平成10年12月定例会 第16回岩手県議会定例会会議録

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〇44番(樋下正光君) 自由民主党・県民クラブの樋下正光でございます。
 通告に従いまして順次質問をさせていただきますので、県当局の御答弁をよろしくお願いいたします。
 最近の経済情勢を見てみると、景気の低迷状態が長引き、極めて厳しい状況にあります。消費者の財布のひもが依然として固く、個人消費は低調に推移しております。雇用情勢も依然として厳しく、失業者が増加しております。中小企業者などは、収益の悪化と金融機関の貸し渋りにより、厳しい経営を余儀なくされております。また、為替相場は、日本の金融不安などから1ドル140円台まで急落したかと思えば、1ドル110円台まで急上昇するなど乱高下にあります。海外に目を転じてみても、韓国、東南アジア、ロシアなどで、日本と同様、厳しい経済状態と金融不安の最中にあると聞いております。このような厳しい経済状況に対応し、国においては、平成11年度に向けて切れ目なく景気対策を実行するため、8兆円を超える第三次補正予算と11年度予算の編成を急いでおります。また、県、市町村においても国の総合経済対策に呼応し、景気対策に全力を注いできたところであります。しかしながら、なかなか出口が見えず、中小企業や商店街の方々、年金生活のお年寄りの方々を初め、県民生活に深刻な状況であります。
 また、ことしは、去る8月26日から9月1日にかけて大雨洪水被害や9月3日の大地震による被害を初め、大雨、長雨、地震、台風など自然災害による被害も多く発生し、米を初め多くの農作物の作柄も平年を下回り、まことに残念でなりません。ことしを振り返ってみますと、このような暗いことが多かった1年でありますが、来年は心機一転、新しい総合計画のもと、活力と潤いに満ちた夢県土いわての創造に向けて、県当局の一層の御努力を期待するものであります。
 さて、県都盛岡が北東北の拠点として、潤いと活力に満ちた都市として発展していくことは、県勢発展にとっても極めて重要であることは申し上げるまでもないことであります。特にも、新幹線盛岡以北の開通を控え、盛岡都市圏の基盤整備がこれから21世紀初頭に向けての県政の重要課題の一つではないかと考えられるものであります。しかし、盛岡市の現状を見るに、着実な発展を見せてはいるものの、さきの国勢調査によりますと、盛岡市の人口は28万6、000人、秋田市の31万2、000人、青森市の29万4、000人にも及ばず、平成4年の都南村と合併以後も同様の傾向が続いております。北東北の拠点都市として発展していくためには、県、盛岡市はもとより、官民挙げてより一層の努力が求められているところと思うのであります。このような観点から、盛岡都市圏の現状と将来について、何点かに分けてお伺いします。
 まず初めに、盛岡都市圏の課題と戦略についてお伺いします。
 県は、新しい総合計画策定を鋭意進めていることと思いますが、この新計画の期間中に新幹線盛岡以北の開通が見込まれているところであります。まさしく、北東北の拠点都市として、真価が問われる時期であります。
 そこで知事にお伺いいたしますが、知事は、盛岡都市圏を北東北3県における人、物、情報の交流拠点として位置づけると申しておりますが、そのような役割を今後担っていくに当たって、何が課題であると認識しているのか、まず御所見をお伺いします。
 また、真に北東北の拠点都市として発展させるためには、道路、上下水道を初めとする都市基盤の整備や産業、教育・文化、医療・福祉などの施設整備も重要でありますが、ソフト面の施策の展開もまた重要であります。
 そこで、北東北の拠点都市として発展するためのソフトの面を含めて、具体的戦略と新計画の中の盛岡都市圏の位置づけについて、あわせて知事の御所見を賜ります。
 次に、盛岡都市圏の都市計画と道路整備についてお伺いします。
