平成10年9月定例会 第15回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇36番(小原宣良君) 社会民主党の小原宣良でございます。
 まず初めに、8月26日から9月1日にかけての大雨・洪水による被害は、亡くなられた方お一人を含め大きな被害となりました。また、9月3日の大地震による被害、さらに、台風5号による被害と、この間被害を受けられた皆様に心からお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復旧を願う次第でございます。
 県当局におかれても、鋭意御努力中とは存じますが、適切、迅速な対応が図られますよう強く要望いたします。
 私ども社会民主党会派といたしましても、去る9月7日、一関、千厩両地方振興局管内、9月14日には、雫石町の被災現場を視察、調査させていただきました。県関係者の御協力をいただいたことに感謝を申し上げます。
 さて、これら被害状況の把握と対策についてであります。
 質問の第1は、被害を受けた農作物に対する農業共済金の早期支払いと適正な評価についてであります。
 特にも水稲の場合、冠水、倒伏による被害は、収穫後に減収、または、品質低下の実態が明らかになることから、共済金支払いに当たって、農家に不満が残る場合が見受けられますので、農家に対し、被害申告等適切な指導を徹底していただきたいと思います。農業共済金の早期支払いを含め、現状の対応と見通しについてお伺いをいたします。
 質問の第2は、河川改修と内水処理対策についてであります。
 北上川の築堤、護岸整備は逐次進められているところでありますが、今回の大雨で大きな被害のあった川崎村、東山町などでは、支川の護岸、築堤整備のおくれなどから大きな被害をもたらしたようにも思われましたが、千厩地方振興局管内における砂鉄川等支川の整備状況と今後の見通しについてお伺いいたします。
 あわせて、内水による被害防止のためには、処理ポンプが威力を発揮しているのでありますが、当該地域を含め、必要と認められる地域で、未整備箇所をどのように把握しておられるのか、お伺いをいたします。
 質問の第3は、本県の内陸北部を震源とする地震と岩手山火山活動との関係と対策についてであります。
 今回の地震と岩手山の火山活動との関係について、火山噴火予知連絡会の井田会長は、地震が起きたために噴火に至るわけではない。しかし、100%影響がなかったかどうか、もう少し推移を見る必要があるとの見解が報じられ、依然、慎重な観測体制が必要であるとしているところであります。県としてはどのようにお考えでしょうか。火山活動が終息することを願いつつ、お伺いするものであります。
 また、引き続き、火山観測体制の強化には万全を期すべきでありますが、さきの地震を受けて、さらに強化されたものがあれば、お知らせ願います。
 次に、陸上自衛隊とアメリカ陸軍との合同訓練の実施についてお伺いいたします。
 仄聞するところ、11月初めから中旬にかけて約2週間にわたり、自衛隊岩手山演習場において、陸上自衛隊と米陸軍により合同訓練が行われるとのことであります。実施部隊は、陸上自衛隊が第9師団第5普通科連隊、米軍はハワイ配属の歩兵大隊のようであります。訓練内容は、共同作戦における相互連携、それに基づく迫撃砲、対戦車火器等の射撃訓練のようであります。このことについては、当然、県は情報を得ていると思いますので、この合同訓練実施計画の内容をお知らせください。
 また、兵員、弾薬等の移動においては、花巻空港、県道等、県施設を使用することが考えられますが、事前の協議はあったのでしょうか。
 時あたかも、岩手県の内陸北部を震源とする地震の発生とその対策のさなか、岩手山火山活動が依然活発化しており、最新機器材の配備等による観測体制強化を図っているさなか、地域住民にハザードマップを配布して避難に際しての諸準備を啓発しているさなか、スキー場やペンション経営への打撃など、まさに今、県民の神経は岩手山に集中していると言っても過言ではない状況下にあります。もし仮にこの演習が行われるとするならば、まさに、岩手県民の神経を総逆なでするものと言わなければなりません。知事は、直ちに岩手山演習場における日米合同演習の中止を求める声明を発し、防衛庁並びに在日米軍に対し中止するよう強く求めるべきと考えますが、知事の御見解を賜りたいと存じます。
 次に、財政対策についてお伺いいたします。
 国は、バブル経済の破綻を受けて、1992年--平成4年から、95年--平成7年まで、6回にわたり総額約66兆円の経済対策を実施してきました。国の今回の総合経済対策は、公共事業、減税等で約16兆6、000億円であり、合わせて約80兆円に上る額となるものであります。この間、地方自治体は、地方単独事業や補助事業などにより、国の総合経済対策に係る大方の受け皿としての役割を担ってきたものと思います。このことにより、勢い、財源を地方債に頼ることとなり、地方自治体の公債費比率は増嵩し、財政硬直化が確実に進行してきたのであります。この傾向は、今回の国の総合経済対策でも、ほぼ同様であろうと思われます。
 質問の第1は、今回の国の総合経済対策においてとられた約4兆6、000億円の減税のうち、地方税減収分約5、800億円は、全額地方債発行により穴埋めすることとなるようでありますが、本県分はいかほどになると見積もっておられるでしょうか。
 第2は、財政の弾力性を示す指標である公債費負担比率の状況についてでありますが、報道によりますと、警戒ラインとされる15%以上の団体が31道県、危険ラインとされる20%以上が6県に上ると報じられておりますが、本県におけるここ数年の推移と今後の見通しについてお伺いいたします。
 第3は、こうした地方財政をも動員しての景気対策の中にあるとはいえ、事業種目の選択には十分な配慮を要するものと考えますが、どのような基準のもとに事業の選択に当たっておられるのか、お伺いいたします。国は、いざとなれば法律を変えても国債発行はできるのでありますが、地方財政の破綻はたちまちにして、塗炭の苦しみを味わうこととなるように思えてならないのであります。
 次に、林業の振興と営林署廃止問題についてお伺いいたします。
