平成10年2月定例会 第13回岩手県議会定例会会議録

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〇1番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第1号1997年度岩手県一般会計補正予算について質疑いたします。
 第1に、本日提案の補正予算は政府の経済対策に基づくものでありますが、213億円余の債務負担行為を含め、402億6、261万円余の大型補正であります。この大型補正予算を県議会の議案調査の日程をとることなく即日で先決採決を行うことは議会の審議を軽視するものではないでしょうか。次回の本会議は1週間後の27日にありますが、なぜ提案当日に先決採決を求めるのでありましょうか。具体的な緊急性、重要性についてお聞きいたします。
 第2に、補正予算の公共事業分についてお聞きします。
 公共事業費152億円のうち約9割、88・9%は農政部にかかわるUR対策の公共事業であります。農業対策で今一番求められているのは、米暴落対策、減反強制対策と考えますけれども、今回のような公共土木事業では農政のゆがみを拡大するものではないでしょうか。97年度の農政部予算における公共土木事業の比率はどうなるでしょうか。
 中山間地域総合整備事業費として28億円余が計上されていますが、2億円を超える主な地域の事業の内容と、農家負担1戸当たりを含め、示していただきたいと思います。
 地域農業基盤確立農業構造改善事業費の中には、藤沢町における総合交流ターミナル施設への助成も計上されています。藤沢町では既にこれまでの国営事業で深刻な財政危機状況にあるようですけれども、今回の事業の見通しはどうでしょうか。既に30人規模の宿泊施設もありますが、その状況と新たな施設建設の見通しをどう見ているのでしょうか。
 第3に、経済対策の債務負担行為について、一般的に公共事業の平準化に私は賛成であります。しかし、今回計上された内容を見ると、その緊急性、重要性に問題を感じる事業が少なくありません。ふるさと林道緊急整備事業には6億8、000万円措置されていますが、6カ所の路線を見ると、豪雪、積雪地帯ですぐに工事にかかれないところも見られます。広域基幹林道の場合、3カ所の路線で措置されていますが、夏油湯田線は絶滅危惧種のイヌワシ、クマタカなどの環境調査が行われているところであります。なぜ工事を急ぐのでありましょうか。予算措置をした緊急性、重要性について示していただきたい。
 第4に、1年限りの特別減税に対応して臨時福祉給付金支給事業が1億4、870万円計上されています。支給人員、支給額はどうなっているでしょうか。昨年の9兆円負担増、いわゆる消費税の増税、医療費の値上げ分から見ればどれだけの補てんになるでしょうか。
 最後に、従来型の経済対策、公共事業偏重のやり方では、実際に不況打開の力となるどころか、深刻な財政破綻、借金財政をもたらしたと言うべきものではないでしょうか。
 97年度末の県債残高はどうなるでしょうか。
 来年度予算をマイナス3・8%としていますが、年度末の駆け込み公共事業では、その新年度予算の考え方に反するのではないでしょうか。
 公共事業の大半が来年度繰り越しになると思いますが、どうでしょうか。96年度の2月補正分の場合の実績を含め、示していただきたいと思います。
 以上、質疑といたします。
   〔総務部長大隅英喜君登壇〕
〇総務部長(大隅英喜君) まず、補正予算を2月定例県議会の開会日に提案したことについてでありますが、今般の国の補正予算は、当面の経済情勢に配慮し、金融システムの安定化対策と所得税減税の実施に加えて、補正予算により経済を下支えし、景気の回復を図るために平成10年度予算に先立って審議、可決されたものであります。したがいまして、県といたしましても、国の補正予算に呼応した事業については早期に事業化が図られるよう、通常の2月補正予算に先駆けて御審議をいただくとともに、早期に議決をいただきたく御提案申し上げたものであります。
 次に、経済対策は財政破綻、借金財政をもたらしたのではないかというお尋ねについてでありますが、本日提案した補正予算は、国の景気対策に呼応し、公共事業を追加補正するとともに、発注時期を平準化し、来年度事業との切れ目のない予算執行を図るいわゆるゼロ国債、ゼロ県債の設定、さらには、中小企業の資金供給を円滑にするための中小企業対策を講じることを主な内容としております。これらの事業の実施によりまして、県内の生産、生活両面にわたる基盤の整備、促進を通じた地域経済の活性化の効果と中小企業の資金調達を容易にすることによる事業活動の円滑化が期待されるものと考えております。
 なお、今回の国の補正予算に伴い発行される地方債は、後年度において元利償還の80%が交付税措置される地方債でありますことから、将来の財政運営に大きな影響を及ぼすというものではないというふうに考えております。
