平成10年9月定例会 第15回岩手県議会定例会会議録

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〇35番(菅原温士君) 自由民主党・県民クラブの菅原温士であります。
 質問に先立ち、去る8月25日に御逝去されました工藤巌前岩手県知事の数々の御功績に対し、改めて感謝を申し上げますとともに、深く御冥福をお祈りいたします。
 また、このたびの大雨・洪水や地震により、被害を受けられた方々に対しまして、心からお見舞いを申し上げる次第であります。
 それでは、まず最初に、奥産道についてお伺いをいたします。
 この奥産道の雫石町網張温泉、松尾村松川温泉を結ぶ16・2キロメートルは、昭和40年に国庫補助事業に採択され着工しましたが、自然保護団体の反対等で一時凍結され、一部ルート変更後、昭和59年に工事を再開したところであります。松川工区、網張工区のうち、平成7年度までの事業進捗率は約62%で、国立公園計画にも位置づけられた車道であります。平成7年のトンネル工事影響調査の際、請負業者が重機で原生林を破壊したことから、県は工事を凍結、平成9年5月には道路検討委員会を設置し、論議を重ねること10回、8月20日には県に対して提言を行ったところであります。
 その提言の内容は、良好な自然環境の中を奥産道が通過するため、解決すべき課題として、自然環境に配慮したルート変更など八つの条件を挙げ、一時休止も含め、慎重に対処されることが望ましいと求めたところであります。一方、松尾、西根、滝沢、雫石の4町村にまたがる岩手山は地下活動がやまず、西側で水蒸気爆発が起こる可能性があり、入山禁止となってから3カ月が経っております。このような中で、9月3日午後4時58分ころ、本県内陸北部を中心に強い地震があり、雫石町で震度6弱を記録し、震源は火山活動が活発な岩手山付近と見られておりますが、研究者は、今回の地震は火山性地震と異なるが、警戒が必要であると指摘しているところであります。また、この地震による被害は、軽傷者が9人、県道西山生保内線での道路寸断等が発生しているところであります。今回のこのような状況は、奥産道問題に対しても避けて通れない大きな課題を残したものと思われるのであります。天災は忘れたころにやってくると申しますが、奥産道の建設は、こういった災害対策も踏まえ、慎重に検討していく必要があると考えられるのであります。今後、こういった事情にも配慮しながら、奥産道の建設についてどのように対処しようとしているのか、知事の御所見をお伺いいたします。
 また、岩手山の火山活動に関連して、県は、この9月10日に消防防災課内に火山対策監を配置したと承っており、適切な措置と評価をするものであります。今後におきましても、岩手山の火山活動についての警戒と情報伝達対策の強化は、最も重要な課題と考えるものでありますが、その対応についてもあわせて知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、大雨・洪水による被害とその対策についてお伺いをいたします。
 去る8月26日から9月1日にかけての停滞前線の活発化による大雨洪水被害は、県内各地に広がり、特に両磐地方は、河川水の増大による民家の浸水や田畑の冠水が相次ぎ、小中学校は休校を余儀なくされ、鉄道網は東北線、大船渡線、三陸鉄道リアス線の運転中止のほか、高速道路、一般道路の速度制限や国道284号の通行どめなど、県民生活に大きな影響と被害をもたらしたところであります。特に、東磐井郡川崎村におきましては、床下まで水が迫った特別養護老人ホームでは、入所者を近くの高台の施設に避難させました。寝たきりのお年寄りが多く、関係者の応援で搬送したところであります。また、田畑の冠水などによる農作物等の被害面積は、県全体で2、821ヘクタール、被害額は12億6、100万円となり、実りの秋に期待する農家にとって、大きな打撃となったところであります。増田知事は、8月31日に被害の最も大きかった一関市、平泉町、東山町、川崎村などを視察し、各地の関係者から詳しい状況説明を受けられたのでありますが、その対応に対して心から感謝を申し上げる次第であります。
 そこで、特に地域課題としてお尋ねいたしますが、川崎村におきましては、住家被害、農業関係被害、土木施設被害など、合計12億1、200万円の被害額となっております。川崎村は水害常襲地帯であり、長年水害に見舞われ、その対策が急がれておりましたが、その対策として現在、千厩川の改修が進められてはいるものの、いまだ完成いたしておりません。あわせて、山間部から流れ出す加妻川の内水処理ができないため、大きな被害が生じたのではないかと思われるのであります。知事が、現地入りいたしましたとき、関係者からこれらの解決を要望されましたが、今後この取り組みについて、県はどのような対策と計画をとっていくお考えなのかお尋ねをいたします。
 次に、県民所得の向上と産業振興に係る基本的姿勢についてお伺いをいたします。