 盛岡市は、南部藩20万石の城下町として栄え、以来400年を超える歴史と伝統を持ち、また豊かな自然と調和したまちとして発展してまいりました。一方では、政治、経済、教育、医療といったさまざまな近代的な都市機能が集積し、盛岡地域のみならず、本県の中心都市として、また先ほど以来申し上げているように、北東北の拠点都市として大きな発展が期待されているところであります。旧来の美しい町並みに配慮しながら、近代的都市機能の整備充実を図っていくことが求められているところであります。盛岡駅西口地区都市整備事業や盛岡南地区都市開発整備事業の進展に伴い、これら地域の道路網は次第次第に整備され、目をみはるものがあります。それに比べて、既存市街地の道路整備は思うように進まず、北東北の拠点都市及び本県の中心都市として、その機能を十分に発揮できないのではないかと心配するものであります。西口地区、盛南地区の整備が進んできたとはいえ、都市機能の多くは既存市街地に集中しており、抜本的な道路改良が必要と思いますが、御所見をお伺いします。
 また、盛岡旭橋線の整備等に伴って、開運橋や旭橋付近を初め、整備地域と既存市街地や盛南地区等の未整備地域との接続部分で、ますます渋滞することが予測されるところであり、その早急な対策が求められるところでありますが、この取組状況についてお伺いします。
 さらには、中央通りから内丸、中ノ橋に抜ける道路は、官庁、金融機関などが立ち並び、県都盛岡の顔とでも言うべき場所であります。しかし、かぎ型の道路であるため、慢性的交通渋滞を強いられる状況にあります。
 そこで、この交通渋滞を解消するため抜本的改良が必要と思いますが、御所見をお伺いします。
 次に、都市計画と商店街の活性化対策との関係についてお伺いします。
 近年のモータリゼーションの進展や住宅地の郊外への拡張などに伴って、大規模店舗の郊外への立地が進んでおります。つい先日も、盛岡市飯岡地区への大規模店舗の進出をめぐって、さまざまな論議があったところであります。大規模店舗の郊外への立地に伴い、中心商店街の活力の低下、空き店舗、空き地の増加あるいは後継者難など、さまざまな問題が発生しております。県都盛岡の商店も例外ではありません。中心商店街の活力の低下は、商店街だけではなく都市全体として魅力、機能の低下を招き、北東北の拠点都市を目指していく上にゆゆしき問題であります。これまで交通渋滞の解消を初め、快適な交通環境を整備するため、都市内道路の整備充実を推進してきたところでありますが、都市内道路の整備が中心商店街の活性化に結びついていないのではないかと思うのであります。
 そこでお伺いしますが、中心商店街の活性化という観点から見て、都市計画あるいは都市内道路の整備のあり方についてどのような課題があるのか、今後、どのような対策を講ずるおつもりなのか、お知らせ願います。
   〔議長退席、副議長着席〕
 次に、盛岡都市圏を取り巻く広域道路網の整備についてお伺いします。
 盛岡都市圏には、国道では4号や46号など5路線、県道では盛岡横手線、盛岡環状線、盛岡和賀線、上米内湯沢線、盛岡鴬宿温泉線など、数多くの幹線道路が張りめぐらされております。盛岡都市圏の拠点性や都市機能の集積に伴って、この効果が県内外に広く及ぶようにしていることが重要であります。そのためには、盛岡都市圏の市街地の道路整備と相まって、盛岡都市圏に通ずる広域道路網の整備が極めて重要であります。また、県北、沿岸地区を初め、県内各市町村にとっても、盛岡都市圏との時間距離の短縮が長年の課題であります。ことしは9月に山伏トンネルが開通し、沢内、湯田方面との時間短縮、利便性が飛躍的に向上したことはまことに喜ばしい限りであり、県御当局に対し敬意を表する次第であります。
 そこでお伺いしますが、北東北の拠点都市を目指していく上での広域道路網の整備に対する基本的な考え方と、今後の重点事項についてお示し願います。
 次に、盛岡都市圏における工業の集積と企業誘致についてお伺いします。
 北東北の主要な都市である青森市、秋田市、八戸市などは港湾を持っております。これらの都市と比較して、盛岡都市圏は内陸に位置し、食料品製造業、出版業など、地域消費型の業種の占める割合が大きく、しかも、経営基盤が弱い小規模事業所の割合が高くなっております。また、盛岡市の就業構成は、第2次産業が16・4%で、青森市の19・2%、秋田市の21・2%に比べて、第2次産業の割合が低くなっております。これは盛岡都市圏が、今後、北東北の拠点として発展していく上での大きな課題ではないかと考えるものであります。盛岡都市圏は、岩手大学、岩手県立大学を初めとする高等教育機関や工業技術センター等の研究機関が集積するとともに、岩手ソフトウエアセンター、滝沢村の盛岡西リサーチパークなどにより、研究開発型企業や情報関連産業などの高付加価値型の産業の振興を推進しているところであります。しかしながら、盛岡都市圏の産業構造や就業構造は、第3次産業である卸売業、小売業、サービス業などに大きく依存しており、技術系の高等教育機関の卒業生の受け皿が十分でないと考えるものであります。盛岡都市圏が、真に北東北の交流拠点として発展していくためには、研究開発型企業や情報関連産業だけでなく、基盤となるべき産業そのものを振興し、バランスのとれた産業構造や就業構造とするとともに、雇用機会の増大を図ることが必要不可欠と考えるものであります。
