平成19年2月定例会 第23回岩手県議会定例会会議録

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〇11番(嵯峨壱朗君) 自由民主クラブの嵯峨壱朗でございます。
 先輩諸兄の御配慮により、今任期5度目の一般質問の機会をちょうだいいたしました。改めて感謝申し上げ、質問させていただきたいと思います。
 増田知事は、今任期をもって勇退されるわけであります。今回の質問に当たり、来年度以降知事の職にないことがはっきりしており、その後、岩手にとどまるかどうかわからない増田知事に、何を聞いたらいいのか随分と悩みました。結果、そうした悩みを払拭できないままに質問せざるを得ないことにじくじたるものを感じながらこの場に立っているということを御理解いただきたいと思います。
 さて、増田知事は、それまで明言を避けてきたわけでありますが、昨年10月30日の記者会見の場で初めて4選不出馬を表明いたしました。増田知事は、私は、知事を目指した当初から、長くても3期12年を一つの区切りにしたいと考えておりました。政治家の出処進退は、究極的にはそれぞれが判断すべき事柄であります。と述べて、引退を宣言しました。
 私は、少なくとも過去2回の知事選において、増田知事を支持してまいりました。それは、いみじくも自立する新しい岩手をつくりたいという増田知事の信念と政治姿勢に共感したからであります。そういった意味において、今回の不出馬は、党派の思惑を超えて、個人的に非常に残念でなりません。
 同じ会見で、知事が長くなると県庁職員が知事に物を言えなくなるとか、国家公務員時代の茨城県への出向時代を振り返り、その後、ゼネコン汚職で失職した知事を取り上げ、長期政権の弊害を指摘しながらその理由を述べておりました。確かに、県庁内で知事に物を言えないという雰囲気があるとの指摘は、増田知事にも当てはまっていたように聞いております。しかし、それらは、知事自身がみずからを客観視する努力をし、耳ざわりな意見をも聞くように身を律することで、増田知事のようにしっかりとした考えと自己抑制のできる方は、十分クリアできたものと考えます。
 また、同じ会見の中で、任期中に起きた問題の責任は、すべて最高責任者である増田知事自身にあると、そして、一定の解決の方向性を示し、でき得れば解決しなければならないともみずから述べております。競馬問題もその一つであります。私が勝手に思いますに、増田知事がどのように説明されようとも、今回の不出馬表明は、どうしても唐突な感じがしてなりませんでした。
 そこで、増田知事が最終的に4選不出馬を決めた本当の時期はいつなのか。また、不出馬を決めた本当の理由は何なのでしょうか。お聞かせ願いたいと思います。
 また、増田知事は、この任期12年間で、岩手に何を残したとお思いでしょうか。
 さらに、今任期の4振興局の提案とか、県北・沿岸振興本部の立ち上げとか、競馬問題の処理とか、ここ数年が正念場を迎えるような課題に対して、積極的な方向性を示した増田知事のこれまでの県政運営を見れば、ある時期までは、少なくとももう1期は責任を持って県政運営に携わることを意識していたのではないのでしょうか。また、増田知事が先導した三位一体の改革も中途の状態であり、多くの県政諸課題の解決にも根本的な解決策を示せない様子は、私には、いわば敵前逃亡ではないかといった指摘がなされてしかるべきと思われますが、そうした認識は不本意であると考えますか。知事の考えを示していただきたいと思います。
 次に、知事のマニフェストについてお尋ねします。
 知事は、全国に先駆けてマニフェスト選挙をした知事として自他ともに評価されているわけであります。そして、先般行われた盛岡青年会議所の主催によりますマニフェスト検証大会で、知事自身の評価を示しながら、第三者の評価を受けることでその検証をし、また、残された問題と一定の解決への方向性をその場で示すことで、いわゆるマニフェストサイクルを確立したと報道されておりました。
 しかしながら、私が以前の一般質問でも取り上げたように、3期目の知事選当時は、公選法で、マニフェストを有権者の目に触れさせることは禁じられておりました。知事自身が、マスコミ等を通じて間接的にマニフェストの内容を県民有権者に十分ではないながらも知らせることができたと述べているように、県民が、当時、知事のマニフェストを目にし、それを選択の基準にしたとは、私にはどうしても思えません。そうした私の認識は、やはり間違っているのでしょうか。知事の考えをお聞かせ願いたいと思います。
 また、今般、国会において2月21日に可決され、本年3月22日に施行される公選法の改正によって、初めて首長選挙において、一定の条件ながらマニフェストの配布が認められたわけでありますが、知事の感想をお聞かせ願いたいと思います。
 先ほども触れましたが、退任する知事が、みずからのマニフェストを評価するのは当然かもしれませんが、これからの県政課題を踏まえた次のマニフェスト然とした、これからの岩手のために~岩手へのメッセージを、一つの参考として示したものにすぎず、次の知事選への候補者や、今後、県政に対し影響力を持つものでは決してないと断りながらではありますが、増田知事は発表しております。退任するに当たっての一つの責務やけじめの意味合いを持つものであるとも述べておりますが、私は、その説明だけではどうも理解しがたいと思っております。
 改めて、なぜ増田知事がそのようなものを作成公表するのか、そして、それが次の知事にどのような影響を与えると考えているのか、知事の認識をお伺いいたします。
 大きな項目の3点目に、増田知事の退任後の県政運営についてお尋ねいたします。
 これについては、どなたが答弁されるのかわかりませんが、増田知事が方向性を示し、これから継続的に取り組み、一定の成果を上げていかなければならない今後の県政運営上の極めて重要な事柄であるため、あえて質問させていただきます。
 初めに、昨年設立した県北・沿岸振興本部、これは、特定地域の振興を目的とした極めて画期的な組織であり、同時に、増田知事が肝いりで立ち上げた増田色の極めて濃い組織と考えます。当該地区に住む者として、格差の拡大を招いたのも増田知事のような気もしますが、とにもかくにも、遅まきながらでも、県政の重要課題として取り上げたことに感謝するものでございます。
 昨日の小野寺研一議員の一般質問に、知事は、県北・沿岸圏域振興については、私が方向づけを行い、全力で取り組んでおり、新しい知事にしっかりと引き継いでいきたいと述べております。どのように引き継ぐのかわかりませんが、当該地域住民として、増田知事退任後、この組織はどうなっていくのか大変関心あるところでございます。解決の方向性が見えるまで継続していくのでしょうか。考えをお聞かせ願いたいと思います。
