平成10年12月定例会 第16回岩手県議会定例会会議録

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〇14番(田村正彦君) 政和会の田村正彦でございます。昨年と同様、年の締めくくりの大トリを務めさせていただきますことに心から感謝申し上げます。
 また、最後の一般質問ということで、若干重複するところもございますけれども、御容赦願いたいと思います。
 平成7年3月、増田知事は、あの厳しい選挙戦を通じ、夢県土いわての実現のためにを県民に訴え、見事当選されたわけですが、その実現に向けての新しい総合計画の基本的方向に関する中間答申が去る10月30日、岩手県総合計画審議会より提出されました。初年度に当たる平成11年度は、まさに公約実現のためのスタートの年であり、大いに期待するものであります。
 夢県土いわての実現のため、我が県にとって重要な位置を占める農業に関する課題について、まず、お尋ねいたします。
 中間報告の基本計画、岩手の将来像を実現するための施策の展開の中で快適で安らぎのある農山漁村の整備がうたわれており、その中身は、主に生産基盤、生活基盤の整備であろうと思いますが、今日、国においても県においても、公共事業の実施に当たっては、事業効果、いわゆる経済的メリットがあるかないかを重視する政策、例えば道路の改良整備に当たっても、そこを走る人、物、車、そういったものの流れが改良整備によってどれくらいの経済効果を生むかが重要視される政策に傾きつつある現実があります。県営ダムの建設見直し、このたびの奥産道の工事中断等もまさにそれであろうと思います。
 それはそれとして、私は常々疑問を持っておりますが、事業効果のみを重視することになれば過疎化が進み、また、一方では、優良農地の減少が進む本県中山間地域では当然事業効果等は薄いと判断されかねないわけで、そういう地域での生産・生活基盤の整備と事業効果の整合性をどう図るのかという大きな課題が課せられていると思われますが、知事におかれましてはどのように考え、対応されるのかお伺いいたします。
 また、一方では、昔ながらの農村集落を維持発展させることも安らぎのある農村社会の形成には必要不可欠の要件であると、農村集落に生まれ育った私は日ごろ痛切に感じております。そのためには、担い手に対する農地集約、効率的な農業経営はもちろん必要ですが、集落の維持発展のため、集落内で重要な位置を占める兼業農家をどう活用するかに尽きると思われますが、兼業農家の集落における位置づけをどのように考えておられるかお伺いいたします。
 中間報告の第3節の1では、生産と地域を支える担い手の育成確保がうたわれております。まさにそのとおりであると思いますし、担い手、いわゆる認定農業者の育成強化は、平成8年3月に示された第三次新いわて農業確立計画後期推進計画の中でも強く打ち出されております。また、平成5年に制定された農業経営基盤強化促進法に基づき、市町村においては、認定農業者数及び認定農業者に集積すべき目標面積を策定したところであります。その中身は、平成12年度を目標に、認定農業者数を県内農家数の約1割の1万1、710人、県内農用地の約53%7万8、680ヘクタールを認定農業者の皆さんに耕作してもらおうというものでありましたが、本県における平成10年10月末の実績を見てみますと、認定農業者数は法人を含めて5、033人となっており、その耕作面積は2万9、113ヘクタール、達成率でそれぞれ43%、37%となっております。耕作面積についてはことし3月末までの数字でありまして、若干の上乗せはあろうかと思いますが、言えることは、取り組みを始めて5カ年を経過し、いまだに50%に満たないという状況であり、市町村ごとに見てもばらつきが見られます。県当局におかれては、この状況をどう認識され、認定農業者の育成強化についてどう考えておられるかお伺いいたします。
 私も地域にあって農業を営む者の1人であり、認定農業者の皆さんとお話しする機会が多いわけですが、そこで言われることは、認定農業者になるのはいいんだが、認定を受けることによるメリットがほとんどない。せいぜいあったとしても低金利による融資制度ぐらいのもので、それも昨今の超低金利時代においてはさしたるメリットがなくなってきているということであります。一方、国、県の各種農業施策に伴う事業実施に当たっては、その区域内に認定農業者が存在することが必須条件となっている事業がほとんどであり、認定農業者になることによってさまざまな負担が多くなり、それが認定農業者がふえない一因になっているのではないかと思われます。
 戦後50年を過ぎた今、金融行政の護送船団政策の見直しが行われておりますが、私は、金融に限らず、我が国においては農業を含めたすべてがそうであったという思いがいたしております。そういう意味においても、今後、岩手県の農業を担っていくであろう認定農業者が、認定を受けてよかった、次代を担う後継者も安心して認定を受けられるような何らかの施策を国に求めていくべきだと思いますし、県単独でも考えていく必要があると思われますが、県御当局のお考えをお伺いいたします。
 次に、林業の振興についてお伺いします。
 本県は県土の8割が森林であり、人工林も50万ヘクタールに達し、全国屈指の森林県であります。改めて申し上げるまでもなく、森林は、ただ単に木材の供給源にとどまらず、洪水や山崩れの防止、良質な水の安定供給、保健休養の場の提供などさまざまな公益的な機能を有し、県民生活の安定と向上に重要な役割を果たしてきているところであり、特にも、近年、地球的規模で環境保全に関心が高まる中、昨年12月、京都で開催された第3回締約国会議では、地球温暖化防止のための温室効果ガスの排出削減に関連して、二酸化炭素の吸収源としての森林の重要さが改めて認識されたところであります。このような森林の機能は、林業生産活動を通じて森林が循環的に利用されることにより発揮されるものであり、その恩恵を将来にわたって県民が享受するためには、持続可能な森林経営を展開することが極めて重要なことと考えているところであり、このことは、さきに述べた新しい総合計画にも盛られているところであります。
