ極めて厳しい財政環境にある中で、本県が地方分権、地域主権の本格化を視野に入れながら、活力に満ち、個性豊かな地域づくりや総合計画に基づく各種の施策を推進していくためには、財政の健全化を図ることが最重要課題でございます。このため、県財政の現状と今後の推移を見据え、予算編成作業や中期的な財政運営の指針とするため、新たに本県の中期財政見通しを策定したところでございます。
 策定に当たりましては、国や地方財政に係る現行制度を前提としながら、国の経済指標や財政試算などを基礎といたしますとともに、3県総の主要プロジェクトを見込むなど、現時点で予測される要素を可能な限り盛り込んだつもりでございまして、その結果、御指摘のありましたように、平成11年度以降かなりの財源不足が見込まれるところでございます。
 したがいまして、今後の財政運営に当たりましては、事務事業の評価制度の一層の徹底を基本としながらも、施策の重点化と事業コストの縮減、大規模施設の建設抑制や建設時期の調整、県、市町村、民間などの相互の役割分担の明確化などにより、歳出の一層の縮減と合理化を図る一方で、歳入面の方では、国庫支出金の効果的な導入や、県債を発行する場合にあっては後年度に交付税措置のある県債の活用を図りますほか、地方、一般財源の不足は、これは全国的な問題でもございますので、地方交付税等の充実確保について、全国知事会などを通じて強力に国に対して働きかけていくなど、財源の確保に努めまして、今後の県の総合計画に基づく施策の推進に支障が生ずることのないよう努力していく考えでございます。
 次に、経済対策に係る財源についてでございますが、中期財政見通しの策定に当たりましては、現行制度を前提として推計しており、国の財政構造改革の推進に伴う公共事業費の縮減計画についても加味しておりますことから、全体として投資的経費の伸びを当面見込めない結果となっております。しかしながら、このような中にありましても、経済対策につきましては、県内経済の活性化を図る観点から、国の対策に呼応するなど、その時々の経済情勢を踏まえながら機動的に対応していくことが必要であると考えております。その場合の財源につきましては、経済対策は、より一層その効果を発揮させるために、従前から国と地方両者が一体となって施策を展開してきているところでございまして、このため、国庫補助金を除くいわゆる地方負担に対しましては地方財政対策が講じられてきております。具体的には、財源対策債として、おおむね充当率が100%で元利償還金の80%が後年度に地方交付税算入される地方債が措置されておりまして、こういうのが通例となっておりますことから、財源それ自体は確保できるものと、このように考えております。しかしながら、県債の発行は公債費の増嵩を招くこととなりますので、地方財源不足対策としての地方債の発行はできるだけ避けるという必要がございますし、地方税や地方交付税などの地方一般財源の充実確保が図られるよう国に対して要望していく必要があると、このように考えております。
 次に、北東北観光振興の今後の取り組みについてでございますが、北東北3県は、繩文文化や本県の平泉に花開きました藤原文化、さらには北東北特有の祭りや伝統芸能などとともに、十和田・八幡平や三陸海岸などの雄大な景観や、新緑、紅葉、雪といった四季折々の自然など、共通する観光資源を多数有しておりまして、この地域が連携して観光の振興を図ることは、北東北の交流人口の増大や新たな地場産業の創出など、経済の発展や地域振興に寄与いたしますとともに、3県のイメージアップが図られるものと、このように私は考えております。
 昨年秋の北東北知事サミットにおきましては、こうした北東北の観光に対する認識と、また、振興方策について基本合意がなされたところでございまして、アクションプランの策定や広域観光ルートの開発、冬季観光、国際観光の振興、情報発信体制の強化などを進めることとしたところでございます。
 このようなことから、平成10年度におきましては、3県共同で県境を越えた回遊型の旅行商品の開発や首都圏での大型宣伝事業の実施、また、外国人観光客の誘致を促進するための国際観光テーマ地区の設定、JR6社や大手旅行代理店と共同で全国規模で北東北大型観光キャンペーンを展開するなど、こうしたことを実施いたすこととしておりまして、現在これらの準備を進めているところでございます。
 今後におきましても、北東北知事サミットでの合意事項をもとに、来るべき21世紀の新たな観光振興に向けて、広域的な観光施策の推進に積極的に取り組んでいく考えでございます。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承お願い申し上げます。