 また、本年度から県南広域振興局を皮切りにスタートした4振興局体制は、増田知事退任後もその方向性で実行されていくのでしょうか。屋上屋を重ねたようなものだとか、かえって住民にとって複雑になり、県に対しての距離が開いたとの指摘があるわけです。例えば、今回の統一地方選の届け出も、遠野選挙区の場合は、前回は遠野地方振興局で行われたものが、今回は花巻地方振興局になっていると聞いております。なぜ遠野のセンターではできないのかわかりませんが、こうした点でも、かえって県民に負担が伴う結果になっているような気がしてなりません。
 そこで、先発する県南広域振興局の成果の検証次第では、別のあり方も模索するのでしょうか、お答え願います。
 私は、事の可否は別にして、岩手県政は、ある時期から総合政策室中心に運営されてきたように感じております。そのことが、現場主義を標榜してきた増田知事の手法と次第に逆行してきたのではないのかと常々感じておりました。そうした意味で、総合政策室の重要性は認めながらも、もう一度現場主義に戻り、例えば、振興局にもっと権限を委譲するとか、まだまだ現場の声を取り入れる仕組みが必要と考えますが、こうした総合政策室中心の県政運営のあり方は、今後も継続されていくのでしょうか、お尋ねしたいと思います。
 また、私は、特に今任期の増田知事の財政運営は、過去の失敗を受けてでしょうが、余りにもプライマリーバランスの黒字化を重視することで、本来必要とする時期・分野への最低限の投資さえも削られ、基本的な産業である1次産業への公的投資の格好の機会を失ったのではないかと常々考えておりました。食の安全・安心、消費者中心の観点から、トレーサビリティーの確立、衛生管理の徹底など、当然必要な施策ではありますが、加えて、私は、量の確保といった視点が欠けていたのではないのかと、片手落ちの振興策ではなかったのかと憂慮しておりました。
 増田知事は、日本の食の供給基地を目指すと言いながら、岩手の1次産業は、増田知事就任以来、生産額は激減し続けております。例えば、平成17年度の岩手農林水産統計年報によると、最近における岩手県の農業出荷額、平成17年2、541億円でありますが、平成6年は3、516億円、それがピークであり、増田知事初当選時の平成7年3、218億円以来700億円以上の減少が見られます。漁業においても同様の傾向があります。特にここ数年間の生産の状況は、食料供給基地岩手としては、極めて深刻な実態だと思っております。
 私は、他の要因も複雑に融合していることを考慮しても、増田知事の考えとは裏腹に、行政需要を無視して、特に今任期に至っては、いたずらに健全な財政運営を目指した結果の影の部分ではないかと思っております。ただ単に投資しろというのではありません。今しかないといったときの適時適切な投資は、多少無理をすることがあってもしかるべきと考えるものであります。そうした観点を踏まえて、今後もプライマリーバランスのみを重視する財政運営を継続していくのか、お聞かせ願いたいと思います。
 次に、県財政についてお尋ねいたします。
 増田知事が就任する前年の平成6年度末に県債残高は5、940億円でした。退任最後の年であります平成18年度末の見込み残高は1兆3、994億円と言われております。私は、単純にふえ過ぎたことを非難するつもりはございません。問題は、その中身ではないかと思っております。政府の景気対策に呼応したからとか、就任当時の増田知事と国との関係から補助金が思うように来なかったからとかいろいろ言われておりますが、実際の県債の内訳はどうなっているのでしょうか。
 また、それによってどのような社会資本が整備されたのでしょうか。
 さらには、実際の金額は定かではないにしろ、後年度交付税措置される予定の部分を除いた実質的な県債残高は一体幾らになるのか、説明願いたいと思います。
 大きな項目の5点目に、県北・沿岸振興対策についてお尋ねいたします。
 県は、拡大する県北・沿岸地域と県南・県央地域との格差を深刻であると認識し、少しでもその格差を是正するために、昨年、県北・沿岸振興のための組織を立ち上げました。12月の有効求人倍率を見れば、久慈・二戸地区はともに0.39であり、北上は1.90と言われております。同じ県で5倍の差が生じております。間違いなく増田知事の成功と失敗の象徴であると私は思っております。そして、この数字はずっと拡大し続けております。恐らく増田知事就任以前よりこの傾向は続いているかと思われますが、すべてが増田知事の責任とは言えないまでも、加速したのは増田知事就任後であります。先富論ではありませんが、先頭と後尾の差は拡大に拍車がかかったような感じがしております。
 そこで、特定地域の対策室をつくらねばならないほどに、こうした地域間格差の深刻化を認識したのはいつの時点だったのでしょうか。
 また、昨年、県北・沿岸振興本部を立ち上げるまで、このような状態を放置していたのはなぜだったのでしょうか。
 さらには、なぜ昨年になって振興本部を立ち上げるなどの本格的な対策を講じようとしたのか、その理由をお聞かせ願いたいと思います。
 そして、昨年、対策本部を組織し1年が経過したわけでありますが、これまでどのような成果があったのでしょうか。また、どのような反省点があったのかもお聞かせ願いたいと思います。
 また、本年2年目を迎え、県北・沿岸振興のために予定されている事業について、平成18年度から継続して実施するもの、19年度に新たに実施するもの、それぞれについてお示し願いたいと思います。
 さらには、拡大する県南・県央との所得格差について、現状をどのように認識し、どのような解決策を考えているのか、目標数値とあわせて示していただきたいと思います。
 次に、県北・沿岸地域中小企業振興特別資金について、この資金は、雇用の受け皿として、また地域振興上も重要な地位を占める地場企業にとって、昨日の野田武則議員の質問、答弁にあったように、大変意義のある資金であり、当該地域の該当する企業経営者から一定の評価を受けているところでございます。
 そこで、その利用状況について振興局ごとに件数及び金額を示すとともに、実績をどのように評価しているのか、また、地域的な偏りも指摘されているようですが、その原因と対応策をお尋ねしたいと思います。
 先ほど指摘しました格差の指標である有効求人倍率のこの県内での格差をどのように認識しているのか、お聞かせ願いたいと思います。
 次に、大きい項目の6点目であります。県北・沿岸振興ならぬ沿岸県北振興についてでありますが、こうした地域の中でも、私は、県北・沿岸地域の中でも一定の温度差があると思っておりました。インフラの整備状況とか、基盤となる企業、産業の育成状態とか、例えば、同じ県北と言っても、二戸地区には新幹線もあれば高速道路も通っております。同じ沿岸と言っても、釜石-花巻を結ぶ高規格道路は着々と整備が進んでおります。宮古地域も、木材加工に加えて、金型・コネクター産業が地域経済を牽引しつつあります。詳細に見ると、ひいき目であるとは指摘されたとしても、やはり同じ県北・沿岸の中でも最も開発しなければならない地域は、天気予報ではありませんが、いわゆる久慈市を中心とする沿岸北部ではないのでしょうか。
