平成10年2月定例会 第13回岩手県議会定例会会議録

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〇35番(菊池勲君) 県民クラブの菊池勲でございます。
 このたび私は、我が県民クラブの山崎代表を初めとする同僚議員の配慮により登壇の機会を与えていただきました。同僚議員の温情に感謝をしながら、県民クラブを代表いたしまして、県政の諸課題について順次質問をさせていただきます。
 最近の国際社会においては、冷戦の終結などに伴い、圧倒的な軍事力を背景とする東西間の軍事的対峙の構造は消滅し、世界的な規模の武力紛争は生起する可能性は遠のき、他方、各種の領土問題は依然存続をしております。また、宗教上の対立や民族問題などに根ざす対立はむしろ顕在化し、複雑で多様な地域紛争が発生をしております。さらに、先般行われました長野オリンピックの最中のイラクへの空爆こそ避けられたものの、核を初めとする大量破壊兵器やミサイルなどの拡散といった新たな危険が増大するなど、国際情勢は依然として不透明・不確実な要素をはらんでおります。我が国においても、国際社会の一員として政治、経済などの各分野において国際的な協力を推進し、国際関係の一層の安定化を図るための努力が求められており、また国内に目を転じても、目前に迫っている少子化、高齢社会への対応や産業構造の改革に対する対応に加えて、社会資本の整備も焦眉の急となっております。このような、我が国を取り巻く環境が国内外を問わず厳しい状況にある中で、本県としても、豊かで活力ある地域社会を築き上げるために、果敢に山積する課題に取り組んでいく必要があると考えるものであります。
 増田知事は、就任以来あらゆる機会をとらえて現地に足を運び、どん欲なまでに県民との直接対話に努め、県内各地で地域づくりや生産活動に携わる方々の姿に接し、地域からの視点でともに考えつくる行政をと言われ、現地重視の地域経営の推進に意を用いておられることに敬意を表するものであります。
 さらにまた、知事は昨年、21年ぶりの大幅な機構改革を行い、新しい体制をスタートさせたばかりか、行財政運営の一層の健全化、効率化を図り、県民の視点に立った行政の推進を図るために、いち早く行財政改革システム指針を策定しております。確かに、本年の行財政システムの改革は緒についたばかりではありましょうが、21世紀の岩手を創造する新しい総合計画の一大推進力とすべく、知事におかれましては、このたび民間の経営管理手法を導入した行政運営診断を行い、新しい行財政システムを構築するため、平成10年度予算に行政運営改善状況調査診断費を計上しております。改革にかけるその意気込みに改めて敬意を表する次第であります。
 思えば本年は、昭和31年5月に財政再建団体に指定されてから42年目に当たります。財政再建計画は、当時の阿部千一知事を初めとする先人の御尽力により、5年計画を1年繰り上げて34年に解除になったと、当時総務部次長で元知事の中村直氏の回想記の中で述べられております。41年たって、男で言えばいわば厄年に当たりますが、組織が少し肥大化してはいないかなど、動脈硬化の気配はないか、はたまた制度疲労を起こしていないのかなど、さまざまな症状が気にかかります。こうした場合、人間であれば人間ドックなどに入り点検しておりますが、県も組織の健康管理を行い、体質改善を進め、健康体を取り戻す必要があると考えるものでありますが、このたびの行政運営診断もそのような効果を期待できるものか、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、食糧費の不正支出に関連して県民の信頼回復についてお伺いをいたします。
 先般、7回の食糧費調査委員会、12回の審査会を経て、県の食糧費に係る不正支出の額を公表されました。調査対象件数3万7、000余件、金額にして15億1、160万8、000円にも及ぶ膨大な調査を1件1件行ったことについては一定の評価をするものでありますが、不適正とされた1、806件1億5、000万円余は、県民にとって大多数は一生見ることができない大金であります。この点について速やかな処置を期待するものであります。