 しかし、林業を取り巻く環境は、外材輸入の増加、長期的な木材価格の低迷、切り出し経費や造林経費等経営コストの増加、林業作業員の減少、高齢化など大変厳しい状況が続いております。このような状況の中で、本県が我が国における木材供給県の位置を確立するためには、高性能林業機械による素材生産コストの低減等生産性の向上が極めて重要であり、そのための道路網の整備など、競争力のある木材生産体制の確立が急務になっていると考えられます。
 私も若干なりとも林業に携わっており、常々考えておりますが、森林は道路網が整備されて初めて価値が見出せるものであり、近い将来到来するであろう本格的な主伐期に向け、投資効果の高い団地の設定を進め、幹線となる林道と支線となる作業道を有機的に組み合わせながら集中的な道路網の整備を進め、安定した木材供給を図ることが本県林業振興上重要な課題と考えますが、御所見をお伺いいたします。
 また、昨今、中山間地域の振興が国、特に本県においては重要な課題となっております。ややもすれば農業サイドからの振興策に視点が向きがちなわけですが、現実の問題として、我が県においては、さきに述べたとおり県土の8割が森林であることから、特に北上、奥羽山系沿いの市町村においては農家が林家であり、林家が農家であり、林業振興、農業振興は一体のものとしてとらえる必要があるのではないでしょうか。本県における中山間地域の振興策について、林業水産部としてどのようなお考えをお持ちなのか御見解をお伺いいたします。
 次に、奥地産業道路、いわゆる奥産道問題についてお伺いいたします。
 去る11月18日、本定例会の招集日であったわけですが、知事による奥産道工事再開断念の表明がなされました。その決定判断については賛否両論、まさに百家争鳴の感があり、本定例会においても、先輩、同僚議員の皆様からそれぞれの立場、角度からの質問がなされているところであります。
   〔副議長退席、議長着席〕
 トンネル建設のための地質調査において原生林破壊が表面化して以来、今日まで2年半にわたって工事休止が余儀なくされてきたのは御承知のとおりであり、その間、自然破壊箇所の原状復旧工事、専門家による検討委員会の設置と10回に及ぶ委員会の開催、そして、去る11月2日、県土木部による県民の意見を聞く会の開催等、奥産道問題に関しての県民意識の把握に努めてこられたその真摯な努力を多とし、敬意を表するものであります。
 2年間の経緯を踏まえた上での今回の知事による工事中断表明、まさに苦渋の決断であったろうと思いますし、その間の増田知事の心中を察するとき、いかばかりかと推察するものであります。人間、特に政治家は、難しい判断を求められた場合、どうしてもその判断を先送りしたり、玉虫色の決着で事を済まそうとする傾向があるわけですが、今回の知事の決断には、賛否は別にして心から称賛を送るものであります。
 さて、私は、常日ごろ一般質問においても取り上げてまいりましたが、十和田八幡平国立公園も指定を受けてから既に40年を経過し、観光地としての大きな転換期を迎えているものと思われます。特に八幡平から雫石にかけての南部地区は、観光施設の老朽化、アクセス道路の不備等、多くの課題が地域関係者より強く指摘されているところであります。そのような背景もあって、この奥産道に寄せる地域住民の期待も強かったわけであり、期待が強かっただけに地域関係者の落胆も同様に強いものがあります。
 そこで土木部長にお伺いいたしますが、県においては、中断されたこの道路の活用策をどのように考えておられるのか。また、報道によりますと、雫石、松尾地区にビジターセンターの設置も検討している旨の発言もあったようですが、どのような構想なのかあわせてお伺いいたします。
 次に、岩手山の火山活動に伴う入山規制措置及び火山活動に対する行政としての対応についてお伺いいたします。
 御承知のとおり、本県のシンボルでもある岩手山の火山活動がことしに入って活発化し、去る6月24日の臨時火山情報第2号により、雫石町、西根町、滝沢村、松尾村、周辺4カ町村においては7月1日から岩手山への入山禁止措置が講じられました。この措置は、岩手山の火山活動に関し現在のところ唯一の行政措置だと思いますが、この入山禁止という行政措置には何らかの法的な根拠があるものかどうか、また、4カ町村が入山禁止措置を実施するに当たり、県はどのようなかかわりを持ったのかあわせてお伺いいたします。
 岩手山火山活動は、9月3日に岩手山南西部を震源とする震度6弱という地震が発生して以来、その活動は、1日100回以上の火山性地震が続いた7月、8月とは打って変わり、11月に入ってからは1日数回という安定した日が続いております。そのことがまた火山活動の長期化が懸念され、心配されておるわけであります。
 一方では、火山活動の観測体制も世界に類を見ないほど充実強化されるとともに、関係者による昼夜を問わない努力によって、岩手山の山体形成の歴史から考えられるあらゆる火山災害を想定した火山防災マップも作成され、地域住民に対し、防災活動の啓蒙活動とあわせて配布済みであります。関係町村における火山防災訓練の実施、防災無線の設置等、災害に備えての対応がなされております。また、県土木部においても、災害に備えて交通手段の確保策、危険道路の閉鎖箇所の指定等、国、県、関係町村一体となってこの対策が講じられていると聞いております。万全とまではいかなくてもある程度の災害対策はできたものと思われますが、現時点での火山対策についての総合的評価と今後の課題についてどうお考えになっているか、知事の御所見をお伺いいたします。
 また、ある火山学者の話では、深さ10キロ付近のマグマの動き、そして、火山性地震の震源域の推移、それに加えて山体膨張--山の膨張--の推移、この三つの動きである程度の予測ができるのではないかと言っておられる方もあります。現在、この三つの動きがどのようになっているのか、7月との比較でお伺いいたします。
 次に、岩手山の火山活動に伴う観光への影響についてお伺いいたします。