 申し上げるまでもなく、林業は、林産物の生産の場であると同時に、多面的、公益的機能を有する極めて重要な役割を担っているものであります。しかし、この担い手である農山村は、高齢化と後継者難によって、集落の存続そのものが大変困難な状況に立ち至っており、林業振興とともに、農山村ぐるみの活性化対策は急務となっているところであります。さきに行いました平成11年度対政府統一要望においても、林野庁に対し、林業の適切な整備の推進について強く要望したところであります。また、林野庁は、7月13日、国会の審議もないまま、国有林野事業の抜本的改革なるものを一方的にマスコミ発表いたしました。申し上げましたとおり、森林、林業、林産業の活性化、さらに、農山村の活性化に向け鋭意努力をしているさなか、営林署の廃止は地域に与える影響が極めて大きく、過疎化傾向に一層拍車がかかるのではないかと憂慮されているところであります。かねてから、民有林、国有林を一体的に管理する方法として流域管理システムがとられてきました。これは、県の振興局と地元営林署がタイアップする中で岩手の森林を管理しようとするものではなかったでしょうか。県が設定しております6林業圏には、現在1ないし3の営林署が配置されております。しかし、林野庁案によりますと五つの流域に一つの森林管理署を置くにとどまっております。いわば、現在、事務所、センターを含めた17署を5管理署、2支署とするものであります。これを県が設定しております林業圏で見ますと、内陸中部林業圏、これは花巻、北上、遠野振興局管内に当たりますが、ここには森林管理署は存在しないこととなります。これでは県が実施してきた流域管理システムの定着に逆行するものであり、県の設定している林業圏から見ても、振興局の範囲から見ても、広大な県土、森林を有する実情から見ても、この営林署廃止案は到底認めがたいものであります。こうした状況のもとで県は、今後の林業振興をどう展望しているのか。
 また、今回発表された営林署廃止案を再検討するよう、林野庁に対し強く求めるべきと考えますが、御見解を賜りたいと存じます。
 次に、農政問題についてお伺いいたします。
 質問の第1は、国の新しい農業基本法づくりへの対応についてであります。
 新しい農業基本法づくりを議論してまいりました食料・農業・農村基本問題調査会は、9月17日、最終答申を首相に提出したようであります。県においては、昨年4月以降、農政部長を座長とする新しい基本法に対する対策会議を設置し、鋭意検討が続けられ、国に対しても具体的な提言を行ってきたと聞いております。国は、この最終答申を受けていよいよ法案づくりへと進むのでありますが、日本の総合食糧供給基地を標榜する本県にとっても、農政推進上大きな節目を迎えることになるだけに、重大な関心を持って対応されているものと存じます。県は、この間、本県が持つ立地特性をも踏まえて国に提言を行ってきたと存じますので、そのポイントについてお知らせいただきたいと思います。
 また、意欲ある担い手の確保育成の一つとして認定農業者制度がありますが、本県の実態はどうなっているでしょうか。市町村単位にそれぞれ支援の実態は異なるようでありますが、県としても積極的な支援体制を確立すべきと考えますが、今後の取り組み方針を含めてお示しをいただきたいと存じます。
 質問の第2は、北上山系開発後の負債問題とその後の支援策についてであります。
 北上山系開発は、畜産を中心とした地域振興の拠点整備を目的として、昭和50年に事業着手し、昭和62年に完了を見たものであります。しかし、入植農家においては、乳価の低迷、牛肉輸入自由化など、入植者の経営努力の範囲をはるかに超える経営環境の悪化により、今日においても多額の負債を抱えるに至り、償還金の返済に苦慮しているところであります。県の大型プロジェクト事業として開発された経緯から見ても、県はしっかりとしたフォローアップ体制のもとに、強力な支援策を講ずべきものと考えますが、現状はどうなっているでしょうか。今後の対応方針を含めてお伺いする次第であります。
 次に、自然環境の保護、保全についてお伺いいたします。
 このことにつきましては、3県総におきましても重要な位置づけをなしている課題であり、また、現在策定作業中の新しい県総合計画においても、自然と共生し、循環を基調とする社会の実現を目指すとして、これからの岩手が目指す地域社会の姿の一つとして重要な柱となっている課題であります。ことし2月の定例県議会において増田知事は、今年度--平成10年度を環境創造元年と位置づけたところであり、私どもはこのことを高く評価し、今後の施策展開に大きな期待を寄せるものであります。
 質問の第1は、自然環境保全指針の策定状況についてであります。
 この事業は、3県総の中で県単独事業として位置づけられたものであります。しばらくの間、資料収集などの準備があり、平成8年度から事業化され、いよいよ今年度が最終年度となりました。県民とともに本県のすぐれた自然を保護、保全し、現在と将来の世代が真に共有できるものにしたいとの思いから、再三にわたり御質問申し上げてまいりました。改めてお伺いいたしますが、これまでの取り組み状況、そして立派な自然環境保全指針の発表をいつごろと予定しておられるか、お伺いいたします。
 質問の第2は、早池峰登山車両交通緩和対策の実施状況についてであります。
 近年、多くの登山者が訪れると同時に、登山口付近の路肩に駐車するマイカーなどによって貴重な植物が踏み荒らされ、また、交通の妨げとなるなど、改善策が求められていたものでありますが、県は、ことし7月11日から8月16日にかけて、早池峰山へのマイカーの乗り入れ規制を実施したところであります。県当局、県警察本部、地元自治体を初め、関係者の御努力に敬意を表する次第であります。対策としては、規制区間のシャトルバス運行が大変有効的であったようであります。一方、東京方面など、遠くから来た観光バスは登山口まで直行し、待機するなど、一部に課題を残したとも聞いております。確かに観光バスはマイカーではないのかもしれませんが、規制の趣旨からすれば、登山者を乗せた観光バスについても規制の対象としてよいのではないでしょうか。また、規制期間は13日間と短期間でありましたが、規制期間の見直しなど、さまざまな反省点もあったものと存じますので、事業継続に向け一層改善に努力いただきたいと存じます。今回のマイカー乗り入れ規制を実施しての登山者の反応、また、今後に向けて改善すべき点などについて、お知らせいただきたいと思います。
 次に、奥地産業開発道路、いわゆる奥産道問題についてお伺いいたします。