 そこで、その地域の振興にとって特に課題となっているものを数点指摘し、質問したいと思います。
 初めに、地域バス路線廃止への対応についてでございます。
 本県は、広い県土を持ち、山間部に小集落が散在する地域が多く、路線バスは、地域の足としてなくてはならないものとなっております。自家用車の普及等を原因として、バスの利用状況が悪化し、廃止や運行本数の削減など各地で行われておりますが、このような中で、先般、新聞報道されたように、久慈市内や久慈市-隣接町村間を運行するJRバス東北7路線を来年3月末で廃止するとの方針が関係市町村に示されたところであります。大きく言えば、国鉄民営化のツケとも言えるわけですが、乗客減少による不採算路線の見直しが要因と説明されております。
 県立高校が集約されつつあり、また、広域に県立久慈病院しかない実態の中で、さらに高齢化の著しい地域であることから、地域住民への深刻な影響は必至であります。県としては、この問題にどのように対処していくのかお伺いいたします。
 次に、最もおくれの目立つ社会資本であります基幹道路の整備についてお尋ねいたします。
 八戸・久慈自動車道は、岩手県北地域と青森県南部地域を結ぶ重要な路線であり、地域高規格道路である三陸北縦貫道路を介して三陸縦貫自動車道に連結し、港湾物流拠点施設との連携、地震、津波等の災害時における緊急輸送路など、果たすべき役割は多岐にわたり、太平洋岸の幹線ネットワークとして極めて重要な路線であります。
 本路線の整備状況については、八戸市側の全長17.3キロメートルが既に供用または既に事業区間となっているのに対し、久慈-階上間32.2キロメートルのうち3.2キロメートルが平成5年に開通して以来、全く手つかずの状況でありました。昨年12月から一部区間の環境の基礎調査に入ったわけでありますが、今後整備に向けて、県の取り組みと整備見通しについてお聞かせ願いたいと思います。
 また、国道281号は、交流促進型広域道路として位置づけられ、県北・沿岸地域と県都・盛岡市を結ぶ沿線住民45万人の交流と流通のかなめとなる幹線道路であることから、人に優しい道づくり及びゆとりある道づくりの視点に立ち、最短・最速ルートによるグレードの高い地域高規格道路として指定し、早期に全線整備されることが望まれておりますが、そうした観点から、重要な意味を持つ平庭トンネルの着工見通しについてお尋ねいたします。
 あわせて、国道281号―本路線でありますが―及び久慈から洋野町大野、軽米町を経由して二戸市に通ずる国道395号の今後の整備計画についてお示しいただきたいと思います。
 私は、県立病院の県内の配置について常日ごろから疑問を持っておりました。以前にも特別委員会で質問したことがありますが、納得のいく答弁ではなかったので、改めてお尋ねいたします。
 久慈地域と二戸地域はほぼ同じ人口を擁しております。しかしながら、県立病院の配置で見れば、二戸地区には、二戸、一戸、伊保内、軽米と四つの県立病院が設置されております。これが悪いというのではございません。それに対して、久慈地区は久慈病院一つしかありません。公平性を欠いていると思われますが、その理由について改めてお聞かせ願いたいと思います。
 そうした点をまた踏まえれば、地域における中核病院として久慈病院の重要度ははるかに高いものと思われますが、その点をどう認識しているのか。これまで以上に充実する必要性があると思われますが、医療局の考え方をお示しいただきたいと思います。
 こうした質問も、いずれも当たり前のことを言わなければならないことが、非常にこの地域の住民として情けないことだと残念でなりません。
 最後に、岩手競馬について何点かお尋ねいたしたいと思います。
 平成15年に設置された岩手競馬のあり方に関する懇談会は、平成16年3月に廃止の方向を色濃くにじませた報告書をまとめました。その後、実行不可能な実行計画を立て続け、にっちもさっちもいかないような経営状態になってしまったわけであります。
 私が不思議に思うのは、既に数年前から危機的状況が指摘されていたにもかかわらず、直接、間接に経営に携わった方々の責任論が一切出ないことであります。以前、出資法人等調査特別委員会で関係者から事情を説明していただく機会がありました。ほとんどが納得のいかない説明でありましたが、現在、その方々はほとんどおりません。
 オーロパークの建設費が当初の236億円から404億円に膨らんだ理由もよく理解できません。私は、本来経営責任をとるなら、ここまで放置した重大な責任のある増田知事もさることながら、当時の振興公社の責任者、そして法外・不透明な委託料を受け取り続けた関係会社の責任者等ではないのでしょうか。私はそう思っております。なぜそうした関係者の責任が問われないのでしょうか。
 県が設置した競馬組合経営改善推進クロスファンクショナルチームの報告でも、そうした委託コストの高さが経営を圧迫し続けてきた主因であるとの指摘も既に平成16年に行われております。初日以来議論されている融資についても、こうした指摘があったにもかかわらず、ずっと放置され、なぜ今になって競馬融資の基金を創設するなどして巨額の投資をするのか、納得がいきません。もっと以前にでもできたのではないでしょうか。その理由を説明願いたいと思います。
 初日の代表質問以来、種々議論がある中で、競馬問題について、最後に増田知事に1点のみお尋ねします。
 本年度23億円と言われる赤字を計上する岩手競馬は、新しい岩手県競馬組合改革計画で、これを実行することで、増田知事は本当に黒字を達成すると心から確信しているのでしょうか。増田知事にその見解をお尋ねいたします。
 終わりに、増田知事に対しまして一言申し述べさせていただきす。
 まだまだ余力を持って任期を終えることを心残りと思っているのか、肩の荷がおりたと思っているのかわかりませんが、増田知事には、これまで幾多の政争をかいくぐり、独自の政治手法と政治姿勢をつくり出し、ある意味で岩手の革新性を生み出していただきました。それによって岩手にとって、多分に早過ぎた感もありますが、県議会も、知事提案の議案の否決とか、全国に先駆けて政務調査費の領収書添付等も含め、一定程度健全な議会としての機能を果たすことができたものと思っております。
 増田知事は、岩手に新しい風をもたらした、いや、もたらそうとした、そうした増田知事に、数多くの県民が心底期待していたということを生涯忘れないでほしいと考えます。
