平成11年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成11年3月10日(水)
   

1開会  午前10時3分

1出席委員  別紙出席簿のとおり

1事務局職員
事務局長 佐藤嘉成
議事課長 藤沢重一
議事課長補佐 駿河 勉
主任議事管理主査 千田正和
議事管理主査 南 敏幸
議事管理主査 筒井則裕
議事管理主査 森 達也
議事管理主査 熊谷正則

1説明員
林業水産部長 渡辺 勲
林業水産部次長 本山芳裕
林業水産部次長 木實谷 浩 史
参事兼林政課長 小野寺 文治郎
木材振興課長 溝上 優
緑化推進課長 玉川公喜
松くい虫対策監 澤田定勝
森林土木課長 近藤勝人
漁政課長 武市正明
漁業振興課長 上村俊一
漁港課長 船越 穣
 
農政部長 佐 藤 徳兵衛
農政部次長 鈴木一夫
農政部次長 渕沢光雄
農政部次長 佐々木 正 勝
農政企画課長 仙石隆夫
地域農業振興課長 千田 勉
農業普及技術課長 山内吉朗
農村計画課長 永嶋善隆
総合国営対策監 高橋重安
農村建設課長 高橋民和
農業経済課長 橋本裕治
農産園芸課長 石川格司
生産調整対策監 河村茂幹
畜産課長 菊地清彦
農産物流通課長 菅原誠郎
 
財政課長 千葉 弘
   

〇三河委員長 これより、本日の会議を開き、直ちに議事に入る。
 議案第1号から議案第21号まで、議案第26号から議案第37号まで、議案第40号、議案第43号、議案第45号から議案第47号まで、議案第49号、議案第50号、議案第52号及び議案第54号から議案第64号まで以上52件を一括議題とする。
 本日は、林業水産部及び農政部関係を終わるように進行したいと思うので、御協力をお願いする。
 また、世話人会の申し合わせにより、質疑事項が複数ある場合、関連する事項については、できるだけまとめて質疑されたいこと、また、質疑及び答弁については、簡潔明瞭に行い、午後5時を目途に審査が終了するよう議事進行に御協力を願う。
 なお、関連質疑については、冒頭に質疑を表明している委員より優先して発言を認めるものであるので、その性格上、関連性の強いもののみ、短時間、簡明に発言されるよう、また、要望のみに終わることのないよう、御協力をお願いする。
 最初に、林業水産部長から林業水産部関係の説明を求める。

〇渡辺林業水産部長 平成11年度の林業水産部関係の予算について御説明申し上げる。
 予算の説明に入る前に、まず、平成11年度の林業・水産業施策の推進に当たっての基本的な考え方について御説明申し上げる。
 初めに、林業についてであるが、近年、地球温暖化対策等の役割を担う森林の働きに対する県民の期待はますます高まってきており、いわゆる持続可能な森林経営の推進、定着を図ることは喫緊の課題と認識しておる。また、戦後植栽された本県の人工林が伐採時期を迎えつつあり、製材品の産地間競争が今後一段と厳しくなるものと予想されるので、一層、足腰の強い木材産業を確立していくことが重要となっておる。
 こうした状況に対し、本県森林・林業、木材産業の振興を図るため、特に、間伐を初めとする適切な森林の整備、間伐材を含む県産材の需要拡大の推進、そしてこれらを支える治山の推進や林道網の整備に重点的に取り組むほか、各般の施策を総合的に展開してまいる考えである。
 次に、水産業であるが、近年の水産業は、水産資源の減少や魚価の低迷など厳しい状況下にあり、一方で、消費者ニーズは、健康、安全、本物志向などへと、多様化、高度化してきているところである。こうした状況に対応し、本県水産業の一層の振興を図るため、これまでに培ってきた成果を踏まえながら、魚類栽培の推進を初め、沿岸漁場の整備開発、漁港管理施設、漁村環境の整備のほか、新たな食品衛生管理方式である、いわゆるハセップ方式の導入を進め、新鮮で安全な三陸いわての水産物の提供に積極的に取り組むとともに、漁協信用事業の統合等による漁業系統組織の基盤強化に努めるなど、水産振興対策を総合的に推進してまいる考えである。
 なお、これらの基本的考え方を踏まえ、21世紀初頭における本県林業・水産業の基本的方向を示すべく、現在、新しい林業基本計画及び水産業基本計画の策定に鋭意取り組んでいるところである。
 それでは、林業水産部関係の議案について御説明申し上げる。
 まず、議案第1号の平成11年度岩手県一般会計予算についてであるが、お手元の議案その1の7ページをお開き願う。6款農林水産業費のうち、4項林業費と5項水産業費、9ページをお開き願って、11款災害復旧費のうち、1項農林水産施設災害復旧費の一部を合わせた、総額459億536万1、000円が当部関係の一般会計予算である。これは、前年度当初予算対比で5・7%の減となっており、また、一般会計予算の総額に占める割合は5・3%となるものである。
 以上、一般会計の総括について申し上げたが、予算の内容については、平成11年度予算に関する説明書により御説明申し上げる。なお、金額の読み上げは省略させていただいて、主な事業を中心に御説明申し上げるので、御了解願う。
 予算に関する説明書の176ページをお開き願う。6款農林水産業費4項林業費1目林業総務費の主なものは、人件費など管理運営に要する経費と、県有林事業特別会計に対する繰出金である。次に、177ページに参って、2目林業構造改善対策費の主なものは、林業構造改善事業費であるが、これは、18地域において実施される木材加工施設等の整備に対する助成などを行おうとするものである。次に、3目林業振興指導費の主なものであるが、説明欄二つ目の木材産業振興対策事業費は、木材産業の経営安定を図るため、素材の共同購入等に必要な運転資金の貸し付けなどを行おうとするものである。次に、一つ飛んで、県産材流通促進対策事業費は、県産材の需要拡大とブランド化の推進、乾燥材の安定供給対策を総合的に実施しようとするものである。次に、178ページをお開き願う。説明欄四つ目の森林組合経営体質強化資金貸付金と、一つ飛んで林業振興資金貸付金は、森林組合の経営安定を図るため、財務改善等に必要な資金と林産事業等に必要な資金を、岩手県森林組合連合会に貸し付けようとするものである。次に、179ページに参って、一つ目の岩手県林業公社事業資金貸付金は、同公社に対し分収造林事業に必要な資金を貸し付けようとするものである。次の水土保全森林緊急間伐対策事業費は、水土保全などの公益的機能の高い森林を中心に間伐を推進しようとするものである。次に、五つ飛んで森林計画樹立事業費は、大槌・気仙川森林計画区の地域森林計画を樹立するほか、森林資源のモニタリング調査などを行おうとするものである。次に、一番下の岩手健康しいたけモッコリくん流通促進資金貸付金と、次の180ページをお開き願って、しいたけ等原木安定供給促進資金貸付金は、岩手乾しいたけ特別入札会への出品生産者に支払う前渡金に必要な資金と、森林組合が行う原木生産事業に必要な資金を、岩手県森林組合連合会などに貸し付けようとするものである。次に、一番下の林業普及指導事業費は、普及指導職員の人件費、活動費など、林業技術の普及指導に要する経費である。次に、4目森林病害虫等防除費は、松くい虫などの森林病害虫の防除と被害拡大の防止のほか、五葉山周辺のシカ被害の防止に要する経費である。次に、181ページに参って、5目造林費の主なものは、造林事業費であるが、これは、森林資源の充実と森林の公益的機能の維持増進を図るため、人工造林、保育等に対する助成などを行おうとするものである。次に、182ページをお開き願う。6目林道費は、林業生産基盤の整備と山村地域の生活環境の改善を図るため、県営76路線、市町村営42路線で行う林道整備などに要する経費である。次に、7目治山費は、山地災害等から県土を保全するため、183カ所で行う山地治山工事、地すべり防止工事などに要する経費である。次に、183ページに参って、8目林業技術センター費は、林業技術センターの管理運営と各種試験研究などに要する経費である。
 以上で林業費を終わって、次に、水産業費について御説明申し上げる。
 185ページをお開き願う。5項水産業費であるが、1目水産業総務費の主なものは、人件費などの管理運営費と、水産科学館の運営に要する経費である。次に、2目漁業構造改善対策費の主なものであるが、説明欄の一つ目の沿岸漁場整備開発事業費は、沿岸漁業の安定的な発展と水産物の供給の増大を図るため、増殖場造成6カ所、大型魚礁設置8カ所の事業を実施し、沿岸漁場の整備を図ろうとするものである。次に、186ページをお開き願う。説明欄の一つ目の沿岸漁業活性化構造改善事業費は、沿岸漁業の振興と漁業経営の近代化を図るため、漁業近代化施設の整備等に要する経費に対し、助成しようとするものである。次に、3目水産業振興費の主なものであるが、説明欄の三つ目のさけ、ます増殖費は、サケ、マス資源の維持安定を図るため、稚魚を買い上げ各河川に放流しようとするものである。次に、三つ飛んで、特定海域栽培漁業定着強化事業費は、アワビ資源の増大を図るため、種苗放流事業などに要する経費に対し、助成しようとするものである。次に、187ページに参って、一つ目の魚類栽培推進事業費は、魚類栽培漁業の一層の推進を図るため、ヒラメ、マツカワの種苗生産施設の整備などを行おうとするものである。次に、一つ飛んで、岩手産アユ資源造成事業費は、アユ資源の造成を図るため、新たにアユ種苗自給体制を整備するとともに、他県から優良種苗を購入し放流する経費に対し、助成しようとするものである。次に、二つ飛んで、海洋法対策事業費は、漁獲可能量制度、いわゆるTAC制度の円滑な運用を図るため、漁獲量の的確な把握に努め、関係漁業者への指導などを行おうとするものである。次に、下から三つ目の秋さけ等消費定着化推進事業費は、アキサケを中心とした本県水産物の利用定着化を図るため、学校給食等による魚食の普及、その他水産物のPRなどに加え、新たに病院給食向けの食材の開発を行おうとするものである。次に、一番下の水産物新品質管理方式導入推進事業費は、いわゆるハセップ方式の導入を促進するため、新たに産地魚市場及び水産加工場の衛生診断に要する経費に対し、助成しようとするものである。次に、188ページをお開き願う。一つ目の養殖生産物品質安全普及事業費は、養殖カキ生産の振興を図るため、生食用カキから微生物等有害物を効率的に除去する衛生手法の開発及び普及を行おうとするものである。次に、4目水産業協同組合指導費の主なものであるが、説明欄の四つ目の漁業協同組合経営強化総合対策事業費は、漁業協同組合の基盤強化を図るため、合併や事業統合等の推進、指導及び財務改善に必要な資金借り入れに対し、利子補給をしようとするものである。次の漁業協同組合信用事業統合促進資金貸付金は、漁業系統信用事業の基盤強化を図るため、岩手県信用漁業協同組合連合会に対し、信用事業の統合に必要な資金を無利子で貸し付けようとするものである。次の漁業近代化資金金融対策費は、漁業者に長期・低利の施設整備資金を融資する金融機関に対し、利子補給をしようとするものである。次に、189ページに参って、5目漁業調整委員会費と、6目漁業調整費は、海区漁業調整委員会の運営や漁業調整などに要する経費である。次に、190ページをお開き願う。7目漁業取締費は、漁業取締事務所の人件費と、漁業取締船などの管理運営に要する経費である。次に、8目水産技術センター費の主なものは、水産技術センターの管理運営と各種試験研究に要する経費である。次に、191ページに参って、9目内水面水産技術センター費は、内水面水産技術センターの管理運営と試験研究に要する経費である。次に、192ページをお開き願う。10目漁港管理費は、県管理漁港の維持管理などに要する経費である。次に、11目漁港建設費は、漁港、海岸関係事業に係る、県営、延べ48港、市町村営、延べ52港の整備に要する経費である。
 以上で水産業費を終わって、次に、少し飛んで254ページをお開き願う。11款災害復旧費について御説明申し上げる。1項農林水産施設災害復旧費2目林道災害復旧費と、255ページに参って、3目治山災害復旧費、4目漁業用施設災害復旧費、256ページをお開き願って、5目漁港災害復旧費は、過年災及び現年災の災害復旧に要する経費を見込んだものである。
 以上で一般会計歳出予算の説明を終わる。
 次に、債務負担行為について御説明申し上げる。恐れ入るが、再び議案その1の13ページをお開き願う。
 林業水産部関係は、事項欄の30から35までの6件であるが、これらは、農林漁業金融公庫が社団法人岩手県林業公社に融通した、造林事業資金の元利償還に係る損失補償と、水産加工経営改善促進資金など、五つの資金の融通に伴う利子補給について、それぞれ期間と限度額を定めて、債務を負担しようとするものである。
 次に、特別会計予算について御説明申し上げる。25ページをお開き願う。議案第4号平成11年度岩手県県有林事業特別会計予算についてであるが、予算総額は、歳入歳出それぞれ46億3、358万円である。
 次に、26ページをお開き願う。第1表歳入歳出予算の歳入は、県有林造成基金及び一般会計からの繰入金並びに県債が主なものである。
 次に、27ページに参って、歳出の主なものは、1款県有林事業費であるが、これは、県行造林造成事業等の新植、下刈り、素材生産などに要する経費である。
 次に、第2表地方債についてであるが、これは、県行造林造成事業費等に充当しようとするものである。
 次に、28ページをお開き願う。議案第5号平成11年度岩手県林業改善資金特別会計予算についてであるが、予算総額は、歳入歳出それぞれ14億6、241万1、000円である。
 次に、29ページに参って、第1表歳入歳出予算の歳入は、一般会計からの繰入金と貸付金元利収入が主なものである。
 次に、30ページをお開き願う。歳出であるが、1款林業改善資金貸付費は、林業経営の改善を図るため、林業従事者等に対し、林業生産高度化資金、林業労働福祉施設資金等を無利子で貸し付けようとするものである。
 次に、2款木材産業等高度化推進資金貸付費は、森林組合等に対し、木材生産及び流通の合理化促進に必要な運転資金を低利で貸し付けるため、その原資を金融機関に預託しようとするものである。
 次に、3款林業就業促進資金貸付費は、新規林業就業者の住居移転などに必要な就業準備資金を、無利子で貸し付けようとするものである。
 次に、31ページの議案第6号平成11年度岩手県沿岸漁業改善資金特別会計予算についてであるが、予算総額は、歳入歳出それぞれ3億527万5、000円である。
 次に、32ページをお開き願う。第1表歳入歳出予算の歳入は、一般会計からの繰入金と貸付金収入が主なものである。
 次に、歳出の1款沿岸漁業改善資金貸付費は、近代的な漁業技術の導入を促進し、漁業経営の改善を図るため、沿岸漁業者に対し、無利子の経営等改善資金などを貸し付けようとするものである。
 次に、予算以外の議案について御説明申し上げる。
 75ページをお開き願う。議案第18号林業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてであるが、これは、平成11年度に実施する林業関係の建設事業に要する経費の一部を、受益市町村である大船渡市ほか14市町村に負担願おうとするものである。
 次に、77ページをお開き願う。議案第19号水産関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてであるが、これは、平成11年度に実施する水産関係の建設事業に要する経費の一部を、受益市町村である陸前高田市ほか13市町村に負担願おうとするものである。
 次に、条例関係の議案について御説明申し上げる。
 お手元の議案その2の48ページをお開き願う。議案第45号県民の森条例の一部を改正する条例と、49ページに参って、議案第46号林業技術センター条例の一部を改正する条例、51ページをお開き願って、議案第47号水産科学館条例の一部を改正する条例についてであるが、これらは、諸経費の増加などを勘案し、それぞれ使用料、手数料または入館料の額を増額しようとするものである。
 以上で林業水産部関係の議案の説明を終わる。よろしく御審議のほど、お願いを申し上げる。

