平成10年9月定例会 第15回岩手県議会定例会会議録

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〇43番(佐藤正春君) 私の方からは、奥産道に関連をいたしまして質問をいたします。
 いわゆる奥産道の問題については、ただいまも菅原温士議員から、大変に愛情のこもった質問があったわけでございますが、この問題については過去にもいろいろ議論がございます。最終的には中止であるか、あるいは続行するかということは、知事、土木部の判断を待つことになるわけでございますが、この際、重要な点が欠落しておりますので、これを指摘して御答弁を賜りたいと思います。
 まず、検討委員会の諸先生方には大変に御苦労さんと、このように謝意を申し上げておきます。御提言の内容を見ますと、8項目の検討事項を挙げ、一時休止を含め慎重に対応されたいとありますが、さきの土木常任委員会の私の質問に対して、土木部当局は、もとよりこの検討委員会は法的な権限はない、このように明言をされており、さらには最終提言を受けてから答弁をしたいと、このようにありましたので、次の点についてお伺いいたします。
 まず、この検討委員会は、動植物、自然保存のそれぞれの分野での専門家で構成されていますが、いわゆる親子代々この緑のジャングルで営々として林業、農業に従事をされてこられた地域の住民の代表が入っておりません。なぜでしょうか。この住民の声はどこに反映されているのでしょうか。ルート変更、トンネルの拡張、事業の一時休止まで提言をされておりますが、これは検討委員会としての越権行為になりませんか。土木部当局は、何をどこまで検討を依頼したのでしょうか。この事業は、昭和40年国庫補助事業として着手、いろいろな経過の中で、特に昭和59年から環境庁、建設省の承認の中でこのルートを認め、県議会でも予算を組み、論議を重ねてまいったわけでございますが、この提言によりますと、私たち議員は間違った議会決定をしたことになりますか。間違ってますか、我々のやったことは。環境庁の承認を得た現ルートと、検討委員会の見直しルートとどちらが正しいのですか。県民にひとつわかりやすく、県民は非常に混同しておりますから、わかりやすくお示しを願いたいと思います。
 また、法的権限のない検討委員会と県民の公選による議員による議会の意思決定と、どちらを尊重するんですか、どちらが県民を代表するのですか、御見解を伺っておきます。なぜかと申しますと、これは、これからの県政運営上の重大な問題でございます。これからも検討委員会、審議会等もございますから、非常にこれは重大な問題でございますので、ひとつお答えを願いたい。
 環境庁の現ルートの変更ということになりますと、国庫補助事業ですので補助金は一度は返還しなくてはなりませんね、返還することになりますか。また、提言内容に沿うようなルートを変更しますと、さらに莫大な経費がかかりますが、そこまでかけて自然を守ることが、知事のいうところの自然との共生に値しますか。これからそれだけ掲げて、自然との共生に値しますか。
 最後になりますが、この奥産道問題については、地元住民、汗を流して林業、農業に精を出されて、しかもその苦労が報われない県北住民の声が伝わってこないし、姿が見えません。私は、自然も大切だが、そこに住むところの住民、生活をする住民をもっと大切にしなければならないと考えている一人でございます。自然保護というこのお題目、自然保護というとすべてを犠牲にしてひれ伏さなければならないんですか。みんながそれに従わなければならないんですか。そこでいつもならば、私は、この議席から共産党とか社会党の諸君が住民を守れと言うんですが、今度は聞こえない。自民党の佐藤正春が一人で孤軍奮闘している。残念でしようがない、これは。知事、頑張ってくださいよ。
 そこで改めて、私は、県北住民による公聴会と県北市町村の首長との検討委員会委員によるところの公開討論会を御提言いたしますが、いかがでしょうか。
 知事は、先ほど菅原議員の質問に対して、今後、総合的判断をしたいと、このような御答弁でございますが、この結論はいつごろ出すのですか、知事。結論はいつごろ出すのか、ひとつお伺いしておきます。
 以上をもって、関連質問を終わります。
   〔土木部長大石幸君登壇〕
〇土木部長(大石幸君) 一般県道雫石東八幡平線、いわゆる奥産道についてお答えいたします。
 まず、委員会への住民の参加、住民を代表する声の反映についてでありますが、この道路検討委員会の委員は、動植物、景観、環境、地域計画、交通計画、観光、マスコミ等の有識者で構成し、専門的かつ客観的見地から議論をいただくために選定したものでございます。委員会としては、地域や地元からの要望や意見を聞くことが大切と判断し、地元雫石町長や松尾村の観光協会の方、さらには公募によって地元の方々も参加し、公開の場で御意見をいただいたところであります。また、当委員会に対して、雫石町、松尾村の両町村や議会で構成する雫石東八幡平奥地産業開発道路促進協議会から整備促進に係る要望書もいただいているところでございます。
 次に、委員会に依頼した内容についてでありますが、専門的な見地より、自然環境調査、地域の将来像、道路の役割と整備効果、道路と自然環境との共生の方向性などを論議いただき、今後の道路整備のあり方についての提言をお願いしたものであります。
 次に、今までの議会の決定についてでありますが、これまでの事業につきましては、県議会の御審議を経て事業を行ってきたもので、適正に執行してきたものと考えております。
 次に、現ルートと見直しルートに関してでありますが、現ルートにつきましては、昭和58年、県からの協議に基づき、環境庁より、第一種特別地域に係る通過方法及びルート案については、おおむね妥当であるとし、なお実施設計に当たっては、自然環境保全対策が十分講じられるよう配慮することとの回答を得ており、事業実施に当たっては、各年度ごとに自然公園法に基づき、整備区間について協議し、事業を実施してきているところであります。また、委員会での提言は、ルートを特定したものではなく、自然環境に与える影響をより少なくするよう再検討を求められたものであります。
 次に、委員会と議会の意思決定についてでありますが、県民の負託を得て選出された議員による議会は、県民を代表し、その議決は県行政の意思を決定するもので、尊重されなければならないものと考えております。一方、この委員会の提言は、この奥産道の今後の行政の対応について判断をする際、考慮すべき意見であると考えております。なお、近年における公共事業そのものに対する重点化、効率化、透明性の確保や自然環境に対する意識の高まりも踏まえますと、時宜に応じて再検討を行うことは、今後、行政に課せられた責務であると考えております。
 次に、ルート変更に伴う国費の返還等についてでありますが、現在、委員会の提言を受けて検討しているところであり、自然との共生も含め、これら判断材料がそろった時点で適切に対応してまいりたいと考えております。
 最後に、公聴会、検討会等についてでありますが、これまで地元関係機関からの要望や委員会での検討経緯の中で、御意見として伺っているところでありますが、今後、委員会からの提言の検討結果をお示しして、改めて御意見をお聞きする場を設けることとしたいと考えているところでございます。
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) ただいま佐藤正春議員から結論をいつまでに出すのかと、こういうお尋ねがございました。この問題につきましては、この秋のうちに結論を出したいと、具体的には11月中には結論を出したいと、このように考えております。
〇議長(那須川健一君) 次に、三河喜美男君。
   〔29番三河喜美男君登壇〕(拍手)

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