 先般、テレビで孔子伝という番組を放映しておりました。その中で、孔子の弟子の子貢が恩師に政治の要諦を尋ねたところ、食糧を十分にし、軍隊を十分にし、国民が政治を信用するようにしなさいと答えました。どうしてもやむを得ずあきらめるとするならば、この三つのうち何をまず先に選びますかと子貢が再び尋ねたところ、軍隊をあきらめなさいと答えました。さらに、どうしてもあきらめるとするなら、残りの二つのうちどちらを選びますかと重ねて尋ねたところ、孔子は食糧をあきらめる。昔から、人は皆死から免れることはできないが、国民に信用がなければ政治は成り立たないものだと答えました。かくのごとく、為政者と国民との間に信頼・信用というものがいかに大切なものかということであります。
 知事、今般の食糧費の不正支出により県民との間に損なわれた信頼関係について、どのように回復を図っていくおつもりかお尋ねをいたします。
 次に、農業問題についてお尋ねをいたします。国の新たな米政策の実施に伴う県の対応についてお伺いをいたします。
 昨年11月に国の新たな米政策大綱が打ち出されましたが、その中で転作面積がさらに拡大され、生産者はまた大きな負担を強いられることになりました。今、生産現場では、市町村と農協が一緒になって集落座談会を開催し、新たな米政策の内容について説明するとともに、大幅に拡大された転作に対する取り組みについて必死になって生産者の理解と協力を求めているところであります。しかしながら、生産者は、米価の低落と転作の強化というダブルパンチによって、かつて経験したことのない厳しい状況に置かれており、将来に大きな不安を抱いております。過日、私も集落の集まりに参加し、生産者の方々と話し合う機会がありました。若い後継者から、先生、最近農業を選択したのがよかったのかどうか迷うようになったと言われました。私としてもその返答に窮したところであります。しかし、この若者の言葉は、今の農業が抱えている問題を端的に物語っているものと思うのであります。
   〔副議長退席、議長着席〕
 国は、米が余ったと言っては転作面積をふやし、今回もまた、米価の低落に歯どめをかけるためだと大幅に転作面積を拡大されました。これまで幾度となくこの繰り返しで、地域の農業をどのようにしていくのかという方針も展望も示さないまま、生産者にだけ負担を強いられているのであります。これでは農業の将来展望はあるのでしょうか。知事、私はこうしたときにこそ、若い増田知事のリーダーシップをいかんなく発揮していただき、本県農業に明るい道筋を切り開いていただくよう大いに期待をするものであります。
 そこでお伺いいたしますが、国の新たな米政策に対応して、今日のこの難局を乗り越えていくために、県としてどのような対策を講じようとしておられるのか、そのお考えと対策の内容についてお伺いをいたしたいと思います。
 次に、緊縮財政予算の中にあっても急がなければならない、農業・農村整備の推進についてお伺いをいたします。
 平成5年12月のウルグァイ・ラウンド農業合意の受け入れに伴い、我が国農業・農村に及ぼす影響を緩和するとともに、21世紀に向けて持続的に発展させていくことなどを目的として、現在、関連対策が実施されていることは御案内のとおりであります。しかしながら、この対策についても財政構造改革の方針により2年間の期間延長とされ、その上に、数年後に再開される世界貿易機構・WTOで行われる次期多国間農業交渉において国境の壁を高くできる環境にはなく、むしろ引き下げの可能性の方が強いという国際的な枠組みから、それを前提として日本農業の体制の再編に取り組む必要があります。特にも、担い手の育成とともに農業の生産性向上にとって決定的に重要であると思われる農業基盤の整備については、急がなければならないと考えているところであります。このような情勢の中で、また限られた予算の中で、事業執行に当たっては重点化、効率化が必要と考えますが、農業の生産基盤や生活環境整備をどのように進めていくのか、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、森林整備についてお伺いいたします。