 県民所得の向上は、いつの時代でも県政の最重要課題であります。先般、経済企画庁が発表した平成7年度の1人当たりの県民所得を見ると、我が岩手県は257万8、000円で、全国第37位というところであります。これは、425万5、000円で全国第1位の東京都を100とした場合の指数で60・6、また、国民所得302万9、000円を100とした場合の指数は85・1%で、東北では全国42位の青森に次いで低く、下から2番目という結果となっております。国民所得の伸び率1・5%に対し、岩手県の伸び率が2・5%ということを考えると、国民所得との所得格差は徐々に縮まってきているということが言えると思うのでありますが、我々の感情からすれば、国民所得のところまで少しでも近づきたい、できれば追いつき追い越したいと、常にそういうような願望を持っているわけであります。平成7年度の数値ではありますが、この県民所得の状況について、知事はどのような認識をお持ちなのかお伺いをいたします。
 第三次岩手県総合発展計画の主要指標として掲げられた県民所得は、平成7年度で260万円程度とされております。計画策定年度である平成3年度の1人当たりの県民所得は236万6、000円であり、このときの全国順位が37位であったことを考えると、確かにここ5年で20万円余増加しているものの、全体の中で岩手県の力というものは一向に伸びが見えないし、その実感もないのであります。現在、策定作業中の新しい総合計画には、目標として掲げるからには、これまでのように単に経済予測の伸び率を掛け合わせた額を見込むということではなく、計画終了年度において、1人当たりの県民所得を国民所得まで引き上げるということを明記し、高みに望む覚悟をもって岩手県の地位向上を図るべきものと思うのでありますがいかがでしょうか、お伺いをいたします。
 また、所得の向上は、イコール産業の振興ととっても差し支えないと思うのでありますが、産業振興に係る基本姿勢は何か、何を中心として取り組んでいくお考えなのか、あわせて知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、企業誘致と工業団地の整備についてお伺いをいたします。
 御承知のとおり、今日我が国は、これまでに経験したことのない経済的苦境下にあり、先般の月例経済報告では、個人消費の低調、設備投資の減少、雇用者数の減少など景気の低迷状況が長引き、極めて厳しい状況にある様を吐露するなど、日に日にその厳しさが倍加してきていると申しても過言ではないと存じております。このような中にあって、本県経済の牽引役は、サービス業と誘致企業を初めとする製造業であります。私は、より広範な工業振興施策の展開を期待している者の一人でありますが、県民生活の向上を図っていく上で、いかに経済情勢が厳しくとも、企業の誘致は、県、市町村が総力を挙げて取り組まなければならない課題であると考えるものであります。そのためには、新たな企業の誘導はもちろんのこと、既に本県に立地している企業へのフォロー、企業活動への気配りということも重要な企業誘致戦略と常々考えているところであります。
 そこで県は、立地されている企業に対するフォローについて、基本的にどのようなお考えで進めているのでしょうか、まずお伺いをいたします。
 また、バブル経済の崩壊と相前後し、企業誘致の対象を従来の生産部門の地方展開に加え、研究開発部門にも広げ、その受け皿についてさまざまな角度から検討が加えられてきていると承知をいたしております。
 しかしながら、研究開発工業団地整備についての平成9年2月の議会における私の質問に対し、知事から、一関市に整備する方向でとの答弁をいただいておりますものの、その後、具体的なものが見えておりません。同様に、優良企業の受け皿とする拠点工業団地について、東磐井地区も有力な候補地でありますが、その方向性も明らかにされておりません。
 そこで、あわせてお伺いいたしますが、今日の状況を踏まえ、企業誘致の受け皿である研究開発工業団地のその後の検討状況、及び拠点工業団地の整備に係る県当局の基本的なお考えをお示し願います。
 次に、介護保険制度の導入についてお伺いをいたします。
 私は、昨年の10月、海外行政視察の機会を与えられ、同僚議員とともにヨーロッパ6カ国の視察を行ってまいりましたが、その中で老人福祉問題、特に介護保険について、制度導入の先進国であると言われるドイツの介護保険について調査をいたしました。ドイツの介護保険制度は、日本と同じ社会保険方式により運営されており、両国の制度の基本的枠組みが類似していることから、本県における制度施行準備にも大いに参考になると考え、興味深く調査をしてきたところであります。視察先でありますノルトライン・ヴェストファーレン州地域健康保険会社のケッセルハイム氏からは、幾つかの助言を受けました。それは、介護認定のランクの決定を公正にするため、認定委員の人選が重要であること、また制度について、たゆみない広報の努力が必要であるという助言でありました。私は、この助言は、本県の介護保険制度導入に向けた取り組みについても、大いに参考となるアドバイスであると考えているところであります。
 そこで知事にお伺いいたしますが、介護保険制度導入に向け、市町村において住民に対する制度の周知及び適切な要介護認定の体制確保が必要と思うのでありますが、今後、どのように市町村を指導していくおつもりなのかお聞かせ願います。
 次に、野菜振興についてお伺いをいたします。