   〔企画振興部長武居丈二君登壇〕
〇企画振興部長(武居丈二君) 広聴広報機能の強化についてでありますが、まず、広聴につきましては、昨年7月から開始したインターネットに加え、本年1月からは、県民が気楽にいつでも意見、提言ができる機会を拡充するため、フリーダイヤルとファクシミリを県庁及び全地方振興局に開設し、これにより、全国に先駆け、電話、ファクシミリ及びインターネットといった県民に身近な情報機器による広聴機能を整えたところであります。
 県民からお寄せいただいた意見、提言につきましては、本年2月末現在の状況を見ますと、インターネットは48件、フリーダイヤルは125件、ファクシミリは42件でありまして、特にフリーダイヤルにつきましては気軽に利用できるということで件数が最も多くなっており、中には大変長時間にわたり御熱心にお話しいただく方々もいらっしゃるところであります。内容といたしましては、公共工事の進め方なども含めた生活基盤の整備にかかわるものや、医療・福祉サービスの向上にかかわるもの、あるいはごみ処理などの環境問題でありますとか減反等の農業問題、さらには商店街の空き店舗対策等のほか、公費支出のあり方など、県政全般にわたる幅広い分野に及んでおります。これらの意見、提言は、身近な行政サービスにかかわるものから長期的な県政課題にかかわるものまでさまざまでありますが、早期に改善できるものはその改善に努めるとともに、新しい総合計画の検討に当たっても参考とさせていただくなど、積極的に県政に反映するよう努めているところであり、今後におきましても、県民に開かれたわかりやすい県政を推進するため、広聴機能の充実に努めてまいりたいと考えております。
 次に、県政に関する情報発信についてでありますが、議員御指摘のとおり、県民に対する情報の発信は、県行政への県民の理解と協力を得る上で極めて重要であると考えておりまして、広報誌の発行、新聞、テレビなどの広報媒体や報道機関を介したパブリシティーによる広報を積極的に展開しているところであります。
 また、今後の県政の推進に当たりましては、例えば、環境、福祉、防災など県民に直接かかわる分野に見られるように、行政と民間の連携と参画を強く意識することが必要となりますが、その際、県民との情報の共有がますます重要になってくるものと考えております。したがいまして、平成10年度におきましても、このような観点に立って、広報媒体による情報発信につきましては、例えば県政テレビ番組をできるだけ多くの県民に見ていただけるよう、魅力ある番組づくりや放送時間帯の見直しを行うとともに、本庁及び各地方振興局のホームページの一層の拡充を図るほか、新しい総合計画の策定でありますとか、環境、ボランティアなどの新たな県政施策の推進に際しましても、さまざまな機会をとらえて積極的に情報を提供するなど、多様かつきめ細かな情報の発信に努めてまいりたいと考えております。
   〔土木部長藤本保君登壇〕
〇土木部長(藤本保君) まず、ダイエーの位置に関する事前指導申出書に対する回答の時期及び検討課題についてでありますが、去る2月17日に開発予定者であるダイエーからの位置等に関する事前指導申出書の提出が盛岡市にあったところでありますが、現在、県に対しての進達はなされておらないところであります。
 県といたしましては、事前指導申出書が提出された後、速やかに関係法令を所管する部局及び盛岡市で構成される土地利用調整会議等を開催するとともに、盛岡市の意見を踏まえ、調整を図った上で、当該開発行為に係る位置の適否について適正に判断し、回答いたしたいと考えております。
 なお、盛岡市では、意見書の内容について、今後、庁内の土地利用調整委員会に諮って検討を行うとともに、市議会等の意見を踏まえ、意見書を進達する意向であると伺っております。
 次に、検討課題についてでありますが、当該位置で開発行為を行うことが計画的な市街化を図る上で支障がないと認められるか否かを検討するものであります。具体的には、盛岡広域都市計画市街化区域及び市街化調整区域の整備、開発または保全の方針や盛岡市の総合計画に整合しているか、集団的優良農地等保全すべき土地が含まれていないか、交通施設、排水施設等の計画に支障を来すおそれがないか等について検討するものであります。
