平成10年9月定例会 第15回岩手県議会定例会会議録

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〇23番(谷藤裕明君) 自由民主党・県民クラブの谷藤裕明でございます。
 質問に先立ち、過日御逝去されました前岩手県知事工藤巌先生に対しまして、謹んで哀悼の意をささげ、心より御冥福をお祈り申し上げます。
 また、台風5号、7号、地震など、各災害で被災された方々に一日も早い復興を願い、衷心よりお見舞い申し上げる次第であります。
 質問に入らせていただきます。
 まず、景気対策についてお伺いいたします。
 現下の最大の問題は、何と申しましても長期化する景気の低迷であると存じます。国におきましては、御承知のとおり、財政構造改革法を一時凍結の上、景気回復に最優先で取り組むとしたことから、8月末の概算要求にあっては、特に公共事業は前年比で30%増となり、今後、本年の第2次予算も含め15カ月予算を編成する方針と聞いております。本県としても、適切なる対応が必要であると存じますが、まず、今後の取り組み方針について知事の御所見をお伺いいたします。
 また、国においては、財政構造改革法を一時凍結すると表明しておりますが、本県においても、行財政システム改革指針により、財政の健全性を求め各種の取り組みに努めているところであり、この姿勢は評価できるものでありますが、しかし、単に歳出を削減しさえすればよいというものではなく、また、県債も世代間の負担の公平を確保するという観点において、適債性のある事業については、いたずらにその発行を抑制する必要はないと考えるものでありますが、いずれ、本県の将来のあるべき社会経済の姿を見据えながら、やるべきはやるという姿勢で取り組んでいく必要があるということは、2月定例会でも申し上げたところであります。国が積極財政に転じた中で、さらには景気回復のため、本県としても思い切った予算編成が求められている今、行財政システム改革指針を今後どのように扱っていくのかお伺いいたします。
 次に、公共投資についてお伺いいたします。
 国におきましては、今後、公共事業を進めるに当たっては、旧来型の公共事業を柱とする経済対策では、中長期的な景気回復に限界があるのではないかなどの理由で、3大都市圏域を中心に都市型事業に重点を置いて集中投資しようという動きがありますが、本県における公共投資の推進にも少なからずの影響も予想されるところであります。県当局は、このことによる問題点についてどのように認識しているのでしょうか。
 まだまだ立ちおくれている社会資本の整備状況にある本県にとって、公共投資を傾斜配分させていくためには、我が国全体にとどまらず、国際社会をも視野に入れた上で、本県の有する比較優位にある豊かな自然環境等の資源、特にも潜在的価値について広く着実に理解を求めていく必要があると存じます。そのためには、本県におけるそれらかけがえのない資源等、潜在的な価値を明確にし、その上で本県への重点投資の重要性を本県の立場から訴えていくべきものでなければならないと存じますが、いかがでしょうか。
 かかる観点に立って、主体的に独自の企画力で、本県における公共投資に取り組んでいく必要があると存じますがいかがでしょうか、知事の御所見を賜りたいと存じます。
 次に、景気対策に関連して雇用対策についてお伺いいたします。
 県内における労働力需給バランスの目安となる最近の有効求人倍率は14カ月連続で低下し、0・52まで落ち込み、ここ10年で最低を記録したとのことであり、また、県内における雇用保険の給付額とその受給者は、本年7月、総額で15億5、000万円、約1万2、000人弱と最近10年では最高を記録するとともに、企業等の都合で解雇された人は1年前に比較し4割以上も増加し、本県における雇用情勢は極めて悪化しているとのことであります。さらには、来春卒業予定の本県高校生の県内就職希望者に対する求人倍率も0・74倍と、前年同期に比較し0・41ポイントも低下したとのことであり、県内企業への若い労働力の確保、定着が県勢発展の必須条件であるとすれば、極めて憂慮すべき事態であると言っても過言ではないと存じます。
 そこでお伺いいたしますが、これまでの雇用機会の開拓に向けた県の対応はどうであったでしょうか。今後は、これらの事態に危機意識を持って、担当部局だけではなく、部局横断的に積極的な取り組みが必要であると存じますが、今後の対応策も含め明らかにしていただきたいと存じます。
 次に、本県の産業振興への取り組みについてお伺いいたします。
 近年の経済のグローバル化の進展に伴い、国際競争が激化する中で、産業の空洞化が懸念される一方で、高齢化の一層の進展、若年労働力の減少が予想され、このような経済社会環境の大きな変化の中にあって、今すぐにでもやらなければならない産業振興への具体的な取り組みが不可欠であり、地域活性化の視点からも積極的なる対応が望まれるものであります。今後、空洞化対策の決め手として、また、地元での雇用機会の創出をもたらすベンチャー企業対策がとりわけ有効であると存じます。本県としても、ベンチャー支援財団を設立し支援するほか、人材育成や技術開発の支援、低利融資や研究室の支援等、積極的に取り組んでいると伺っており、他県に比較し意欲的に取り組んできていることは評価できると存じますが、これまでの実績はいかがでしょうか、お伺いいたします。
 このほど、東北電力が実施したベンチャー支援制度の実態調査によれば、手続が煩瑣であることのほか、形式や前例にとらわれ過ぎることが指摘され、また、金銭面においては融資が得にくいなどの問題点が指摘されておりますが、県としても、これからの改善に積極的に取り組んでいくべきものと存じますがいかがでしょうか、あわせてお伺いいたします。
 さらには、本年開学した県立大学の地域経済への影響力も極めて有効であると存じます。県立大学の西澤学長は、県立大学の隣接地に、ソフトウェア学部を産学交流の軸とする門前町を建設する構想をお持ちになり、これによれば、民間との産学共同センターを中心に据え、周辺に企業や商業施設、住宅等を集めたいとのことであり、当該センターにおいては、大学の研究開発機能を企業などの民間の活動支援に役立てるとのことであり、極めて結構なことと存じますが、知事はこれについてどのようにお考えなのか、御所見を賜りたいと存じます。
 次に、盛岡都市圏の機能充実の観点から、幾つかの課題についてお伺いいたします。
 当該都市圏の位置づけにつきましては、知事は、北東北3県における人、物、情報の交流拠点として、21世紀における北東北の先導的かつ中核的な役割を担っていくべき地域として、高次都市機能の集積を図っていくべきであると2月議会において明らかにされたところであり、全く同感であります。したがいまして、このことにつきましては、今後、北東北3県が共通認識を持ってそれぞれ施策を展開していく必要があると存じますので、この際、知事が提唱される北東北知事サミットにおいて確認をし、協力を求めていくべきものと存じますがいかがでしょうか、知事の御所見を賜りたいと存じます。