 これをもって私の一般質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 嵯峨壱朗議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、私が知事選挙で最終的に4選不出馬を決めた理由とその時期についてのお尋ねでございます。
 この不出馬の理由は、一言で言いますと多選の弊害、このことに尽きるわけであります。また、時期についてでありますけれども、就任当初から、長くても3期を一つの区切りとしたい、こういうふうに考えておりました。そして、1期目、2期目のときには、当面の県政課題の対応に全力を挙げていたわけでありますが、3期目の選挙の際に、その選挙に臨む際に、今期を最後にしようと改めて考えまして、そして選挙戦に臨んだものでございます。
 それから次に、12年間で岩手に残したものは何なのかということでありましたが、私が目指したものは、岩手県の自立ということでありますけれども、これまで、まずおくれておりました社会資本の整備に重点的に取り組む、そしてその上で、社会資本を活用しながら、自動車関連産業を初めとした地域産業の強化に取り組む、こういう順番で県勢発展に努めてきたところであります。
 また、行政の仕組みとしては、情報公開による透明性の高い行政を実現する、それから県民参加型の外部評価システムを入れて、県民の県政への参画と協働を可能にする環境づくりに取り組むといったことで、まさに地域協働に取り組んでまいりました。こうした取り組みを初めとする岩手らしい政策展開によって、県民が将来に向かって、みずからの独自の価値観に自信を持って、なお豊かに暮らしていくことができれば大変幸いだと思っております。
 それから、県政の運営の継続という観点からお尋ねがございました。
 現職の知事というのは、いつの時点かで退任の判断を迫られるわけであります。そしてまた、その時期については一律に決め得るものではなく、私は、当人あるいは有権者の判断にさまざまあっていいと思っております。今、産業振興を初めとした県政課題が多々あるわけでありますが、これについては当然新しい知事のもとで継続的に取り組んでいく必要があると思っていますけれども、トップの交代によって、なおさらに新たな発想、考え方が生まれ、それが県政の大きなダイナミズムとなって大きく県政自体が前進していくと考えておりまして、私自身は、3期12年を経たちょうど今がまさに退任のタイミングである、このように考えたところであります。
 それから、2点目として、マニフェストについてのお尋ねでございます。
 私が3期目の選挙戦に臨んだその当時は、御指摘のように公職選挙法の制限がございまして、県民の皆様方に直接マニフェストの内容を配布してお知らせすることはできませんでしたが、記者発表という形で県民の皆さん方にその内容をお示ししたところであります。それまでの選挙では、ともすれば抽象的な公約が多かったわけでありますが、こうした具体的な数値目標などを入れたマニフェストという形式をとることによりまして、より具体的な政策が争点となって、その重点事項について候補者間の政策との対比という形でマスコミの皆さん方にも相当程度取り上げていただいたということがございました。このように、当時の経緯を考えますと、有権者にマニフェストの内容を知っていただき、選挙の際の選択の大きな基準の一つにしていただくことができたのではないか、このように私は判断しております。
 それから、今回、公職選挙法の改正が行われたわけでありますが、これは全国知事会などを通じて働きかけをしてきたことでもあります。今般の統一地方選挙から地方自治体の首長選挙におけるマニフェストの配布が認められるということは、有権者はもとよりでありますが、日本の地方自治全体にとっても意義ある一歩、このように考えます。今回の改正によるマニフェストの配布によりまして、地方自治体でも、本来あるべき政策本位の選挙が実現することを期待しております。
 先般、私が実施しましたマニフェスト評価大会の中で発表した私の自己評価報告書の中で、将来に向けての部分、これからの岩手のためにということで、いわて夢創造宣言2007を示した部分がございます。これは本来のマニフェストではなく、数値目標等もございませんので今後の県政課題を提示したものでありますが、やはり現職の知事である私が、今後取り組まなければならないと考えております県政課題を示すことが、各候補者が今後それぞれ公約なりマニフェストを作成する際の大いなる参考になるのではないか。また、そのことを通じて、候補者間の政策論争にもつながるのではないか。さらには、県民の皆さん方にも県政課題を考えていただくきっかけになるのではないか、このような判断からああしたものを掲げたものでございます。
 次に、私の退任後の問題について幾つか御質問がございました。
 まず、県北・沿岸振興本部についてでございますが、この振興本部は、市町村や地域の産業関係者と連携し、関係各部、そして地方振興局が、横断的かつ機動的に総力を挙げて県北・沿岸振興に取り組むために設置した、こういうことでございまして、今後も、当該本部が中心となって、先般示しました産業振興の基本方向に沿った戦略の実効ある展開を図っていく必要がある、このように考えております。
 次に、4広域振興局体制であります。広域生活圏の見直しと地方振興局の再編によりまして、より地方分権改革を推進し、住民本位の行政の仕組みを実現する、そして、提供するサービスもより質を高くしていくことが一つの目的、さらにもう一つは、産業振興による地域社会の形成に資する、こういう二つの観点からこうした広域振興局体制を構築しております。したがいまして、県南広域振興圏でまず先行したわけでありますが、他の広域振興圏においても、県南振興局の検証などを十分に踏まえながら、可能な限り早期にこうした広域振興局体制への移行を目指していくもの、このように考えております。
 それから、今、県の行政の体制が総合政策室を中心として県政運営がなされているわけですが、このことについてのお尋ねであります。
 まず、私は、県民に身近な地方振興局を地域振興の総合的な拠点とすることが重要であると考えまして、振興局への大幅な権限委譲を行うなど、まさに現場主義に基づく県政運営に就任以来取り組んでおりまして、そうしたことを実際に行ってまいりました。こうした現場主義という考え方を実践した上で、少子・高齢化あるいは地方分権の推進といった社会情勢の進行を踏まえまして、新たな政策を機動的、効率的に展開できるよう、政策の企画立案と政策評価を所掌する部門として総合政策室を設置いたしました。平成13年度になってからであります。これまで、知事のトップマネジメントを支えながら、政策及び行政経営全般にわたりまして基本的な方向づけを行う、こういう役割を当室が果たしてきたものでありますので、こうした現場主義の力を生かした推進体制が私は今後も望ましい、こういうふうに考えているものでございます。
