平成10年2月定例会 第13回岩手県議会定例会会議録

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〇25番(千葉浩君) 千葉浩でございます。
 私は、清和会を代表いたしまして、知事の所信表明演説及び県政の諸課題について質問をいたします。
 まず、景気動向についてお伺いいたします。
 経済企画庁は2月の月例経済報告において、我が国の景気は、家計や企業の景況感の厳しさが個人消費や設備投資に影響し景気は停滞しているという判断を示し、昨年11月以来続けてきました足踏み状態という表現を改めて、景気の後退色を強めた下方修正を行っております。
 顧みますと、我が国はこれまで、オイルショックによる経済の低迷や90年代不況などを公共投資の増額や減税、規制緩和等の景気対策を講じることなどによって乗り切ってきたところでありますが、その結果、主要先進国中最悪とまで言われる極めて多額の国債の残高を抱える財政構造をつくり上げるに至ったことは御承知のとおりであります。特に、バブル景気の崩壊後に景気の下支えのために発行され続けた大量の公債は、政府に財政構造の改革を決断させるに十分な額を残すことになりましたが、残念ながら、このような対策を幾たびとなく講じてきたにもかかわらず、景気は足踏み状態から停滞状態に後退しており、真に憂慮すべき事態に直面していると思うのであります。
 そこでお伺いをいたします。県内の景気動向について、現況をどのように認識するとともに、今後をどのように見通しているのでしょうか、知事の御所見をお伺いいたします。
 また、景気の停滞状況の中で県内の雇用はどうなっているのか、その状況についてもあわせてお伺いいたします。
 さらに、2月20日の県議会の開会日に、国の補正予算などに速やかに対応した経済対策関係補正予算が提案され、議決されたところでありますが、今般の県の経済対策予算による事業実施が県経済にどのように効果をもたらすと考えているでしょうか、お尋ねいたします。
 次に、平成10年度当初予算についてお伺いいたします。
 平成10年度の国の予算案は、財政構造改革法に従い、歳出全般について聖域を設けることなく徹底した見直しに取り組み、公共事業費の7%削減などにより一般歳出をマイナス1・3%とした厳しい内容の予算となっております。一方、地方公共団体の予算編成の指針となる平成10年度地方財政計画においても、財政構造改革を推進するため、徹底した歳出の抑制により一般歳出を前年度比1・6%のマイナスとするなど緊縮型の計画であると伺っており、このような国、地方を通ずる厳しい財政状況の中で、本県の財政状況も県債発行残高が1兆円に迫るなど、その厳しさは例外ではないものと考えております。知事は、先般の演述の中で、かつてない厳しい財政環境にはあるが、地方主権の時代を見据え、3県総後期実施計画の着実な推進と新しい時代に向けた環境整備を図るため、限られた財源の効果的な活用を図りながら、事業の重点化などにより、緊急度と優先度の高い施策を特に厳選したと述べておられます。
 そこでお伺いいたしますが、県は、予算編成に当たり、どのような点に留意し、どのような施策に重点を置いて取り組まれたのでしょうか、お聞かせ願います。
 あわせて、当初予算編成における財源の確保に当たって、後退感を強めている景気の動向や国の経済対策による2兆円減税は、県の自主財源の中で大宗をなす県税の収入に大きな影響を及ぼすことになりますが、県では県税の収入をどのように見積もり、確保するお考えでしょうか、お伺いいたします。
 次に、新しい総合計画の策定に係る県民意向の把握についてお伺いいたします。
 新しい総合計画につきましては、昨年7月に総合計画審議会に諮問されて以降、五つの小委員会を開催するとともに、今月には第1回の起草委員会を開催するなど、鋭意その策定作業に当たっていると承っております。新しい総合計画は、人々の価値観の多様化や少子・高齢化、低成長経済といった、まさに先行きが不透明な、また、厳しい社会経済情勢の中で策定しようとするものであり、その意味では非常な困難が伴うものと考えております。しかしながら、こうした不透明な時代であるからこそ、県民の意向を十分に把握し、新時代に向けて明確な戦略を持って取り組む必要があるものと存じます。県では、これまで地域デザイン会議や各種フォーラムの実施など、さまざまな手法により県民意向の把握に取り組んでおられ、現在は県民アンケートの2回目を実施中であると伺っております。