 次に、具体的なプロジェクトについてお伺いいたします。
 まず、拠点都市づくりとしてスタートした盛岡駅西口開発の土地区画整理事業及び盛岡南都市開発の2大整備事業のその後の進捗状況はいかがでしょうか、支援状況についてお伺いいたします。
 さらに、盛岡駅西口問題についてでありますが、県におかれましては、県有地の開発に関して県有地活用委員会を開催し、鋭意、検討を重ね、この3月に、県民に身近な行政サービスや県民生活情報、さまざまな行政サービスの提供等基本構想をまとめたところでありますが、今後の展開はどうか明らかにしていただきたいと存じます。
 また、一方の盛岡駅東口開発についてでありますが、盛岡駅前第2地区の開発状況と県の支援状況についてお伺いいたします。
 さらに、待望久しき県立図書館及びそれに併設が予定されている公文書館の立地及び建設予定はいかがでしょうか、あわせてお伺いをいたします。
   〔議長退席、副議長着席〕
 次に、盛岡都市圏の拠点都市機能を拡充するという観点から、広域合併問題についてお伺いをいたします。 市町村の広域合併につきましては、介護保険等多様化する行政ニーズに対応していくためには、行政能力や財政基盤を強化して、自主的、主体的かつ迅速に行政運営が可能となるよう、積極的に取り組むべき必要があると存じます。また、広域合併により、行政圏と生活圏とが基本的に一致することで行政の効率性が確保されることとなり、また、地域住民のニーズにも沿った行政サービスの提供が可能となるなどの利点が期待されるところであります。特にも、盛岡都市圏の場合は、県都盛岡市を名実ともに北東北の拠点として育成していくためにも、人口、面積、経済等、規模集積が不可欠であり、また、県都の底上げは、ひいては県全体の発展をももたらすということからも、強力に推進していくべきものと存じます。
 現行制度では、合併するか否かについては、基本的には地元住民や市町村の意向を尊重する建前となっていることから、合併した場合に歳出がどれだけ縮減できるかなどはもちろんのこと、合併により住民の生活はどう変わるか具体的なデータを示すなど、判断する上での情報提供が不可欠であります。
 このような中にあって、去る5月に決定された地方分権推進計画においては、それら情報提供については県の役割を重視するものとなっております。私は従来から、そのための判断材料を住民に積極的に提供すべきものと主張してまいりましたが、県として積極的なかかわりを求められたものであります。
 盛岡市、都南村の合併時には、盛岡地方振興局が中心となり、昭和61年、盛岡圏市町村合併問題研究会などを結成し取り組んだ例があると承知しておりますが、県の積極的な関与を求めるものでありますがいかがでしょうか、お伺いいたします。
 次に、中心市街地の活性化対策についてお伺いいたします。
 盛岡市を初めとする県内の中心市街地においては、郊外型の大型店との競合や公共施設の郊外への立地等により、商圏人口が大幅に減少した結果、販売不振や後継者難により中小商店数が減少し、それに伴う空き店舗が著しく増加いたしております。その停滞また衰退が指摘され、極めて厳しい状況下に置かれているところでもあり、もとより、都市、まちの活力は中心市街地の活性化、にぎわいの創出が不可欠であると存じます。これら空洞化の進む中心市街地の活性化に向けては、国は中心市街地活性化法を制定、施行したところでありますが、これによれば、市町村が活性化のための基本計画を策定し、それに基づき展開する各種事業に国が補助金を交付する仕組みとのことでありますが、目下の本県における取り組み状況はいかがでしょうか、お伺いいたします。
 また、県としてもこれに積極的に支援していくべきものと存じますが、その場合、集客魅力を創出することはもちろん、公共施設の中心市街地への立地や公共交通機関の充実を図るなど、交流人口を増加させその活性化を推進することや、公営住宅の中心部への整備により、都市部の居住人口を増加させるなど、部局を超えた総合的な施策の展開が不可欠であると存じますがいかがでしょうか、県当局の御所見を賜りたいと存じます。
 次に、スポーツ振興に関連した諸課題の幾つかについてお伺いをいたします。
 まず、いよいよ明年度に開催が予定されているインターハイについてでありますが、本県選手の競技力の強化策の取り組みについてはこれまでも事あるごとに要請してまいりましたが、現在も高校生、指導者及び関係各位が、日々最大の努力を続けておられますことに対し敬意を表するものであります。とりわけ、インターハイ開催を契機として取り組んできた、長期的にも将来の競技力の向上に結びつく環境条件の整備については極めて重要であると存じますが、それはどのようになっているのかということについてお伺いをいたします。
 また、会場整備の進捗状況及び分散開催となることから、円滑な運営が確保し得るかどうかの問題も指摘してきたところでありますが、その対策はどうであるかお伺いをいたします。
 さらに、新しい課題として岩手山火山活動対策やO-157等、食中毒等の危機管理対策はどうなっているのか、あわせてお伺いをいたします。
 次に、県の総合的なスポーツ施設整備についてでありますが、全般的に老朽化した県営スポーツ施設にかわる新たな総合的なスポーツ施設については、21世紀に向けてスポーツ振興上不可欠であり、生涯スポーツを振興する上からもその早期整備が待たれているところであり、具体的には全国的かつ国際的な競技開催能力を視野に入れ、さらには競技力向上のための科学的スポーツトレーニングのための施設を併設した総合的なスポーツ施設が求められているところであります。県としても、平成28年ごろの開催が見込まれている2巡目の岩手国体開催に向け、盛岡広域圏5町村からの具体的な要望をもとに整備候補地域を選定して、鋭意、検討されていると伺っておりますが、目下の取り組み状況はいかがでしょうか。また、その場合、かねてより要望しているナショナルトレーニングセンターなどの立地も考慮し、その施設との連携を図った構想とすべきものと存じますがいかがでしょうか、県御当局の御所見を賜りたいと存じます。
 なお、総合的スポーツ施設の整備には莫大な財源を要することとなり、例えば来月国体が開催される神奈川県においては、関連施設の整備に約2、400億円も投じたとのことでありますが、本県の厳しい財政状況を考えれば、所要財源については基金として積み立てる等、長期的視野に立って計画的に確保していく必要があり、さらには、施設整備も年度分散を図るなどの工夫も不可欠であると考えられますことから、可能な限り早期に当該構想をまとめる必要があると存じます。加えて、スポーツ施設については、本県の環境影響評価の対象にも加えられたことなどからも、その面でも多大の時間を要すると予想されるところであります。