 農業をめぐりましては、国際化の進展に伴う農産物輸入の増大、米需要の大幅な緩和による米価の低迷や、新たに6、300ヘクタール余の生産調整面積の拡大など、大きな変化を来しており、本県農業の大半を占める稲作農家はもちろんのこと、農業者全体の意欲にも大きな影響を及ぼしております。こうした中で、農業で所得を確保していくためには、収益性の高い野菜、花等への作付拡大を推進するなど、園芸振興に活路を見出すことが重要であり、特に、本県園芸生産の3分の2を占める野菜の生産拡大が重要な課題であると考えております。しかしながら、本年の野菜の生産状況を見ますと、7月下旬以降の低温、多雨、日照不足の影響から、生育のおくれや病害の発生による品質の低下が見られ、収穫量も大きく減少するなど、野菜生産農家は大変苦労いたしております。また、販売単価におきましても、一部の野菜を除き、低単価で推移しており、特にキャベツについては、野菜の中でも大幅に低い単価で取引されるなど、極めて厳しい状況に置かれております。申すまでもなく、野菜は気象や価格変動の影響を受けやすい作物でありますが、野菜生産農家は、生産・販売両面から大きな打撃を受けております。私は、こうした状況が農家の生産意欲の停滞を招き、本県野菜生産が大きく落ち込むのではないかと懸念しているものであります。
 そこでお伺いいたしますが、県は、本年の野菜の生産販売状況をどう認識し、今後、野菜の産地形成をどう推進しようとしているのか、お聞かせ願いたいと思います。
 また、産地形成とあわせて、本県が持っているよさ、独自性を強調し、他県産地との差別化を図るなど、野菜のブランド化を積極的に推進すべきと考えるものでありますが、県のお考えをお伺いいたします。
 次に、中小企業対策についてお伺いをいたします。
 日本銀行の平成10年6月の企業短期経済観測調査、いわゆる日銀短観の規模別企業の業況判定指数によると、業況がよいとする企業の割合から、悪いとする企業の割合を引いて求められたこの指数は、すべての規模の企業において業況感は悪化しているが、大企業と比べて、中小企業、その中で特に、小企業の業況感が厳しいとの報告がなされております。平成9年以降の急速な景気低下、民間金融機関の相次ぐ破綻などによることが大きいわけでありますが、中小企業の倒産の大幅な増加一つ見ても、業況の深刻さがはっきりわかるわけであります。
 そこで、さきの県議会において、必要な対策として、県内中小企業者の業況回復及び経営の安定化に資するということを目的に、いわて緊急経済対策資金を創設したわけでありますが、7月21日から融資を開始し、10日余り経過した7月末で170件、26億1、000万円、それが8月末には1、290件、176億7、900万円と申し込みが殺到しているとのことであり、大変な利用状況と聞いております。このことは、業況が悪化し、資金繰りに苦しんでいる中小企業が、大幅に増加している現況を如実に示しているとも言えます。いわて緊急経済対策資金は、まさに時宜を得た資金として評価を受けたものではないかと思うのでありますが、県は、この資金の利用実態をどのように分析し、評価しているのかお伺いをいたします。
 また、この資金は、平成11年3月までの利用期間限定の資金でありますが、利用申し込みが今後とも盛況である場合、県は、今後の対応をどのように考えているのか、あわせてお伺いをいたします。
 これから年末の資金需要期を迎えるに当たり、中小企業者の資金繰りはますます厳しさを増すことが予想されることから、融資枠の十分な確保を要望するものであります。
 次に、新エネルギービジョンと地熱熱水利用についてお伺いをいたします。
 昨年12月には、地球温暖化防止京都会議が開催され、地球環境問題に関する国民の意識は急速な高まりを見せたところであります。知事は、平成10年を岩手の環境創造元年と位置づけ、また、就任以来あらゆる場面において、環境というキーワードをポイントに県行政を推進されるとともに、環境の保全及び創造に関する基本条例や環境影響評価条例を制定するなど、その姿勢は是とするところであります。また、環境とエネルギーとの調和に関する岩手宣言や、新エネルギーの導入目標などを盛り込んだ新エネルギービジョンを策定したところでありますが、次の問題は、では岩手県として具体的に何ができるのか、地方自治体としてどこまで突っ込んでいけるかということであり、その実践力が問われているところであります。今後、建設予定の県営施設には、極力、クリーンで地球環境に負荷の少ない太陽光、風力等の新エネルギーのシステムを導入して実際に見せることで、県民生活への普及を図っていくべきものと考えますがいかがでしょうか。
 また、岩手にはすぐれた特徴的な資源の一つであります地熱エネルギーがあるわけでありますが、これまで県と国が継続して試験を行ってきた地熱熱水資源の開発利用の促進に、いよいよ本腰を入れるべきときが来ているのではないでしょうか。地熱熱水供給事業の今後の展開についてどのように考えているのか、あわせてお伺いをいたします。
 次に、青少年健全育成対策についてお伺いをいたします。
 昨今のナイフによる青少年非行事案等を見るに、いわゆるキレルという現象など、現代の青少年に見られる憂慮すべき状態は、家庭の教育力の低下、学校教育のひずみ、地域社会の無関心等さまざまにその原因が分析されておりますが、それらは特定のどれかに原因があるというものではなく、まさに現代日本の社会状況全体を反映しているものと思うのであります。県は、青少年健全育成対策として、生活環境部の所管で洋上セミナーを行ったり、県青少年育成県民会議を通じての各種事業を実施しているところであり、大方の青少年にとって健全な育成がなされているものと考えております。しかしながら、このような対策の実施にもかかわらず、一部ではありますが青少年非行は後を絶たず、県民の憂慮するところとなっているのであります。青少年の非行の根絶を目指す観点から、非行防止のためのより積極的な施策が必要であると考えるものでありますがいかがでしょうか、県の考えをお伺いいたします。
