平成10年9月定例会 第15回岩手県議会定例会会議録

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〇24番(久保田晴弘君) 小原議員の質問のうち、自衛隊と米軍との合同訓練及び廃棄物の有効利用推進対策に関連して質問をいたします。
 まず、合同訓練に関することについてであります。
 これまで数回にわたって行われてきた日米合同訓練演習に際して、米軍機が花巻空港を利用してきたと聞き及んでおります。これまでに米軍が米軍機をもって花巻空港を使用した状況について、この際、明らかにしてほしいと思います。米軍が花巻空港を利用することについて、本県の基本的なスタンスは、これを容認する姿勢であったのかどうか、その経過と結果について、この際、報告を願います。
 今般計画されております合同訓練に際して、米軍が花巻空港を使用する場合の対応についてお伺いをしますが、日米防衛ガイドラインが構想しておりますところの、いわゆる地方自治体の協力義務の枠組みにされることを、私は既成事実としてこれを認められる可能性があると、このように危惧するものであります。米軍が恣意的に使用できる空港になりかねません。花巻市民の一人として、また、市民の感情として看過できない問題であり、あえて質問するものであります。米軍機を使用させないことをまず原則に踏まえて、毅然とした対応を求めるものであります。
 次の関連は、廃棄物の有効利用推進対策についてであります。
 私は、県政調査会の課題提起者として、廃棄物の現状と対策を研究課題として3回にわたり報告を行ってきました。本年1月、第14回県政調査会において提言を取りまとめさせていただきました。そのことを踏まえて質問するものであります。廃棄物処理の方法には、焼却、埋め立ての方式が法的にも認められた一般的な方法として取り入れられてきました。しかし、これからの廃棄物処理は、これまでの発想を転換する必要があります。限りなく再利用し、有効利用を促進し、リサイクルする循環型社会を創造する時代に転換しなければならないと思います。その意味で、本県が本年度に予算計上しているゼロ・エミッション構想推進事業は、時宜を得た施策として評価するものであります。私は、その構想、プランが県民の前に提起される内容を注目しておる者であります。廃棄物処理の方法を焼却の時代から有効活用の時代へと、環境保全の対策が転換されようとしている方向にあるとき、県下水道公社は、これまで排出汚泥を岩手県リサイクル緑化協会会員であるI企業に搬入し肥料資源としていたものを、平成11年から一部焼却するとの方向にあると聞き及んでいます。なぜ焼却の方法を選択しなければならないのか。汚泥処理の有効活用に対する基本的認識をお聞かせいただきたいと思います。
 私は、調査会の提言の中で、ごみゼロへの道の手始めには、まず下水道などから排出される汚泥の有効利用を促進する必要性を述べてまいりました。特に、有機汚泥の肥料化を図るべきを強調してきたところであります。既にそれを実践しているI企業の企業活動を紹介しました。今後、汚水処理共同管理基本計画が確実に進展していくことになりますと、下水道整備が促進され、これに比例して汚泥の排出も増大をしてまいります。こうした動向に企業が敏感に反応し、市場参加し、新たな企業意欲を発揮することを期待するものでありますが、既存のI企業の場合も含め、廃棄物の有効利用を積極的に行う企業、団体に対し、県として応分な支援をしていく姿勢があってしかるべきだと考えます。環境に配慮し、資源として有効利用するためには、用地の取得、設備投資、資源の安定供給の確保、人材の確保、生産、流通の安定と市場の確保、市場競争と需給関係の調整や重金属有害物質の除去、経営基盤の安定など、企業本来の体質に加え、廃棄物処理施設は他の企業の立地とは異なる条件不利が伴います。すなわち、公害を発生させないことや作業環境が悪臭があって厳しいこと、作業が危険、汚い、きついなどの負荷を余儀なくされ、不利な条件を克服しなければできないのであります。企業立地が困難な特殊性を持っておる関係から、環境保全に貢献する企業の育成を考える場合、県は関係部局間の協議機関を設け、可能な限り公共関与の余地を広め、環境保全に取り組む企業、団体の育成に積極的に当たることが肝要だと考えます。ここでは下水道汚泥の適正処理にかかわってのみ取り上げましたが、汚泥の発生から肥料としての活用を含めた汚泥処理のあり方と、環境保全に取り組む企業の育成について、環境保全の視点から当局の所見をお伺いし、私の質問を終わります。
