平成19年2月定例会 第23回岩手県議会定例会会議録

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〇10番(高橋雪文君) 自由民主クラブ、高橋雪文でございます。
 先輩・同僚議員の御配慮により、今期5度目、任期最後の一般質問をさせていただきます。将来に夢を抱ける当局側の答弁をよろしくお願い申し上げます。
 今後の岩手県の課題を考える中で、最大の問題は、人口減少問題だと私は考えます。人口の動態は、統計上、比較的予測しやすいと言われておりますが、日本全体の人口統計に対し、本県の人口予測は、それとは異なるさまざまな要因を勘案しながら予測する必要があります。
 平成15年の初めての議会で平成14年度の年間の人口減少は5、000人を超えたことを指摘いたしました。人口減少は、構成するまちの活力を低下させるだけではなく、経済活動も縮小し、当然、税収も減少する、今のように身の丈とか自立を掲げている岩手県政においては、社会サービスの規模をどんどん縮小することにつながっていきます。しかしながら、先日出された平成18年の1年間の人口減少は1万人を超え、4年前の倍以上になりました。改善するどころか、むしろ悪化している状況であります。
 さらに、その内訳を見てみますと、少子・高齢化社会を反映して、子供が生まれる数に対して、お亡くなりになる数がふえる自然減が4、000人。それに対して他県へ流出している数は6、300人以上にも上っております。さらに、その他県へ流出している層の内訳を見てみますと、社会を支える現役世代、つまり労働者世代の流出が顕著になっております。現役世代の中でさらに多いのは若年層の流出です。高校まで地元にいて、より高度な勉強をするために大学や専門学校へ行く若者たち。卒業後、ふるさとに帰って社会に貢献したいと思っても、大学を卒業しただけの見合った報酬を得られる企業が余りにも少ない。もしくは実際に雇用がないために、東京や仙台などで就職してしまうケースがまことに多いようであります。
 そこで質問をいたしますが、将来、岩手県の人口予測をどうとらえておるのか、この人口減少について知事はどう考えておられるのかお聞きいたします。さらに、雇用を求めて流出する人口をどのような政策をもって歯どめをかけようとするのか、お知らせください。
 また、平成16年度から3年間、国のモデル事業で、岩手県は若年者雇用支援、ジョブカフェ事業を推進してまいりました。県内でもサテライトをふやし、その役割は確実に大きくなっているように感じております。その成果を知事はどのように考えておられるのでしょうか。
 さらに、今後、県単の事業として本体を引き継ぐようでありますが、どのような役割を持って、どのように継続していこうとしているのでしょうか。また、今回の事業は単年度のようでございますが、それ以後の事業の必要性はないのか。事業の存廃の方向性についてもお示しいただきたいと思います。
 次に、県内の経済環境とそれに付随する雇用について質問をいたします。
 首都圏や中部、関西を中心に日本経済はいざなぎ景気を超えて成長を続けているようです。東北でも、福島県、宮城県あたりまではその効果が来ていると言われておりますが、本県や秋田、青森まではその恩恵を感じることは少なく、むしろ悪化していると感じる方がまことに多いようでございます。
 先日、雇用が回復し一定の役割を終えたとして、総合雇用対策局は本年度限りで廃止されることとなりました。確かに県内の有効求人倍率は12月現在で岩手県平均0.83、盛岡でも0.92と以前と比べて持ち直しているようにも感じます。しかし、実態は、自動車産業を基軸に工業集積する北上、金ケ崎で有効求人倍率1.9で、およそ2倍の募集があり堅調であります。しかし、この堅調さに対して、県北・沿岸では0.56、二戸・久慈地域に至りましては0.39で、地域的な偏在は著しい格差が生じているところでございます。
 さらに、この有効求人倍率も、正規雇用の部分だけで考えると数値は著しく減少するのではないでしょうか。これらの数値には、社会保障や勤務形態が不十分な派遣社員やパートなども含まれていると聞いております。生活に必要な年収の額を基準にすると非常に低い賃金で生活している実情では、暮らして豊かさを感じることにはなり得ません。
 そこで質問いたしますが、増田知事が掲げた雇用対策は、その役割を本当に果たし切って終わったのでしょうか。総合雇用対策局の役割は、本当に評価できるものであり、役割は終わったのでしょうか。
 総合雇用対策局管轄の政策で3万6、000人の雇用創出が話題になっておりますが、実際には、4カ月以上勤務実態があると常勤雇用とみなされて数値化されております。複数年にわたる雇用なのか、正規社員としての雇用なのか、その実態があいまいなまま、3万6、000人の雇用創出だけがひとり歩きしていると感じるのは私だけでしょうか。
 増田知事も自己評価で85点の点数をつけておりますが、その実態をどう把握し、さらには、その実態をどう評価するのかお聞きいたします。
 私は、雇用を求めて人口が加速度的に流出している本県の実態を考えると、そのような指標に立ったときに、県行政としての雇用対策はむしろ失敗しているのだと感じるのですが、いかに考えますでしょうか。
 また、実態は4カ月程度の短期雇用の繰り返しで、雇用実績の数値だけ伸び、県の指導が、結局はアルバイトやパート従業員層を拡大したとの指摘もあるようですが、県としてどのように考えておられますか、質問をいたします。
 また、県内経済規模は年々減少傾向にあると感じる人が多いようです。その理由は、人口減少や流出にもありますし、中央大手資本が本県にも進出し、現金そのものが急速に首都圏へ流れているからだと指摘する人もおります。
 経済規模が拡大することは、現金がふえ、それが循環するためさまざまな業種が恩恵を受けます。しかし、逆に経済規模が縮小する場合は、地場企業が努力を重ねても、報われない結果になってしまいます。岩手の経済の場合、まさにその閉塞感を感じる状況にあるのではないでしょうか。
 そこで、県内経済規模の動向をどう把握されておるのでしょうか。中央大手資本によるショッピングセンターや外食産業など商業施設の県内進出の影響をどのように把握されておるのでしょうか。さらには、そのデメリット部分をどのように補いながら対策を見出そうとしているのでしょうか、質問いたします。
 次に、知事のマニフェスト検証についてお聞きいたします。
 先日、社団法人盛岡青年会議所主催による知事マニフェスト検証大会が行われました。その概要は、増田知事の自己採点による達成度は70点、さらに県立大学の斎藤教授の採点は66点と高い評価であり、おおむね評価できるということでした。マニフェストへの挑戦、PDCAサイクルへの取組姿勢はまことにすばらしいことだと思います。
 しかしながら、増田知事の自己評価は、みずから設定した評価基準であり、高得点の事業は、その評価基準に準じたものであったこと、また、具体的な数値で示せる事業が全体の36%しかなく、数値的根拠が漠然としたものについては、概して評価が低いものでありました。
 また、今日的な課題である競馬事業に対する評価など、厳しい、難しい問題への取り組みについては一切触れることがなく、その評価について、県民の実感から比較すると余りにもかけ離れている部分も多いとの指摘があります。
 第三者としての点数をつけた斎藤教授の採点は、行政的な事業についての評価部分より、むしろマニフェストそのものの扱いに関する評価が中心であり、県民が求める行政サービスの評価とはおよそ違うもののように感じました。
 そこでお尋ねいたしますが、知事マニフェスト検証大会の評価について、さらには御自身の自己採点について、改めて所見をお聞きいたします。
 また、検証の結果、御自身の改善するべき部分が何であったのか、マニフェストと事業についてそれぞれをお示しください。
 この春の統一地方選から、首長のマニフェストを選挙期間中にも配布できることが決まりました。お願い選挙から、いよいよ政策重視の選挙へとつながる大きな転換だと思います。しかしながら、自主財源が乏しい本県の自治体においては、国の政策に大きく依存する点や硬直する財政状況下では自由度が極端に制限されている点など、財源や数値を明確にするマニフェストの作成は、厳密には難しいことであります。さらには、総合計画などの基本計画がそのままマニフェストになるなど、現職有利のアイテムにもなりかねないものであります。また、マニフェストは、作成者自身に都合のよい項目や、目標を達成しやすい事業を数値化し、記入する嫌いがあります。しかし、県民の実感や判断基準がそこに含まれていなければ、本当の達成基準にはならないのではないかと思います。知事マニフェストにおいて、第三者の基準、いわば指標を設定することが必要だと思いますが、これについてどう考えておられるのでしょうか。
