平成10年2月定例会 第13回岩手県議会定例会会議録

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〇10番(浅井東兵衛君) 自由民主党の浅井東兵衛でございます。
 通告に従い順次質問をいたしますので、御答弁をよろしくお願いいたします。
 まず最初に、行財政システム改革についてお伺いいたします。
 知事は、今定例会冒頭における演述の中で、国、地方を通じ、行財政を取り巻く環境が一層厳しさを増すことが見込まれることから、県の行財政システム改革をさらに確実なものとし、財政運営の健全化と、県民の視点に立った行政運営の徹底を図ると、このように述べておられますが、まことに当を得たものと高く評価するものであります。
 申すまでもなく、我が国経済の現況は、国内要因のみならず、アジア諸国の混乱等もあり、まことに厳しい状況下に置かれており、もはやかつての好況時のような経済発展は当分の間、望むべくもない状況下にあるところであります。したがいまして、本県におきましても、平成10年度当初予算は、前年比3・8%減となっており、厳しい財政運営になるものと思われますが、万やむを得ざるものと理解するものであります。しかしながら、ここで懸念されるのは、県債残高についてであります。この残高は年々増加の傾向にあったのでありますが、平成9年度に至りついに当初予算規模を上回る額となっております。知事は、県行政を岩手県株式会社と例えておられますが、これに倣えば、現在、岩手県はまさに債務超過に陥った破産寸前の会社ということになるわけであります。従来の高度成長時代のように、予算もまた年を追うごとに大型化する時代であれば、税収の伸びにより相対的に債務残高の割合が少なくなり、その返済も容易になるわけでありますが、税収の伸びが期待できにくい現経済情勢下におきましては、当然予算規模は縮小に向かわざるを得ず、したがって、債務の返済は大変に厳しくなるものと考えられるところであります。
 一方、本年はいよいよ県民の期待を担って県立大学が開学される運びとなっており、学術文化面を初め、県勢発展に果たす役割を大いに期待するものでありますが、反面、運営管理費等も今後年々増加、相当額の負担増が見込まれ、また、老人福祉を初め、さまざまな必要施策における費用の増大も考えられるところであります。しかしながら、県民生活の向上、県勢の発展にぜひとも必要な施策は、たとえ予算削減下にあっても、これを積極的に推し進めなければならないのでありますが、そのためには、すべての分野にわたる徹底した合理化、経費の削減が求められるわけであります。今、民間企業は、この不況を乗り切るため、人員の合理化、経費の削減等によるリストラを必死に進めており、そこから得た利益により納税の義務を果たしているのでありますが、これをもとに執行する県政もまた、徹底した合理化、経費の節減に取り組むことは当然の義務であります。知事は、前例にとらわれない柔軟な発想を提唱しておられますが、私も全く同感であります。これはすなわち従来の価値観に対する見直し、あるいはそれに対する疑問から始まり、場合によっては否定をも伴うものであります。したがいまして、前例を重視する従来の行政のあり方からすれば、最も苦手な部分と考えられますが、あえてこれを確実に実行することにより、これまでと違ったより効率的、効果的な行財政の執行ができるものと大いに期待するものであります。
 そこでお伺いいたしますが、知事は、行財政システム改革の推進に当たり、職員の意識改革を初め、多様化、高度化する行政需要に対応できる柔軟な発想への転換をどのような手だてで図ろうとされているのか、基本的な考え方について御所見をお伺いいたします。
 また、新たな発想のもとに経費の削減、あるいは事務事業の整理合理化、職員数の縮小等の改革にどのように取り組まれるのか、あわせてお示しを願います。
 次に、工業団地の造成と企業誘致への取り組みについてお伺いいたします。
 本県の工業出荷額の推移は、年々増加の一途をたどってまいりましたことは、大変に喜ばしいことでありますが、これは工業団地造成をもととした、県外企業の誘致があずかって貢献したことは論をまたないところであります。この点、県当局を初め関係市町村、並びに担当各位の御努力に対しまして、心から敬意を表するものであります。