 そこでお伺いしますが、盛岡都市圏に点在する各有力企業の移転・集積と、企業誘致の受け皿として大規模な工業団地を造成し工業集積を図る必要があると考えますが、県当局の御所見を賜ります。
 また、盛岡都市圏の都市計画では、工業系の用途地域が何カ所かあるものの、規模、面積とも十分ではなく、また、住宅地に工場が点在し、施設の老朽化や狭隘化などにより、生産環境や労働環境の悪化が進んでおります。このことが、盛岡都市圏での大規模企業の立地が進まない要因の一つではないかと考えますが、用途地域の見直しについて御所見をお伺いします。
 このことに関連して、冒頭申し上げました一連の国際的な金融不安や為替相場の乱高下、東南アジアを初めとする発展途上国の経済状況は、企業の海外進出との関連から見て、本県の企業誘致や誘致企業の動向にどのような影響があると認識しておられるのか、あわせてお伺いします。
 次に、県営施設と市町村施設との役割分担等についてお伺いします。
 県土の均衡ある発展を図るためには、交通網や下水道などの基盤整備を県土にくまなく張りめぐらせるとともに、教育施設、文化施設、体育施設、社会福祉施設など県土にバランスよく配置され、地域に生活する県民が、ひとしくこれらの施設の恩恵を受けられるようにすることが重要であります。県内各市町村におきましても、これらの施設の整備に力を注ぎ、文化ホール、体育館、野球場などが相次いで誕生してきております。
 そこで、まず、このように市町村の施設整備が進む中で、県は新しい総合計画の策定に当たって、県営施設と市町村施設の分担を今後どのように進めていかれるのか、この基本的な考え方についてまずお伺いします。
 また、地方公共団体の財政が今後ますます逼迫していくことが予想される中、財政の効率的運用を図る観点や広域的視点で行政を進めるに当たって、県と市町村が二重投資するようなことがあってはならないのは当然であります。特に、盛岡地区にあっては、県民会館と市民文化ホール、図書館、体育館、野球場といった体育施設など、県営施設と市の施設がそれぞれ設置されております。施設の性格によって、隣接して配置することにより相乗効果を発揮するものもあれば、それぞれバランスよく配置されることにより、利便性が向上するものもあると考えますが、県はこれらの文化・体育施設の配置や運営に当たってどのように連携、調整を図っているのか、今後の対応を含めてお伺いします。
 次に、県営施設や市の施設の移転新築等に伴う跡地利用の問題についてでありますが、御承知のように、盛岡地域には、県では盛岡短大用地、市では中央卸売市場、市立病院など、用地の今後の利用が決まっていない状況にあります。盛岡地域は住宅等が密集し、なかなかまとまった土地を確保するのは厳しい状況にあります。施設の建設に当たっては、県も市も用地の選定と確保は頭の痛い問題であり、これらの遊休地の利用方策について県と市が一体となって取り組むことが必要と思いますが、御所見をお伺いします。
 次に、旧盛岡競馬場の跡地利用についてお伺いします。
 盛岡市は、昨年12月に旧盛岡競馬場跡地の利用方法を決めた旨の報道がありましたが、その内容を見ますと、市街化調整区域17・2ヘクタールについては緑地空間としての活用を基本として、環境保全、防災、スポーツなどの機能を盛り込んだ公園・緑地あるいは健康増進施設を整備する、また、市街化区域となっている土地3・7ヘクタールについては、民間活力を生かして宅地として整備するとなっております。当初、この跡地の利用計画は平成6年度までに策定することとされ、さらに利用方法が決まった昨年12月以来1年が経過しているわけでありますが、具体的な計画がいつごろ出てくるのか、また、この計画に県がどうかかわっているのかお伺いします。