 次に、平成9年度末の県債残高は、本日提案いたしました補正予算によりまして9、165億5、600万円余となるものと見込んでおります。
 次に、来年度予算をマイナス3・8%としている考えに反しないかというお尋ねについてでありますが、今回の国の補正予算は、財政構造改革を着実に推進する中で、当面の経済情勢に最大限の配慮を行ったものであるとされておりますことから、県におきましても、国の経済対策に速やかに呼応するとともに、加えて県単独のゼロ県債の設定や中小企業対策を講じることによりまして相乗的な効果が発揮されることを期待しておるものであります。
 次に、繰り越しについてでありますが、昨年度の場合は、同様に2月定例県議会において御先議いただいた補正予算のうち、平成9年度に繰り越した額は268億4、300万円余となっておりますが、工事の発注時期の平準化に資したものと存じております。
 今後の予算執行に当たりましては、事業の促進に最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
   〔農政部長中村盛一君登壇〕
〇農政部長(中村盛一君) まず、平成9年度の農政部予算に占める農業土木事業の比率についてでありますが、62・6%となっております。
 次に、中山間地域総合整備事業についてでありますが、補正額が2億円を超える地区は5地区でございます。
 沢内村の大野地区は、圃場整備22ヘクタールで農家負担額は1、500万円、1戸当たりの平均では71万2、000円、宮守村の鱒沢地区は、圃場整備25ヘクタールで農家負担額は3、000万円、1戸当たりの平均では26万5、000円、一戸町の釜石地区は、農地開発15ヘクタールで農家負担額は1、150万円、1戸当たりの平均では252万4、000円、江刺市の袖野地区は、圃場整備15ヘクタールと1、000メートルの農道整備で農家負担額は1、000万円、1戸当たりの平均では68万2、000円、野田村の玉川地区は、集落道などの整備のため農家負担はありません。
 なお、当該事業につきましての負担割合は、国55%、県30%、市町村10%で、農家負担は5%となっており、高率補助の事業であります。
 次に、藤沢町における総合交流ターミナル施設についてでありますが、藤沢町は、館ケ森地域を中心に陶芸品や転作ソバ、リンゴ、畜産加工品、ハーブなどの特産品あるいは史跡など、この地域にある特徴的な資源を活用し、近年、都市住民との交流が活発化している地域であります。当地域での入り込み客数は年間約20万人に達しておると見られますが、季節によって多少の変動はあるものの、現在ある施設は宿泊機能のみの施設であり、今後一層の都市交流を図る上で、現施設では需要に応じ切れない状況にあると聞いております。このため、町といたしましては、この際、都市交流の総合拠点となる展示直売施設や農村体験機能もあわせた滞在型の施設として整備し、滞在型交流人口の一層の拡大に努めながら、あわせて農畜産物の販売拡大や就業の場の拡大などを通じ、地域の活性化を図ろうとするものであります。県といたしましては、このような取り組みが地域活力再生につながるよう期待しているところであります。
   〔林業水産部長中村陽兒君登壇〕
〇林業水産部長(中村陽兒君) まず、ふるさと林道緊急整備事業についてでありますが、本事業は、来年度早期に工事に着手し、工事の平準化を図るため、本年度内に契約の締結を行い、事業効果の早期発現を図ろうとするものであります。
 また、広域基幹林道夏油湯田線についてでありますが、このたびの補正予算に基づいて実施しようとする箇所は湯田町側の既設林道の改良区間であり、この区間につきましては、地元関係者を含め、特に問題はないとされているところから平成6年度から事業を実施しており、引き続き行おうとするものであります。
   〔保健福祉部長緒方剛君登壇〕
〇保健福祉部長(緒方剛君) 臨時福祉特別給付金の県内の対象人員及び支給額等についてでありますが、支給対象者数は約17万9、000人、1人当たりの支給額は、給付金の種類ごとに、臨時福祉給付金及び臨時特別給付金については1万円、臨時介護福祉資金については3万円。これらの支給総額は19億1、000万円と見込んでおります。
 また、生活被保護者及び社会福祉施設入所者等を対象とした一時金の支給が予定されておりますが、その対象者数はおよそ8、000人で、支給額は1人当たり1万円、支給総額は約8、000万円と見込んでおります。
 なお、臨時福祉特別給付金に関係する所要額は、国においては約1、500億円を見込んでいると聞いているところであります。
〇議長(那須川健一君) これをもって質疑を終結いたします。
 ただいま議題となっております議案第1号から議案第3号までは、お手元に配布いたしてあります委員会付託区分表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。
   