 一方、日本経済新聞社の調査によれば、平成10年度の全産業の設備投資計画は、平成9年度見込み額の3・3%減となっており、中でも製造業は5・6%減とのことでありますが、これまで景気下支えの役割を果たしてきたとされる設備投資の陰りが大変心配されるところであります。本県におきましても、去る12月3日、岩手経済研究所がまとめたところによりますと、県内企業の設備投資計画は、平成9年度通期で37・2%の大幅なマイナスとなる見通しとのことでありますが、それを反映する形で本県における工場立地が著しく減少傾向にありますことは、御承知のとおりであります。本県の企業誘致の現状は、平成元年度の63件をピークに、以後年々減少傾向にあるところでありますが、さらには、既存の工場も操業を停止したものなどもあり、今後の動向が大変気がかりなところであります。
 そこで、お伺いいたしますが、まず、第1点目は、本県内の79カ所の工業団地への企業立地の状況についてお尋ねをいたします。
 分譲率がいまだ50%にも満たない団地もあると聞き及んでいるところでありますが、そのようなところは何カ所あるのか、また80%未満は何カ所なのか、お示しを願いたいと思います。
 また、現在造成中のものについてでありますが、目下、西根町の盛岡北部工業団地の160ヘクタールを初めとする21団地を造成中と伺っており、さらには、今後の造成計画中のものが1カ所とのことであります。現在の我が国の経済環境を考えますと、今後、企業の誘致はますます厳しさを増してくるものと考えられ、既存の未分譲のものを埋めるのにもかなりの困難が予想される中、加えて、現在造成あるいは計画中のこれら工業団地完成後の分譲が大変心配されるところであります。したがいまして、これらの工業団地の分譲促進にどのように取り組まれるお考えなのか、今後の見通し、対応等についてお示しを願いたいと思います。
 また同時に、この工業団地の造成に当たっては、国庫からの利子補給金等の助成制度もあるわけでありますが、たとえそうであったとしても、もし安易に取り組み、大量の分譲不能等の事態になるようなことがあれば、膨大な県費のむだ遣い、ひいては財政の硬直化を招くおそれなきにしもあらずと危惧するものであります。既に他県におきましては、造成中の団地を3年間凍結する等の措置がとられた例もあるようでありますが、目下造成中のものも含め、この際、分譲造成計画について再度見直しを行い、場合によっては規模の縮小、あるいは工事の凍結等も含めた検討も必要ではなかろうかと思われますが、いかがでしょうか、あわせてお伺いいたします。
 第2点目は、企業誘致に対する取り組みについてであります。
 去る1月24日付の新聞記事によりますと、北上市企業誘致が好調、という見出しの記事が掲載されております。それによりますと、景気低迷が続く中、北上市は平成9年度中に県外4社の企業誘致に成功し、さらに今月中にあと1社と調印を交わす予定とのことであり、御同慶にたえない次第でありますが、昨年4月以降、県外企業の誘致に成功しているのは、県内では北上市だけであるとのことであります。そこで、なぜ北上市だけということになるわけでありますが、普通、工業団地の造成分譲は、地域振興整備公団や県土地開発公社等が主導することが多いのでありますが、北上市の場合には、市が自前で造成分譲していることが、県外企業誘致の上で大きな利点として生かされているとのことであります。普通の場合、売却価格を決めるのにも公社公団に上げてそこから理事会を開くなど、いろいろと時間がかかるわけでありますが、北上市の場合は、市長の決裁を得ればよく、したがって万事スピーディーに事が運ばれ、進出を決めたある県外企業の場合、接触を始めてから調印に至るまでに、わずか2カ月足らずという異例の速さであったとのことであります。しかしながら、この間一方では、交渉の詰めの段階に入ると、首都圏なら日帰り交渉、翌朝一番で市長決裁を仰ぎ、その日のうちに相手先に飛んでいく等の厳しい日程は当たり前とのことであり、担当課長は企業が必要としているものを察知し、あとはどれだけ早く対応するかが勝負と、このように言っております。価格的に他と比べて決して安くはなく、むしろ高いと言われる北上市の企業誘致の成功は、まさに熱意とスピードによる成果であり、民間企業にもまさる営業感覚と行動力、そしてその並々ならぬ御努力に深く敬意を表するものでありますが、同時に、事をなすに当たっての貴重な示唆に富んだものと、改めて感服をいたした次第であります。