〇三河委員長 ただいまの説明に対し質疑はないか。

〇村田委員 林野関連の行政について3点ほどお聞きする。
 まず、平成9年4月、春の大風にあおられて生じた石鳥谷町・紫波町にまたがる山林およそ300ヘクタール、これが大変な災禍をもたらしたわけであるし、それから軽米町の平成10年5月の火災もあった。さらに、本年も火災シーズンを控えて大変危惧されるところであるが、まず石鳥谷・紫波両町にまたがる火災の対応としては、早速、県補正予算、6月補正の取り組み、そしてまた、治山、それから火災被災木の処理等で、地元の両町あるいは近隣の対応等もあわせて大変迅速な取り組みが行われたと敬意を表しておるところであるが、その後、治山関係、伐木の処理後の緑化の対策等についても鋭意努力されておるかと思うが、それの成果、それから今後の見通し等についてのお考えを承りたいと思う。
 なお、その場合の治山の今後の対策も含めてお知らせをいただきたいと思う。
 それから、今までの投入の事業費、並びに補助金の状況についても御説明を願いたい。
 また、緑化植樹の施業計画を立案する場合に、広葉樹などについても、特に石鳥谷の葛丸ダムからおりてまいる葛丸溪谷の景観上の問題等も配慮しつつ、針葉樹一辺倒で考えていくのか、それともそういう問題についても混交林というようなことなどについても考えていいのではないかと、こう思っておるが、まずその林野火災についての現況と見通しについて承りたいと思う。

〇玉川緑化推進課長 林野火災についてのお尋ねであるが、石鳥谷町・紫波町については、進捗状況を申し上げると、事業費ベースで95%の進捗状況となっておる。また、軽米町においては、植栽は11年度になる関係から事業費ベースで申すと55%程度の進捗状況となっておる。平成10年度の計画については、石鳥谷町・紫波町並びに軽米町とも計画どおりにほぼ終了する見込みである。
 なお、植栽樹種については、石鳥谷町・紫波町については、森林所有者等の意向もあって杉が9割を超えておる。広葉樹についてのコナラ、ケヤキについては約6ヘクタールほどの造林実績となっておる。軽米町については、来年度--11年度の植栽になるわけであるが、石鳥谷町・紫波町と同様に杉が大半を占めることになると思われるが、コナラやケヤキ等多様な樹種の植栽についても、できるだけそういう適地があれば山林所有者を指導してまいりたいと考えておる。
 なお、林野火災復旧に係る造林関係の投入事業費であるが、平成9年度、10年度までで石鳥谷町・紫波町においては、事業費で4億3、000万円、補助金で2億3、000万円ほどとなっておる。軽米町においては、事業費で1億2、000万円に対する補助金が約6、000万円ほどとなっておる。

〇近藤森林土木課長 それでは、治山対策で実施した事業の投入状況と補助金の状況について説明させていただく。
 まず、紫波町・石鳥谷町であるけれども、この山林火災によって林木や地表植物、あるいは表土とか根系が被害を受けたために、土壤の保水力とか緊結力が低下することによるその森林の持つ土砂流出及び土砂崩壊防備機能が大きく損なわれて、その後の大雨等による2次災害が懸念されたために、国庫補助事業で災害関連緊急治山事業、それから県単の緊急治山事業を導入しておる。平成9年度には、紫波町・石鳥谷町両町で、谷どめ工3基、堰堤工1基、山腹工1カ所を事業費9、362万6、000円で施工した。また、平成10年度においても、石鳥谷町で谷どめ2基を事業費4、302万6、000円で施工しておる。さらに、11年度以降については、被害森林の復旧状況等を見ながら、両町の要請に基づいて対応してまいりたいと考えておる。したがって、これまでに投入した治山事業費は1億3、665万2、000円、国庫補助金にして5、149万2、000円となっておる。
 それから、軽米町であるが、やはり土砂流出による2次災害が懸念されたので、治山事業によって、今年度、堰堤工1基、山腹工1カ所を事業費4、149万円で施工しておる。また、11年度については堰堤工1基、山腹工1カ所を事業費3、100万円で施工する計画である。したがって、ここでも投入する治山事業費の計は7、249万円、国庫補助金は3、556万7、000円の予定である。

〇村田委員 大変頑張っていただいておって敬意を表しておるが、今後、復旧という時間のかかるこの対策については、多分に山林所有者の意識が問題であると思っておるが、これらの御指導についてもよろしくひとつお願いを申し上げたいと思う。
 次に、県民の森の現状と今後の取り組みの方向について承りたいのであるが、昭和49年だったと思うが全国植樹祭が両陛下をお迎えして実施されて、もう勘定すると既に20数年たっておるわけである。毎年その間、下刈りあるいは枝打ち、撫育に精を出していただいておると思っておるが、もう相当立派な林になっておるのではないであろうか。しかし、市町村の森でもあるし、県民の森でもあるということであるから、その立派になるプロセスを体感するというか、認識、味わっていただくということが大変必要であると思っておるが、市町村の県民の森に対する利用度、活用度、これがどうなっておろうか、それもあわせてお聞きしておきたいと思っておる。

〇渡辺林業水産部長 県民の森の現状と今後の取組方向についてというお尋ねであるが、松尾村に所在する県民の森は、お話の全国植樹祭の開催に向けて整備が進められて、これまでに県民の皆さんの保健、休養、そして森林に対する知識の普及に資するとともに、青少年の森林に関する体験的学習による森林愛護思想の高揚等々、その役割を果たしてきたところである。これまでにお話のような森林の管理と申すか、整備と申すか、そういう点も行ってまいったし、さらにその他に整備した主な施設的な面で申し上げると、森林文化・林業についてわかりやすく学習できる森林学習展示館や、気軽に木工を体験できる木材工芸センター、あるいはキャンプ場、あずまや、遊歩道等々を整備してまいったし、さらに平成7年に隣接する国有林を購入して、その内容の充実も図ったところである。こうして県民のレクリエーション、自然観察、体験学習の場等として利用されて、年間大体11万人に利用されているところであるし、また昭和59年の全国育樹祭、平成7年の全国緑の少年団大会等の会場としても利用されてまいっているところである。加えて、現在さらに、高齢者、身体障害者、児童等の幅広い利用に対応できるように、今年度から身障者対応のトイレや車いすの乗り入れ可能なウッドチップによる歩道の舗装整備を実施しておって、これらは11年度に完成の予定である。今後、老朽化した施設の更新等も含め、八幡平地域の特徴ある自然を生かしながら、県民の森周辺のさまざまな施設ともタイアップしながら、多くの県民に利用されるように努めてまいりたいと、かように考えておる。

〇村田委員 どうぞよろしくお願いする。
 次に、木炭産業の振興についてお聞きする。
 シェアが全国のどの程度ぐらいに今なっておろうか。
 また、木炭産業のかつての木炭王国と言われた岩手として、今後山形村を初めとして大変力を入れておる町村もあるわけであるし、岩手の林業としての大きな特色の一つである有益なる一つの産業であると、こう思っておるけれども、今後の動向についてお示しをいただきたいと思う。