 それから最後に、プライマリーバランスを重視する県政運営を継続してきたことについてのお尋ねでございますが、まず、財政運営の基本としては、各年度における収支の均衡を図る必要がありまして、不断に歳出を見直すことを中心に、歳出、歳入両面での対策を適切に行っていくことが必要でございますが、こうしたことに加えて、中長期的観点からの財政の健全化も必要でございまして、そのためには、プライマリーバランスの黒字を維持することのほか、積極的な企業誘致や岩手の強みを生かした地域産業の振興、そして、経済発展の基盤となります社会資本の計画的な整備など、地域経済の活性化のためのさまざまな施策を推進して、自主財源の中核となる税収の増加を図ることや、新たな収入確保策を工夫することなども不可欠と考えております。
 こうした考え方に立って財政運営を行ってきたわけでありますが、今後もこれらはそれぞれ重要なポイントとなるものでございますので、岩手県としては、財政の健全化に向けた努力をさらに継続していく必要がある、このように考えているところでございます。
 次に、県北・沿岸振興対策についてでございますが、県北、沿岸と県南、県央との地域格差の認識と対策の理由、これは時期も含めてお尋ねがございました。
 県内にございますさまざまな資源や技術、人材をより広域的に集めて、各地域それぞれの特色ある発展を図っていくことが大変重要、こういう認識でそれぞれの各圏域ごとに施策を講じてきたわけでありますが、そうした中で、特に私の3期目になりましてから、県南圏域で講じてまいりました施策、特に本県経済を牽引する産業としての自動車関連産業の集積に向けた積極的な取り組みの効果が出てまいりまして、平成17年には、年間30万台の生産体制が構築される、まさにものづくり産業がこちらの地域で軌道に乗ってきたということがございました。
 その一方で、県北・沿岸圏域は、公共事業の直接投資効果のみに依存する傾向がどうしても強くて、地域産業の中でも建設産業が大きな比重を占めている地域でありまして、このままの状態でございますと、県南圏域との格差がますます拡大していくのではないか。同じ県内でありながら、従来からも格差というものが存在しておりましたが、県南圏域との格差が今後ますます拡大するのではないか、こういう懸念がございまして、県北・沿岸地域にございます多様な資源を活用した内発的な産業を振興し、そして、一刻も早く自立可能な地域経済を構築しなければならないという思いを強くいたしまして、そうした判断を県全体としても共有した上で、県北・沿岸振興本部を昨年1月に設置し、今、具体的な取り組みを展開している、こういうことでございます。
 この本部を設置したことによるその成果と反省点でありますが、昨年1月に本部を設置して以来、まず、それまでの取り組みでなぜ成果が上がらなかったのかという部分についての徹底的な検証を行ったわけであります。その上で、市町村や地域の産業関係者と多数の意見交換を重ねて、産業振興の基本方向を策定いたしました。この中では、食産業の構築とものづくり産業の集積、総合産業としての観光の展開、この三つを重点的な取り組みの柱として、市町村ごとの取り組み工程表を策定して、地域ごとの地域産業戦略会議を設置して、そうした地域の皆さん方とのお話し合いを進めながら進行管理をしてきているところであります。また、体制として、企業誘致を初めとする各分野の振興チームを設置し、そして、効果の上がる体制を強化し、具体的な取り組みを今、推進しております。
 成果として、食産業については、異業種連携の取り組みを通じた商品の開発が具体的に出てまいりました。今後、さらに有望シーズを発掘して、こうした取り組みを拡大していきたい。それから、ものづくり産業につきましては、特にオーダーメード型補助、それから、県北、沿岸の中小企業を対象とする融資制度を新たにつくったわけでありますが、そうした融資制度などを受けて、久慈地域の北日本造船あるいは釜石地域のSMCの工場増設といったことがございますが、こうした成果が今、出つつあるところであります。
 ただ一方で、観光分野についてはまだ取り組みが緒についたばかりと。来年の7月の平泉の世界遺産登録と連動した観光ルートの整備と県北・沿岸圏域への観光客の誘致拡大、こういった大きな課題がございますので、今後、地域の関係者とともにこうした取り組みを加速させることが必要である、こういうふうに考えております。振興本部全体としては、今、圏域の課題と取り組みの進捗を把握しつつあるところでありますが、今後も、それぞれの地域産業戦略会議と車の両輪となって取り組みを推進していきたい、このように考えております。
 次に、岩手競馬についてのお尋ねでございます。
 まず、競馬運営関係者の責任についてのお尋ねでございます。組合、そして、それを構成しております構成団体は、これまで、その時々の情勢の変化を踏まえて、所要の手続を経て、その対応を最良のものとすべく、関係者がそれぞれの職責に従いまして、コスト削減や売り上げ拡大など最善の努力を行ってきたと考えております。発生した赤字の繰り上げ充用を続けながらも、まず自助努力によって収益を確保し、順次、累積した赤字を解消していくことを目指してきたわけでありますが、現実には赤字の解消には至りませんでしたし、逆に累積赤字が増加する結果となったわけでございまして、十分に反省をしなければならないと考えております。
 こうしたことから、これまでの取り組みの反省に立ちまして、収支均衡を基本とする事業存廃の基準を設定して新たな赤字の発生を防ぐ仕組みに転換したところでありまして、今回の新計画の実現に全力を尽くす、そして、県民負担が最小のものとなるように、岩手競馬の再生に向けた道筋をつけることが管理者としての私の責任、このように考えているところであります。
 次に、組合に対して、今この時期に融資を行う理由ということでお尋ねがございました。
 組合が初めて繰り上げ充用をしたのが平成12年でございますが、この12年度にみちのくレース岩手競馬改善計画というものを策定しました。この計画の考え方は、場外専用発売所の新設など、施設整備を中心に置いた事業拡大の取り組みというものでございました。しかし、現実には売り上げの減少に歯どめがかからなかった、こういう結果でございました。それを受けて、平成17年2月には、その前の計画のような設備投資を行わないコスト削減を徹底して、設備投資を伴わないインターネット発売によって売り上げの拡大を目指す、こういう考え方の改訂実行計画を策定して経営改善を図ったわけでありますが、しかし、こちらの計画も目標とした売り上げの回復が実現できず、結果としてそれが毎年度の赤字となって累積し、累積債務が現在330億円に達し、そして、もうこれ以上の赤字の累積は許されない状況になった、こういうことでございます。このため、今回は、その前の2回の計画のような考え方に立たない。これまでの反省に立って、売り上げ見込みを現実を踏まえたものに下方修正することと、事業存廃の基準をつくって、そのもとで、発売額の25%の範囲内で経費を賄って、新たな赤字を発生させない仕組みに転換する段階に至ったものと判断したわけでございます。