 そこでお伺いいたしますが、県が昨年9月から10月にかけて実施した第1回県民アンケート調査の結果について、県民の意向をどのように把握されたでしょうか。また、今後、この結果を計画にどのように反映させようと考えているのか、あわせてお伺いいたします。
 次に、行政執行体制の整備についてお伺いいたします。
 現在、国においては、中央省庁の再編や財政構造改革などの推進に全力で取り組んでいるところでありますが、本県においても、昨年、これからの地方分権時代にふさわしい行政体制を構築するため、保健部門と福祉部門の連携を図るとともに、土木事務所を地方振興局へ統合するなど、行政機構を再編整備し、特に地方振興局の機能強化に努めてきたものと受けとめております。今後とも県民の視点に立ち、県民の期待にこたえられる行政の推進を図るため、一層の行政改革への取り組みが必要であると考えているところであります。知事は、先の演述において、生活者主権、地域主権の視点に立ち、新しい時代に対応した機動性と効率性を兼ね備えた行財政システムを再構築していく決意を表明されたところであり、特に、行政執行体制については現場重視の地域経営の一層の徹底を図ること、地方振興局の総合性、自己完結性を高め、その機能強化を図ることなどを述べておられます。
 そこでお伺いいたしますが、新しい時代に対応した行政執行体制の整備についてどのように取り組んでいくお考えなのか、その基本的な考えをお伺いいたします。
 次に、食糧費の問題についてお伺いいたします。
 2月6日に明らかにされました平成4年度から8年度までの食糧費の執行状況の全庁調査の結果、不適切な支出として判断されたものが1、806件、金額にして1億5、043万5、000円と多額なものとなったことは、驚きとともに、議会としてチェックできなかったことに責任を痛感する次第であります。言うまでもなく食糧費は公費であり、よるところは県民の税金でありますことから、適正な執行を行わなかったことについて、県民に対し責任を明らかにすることは当然のことであります。このため、知事は、不適正支出の全額を職員に返還させ、その責任の所在を明確にするため、関係職員の処分について検討する方針を出されておりますが、まず、その具体的な考え方、時期をお示し願います。
 また、県は、今後の食糧費執行の適正化に向けて、職員の意識改革、食糧費執行要領の制定、チェック体制の充実強化、情報公開の推進の4本柱から成る改善方策を打ち出しているところであり、不適正執行の全廃に向けて動き出したことは評価し、期待するものでありますが、しかし、これで十分でありましょうか、改善方策の基本的な考え方をお伺いいたします。
 次に、米の生産調整についてお伺いいたします。
 今日の農業は、輸入農産物が増大する中で、国内においては生産調整が強化され、まさに内憂外患であります。農村は言いようのない暗雲に包まれ、国民の大切な食糧を供給するという自負も使命感も失われつつあります。農業の復権をかけた行政の支援が今ほど求められている時期はないと申し上げても過言ではありません。
 その中でも最大の関心事は、米の生産調整であります。来年度の本県の生産調整面積は全水田の3分の1にも及び、まさに3年に1回は米をつくれないということになり、稲作専業農家にとっては1年分の所得が全くないのと同じことになります。このように、今回の生産調整面積は農家にとって大変な数字でありますが、しかし現下の米事情からして避けて通れないものであり、みんなで知恵を出し、協力し合いながら、何とかして転作で所得を上げることを考えていかなければこれからの農業経営は大変なことになると危惧するものであります。私も集落に入って生産者の皆さんとこの問題について話し合う機会が多々ありますが、転作がうまく進まない理由は、労働力不足から作物をつくるのは大変だということ、そして一方では、一体何をつくればよいのか決めかねている状況にもあります。現に、水張り水田と言われる調整水田が相当の面積を占めているのもこうしたことによるものと見ております。だからこそ、こうした実態を踏まえながら、農政がしっかりした誘導策を示し、道を切り開いていかなければこの問題はいつになっても解決しないのであります。まさに生産者はかつて経験したことのない厳しい情勢の中で転作に取り組むことになりますが、知事は、この転作営農をどのように推進しようとしておられるのか、基本的考え方とその誘導策についてお伺いいたします。