〇溝上木材振興課長 木炭産業の本県のシェアとそれから今後の対策ということであるので、御説明申し上げたいと思う。
 まず、木炭産業の現状であるが、本県の場合、豊かな広葉樹資源がある。特に山村地域における重要な産業として本県の木炭産業、全国一の規模を誇っているわけである。現在、本県の生産量は7、300トンほどであって、全国生産量の4分の1を占めておる。ただ、全国における消費量というのは、輸入木炭との関係もあって、消費量から見ると全国の大体8%程度が本県の占めるシェアということになる。
 それから、今後の振興方策であるが、昨年4月に岩手県特用林産振興基本計画を策定しておる。それから、九戸高原地域の山形村ほか5市町村において、日本一の炭の里づくり実施計画等を策定しているわけであるが、この計画に基づいて大量製炭窯、それから木酢液の採取施設等、これらの生産体制の整備を進めているわけであるが、これらのものと、それから木炭品評会の開催や品質管理の徹底の指導など実施しておる。これらのものを現在進めているわけであるが、さらにこれらの施策に加えて、いわて木炭王国強化対策事業、11年度から創設する予定であるが、この事業によって岩手木炭販路拡大対策会議や、新用途利用に向けた促進指導等を行いながら、流通・販売対策の強化を進め、各般にわたる施策を展開するというような考え方である。

〇久保田委員 紫波・石鳥谷山林火災に関連して質問するわけであるが、被害木の木材が市場に乗るということは非常に困難であったはずであるが、この被害木の販売ルートや価格はどういうことであったであろうか、その後の木材被害木の処理がどうなされたのかについてお伺いをしたいと思う。

〇溝上木材振興課長 紫波・石鳥谷地区の山火事における被害材の販売ルートの関係であるが、被害材の利用については、森林組合等として可能な限り被害材の販売に努力したところである。被害材については一般建築材のほか、治山、林道工事などの型枠や木さく工、丸太組工、それから河川環境整備事業の沈床工等に使用しておる。また、紫波町等においてはバスの待合所やベンチ、案内板などの公共施設などにも使用したところである。被害材の販売ルートであるが、大きく分けて岩手県森林組合連合会の盛岡木材流通センターを通して販売するものと、一般の素材生産業者が販売したものと二つのルートで販売されておる。その販売量の総量であるが8、400立方メートルということで、特に盛岡の流通センターにおいてこの8割が販売されておる。なお、この被害材の販売量は伐採材積のおおよそ2割という量である。

〇久保田委員 被害木の2割だけが活用されたということで、80%はどういう利用状況になる見込みであろうか。

〇溝上木材振興課長 山林火災発生から既に2年経過しておって、被害材の利用できるものはほとんど利用するということで、その利用した材積が2割である。残りの8割については林地残材ということで、地ごしらえの際、整理して林地の中に筋置きで残している状況にある。

〇久保田委員 その処分がされないで残っている材木の有効活用というのは当然考えられるべきことであるが、積極的な販路の拡大や活用のあり方について研究をしてほしいと思う。
 以上、要望して終わる。

〇田村委員 先ほどの村田委員に関連して県民の森関係、これについて若干お尋ね申し上げる。
 先ほどの部長答弁でこの県民の森、新たな土地購入もあって、この活用策というのは県民ひとしく興味を持って見守っているわけであるけれども、その答弁の中で周辺地域との調和を図りながら整備をしていくのだというような御答弁があったわけであるけれども、御案内のとおり、一帯は東八幡平地域ということで、かねがね申し上げているとおり、景気の影響もあるのであるが、落ち込みがかなり厳しい、火山の影響もあるわけであるけれども。そういった中で再生のある観点に立てば、再生を図るための本当の重要な位置を占めている場所でもあるのだという認識を持っておる。それで、林業水産部という一つの部局の観点ももちろん大事なわけであるけれども、それに関連した、地域振興に関連した商工労働観光部であるとか、あるいは企画振興部、そして地元自治体、その他関係者、そういった皆さんとの意見調整をする場というか、そういったものをお持ちになりながら、この整備計画なり整備を図っていかれるのかどうかをお尋ね申し上げたいと思う。

〇渡辺林業水産部長 お話の県民の森の整備の関連であるが、八幡平地域の特徴ある自然を生かして、ただいまさまざまな施設がある。そういった施設との連携、あるいはまた、県民の皆さんとのさまざまな意見の交換等を通じてその整備を進めることは、当部としても極めて肝要であると考えておる。そういう意味合いにおいて、これまでも県政懇談会の提言であるとか、県のさまざまな広報広聴等の場を通じてちょうだいした御意見等を参酌しながら対応しているところであるが、今後ともその面については十分配慮しながら対応していくべきものと考えておる。

〇田村委員 これまた先ほどの答弁にもあったが、身障者に優しい地域というか、そういったものも頭に入れながら考えていくというお話があった。私はぜひこれはお願いしたいのであるが、どうせやるなら全国に誇れるような、身障者が集えるようなすばらしい特徴のある一つの計画というのも必要なのではないか。従来の中途半端なやり方ではなくて全国に誇れるような、全国から集えるようなそういったものも視野に入れながら考えていく必要がある。これは身障者に限らず、子供を対象にするのか、いろんな考えはあると思うのであるが、中途半端ではなくて全国に誇れるような整備計画というのが必要ではないのかと思うのであるが、御意見をちょうだいしたい。

〇渡辺林業水産部長 ただいまの高齢者、身体障害者、児童等の幅広い利用のための身障者対応のトイレであるとか、車いす乗り入れ可能な歩道の整備等々のお尋ねであるが、現在、今年度から進めておるのは、国庫補助事業であるいこいとまなびの森整備事業というもので現在進めておるわけであるが、委員ただいまお話の、きっちりしたいろんなイベントその他にも対応できるような施設ということであるが、これについては当初からこの県民の森はそういった考え方で進めておるが、なお今の考え方も踏まえて一層努力してまいりたいと考えておる。

〇谷藤委員 1点についてお伺いをする。シイタケの生産振興と需要拡大という部分についてお伺いをしたいと思う。
 平成9年度にしいたけ振興計画を策定して、今までシイタケの生産拡大と安定生産体制の整備ということで進めてこられたわけであるけれども、これまでの実績、それから今後の取り組みはどうなっているかという部分をお伺いしたいと思う。
 それからまた、岩手しいたけのブランド定着という部分についてもいろいろ取り組んできておるわけであるけれども、県としてこれまでの評価というものをどういうふうにとらえておられるのか、その辺についてもお聞かせをいただきたいと思う。非常に岩手県、モッコリくんという、名前も非常にユニークでヒット商品というか、名前がいいのであるけれども、これらをぜひ浸透させて岩手のシイタケここにありということで取り組んでいただきたいと思う。ただ、原木供給県みたいな状態にこの岩手県があって、日本一のシイタケ、大分県をバックアップしているような感じで推移してきたわけである、原木を流出しながら。どっちかというと油を断ってしまえば向こうも車が動かないのであるけれども、油をどんどん送り続けて日本一になるところを手助けしてきたような感じもあるのであるけれども、岩手県はどうしても森林県ということで、その辺の雑木関係の流通というか、その辺も考えていろいろやってきたのだろうと思うけれども、いずれ日本一を目指すぐらいの意気込みでこれから取り組んでいただきたいと思う。
 それで、シイタケの、特にも乾燥であろうけれども、経済連とか森林組合、シイタケ農協というか組合、これらのルートが三つぐらいに分かれていろいろ集荷とか流通関係やっているだろうと思うのであるけれども、これらの団体の連携とか育成、支援という形で、さらに岩手のシイタケを全国に広めていくために、どういう取り組みをしていけばいいのかということについても、この際お聞かせをいただきたいと思う。原木は幾らでもあるわけであるから、あとは生産者が意欲を持ってこのシイタケ生産に取り組んで、どこまで行けるかというものを喚起していくということも非常に大切なことかと思っておるので、その辺も含めてお聞かせをいただきたい。

〇溝上木材振興課長 3点ほどかと思うけれども、まずこれまでの実績について御説明申し上げたいと思う。
 本県、先ほどの木炭の場合と同じなわけであるが、大変豊富な広葉樹資源がある。それで、昭和40年代からシイタケの生産振興に取り組んでまいっておる。現在では、干しシイタケ、生シイタケ両方について全国第3位の生産量になっておる。また、品質の面においても、全国トップクラスの主産地県ということになる。特に干しシイタケにおいては、全国で干しシイタケ品評会が開催されておって、昨年まで3年連続日本一の団体優勝を遂げているという状況である。また、生シイタケについては、東京の市場に安定的に出荷されておって、これも高い評価を受けている状況にある。
 それから、今後の取り組みであるが、来るべき21世紀に向けて本県のシイタケ産業の振興を図るということで、昨年3月に岩手県しいたけ振興計画を策定したわけであるが、この計画に基づいて、生産から流通・販売に至る総合的な施策を展開するということにしておる。
 特にブランド化への取り組みであるが、生産者、それから先ほど委員言われた三つの系統があるわけであるが、この生産団体と一体となりながら、本県シイタケのブランド化に向けた取り組みをまずしておる。特に岩手乾しいたけのブランド化の確立に向けて、静岡県において特別入札会を年2回開催して、この中でも高い評価を受けている状況にあるし、県内外でさまざまなイベントがある。このイベントへの参加、それから特別セール等の開催等を行っておる。また、一般消費者に対するPRという意味も含めて、しいたけ料理コンクール、それからしいたけふれあいツアーということで、シイタケを採取するような体験等を通じて本県のシイタケのよさを市場関係者はもとより、県内外の方々にPRをしている状況である。特にブランド化を確立するためには、本県の県産ブランドで出荷する必要があって、この出荷率を高めるためにパッカー--袋詰め工場であるが、これの誘致について現在関係団体と検討を進めている状況にある。
 また、流通組織との連携であるが、先ほど申し上げたシイタケ品評会等、こういうものについては3団体、連携をとりながらシイタケ品評会の推進等を図っておるし、生産者に対する指導、支援等についても連携をとりながら生産指導等を行っている状況にある。

〇谷藤委員 いろいろ積極的に取り組んでいただいておることには敬意を表したいと思う。ただ、生産、そしてまた集荷、流通というそういう流れの中で、それぞれの3ルートあるわけであるけれども、そこの中で、片方の団体では集荷、選別する場所がないと、片方はいっぱいあって、それがちょっと使い切れないぐらい、そこの連携とか、いろいろ効率のいい連携をとりながらやっていくという部分についての支援体制というか、指導というか、その辺のことも含めて総合力で日本一を目指して頑張っていくのだということを、ぜひ取り組んでいっていただきたいと思うわけである。そういうことを要望して質問を終わりたいと思う。

〇伊沢委員 1点だけお伺いをしたいと思う。予算書の187ページにいわゆるハセップの対応について予算が出ているわけであるが、大変今後の部分でこれは必要な部分であろうし、これまでもいろんな議会、一般質問や委員会の中で出てきたわけであるが、私は基本的なことをお伺いしたいと思っている。言ってみれば、いかに立派な機械を導入してこれを対応していこうにも、とれた新鮮なものを最初の時点できちんとした衛生管理を行わない限り、これは立派なものができないのではないかと思うわけである。一般的な衛生管理の土台の上に乗った上でこれがやられるものと思うわけである。ハード面の部分でもこれは当然必要な部分があるのであるが、今申し上げたようにきちんとしたソフト面の部分、どのような形でこれ業界、大変大きな会社だけであればいいわけであるけれども、それぞれのところで集荷をしてくる段階で、小さな作業所も含めてあると思われるわけであるけれども、言ってみれば本当の最初の部分での作業に当たる人たちの衛生面の指導、これらを含めて重要ではないかと思うのでその辺のお考え、これまでの取り組みとこれからの予定とを含めてお伺いをしたいと思うのであるが、よろしくお願いする。