 以上のようなことを念頭に置き、県としては、可及的速やかな取り組みが必要であろうと存じますがいかがでしょうか、お伺いいたします。
 次に、不登校問題についてお伺いをいたします。
 平成9年度の学校基本調査によれば、学校嫌いを理由に、平成9年度中に30日以上欠席した不登校の小中学生は過去最多であったとのことであり、まさに憂慮すべき事態であると存じます。
 なお、このほど発表された地方教育行政のあり方を検討している文部大臣の諮問機関、中央教育審議会の答申におきましては、自治体の裁量による少人数学級が提唱されたところでありますが、そのことによるきめ細やかな指導による魅力ある学校づくりが期待されているところであります。
 本県としても、今後基本的には少人数学級編制を目指すべきものと存じますが、その場合、学校における創意工夫により、一人一人の個性や創造力を生かし、豊かな心をはぐくんでいけるよう、いかに活力と魅力に富む学校にしていくことができるか、すなわち学校における活動の内容いかんにかかってくるものと存じます。次代を担う子供たちが、純粋な気持ちで学校が好きになるために、例えば地域行事やスポーツなど、人と人との触れ合いを大切にした魅力ある学校づくりなどを目指すことにより、不登校の解消につながるのではないかと期待いたしているのであります。いかがでしょうか、県御当局の御所見を賜りたいと存じます。
 次に、少子化問題について伺います。
 厚生省がまとめた昨年の人口動態統計によれば、年々少子化が進み、本県における合計特殊出生率は全国の1・39人を上回るものの1・53人と統計史上最低記録を更新し、人口1、000人当たりに対する出生率も8・8人と全国では40位に落ち込み、少子化は一段と進行している実態にあります。異常とも思える少子化の進行に伴い挙げられる問題点としては、アメリカのワシントンポスト紙が指摘する出生率破産ともいうべき労働力の不足や内需の不振による経済の低迷、現役世代における社会保障費用負担の増加等の経済面での影響のほか、子供の健全育成への影響、さらには、過疎化や高齢化の広範なる進行による地域社会の衰退等、深刻な問題が予想されるところであります。
 少子化をもたらしている理由は何かということについては、結婚した場合のいわゆる夫婦が子供を持つ率、すなわち完結出生児童数は昭和40年代の後半以降2・2人とほとんど増減が見られないということでありますから、まさに結婚しない人の割合がふえているからとの指摘があります。若い人々に結婚や出産を望まないという傾向が強くなっており、このことについては厚生白書においては、子供を産み、育てることに夢を持てる社会でなくなっていると指摘しておりますし、さらには、若い女性の母性の喪失などをその原因に挙げる学者もおります。このような中にあって、結婚や出生率の回復を目指した取り組みをするかどうかは、最終的には個々人の選択にかかっているにしても、健全な社会を形成する観点から、また地域活性化の観点から、本県としても適切な対応が必要であると存じますがいかがでしょうか。県としてこの問題をどう認識し対応しようとしているのかお伺いいたします。
 また、結婚や出産、育児などの面での阻害要因を取り除き、働く女性が出産や育児のために気兼ねなく休み、職場復帰も円滑に行われ得るような少子化対応型雇用については公務員が率先すべきという意見もありますが、このことについてどう思われるか、御所見を賜りたいと存じます。
 次に、防災情報網についてお伺いいたします。
 去る9月3日、雫石町を襲ったマグニチュード6・1の地震発生時においては、それによる被害状況の収集や把握、関係機関との連携が十分でなかったとの指摘がなされたところであります。迅速かつ的確な情報を把握し、一刻も早く適切なる応援体策を講じることは、県民が県に対して望む最も重要かつ不可欠なことであると存じます。本県の防災情報網は、基本的には県、市町村、関係機関等を防災無線や電話回線を張りめぐらしているとのことでありますが、画像や数値データ等の必要とする情報の量に制約があるのではないか、すなわち、情報の大量伝送に適さないのではないか、また市町村から住民への情報を伝達する同時通信無線などのハード面での限界があるのではないかと存じますがいかがでしょうか。
 また、そのようなハード面での改善はともかく、初めて2号配備で待機した3、000余名の職員には必要な情報が伝達されず、何をどうしていいのかわからないということがあったとのことでありますが、ソフト面での問題もあったと聞いております。これらを頂門の一針として今後の対策を講じていく必要があると存じますがいかがでしょうか、お伺いいたします。
 最後になりますが、いよいよ来春は、私ども県議会議員はもとより、知事も関係ある統一地方選があり、議員の方々はそれぞれ、来期に向け出馬表明、決意を発表されております。その中で、21世紀に向けドリームランド岩手構想を打ち出されている増田知事の決意と意欲のほどがいまだ表明されておりませんけれども、いずれ時期が来れば出馬表明されると思います。知事というお立場は、常に県民のためにという気持ちが大切であると存じます。これまで一部政党に傾いていると言われ続けている県政運営を脱し、この際、政策を県民の前に示し、幅広く政党、県民の理解を求めるべきと考えますが、この私の考えに対する知事の御答弁をお願いいたします。
 以上をもちまして私の質問を終わりますが、答弁によっては再質問をさせていただきますので、的確な御答弁をお願いいたします。
 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 谷藤裕明議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、景気回復に向けた今後の取り組みについてでございますが、景気回復は、国、地方を通じた喫緊の課題でございまして、本県としては、これまでも低迷をしております県内経済の活性化を図る観点から、国の対策に呼応するなど、そのときどきの経済情勢を踏まえながら対応してきたところでございます。
 先般の総合経済対策への対応につきましても、6月補正予算で558億6、000万円余を計上いたしました。さらに、今議会におきましても126億5、900万円余の9月補正予算を提案しているところでございます。今後に見込まれる経済対策におきましても、国庫補助事業を効果的に導入するとともに、後年度の元利償還に交付税措置のある県債を選択的に充当する工夫などによりまして、本県経済の活性化が図られるよう可能な限り取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、行財政システム改革指針につきましては、本県財政は県債残高が増加をし、公債費等の義務的経費が年々増嵩するなど、今後一層厳しさを増していくものと見込まれますことから、今後とも当該指針に沿って事務事業の一層の見直しに基づく施策の重点化と効率化を進めて、財政の健全化を図りながら、本県の行財政システムを内外のさまざまな変動に機敏かつ柔軟に対応できるようなものに改革していくことが必要であると、このように考えております。