 本県は、緑豊かな自然に恵まれて広大な森林面積を有する森林県であります。この豊かな森林資源は、先人のたゆまぬ努力により、全国第2位の34万ヘクタールの人工林が造成され、その資源は着実に増加してきておりますが、今後、積極的にこの森林の整備充実を図ることにより、県勢も大きく飛躍するものと期待しているところであります。森林の整備に当たっては、特に間伐を実施し、病虫害や雪害等にも強い健全な森林として、県民が期待する自然環境や生活環境の保全に重要な役割を果たすとともに、来るべき21世紀の国産材時代の到来を現実のものとすることが肝要であると考えるものであります。本県の人工林は、全国におくれて造成されたことから、今まさに間伐のピークを迎えており、今こそ間伐の促進を強力にするべき時期であります。県では、これまで国の補助事業の間伐対策を積極的に導入するほか、本年度から新たに県単独事業を創設するなど、間伐の促進に努めておられることに対し高く評価するものであります。国においては、平成10年度予算において間伐の促進を最重要課題として取り上げられておりますが、本県における今後の間伐の促進について、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、新交流ネットワーク道路整備事業についてお伺いをいたします。
 広大な県土を有する本県にとって、豊かで快適な県民生活を実現するためには、発展基盤となる道路整備が極めて重要であり、その早期整備は県政の重要な課題となっております。県では、これまで県単高速交通関連道路整備事業や交流ネットワーク道路整備事業など、本県独自の道路整備事業を創設し、沿岸部と内陸部の時間距離の短縮などに努めてこられたところであり、また、平成8年度からは新交流ネットワーク道路整備事業を創設し、道路整備の長期構想である広域生活圏相互の時間距離の短縮、また、いわゆる90分構想の実現に向け積極的に取り組んでおられ、このような県当局の取り組み姿勢に対しては評価をしているところであります。
 しかしながら、このような取り組みにもかかわらず、沿岸部と内陸部を比較しますと、地域の経済力や県民所得などに依然として厳然たる格差が見られ、私はこの格差を是正するためには、沿岸部に至る道路をこれまで以上に集中的に整備することが必要であり、また昨今、公共事業の見直しが叫ばれ、道路予算が削減される中で、その整備効果を早期に発現させるためには重点的整備が重要であると考えます。このため、新交流ネットワーク道路整備事業においても、沿岸部と内陸を結ぶ横断道路の整備に重点的に取り組むべきではないかと考えるものであります。つきましては、新交流ネットワーク道路整備事業におけるこれまでの整備状況と整備方針について、また、特に県際付近でもある県北沿岸部と県南沿岸部における道路整備の取り組み方針をあわせてお示しを願いたいと思います。
 最後に、高齢者介護の問題についてお伺いをいたします。
 我が国は、来るべき21世紀に世界に例のない高齢社会を迎えると予測されております。このような中で、介護を必要とする高齢者やその家族に対して、社会連帯の理念のもとに支援を行う新たなシステムとして、平成12年度から介護保険制度が施行されることになっております。この制度は、社会保障方式により給付と負担の関係を明確にするとともに、これまで福祉と医療に分かれていた制度を一体化し、社会的入院の解消を図るなど、社会保障構造改革の第一歩となるものと聞いております。この制度の導入に当たっては、県民それぞれがみずから望む環境で安心して過ごすことができるようなシステムとして実施されることを強く望むものでありますが、このためには、新たに生ずる保険料等負担の内容や要介護認定などの複雑な制度の仕組みなどについて、県民の十分な理解を得ることが重要と考えております。
 また、保険給付に直結する要介護認定に不公平が生じたり、サービスの不足などにより、保険あって介護なしといった事態が生ずることなど、制度そのものへの信頼が損なわれないよう的確な対応が求められるところであります。特に、サービスの内容や質などの面で地域格差が懸念されておりますので、必要な人材や施設などの基盤の整備に当たっては、地域の実情や県民の意向などを踏まえ、将来を見越した対応が必要と考えております。
