平成11年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成11年3月9日(火)
   

1開会  午前10時4分

1出席委員  別紙出席簿のとおり

1事務局職員
事務局長 佐藤嘉成
議事課長 藤沢重一
議事課長補佐 駿河 勉
主任議事管理主査 千田正和
議事管理主査 南 敏幸
議事管理主査 筒井則裕
議事管理主査 森 達也
議事管理主査 熊谷正則

1説明員
商工労働観光部長 小野寺修
商工労働観光部次長 小野寺彰
商政課長 菊池穀逸
岩手ブランド推進室長 佐々木 由 勝
経営金融課長 山火弘敬
工業振興課長 本田敏秋
企業立地推進監 熊谷順太
観光課長 山口和彦
労政能力開発課長 武田 弘
職業安定課長 野口茂喜
雇用保険課長 関澤 明
 
医療局長 佐藤文昭
医療局次長 長山 洋
参事兼職員課長 伊藤勝也
参事兼経営指導室長 小林繁芳
管理課長 長澤忠雄
業務課長 佐藤 巖
システム管理室長 橘山孝悦
医師対策監 大川正裕
 
地方労働委員会事務局長 小森睦夫
総務課長 相馬直人
審査調整課長 米本清一
 
財政課長 千葉 弘
   

〇三河委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入る。
 議案第1号から議案第21号まで、議案第26号から議案第37号まで、議案第40号、議案第43号、議案第45号から議案第47号まで、議案第49号、議案第50号、議案第52号及び議案第54号から議案第64号まで、以上、52件を一括議題とする。
 本日は、商工労働観光部、医療局及び地方労働委員会関係を終わるように進行したいと思うので、御協力をお願いする。
 また、世話人会の申し合わせにより、質疑事項が複数ある場合、関連をする事項についてはできるだけまとめて質疑されたいこと、また、質疑及び答弁については簡潔明瞭に行い、午後5時を目途に審査が終了するよう議事進行に御協力を願う。
 なお、関連質疑については、冒頭に質疑を表明している委員より優先をして発言を認めているものであるので、その性格上、関連性の強いもののみ短時間、簡潔に発言されるよう、また、要望のみで終わることのないよう御協力をお願いする。
 最初に、商工労働観光部長から商工労働観光部関係の説明を求める。

〇小野寺商工労働観光部長 平成11年度の商工労働観光部関係の予算について御説明を申し上げる。
 まず、一般会計予算であるが、議案その1の7ページをお開き願う。
 5款労働費のうち、3項労働委員会費を除いた33億3、033万7、000円と、7款商工費の854億3、044万6、000円、あわせて887億6、078万3、000円が当部関係の予算総額である。これは、前年度当初予算に比較すると221億5、079万9、000円、率にすると約33・3%の増となるものであるが、主なものについては、商工観光振興資金貸付金、中小企業経営安定資金貸付金などの中小企業向け貸付金の増によるものである。
 なお、行政機構の再編整備等に伴って、平成11年度においては、商工労働観光部から総務部に移管する予算等については、戻って6ページをお開き願う。2款総務費1項総務管理費に計上しているのであわせて御説明を申し上げる。
 各項目ごとの内容については、便宜、お手元の予算に関する説明書により御説明申し上げる。
 それでは、予算に関する説明書の95ページをお開き願う。2款総務費1項総務管理費7目県外事務所費のうち、行政機構の再編整備等によって、商工労働観光部から総務部に移管するいわて銀河プラザ管理運営費から福岡事務所管理運営費までは、それぞれの管理運営に要する経費である。
 次に、飛んで、146ページをお開き願う。5款の労働費1項労政費1目労政総務費2億5、030万円余は、中小企業の労務改善や労使関係の安定促進などに要する経費である。2目労働教育費は、各種労働講座の開設に要する経費である。次に、147ページに参って、3目労働福祉費2億5、792万円余は、岩手労働金庫等に対する貸し付けなどに要する経費である。4目雇用促進費2億4、336万円余は、障害者雇用対策費など雇用の安定に要する経費である。
 次に、149ページに参って、2項職業訓練費1目職業訓練総務費9億6、479万円余は、技能労働者の技術水準の向上を図るための認定職業訓練及び青年技能者の育成などに要する経費である。2目職業訓練校費16億1、198万円余は、県立産業技術短期大学校を初めとする公共職業能力開発校等の管理運営、それから150ページに参って、技能労働者の向上訓練等に要する経費である。
 次に、飛んで、194ページをお開き願う。7款商工費1項商工業費1目商工業総務費21億9、695万円余の主なものであるが、北上川流域高度技術産業集積推進事業費は、地域産業の振興を図るために、北上川流域に高度技術産業の集積を促進しようとするものである。いわて新産業創造支援事業費は、内発的な工業振興を図るため、ベンチャー企業や起業家の育成等を行おうとするものである。いわて新産業創造プラットホーム整備推進事業費は、新産業創造の総合的支援体制を整備するために基本構想を策定しようとするものである。次に、195ページに参って、2目中小企業振興費744億2、323万円余の主なものであるが、商工業小規模事業対策費は、商工会や商工会議所などが行う経営改善普及事業等を助成しようとするものである。魅力ある商店街整備事業費補助は、商店街の組合や市町村が実施する商業基盤の整備に対し補助しようとするものである。いわて街づくり塾開催事業費補助は、中心市街地活性化の担い手となる意欲ある地域リーダーの育成を図るための研修事業に要する経費を補助しようとするものである。地場産業総合振興対策事業費は、地場産業の振興を図るため、新商品開発や販路開拓等に要する経費を補助しようとするものである。次に、196ページに参って、貸付金関係であるが、商工観光振興資金貸付金は、中小商工業者の設備改善等に要する経費に対する貸付金である。中小企業経営安定資金貸付金は、中小企業者に対して運転資金を融資することにより、経営の健全化を図るための貸付金である。いわて起業家育成資金貸付金は、創意と活力ある企業の育成のために、創業に要する経費に対する貸付金である。中小小売商業者等強化支援資金貸付金は、意欲的な中小小売商業者などが積極的に店舗展開等を行うために要する経費に対する貸付金である。次に、197ページに参って、工業振興の関係であるが、中小企業創造技術研究開発費補助は、新製品や新技術開発等の経費に対して補助しようとするものである。3目企業立地対策費53億9、783万円余の主なものであるが、198ページに参って、まず工業立地促進資金貸付金は、長期低利の設備資金を融資し、工業立地の促進を図ろうとする貸付金である。企業立地促進奨励事業費補助は、県北・沿岸地域等への企業立地を促進するため、市町村が誘致企業に助成する経費の一部を補助しようとするものである。4目中小企業経営指導費3億6、642万円は、商工業研修及び中小企業地域情報センターに対する助成などに要する経費である。次に、199ページに参って、5目の貿易振興費は、県産品の輸出拡大等に要する経費である。6目計量検定所費は、計量器の検査や指導監督に要する経費である。7目工業技術センター費13億5、089万円余は、特定産業集積活性化研究開発機能強化事業費など、試験研究等に要する経費である。
 次に、201ページに参って、2項鉱業費1目鉱業総務費は、鉱業関係業務の管理運営に要する経費である。2目の鉱業振興費は、中小鉱山が行う探鉱事業を助成しようとするものなどである。3目鉱害対策費8億4、731万円余は、旧松尾鉱山等の鉱害発生源対策工事及び新中和処理施設の維持管理などに要する経費である。次に、202ページに参って、4目銃砲火薬ガス等取締費は、高圧ガス保安法等に係る許認可を処理する電算システムの開発及び火薬類、高圧ガス等の取り締まり、保安指導などに要する経費である。
 次に、203ページに参って、3項観光費1目観光総務費5億762万円余の主なものであるが、北東北広域観光推進事業費は、岩手、青森、秋田の3県が一体となって観光客の誘致拡大を図ろうとするものである。新しい旅推進事業費は、県内の広域的な地域ごとに旅行商品の開発及び宣伝活動等を行おうとするものである。ウェルカムプラン21推進事業費は、これも岩手、青森、秋田の3県が一体となって、外国人観光客の誘致拡大を図ろうとするものである。2目の観光施設費7、886万円余の主なものであるが、オートキャンプ場開設費は、本年の4月に予定しておる県立陸前高田オートキャンプ場の開設に伴い、開業記念催事等を開催するとともに、植栽工事等を行おうとするものである。
 以上で、一般会計歳出予算の説明を終わり、次に債務負担行為について御説明申し上げる。戻って、議案その1の11ページをお開き願う。
 第2表債務負担行為のうち、事項欄の4から7までの4件が当部関係のものである。
 4は、岩手県火災共済協同組合が行う火災共済契約の履行に係るもので、8億円を限度として損失補償をしようとするものである。
 5は、岩手県信用保証協会が信用保証した創造的中小企業支援資金に係るもので、900万円を限度として損失補償をしようとするものである。
 6は、財団法人岩手県中小企業振興公社が貸与した設備に係るものであり、被貸与者から償還金の納入がない場合、6億6、200万円を限度として損失補償をしようとするものである。
 7は、市中金融機関が、財団法人岩手県観光開発公社に融通した資金に係るもので、元利金の償還がない場合に9億900万円を限度として損失補償をしようとするものである。
 次に、特別会計について御説明を申し上げる。議案その1の33ページをお開き願う。
 議案第7号平成11年度岩手県中小企業振興資金特別会計予算であるが、これは、歳入歳出をそれぞれ33億4、166万6、000円とするものであり、歳入及び歳出の区分は、34ページ及び35ページの第1表のとおりとするものである。
 第2表地方債は、歳出予算の事業費に充当するものであるが、この限度額を3億6、029万円としようとするものである。
 詳細については、予算に関する説明書により御説明を申し上げる。予算に関する説明書の374ページをお開き願う。
 歳入歳出の合計についてはただいま申し上げたとおりであるが、まず歳入について御説明を申し上げる。
 375ページに参って、1款繰入金1項一般会計繰入金1目一般会計繰入金1億8、924万円余は、中小企業高度化資金の貸付原資として、一般会計から繰り入れるものである。
 次に、376ページに参って、2款繰越金1項繰越金1目繰越金3億1、336万円余は、前年度からの繰越金を予定するものである。
 次に、377ページに参って、3款諸収入1項貸付金元利収入1目貸付金元利収入24億7、474万円余は、中小企業設備近代化資金などの貸付償還金である。
 次に378ページに参って、2項預金利子1目預金利子は歳計現金の利子である。
 次に、379ページに参って、3項雑入1目雑入は違約金収入などである。
 次に、380ページに参って、4款県債1項県債1目県債3億6、029万円は、中小企業高度化資金の貸付原資の一部として、中小企業事業団から借り入れしようとするものである。
 次に、歳出であるが、381ページに参って、1款中小企業近代化資金貸付費1項貸付費1目設備近代化資金貸付費5億4、000万円は、設備の近代化を促進しようとする中小企業者に対して貸し付けしようとするものである。2目設備貸与資金貸付費5億9、000万円は、中小企業の設備の近代化を促進するため、財団法人岩手県中小企業振興公社が行う設備貸与事業に要する資金を貸し付けようとするものである。3目高度化資金貸付費21億7、886万円余は、構造改善等高度化資金貸付金などの貸付金及び中小企業事業団に対する償還金などである。
 次に、382ページに参って、2項貸付事務費1目貸付事務費は、貸付事務及び資金の回収などに要する経費である。
 以上で、商工労働観光部関係の予算についての説明を終わり、続いて予算以外の議案について御説明を申し上げる。議案その2の25ページをお開き願う。
 議案第36号産業文化センター条例の一部を改正する条例であるが、これは、産業文化センターの使用料の額を改定し、平成11年4月1日から施行しようとするものである。
 次に、29ページに参って、議案第37号工業技術センター等条例の一部を改正する条例であるが、これは、工業技術センター等の使用料及び手数料の額を改定し、平成11年4月1日から施行しようとするものである。
 次に、42ページに参って、議案第40号勤労身体障害者体育館条例の一部を改正する条例であるが、これは、勤労身体障害者体育館の使用料の額を改定し、平成11年4月1日から施行しようとするものである。
 以上で、商工労働観光部関係の予算及び予算以外の議案についての説明を終わる。よろしく御審議のほどお願い申し上げる。

〇三河委員長 ただいまの説明に対し質疑ないか。

〇伊藤委員 観光のことについてまずお伺いをしたいと思う。
 一般質問でも申し上げたけれども、観光という部分は、言ってみれば県内の内発型の事業を育成するという部分とはまた違った観点から、いわゆる外貨を獲得する重要な産業というか部門なのだと思っておる。そういった場合に、県外から入ってくる人たちを、こちらの方からもっとダイナミックに導線をつくっていくべきではないか。
 本県は、十和田八幡平国立公園という山岳の公園と、陸中海岸国立公園という海の公園の、いわゆる山と海の公園を有している唯一の県だと思っておる。そういう中で、山の国立公園、海の国立公園を連動させるようなダイナミックな導線づくりをした上に観光客を誘致してくるという観点が、今まで少なかったのではないかと思うのである。
 いろんなところで言われておるが、三陸沖から出る朝日を見て沈む夕日を秋田県で見るということを言っている人もいるけれども、サンシャインを三陸海岸で見て、あるいは区界高原あるいは早坂高原、そういったところからサンセットを見るというような大きな岩手県全土を使ったダイナミックな観光客誘致というか、誘致をした人をどう動かしていくか、誘導するかという、その視点がちょっと少なかったのではないかと思うが、そういう点についてどうお考えなのか、何か施策がおありなのかまずお伺いしたいと思う。

〇山口観光課長 導線づくりが大事ではないかというお話である。確かに今までそういう意味では内陸と沿岸とを結ぶようなものとか、そういう観光というのは、今までは新しい旅ということで、四つの王国ということで、魚彩王国と湯雪王国とかそれから穀彩王国とか黄金王国をやってきたわけであるけれども、ただ、今はそういう四つに分けてきておるけれども、湯雪王国と黄金王国を一緒にした例えばバスとかそういうものも今つくっておる。そういうことで、導線と言ったけれども、そういう意味では今現在もやっておるけれども、委員御指摘のとおり、もう少し強化していかなければならないと思っておる。
 それから、北東北3県をめぐって歩こうと。いずれ、県外からいらっしゃる方々は単なる岩手県だけというわけではなくて、これは北3県とかというようにぐるっと回る。例えば、花巻空港におりられても、それから八幡平の方に行って十和田湖に抜けるとかさまざまあるので、その辺については平成9年の知事サミットでもそういう話になっており、いずれそういう意味で、委員のお話しのとおりこれから強化してまいりたいと考えておるし、それから、県で今つくっておる計画の中でもそういうものを盛り込んでいきたいと考えておる。

〇伊藤委員 そういう中で、今、宮古のある宿泊施設がやっていることであるけれども、三陸沖に秋から冬にかけてオジロワシが飛来をしてくる。これは三陸沖に南下してくるサケを追ってくるらしい。あるいは30キロぐらい沖合に参ると、ウミドリの中で羽を広げて世界最大級と言われておるアホウドリも飛来をしてくるらしい。そういったことで、バードウオッチングというのであろうか、観光船を雇って海というか沖まで出かけてそれをウオッチングしよう、そういった部分で、首都圏の客を相手に30人ぐらいの募集をかけると50人ぐらいが集まってくる。そして1泊、2泊をして、観光船を貸し切った形で沖合に出かけてオジロワシとかアホウドリをウオッチングする、こういう部分が今ぼちぼち始まってきておる。ということは、今まで岩手県の陸地にあって、海まで出かけて何かを見ようという視点が全くなかった部分で新しい部分なのかなと、このように思う。また、同じ宮古の船越委員のお話であると、三陸沖にもクジラも来ているらしいと、こういうことであるから、これプラスホエールウオッチングとかそういった部分がこれからひょっとして今までになかった部分の観光の資源というか、行事、イベント、そういったものになり得るのではないか、このように思うが、こういったことについてどのようなお考えをお持ちか、あるいは新規開拓をしていきたいというか、あるいは支援をしていきたいとか、そういった部分のお考えがあればお伺いをしたい。

〇小野寺商工労働観光部長 三陸地域の観光についてであるけれども、確かに私ども、これまでどちらかと言えば陸側から海の方を向いて景観を見る、楽しむといったようなことが主な観光の内容であったような気がしておる。確かに委員おっしゃるように、海側から逆に陸側を見るというようなことも大変すばらしい景観であると承知しておる。ただ、そういう場合に、今の観光船の状況では、若干観光客の状況にもよってなかなか運営が難しいこともあるが、やはりおっしゃったように、新しいホエールウオッチングなり、あるいはウミドリを観察するとか、そういうような魅力づけをさらにしてまいる必要があろうかと思っておる。私どもも、いかにしたら三陸に観光客を誘致できるかということでは議論しておるけれども、そういうような新しいというか、もっとダイナミックとおっしゃられたが、そういうような観点から、今、観光振興計画の中で、三陸地域の観光を新しいものにするにはどうしたらいいかということの計画づくりをやっているわけである。
 今後、具体的なプロジェクト等を立ち上げてまいるが、その中で今御提言のあったようなものを研究して、これからの観光振興施策の中にできるだけ取り込んでまいりたいと、こう思う。