 このほど、一般県道雫石東八幡平線道路検討委員会は、県土木部長に対し、今後の道路建設のあり方について提言書を提出いたしました。内容は、地域住民、利用者の側や、関係自治体、観光団体等からの工事継続への強い要望のあることをも十分踏まえ、残り約3・1キロメートル区間の工事推進に際し、検討すべき課題を提言しております。例えば、自然環境、風致、景観保全及び動物への配慮を重視し、亜高山帯の貴重なアオモリトドマツ群落への影響を最小限とするルートの変更、もしくはトンネル区間の拡張、地すべり、崩壊等の地盤変動に対して、利用者に不安感を与えないような確実な土木的安全対策、これまで整備を行った区間について、災害等の観点からの緊急的な保全工事の実施などとなっております。9月3日に発生した岩手山南西地震などを見ますと、まさに予見性に富んだ指摘と言うことができます。結果として、同提言書は、以上のことを総合的に勘案し、本事業は、一時休止を含め、慎重に対処されることが望ましいとしております。このように、本地域には、自然、風致の厳正な保全が必要な国立公園特別地域が含まれていることを考慮すれば、自然への将来的な影響の惹起防止に十分配慮が必要であるとの趣旨は、重く受けとめるべきであります。また、自然の劣化防止は、将来にわたるすぐれた観光資源の確保につながるものであります。よって、私は、当路線に係る残余区間の工事は中止すべきものと考えますが、御見解を賜りたいと存じます。
 同時に、この際、沢内村道安ケ沢線に係る環境影響調査と今後の工事のあり方についてお伺いいたします。
 この道路は、沢内村と秋田県太田町を結ぶ路線で、昭和47年度に奥産道路の指定を受け、秋田県側は昭和48年度、岩手県側は昭和50年度から沢内村が事業を着手し、昭和55年度から県代行事業として進めているものであります。現在、岩手県側は、和賀川源流部を西側に越え、極めて急峻な地帯に入っております。この一帯は、環境庁の自然環境保全基礎調査において、特定植物群落和賀岳のブナ林のAランクに選定されており、また、青森営林局は、奥羽山脈縦断自然樹林帯として設定するなど、森林の生態系のより効果的な保全に資することを目的としている地域であります。県は、奥産道、沢内村道安ケ沢線環境影響調査委員会を設置し、鋭意調査中でありますが、現状はどのようになっているでしょうか。
 また、環境影響調査と相まって、今後の工事のあり方についてでありますが、県代行事業としては、もっと優先度の高い、例えば、東側幹線道路整備があるのではないでしょうか。この際、沢内村の意向を確認しつつ、秋田県と協議に入ってはいかがかと考えるものでありますが、御見解を賜りたいと存じます。
 次に、環境問題にかかわり廃棄物の有効利用推進対策についてお伺いいたします。
 この廃棄物の有効利用を推進する環境保全対策は、期するところ、資源循環型社会を実現するための施策目標であると考えます。知事が申されたとおり、環境創造元年と位置づけた本年度の施策には、環境の調和と保全に関する事業が盛り込まれております。このうち、産業廃棄物の半分以上を占める、いわゆる汚泥処理の有効活用の状況と、汚泥の適正処理の推進方策について、ゼロ・エミッションの推進の視点をも含めてお示しいただきたいと存じます。
 次に、知事は、女性登用について積極的に推進しておられますが、消防士への女性登用についてお伺いいたします。
 近年、医療の高度化とも相まって、消防における救急出動が多くなっているようであり、救急救命士を含む救急隊員の役割は極めて大きく、地域住民から高い評価を得ているところであります。ところで、この救急救命士は、本県においては全部男性であると思われます。患者には当然女性の方もおられるわけでありますから、女性の救急救命士も必要ではないかとの声も聞こえてくるのであります。また、救急救命士以外の消防士についても、効果的なポジションがあるのではないでしょうか。婦人警察官も大活躍の時代であり、また、将来の女性救急救命士の育成のためにも、女性消防士の登用を積極的に進める必要があると存じますが、いかがでしょうか。他県の状況を含め知事の御所見を賜りたいと存じます。
 次に、教育問題についてお伺いいたします。
 質問の第1は、中高一貫教育についてであります。
 学校教育法の一部を改正する法律の成立を受け、来年4月から現行の中学校、高等学校の制度に加え、子供や保護者が中高一貫教育をも選択できるとされたようであります。この制度の長所として、子供一人一人の能力、適性、興味、関心を、よりよく伸ばすことができる。また、ゆとりを持った教育ができる。とも言われているようであります。現在の中学3年課程、高校3年課程ではこのことがなぜできないのか。普通高校、農業、工業、商業、水産と各高校が存在する中で、選択の幅はそれなりに確保されているのではないでしょうか。なぜ中高6年制とすることによって能力や適性などが伸び、ゆとりある教育が可能となるのか。私は率直に申し上げてよく理解できません。ただ、私なりに感じるのは、地域が持つ特性が魅力的で、その魅力にマッチした特徴が生かし切れるスタイルの学校なら、子供たちも納得いく学校生活になるのではないかと思ったりもいたします。ぜひ教育長より御教示を賜りたいと存じます。
 また、この中高一貫教育を実施に移すに際して、本県においてはどのような検討すべき事項があるとお考えか、お伺いいたします。
 質問の第2は、インターハイ実施に向けた諸条件の整備についてであります。
 全国高等学校総合体育大会岩手大会も、いよいよ来年8月開催となりました。この間、諸準備に先頭に立って御努力いただいております県教育委員会に対し、心から敬意を表する次第であります。
 最初に、大会施設整備の現状でありますが、ほぼ予定どおり進んでいると思いますが、その準備状況をお知らせください。
 次に、学校現場の声としてよく聞くことがありますので、次の点について、この際、お伺いいたしたいと思います。
 1、インターハイ開催に当たって、教職員、生徒の動員等、現場にかかる負担の現状や計画を早目に示し、同時に、学校現場の要望や意見を十分聞いていただきたい。
 2、競技運営責任者になっている先生の勤務校に常勤講師を配置してほしい。その配置期間は、事後処理等から、来年9月までとしてほしい。
 3、総合開会式のマスゲームや大会の補助員として多くの生徒がかかわることから、例えば、開会式当日を出校日とし、夏期休業日を1日延ばすなど、生徒たちが積極的に大会運営に参加できるような環境づくりを行ってほしいというものであります。大会成功に向けては県民一丸となった協力体制は不可欠でありますが、主役である生徒を初め、学校現場に対し、ぜひ御配慮をいただきたいと思います。
