平成10年2月定例会 第13回岩手県議会定例会会議録

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〇21番(谷藤裕明君) 谷藤裕明でございます。自由民主党を代表いたしまして質問させていただきます。
 これまでの100年から新しい100年へと、時代は大きな転換期を迎えております。それは、明治維新以来の国家主導を改め、地方分権の強い流れの中で、国のお仕着せではなく、また都会の価値観に傾斜するのでもない地域の比較優位性を生かし、地域住民の自由闊達な発想や創意工夫をエネルギーとして、我が県土の未来を主体的に求めていくことのこれからの100年であろうと存じております。厳しい財政環境の今であるからこそ、知事は、これからの100年に向けた県民の具体的な目標を提示し、県民に希望を与えるときではないかと存ずるのであります。若者が、地域に対する誇りとともに夢と希望を持って汗を流すことができるよう、また、高齢者の方々が生きがいを持って安心して生活できるよう、今何をなすべきかを具体的に示すときであると存じます。残念ながら、このたびの知事演述は総花的で、その点明らかではなく、これからの100年に対する意欲が感じられなかったのであります。改めて、これからの100年に対する時代認識と目標について明らかにしていただきたいと存じます。
 以下、平成10年度当初予算にかかわる幾つかの課題についてお伺いいたします。
 まず、次世代の発展基盤の維持をもたらす社会資本の整備についてであります。
 平成10年度当初予算は数十年ぶりのマイナス予算となり、中でも公共事業を含む投資的事業については、およそ580億円、16・3%の大幅な減となっております。これにより、安心で豊かな社会、健全で活力のある経済を実現するための社会資本整備が停滞するのではないかとの懸念があります。次世代の発展基盤の維持をもたらす県土保全、自然環境保全、さらには定住条件の整備等に資する分野については、財政環境がいかに厳しくとも、重点的かつ積極的な投資が必要であり、それは、今後の高齢化時代における貯蓄率や潜在成長力の低下を考えるなら、今の時期をおいてほかにないと思うのであります。確かに、財政改革により後世代の借金を減らしその負担を軽減することにはなるとしても、結果として、社会資本整備が立ちおくれ、次世代に社会資本という遺産を残すことが不可能なのではないか、いかがでしょうか。
 私どもの祖先は、汗水を流し遺産を残したのであり、我々の現在の繁栄はかかる祖先の方々の血と汗の上にあることを想起すべきと存じます。財政改革は喫緊の課題であるとはいえ、決して歳出を削減すればよいというものではなく、本県の将来のあるべき社会経済の姿を見据えながら、やるべきはやるという姿勢で取り組んでいく必要があると存じますが、次世代に必要な社会資本整備について当初予算にどう配慮したのかお伺いいたします。
 次に、景気対策への配慮についてであります。
 県内の労働力需給バランスの目安となる最近の有効求人倍率は0・79まで落ち込み、ここ10年で最低を記録したとのことであり、とりわけ建設業での落ち込みが顕著であり、これは公共投資削減による求人数の減少によるものとのことであります。申し上げるまでもなく、本県は全就業者数に占める建設業の比率が全国の他団体に比較して高く、公共事業依存度が高いという実態にあり、これは本県の産業基盤が比較的脆弱なこと等を背景とするものであり、公共事業の削減の影響は切実なるものがあると存じます。県財政においては、地域経済の活性化や振興発展に寄与する役割がもとよりあると存じますことから、目下の景気低迷の局面にあってこそ積極的な歳出予算を組むべきではなかったかと思われますが、今回の緊縮予算において景気対策にはどのように配慮されたのか、明らかにしていただきたいと存じます。
 次に、高齢者福祉対策についてお伺いいたします。
 来るべき高齢化社会の中で、県民のだれもが生涯を通じて心豊かに、安心して、活力を持って暮らしていける福祉社会実現のために、今こそ高齢者福祉対策に本格的に取り組んでまいる必要があると存じます。とりわけ平成12年度から導入される介護保険制度については、その施行に向けた万全な準備が必要であり、保険あって介護なしの事態は避けなければならないのであります。介護サービスには、それらを支えるマンパワーの確保や施設整備など、財政面も含めた実効ある手当てが必要であると存じますが、その対応はいかがでしょうか。