 次に、県民生活の安全確保という観点から、交通事故対策について警察本部長と生活環境部長にお伺いをいたします。
 さて、近年、我が国では、第二次交通戦争と言われるような交通事故が多発し、大きな社会問題となっております。一方、本県の交通事故状況は、関係者の努力にもかかわらず、平成9年の交通事故による死者は144名、本年は既に96名と極めて憂慮すべき事態であり、このことは県政にとっても大きな課題であると思うのであります。また、私も交通安全運動を推進する者の一人として、この事態を重く受けとめ、交通事故防止運動に努力しなければならないものと痛感をいたしているところであります。
 さて、警察本部の調査によれば、平成元年を基準とした場合、平成9年の交通事故は1・12倍と横ばいにもかかわらず、65歳以上の高齢者が関係した事故は1・89倍となっております。その中で、特に高齢運転者による交通事故は2・56倍、そのうち、高齢運転者側に主たる原因がある事故は3・18倍、また、高齢者の交通事故死傷者数は1・81倍と大幅に増加いたしております。これは個人差があるとはいえ、一般的に年をとるとともに、視力、聴力、体力等の機能が低下することは否めない事実であり、高齢者がそれを自覚しないことが、高齢者の交通事故が増加する要因の一つであると思うのであります。このような観点から、高齢者の関係する交通事故を防止するためには、高齢者自身に身体機能等の状況を知ってもらうための実技講習、高齢者が安心して通行できるような交通安全施設の整備、あわせて交通安全意識を高めるための広報、啓発等に取り組んでいく必要があると思うのでありますが、その取り組みについて警察本部長にお伺いをいたします。
 また、県交通安全対策協議会において正しい交通ルールを守る運動県民大会を開催し、啓蒙運動を進めているのでありますが、特に今後の交通安全運動は、官民一体となった関係機関の協調が不可欠と思うのでありますが、県当局は、今後どのような対策を考えているのかお伺いをいたします。
 以上で私の一般質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 菅原温士議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、一般県道雫石東八幡平線、いわゆる奥産道についてでございますが、今回の地震によりまして、奥産道と近接する一般県道西山生保内線につきましては、大規模なのり面崩壊などによりまして甚大な被害を受けたところでございます。
 また、いわゆる奥産道につきましては、地震発生後、直ちに被害の状況について点検いたしましたところ、松川側につきましては被害はなく、網張側につきましてはのり面からの落石等が確認されましたが、一時交通どめの措置を講じたところでございますけれども、軽微な被災の状況にとどまっておりまして、落石の除去作業を行って速やかに交通どめを解除したところでございます。
 今回の地震からは、災害などに対する危機管理も含めまして、教訓となることは多数あったところでございますが、道路の耐震対策につきましては、国におきまして、既に阪神・淡路大震災後に橋梁や重要な構造物について設計基準の見直しが行われ、県としてもその対応を行ってきたところでございます。したがいまして、奥産道に関する検討委員会からの提言の中で、検討すべき課題として、地すべりや崩落などに対処することや、地震などの防災的な観点からの保全工事についてもこの中で述べられておりまして、国の定める基準に基づき、慎重に技術的な検討を行い、対処すべきものと、このように考えております。
 奥産道の今後の対応につきましては、土木部及び関係機関での提言に関する検討が終了次第、行政上の課題も含めまして、総合的に勘案して、できるだけ早く県としての判断を行いたいと、このように考えているところでございます。
 次に、岩手山の火山活動についての警戒と情報伝達対策の強化についてでございますが、県では、6月24日の臨時火山情報第2号を受けて以来、岩手県災害警戒本部を設置して24時間体制で情報収集や監視を行いますとともに、岩手山の火山活動対策検討会や岩手山の火山活動に関する関係機関連絡会議を設置しまして万が一に備えているところでございます。
 また、岩手山が噴火した場合には、御指摘のとおり、その情報を正確かつ迅速に収集して関係市町村や県民に直ちに伝達することが最も重要でございますので、県では、既存の衛星系の防災行政無線やNTTの災害優先電話などの効率的な活用方法を徹底して、また、10月18日に実施を予定いたしております岩手山噴火対策防災訓練におきましてもこれらの習熟訓練を行うこととしております。さらに、衛星携帯電話を大幅に設置するなど、情報伝達体制を充実強化して通信手段の確保に万全を期するとともに、市町村に対しても同様な配置を依頼してまいりたいと、このように考えております。
 なお、災害対応の基本は、関係市町村長が法に基づきまして、避難勧告など適時適切に対策を講ずることにあるわけですが、県では、気象庁からの情報や研究機関等の専門的な立場からの助言を得て、関係市町村と一体となって取り組むことが必要と考えておりまして、昨日、関係6市町村長とより一層連携を図りながら災害に備えることを確認し合ったところでございます。