 次に、公共投資についてでございますが、国の平成11年度予算の編成に向けて、大都市圏における公共投資関連施策の積極的な推進を検討している省庁もあるものと承知をしているところでございます。これが大都市圏と地方圏との間のこの公共投資の配分にどのような影響を与えるものなのか、まだ、今現在では必ずしも明確ではございませんが、仮にこれが大都市圏への集中投資を意味するものであれば、これは極めて大きな問題であると、このように考えております。
 私は、21世紀を展望して多軸型の国土構造の形成を促進する国土政策の観点から、まさに地方での社会資本整備に力を注ぐことが重要であると、このように考えておりまして、また、地方分権型行政システムへの転換が求められている今日、それぞれの地域が自立的に発展していくための基礎的・社会的条件を整備する上で、地方における社会資本の充実は喫緊の課題であると認識しておりまして、このような観点に立った公共投資の配分を行うべきであると考えております。
 また、人々の価値観は環境との共生や持続可能な発展を重視する方向へと大きく転換をしてきておりまして、今後真に豊かな暮らしを実現していく上で、多様な自然やゆとりある空間など、大都市圏では得難い資源の価値が一層高まっていくものと、このように考えております。これは、多自然居住地域の創造、森林や農地の持つ公益的機能に見られますように、本県の持つ豊かな環境といった潜在的な価値が、県民のみならず、国民すべてにとっての財産として認識されることを意味しておりまして、このことからも、21世紀における魅力的な国土形成の一翼を担う本県の資源を生かしていくための社会資本の整備が大変重要になってくるものと考えております。
 本県におきましては、厳しい財政環境下にあるわけですが、ただいま申し上げましたような考え方に基づいて、真に必要な社会資本の整備を積極的に推進してまいりたいと考えておりまして、国に対しては、こうした分野での公共投資の促進が図られるよう、あらゆる機会をとらえて働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、県立大学の研究開発機能の産業振興への活用についてでございますが、産学交流の場を大学周辺に展開したいとの西澤学長の構想は、大学と民間との垣根を低くして、産学連携、共同研究を進めやすい環境づくりを行おうとするものでございまして、地域に根ざした実学実践、地域に開かれた大学という建学の理念に沿うものであると認識をしているところでございます。また、全国から迎えたすぐれた先生方を本県の知識、頭脳の面におけるいわば財産として、その能力を大いに発揮していただくことが、今後の本県の発展のために極めて重要であると考えているところでございます。
 このようなことから、ソフトウエア情報学部を初めとする県立大学の研究開発ポテンシャルを活用した産学官の共同研究や、県民生活の向上のための研究開発を促進する新たなシステムづくりが必要であると考えております。これらを踏まえ、今後その具体化に向けて、大学を核とした地域整備の方向性との整合も図りながら、県立大学の先生方との意見交換などを通じて、効果的な産学官連携のあり方と研究開発ポテンシャルの地域振興への活用について検討してまいりたいと考えております。
 次に、盛岡都市圏の位置づけについてでございますが、この圏域は、新しい全国総合開発計画に盛り込まれました北東国土軸と、もう一つの岩手、秋田を結ぶ地域連携軸の結節点に位置をいたしておりまして、北東北3県における人、物、情報の交流拠点としての役割が今後ますます高まっていくものと考えております。北東北におきましては、昨年の知事サミットを契機として、3県連携の一層の強化という新たな展開を見ているところでございまして、それぞれの持ち味、特性を生かしながら、北東北という一つの圏域としてともに発展していくために、観光振興を初めとするさまざまな分野で活発な交流・連携が図られているところでございます。
 今後におきましては、各地域がそれぞれの役割を担いながら、しっかりとした連携のもとになお一層その機能を発揮していけるよう、知事サミットなどの機会をとらえまして、3県連携による北東北のあるべき将来像などを見据えながら、人、物、情報の交流の一層の促進や北東北全体を視野に入れた拠点都市づくりのあり方などについても、多様な観点から幅広く話し合ってまいりたいと考えております。
 次に、来春の統一地方選に向けての現在の心境ということと、それから、今後の県政運営に当たっての心構えについてでございますが、現在の私の心境は、率直に言いますと、色に例えて言えば全くの白でございまして、白紙でございます。私の任期はまだ7カ月余り残っておりまして、今この段階で将来のことを決断いたしますのは、重要な施策判断のいわば切れ味を鈍らせるのではないかと。仮に出馬をするということになりますれば、当然のことながら当選を意識するわけでございまして、あちらこちらに迎合あるいは、そこまで行かなくても、判断が鈍るようなことがあってはならないと。また、出馬しないということになれば、重要な施策の判断を先送りにすることにならざるを得ないわけでございまして、行政の空白期間をつくることになるのではないかといったようなことを考えますと、今はまだそうした判断をすべき時期ではなくて、その判断はもっと後の時点でよいと、このように率直に考えています。
 今現在、県民の皆さんが私に望んでいることは、この難局の時期に、県政課題を一つ一つスピーディーに、かつ、しがらみにとらわれることなく全力を尽くして片づけろということと、このように認識をしているわけでございまして、知事選への対応は、県民の皆さんの声をお聞きいたしながら、後日、熟慮の上で判断すべきと、このように考えております。
 また、今後の県政運営に当たっての心構えについてでございますが、私は、従来より公正、公平を旨として、すべての県民の皆様にとりまして、開かれた、わかりやすい県政の実現を目指してきたつもりであるわけでございますが、これからも、岩手新時代を担う主役は県民であると、こういう認識に立ちまして、地域からの視点で、県民とともに考え、つくる行政を確実に推進していく考えでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので、御了承お願いいたします。
   〔商工労働観光部長小野寺修君登壇〕