 この仕組みを盛り込んだ新計画によりまして、平成19年度以降は、事業存廃の基準によって事業の継続が毎年度判断されることとなりますとともに、計画では、元利償還が確実に実行できるようなペースで、発売額が大きく拡大していくような計画とはしていないことから、金融機関から新たな融資を受けることは不可能となっているわけであります。このため、今年度末で事業を廃止し、372億円と見込まれる構成団体負担が生じるという事態を避けるためには、どうしても構成団体が融資を行うというこのスキームが不可欠となります。今回の330億円の構成団体融資というものは、もう一度整理しますと、現実を踏まえた売り上げ見込みへの転換ということと、新たな赤字を発生させない仕組み、すなわち事業存廃の基準の導入、この2点の方針を採用したことの結果と言えまして、まさに赤字を出さずに事業を継続することと表裏一体をなすもの、このように考えているところであります。
 このようなことから、構成団体の負担を最小のものとする観点から、今回この構成団体融資をお願いしているものでございまして、この点について広く御理解を賜るように努力していきたいと考えております。
 次に、黒字を達成することについて、知事として確信しているのか、自信があるのかというお尋ねでございました。
 今申し上げましたように、組合がこれまで策定した計画は、売り上げと経費をそれぞれ見通して、売り上げ、経費それぞれの目標を実現できるように取り組む、こういうやり方でございました。しかし、売り上げが目標に到達しない場合には、さらなる経費削減を行って、赤字を発生させない仕組みにする、その点が不十分であったと認識しております。こうしたことから、新計画では、事業を継続する場合であっても、今申し上げましたように、赤字を発生させない仕組みが不可欠であるという認識に立って事業存廃の基準を設定したものでございます。
 平成19年度計画は、売り上げを現実を踏まえたものに下方修正しているわけでありますが、仮にそうした売り上げが従来どおり達成しない、売り上げが低迷する、見込みを下回る傾向となった場合であっても、今回は、新計画に基づきまして、岩手県競馬組合運営協議会でコスト調整を行って、赤字の発生を防ぐルールが設定されておりますので、今後は、こうしたルールに従って収支均衡を図ることとしてございます。ここが従前とは違うところでございます。したがいまして、こうしたルールを適用することによって黒字になる、こういうふうに考えているわけでございます。
 平成19年度に向けて、経費の面でも新計画に沿って、コスト削減―18億円でございますが、この交渉を進めてきた結果、昨年末までに関係者と合意ができてございまして、こうした売上面での考え方、それから経費削減についての考え方を踏まえますと、今後、構成団体融資が実現し、そのことによって金利負担が軽減されれば―これは5億円ほどでございますが―平成19年度の収支均衡の見通しが立つ。コスト削減で18億円、それから金利負担軽減で5億円、合わせて23億円の削減が可能になりますので、平成19年度の収支均衡の見通しが立つ、このように考えているものでございます。
 その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔総務部長川窪俊広君登壇〕
〇総務部長(川窪俊広君) 県財政についてのお尋ねでございますが、平成18年度末の県債現在高見込み額1兆3、994億円の内訳でございますけれども、普通建設事業に充当した普通債が一番多く、1兆410億円となっております。その内訳としては、土木関係が6、232億円、農林水産関係が1、924億円、その他の各種公共施設等が1、402億円でございます。また、災害復旧事業債の残高が233億円、その他の財源対策等のための地方債、主なものとして、最近の交付税のかわりの形で措置されております臨時財政対策債などでございますが、これが3、350億円ございます。
 これらの地方債の発行によりまして整備された社会資本についてでございますが、残高ベースで見ますと、土木債が全体の5割弱を占めて一番多くなっておりまして、その中でも最も多いものが道路橋梁債3、400億円程度で、これが全体の約4分の1を占めてございます。そのほか、河川債や港湾債を含めまして、土木債で全体の5割弱になるという状況でございます。また、土地改良事業や農林道、漁港の整備等に充てました農林水産業債につきましても2、000億円近くございまして、土木債に次ぐ規模となっております。このような産業の基盤となる社会資本の整備を図りながら事業を進めてきたものと言えると考えております。また、県立高校などの施設費、さらには東北新幹線や県立大学、盛岡駅西口複合施設などにもそれぞれ地方債を活用しておりまして、こうしたさまざまな施設の整備に地方債を充ててきたところでございます。
 地方債の残高のうち、後年度に措置される交付税の措置についてでございますけれども、これは、交付税の措置が理論計算で入る部分もございますのであくまで試算ということになりますが、措置率をベースに試算いたしますと、これまでの各種県債の発行に対します今後の交付税措置額の試算結果は、残高ベースで見まして、1兆4、000億円の残高に対し7、200億円前後と見込んでいるところでございます。したがいまして、県債残高のおよそ半分強が交付税措置されると見込まれまして、逆に申しますと、償還を税収等で賄うべき部分の額が7、000億円弱になると見込んでいるところでございます。
   〔地域振興部長藤尾善一君登壇〕
〇地域振興部長(藤尾善一君) 平成19年度当初予算における県北・沿岸振興に係る事業についてでありますが、まず、主な継続事業としては、県北・沿岸地域中小企業振興特別資金貸付金20億3、500万円、産業振興に向けた連携体制を構築するための県北・沿岸産業推進費500万円、地域づくりを担う人材を育成するための県北沿岸地域人材育成事業1、050万円、また、主な新規事業といたしましては、沿岸ものづくりネットワーク推進事業390万円余、マーケットインの取り組みを推進するための県北・沿岸地域食産業成長戦略事業250万円余、三陸鉄道と周辺地域をつなぐ観光ネットワークを構築するための県北・沿岸地域観光力強化支援事業460万円余、その他、県北・沿岸「元気な農業」確立特別対策事業1、300万円、地域営漁計画推進特別対策事業720万円余などを行うこととしており、また、公共施設の整備促進等のため、市町村等に対し、県単独の資金を貸し付ける自治振興基金貸付事業につきましては、県北・沿岸圏域における産業振興の基本方向の趣旨に合致した事業を対象といたしまして、県北沿岸振興事業枠として5億円を追加したところであります。