 次に、県民所得の向上と産業振興に係る基本的な姿勢についてのお尋ねでございますが、本県におきましては、高速交通幹線を初めとする総合的な交通網などの基盤整備や先端技術産業の立地、各種試験研究機関の整備などによりまして産業経済活動が活性化する中で、県民の所得水準は、東北新幹線の盛岡-大宮間が開業いたしました昭和57年度には1人当たりの国民所得の77・4%でございまして、これが、平成7年度には85・1%と、着実に向上してきております。しかし、全国の水準と比較いたしますと引き続き県民所得の向上に努めていかなければならないものと認識いたしておりまして、新しい総合計画への位置づけにつきましては、現在、総合計画審議会での審議もいただきながら検討を進めてまいりたいと考えております。
 産業振興の基本的な姿勢といたしましては、まず、産業経済活動の基盤となります社会資本の整備充実に努める必要がございますので、東北新幹線の盛岡以北や花巻空港、高規格幹線道路、地域高規格道路などの交通網や高度情報化の急速な進展に対応した情報通信網の整備を引き続き積極的に進めるとともに、下水道整備などの良好な居住環境の形成や都市機能の一層の充実、教育環境の整備などを図ってまいりたいと、このように考えております。
 このような社会資本の整備と相まって、産業振興につきましては、テクノポリス、リゾート、地方拠点都市、頭脳立地、基盤的産業集積の活性化などの地域特性に合わせたきめ細かな産業振興の施策を積極的に推進しますとともに、優良な企業の誘致、地域独自の技術などに立脚した、いわゆる内発型の工業振興、コミュニティー機能などを備えた商業集積、グリーン・ツーリズムなど、本県のすぐれた自然や文化遺産などを生かした観光の推進、地域特性に応じた収益性の高い農林水産業の振興を図るなど、1次産業から3次産業までの各産業の活力ある発展に努めていくことが重要であると、このように考えております。
 さらに、今後、本県の産業振興にとって特に重要となりますことは、情報、技術などのいわゆる知的資本の集積、意欲的なベンチャー企業の育成、医療・福祉や環境などの新たな分野の産業の創出、農林水産業と食品関連産業、生活関連産業などの産業分野を越えた一層の連携など、こうした新たな視点から産業振興の施策を積極的に展開していくことであると、このように考えておりまして、こうした考え方は、新しい総合計画の中にも明確に位置づけてまいる考えでございます。
 なお、真に豊かな県民生活を実現するためには、所得水準の向上に加えまして、本県の豊かな自然やゆとりある生活空間を生かしながら、日常生活の利便性や選択可能性の向上を図って、大都市と比較して、より暮らしやすい生活条件の充実に努め、精神的な充実感を含めた暮らしの総体的な満足度を向上させることが重要でございまして、新しい総合計画の策定に当たりましても、このような観点からの検討を現在進めているところでございます。
 次に、介護保険制度についてでございますが、急速に進展する高齢社会の中で、より豊かで安心できる県民生活を確保するためには、老後の最大の不安要因となっております介護を社会全体で支える介護保険制度の円滑な運営が必要と考えております。このため、この制度を支える県民の方々の理解が何よりも重要でございまして、市町村と連携しながら、制度の仕組みなどについて、パンフレットの配布や住民説明会の開催などによりまして広報活動を積極的に展開しているところでございます。
 また、この制度におきまして、高齢者などが介護サービスを利用する際に必要となる要介護認定につきましてはサービスの給付水準などを決定する重要な手続となっておりまして、委員の人選も含めて、審査会の運営に当たっては公正かつ公平性が求められているところでございます。したがいまして、市町村において認定審査が適正に行われるよう、今年度、すべての市町村を対象として試行的に認定審査の運営を行いますとともに、審査に参画する学識経験者に対して、現在、研修を実施しているところでございます。
 また、審査のより客観的かつ効率的な運営などを確保する観点から、介護保険事業の広域化が望ましいと、このように考えております。
 今後とも、引き続き県民に対して制度の周知を図りますとともに、市町村と一体となって、介護保険制度の円滑な導入に向けて、その体制の確保に努めてまいりたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁をさせますので、御了承お願いいたします。
   〔土木部長大石幸君登壇〕
〇土木部長(大石幸君) 千厩川の河川改修と内水対策についてでございますが、まず、今回の水害で被害に遭われた方々に対しまして、心からお見舞い申し上げるところでございます。
 さて、川崎村におきましては、これまでも北上川の出水による千厩川のはんらん等により大きな被害を受けてまいりました。このため、県では、昭和53年度より国庫補助事業の河川改修事業を導入し、圃場整備事業との調整を図りながら、河道掘削や築堤、護岸等の整備を進め、平成4年度には新河道へ切りかえを行うなど、鋭意事業を進めてきたところでございます。しかしながら、河川の整備には膨大な費用と長い年月を要するため工事途上にこのような浸水被害が発生することとなり、事業の早期完成の必要性を痛感しているところでございます。このことから、千厩川の改修につきましては、より一層事業の重点的な執行を図り、加妻川の排水樋門の早期完成を図るとともに、築堤などの整備を進め、この工区の平成11年度の概成に向け努力してまいりたいと考えているところでございます。
