平成11年2月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇環境・エネルギー対策特別委員長(菊池雄光君) 環境・エネルギー対策特別委員会のこれまでの調査の経過と結果につきまして御報告いたします。
 本委員会は、平成9年6月定例会において設置されて以来、9回にわたり委員会を開催し、環境対策に関する調査、省資源・ゴミ・産業廃棄物処理に関する調査及びエネルギー問題に関する調査について、その都度課題を設定し、その現状と課題、対策等について県当局から説明を求め、質疑・意見交換を行うとともに、県内、県外の現地調査をそれぞれ2回実施してまいりました。
 まず、環境対策に関する調査についてでありますが、近年、従前の硫黄酸化物による大気汚染、有害金属による水質汚濁問題が沈静化する一方、ライフスタイルの変化に伴ういわゆる都市・生活型公害や化学物質による環境汚染が大きな問題となってきており、県民総ぐるみの取り組みが求められてきております。
 特に、水環境においては、生活雑排水や事業所排水の公共用水域への流入、さらには水質事故対策等が、また、大気環境においては、廃棄物の焼却等に伴うダイオキシン類の大気汚染対策が喫緊の課題となっております。
 県においては、下水道や合併処理浄化槽等のハードウエアの整備促進、事業者への指導強化、環境汚染事故発生時の緊急連絡体制の整備等に努めるとともに、汚濁負荷の軽減のための各種広報活動や環境アドバイザー制度の活用による地域住民等の自主的取り組みの促進を図っているところでありますが、環境問題が地球的規模の広がりを見せる今日、総合的な環境保全施策の推進が重要であることから、今後におきましても、県内外の関係団体・機関との連携・協力の強化による計画的かつ総合的な取り組みを推進されるとともに、環境に対する県民意識のなお一層の高揚を図ることが望まれます。
 また、廃棄物の焼却に伴うダイオキシン類の問題については、これまで、モデル処理施設を整備するとともに、ごみ処理の広域化・高度化によるダイオキシン類の削減を目指す一方、産業廃棄物処理業者への指導等を強化しているところでありますが、新たな施設の建設等によるごみ処理の高度化については、既存施設の耐用年数、処理コストの問題、さらには費用負担の問題等、いまだ多くの課題を抱えているのが現状であります。
 今後におきましても、廃棄物処理に関する県民のコンセンサスの形成を図りながら、適切な廃棄物処理を推進することが肝要であります。
 なお、県においては、自然景観や生態系への配慮、緑化の推進等を図りながら、快適で潤いのある環境の創造等を目指し、各種公共事業等を実施しているところでありますが、今後におきましても、環境負荷の少ない新たな工法の普及を図るとともに、自然環境の保全と活力ある地域づくりが両立できる施策を積極的に展開されるよう要望するものであります。
 次に、省資源・ゴミ・産業廃棄物処理に関する調査についてでありますが、現在、一般廃棄物と産業廃棄物を合わせると年間約400万トンもの多種多様な廃棄物が排出され、そのうち56万トン余りが再生利用されているものの、その大部分が焼却、脱水処理等の中間処理を行った上埋立処分されており、膨大な経費を要する上、先ほども申し上げましたダイオキシン類等の有害物質の発生の原因になる一方、限りある地球資源の浪費につながるなど、さまざまな課題を有しております。
 廃棄物問題については、その処理過程において有害物質を排出しないことはもちろんのこと、ゼロエミッション運動や一部の先進的工場で実現されているゴミゼロ工場化等の推進による廃棄物そのものの減量化と資源の有効活用を図ることが肝要であります。
 県においては、ごみ減量化・再生利用推進行動指針等に基づき、リサイクル型社会への転換を促進するとともに、産業廃棄物処理業者に対する説明会の開催、処理現場における指導等、適正な廃棄物処理の推進に努めているところでありますが、今後におきましては、リサイクル化のおくれている建設廃材や汚泥等の産業廃棄物の再生利用方法の調査・普及等を図るとともに、住民の自主活動を中心とした資源集団回収を促進し、なお一層の廃棄物の再生利用を図る一方、ごみそのものの発生の抑制、ごみ化の予防をも含めた循環型地域社会の形成へ向け、積極的な取り組みを行うよう要望するものであります。