 次に、所得格差の現状と解消策についてでありますが、所得の地域格差を1人当たりの市町村民所得の格差という前提のもとで現状を見ますと、直近の平成16年度のデータでは、1人当たり市町村民所得の市町村平均を100として、県央圏域が115.3、県南圏域が98.0であるのに対し、県北圏域が77.5、沿岸圏域が85.6となっております。また、平成6年度以降の所得水準の動向を見れば、比較的所得水準の高い県央・県南圏域は横ばいであるのに対し、県北圏域は低位で横ばいまたは上昇傾向、沿岸圏域では低下傾向にあるものと認識いたしております。
 県としては、県北・沿岸圏域の雇用の拡大と所得水準の底上げを目標に、基本方向に沿った産業振興に取り組んでいるところであり、今後とも、すぐれた地域資源を活用し、地域の特性を生かした取り組みを推進することにより、地域間競争に打ち勝つことのできる産業構造を構築し、より多くの域外マネーを獲得し、所得の向上を図っていく考えでありますが、目標数値につきましては、所得水準の向上につながる、例えば農林水産物の生産量や観光客入り込み数などさまざまな成果指標を取り組み工程表に可能な限り設定しているところでございまして、それらについて、官民連携による追求を通じて所得の向上を図っていく考えであります。
 次に、久慈地区の地方バス路線廃止方針への対応についてでありますが、去る2月2日に、JRバス東北から、久慈市、洋野町、野田村に対し、久慈市内の4路線及び久慈市と洋野町、野田村とを結ぶ3路線の計7路線を来年3月末で廃止する方針が伝えられたと聞いております。バス路線は、地域住民の日常生活を支える地域の基盤であり、いかにバス路線の廃止が事前届出制になったとはいえ、バス事業者の都合のみの一方的な形で決められるべきではないと考えております。
 県としては、新たに設置した地域交通サポートセンターによって関係市町村の相談に応じるとともに、今後、JRバス東北から、県生活交通対策協議会に対しまして、バス路線廃止の1年前に出すことになっている廃止申し出が正式に提出された場合、それを受けて、同協議会久慈地方分科会におきまして、関係市町村等と具体的な対応を協議する予定としているところであります。
   〔商工労働観光部長阿部健君登壇〕
〇商工労働観光部長(阿部健君) 県北・沿岸振興資金の振興局別の利用状況、実績に対する県の評価等についてでありますが、利用状況につきましては、平成19年1月末時点で87件24億2、900万円、振興局別では、大船渡地区が17件5億9、000万円、釜石地区が18件5億9、000万円、宮古地区が21件4億9、000万円、久慈地区が8件1億9、000万円、二戸地区が23件5億6、000万円となっております。
 当該資金の評価につきましては、担保余力のない企業から、販路拡大等に係る資金の調達が可能になったとの意見をいただいているところであり、県北・沿岸地域で意欲的に事業に取り組む中小企業者に対する円滑な資金供給に寄与しているものと考えております。
 なお、資金利用の地域的な偏りにつきましては、久慈地域で件数が少ない状況がありますが、要因といたしまして、資金需要へのニーズ等もあるかと思いますが、久慈地域におきましては、久慈市等が当該資金に対し利子補給等を行い企業負担の軽減を図っているところであり、県といたしましても、このような取り組みと連携を図りながら、制度の周知を行う等、円滑な資金供給に努めてまいりたいと考えております。
 次に、有効求人倍率の差についてであります。
 内陸部におきましては1.0倍を超える地域があるものの、県北・沿岸地域については依然として低い状況が続いており、同地域の雇用情勢は厳しいものがあるととらえております。
 こうしたことから、県では、県北・沿岸地域の産業振興に向けて専任のチームを設置し、企業誘致の推進、食産業や観光産業の振興に取り組んでいるところであり、今後におきましても、これらの取り組みを活発にさせながら、また、産業人材の育成を図りながら、同地域の産業振興を図り、雇用の創出に努めてまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長西畑雅司君登壇〕
〇県土整備部長(西畑雅司君) 道路についてでございます。
 八戸・久慈自動車道は、今年度、久慈市夏井町から侍浜町の区間におきまして、国により環境の基礎調査に着手されたところであります。県としましては、早期に整備計画区間へ格上げされますよう、沿線の自治体などと連携を密にしながら、引き続き強力に国に働きかけてまいりたいと考えてございます。
 次に、平庭トンネルの着工見通しについてでございますが、これまで整備に向け各種の調査を進めてきたところでありますが、大きな事業費を必要とする大規模事業でもあり、道路事業を初めとする公共事業は厳しい財政環境にあることから、県全体の道路整備計画の中で、交通量の推移や公共事業予算の動向を見きわめながら検討してまいりたいと考えてございます。
 国道281号及び395号につきましては、路線の重要性を踏まえ、引き続き、局部的な隘路の解消など、円滑な交通の確保に努めてまいりたいと考えてございます。
   〔医療局長法貴敬君登壇〕
〇医療局長(法貴敬君) まず、久慈地区には県立病院が久慈病院のみとなっている理由についてでありますけれども、県立病院の配置については、昭和25年の発足以来の歴史的背景が主たる要因であるとも考えておりますが、久慈地域においては、県立久慈病院、久慈市立中央病院という二つの病院があったところでありますが、昭和46年の統合に際し、県立久慈病院となったことから、この地域に大きな病院が県立久慈病院のみになったと理解しております。
 次に、久慈病院の重要度に関する認識とその充実についてでありますが、県立久慈病院は、久慈保健医療圏における地域完結型の中核病院であることから、平成10年の移転新築にあわせ、救命救急センターを併設するとともに、最新の放射性診断治療機器を整備するなど、救急医療や高度医療の強化に努めてきたところであります。
 しかし、近年、医師充足率については、全国的に医師不足や地域偏在が顕著となっている中で、久慈病院においても100%を下回っていることから、県外からの医師招聘活動や臨床研修医の受け入れと定着、医師の勤務環境の改善、女性医師の就業支援などの対策を講じ、医師の確保を図りながら、診療機能の充実を図っていくことが必要と考えております。
 今後、新たな医療計画が策定される中で、望ましい医療サービスの供給体制や医療機能連携について議論されていくこととなっておりますが、久慈保健医療圏には4病院があることから、地域の医療機関との機能分担や連携を図りながら、久慈の地域の医療の確保を進めていくべきものと考えております。