 また、内水対策についてでありますが、現在の改修計画には当時の土地利用の状況から内水排除施設は認められませんでしたが、事業着手当時と現在の沿川の土地利用形態が大きく変わり、国道284号のバイパス工事や新たな公共施設の建設等も進んでおり、内水対策は当然必要な施設となっているところでございます。したがいまして、出水状況等の調査を進め、国とも十分協議の上、内水排除施設の整備を新たに計画し、早期に整備が図られるよう努めてまいりたいと考えているところでございます。
 今後とも地域の方々の御理解と御協力のもと、一日も早い千厩川河川改修事業の完成に向けて努力してまいる所存でございます。
   〔商工労働観光部長小野寺修君登壇〕
〇商工労働観光部長(小野寺修君) まず、誘致企業に対するフォローについてでありますが、既に本県に立地している誘致企業に対しましては、企業が求める要望等に対応しながら、何よりも円滑な操業の確保と地元企業との取引の拡大、雇用の増大、さらには、県内の他地域における新たな事業活動の展開等が図られますよう促進いたしますとともに、企業活動のための良好な環境を整備していくことが必要であると考えております。そのため、これまで実施してきております担当職員による訪問活動を地方振興局との連携によりさらに強化するとともに、特にも、平成8年度からは知事と誘致企業との懇談会を県内各地で開催し、直接、交通基盤等の整備、人材の育成などについて意見、提言をいただきながら企業の生産活動の状況や行政への要望等の把握に努めているところであります。
 県といたしましては、今後ともこのような基本的な考え方に基づきまして、企業からの要望等をできる限り施策に反映させながら、地方振興局を初め、地元市町村や関係機関との密接な連携のもとに、企業が求める立地環境の整備に努めてまいりたいと考えております。
 次に、研究開発工業団地のその後の検討状況及び拠点工業団地の整備に係る基本的な考え方についてでありますが、まず、研究開発工業団地につきましては、昨年度設置しました基本構想検討委員会からの報告を踏まえ、本年6月、一関研究開発工業団地整備等調査委員会を新たに設置し、鋭意、調査、検討を進めているところであります。
 この委員会におきましては、団地機能として求められている産業支援施設あるいは研究開発支援施設などの望ましい整備手法等についてワーキンググループを設置し、具体的な検討を行っておりますが、今後におきましては、さらに有識者からの提言あるいは先進地調査などを加えながら、基本計画としてまとめるための調査を進めてまいりたいと考えております。
 また、拠点工業団地についてでありますが、御案内のとおり、第三次岩手県総合発展計画後期実施計画におきましては、県内の5団地について、その整備可能性を調査することとしております。現在、その中の1団地については具体化に向けた検討が進んでいるところでありますが、残る4団地につきましては、その後の経済情勢や企業動向など、団地整備を進める上での環境が極めて厳しい状況で推移してきておりますことから、新しい商工労働観光振興計画の中にこれを位置づけ、引き続き調査、検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に、中小企業対策としてのいわて緊急経済対策資金の利用実態についてでありますが、岩手県信用保証協会の8月末までの保証承諾額からその状況を業種別に見ますと、ほぼ全業種で利用されておりますが、建設業、小売業、製造業の3業種で全体の約8割を占めております。また、資金の使途別--使われ方でありますが--では、買掛金決済40%、支払い手形決済24%、商品仕入れ17%、人件費支払い11%となっておりまして、これらで全体の9割以上になっております。
 この資金が活発に利用されている要因といたしましては、低利で無担保であること、及び県が保証協会に対し損失保証をしていることなど、厳しい経営環境にある中小企業者にとって借りやすい制度となっていることにあると考えております。したがいまして、長引く景気低迷下において、売り上げの減少、前期決算期の欠損、売掛金の回収困難などの状況にある中小企業の資金繰りの改善に役立つとともに、金融制度としての役割を果たしているものと認識いたしております。
 今後につきましては、この資金の利用状況及び国の総合経済対策による景気動向や中小企業の経営状況を見きわめながら、その適切な対応を検討してまいりたいと考えております。
   〔農政部長佐藤徳兵衛君登壇〕
〇農政部長(佐藤徳兵衛君) 野菜振興についてお答えいたします。
 本年の野菜の生産販売状況は、御指摘のとおり、天候不順による品質、収量の低下に加え、販売価格も8月末現在、前年対比84%と低迷し、厳しい状況になっております。こうした8月までの状況に対応し、青果物価格安定事業による補給金を交付するほか、全県的に推進しているキャベツについては、本県独自の先導産地育成基金による輸送費助成を行うこととしております。
 なお、本県が市場から責任産地としての高い評価を得ていくためには、品質のよいものを一定量、長期に継続して出荷していくことが重要でありますので、今後におきましても、キャベツやネギなど転作野菜の集団的な作付や雨よけホウレンソウなどのビニールハウスの団地的導入、また、全自動移植機を初めとする高性能省力機械の導入やグリーンヘルパーなどの労働力支援システムの構築など生産拡大や省力化、効率化のための各種施策を積極的に展開し、本県野菜の産地形成を一層推進してまいる考えであります。