 次に、建設廃棄物のリサイクル推進についてでありますが、議員御指摘のとおり、建設廃棄物対策については、環境保全はもちろん、省資源、省エネルギーの観点からも、そのリサイクル推進は土木部としても極めて重要な課題であると認識いたしております。これらの対策は、民間も含めた全体的な取り組みが必要なことはもちろんでありますが、まず、建設廃棄物排出量の6割を占める公共工事において、その再利用率が58%程度の現状から、リサイクルの強化に向け、一層の努力が必要となっております。このため建設省では、リサイクル原則化ルールを定め、公共工事発注者の責務の徹底を図ることとしております。
 本県においても、公共土木工事において、建設発生土はもちろんのこと、アスファルト塊やコンクリート塊等の建設廃棄物の再利用を計画段階から配慮し、工事現場から一定の距離以内に他の建設工事や再資源化施設がある場合には、経済性にかかわらず、その活用を前提として計画していくこととしております。廃棄以外に方法がないものについては、その適正な処理のための費用を計上することとしております。また、特に再利用が進んでいない建設汚泥や建設混合廃棄物、建設発生木材については、国の機関や民間団体等で再利用のための処理技術の開発が鋭意進められているところであり、その動向等を見ながら適切に対処してまいりたいと考えております。これらの建設廃棄物等のリサイクルを効果的に推進するためには、各工事現場から発生する残土や建設廃棄物に関する情報等をリアルタイムで交換することが望ましく、その情報交換システムの導入が課題となっており、県といたしましては、可能な範囲で情報の迅速化等に努力してまいりたいと考えております。
 なお、建設副産物対策の推進のために、国、県、市町村、関連産業団体等から成る岩手県建設副産物対策会議を開催してきたところでありますが、今後とも関係機関、団体等との連絡を密にしながら、建設廃棄物等の排出抑制、再利用や適正処理の推進を図り、ゼロ・エミッション社会の構築を目指して努力してまいる考えであります。
   〔商工労働観光部長佐藤孝司君登壇〕
〇商工労働観光部長(佐藤孝司君) 大規模小売店舗立地法案についてでありますが、大型店の出店調整につきましては、国の産業構造審議会と中小企業政策審議会の合同会議が、大型店に関する政策は、大型店の立地に伴う計画的な地域づくりや交通、環境に与える諸問題を解決するための新たな実効性のある政策的対応へ転換すべきとの答申を昨年12月24日に行ったところであります。この答申については、世論調査や海外調査、地方ヒアリングなどを行うとともに、11回にわたって中小企業団体などの内外の意見を幅広く聞きながら方向づけを行ったものと承知しております。この間、本県としては、東北・関東ブロックの地方ヒアリングにおいて、大型店出店に伴う環境問題への対応など、まちづくりの観点に立った政策の必要性について強く要望してきたところであり、この答申は本県の要望の趣旨も取り入れられたものと受けとめているところであります。
 この答申に沿った所要の法改正案等については2月下旬に今国会に提出されているところでありますが、現時点で承知しているその内容の第1は、計画的な地域づくりの推進のため、市町村の判断により大型店の立地の可否をあらかじめ定めることができるように都市計画法を改正することであります。その第2は、個別の大型店と周辺の生活環境との調和を図る手続を定めるため、新たに都道府県などを運用主体とする大規模小売店舗立地法を制定することであります。したがいまして、大型店の出店調整に関する新たな制度におきましては、まずもって市町村が都市計画法の改正の趣旨に基づき、計画的な地域づくりに取り組むことが最も重要になるものと考えているところであります。このような地域づくり計画に即して出店する大型店について、県としては、大型店と周辺の生活環境との調和を図るという大規模小売店舗立地法の趣旨に沿って、地元住民の意見を反映しつつ、公正かつ透明な手続によって問題解決を図るため、新たに国が定める共通の手続とルールに従い、個別ケースごとに地域の実情に応じた運用を行う必要があるものと考えております。
 さらに、今後におきましては、それぞれの地域づくり計画のもとで、中心市街地の活性化など、その特色を生かした商業の振興を図ることが一層重要となってくることから、主体となる市町村を初め、商工指導団体や商店街などの意欲的な取り組みを十分に支援してまいりたいと考えております。
   〔農政部長中村盛一君登壇〕