〇伊藤委員 今、首都圏の観光客の人たちがそういうニーズを持っているんだという部分はぜひ尊重していただいて、上手にこれを成長させていただけるような施策を講じていただきたい。特にも、東京、大阪、福岡等の県の事務所もあるわけであるから、そういった部分を活用されて、ぜひこれを育て上げていただきたいとお願いをする。
 それから、今の海の部分にかかわってであるけれども、内陸の方にはスノーバスターというか雪に苦しめられておった地域が、発想の転換によって雪に親しむ、なじむあるいは雪に交わる、そういった部分を取り入れ、また、雪を見たことのない人たちを迎えていろんなことをやっている。こういう観点からいくと、実は三陸沿岸はやませというのにずっといじめられてきたわけであるが、昨年の5月のちょうど連休のころであったけれども、浄土ケ浜に参ったなら、そのころがいつもやませが荒れてくるころであるけれども、関西方面の多分女子大生ぐらいかと思うが、行ったところ、ちょうどやませが吹き始めて入ってくるときであって、せっかく浄土ケ浜に来たのに浜が見えなくて申しわけないと、こういうことを申したら、これは何なのかと、その女の子たちが聞いた。これがやませであると言ったら、初めて見たと、感激をしたと、こう言う。これは恐らく結婚式のウエディングケーキのカットのときのああいう感覚のノリなのかもしれないが、これはひょっとしてやませ観賞ツアーというのもいけるかもしれないと思った。
 それからもう一つであるけれども、内陸の人が決して味わえない一つの部分がある。これは船酔いという部分。大体の人は酒には酔うけれども、船に酔った経験がない。だったら、やませを観賞しながら船酔い体験ツアーなんというのもあってもいいのではないか。この船酔い体験ツアーをやると、恐らく二度とリピーターにはならないと思うが、1回目ぐらいは来るだろう。そういった発想の転換というか、マイナスをプラスに転換するような考えを持って取り組むのもおもしろいかもしれないと思ったが、それについての部長のお考えをちょっとお伺いしたい。まず、先に御招待をしようか。

〇小野寺商工労働観光部長 確かにやませについては、私どもも今までそれが観光資源としてどの程度活用できるかについては不勉強であった。私自身もそういう場面に余り遭ったことがないけれども、ただ、そういう自然現象と申そうか、それは私どもも単に海の青さ、空の青さでなくて、そういうことがそういうシーズンには見ることができる現象の一つとして、例えば写真をきれいに撮って、それを観光の宣伝用の写真にするとか、そういうことでは十分--凪気楼ではないけれども、そういう状況を紹介することはこれからやってまいりたいと思う。ただ、自然現象であるから、いつそういうものがあらわれるということについてはなかなか紹介しにくい面もあろうかと思うけれども、いずれ大体そういうシーズンとお聞きしたので、そういうものは紹介することはできる。
 船酔いの方はちょっと何と申そうか、ある意味では委員おっしゃるようにリピーターにつながらないとすれば、若干船酔いしないような観光船の快適な観光といったようなことで、これまで以上に--今もやっているけれども、さらに充実するようなことを指導してまいりたいと、こう思う。

〇折居委員 観光客誘致の問題であるが、最近長期化しておる不況の関係で、低迷する景気の関係もあると思うが、観光客の動きが非常に心配な状況にあると私は見ておる。そこで、観光関連業界ではいろんな工夫をしているわけであが、きょうの日報を今慌てて持ってきたが、東京発札幌行きの2泊3日の旅行で1万9、700円という商品を設定したと。これは札幌か小樽に2泊した後、3日目の夜に羽田空港に戻るというような商品をつくっているわけであるが、やはりこういう自然景観を宣伝するだけではなく、そこに来るルート、いわゆるアクセスについての研究の中に料金設定というのは大きな役割を果たすのではないかと思う。
 大分古い話になるが、去年の暮れからことしにかけて、函館に行ってカニを食べ放題で1泊して、1万数千円というのが大分羽田でヒットしたわけであるが、岩手に来るにはどうしても東京からは新幹線となる。飛行機で引っ張ってくるにはやっぱり大阪とか福岡、名古屋とか九州になるわけであるが、そのような観点から、関連業界だけでなく、行政側もそういう努力というかそういうような研究をすべきではないかと思うが、今までJRなりあるいはJASなりにそういう働きかけあるいは相談をしたことがあるかどうか、ちょっとお伺いしたいと思う。

〇山口観光課長 今のお話、全くそのとおりであり、きょうの新聞で1万9、700円であろうか、かなり安いもの、それから2万9、800円、ニイキュッパ、そういうものでさまざまやっておる。うちの方は、今委員おっしゃったように、首都圏ではJRを使ってこっちにいらっしゃる方が多いわけであるが、いろいろとそういう企画商品でどうにかならないものかということで、実は今やっておる湯雪王国とか穀彩王国、これは半額というわけではないけれども非常に安くしていただいて、こちらの方もそういう意味で2泊3日で手ごろな値段というか、ニイキュッパまではいかないけれども、そういうことでやっている。
 そのほかに、JAS--日本エアシステムとタイアップして、例えば2月5日にできた福岡とかああいうところから、交通公社とかそういうエージェントを通じて安い商品を今いろいろと工夫しているところである。
 それから、参考であるけれども、この間の岩手山対策で、岩手山ろく周辺のペンションとか民宿が非常に大変だということでスキーモニターツアーを募集した。これは2泊3日で1万1、800円という値段でスキーモニターツアーを行った。そうしたら、3回に分けてやったけれどもあっという間に埋まり、1月、2月、3月と全部で1、000人募集したけれども、キャンセル待ちというような状態で、実際1、029人の方がいらっしゃった。バスは30台。これはバスである。バスであっても、往復で1万5、000円ぐらいかかるので、2泊3日で1万1、800円ということである。

〇折居委員 そういう努力をなされて、そういう成果が出ているということは大変うれしいことであるが、しかしそれが余り知れ渡っていないというところに、ちょっとこれからの攻め方を検討しなければならないのではないかと思う。
 その同じ紙面に、今度の地域振興券2万円で、繋のホテルと鶯宿のホテルと志戸平のホテルを3泊できるような商品も民間の、業界側の経営者が工夫して売り出すというような努力をしているわけである。そういうものに対して、行政側も何か応援してやれるような制度があれば、そういう工夫ができないものかという感じでこの新聞を見た。
 いずれ、何としてでも低迷する観光関連業界に行政の温かい助成が必要なわけであるから、特にJRとなお一層協議を重ねて安い料金で盛岡まで来れると。何か聞くと、始発の新幹線は相当安くなっているそうであるが、そういうものも当局では積極的に宣伝して、観光客の誘致に頑張っていただきたい。そのようなことを申し上げて、そのようなことについての部長のお話を聞かせてもらいたい。

〇小野寺商工労働観光部長 岩手県に観光客を誘致する上で、やはり経費のうちの主要な部分を占める運賃というものは、観光客が来るか来ないかということの根幹にかかわるものだと思う。やはり新幹線料金は結構高いものについているわけであるが、ただ、飛行機と違って、運賃体系が一定であるところに安い料金設定ができないという問題があるわけである。飛行機の場合は既に御案内のとおり、いろいろな組み合わせができることにより、そういうイチキュッパという話が出てきたわけであるけれども、これは我が県の場合は、特にも首都圏の観光客については、JRに対する安い料金の設定といったお願いが主要になろうかと思う。また、その他の関西、九州等については飛行機は使うわけであるけれども、大型飛行機ではない面もあり、なかなか安い料金が設定できないのであるが、いずれ私ども、JRそれからJAS、こういう方々との普段の連携もきちっととってあるし、それから正式にそういう話し合いをする場もあるので、安い運賃による本県への観光客の誘導といったような面では引き続き話はしてまいる。また、あわせてこちら側でも魅力を持つ観光商品といったようなものも連動して提案をしていきたいと考えておる。
 地域振興券のことについては、個々の方々の今の振興券の利用活用からいうと、なかなか助成しにくいのであるけれども、やはりそういうタイムリーな観光産業側からの新しい案というか商品と申そうか、そういうことを打ち出すということはいい話であり、これからもそういうような観光産業の面でも工夫を凝らした、そういう誘致についていろいろと指導をしてまいりたいと思っておる。

〇小原委員 輸出入関連産業の振興についてお伺いをする。
 まず最初に、この輸出入関連産業の本県の近年の動向についてどのように把握をしておられるであろうか。それぞれに輸入ものについてはいろんな面で活用されておるし、産業があると思う。主たる部分について、本県の輸出入関連産業の近年の動向がどうなっておるであろうか。
 それから2点目は、内陸通関基地--インランドデポである。これの本県設置に向けた取り組みを、どのように把握をしておられるであろうか。これらは本県産業に対して大きな影響が出てくると思うので、ぜひそうした県の取り組み姿勢を含めてお伺いをしたいわけである。
 既に蔵置場の設置という部分では、秋田県の横手市が先行してまいった。本県への影響という部分はそうないとは思うけれども、しかしセールスという点においてはかなり活発に行われている状況も見受けられるわけであるので、ぜひインランドデポ--内陸通関基地の本県設置に向けた取り組み状況、そしてまた県の姿勢という部分についてお伺いをしたいと思うわけである。

〇菊池商政課長 1点目の輸出入関連産業の近年の動向をどう把握しているかという御質問であったけれども、実は県としてはこの二つ目の御質問のあった内陸通関基地、つまりインランドデポの設置に向けて、本県では県と函館税関との連絡会議を持って、これは平成2年が第1回の開催であったが、以来、年1回の会合を持ちながら、このインランドデポの設置に向けて勉強してまいった。この中で、実はただいま第1点の御質問にあった輸出入関連産業がどうなっているかということを調査してまいった。
 直近の調査では平成9年の7月に、輸出入を行っている企業--これが県内では132社と私どもとらえており、ここに対してインランドデポの関連する調査ということで、例えば輸出金額はどのくらいであるか、輸入金額はどのくらいかというような形で調査をしてまいった。回答した企業は121社ということで、平成8年の調査では回答した企業が127社であり、輸出入を扱っている企業は120数社で動きは変わりないと、そう思っておるけれども、この調査結果においては、輸出金額がトータルで17億9、600万円、輸入金額が32億円ということで、合計で49億8、000万円ほどの輸出入を扱っている調査結果と把握した。これは第1回の会合を持った平成2年の調査に比べれば、平成2年の調査では輸出入をあわせて11億円であったので、この49億円というのは4倍ないしは5倍程度の数値になっているということである。実数としてはそのように把握しているところであるが、参考までに、インランドデポの設置について全国で16カ所、東北地方では山形において昭和62年に設置しておったが、このときの輸出入の取扱金額、当時の額であるけれども90億円というようなことであるので、本県の場合は額にしてまだ現時点では半分程度の水準である。
 2点目のインランドデポの本県の設置に向けて、見通しと今後の取り組みはどうなるかということであったが、実はインランドデポの設置に向けて、北上市及び花巻市ではいち早くこれの設置に向けて取り組んでまいったけれども、とりわけ、北上市において、市とか商工会議所あるいは貨物取扱業者が構成員となっておるインランドデポ設置促進協議会というのがあるけれども、昨年12月に蔵置場の設置と通関営業所を設置したいということで、函館税関の方に直接勉強に参った。その際に、具体的な設置申請に向けての指導を受けたということである。県も同行して勉強してまいった。続いて、年を越して1月に入って、蔵置場の設置等については、輸出入業者、つまり具体的には日本通運の北上支店であるけれども、ここが主体になって設置するというような決まりがあるが、そこが釜石税関の方に直接出向いて、事前協議書を提出して具体的に設置に向けた指導を受けてまいった。そうしたところ、おおむねその中身についてはよろしいだろうというような回答を得、つい最近の動きとしては、去る3月8日付をもってこの保税蔵置場と通関営業所の許可申請の本申請を提出したところである。見通しとしては、北上市等からの照会によると、本年5月には許可が出る見込みであるという見通しを持っているところである。
 なお、具体的な設置と申すのは、ただいま実は函館税関の中において電算システムを構築するということで、各税関支所について順次電算システムを導入しているところであるが、本県の場合にはおおむね本年の10月ごろにそのシステムが導入されるということであるので、具体的な保税場、通知所、あるいは通関営業所が10月ごろに設置されればという期待を持っているところである。
 こういった動きを、一生懸命地元の方でもやっているようであるので、県としてもこの輸出入の振興、あるいはもちろんそれぞれ個々の企業にとっても、インランドデポを設置することによるメリットがかなりあるので支援してまいりたいと、そのように考えておるものである。

〇小原委員 このインランドデポ設置に伴う本県の輸出入関連産業を中核としたそれぞれの産業振興は、期待するところ大なるものがあるわけであるが、本県全体の中でこの輸出荷物の集積というものが大変大きくなってこようかと思うし、それから輸入関連の産業振興という面でも新たな展開をぜひ期待したいわけである。そうした点については、ぜひ県としても積極的なお取り組みをお願い申し上げたいと思うわけである。
 もう1点は、これは今おわかりならお知らせをいただきたいのであるが、現在輸出関連で荷出し港、本県の港あるいは近くでは仙台港あるいは秋田港、さらには横浜港といったような形で港が利用されているのだと思うけれども、これらの本県の港というものも逐次整備が図られているわけであるけれども、ぜひ本県の港を活用した形での荷出しができれば、これはお互いに内陸、沿岸、港地域という部分の連動が図られてくるのではないかと考えるわけであるが、この荷出し港の活用状況はどのようにお考えであろうか。どのように把握しておられるのか。あるいは今後の本県の主要港湾を活用したそうした荷出しといった方向について、もし誘導策があったらお知らせをいただきたいと思う。

〇菊池商政課長 本県の港湾の輸出関係の利用状況ということであるけれども、これは調査が通関統計ということで税関の方で調査したものであるけれども、直近の調査では平成8年、宮古、釜石、大船渡、それぞれ港湾が利用されておる。宮古においては、平成8年の輸出は魚介類、その他ということで11億円、釜石港が線材、その他ということで20億円、大船渡港が冷凍魚介類3億7、000万円という状況になっておる。
 本県としても、このインランドデポ設置に向けては、現状においては親会社の関係等から県内の港湾ではなく、どちらかというと京浜地区の港湾が利用されているケースが多いわけであるけれども、お話のあったように、県内の港湾も活用しながら輸出等の振興に努めてまいりたいと考えておるところである。

〇黄川田委員 私からは1点お尋ねする。
 県が整備を進めてまいった陸前高田オートキャンプ場についてお伺いする。
 今春4月下旬に供用開始予定の陸前高田オートキャンプ場は、約33億円の巨費を投じた東北屈指の大規模観光施設と聞いておるが、まず、この施設の概要と特徴についてお伺いする。
 また、陸前高田オートキャンプ場は、地元にとっては待望の大型観光施設であり、地域住民が寄せる期待はまことに大きいものがある。私もオートキャンプ場の開業により観光客の誘致拡大が促進され、気仙地区はもとより、広く三陸沿岸地域全体の観光振興が図られるものと願うものである。
 そこでお伺いするが、施設の管理運営は具体的にどのような方法で行う予定であるのか、また、県としてどのように施設の利用促進対策に取り組んでいこうとしておられるのか、あわせてお伺いする。

〇山口観光課長 最初にオートキャンプ場の施設の概要と特徴ということであるが、陸前高田のオートキャンプ場は、アウトドアレジャーの普及とかあるいはオートキャンプ人口がふえておる、それから県内にこれをつくったことは、オートキャンプ場のネットワーク化をするということで、その中心になるものだということで、平成5年から工事をやっており、平成10年、今年度で完了することになっておる。このキャンプ場はテントサイト数が166サイトである。そのほかに宿泊施設としてはケビンが10棟、それからトレーラーハウスが5棟ということで、中心に管理棟のほかにサニタリーを設けており、浴室とか売店なども備えたものである。
 特徴としては、建物やテントサイトの段差の解消ということで、各施設が車いすも入れるような身障者に対応したバリアフリーの設備であるということ。それからもう一つは、あの地域はすぐ海が近くにあるので、そういう意味で、そこで使った排水等が直接流れるということが非常に問題ではある。そういうことで、現在、都市では大体20ppmぐらいのもので流していると思うけれども、ここについてはそれをかなり吟味して5ppmで出すような形で、いずれこういう高性能の浄化槽を設置したというのが特徴である。
 それで、管理運営の具体的な方法であるけれども、これは県が直営する方法とあるいは委託する方法と二つがあるが、これについては地元の観光団体との連携とかあるいは地域に密着した活動ができるということで陸前高田市に委託することにしており、協議した結果、同意が得られたことから陸前高田市に委託することとしたものである。
 このオートキャンプ場であるけれども、全国有数の規模と設備を誇っており、夏場を中心に多くの利用者が見込まれておる。そういうことから、委託するに当たっては、管理運営の一切を陸前高田市の自主的な経営にゆだねる独立採算方式ということでお願いしたいと思っておる。それで、陸前高田市においては、そういうことで県からの受託を前提にして、11年度予算でも予算措置をしているところである。
 それから、施設の利用促進対策であるけれども、オートキャンプ場の開業に当たっては、事前のPRが特に重要であるということから、県においては全国の専門誌とか、あるいはタウン誌というものを使ってPRに努めてきたところである。それから、首都圏で行われたアウトドアレジャーのイベントにも参加して、いろいろとPRしてきたところである。今後についても、県の広報誌とかあるいはインターネットを活用して、大いにPRしていきたいと考えておる。
 それから、ここのキャンプ場ができたので、11年度においては岩手県オートキャンプ大会などを考えたいと思っておるし、まだこれは誘致を検討しているところであるが、財団法人日本オートキャンプ協会というのがあるが、ここの全日本オートキャンプ大会というものを平成12年には誘致したいということで、今いろいろと検討しているところである。そういうことで、施設の知名度向上を図って利用促進に努めたいと考えているところである。