 次に、エネルギー問題に関する調査についてでありますが、近年、地球温暖化などの地球規模の環境問題や化石資源枯渇問題への対応として、環境に優しい新エネルギーの導入やエネルギーの効率的な利用を含めた省エネルギーの推進が課題となっております。
 新エネルギーには、太陽光、風力、地熱等の自然エネルギーを利用するもの、化学反応を利用した燃料電池等があり、本県においても利用され始めておりますが、発電単価等の課題があり、いまだ、その電力供給量は低いレベルにあるのが現状であります。
 県においては、新エネルギービジョン等に基づき、その利用促進を図っているところでありますが、これら新エネルギーは、資源制約が少なく、環境負荷が小さいという理想的なエネルギーであることから、今後においても、なお一層の利用促進を図ることが望まれます。
 また、近年、廃棄物をエネルギーとして利用する技術開発が進み、本県においても、幾つかの施設で焼却に伴う廃棄物発電や熱利用が行われており、未利用エネルギーの有効活用として期待しているところでありますが、廃棄物エネルギーの利用方法にごみの固形燃料化技術やガス化溶融燃焼技術等があり、これら技術の導入を積極的に推し進めることが必要であります。
 一方、省エネルギーの推進につきましては、これまでの省エネルギー運動に加え、高気密・高断熱で自然エネルギーを有効に利用する環境共生住宅の建築促進や、コージェネレーションシステムや蓄熱システムの導入等による省エネルギーの徹底とエネルギー利用効率を飛躍的に高めることが肝要であります。
 本県においても、これらのシステム等が一部において導入され始めているところでありますが、なお一層の普及促進を図り、限られたエネルギーの高度利用を実現するよう要望するものであります。
 最後に、県当局におかれましては、本委員会の意見や要望等に十分配慮され、県民が、安らぎと潤いのある良好な環境の中で、ゆとりのある幸せな生活を営むことのできるよう、なお一層の努力を傾注されることを切望いたしまして、環境・エネルギー対策特別委員会の報告といたします。(拍手)
〇議長(那須川健一君) 次に、折居少子化・高齢社会対策特別委員長。
   〔少子化・高齢社会対策特別委員長折居明広君登壇〕(拍手)
〇少子化・高齢社会対策特別委員長(折居明広君) 少子化・高齢社会対策特別委員会の調査の経過と結果につきまして御報告いたします。
 本委員会は、平成9年6月定例会において、少子化対策に関する調査、高齢社会対策に関する調査及び介護制度に関する調査を付託事件として設置されて以来、9回にわたり委員会を開催し、少子化・高齢社会対策に関する諸課題について、県当局から説明を求めたほか、関係人から参考意見聴取をも行い、質疑、意見交換を行うとともに、県内、県外の現地調査をそれぞれ2回実施してまいりました。
 まず、少子化対策に関する調査についてでありますが、近年、本県においても少子化が進行し、1人の女性が一生の間に生むと推計される子供の数の平均である合計特殊出生率は、平成9年には1・53と過去最低を記録するなど、現在の人口を将来にわたって維持するのに必要な2・08を大きく下回る状態が続いております。少子化の進行は、労働力人口の減少による経済成長率の低下などの経済面への影響のほか、子供の社会性がはぐくまれにくくなるなどの社会面への影響も懸念されるところであります。
 少子化の原因としては、子育てにかかる経済的負担や子育てと就労の両立の困難性、個人の結婚観や価値観の変化等による未婚率の上昇などがあると言われております。もとより、結婚するしない、子供を生む生まないは個人が決めるべき問題でありますが、結婚の意思や理想の子供の数と実際の婚姻率や出生数とのギャップを考えると、個人、とりわけ女性が結婚や出産を望んだ場合に、固定的な男女の役割分業意識や家庭よりも仕事を優先させることを求める雇用慣行など、それを妨げる社会的要因があるのもまた事実であります。