 7月1日からの入山禁止措置を講じた前後から岩手山周辺宿泊保養施設への問い合わせやキャンセルが相次ぎ、さらに、その後の新たな予約の入りも悪く、施設によっては、前年同期に比べ宿泊客が半減したというところもあると伺っております。この傾向は何も岩手山周辺に限らず、不況の影響もあるとは思いますが、県内の観光宿泊施設全体に及んでいると言う関係者もございます。また、このような状況に追い打ちをかけるように、9月3日には前段で申し上げました地震の発生、そして、火山活動を理由とした岩手高原スキー場の休業発表等、まさに岩手山周辺の宿泊施設等の関係者の不安は増大する一方であり、このまま放置すれば、この冬以降深刻な経営状況になることが予測されるところであります。
 御承知のとおり、岩手山周辺は十和田八幡平国立公園に位置し、早くからスキー場や温泉地の開発が進められ、多数の民宿を含めた宿泊施設が立地するなど、本県内陸部を代表する観光地として発展してきたところであります。盛岡市を含む周辺6市町村の平成9年度観光客の入り込み数は1、070人回余りであり、本県全体の27%を占めております。
 そこでお伺いいたしますが、今日の岩手山火山活動に伴う観光への影響をどのように把握しておられるのか。それとともに、私ども政和会では、去る9月14日、岩手山周辺地域、雫石町、松尾村、安代町3カ町村で民宿、ペンションを経営なさっておられる皆さんと懇談会を持たせていただきました。そこでは経営者の皆さんから多くの切実な発言がありました。総じて言えることは、みずからはみずからの知恵を出しながら頑張るが、行政は、従来にない抜本的な誘客策--お客さんを呼ぶ施策--を講じてほしいということであり、知事はこのような声に今後どのようにこたえていかれようとしているのかお伺いいたします。
 次に、介護保険制度実施に伴う県及び市町村の取り組み状況についてお伺いいたします。
 介護保険制度については、昨年の12月定例会においても、法案成立前でもあったことから、その制度のあり方等反対の立場で御質問を申し上げました。法案成立を受け、実施に向けての努力が県、市町村においてなされており、法治国家である以上、賛否は別にして円滑な実施を願っているものであります。
 介護保険実施に当たっては、経営の健全化、隣接自治体間のサービス格差の防止等の観点から、広域での取り組みの必要性が求められております。そういう中で、盛岡地方振興局管内の6カ町村による盛岡北部介護保険推進協議会が設置され、広域化に向けての取り組みがなされたと報道がありました。介護保険に限らず、地方分権と相まって市町村行政の広域化を推進していくべきという立場に立つ者としてまことに喜ばしいことであり、ぜひ成功してもらいたいと思っておりますが、その進捗状況と県のかかわり方、また、県内において広域化に取り組もうとしている自治体はいかほどなのかお伺いいたします。
 一口に広域化と言っても、その課題は多かろうと思われます。特に関係市町村間が連結できる電算処理システムの開発及び設置にはかなりの経費が必要とされ、昨今の厳しい市町村財政にあってその負担は重いものがあると思われますし、介護サービス基盤の確保、整備、つい先ごろ合格発表された介護支援専門員のバランスのとれた配置等、市町村の抱える課題について県はどのように対処しようとしているのかお伺いいたします。
 また、今回の介護保険制度の矛盾とあえて申し上げますが、保険料の徴収に関して、徴収が難しいという表現は適正ではないのかもわかりませんが、保険料を負担することが非常に負担になる層の保険料徴収を市町村に義務づけている内容となっております。具体的に言うならば、年金額が月額3万円以上の被保険者からはあらかじめ支給者側で徴収するが、3万円以下の受給者からは市町村に保険料徴収義務を課しております。また、第1号被保険者、いわゆる65歳以上の方になるわけでございますが、その中で、生活保護受給者には介護保険料に当たる額を上乗せして支給し、市町村では上乗せした介護保険料を生活保護受給者から徴収する、そういうシステムのようですが、なぜこのような複雑なシステムでなければならないのか。このようなことは保険者側あるいは支給者側で処理できるものではないかと思われますが、県当局の御見解をお伺いしますとともに、このような、ただいたずらに市町村に負担を求めるような制度の改善を国に要望すべきだと思いますが、あわせて御見解をお伺いいたします。
 次に、本県の産業として、また、就業人口においても重要なウエートを占めている建設業に対する県当局の考え方をお伺いいたします。
 本県における県営建設工事請負資格者数のうち、土木、建築の合計は、平成元年においては1、936社だったものが平成9年には2、222社となっております。そのクラス別内訳は、土木業者で見てみますと、A級が164社から189社、B級が172社から200社、C級が228社から265社、D級が584社から689社となっており、零細業者の増加率が多くなっております。この傾向は建築業においても同様となっております。バブル崩壊後の景気が低迷する中、中小零細業者の経営は悪化の一途をたどっていると言っても過言ではなかろうと思われます。それに加えて、本県の公共工事の発注状況の推移を見ますと、平成4年の5、513件をピークに平成9年度は4、162件と25%近い落ち込みとなっており、このことは、事業の効率化、財政上の観点からもいわゆる細切れ発注は許されない環境となってきていることによるものと思われます。このことは県内建設業者にとっては今後ますます厳しい状況となっていくことが予想されますが、このような中、中央建設業審議会により、平成10年2月、建設市場の構造変化に対応した今後の建設業の目指すべき方向についてという建議がなされました。その内容を見ますと、特に公共事業への依存度が高い中小建設業者にとって厳しい時代を迎えることを予測し、建設市場構造の再編は避けて通れないとしております。今後は、経常JVの活用や企業連携の促進の必要性、さらに一歩踏み込んだ企業合併を視野に入れた合併支援措置の拡充をうたっております。