 また、現職の知事が、今後、知事を目指す候補者に対して、県政の課題を示しながら比較検討できる宿題を明確化すべきと思いますが、いかがでしょうか。知事マニフェストの検証の結果を次期知事候補にどのように活用すべきと考えているのか、お知らせください。
 また、いわて夢創造宣言2007なるものも同時に資料に掲載されておりました。次期知事候補がマニフェストを作成する際の基準となるような資料でありました。この資料についてどう考えていくべきなのか、お示しください。
 また、この4年の在任途中の県政課題の評価についてはどのように対応すべきでしょうか。増田知事が責任ある対応をすると言っていた森のトレー問題において、この対応はこのままでよいのでしょうか。そういった評価はどのように考えておられるのでしょうか。
 財政分野で、プライマリーバランスの均衡は達成したとのことですが、一方の累積債務が知事在任期間に肥大化し、硬直財政を招いている点などをどのように評価するのでしょうか。評価の視点が違うことによる反省をどのように受けとめるべきなのか、お示しいただきたく思います。
 次に、盛岡市中央卸売市場と流通について質問いたします。
 国の第8次中央市場整備計画によって、市場の動きが大きく変わってきております。流通環境が大きく変化しているのに伴い、昨年4月から、大分市中央卸売市場は大分市公設地方卸売市場へ、北海道釧路市中央卸売市場は釧路市公設地方卸売市場へ、中央卸売市場から地方卸売市場に移行して体質改善を図ろうとしております。
   〔議長退席、副議長着席〕
 盛岡市中央卸売市場は農水省の管轄でありますが、地方市場に移行した場合は、その監督は管轄の地方公共団体に移管され、都道府県が深く関与することになります。
 そこで質問いたしますが、県として現在、県内の市場にどのようにかかわっているのでしょうか。現段階で、中央卸売市場から地方卸売市場へ移行するメリット、デメリットをどのように考えておられるのか、お知らせください。
 また、盛岡市中央卸売市場は、ほかの市場に比較して使用料が高いと考えます。その高い使用料が卸売業や仲買などにとって大きな障害となっており、他市場との競争に対応できなくなっているのではないでしょうか。東北の主な中央卸売市場と比較しても、面積割使用料は、平成17年度ベースで秋田市中央卸売市場の約5倍。青森市、八戸市、福島市でも約3倍の高さ。仙台市よりも1.5倍と、使用料の高さは断トツであります。また、駐車場料金も高く、負担の格差は大きく広がっているようです。その中にあって、盛岡市中央卸売市場では、さらに使用料の減免措置の廃止を模索しているようであります。県は、この問題をどう認識しておられるのでしょうか。県としての指導、支援はないものか、質問いたします。
 また、平成21年には委託手数料の自由化が行われることになっておりますが、その変化によってもたらされる結果はどんなことが想定されるのか、質問いたします。
 次に、競馬事業に対する主要3基金の対応について質問いたします。
 競馬の330億円の融資を行うかどうかが今議会の大きな争点になっております。公設ギャンブルに多額の資金を投入できるのならば、障害者自立支援法の制定によって負担感が増している福祉分野や、医師不在の地域も出てきた医療改革にこそ投資すべきであると考える県民が多いのも確かなことです。この330億円の基金創出は、ほぼ県がその肩がわりをすることになっており、その財源は、主要3基金である財政調整基金、公共施設等整備基金、県債管理基金を取り崩して確保するとのことです。一度一般会計に入れるとしても、実質競馬事業の基金として新たに転用するその事実から、さまざまな問題が生じるのではないかと危惧する一人であります。また、基金の存在は、その理由があるために存在し、使用目的が明らかだからこそ、その基金と言えます。
 まずは、3基金の特徴から、条例の範囲で資金を競馬基金に転用できるものかどうかを質問いたします。また、県の貯金に当たる主要3基金の残高の442億円は、7、000億円程度の県予算の規模からするとそれほど大きな金額ではありませんし、残すところ116億円程度の規模では、基金の意義は極端に低下してしまいます。沿岸地域の首長から、津波などの被害のために、基金の取り崩しはしてほしくないとの陳情もあったところであります。将来に不安を残す結果になると私は思いますが、その点をどのように考えておられるのでしょうか。特に財政調整基金は、災害や緊急を要するものに対する経費であり、本県の県土を考えると、県民の安心・安全を阻害することにもなりかねません。容易に基金を切り崩すことはできないと感じますが、いかがでしょうか。
 さらに、各基金条例を読むと、第5条の繰替運用の項目には、確実な繰り戻しの方法、期間及び利率を定めて運用できるとありますが、今回のように実質競馬事業の融資に転用されるに当たって、確実に繰り戻しの方法や期間は明示されておりません。一般会計に入れてから新たな競馬基金を創設するという方法は、理論上運用できるといっても、乱暴過ぎる理論だと言えます。今回の趣旨や目的を考えたとき、このことは条例にも反することだと思いますが、いかがでしょうか。また、どのように確実な繰り戻しの方法、期間及び利率を定めるものなのでしょうか。また、廃止が決まった時点で返済が困難であると思う事業はこの条例に対応しないと思うのは私だけでしょうか、質問いたします。
 今回の融資案件は、県と両市が330億円を一たん競馬組合に貸し、組合は、その資金で借金をすべて繰り上げ返済して、金利が大幅に下がることを根拠に提案されております。利払い額は、現在の年6億円程度から1億円程度に減少し、5年間で23億円程度が節約できる見込みとのことであります。であるならば、その金利分の財政支援をする形の方が県民負担は最小限で抑制できると考えますが、いかがでしょうか、質問いたします。
 増田知事は、廃止基準を設定しただけで、次の知事に競馬存続の判断をゆだねようとしております。増田知事が管理者として就任して赤字が累積した事実があります。また、早くから川勝平太氏などが座長として改革を提唱したものの、十分な改革を果たせず今日を迎えたことに対して、最高管理責任者としてどう考えておられるのでしょうか。さらには、不退転の決意で臨む競馬事業の判断が次期知事の判断によることになり、実質責任回避しているとの指摘がございますが、その点をどのように考えておられるのでしょうか。
 次に、医療の公平性について質問いたします。
 県内の医師確保が県政の大きな問題となっております。医療は、県民だれもが最低限保障されるべき分野であり、公平にその恩恵を受けられることこそが重要であります。1月に行われました安倍内閣の施政方針演説でも、医療や介護については、レセプトの電子化などにより医療費の適正化に努めるとともに、地域における小児科、産科の医師の確保、救急医療体制の整備など、安心な地域医療を確立しますと明確にされ、国の政策と本県の政策が同様のものであることが明らかになりました。岩手県も対策室を設置し、医師確保に努めていますが、いまだ県内の地域要望とは離れた結果しか出せないままでおります。この医療分野こそ国の政策と連携することが必要だと思いますが、いかがでしょうか。実質、政府はどのように医療格差を解消していこうとしているのか、さらに、県の新たな取り組みによるその連携についてお示しいただきたいと思います。
 また、政府は、IT技術などを利用して遠隔医療を推進することで医療水準を確保しようと考えているようであります。先日、産婦人科などによるその取り組みが報道されましたが、今後の取り組みについてお知らせください。
 この取り組みには、情報インフラの整備が整っていることが前提条件になります。しかしながら、本県のインフラ整備率は全国でも下位の方に位置し、50%以下だと言われております。ADSLすら回線網が敷かれていない地域も多く、医療改革とインフラ整備は一体の問題として取り組むべき分野だと思います。医療の公平さを保つためにも必要不可欠な公共事業と思いますが、いかがでしょうか。
 団塊の世代が退職年齢に達し、いよいよ加速度的に高齢化率が高まる時代に突入しました。医療介護の分野でも、施設型から在宅型への取り組みが必要になっていると聞いております。しかしながら、訪問医の考え方や在宅介護の取り組みは、いまだ制度上の不備も見られ、さらには、人材確保も大変になっていると言われております。県は、どのようにこの転換を考えておられるのか、訪問医への取り組みをどのように支援するお考えなのか、また、それに当たる人材育成をどのように考えているのか、お聞きいたします。