 次に、金融機関への早期是正措置の導入に伴う農協に対する県の対応についてお伺いいたします。
 この早期是正措置制度は、欧米に見られる自由な金融市場を実現し、国際競争力の強化を図ることが要請されていることを背景とした金融制度の改革、いわゆる日本版ビックバンの一環として、農協を含む金融機関経営の健全性を確保するために導入されたものと承知しております。早期是正措置の導入により、金融機関の自己資本比率の割合に応じて経営改善計画の実施命令等の措置が発動され、特にその比率がゼロ%未満の場合には業務の停止命令が発動されることになると伺っております。
 本県では、地域の特性を生かした農業が各地で展開されており、その先導役を担っているのが農協であることは申すまでもありませんが、厳しい経済社会情勢の中で、営農指導事業や経済事業、信用事業等を総合的に行っている農協の中には、財務の健全化が急がれるところもあると聞いております。私は、信用事業を行う農協は、地域の金融機関として、この早期是正措置の波を受けざるを得ないものと考えております。
 そこで、この早期是正措置の導入を目前に控え、農協に対して県はどのように対応されるお考えなのかお伺いいたします。
 次に、基盤的技術産業集積活性化対策についてお伺いいたします。
 本県においては、昨年9月、全国に先駆け、特定産業集積の活性化に関する臨時措置法に基づき、北上川流域基盤的技術産業集積の活性化に関する計画の承認を得ているところであります。北上川流域地域は、これまでの積極的な企業誘致活動の展開やテクノポリス開発計画等の推進により機械金属や電気機械等の工業集積が進み、東北地域における有数の産業集積圏を形成しております。これまで我が国の経済発展を牽引してきたのは、鉄鋼、自動車、エレクトロニクスなどの基幹産業でありますが、この基幹産業を支えてきたのは、まさしく中小企業のものづくりを支える技術であります。私は、北上川流域の産業集積をさらに厚みのあるものとし、地域産業の活性化を図っていくためには、このものづくりを支える基盤的技術の集積が極めて重要であると考えております。幸い当地域においては、水沢市羽田地区を中心に約900年の歴史を有する鋳物産業が集積しており、伝統工芸品の南部鉄器に加え、近年は景観材鋳物など新たな分野にも進出しており、特に機械鋳物は売上額の約7割を占めるなど、我が国のものづくりを支える基盤的技術として、今後、その発展が大いに期待されているところであります。
 しかしながら、地域産業を取り巻く情勢は、国際競争が激化し、急速な技術革新が進むなど、まことに厳しい状況にありますので、鋳物産業の発展を図っていくためには、新製品の開発や技術革新を急ぐ必要があり、これを支援する機関の整備がより一層強く望まれております。
 そこでお伺いいたしますが、我が国のものづくりを支え、また、本県を代表する地場産業でもある鋳物産業をどのように支援されるお考えなのか、御所見をお伺いいたします。
 最後に、増田知事は、このたびの演述において、幾多の困難を乗り越える気概を持って岩手新時代の創造に取り組んでいくと力強く決意を表明されましたが、今後ともその意気を持って、ドリームランド岩手の実現に向け邁進されることを御期待申し上げまして、私の質問を終わります。
 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 千葉浩議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、県内の景気動向についてでございますが、住宅建設及び鉱工業生産は前年水準を下回って推移し、乗用車販売など個人消費も低調な動きとなってきておりまして、また、有効求人倍率も依然として低い水準で推移していることから、県内の景気動向はこのところ停滞傾向にあるものと、このように認識いたしております。また、県中小企業振興公社の商工業経営動向調査によりますと、業況判断指数は12月実績でマイナス53・3%となっているなど、県内中小企業の景況感は厳しさを増しているところでございます。