〇渡辺林業水産部長 水産物のハセップ対応についてであるが、委員お話しのとおりハセップは人づくりからとよく言われておるが、全くそのとおり、そのソフト面が重要であると考えておる。ハセップ方式はソフト面の一般的な、あるいは基本的な衛生管理対策が最も大切であって、この導入に当たっては、まず何よりも関係者の食品衛生に対する意識改革が必要である、重要であるという認識をしておる。そういう意味でハセップ方式導入の第一歩は、各生産段階の現状についてそれぞれがみずから確認してみること、これから始まるものであると考えておる。こうしたことから県としては、平成11年度に、魚市場の水揚げから加工・出荷に至るまでの衛生管理プランの作成や、全国的な専門機関による魚市場と、あるいは水産加工場個々の衛生診断を支援しながら、ハセップ方式導入の足がかりにしたいと考えておる。また、沿岸に四つの地方振興局があるが、それごとに魚市場衛生管理協議会を設置して、漁業者・魚市場・加工業者等関係者が一体となって、ハセップ導入に取り組むこととしておる。それから、水産技術センターであるが、ここではハセップに対応するための水産物の安全性の研究を行うとともに、加工場や魚市場における現場指導者の育成も行っておる。それから、繰り返しになるが、先ほど申し上げた、ハセップは人づくりからということで、青年水産加工協議会が主催する加工場経営者や従業者を対象としたハセップ研修等に対して助成するなど、ソフト面の充実によって、ハセップ方式の一層の普及・導入を進めてまいりたい、かように考えておる。

〇伊沢委員 実は私、前に保健所に勤務をしていたことがあり、本当の意味での衛生管理の欠如から食中毒のようなものが出てきたという経緯もあったわけである。担当者なり会社を含めてきちんとした対応をすればなかったような事例も、過去においてはあったのである。これから先は、多分そういうのがなくなってくるということで期待しているわけであるが、先ほど、この予算書の後ろの方に、生食用のカキの処理を含めて指導したいという予算もあるわけであるけれども、言ってみれば、途中の処理過程においてそれが分かれる部分が出てくる。そういう処理がないまま、言ってみれば、過去の惰性の中でそういうことがあった部分も承知しておるわけである。これから、本当の意味で三陸で出したものがこうならないための、今部長から、水産技術センターの方の研究ということがあったわけであるけれども、改めて、この研究体制の強化、水揚げから加工状況を含めて一つ一つ見ながら、それらの状況を含めて、研究センターでの研究の成果が生かされる必要があると思うのである。そういった意味で、研究スタッフの状況を含めて、どのような取り組みをされていくのか、今の答弁ではもうあるわけであるけれども、改めて御決意というか、その辺をお聞かせいただきたいと思う。

〇上村漁業振興課長 先ほど部長からも答弁があったように、本県のハセップについては、やはりとる漁場から、魚市場での処理から加工場での処理、それから加工、出荷、商品までといった一連の流れで考えておる。個々の加工場だけのハセップではなく、そういった観点で考えておる。そういったことから、水産技術センターは、漁場管理からとるところ、それから加工、消費、流通まで研究している機関であるので、そういった観点から対応してまいりたいと思っておる。

〇船越委員 漁協信用事業統合推進貸付金24億6、500万円の大英断に、まずもって感謝申し上げる次第である。ありがたかった。
 数点にわたり質問させていただく。
 次に、サケ・マス増殖事業関係についてであるが、一昨年あたりの大々漁ということで、サケが超低価格であったというような影響を受け、ひたむきに増殖事業に励んできたのであるということであったけれども、中央から県からその他、余り繁殖し過ぎではないかといったような機運も高まり、増殖事業というのは割と冷遇されているような現状になっておるのであるが、ことしまた、御承知のとおり漁が30%ぐらいどんと少なくなった。そうしたら、加工や、あるいはそれを扱う人たちが、品薄で非常に困ったといったようなことである。そういうことを繰り返しておるけれども、やはり岩手県の漁業はサケで持っておる、されどサケであるということであるから、この点について当局は今後ともに、ひたむきにやっている連中を冷遇しないようにやってもらいたいのであるが、心構えをお聞きしたい。これが一つ。
 その次に、漁場環境対策についての項目もあるが、ヘドロあるいは湾内の水質汚染といったようなことが盛んに言われておるといったようなことで、かつて宮古湾が埋め立て問題で30年前に揺れ動いたときに、ヘドロ対策と、岸壁によってヘドロがなかなかなぎさに上がらないということで、東大の専門家の宇井純という先生が、砂浜の効用ということについて、自然にある砂浜にヘドロが波によって上がる。それが紫外線によって殺菌されたり風化される。そして、汚染された海水は、砂浜を通って、今度はそこから海に還流する。その場合に、砂浜の中に細菌があって滅菌作用するのである。だから、砂浜というのは大事なのであるというようなことで、当時、宮古湾のあたりの奥の方に大きな砂浜を再現するというようなことで、県知事ともに、かけ声はよかったのであるが、あれ以来もう30年になんなんとしているのであるがさっぱりはかどらない。この辺はどうなっているのであろうかということである。
 それから、ただいまもハセップ問題が出たのであるが、時代の趨勢により、水産物高度化振興に関してのいろいろな項目が数項目にわたってこの予算書にも出ておるが、O-157というのが出たら、もうその次は倒産ということであるから、やっている連中が、大きなものも小さいものも、まるで神経質になって頑張っているのであるが、この予算書の中には700万円ぐらいそれについての予算が出ておるようであるが、これは、しっかりやれといったようなことで、きついハッパをかけるための予算であると思うのである。ところが、いろいろな道具や施設を充実したいためには、非常に目まぐるしく大変な中で金を工面しておるものであるから、こういったような面にも、指導監督費だけでなく、こういうことをやれ、ああいうことをやれということで予算を切り詰めるだけを考えないで、予算を積極的にやって、ハセップが実際に実行されるように応援したらどうであろうかというのが3点目。
 それからまた、いつものことで伊沢さんに怒られるが、貝殻の処理であるが、いつでも私は、これを毎回申し上げるのであるが、リサイクルに利用して貝をうまく欠くといったようなうまいことの答弁が出るのであるが、さっぱりいまいちはかどらない、そのままなのである。それができるのであれば、そうであろうか、はいはいでいいのであるが、そうは答弁するがさっぱり前に行かないということで、現場では非常に困っておるということであるので、これを何とか人里離れたところの害がないようなところを指定して、そこに行って処理したものを積んでおいて、将来、リサイクル等がうまいことできたならば、そのときはそれから持ってきて利用するなり何なりでもいいが、とにかく積んでおくところといったようなところ等を考えてもらえないであろうかということの4点をまずもって質問する。

〇渡辺林業水産部長 4点のお尋ねかと存ずるが、私からは、いわゆるハセップの問題についてお答えさせていただき、その他、サケ・マス増殖事業関係について、それから、漁場環境対策、それから、カキ殻の問題については漁業振興課長からお答えさせるので、御了解賜りたい。
 まず、お話のハセップの問題であるが、御案内のとおり、本県においてはイクラであるとか一粒カキなどの生食用の水産物を多く生産しており、新鮮さに加えて、ハセップ方式を導入することによって安全な水産物の提供に努めるということが、本県水産業の振興を図る上で極めて重要な課題であると認識している。こうしたことから、本年度は、漁業者、魚市場、加工業者等、関係者から成る委員会も設置して研究・検討を進めたところであるし、また、ハセップの基本となるのは一般的な衛生管理対策であるので、それから取り組むように関係者に対して理解を求めてまいったところである。その結果、一部の産地魚市場や水産加工場においては、作業工程の改善がなされるなど、ハセップ方式を目指した衛生対策が進んでいるものと認識している。
 さらに、平成11年度においては、全国的な専門機関による個々の産地魚市場や水産加工場の衛生診断の実施や、青年水産加工協議会が主催する現場従事者に対する専門研修、これらに積極的に助成し、ハセップ方式の普及啓発に取り組んでまいりたいと考えている。そして、ハセップ方式導入に向けた施設の改善等、ハード面の対応についても、国や県の融資制度、補助事業の活用により、積極的に促進されるように努力してまいりたい、かように考えている。

〇上村漁業振興課長 それでは、3点ほどについてお答え申し上げる。
 まず、第1点のサケ・マスのふ化放流事業についてであるけれども、御存じのように、本県のアキサケ漁業生産は漁業生産額の3割を占め、本県漁業の大宗をなしているわけである。これは、御存じのとおり100年にもわたる関係者一体となったサケ、マス増殖の研究やふ化放流の取り組みによる成果と認識しておる。しかし、近年アキサケの魚価低迷によりこの事業が大変厳しくなってきているということから、ふ化場等では経費の削減等に努めているところであるし、県としてもそれへの支援をしてまいっているところである。今後、アキサケ漁業の振興を図るわけであるけれども、この原点はあくまでふ化放流事業の遂行・実施の上に成り立つものであることから、健康な稚魚の生産・放流について、関係者と一体となって取り組みを一層強化してまいりたいと考えておる。
 2点目の漁場環境対策、いわゆる砂浜の効用であるけれども、砂浜の効用については、漁場環境保全に大きな役割を果たしていると認識しておる。特に、アサリやシジミのすみ場となる砂浜や干潟については、貝のろ過機能に加えて微生物による浄化機能もあり、大きな機能がある。本県は、海岸線のうちの人工の手が加わっていない自然海岸の多い県であるが、砂浜等を加えた浅海域については、プランクトン等の餌料の発生が多く、稚貝や稚魚のすみ場として漁業生産の重要な場となっておることから、今後とも砂浜等の効用に配慮しながら、良好な漁場環境の維持に努めてまいりたいと考えておる。
 3点目のカキ殻の処理であるけれども、埋め立て、放置等については、これは環境上あるいは悪臭上の問題から、決して好ましいことではないと考えておる。そうしたことから、県としては、カキ殻の再利用、再資源化を目的として、現在、10年度において漁業系廃棄物再資源化システム開発促進事業費を計上し、これは県漁連が事業主体となって漁業団体が中心になって進めているわけであるけれども、こういった事業の中で効率的で有効なシステムの開発をしてまいりたいと思う。

〇船越委員 次に、188ページに漁業協同組合指導監督費の項目がことしも上がっておる。それに関して、ただいまのように24億6、000万円もお金をいただいておるといったようなことで、非常に大変な時代に突入しておる。ただ、私非常に心配なのは、指導・監督の任にあるあなた方は、水産会館の中で関連団体である冷凍事業協会の総会で、鈴木甚左エ門会長が選に漏れて交代した途端に、冷凍事業協会の事務局が水産会館から追い出しを食って非常に困っておる。3年ぐらいの契約で事務所を水産会館から借りているのであるけれども、出ていってもらいたいということで、理不尽であるということで困っている問題があるのであるが、こんなことはあなた方、指導・監督と大きく出ているが御存じであろうか
 あと一つ、数限りないのであるが、二つほどでやめるが、信漁連を預かっている私のところではそんなことはこれっぽっちもないのであるけれども、漁連の参事、専務から、新聞記者たちがいろいろな取材に行ったときに、おれのところを通してから話を聞きに入れとか、入ってはならないということで、60年前の特高警察の状況の再現を思い起こすようなことがあるのである。サティアンなのかアジトなのかわからないようなところが、県都盛岡の県庁の近くの内丸に存在しているということを知っているのかどうか。林水部ではこういったことは知らないであろうが、知っておったとするならば、臭い物にはふたをしろというようなことだけで通らないで、勇気を持って目覚めなければ、せっかく大きな予算編成をして、大金をお借りして一時はしのいでいても、やがては返さなくてはならないという状態に--力というものは復元しなければならない。ところが、その復元力をつけるのは、私が考えるというと、何か道なおほど遠しという感じがするのである。だから、業界における浄化というのは、私の診断ではできないと思っておる。だから、やはり聡明な、本当に三、四十名ぐらいずつ、漁政課、指導課という立派なスタッフがそろっているのであるから、この項目には指導・監督とあるのであるから、これを勇気を持って実行していただかなければ、水産の将来、非常に道なお遠しというような感じがするのであるが、この辺で部長の決意というのをお聞かせ願えれば、あとは余り追及しない。