 また、岩手労災病院の撤退によって、花巻広域の医療が大きく変化しております。特に、総合的な医療を受けていた脊髄損傷者の団体から、引き続き医療機能を確保してほしいとの要望を岩手県は受けているところです。今後、花巻市の指導により杏林会が受け皿となるようでありますが、その対応ができるまでのハードルも高いようであります。団体からは、これまでの医療を継続してほしいとの要望ですが、その実現はかなり困難になるようであります。これに対する県の対応はどのようにするつもりなのでしょうか。代案はあるか、お示しいただきたいと思います。
 最後に、教育について質問いたします。
 1月の安倍総理の施政方針演説では、教育再生は安倍内閣の最重要課題であると明言しておりました。その演説内容は、現在、いじめや子供の自殺を初めとして、子供たちのモラルや学ぶ意欲の低下、家庭や地域の教育力の低下といった問題が指摘されています。公共の精神や自律の精神、自分たちが生まれ育った地域や国に対する愛着・愛情、道徳心、そういった価値観を今までおろそかにしてきたのではないでしょうか。こうした価値観をしっかりと子供たちに教えていくことこそ日本の将来にとって極めて重要であると考えますと述べております。私自身も共感する部分が多く、教育委員会委員長の演述にも同様な内容が述べられておりました。今後、このような価値観を伝えるカリキュラムなどを策定することが大切だと思いますが、教育長はどのように考えておられるのでしょうか。また、今後の取り組みを御紹介ください。
 また、60年ぶりに改正された新教育基本法を踏まえ、教育振興基本計画の策定や、学校現場の指針となる学習指導要領の改訂の論議が始まりました。今後、この改革に本県の教育委員会はどのような姿勢で臨もうとするのか、お知らせいただきたいと思います。
 総理の施政方針演説には、教育委員会については、期待されている機能を十分に果たしているとは言えませんとはっきり述べられております。その点についてどのように考えていけばよいのか、何が教育委員会として求められているのか、その所見をお聞きいたします。
 今回、教育委員会委員長の演述は、予算特別委員会の教育委員会審査の冒頭から本会議初日、知事演述の後になりました。今日の日本ほど教育分野に期待が持たれている時代はありません。その中での本会議の演述は県民に対して広く告知することにもなり、その姿勢は大変評価できるものであったと思います。
 演述では、家庭教育の充実の項目が述べられております。その中で、家庭や地域の教育力の低下を指摘し、すべての親を対象にした学習機会の提供をすることのようであります。
 そこで質問いたしますが、どのように家庭教育にかかわり、そしてどんな事業を推進しようとするのでしょうか。また、その際、その人材はどのような人が担うのでしょうか、お知らせください。
 以上をもちまして私の一般質問とさせていただきたいと思います。ぜひ将来世代に期待の持てるような、そんな行政であっていただきたい、そのように思います。本当によろしくお願いいたします。ありがとうございます。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 高橋雪文議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、人口減少に対しての認識でありますが、本県の将来人口は、国立社会保障・人口問題研究所によりますと、2030年―平成42年には、平成12年―2000年に比べまして約13%減少と予測されております。123万2、000人、こういう数字であります。平成17年の本県人口は、この予測傾向を既に下回っておりますので、将来的には、さらにこの予測よりも減少する状況も想定されるところであります。こうした人口減少社会においては、労働力人口や消費人口の減少によります地域経済規模の縮小や社会保障面での負担の増加など負の影響が懸念されますので、極めて大きな課題と認識しております。
 次に、人口の県外流出への対応についてであります。
 どのように歯どめをかけようとしているのかというお尋ねでございますが、県内における産業活動を活性化するとともに、新たな企業の誘致などによりまして、雇用の場を創出・確保していくことが重要であります。このため、昨年11月に策定した産業成長戦略に基づいて、今、対策を講じているところでありますが、さらに、地域の産業界と教育界が一体となって人材を育成するための仕組みづくりを進めて、企業ニーズに対応した優秀な人材を育成することによって、新規学卒者の地域企業への雇用の拡大、ひいては県内定着を図っていきたい、このように考えます。
 次に、ジョブカフェでありますが、このジョブカフェは、平成16年度に経済産業省のモデル地域に選定されて、同年7月に盛岡市にジョブカフェいわてをオープンして以来、キャリアカウンセリングや各種セミナーを中心に、これまで延べで約11万人の若者が利用して、うち約6、000人が就職決定したものでございます。若年者の就業を幅広く支援する仕組みの構築に寄与できた、このように考えております。
 このジョブカフェモデル事業は本年度をもって終了となりますけれども、これまでの取り組みの成果を踏まえて、地元の市町村や産業界とも連携を図りながら、若年者の就業支援機関としてその機能を発揮していきたい、このように考えております。
 なお、今後の事業については、若年者を取り巻く雇用環境などを踏まえて、さらにはジョブカフェ事業の実績等について、その都度評価を加えながら事業のあり方を判断していくべき、このように考えております。
 次に、雇用対策でありますが、平成14年度に県としての総合雇用対策を策定いたしましたが、その当時は、有効求人倍率の低下や誘致企業の撤退が相次ぐなど、本県の雇用環境は極めて厳しい状況に置かれておりました。総合雇用対策を策定して、そして対策を講じなければならない、そういう危機感があった時代でございます。そうしたことから、今申し上げました総合雇用対策を策定し、さらに昨年4月にはその目標数値を上乗せするなどしてそれ以来対策に取り組んでまいりましたが、その後、本県の雇用環境は、少しずつではありますが改善の兆しが見られるようになったところでございます。こうした情勢の変化を踏まえて、さらには、若者の就職支援体制の構築など、緊急的な政策として掲げた雇用対策については一定の役割を果たしたもの、このように考えまして、雇用対策局については本年度末で廃止することとしたものでございます。
 しかしながら、求人数の増加や有効求人倍率の上昇だけをもって雇用が安定したとは考えておりませんで、非正規雇用の増大から生ずるさまざまな問題、さらには県北・沿岸地域の雇用情勢への対応は必要でございますので、雇用対策は本県の重要課題であると引き続き認識しております。したがって、今後は、産業振興施策と一体的な取り組みによる雇用創出を図っていきたい、このように考えます。
 掲げました目標3万6、000人の実態とその評価についてでありますが、まず、県の総合雇用対策の中には国の基金事業が含まれております。これは、多くの失業者に就労の場を提供することをねらいとしておりますので、こちらの事業での実施については短期間の雇用を前提とせざるを得なかった、こういう状況がございました。この基金事業を除いた県の施策や事業につきましては、期間の定めのない長期の雇用環境を前提として雇用創出に取り組んできたところでありますが、雇用形態というのは、今、大変多様化しておりまして、特定個人の雇用関係に着目した人数計上の方法ではございませんでしたので、正規雇用と非正規雇用の区分までは把握しておりません。
 このように雇用環境が低迷していた状況下では、まず、量的な雇用の創出を中心に取り組んできたのでありますが、今、量的には雇用環境に改善の兆しが見られるようになってきており、今後は、今、議員が御指摘されたとおり、雇用の質をよく見て取り組むことが重要と考えます。このため、できる限り期間の定めのない長期安定した雇用が確保されるように、県内企業に対して、正規雇用の拡大や地域産業人材としての育成、定着についてあらゆる機会に要請してきているところでございまして、これらの取り組みによりまして正規雇用の創出にも一定の成果があったもの、このように考えているわけであります。
 次に、県内経済規模の状況でございますが、県内で新たに生み出された付加価値の総額でございます実質県内総生産は、平成17年度の速報値において4兆9、327億円であります。平成8年度を100として比較した場合には105.8という数字になります。この数値から見ますと、本県経済は、厳しい景況に置かれておりますが、規模という観点では、緩やかでありますが拡大している、こういうふうに考えております。
 その中で、中央大手資本の進出の状況でございます。県外資本による立地例が比較的多い大規模小売店舗の年間販売額は、平成16年商業統計で、県内全体額1兆3、716億円のうち3、822億円、2年前の平成14年調査に比べますと255億円の増加、こういうことになっております。一方で、地元資本による経営がほとんどだと考えられます中小小売店舗の年間販売額は9、894億円、こちらは499億円減少している、こういうことでございます。