 一方、介護保険事業の運営は、住民に最も身近な自治体である市町村が担うこととされております。市町村においては、それぞれ制度の実施に当たって創意を凝らした積極的な取り組みを期待するものでありますが、昨今の厳しい行財政環境の中で、市町村の多くは対応に苦慮している現状にもあり、県の積極的な支援が重要と考えております。今後、制度のスタートに向けてさまざまな準備が進められると思われますが、県においてはどのような対応をしていく考えなのか、御所見をお伺いいたします。
 以上、種々申し上げましたが、これで私の質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 菊池勲議員の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、行政運営改善状況の調査診断についてでございますが、私は昨年、21世紀の本県のあるべき姿といたしましてドリームランド岩手の創造を提案いたしましたが、これを現実の社会としてつくり上げていくためには、生活者主権、地域主権の観点に立って新しい時代に即した行財政システムを確立し、県行政は、納税者である県民から負託を受けた地域の経営であると、このような新たな視点でとらえることが必要であると、このように考えております。
 しかし、県みずからの取り組みだけではおのずと限界がありまして、県内部の内輪の人間によるのではなくて、第三者の客観的な目で県民の行政への参画、市町村との連携、政策決定、事業評価、業務プロセス、財政運営、行政機構、人事管理など、これまでの本県の行政運営のあり方全般について根本から問題点を洗い出しチェックを受けようと、このように考えたものでございます。その上で、県として改善すべき事項は早急に改善をし、今後の地方分権の進展や行政を取り巻く環境の変化に積極的に対応できる体制づくりを進めるとともに、ますます激化する自治体間競争に勝ち抜くため、民間企業の経営管理手法も参考にいたしまして、事務事業の効率化、迅速化、コストの削減を図り、いわば株主、顧客でございます県民の皆様の満足度の向上を図っていく考えでございます。
 このように、調査診断に当たりましては、これまでの行政運営を総点検いたしまして、他県や民間企業のすぐれた事例は積極的に取り入れると、このような姿勢で、本県行政の課題と改善方策について外部からの実践的かつ的確なアドバイスをいただくことを期待しているところでございます。
 次に、食糧費の不正支出により損ねられました県民の信頼の回復についてでございますが、このたびの食糧費の執行状況の調査の結果、不適正な支出と判断されたものにつきましては、その全額に法定利息相当額を付して3月末までに県に一括して返還をいたしまして、また不適正支出の原因や背景を可能な限り明らかにするとともに、責任の所在を明確にして関係職員の処分を行う考えでございます。さらに、今後食糧費執行の適正化に向けまして、さきに策定いたしました公務員倫理の確立と職員の意識改革、チェック体制の充実強化など、四つの改善方策を確実に実行いたしまして、事務の適正な執行と綱紀の厳正な保持に努め、県政に対する県民の信頼の回復に全力を尽くしてまいる考えでございます。
 次に、国の新たな米政策に対応した県の対策についてでございますが、国においては、現下の米をめぐる状況を克服するため、新たな米政策大綱を策定いたしまして、米需給安定対策、稲作経営安定対策などの諸対策を講ずることとしたところでございます。本県農業にとって稲作は基幹部門でございますので、国の対策を踏まえ、さらに、県といたしましても本県独自の新たな対策を講じていく考えでございます。その基本的な考えとしましては、農業労働力の減少、高齢化が急速に進行し担い手の育成が緊要の課題となっている中で、米価の大幅な低落と生産調整面積の拡大により、殊にも大規模経営ほど大きな影響を受けておりますので、農業者の合意形成に基づく地域ぐるみでの取り組みを促進いたしまして、稲作担い手の経営確立を図りますとともに、転作営農の定着化による効率の高い生産体制を構築することが肝要であると、このように考えております。このため、来年度から稲作担い手の生産調整面積の軽減や農作業の受委託によって、これら担い手の経営基盤の強化が図られるような転作営農の取り組みに対して助成を行います、担い手育成生産調整支援事業を実施することとしております。