 そこでお伺いしますが、企業誘致に当たって最も重要なことは、地元市町村の主体的な熱意ある取り組みがまず第一ではありますが、さらに、県においてももろもろの手続、決裁等の簡素化を図り、可能な限り現地市町村等が自主的に活動できる施策がとられるならば、より一層効果的な企業誘致活動の展開が図られるものと考えるものでありますが、いかがでしょうか、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、北上川の水質汚染についてお伺いいたします。
 本県におきましては、目下、ダイオキシンを含む除草剤の埋設が大変大きな問題となっているところであります。新聞報道によりますと、このたび青森営林局と県並びに関係市町村は、合同で雫石町内のダイオキシン入り農薬埋設地周辺の河川等の水質調査を実施したとのことでありますが、その調査結果が大変気がかりなところであります。
 一方、環境庁が去る1月7日発表した化学物質環境汚染実態調査によると、内分泌撹乱物質の疑いのあるビスフェノールAが国内各地の港や河川の水、泥、魚から検出され、汚染が広がっており、さらに、発がん性がある猛毒のダイオキシン類が宮城県の北上川と仙台湾、山形県の最上川、福島県の阿武隈川の河床の泥や魚類から検出されたとのことであります。中でも北上川の魚類から検出されたダイオキシンは、1グラム当たり4・5ピコグラムとなっているとのことでありますが、これは平成8年9月に採取したウグイ3匹から検出されたものであり、今回の魚類調査地点、全国35カ所の中で最も高い値であった由であります。環境庁は、ダイオキシン類に係る環境保全対策を講ずるに当たっての目安となる値として、その摂取量を体重1キログラム当たり1日5ピコグラムと定めており、日本人の平均的な魚類摂取量で計算すれば、体重50キログラムの人の場合、魚類のダイオキシン含有量を1グラム当たり2・6ピコグラム以下に抑える必要があるとのことであり、したがって、この調査地点における北上川の魚類は、極めて危険性の高いものと推測されるわけであります。この調査地点は、宮城県河北町飯野川橋付近とのことでありますが、同地点は、本県県境である花泉町からはわずか30キロメートル内外のところにあり、当然サケ、アユを初めとする魚類の上流、あるいは下流への移動が頻繁にあるものと考えられるわけであり、北上川を中心とする、本県河川の内水面漁業に対する影響が大変心配されるところであります。また、さらには、本県農業、工業に、はたまた県民生活全般にかかわる北上川の役割の大きさを考えるとき、これが汚染には重大な関心を払わざるを得ないものであります。本県は調査地点の上流でありますが、もしやと大変心配されるところであります。
 そこで、最近、北上川水系において化学物質汚染状況調査が行われておれば、その結果等をお知らせ願いたいわけですが、もし、かなり以前に調査されたものであれば、早急に実施する必要があるものと思われますが、いかがでしょうか、今後の対策等を含めてお伺いいたします。
 次に、本県の医療行政についてお伺いいたします。
 県民が生涯にわたって心身ともに健康であることは、豊かな生活を送るための基本となるものであり、活力ある地域社会の維持、発展のための基礎的な条件であります。また、健康は、県民一人一人がみずから守り育てるという自覚のもとに、自主的に努力し、実践することが重要であることは言うまでもないことであります。しかし、一方で高齢化や生活環境の変化などにより、保健、医療に対する需要が高まっているのも事実であります。このような状況に的確に対応するためには、県民ひとしく、いつでも、どこでも、質のよい保健、医療サービスを受けることができるよう体制の整備が重要であると思います。