 また、この地域の跡地利用について、県は、市から具体的要請を待って対応する旨、議会において答弁しておりますが、この地域は高松公園に隣接する盛岡市内でも数少ない自然環境にすぐれた地域であります。知事は、新しい総合計画の中で、ひと、情報に並んで環境を重要なキーワードとして位置づけようとしております。この環境というキーワードにすぐれた地域を県として積極的に活用すべきと思いますが、あわせて知事の御所見をお伺いします。
 最後に、競馬組合の所有地の売却が延びていることで、競馬組合の財政にどのような影響が出ているのかお伺いします。
 以上をもって、私の質問を終えさせていただきます。御清聴まことにありがとうございます。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 樋下正光議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、盛岡都市圏が北東北3県の交流拠点としての役割を担うに当たっての課題についてでございますが、この圏域は、東京圏から青森を経て北海道に至る縦の国土軸と、三陸と秋田を結ぶ横の連携軸のちょうど結節点に位置をいたしますとともに、環十和田湖・八幡平交流圏や秋田・岩手中南部交流圏の中核をなす都市圏に位置づけられるものでございまして、東北新幹線の盛岡以北への延伸や、地域高規格道路などの高速交通体系の整備によりまして、21世紀における北東北発展の先導的かつ中核的な役割がますます高まっていくものと認識をしております。このため、豊かな自然、特色ある歴史・文化など、この圏域のすぐれた個性を生かし、行政、民間がそれぞれの役割を担いながら、一体となって産業、教育・文化、医療・福祉、情報・サービスなど、各分野において北東北全体を視野に入れた高次都市機能の集積を図っていくことが重要であると考えておりまして、新しい総合計画の地域計画の中間報告におきましても、このような位置づけがなされているところでございます。
 県では、これまでも、圏域内市町村における主体的かつ一体的な都市整備などの取組みと調和を図りながら、工業技術センターや県立大学、美術館、いわてマルチメディアセンター、そして先端科学技術センター--これは仮称でございますが--これらなどの整備や都市内骨格道路整備によりまして、高次都市機能の充実の一翼を担いますとともに、民間における交通、情報通信ネットワークの整備を促進することによりまして、都市機能の集積に努めてきたところでございます。
 今後は、このような施設整備に加えまして、これらの高次都市機能がそれぞれのネットワークを形成して、拠点性を一層高めるために、県、市町村、民間がそれぞれの役割を担いながら一体となって広域行政の推進、産学官の連携の強化、にぎわいのあるまちづくり、経済、学術、文化などの各分野における地域内外との交流、さらには交通需要マネジメントなどのソフト面を含めた施策を推進してまいりたいと考えております。
 さらに、これらの施策とともに、県土軸やいわて情報ハイウェイなどの新しいネットワークの構築によって、盛岡都市圏の高次都市機能の集積がもたらすさまざまな効果が、県内外に広く及ぶように努めてまいりたいと考えております。
 次に、旧盛岡競馬場の跡地利用についてでございますが、その活用方法については、これまで県、盛岡市、岩手県競馬組合の3者が協議を重ねながら検討を進めてきたところでございます。この跡地は、盛岡市都市部の住宅地に残された数少ないまとまった土地であること、自然環境にすぐれ、市民の憩いの場として活用されております高松公園の機能を拡充するのに適した土地であることなどを考慮して、全体の80%以上を占める市街化調整区域については、盛岡市が公園・緑地や保健・福祉施設などに一体的に活用することを基本として、残りの市街化区域については、現状の用途に沿って住宅ゾーンとして利用していくこととしているものでございます。現在、盛岡市において、遅くとも本年度末までに跡地の利用計画を取りまとめることとして3者が協議しながら検討が進められているところでございますが、県では、環境に十分配慮した利用計画が策定をされ、競馬場跡地が、近隣地域と一体となった潤いのある緑地空間として利用されるよう、3者協議の場を通じて積極的に助言・協力してまいりたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので御了承をお願いいたします。
   〔土木部長大石幸君登壇〕