 平成17年度に県が商工団体等に行ったヒアリングによりますと、大規模小売店舗の立地に関して、雇用機会の増加、買い物の機会が拡大したなどの評価が挙げられております一方で、直接仕入れによる地元卸売業への影響や突然の撤退による地元経済への影響―悪影響といった御指摘がございました。現在、有識者で中心市街地活性化懇談会をつくりまして、そこで大規模集客施設の適切な立地に関していろいろ意見をいただいております。特に、県内業者との取引、撤退時における従業員の雇用確保、こうしたことを制度として担保できないかといった意見をいただいているわけでございまして、今後、中央大手資本も含めた商業施設が、県内経済により一層寄与していただける環境整備のあり方を検討していきたい、このように考えます。
 次に、マニフェストの関係であります。私が先般開きましたマニフェスト検証大会についてでありますが、まだこのマニフェストについて評価手法が十分確立されていない中で開催いたしましたが、今後の検証の一つのモデルとなったのではないか、また、県民が県政を判断する視点を提供できたのではないか、このように考えます。
 大会において私が自己評価を行った趣旨は、県民と当選時に約束したマニフェストの内容について、任期終了時点で、その実施状況について自己検証を行って広く公表するという、まさにその責務を果たすためのものでございました。また、第三者評価については、私の評価の観点とは異なっておりますけれども、候補者や県民にさまざまな評価の考え方が提示されて、マニフェストの評価をめぐる議論が活性化するのは好ましかったのではないか、こういうふうに考えております。
 私のマニフェストについては十分なものとは私も思っておりませんで、財源や期限などの具体的な目標値を盛り込んだ項目が大変限られております。また、見やすさという点でも改善すべき点が多々ありますし、また、実際の内容でありますが、目標を達し得なかった事業について、その実行過程においてもっと創意工夫すべき点も多々あった、こういうふうに考えております。
 今、議員の方から、マニフェストで、その目標を掲げる際の第三者の基準、指標を設定する必要があるのではないか、こういう御指摘がございましたが、こうしたマニフェストは必ずしも候補者だけがつくるということではなくて、有権者の側から候補者にマニフェストを示したり、あるいは、今お話あったようなマニフェストの指標を提示し、働きかけるということもあり得るのではないか、このように思っているわけでありまして、こういう活動によりまして、有権者や各分野の専門家などがマニフェストの指標の作成などに関与していただくことによって、またこうした民主主義が進化していくということも期待しているものであります。
 あわせて、先般の自己評価報告の中では、今後の岩手に向けての県政課題ということをお示しいたしました。このことは先ほど申し上げたわけでありますが、次の知事選の候補者は、県民の皆さん方に、政策達成度の評価と今後の方向性や課題をお示しした上で、知事選挙での政策論争が活発に展開されるということを期待してのものでございまして、ぜひそのように展開されることを期待しているものでございます。
 また、マニフェストに掲げていない項目、在任中に起こった県政課題ということについてお尋ねでございました。
 そもそもマニフェストは、従来型の公約と異なって、数値目標や実行期限を含めて、できるだけ具体的、詳細に政策を取りまとめるものでありまして、こうした具体性を持つことによって、達成度評価によって逆に県政課題がさらに明らかになる、県政課題が見えてくる、こういうものであると思います。また、評価の際にさまざまな御意見をいただくことによって、次のマニフェストの内容、それから評価の水準というものがさらに高まるもの、このように考えております。
 私が掲げましたマニフェストの中には、県政の中で重要と考える主な公約を取りまとめたつもりではありますが、すべての県政課題について詳細に示すというものではございませんでした。また、その当時の判断が、すべてその後を見通すということには当然いかなかったわけでありまして、森のトレーにもちろん具体的に触れていないということもございますし、また、財政問題については、公共事業の抑制という形で触れてはおりますけれども、いずれにしても、その後に出てまいりました課題ということについて触れていないものも多くございます。競馬も同じようなものでございます。
 そこで、そうしたことについて、いわゆるマニフェストに盛り込まれていない項目については、やはり毎年度、監査という制度や、あるいは議会での審議などを通じてチェックを受けると考えるわけでございますが、望むらくは、そうしたその後の重要な課題を、できる限り詳細に取り上げるという姿勢が必要と考えております。
 今回の検証大会で、私と第三者との評価の視点が異なっておりまして、必ずしも十分かみ合っていなかったという御意見や、それから、今も御指摘ございましたが、私の評価と県民の実感の間にずれがあるのではないか、こういった御意見があることは承知をしているわけでありますが、今後、そうしたことを受けて、より高いレベルでマニフェストサイクルというものが循環し、県民に身近でわかりやすい評価方法などが確立していくものと期待しているものでございます。
 最後に、競馬事業についての関係でございます。
 まず、利子補給による競馬組合の支援という方策もあるのではないか、こういうお尋ねでございました。県民負担がそちらの方が最小限で抑制できるのではないかというお話かと思いますが、今回、私どもの方で競馬組合の債務全額を構成団体融資に切りかえる案をお示ししておりますのは、これは、確かに効果として利払い負担の軽減や元金の弾力的な返済の実現につながるという部分も持っておりますけれども、構成団体融資に切りかえる一番大きなねらいは、事業存廃の基準―発売額の25%の範囲内で経費をすべて賄う―のもとで、新たな赤字を発生させない仕組みに転換する、このことでございまして、また、こういう新たな赤字を発生させない仕組みに転換するというそのためには、金融機関からの融資が見込めなくなる、このことが最大の理由でございます。
 そもそも金融機関の融資といいますのは、売上拡大による収益によってみずからが返済するような見通しでなければ成り立ちませんで、今回のように、売り上げを現実に沿って下方修正した新計画のもとでは、そのような条件を満たさないということがございます。また、新たな赤字が発生する場合は事業を廃止するという存廃基準のもとで運営していくということになりますので、金融機関から、そういう面でも新たな融資を受けることが不可能である、こういうことが言えようかと思います。
 このため、構成団体みずからが資金手当てを行うということが必然的な帰結として必要になる、こういうことをまず申し上げておきたいと思うわけであります。
 その上で、実際に組合が抱えております債務の内訳を見ますと、今年度末の330億円の債務のうち、少なくとも今年度末に返済期限を迎える借入金、それから今年度末までに支払いを要する経費、これは210数億円―代表質問のときに申し上げましたが、足し合わせますと210数億円必要になるわけでございますが、これについては、新たな金融機関からの融資が見込めない以上、現時点、すなわち平成18年度末時点で、構成団体が負担することが避けられないということがございます。
 また、仮に平成19年度以降に返済する約定となっております残りの部分でございますが、組合の起債111億円がございますけれども、これについて、今、議員から御提案がありましたように、利息について構成団体が補助する、こういうやり方もとれなくはないわけでありますが、こちらの利息について構成団体が補助するという場合にありましても、今後数年間は、各年度に、利息のほかに15億円を超える元金の返済が必要ということになっておりますので、これも含めて、毎年度構成団体が補助し続けるということになるわけでありまして、赤字を出さないというルールを崩すことになる上、構成団体の毎年度の財政運営にとっても非常に重たい負担になることが見込まれまして、この方式をとるよりも、今年度末にすべて構成団体融資に切りかえる、111億円の分も含めて構成団体融資に含めるということが適当と考えたものであります。
 今回の構成団体融資スキームは、このような検討を尽くした上で、現時点でとり得る最善の方策として御提案したというものでございます。