〇黄川田委員 御案内のとおり、全国でも有数のオートキャンプ場となる。であるから、管理受託者の陸前高田市と連携を保ちながらこれを大いに活用されるよう、さまざまな施策を展開されることを要望して質問を終わる。

〇伊藤委員 今の陸中海岸の重要な部分を担っておる陸前高田のオートキャンプ場の話が出た。そこで関連でお伺いするが、陸中海岸国立公園という名称を三陸海岸に変更しようという動きが従前からあったわけであり、これは大変大きな問題であると思うのであるが、沿線の市町村においてそういう動きがまた出てきた、何か方向性がついてきたと新聞で伺っておるが、これについてひとつ現在の状況をお知らせいただきたい。

〇山口観光課長 これについては、現在自然保護課が窓口になってやっており、新聞等を見ると、ことしの6月ころに宮古市長が中心になって、沿岸部の市長の会議があるけれども、その辺で何か決着をつけたいというお話を聞いておるけれども、ちょっと私の方の所管ではないものであるから、その辺はわからない。

〇伊藤委員 所管が違うのかもしれないが、観光という部分で売り出すということになると、もし名称変更が進む、あるいは変わることがあるとすれば、大変大きなインパクトのある問題であると思う。陸中海岸という国立公園の指定の経緯等からいって、陸中海岸でなければならないという地域の人たちもいるわけであるし、三陸国道あるいは三陸海の博覧会、あるいは世界の三大漁場三陸沖等々、いろんな三陸という分にシフトしてきた部分があり、やはり所管がどうあれ、こういった観光という部分には大きな部分であるわけなので、聞く場所を間違ったと言われればそれまでであるけれども、何か所管が違うからというお答えでは、ちょっと前向きでないのではないのかと思うのである。同時に、もしそう変わっていくのであるとすれば、私は平成7年6月の議会第1番目の一般質問で行ったけれども、そういう方向にあるのであれば、この際、四国4県に相当する岩手県において、車両の三陸ナンバーという運動を展開していった方が三陸海岸の全国的なアピールにもなるということで提言を申し上げた経緯もあるわけなので、その辺も含めて所掌が違うという部分ではなくて、もう少し大きな意味の観光という範疇に入るという部分で、ひとつお取り組みをいただきたいと思う。これについて部長から何かお考えあったら伺いたい。

〇小野寺商工労働観光部長 お話があった国立公園の名称については、ただいま課長が申し上げたとおりであるが、私ども観光を所管する部としては、これまでも委員おっしゃるように、三陸といった名前を使ってさまざまな観光宣伝もやってきた経緯がある。また、物産にしても、三陸わかめに代表されるように、三陸という名前を名称につけた物産振興といったような面でも取り組んできたわけである。これは、地元の合意形成というものがまず基本的には大切であり、その名称はそういう合意が図られて名前の変更につながっていくものであると思うけれども、私どもとすれば、どちらの方がより県外の方々を中心に知名度が高いかといったあたりが観光のメリットにつながることであろうと思う。
 したがって、三陸ということで、県外客がよりその地域を理解できるといったことであれば、観光面からはよりメリットのある方を中心にした観光のさまざまな施策の展開なり、あるいは紹介宣伝を行うということになると思われるが、三陸という名称のもとに展開することについては、これから名称が変わればそのとおりやっていくということで余りこだわるものではないけれども、いずれいい方法についてやっていきたいと思う。(伊藤委員「車両の三陸ナンバーについては」と呼ぶ)
 これは、また違う部で所管しており、私の部の方からは余り具体的なことは申し上げられないので御了承願う。

〇佐々木(一)委員 私も観光振興についてお伺いする。
 北東北3県連携事業をやって私が感じるのは、主に盛岡以西、以北、先ほどもお話にあったけれども、花巻から八幡平、十和田ということであるけれども、実は一関地方振興局で昨年県南と、それから宮城県北のルートをつくった観光ガイドマップを県境を越えてつくっている。宮城県の迫事務所は岩手県なら地方振興局の機能を持っていないから、これは非常に宮城県庁に喜んでいただいた。岩手県よくやってくれたということでやってもらったわけである。県内に4王国あるけれども、県南地方の場合は仙台松島--南三陸である。そして、平泉ルートという形での周遊型なのである。私もいろんなところに行くときに思うのであるが、例えば花巻から北はいいのである。ところが、花巻に来た方が南に戻るかというと、これは遠くから来る方は戻らない。であるから、どうもそういう施策がすべて--北を云々言っているわけではなくて、どうも我々の県南地方がこの中に入ってしまって、非常に空洞化現象にあると。実は、平泉などは御存じのとおり、韓国であるとか台湾であるとか、そういう外国の観光客も多いのである。この方々はみんな仙台から来るルートであり、この辺の県南の観光周遊のルートについてどうお考えか。これについては部長、次長も一関の出身であるし、2人とも一関の地方振興局長も経験されておるので、この辺の取り組みについてぜひ御見解をいただきたいと思う。

〇小野寺商工労働観光部長 県南地域の観光についてであるけれども、本県の場合、どちらかというと4号線を中心とした観光がこれまで太いパイプになってきたわけである。その県外からの入り口がまさに一関、平泉地方であった。今でも平泉は年間相当数--200万人ぐらいであると思うが、100万から200万人ぐらいの間で観光客が来ているような状況であると思っておる。したがって、この知名度は岩手県からいえば相当なものであり、委員おっしゃったように、外国人観光客にも利用されている状況にある。県南それから宮城県北を含めた広域観光ルートということの必要について、地方振興局が広域で観光宣伝をやろうということで取り組んだものであるけれども、県南というと県の外れということになるので、宮城県も含めた観光を振興すれば、それなりにまた地域の魅力といったものが倍になるといったことからやったわけである。今後とも振興局を中心として平泉だけではなくて、最近は工夫をしており、例えばフラワー観光で花を中心とした観光であるとか、いろいろなことをやっておる。また、東磐井の方にも観光資源があるわけであり、それらとの連携について新しい商品開発等もできると思う。私どもとしては県北だけに偏るということではなくて、県全体の観光振興をしているわけであるけれども、今後ともやはり地域の新しい魅力を発掘しながら、県南には県南--今、黄金王国というエリアでそこを名称づけてやっておるけれども、地域特有の観光といったものについては、これまで以上の指導あるいは宣伝に努めてまいりたいと思っておる。

〇佐々木(一)委員 山口観光課長にお尋ねする。
 先ほど折居委員の方から格安のパックの話があったが、今の部長のお話のように、私どもの地域というのはやっぱり仙台なのである。その仙台から来る方々という関係があるが、仙台にはそれぞれの旅行代理店の東北本部がある。この辺に積極的に岩手県南、そして南三陸の辺をPRするおつもりがあるかどうか、お願いする。

〇山口観光課長 岩手県には花巻空港があるけれども、やはり仙台空港も非常に大事である。それから、南からは仙台から例えば沿岸部を通って三陸の方にも行っているわけであるし、そういうことで私たちは今度の新しい計画の中に積極的に取り組んでいきたいと考えているところである。

〇佐藤(正)委員 今の佐々木委員の質問は大変いい質問で、また重大な質問なのである。ところが、褒められた小野寺部長は余り勉強してないからよくわからないのである。今、仙台まではいわゆる外国人観光客、なかんずく韓国、台湾のお客さんがうんと来ているのである。実はちょっと足を伸ばして県南に来れば、彼らが求めるものはたくさんあるのである。それは何かというと温泉、雪、スキー、大好きなリンゴがあるのである。こういうものがあるにもかかわらず、どうもそこらあたりの力不足というか、県の観光対応がまだ行き届いていない。そういう点でなかなか来ない。御案内のとおり、台湾ではおいしいリンゴはない。それから、韓国にも余りおいしいのはない。韓国には温泉がない。それから、台湾には雪がないから、もちろんスキーがない。韓国には、寒いけれども雪が余り降らない。であるから、非常にスキーというものを好むわけである。そういうものがふんだんにあるのが実は岩手県、しかも県南にあるということである。そこで、仙台周辺では、蔵王を含めて大々的に韓国語と中国語であらゆるところに案内板を書いておって、しかも観光案内人に韓国語ができる、それから中国語ができる人をたくさんそろえておる。そういう中で、観光客を誘致している。であるから、もうちょっとしたところで岩手県に十分に入ってこれるわけであるから、こういうものを含めてやっていかなければならない。知事は、盛んに岩手県から外国に発信すると、こう言っているのであるから、外国からすぐに岩手県に入れる状況というのはたくさんあるわけであり、チャンスがあるわけであるから、十分にひとつ御配慮を賜りたいと思うのであるが、そういう観光案内というか、観光対応というのはしているのであるか、そこをちょっと伺いたい。

〇山口観光課長 今現在、特に看板類というものについては--パンフレットはつくっておるけれども--まだ標識などについてはやっておらない。運輸省の補助事業で、北東北三県外客来訪促進計画というのを今度受けたので、今回の2月補正予算で、とりあえずモデル地区ということで盛岡周辺であるけれども、そこに横文字の標識をつけたいと考えておる。いずれ今、佐藤委員おっしゃったように、現在3万9、000人ぐらいが岩手県を訪れておるけれども、そのうちの大体6割ぐらいが東南アジアであり、その東南アジアの8割から9割が台湾である。そういう状況なのでその辺も踏まえながら、今後せっかく岩手県も外客の促進地域に指定されておるので、その辺も考えていきたいと考えておる。実際に、現在台湾の方々は松島に泊まって、それから岩手の方に来て、例えば鴬宿などに泊まって、山形の方に行かれるとか、いろいろとルートなどもあるし、そういうことでかなり来ている。それからあと、花巻温泉にも5、000人ほど来ておるので、その辺も含めてこれから少し考慮したいと思っておる。

〇佐藤(正)委員 余り自信なさそうな答弁であるけれども、自信持って、例えば我々議員が海外視察に行くであろう。日本語の看板を見るとほっとするのである。そんなことは当たり前のことである。盛岡に韓国語や中国語の看板があるか。ないであろう。今、韓国や台湾に行くと特に石川啄木なんか非常に人気があるのである。韓国語や中国語を書くのは簡単なのであるから、やっぱり看板ぐらいつけてやらなければ。それに増してできれば、ここにも在日の韓国人も中国人もいるのであるから、そういう人たちに通訳をお願いする、案内人をお願いするぐらいの配慮があれば、せっかく仙台空港まで来ているのであるから、1回岩手県に入れればずるずると岩手県でぐるぐる回して金を使わせればいいのであるから。あの連中は金を使うときは本当に使うのであるから、日本人みたいにしみったれではないから。そういうぐらいの配慮をしてやれば、まだまだ私は観光の余地があると思うのである。そこらあたりを考えていかないと、いつまでたっても岩手県は1回行ったけれども、二度と行きたくないなんていうのはみんな言っているのであるから。そんな汚名を返上して、大いにやっていただきたい。

〇斉藤委員 私は1点、大型店問題に絞ってお聞きをする。
 マイカル東北による巨大ショッピングセンター出店計画について、計画どおり、7万平米で出店すると、盛岡市と周辺町村に対して具体的にどういう影響が予測されておるであろうか。地元商店街との共存共栄、7万5、000平米の商業地域を計画している盛南開発との整合性、これが保たれないのではないのかと思うが、いかがであろうか。
 次に、郊外型巨大ショッピングセンターを認めてしまえば、今は盛岡市でも地元商店街が中心市街地活性化対策に取り組んでいるけれども、一方で巨大ショッピングセンターを認め、一方では中心市街地が崩壊をすると、こうなると税金のむだ遣いにならないかという気持ちがするが、この点どうであろうか。
 次に、3点目であるが、北上市のイトーヨーカドー撤退問題について、北上市のビブレ誘致の地元商店街、既存大型店への影響はどのように予測されていたであろうか。私は、イトーヨーカドー撤退の客観的要因の一つに、北上市のビブレ誘致の影響があると考えられるのであるが、県はどう考えているであろうか。

〇菊池商政課長 まず、最初のマイカル東北の関連であるけれども、具体的にどういう影響を予測しているかといった点であるが、御承知のように、今、盛岡市の前潟地区--ここがマイカルが進出しようという地域であるが、ここの地域については、現在土木部において、都市計画区域の見直し作業の中で、この地区の市街化区域の編入手続が行われているときであるし、また関連して、盛岡市においてもこの地区の商業用地の規模等について、地元商店街とのバランスあるいは消費者ニーズなどを踏まえた検討を行っている段階と聞いておる。こうした中で、マイカル東北のショッピングセンターがどのような形で進出するかというのは、もちろん大店法の届け出がなされていない状況なので、私どもその計画がどういう形になるのか明確ではないけれども、この前提でもって、仮にその影響ということを把握、検討すると、7万平米という規模であるとすれば、商圏も相当広いものになると予想されるところである。ちなみに、盛岡市の商店街組合連合会が昨年5月に影響調査を行っておるが、その結果によると、盛岡市内の商店街については、おおむね10%から20%、周辺の雫石町、滝沢村といったところも約10%の買い物客が減少するのではないかということである。
 2点目の地元商店街との共存共栄、あるいは盛南開発との整合が保たれないと思うがどうかということであるが、この問題については前段で申し上げたが、現在盛岡市において、地元商店街とのバランスなどを踏まえて、前潟地区の商業用地の規模等について検討が行われているという状況にある。
 三つ目の御質問にあった郊外型巨大ショッピングセンターを認めて、一方では地元商店街が衰退するという状況で、あるいは中心市街地の活性化といったものを進めるのは税金のむだ遣いではないかと、まちづくりも進まないのではないかという御指摘であるが、この点については御案内のとおり、県としては大型ショッピングセンターの出店については、ただいま大店法に基づいて、この法律の趣旨に沿って消費者利益の保護あるいは周辺中小小売業の事業機会の確保といった観点から、消費者等あるいは学識経験者等の御意見を踏まえながら、その規模等について必要な調整を行っているところである。
 また一方、中心市街地活性化については、空洞化の進行が見られる中で、この中心市街地の活性化というものが極めて重要であり、再びにぎわいを取り戻すということで、国、県を初めとして、地元市町村あるいは商業者等民間事業者も連携して取り組むことが重要であるということから、昨年法律が施行され、この観点に立って土地区画整理事業あるいは駐車場の整備、街路等の整備、あるいは住宅等の公共施設の整備という基盤整備なり商業の活性化ということについて、総合的な対策を取り進めるということで、法律に従って県としても取り組んでいるところである。
 いずれにしても、県としては、これらの施策は地元の消費者あるいは商業者の方々の意向を踏まえた地元市町村が、まずもって、どのようなみずからのまちづくりを進めるのかということが大事であるし、それを尊重しながら適切に対処してまいりたいと、そのように考えておるものである。
 最後に、北上のイトーヨーカドーの撤退問題に関連して、これはビブレの誘致が影響しているのではないかというお話等があった。ビブレを中心とした市街地再開発事業については、北上市では既存商店街への集客の核となるということから、周辺商店街の整備と相まって、商店街活性化に寄与することを期待しているということから事業を進めているものであるが、一方、この影響について、岩手県商工会連合会の中部広域指導センターが北上にあるけれども、ここが昨年6月に影響調査を行って公表されておる。その内容によると、出店予定地に近い北上市の商店街では約29%、また市内の既存大型店に対しては、約12%から29%の範囲で買い物客が減少するという予測を公にしているところである。
 なお、2点目のイトーヨーカドーの北上店の撤退については、ビブレ出店の影響があるのではないかということであったが、これについては北上市から入手した情報によると、あくまでもイトーヨーカドーの撤退は、過去6年間にわたる売上減少による赤字ということがその理由であると伺っており、ビブレの出店をその理由に挙げていることについてはコメントはないと伺っているところである。

〇斉藤委員 これで終わるけれども、私は今のマイカル東北の影響は極めて大きいと思う。盛岡市内の商店街で10%から20%、既存の大型店もそういう10%から20%規模の影響を受けるのである。市商連の調査には、こういうことも書いてある。10%売上減少になったらどういう影響を受けるかと、ほとんど赤字に転落すると。やっぱり10%の影響というのは赤字転落なのである。10%というのはいわば商店街が成り立たないという影響なのである。そういう点で私は、例えば盛岡市の去年発表された商業統計を見ると、年間販売額が1、577億円で、3年前と比べて7・4%減少している。特に、卸売は10・5%減少、小売はわずか2・6%しか伸びていない。こういう中で巨大ショッピングセンターが出店したら、本当に大打撃を受けざるを得ない。そういう点で、商工労働観光部長は、この1年間融資対策や観光対策など大変頑張ってこられたけれども、今の商業者はこう言っている。今なら盛岡のまちづくりは間に合うと。しかし、この巨大ショッピングセンターを許したら、自分たちの努力も盛南開発もうまくいかないのではないかというぎりぎりの声を上げているので、商業地域の調整については、これは県都の問題であるから盛岡市とよく協議をして、本当に地元商店街を守り、県都らしいまちづくりが進むように取り組んでいただきたい。
 そして、最後であるけれども、北上の影響調査は今お話あったように、イトーヨーカドーはビブレ出店で実に29・7%の影響を受けると。ただ、確かにこれまでも売上減少であったであろう。しかし、ビブレ誘致で3割近い影響を受けるといったら、これは成り立たないのは明白である。であるから、北上市がせっかくみずからが呼んだイトーヨーカドーに対して、また北上の中心地で今までの既存大型店に大打撃を与えるようなやり方というのは、やっぱり整合性がないのではないか。もう一つは、周りの商店街にも28・7%の影響である。そういう点で、今市内でもいろんな議論が出ているのは、私は当然であると思う。こういう点でも、大型店問題については本当に正しい調整が必要であると思うけれども、最後に部長にお尋ねして終わる。