 このようなことから、県当局におかれましては、今後、県内建設業者、あくまでも私企業であり、直接指導はできないとは思いますが、今後どのように対応していくつもりなのかお伺いいたしまして演壇からの質問といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 田村正彦議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、中山間地域における生産、生活基盤の整備とそして事業効果との兼ね合いについてでございますが、中山間地域は県土の大宗を占め、県民の半数が生活するとともに、我が県の産業活動の面におきましても、県全体の純生産額の4割近くを産出している地域でございます。また、農林水産物の生産活動を通して、美しい景観、県土や環境の保全、水資源の涵養、大気の浄化、保健休養の場の提供などの多様な公益的機能を有している地域でもございます。しかしながら、農林水産業を取り巻く状況の変化や地理的に不利な条件下にあることなどから、生活関連の機能や地域産業の活力が低下することが懸念をされているところでございます。このため、中山間地域の振興は極めて重要な県政課題であると認識をしておりまして、これまでも中山間地域の活性化と公益的機能の維持保全に配意をし、地域特性に応じた事業の導入を進めてきたところでございます。今後におきましても、公共工事コスト縮減計画や公共事業評価制度による一層の事業の効率化、透明性を確保しながら、中山間地域の公益性や社会資本の整備状況にも十分に配慮し、事業展開を図っていく考えでございます。
 なお、目下、部局横断的な取り組みとして岩手県中山間地域活性化対策推進方針の策定に向けて検討中でございますが、その検討結果を新しい総合計画に十分反映をし、夢県土いわての実現に向けてそれぞれの立地条件を生かした住民主体の地域づくりを支援して、中山間地域の活性化を図ってまいりたいと考えております。
 次に、岩手山の火山対策についての総合的評価と今後の課題についてでございますが、御案内のとおり、火山災害は他の自然災害と異なりまして、発生する割合は低いものの、災害の規模の範囲は極めて大きくなることが特徴でございまして、本県としても初めての火山災害への対応が求められているところでございます。したがいまして、火山活動が活発となった本年の4月以降、県は学識経験者や市町村、防災関係機関などを構成員とします岩手山火山活動対策検討会や、岩手山の火山活動に関する関係機関連絡会議などを設置して、学識経験者の指導、助言をいただきながら、国や市町村、防災関係機関等と密接な連携を図り、火山災害による被害を軽減するため、現時点で取り得る対策を逐次講じてきているところでございます。
 今後の課題といたしましては、何よりも火山の前兆現象をいち早くとらえて素早く避難することが最も重要でございまして、恒久的な観測体制の強化と防災行政無線などの情報伝達体制の整備の充実が急務であると考えております。火山活動が長期化していることもございまして、火山の噴火前に本県のような取り組みをした例はないと言われておりますが、県としては、可能な限り災害を軽減するため、国、県、関係市町村、有識者で構成する岩手山火山災害対策検討委員会の中におきまして、砂防ダム、河川改修、災害弱者対策など、ハード、ソフト両面にわたる中長期的な対策をも含めて検討を行い、火山災害対策について万全を期してまいりたいと考えております。
 次に、岩手山の火山活動に伴う観光への影響とその対策についてでございますが、県の調査によりますと、岩手山の山ろく周辺の6市町村の観光入り込み数は、本年7月から9月までのこの間3カ月間で対前年比約13%の減少となっておりますほか、周辺の宿泊者数も--こちらは6月から8月までの3カ月間でございますが--対前年比約11%の減少となっております。こうした状況は、景気の低迷や天候の不順による影響も考えられますが、岩手山の火山活動などの状況が全国的に報道されたこともあって、当地域の安全な観光について不安が生じ、観光客の減少につながったものと推察をしております。県では、火山活動による観光への影響が憂慮されましたことから、7月以降、大手旅行エージェントに対して正確な情報を提供するとともに、首都圏のマスコミ関係者の現地招待会などを実施しまして、鋭意こうしたマイナスイメージの払拭に努めてきたところでございます。また、10月には地元関係者とともに首都圏の大手旅行エージェントを訪問するなど、観光客の誘致キャンペーンを行いますとともに、私も東京都内におきまして記者会見を行って、観光には支障がない現状を直接説明をし、報道関係者にその報道のあり方についてお願いをしたところでございます。今後におきましても、県外での冬の岩手観光展やいわてスキーの夕べなどを開催するほか、新しい企画として、首都圏から岩手山周辺の各スキー場への直行バスを運行するスキーモニターツアー、また岩手の冬の魅力をPRする湯雪王国スノーフェスティバルや銀河夜楽塾などのイベントを数多く長い期間にわたって開催をするなど、元気な岩手を全国に向けて繰り返し情報発信をして、観光客の誘致拡大に努めていく考えでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いいたします。
   〔農政部長佐藤徳兵衛君登壇〕
〇農政部長(佐藤徳兵衛君) まず、農業・農村における兼業農家の位置づけについてでありますが、農業・農村は、食料生産の場であるのみならず、豊かな自然と長い歴史にはぐくまれた生活の場でもあります。とりわけ中山間地域の農業・農村について考えますと、耕地の面積や形状による制約上、副業型、複合型による地域ぐるみ農業の展開が不可欠であり、その担い手として兼業農家は今後とも重要な役割を担っていくものと存じております。また、農村生活において、伝統行事や食文化の継承、都市と農村との交流などの地域活動における重要な担い手であり、農家、非農家を含めた地域住民一体となった取り組みによって、安らぎのある農村社会の形成が図られるものと存じております。