   〔土木部長大石幸君登壇〕
〇土木部長(大石幸君) 米軍の花巻空港の使用の状況と県の対応等についてでありますが、平成7年2月と3月の日米共同訓練に際して、米軍から県に対して米軍のVIPの輸送のための日米地位協定に基づく使用の通告があり、延べ6日間11回の使用があったところであります。
 なお、県は、花巻空港が民間飛行場であることから、人命にかかわると認められる緊急やむを得ない場合を除き空港の使用を控えるよう米軍に対して要請したところであります。
 また、本年6月及び9月に会議出席のための使用の通告があり、延べ4日間で4回の使用があったところであります。
 次に、計画されている日米合同訓練に際し、米軍が花巻空港を使用する場合の対応についてでありますが、日米地位協定第5条によれば、米軍の航空機で、米国によって、米国のために、または米国の管理のもとに公の目的で運航されるものは日本国の飛行場に出入りすることができることとなっております。この地位協定は日米2国間の取り決めであることから、県管理の飛行場であっても、使用の通告があれば当該出入りを受け入れざるを得ないものと承知しております。
 なお、当該空港使用があった場合は、民間航空機への影響等に十分配慮し、適切に空港を管理してまいる所存であります。
 次に、一般下水道処理に関してお答えいたします。
 一般的に下水汚泥の処理方法としては、汚泥を脱水しケーキ状にした上、廃棄物の処理及び清掃に関する法律による産業廃棄物処理施設にそのまま埋め立てる方法、焼却してその灰を産業廃棄物処理施設に埋め立てる方法、焼却した灰をれんがやセメントなどの建設資材に活用する方法、もみ殻やおがくずなどの補助材料とともに発酵させてコンポストに活用する方法の、大別して四つの方法があります。近年は、下水汚泥につきましても貴重な資源として有効活用を推進し、循環型社会の形成を目指す観点から、焼却して灰を建設資材とする方法とコンポスト化する方法が全国的な傾向となっております。しかし、下水汚泥には、微量のカドミウム、砒素、水銀などの重金属が含まれていることから、農作物の肥料として利用することについては、重金属の土壤への蓄積などが懸念されることから、下水汚泥に含有される重金属の低濃度化対策等が全国的な検討課題とされております。
 このような状況から、本県の流域下水道の汚泥につきましては、循環型社会の実現を目指して有効活用を図ることを前提にし、かつ、より確実な環境対策という観点から焼却し、その灰を秩父小野田セメントの大船渡工場において建設資材に活用することとしているものであります。具体的には、岩手県下水道公社に委託し汚泥処理を行っておりますが、都南浄化センターから発生する汚泥についてはすべて焼却しており、北上、水沢、一関の各浄化センターについては、焼却炉を建設するまでの間、暫定的にコンポスト化してまいりましたが、本年度末をもって北上浄化センター内に焼却炉が完成いたしますことから、平成11年度から焼却を行うこととしているものでございます。
 なお、現在の農業用コンポストは、食品工場等から排出される汚泥を主原料としていると聞いております。
 今後とも、有効活用と環境保全を基本として、下水汚泥の適切な処理、処分に努めてまいりたいと思っています。
   〔生活環境部長村上勝治君登壇〕
〇生活環境部長(村上勝治君) まず、汚泥の肥料としての活用を含めた処理のあり方についてでありますが、汚泥の再生利用を促進するためには考慮すべき点がございます。まず、汚泥を適正に再生製品とする技術があること、それから、法律による安全基準の充足はもとより、人の健康や生活環境に対する再生製品の安全性が確認されていること、それから、再生製品に対する安定的な需要が存在すること、そして、経済的に再生利用事業が成り立つことなどが挙げられると思います。これらに関するさまざまな情報を収集、提供するなどにより、今後、関係部局と連携をとりながら、資源としての適正な利用の促進に努めてまいりたいと考えております。
 また、環境保全に取り組む企業の育成につきましては、これまで申し述べたような情報提供などによるほか、国、県等の既存の中小企業向けの融資制度の活用を図るなど、可能な支援を行ってまいりたいと考えております。
〇議長(那須川健一君) 次に、高橋賢輔君。
   〔18番高橋賢輔君登壇〕(拍手)

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