 また、実施主体は市町村であることから、財政力の差によって対応が異なり、供給サービス水準に格差が生じることがないよう、近隣市町村相互の連携も視野に入れた広域的な取り組みや、さらには、介護保険制度の円滑な運営を図るため、県立病院を初めとする医療機関と保健、福祉を担当する市町村との連携を深めることが一層必要となってくると存じますが、県としての対応はいかがでしょうか、あわせてお伺いをいたします。
 次に、少子化対策の一つとしての育児支援対策についてであります。
 近年、就労する女性の方々の増加に伴い、保育需要が増大し多様化するとともに、家族構成の変化に伴う家庭の育児機能が低下し、家族の形態の多様化も顕著となってきております。家庭を築き、子供を産み、育てることに喜びや楽しみを感じることのできる社会づくりに向けて努力していくことが、今日最大の課題の一つであろうと存じております。地域事情により、また就業の形態により、多様な保育ニーズがあると存じます。私は、それぞれにきめ細かに対応できるような育児支援対策としての保育施策の充実に向けた県民の期待もますます大きくなっていると存じますが、その対応はどうなっているのかお伺いをいたします。
   〔議長退席、副議長着席〕
 次に、盛岡都市圏に係る諸課題の幾つかについてお伺いいたします。
 県都盛岡市が名実ともに北東北の拠点都市としての役割を果たし得るために、都市機能の充実強化に努めてきたところでありますが、この県都の底上げは、北東北はもちろん、県全体の発展をもたらすという観点からも、今後とも積極的に推進していくべきものと存じます。知事演述では、北東北連携という視点で積極的な交流を打ち出しておられますが、秋田新幹線の開業や東北新幹線の盛岡以北延伸の進捗に伴い、これまでの交通上の優位性が変質する中にあって、北東北における当該都市の都市機能、役割を今後どのように位置づけ対応するのか、まずお伺いをしたいと存じます。
 第2に、盛岡都市圏の将来を左右するプロジェクトについてでありますが、公共事業費抑制のもと、盛岡南新都市開発整備事業の今後の発展は厳しいものが予想されますが、その見通しについてお伺いをいたしたいと存じます。
 さらには、盛岡駅西口地区の県有地活用については、これまで鋭意検討を重ねてきたと伺っておりますが、その基本構想はどうなっているのか、あわせてお伺いいたします。
 第3に、都市機能を容易に享受し、ゆとりと潤いに満ちた生活を確保する観点から、都市内骨格道路の整備は喫緊の課題であると存じますが、県が構想する都心、市街地、外周の3本の環状道路と8方向への放射道路からなるネットワークの整備の見通しはいかがでしょうか。
 第4に、巨大ショッピングモールの進出が取りざたされている中にあって、中心市街地の活性化が国家の急務であると存じます。今後とも地域経済を支える拠点として、都市圏の核として、商業、サービス業、都市型産業等の集積を図り、魅力ある事業環境の創出を図る中心市街地の活性化が要請されるところでありますが、県として今後どう取り組まれるのかお伺いをいたします。
 次に、21世紀を担う人づくりについてお伺いいたします。
 いつ、いかなる時代においても、国づくりのもとは人づくりにありと、常に教育は最重要課題であり、すべての県民にかかわる問題であると存じます。現在の教育の現場における登校拒否、いじめ、ナイフを使った殺傷事件など、児童生徒の問題行動はますます深刻化しつつあり、憂慮すべき事態に陥っております。知事演述においては、指導の充実や相談体制の整備に努めることが掲げられましたが、これだけで知事が言う岩手ならではの特色ある人づくりが期待できるのでしょうか。まず必要なのは、信頼の心、この回復であります。これからの教育には、人間としてどう生きるべきかという哲学や、ともに生きていく上での感謝する心を基本に据えた倫理観といったものをまず家庭で教えはぐくみ、そして地域社会、学校で取り組んでいく、いわゆる人間形成の教育であり、また実践的な道徳教育を最重要課題として明確に位置づけ、積極的に取り組んでいくことであると存じます。