 以上で本席からの質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 小原宣良議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、陸上自衛隊とアメリカ陸軍との共同訓練についてでございますが、実施計画の内容は、本年の11月2日から同月14日まで、岩手山演習場及び岩手駐屯地におきまして、陸上自衛隊第9師団のうち、青森市に駐屯しております第5普通科連隊と、そして、アメリカ陸軍第25軽歩兵師団の歩兵大隊が、それぞれの指揮系統に従いまして、共同して作戦を実施する場合におきます相互連携要領により実際に訓練することを目的として実施するものと、このように聞いているところでございます。
 訓練内容につきましては、陸上自衛隊が岩手山演習場で通常実施しております迫撃砲、対戦車火器などの射撃訓練と同程度で実施するとのことでございますが、兵員などの移動方法につきましては検討中であるということでございます。
 県では、岩手山の火山活動に対応するため岩手県災害警戒本部を本年6月24日から設置しておりまして、常時、情報収集や監視を行っておりますほか、岩手山東側の火山防災マップの作成及びそれに伴います防災訓練の実施準備、さらには、9月3日に発生いたしました岩手県内陸北部の地震災害に係ります復旧対策の実施など、地域住民の安全の確保のため、鋭意さまざまな防災対策を講じているところでございます。こうした中で日米共同訓練が行われますことは、地域住民の状況を考えますと複雑な気持ちを抱くものでございます。しかしながら、日米共同訓練は、日米両国間で合意し、適法に成立いたしました条約に基づき実施されるものでございますので、県では、この共同訓練によりまして地域住民の日常生活や安全に大きな支障を来すことのないよう、十分配慮しながら訓練を実施されたい旨国に要請していきたいと、このように考えております。
 次に、消防士への女性の登用についてでございますが、21世紀に向けまして、豊かで安心できる経済社会を実現するためには、一人一人の個性が尊重され、その持てる能力に応じて社会の中でさまざまな役割を有し、意欲的に社会に参加することができる公正な機会が保障された男女共同参画社会の形成が強く求められているところでございます。このような状況の中で、女性が消防士に採用され、その持てる能力を十分に発揮することは大変有意義なものと、このように考えております。
 平成10年4月1日現在、全国におきましては、37の都道府県におきまして計1、054名、東北におきましては、本県と山形県を除いた4県で17名の女性が消防職員として採用されておりまして、救急業務などに活躍しているところでございます。
 本県でも、御指摘の女性消防職員としての救急救命士などの必要性や、さきに申し上げました男女共同参画社会の形成の趣旨を実現するために、今後、消防の一部事務組合などと協議をするなど、その実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いいたします。
   〔農政部長佐藤徳兵衛君登壇〕
〇農政部長(佐藤徳兵衛君) まず、農業共済金の早期支払いと適正な評価についてでありますが、今般の大雨・洪水等による農作物被害に係る共済金の支払いについては、損害評価等の事務を迅速に進め、水稲については12月中旬を目途に、また、他の作物についても早期に共済金が支払われるよう農業共済組合を指導しているところであります。
 また、品質低下米が広範囲で発生した場合には、品質低下分を減収量に加算する水稲共済の特例措置がありますので、この措置の本県への適用についても、本年産米の品質の状況を十分見きわめながら適切に対応していくとともに、被害申告等についての農家への適切な指導を初め、適正に損害評価を実施するよう農業共済組合を指導してまいる考えであります。
 次に、新しい農業基本法の制定に向けての国への提言についてでありますが、県におきましては、生産者、消費者、関係団体など県内各界各層の意見を踏まえて、国とその諮問機関である食料・農業・農村基本問題調査会に対して各般の提言を行ってきたところであります。その主なものは、担い手が意欲を持って農業に取り組んでいけるよう、食料・農業・農村の持つ役割や主要農産物の生産目標の明確化、認定農業者への支援の強化、中山間地域への特別な支援、農業・農村の有する多面的な機能についての国民合意の形成促進などでありますが、調査会の最終答申においては、本県の要望につきましておおむねその趣旨が盛り込まれているものと受けとめております。
 次に、認定農業者の実態と支援策についてでありますが、8月末現在の認定農業者は138の法人を含む4、978人で、営農類型別に見ますと、稲作主体が55%、畜産が17%、園芸が12%となっております。本県の農業構造を強固にしていくためには、地域農業の中心となる担い手として、こうした認定農業者を積極的に育成、確保していくことが極めて重要な課題であります。このため、農地保有合理化事業や農用地利用集積促進対策事業等を活用し、認定農業者への農地の利用集積を加速するとともに、新いわて農業再編総合対策事業やリース事業等による機械、施設の整備、さらには、低利な制度資金の融通など施策の重点的な配置を進めるほか、市町村経営改善支援センターが行う経営改善に関するきめ細かな助言、指導や認定農業者相互の研さん活動を促進するなど、今後ともハード、ソフト両面にわたり積極的に支援してまいる考えであります。
 次に、北上山系入植農家の現状と今後の対応についてでありますが、現在、営農している農家は15戸で、これを経営別に見ますと、酪農経営13戸、肉牛経営1戸、野菜経営1戸となっております。御案内のように、これらの農家に対しましては、平成7年度に北上山系入植農家経営安定緊急対策事業を創設し農家負債の軽減に努めてきたところであり、また、山系営農アドバイザーを委嘱し、個々の農家の経営課題について具体的に現地指導に当たってきたところであります。その結果、それぞれの農家の経営努力や飼養技術の改善と相まって生産乳量や乳質等が向上し、入植農家全体の負債額が3年間で2億円余減少しており、おおむね順調に健全経営に向かっております。
 今後におきましても、牛群検定データの活用による一層の生産乳量の増大や粗飼料生産の効率化、経営管理能力の向上などについて引き続き指導、支援を行ってまいる考えであります。
   〔土木部長大石幸君登壇〕
〇土木部長(大石幸君) 砂鉄川などの整備状況と今後の見通しについてでありますが、まず、砂鉄川の改修につきましては、上流の東山町で県事業として、また、下流の東山町と川崎村で国直轄事業としてそれぞれ整備を進めております。平成9年度末の両事業の進捗率は、事業費ベースで県は約50%、国は約10%にとどまっており、事業促進が最大の課題となっているところであります。このため、国におきましては、事業促進の抜本的改善を図るため、通常の河川改修事業に加え、新たな事業の導入を検討していると聞いております。また、県におきましても、予算の重点配分を行い、より一層の事業進捗を図ることとしております。