 次に、認定農業者数の現状と今後の育成対策についてでありますが、まず認定農業者数が目標を下回っていることにつきましては、ウルグァイ・ラウンドの農業合意による農産物の輸入自由化や米価の大幅な低落傾向が続くなど、農業に対する先行き不安がいまだに払拭されていないこと、また農地の利用集積が低迷していることについては、農地の保有形態がいわゆる分散錯圃にあることなど、さまざまな要因が重なっているものと認識いたしております。
 一方、これまで本県農業を担ってきた昭和1けた世代がリタイアすることもこれまた確実でございまして、担い手の確保が最も深刻な課題となっている中で、今後とも体質の強い本県農業を築いていくためには、まずもって地元市町村、農業委員会等の連携を強化し、将来とも農業で頑張っていこうとする意欲のある農家の意向を把握しながら積極的な支援策を講じ、認定農業者の育成、確保を図っていかなければならないと存じております。
 具体的には、例えば、大規模稲作を志向する農家につきましては、農地の利用集積を円滑に進めるための基盤整備や各種の助成金の交付、農業機械のリース事業の活用などを誘導し、花卉、野菜を志向する農家につきましては、新いわて農業再編総合対策事業を活用した施設の整備や、非農家をも取り込んだグリーンヘルパー制度の普及による過重労働を解消するなど、経営志向に応じた重点的な支援を展開してまいりたいと考えております。
   〔林業水産部長渡辺勲君登壇〕
〇林業水産部長(渡辺勲君) まず、林業の振興についてでありますが、本県の豊かな森林資源は、県土の保全や水資源の涵養などの公益的な機能はもとより、二酸化炭素を吸収、固定する森林の整備、木材の供給により地球温暖化防止などの面におきましても大変重要な機能、役割を果たしており、先人が築き上げてまいりました大きな財産でございます。このような機能、役割を将来にわたり確保していくためには、造林や間伐などの森林整備とともに、木材の需要拡大などを通じて林業、木材産業の活性化を図りつつ、持続可能な森林経営を推進することが重要であると認識しているところでございます。しかしながら、その実現に向かっては、長期的な木材価格の低迷や経営コストの増加など大変厳しい状況が続いておりますが、これらに的確に対処するためには、今後路網の整備及び機械化を積極的に推進し、森林整備や木材生産におけるコストを低減するとともに、生産性の向上などを図ることが重要な課題となっております。
 このため県といたしましては、これまでも林道や作業道の計画的な整備に努めてきたところでございまして、とりわけ昨年度から、森林資源の充実してきている県行造林地を中心に安定した木材の供給が可能なモデル団地を設定し、木材生産団地路網整備事業等により高密路網の整備を進めているところでございます。今後はこの成果をも踏まえつつ、林道事業はもとより森林資源高度化モデル事業、水土保全森林緊急間伐対策事業などの国庫補助事業等を導入して効率的な路網整備を積極的に進め、高性能林業機械などを活用した競争力のある林業生産体制の確立を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に、中山間地域の振興策と森林・林業施策のかかわりについてでございます。
 中山間地域は県土及び森林面積の約8割を占め、食料の供給を初め、木材の生産や自然環境の保全など多様な役割を果たしており、県民生活や経済活動にとりまして重要な地域であります。とりわけ北上・奥羽両山系沿いの市町村を含む中山間地域は、議員お話しのとおり農業・林業が複合的に経営されておりますことから、これら地域の振興を図るためには、農林業等各般の施策を総合的に展開することが必要であると認識してございます。このため、従来から森林・林業施策におきましては、これら地域の森林資源の育成、活用等の観点に立ち、公益的機能も高度に発揮し得る多様な森林の整備、広葉樹資源を生かしたシイタケ、木炭などを初めとする特用林産物の生産等を推進することを目的として、また所得機会の増大に資するよう森林を所有する農家、林家などを広く対象に生産基盤の整備に努めてきているところでございます。
 さらに、集落機能を強化するための集落林道の開設など生活基盤の整備を推進してきているところでございまして、今後とも関係部局との連携を強化しながら、関連する計画において、これら森林・林業施策を明確に位置づけることなどにより、その取り組みを一層強化してまいりたいと考えてございます。
   〔土木部長大石幸君登壇〕
〇土木部長(大石幸君) 一般県道雫石東八幡平線の活用についてでありますが、網張側と松川側の整備済み区間につきましては、県道として告示し、既に供用しております。今回、工事再開を断念したことから、この区間につきましては、引き続き県道として県が管理する方向で協議調整を図る考えでおります。その場合、行きどまり道路となることから、転回場などの設置を検討する必要があると考えており、これら具体的な施設計画につきましては、今後関係機関と十分協議調整を進めてまいる予定でございます。これからの観光は、従来のように車で目的地に行き、そして通過するばかりでなく、グリーン・ツーリズムに代表される自然と触れ合う体験型の観光など多様化することが予想されているところであります。今回建設が計画されているビジターセンター等の施設や裏岩手の国立公園の利用の仕方ともあわせ、この道路がどのような役割を果たすべきかをいろいろな方々の意見もいただきながら検討してまいりたいと考えております。
 次に、建設業における企業連携の促進についてでありますが、本県において建設業は県内総生産の2割を超える建設投資を担うとともに、就業者の1割以上を占める基幹産業であります。しかしながら、公共投資を取り巻く環境の変化、建設市場の国際化による競争の激化など、建設業を取り巻く環境は大きな構造変化に直面しております。このような中、本年2月に中央建設業審議会から、今後の建設業の構造改革を進める上での具体的な施策展開の方向として、経常JVの活用や企業合併などの企業連携の促進について建議がなされたところであります。