 また、人づくりのもう一つの側面は、健全なる身体の形成であります。子供たちの体力、運動能力は、調査を開始した昭和39年以来、年々低下傾向を示し、また小児成人病も年々増加しているということでありますが、一連の問題行動はこのことと無縁ではなく、極めて密接な関連性があるのではないかと思わざるを得ないのであります。全国民に多くの夢と感動をもたらした冬季オリンピック長野大会、開催中のいわて銀河国体、そして、来年いよいよ全国高校総合体育大会本県開催も控え、今こそスポーツへの関心をさらに高め、スポーツによる健全な身体を形成し、健全なる精神を涵養すべきときであると存じます。激しい競技の中でも、ルールを守り、チームワークを尊び、礼儀を重んじるなど、まさにスポーツを通じた思い切った教育こそ、これからの激動の時代を生き抜くたくましい人づくりにつながるものと存じますがいかがでしょうか、知事の御所見を賜りたいと存じます。
 次に、本県の産業振興策についてお伺いいたします。
 本県における人口は、地域の活力を推しはかるものとされる転出、転入を差し引いた社会動態では、引き続き県外への転出超過をたどっており、さらには、全国平均を上回る高齢化率に加え、少子化が進んでおり、結果として、本県は将来においてかなりの人口が減少するのではないかと憂慮いたしております。活力ある地域社会を形成するためには、若者が夢と希望を持って県内に仕事を求め、地域に定着できるよう、雇用機会を創出し、あるいは拡充することが不可欠であると存じます。しかしながら、近年の経済のグローバル化、ボーダーレス化の進展に伴い、今まさに地域こそが直接海外諸国との競争に直面している事態にあると言ってよいのであります。今後は、本県の比較優位である地域の蓄積や特性を踏まえ、今こそ長期的な視点に立った産業振興への独自の戦略を提示しなければならないものと存じますがいかがでしょうか、知事の御所見を賜りたいと存じます。
 次に、地方振興局の権限強化についてでございます。
 今や、地方公共団体がその実情に応じて地方の責任と裁量と負担のもとに、個性ある行政を積極的に展開していく地方分権の推進は時代の要請であると存じます。とりわけ市町村につきましては、住民に最も身近な行政を担う基本的な地方公共団体として、自主的かつ自立的にその施策が展開できるように、権限の充実を図っていくことが重要であると存じます。このような中にあって知事は、地方振興局が責任のある地域経営を行うことができるよう、権限委譲を一層進め、いわゆる分社化を推進されようとしております。このことは、本来市町村への分権が究極的な地方分権の姿であるとすれば、この流れにむしろ逆行することとなり、さらには分社化は、本社のみを意識し、相互の無用な競争が激化し、地域事情を顧みない事態がもたらされることになりはしないか懸念されるところであります。むしろ、市町村への権限委譲を進めるべきであり、あわせて県の関与等の廃止や緩和を進めていくことこそ、知事の目指す真の現場重視の地域経営につながるのではないかと存じますがいかがでしょうか、知事の御所見を賜りたいと存じます。
 最後に、食糧費の不適正支出問題についてお伺いいたします。
 このたびの総額1億5、000万円余に上る不適正支出問題につきましては、いかなる事情があったにせよ、その費用が税金によって賄われていることを考えますと、極めて残念なことであり、二度とあってはならないことであると存じます。知事は陳謝され、即刻不適正支出額の返還と関係職員の処分を約束されたところであります。しかしながら、最も早く県民に示されるべきは、職員の猛省を促し、今後公費支出の原点に立って業務を遂行させていくということは当然であるとして、単なる対症療法的な再発防止策ではなく、このたびの問題を引き起こすに至った原因や背景を徹底究明し明らかにすることが、抜本的な改善策ではなかったかと存じます。そのことが県民の信頼をいち早く回復する道であると考えるからでありますがいかがでしょうか、知事の御所見を賜りたいと存じます。
 県行政を担う職員の一人一人が、一刻も早く県民の信頼を回復し、21世紀に向けた県土づくりに気概と誇りを持って果敢に取り組んでいかれることを県民の1人として強く念願いたしまして、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 谷藤裕明議員の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、当初予算についてでございますが、国、地方を通じ財政の健全化を図ることが現下の最重要課題とされている中にありまして、本県の財政も、県債残高が増加をし、公債費などのいわゆる義務的経費が年々増嵩してきておりますことから、県の行財政システムを、財政の健全性を確保しながら内外のさまざまな変動に機敏かつ柔軟に対応できるようなものに改革していくことが必要である、私はこのように考えております。