 さて、平成8年4月の診療報酬改定において、一般病院から療養型病床群への転換を促進し、また、病院と診療所の機能分担を推進するため、診療報酬の面からも必要な措置がなされたところであります。その一つとして、200床以上の病院は紹介患者や緊急やむを得ない事情によるものを除き、初診にかかる特別料金を徴収することができる制度が設けられました。この制度を導入した背景には、近年、患者の大病院志向が強まり、大病院に患者が集中しているため、病気が初期の段階においては診療所を利用し、そこで診療や治療が困難な患者については病院に紹介をするといった、いわゆる病院と診療所の機能分担を図ることが導入の目的であったと承知しているところであります。
 そこで、お尋ねいたしますが、本県においては、県立病院等でこの初診時における特別料金の制度を導入しているところでありますが、患者の受診動向はどのようになっているのか、現状についてまずお伺いいたします。
 大きな病院の外来はいつも混雑し、相変わらず待ち時間が長く、もし受診者数が余り減っていないとすれば、私はこの制度の当初の目的が十分果たされていないのみならず、結果として単に患者の医療費負担増を招いたにすぎないのではないかと心配するものであります。本県は、他県に見られない多くの県立病院を抱え、県民に対する医療サービスを積極的に提供していることは評価するものでありますが、今後かかりつけ医制度を含めて、診療所や公私立病院との機能分担をどのように推進し、県民の医療を確保しようとしているのか、あわせてお伺いいたします。
 次に、学校給食の安全対策についてお伺いいたします。
 学校給食の話に入る前に、このたび開催された冬季国体について触れておきたいと思います。先般、冬季完全国体が本県で開催され、成功裏に終了することができましたことは、まことに御同慶の至りであり、また同時に、その準備段階から終了に至るまでの競技団体を初めとする関係者御一同の並々ならない御苦労に対しまして、心から感謝申し上げるものであります。しかしながら、唯一残念であったことは、宿泊施設の不注意による事故とでも申しましょうか、ウエルシュ菌による食中毒患者が発生したことでありました。幸いにして、それが原因で競技に差し支えるというような事態にはならなかったようでありますが、もし競技の中止とか、あるいは出場不可能な選手が出るならば、大変な問題となるばかりではなく、本県のイメージダウンにもつながりかねないところでありました。比較的軽い症状で事なきを得ましたことは、不幸中の幸いとでも申しますか、まことに僥倖を得たものと思わざるを得ないものでありますが、同時に、今や食中毒は季節を問わず、年じゅう起こり得るものであることを改めて認識をさせられた次第であります。
 さて、一昨年、すなわち平成8年夏には、御承知のとおり、大阪におきまして学校給食による集団食中毒事件が発生しておりますが、新聞報道によりますと、このたび堺市の小学校では、O-157による食中毒事件発生以来取りやめていた米飯給食を1年半ぶりに再開されたとのことであります。同市におきましては、一昨年11月以降パン給食をしており、米飯については、炊飯時の衛生管理に問題があるとして、今日まで見送ってきたものでありますが、児童や保護者から再開の要望が強いため、市の指定委託炊飯工場に調理後の温度管理などの改善を指導して、ようやく再開にこぎつけたとのことであります。
 ところで、当時文部省が設置した学校給食の衛生管理の改善に関する調査研究協力者会議が、集団食中毒を起こした学校、幼稚園等を視察点検した結果として、次のような問題点が指摘されておったところであります。まず、調理に携わる人の手洗いが手回し式になっているなど、洗浄、消毒が不十分なもの。食材の水切り作業が床面で行われていたり、食材ごとの包丁や容器の区別、使い分けがなされていない。また、調理後に適切に冷却されていない、などの温度管理の不適切。さらには、調理中の不必要な床面洗浄で絶えず床がぬれており、病原菌が繁殖しやい等々の事例が指摘されているところであります。本県におきましては、もちろん適切な御指導、点検等により、学校給食施設が大幅に改善されていることとは思いますが、のど元過ぎれば熱さを忘れる、我々の陥りやすい通弊であります。そこで、このたびの食中毒事件を機に、改めてその後の施設の改善状況はどうなっているのか、お伺いいたします。
 最後に、県立考古学研究機関の整備についてお伺いいたします。