 また、米価の低落によって打撃を受けております稲作担い手の経営安定を図るために、貸付金利1%の低利な稲作経営安定化資金を創設いたしますほか、野菜、花卉の産地形成を促進するための施設整備に対して助成をいたします、転作営農高度化条件整備事業を実施するなどによりまして、生産調整の円滑な推進と、担い手を中心とした体質の強い水田営農を確立してまいりたいと、このように考えております。
 次に、農業の生産基盤や生活環境整備の推進に当たっての重点化、効率化の考えについてでございますけれども、国際化の波を乗り越える力強い農業、生き生きとした農村を構築していくためには、収益性が高く、体質の強い農業を展開できる生産条件と、若者も魅力を持って生活できる定住条件の改善を図っていくことが重要であると、こうした観点に立って、これまで圃場の大区画化や水管理作業の自動化、さらには集落道や集落排水の整備などを積極的に推進をしてきたところでございます。しかしながら、農業従事者の減少や高齢化、さらには米価の低落や生産調整面積の拡大に加えまして、本県は全国に比べ、いまだ生産基盤や生活環境の整備が立ちおくれていることから、効率的、安定的な地域農業を確立するための生産基盤や快適な生活環境の整備を図ることがますます重要になってきていると考えております。このため、財政構造改革が推進されている中ではございますけれども、農業農村整備事業を積極的に導入をいたしまして、担い手の育成や転作の集団化などを促進するためのこうした圃場整備や農村の生活環境の基礎的条件でございます生活排水処理施設の整備、さらに中山間地域の生産基盤と生活環境の一体的な整備に重点的に取り組んでまいらなければならないと、このように考えております。
 また、事業の実施に当たりましては、行財政システム改革指針の徹底を図りながら、事業の必要性や重要性、緊急度などの徹底した客観的評価を行いますとともに、圃場整備と河川改修工事の一体的な施行など、部局間を越えた各種事業の連携や整合性の確保などによりまして、公共工事コスト縮減計画を着実に推進をし、予算の重点的かつ効率的な執行に努めてまいりたいと、このように考えております。
 次に、森林整備についてでございますが、本県においては、これまでに計34万ヘクタールに及ぶ人工林が造成されるなど、本県の森林資源は着実に造成されてきておりまして、今や成熟していく資源を健全に育成していく重要な段階に入ってきているところでございます。特に本県は、戦後木炭の生産を中心とした林業が展開をされてきたところから、本格的な植林活動が他よりもおくれて始まってきておりまして、現在、人工林の6割を超える森林が16年生から35年生の間伐対象森林でございまして、ここ10数年の間は計画的な間伐の実施が森林整備にとって何よりも重要な課題であると私は認識をしているところでございます。
 また、適正な間伐の実施は、豊かな緑の環境を創造いたしますとともに、森林の持つ水資源の涵養や山地災害の防止機能を維持・増進させるなど、安全で快適な県民生活の基盤を確保する観点からも大きな役割を担っているものでございます。したがいまして、平成10年度林業関係予算案におきましては、間伐対策を最重点施策として位置づけました。前年度対比約115%の当初予算を確保しまして、新たな国庫補助事業の積極的な導入や本年度から実施をしてきております県単独の補助事業を大幅に拡充するなど、積極的に取り組んでいきますとともに、間伐の推進には間伐材の利用拡大を図ることが重要でございまして、県産中小径材利用推進ネットワークを、本庁を含め各地方振興局それぞれに整備をいたしまして、間伐材を供給する関係団体と間伐材を利用する、主に土木部など関係部局との連携強化を図って、公共工事への間伐材などいわゆる中小径材の利用を促進してまいりたいと考えているところでございます。