このため、平成10年度予算は、その改革を実行する予算と位置づけをいたしまして、編成作業に当たりましては、あらかじめ中期財政見通しを策定いたしまして県財政の今後の推移をとらえるとともに、財政の健全化に向けた歳出規模の抑制のためにスクラップ・アンド・ビルドの原則の徹底を図ることといたしました。既存の事務事業の評価制度の導入によります見直しを行います一方で、優先度と緊急度の高い施策の重点的な推進に配意をしたところでございます。
 社会資本整備につきましては、人・物・情報の交流の活発化や、安全な生活の確保、医療、福祉の充実などに資するなど、県民の快適で健康的な日常生活や、また生産活動を支える活力ある地域づくりのための重要な基盤となりますことから、国の予算、そして地方財政計画の伸びを上回る予算額を確保したところでございまして、特に、住宅、街路、下水道などの県民生活に身近な基盤の整備につきましては、優先的、重点的な配分を行ったところでございます。
 次に、景気対策についてでございますが、公共事業は、事業の実施によりまして直接的に地域経済の活性化に資するとともに、県民の生産、生活両面にわたる社会資本整備の促進が図られるものでございまして、特に、21世紀への橋渡しとなる今の時期に着実に整備をしていくことが肝要であると、このように考えております。このため、平成10年度の予算におきましては、国の財政構造改革の推進による公共事業費の縮減という厳しい状況にはございましたけれども、前年当初予算対比で3・6%の減にとどめまして、国の公共事業費の7・8%減、地方財政計画の10・4%減を上回る予算額を確保したところでございます。
 また、経済対策は、当初予算による年間を通じた措置はもとより、そのときどきの経済情勢を踏まえた国の対策にも呼応しながら機動的に対応していくことも必要でありますことから、今議会の開会日に補正予算を提案し、御先議をいただいたところでございます。この補正予算によります公共事業の追加や、いわゆるゼロ国債、ゼロ県債の設定により発注時期の平準化が図られまして、当初予算に計上いたしております公共事業との切れ目のない予算の執行とが相まって、県内経済の活性化が図られることを期待しているところでございます。
 次に、介護保険制度を円滑に導入するための体制整備についてでございますが、まず、介護を支えるマンパワーにつきましては、新たに必要となる介護支援専門員の養成や未就業のホームヘルパーを積極的に活用するための研修などを実施いたしまして、人材の確保を図っていく考えでございます。デイサービスセンター、老人保健施設などの介護基盤につきましては、県の高齢者保健福祉計画の達成に向けて整備を促進いたしますとともに、平成10年度から介護保険事業支援計画の策定に着手をしまして、広域圏ごとに県民が必要とするサービスの量を確保してまいります。
 また、財政基盤の安定化やサービス水準の向上を図るために、介護保険事業を広域連合の制度などにより共同化しようとする市町村につきましては、市町村間の調整など、必要な支援をしてまいります。
 さらに、県立病院などのかかりつけ医は、要介護認定や介護サービス計画の作成などにおける重要な役割を担うことから、かかりつけ医と市町村との連携や研修などを積極的に支援してまいる考えでございます。
 次に、育児支援対策についてでございますが、女性の社会進出や少子化が進む現在、就労と育児の両立を支援する保育施策の充実は極めて重要であると、このように私は認識をしております。このため、本県では平成10年度から、保護者が病気や育児疲れなどの場合に乳幼児を保育所で預かる一時的な保育を、1人からでも利用できるように改正いたしますとともに、延長保育につきましては、保護者の経済的負担の軽減を図る補助事業を創設することとしております。
 一方、国におきましても、乳児保育や延長保育をどこの保育所でも実施できるよう改正することとしておりまして、これらとあわせまして多様なニーズに即したきめ細かな保育施策の展開に努めてまいります。