 次に、千厩川につきましては、川崎村薄衣地区において県事業として整備を進めてきておりますが、今回の洪水被害を踏まえ、下流部の工区を平成11年度に概成させたいと考えております。
 次に、内水処理対策についてでありますが、今回の長雨により、県内各河川において水位の高い状況が長く続いたことから各地で内水被害が発生し、一関市吸川地区、前堀地区、藤沢町黄海地区、陸前高田市中井地区、大槌町桜木町地区などで特に被害が顕著であったところであります。このため、これらの被害状況を踏まえ、国では一関市前堀地区等において内水対策事業に着手したところであります。
 県といたしましても、内水状況等の調査を行い、内水対策の必要が認められる地区におきまして救急内水対策事業の導入などに努めてまいりたいと考えております。
 次に、一般県道雫石東八幡平線、いわゆる奥産道でありますが、去る8月20日、道路検討委員会より土木部に対し奥産道の道路整備のあり方について最終提言をいただいたところであります。同地区の自然環境については、提言や今回実施した道路自然環境調査によると、絶滅が危惧される希少な動植物の繁殖や生息は確認されず、当該区間の道路建設に伴う動植物への直接的な影響は特に大きいものとは言えないと報告されております。しかし、国立公園の特別地域が含まれていることから、自然への将来的な影響やアオモリトドマツ群落について十分な配慮が必要であるとされております。
 県といたしましては、提言にある工事を推進する場合の検討すべき課題に対して、考えられる方策や技術的検討をいろいろな角度から進めているところであります。
 今後の奥産道の対応につきましては、土木部などでの検討が終わり次第、その結果について県民の御意見を賜る場を設けるなどして、最終的には行政課題も含め総合的に参酌して県としての判断を行いたいと考えているところでございます。
 次に、沢内村道安ケ沢線の環境影響調査についてでありますが、本調査は、平成9年7月に第1回委員会を開催し、春、夏、秋、冬の4シーズンを1サイクルとした調査計画書を作成していただき、8月から調査を開始し、本年6月に終了したところであります。その結果、植物種として、レッドデータブックの絶滅危惧種であるユキノシタ科のヤシャビシャクなどの2種が確認されたほか、動物種では、鳥類レッドデータブックの絶滅危惧種であるクマタカ等の飛来が確認されたところであります。この調査結果を踏まえ、沢内村道安ケ沢線環境影響調査委員会から、計画路線周辺では猛禽類の営巣地の確認はできなかったものの、クマタカは隔年繁殖の特徴を有すること等から調査期間をもう1サイクル延伸すべきなどの提言を本年7月にいただいたところであります。
 県といたしましては、この提言を踏まえ、もう1年延伸して調査を行うことといたしたところであります。したがいまして、御指摘の今後の工事のあり方などにつきましては、現在、調査を続行することとしたため、来年度に本委員会から調査結果を踏まえた意見、提言をいただいた時点において慎重に検討してまいりたいと考えております。
   〔総務部長吉田敏彦君登壇〕
〇総務部長(吉田敏彦君) まず、岩手県の内陸北部を震源とする地震と岩手山の火山活動との関係と対策についてでありますが、火山噴火予知連絡会の井田会長は、9月4日、今回の地震は構造性の地震と思われるが、火山の影響で起きたとも考えられる。また、逆に、地震が引き金になり、火山活動が活発になることも考えられると説明しております。一方、気象庁は、同日、地震活動と岩手山の火山活動との関連について、この地震は、一連の火山性地震が発生している西岩手山に隣接して起きた逆断層型地震であり、この地震の前後で火山活動と関連する火山性地震や地殻変動に顕著な変化は認められないけれども、岩手山の火山性地震の活動も消長を見せながら継続しており、今後も注意が必要であると発表いたしております。また、9月25日、盛岡地方気象台発表の観測情報でも、火山性地震は全体として少なくなっているが、山頂に近い西側、鬼ヶ城付近でも小さな地震や火山性微動も依然として発生しており、今後も注意が必要であるとしております。
 県といたしましては、今回の地震と岩手山の火山活動との関係について、気象庁や大学の研究機関、さらには学識経験者の助言もいただき、岩手山の火山活動を十分注視、警戒し、情報収集や監視を行うことといたしております。
 なお、その後の火山観測体制の強化につきましては、気象庁が地震計を増設したところであり、今後、建設省におきましても監視カメラや熱赤外監視カメラ、土石流検知センサーを、林野庁においても土石流検知センサーを設置する予定であると聞いているところでございます。
 次に、総合経済対策に伴う減税による減収額についてでありますが、個人県民税、不動産取得税あわせて平成10年度は18億3、300万円余、11年度は3億700万円余、計21億4、000万円余と見込んでいるところであり、当該減収分につきましては、議員御指摘のとおり、地方財政法に基づく減税補てん債により補てんされ、これらの元利償還額に対しては全額地方交付税で措置されることとなっております。
 次に、公債費負担比率についてでありますが、平成7年度14・8%、8年度15・8%、9年度17・7%と上昇してきておりますが、これは、平成4年度以降の国の経済対策に伴う補正予算債や平成6年度以降の地方財源不足に対処する財源対策債の発行が増加している中にあって、近年、これらの元利償還が始まったことなどによるものであり、今後におきましてもこの傾向が続くものと見込んでいるところであります。
 したがいまして、国に対しては、地方財源不足対策としての地方債の発行はできるだけ避け、地方税や地方交付税などの地方一般財源の充実確保が図られるよう要望していく一方で、本県としても、行財政システム改革指針に沿って、県債の計画的な導入を図りながら健全な財政運営に努めてまいる考えであります。
 また、今後におきましては、活力ある地域社会づくりに向けて、生活、生産の両面にわたる基盤整備を着実に推進していくことが肝要であるとの観点に立って、県民の快適で健康な日常生活を支える社会資本整備に資する事業を優先的かつ重点的に選択してまいりたいと考えております。
   〔林業水産部長渡辺勲君登壇〕