〇土木部長(大石幸君) まず、盛岡都市圏の都市計画と道路整備についてでありますが、盛岡市の既存市街地内の道路につきましては、御案内のとおり、城下町であったことや都市機能が都心に集中していることから、交通が1点に集中する形態となっており、交通混雑を発生させる要因となっております。このため、盛岡市におきましては、北東北の拠点都市を目指し、都市の発展に伴う交通渋滞や業務地不足など、既存の都市構造では対応し切れない課題を解決するため、既存市街地と盛岡駅西口地区、盛岡南地区の三つの都心からなる新しい都心軸への構築を進めているところであります。これら三つの都心の連携を図り、機能的な都市活動を支えていくためには、円滑な交通を確保する道路網の整備が最も重要であると考えております。このようなことから、集中する交通の一部を市内中心部を通過せず郊外に誘導し、市街地内の交通を分散させるため、都心環状道路や市街地環状道路、外郭環状道路の三つの環状道路と8本の放射道路による幹線道路網を計画し、重点的に整備を進めることとしております。
 具体的な整備箇所としては、現在、外郭環状道路となる国道46号西バイパスを初めとし、都心環状道路となる開運橋飯岡線の盛南大橋やJR跨線橋、盛岡駅南大橋線の仮称下開運橋、太田橋中川線さらには仮称中央大橋などの整備を進めており、既成市街地内や盛岡南地区との接続部分における交通混雑の緩和に向けて、関係機関連携のもとに取り組んでいるところであります。
 また、内丸地区から中ノ橋地区に抜ける道路の整備につきましては、大規模な町並みの改変と膨大な事業費を要しますことから抜本的な改良は困難であり、現在進めております放射・環状道路の整備により交通の分散を図り、円滑な交通を確保してまいりたいと考えております。しかしながら、厳しい財政事情の中、都市内の道路整備には膨大な事業費を必要とし、完成まで長い期間を要しますことから、即効的な効果を発揮する局部的な渋滞対策など、ハード、ソフトの施策ともあわせながら関係機関と連携を図り、交通混雑の緩和推進に努めてまいりたいと考えております。
 次に、中心商店街の活性化のための道路整備についてでありますが、中心商店街を初めとする中心市街地活性化のためには、まちの魅力を高める努力をするとともに、中心市街地への交通の利便性の向上が不可欠であると考えております。都市には、固有の歴史や文化にはぐくまれた個性がありますが、それを守り育てながらさらなる魅力をどのように付加していくかは、ひとえに地域住民や商業関係者などの意識の高揚と工夫にかかるところであり、民間と市町村が一体となって地元主導で取り組むことが大事であると考えております。
 また、市街地への交通の利便性の向上につきましては、関連道路や駐車場の整備などが不可欠でありますが、沿道景観の創造など、まちづくりと一体に進める必要があります。したがいまして、中心市街地活性化のための都市内道路の整備につきましては、今後、各市町村で中心市街地活性化法などに基づき策定する街づくり基本計画に十分配慮し、地元商店街等の関係団体とも密接な連携を図りながら、ハード、ソフトの両面で工夫を凝らしてまいりたいと考えております。
 次に、盛岡市を取り巻く広域道路網の整備についてでありますが、盛岡都市圏の拠点性をより一層高めていくためには、都市基盤の整備により高次都市機能の集積を進めるとともに、その高次都市サービスを県民のすべてが容易に享受できるよう、県内各地からのアクセスを改善する必要があると考えております。このため、県都盛岡都市圏と広域生活圏中心都市とを90分で連絡するいわゆる県内90分構想の実現を目指し、高規格幹線道路の整備とあわせ、地域高規格道路や交流促進型広域道路の整備を重点的に進めることとしております。
 これらの道路ネットワークに位置づけられた区間では、特に速度サービスの低い区間や冬期の隘路区間、都市近傍の交通量の多い区間等から優先的に整備を進めることとし、地域高規格道路である宮古盛岡横断道路の簗川道路や都南川目道路、盛岡都市圏の外郭環状道路となる国道46号西バイパスなどの整備に取り組んでいるところであります。
 さらに、盛岡都市圏の主要な放射道路と位置づけられている国道4号茨島以北の整備につきましては国において検討をなされているところであり、国道455号北山地区につきましても、具体的解決に向けて、鋭意、取り組んでいるところであります。
 また、これらの道路整備に当たっては、時間距離の短縮を図るとともに、道路の安全性や利便性の向上、さらには道路環境や沿道利用等にも十分配慮していくこととしております。