 次に、北東北における盛岡都市圏の位置づけについてでございますが、この圏域は、北東北3県における人・物・情報の交流拠点として、21世紀における北東北発展の先導的かつ中核的な役割を担っていくべき地域であると考えております。そのためには、特色ある歴史・文化など、この圏域のすぐれた個性を生かして、県と、そして市町村、民間がそれぞれの役割を担いながら、一体となりまして産業、教育・文化、医療・福祉、情報・サービスなど、各分野において北東北全体を視野に入れた高次都市機能の集積を図っていくことが重要でございます。県では、工業技術センターや県立大学、美術館、マルチメディア創造センターなどの整備や、都市内骨格道路などの道路網の整備によりまして、高次都市機能充実の一翼を担いますとともに、民間などにおける交通、情報通信ネットワークの整備を促進することによりまして、都市機能の集積がもたらすさまざまな効果が県内外に広く及ぶように努めていく考えでございます。
 次に、盛岡南新都市開発整備事業の今後の見通しについてでございますが、この事業は、事業主体となっております地域振興整備公団において、昨年一部仮換地指定を行い、本格的に基盤整備に取り組んだところでございます。県では、本地区の開発に重要な役割を担うこととなります、仮称でございますが、中央大橋の建設を推進するとともに、計画どおり事業の進展が図られるよう、これを積極的に支援をしていく考えでございます。公共事業の抑制という厳しい環境が一方にございますが、今後とも地域振興整備公団や盛岡市と緊密な連携を図りながら、事業全体の推進に鋭意努力をしていく考えでございます。
 次に、盛岡駅西口地区にございます県有地の活用についてでございますが、当用地は、県民全体の貴重な財産として将来にわたって有効に活用したいと、このように考えておりまして、このため、人々の価値観や生活様式の多様化などの時代の変化を的確に見据えながら、これからの県民生活や行政の役割を展望し、今後求められる機能を積極的に導入したいと考えております。施設の検討に当たりましては、県民に身近な行政サービスや県民生活情報、さまざまな学習機会などの多様なサービスの提供、青少年から高齢者まで、世代を越え、地域や職域を越えた県民の幅広い連携・交流の促進、地域づくり活動やボランティア活動を初め、新しい岩手の創造に向けたさまざまな活動への支援などの観点に留意をいたしますとともに、これをセンター的な機能といたしまして、県内各地とのネットワーク化が促進されるように特に留意をいたしまして、今年度末の基本構想の取りまとめに向けて現在鋭意取り組んでいるところでございます。
 次に、盛岡都市圏の都市内骨格道路についてでございますが、県都盛岡が本県の中枢として、また北東北の拠点としての機能を高めるためには、さきに述べましたとおり、高次都市機能の整備とあわせまして道路網の整備が重要であると、このように認識をしております。このため、円滑な交通、機能的な都市活動の確保と都市環境の改善を図るために、3環状8放射道路を計画しておりまして、現在、国道455号北山地内の整備と、また国道46号西バイパスなどの事業の促進や、平成10年度には、これも仮称でございますが、下開運橋の新規要望を行うなど、鋭意取り組んでいるところでございます。県といたしましては、今後とも国や関係市町村と連携を密にし、事業の重点化を図りつつ、事業費の確保に努め、道路網の整備を図っていく考えでございます。
 次に、中心市街地の活性化についてでございますが、消費者のニーズの多様化を初め、モータリゼーションの進展や住宅地の郊外への展開、さらには郊外型大型店の増加などを背景に、盛岡都市圏を初め、県内各地において中心市街地の空洞化に対する懸念が増大しているところでございます。このため、県では平成10年度、中心市街地の総合的な活性化を推進するため、庁内各部の連絡会議を設置、さらに一層横断的な連携を強化しながら、農林水産業と商店街の連携による産直市の開催や、市街地再開発事業による商店街の基盤整備などの施策を展開してまいります。
 盛岡都市圏におきましては、商店街の狭い用地を最大限に活用するタワー式駐車場整備や、ソフト面でも、ファクスを利用した高齢者などへの共同宅配システムの創設など、商店街の活性化や優良建築物等整備事業による町並み整備などの支援を行うこととしております。
 さらには現在、通商産業省や建設省など、国の11省庁が連携して準備を進めております中心市街地活性化のための商店街等活性化先進事業や、賑わいの道づくり事業、文化のまちづくり事業などの施策の積極的な活用に向けまして、盛岡市、盛岡商工会議所、地元商店街団体など、関係者の創意工夫に基づく意欲的な取り組みを誘導してまいりたいと考えております。