〇商工労働観光部長(小野寺修君) まず、雇用機会開拓への対応についてでありますが、最近の厳しい雇用失業情勢に対処するため、国におきましては去る6月、総合経済対策の一環として雇用安定のための総合的な支援策が講じられたところであります。県といたしましても、その中に盛り込まれました緊急雇用開発プログラムに基づき、鋭意雇用の拡大に努めているところでありますが、なかなか雇用にまで結びつかないというのが現状であります。しかしながら、今般雇用情勢が特に厳しい分野における具体的な対策として、雇用調整助成金及び労働移動雇用安定助成金の助成率の引き上げによって、事業主に対する支援の強化が図られるとともに、特定求職者雇用開発助成金の年齢要件が緩和されたことや、さらには、7月以降新たに各公共職業安定所に求人開拓推進員が設置されましたことから、これらの制度の活用により求人開拓に全力を挙げて取り組んでいるところであります。
 また、これらの情勢を踏まえ、県内主要経済団体及び企業約3、000社に対して、知事名による求人の要請を行うなど、例年にも増して雇用機会の拡大に努めてきているところであります。
 今後におきましても、同プログラムに基づく諸施策を着実に展開し、新規産業の創出等による雇用の拡大を初め、特にも雇用情勢が厳しい中小企業や若年者に配慮するなど積極的な雇用対策に努めるとともに、公共事業を初め、地域経済を活性化するための各部局の関連事業が雇用拡大につながるよう、関係部局との連携を強化してまいる考えであります。
 次に、ベンチャー企業に対する支援の実績についてでありますが、県におきましては、新奇性に富んだ内発的な地域産業を創出するため、新製品や新技術の開発に取り組んでいる研究開発型中小企業を対象といたしまして、平成8年度からこれまで、岩手テクノポリス財団を通じて投資を行ったものが4企業、新たな事業分野の開拓に取り組んで融資を行ったものが93企業、新製品等の開発に対する取り組みに対して助成金を交付したもの105企業、延べ202企業に対しまして、総額で27億円余の投融資等による支援を行ってきているところであります。
 また、こうした資金的な支援策のほかに、本年1月、盛岡地域交流センタービル内に6室の貸し研究室を整備し、研究開発の場を提供するとともに、平成7年度から、いわて起業家大学を開設し、これまで152名に対し自立化のための啓発の機会を提供し、そのうち21名が新たに創業しているところであります。しかしながら、ベンチャー企業の育成を図る上で、研究開発投資や急速な成長に伴って生じる資金需要に対しましては、供給体制の整備が課題の一つとなっておりますので、金融機関等の関係支援機関に対しましては、岩手テクノポリス財団を通じて、ベンチャー企業の成長性や技術評価などに対する理解がさらに深められるよう働きかけるとともに、支援制度における手続など改善に要する事項につきましては、利用しやすい制度になるよう改善に努めてまいりたいと考えております。
 次に、中心市街地の活性化対策についての本県の取り組みの状況についてでありますが、平成10年度におきましては、遠野市が、民話のふるさとにふさわしいにぎわいのあるまちづくりを実現するため、現在、基本計画の策定を進めているところであります。また、盛岡市や水沢市では、基本計画の策定に向けて、商工会議所が中心市街地の活性化ビジョンづくりに取り組んでいるほか、北上市や花巻市などにおいてもこの法律の活用を検討中であり、県内各地域の動きが活発化しつつあります。
 県といたしましては、御提言ありましたとおり、中心市街地の活性化を図るためには、従来の商業振興の枠組みを越え、市街地における道路や住宅等の各種基盤整備と商業等の活性化を柱とする総合的・一体的な施策の展開が必要であるとの考えから、本年5月に、土木部など庁内関係5部による中心市街地活性化連絡会議を設置したところであります。したがいまして、今後市町村の基本計画に盛り込まれました事業の実施に当たりましては、国の助成制度の導入を図りながら、この連絡会議を中心とした各部の連携のもとに積極的な支援をしてまいりたいと考えております。
   〔土木部長大石幸君登壇〕
〇土木部長(大石幸君) まず、盛岡駅西口地区と盛岡南地区の都市基盤整備事業の進捗状況についてでありますが、盛岡駅西口地区は、盛岡市が土地区画整理事業等を進めているもので、既にマリオス前の都市計画道路や宅地整地は一部完了し、さらに駅東地区と連絡するJR跨線橋及びマリオス周辺の人工地盤は、本年度内の完成を目指し工事中であります。この事業の進捗率は、平成10年度末で事業費ベース約46%となる見込みであります。
 次に、盛岡南地区は、地域振興整備公団が施行する土地区画整理事業として平成7年度に工事着手し、これまで全体の18・6%に当たる49・3ヘクタールの仮換地指定を行ったところであります。現在、地区内の幹線道路である明治橋猪去線の工事を重点的に進めるとともに、宅地整地や物件移転、埋蔵文化財調査等を実施しているところであります。この事業の進捗率は、平成10年度末で事業費ベース約11%の見込みであります。
 県といたしましては、両地区の開発に重要な役割を果たす雫石川にかかる仮称中央大橋について、来年度には橋梁の下部工工事に着手するなど事業を推進するほか、これらの事業が計画どおりに進展するよう、今後とも関係機関と密接な連携を図りながら積極的に支援してまいる考えであります。
 次に、盛岡駅東口開発についでありますが、本地域は、盛岡駅の正面に位置し、駅から中心市街地への幹線街路に面した一等地であり、老朽化した木造建築物が密集し、防災や都市景観上も市街地の再開発による整備が必要な地域であります。このため本地域では、狭小な敷地の共有化を行う小規模な再開発手法の活用が最適であり、現在2地区の関係権利者により、国の補助制度である優良建築物等整備事業を導入し、開発が進められているところであります。その一つは、盛岡駅前A-1地区と称し、施行地区面積約0・17ヘクタールに地上9階建てのホテル、店舗、事務所を用途とする複合建築物を7月末に着工しており、平成11年度3月に完成予定で工事中であります。また、もう1カ所は盛岡駅前B地区と称し、施行地区面積約0・11ヘクタールに地上10階建てのホテルが計画されており、来年1月着工、翌12年1月に完成予定となっております。
 県では、これらの事業が円滑に実施され、県都盛岡市の玄関口として魅力ある商業業務地域の形成に資するよう、国庫補助とあわせ県費の助成を行うこととしており、今後とも、事業の推進のために積極的に支援してまいる考えであります。
   〔企画振興部長武居丈二君登壇〕
〇企画振興部長(武居丈二君) まず、盛岡駅西口地区県有地の活用についてでありますが、本年3月に策定した基本構想をもとに、本年度は基本計画を策定することとしております。現在、新たに庁内の部局長等で構成する盛岡駅西口地区県有地活用基本計画策定委員会を設置し、県民生活・サービス拠点機能、県民交流・活動拠点機能など、基本構想に掲げた各機能ごとの具体的な導入施設や当該施設の規模、内容等について検討を進めております。さらに、これらの施設が相互に連携・補完し合い、多機能型複合施設としての相乗効果が十分発揮できるよう、立地特性に合った施設構成について幾つかのケースに分けて検討を行うほか、隣接街区との円滑な動線の確保など、専門的、技術的な事項についての調査を委託するなど、基本計画の策定に向けて、鋭意、取り組んでいるところであります。