〇農政部長(中村盛一君) 米の生産調整目標面積が強化される中での本県の圃場整備等の推進方針についてでありますが、御指摘のとおり、米価の大幅な低落や生産調整面積の拡大により稲作経営は厳しい状況にありますことから、各地域において、転作営農への取り組みなど体質の強い地域農業の確立を図るための話し合いが行われておりますが、そういう中で圃場整備の実施希望がこれまで以上に多く出されてきているところであります。それは、水田の大区画化による米の低生産コストあるいは排水路や暗渠排水の整備による転作の団地化、組織化、さらには、農地の利用集積による担い手の育成確保など、効果的な水田営農の確立を図るため、圃場整備事業の導入について、農家、市町村、土地改良区など関係者の合意が形成されてきたことによるものと考えております。
 県といたしましては、このような地域の要請にこたえるためにも、圃場の整備に当たりましては、高率補助事業を導入するとともに、農家負担につきましては、無利子資金を活用するなど、負担の軽減に配慮しながら推進してまいる考えであります。
 一方、中山間地域のうちでも小規模農地が分散しております条件不利地域は、これまで補助事業の対象となりがたかったことから生産基盤の整備がおくれておりましたが、国は、新たな米政策に対応し、採択面積を大幅に緩和した基盤整備促進事業を10年度に創設すると伺っておりますので、こうした事業を積極的に活用して、稲作、転作のための基礎条件づくりを支援してまいりたいと考えております。
   〔生活環境部長吉田敏彦君登壇〕
〇生活環境部長(吉田敏彦君) まず、2、4、5-T系除草剤埋設問題についてでありますが、昭和59年から61年にかけて行った、県、関係市町村及び青森営林局の合同調査の後、埋設地につきましては、毎年保全状況につきまして青森営林局から報告を受けてきたところでございます。しかし、相当の年数が経過したことなどから、県といたしましては、昨年春に計画し、秋に改めて保全状況の調査を行ったところでございます。さらに、県民の皆様の不安にかんがみ、早期に周辺環境調査を実施する必要があると判断し、関係市町村と協議の上、青森営林局に要請を行いました結果、今回の水質と土壤調査を実施する運びとなったものであります。これらの調査結果につきましては、専門家による所見を得た上で取りまとめて公表することといたしております。
 なお、恒久対策につきましては、さきに営林局に対しその検討を要請しているところでありますが、引き続き要請してまいりたいと考えております。
 また一方、県といたしましても、継続調査や恒久対策の必要性などにつきまして、今回の調査結果をもとに、予想される問題点や技術的課題なども含め、専門家や有識者の指導も得ながら、調査研究してまいりたいと考えております。
 次に、ごみ処理の広域化計画についてでありますが、県内のごみ処理体制の現状は、市町村単独や一部事務組合により22の焼却施設で処理されております。この22施設のうち、最も厳しいダイオキシンの恒久対策基準をクリアする連続運転に必要な1日当たり100トン以上の処理能力を持つ施設は7施設にすぎず、14施設につきましては恒久対策基準を満たすための改造が必要となっております。また、今後の廃棄物の排出動向を考えた場合、資源を有効に活用するなどの観点から、容器包装のリサイクルが平成12年度以降完全に実施され、さらに、生ごみとし尿汚泥をあわせて堆肥化することが補助要件となる汚泥再生処理センター制度が平成9年度に創設されるなど、今後、焼却ごみの減少が見込まれております。一方、廃棄物焼却に伴う熱エネルギーの発電等の利用やRDF化するとした場合には、一定のごみ量を確保することが必要となってまいります。こうしたことから、今後、効率的で高度な処理施設を整備することが求められており、ごみ処理の広域化は避けて通ることができない時代の要請であると考えております。
 したがいまして、100トン未満の施設について自治省の財政支援措置が示されましたが、これは、県の広域化計画に位置づけられた場合のみでございまして、県の計画といたしましては、段階を経て、基本的に1日の処理量が100トン以上を確保できる区域となるよう指導、調整してまいる考えであります。
 なお、事務の共同処理の方法としては、地方自治法上、事業が異なる場合の複合的一部事務組合、さらには広域連合等がありますので、地域の実情に即した制度を市町村が選択できるよう指導してまいる考えであります。
   〔教育長細屋正勝君登壇〕