 また、平成10年度からは、国において従来から実施されてきました森林・山村対策に加え、新たな地方財政措置として、市町村による間伐を中心とした森林・林業施策に財政的支援がなされることになったところでございまして、これを十分に活用して間伐が推進されるよう、市町村を指導してまいりたいと考えております。
 今後におきましても、21世紀の我が国における木材供給基地として、本県の森林資源の整備・充実が図られるように、間伐に係る総合対策を積極的に進めていく考えでございます。
 次に、新交流ネットワーク道路整備事業についてでございます。
 県土の均衡ある発展を図り、それぞれの地域が活力に満ちた自立的な地域社会を形成していくためには、その発展の基盤となる道路網の整備が重要な課題の一つと、このように認識をしております。本県の骨格となる幹線道路ネットワークは、内陸部を南北に貫く東北縦貫自動車道、そして沿岸部を縦走する三陸縦貫自動車道や八戸久慈自動車道など、こうした二つの縦のラインと、これを東西に横に結んでおります東北横断自動車道や宮古盛岡横断道路による、いわゆるこの二つの横のラインが基軸となっております。新交流ネットワーク道路整備事業におきましては、東北横断自動車道に密接に関連をいたします仙人峠道路や宮古盛岡横断道路の簗川道路などの整備を現在進めておりまして、また骨格となる道路網と一体となって、いわゆる90分構想の実現のため、県北西ルートや水沢ルートなど、全体で16ルート24路線について現在整備を推進しているところでございます。特に、沿岸地域の振興のためには、沿岸部と内陸部を結ぶ幹線道路ネットワークの早期整備が重要と考えておりまして、現在、久慈ルートの国道281号や県南ルートの主要地方道一関大東線など12ルート15路線について、国庫補助事業も導入しながら横断道路の整備を図っているところでございます。
 また、県北沿岸部や県南沿岸部におきましては、県都圏までの時間短縮を図りますとともに、広域生活圏相互の交流連携を促進するため、北上山地の峠を克服する道路整備など、今後とも積極的に取り組んでいく考えでございます。昨今、厳しい財政環境にございますが、県では、本県独自の評価システムを導入するなど、重点的かつ効率的な道路事業の執行に努めていく考えでございます。
 次に、介護保険制度への対応についてでございますが、急速な高齢化の進行と核家族化など家庭機能の変化に伴いまして、高齢者介護は、介護を担っている家族のみならず、社会全体として支援をしていかなければならない重要な課題となってきております。このため私は、介護保険制度が本県の実情に即して円滑かつ効果的に機能することが最も大切であると考えておりまして、市町村への支援など、施行に向けた準備のため、保健福祉部に新たに専門の組織を設けました。保健医療、福祉の関係機関との緊密な連携のもとに新たなシステムの整備を着実に推進をしてまいります。
 まず、介護保険制度が安定的に運営されるためには、県民の理解が何よりも増して重要であると、このように考えまして、説明会の開催やパンフレットの配布など、各種の広報活動を積極的に展開をしてまいります。
 次に、この制度を運営する上で最も重要な手続となる要介護認定につきましては、すべての市町村でモデル的にこれを実施いたしまして、公正、公平に行われますように支援をいたしますとともに、介護サービス計画の作成を県内の11市町村において試行的に行いまして、保健医療、福祉のサービスが適切かつ効率的に提供できる体制を整備してまいります。
 また、在宅サービスの提供量や特別養護老人ホーム、老人保健施設の入所定員などを定める介護保険事業支援計画を平成12年度からの5カ年計画として策定をいたしまして、県民が等しくサービスを利用できるよう、介護基盤を整備していく考えでございます。
 さらに、市町村が策定をすることとなっております介護保険事業計画や保険料の設定などについて、県内の各地方振興局がきめ細かな支援を行うなど、この制度が将来にわたって安定的に運営できるよう、的確に対応していく考えでございます。
〇議長(那須川健一君) 次に、千葉浩君。
   〔25番千葉浩君登壇〕(拍手)

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