 基本計画の策定後は、西口地区の都市開発整備事業の進捗状況など、周辺全体の整備の状況を考慮し、さらには財政状況にも留意しながら、現在策定中の新しい総合計画の前期実施計画に位置づけた上で整備に努めてまいりたいと考えております。
 次に、盛岡都市圏の広域合併問題についてでありますが、地方分権推進計画及び地方制度調査会の答申におきましても、市町村が地域の総合的な行政主体として分権型社会における役割を担うため、その自主的合併や広域行政の推進が必要とされており、この際議員からの御指摘もございましたように、県は広域的な地方公共団体として積極的な役割を果たすよう要請されているところであります。このため、県では、本年度、当部の市町村課に専任組織を設置するとともに、自治振興基金を拡充したほか、さまざまな機会をとらえての情報提供や地域活性化事業調整費の活用を通じて、広域行政の機運の醸成に努めているところであります。さらに、平成12年度からスタートする介護保険や廃棄物の処理の広域化などの市町村の重要課題について、関係部局とともに広域行政の観点から調査検討を進めているところであり、また、盛岡地方振興局においては、本年7月、管内市町村の担当係長等で構成する広域行政研究会を設置し、盛岡都市圏の今日的な課題に即した調査研究を進めております。
 今後、県といたしましては、合併を含めた広域行政について、県立大学の協力を得ながら、県内外の事例や地域の実情についての研究を進め、その成果について広く市町村や住民に提供するなど、市町村の広域行政の取り組みを積極的に支援してまいりたいと考えているところであります。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕
〇保健福祉部長(関山昌人君) 少子化問題についてお答えいたします。
 本来、結婚や出産は個人の選択や価値観にかかわる性格のものでありますが、少子化の進行は社会経済全体としてはマイナスの面の影響を及ぼすことが懸念されますことから、子供を安心して生み、健やかに育てることのできる社会環境の整備が重要であると考えております。こうしたことから、県では、平成7年に岩手県子育てにやさしい環境づくり対策指針を策定し、これに基づき、子育てと仕事の両立支援や子供の育成環境の整備、家事、育児等に関する男女の固定的役割意識の是正などに向けて、各般にわたる施策を総合的、計画的に推進しているところであります。また、今年度はすこやか保育支援事業の拡充や、乳幼児・妊産婦医療費助成事業の拡大、生涯を通じた女性の健康支援事業の新設などにより、多様な子育て支援施策を展開しているところであります。
 今後は、先般行われた児童福祉法の改正の趣旨に沿って、特別保育事業や放課後児童対策事業等の充実を図るほか、子育てにやさしい環境づくり対策関連事業を一層推進していくことにより、男女がともに暮らし、子供を生み育てることに夢を持てる社会の形成に向け、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔総務部長吉田敏彦君登壇〕
〇総務部長(吉田敏彦君) まず、少子化に対応した公務員の雇用環境についてでありますが、本県においては、女性職員が教育職や行政職など多くの職種において年々増加してきており、その能力を十分に発揮できるようにするためにも、女性職員が安心して子供を産み、育てることのできる雇用環境を整備していくことがますます重要になってくるものと考えております。これまでも、育児休業制度や出産・育児に係る各種休暇制度の整備を初め、育児休業時の代替職員の確保、さらには各職場において、職員が休暇を取得しやすい環境づくりに積極的に取り組んできたところでありますが、今後におきましても、職員一人一人の意識改革を一層進めるなど、よりきめ細かな職場環境の醸成に努めてまいりたいと考えております。
 次に、防災情報網についてでありますが、本県の防災行政情報通信ネットワークは、衛星系の通信網と地上系の通信網という、異なった二つの通信系を有機的に結合した複合機能システムであり、県庁、地方振興局、市町村、消防本部などの間を相互に結ぶネットワークであります。このネットワークは、気象や地震等の情報を一斉通報回線によりファクシミリで、さらに電話回線により地方振興局や市町村に伝達が可能であること、また、災害現場の情報を映像等により伝送が可能な衛星車載局ぎんが号を配備していることなど、大量の情報処理ができる機能を有しております。
 次に、市町村から住民への情報伝達につきましては、同時通報無線、有線放送、広報車等により行われているところでありますが、特に同時通報無線は災害情報の伝達を行う上で非常に有効なものであります。このようなことから、同時通報無線は雫石町を初め県内34市町村で整備されておりますが、未整備及び整備済みの市町村において、早期整備または無線網の拡充・機能強化を図るよう、市町村に依頼してまいる考えであります。
 次に、9月3日午後5時、2号非常配備により、本庁及び盛岡地方振興局の職員全員は災害対策本部職員として任務に当たったところでありますが、9月4日の午前0時30分、警戒配備に切りかえまして、土木部等の事業3部は各課3人、保健福祉部は各課2人ずつ任務を継続いたしましたが、その他の部局につきましては全員任務を解いたところであります。このような措置をとったのは、余震とそれから被害状況の把握、さらにはこの地震と岩手山の火山活動とがどのようなかかわりがあるかを見極める必要があったためでございます。
 いずれにいたしましても、反省すべき点が多々ありますので、これを教訓にして、今後、防災対策について十分生かしてまいる考えであります。
   〔教育長大隅英喜君登壇〕
〇教育長(大隅英喜君) まず、県立図書館と公文書館についてでありますが、現在、県においては、機能の類似性や施設の効率化等の観点から、県立図書館・公文書館及び視聴覚障害者情報センター等を複合化した総合的な図書情報センターを構想中であり、県内のどの地域においても、図書情報等の検索や資料の利用が可能な、県民にとって利便性の高い施設となるよう、その基本構想を本年度中に策定することとしております。したがいまして、立地場所を含む建設計画につきましては、図書情報総合センター基本構想を最大限に生かしながら、できるだけ早期に樹立してまいりたいと考えております。