〇渡辺林業水産部長 ただいまお話の事項については、私ども了知していないところである。いずれ、漁業系統団体において、自主的な組織運営がなされているものと理解しておる。
 なお、今委員お話のとおり、漁協等に対する指導・監督の件については、現在、御案内のとおり定例的な検査、いわゆる常例検査を実施するほか、さまざまな経営面での指導等も行っているわけであるが、この面について、さらに力を入れながら努力してまいりたいと考えているので、御了解賜る。

〇佐々木(俊)委員 私は、水産会館ではなく海の方の関連である。
 先ほど来お話あったが、ハセップに絡んでいろいろ討論があったわけであり、その中で、ハード面だけではなくソフトの面で、生産者から加工、流通、それぞれの教育をやらなければならない、全くそれはそのとおりであるけれども、どうもそれだけでは及ばない面があるのではないのかと思われる。と申すのは、幾ら漁業者がそういう意識で生産に入ろうとしても、その漁場がよそからどんどん汚されるのでは、これは漁民の力の範囲を越えるのではないかと思う。ということは、御承知のように、沿岸に行ってごらんになればわかるけれども、漁港というのはみんな池のように、湖のように四方を囲まれているわけであり、周辺から汚水がどんどん流れ出している状況にあるわけである。そこで、現在では漁村環境整備事業という名のもとに、そういう漁村集落の下水処理施設を手がけつつあるわけであるけれども、私の知っている範囲では、必要な箇所の6%か7%ぐらいであると聞いているのであるが、これをやっぱり促進しなければ、幾らいいものをつくり出そうといっても不可抗力ではないのかと思うのであるが、その現状と今後の下水処理対策の、これはいわゆるハードの面であるが、その計画についてお知らせいただきたいと思う。
 それからもう一つ、それに関連するけれども、先ほど申し上げた湾であるが、その中がそれぞれ漁業権に区分されており、ここからここまでは○○漁協、ここから向こうは○○漁協と、ちょうど農地が区切られるようになっているわけで、ある漁協では、その自分の範囲の海底を、いわゆる先ほど問題になったヘドロの掃除を1年に1回しているわけである、それによって漁場をきれいにしようと。同じ港であるから、海流は常に流れている。ところが、そっち側の漁場は掃除をしていない。でも、さいの河原の石積みではないけれども、片や一生懸命やっている、片ややらない、こういうのが現実にあるわけであるので、そういうことになると、やっぱり県の方が指導体制を強化して、やるなら一斉にやるとか何かしないと、せっかく片方がやっても、片方は何もしないという中で、ハセップ対策であると言っても、何か空念仏みたいにしか聞こえないわけであるが、それについて積極的に取り組んで、海底掃除、つまりヘドロ対策をするという気構えがあるのかどうか。あるいはまた、先ほど何か知らなかったという答弁もあったけれども、現状を知っておられてまだ検討中なのか、その辺をお示しいただきたい。

〇船越漁港課長 それでは、お尋ねの1点目の漁業集落環境整備事業による漁村の環境整備の現状についてお答え申し上げたいと思う。
 委員御指摘のとおり、漁村における下水の処理については、当然快適で潤いのある漁村生活の環境維持のためにはもちろんであるが、特に最近、委員御指摘の漁場環境の保全という意味から、この重要性が認められておる。この重要性については、私どもも大変これからの大きな課題であると認識しておるし、また、漁村における漁業者の皆さんの意識も非常に高まりつつある。こういった現状で、委員御指摘のとおり、平成9年度においては、我々の漁業集落環境整備事業でやっておる地区の下水道の整備率は5・3%という非常に低い率である。これは、県全体の整備率が39%であるので、大変低いと言わざるを得ないと思う。県においては、平成10年度に県全体での下水道の整備の処理構想をつくったわけであるが、これによると、平成22年度までに県全体の整備率を80%に上げることにしておる。この中で、その目標を達成するためには、漁村においては64%の整備率にしなければならないという目標である。この達成のためには、これからかなりの事業をしていかなければならないわけであるが、最近、先ほど申し上げたような状況から、各市町村においてもこの問題についての認識が特に深まっており、現在、一生懸命整備に努めている状況であり、平成9年度においては5・3%であるが、平成10年度末には7%、そしてまた、11年度の事業が終わるとほぼ10%近くまでこの率が上がっていくという予定になっておる。
 今後とも、漁村環境の整備、そしてまた、この水質保全のために一生懸命努力してまいりたいと考えておる。

〇上村漁業振興課長 ハセップ以前に漁場の環境保全であるという話があった。まさにそのとおりであると考えておる。現在、本県としては、毎年5月30日から8月31日、全県一斉海浜清掃期間として定め、市町村単位あるいは振興局単位で取り組んできたところであるけれども、残念ながらヘドロの除去までは行っていない。河川を通じて、あるいは海岸を通じて入ってきたごみ等の掃除に終わっているのが現状である。したがって、今後、本県はつくり育てる漁業が全体の6割を占める県であるし、そういったことは漁場保全と密接な関係があるので、そういった観点から、少なくとも市町村単位、振興局単位で取り組むような考えを強めていきたいと考えておる。

〇佐々木(俊)委員 わかった。まず、汚水処理というか下水、今お話であると、22年に県下を80%にすると、それはそれで結構であろう。そういうことになると、完成している方は100%、90%であろうけれども、そうであっても漁村の方は64%の計画であると。いささか、最初から負け戦みたいな話であり、やっぱり県下80にするときには、どの地域も80にするという努力というものが必要ではないのであろうか、こういう意味で、極めて消極性を感じるわけである。しかも、世はまさにハセップ時代である。ハセップが死命を決するという時代に入ったのであるという認識なわけであるので、特にもそういう生鮮食品、国民の食料安全保障ということが高く叫ばれている昨今であるので、もう少し完成率を高める必要があるのではないかということをつくづくと感じる。
 それから、漁場の海底掃除の件であるけれども、私は、これはやっぱり大変必要なことであり、陸上でも、下水掃除をしないと御承知のようなことになると同じような理屈であるので、いろいろと漁場の振興、養殖事業の振興をやる以上は、ぜひひとつ積極的にこれを大きな課題として取り上げて、みずからの生産の場であるので、それを積極的にやれ、必要なものはこれだけ支援するという強い政策・指導というものがあってしかるべきであると思う。部長、いかがであろうか。

〇渡辺林業水産部長 漁場の美化と申すか、きれいにするということ、環境整備ということについてであるが、御案内のとおり、私ども、三陸のきれいな豊かな海の水産物というのがキャッチフレーズであるし、それから、本県におけるつくり育てる漁業の重要性に思いをいたすときに、委員お話のとおり、きれいな漁場の環境を整備してまいるということは重要な問題ととらえておるので、今後、関係者等々とも一層熱心に話し合いながら、どのような効果的な方法があるか、一層努力してまいりたいと考えている。

〇久保田委員 2点についてお伺いする。
 まず、漁政課に関係することであるが、海難事故の関係についてである。
 御承知のように、新生丸の事故などの発生があるが、まず、平成10年度の本県に関係する海難事故はどういう状況であったのであろうか。
 なお、ただいま申し上げた新生丸の状況については、報道の範囲で知るわけであるが、事故の概要について、より最近の情報があればお聞かせいただきたいと思う。特に、補償であるとか保険制度がどうなっているのか、海難審判がどういう状況で進められるのか、加害者との交渉は、だれがどういう状態で行うのかなどについて関心を持つのであるが、漁政課がこれにかかわわるのかどうなのかも疑問であるが、どこまで関与できるのかということも含めてお聞かせいただきたいと思う。
 次の1点は、林業技術センターの研究テーマにかかわることであるが、ヤマブドウの優良品種育成事業がある。この事業の成果とこれからの取り組みの状況について、どういう栽培計画があって、どういう目標で生産や加工がなされていく予定であるのかについてお伺いしたいと思う。

〇武市漁政課長 まず、平成10年度の岩手県関係の海難事故の関係であるが、林業水産部で把握している平成10年度の本県関係の漁船海難事故または漁業に関係する事故の件数は、現在までに7件となっておる。このうち、漁船の操業中のものが3件であり、内訳は、5トン未満の1人乗りの沿岸の小型漁船によるものが1件、それから、先ほどの新生丸も含め、東京都沖、それから北海道沖での漁船の衝突事故が2件あった。それからまた、漁船を使用しないでアワビ、ウニ漁の素潜り採捕中の事故、そういったものが4件発生している。
 それから、新生丸の事故の概要であるが、御承知のとおり、事故の発生は平成11年1月20日の早朝、八丈島の東約145キロ付近を航行中であった本県の船越湾漁協所属の小型マグロはえ繩漁船新生丸19トンが事故に遭ったものであり、事故の原因は大型船との衝突により転覆したものであると。その後の海上保安部の調査により、2月9日にパナマ船籍のケミカルタンカー・カエデが相手船と特定されたところである。そして、新生丸には清水船長ら6名が乗り組んでいたところであるが、事故の翌日の21日の夕方に救命いかだで漂流中の5名を仲間の漁船が発見して救助した。残る1名の金浜機関長は、残念ながら行方不明となっている状況にある。なお、事故発生の際の1月20日7時21分ごろ、横浜の第三管区海上保安本部が新生丸からの衛星遭難信号を受信したが、信号が1度だけであったことなどから、確認に手間取り、捜索の開始が事故発生から約8時間後となったところである。
 それから、特に保険とか海難審判とか加害船との交渉とか、そういった補償等の関係はどうかということであるが、保険制度については、船体については館山港に曳航され、海上保安部で検証した後、2月20日に解体されている。新生丸は漁船保険の加入船であったので、岩手県の漁船保険組合、それから中央団体である漁船保険中央会、それから、水産庁の漁業保険課が漁船損害等補償法に基づき損害の調査を行い、所定の手続を経て、船体、現場から館山までの曳航費用、解体費用、捜索費用等の損害補償が行われる、そのようになっている。
 それから、海難審判の関係であるが、先ほど申し上げたように、2月9日に第三管区海上保安部が衝突相手船を特定し、パナマ船籍のケミカルタンカー・カエデ1万3、539トンとわかったわけであるが、公海上の衝突事故であり、その場合、刑事責任を問われる場合は、国連海洋法条約の第97条により、当該船舶の旗国、つまりその所属国、または乗組員の所属国に裁判権があるということである。したがって、現在海上保安庁が外務省と協議し、船主国のパナマ、それから船員の所属国の韓国に対し的確な対応を要請しているところである。
 それから、事故原因を究明するために海難審判というのがあるが、その海難審判理事所において事前の調査を行い、その調査結果に基づいて審判開始の申し立てを行うということになっておるようであるが、現時点では、開始決定のための調査を行っていると聞いておる。
 それから、加害船との交渉状況とその損害賠償の関係であるが、民事上の損害賠償については、岩手県の漁船保険組合、中央団体の漁船保険中央会が連絡をとり、連携をとって新生丸の船主を全面的に支援する体制を整えておる。そして、海事関係の専門の弁護士を代理人として委任し、衝突の相手方の代理人弁護士と交渉を開始しているような状況にある。一般的に、事故の場合の損害賠償交渉においては、事故原因が解明され、双方で過失割合を協議し、双方合意が得られれば解決することとなるということである。県としては、そういうことで早期解決を願っているところである。
 それから、漁政課が関与するのであろうかということであるが、賠償関係については直接関係する立場にはない。しかしながら、今回の事故の重要性にかんがみ、事故原因の究明とか救助体制の強化等について、2月1日付で海上保安庁長官に対して知事名で要望するとか、あるいは、同日付で県内の漁業者に対しても、事故の未然防止を徹底するために、気象とか海況の状況の的確な把握とか、救命設備の点検整備、航行中の見張りの励行など、文書指導を行ったところである。