〔参照〕
委員会付託区分表
 (第13回県議会定例会平成10年2月20日)
総務委員会
1 議案第1号中
   第1条第1項
   第1条第2項第1表中
    歳入 各款
   第3条
環境福祉委員会
1 議案第1号中
   第1条第2項第1表中
    歳出 第3款、第4款
商工文教委員会
1 議案第1号中
   第1条第2項第1表中
    歳出 第7款
農林水産委員会
1 議案第1号中
   第1条第2項第1表中
    歳出 第6款
   第2条第2表中
    1 追加中 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19
    2 変更中 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10
2 議案第2号
3 議案第3号
土木委員会
1 議案第1号中
   第1条第2項第1表中
    歳出 第8款
   第2条第2表中
    1 追加中 20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46
    2 変更中 11、12、13、14、15、16
   
〇議長(那須川健一君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時25分 休 憩
   
出席議員(46名)
1番 斉  藤     信 君
2番 上  澤  義  主 君
3番 佐 々 木  一  榮 君
4番 黄 川 田     徹 君
5番 小 野 寺     好 君
6番 佐 々 木     博 君
7番 中 屋 敷     十 君
8番 大 久 保     豊 君
9番 佐 々 木  大  和 君
10番 浅  井  東 兵 衛 君
11番 千  葉     伝 君
12番 伊  沢  昌  弘 君
13番 須  藤  敏  昭 君
14番 藤  原  泰 次 郎 君
15番 田  村  正  彦 君
16番 伊  藤  勢  至 君
17番 高  橋  賢  輔 君
18番 瀬  川     滋 君
19番 渡  辺  幸  貫 君
20番 長 谷 川  忠  久 君
21番 谷  藤  裕  明 君
22番 水  上  信  宏 君
23番 船  越  賢 太 郎 君
24番 久 保 田  晴  弘 君
25番 千  葉     浩 君
26番 折  居  明  広 君
27番 三  河  喜 美 男 君
28番 村  上  恵  三 君
29番 村  田  柴  太 君
30番 藤  原  良  信 君
31番 吉  田  洋  治 君
33番 工  藤     篤 君
34番 菅  原  温  士 君
35番 菊  池     勲 君
36番 小  原  宣  良 君
37番 樋  下  正  光 君
38番 及  川  幸  郎 君
39番 那 須 川  健  一 君
42番 山  内  隆  文 君
45番 佐 々 木  俊  夫 君
46番 山  崎  門 一 郎 君
47番 菊  池  雄  光 君
48番 佐  藤  啓  二 君
49番 堀  口 治五右衛門 君
50番 吉  田     秀 君
51番 藤  原  哲  夫 君
欠席議員(1名)
43番 佐  藤  正  春 君
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
午後3時14分 再 開
〇議長(那須川健一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
   
   報 告
〇議長(那須川健一君) 各委員長からそれぞれ委員会報告書が提出されておりますが、後刻詳細に報告を求めますので、朗読を省略いたします。
   
日程第9 議案第1号平成9年度岩手県一般会計補正予算(第4号)から日程第11 議案第3号農業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてまで(続)
〇議長(那須川健一君) 日程第9、議案第1号から日程第11、議案第3号までの議事を継続いたします。
 各案件に関し、委員長の報告を求めます。吉田総務委員長。
   〔総務委員長吉田洋治君登壇〕(拍手)

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