 このため、子育てを、個人や家庭のみで解決されるべき問題ではなく、社会全体で支援するものとしてとらえ、こうした要因を取り除くことが重要でありますが、県におきましては、子供を安心して生み健やかに育てる社会環境の整備に向け、岩手県子育てにやさしい環境づくり対策指針を策定し、行政、家庭、地域社会、学校、企業等が一体となった取り組みを推進するほか、岩手県すこやか保育等プランを策定し、本県の実情に応じたきめ細かな保育サービス等の充実や、子育て支援・健全育成のための基盤整備に努められていることは高く評価するところであります。
 今後におきましても、男女が共同で子育て等に参画する意識の啓発や子育てについての相談指導の充実に努めるとともに、子育てと就労が両立できるよう支援するなど、より一層安心して子供を生み育てることのできる環境の整備に向けて努力されることを期待するものであります。
 また、少子化の進行は、社会にさまざまな影響を与え、それに対応した施策の展開が求められております。特に教育の分野においては、児童生徒数の減少という形で端的にあらわれ、学校規模や学級規模の見直しが迫られているところであります。規模の縮小は、教員の目が一人一人の児童生徒により行き届きやすくなり、個性を重視した指導が容易になる一方で、児童生徒の切磋琢磨の機会が少なくなるというデメリットもあり、また、一定の規模を維持するために学校の統合を行うということになると、通学の利便性や地域における学校の位置づけという論点も出てまいります。県におきましては、こうした少子化に伴う諸課題について、新しい教育振興基本計画や県立高等学校新整備計画の策定に向けて議論されているものと存じますが、学校規模や地域の特性を十分に生かし、また、児童生徒一人一人の個性を尊重する教育を推進されるよう要望するものであります。
 次に、高齢社会対策に関する調査についてでありますが、我が国では世界に例を見ない速さで高齢化が進行しており、中でも本県においては、平成6年に65歳以上人口が15歳未満人口を上回り、全国を10年近く上回る速さで高齢化が進行しております。高齢化の進行により、保健・医療・福祉などのサービスの量が増大する一方、少子化の進行と相まって将来的な労働力の減少による経済活動の活力の低下などの影響が懸念されております。
 県におきましては、これらの状況を踏まえ、岩手県高齢社会総合対策指針を策定して、高齢社会関連施策の基本的な目標と方向性を打ち出したところでありますが、真に豊かで活力ある高齢社会を実現するためには、要援護高齢者に対する施策の充実とともに、健康で社会参加意識の高い高齢者の増加に対応した施策の推進が肝要であります。平均寿命が伸長を見る中、人生における余暇時間も増加し、高齢者の生きがいづくりや健康づくりに対する関心も高まっております。今後におきましては、ボランティア活動や地域活動などの生涯学習を初め高齢者個々の多様な生きがいに対応した施策を展開するとともに、健康づくりの実践、定期的な健康診断の受診を促進するほか、高齢者の体力・能力に応じた、スポーツ・レクリエーションの日常化等により、健康の保持増進に努められるよう期待するところであります。
 また、高い勤労意欲を持った高齢者も増加しておりますが、現下の経済情勢においては、高齢者の雇用環境には一段と厳しいものがあり、県におきましては、多種多様な雇用・就業機会の確保や、農林水産業・地域特産物加工の生産活動等の生きがい就労の場の確保など、こうした意欲のある高齢者が働き続けられる条件の整備を図るよう要望するものであります。
 次に、介護制度に関する調査についてでありますが、本格的な高齢社会の到来により要介護高齢者数が増加する中で、介護を社会全体で支えるべきものとして、介護保険制度の導入が決定されたところであり、施行に向けて、市町村を初め県においてもその準備に鋭意努力されているところであります。
 本年10月には、保険給付の前提となる要介護の認定が開始されるところでありますが、介護を受ける人の状態に応じた正確な認定が行われることが、制度に対する安心と信頼を得るための重要な要素であります。このため、県におきましては、認定に携わる調査員、審査員、かかりつけ医等の研修を行うとともに、認定審査体制の広域化を促進することとしておりますが、要介護認定の公正、公平な審査のため、市町村の支援等に、より一層努力されるよう期待するものであります。