 県におきましては、この建議を踏まえ、企業連携の促進をテーマとした業界団体との懇談会を既に県内13カ所で開催し意見交換を行うなど、その機運の醸成に努めてきたところであり、また従来から中小建設業者による経常JVを県営建設工事の入札参加資格者として認めるなど、企業連携の促進に努めてきたところであります。建設業を取り巻く厳しい環境への対応は、まずもってそれぞれの企業の自助努力、自己責任で行われるべきものでありますが、県といたしましても、企業の連携による企業体質の強化は、これからの本県建設業の振興にとって重要な課題であると考えているところであり、今後ともさまざまな懇談会における意見交換や若手経営者に対する研修事業などを通じ、企業連携の促進に一層努めてまいりたいと考えております。
   〔生活環境部長村上勝治君登壇〕
〇生活環境部長(村上勝治君) 雫石地区及び松尾地区へのビジターセンターの設置についてでありますが、県におきましては、我が国を代表するすぐれた自然の地域の保全や修復を図りながら、野生生物の観察や自然学習あるいは自然体験ができる自然との触れ合いの場を整備しようとする自然公園核心地域総合整備事業--これはいわゆる緑のダイヤモンド計画事業と言いますけれども--、この事業の十和田八幡平国立公園八幡平地域への導入を環境庁に強く働きかけてきたところであります。ビジターセンターはその中の中核的な施設として考えておりまして、そこにおきましては、自然環境保全の学習、その他その地域の自然や文化への理解を深めてもらうための展示や解説、あるいは登山散策ルートの紹介、気象情報の提供などを行うものでありますが、この事業の中で、網張地区及び松尾地区への設置を要望しているところであります。環境庁におきましては、これを受けまして、八幡平地域について今年度中に総合整備基本計画を策定し、平成11年度から5カ年で事業を実施する予定であり、現在その計画の策定作業が進められているところでありますが、県といたしましては、この地域にふさわしいビジターセンターが建設されるよう努力してまいる考えであります。
   〔総務部長吉田敏彦君登壇〕
〇総務部長(吉田敏彦君) まず、岩手山の火山活動に伴う入山規制措置についてでありますが、この入山規制は、関係町村長が岩手山の火山活動の現状にかんがみ、地域住民等の生命、身体、財産を火山災害から守るため、土地の所有管理者であります盛岡営林署などとともに、本年の7月1日から岩手山登山道7カ所すべてについて入山禁止を実施したものであり、その意味では法的な根拠に基づく措置ではないものであります。
 また、4町村が入山規制を実施するに当たっての県のかかわりについてでありますが、県といたしましては、盛岡地方気象台から臨時火山情報第2号が発表されたことを受け、本年6月26日、学識経験者で構成する岩手山火山活動対策検討会を開催したところ、岩手山の西側の水蒸気爆発の可能性やそれに対する緊急対応の必要性の提言がございましたので、同日、県、関係4町村等からなる岩手山の火山活動に関する4町村等打合会において、入山規制を行うことについて合意がなされたところであります。
 次に、岩手山の火山活動の現状についてでありますが、11月19日に開催された学識経験者からなる岩手山の火山活動に関する検討会の見解によりますと、大地獄谷から西側の浅い部分を震源とする火山性地震の回数は、8月中旬を境に月80回程度から月10回程度に減少しておりますが、主に三ツ石山、犬倉山付近の地震が減少しているもので、大地獄、黒倉山付近ではまだ継続しており危険性がなくなったとは言えないとされております。一方、大地獄谷から東側を震源とする火山性地震の回数は、9月を境に月25回程度から月50回程度と増加しておりますし、マグマなどの流体活動により発生するとされる低周波地震や岩盤等の割れに起因する高周波地震が深さ4キロメートルから10キロメートルの間で増加傾向にあり、従来見られなかった地下14キロメートル付近でも活発化し始めているとされております。さらに、地下30キロメートルのマントルと地層付近の--これは専門用語でモホ面と言うようでございますが--モホ面で、地震は年1回から2回程度であったものが、現在では3日に1回程度の割合で発生しており、マグマが現在でもマントルから供給されているものと推定されるとしております。また、山体膨張につきましては、人工衛生を利用したGPS--汎地球測位システムというものでございますが--、これによりますと、観測結果では本年1月から現在までに約8センチメートル伸長しており、9月以降も動きは鈍いものの伸長が続いていると報告をいただいているところであります。このようなことから、現在の岩手山の地下の活動につきましては、7月の状況と比較して沈静化している状況ではなく、県、関係市町村とも今後とも注意深く監視していく必要があると認識しているところであります。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕
〇保健福祉部長(関山昌人君) 介護保険制度への取り組みについてでありますが、御案内のとおり、盛岡地方振興局管内の西根町など6町村におきましては、介護保険事業全般を広域的に処理するため、本年10月に準備組織として盛岡北部介護保険推進協議会を設置し、制度施行に向けた具体的な作業準備を進めているところであります。県といたしましては、保険財政運営を含めた介護保険事業全般の広域化は全国的にも少ないことから、実施体制の整備が円滑に行われるよう、管轄地方振興局を窓口としてきめ細やかな支援をしてまいりたいと考えております。なお、それ以外の市町村においては、介護認定審査などの広域化について決定あるいは検討している状況にあり、その広域的な取り組みに対し支援してまいりたいと考えております。
 また、介護保険事業全般にわたる広域化に伴い、被保険者の資格管理や保険料の賦課、徴収などの事務を共同で行うための電算システムの開発など、新たに必要となる経費につきましては的確な財源措置が講じられるよう、国に要望しているところであります。