〇教育長(細屋正勝君) まず、頻発する少年犯罪についてでありますが、本県においても、経済社会の急激な変化や核家族化、地域の教育力の低下等を背景に、少年非行の低年齢化、遊び型非行の増加などが見られることは極めて憂慮すべきことであります。このような中にあって、学校、家庭、地域が一体となって21世紀を担う子供たちを健やかに育てていく環境づくりに取り組んでいくことが、地道ではありますが大事な活動だと考えております。
 次に、道徳教育についてでありますが、学校においては、教師と子供、子供相互の信頼関係を深めながら、生命の尊重、他者を思いやる心、感謝の心、社会規範意識の体得など、豊かな人間性の育成に努めているところであり、それぞれの地域や学校で、郷土にゆかりのある人物等を取り上げた教材の活用のほか、福祉施設の訪問活動や郷土芸能の伝承活動などの体験活動を積極的に取り入れているところであります。
 県教育委員会としましては、今後ともこのような地域の特色を生かした道徳教育の充実に努めてまいりたいと考えております。
   〔警察本部長池田克彦君登壇〕
〇警察本部長(池田克彦君) 少年犯罪等についてお答えいたします。
 まず、盛岡市の犯罪発生状況についてでございますが、東北6県の人口10万人以上の都市、14都市ございますが、人口当たりの刑法犯発生率を比較いたしますと、御指摘のとおり盛岡市が最も高く、まことに残念な結果となっております。県警察におきましても、この数値を少しでも抑えるべく努力をしているところでございます。
 ただ、この数値を子細に検討いたしますと、地域によって届け出件数に大きな差があります自転車盗が他都市と比べて極めて多いという結果が出ております。これに対し、侵入窃盗等の重要窃盗は必ずしも発生率が高くございません。その意味では、盛岡市の治安が他都市よりも悪いということは一概には言えないのではないかと考えております。
 次に、少年犯罪の増加についてでございますが、御指摘のとおり、昨年の刑法犯少年補導数は1、758人で、前年と比べまして29・2%の増加となっております。これは、戦後第2位の増加率でございます。
 ちなみに、戦後最も増加しておりますのは昭和38年でございますが、この当時は少年人口が急増している時期でございます。これに対しまして、最近は少年人口の減少期における増加でありまして、憂慮すべき状況であると考えております。この原因につきましては一概に論ずることはできませんが、社会全体の持つ防犯機能が低下しているという点は挙げられようかと思います。
 次に、平成10年の少年犯罪等の発生状況についてでございますが、これにつきましてはまだ1月末までしか統計がまとまっておりませんので、これを踏まえて申し上げますと、昨年同期に比較してほぼ横ばいの状況ということでございます。
 次に、最近におきます少年犯罪の特徴についてでございますが、数的には依然として万引き、自転車盗などのいわゆる初発型非行が多くを占めております。しかしながら、その一方で強盗や恐喝なども多く発生しておりまして、特におやじ狩りと称する高校生などによります強盗事件が昨年後半から連続的に発生して、9人を検挙しております。これは、全国的な傾向と軌を一にするところでございます。また、女子少年による非行の増加が著しいという点も特徴として挙げられようかと思います。
 このような情勢のもと、県警察といたしましては、悪質な非行には厳正に対処するという姿勢で臨むとともに、関係機関との連携をより一層緊密にし、街頭補導の強化や有害環境の浄化等の対策を総合的に推進しているところでございます。
 最後に、少年の刃物の携帯についてでありますが、御指摘のとおり、最近、全国各地で中学生、高校生等によります刃物を使用した犯罪が発生し、また、本県におきましても、殺傷事件はございませんが、昨年は刃物の携帯により検挙、補導した少年が17人を数えるなど、憂慮すべき状況だと考えております。
 県警察といたしましては、正当な理由がなく刃物を携帯している場合には検挙、補導するとともに、そのような行為は犯罪であるということを少年自身はもとより、学校、家庭、販売店等に徹底することが肝要であると考えまして、学校との連携によります生徒指導の徹底、家庭、地域に対する啓発、販売店に対する適切な販売方法についての指導などの対策をとっているところでございます。
 今後とも関係機関と連携をとりながら、適切に対応してまいりたいと考えております。
   
〇議長(那須川健一君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時18分 散 会

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