 次に、管理者としての責任ということでございますが、確かに、今、議員の方から御指摘ございましたとおり、私自身はこの春で知事という立場も、それからあわせまして競馬組合管理者という職から身を引くことになるわけでありますが、競馬組合、そして知事として、県政の最高責任者として今なすべきことは、これまで行ってまいりました組合についての取り組み、その反省に立ちまして、まず、新たな赤字を発生させない仕組み、ルールを構築した上で、競馬事業を継続して平成19年度を迎えるのか、あるいは現時点で廃止をするのか、この二つです。このどちらかについて、明確かつ責任ある判断と対応を行うこと、これが今私のなすべきことである。そして私は、そういう上からは、県民負担を最小にすることを最優先にする観点から、今、前者の方を選んで、その実現に全力を尽くしているという状況でございます。
 このため、昨年11月に策定いたしました新しい計画があるわけでございますが、その計画に沿って、構成団体融資のスキームを提案しているところでございますが、関係者の理解をいただきながら、競馬の再生に向けた道筋をつけることが、管理者としての私の責任、このように考えておりまして、その実現に向けてさらに力を尽くしてまいりたいと考えているところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承お願いします。
   〔農林水産部長高前田寿幸君登壇〕
〇農林水産部長(高前田寿幸君) 盛岡市中央卸売市場と流通についてでございます。
 まず、県内市場への県のかかわりについてでございますが、本県には26の地方卸売市場等がございまして、卸売市場法に基づき、県内市場の今後の整備の基本方向などを内容とする岩手県卸売市場整備計画を5年ごとに策定するとともに、毎年度、計画的に市場の立入検査を実施し、市場の適正かつ健全な運営の確保に努めております。
 また、盛岡市中央卸売市場につきましては、県に指導監督の権限はないものの、市場運営協議会の委員として、業務運営の重要事項に関する調査・審議に参画いたしております。
 次に、地方卸売市場への移行に伴うメリット、デメリットについてでございますが、地方卸売市場への移行に伴い、特に留意する必要があると考えられます市場の集荷力への影響につきましては、昨年4月に地方卸売市場に転換いたしました釧路、大分などの各市場の先行事例を十分に検証し、それらを踏まえた検討が必要でありますことから、その影響を見通すことは困難でございますが、現時点で考えられるものを申し上げますと、許認可申請、報告などの事務手続の簡素化によりまして人員体制の縮小が可能となることや施設活用の柔軟性など、運営上の効率化が図られるメリットがある一方、新たに施設を整備する際の補助率が低下するなどのデメリットがあると考えてございます。
 次に、施設使用料の減免措置についてでございますが、盛岡市中央卸売市場の施設使用料につきましては、国が示した算定方式等を基本に盛岡市の条例で定められております。盛岡市におきましては、卸売市場の改革・改善を推進するための基本的なビジョンを策定するため、検討組織を設置いたしまして、この中で施設使用料についても協議をした結果、今月22日に策定されましたビジョンにおきましては、現行の使用料の激変緩和措置を当面継続する方向で検討することとなったと承知いたしております。
 盛岡市中央卸売市場につきましては、県が直接指導する立場にはなく、また、施設使用料が盛岡市の条例事項でもありますことから、基本的には、盛岡市と市場関係者の間で協議されるべき問題であると考えますが、県といたしましては、今後とも盛岡市中央卸売市場運営協議会の場におきまして、必要に応じて助言してまいりたいと考えてございます。
 次に、委託手数料自由化の影響についてでございますが、現在、中央卸売市場の委託手数料は、国によりまして全国一律に定められておりますが、平成16年の卸売市場法の改正に合わせてこれが見直され、平成21年4月から委託料の弾力的な運用が開始されることとなってございます。
 この改正によりまして、卸売業者が生産者や小売店等へ提供するサービスの内容や取引量に応じて弾力的に手数料を設定することが可能となりまして、これに伴い、市場間の集荷競争の激化や都市と地方の卸売市場の格差が拡大することが予想されると考えております。
   〔総務部長川窪俊広君登壇〕
〇総務部長(川窪俊広君) 競馬事業に関します主要3基金の関係でございますけれども、主要3基金の今回の措置につきましては、各基金の目的に従いまして取り崩しを行うことによって、融資に必要な財源を生み出すというものでございまして、結果として、主要3基金の残高が減ることにつきましては、今後の財政運営において一層慎重な対応が求められることとなるものでございますけれども、財源手当ての手法としては、可能な方策であるものでございます。
 また、財政調整基金などの主要3基金は、御指摘のように、災害や緊急の必要性に備える上で重要なものでございまして、その残高が縮小した場合には、そうした事態に備える余力がその分だけ小さくなるわけでございますけれども、仮にそのような状況のもとで大規模な災害が発生したような場合におきましては、国庫補助金や災害復旧事業債、さらには建設事業でなくても地方債が発行できる災害特例債といった災害対応のための各種の財政措置を最大限に活用いたしました上で、さらに必要な場合には、残る主要3基金を活用するなどいたしまして、所要の財源を確保して対応していきたいと考えております。
 また、御指摘のありました基金の繰りかえ運用についてでございますが、この繰りかえ運用という手法は、予算に計上することなく、知事の判断によって、基金に属する現金の運用の一形態として、基金残高を維持したまま歳計現金の一時的な不足を埋めるために転用するという手法でございます。したがいまして、その性格にかんがみまして不適切な運用にならないように、それを行う際には、繰り戻しの手法や時期を明確に定める必要があるという旨を基金条例に規定しているところでございます。
 これに対しまして、今回の競馬組合への融資の関係の主要3基金の活用につきましては、ここで規定しております繰りかえ運用とは異なりまして、予算に計上いたしまして条例に従って取り崩しを行うというものでございまして、これによりまして、基金残高が減少するということになるものでございます。
 いずれにしましても、緊急の財政需要に備える上で主要3基金が重要であるとの御指摘のとおりでございますので、今後、県の財政状況にもよりますけれども、可能な機会には、これらの基金にできるだけ新たな積み立てを行うように努めまして、財政的な備えにつきまして、少しでも厚くできるように取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
   〔保健福祉部長赤羽卓朗君登壇〕
〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) 医療の公平性について、まず、医師の確保対策についてでございますが、県では、これまで地域医療の確保のため、医師など人材の育成支援、小児医療体制の確保、充実、僻地医療確保のための財政支援などについて、他県とも連携して、国に対して毎年さまざまな場面や機会をとらえて要望してきたところでございます。
 こうしたこともありまして、昨年8月に国が取りまとめました新医師確保総合対策では、医師の地域偏在の解消に向けて、本県がこれまで要望してまいりました医師不足地域の大学医学部の入学定員の増員について、岩手医科大学の暫定的な医師養成数の増員の道が開かれたほか、緊急的な医師派遣調整を行います地域医療支援中央会議の設置や地域医療を担う医師の養成を推進する方針などが示されたところでございます。
 県としては、この新医師確保総合対策が具体化され、本県の地域医療の充実に資するよう、国と連携しながら、また、本県の実情を踏まえた提案なども行うなど、医師確保を中心としたさらなる取り組みを総合的に進めてまいりたいと考えております。
 次に、遠隔医療の推進についてでございますが、本県では、いわて情報ハイウェイを活用いたしまして、岩手医科大学と11カ所の県立病院を結びテレビ会議での症例検討などを行う医療情報ネットワークシステムや、県内17病院をネットワークし、当直医等が小児科医師による助言を受けることができる小児救急医療遠隔支援システムなどを行っているところでございます。
 また、本年度から日本産婦人科医会岩手県支部が、遠野・釜石地区をモデルに、インターネット経由で胎児の心拍数データなどを担当医の携帯電話に送信する在宅妊婦管理システムに取り組んでいるといったところでもございます。
 ITを利用した遠隔医療は、医療の均てん化や救急医療などの面で効果が高いものと認識しておりまして、今後、医療情報ネットワークシステムの臨床研修プログラムへの活用など、さらに努めてまいりたいと考えております。
 なお、情報通信インフラの整備につきましては、適正な競争原理のもと、民間主導で進められるのが原則でございますが、条件不利地域を多く抱えます本県の場合は、民間通信事業者が投資しにくいといったような現状にもございます。