 県といたしましては、関係機関との連携を図り、今後とも効率的、効果的な道路事業を推進し、円滑な交通の確保に向け、道路網の早期整備に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、盛岡広域都市計画の工業系を含む用途地域の見直しについてでありますが、用途地区につきましては、都市的利用を図るべき地域について、適正な制限のもとに土地の合理的、計画的な利用を図ることを目的として定めるものであり、住居系用途地域として7種類、商業系用途地域として2種類、工業系用途地域として3種類の合計12種類に区分されております。現在、盛岡広域都市計画においては、都市の健全な発展と秩序ある整備を図るため、住宅系用途地域として4、652ヘクタール、商業系用途地域として644ヘクタール、工業系用途地域として794ヘクタールの合計6、090ヘクタールを指定している状況であります。
 新たな工業系用途地域の指定に当たりましては、このような用途地域指定の趣旨を踏まえ、今後の社会経済状況における企業の立地動向等を見きわめるとともに、総合的、広域的な視点に立って、都市機能の向上に資するよう十分な配慮が必要であります。したがいまして、都市の健全な発展を支える工業系用途地域の指定につきましては、今後とも庁内関係部局や関係市町村との連携を密にし、適切に対処してまいる考えでおります。
   〔商工労働観光部長小野寺修君登壇〕
〇商工労働観光部長(小野寺修君) まず、盛岡都市圏における工業の集積についてでありますが、本圏域の中心をなす盛岡市は、本県の行政、経済、文化の中心として発展してきた地域であり、卸小売業、サービス業の集積が高く、また、近年、この圏域には学術研究機能や情報処理サービス業を初めとする産業支援サービス業の集積が進んでいるところであります。県といたしましては、平成6年に策定いたしましたいわゆる頭脳立地計画、さらにはその前でありますが策定しました北上川流域テクノポリス開発計画の策定に当たりまして、圏域市町村との協議のもとに、この圏域を大学、研究施設等の産業支援機能の充実強化とともに、ソフトウェア業、デザイン業などの産業支援サービス業の一層の集積の促進を図り、北上川流域の産業集積の高度化を支援する機能を担う地域として位置づけているところであります。
 こうした考え方に基づきまして、これまで工業技術センターの機能強化を初め、産業技術短期大学校、いわてマルチメディアセンター、さらには工業団地としても盛岡西リサーチパークの整備等に努めてきたところであります。
 また、今後におきましても、当圏域は北上川流域はもちろんのこと、県北・沿岸地域の工業振興を図る上で中核的な役割を担い、さらには、北東北全体を視野に入れた高次都市機能の集積を目指す地域として、その機能の充実を図っていくことが肝要であると考えているところであります。したがいまして、工業集積の受け皿としましては、これまでも盛岡手づくり村や盛岡中央工業団地、さらには先ほど申し上げました盛岡西リサーチパークなどの整備を進めてきたところでありますが、製造業を中心とした大規模な工業団地の整備につきましては、この圏域の持つ地域特性、果たすべき役割や関係市町村の意向を十分踏まえながら、総合的かつ広域的な視点に立って検討すべき課題であると考えております。
 次に、海外情勢による企業誘致への影響についてでありますが、御案内のとおり、昭和60年代以降、急激な円高等を背景として国内製造業の海外への進出が相次ぎ、産業の空洞化が懸念されたところであります。しかしながら、その後の為替相場の変動等に加え、昨年来の東アジア経済の混迷により海外進出企業は減少の傾向にあり、一部撤退も増加しているものと承知しております。このような国際的な金融不安や東アジアを中心とする経済情勢は日本企業の海外進出を鈍化させてはいるものの、中長期的には東アジアとの競争の激化、企業の生産機能の海外移転に加え、我が国の経済高コスト構造など、依然として企業を取り巻く環境は構造変革の中にあるというふうに考えております。
 また、一方で、国内の長引く景気低迷の影響もありまして、直ちに企業の地方進出、地方展開や設備投資の増加に結びつくには至っておらない状況にあります。特に、国内における設備投資につきましては、企業の設備投資意欲は大きく減退しておりまして、先月、国が発表いたしました工場立地動向調査によりましても、平成10年上期の全国の工場立地件数は、調査以来、最低の水準となっておるところでございます。内容を見ますと、半導体などの電気機械関連企業を初めといたしまして、総じて企業は新たな設備投資は抑制の傾向にあることなどでありまして、本県の企業誘致をめぐる経済環境といたしましても、依然として厳しいものがございます。