 今後の見通しにつきましては、国や県の経済対策の実施などによる県内景気への効果を期待しているところでございますが、引き続き今後の動向を注意深く見守っていく必要があるものと考えております。
 次に、県内の雇用状況についてでございますが、昨年の後半から県内の大手企業の倒産や事業縮小に伴う離職によりまして、各公共職業安定所への求職者が増加してきており、平成9年12月の新規求職申込件数は前年同月比で9・8%の増加を見たところでございます。
 一方、景気の先行き不透明感などから、新規求人数は、建設業、製造業、卸・小売業、サービス業などほとんどの業種で減少を続けておりまして、平成9年12月には前年同月比で9・3%と大幅な減少を見たところでございます。こうしたことから、本県の有効求人倍率は、平成9年5月以降低下傾向に歯止めがかからず、全国平均は上回っているところではございますが、0・79倍となっておりまして、なお県内の雇用状況は厳しいものと、このように認識しております。
 次に、さきに成立した県の経済対策予算の効果についてでございますが、今回の経済対策予算では、最近のこうした景気動向に十分配意いたしまして、国の景気対策に呼応した公共事業の追加や発注時期を平準化し、平成10年度の事業との切れ目のない予算執行を図ることとしたところでございます。
 また、厳しい経営環境にある中小企業の円滑な資金調達を促進し、その積極的な事業活動を支援するため、県単融資制度の拡充などの中小企業対策を講じたところでございます。これら事業の早期実施によりまして、県内の生産、生活両面にわたる基盤の整備促進を通じた地域経済の活性化、さらには中小企業の事業活動の円滑化が図られるものと考えているところでございます。
 次に、平成10年度予算の編成についてでございますが、本県の財政を取り巻く環境は、停滞状況にある景気の動向や国の財政構造改革の影響、さらに行財政改革と財政の健全化が急務とされている地方財政の現状などから、これまでになく厳しいものとなってきております。このため、平成10年度当初予算の編成に当たりましては、本県の行財政を内外のさまざまな変動に機敏かつ柔軟に対応できるようなシステムに改革することを基本として、その実現に向け新たな視点に立って予算編成を行ったところでございます。具体的には、県財政の将来を見据えるため、本県財政の中期見通しを策定いたしましたほか、事務事業の徹底した見直しを行うため、本県独自の評価システムの導入による歳出の縮減と合理化を図る一方で、優先度と緊急度の高い施策の重点化を図るため、窓口事務の改善などの県民サービスの向上にも配慮しながら、公共事業費を確保するとともに、住宅、下水道などの県民に身近な基盤の着実な整備などに配意をしたところでございます。
 また、新しい時代に対応した地域社会の再構築を行うために、特に環境との調和と保全、次代を担う人材の育成、地域情報化の推進、地域産業の高度化の推進という、この四つの課題に対応した施策については優先的・重点的に措置いたしましたほか、複雑多様化し、部局横断的な対応が求められております中心市街地の活性化やボランティア活動の推進などの施策については、総合的な取り組みを行ったところでございます。
 次に、平成10年度の県税収入についてでございますが、その見積もりに当たりましては、国の経済見通しの経済指標、地方財政計画における税収見込み額及び各種統計資料や県内の景気動向を勘案しながら、本県の実情に即して積算をしたものでございます。その主なものについて申し上げますと、最近の我が国経済は停滞傾向にございまして、景気に左右される法人2税で41億円余り、また消費に関連する税目で28億円余りと、それぞれ前年度を下回ると、このように見込んだところでございます。また、個人県民税においては、特別減税などの措置によりまして18億円余りの減収となるものでございます。一方、地方消費税においてはほぼ平年度化されることなどから、79億円余りの増収が見込まれるところでございます。このように増減要素がそれぞれあるものの、県税全体といたしましては1、270億円余、前年度当初対比において0・1%の増と、このように見込んだものでございます。