 さらに、広域化した地域内で介護サービス基盤の整備水準の違いによって利用者に不公平が生じることがなく、適切な介護サービスが得られるよう、サービス資源の広域的な活用を踏まえたマンパワーの確保や、介護サービス提供体制の整備を積極的に支援してまいりたいと考えております。
 次に、保険料の徴収についてでありますが、あらかじめ年金保険者が65歳以上である第1号被保険者の年金から保険料を徴収する、いわゆる特別徴収につきましては、御案内のとおり、一定額以上の年金受給者を対象としておりますが、現在、国においてはその一定額を低く設定し、市町村が第1号被保険者から直接徴収する普通徴収の割合を少なくするよう検討されていると聞いております。
 また、生活保護の被保護者につきましては、生活保護費の生活扶助に介護保険料相当額を加算して、直接被保護者に交付することが原則となっておりますが、県または市の福祉事務所が被保護者の方々から委任を受け、市町村に保険料を納付する仕組みが設けられることとなっております。
 県といたしましては、今後とも制度の実施に当たり、介護保険事業業務が市町村にとって過大な負担とならないよう、市町村の声を聞きながら、機会をとらえて国に要請してまいりたいと考えております。
〇14番(田村正彦君) 再質問させていただきます。
 まず、岩手山の火山活動に関しての再質問から入りたいと思いますが、実は、先ほど答弁にもありましたとおり、6月24日の火山情報第2号によって26日に招集し、そして1日に入山禁止措置と。まことにもって慌ただしいというんですか、検討も何もする余地もなし。町村においては議会に説明する、観光協会と相談する一切の余裕なしで決められたと。これは多分、経験もないことだし、本当にだれも経験したこともないああいう緊急事態でしたから、これは了としなければならないと思うんです。ただ、その後、入山禁止、一般に我々受ける印象というのは、入山というと山全体を考えるんです、普通は。マスコミもそうですし、一般県民も山全体はもう入山禁止なんだというような考えになるのが当たり前なんです。ところがよく精査してみると、いや、入山禁止というのは登山道だけでございますと。あとは営林署の要請というんですか、できる限り入らないでくださいと、そういったものだと。非常に、あいまいという表現では支障があるかもわかりませんけれども、非常にその辺のところがすっきりしない。入山禁止措置をとったときに、いや、これは最悪の場合を想定して、とりあえず登山道だけは登らないでくださいというような説明があれば、これほど全国に対する影響はなかったと思うんです、結果的には。特に、片方では入山禁止にしておいて、片方ではまさに山体を使うスキー場にはどうぞいらしてくださいと。そして、冬場の積雪時の爆発が一番危険ですと、こういう説明も片方ではなされているんです。そういうふうな最高に危険な冬場のスキー客はどんどん来てください、片方は入山禁止でございます、登山道は禁止ですと。どうもここに私は矛盾を感じざるを得ないんです。知事の答弁にも情報公開というのがありましたけれども、どうしても入山禁止にする場合はそういうふうな登山道という表現を使うべきではなかったのかと。今、多分反省なさっているのではないかとは思いますが、いずれ非常に矛盾があるんです。
 地域でいろいろな話題になっているのは、これは素人考えですから、今、答弁でお聞きしたことを考えるとかなりきついという感じはするんですが、ただ、あの周辺の人たちにとっては、本当に死活問題、進学もあきらめようかという世帯も出てきているんです。そういった深刻な状況を受けて、何とか入山禁止という措置を緩和なり、一時棚上げする何かの方策はないのかと。特に、先般の一般質問の論議の中にもあったわけですが、来年はインターハイの登山競技もあると。あそこはメーンの、全国に冠たる登山道としての評価も得ているところですし、そういうもろもろのことを考えた場合に、確かに今、答弁にありました4キロ、14キロ、30キロ、ここの震源域の問題もありますけれども、ただ、我々がこの間議会で説明を受けたのを素人なりに判断すると、ある程度マグマの上に上がってくる進行は把握できると、ある意味では。そういう印象も受けたんですけれども、そういったことから、あいまいなことではなくて、もしやるんだったら、危険区域の設定をして法的に入ってはだめですという措置をとるか、それは差し迫って危険のあるときという一つの規定はあるんですけれども、そういう事態でそういう措置をとった方がいいのではないのかと。
 繰り返しになるんですが、本当に実態はすごいんです、あの周辺の観光施設の落ち込みというのは。先ほど10数%の落ち込みという答弁があったんですけれども、現実問題としては全然入らない。小さな民宿なんかお客さんの予約が一つもない。ことしはどうにかこうにか融資でつなげるけれども、もう次からの見込みはない、それくらい深刻な状況なんです。そういったところの背景もひとつ考えていただいて、何らかの入山禁止という表現を変える知恵がないものかどうか、そこの検討をしてもらえるのかどうか、それをまず1点はお伺いしたいわけでございます。
 それに関連するんですけれども、これは、いわゆる民宿あるいは八幡平地域の観光の再生に関することなんですけれども、林業水産部では、県民の森の有効活用ということで、平成6年度に290町歩、県民の森の隣接のすばらしい森林なんですけれども、営林署から7億円で購入しております。これの利用計画というんですか、具体的な実施計画をこれからつくろうとしているところなんですが、この貴重な森、そして貴重な財源を使ったこの地帯を、東八幡平地域の振興とあわせて、旧来ある県民の森も含めて、どうあればあの地域の滞在型観光に貢献できるかという視点でこの利用策を考えていく必要があるのではないかと私は思うんです。林業水産部としてその辺のことを念頭に置いての実施計画が組まれようとしているのかどうか、これをお尋ね申し上げたいと思います。