〇小野寺商工労働観光部長 大型店問題であるけれども、マイカル東北の場合は、いろいろ今その準備行為がなされておるということであり、今後大店法に基づく届け出等が出された場合には、やはりそれらの詳細な中身によってさまざまな検討が加えられていくべきと考えており、そういう点からいろいろな資料をそろえてよく検討して、まちづくりに余りマイナスの影響がないようなことを指導してまいりたいと思っておる。
 それからイトーヨーカドー、いわゆる北上市の問題もそうであるが、県内にもやはりかつて駅前に立地した大型店等が、その後他の大型店との競合により売り上げが減少し、そして撤退をしているという事例が二、三見受けられる状況である。基本的には、大型店同士の競争ということにはなるけれども、それに密接な関連のある周辺中小商店街というものがいろいろな形で影響を受けるわけであるから、これも今予測数値ということではあるけれども、今度中心市街地に関する新しい制度ができたわけであるから、その法の趣旨にのっとり、これ以上の空洞化といったものを避けるという観点から、中心市街地の活性化についても取り組んでまいりたいと思うし、大型店との望ましい共存といったような観点から、さまざまなまちづくりについて積極的な指導をしてまいりたいと思う。

〇三河委員長 ほかに質疑ないか。

〇小野寺委員 新年度の商工費は従来にも増して大幅にふえて、県予算の9・8%ということになっているが、その中身を見ると非常に貸付金が多くなっている。限られた県予算の中で、ほかの事業を抑えてこういった貸付金に非常にたくさんの予算を充てているということに関して、部長はどのような所感をお持ちか。本来、民間の金融機関によるべきところではないかと思うのであるが、従来と違う点について、部長はどのような所感をお持ちか。
 この貸付金の中で、197ページの信用組合経営基盤強化資金貸付金とあるが、これは、信用組合一般に貸し付けることによって、民間の企業を支援していくということなのか、それとも特定の信用組合に対してのものなのか、お願いする。

〇小野寺商工労働観光部長 当部の平成11年度の予算についてであるけれども、委員お話があったとおり、11年度は貸付金の大幅な予算措置といったようなことを盛り込んだわけであるけれども、これはやはり何と申し上げても、この低迷する景気といったものに対する配慮がまず第1点である。今年度いわて緊急経済対策資金というものもつくったが、これの利用の動向を見ても、やはり資金繰りの困難な中小企業が今資金を必要としているという一つの証左であろうと考えて、その後国の特別保証も出てまいったけれども、金融制度として県の制度金融の充実が求められているという判断をした上で、これら制度資金の充実を図ったところである。そのほかにも新しい国の政策等も取り入れたものが、工業振興策の中でまだ芽の段階ではあるけれども、そういう前向きと申すか、そちらの振興の方の観点からの予算等も漏らさず、できるものについてはできるだけ予算に盛り込んだところである。そういうことであるけれども、やはり基本的には民間金融と公的金融制度といった大きな金融制度のあり方論になろうかと思うけれども、やはり民間でもってすべての金融策が万全ということでもないのが、日本の制度金融のこれまでの経緯である。したがって、国の政府系金融機関あるいは各県の金融制度といったものがそこにあり、それなりの役割を果たしておるわけである。もちろん、その中身は民間とはまたいろいろ諸条件が、県等の公的金融制度は、例えば利率にしても担保にしてもさまざま条件が違う。そして、なるべく中小企業に利用しやすい制度といった点では、公的金融制度であるから、その部分は民間よりも借りやすいものというふうに運用をしているつもりであるし、役割がそこにあるのではないかと考えている次第である。
 それから、岩手信用組合に係る予算措置であるけれども、これは、県が指導監督する岩手信用組合について、経営上の困難な状況に対して、平成6年度から必要な資金について県が措置し、それから民間の金融機関にも御協力をいただいて、この信用組合の再建に向けて予算措置し、そして指導している一環の予算である。

〇三河委員長 ほかに質疑ないか。

〇谷藤委員 小野寺商工労働観光部長におかれては、この3月をもって県を勇退されると伺っておるので、この機会をおかりして一言御礼を申し上げたいと思う。
 小野寺商工労働観光部長は、昭和36年に当時の工業指導所に勤務されて以来、およそ38年間の長きにわたって、県政のさまざまなセクションにおいて、その幅広い見識と卓越した指導力を大いに発揮された。県勢の発展に尽力をされたことに、本当に心から敬意と感謝を申し上げるところである。
 平成7年には商工労働部次長、そして平成9年には企画振興部次長に就任されたが、商工労働部次長時代には、大店法の規制緩和に対応し、魅力ある商業集積形成のための各種事業の展開や商店街の情報化の推進に努めるとともに、内発型工業の振興を図るため、新規創業支援や企業の技術開発力の強化、さらには産業業務団地、県北振興の拠点工業団地の整備など、本県商工業の基盤づくりに積極的に取り組まれてまいった。また、企画振興部次長時代には、新エネルギービジョンの策定のほか、盛岡駅西口県有地の活用方策や花巻臨空都市構想の取りまとめに向けて道筋をつけられ、さらには東北で2番目となった気仙広域連合の実現に手腕を発揮された。
 そして、平成10年には、商工労働観光部長に就任され、大規模小売店舗立地法、改正都市計画法、中心市街地活性化法のいわゆるまちづくり三法の制定など、構造的な規制緩和の流れに対応し、魅力ある商店街整備のための各種事業の推進や、市町村の中心市街地活性化への取り組みの指導に鋭意取り組まれた。そのほか、景気が低迷する中、中小企業の経営環境の悪化に対応して、国に先立って無担保の緊急経済対策資金を創設するなど、思い切った対策を講じられるとともに、内発型の工業振興を図るため、先端的な研究開発の推進、ベンチャー企業の育成など、本県の商工業振興施策の効果的推進に努められた。
 また、物産・観光においては、オートキャンプ場等の観光基盤の整備を進める一方、全国菓子大博覧会に際しては、実行委員長として運営に尽力するとともに、ブランドiや東京銀座にいわて銀河プラザ、福岡市に全国初の試みである北東北3県合同事務所みちのく夢プラザの開設など、新たな情報発信拠点の整備を進め、物産・観光の振興に力を注がれた。私もみちのく夢プラザの開設のときには同行させていただいたけれども、初めての北東北3県の合同事務所ということで、非常に調整する場面が多くあったように見受けた。そういうことで非常に忙しいときを過ごされ、食事をするタイミングを失ったというぐらいの大変ハードな中で、先頭を切って頑張っている姿を目にした。その努力に対して敬意と感謝の気持ちを持ったものである。さらに、労働行政においては、いわて技能フェスタの開催による技能の普及、向上に努められた。
 以上、小野寺商工労働観光部長の長年にわたる県勢発展に対する御功績の一端を述べたが、景気の低迷、雇用情勢の悪化、高度情報化の進展、さらには規制緩和の大きなうねりなど厳しい情勢が続く中で、豊富な知識経験を生かし、的確かつ粘り強く対応し、今後の商工労働観光行政の方向を形づけていただいたものと確信しているところである。ここで改めて、長年にわたる御尽力に対し、敬意と感謝の意を表する次第である。
 小野寺商工労働観光部長におかれては、今後新たな道に進まれても健康に十分留意され、なお一層の御活躍、御発展をお祈り申し上げ、お礼の言葉とする。県庁生活を振り返って、御感想をお聞かせ願いたいと思う。

〇小野寺商工労働観光部長 ただいまは過分のお褒めの言葉をいただいて、大変ありがたかった。
 年数だけは38年ということになって、しかも商工労働観光の部分が大体30年であるから、8年間はそれ以外の部局で過ごしたことになる。早い話が商工労働観光の玄関番みたいなことを長いことやってきたわけであるけれども、振り返ってみると、やはり何か夢中でやってきたのではあるけれども、なかなか思うようにいかなかったというのが本心である。特にも、こういう経済情勢にあっては、まだ雇用などの面では非常に厳しいものがあるわけであり、私とすればまだ本当にやり尽くせないというか、やり残した、あるいは力を十分に発揮できなかったというところが多々あり、そういう面では大変御迷惑をかけたと考えておる。しかしながら、私どもの部にもそれぞれ経済問題等に関しては精鋭がおり、先ほど委員がおっしゃられたほとんどの仕事は、実は課長以下がやった仕事であり、私はそばの方で見ているような状況であった。そういう状況であるから、これからも商工業、観光、労働すべての分野にわたって、さらに岩手県の県勢の発展のために十分力を尽くす布陣となっておるので、私も安心して勇退をすることにしたわけである。
 今後とも、委員の方々におかれては、私どもの部に対する温かい御指導を従前以上に賜りたいと存じておるし、今後とも私どものさまざまな施策についてもいろいろと御示唆をいただければ大変ありがたいと感じておる。私もそういう意味で県政からは離れても、直接的ではないかもしれないが、岩手県政に対して何がしかの尽力ができればいいと考えており、今後ともそういう面では私に対してもいろいろな御指導を賜るよう、お願い申し上げて感想にかえさせていただく。どうもありがたかった。(拍手)

〇三河委員長 これで商工労働観光部関係の質疑を終わる。
 この際、昼食のため午後1時まで休憩する。
   午前11時53分 休 憩
 
   午後1時4分 再 開

〇菊池副委員長 休憩前に引き続き会議を開く。
 次に、医療局長から医療局関係の説明を求める。

〇佐藤医療局長 平成11年度岩手県立病院等事業会計予算について御説明を申し上げる。
 予算の内容を御説明申し上げる前に、事業運営に当たっての基本的考え方について若干申し上げたいと存ずる。
 御案内のとおり、病院事業については、本格的な少子・高齢化社会の到来や医療ニーズの多様化と高度化など、近年の社会環境の変化によって、医療システムの構造的な改革が求められているところである。
 国においては、このような状況に耐え得る医療システムを構築するため、医療供給体制、診療報酬体系及び医療保険制度の抜本的な改革に向け、医療機関の機能分担と連携の推進、薬価制度の改革、さらには新しい診療報酬体系の構築などが検討されており、今後の病院事業の運営についてはさらに厳しいものになると予想されるところである。
 現在策定中の新しい経営計画については、このような医療を取り巻く環境の変化に適切に対応するため、将来を見通した柔軟な発想と新たな視点に立ち、県営医療システムの確立を推進するものである。
 平成11年度の事業運営に当たっては、以上のような考え方に立って、創業の精神を堅持しつつ、新たな時代に適応した医療サービスの提供を目指して、安定した経営基盤の構築と効率的、効果的な県営医療システムの確立に向け、職員一丸となって取り組んでまいる所存である。
 それでは、議案の説明に入らせていただく。議案その1、49ページをお開き願う。
 議案第13号平成11年度岩手県立病院等事業会計予算について御説明申し上げる。
 まず、第2条の業務の予定量であるが、収益的収入及び支出については、病床数を6、322床と定め、年間延べ患者数を、入院では194万8、000人、外来では458万4、000人と見込むものである。
 次に、資本的収入及び支出であるが、病院建築工事のうち、一戸・北陽病院新築工事については、11年度の竣工に向け、平成10年度に引き続き工事を進めようとするものであるし、大迫病院新築工事については、工事費など所要の事業費を計上したものである。また、釜石病院増築工事については、現施設の狭隘化対応としてそれぞれ診療機能の充実も図りながら、平成11年度の竣工を目指して整備しようとするものである。さらに、医療器械の購入費としては28億8、300余万円を予定しているところであるが、その主なものとしては磁気共鳴画像診断装置等である。
 第3条の収益的収入及び支出と、50ページに参って、第4条の資本的収入及び支出の具体的な内容については、後ほど予算に関する説明書により御説明申し上げる。
 次に、51ページに参って、第5条の債務負担行為であるが、これは、工期が翌年度にわたる江刺病院附帯設備改修工事について、債務負担行為の期間と限度額を定めようとするものである。
 第6条の企業債であるが、病院建築工事や医療器械購入などの財源となる起債の限度額を173億7、600万円とするほか、その償還方法などを定めようとするものである。
 第7条は、一時借入金の限度額を123億円と定めようとするものである。
 第8条は、議会の議決を経なければ流用することのできない経費を定めようとするものである。
 第9条は、薬品、診療材料などの棚卸資産購入限度額を定めようとするものである。
 52ページに参って、第10条は、重要な資産の取得であるが、これは、購入予定価格が1件7、000万円以上の医療器械の取得である。
 それでは、予算に関する説明書の437ページをお開き願う。平成11年度岩手県立病院等事業会計予算実施計画について御説明を申し上げる。
 初めに、収益的収入及び支出についてである。
 まず、収入であるが、第1款病院事業収益は1、102億1、100余万円で、10年度の最終予算と比較すると20億300余万円、1・9%の増加である。
 第1項医業収益は963億6、000余万円で、1目入院収益は542億4、200余万円、2目外来収益は361億5、300余万円である。3目その他医業収益は59億6、400余万円で、その主なものとしては、救急医療等の一般行政経費に係る一般会計繰出金、健康診断等の公衆衛生活動収益等である。
 第2項医業外収益は138億5、100余万円で、主なものとして、3目負担金交付金126億3、500余万円は、高度医療等の不採算経費に係る一般会計繰出金である。438ページに参って、5目その他医療外収益6億9、600余万円は、不動産貸付料等である。
 次に、支出についてであるが、第1款病院事業費用は1、106億7、600余万円で、10年度の最終予算と比較をすると11億600余万円、1・0%の増加である。
 第1項医業費用は1、048億6、300余万円で、その主なものとしては、1目給与費553億5、700余万円、2目材料費352億9、400余万円、3目経費105億6、900余万円、5目減価償却費29億6、700余万円などである。
 第2項医業外費用は56億5、600余万円で、その主なものとしては、1目の企業債等に係る支払い利息46億7、600余万円等である。
 3項特別損失は1億5、200余万円で、一戸及び北陽病院の引っ越し費用等である。
 以上、収入の合計額1、102億1、100余万円に対して、支出の合計は1、106億7、600余万円となり、収入と支出の差し引きでは4億6、400余万円の純損失が見込まれるものである。
 次に、資本的収入及び支出について御説明申し上げる。440ページをお開き願う。
 収入の総額は209億6、500余万円であり、その主なものとしては、第1款資本的収入の第1項企業債173億7、600余万円で、これは、さきに業務の予定量で御説明申し上げた一戸・北陽病院新築工事等の病院建築工事や医療器械の購入費などに充てるためのものである。
 第3項負担金35億8、800余万円は、企業債償還等に係る一般会計繰出金である。
 次のページに参って支出であるが、その総額は254億9、700余万円である。その主なものとしては、第1款資本的支出の第1項建設改良費183億2、900余万円であるが、その内容は、2目建物費145億4、100余万円、3目医療器械費28億8、300余万円などである。
 第2項企業債償還金は66億1、000余万円、第3項投資は、医師等に対する奨学資金の貸付金で6、400余万円を計上しておる。
 第4項開発費は、情報処理システムなどの開発費で4億9、200余万円である。
 なお、懸案となっておる磐井・南光病院移転用地問題については、地元市とも協議の上、9月議会に間に合うよう、候補地を絞り込めるように努力をしたいと考えておる。
 442ページ以降の資金計画、給与費明細書、債務負担行為に関する調書、予定貸借対照表及び予定損益計算書については説明を省略させていただく。よろしく御審議をいただくよう、お願い申し上げる。

〇菊池副委員長 ただいまの説明に対し質疑ないか。

〇佐藤(正)委員 まず委員長にお伺いするが、先般、私、総括の際に三河委員長に資料の提供を求めていたわけである。一つは磐井病院の平成9年に内定した前堀地区の科学的な調査資料、もう一点は、これは委員長の権限ではないが、委員長から議長あるいは医療局を通じて、一関の浅井市長の調査したところの科学的な根拠の資料を求めていたが、この点についていかがであろうか。

〇菊池副委員長 佐藤正春委員に申し上げるが、3月3日の当委員会において、当職に要請があった県立磐井病院の建設候補地にかかわる科学的なデータの件であるが、同日、医療局へ佐藤委員の発言の趣旨を伝えておるので御了承願う。
 それから、浅井市長が反対する科学的データであるが、当職には対外的に本件のようなデータの作成や提出を求める権限はないので、申し入れはいたしておらないので御了承を願う。

〇佐藤(正)委員 三河委員長あるいは副委員長も御存じのとおりであるが、委員長には権限がないが、議長を通じてあるいは医療局を通じてこれは提出を求める、協力を求めるということはできるわけであるから、次回にどなたかのそういう問題があったら、そういう御配慮を賜りたいと、こう思う。
 それではお伺いする。
 私はさきの総括質疑の際、県立病院の建設計画と着手について副知事から答弁をいただいておる。
 そこで、まず医療局長に伺うが、知事は演述の中で、要約すると、県民の健康で安心できる暮らしを支える質の高い保健医療サービスの提供、そして県内どこに住んでいても安心できる保健医療体制の整備を進めていく必要があると考えている。そして、この県政を進めるに当たっては、決断と実行の政治姿勢のもとに進めていきたいと、こう述べておる。
 医療局長、あなた自身とは申さないが、医療局長がこの磐井病院問題にかかわってから4人かわっている。ところが医療局は、ただいまの医療局長の話だと、一丸となってやりたいと、今冒頭にこういうお話があったが、この磐井病院問題については知事と正反対のことを一丸としてやってきた。
 そこで、その責任者であるところの今次医療局長の御見解をまず伺っておきたい。