〇小野寺参事兼林政課長 ヤマブドウ優良品種育成事業についてのお尋ねにお答え申し上げる。
 この事業は、地域からの要望を背景にし、自然健康食品用の原料としてのヤマブドウを安定供給するために、本県に適した優良な品種を選抜することを目的にし、平成3年度から取り組んでまいったところであり、県内各地から60系統のヤマブドウを採集して増殖させ、平成5年度以降、矢巾と滝沢を試験地に検定林を設定して研究を行ってまいった。平成8年度から収量調査を行ってきた結果、平成10年度に通常のヤマブドウの約2倍の結実を見た多収性の雌と、受粉能力の高い雄それぞれ1系統を優良品種として選抜したところである。
 今後であるけれども、この優良な2系統については、平成11年度に種苗法に基づき品種登録を行う予定であるし、また、ヤマブドウの挿し木苗の活着率の向上のための育苗技術というものを究明してまいりたい。あわせて、地域別の栽培技術というものを確立する、さらには栽培マニュアル等を作成するということにしており、これらの研究成果を踏まえ、早期にヤマブドウ苗木の生産体制を確立し、安定的なヤマブドウの生産を促進するとともに、さらに消費者の嗜好に合った優良な品種の選抜といったものにも努めてまいりたいと考えておる。

〇久保田委員 新生丸事件に関し詳細な報告をいただきありがたかった。問題は、今後の海難事故が起きないよう、県としての適切な御指導もいただかなければいけないと思うが、なお一層の御指導の関係について、適切な措置をされるよう要望しておきたいと思う。
 ヤマブドウの関係であるが、これの生産の計画はどうなっているのであろうか。言うなれば、せっかく技術開発されたものであるから、この生産と、そして加工に結びつくものと思うわけであるが、林業技術センターで研究開発したものが、生産・加工となるとまた分野が違ってくるわけであるが、その系統はどういう流れになっておるのであろうか。

〇小野寺参事兼林政課長 実際の生産者に落とすという段階まではまだ行っておらないけれども、先ほど申し上げたように、早めに苗木の生産体制を確立し生産体制に早く移していきたいと考えておるし、あわせて、加工の関係については、工業技術センター等とも連携をとり研究を進めていきたいと考えておる。

〇久保田委員 技術センターの研究員の人事配置の関係であろうが、これから生産体制が整っていく状況の中で、研究・開発をされた研究員のこれからの指導のあり方にかかわる話であるが、人事の異動に伴い、その方が関係部局外に異動なさる場合が当然考えられるわけである。こうした研究員と生産にかかわる人たちの人間関係というか、技術指導を受ける立場の人間との関係を大事にする必要があるわけであるが、こうした場合の人事異動の基本的なあり方についてどのようにお考えか、部長の御見解をお伺いしたいと思う。

〇渡辺林業水産部長 林業技術センターの研究員の人事異動についてのお尋ねであるが、まず、人事については、全般にわたり基本は適材適所である。それを基本として配置がえ等がなされておる。その中で、センターの研究員について言うならば、センターについては、それに加えて研究業務という特殊性に配慮しなければならない。そういう意味で、まず各種の専門研究を通じたより専門性の高い能力を備えた職員を養成することが必要であるし、また一方、さまざまな幅広い経験を通じて視野の広い職員を養成し、それらが相まって優秀な研究成果が得られると考えるように私ども対応しておる。もちろん具体の人事の問題に当たっては、その当該職員の担当している、取り組んでいる研究の進捗状況であるとか、実用化のめど等々、あるいは当該技術センターとして具体に人のやりとりの関係でうまくやりくりがつくかとか、そういった点を配慮しながら対応しなければならないと考えておる。

〇伊藤委員 私は当該委員であるが、全県的な、あるいは全庁的な考えがあってもいいのかと思う点についてお伺いしたいと思うので、お許しいただきたいと思う。
 まず最初に、林業振興という部分についてお伺いする。
 さきの決算委員会において、我が会派の藤原委員から、世界的な木材供給という観点からのお話があった。南洋材がぼちぼち枯渇をしてきているようであるということ、そして、シベリア材は伐採しても搬出が容易でないということで大変難しいのかということ、そして、北米材は環境基準等が厳しいので、1回に多くを切り出せないであろうと、こういうお話があったわけである。その中で、我が岩手県は80%が森林ということであり、先般、林業水産部から森林の公益的機能ということで、お金に換算して1兆9、000億円になるという冊子をいただいたが、ちょっと私、この点について誤解している部分があったと思っているので、これについて内容を、何々が幾らという部分をまずお知らせいただきたい。
 それから、五、六年後に伐期を迎えるというこの岩手県産材に、いよいよ世界の木材供給との観点から日の目が当たってくる部分が来たのかと大変期待する部分が出てきたわけであるが、そこで、全庁的な調整というか議論が必要であろうかと思うのは、いよいよ伐期を迎えた、50年、60年近く手塩にかけてきた林家が、そろそろ木を切って売れる時期が来たと、こういうことになると思うのである。この切るということについて、切ったものを、かわるものを植えてまた60年かかるということ、この植えるという部分について、だれが、何を、どう植えていくのかという議論、それからまた、県内一気に林家が待ってましたとばかりに切り方を始めるといろいろな問題が出てくるのではないのであろうかと思う。環境的な問題もあろうと思う。木を切るために、山までブルドーザーでどんどん作業搬出路をつけていく、これは環境の保全の部分にもいろいろ悪影響を与えるのではないかということもあるし、また同時に、林家が一気に切り出しをすると木価が下がってしまうのではないかと、こういう部分もあろうかと思う。そうなると、もちろん青森、秋田、その他の県のこともあるけれども、ある程度の調整をして、最も林家の実入りのいいような切っていく手順というか段取りというか、そういった調整が必要なのではないかと思うわけである。そして、その調整機能を果たしていくのは、やはり全県を満遍なく見ておる林業水産部でなければならないのではないかと思うわけであり、その点についてのお考えを伺いたいと思う。特にこれは、今後12カ年にわたる夢県土いわての発展計画の根幹をなす林業の部分の政策になり得るのであろうと思うので、それをまずお伺いしたいと思う。
 それから、県産材の活用という部分について、実は秋田県の大館市、樹海ドームを持っているところであるが、ここでは、秋田県の県産材を活用してもらうということで、補助制度を持っていろいろ推進しているようである。その補助金の名称であるが、大館市木材需要拡大定住促進事業補助金という補助金を出しているということである。補助対象者は、市内において定住の意思があり、延べ面積が70平米以上で次に定める要件を満たした木造住宅を新築または増改築した方ということになっており、乾燥秋田杉材の柱を3立米以上使用したとき10万円の補助、そして、乾燥秋田杉材の柱を1・5立米以上3立米未満使用したとき7万円、そして、このAターンという部分であるが、これは定住促進という部分にかかわるのであると思うけれども、建築主がAターン者の場合は、上記に加えさらに5万円を上乗せする、こういったことをやっておるようであるけれども、やはり、岩手県において県産材を活用するという観点から、こういう制度を導入して、上流から下流までと言われる一連の木材関連業界に活を入れていく必要があるのではないか、このように思うけれども、お考えをお示しいただきたい。

〇渡辺林業水産部長 3点のお尋ねと承ったが、公益的機能についての1兆9、700億円の関係、それから県行造林の整備の今後のあり方については私からお答えする。それから、秋田県大館市に関連しての県産材の需要拡大については、木材振興課長からお答えするので、御了解賜る。
 森林の公益的機能についての金額の件であるが、これは、林野庁が昭和47年に、森林の公益的機能の計量化調査をしており、その段階で、それは全国で39兆円余という計算をしておる。それと同じ手法を用い、私どもの方で県内の金額を出したものである。内訳を申し上げると、水源涵養が2、900億円、土砂流出防止が3、400億円、保健・休養が2、500億円、野生鳥獣保護が1、600億円、大気浄化が9、300億円ということで、1兆9、700億円というような試算をしているところである。
 それから、県行造林の今後の整備の進め方についてであるが、県行造林、ただいま委員お話のとおりであり、戦後、昭和25年ごろから、毎年大体1、000ヘクタール規模で造林してまいった。これら森林が、これから順次契約期間を迎えてまいるということになる。しかしながら、ただいまお話のとおり、森林保全等の公益的機能、あるいはまた、地球温暖化防止機能--実は、さっきの公益的機能の中には地球温暖化防止機能は入っておらない。これは、ただいま国において積算をもう1回やっているという段階であるので、御了解いただくが、こういった機能があるので、これら機能の発揮にも十分配慮しながら対応してまいることが重要である。
 今後、こうしたことから、森林所有者の意向も確認しながら、契約変更による伐採時期の延長であるとか、あるいは、立木のまま収益を分け合う方法、こういった対応も含め、引き続き森林として維持できるような施業に努めてまいらなければならないと考えている。
 また、近年、木材価格の低迷であるとか、あるいは経営コストの増嵩等により、伐採跡地の再造林がなされなくなるのではないかというような懸念もあるので、そういったことに配慮し、森林所有者だけではなく、公的機関等の多様な主体による森林整備のあり方についても検討しているところであるので、御了解を賜る。
 失礼した。ちょっと間違えた。さっき、林野庁が47年に当初出したのが12兆8、000億円であり、それが平成3年に見直されたときに39兆円余になったということであるので、訂正させていただく。失礼した。

〇溝上木材振興課長 第3点目の県産材の需要拡大についてお答え申し上げたいと思う。
 秋田県の大館市の取り組みであるが、地元産秋田杉の需要拡大に向けた大館市の積極的な取り組みということである。これについては、林業の活性化、木材産業の振興を図る上で、大変評価すべき中身と思っておる。さらに、この制度が呼び水になり、地域の木造住宅の着工数が増加につながり、その地域材が利用促進されることが期待されると考えておる。
 本県での対応について申し上げたいと思うが、本県では、昭和62年度からいわて優良木造住宅資金利子補給事業を創設しており、内容については、住宅金融公庫の融資を受けて、県産材を1戸当たり10立方メートル以上使用し、また、耐久性、居住性など県が定めた基準があり、これに適合する住宅を建設または購入した場合、金融公庫の融資資金に対し5年間にわたり0・5%の利子助成を行う事業であり、62年度から実施している状況にある。昨年10月にもっと・WOOD・県産材をを標語に、岩手県木材利用推進方針を策定したわけであるが、この中でも県産材の利用拡大運動を展開しているわけであるが、特に、今実施しておる利子補給制度については、事業創設から既に10年以上経過しており、県民の皆さんの一層の御理解と御協力をいただくという意味で、より利用しやすい制度になるよう、事業内容の見直しについて現在検討を進めているところである。