 最後に、ビジターセンターのお話がありました。具体的に11年度から5カ年計画でやるんだと。これは初めて聞いた話なんですけれども、ただ、報道では、雫石町、松尾村両方にビジターセンターというふうな表現がなされてましたけれども、事業として果たして両方に同じ事業が入れられるものかどうか。当然これは1カ所ではないのかと思うんですけれども、それではもう1カ所、どちらにしても片方をどういった施策で対応しようとしているのか、ここをお伺いいたします。
 以上です。
   〔総務部長吉田敏彦君登壇〕
〇総務部長(吉田敏彦君) 田村議員の今の御質問でございますが、入山禁止と登山道の関係についてお話があったわけでございますけれども、登山道を入山禁止にしたということは、登山道だけを禁止したということではなくて、通常、登山道が禁止ということはほかのところにも入られないだろうということが前提にあっての話でございまして、登山道だけということではございませんし、それから、前提としては、専門家の先生方、岩手大学とか、あるいは東北大学などで常時いろいろな観測をいたしておりまして、6月時点で西側の水蒸気爆発の可能性がごく浅いところで大きな変動が見られたということで、気象庁と、それから大学等々が話し合って、そしてああいった情報が出たわけでございます。入山禁止措置をとらなかったならば、住民の生命、身体あるいは財産に万が一影響があった場合大変なことになるという先生方のお考えとか、あるいは気象庁の情報によりまして、入山禁止措置を関係市町村と合意の上で、あるいは営林署と合意の上でとらせていただいたということでございます。
 お気持ちはよくわかりますし、住民の方々あるいは観光の方々、ペンションとか旅館の方、観光の方々のお気持ちは十分にわかっております。できれば私どもも警戒本部を解きたいし、あるいは入山禁止といったこともやめたいところでございますが、専門家の先生方から説明というか、そういった報告を受けておりますと、これを今もし解除して何かあった場合にどうなるかというふうなことでございまして、お気持ちは十分に承知いたしておりますけれども、遺憾ながら先ほどお答え申し上げましたとおりでございますので、解除しかねる状況にあるということでございます。私どもも、いろいろな面で、観光とか、あるいはスキー場の問題もありますが、ハザードマップの中にはスキー場は入っていないのが多いということもございますし、そんなことを考えながら、両方立つような形でいろいろ対策を考えながら観光面も考えていくというふうなことで臨んでいるわけでございます。ということで、現段階ではちょっと解除とかというのはいたしかねる状況だということでございます。
   〔林業水産部長渡辺勲君登壇〕
〇林業水産部長(渡辺勲君) 県民の森の整備についてでございます。
 松尾村の県民の森でございますが、県民の保健休養及び森林に対する知識の普及向上に資するとともに、青少年の森林に関する体験的学習による森林愛護思想の高揚を図るために昭和55年に設置されたものでございまして、その後、議員お話しのとおり、隣接の森林を購入し、拡張したところでございますが、その取得した森林の大部分は保安林に指定されてございまして、貴重なブナ、ミズナラなどが生育していることからも、その保全を図りながら、既存の施設と一体的に活用されるように遊歩道の整備を進めてまいったところでございます。
 今後におきましても、平成8年度に策定いたしました整備構想、これは岩手県森林公園基本計画でございますが、これに基づいて、多くの県民に利用され、その設置目的が十分に達成できるよう、そしてまた、そのことがこの地域の活性化につながるように、関係部局とも連携を図りながら、地元松尾村や隣接町村などの意見も十分反映させまして、毎年度の計画に取り入れながら、その方向で整備に努めてまいりたいというふうに存じてございます。
   〔生活福祉部長村上勝治君登壇〕
〇生活福祉部長(村上勝治君) ただいまビジターセンターのお話で、2カ所同じものがつくられるかというお話がまずございました。この問題につきましては、現在、環境庁と協議中でございますけれども、例えば、ビジターセンターの中でも性格が二つほどございまして、いわゆる核心地域、先ほど事業名、核心地域と使いましたが、その核心地域につくるものと、それから、核心地域に誘導するためその中継地につくるものと、そういう性格が二つございます。したがいまして、現在、環境庁との間では、同じようなものをそれぞれつくるか、それとも性格の違うものをそれぞれの地域につくるか、それを協議中でございます。今後、私たちの方の意見も反映させながら結論を導き出してまいりたいというふうに考えてございます。
 それから、どういった施策で対応していくかというお話でございますが、これもただいまお話し申し上げましたけれども、これでいきますと、例えば国直轄になるか補助事業になるかという違いがございます。この辺も本県にとりまして有利な方向を要望してまいりたいというふうに考えてございます。
〇14番(田村正彦君) くどくてしつこいようなので大変恐縮ですけれども、若干時間をいただいて……。
 生命、財産が大事なんだと、これを守るのが最大の使命なんだというお話ですけれども、ただ、私が言いたいのは、ハザードマップの危険地域には入っていませんという答弁ですけれども、東八幡平スキー場のリフトのおり口と網張温泉のリフトのおり口は、一番恐れられている大地獄谷、あそこから直線距離にしたら両方ともせいぜい1キロあるなし、風向きによってはどうなるかわからない、そういうところだという認識はぜひ持っておいていただきたいということをお話しして終わります。
〇議長(那須川健一君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
   
日程第2 認定第1号平成9年度岩手県一般会計歳入歳出決算から日程第32 議案第19号当せん金付証票の発売に関し議決を求めることについてまで
〇議長(那須川健一君) この際、日程第2、認定第1号から日程第32、議案第19号までを一括議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。

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