〇林業水産部長(渡辺勲君) 林業の振興と営林署の再編についてでありますが、現在、国会で審議中の国有林野事業の改革に係る関係法案が成立した場合に行われることとされております営林署の再編につきましては去る7月13日に公表されたところでございまして、これによりますと、全国で229営林署が98森林管理署と14支署に再編され、本県では11営林署が5森林管理署と2支署に再編することとされているところでございます。この森林管理署の再編は、国有林野事業の抜本的改革の一環として、国有林野の分布状況や管理、運営の効率性を基本としつつ、流域管理の推進や民有林行政との連携、地域の林業、林産業の状況等地域の特性等を総合的に勘案された上でのものと伺っております。
 本県におきましては、国有林野事業が森林の公益的機能の確保、地域経済の振興等の面から極めて大きい役割を果たしておりますことから、その再編に当たっては、流域を基本とし、かつ流域の社会的、経済的条件等を十分踏まえ、最大限の配慮がなされるよう早い段階から国に対し要請してまいったところでございまして、本県の要請も考慮されたものと考えてございます。
 県といたしましては、今後、この関係法案が成立した場合に配置されることとなります森林管理署及びその支署と地方振興局、市町村、森林組合を初めとする林業関係団体等とさらに密接に連携し、一体となって適切な森林の整備や木材産業の活性化など林業の振興に一層努めてまいりたいと存じてございます。
   〔生活環境部長村上勝治君登壇〕
〇生活環境部長(村上勝治君) まず、自然環境保全指針の策定状況についてでありますが、この事業は、平成8年度から10年度までの3カ年事業として実施しているところであります。策定に当たりましては、学識経験者から成る岩手県自然環境保全指針策定検討会議を設置し、平成8年度は身近な自然の選定と類型別の整理を行い、9年度はすぐれた自然の抽出及び評価方法の検討を行ってまいりました。今年度は最終年度ということで、すぐれた自然の評価方法を定めて自然環境マップを作成するとともに、身近な自然の保全に当たっての配慮事項やすぐれた自然のランク別の保全目標等を設定して、自然環境保全指針としてまとめていくことといたしております。
 現在、自然環境マップの作成に必要なすぐれた自然の評価方法について最終的な検討を行うとともに、保全目標等についての検討に入っているところであり、年内には自然環境保全指針の素案について、県民の皆様や市町村、関係機関の御意見を伺う予定であります。その後、岩手県自然環境保全審議会にお諮りするなどした上で、今年度中には岩手県自然環境保全指針として決定し、公表いたしたいと考えております。
 次に、早池峰登山車両交通緩和対策の実施状況についてでありますが、実施期間中は規制区間内での路上駐車が一掃され、また、シャトルバスの運行も順調に行われるなど、おおむね円滑に実施されたところであります。また、登山者の方々へのアンケート調査によりますと、約9割が今回の対策を評価いたしており、おおむね御理解が得られたものと存じております。
 観光バスにつきましては、乗客の登山中はふもとの駐車場で待機していただいたところでありますが、観光バスの整理誘導は今回の対策の中でも大きな課題であったと認識いたしております。
 さらに、高山植物の開花時期が例年よりも早かったため、結果的に対策の実施時期が登山者の集中時期と若干ずれたのではないか、あるいは事前の周知期間がやや短かったのではないかということも考えております。
 今回の実施結果をさらに分析するなどし、来年度以降の対策について、市町村、バス事業者、県警等の関係機関と協議してまいりたいと存じております。
 次に、廃棄物の有効利用推進対策についてでありますが、平成7年度における本県の汚泥排出量の推計値は230万トンであり、このうち、水道や建設業などから排出される無機性の汚泥が83万トン、下水道や工場の排水処理施設などから排出される有機性の汚泥は147万トンとなっております。これらのうち、有効活用されている例としては、無機性の汚泥ではセメント原料、鉄鋼原材料や建設資材として、それから、有機性の汚泥は肥料、土壤改良材や造園・緑化材などとして利用されております。このように汚泥再生利用の取り組みが行われているものの、資源化技術にもいまだ解決すべき点があること、また、再生製品の安全性、さらには、再生事業の採算性などの制約もあり、本県も含め、全国的にも再生利用が一般的になっているとは言えない状況にあります。しかしながら、産業廃棄物の中でも排出量の多い汚泥の活用は、廃棄物の資源としての有効利用を促進し、持続する経済社会の発展を目指すいわゆるゼロ・エミッションを推進する上でも重要な課題と考えております。
 県といたしましては、本年度、無機性汚泥である建設汚泥について、その再生利用策を調査検討することといたしているほか、有機性汚泥のうち、特に排出量の多い下水道汚泥については、含有成分等の問題があることから焼却し、その焼却灰が建設資材に活用されており、そのほか、各種の有効利用方法については、資源化技術等の動向を把握しながら、これらの情報の収集と提供等により適正な再生利用の促進に努めてまいりたいと考えております。
   〔教育長大隅英喜君登壇〕
〇教育長(大隅英喜君) まず、中高一貫教育についてでありますが、現在の中学校、高等学校の制度は、中学校段階ではぐくまれた進路意識をもとに、生徒が主体的に高校を選択できるという点と、新しい友人や環境の中で段階を追って清新な気持ちで学ぶことができ、人間的成長の契機となり得るという点で大きな利点を持っております。しかし、生徒の学習指導や進路指導が3年ごとに区切られてしまうこと、高校入試の準備や高校生活への順応に相応の期間を要することなど、中高間の接続部分に幾つかの課題があります。中高一貫教育は、こうした中高間の接続を改善することにより、人生の中で個性、能力の伸びが著しい青年期において、高校入試の影響を受けにくく、また、途中で区切られないまとまった6年間という時間、ゆとりを確保していこうとするものであります。一貫により生じたゆとりにより、これまでは十分な時間がとりにくかった体験学習や地域学習、みずからの興味、関心を一層深める課題研究などが行いやすくなり、このことは個性や創造性をさらに伸ばしやすくするものと期待されております。このように、中高一貫教育の導入に際しては、このゆとりをどのように活用することができるか、さらにこれが本県中等教育の多様性や選択幅を拡大するものとなるかが大きな課題であると認識しております。