 一方、情報通信インフラは、医療面だけではなく、福祉や防災、産業振興など県民生活、産業活動を支える重要な社会インフラでありますことから、県としては、地域での利活用の方向などを適時適切に通信事業者にお示しし、民間投資を促進するとともに、市町村と連携して情報通信インフラの整備に努めてまいりたいと考えております。
 次に、医療介護分野における施設型から在宅型への転換と人材育成についてでございますが、これまで医療や介護が必要な高齢者が、可能な限り、住みなれた地域や御自宅で生活できるよう、通所介護やホームヘルプサービス、訪問看護等の在宅サービスの充実に努めてきたところでございます。
 今後、御指摘ありましたように、急速な高齢化の進展により、より一層、在宅サービスを充実していくとともに、保健・医療・介護の連携体制の確保により、地域で支えるケアを構築していく必要があると考えているところでございます。
 このため、県といたしましては、現在策定中の新たな医療計画や地域ケア整備構想―これは仮称でございますが―などにおきまして、医療や介護を要する高齢者に対する在宅療養支援診療所を活用した療養の仕組みや多様な住まいの提供など、保健・医療・介護の各サービスが切れ目なく提供される体制の構築を検討していくこととしております。
 在宅のこうした医療や介護を担う医師でありますとかホームヘルパー等の人材につきましては、これまでも在宅医療推進のための実践研修会や緩和ケア講習会などの研修により育成を支援してきたところでございますが、今後は、こうした研修に加えまして、地域包括支援センター職員や介護支援専門員など、地域ケアの中核となる人材の育成にも一層努めてまいりたいと考えております。
 また、在宅介護を支える福祉人材の確保のためには、介護報酬の適切な評価が必要であり、良質なサービスが提供できるよう、その分析評価を引き続き国に要望してまいりたいと考えております。
 次に、岩手労災病院の関係でございますけれども、労災病院の廃止に当たりましては―これは一般的に労災病院という意味でございますが―国が策定いたしました労災病院の再編計画において、廃止等によって患者の診療及び療養に支障を来すことのないよう、今後における診療・療養先の確保等に努めると明記されているところでございます。
 こうした考え方を受けまして、花巻市の医療基本構想においても、脊髄損傷患者への対応については、継続した医療提供が重要な課題と位置づけられておりまして、労働者健康福祉機構や花巻市、後継医療機関でございます医療法人など関係者間において調整が進められているところでございます。
 県では、これまで後継医療機関の円滑な開設に向けて、関係法令等の観点から指導・助言を行うとともに、市の医療基本構想に沿った形で移譲されるよう働きかけを行ってきたところでございます。
 現在、脊髄損傷により入院している方が1名、外来通院されている方が1日5名程度おられると伺っておりますが、こうした脊髄損傷患者の団体との意見交換も何度か行ってきておりまして、この声もお伺いしながら、後継医療機関への移譲後においても、必要な医療が継続して提供されるよう努力してまいりたいと考えております。
   〔教育長照井崇君登壇〕
〇教育長(照井崇君) まず、価値観を伝えるカリキュラムについてですが、近年、子供たちの状況を見ますと、倫理観の希薄化、規範意識や道徳心・自律心の低下、さらにはいじめや問題行動の増加など、多くの問題が指摘されています。このことから、子供たちが命をとうとび、家族や友人、地域や国を愛するなどの豊かな心、また決していじめをしない、許さないという強い心などを育成していくことが大切であると考えます。
 このような価値観を子供たちに培うために、学校教育においては、決まりや約束を守ることの意義や大切さ、社会生活におけるルールなどを道徳の時間や社会科などで教え、また、友情や感謝の心などの道徳観と豊かな感性をはぐくむために、特別活動や総合的な学習の時間で多様な体験活動に取り組み、さらには、地域の歴史や産業・文化・伝統などについて学び、郷土に対する誇りを持つ心を育てる取り組みを教育計画に位置づけているところです。
 このたび、小・中・高等学校において、命の大切さについて系統的に学ぶ体験活動の効果的なプログラムを作成しましたので、今後は、このプログラムに基づいて、道徳心などの価値観をはぐくむ教育の指導に努めてまいります。
 また、来年度から中学校と高等学校が連携して、人間としての在り方や生き方を考える教育の研究に取り組むなど、道徳教育や体験活動を取り入れた教育活動の一層の充実を図り、子供たちに豊かな人間性をはぐくんでまいります。
 次に、新教育基本法を踏まえた本県教育委員会の姿勢についてですが、新教育基本法では、義務教育において、子供が社会で自立できるよう基礎、基本を身につけさせることが明確化され、また、保護者が子供の教育について第一義的責任を有すること、学校、家庭、地域が相互に連携協力し、それぞれの役割を果たすことなどが新たに規定されるとともに、公共の精神や規範意識の醸成、伝統と文化の尊重なども教育の目標として掲げられたところです。
 そこで、県教育委員会としては、子供たちが身につけるべき基礎的な学力や生活習慣などの目標を学びフェストとして掲げ、学校、保護者が共通の意識を持って子供たちを育てていく取り組みを進めるとともに、地域と連携し、地域の産業や文化を受け継ぐ、将来の地域づくりの担い手の育成にも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、教育委員会がその機能を果たしていないとの指摘は、教育委員会が、子供の学力低下や規範意識の欠如などの今日的な課題に的確に対応できていないことや、いじめなどの問題が発生した場合の対応に適切さを欠く場合があることなどに起因しているものと認識しております。
 今後、教育委員会には、教育に対する児童生徒や保護者、地域住民のニーズの把握に努め、そのニーズに迅速かつ的確にこたえていくことがますます求められてまいります。
 そこで、県教育委員会としては、社会生活で必要な最低限の基礎学力や基本的な生活習慣、規範意識などを身につけさせてほしいという社会のニーズを踏まえて、家庭や地域と連携、協力しながら、子供たちの基礎・基本の着実な定着を図る学力向上対策や勤労観・職業観を育成するキャリア教育の推進、規則正しい生活習慣や学習習慣の確立などに積極的に取り組んでまいりたいと考えています。
 次に、すべての親を対象とした家庭教育についてですが、本県においても、家庭や地域の教育力の低下が指摘されており、家庭教育・子育て支援の充実が重要な課題であると認識しています。
 これまで、父親の家庭教育における役割を考えるフォーラムの開催、家庭教育の啓発資料配布やテレビ放映による情報提供、しつけや育児不安などの悩みにこたえる電話相談などを実施してきているところですが、今後は、関心の高い親だけではなく、地域で孤立し一人で悩む親や子育てに関心の薄い親なども含め、すべての親等への家庭教育の支援が必要であると考えています。
 そこで、子育てに関する講座等に参加したくても参加できない親等が、気軽に相談できるよう、携帯メールを利用した子育て相談窓口を開設するほか、市町村や児童相談所などの関係機関と連携し、すべての親が参加する就学時検診や乳幼児健診、あるいは中学校、高等学校の入学説明会などの機会を活用した子育て講座の開設の促進や父親も参加してみたいと思う魅力あるプログラムの企画など、すべての親が参加できるような家庭教育に関する学習機会の提供に努めていきたいと考えています。
 また、来年度より各学校において、子供たちが身につけるべき目標を掲げて育てていく学びフェストの取り組みを進めることとしておりますが、その中で、学校と家庭の約束事を位置づけることにより、両者が連携、協力しながら共通の認識を持って子供の教育に取り組むことができるようにしていきたいと考えています。
 さらに、子育てサーポーターを引き続き養成し、保健師や助産師に同行して家庭訪問し、親身になって家庭教育や子育てに関する相談に応じていきたいと考えています。
 今後とも、市町村や関係機関・団体などとの連携を密にしながら、家庭教育の支援に一層努めてまいります。
〇10番(高橋雪文君) 幾つか再質問させていただきたいと思います。