〇佐藤医療局長 知事と私の姿勢が違うというお話であったが、私も知事の意見というか姿勢を受けて、やはり決断と実行と、そして県民の保健医療サービスの提供ということで一生懸命やってまいってきているつもりであるし、これからもそうありたいと思っておる。

〇佐藤(正)委員 医療局長はそうだけれども、医療局全体は今までそうではなかった。せめてあなたのときも決断と実行--いまだかつて3カ所も場所がくるくる変わったところはない。今度こそ、決断と実行、知事と同じにぜひやってほしい。
 そこで、ただいま申し上げたところの予定地に関する科学的データについてである。
 県立磐井病院の建設地となっている前堀地区について、県医療局はその建設にかかわる科学的な調査等を実施していると思うが、その結果についてお示し願いたい。
 また、前堀地区について、一関市長が白紙撤回を公約としている以上、一関市でも一定の科学的なデータを根拠としていると思うが、県医療局のデータと一関の浅井市長のデータの相違点を明確にお示しを願いたい。
 次に、さきの予算特別委員会総括質疑の際の建設予定地決定の期限に関する私の質問に対して、ただいまもそうであるが、千葉副知事から、9月の補正予算に計上したい旨の答弁があった。建設予定地については、前堀地区以外に三、四カ所とか八ケ所とかと候補地を検討中と伺っておる。それらの場所はどこどこで、それらの検討状況はどうなっているであろうか、お示しを願いたい。
 次に、確約書についてであるが、前堀地区の地権者と知事との間で取り交わした確約書に関して、さきに私から、今この地域に対して大口スーパーとかが買収に来ていると、そこを売ってもよいかと、こういう質問に対して千葉副知事からは、確約書の意義については答弁があったが、私の質問、いわば土地は確約書があるがそれはほかに売っていいのかと、どの程度の拘束力があるのかということを伺ったが、この答弁がなかった。そこで、そういうことに詳しい医療局長に伺う。
 次に、医療審議会についてであるが、同じくさきの総括質疑の際に、千葉副知事から、県立病院の立地場所について、医療審議会での審議の対象になっているような答弁があった。これは間違っているのではないか。これまで、県立病院の立地場所が二転三転した例はないと思うが、一体、だれが建設場所を決めているのか。歴代のあなたの先輩の医療局長がそれぞれの判断で決めてきたわけなのであろうか。
この点について、私も医療審議会にいたけれども、こういうようなことだという報告はあるが、立地や何かは全然決めない。
 それから、現在の磐井病院の現状認識、これは本当は一番大事である。現在の県立磐井病院の老朽化、狭隘化の実態について、私が直接現地に行って聞き取りしたことを先般私は述べたが、医療局としてこうした磐井病院の実態をどう認識しているのか、この点について説明を願いたい。

〇佐藤医療局長 まず、県立磐井病院の建設予定地に対するデータのことであるけれども、磐井・南光病院候補地の白紙撤回に係るいわゆる科学的データの相違点について、浅井市長の方に問い合わせをしたところ、前堀地区は水害に対する市民感情の高まりもあり、適地とは思えないので白紙撤回を表明したと。白紙撤回の科学的データはないという話があった。したがって、データの相違点についてはお示しをできかねるので御了承願いたいと思う。
 なお、医療局において調査した結果については、管理課長から説明させる。
 それから、確約書についてのいわゆる他の大型スーパーなどに売ってもいいかということであったが、土地譲渡の確約書は県への譲渡の意思を確認したものであり、売買契約の前の段階である。仮に地権者がほかに売却したいということであれば、県としてはその意思を拘束するまでにはなかなか至らないものと考えておる。
 言ってみれば、お見合いの相手方がほかの人と結婚したということで、大変残念なことにはなるが、しかし余りおつき合いの期間が長いとこうなるので、なるべく早く決着をつけなければいけないものと、こう考えておる。
 その他のことについては、管理課長の方から答弁をさせる。

〇長澤管理課長 それではまず最初に、医療局において調査した結果について御説明をする。
 調査項目がいろいろあるけれども、特に前堀地区の安全性について説明したいと思う。
 この調査は、平成8年の9月に前堀地区に内定した際の諸条件を再確認する意味で調査したものである。
 前堀地区の安全性については、大きく分けると二つの観点から調査したものである。
 御案内のとおり一関遊水地事業、これの堤防の外側の水とそれから堤防の内側の水、大きくこの二つに分けられるけれども、これについての内容である。
 まず一つは堤防であるが、平成5年に暫定25・5メートルで概成しておる。これはアイオン台風に対応し得るものと言われておる。また、63年以降、目立った被害はないということが調査結果でわかっておるが、63年には第1次堤防、23・5メートルであるけれども、これが完成しておる。さらに、この流水調整は北上川のダムの流水調整とあわせてやっているものであり、いわゆる5大ダムが完成しておる。現実に、アイオン台風と同じ雨量が昭和56年--この時点はまだ御所ダムは完成しておらないけれども、同じ雨量が北上川流域に降っておる。この時点で狐禅寺の水位は当時と比べて2・38メートル減少しておる。
 このように、ダムと遊水地の堤防の効果、この二つでもってアイオンそれからカスリンは27メートルであるけれども、この2メートルを加えると大体これに対応できるものではないかと見ておる。
 それから、もう一つ川に関して磐井川がある。磐井川では土石流のはんらんでカスリン、アイオンで被害があったのではないかという人もある。これについては、上流において砂防ダムあるいは土どめ工事の地すべり防止事業が進められておる。そして川幅が当時と比べて、特に市街地であるけれども、70メートルから140メートルと2倍になっておる。
 ということで、調査の結果では心配ないと考えられるとなっておる。
 それから、堤防の内側の水であるけれども、調査時点では、いずれ豪雨等の排水については建設省で揚水機による強制排水を考えておるということで終わっておるけれども、この時点では能力と整備時期、これは明確になっておらなかった。ただ、昨年着工して、能力については毎秒7トンの能力と、それから完成時期については平成12年度となっておるので、昨年8月の雨で堤内の浸出があったけれども、これについては発生しないものと建設省の方では推定しておる。
 それから、堤防についても、場所によっては29メートルのところもあるし、27メートルで完成しているところもある。いずれ、この進捗状況を早めていただきたいと思うが、このようなことから、内定の際の市から推薦いただいた3カ所のうちでは、これ以外の諸条件も考え合わせてベターであるものと理解して判断したものである。
 次に、県立病院建設予定候補地の検討状況であるけれども、移転候補地については市の方で候補地の検討委員会を設置すると聞いておる。この検討委員会設置まで候補地を受け付けると聞いており、医療局にはまだ具体的に報告はない。
 それから、予算特別委員会総括の副知事の答弁であるが、副知事が答弁したのは、計画がいつ、どのように決定したのかという質問に対して、県立病院等事業経営計画を決定していく過程で、県立病院の経営等の審議を所管している県営医療審議会--医療審議会は二つあるけれども、この場合は県営医療審議会にも諮ったということを申し上げたものであり、この事業経営計画の中には病院の整備計画もあるけれども、具体の場所等は明示していない。したがって、審議会においても委員御指摘のとおり、ここの病院の立地条件までは審議はしていない。
 それから、建設場所については医療局長の責任で決めているものである。
 それから、県立磐井病院の現状認識であるけれども、やはり候補地、内定地区についていろいろな意見が出てまいった。昨年の9月、病院の方に行っていろいろ聞き取り等をしておる。予算特別委員会総括での委員御指摘の磐井病院の老朽化、狭隘化については御指摘のとおりと思っておる。駐車場もそのとおりである。病院ではあと30台ぐらい収容できるスペースがあると言っておるし、病室は臭い、これは特に夏場であるが、空調が不十分ということもあり、そういうことである。本館が一番古くて昭和41年ということであるが、この本館部分についても増築する際、給排水等の全面改修はしておる。しかし、それ以後時間が経過しており、劣化が進んでおる。
 いずれ、診療に支障がないように個別には対応してまいりたいと考えておるが、早期に着工したいと考えておる。

〇佐藤(正)委員 わかった。それではもう一度聞くが、科学的な根拠、これは今医療局の方は伺った。そこで、一関市長の方に問い合わせたところが、雨が降って水が出たので、水の反対であってデータはないということである。これもちょっとおかしいのではなかろうか。医療局では何回も医療局長に聞くと、今まで地元の意向が、地元の意向がと言ってきた。その地元の意向の一番大事な部分というのが、場所を決定することである。その場所の一番重要な部分であるところの科学的なデータを、なぜとれないのであろうか。普段は地元の意向、意向と言いながら、一番大事なものがなぜとれないのか不思議でしようがない。それをひとつ伺いたい。
 それからもう一つは、現在、候補地を選定しているのでよくわからないということであるが、結論から言うと、ただいまも医療局長から話があった、先だっては副知事からあったが、9月の補正に入れたいということになると、順序を追っていくとせいぜい夏ごろまでに決まらなければだめである。夏というのは7月か8月である。あと4カ月、5カ月しかない。その間に検討委員会をつくって検討するという前堀以外の地区が絞り込めないときには、自動的に内定したところの前堀地区に決定するということになるであろう。このことについてひとつ確認をしておきたい。
 それから、今、地権者と知事との間で確約したことについてこれはどうなのだということを聞いたら、なかなかわかりやすいことで医療局長の説明があったが、地方自治体一関が、土地の問題を頼むと言って、確約をとるだけで1年半かかった。1年半かかったのが、拘束できないから、余り時間が長いから壊したというのであればしようがないと、それでいいであろうか。そういう答弁でいいのであろうか。1年半かかってやっと今ここまで来た。病院自体も3年おくれている。福岡病院の工藤篤先生には、おかげさまだと言われている。一関がもたもたしているからと言われている。3年もおくれている。そして今やっと決まった土地を、そんなに県が熱心でないならほかに売ると、それでいいのであろうか。もう一回答えてもらいたい。
 それからもう一つ、老朽化については私の言ったとおりだということであるが、1点だけ申し上げておくが、実は器械が故障してこの間も事故があった。これは御存じだと思うが、慌てて胆沢病院に行ったということである。事故までいかないまでも、例えばCTの検査なんかだと前の日に行って注射して、あした何時に来てもらいたいというので行くと、器械が動かないからきょうは帰ってもらいたいと言われる。事例が2件ある。毎日行って調べているのであるから、幾らでもぼろが出てくるのであるから。
 以上の点について、もう一回お答え願う。

〇佐藤医療局長 科学的データということについて、ないのはいいかということであるが、ないものはなかなかとれないということで、これは御了承いただきたいと思う。
 それから、今9月補正に入れたいということで、タイムリミットとして夏ごろまで出ないと間に合わないのではないかと。私もそう考えて、一関市長の方には何とか7月末あたりをめどにこちらの方に上げていただけないかと話はしておる。
 それから、もし上がってこなければということかと思うが、私どもは前堀地区よりすぐれているところがあったならばお願いをしたいということの文書を差し上げておるので、もし前堀地区以外のものがあればそれが出てくるであろうし、なければ前堀地区ということに考えておる。
 それから確約書の件で、大分長過ぎるのではないかということであるが、確約書は長くても短くてもやっぱり確約書であるので、基本的な考え方については先ほど申し上げたとおりである。
 それから、磐井病院のいわゆる老朽、狭隘化の現状については、先ほど管理課長が説明したとおり、私もなるべく早くこれを解消したいものと、こう考えておる。

〇佐藤(正)委員 わかった。結論から言うと、9月に予算を組むのに、これ以上のところがあったならばそれは考えるけれども、なければないでしようがないし、決めるよりしようがないと。もう3年もおくれているのであるからこれは当然である。ただ、根拠となるいわば科学的な--今、県のは報告を受けた。今の課長の説明だと、まず大体間違いがないということである。ほとんど前堀地区で間違いないということであるが、これはこれで私も賛成したことに安堵しているわけである。私も、知事とあなた方のことに賛成したわけであるから。これを聞いて安心したが、9月までに決めなければならない一番大事なデータ、これが一関ではないとなると、これは何を根拠に決めるのかということになる。御本人は白紙撤回の根拠としてあそこはだめだと言っているのであるから、だめだという科学的な根拠はないとなれば、何を対象に決めなければいけないかと、こういう問題になってくるわけであり、これは一関市長のお考えだから、どういう考えでそういうことを言ったのか。一関の市議会の答弁では、雨が降ってこれは大変だと。水が出て大変だと、であるから、賛成が反対に回ったんだと、こう言っている。そういうだけで、それを裏づける実証するところの根拠は何もないということになると、対比するものがないわけであるから、今、私が申し上げたここが一番大事なのに、なぜそれを要求しないのかと言ったら、ないものはない、しようがないと、こう言う。そんなことではなく、どうこれをお考えになっているのか。9月までに出せというのか、つくれというのか、これはおかしいのではなかろうか。この点もう一回伺いたいと思う。
 あとの点については、これは例えば知事との確約書、これは医療局長、そんな軽率なことを言って地主に聞かれたら大変である。私は秘密にしておいてあげるからいいから。地主に聞こえたら大変なことになる、そんなことが聞こえたら。よしと、局長がそんなことを言っていた、我々から確約書をとってそういうことを言うなら、もっとほかに、高いところに売るとなったらどうするのか。今、坪2万円ぐらいで交渉している。そんなあやふやなことを言ったら大変である。それは、答弁は要らないから。さっきの例のデータについて答弁願いたい。

〇佐藤医療局長 一関市長は科学的データもさることながら、市民感情の方を優先してそうお話しされたと思うが、私の方ではいずれ9月補正の段階に間に合うようにということで用地の選定についてお願いしておるので、その場所が仮にほかのところが出てきたとした場合には、それに理由をつけて報告をしてもらえるということであるので、その時点で比較検討をしてまいりたいと、こう思っておる。

〇菅原委員 私も両磐圏域の一住民である。磐井病院の問題について関心がある。
 まず、先ほど医療局の前堀地区に病院を建設するという科学的根拠の説明があったわけである。これが昨年の大洪水でその科学的根拠は全く崩れた。あれがなければ、建設が進んでおったかもしれないが、いわゆる科学的根拠がなくなった。
 そこで、医療局長にお伺いするが、医療局長は、一関の前堀地区に住宅を建てたいと思っていたと。水害が来たと。心配だと。やっぱり別な場所、安全な場所に家を建てたいと、そう思うであろう。いかがであろうか。まずそれが1点。
 2点は、いわゆる大洪水になった。そこで、ポンプをつけるということである。いわゆる洪水の不安があるからポンプをつける。水害でもいい、ほぼ同じようなものだ。水害が心配だからポンプをつけるということである。なぜ心配のあるところに病院を建てなければいけないのか。前の発想は、そういう心配があるから、1階の部分は柱だけにして、いわゆる水が来ても心配ないところから設備をするという説明が実は医療局からあった。そうかという話であったが、現実にああいう大きな災害が発生したと、こういうことである。ポンプをつけるが、ポンプをつけるとすれば、電力あるいは動力、ウエルダー、発電機、そういうものをつけると思うが、絶対に故障がないという科学的保証があるのであろうか。私はないと思う。

〇佐藤医療局長 前堀地区の科学的根拠について崩れたのではないかというお話であるけれども、この前の雨は、堤防の中の囲まれている部分について、いわゆる排水機がないためにそこの中に降った雨がたまって、それが前堀地区の水がついたという現象になったわけである。したがって、現在はポンプがついていないものであるから、当然そういう結果になったものであって、ポンプが平成10年の9月に着手しており、平成12年には完成がされるということであり、これがつくと建設省ではまず大丈夫ということである。
 それから、私が家を建てる場合にそういう場所に建てるかと、こういうことであるが、そこの値段であるとかそれから交通の利便であるとか、--何せ100年に1回といったような、仮にそういうのがあったとしても、そういうのを総合的に検討した結果、やはり建てるかどうかということについては、その時点で、その時々で、私も判断をするものであると。人間がつくったものであるから、絶対のものということはないかもしれないけれども、やはり今までの人は多くの文化遺産をつくりながらそれを利用して生活をしてきているということであるので、そこら辺についてはより安全度を高めたものを確認した上でそういった建設物、特にも公共の施設であるから、そういったものを確認をしながらやっていかなければならないものと考えておる。

〇菅原委員 わかったが、いわゆる磐井病院は両磐圏域の中核病院になるわけである。大切な病院である。東磐井郡の住民も大いに利用する病院である。ところが、昨年のああいうような水害があって、なぜ心配のあるところに病院を建てるのかという、そういう声が大きい。これはだれしもそう考えると思う。安心して入院し療養できるのかという心配が出てくると思う。それから精神的な不安、それも実は大きいのではないかと思う。もっと安全なところに選ぶべきだと、そう思うが、局長も安全なところがいい、適地があればそこを考えるという話であるし、そのとおりだと思うわけであるが、大きな病院を建てるということは百年の大計である。もっともっと真剣になって物を考えるべきではないかと、そんな感じである。期限をつけて、それまでに用地の選定ができなければ前堀地区に建てるというのは早急な考えではないのか。確かに磐井病院の老朽化は私も行っているからわかる。もっと大きな物の考え方で事を進めるということ、これは県民のためではないだろうか。私はそのように思う。
 それから、さっき科学的なデータの中で上流にダムができたと。ダムは、確かにできておるが、いわゆる洪水調整をしているわけであるが、あのダムができたために川崎村の地域が水害で被害が大きい。あのダムがないときは一気に流れてすっと引いた。ところがダムができたために、調整をするために、冠水した水田がみんな被害を受ける。前は1日か2日で水がなくなった。そういう問題が実は発生している。これは地域の方々は皆わかっているはずである。佐々木委員だってうなずいているからわかるはずである。そんなの科学的根拠ではない。全くダムができたために川崎地区の方々が迷惑している。であるから、おたくの方も、科学的根拠と言ったって難しい。であるから、私は期限はそういうお話があったけれども、性急じゃなく、もっともっと物事を真剣に考えて絶対安全だと、そして地域住民から合意を得られる地域、それを選定するべきではないかと、私はそのように考えるわけである。