 また、公立学校における中高一貫教育についてはまだ類例も少ないことから、中高一貫教育そのものに内在する課題や地域の実態に応じた中高の接続、中高一貫教育の実施形態等について十分検討していく必要があり、先般発足した中高一貫教育研究会議における専門的な議論も踏まえながら、今後、検討を着実に進めてまいりたいと考えております。
 次に、インターハイ実施に向けた諸条件の整備についてでありますが、大会施設の整備状況については、会場地市町村の協力により練習会場も含め順調に整備が進み、これまでに行われた全国高体連競技別専門部の視察の結果においても、北上市の陸上競技場を初め、いずれも良好との評価をいただいております。
 また次に、教職員、生徒の協力体制についてでありますが、この大会は高校生のスポーツの祭典であることから、多くの生徒や教職員の協力が不可欠であります。このため、総合開会式や競技会の運営に当たる生徒や教職員の配置計画を既に示し、県高校推進委員会を通じ、関係する高等学校の意見や要望に配慮しながら調整等を取り進めているところであります。
 次に、派遣教員の勤務校に対する講師の配置についてでありますが、会場地市町村実行委員会の要請に基づく県高体連専門部委員長等の派遣が終了する来年8月まで、本年と同様に非常勤講師を配置する予定であります。
 次に、高校生の大会参加への環境づくりでありますが、この大会は高校教育の一環として開催され、県内の多くの高校生が一人一役を合い言葉に参加することとなります。特にも、特定日に多数の生徒が大会運営に携わる高等学校においては、当該日を出校日とする場合もあると思われますが、これらについては各高等学校が実情に合った対応をとるよう指導してまいりたいと考えております。
〇34番(小原宣良君) 再質問させていただきます。
 岩手山の火山災害対策検討委員会、大変日夜御苦労いただいているようでございます。岩手山の西側、そしてまた、今回、東側におけるマグマ噴火を想定したハザードマップ、これらの作成でございます。当然のことでございますけれども、この防災対策を進めていくに当たりましては、どの程度の噴火規模といいましょうか、災害、こういう規模を想定しながら、それに向かった具体的な対応策ということになろうかと思います。そういう点でこの規模というもの、そうした災害規模というものをどういう形でとらえておられるか、表現できる範囲で結構でありますから、お示しをいただきたいと。ただ、私もこのことについては、いたずらに危機感をあおるというようなことは断じてあってはならないと、こう思っておりまして、そうした意味では、この火山災害対策検討委員会の見解というものは、信頼しながら受けとめていく必要もあるというふうに思います。そういう点で、この発表が間近と聞くわけでありますけれども、そうした心構え、県のですね。そうした地域住民を初め県民に対して、今回の岩手山火山噴火における予知可能性といったもの、専門家の皆さんが取りまとめたわけでありますけれども、そうした発表に当たっての留意事項、これらをどうお考えでしょうか。
 また、この9月26日には第4回の岩手山火山災害対策検討委員会が行われたようであります。そして、9月28日には知事と関係市町村ですね、お話し合いがあったようです。こうした経過を受けながら、お聞きしますと、10月9日に岩手山の火山活動に関する関係機関連絡会議というものが開かれると、その中で想定する規模等について、あるいは避難の具体的なあり方ということについてお示しをするということのようでございますが、ここで一つお伺いをしておきたいんですが、県議会は御承知のとおり10月8日までが会期であります。そういう意味で、県議会に対してどういう時期、どういう形で説明をいただくかと、これをお伺いします。これはたまたま10月9日という日程設定になったんだと思いますね、さまざまな都合で。しかし、時期的にはちょうどこの県議会終了の次の日という話になるんです。これはもう県民注目をしておりますし、もちろん大事な災害に対応する発表でありますし、対応策であります。ここのところをぜひ県議会に示す方法と時期についてお示しをいただきたいと、こう思います。
 それから、日米合同訓練です。知事の答弁がございました。この日米間における条約に基づくものなので、心配だがどうにもならぬと、こういう意味合いに私は受けとめたんですが、しかし、先ほど以来申し上げておりますように、この岩手山の火山噴火の可能性、さまざまな面で対応されておる今の時期ですね、この問題と一体で考えざるを得ない時期なんです。これは岩手県民もひとしくそう思っていると思いますよ。県民の生活と安全、これをしっかり守るという県政の基本的な姿勢、課題という点からいって、私は、知事はまずは防衛庁に対して、今の岩手山の火山噴火の可能性に伴う状況、これらについては十分に説明していいんじゃないでしょうか。例えば、自衛隊の第9師団、これはお話ありましたように司令部は青森、それから在日米陸軍の司令部はたしか厚木ですね。こういうことなんです。ですから、今、岩手山を中心とするこうした災害というものに、県民の神経がまさに集中している。安全であってほしいと、こう願っているさなか、この実情をしっかり伝えるのは、知事さん、あなたしかないんじゃないですか。その日米の条約に基づくと言うけれども、先ほどお話があったように、迫撃砲、これはどんな種類のものをぶつかわかりませんが、これはいずれにしても岩手山に向かってぶつわけですからね。そして、対戦車火器ですよ。今いろんな形で気象庁や建設省や、いろんな機材を配置して、少しの動きも逃すまいという形で今、震動を探りながらいろんな研究者の皆さんも集中してますね。気象庁からも専門官がおいでになっているんじゃないですか。あるいは盛岡気象台、気象庁、どう思うでしょうかね、この自衛隊とアメリカ軍の合同演習。迫撃砲がぶたれると、これは、まさしくもってこの時点、回避をしなければなりません。ですから、訓練の内容といってもさまざまあるんじゃないんですか。何も大砲ぶつだけが訓練じゃないでしょうからね。そういう岩手の実情、現状、これをしっかり伝える役割は、知事、あなたにあるんじゃないですか。私は、そういう点でぜひ、もう一度知事の答弁をいただきたいというふうに思います。
 それから、営林署の廃止問題であります。
 確かに前段御努力をいただいたというふうに思いますが、しかし、岩手の状況からいって、これからの国有林の管理のあり方、あるいは民有林と一体となった森林管理という方向からいたしますと、大変県土、森林の面積も大きい我が県でありますので、これからの森林管理という部分について、特にも国有林、これは国有林ですから国のエリアの話だということにしないで、いずれ県土には変わりないですから、奥深い沢をたどっていくと必ず国有林にぶち当たるわけですよ。そういう森林の管理、国有林の管理というのは、県民の生活に全く関係深いものなわけです。しかし、私が心配するのは、こうした廃止統合ということが起きた段階で、そうした治山治水といった観点での心配はないのかと、これはまさしく県民にかかわってきますよと、こういうことですね。そうした観点についてどうお考えか、この際にお伺いをしておきたいと。