〇伊藤委員 本県は、本年を環境創造元年と位置づけたということであるので、特にも、今言った世界環境的な観点からも森林という部分にいろいろな目が向いてくるものと思う。基本的には、木価が一番高く売れる状況を設定いただくことを調整してほしいという要望があるので、その点を基本に置きながらも、環境破壊するようなことがないような、例えば、山のてっぺんに林地があった場合に、ぐるぐる鉢巻き状態にブルドーザーで道路をつくっていくというのは、これからはちょっとまずいのではないかと思うので、そうなると、集材機の活用とかといったことにもなってくるのであろうと思う。そういうことをぜひ研究・調整していただき、これは商工労働観光、あるいは企画振興にもかかわる部分もあろうかと思うので、協議をしながら進めていただきたいと思う。
 それから、今の秋田県の例であるけれども、岩手は利子補給をしているということであるが、利子補給というのは何パーセント以上の部分について補給をするということであろう。そうすると、今利子がどんどん下がっていて、該当しない利子補給制度というのが相当出てきているのではないかと思う。利子補給制度があると言いながらも、どんどん金利が下がっており、何パーセント以上をこちらで立てかえするということになると、該当しない部分が出てきているかと、そんなことがあるかと思うのであるが、御検討いただきたい。
 ちなみに、秋田県の大館の場合は、9年度末の累計であるけれども、申請件数が226件、交付決定件数が223件、金額が2、437万円。こういった部分で、いわゆる上流から下流までの中に現金がぽんと入っていくという部分が大変効果があると、こういう評価があり、ぜひ県内でもこういった部分、ダイレクトに需要喚起につながる部分を喚起してほしいという声があるので、ぜひその点を御検討いただき、活用というか振興という部分について研究していただきたいと思う。
 それから、今の県産材の活用にもかかわるけれども、今年度に建築基準法が改正になったようである。これが改正になると、これから1年後に、今度は政令が改正され、建設大臣による省令、告示、通達などが出されて、いろいろな使用材料の制限が出てくる。そういう中で今一番言われているのは、乾燥材の度合い、つまり乾燥材に移行していくのであると。今までのような、水もしたたるような未乾燥材が大分ユーザーのひんしゅくを買ってきたという不信感もあったりしたということで、建築基準法の中で、乾燥材、しかもD20ということで、含水率20%以下、こういう部分の指定になってくるのであろうと思う。したがって、業界等にもこういった部分の指導をしていかないと、一方では県産材の活用をうたいながら、こういう指導がなければ、建築基準法の方ではねられてしまうから県外産材の乾燥材が入ってくる。あるいは、国内で間に合わなければ国外から入ってくる、こういう懸念もあるようであるので、あわせてぜひこれを検討していただきたいと思う。(「長い。昼食である」と呼ぶ者あり)
 私も腹がへってきたので、1点だけ、内水面の部分について伺う。
 先般、野田村の安家川河口にあるウライの部分に魚道設置をするということで新聞掲載になっておった。これは、コンクリート製のウライ施設をつくったがために、サケとかサクラマスの捕獲にはよかったのであるけれども、上流にアユとかウグイとか、あるいはエビとか、そういった小さい魚等が上がってこなくなったという上流漁協からの申し入れがあり、いろいろ下流漁協と協議をしてきた。下手をするとこれは100年戦争になりかねないという部分があったわけであるが、今回、いい意味でこの協議が整ったという形で、魚道整備をするということになったようである。これは、北海道の標津町のウライを参考につくったと言われるのであるが、北海道では木造あるいは竹でつくっており、シーズンが外れると除去するウライであったのであるが、本県では、本州初でつくったこのウライというのは、北里水産大学のある教授に言わせると、前近代的な代物であると酷評されたものである。そういう中で、今回魚道をつくるということでこれを積み上げたということは一歩前進であると思うが、こういう観点で県内の河川を見ていくと、昭和30年代、40年代につくった堰堤というか、土木で言うと落差工と言うそうであるが、その中に魚道はつけてあると言っているのであるが、魚道の役をなしていない魚道なるものが相当出てきたのではないかと。森林が伐採されるから、水源涵養がなかなか従前ほどない。水位が下がる。水位が下がったけれども、固定式のコンクリートの堰堤というのはそのままであるので、その部分をなしていないということである。したがって、アユが遡上する、サケが遡上するといっても、背びれを出してまでそういう魚道を通らない。カモメ、あるいはカラスの天敵がいるということであるので、ぜひこういった部分を検討していくべきであると思うのであるが、それについてお伺いする。

〇三河委員長 伊藤委員の質疑中であるが、この際、昼食のため午後1時まで休憩する。
   午後0時4分 休 憩
 
   午後1時3分 再 開

〇菊池副委員長 休憩前に引き続き会議を開く。
 午前中の説明に対する質疑を続行する。

〇上村漁業振興課長 伊藤委員の河川の魚道の機能低下に係る対応についてであるけれども、河川の水産資源保護上、魚道は重要な役割を果たしておると認識しておる。本県には300カ所以上の魚道が設置されておるけれども、古くは51年からのものもあるし、20年以上経過しているところもあることから、当時とは川の流れや川の構造等が変わってきておって、一部に河川の機能低下が懸念されているというところも聞いておる。先ほど申し上げたように、魚道は水産資源保護の上で重要な役割を果たしておるから、かかる魚道機能の低下が考えられる場合においては、関係各課と連携を図りながら魚道機能の保全に努めてまいりたいと考えておる。

〇斉藤委員 第1点は公共事業の見直しである。
 私は総括でも取り上げたが、平成10年の予算では17件、25億1、000万円の見直しがあったが、総括質問でお聞きしたら、治山事業など10件については67億9、900万円増額補正をしたと、これは不要不急の公共事業だったのではないのか。見直したものが結果的には大幅に増になるというのはどういうことであろうか。
 平成10年度2月末の林業・水産業費の公共事業の額、比率もあわせて示していただきたい。
 平成11年度予算では林水だけ公共事業の見直しは示されていない。土木、農政はそれぞれ出ているが、これは公共事業の見直しについてどう検討されたのであろうか。
 第2点、大規模林道川井住田線横沢-荒川区間についてお聞きする。
 ルートの変更、一部トンネル化が検討されているとの答弁があったが、今後の工事再開にかかわる重大な問題である。県は具体的に相談を受けているのであろうか、いないのであろうか。このルートの変更、トンネル化はいつまでに、どのように検討されるのか。
 猛禽類のモニタリング調査結果について複数の専門家を含めて検討会が1月に開かれたということであったが、その内容はどういうものだったのであろうか。今後も開かれるのであろうか。
 林業生産活動の促進で著しい効果を上げているとの答弁があったが、具体的にどういうことであろうか。通勤通学等生活の利便性向上に大きく寄与していると答弁があったが、どこの地域のことであろうか。特に私は川井村にかかわる問題についてお聞きをしたい。
 クマゲラ生息動向調査もこの間、行われている。平成10年度の調査報告の内容はどうなっているであろうか。今後の調査と対応はどうなるであろうか。

〇小野寺参事兼林政課長 公共事業の見直しの関係であるけれども、林業水産部関係の平成10年度当初であったが、事業の緊急度あるいは重要性、それから財源の見通しなどを勘案して、当初で17事業について約25億円の縮減を行っておったところであるけれども、そのうち10事業については、事業効果の早期発現を図るという観点から、事業の前倒し執行を行うほか、昨年の大雨災害あるいは火山対策等の新たな行政需要へ対応するために国の経済対策等、国庫補助事業等を導入して増額補正を行ったものである。
 それから、11年度においても、前年度と同様に事務事業の評価システム等に基づいて、各事業について再度見直しを実施したし、また新たに導入された公共事業評価システム等によって再評価を行ったところである。この結果、中止1路線を予定しているところであるが、その他については各事業とも緊急度、重要度等が高く、また各市町村等からの要望も強いことから、廃止、減額がなかったものである。
 それから、3点目の、2月補正後の公共事業の予算に占める割合であるが、林業関係では69・3%となっておる。

〇武市漁政課長 水産関係であるが、11年度の当初予算要求に当たっても、平成10年度要求の際と同様に、事務事業評価システム、それから新たに導入された公共事業評価システムによって、必要性、重要性、効率性等の評価指標を用いて評価等を行ったところである。水産関係事業については、つくり育てる漁業の一層の推進を図るため、地域の中核となる漁港の整備や快適で潤いのある漁村環境の形成を図るため、特に重点的に推進する必要性が高いということから、縮減額を出すことができるまで見直しするに至らなかったというところである。
 今後においても、水産情勢や社会・経済情勢を勘案しながら、評価システムによる検討を行って、重点的、効率的な事業の執行に努めてまいりたいと考えておる。
 それから、2月補正後の水産関係の方の予算の総額は229億2、700万円であって、そのうち公共事業費は169億7、500万円である。予算総額に占める割合は74%となっておる。

〇近藤森林土木課長 大規模林業圏開発林道川井住田線横沢-荒川区間について4点質問があったので、お答えしたいと思う。
 まず、ルート変更、一部トンネル化が検討されているのか、県がそれに具体的に相談を受けているのかということであるが、ルートの変更については、昨年8月の川井村における地元説明会において、自然環境保全等の観点から、可能な限り現存植生を保全するため、トンネル化の可能性も含めてルートの変更を検討しているという説明を受けたところである。また、森林開発公団においては、現在行われている猛禽類のモニタリング調査等の結果を見ながら、多面的な検討をしていると聞いているところである。
 2番目の、猛禽類のモニタリング調査結果について、その内容はどうかということであるが、森林開発公団は、現地調査結果に基づいて、専門家から調査結果の解析、今後の調査の進め方及び工事と生息環境の保全との調整などについて、意見や見解等を聞くために検討会を実施したと聞いているところである。
 それから、林業生産活動への具体的な効果と生活の利便性の向上に大きく寄与しているというのはどこの地域かということであるが、まず大規模林業圏開発林道は、本県の山村地域において林業の振興はもとより地域の産業振興や定住条件の改善等に寄与しているところである。また、本林道は森林率の高い北上山系のほぼ中央を公道も併用しながら南北に縦貫するものであり、林道網の幹線としての役割が期待されているところである。川井住田線横沢-荒川区間は、平成9年度まで、延長ベースで約83%の進捗率となっておって、林業従事者の森林施業の現地への輸送や間伐等適切な森林整備を促進する上で大きな効果を果たしているところである。生活の利便性の向上については、既に完成している遠野市側において地域住民の通勤、通学等の日常生活面での利便性が向上されたほかに、荒川牧場へのアクセスが大幅に改善され、畜産経営の振興にも貢献しているところである。
 それから、平成10年度のクマゲラ生息動向の調査報告の内容と今後の対応はどうかということであるが、平成10年の調査は4月、5月、6月の1回ずつ計3回調査をしておるが、その調査結果の概要はこれから述べるとおりである。一つ、昨年までの調査同様、今年度もクマゲラの目撃及び鳴き声等の直接確認はできなかった。二つ、平成7年度から9年度までに確認されたクマゲラの可能性のある生活痕については、新たにクマゲラのものと判断できる痕跡の変化は見られなかった。3番目、新たに生息動向調査を実施した調査区域の西端部の広葉樹天然林において、クマゲラのものと思われる食痕、1カ所は区域外であるが、含めて2カ所確認された。4番目、したがって、本年度の調査では、クマゲラの生息に関する明確なデータは得られなかったが、新たに食痕が確認された調査区域の西端部等は北上高地に生息すると思われるクマゲラの行動圏に含まれているものと考えられるという報告の内容である。以上のことから、新たに食痕が確認された調査区域の西端部は、林道から500メートル以上も離れておるので、クマゲラの生息に著しい影響はないものと判断するところである。これらのことから、森林開発公団は今後とも引き続き生息動向調査を実施して、クマゲラの生息動向を的確に把握するとともに、その調査結果と専門家の意見を踏まえ生息環境の保全に十分配慮して事業を実施すると聞いているところである。