〇佐藤医療局長 さまざまな意見があり、そのさまざまな意見を一本化するために、現在、一関市長が中心になって頑張ってもらっておる。したがって、その結果を私たちは一緒になって早く病院をつくれるように、多くの方々の合意が得られるように努力をしてまいりたいと思っておる。

〇菅原委員 わかった。あなた方も大変苦労をしていると思う。それはわかる。
 そこで、6月、7月ころまでに決定しなければ前堀に決定するというお話であるが、それはやっぱりもう少し考え直してもいいのではないかと、そのように思う。いかがであろうか。

〇佐藤医療局長 先ほどは前堀よりもすぐれたところがあるならば出していただきたいということで、鋭意、今一関市の方でも努力をしていただいておる。したがって、いずれ9月の議会の段階にはまたここでお話ができるのではないかと思っておるので、御了承をお願いしたいと思う。

〇菅原委員 7月ころと言ったであろうか、それまでに決まらなければ、定めた期限までに新しい用地の選定ができなかった場合には前堀に決定するのだというのは、少し性急ではないかと私は思う。若干の余裕があったっていいのではないか。1年も2年もと言わない。何もそこではさみで切ったように、そこでなければいけないということはないであろう。私はそう思う。

〇佐藤医療局長 私どもも性急にこれを片づけようという気持ちはない。したがって、市とも十分協議をしながら進めてまいりたいと思っておる。

〇菊池副委員長 大変申しわけないけれども、発言を要請している議員の中には本問題について質疑を求めておる方もおられるので、関連性の強い部分を短時間、簡潔に発言をしていただきたいと思う。

〇船越委員 局長からポンプの話が出たが、私、49年間消防団におり、アイオン台風、カスリン台風の際にも参加して、濁流の中では本当に救助等にも活躍した経験があるが、ポンプというやつは非常に頼りにならないということである。ということは、何千年、何万年前から河川敷というのは砂利層がそこにあるわけである。であるから、私この間視察に行ったとき、20何メートルの堤防を見たが、堤防に高く水がなるというと、それから下の水圧でもって底の砂利層をくぐって別の方に浮かぶ。であるから、建設省の方で計算するときは、山から降ってくる水量等を計算して、面積と雨量とで計算して幾ら来るから幾らかけばという計算をするであろうけれども、それをどんどんかいたところで、高いところがサイホンの原理で水圧でもってやるというと、今度下の砂利層から別の方に浮かんでくると。であるから、かいてもかいても、何十台ポンプを据えつけてかいても減らないというのが私の長い間の経験であるので、この間行ったとき説明されたときに、そんなのはだめだなと経験から思った。

〇佐々木(俊)委員 今、偶然内水が出たような説明であるけれども、私も現場を見せていただいた。確かに排水用のポンプ工事が始まっていたけれども、これがどういうことになるのかといったところ、予定しているのはポンプが4台であろうか。その半分は常時つけておかないで、水害が来たら花巻の方から借りてきて持ってきてつけるのだと、こういう説明であった。水害があるときは水系、花巻も水害なんで、そこから外してきて一関につけるなどというような、そういう感覚でやったのではこれは失敗だなと。今の船越委員の考えもあるけれども、ただ、私はどっちにも引かないけれども、とにかく天災というものは過去の歴史から見て、人間の想像を絶するようなことがあり得るわけである。その場合に、そういうことを考えた場合に、私どもは施設であろうと何であろうと、ベターでなくてベストでいかなければならない。ベターだからやったではなくて、ベストである。それをねらわなければいけないし、ましてや災害時における今の病院、医療機関というのは避難場所である。周辺の方々が避難する、けがをした方も運び込む、そういう安心感を与える場所でなければ私はならんと。それがどこかわからない、私は一関はよくわからないから言わないけれども、やっぱりベターでなくてベストをねらってやると、そのためには多少時間がかかってもしようがないのではないか。
 おくれた、3年おくれたと言っている。それ以上、私どもの地区の病院はおくれている。いまだにつくるという話もないのであるから、一関の政治力は大したものだと思う。現に磐井病院として堂々たる業績を上げて、そしてそれが云々と言っているけれども、私どもはそれ以下でまだ着工のお墨つきさえももらえないで来ている。であるから、それらを考えると、この岩手の医療中心機関である、しかも県南の雄である、一関の中核病院であるから、私はベストでやるべきだと思う。時間が若干かかってもしようがないと、私はそう思う。

〇佐藤医療局長 そういったいろんな意見があり、今現在、鋭意、地元でも一生懸命議論を尽くしたいということである。いずれ、9月にはここで医療局の方向性についても御議論をしていただけるものではないかと考えておる。

〇佐々木(一)委員 4点あるけれども、2点ずつ分けて質問する。
 まず、平成11年度当初予算と今後の事業運営について伺う。
 当初予算で4億6、000万円の赤字予算であるし、先日議決した平成10年度の補正予算は13億6、000万円の大幅の赤字計上である。このような赤字予算を組まざるを得なくなった状況を医療局としてどうお考え、また、どこに原因があるとお考えかお伺いする。これが第1点である。
 第2点に、県立病院の医師確保についてお伺いする。
 昨日も委員会でいろいろと岩手医大の問題が出て議論があったところであるけれども、国においては医師の削減政策を進めており、既に国立大学においては入学定員の10%削減を行っておる。このような現状では、将来の医師確保の見通しが立たないのが現状ではないかと考える。さらに、診療報酬の合理化対策として、今年度から医療法に定める標準医師数に満たない病院に対しペナルティーが強化されるということで、医師充足率が50%以下の病院については入院医学管理料、看護料等を40%減額する措置が行われ、来月からはさらに医師充足率が60%以下の病院についても30%の減額が行われるなど、厳しい状況になるとお伺いしておる。この診療報酬制度の改正は、病院経営を脅かし、ひいては地域医療の切り捨てにつながりかねないと懸念するものであるけれども、このような状況のもとで、医療局では平成11年度の医師確保の目標をどのように考えていらっしゃるであろうか。また、将来に向けてどのような考えを基本にしながら医師確保対策を行うつもりか、あわせてお尋ねする。

〇佐藤医療局長 まず、11年度の当初予算と今後の運営については私の方から、あとは医師対策監の方から説明をさせる。
 11年度の予算編成に当たって、国の医療費抑制など厳しい経営環境の中であったけれども、特にも診療体制の充実と収入の確保ということを前提に置きながら、患者サービスの向上、効率的な事業運営ということでやっておるが、その赤字の原因である。
 診療報酬改定は今まで大体2年に1度ずつ行われてきておるが、平成10年度の診療報酬改定では、昭和58年度以来のいわゆるマイナス改定になっておる。つまり、医科と薬価があり、医科の分は1・5%伸びたわけであるが、薬価を医科に直してパーセントを出すとマイナスの2・8%ということで、厚生省の公表でもマイナスの1・3%という状況である。これをさらに医療局に直すと、医療局はやはり病院が28点在しており、高度医療もあればそれから地域に密着したいわゆる慢性期医療もかなりあり、そういったことを考慮すると、さらに1・3%のマイナスが1・7ぐらい、かなりマイナスが膨れるという要因があり、平成10年度は2月補正で13億円ぐらいの赤字予算をお説のように組んだところであるけれども、ただその後、インフルエンザが流行して急激に収支が好転をしてきており、今のところ13億円が10億円を切るか切らないかというあたりまで好転をしてきておる。いずれ、1、000億円なので1%動くだけで10億円ということで、なかなか経営は難しいわけであるが、10年度はそういうことである。それから、11年度の予算も10年度に診療報酬改定があり、多分診療報酬改定がないので、そういうことからこのマイナス改定が増嵩されるということである。それに医療局では、外来で診て入院をしていただき、なるべく早く治って出ていただく。いわゆる在院日数を短縮するということになる。現に、この在院日数の短縮をちょっと調べてみたら、平成元年には、病院に入った人の平均の入院日数が32・7日であった。それが平成10年1月末では25・7日ということで、約1週間病院に入る日数が縮んだということであり、実質的には人の増減は余りなくても、こういった医療技術の日進月歩の進歩から、いわゆる経営というものから見るとなかなか厳しい状況がある。そういう中で、費用、つまり病院は人件費と材料費でもってその約8割以上を占めるという状態になり、特にも委託を進めるとか、いろいろな合理化を一生懸命やっておる。それから、薬にしても廉価購入を掲げて県下全部を統一して、なるべく効能が同じであれば、同じような薬を使おうといったことに取り組んでいるわけであるが、やはり人件費については、いくばくかの伸びが出てまいるということで、4億ちょっとの赤字予算を組まざるを得なかったわけであるが、先ほど申し上げたように、1%少し好転すれば10億円ぐらいすぐいくから、その辺のところはなかなかわからないわけであるが、こういった状況なので、今度11年度から12カ年の長期的な計画をつくりながら、よりさらに効率的なものに向けてやってまいりたいと考えておる。

〇大川医師対策監 まず、平成11年度の医師確保目標についてであるが、委員お話のとおり、医師確保をめぐる環境は大変厳しいものがあり、医師の充足率が60%以下の病院は、現時点で大槌、山田及び東和の3施設になっておるし、またこの4月にオープンする伊保内病院については、医師の充足率を高めることが条件とされておる。したがって、当面、これをクリアするため最大の努力をしているところであるし、さらには、これらへの対応と欠員補充等を含めて何とか20人ほどは確保したいと考えておる。
 それから次に、今後における医師確保対策の基本的な考え方についてであるけれども、ただいま申し上げたように、医師確保をめぐる現状からして、ここ当分は医師の量的な拡大というのは非常に困難ではなかろうかと考えておる。したがって、医療局としては、奨学資金貸付制度の効果的な活用を図るとともに、県外の医科大学や医療機関に勤務しておる本県出身のお医者さんに対して、県立病院勤務促進のための働きかけ、あるいはまた全国公募の推進、さらには他大学からの新たな派遣要請、それから特にも若い医師にとって魅力ある病院づくりのために、現在中央病院だけとなっておるけれども、厚生大臣の承認指定する臨床研修病院を拡大しながら、優秀な人材の確保に努めるなど、県民医療確保のために多様な医師確保対策を講じてまいりたいと、このように考えておる。

〇佐々木(一)委員 今の医師確保であるけれども、大槌、山田、東和、それからこれから開院する伊保内で20人確保したいというお話であるけれども、この可能性について、現時点について再度お尋ねする。
 それから次に、ボランティアについてお伺いする。
 ボランティア活動は非常に最近活発なのであるが、物の豊かさと心の豊かさの価値観の多様化と、労働時間の短縮とともに活発になり、このボランティアの内容についても慈善行為や社会参加、自己実現などの幅広い社会貢献活動が行われている。しかし、受け入れ先の施設がしっかりした考えを持ち、受け入れを行わなければ、ボランティア活動の高まりを消してしまうのではと、一方では心配する声もある。一部の県立病院では受け入れを行っていると承知しておるが、医療の分野でボランティアの受け入れがどのような意義を有しているのか、県病全体のボランティアの受け入れ状況と、受け入れに当たっての基本的な考え方をお尋ねする。

〇大川医師対策監 先ほど20名と申した。この中身であるが、実はある程度固めたものがある。この20人のうち、6人が自治医科大学卒業の医師である。それから、縁故採用の医師4人、これは確保した。それから、私どもの奨学生1人、これも固めておる。であるから、あと残りは10人ぐらいであるけれども、かなり明るい見通しを持っておる。

〇小林参事兼経営指導室長 ボランティアの受け入れ状況である。ボランティアの受け入れの意義ということであるが、患者さんに安らぎを与え、また患者さんの生活の質を高めるサービスの向上、さらに病院と地域とのつながり、信頼関係の向上などが挙げられると思っておる。
 それから、ボランティアの受け入れ状況であるが、外来の案内あるいは自動受付機等の操作の支援とか、車いす使用者の支援あるいは環境整備などの活動で、11病院が今受け入れておる。ボランティアをしている方々は、病院ボランティアの会とか高校のボランティアサークル、あるいは病院のOBなどである。
 最後に、ボランティアの受け入れの考え方ということであるが、まず病院全体のコンセンサスが必要であり、またボランティア室とかユニフォーム、あるいは活動備品等の整備などとともにボランティアとの調整が大事であると思っている。このような受け入れ体制の整備を図りながら、県立病院における実績を踏まえて、さらにボランティアの受け入れを各病院に進めてまいりたいと思っておる。

〇佐々木(一)委員 4点目の質問をする。
 先ほど先輩の委員の方々からも地元の磐井病院についての御心配をいただき、安全性や内水や砂防の話まで出てまいったわけであるが、私からもこの問題について角度を変えて御質問させていただく。
 基本的には新市長さんのお世話で、私も審議会の中で候補地のいい場所を決定されればと願っておるものの1人である。まず第1点目、南光病院の現状について、お知らせ願う。
 それから次に、一関市との磐井・南光両病院の併設について、平成何年何月に協議をされたのかお尋ねする。
 それから、一関市はこの両病院の併設方針に対してどのような認識をされておるか、これもお尋ねする。
 次に、4番目であるが、平成10年1月に一関市内で開催された磐井・南光病院運営協議会で、当時の渡辺医療局長より磐井・南光の併設方針が発表されたけれども、今までこれは一切市内において市民にも公にされてこなかった。なぜそれまで併設について公にされてこなかったのか、これについてお尋ねする。
 5点目であるけれども、昨年の6月定例本会議で私も質問した。佐藤医療局長は、磐井・南光病院は併設同時着工と答弁されているけれども、このことについて新市長とは協議をなされたであろうか。
 それから6番目、予算総括において、これは佐藤正春委員の質問であるが、千葉副知事より9月補正での対応と答弁いただいたが、2病院の用地を同時に取得すると理解をしてよろしいであろうか。現在、南光病院については全く進行しておらない。磐井病院のみの取得ということはないと思うけれども、この辺について基本的なところをお尋ねする。

〇佐藤医療局長 まず、磐井・南光病院の併設同時着工の件であるけれども、磐井病院と南光病院の用地を同時に取得し、そして同時に着工したい。これは、二つを併設すると申しても全く個体で建てるのではなくて、さまざま両病院の機能を持てる分をなるべく発揮し合いながら効率的に建てたいということで、例えばエネルギーの問題であるとか給食の問題、いろいろその病院には機能があるわけであるが、そういったものを効率的にしたいということである。そのことが将来の事業運営、先ほども委員から御指摘があった効率経営という観点から、それからもう一つは、単に効率的経営ということではなしに、患者さんも、心の病める方も、それから体の病める方も相互に互いの病気を持つというふうになってきておるので、そういった意味からもなるべく近くに併設を同時にしたいということである。
 そのほかのお尋ねについては管理課長の方から答弁させる。

〇長澤管理課長 それでは、まず南光病院の現状についてお答えする。
 南光病院は、一番古い棟で昭和41年というのがあるけれども、大部分が昭和46年ということで、磐井病院と同じように老朽化等が進んでおる。また、古い病院なので100床の病棟ということで、いろいろ基準に合わないという面も出てきており、いずれ磐井病院と同様に早期に着工したいと考えておる。
 それから、磐井・南光病院についての併設について、一関市との協議の経過等であるけれども、まず市に対しては--平成8年9月に内定したわけであるけれども、その前に平成7年12月、これは市の幹部にお話しておる。市長さんには平成8年4月にお話し、その後数回にわたり協議してきた経過がある。これに対して、平成8年7月に市長から回答があった。磐井と南光の両病院併設については、基本的には理解できるが、地元関係者の理解を得るために時間をかける必要があるという旨の申し入れがあった。このために表明できなかったものである。しかし、併設に向けてお互いに努力していくということについては確認してきたわけである。平成9年度になって再三要請してきたわけであるけれども、市は磐井の用地分の取得をまず先行させ、その後に南光病院分も着手するということで、併設同時着工という局との考え方がなかなか整わなかったこともあり、このような状況では一層おくれを来すのではないかということで、10年1月、運営協議会で併設について明らかにして理解を求めたものである。

〇長山医療局次長 磐井・南光病院の併設同時着工の方針について、新しい市長と協議をしたかという点についてであるけれども、新しい市長に対しては、2月の初め私が参って、今までの経過、それから医療局の考え方を詳しく御説明申し上げ、理解と協力を求めておる。

〇佐藤医療局長 先ほど磐井と南光病院併設の同時着工ということであるが、用地も同時に取得し、それから建設も同時にしてまいりたいということである。

〇佐々木(一)委員 地元では今も議論があったように、非常に場所の問題だけとらわれていて、全然南光病院の話が出てないのが現状なのである。であるから、やはり早くに審議会を行うにしても何にしても、この両病院の併設方針というものをきちっと公にし、そして一関市とこの方針でいくという意思統一をしないと、さっき言ったように南光病院の用地は一切手つかずでおる。さっき佐藤正春委員おっしゃったように、磐井病院だけでもそれなりに年数がかかっているから、南光病院は何年かかるか、これはちょっと半年でできるかどうかわからないけれども、いずれ同時取得となるとこういう問題が出てくる。私自身、決算を見ても赤字決算であるし、やはり局長がさっき言ったように、なぜ併設するのかということをお医者さんの確保の問題、それから合理化の問題、また患者さんのニーズとさまざまあると思うので、この辺を明確にして早目に市との確認をお願いしたいと思う。