 まず最初に、人口減少の問題でございますけれども、確かに全国共通の課題として人口減少が問題となっている。その中でも、本県は予測を上回る形で人口が減少している、ここをやっぱりもう少し重要視していくべきではないかと思います。確かに若年層の場合、雇用拡大などを重点的にやっていくことは大切だと思うんですけれども、やっぱりその雇用の中身、あとは所得、そういうある程度中央との格差を埋めるような取り組みも必要なのではないかと考えるわけであります。いずれ、今回、総合雇用対策局というシンボルのようなものがなくなったことによって、シンボル的な危機意識を啓発するものがなくなっている、私はそこに非常に不満を持っているところでありまして、私たちの問題が人口減少や雇用にあるならば、やっぱりそれを県民にしっかりと指し示す、そんな取り組みが必要である。そして、県民の総合力を発揮して人口減少とか雇用拡大について取り組む、そういう力強さが行政にとっても必要なのではないかと思いますが、増田知事はどうお考えなんでしょうか。
 二つ目でございますが、主要3基金に対するものでございます。行政のテクニックを聞いているわけでもありません。そこに基金の目的があって、それを取り崩す。では一体、我々県民の安心と安全を保つためには、財政調整基金はどれぐらいあればいいのか。100億円でも構わないのであれば、もっとほかのことに対して、基金を崩して、そしてお金を払えばいいと思うんです。だから、本当に財政調整基金は一体幾らぐらい必要なのか、本当に必要なのか。必要ではないのだったら、県民が本当につらい思いをしている場所へ基金を取り崩しても投資をするべきだと私は思うんですが、それはいかがなんでしょうか。
 今、県民は、今回、競馬事業の救済のために、救済というか持続をするための前提として救済のために330億円の基金を創出する、曲がりなりにも今まで目的があったものを取り崩して、そこに転用するんだという認識しか多くの県民はないんだと思うんです。そういう中で思うのは、もっと行政側は、今回のやり方についても説得できるような方策を指し示すべきではないか。県民感情としては、財政調整基金を競馬事業に使うというのはけしからんと言うのは当たり前だと思うんです。その辺をもう少し県民理解を得られるようにしていかなければならないのではないかと思います。
 私自身は、競馬については、でき得るならば継続していってもらいたい、これは思うところなんですけれども、増田知事が今回基金を創設するに当たって、赤字を出さないルールをつくったので赤字が出ないんだというような説明をしますけれども、これで果たして県民が納得するのかということだと思います。今回、平成18年度までの計画もこれほど逼迫していって、7億円ぐらいの赤字が出る可能性があると言っていたのに、結局20億円以上の赤字が出てしまった。こういうのが繰り返し繰り返し来たために、やっぱり我々も県民も非常に行政の対応について不信感を持っているのではないか。その辺に我々が安易に330億円の基金をいいよと言えないところがあるのではないかと思うわけであります。その点についてももう少し県民に理解を得られるような、そんな説明も必要だというふうに思います。
 そして、増田知事の責任についてもう少し踏み込んでお話をさせていただきたいんですが、継続するという決意を述べた、これはすばらしいことだと思いますし、いいことだと思うんですが、存廃基準をそのかわり設定しました。それで私の責任はもうありませんというのは、余りにも私は、次の知事、もしくは次の経営責任者に対して乱暴過ぎる議論なのではないかと思うわけであります。逆に、その存廃基準を設定することによって、抜き差しならない、競馬事業廃止を前提にした考え方が出てくるのではないかという思いもあるわけでありますが、この存廃基準については、次の知事も次の管理者も必ずそれを前提としてやらなければならないのか、その辺の認識についてもお聞きしたいと思います。
 そして、県民理解を得るためには、廃止になったときのビジョンというものを県民に示して初めて存続した方がいいのか、廃止をした方がいいのかという議論ができるわけでありまして、我々もその中での判断ができるんだと思います。ところが、続ける、続ける、しかもその基準が非常にわからない基準で、とにかく赤字にはならないんだなんて言っても、やっぱりそれは説得力がないのではないか。ここに至っては、廃止のビジョンも明確に示して、そして経済的な損失なども明確に示して、廃止すればこうなるんだというある程度の方向性をしっかり示しながら、その二択、選択する中で今回の政策というものを我々に判断させる、そんな工夫が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
 そして、最後でございますが、医療についてであります。
 るる理念的なことを赤羽部長の方からお聞かせいただいたんですが、人口減少の問題から類推すると、非常に岩手県の医療関係、介護関係、こういうものはあと10年、20年、非常に切迫したものになるのではないかと思うわけであります。予測以上の人口減少、いわゆる労働世代が流出しているわけでありますから、それの社会負担というのは非常に高まっているのが実際だと思います。そのときにも、やっぱり今まで社会を担っていた皆さん方を守らなければならない、そういう役割を私は持っているんだと思います。そして、医療、介護、こういうものについては、だれもが公平に受けて当たり前のことだと思う。ところが、その対応について非常に場当たり的な対応しかできていない、そんな行政の対応をこの4年間感ずるところであります。確かに今はいいのかもしれません。問題が起きたらそれに対応する、そういう行政のやり方でいいのかもしれませんけれども、もうここに至っては、やっぱり10年、20年、さらにその先を考えながら、より積極的に行政サービスの大転換を果たしていくような、そんな積極性が私は医療に求められていると思うんですが、その点はいかがでしょうか。
 以上でございます。
〇知事(増田寛也君) まず、何点かございましたので、人口減少問題の方からお答え申し上げたいと思います。
 この人口減少については、昨日の平野ユキ子議員の御質問のときにも申し上げたのですが、私自身は、次の県政の一番の課題というふうにとらえております。きのうの御質問の観点は格差ということでございましたけれども、人口減少ということが今、医療格差や教育の格差といったことにもつながってくる可能性を秘めているわけでありまして、やはりこの人口減少に対して、もっと向き合って、解決策を提示していかなければならない。
 その中の一つとして、経済規模が縮小するといった懸念もございますし、雇用の問題にもつながってこようかと思っております。今回、確かに雇用対策局を廃止しておりますけれども、これは、緊急的な組織として設けたということがございまして、むしろ雇用の問題については、産業政策と一体化させて、そして新たな職場を創出させていく。そして、一番雇用の中でも重点を置くべきは、次の世代を担う若い人たちの地元志向に対してどういうふうにこたえていくかという問題であろうかと思いますが、これについては、やはり産業政策との密接な関連がございますので、その中でこの問題を当たらせよう、こういうふうに考えている。あわせて、期限つきで設けた組織を1回延長はいたしましたけれども、設定した当時の状況から変わってきている、こういう判断があったものでございます。したがいまして、次の県政の重要課題として、人口減少に対しての向き合い方ということは掲げていくべきと判断しておりますが、その執行体制については、今申し上げましたように、独立の部局ではなく、産業振興と一体となった上で全庁的にこれに取り組んでいきたい、こういうふうに考えます。
 次に、競馬の関係でございます。
 競馬の関係は、大変議員の皆さん方に御心配をおかけして本当に申しわけなく思っておりますが、今お話ございました第1点目の、競馬について、やはり基金を取り崩すといったことで県民の間に非常に多くの不安を生じさせるということで、もっと説得力ある論理展開と説得のための努力をしなければならない。また、存廃のルールというふうに掲げておりますが、今まで再三にわたって計画が実行されないということで行政に対しての不信感がある、これは昨日も議員の方から御指摘をいただいたところでもございます。今後も引き続き県民理解を得るための資料をつくり、そして、御理解を得るべく努力をしてまいりたいと思っておりますが、今回、赤字の場合には廃止をするという存廃の基準ですね、それを明確化させたところでありまして、従来はこの点についての関係者理解が十分になかったということは事実であろうかと思います。売り上げが計画どおりいかない場合に、経費節減がそれに応じた形で25%ルールの中で実施されているかといえば必ずしもそういうことではございませんでしたが、昨年11月にこのルールを確立した結果として、情報関係についていろいろ困難がございましたけれども、そのルールを大前提に、年末に何とかコスト削減を実現したということで、このルールの存在意識が関係者の間にも浸透してきた結果かというふうに思っております。
 確かに今年度の経常収支で20数億円の赤字が出るわけでございますが、これにつきましては、そういった存廃ルールを含めたコスト削減によって18億円実施し、なおかつ金利負担の軽減で5億円ほど出てまいりますけれども、こういったことで23億円を生み出すことにするわけでございまして、この存廃のルールの遵守を大前提に今後も考えていきたい。