 また、安全、健康、新鮮を求める消費者ニーズに的確に対応することが大切でありますので、有機物施用による土づくりの徹底や性フェロモン、天敵利用による農薬使用量の低減など環境に優しい栽培技術の普及を図るとともに、首都圏等消費地において、こうした本県ならではの野菜づくりを強調した各種宣伝活動を実施し、いわて純情野菜のブランド化を推進してまいる考えであります。
   〔企画振興部長武居丈二君登壇〕
〇企画振興部長(武居丈二君) まず、新エネルギービジョンの今後の展開についてでありますが、新エネルギーは、環境に優しく、地域に密着した分散型エネルギーでありますことから、地域特性を生かした取り組みが大切と考えております。
 その導入方法についてでありますが、太陽光発電については、県や市町村における先導的導入が民間事業者や一般住宅の普及に向けた啓発のためにぜひとも必要であると認識しており、県といたしましては、今年度、工業技術センターに隣接して整備する先端科学技術研究施設及び北上中部工業用水道事務所への導入を初めとして、今後建設される県営施設などへの導入を進めてまいりたいと考えております。
 風力発電につきましては、事業化が可能な段階に来ておりますことから、県では、今年度から2カ所ずつ実施する風況調査結果を積極的に情報提供しながら電力会社などの電気事業者に事業化を要請するとともに、県におきましても、企業局を中心に事業実施の検討を進めるほか、民間事業者や市町村による国庫補助を活用した事業化を支援してまいりたいと考えております。
 その他の新エネルギーの導入につきましても、それぞれの特性に合わせた導入支援を図り、新エネルギービジョンの目標の達成に努めてまいりたいと考えております。
 次に、地熱熱水の利用の促進についてでありますが、平成6年度までの雫石地域地熱熱水供給事業実証調査で課題となっております経済性の確保につきましては、国の支援も得てコストの低減化に取り組み、一定の成果を上げているところでありますが、現時点では、まだこの問題を解決するまでには至らない状況にあります。
 今後、県がみずから事業主体となって熱水供給事業を推進していくためには、現在、国の財産となっている施設の取り扱いや運転管理費の問題、さらには、特に今回、県といたしましても新たに認識を持った課題でありますけれども、先般の地震のような災害時の施設の修繕あるいは将来の更新費など、解決すべき問題が多く存在しております。
 いずれにいたしましても、これらの施設は他県にない貴重な財産でありますので、現有施設の有効活用に努めながら、平成12年度まで行われる国の原熱水供給システム実証調査などと並行してこれらの課題について検討を進めるとともに、今後の施設運営のあり方について検討してまいりたいと考えております。
   〔生活環境部長村上勝治君登壇〕
〇生活環境部長(村上勝治君) まず、青少年の非行防止対策についてでありますが、少年非行は本県においても増加の一途をたどっており、極めて憂慮される状況にあります。
 県におきましては、本年に入って全国で連続して発生した青少年によるナイフ殺傷事件に対処するために、去る6月にバタフライナイフ等をいわゆる青少年に不健全な玩具刃物類に指定し、販売制限したところであります。また、国が主唱する7月1カ月間の青少年の非行問題に取り組む全国強調月間に呼応して、本県では、7月及び8月の2カ月間にわたり市町村や関係機関と連携して青少年を環境悪から守る県民総ぐるみ運動を展開し、親と子の対話集会の開催など、住民の手による啓発活動や有害環境の実態調査などを実施しており、本年度は、特にも青少年にとって有害な環境除去の取り組みを進めているところであります。
 このような取り組みが真に地域に根差し、一層効果が上がるものとなるためには、それぞれの地域において住民運動組織が結成され、主体的に活動が展開される必要があると考えております。現在、青少年の健全育成、非行防止のための地域住民運動組織の結成はいまだ十分とは言えない状況であり、このような住民運動が全市町村において実施されるよう、今年度、市町村に職員を派遣し、積極的にその結成を働きかけているところであります。
 今後とも、関係機関、団体等と連携を保ちながら啓発活動を推進するとともに、地域住民運動の組織づくりや地域活動を積極的に支援して、充実した施策の展開を図ってまいりたいと考えております。
 次に、官民一体となった交通安全運動についてでありますが、御指摘のとおり、交通安全運動は関係機関、団体及び地域住民が一体となり、交通事故の実態や交通情勢の変化に対応した重点的かつ効果的な取り組みが必要であると考えております。交通安全運動については、これまでも県交通安全対策協議会の主唱のもとに、官民一体となった展開に努めてきたところでありますが、近年の厳しい交通事故発生状況にかんがみ、県レベルはもとより、地域レベルでの取り組みを強化するため、ことしは新たに、県、全市町村、全警察署、県交通安全協会による合同会議も開催し、連携強化を図るとともに、対策を協議したところであります。これらの協議を踏まえ、本年度は増加傾向にある青少年や高齢者の事故防止を重点に据え、まず県交通安全対策協議会においては、通年、運動を強化し、家庭、職場、地域ぐるみの取り組みを強く呼びかけることとしたほか、季節運動については、運動の内容が県民にわかりやすいよう名称を改めるなど、見直しを行ったところであります。