〇谷藤委員 県立病院のオープン化というか、地域医療との連携についてお聞かせをいただきたいと思う。
 民間の医療機関との連携であるけれども、登録員制度の導入とか患者紹介制度、医療機器、施設の共同利用などというところでいろいろ取り組んでいるであろうと思う。その辺の状況と課題、今後の取り組み方針についてお知らせをいただきたいと思う。
 それともう1点、医療用の画像伝送システムの部分についてお聞かせいただきたいのであるが、MRIとかCTなどの放射線画像を伝送して、それぞれ診療の支援とか専門知識の提供等を行うシステムであろうと思うけれども、現在のその取り組み状況についてもお知らせをいただきたいし、今後どう展開をされていこうとしているのか。それと今のシステムの中身というのは、静止画像というものから動画という動くような状態とかいろいろ声があるようであるけれども、その辺も含めて今後どう取り組んでいこうとするのか、お聞かせいただきたい。

〇小林参事兼経営指導室長 県立病院の地域医療の連携、この民間開業医等との連携ということなのであるが、開業医と県立病院など地域の医療機関相互の機能分担と連携というのは不可欠なものと思っておる。地域の医療機関がそれぞれの役割と機能の明確化をし、プライマリーケアから高度医療に至る多様な医療機能が相互に補完し合いながら、地域医療が完結する効果的、効率的な医療連携システムの整備を進めてきておると思っている。委員がおっしゃったように、地元医師会との交流あるいは患者紹介やCT、MRI等の医療器械、施設の共同利用、また症例検討会等の参加や県立病院からの医療情報の提供など、さらには運営協議会等での意見要望などを積極的に聞きながら取り組んできているところである。
 今後とも、連携の強化を図りながら、安心して暮らせる地域医療の確立を目指してまいりたいと思っておる。

〇橘山システム管理室長 医療画像伝送システムの質問であるけれども、患者サービスの充実と質的向上を図るために、CT、MRI画像、それから病理組織画像などの医療画像の伝送システムに取り組んでおり、現在県立病院間で7施設、それから町村立診療所間で2施設、医科大学間で2施設、国立がんセンター等1施設の12施設間で実施しておる。なお、今後については、地域の医療事情と病院の要望、それから経費等を踏まえて推進してまいりたいと考えておるが、なお病理組織の画像伝送システムについては、平成11年度に福岡病院と釜石病院の2カ所について、稼働に向けて院内調整及び相手病院との調整を図っているところである。

〇谷藤委員 県民医療という立場からいけば、県立病院と民間の果たしていく役割、また国の病院もあると思うけれども、それぞれがやっぱり連携を密にしながら、ぜひ県民医療の充実という立場の中で、今後とも頑張っていただきたいと思う。何といっても県内に県立病院が28で、全国でも圧倒的に県立病院を有している県であるが、民間との連携をとってさらに岩手県民が満足のいくような体制を築いていただくことをお願いして終わる。

〇千葉(伝)委員 私からは2点についてお伺いする。
 最初に、病院機能評価制度についてお伺いする。
 医療の分野においても外部からの機能評価の重要性が言われておるが、医療局ではこれまで県立病院運営協議会や県営医療審議会など、広く県民の意見要望を取り入れて、病院機能の改善に努力されていることを高く評価するわけである。しかし、県民に医療の内容、状況を提供する面から考えると、正しい情報がなかなか見えないのが現状ではないかと思う。
 そこでお伺いしたいのは、平成7年度に医療機関の第三者評価を行う日本医療機能評価機構が設立されていると聞いておるが、この機能評価を受けることの意味と、現在まで認定された病院はどのくらいなのか、また、東北地区の状況はどのようになっているのであろうか。さらに、医療局では、この評価機構の活用について今後どう対応するおつもりなのか、あわせてお伺いする。

〇小林参事兼経営指導室長 病院機能評価についてであるが、県立病院の医療機能の向上についてはこれまでも努力してきておるが、院内の改善に向けた取り組みを進めていくためには、やはり医療機関の第三者の評価を得てみるということも大変必要であると思っており、その指摘を質の高い医療サービスの向上に生かしていくということも大切であると考えておる。
 この日本医療機能評価機構による状況であるけれども、全国では175病院が認定を受けておる。そして、東北では6病院、そのうち、本県は中央病院が10年度に評価を受審した。先月2月15日に認定されておるが、審査結果等の評価の詳細な内容は、今月送付になることになっておる。
 最後に、日本医療機能評価機構の活用と対応ということであるが、機能評価を受審することにより改善する点が明確となるし、職員の改善意欲の向上あるいは効果的で具体的な改善目標が設定できるなど効果が期待できるので、今後とも患者サービスの向上と医療の信頼を高めていくために、この中央病院の審査の結果、内容等をいろいろ検討しながら、その活用について進めてまいりたいと考えておる。

〇千葉(伝)委員 中央病院が平成10年度に受けて、2月15日で認定されたと、その詳細については今後ということであるが、それらを踏まえてこれからの改善等進めるということになるわけである。今後、他の県立病院の予定はいかがであろうか。

〇小林参事兼経営指導室長 とりあえず10年度中央病院がやり、その審査内容というか評価内容等を見てみて、その後に11年度は予算措置しておらないので、12年度以降その効果等を見ながら--多分効果は相当なものであろうと思うので、それを見ながら考えてまいりたいと思っておる。

〇千葉(伝)委員 わかった。第三者の評価制度というものは、大事なことと思うわけである。より積極的に取り入れて、病院機能のさらなる改善に努めて、県民の医療の正しい状況を提供されることを要望する。
 2点目は、本県の臓器移植の体制についてお伺いする。
 平成9年10月に臓器移植法が施行されて以来、最近高知県において、初めて脳死状態の患者から臓器提供が行われ、その状況については時々刻々大きく報道されているわけであるが、県立病院で臓器移植にかかわっている施設とその体制はどうなっているのかをお伺いする。
 また、日本臓器移植ネットワークというのがあるわけであるが、これとはどのようなかかわりを持っているのか、あわせてお伺いする。

〇佐藤業務課長 県立病院での臓器移植についてのかかわりであるが、県立病院で臓器移植法のガイドラインに定められておる臓器提供施設は、中央病院、大船渡病院、久慈病院の3病院となっておる。この3病院とも既に倫理委員会、脳死判定委員会あるいは脳死判定基準というものを作成しておる。そして、臓器提供についての体制を整えておる。
 それから、臓器提供施設と臓器ネットワークとのかかわりであるが、病院では臨床的に脳死と判定した場合、ドナーカードの所持等本人が臓器提供について何らかの意思表示があって、家族の承諾が得られた場合には、直ちに日本臓器ネットワークに連絡することになっておる。臓器ネットワークでは、コーディネーターを直ちに派遣して、家族に対して脳死判定あるいは臓器提供の概要説明を行って、それらの承諾を得るという手順になっておる。

〇千葉(伝)委員 県立病院3病院で進めているということで、判定基準あるいはガイドライン等つくって体制を整えているという御答弁であった。例えば本県でドナーあるいはレシピエントが出た場合、今すぐにでもできる状態であろうか、そのことをまずお伺いする。

〇佐藤業務課長 直ちにというと、今の三つの病院がこの臓器提供施設になっておるので、それからどういう方に移植をするかというと、これは日本臓器ネットワークの方の分担になるということで、提供についてのいろいろな基準、それから体制については整っているという現状である。

〇千葉(伝)委員 何日か前の朝日新聞に、本県の脳死への備えは十分かというレポートがある。その中の一部であるけれども、臓器を摘出した場合に、例えば心臓であれば移植を終えるまでに4時間以内、肝臓でも12時間が保存の限度と言われているということから、実際にやる場合の輸送手段あるいは輸送経路といったものが問題になるのではないかという報道もあるわけである。本県の場合に、こういった広大な面積であり、県立病院の3病院、そのほかには医大あるいは日赤等もこの中に入っているということであるが、近いところでのやり方、遠いところでのやり方というもので、いわゆる搬送手段というのが岩手の場合は本当に対応可能なのかとちょっと心配な部分があるが、その点どのようにお考えであろうか。

〇佐藤業務課長 確かに、この前の高知で移植を行った際にも、例えばジェット機とかヘリコプターという搬送手段の早いものを使っているようである。例えば、県北の久慈病院あるいは県南の大船渡病院のように大分離れている地域もあるので、それらについてはやはりそういう有効な手段というものについて、今後いろいろ検討していかなければならないと思っておる。

〇千葉(伝)委員 最後である。
 それで、実際に高知が日本で最初という形で、情報については新聞、テレビ等でかなり詳しい報道がなされているわけなのであるが、やはり初めての例ということで今さまざま報道機関も、実際にやった病院等の中でも、いわゆる患者のプライバシーの問題とか、あるいは情報開示の確保を含めて種々論議されていると考える。このことを県の医療に携わっている皆様方がどう受けとめて、それに対して何か検討されているのか、もしあればお伺いしたいと思う。

〇佐藤業務課長 やはり臓器提供をなさる方についてのプライバシーとか情報提供は、大変いろいろな課題があるようであり、この前の高知の例を見てもあるようである。そういうものについても種々検討してまいりたいと思っておる。

〇千葉(伝)委員 人の生命に関することと、それからプライバシーということでの非常に大事なところではないかと思っておる。そういった部分から、いずれ岩手県でも起こり得るということで、早急な体制の確保あるいは問題点というものを十分に検討して進めていただきたいと御要望申し上げる。

〇須藤委員 大変高度なそれぞれの持論の中で、私はささいななことをお聞きするが、御教授お願いしたいと思う。それぞれ岩手県立病院の運営については、質の高いサービスであるとか、地域病院群の整備であるとか、さまざま御努力されておる。
 そこで、私は県民の視点から、あるいは患者の1人としてお伺いするが、医師の確保問題とかさまざまあり、地方の、特に過疎を中心とした県立病院の中の標榜診療科目は一般的に内科であるとか外科であり、特殊な皮膚科であるとか、そういうことになると、中核病院なり中央病院ということになるわけである。しかしながら、患者が慢性疾患で塗り薬を一つ取る、治療するにしても中央病院なり中核病院の方へ足を運ばなければならない。この広大な県土の中で、例えば両磐9市町村の中で、磐井病院に行くのに2日半かかるような年寄りも端的に言えばいるわけである。そこで、これを阻害している医師法なり薬事法について、課題を御教授お願いしたい。

〇佐藤医療局長 現時点で、例えば医師の確保の問題にしても、それから薬剤師の確保にしても、今はそこの病院ごとに、いわゆる患者数から割り出した現員でもって定数の標準が定められていることを指しての質問であろうと思っておる。そうした中で日進月歩に、例えば先ほどMRIの画像診断であるとか、CTの伝送システムであるとか病理診断とかが進んでくると、どうもこれがちょっととまっていることについては、そのとおりかと思う。しかし、これが非常に進んできており、厚生省の方の取り組みも進んできておる。私どももむしろ国のそういったものを先取りして、いろんな画像診断システムなり情報診断をやっておる。ただ、そのことについてどうかと言われると、なかなか早く医療法そのものがこういった制度にも、例えば診療報酬点数であるとか、それから責任の問題であるとか、いろんなまだ解決すべき課題がある。そういったものに早く取り組んでいただけるよう、こちらからもお願いをし、事あるごとに要請をしてまいりたいと考えておる。

〇須藤委員 先週であったか、先々週であったか記憶が定かではないが、NHKの全国放送で久慈病院と中央病院あるいは岩手医科大学を結んで、病理診断の証認医のすばらしい取り組みが大々的に報道されたところである。そこで翻って、私は県民の質の高いサービスが公平に平等に、日常的、恒常的に受けられるという点で、先ほどの病院群内の、あるいは病院管内の、薬であるとか、軽易な慢性的なものの交付の制度を検討すべきではないか。片方で質の高い、あるいはそういうものがどんどん進んでいく。行政の組織の中で、ささいなことが置き去りにされていくという時代のギャップというものを非常に感ずるわけである。特にも、岩手の県立病院の創設の精神というのもそこに大きくあるのではないか。加えて、今年当初予算に一般会計からも多大な莫大な繰り入れがなされている。県民が公平で平等なサービスを受けられるということについて鋭意取り組むことこそ、私は大変必要であると思う。特にも、増田知事は全国自治体病院の会長でもある。厚生省等に大きな働きかけをなされて、高度医療だけではなくて質の高いサービスの提供について、もう一度取り組みのお考えをお聞かせ願う。

〇橘山システム管理室長 ただいまの御質問は、患者の視点に立ったシステムについての御質問と解釈しておるが、窓口会計や薬の待ち時間の短縮のための処方オーダリングシステムについては16病院、それから自動入金システムについては3病院などがあるけれども、これらの導入については、多額の費用や施設の改修が必要であることから、病院の実情や費用対効果を勘案しながら導入の拡大を進めてまいっておる。
 また、先ほど委員から御質問あった件であるが、専門医がいない病院で診断の困難な症例の場合、CT、MRIなどの画像、病理組織の医療画像を伝送して、専門医の熟練医師による診断を行う伝送システムは12カ所で実施しており、これにより大病院に行かなくても地元の病院で適切な診断治療が受けられる。したがって、これらシステムの拡大については、今後とも取り進めてまいりたいということである。

〇佐藤医療局長 どこにいても適切な医療を受けられる環境を常々つくるべきであるということであるけれども、まさにこれは医療局の創業の精神であり、それに向かって努力をしているわけであるが、限られた医療資源--先ほど医師確保の問題もあった。それから、病院群にしても、どこの病院も重装備をして行くというわけにはまいらないので、やはり軍艦もあれば、それから巡洋艦もあれば駆逐艦もあるといったようなそれぞれの病院の役割を担いながら、例えば医療器械そのものを活用したネットワーク、それから医師を移動させる診療応援、それから市町村立病院も開業医さんもそれぞれ持てる力を十分に発揮でき得るように、医療局として十分意を用いながら今後も努力をしてまいりたいということである。

〇船越委員 宮古病院と北部環状線の話なので、これは土木部の方に属する話なのであるけれども、私たまたま伊藤委員と宮古病院の運営委員になっておるものである。そのときに、市民からの要望というのはずっと前から出ているわけであるが、病院の先生方から北部環状線をぜひ両議員に頑張ってもらいたいというお話があった。住民からも話があるとおり、今の45号線は急な坂であり、また朝夕には非常にあそこが渋滞すると、そしてまた冬には雪で滑る。ことしは暖冬であるからいいけれども、そういった世の中にかんがみて、何が何でも北部環状線を早く通してもらいたいという要望がある。宮古市とすれば、なかなか市の予算では大変であるから、県道にして早くやってもらいたいということで、医療局の方から土木部の方に働きかけてもらいたいといったことで発言しておるので、局長の熱意のほどをお聞かせ願えれば結構である。

〇佐藤医療局長 熱意は最初からあり、病院を建てるときに実はそういう話もあり、そしてあそこに適地を選んだ経緯もあるので、今熱意が出るのではなくてずっと前からある。

〇伊沢委員 1点だけお伺いをしたいと思う。
 今まで病院のハード面というか、医療も含めて患者の皆さんが表で見える部分の質問が続いたのであるが、私は裏の部分というか、病院が抱えている部分でちょっと心配される部分があるのでお伺いをしたいと思う。毒物・劇物の扱い、薬も含めてなのであるけれども、その辺のことについてお伺いをしたいと思っている。
 この間、日本国内で毒入りのカレーであるとかアジ化ナトリウム入りのお茶であるというのが出てきたわけである。加えて、インターネットを使って睡眠薬を売るとか買うとかそういう問題が起きて、殺人事件まで発生をしているということがあるわけである。病院の中には薬が大変いっぱいある。これについては、薬事法の中で一定程度の管理をするし、保健所を含めて薬剤師の皆さんが、監視の中で薬事監視もやっているわけなので、きちんとした対応をされていると思うのであるが、こんな中で実は臨床検査等に使う薬品の中には、毒物・劇物の指定を受けているものもあるのではないかと思うわけである。そういった意味で、県立病院は全県で28もあるということになるわけであるが、局長が全部見れるわけではないと思うし、古いものも含めて保管も含めてあるのではないかと、こう思うわけである。注意を喚起しておく必要があると思うわけであるが、これまでのこういったものに対する取り組みと、これからの管理方法等についてお示しをいただきたいと思う。

〇佐藤業務課長 毒物・劇物の管理についての御質問であるが、県立病院では、毒物・劇物あるいは麻薬・向精神薬などを初めとする保管管理上、特に注意を要する薬品というものを確かに多種多量に取り扱っておる。これらの薬品については、法律に基づいて他の薬品とは区別して専用の保管庫に施錠の上保管し、記録簿を備えて定期的な保管数量の確認、それから適正な廃棄というものを徹底しておる。また、盗難とか紛失などの事故が発生した場合は、関係の機関に届け出るということも義務づけられており、いずれ厳重な管理をしているところである。
 それから、昨年から相次いで発生した毒物の混入による事件を踏まえて、各病院に対して保管管理に一層の徹底を期するよう改めて指示をしたところである。

〇伊沢委員 万全を期しているというお答えなので安心をしたが、新しい病院をつくるということを含めて、いろんな議論がされているわけである。私が心配しているのは、きちんとやっていれば問題はないわけであるが、古い試薬等を含めて保管されていて、解体をし、そして新しい病院に移る際に、多量にといえば語弊があると思うが、--適正な廃棄ということで今お話いただいたわけであるけれども、そういうものが出てくる可能性があるのではないか。薬品メーカーにお引き取りいただくとか、適正な有害物を処理する業者等にお願いしてくると思うわけであるけれども、これまでそういう事例がおありであったのであろうか。その場合、どういう形で処理をされてきたのかということをお伺いしたいと思うのであるけれども、わかる範囲で結構なのでお答えをいただきたいと思う。