 豊かな自然に包まれた本県は、特色ある文化をはぐくみ、優れた文化財を数多く生み出してまいりました。特にも奥州藤原氏に関連する平泉文化は、本県のみならず全国に広く知られ、近年は外国からの観光客も多く訪れるなど、まさに日本を代表する文化であることは、だれもが認めるところであります。平泉文化に関する考古学的な研究は、本県出身である東京大学名誉教授の藤島亥治郎先生や岩手大学名誉教授であった、故板橋源先生らによって精力的に手がけられたものの、全体的な研究はまだ端緒についたばかりであるとも言われており、これからも新しい事実が明らかにされていく余地が大いにあると考えられます。平泉には、中尊寺、毛越寺、無量光院等の特別史跡など、多くの遺跡が残されており、特にも柳之御所遺跡は、建設省の一関遊水地、平泉バイパス事業の計画の一部を変更して保存され、国の史跡に指定された貴重な遺跡であります。柳之御所遺跡の今後の発掘調査成果に期待するものは極めて大きいものがあります。史跡は、単に遺跡として残すだけでなく、それを積極的に整備活用してこそ、国民の文化遺産として生かされるものと考えられますが、最近、その整備の進捗状況が余りはかばかしくないとの指摘もあるところであります。そこで、柳之御所遺跡を今後どのように整備活用していかれるのか、御所見をお伺いいたします。
 また、21世紀に向けて、県民が新しい地域文化を創造し、県土に対する自信と誇りを深める上で、平泉文化はその核となり得るものであり、平泉文化の解明を目指した県立考古学研究機関の早期整備が必要と考えられますが、その整備計画はどのようになっているのか、お伺いいたします。
 また、かねてより平泉町が要望しております国立博物館の誘致についてでありますが、県は、平成10年度政府予算要望項目の中で、従来の国立博物館から日本列島北部の文化に関する研究機関に項目名を変更されたようでありますが、どのようなお考えに基づくものなのか、今後の誘致の見通しとあわせてお伺いいたします。
 以上で私の質問を終わります。御答弁をよろしくお願いいたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 浅井東兵衛議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、行財政システム改革の推進に当たっての発想の転換についてでございますが、今日、我が国の行政や経営を取り巻く環境が質的に、しかも急速かつ大規模に変化をしてきている中にございまして、私は、その変化の方向を的確に洞察をして、今後要請される新しい価値を見きわめ、もはやその役割を終えたものは破棄をしていくという、創造的破壊が必要であると、このように考えております。行政運営を進めていく上で今一番必要なのは、将来ビジョンを創造し、戦略的に実現をしていくという、いわば創造、戦略型の人材を育成することでございます。職員一人一人が前例踏襲や困難な課題の先送りなどの考え方を一掃して、民間の発想や手法なども積極的に取り入れ、経営感覚、コスト感覚を磨いていかなければならないと、このように考えております。
 具体的には、今年度導入いたしました事務事業評価や公共事業コスト縮減対策などを通じてコスト意識を浸透させるとともに、職員の民間企業への派遣、職場活性化実践運動や職員提案などの県政への職員参加、さらには、県民サービス向上のための行動計画の策定やその実施などによりまして職員の意識改革や柔軟な発想への転換を促してまいりたいと、このように考えております。
 また、事務事業の見直しに当たりましては、行政の守備範囲を意識いたしまして、行政は何をなすべきかその役割を見きわめ、常に費用対効果を考え、不断に行政効率、効果等を点検する一方で、縦割りを排除して、部局横断的な課題には全庁的に総合的、横断的に取り組んでいきたいと、このように考えております。
 平成10年度におきましては、新たな視点に立った機構の整備、効果的、効率的な事務執行、適正な定員管理などを内容といたします行政改革大綱を策定いたしまして、地方主権時代にふさわしい行財政システムの再構築に向けて積極的に対応してまいりたいと考えております。