 県といたしましては、このような厳しい経済環境にはありますが、企業の立地動向を把握しながら、外資系企業をも視野に入れた付加価値生産性の高い優良企業の導入とともに、ソフトウェア業などの産業支援サービス業や我が国製造業を支える金型製造業などの基盤的技術産業の集積を拡大し、今後とも積極的な企業誘致に努めてまいりたいと考えております。
   〔企画振興部長武居丈二君登壇〕
〇企画振興部長(武居丈二君) 県営施設と市町村施設との役割分担などについてでありますが、限られた財源の効果的な活用を図りながら、住民の視点に立って質の高い効率的な行政サービスを提供していくためには、特に必要な施設への重点投資に配慮するとともに、これまでに整備された施設の有効活用や広域的な利用を図っていくことが必要と考えております。そのためには、従前にも増して、県と市町村や、そして各市町村間における役割分担と連携が必要になると考えており、そのことにより施設間の連携を強化し、総体として相互に機能を補完し合い、あるいは相乗効果を高めていくことが重要であると考えております。
 したがいまして、県営施設の整備に当たっては、それぞれの施設の性格、機能、規模に応じ、施設の設置目的に沿ってその機能を最大限に発揮できるよう、利用者の利便性なども含めて総合的に判断するとともに、市町村などにおける類似施設の配置状況や整備計画などを勘案しながら、それらの施設との有機的な連携を意識して進めてまいりたいと考えております。また、市町村施設にあっても、広域的な利用や連携を図る観点から、その施設の機能や役割などをより広い圏域、あるいは全県的な視点でとらえていくことが必要と考えており、地方振興局の総合調整機能を十分発揮しながら、各種施設の効果的な活用を図ってまいりたいと考えております。
 なお、今後は、新しい総合計画の中間報告に盛り込まれましたいわて情報ハイウェイを全県にわたって構築するなどにより、医療・福祉や教育、文化、産業関連施設などのネットワーク化を図り、身近に施設がなくても各地域で同じサービスを受けることができるなど、それぞれの施設が最大限に生かされるよう、ソフト面での充実を目指してまいりたいと考えております。
   〔総務部長吉田敏彦君登壇〕
〇総務部長(吉田敏彦君) 県営施設の移転新築等に伴う跡地利用についてでありますが、県が所有する行政財産を用途廃止した場合は、所管部局が極力公用、または公共用の用途に優先的に充てることを基本方針として、各部局の利用希望をも把握した上で利用計画を策定することといたしております。この利用計画の策定に当たりましては、全庁的な観点が必要でありますことから、将来の行政需要の動向等をも考慮し、総務部におきまして調整を図っているところでございます。
 なお、県において利用計画がない場合につきましては、当該用地の所在市町村と利用の可能性について十分協議しているところでありまして、この例といたしましては、平成9年度に市町村の公共用施設用地として譲渡いたしました園芸試験場大迫試験地など、約4万5、000平方メートルとなっているものであります。また、用地の取得につきましても、所管部局が関係市町村と協議しながら適地を選定しているところでありまして、最近の事例といたしましては、県立大学教員宿舎用地につきまして、盛岡市と協議の上、盛岡地区広域土地開発公社から購入するなど、関係市町村との意思疎通を図って取り進めているところでございます。いずれにいたしましても、土地等の財産の有効活用につきましては、今後とも各部局等と調整を図るとともに、関係市町村と協議を行いながら、適正な取得、処分に努めてまいりたいと考えております。
   〔農政部長佐藤徳兵衛君登壇〕
〇農政部長(佐藤徳兵衛君) 旧競馬場跡地の競馬組合所有地の売却時期と組合財政に与える影響についてでありますが、競馬組合におきましては、平成10年度までにこの土地を売却し、売却代金を11年度の地方債への繰り上げ償還財源に充てる計画となっていたところであります。したがいまして、繰り上げ償還する時期が延びますと、その間の償還金の利子負担額がその分軽減されないこととなりますので、県といたしましては、まずもって、盛岡市が進めている跡地利用計画が早期に確定し、売却処分が円滑に行われるよう協力してまいる考えであります。