 そして、やはりこうなってきますと、国は国のその管轄下だとは言いましても、県の果たす役割というのは大きくなってくるんじゃないですか。この点の見通し、そして、たまたま私の選挙区でありますこの流域で見ますと、北上川中流、林野庁案で言うと水沢の営林署に統合、遠野は支署と、こういうことのようですね。しかし、湯田営林署6万1、000ヘクタール、これは最大規模の面積を持っていますね。この流域で見ても北上川中流15万ヘクタール、これは北上川上流の盛岡圏域は8万2、000ヘクタールですから約2倍あります。こういうふうに、これを市町村の単位、市町村の数で見ていきますと、馬渕川上流、これは安代ですが、4町ですね。それから、久慈、閉伊川、これは宮古ですけれども、11市町村、大槌、気仙川は大船渡ですが、5市町、北上川上流、これは盛岡、10市町村、北上川中流、これは20市町村ですよ。こういう状況で果たして今までどおりの、あるいはこれからの地域からの要望、要請に耐えられるのかという部分を、これは国の話だというんじゃなしに、県としてしっかりととらえていく必要があると思うんですが、再度お考えをお示しいただきたいと、こう思います。
 とりあえず以上です。
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) ただいま小原宣良議員から、日米共同訓練についてお尋ねがございましたが、岩手山で火山性の地震が観測をされるといったような状況がございますので、もちろん気象庁が発表いたします火山観測情報でございますとか、あるいは大学で得ておりますさまざまな情報、そして有識者、科学者の知見というものを十二分に使いまして、そして火山活動について適切な対応を図っていくということが何よりもまず大事であると、こういうふうに思っているわけでございます。
 こういった日米共同訓練における射撃訓練が、こうした地震の観測網、岩手山山体周辺にさまざま展開しておりますそうした観測網に与える影響につきましては、これは私どもの方でも気象庁の方に問い合わせをしておりまして、訓練実施予定日などについて自衛隊との連絡体制ができていることから、気象庁としての観測には支障がないということにつきまして、盛岡地方気象台長から文書で回答をいただいているところでございます。こうした訓練につきましては、もちろん地域住民の日常の生活ですとか、安全に影響が出ないような措置は、我々としても十分に講じてもらわなければならないということで、これは当然のことながら、こうした点につきまして国に要請も既にしておりますし、また、これからも要請をしなければいけないわけでありますが、岩手山の演習場というあの地域の中における訓練自体につきましては、私はこれはまさに日米安保条約に基づきます、我が国の防衛上の措置の一環として行われるものだと、このように理解をしているわけでございます。国政上でまさしくその是非を論じられるべき問題であると、このように考えておるところでございます。
   〔土木部長大石幸君登壇〕
〇土木部長(大石幸君) 岩手山火山防災マップの作成についてでございますけれども、岩手山火山防災マップは、関係地域住民の方々の安全を確保することを第一と考え、岩手山で想定される噴火について多くの方々に知っていただき、一般住民や観光業を営む方々を初め、各関係機関での防災対策に役立てていただくことを目的として作成するものでございます。西側の水蒸気爆発は、過去7、400年のうちで最も大きかったと推定される、約3、200年前の水蒸気爆発と同程度の規模を想定しております。また、今回発表しようとしております東側のマグマ噴火は、過去6、000年のうちで最大級の一つと推定される1686年の噴火と同程度の規模を想定しているところでございます。被害の範囲が広範囲に及ぶことから、さまざまな噴火の形態が考えられること、そういうことで、住民の理解を得るには懇切丁寧な説明が必要と考えております。このため、関係市町村の行政職員の説明の研修とか、防災関係機関への説明など万全を期してまいりたいと考えているところでございます。
 さらに、住民の方々には岩手山火山防災ハンドブックを作成いたしまして、さまざまな万一の場合に対する対応にも配慮するような形で啓蒙してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、議員の皆様への説明が必要とは当然考えておったところでございまして、具体的な日程、方法については現在、総務部と協議中でございます。
   〔林業水産部長渡辺勲君登壇〕
〇林業水産部長(渡辺勲君) 国有林野の管理のあり方等についてでございますが、現在、国会で審議中の国有林野事業の改革案におきましては、国有林野事業の、ただいまお話しの治山治水機能等も含めました公益的機能の重要性にかんがみ、国有林の管理、経営を木材生産機能重視から公益的機能重視へ転換する方針のもと、森林の公益的機能の維持増進を図るための森林施業をより積極的に推進することとされているところでございまして、適切な森林の管理がなされるものと考えてございます。
 県といたしましては、国有林野事業との連携をさらに強化し、密接な連携のもと、森林の公益的機能の高度発揮や木材の生産、加工、流通体制の整備による森林の整備、木材産業の振興など、本県の森林、林業の活性化に努め、ひいては、このことが地域の山村の活性化につながるよう、鋭意努力してまいりたいと考えてございます。 
〇34番(小原宣良君) ただいま知事からの答弁がありました。日米合同訓練のあり方について、私は知事の考え方をもう一歩進めていただきたいと、要するに日米間の条約に基づくその一環であると、それはそうでしょう、確かに。ただ、今こういう岩手の状況の中で、それで県民は、はい、そうですかということで納得しますか。私は、そこのところを知事はもう一歩進めて考え、行動を起こしてほしいと。これはぜひ要請をいたしておきますし、県議会としてもそれなりな形での意思表示は、ぜひ各議員の皆さんにもお願いを申し上げたいものだなというふうに考えているところでございます。これは答弁要りません。
 ぜひ御一考賜りたいということを申し上げて、私の質問は終わります。

前へ 次へ