 次に、企業誘致を進めるに当たっての市町村との連携のあり方についてお尋ねがございましたが、企業誘致の成否を大きく左右するものは、豊かな自然環境、整備された高速交通網や工場立地基盤はもとより、地元市町村の誘致に向けた熱意と折衝過程における迅速かつ適正な対応、さらには、立地決定後の誠意あるフォローアップであると、このように私は考えているところでございます。通商産業省の工場立地動向調査によりましても、立地決定の要因といたしまして、今、挙げましたように、自治体の助成、協力が大きなウエートを占めているところでございます。このため、市町村の企業誘致担当職員を対象とした実務研修会の開催や企業誘致マニュアルの作成、配布、それぞれの地域における企業誘致推進協議会への参画、合同企業訪問を行っておりますほか、立地企業のフォローアップに積極的に取り組むよう指導しているところでございます。
 また、県と市町村、地域振興整備公団などの関係機関で構成いたしております岩手県企業誘致推進委員会というものがございますが、ここを通じまして、首都圏など企業集積の高い地域において企業ネットワークいわてという催しを開催いたしておりまして、本県の立地環境について、私も直接企業の方々に対してこの場で説明いたしますとともに、市町村長さん方が誘致活動を展開する場をその際に設けておりまして、その主体的な取り組みの環境づくりに努めているところでございます。
 今後におきましても、市町村の意向を十分に踏まえまして、こうした事業の充実強化を図っていきたいと考えております。
 さらに、昨年9月に国から承認されました部品、金型、試作品などを製造する企業の集積を目的とした、いわゆるものづくりを支える北上川流域基盤的技術産業集積の活性化に関する計画、この計画に基づきまして、花巻市の起業化支援センターの拡充、北上市の基盤技術支援センター及び水沢鋳物技術交流センターの整備、また、財団法人岩手県南技術研究センターの充実強化などに対して積極的に支援するなど、その誘致環境の整備に努めてまいる考えでございます。
 また、この4月から県北の久慈、二戸地区の二つの拠点工業団地が分譲開始されるわけでございまして、特にも、県北・沿岸地域への立地促進のため、これまでの組織の見直しを行って、関係市町村ともども企業誘致推進体制の強化をなお一層図りまして、積極的な企業誘致活動を展開していく考えでございます。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁をさせますので、御了承お願いいたします。
   〔商工労働観光部長佐藤孝司君登壇〕
〇商工労働観光部長(佐藤孝司君) まず、工業団地への企業立地の状況についてでありますが、県内の79の工業団地のうち、造成済みの工業団地は58団地、また、造成中の工業団地は21団地となってございます。造成済みの58の団地のうち、完売した団地は42団地で、分譲率が50%に満たない団地は8団地、50%以上80%未満の団地は4団地、80%以上の団地が4団地となってございます。
 次に、工業団地の分譲促進の取り組みについてでありますが、地域の実情や企業の動向に即した効果的な誘致活動の展開を図るため、平成8年度に県北・沿岸地域等の市町村を対象とした企業立地促進奨励事業費補助金制度を創設したほか、本年度、低利な県単融資制度である工業立地促進資金の貸付対象業種を拡大するなど、企業誘致促進のための制度の充実を図っているところであります。
 また、本県の工業団地のすぐれた立地環境等を広く紹介するため、本年度からの新たな取り組みとして、知事を先頭に、首都圏等において開催した企業ネットワークいわてや、平成9年10月、代々木公園において新規事業として開催した銀河系いわてフェスティバルなどを活用し、積極的な宣伝活動を展開しているところであります。さらに、平成9年3月に本県の工業団地等を紹介するインターネットのホームページを開設するとともに、経済専門誌に広告を掲載するなど、幅広い情報手段の活用にも努めているところであります。
 平成10年度におきましては、こうした企業誘致活動の一層の充実強化に加え、新たに外資系企業を対象とした工業団地の視察会を行うこととしているほか、県内に立地している企業の2次展開を誘導するため、地方振興局と一体となった企業訪問活動を積極的に展開してまいりたいと考えております。