 次に、競技力向上に結びつく環境条件の整備についてでありますが、平成11年開催の99岩手総体に向け選手強化に積極的に取り組んできた結果、本年の全国中学校体育大会における女子ソフトボールや男子100メートルの優勝、四国インターハイにおける男子ホッケーの優勝を初め、中・高生が多くの入賞を果たしたところであります。これは、強化事業の成果があらわれたものであり、明年、地元開催での本県選手の活躍が大いに期待されるところであります。
 今後とも、強化事業がさらに成果を上げるよう、ジュニア期からの一貫した指導の充実や優秀選手及び指導者の養成確保に積極的に取り組むほか、民間企業等の協力を得ながら、県体育協会など、関係団体と一体となり競技力向上に努めてまいりたいと考えております。
 次に、'99岩手総体の会場整備の進捗状況についてでありますが、現在建設中である盛岡市の水泳場、サッカー場、一関市の総合体育館及び宮古市のマリーナは工事が順調に進んでおり、今年度内にはすべての競技施設の完成が見込まれております。
 次に、県内各地で開催される大会の運営につきましては、実施主体となる会場地実行委員会が、鋭意、取り組んでいるところでありますが、より円滑な運営を図るため、今年4月より、県高体連専門部委員長等を会場地に派遣し準備体制の充実を図ったところであり、今後とも大会成功に向け、関係機関、団体等と連携をとりながら万全の準備を進めてまいります。
 次に、岩手山の火山活動に伴う対応や食中毒への防止対策についてでありますが、登山大会のコースの一つとして予定していた岩手山は、火山活動の活発化により入山禁止の措置がとられたことから七時雨山コースに変更したところであり、今後とも、関係機関と連携をとりながら安全な大会運営を期してまいります。
 また、全国から集まる大会参加者の食中毒等を未然に防止するため、県実行委員会では環境・食品衛生対策要綱を定め、関係機関、団体の協力を得て、宿泊施設等の事前指導を徹底して行うなど、予防対策に万全を期してまいりたいと考えております。
 次に、総合的なスポーツ施設整備についてでありますが、県民がゆとりと豊かさのある生き生きとしたスポーツライフを送る上からも、生涯スポーツの活動のほか、全国的・国際的規模の大会が開催できる機能を有するとともに、優秀選手の育成強化や指導者養成などの多様なスポーツ活動を支える総合的なスポーツ施設としての機能が求められているところであります。現在、施設の規模や内容のほか、町村からの請願・要望のあった地域をも含めた整備候補地について、社会的条件や自然的条件などに関する調査検討を行っているところであります。その検討に当たりましては、科学的トレーニングなどの観点から、スポーツ科学などの学識経験者からの指導、助言もいただいているところであります。
 施設整備の計画に当たりましては、関連する国等の施設との調整を図りながら、中長期的な観点に立った段階的な対応が必要であると考えており、県及び市町村あるいは地域生活圏の役割分担、機能分担等をも考慮しつつ、現在策定中の新しい総合計画に位置づけできるよう、検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に、不登校の問題についてでありますが、学校においては、児童生徒一人一人の個性、能力を伸ばし、友人との触れ合いや充実した学校生活を通じて心を磨き育てていくことが重要であり、児童生徒の自立を促しながら、子供たちの心の居場所づくりや自分の存在を実感できる環境づくりなど、不登校を起こさないような学校運営と指導が基本であると考えております。このため、日々の授業の改善や指導相談体制の充実はもとより、地域行事への参加や地域の人材の活用、スポーツ活動や朝マラソンなどによる生活習慣づくりなど、家庭、地域との一層の連携と地域に開かれた学校運営に努め、不登校を起こさないような魅力ある学校づくりを目指すよう、指導してまいりたいと存じます。
 また、不登校の児童生徒に対しましては、さまざまな指導・相談の場づくりや適応指導教室の設置・スクールカウンセラーや在学青少年指導員の配置などを進めておりますが、郷土芸能の伝承など、地域の方々との触れ合いやキャンプなどの自然体験等も効果的であることから、こうした指導法の改善、研究にも努めてまいりたいと考えております。
〇23番(谷藤裕明君) それでは、再質問をさせていただきます。
 まず、公共投資についてでございますけれども、評価制度等の基準がまだ明確でないという中ではありますけれども、いずれ、このほど発表された国土計画の現状、いわゆる建設白書においては、むだな公共事業が多過ぎるというような批判があるわけでありますけれども、これから量から質への転換をしていくんだというような方向を打ち出されてくるのか。そうなった場合に、非常に岩手県のように、後発というか出おくれてきて、まだまだたくさん社会資本の整備をしていかなければならない地方、ここと大都市圏との綱引きが激化してきているのではないかと思っております。そういうことで、岩手県の持っている特性というものを、状況というものを積極的に国の方に訴えながら、必要なものは確実に確保してくるんだという決意で、岩手の特性を訴えていくという姿勢がこれからさらに必要になっていくのではないかと思っております。この件につきましても、決意のほどをひとつお聞かせをいただきたいと思っております。
 それから、次に盛岡都市圏の機能充実ということですけれども、ここの中での特に西口の県有地、昔から企業局会館跡地とか予定地とか言われた場所でありますけれども、やはりこれは西口開発の先導的役割を非常に期待していたものであります。
 それで、新幹線が、若干八戸までの工事が平成13年度よりもちょっとずれ込むかどうかという話も出ておりますけれども、いずれ、その時期に合わせて何とかそれを北東北の拠点都市を目指すんだということからいけば、その整備もあわせて取り組んでいくという積極的な姿勢が必要じゃないかと思います。検討委員会で一生懸命内容を吟味しているだろうとは思いますけれども、やはりタイミングというものがあるのではないかと。非常に盛岡としても通過駅になってしまうのではないかとか、いろんなことの心配があるわけですけれども、やはり駅周辺の整備充実というもの、これは非常に大切なことになっていくだろうと、このように認識しております。そういうことで、ひとつ検討は十分しなければならないわけでありますけれども、着工の方も機会を逃すことなく、ぜひ積極的な取り組みが必要だと感じます。今一度、決意のほどをこれもお聞かせをいただければと思います。