 次に、昨年の9月から10月にかけて実施をいたしました県民アンケートの結果についてでございます。
 まず、日常生活の中で大切にしたいことと、このような設問に対しましては、8割を超える方々が、人と人との触れ合いを挙げておりまして、それぞれにとっての豊かさとは何かと、これにつきましては、直接的な経済的豊かさより、心身の健康や生きがいを持った生活を重視する傾向が見られますほか、岩手県のよいところといたしましては、8割の方が恵まれた自然を挙げ、これに次いで、豊かな人情や文化・伝統を挙げる方々が多いと、このような結果となっております。このことから、多くの県民が、生活に身近な視点から心の豊かさや触れ合いを求めているということ、本県の特性や資源を積極的に評価していることなどが伺われ、今後新しい計画に盛り込む施策への示唆が得られたものと感じております。
 また、一方で、働く環境や物価、交通の便などに物足りなさも感じている傾向が読み取れるなど、さまざまな解決すべき課題なども浮き彫りになったところでございまして、現在実施中の県民アンケートにより、さらにきめ細かな意向把握に努めているところでございます。これらの調査結果につきましては、総合計画審議会における審議や全庁的な検討に活用いたしまして、県民の皆様の夢や期待を新しい計画に反映させていきたいと考えております。
 次に、新しい時代に対応した行政執行体制についてでございますが、これからの右肩上がりでない経済社会に的確に対応していくためには、簡素で効率的な行政体制を確立して、官民の役割分担を明確にしていく必要がございます。さらに、地方分権が進み、いわば地方主権、地域主権、生活者主権のこのような時代を迎え、行財政運営に当たっては、みずからの責任のもと、政策の効果を常に点検をして不断に改善を加えていくことがますます重要となってきているところでございます。したがって今後は、いわゆるPLAN・DO・SEEと、こういう三つの機能、PLANは企画立案、DOは実施する、SEEはこれを評価すると、このことでございますが、この機能の高度化、特に、行いました施策の評価体制の確立を図って、それを次の政策に反映させていく、そうした循環したシステムづくりを進めていく必要があると、このように考えております。
 地方振興局と本庁の関係につきましては、両者の役割分担を明確にして、地方振興局はこれまで以上に総合的事業推進機能を重視した体制とする一方で、本庁は、全県的な政策の企画立案と評価機能をより重視した体制としていきたい、このように私は考えております。とりわけ地方振興局については、大幅な権限委譲や地域経営を担うにふさわしい職員の重点的配置などを通じまして、名実ともに地域振興の拠点としての位置づけを確立していく考えでございます。
 次に、食糧費の不適正な支出に係る返還の具体的な考え方、時期についてでございますが、今回の全庁調査の結果、不適正な支出と判断されたものにつきましては、管理職の協力のもとに返還することで現在検討を進めておりまして、不適正な支出とされた全額に法定利息相当額を付して、3月末までに一括して県に返還することとしたいと考えております。
 また、職員の処分につきましては、責任の所在を明らかにするために現在調査中でございまして、3月中には処分を行いたいと考えております。
 次に、食糧費執行の適正化に向けた改善方策の基本的考え方についてでございますが、私は、公金は県民から預かった貴重な税金に基づくものであることから、その執行に当たっては、最小の経費で最大の効果を上げるよう常に意識しながら、公正かつ厳正に対応する必要があると、このように考えております。特に、職員は全体の奉仕者として職務を公正、誠実に執行しなければならない基本的な姿勢と、また、常に納税者である県民の立場に立って考え、行動するという意識を全職員に改めて徹底していく考えでございます。