 次に、工業団地の分譲造成計画の見直しについてでありますが、企業誘致は、産業の高度化や多様な雇用機会の創出など、地域経済の活性化に大きく寄与しているところであり、工業団地はその受け皿として極めて重要な役割を担っているところであります。そのため、第三次岩手県総合発展計画後期実施計画において、立地条件がすぐれ、かつ投資効果の大きい地点に拠点開発方式により整備する拠点工業団地5団地について可能性調査を行うこととしております。また、都市機能や工業集積を活用して、研究開発型企業、先端技術型企業、高度情報関連企業等の優良企業を積極的に導入するため、研究開発工業団地を2団地整備することとしております。
 工業団地の整備に当たりましては、企業の立地が経済の動向に大きな影響を受けることや、その整備に相当な期間を要することなどから、中長期的な展望に立ち、市町村等と緊密な連携を図りながら、立地企業の意向に沿って随時造成する、いわゆるオーダーメード方式を積極的に活用するなど、分譲単価の低減化にも十分配慮し、地域の実情に即した団地の整備を図っていく必要があるものと考えております。
 なお、今後における工業団地の分譲造成計画につきましては、新しい総合計画の策定作業の中で、経済社会情勢の変化や企業立地動向等を十分見きわめながら、調査、検討を進めてまいりたいと考えております。
   〔生活環境部長吉田敏彦君登壇〕
〇生活環境部長(吉田敏彦君) 北上川における化学物質汚染状況調査についてでありますが、環境庁の委託調査事業として、花巻市の豊沢川における北上川との合流点付近におきまして、平成元年度から平成8年度までの間に計46種類の化学物質について、水質、底質、魚類を調査いたしております。その結果、底質及び魚類からビスフェノールAなど4物質のみ検出されておりますが、いずれも全国の検出状況と比較して低いレベルとなっております。
 また、ダイオキシンにつきましては、平成9年度に環境庁の委託調査事業を導入し、雫石川の太田橋付近におきまして底質及び魚類のダイオキシン調査のための検体を採取したところであり、その結果は、追って全国の調査結果とともに公表される予定であります。
 次に、今後の調査の必要性等についてでありますが、まず、化学物質環境汚染状況調査につきましては、平成9年度も4種類について実施いたしましたが、県といたしましては、引き続きその積極的な導入に努めてまいります。
 また、ダイオキシン調査につきましては、平成10年度から環境庁が全国で40カ所を選定し、調査する計画としておりますが、県といたしましては、その調査導入に努めるほか、それに加えまして、県独自のダイオキシン調査を平成10年度から実施する予定といたしております。これは、北上川を含めた県内の6地点において、大気や生物等の一般環境中におけるダイオキシン汚染の実態把握に努めるものであり、その結果を踏まえ、汚染を未然に防止するために必要な対策についても検討してまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長緒方剛君登壇〕
〇保健福祉部長(緒方剛君) まず、初診時における特別料金の制度を導入している病院の受診状況でありますが、本県におきまして、初診時における特別料金の制度を導入しております病院は、対象となる200床以上の44病院のうち、県立病院14、国立病院4、私立病院等5の合計23病院であり、その導入時期は、平成8年4月が4病院、平成8年7月が1病院、平成8年8月が17病院、平成9年4月が1病院となっております。このうち、平成8年8月導入の17病院における外来患者の動向を見ますと、導入前の平成8年4月から7月までと導入後の平成9年の同時期を比較して0・06%の増加となっております。特に県立病院では、初診料を徴収している患者は減少しておりますが、外来全体としては同時期に1・57%の増加となっております。これに対して、この制度を導入していない21病院では、同時期に2・65%減少しております。したがって、初診時の特別料金を導入した病院で外来患者が減少したことにはなっておりません。
 次に、県立病院と診療所や公私立病院との機能分担についてでありますが、県立病院は、これまで本県の医療の確保に大きな役割を果たしてきたところであり、外来患者については、平成9年末の国民健康保険分で見ると、全体の約27%が県立病院で受診している状況となっております。