 それから、先ほど教育長からいろいろ総合的なスポーツ施設の整備について長期的な中でいろいろ考えていきたいというお話がございました。私、質問の中で、今回の国体の開催地、神奈川の2、400億円にも上るような大変な投資をしながら整備をしてきた。これを単年度でやるというような話ではないわけでありますし、それから、これだけの総合的なスポーツ施設を整備するとなれば、恐らく70ヘクタールとか80ヘクタールとか、かなりの広い面積を確保しながらやっていかなければならないだろうと思います。そういうことでは、それだけの地権者の方々の理解を得ながら、まず場所の選定を早めてその地権者の方々の理解を得ながら予算のつけ方、単年度でできないわけですから、それを随時理解をしていただきながら、そのエリアを確定していく、そこの中での随時整備に取り組んでいく必要があるのではないかと、そういうことも含めて、ひとつ今後とも一層研究されまして努力されますことを御要望申し上げておきます。
 それから少子化問題ですけれども、これはなかなか個々人の判断によるところが大きいわけですけれども、いずれ産み育てやすい環境、それから家庭教育にかかわる問題、まさに岩手県だけの問題ではなくて、国家存亡にかかわるぐらいの大変なテーマだろうと、このように思っておりますので、いろいろな環境整備について今後とも積極的な取り組みを期待申し上げる次第でございます。それぞれ御答弁をいただければありがたいと思います。
 また、これは先ほど知事、白紙状態ということのお話がございました。従来からのしがらみにとらわれない幅広い政治スタンスで、県民のために全力で取り組むんだというように私は理解をいたしましたけれども、異論があった場合は御答弁をいただきたいと思っております。
 以上であります。
   〔企画振興部長武居丈二君登壇〕
〇企画振興部長(武居丈二君) 公共投資に関する再質問がございました。多軸型の国土構造の形成を促進する観点、あるいは地方分権型の行政システムへの転換を促進する観点、さらには本県が持つ資源が21世紀の魅力のある国土形成の一翼を担う観点、こういった観点から、本県としても真に必要な公共投資の促進を積極的に促していくと、こういうことは大変重要であるというふうに考えてございまして、国に対しましては、県議会の議員と一緒になりまして実施する統一要望を初め、本県もメンバーとなっております社会資本整備推進地方連合、これは昨年発足しまして、特にこれからの時代を展望しまして、地方における社会資本整備の促進を目的として、全国のそういったものがいまだおくれている全国の38都道府県で構成しているものでございますけれども、こういったものを通じ、また、北海道・東北7県の知事により構成される北海道東北地方知事会やさらに各県知事に各道県の議会議長も含む、北海道東北自治協議会などの場を通じまして、公共投資の促進について積極的に働きかけを行ってまいりたいと考えております。
 それから、盛岡駅西口地区県有地の活用についてでありますが、施設の整備につきましては、中央大橋の開通時期や西口地区の都市開発整備事業の進捗状況など、周辺全体の整備状況や財政状況を考慮して行うべきものと考えておりますが、これらとあわせまして、当用地は、盛岡都市圏全体としての北東北の拠点性の向上や県内外の各地域間との連携や交流の促進を図る上で極めて重要な位置にあることから、その整備に当たっては、議員も御指摘ございましたが東北新幹線盛岡以北の開業時期についても、重要な視点として留意すべきものと考えております。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕
〇保健福祉部長(関山昌人君) 少子化に対する総合的な取り組みについてでありますが、少子化対策としては、雇用環境の改善や家庭における固定的な男女の役割分担意識の是正など、幅広い観点から施策が必要と認識しております。岩手県子育てにやさしい環境づくり対策指針においても、子育て中の就労継続のための職場環境の整備や子育て時間が確保できるような労働時間の短縮、子育てについての男女共同参画意識の醸成などの施策も進めることとされており、育児・介護休業期間の生活の安定を図るための育児・介護休業者生活資金貸付金や、男女平等に向けての意識改革を進めるいわて女性さわやかプラン推進事業を実施しているところでございます。本年度は、少子化に対する、より総合的な取り組みのための基礎資料を得ることを目的として、県民6、000人程度を対象とした少子化に関する意識調査を実施しているところであり、今後は、意識調査の結果等をもとに新しい総合計画と連動しながら、岩手県子育てにやさしい環境づくり対策指針の見直しを行い、より総合的な取り組みに向けて努力してまいりたいと考えております。
   
〇副議長(吉田秀君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時33分 休 憩
   
出席議員(43名)
1番 斉  藤     信 君
2番 上  澤  義  主 君
3番 佐 々 木     博 君
4番 中 屋 敷     十 君
5番 佐 々 木  一  榮 君
6番 黄 川 田     徹 君
7番 小 野 寺     好 君
9番 千  葉     伝 君
10番 佐 々 木  大  和 君
11番 水  上  信  宏 君
12番 伊  沢  昌  弘 君
13番 大 久 保     豊 君
14番 田  村  正  彦 君
15番 須  藤  敏  昭 君
16番 藤  原  泰 次 郎 君
17番 伊  藤  勢  至 君
18番 高  橋  賢  輔 君
19番 渡  辺  幸  貫 君
20番 折  居  明  広 君
21番 船  越  賢 太 郎 君
22番 浅  井  東 兵 衛 君
23番 谷  藤  裕  明 君
24番 久 保 田  晴  弘 君
25番 瀬  川     滋 君
26番 長 谷 川  忠  久 君
27番 千  葉     浩 君
29番 三  河  喜 美 男 君
30番 村  上  恵  三 君
31番 村  田  柴  太 君
33番 菊  池     勲 君
34番 工  藤     篤 君
35番 菅  原  温  士 君
36番 小  原  宣  良 君
37番 吉  田  洋  治 君
38番 藤  原  良  信 君
39番 及  川  幸  郎 君
40番 那 須 川  健  一 君
42番 山  内  隆  文 君
46番 山  崎  門 一 郎 君
47番 菊  池  雄  光 君
48番 佐  藤  啓  二 君
49番 堀  口 治五右衛門 君
50番 吉  田     秀 君
   欠席議員(4名)
43番 佐  藤  正  春 君
44番 樋  下  正  光 君
45番 佐 々 木  俊  夫 君
51番 藤  原  哲  夫 君
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
午後3時50分 再 開
〇副議長(吉田秀君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。渡辺幸貫君。
   〔19番渡辺幸貫君登壇〕(拍手)

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