 制度施行まで残すところ1年余りとなり、県におきましては、介護保険事業支援計画の策定に着手したほか、ケアマネジャーやホームヘルパーの研修を初めマンパワーの養成に努めるなど介護サービス基盤の整備に取り組んでいるところでありますが、制度の趣旨を十分に踏まえ、住みなれた家庭や地域において安心して必要な介護等のサービスが受けられるよう、介護保険制度の円滑な導入に向けて万全を期されることを要望するものであります。
 最後に、県当局におかれましては、本委員会の意見や要望等に十分に配慮されまして、なお一層の努力を傾注されますことを切望いたしまして少子化・高齢社会対策特別委員会の報告といたします。(拍手)
〇議長(那須川健一君) 次に、工藤地域産業振興特別委員長。
   〔地域産業振興特別委員長工藤篤君登壇〕(拍手)
〇地域産業振興特別委員長(工藤篤君) 地域産業振興特別委員会のこれまでの調査の経過と結果につきまして、御報告申し上げます。
 本委員会は、平成9年6月定例会において設置されて以来、9回にわたり委員会を開催し、地域産業の振興に関する調査及び地場産品の販路拡大に関する調査について、その都度、課題を設定し、その現状と課題、対策等について、県当局から説明を求め、質疑、意見交換を行うとともに、県内、県外の現地調査をそれぞれ2回実施してまいりました。
 まず、地場産品の販路拡大に関する調査のうち、農産物の流通販売対策についてでありますが、県では平成10年4月に農政部内に農産物流通課を設置するなど、組織体制の整備を図りつつ、多様化する流通チャンネルへの対応を強化するため、販売促進活動や消費拡大対策を積極的に展開するとともに、農産加工の推進により、その高付加価値化を図ってきているところであります。特にも、いわてものとしての銘柄を確立し、市場競争力を強化するため、生産出荷体制の整備、鮮度保持技術開発を進めるとともに、県独自の基準による限定純情米の販売など県産農産物の評価向上による有利販売に努めているほか、農産物の高付加価値化を促進するため、農業生産から加工、流通、消費に至る各部門が連携を図りながら、新製品の開発や市場開拓を行うフードシステム高度化推進指導事業を実施してきているところであります。今後は、農産物の大消費地への販売とあわせて、地方卸売市場の機能強化等による地場流通や産直・宅配、食料品製造業への供給など多様な農産物の流通を促進していく必要があります。また、消費者のニーズにこたえ得る食品の供給を行うフードシステムについては、新たな地域特産産地の育成を初め、異業種間の連携による地域産業全体の活性化が期待されることから、県の一層の指導・支援が望まれるところであります。
 次に、地場産品の販路拡大に関する調査のうち、林産物の流通販売対策についてでありますが、林産物については、林業構造改善事業や特用林産振興対策事業など県の積極的な施策展開の結果、本県の主要な林産物である木材、シイタケ及び木炭は、いずれも全国有数の生産量を誇る規模となっております。今後は、豊富で多様な森林資源を活用し、素材の安定的供給のため、集団的、計画的な生産体制づくりに努めるとともに、加工・流通コストを低減し、消費者ニーズに対応した高付加価値商品を供給するため、生産部門と一体となった加工・流通体制の整備が求められるところであります。
 次に、地場産品の販路拡大に関する調査のうち、水産物の流通販売対策についてでありますが、水産物については、本県の海面漁業・海面養殖業の総生産量は全国でも上位に位置しているところであり、特に、秋サケ等については、消費拡大・販路拡大を図るため、水産物消費拡大対策事業を県内外において実施するなど、その消費宣伝等に努めてきているところであります。しかし、水産物輸入の増大等に伴う魚価安などにより、生産額が低迷してきていることから、今後は、水産物の付加価値の向上などによる生産から流通・販売に至るまでの総合的な取り組みが必要であるほか、新鮮で安全な水産物を提供するため、鮮度管理強化や取扱規格の統一、「危害分析に基づく重要管理点方式」いわゆるハセップ方式への取り組みが望まれるところであります。