〇佐藤業務課長 県立病院での廃棄については、やはり昨年の毒物の混入事件を踏まえて、医療局で各病院を調査した。そして、岩手県内にはこういう処理をする業者さんがおらないので、不要となった毒物・劇物を一括して、青森県の方に委託し、回収・処分をしておる。現時点では、不要になっているようなもので保管をしているものはないと理解しておる。

〇菊池副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩する。
   午後2時55分 休 憩
 
   午後3時15分 再 開

〇三河委員長 休憩前に引き続き会議を開く。

〇斉藤委員 簡潔に質問するから、簡潔、明瞭に答弁してもらいたい。
 第1点は、介護保険への対応について。
 介護保険制度では、介護施設として療養型病床群なども提起されているが、県立病院としての対応はどうなっているであろうか。県立病院は規模の大小を問わず、地域に欠かせない医療機関となっており、私は一般診療の後退となるような対応はすべきではないと思うが、いかがであろうか。
 第2点、医療制度改悪の影響について。
 一昨年9月以降の医療費の患者負担の値上げの影響はどうなっているであろうか。
 最近のインフルエンザもあるけれども、受診抑制の実態はどうなっているであろうか。
 特別初診料、薬代の二重払いの影響はどうなっているであろうか。
 消費税の負担と影響額、累計額も含めて示していただきたい。

〇佐藤医療局長 介護保険の対応についてであるが、これについては現在策定中である新しい経営計画の中で検討する課題として、まだ取り組むかどうかについては決定をいたしておらない。

〇佐藤業務課長 健保法の改正等の影響であるが、紹介外患者負担の導入あるいは健保法等の改正に伴い、社保の本人の一部負担金の引き上げ、あるいは外来の患者負担の新設などがあったわけであるが、改正以前の平成9年4月から8月までと改正後の平成10年同期の1日平均の患者数を比較すると、入院で144人、2・7%の減少、外来では9人の増加でほぼ変化がないと思っておる。
 患者数については多種多様な要因があり、制度の改正等の影響によるかどうかの把握については、現在のシステム上は困難である。

〇長澤管理課長 平成11年度当初予算の収益的収支の消費税の影響額が約26億円、一方、診療報酬で補てんされるであろう額が約13億円、差し引き約13億円が実質負担額と推計しているところである。この実質負担額の平成元年度から平成11年度末までの累計額は、約73億円と見込んでおる。

〇斉藤委員 特別初診料などは今答弁あったであろうか。(「あった。」と呼ぶ者あり)あった。失礼した。
 では次に、定員増と2人夜勤の解消問題についてお聞きをする。
 平成9年度から医療局の定員は5、058名と、定員増が図られたところであるけれども、これまでのこの計画に基づく定員増の実績、そして来年度の増員の見通しについてお聞きをする。
 次に、2人夜勤の解消について。
 私は昨年9月議会の決算審査で、中央病院の深刻な病棟の実態の実例を皆さんに紹介をしながら、センター病院であるそして重症患者が集中する中央病院において、6病棟も2人夜勤が残されているという問題を指摘した。ナースコールが鳴りっ放しで対応できないと。これは看護婦の問題という以上に、患者の生命と安全にかかわる問題ということで私は提起をしたのであるが、現在の2人夜勤の状況、そして特に中央病院の解消の見通しはどうなっているであろうか。また、中央病院から具体的にどういう要望が医療局に出されているであろうか。
 新しい経営計画とマンパワー計画策定の具体的スケジュール、基本的考え方はどうなっているであろうか。

〇伊藤参事兼職員課長 初めに定員増の実績についてであるが、平成8年度から10年度までの職員数は、久慈病院及び大船渡病院の救命救急センターの設置のための82名の増員などにより、医師44名、看護婦153名、薬剤師等の医療技術者37名など、全部で205名を増員しておる。また、平成11年度については現在作業中であるが、医師約20名、看護婦及び診療放射線技師等の医療技術者を、それぞれ約10名の増員を検討しているところである。
 それから、2人夜勤の状況であるが、現在99病棟あるが、2-2体制それから2-3体制または3-2体制を含めて全部で54病棟がある。
 それから、中央病院についての夜勤体制についてであるが、基本的には夜勤体制については2人体制の月8日以内の夜勤、いわゆる二・八体制を基本として患者数の動向や看護度などによって、2人体制、3人体制、4人体制をとっておるところである。
 中央病院からは、段階的なものを含めて--私たちでは五つの病棟ととらえているが、その五つの病棟のうちすべてを3人体制にとの要望を受けておるが、そのうち三つの病棟を3人体制に変更することを検討しておる。しかしながら、中央病院といえども県立病院全体の入院患者数が減少傾向にあるなど、県立病院を取り巻く経営環境が厳しさを増していることを十分考慮しながら、その要望に対応していかなければならないと考えておる。
 それから、マンパワー計画についてであるが、新しい経営計画の部門別計画であるマンパワー計画については、新しい経営計画の同時期の平成11年度末までに策定する予定である。また、マンパワー計画は現在新しい経営計画において今後の県立病院のあり方などを検討しておるので、それらを踏まえて策定してまいりたいと考えておる。

〇斉藤委員 今の答弁で、中央病院が3病棟で、3人体制を検討しているという前向きの答弁があったので、ぜひこれはしっかりやっていただきたい。
 2人夜勤体制というのは、重症患者が1人いれば、そこに看護婦さんが1人つきっきりで、あと1人の看護婦で60人を見るという、こういう体制である。であるから、二・八体制というのを今まで守られてきたけれども、二・八体制ではもう患者の生命と安全を守れないという状況になっているということ、この点をぜひ今後検討していただきたいと思う。
 それと、今入院患者が減少しているという話があった。私は患者の受診抑制の関係で聞いたけれども、その原因がはっきりしないと。この入院患者減少の理由は何であろうか。これを改めてお聞きする。
 次いで質問を続ける。
 磐井病院の移転建設問題について。
 医療局は、移転用地の条件として具体的な課題を一関市に提起をしているのであろうか。一関市の検討委員会では、南光病院の併設問題も条件として当然これは検討されるのであろうか。私はこの移転問題の解決に当たっては、冷静で科学的な市民的討論と市民の理解と納得が必要だと考える。市が検討委員会を設置して検討するというのも大変大事なことである。しかし、市長選挙に示された市民の審判というのは、市民レベルでさまざまな意見、疑問があるということである。であるから、それは検討委員会だけに任せていては私は解決しないと思う。市民レベルであそこの安全性、また、交通アクセスやそしてさまざまな病院の適地と考えられる諸条件について、市民レベルでもオープンのさまざまなシンポジウムやフォーラムや論議が必要ではないか。私はそういう点で、医療局は適切なイニシアチブを発揮しないと、9月をひとつのめどにすると言っても、結論が出ないのではないかと思うので、それをお聞きをする。
 あわせて最後の質問もお聞きする。
 病院職員の結核罹患問題について。
 97年度5名、98年度6名が結核にかかったと聞いておるが、中央病院の場合は1名は公務災害と認定され、もう1名も現在申請中と聞いておる。病院と職員の安全衛生管理はどうなっているのか。衛生委員会は設置されているのか。今後の具体的対策を含めてお聞きをする。

〇佐藤医療局長 まず、磐井・南光病院の移転問題についてであるけれども、委員がおっしゃるように市民的討論、市民の理解と納得が必要だということについては御指摘のとおりであり、今現在は一関市の中で委員会をつくって議論をされるということで、それが終われば各議員の方々とも当然のことながら議論が重ねられるということであり、我々の方でも医師会とかいろんなところに行って今までも説明をしたが、地元市と協議をしながら適切な対応をしてまいりたいと考えておる。

〇佐藤業務課長 入院患者数の減少であるが、平成9年の4月の診療報酬の改定に伴って、入院治療計画の加算とか退院時の指導、そういう早期退院への取り組み体制の充実、あるいは平均在院日数の長短によって入院医学管理料が細分化された。それがさらに平成10年の点数改正でも、平均在院日数による長短がさらに30日から28日になった。
 それから、昨年の10月から新看護の平均在院日数の要件も短縮になったということによって在院日数が短くなり、結果的に入院の延べ患者数が減少したということである。

〇長澤管理課長 磐井病院の建設問題についてお答えする。
 移転の用地の条件として具体的な課題を明らかにしているのかということであるが、磐井病院と南光病院の移転候補地選定の条件として、前堀地区と比較して両磐地区の患者の利便性あるいは用地の形状、安全性、道路、上水道、下水道等の生活環境整備、用地取得あるいは造成経費がどうなるかというような諸条件について総合的に検討をいただくよう、これは文書で要請しているところである。
 それから、市の検討委員会での併設問題を条件として検討されるかということであるが、市からは検討委員会は3月中に設置すると聞いておるが、いずれ、市に対しては両病院併設の移転候補地について検討の上報告をいただくようお願いしているものであり、併設を前提に検討していただけるものと考えておる。

〇伊藤参事兼職員課長 病院職員の結核罹患についてであるが、病院職員の健康診断では、従来から胸部エックス線撮影及び赤沈検査等を実施いたして結核罹患の早期発見に努めてきたところであるが、平成9年春の他県の病院における職員の集団結核感染の発生を機会に、その後の健康診断においては、あわせてツベルクリン反応検査、さらには必要によってBCGの接種など、感染予防の対策を講ずるよう、各病院長あて通知したところである。
 中央病院においては、病院長を委員長とする衛生委員会を設置しているほか、医療局長の通知や従来からの職員等への安全マスクの着用指示などを盛り込んだ結核院内感染対策指針を定めたところである。
 今後とも、対策指針の徹底による感染防止と健康診断による早期発見に努めてまいりたいと考えておる。

〇斉藤委員 これで終わるけれども、入院患者の資料を見ると、平成8年度と平成10年度の4月から1月を比べると4万9、608人減っている。在院日数が減ったら回転数がよくなって人はふえる。違うであろうか。値上げのためにこの間、1人当たりの医療費は平均して2倍以上であろう。これが一番大きい影響ではないのか。

〇小林参事兼経営指導室長 在院日数が短くなると患者が減ると、患者が減って病床があいたから入院しなければならない患者がふえると、そうなった場合には確かに患者は減らないけれども、短くなったことと新しい入院患者が出るというのは別であるので、結果的には入院患者数が減ったということになる。

〇斉藤委員 というのは、ちょっと正確じゃないけれども、外来患者は決して減っていない。患者は減っていない。例えば中央病院とか中核病院の状況を聞くと、本当に順番待ちという状況である。私はそういう点で、もう一つ、単純にそう結びつかないというけれども、大きなファクターとして、受診抑制の大きな理由としてこの医療費の値上げがあるのではないか。私はそれを聞いている。それが一番大きいのではないかと。

〇小林参事兼経営指導室長 医療費の自己負担というより国の医療費抑制という考え方の一つの中に、業務課長が話した入院治療計画あるいは退院時の指導というものが結果的に在院日数を短くすると動いており、10年間で7日ぐらい縮んでいる。それで1日、25日から24日に縮めば年間で約2万8、000ぐらい減るということもあって、それが診療報酬の算定というか、そのところに国の方から入ってきている分がそのような結果になっているということである。(斉藤委員「医療制度改悪のせいだ。」と呼ぶ)いや、改悪かどうか、早く治って帰るということであるから。

〇三河委員長 ほかに質疑ないか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇三河委員長 質疑がないようなので、これで医療局関係の質疑を終わる。
 次に、地方労働委員会事務局長から地方労働委員会関係の説明を求める。

〇小森地方労働委員会事務局長 地方労働委員会関係の予算について御説明申し上げる。
 お手元の予算に関する説明書により御説明申し上げるので、151ページをお開き願う。
 第5款労働費第3項労働委員会費のうち、1目委員会費3、600万3、000円は委員の報酬及び委員会運営に要する経費であり、2目事務局費1億2、939万5、000円は事務局職員の人件費など、事務局の管理運営に要する経費である。
 以上で、地方労働委員会関係の予算についての説明を終わる。

〇三河委員長 ただいまの説明に対し、質疑ないか。

〇佐藤(啓)委員 私から、局長に対するねぎらいと感謝の言葉を申し上げたいと思う。
 小森地方労働委員会事務局長には、この3月をもって県を勇退されるとのことであるので、この場をお借りして、これまでの御労苦に対し深く敬意を表し、一言お礼の言葉を申し上げたいと存ずる。
 小森事務局長には、昭和41年4月、農政部畜産課を振り出しとして、33年の長きにわたり県の職員として歩んでこられたが、この間、数々の主要なポストを歴任され、県政全般にその力量を遺憾なく発揮してこられた。殊にも、経済部と商工労働部には10年、そして企画開発室と企画調整部には8年も在職し、その幅広い見識と卓越した実行力により、商工業行政と企画部門において大いに尽力されたのである。
 平成5年4月には、小森事務局長の仕事に対する情熱を買われ釜石地方振興局長に就任されたが、地方拠点都市地域の指定促進による基盤整備や、釜石信用金庫の清算で揺れる地域商工業の振興に努めるなど、釜石地方の振興に大いに尽力されたのである。
 平成7年4月には企画調整部次長に就任、東北新幹線の建設や花巻空港の整備促進等に努められ、さらには、平成8年4月から岩手県自治研修所長に就任し、従来の研修体系の大幅な見直しを行い、行政需要に応じた政策形成関係の研修の充実に努められたのである。
 昨年の4月に地方労働委員会事務局長に就任されてからは、飾らない人柄で公・労・使の各委員と協調しながら、昨今の経済不況のもとで増加傾向にあり、また、複雑多岐にわたる事件に適時適切に対応し、本県における労使関係の安定に努力されているところである。
 ここに、これまでの御尽力と御努力に対し改めて敬意を表するとともに、心から感謝を申し上げる次第である。
 小森事務局長には、退職後も御健康には十分留意され、さらなる御活躍をお祈り申し上げて、送別の言葉とする。
 この際、県職員としての33年間を振り返り、何か御所感の一端をお話しいただければ幸いに存ずる。御苦労さまであった。(拍手)

〇小森地方労働委員会事務局長 ただいまは、佐藤委員から大変御懇篤な身に余るお言葉をちょうだいし、まことにありがたく、また、恐縮に存ずる。
 お話しにもあったとおり、私は昭和41年に県に入ったのでこれまで33年間の勤務になる。この間、いろいろの部局で仕事をさせていただいたが、長かったのは企画調整部門と商工部門であった。その両者をあわせて全体の期間の3分の2ぐらいを過ごしておる。
 企画調整関係では、県の総合発展計画あるいはその実施計画の策定とかあるいはその改定にかかわった。激しく変化する社会経済情勢の中で、県の将来を展望し、そして住民のニーズに沿った施策を立て、そのもとでの主要事業を選定するという大変大事な、したがって、またなかなか難しい、私などにとっては大変荷の重い仕事であったけれども、そういった仕事に参画させていただいたおかげでいろいろな体験もし、また、幅広い知識も吸収でき、そして県庁内外の多くの方々との交流もでき、それらが私の県職員としての基盤になったと思っているところである。
 また、商工関係では、中小企業への金融の仕事が長く、多くの中小企業の方々からの相談をいただいて、金融機関へあっせんに走ったり、県単の融資制度の充実に努めたり、国の融資制度を活用するための企業の経営診断、そして融資の実行等に取り組んだ。これらの仕事を通じて得られた経験なり知識は、その後、私の大変な貴重な財産となり、その後のいろんな場面で活用し応用することができた。殊にも、金融相談は結局は人生相談であり、多くの相談を通じて、企業の経営なり金融にかかわる人間模様や人生の機微もうかがい知ることができ、大変いい社会勉強や人生勉強になったところであると思っておる。
 そして、釜石振興局長として初めて出先機関の経験をいたし、地域の活性化に取り組んでおられる地元の方々と知り合いになり、この方々と一緒に地域の基盤整備や地域の広域化に取り組んだことが、あの地域の人々の人情とそれから余暇に遊んだ海や川、そういった自然とともに大変いい思い出となって残っているところである。
 そして最後の1年間、この地方労働委員会に参って、労使関係の安定という仕事を与えられた。全く未知の分野の仕事であったが、公・労・使それぞれの委員の方々の御指導をいただき、何とか務めを果たすことができたと思っているところである。
 このように在任中、いろいろの職場を経験させていただき、その都度大事な仕事を与えていただいた。私もその都度、自分なりに与えられた仕事の目的を達成するために、全力を挙げて取り組んだつもりであるが、いかんせん、力が足りず至らない点が多々あった。それにもかかわらず、県議会議員の皆様方を初め、上司、先輩の温かい御指導と後輩の皆さんの支えによって、まずは大過なく勤めを終えることができ、大変感謝しているところであり、心から改めて御礼を申し上げる次第である。
 今後、県を去り一県民として県勢の発展を見守っていきたいと思っておるが、これらお世話になった多くの方々の感謝への気持ちを忘れず、今後の人生を歩んでいきたいと思っているところである。
 終わりになるが、県議会議員の皆様方の今後ますますの御健勝、御活躍と、それによって県勢がいや増しに発展していくよう、心からお祈りを申し上げて御礼のごあいさつとする。
 大変長い間お世話になってまことにありがたかった。(拍手)

〇三河委員長 これで、地方労働委員会関係の質疑を終わる。
 以上で本日の日程は全部終了した。
 本日はこれをもって散会とする。
   午後3時46分 散 会


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