 また、同様の観点から県事業の見直しも図り、できるだけ多くの県民にアピールするため、視聴率の高いゴールデンタイムに、交通安全テレビキャンペーンを放映しているところであります。県といたしましては、今後さらに、関係機関、団体との連携協調を密にし、地域レベルでのきめの細かい運動が一層促進されるよう、合同会議の開催や活発な活動をしている市町村や団体の模範的な事例の紹介など、多くの県民が参加する官民一体となった運動の展開に取り組んでまいる考えであります。
   〔警察本部長篠宮隆君登壇〕
〇警察本部長(篠宮隆君) 高齢者の交通事故防止対策についてお答えをいたします。
 本年、交通事故で亡くなられた65歳以上の高齢者は、昨日9月28日現在29人と、実に全死者96人の約3割を占めております。特に、最近の高齢者の事故は、道路を横断中、あるいは自転車で通行中の事故のほか、議員御指摘のとおり、高齢者が自動車やバイクを運転中に交通事故を引き起こす例が多くなってきております。このようなことから、県警察といたしましては、高齢運転者に身体機能や、いわゆる自己流の運転などを自覚してもらうため、各市町村と連携した参加・体験型交通安全教室、並びに運転免許センターや交通安全教育車あんぜん号での運転適性検査を積極的に実施しております。また、高齢者の方が安心して道路を横断できるようにするため、信号機の設置や改良、道路標識、標示の大型化、道路管理者と連携した歩道の段差解消など、交通安全施設の整備に取り組んでおるところであります。さらに、高齢者自身の交通安全意識の向上を図るため、シルバー交通安全モデル地区を県下21カ所に設定したほか、シルバー交通安全カードの配布など、広報啓発活動を推進しているところであります。
 本年10月からは、75歳以上の高齢運転者に対する免許更新時の実技講習、そして10月21日からは、高齢者の交通事故防止県民運動が実施されますが、今後とも高齢化社会の進展をにらんで、交通安全施設や運転者教育機材の整備充実、広報啓発活動など諸対策を積極的に推進し、高齢者の関係する交通事故防止に努めてまいりたいと考えております。
〇35番(菅原温士君) 御答弁ありがとうございました。
 まず、土木部長にお伺いをいたしますが、先ほど答弁ありました千厩川改修内水問題についてお伺いするわけでありますが、今回の大雨におきまして甚大な被害を受けた川崎地区、この原因は千厩川が完成されておらないということですね。一部完成いたしておりますが一部できないということは、そのできないところから水が漏れ出して、いわゆる洪水になるということですね。これを早期に改修しないと効果がでないわけですね。それから内水処理の問題につきましても、これは4、5年前から内水処理問題が話題になっておったわけですが、土木部におきましては、これは農林サイドあるいは建設省サイド、どちらがやるかというようなことで検討しておったようでありますが、先ほどの答弁によりますと、これは認可になっておらないというお話でありますが、だとすれば、今まで建設省サイド、農林省サイドで論議を重ねてきたのは一体何だったのかと、こういうことになるわけですね。
 先般の大雨・洪水によりまして、一関市の前堀地区も大きな話題になったんですね。体育館もあり、これから磐井病院もその地区に建つとか建たないとかというような問題になって、大きな話題になっているわけですが、その前堀地区は、先般、内水処理排水ポンプの設置の工事が着工したんですね。ここは進捗していると、こういうことですが、なぜ川崎村の方は進展がないのかと、こういうことなんですね。今まで話題にありました建設サイド、農林サイド、この問題は一体どうなったんですか、お伺いをいたします。
   〔土木部長大石幸君登壇〕
〇土木部長(大石幸君) 千厩川の内水排除の問題でございますけれども、千厩川の工事につきましては、昭和59年度から本格的な工事に着手したところでございますけれども、委員御指摘のとおり、加妻川合流部の締め切り築堤、さらには新たに加妻川の合流処理となる排水樋門が未整備なため、今回の浸水被害を受けたわけでございます。これにつきましては、先ほども御答弁申し上げましたけれども、千厩川改修事業は圃場整備と調整をしながら仕事を進めてきたわけでございますけれども、その際に、内水につきまして農林サイドで仕事をすべきか、さらには、現在やってます建設省の補助で仕事をしてます千厩川改修の中でやるべきか、そして、たまたまこの加妻川は事業河川で川崎村の所管でもあるというようなことで、その調整になかなか結論が出なかったということもございます。しかしながら、当初はもう既に工事に着手してから20年経過しているわけでございますけれども、土地利用状況が非常に変わってしまっていると、こういうことも含めまして、現在河川改修でやってます千厩川の補助事業の中で取り組むのが一番ベターじゃないかと、こういうふうに考えたところでございます。
 したがいまして、今後、内水につきましては、改修計画に認められていないところでございますけれども、今回の出水状況等の調査を進めまして、国とも十分協議いたしまして、内水排除の施設を新たに計画に織り込みまして、早期に整備が図られるように努めてまいりたいと考えているところでございます。

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