 次に、21世紀を担う人づくりについてでございますが、私は、これからの新しい岩手をつくり、動かす人材を育成する施策の一つとして、スポーツを通じたたくましい人づくりを積極的に推進していくことが大切であると考えております。スポーツは、人間の心と体の健全な発達を促すとともに、明るく、豊かで、活力に満ちた生きがいのある社会の形成に寄与するものと、このように考えております。特にも、21世紀を担う子供たちにとって、体を鍛えるということはもとより、相手を思いやる心や感動する心をはぐくむなど、人間性豊かな人格を形成する上でスポーツの果たす役割は大きいものがある、私はこのように考えております。本県の恵まれた自然やゆとりある生活空間、さらには温かい県民性を生かしながら、子供からお年寄りまで、県民一人一人がライフステージに応じて身近な地域社会の中でスポーツに親しむことのできる活動の場や指導者の育成など、スポーツ環境の整備を積極的に推進してまいりたいと考えております。
 次に、産業振興策についてでございますが、本県においては、産業経済活動の基盤となる社会資本の整備充実に努めるとともに、地域の特性に応じた収益性の高い農林水産業、市場形成力の高い工業、魅力ある商業集積など、既存の産業の高度化や高付加価値化に努めているところでございます。今後は、これらの取り組みに加えて、先端科学技術や情報通信技術の活用によりまして、産業の構造転換や国際競争力のある産業の育成、環境や医療・福祉などに関連した新たな産業の創出が図られる環境の整備に努めてまいりたいと考えております。特に、これからの産業振興策の企画・立案に当たりましては、長期的視点に立って明確な目標設定を行いますとともに、その実行に際しては、地域の特性を最大限に生かした施策を積極的に展開をし、その成果を着実に次の段階へつなげていくことが必要であると考えておりまして、県ではこのような観点から、産業の各分野において多様な施策に取り組んでいくこととしておりまして、また、次の新しい総合計画にこの内容を的確に反映させていきたいと考えております。
 次に、地方振興局の権限強化についてでございますが、私は、住民に身近な行政は地方が担い、地方がみずからの責任において決定をしていく、いわゆる地域主権でございますが、この地域主権であるべきであると考えておりまして、住民に最も身近な自治体である市町村の役割が、これまで以上にますます重要になってくるものと認識をしております。こうした認識から、県と市町村は、地域づくりを進めるパートナーとして適切な機能分担と支援協力を基本とし、市町村に対して期待をされている役割に見合う権限の委譲を引き続き相互の理解のもとに進めていく考えでございます。
 また、地方振興局につきましては、生活者主権、地域主権の視点に立って、地域のことは現地が責任を持って決定をすると、このような考え方から、市町村の特色ある施策展開や広域行政の推進を積極的に支援できるように、一層の機能強化を図っていく考えでございます。
 今後におきましても、市町村と地方振興局が、その役割を相互に尊重し合いながら連携と交流を深め、地域づくりによりよい効果が相乗的に上がるように努めていく考えでございます。
 次に、食糧費執行の適正化に向けた改善策についてでございますが、このたびの不適正な処理が行われた要因を挙げますと、まず第1に、安易に前例を踏襲するなど、職員一人一人の公費の支出に対する基本的な認識が希薄になっていたこと、第2に、食糧費の執行について詳細な事務処理の方針や基準などがなかったこと、第3に、食糧費の執行に対する関係機関のチェック体制が十分でなかったこと、第4に、管理監督者が不適正なこの処理を防止できなかったこと、このように考えております。食糧費執行の適正化に向けた取り組みにつきましては、今回の不適正支出に係る責任の所在を明らかにしていく過程で、その原因や背景をさらに可能な限り究明をいたしまして適切に対応をいたしますとともに、さきに策定をしておりました改善方策を着実に推進いたしまして、一日も早く県政に対する県民の皆様の信頼が回復するように努力してまいりたいと考えております。
〇議長(那須川健一君) 次に、佐藤啓二君。
   〔48番佐藤啓二君登壇〕(拍手)

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