〇斉藤委員 公共事業の見直し、私、極めて重大な答弁だと思う。財政健全化を目指して今、全体事務事業の見直しをやっているときに、去年、当初で計画したその見直しが結果的には増額である。42億円も増額になっている。私は福祉部のところで言ったけれども、福祉関係はもう財政課までAランクと言っているものまでずたずたに切られているというのが実態である。ところが、公共事業になると来年度は全く見直しがない。こういうことでは本当に財政再建できない。開発優先、公共事業の大盤振る舞いと言ったけれども、そういう実態が図らずも示されたのではないか。
 それで、大規模林道であるけれども、私、中身を聞いているのである。千葉副知事から概略聞いたからきょう質問しているので、同じことを答弁したってだめである。ルートの変更、トンネル化の検討はいつまでにやられるのか。実はこれからの工事計画区間がクマタカの高利用域なのである。そこにかかっている。だから、今の時点でルート変更が必要であれば、トンネル化が必要であれば、これが検討されなかったら意味がないことである。この工事がこのまま続行されたら。私はそういう点で、1月に、初めて専門家も含めた集団的討論をされたと言われているのは、そこに県が声がかからなかったというのは極めて残念である。負担金を払っている県がここに声がかからないというのはいかがなものか。私はそう思うけれども、中身について聞いていないのかどうか改めてお聞きするが、私が経済効果というか、大規模林道の効果を聞いたのは主に川井村区間なのである。実際に、遠野側もそうだけれども、この区間というのは150日間積雪で通行どめになる。川井村の場合は直接受益集落人口は260人と言っているけれども、かなり下の方ではないであろうか。私は、今工事している区間、これが本当にどのように使われるのか、そのことを聞いたわけである。そういう効果を。そのことを具体的に、なければない、あるならあるで示していただきたい。
 クマゲラの生息動向調査も引き続きやられているが、新たに2カ所で食痕、生息行動を確認されたと、私、極めて重大だと思う。工事を再開しながら調査をやっているから、今まで見つかったところで見つからないのである。そういう点でやっぱりこれはきちんと工事をストップしてやらないと本当の、これは猛禽類もこのクマゲラもそうだけれども、本当に正確な環境調査、生息調査にならないと思う。そういう点で改めてお聞きをする。
 それで、時間の関係であと全部お聞きするから。第3点は、アキサケ、サンマ、スルメイカの不漁とその対策について。不漁の実態、その要因。とりわけ1、000億円に及ぶと言われる水産加工業への影響が大きいと思われるが、その実態と対応について示していただきたい。
 4番目は、秋さけ等消費定着化推進事業についてであるが、これは総額2、600万円余の予算が計上されている。学校給食利用、これが1、333万円、病院給食向食材開発事業費400万円、極めて意欲的だと、私はこれは評価をする。この間の実績、新しい事業の特徴、この点について示していただきたい。
 最後は、種市町におけるゴルフ場開発計画にかかわって県行造林の解除、解約の方針が示されたことがあったが、既に大規模指導要綱の期限も切れており、私はこれはもう現段階では無効であると思うが、いかがであろうか。

〇渡辺林業水産部長 数点のお尋ねであったが、私からは秋さけ等消費定着化推進事業、その関連についてお答え申し上げ、その他のお尋ねについてはそれぞれ担当課長から答えさせるので、御了解を賜る。
 まず、秋さけ等消費定着化推進事業についてであるが、その成果である。まず、秋さけ消費定着化事業によって、漁業者、加工業者、流通業者が一体となってサケのよさを知ってもらうための鮭の日のキャンペーン等々を実施して、県内外に岩手のアキサケをPRし、相当浸透してまいったのではないかと考えておる。それから、2点目に、学校給食消費定着化事業であるが、これはまさに積極的に取り組んで、鮭の日等においては、県下の学校給食実施校全校においてアキサケメニューを実施した。その結果、前年度を20%上回るアキサケの食材75万食を学校給食に提供できたというところである。それから、イクラの品質向上モデル事業もこの一環であるが、これについてはO-157等々の関連もあったけれども、いずれ十分取り組んだ結果、高品質のイクラが生産でき、東京築地市場での評価も北海道産と同じレベルに達しておる。
 それから、平成11年度の事業の特徴と申すか、これらであるが、さまざまな施策があるわけであるが、これらについてはこれまでにも増して推進してまいるし、とりわけ学校給食消費定着化事業については、学校給食に提供するアキサケ食材、これを平成10年度の7%アップ、80万食に拡大するということを目指して対応してまいりたい。それから、病院等給食向け食材の開発事業ということで、私も予算説明の際に若干触れさせていただいたが、それについては病院等の給食に適した製品を開発することによって、県立病院を初めとするこれらの施設への利用拡大を大いに進めてまいりたい、かように考えておる。

〇上村漁業振興課長 サケ、サンマ、スルメイカの不漁とその対応についてであるけれども、まずその実態と要因についてであるが、10年度においてはアキサケ、サンマ、スルメイカは全国的に不漁であって、本県においても対前年比、アキサケで67%、サンマで46%、スルメイカで15%と大変不漁であったわけである。その要因については、自然界のことであるからなかなか不明なことがあるけれども、海況変動などにより来遊資源が少なかったことなどが考えられるけれども、詳しくはわかっておらない。
 これらの水産加工業への影響についてであるけれども、本県の市場に揚がる水揚げ魚種を見ると、このアキサケ、サンマ、イカの3魚種で65%を占めているわけである。一方、産地には加工業が存在するわけであるけれども、その加工業の8割はこれら前浜に揚がる魚を当てにする冷凍水産物加工業が圧倒的に多いわけである。したがって、前浜の好・不漁が響いてくるといったことで、昨年度の不漁は大変響いていると考えておる。
 今その実態はどうなのかという話であるけれども、よくはつかまえておらないけれども、これから3月、4月、5月、6月、7月、8月、9月、次の漁期までの端境期、これをどう乗り切るかといったところが勝負ではないかと思っているので、この辺を注視しながら対応してまいりたいと、こういうふうに思うし、さらに前浜依存のこういった体質では好・不漁によって左右されることが多いから、付加価値のつけるような加工に体質を改善すべきということから、昨年3月に岩手県水産物流通加工ビジョンを策定して、全県あるいは地域、関係者一体となって取り組んでいるところであるので、そういった観点から体質強化に努めてまいりたいと考えておる。

〇玉川緑化推進課長 種市町ゴルフ場開発に係る県行造林の解約についてであるが、県行造林の解約については、原則として、契約解除の目的が公用または公共用である場合が一つである。それ以外については、解除申請に係る行為等が地域振興に寄与し、県または市町村が積極的に推進しているものであって、その中で契約解除に係る行為等が関係法令等の規定を満たしていること。また、契約解除が当該県行造林及び周辺の県有林の施業及び管理に著しい影響を及ぼさないことということで、解約に応じているところであって、ただいまお話の種市町に関しては、この2点目の方に該当するということで、県行造林の解約の予定通知を出したところである。その予定通知の条件として、関係法令に基づく許認可を得ることが一つ、それから別途定める解約補償金を納入することと、この二つを条件に解約の予定の通知をしたところである。
 ただいま委員お話しのように、ゴルフ場等大規模開発行為指導要綱に基づく事前協議の期限が切れたとすれば、再度事前協議をすることが必要となるところである。もし再度の事前協議を行って、もし了承されないとすれば、関係法令を満たすという条件を満たさないので、結果的には解約に応じないということになる。ただし、今回の場合は平成3年9月10日付で申請なされたわけであるが、その申請書に記載した理由に変更がなく、かつ町が当該申請書に添付した意見書のとおり、種市町の山岳リゾート開発計画を積極的に推進することと、再度の事前協議を含めて関係法令の許認可が得られる、または得られる見込みの時点でその解約の是非については判断するべきものと考えておる。

〇近藤森林土木課長 先ほど川井村に限ってという言い方をされたわけであるが、残念ながら川井村の部分についてはまだ完成していないわけである。上で分断されているために、使いようが今のところ非常に悪いわけである。したがって、これが通ったときには、あの辺の林業のための整備等々に我々は非常に期待しておるので、一日も早く我々は通してもらいたいと考えておる。(斉藤委員「答弁漏れだ。私はその前に二つ聞いているであろう。」と呼ぶ)

〇斉藤委員 2回も言わせないでもらいたい。ルートの変更、トンネル化、工事再開との時期とのかかわり、極めて重大だと、これが具体的にいつまでどのように検討されるのか、このことを私、改めて先ほど聞いた。
 それと、1月の検討会の内容は聞いてないのか、なぜ負担金を払っている県に声がかからないのか、それをお聞きしたのであろう。

〇近藤森林土木課長 ルート等の変更については、先ほども申したとおり、公団では、今検討段階であると聞いている。したがって、公団の方でうちの方に連絡あるいは協議に耐え得るようなしかるべき時期が来たときには、当然県と連絡調整等をするものと考えておるので、我々は今後とも密接な連絡はとってまいりたいと考えておる。
 それから、検討会は、そもそも公団がその先生方に、自分たちが調査を頼んだデータに基づいて先生方に意見を聞くということを、公団が発注者として聞くということであるから、それは公団の方の時期等々の関係でやることで、我々が行ったところで口を出すわけにもいかないし、それは結果についてこういうことがあったということは聞いておる。その内容としては、先生方の中でも工事と生息環境の保全との調整を検討する段階では、やはりそのルートの一部変更についても一応話が出たと、こういうふうに聞いておる。

〇菊池副委員長 ほかに質疑ないか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇菊池副委員長 質疑がないようなので、これで林業水産部関係の質疑を終わる。
 次に、農政部長から農政部関係の説明を求める。

〇佐藤農政部長 農政部関係の平成11年度当初予算の内容等について御説明申し上げる。
 予算の説明に入る前に、本年度の農業概要と、平成11年度における農業施策の推進に当たっての基本的考え方について御説明申し上げる。
 まず、平成10年度の作柄については、春先から不順な天候が続き、5月の霜害を初めとして、8月以降、県南部を中心に大雨、洪水被害、それから台風による強風被害など大変大きな被害を受けたところである。こうした中で、米については作況指数96のやや不良となったものの、品質の面では、1等米比率が東北では第1位となるとともに、日本穀物検定協会の食味ランキングにおいて、本県産のひとめぼれが5年連続で最高ランクの特Aに認められるなど、米、園芸、畜産全体を通じ、本県の産地力は着実に向上していると認識しておる。
 御案内のとおり、国においては、今後の我が国の農業・農村の再構築に向けて、昨年12月に農政改革大綱を公表し、この大綱に沿った食料・農業・農村基本法案が、昨日、国会に提出されたところである。
 こうした状況を踏まえ、昨年12月に農政審議会から新しい農業計画の基本的方向について、中間答申をいただいたところであるが、県としては、その基本的方向を踏まえながら施策の展開をしてまいる考えである。特にも、新規就農者や認定農業者に対して積極的な支援を行うなど、意欲ある農業者の育成・確保を図りながら、効率の高い地域ぐるみ農業の形成を促進するとともに、転作田への麦・大豆や園芸作物の導入拡大による水田営農の早期確立を初めとし、園芸部門の重点的な振興により、収益性の高い農業への再編や県産農産物の総合的な販売戦略の展開、さらには中山間地域の活性化などに重点的に取り組んでまいりたいと考えておる。
 それでは、農政部関係の各議案について御説明申し上げる。
 まず、議案第1号平成11年度岩手県一般会計予算についてであるが、お手元の議案その1の7ページをお開き願う。6款1項農業費、2項畜産業費、3項農地費、それから9ページの11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費の一部を合わせた、総額938億5、064万5、000円が農政部の所管する一般会計予算である。これを前年度当初予算と比較すると28億6、948万円余、3・2%の増となっており、県の一般会計予算全体に占める割合は10・8%となっておる。
 その内容については、便宜、予算に関する説明書により御説明申し上げる。なお、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に御説明申し上げるので、御了承願う。


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