〇11番(嵯峨壱朗君) 何点か質問させていただきますが、私の質問が悪いのか、ずれたような答弁が多かったような気がしていましたが、その中でも競馬組合のことですけれども、増田知事の答弁にありましたが、急に悪化したわけではない、平成12年から繰り上げ充用をやっているということですが、どうしてもそのクロスファンクショナルチーム、検証のために県庁内につくったチームによる、ああいった報告書を見ても、公社とか関係するさまざまな組織があったわけです。その人たちに私はやっぱり責任を問うてもいいと思っているんですよ。なぜ問わないのかというのは、やはり聞きたいです。先ほどの説明ですとちょっと不十分かなという気がしております。問うべきだと思っているんです。これから何とか競馬をやっていくと、そういった実行計画を実行していくのと同時に、そういった原因の責任の追及もすべきだと私は思っております。
 それと、先ほど振興資金の利用状況についての説明がございました。地域的な偏在がある、その理由も若干述べておりましたけれども、私が聞いているところによると、久慈なんかでも需要はかなりあるようなんですが、この資金というのは、やはり金融機関と保証協会が入って、そこが窓口になってやっているわけですが、需要はあるけれども、その時点で本当に判断されているような感じがします。県は、こういった資金についてどこまで関与しているのかということを私は聞きたいと思っていました。
 それと県立病院のことですけれども、私がなぜ久慈病院しかないのかというのを聞きたかったのは、久慈市の話ではないんですね。久慈市だけではないんです。野田村もあれば、普代村もあるし、昔は大野村もあるし、山形村もあった。それだけ、町村がかなり存在しているんです。それなのに一つしかないのは、私は素朴に疑問だったので聞いているのであって、さっきのは答えになっていないと思っていますが、ぜひ答えていただきたいと思います。
 もう1点、また知事に戻りますけれども、先ほどの説明でいくと、県北・沿岸振興対策本部になるのか、そういったものというのは、もう県庁全体として継続していく、そういう理解でいいんですか。そのことについて。
〇知事(増田寛也君) 私の方から競馬の関係をまずお答えして、あと、県北・沿岸振興本部の関係をお答え申し上げます。
 まず、競馬の関係で、当時の振興公社初め、関係者の責任も大きいのではないか、こういう御指摘でございました。確かに事業運営の結果を見ますと、多額の赤字であったり、あるいは、さかのぼりますと、盛岡競馬場を初めとする多額の設備投資ということがございますけれども、さらに突っ込んで見ますと、何か具体的な違法行為があるのかどうかといいますと、そういったところまでの違法性があるというわけではない。それから、実際の組合の運営という観点で言いますと、そのときそのときで所定の手続を踏んで業務に当たっているということがございます。結果として、行政運営としての功罪、運営が適切であったのかどうか、政策判断がよかったのかどうかということについては、大いにまた議論しなければいけないと思いますし、また、その報告書などでは明らかにしているわけでありますが、そういう行政運営の適否ということではいろいろな議論があろうかと思いますが、今申し上げましたような意味での違法行為といったようなことはなくて、全部手続を踏んで、それぞれの段階で業務に当たっておりますので、今さかのぼってそういったそれぞれの個人の人に何か責任を新たに問うというような内容にはなっていない、個々人についてさかのぼって責任を問うということは難しい、このように考えているものでございます。
 それから、県北・沿岸振興本部でございますが、これは、あえて、正確に言いますと、これは新知事にかわりまして、どういう判断をするのかということかもしれませんけれども、しかし、今、県政の大きな課題として、多くの県民も含めて、やはりこの内陸県央部と沿岸・県北との差ということが大変大きな問題になっておりますので、このことについて何か大きな政策を変更するというのは、やっぱり考えにくいのではないか。今の県の中での考え方としては、やはり横断的なああいう本部という組織をつくって、そして機動的に重点を置いて県北・沿岸振興に取り組むべきだ、そして、そういうアイデアを市町村とともに出して実施に直ちに移していくべきだ、こういう考え方に立っておりますので、ここはあえて私の立場で言うことは、責任ということで問われますと、いささか後で窮するところもありますが、恐らく新知事も、こうした今の県の考え方は十分に理解すると思います。私が今とっております体制をさらに別の観点から補強するとか、強化するといったようなことはあるかもしれませんけれども、こうした今の県の政策なり執行体制をそのまま継続した上で、新しいアイデアを加味させて、この沿岸・県北振興に取り組んでいくものと考えているところであります。
〇商工労働観光部長(阿部健君) 県北・沿岸振興資金の県のかかわり、関与につきましての御質問でございますが、この件につきましては、県として、今回の県北・沿岸振興資金、無担保・低利、この貸付条件に係る制度の創設、それから貸付原資の、いわゆる預託でございますが、供給、それから保証料率の引き下げ負担、こういったことを行っており、個別の貸し付けにつきましては、ノウハウを有する金融機関、保証協会、ここが行っているところでございます。
 県といたしましては、これまで貸し付けの関係につきまして、貸し付けを活用している企業を回りましていろいろな状況を聞いているところでございますが、いずれ、これから市町村、金融機関、保証協会、そこともまたよく話をさせていただきまして、円滑な供給に動いていくよう、また努めてまいりたいと考えております。
〇医療局長(法貴敬君) 先ほど、久慈地域に一つの県立病院しかないというお答えをしましたけれども、県立病院は、昭和25年11月に発足したときに、県立の岩手県厚生農業協同組合連合会系の17病院、あとは岩手県国民健康保険団体連合会系の8病院をそのまま引き継いでいることになります。そのときに、久慈地域には九戸病院というものがありまして、それが現在の県立久慈病院ですけれども、議員がお示しされました二戸地域には、当時、厚生農業協同組合連合会系のものがもう既に二戸、軽米、伊保内、国民健康保険団体連合会系のものは一戸とあって、そのまま引き継いだということになります。
 その後、病院の数をふやしておりませんので、歴史的な背景が主な原因だとお答えしたところでございます。
〇議長(伊藤勢至君) 次に、高橋雪文君。
   〔10番高橋雪文君登壇〕(拍手)

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