 県といたしましては、平成9年に定めた岩手県保健医療計画において、地域の中核病院、一般の医療機関、療養型病床群、かかりつけ医の機能分担の明確化を図るとともに、公的病院は高度、専門的な医療を中心に担い、また、一般的な医療については、地域の実情に応じ、民間医療機関を補完することとしているところであります。
 一方、昨年12月に改正された医療法におきましては、医療施設相互の機能分担及び連携に関する事項を都道府県医療計画に記載することとされたほか、新たに患者の紹介制により、かかりつけ医を支援する地域医療支援病院を制度化することとされたところであります。さらに、国におきましては、昨年8月、21世紀の保健医療制度のあり方として、大病院については、入院医療に重点を置いて外来の集中を是正し、外来診療については、中小病院及び診療所のかかりつけ医が主として担うとの方向性が示されるとともに、与党の医療保険制度改革協議会においては、公私医療機関の機能分担と連携を図るため、公的病院のあり方や機能を見直すとされたところであります。
 県といたしましては、これらの動向を踏まえ、今月開催予定の岩手県医療審議会に新しい保健医療計画の策定について諮問し、公私医療機関の機能分担を含め、議論を進めてまいりたいと考えております。
   〔教育長細屋正勝君登壇〕
〇教育長(細屋正勝君) まず、学校給食の安全対策についてでありますが、あの食中毒事件を機に、本県におきましても厚生省の定める大量調理施設衛生管理マニュアルに基づき、単独調理場及び共同調理場199施設に対し、保健所による学校給食一斉点検が行われた結果、すべての施設について改善勧告がなされたところであります。
 その改善勧告の主な内容は、食品の加熱調理の徹底、毎日の使用水の検査、定期的な食材の検査やその記録の保存などであり、これら勧告を受けた199施設のうち175施設については平成11年度までに改善が完了する予定であります。また、大規模な施設の改修、改築が必要な24施設のうち17施設については平成14年度までに改善する予定であり、残る7施設の改善については、多額の予算措置を要することから、どう対応するか現在検討中となっております。
 県教育委員会といたしましては、食中毒は季節を問わず発生し得るものであることから、今後とも関係機関との連携のもと、学校給食衛生管理の基準の周知徹底を図りながら、学校給食に起因する食中毒防止に万全を期してまいりたいと考えております。
 次に、県立考古学研究機関の整備等についてお答えいたします。
 このたび、柳之御所遺跡の保存を目的とする建設省、県及び平泉町の3者による合意に沿って、新しい堤防と国道4号バイパス用地を県が国にかわって買い上げたところであり、平成10年度には、建設省所有となっている柳之御所遺跡用地との交換を行う予定となっております。したがいまして、平成10年度において柳之御所遺跡の大半が県有地となることから、平泉町内に現地作業所を設け、本格的な学術調査に着手することとしており、その結果等を踏まえ、将来的には史跡公園として整備、復元してまいりたいと考えております。
 また、平泉の歴史的遺産を明らかにし、その成果を広く公開、活用していくためには、発掘調査による柳之御所遺跡の解明を初め、伽羅之御所跡など未調査となっている多くの遺跡等について、順次、計画的に調査研究を続けていくことが肝要であります。このため、今後は、柳之御所遺跡の発掘調査と並行して、平泉文化研究の軸となる研究者のネットワークづくりなどに取り組みながら、これまでの考古学研究機関の基本構想の内容をさらに充実発展させ、その設立に向けて条件整備を図ってまいりたいと考えております。
 また、国立博物館の誘致についてでありますが、政府予算要望項目の名称変更は、平泉文化を初めとする北の文化の歴史的重要性を強調し、誘致しようとする国立の博物館の性格を明らかにしようとしたもので、従前と変わるものではなく、引き続き国に対して働きかけてまいりたいと考えております。
〇議長(那須川健一君) 次に、中屋敷十君。
   〔7番中屋敷十君登壇〕(拍手)

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