   〔教育長大隅英喜君登壇〕
〇教育長(大隅英喜君) 文化・体育施設の連携、調整についてお答えいたします。
 まず、いわゆる文化ホールの配置につきましては、質の高い芸術、文化に触れる機会や芸術文化活動の発表の場を身近に確保するとともに、利用者の選択の幅を広げる観点から、県内各地で地域の実情に即した施設が設置されることは、基本的には望ましいことと考えております。また、その運営につきましては、県民会館を中心に岩手県公立文化施設連絡協議会が設けられており、催し物の相互調整や職員研修を実施するなど、運営の改善向上にも努めているところであります。 県立図書館につきましては、資料貸し出しやレファレンスサービス、巡回相談等を通じ、市町村図書館への支援を積極的に行っているところでありますが、現在、公文書館及び視聴覚障害者情報センターと複合化した図書情報総合センターについて構想中であり、これまで以上に市町村の既存施設との一体的な取組みを図りながら、より利便性の高い情報ネットワークの中核拠点として、充実した機能を有するものとなるよう検討してまいりたいと考えております。
 体育施設の配置につきましては、公立社会体育施設の整備に関する指針を定め、身近なスポーツ施設から全国的・国際的競技会の開催できる機能を有する高規格な施設まで、県、市町村の実情に即したスポーツ施設の整備を図っているところであります。また、その運営につきましては、各種スポーツ大会の計画的な開催など、施設の効率的な活用に努めているところであります。
 今後とも、文化・体育施設の配置や運営に当たりましては、市町村との連携を密にし、役割分担や機能分担、さらには広域的な観点からの調整が図られるよう努力してまいりたいと考えております。
   
〇副議長(吉田秀君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時43分 休 憩
   
出席議員(43名)
1番 斉  藤     信 君
2番 上  澤  義  主 君
3番 佐 々 木     博 君
4番 中 屋 敷     十 君
5番 佐 々 木  一  榮 君
6番 黄 川 田     徹 君
7番 小 野 寺     好 君
9番 千  葉     伝 君
10番 佐 々 木  大  和 君
11番 水  上  信  宏 君
12番 伊  沢  昌  弘 君
13番 大 久 保     豊 君
14番 田  村  正  彦 君
16番 藤  原  泰 次 郎 君
17番 伊  藤  勢  至 君
18番 高  橋  賢  輔 君
19番 渡  辺  幸  貫 君
20番 折  居  明  広 君
21番 船  越  賢 太 郎 君
23番 谷  藤  裕  明 君
24番 久 保 田  晴  弘 君
25番 瀬  川     滋 君
26番 長 谷 川  忠  久 君
27番 千  葉     浩 君
29番 三  河  喜 美 男 君
30番 村  上  恵  三 君
31番 村  田  柴  太 君
33番 菊  池     勲 君
34番 工  藤     篤 君
35番 菅  原  温  士 君
36番 小  原  宣  良 君
37番 吉  田  洋  治 君
38番 藤  原  良  信 君
39番 及  川  幸  郎 君
40番 那 須 川  健  一 君
42番 山  内  隆  文 君
44番 樋  下  正  光 君
45番 佐 々 木  俊  夫 君
46番 山  崎  門 一 郎 君
47番 菊  池  雄  光 君
48番 佐  藤  啓  二 君
49番 堀  口 治五右衛門 君
50番 吉  田     秀 君
欠席議員(3名)
15番 須  藤  敏  昭 君
43番 佐  藤  正  春 君
51番 藤  原  哲  夫 君
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
午後4時5分 再 開
〇副議長(吉田秀君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。及川幸郎君。
   〔39番及川幸郎君登壇〕(拍手)

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