 次の管理者もこれを守るのかということでございますが、恐らく、単年度で赤字が出る、あるいはそれについて何らかの財政補てんをするということについては県民の皆さん方が今まで以上に抵抗感を示されると思いますので、やはりこの存廃基準のもとで競馬事業を展開することにならざるを得ないと私は判断をしております。
 したがって、そうした場合には、一方で金融機関からの融資が困難になりますので、今回の融資というのはそういうところに必要性が出てくるわけでございますが、この点については十分に県民の皆さん方に今後も御説明をしてまいりたいというふうに思います。
 それから、廃止のスキームといいましょうかビジョンというか、廃止の場合の負担ということが十分明らかになっていないという御指摘を今いただきました。372億円というところまで出ているわけでございますが、資産処分等などもございますので、この372億円が今後将来にわたってずっと固定されるというわけでは必ずしもないわけであります。しかし、競馬事業のために、今持っております、組合が所有しております施設というのは大変用途が特定されて、他への転用が難しい。これは、高崎なり上山なり、他場で廃止されたところの状況を見ますと非常に転用が難しくて、資産価値がなかなか見出しがたいということであります。売却先を探すことに大変困難が生ずるものでございますので、そうした、時期がいつになるかわからないようなものについて、具体的に債務の総額をそういったことも含めて示すことがなかなか難しい状況にあるわけでございますけれども、しかし、新しい盛岡競馬場などについて見ましても、これを何か他施設に転用するといった形で考えますと、非常に制約条件が大きいものですから、金銭的にプラスになるような資産処分を考えるのは非常に難しいので、やはり今、372億円と考えておりますけれども、これが軽減される方向を想定するのは大変難しいのではないか。具体的な数字を何とも申し上げられないところが悩ましいところでありますけれども、この372億円を軽減するような方向を想定することが大変難しい。
 その上で、今、考えております廃止に伴います負担ということと、それから、融資のスキームということを考えあわせて、県民負担を最小にするということで、この融資についての必要性を県民の皆さん方に御理解をいただくべく今後も努力をしていきたいというふうに考えております。
〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) 今、保健、福祉、医療は制度の改革期にございまして、その改革の視点は二つあるのではないかと思っております。一つは、やはり制度の持続性をどう維持していくかということと、もう一つは、今、議員から御指摘ありましたように、10年後、20年後を踏まえてどうしていくのかということがあろうかと思います。当然のことながら、10年後、20年後といった場合には、地域社会、家庭の変化、そうしたものをどう考え、どういったサービスの仕組みをつくっていくのかということではないかと思っております。
 私たち保健、福祉、医療の仕事をやっている人間にとりまして、基本的に岩手なりのセーフティネットを中長期的視点でどうやってつくっていくかが大きなテーマになってくると考えております。一言で言えば、健康・安心・福祉社会を岩手としてどうつくっていくのかということではないかと思っております。そうしたことを、現在取り組んでおります障害福祉計画でありますとか、医療制度改革あるいは健康づくりなどの取り組みの中に生かしていきたいと思っています。
 いずれにしましても、先ほど御指摘がありましたように、高齢化が急速に進んでいく、しかも非常に長い期間にわたって高齢社会が続く、労働人口も縮小していくだろうという中で、質の高いサービスを提供する、あるいは安心のサービス提供体制をどうつくっていくかということが非常に大きな課題になってくると思います。そうしたことについて、健康・安心・福祉社会としての岩手をつくっていくという視点で努力をしていきたいと考えております。
〇総務部長(川窪俊広君) 基金の残高に関する御質問の部分でございますけれども、主要3基金、中でも、財政調整基金を初めとして、不測の事態への対処のために一定の規模が必要なのではないかという部分でございます。
 確かに一定の規模ということで、正直申し上げまして、できる限り多額の基金がある方が私ども財政を担当する立場といたしましては安心であることは間違いないわけでございますが、一方で、各年度における歳出で、これは必要であるという歳出につきましては、それぞれの年度において予算を計上し、執行していくということもまた必要でございまして、中長期的な税収、また、交付税の動向等にも影響されますので、幾らとにわかに申し上げることができず申しわけないのですけれども、できる限り、今、平成19年度当初予算を御提案申し上げた時点で19年度末の見込みを116億円程度ということで御説明申し上げているわけでございますが、そうした金額を今後少しずつでもふやしていけるような方向で対応できるよう、引き続きまた努力をしてまいりたいと考えております。
〇10番(高橋雪文君) 最後に、基金のことのみ再質問したいと思います。
 今、聞いておりましても、何か基金の存在価値がほとんどないような答弁の仕方をされているわけであります。しかしながら、昨年、しけがあったり台風があったり、沿岸の方々は財政調整基金に対して非常に期待もされている。そして、そういうものがなければならないんだということを強く首長の皆さん方は訴えているわけであります。それに対して、県の総務部が、その規模について明確なビジョンもないし、さらには、できるだけあればいいというあいまいなことに終始している。それでは、やっぱりこの基金のあり方というものがもう一度問われるべきなのではないか。さらには、もし必要なのであれば予算調製課もしくは知事が好きなように使っていいということであれば、もっと違う分野に私たちは要望したい、そういう議論にもなりかねない問題なのではないか。もっと基金のあり方については明確に提示できるべきであるし、規模についても、適正に、ある程度5年間はこれぐらい維持したいとか、10年のスパンであればこれぐらいは必要なんだという明確な答弁をいただきたいというふうに思います。
〇総務部長(川窪俊広君) 御指摘を踏まえまして、また、平成19年度以降の次の行財政構造改革プログラム的なものを考えていかなければならないと考えておりますので、しっかり検討してまいりたいと考えております。
〇副議長(藤原泰次郎君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時55分 休憩
出席議員(45名)
2番 高 橋 博 之 君
3番 五日市   王 君
4番 小田島 峰 雄 君
5番 三 浦 陽 子 君
6番 中 平   均 君
7番 ザ・グレート・サスケ 君
8番 木戸口 英 司 君
9番 高 橋 比奈子 君
10番 高 橋 雪 文 君
11番 嵯 峨 壱 朗 君
13番 阿 部 敏 雄 君
14番 亀卦川 富 夫 君
15番 関 根 敏 伸 君
16番 野 田 武 則 君
17番 平 野 ユキ子 君
18番 大 宮 惇 幸 君
19番 千 葉 康一郎 君
20番 新居田 弘 文 君
21番 平   澄 芳 君
22番 工 藤 勝 子 君
23番 平 沼   健 君
25番 阿 部 富 雄 君
26番 斉 藤   信 君
27番 飯 澤   匡 君
28番 田 村   誠 君
29番 工 藤 大 輔 君
30番 佐々木 順 一 君
31番 佐々木   博 君
32番 及 川 幸 子 君
33番 樋 下 正 信 君
34番 柳 村 岩 見 君
35番 小野寺 研 一 君
36番 小野寺   好 君
39番 伊 沢 昌 弘 君
40番 小 原 宣 良 君
41番 佐々木 一 榮 君
42番 伊 藤 勢 至 君
43番 渡 辺 幸 貫 君
44番 高 橋 賢 輔 君
45番 千 葉   伝 君
46番 佐々木 大 和 君
47番 藤 原 泰次郎 君
48番 菊 池   勲 君
49番 藤 原 良 信 君
51番 佐々木 俊 夫 君
欠席議員(1名)
50番 佐 藤 正 春 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時14分 再開
〇副議長(藤原泰次郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。斉藤信君。
   〔26番斉藤信君登壇〕(拍手)

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