 また、食糧費執行要領の徹底、チェック体制の充実強化、そして情報公開の一層の推進など、改善方策を着実に推進をして、県政に対する県民の信頼の回復に全力で取り組んでいく考えでございます。
 次に、転作営農の推進に当たっての基本的な考え方とその誘導策についてでございますが、今日の厳しい米環境のもとで農業経営の安定を図るためには、転作田の高度利用を図りながら、所得形成力の高い転作営農を確立することが極めて重要な課題であると考えております。このため先般、生産調整対策の推進方針を策定いたしました。野菜、花卉などの園芸作物や、麦・大豆などのいわゆる土地利用型作物の生産を拡大するとともに、転作田の団地化や生産の組織化によりまして、担い手を中心とした効率的な生産の仕組みづくりを促進することといたしております。
 また、転作作物については、生産性の向上や収量の安定を図る必要がございますので、地域ごとの重点作物や栽培技術、経営資産、さらには優良事例などを内容とする転作技術マニュアルを作成いたしまして、指導関係者に配布をいたしましたところでございます。作物選択から流通販売、経営管理に至る総合的な観点から、きめ細かな指導を実施していく考えでございます。この推進に当たりましては、今後国の緊急生産調整対策の2カ年を重点期間としてとらえまして、関係機関、団体が緊密な連携を図りながら、新たに全県的な水田営農確立運動を展開いたしまして、農家の皆さんの主体的、実践的な取り組みを支援していく考えでございます。
 次に、金融機関への早期是正措置の導入に伴います農協に対する県の対応についてでございますが、自己資本比率が4%を下回る農協につきましては、これまで不健全資産の回収など、できる限りの経営改善努力を行うように指導してきたところでございます。これらの農協が本年度末までの経営改善によっても、自己資本比率がゼロパーセントを超えるものの4%を下回る場合には、自己資本の充実に係る計画の提出及び実行などを求めることになるものでございます。
 また、自己資本比率がマイナスとなる農協につきましては、農協系統として当該農協の徹底した自己能力などを前提に経営再建を援助し、自己資本比率のマイナスからの脱却を図る事業を予定しているところでございます。県といたしましても、農協系統の事業が農協の信用不安を回避し地域農業の発展を図る上で必要なものであると認識をしておりまして、該当の農協からこの事業に基づく経営改善計画が提出された場合は、改善計画の実行などを求めることになると、このように考えております。この早期是正措置の導入を契機といたしまして、農協が早期に経営の健全化を図り、地域農業の中核的推進母体としての役割を一層発揮するよう、農協系統と連携をし鋭意指導していく考えでございます。
 次に、基盤的技術産業集積活性化対策についてでございますが、北上川流域基盤的技術産業集積の活性化に関する計画におきましては、北上川流域地域に集積をしております電気機械器具製造業、輸送用機械器具製造業などを支える部品、金型、試作品などを製造する、いわゆるものづくりを担う基盤的技術産業の質的、量的拡大を図っていくことといたしております。本地域に集積をしております基盤的技術産業の一つでございます鋳物産業の振興につきましては、現在まで、県工業技術センター水沢分室を設置いたしまして技術指導などを行ってきているところでございますが、急速な技術革新が進展する中で新たな拠点施設の整備が求められているものと、このように考えております。産業集積の活性化に関する計画におきましては、新たな鋳物産業振興のための拠点施設として、水沢鋳物技術交流センター--これは仮称でございますけれども、このようなセンターの整備が位置づけられているところでございまして、県でも、この工業技術センターとの密接な連携のもと、地元産業界などの意向を十分に尊重いたしまして、その整備促進を積極的に支援していく考えでございます。
   
〇議長(那須川健一君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時30分 散 会

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