 次に、地場産品の販路拡大に関する調査のうち、地場産業が生産する製品の販路拡大についてでありますが、県においては、市場形成力の強化を促進するため、地域資源等活用型起業化事業や新商品開発能力育成等事業を実施するなど、優良県産品の開発・育成のほか、物産販路の開拓・拡大に努めてきたところであります。特にも、平成10年4月に盛岡駅西口のマリオス内に、いわて物産観光センターブランドiを、また、同年10月には東京の銀座にいわて銀河プラザを、さらには、本年2月には福岡市に九州地区における北東北3県合同の情報発信拠点みちのく夢プラザをそれぞれ設置するとともに、首都圏で総合的な情報発信イベント銀河系いわてフェステバルを開催するなど、本県が全国に誇る特産品等を県内外に紹介するとともに、販路の拡大を図るための基盤等を整備してきたところであります。今後は、消費者、流通関係者に対する戦略的な情報発信や多角化する流通チャンネルへの積極的な対応のほか、観光、流通、外食等の各産業との連携強化による地域市場の開拓等にも積極的に取り組まれることが期待されます。
 次に、地域産業の振興に関する調査のうち、岩手ブランドの確立の推進についてでありますが、産地間競争の激化等の流通環境の変化の中で、1次産品を含めた地場産品の販路拡大を進めるためには、本県の豊富な地域資源を生かした「いわてブランド」を創出するとともに、育成していく必要があります。このため、県においては、平成7年4月に岩手ブランド推進室を設置するとともに、「いわてブランド確立基本方針」を策定し、その実現に向け、部局横断的な各般の施策を展開してきているところであります。今後においては、岩手ブランドの確立の推進に向け、地域市場での県産品の定着化を促進し、あわせて県民の県産品愛用運動の展開を図っていく必要があるほか、関係機関、関係団体等が相互に連携し合い、地場産業を総合的かつ体系的に支援、指導する体制の整備を促進するとともに、消費・流通環境の変化に対応し得る販路拡大推進体制の整備を図っていくことが望まれるところであります。
 次に、地域産業の振興に関する調査のうち、中小小売商業の振興についてでありますが、中心市街地の空洞化が進む中、街の顔としての魅力ある商店街の創造と、生活者ニーズに対応した選択性の高い消費生活の実現が求められているところであります。このため、県においては、中小小売商業の振興施策として、商店街交流づくり事業や魅力ある商店街整備事業などを実施するほか、事業資金の融資などにより、ソフト、ハードの両面にわたる支援策を積極的に展開してきているところであります。今後は、中小小売商業の振興を図るためには、中心市街地の活性化を図ることが重要であることから、平成10年7月に施行された中心市街地活性化法を活用し、庁内関係部による中心市街地活性化連絡会議を中心に、市町村と連携を図りながら、県内各地域における歴史や文化などの特色を生かした市街地の形成や、生活者の視点に立った商業集積の促進など、にぎわいのあるまちづくりを推進することが期待されるところであります。
 以上の調査結果の内容を踏まえ、今後において、地域産業の総合的な振興を図るためには、関係各部局の密接な連携のもと、積極的な施策の展開が望まれるところであり、特にも、農林水産業から製造業、小売業までの各産業の枠を越え、産業間の連携・ネットワーク化を強化し、複合的な地域産業の集積を進めるほか、広範な県産品等の産業情報発信機能を強化し、本県地域産業のイメージアップを図るとともに、岩手ブランドの確立を推進していくことが求められるところであります。
 終わりに、県当局におかれましては、これまで申し上げました諸点に配慮するとともに、本年8月に策定を予定している新しい総合計画の着実な推進に努めながら、今後とも県土の均衡ある発展と県民生活の向上を図るため、本県地域産業の振興に一層努力されんことを要望いたしまして地域産業振興特別委員会の報告といたします。(拍手)
〇議長(那須川健一君) 次に千葉農山漁村活性化対策特別委員長。
   〔農山漁村活性化対策特別委員長千葉浩君登壇〕(拍手)
〇農山漁村活性化対策特別委員長(千葉浩君) 農山漁村活性化対策特別委員会のこれまでの調査の経過と結果につきまして御報告申し上げます。
 本委員会は、平成9年6月定例会におきまして設置されて以来、9回にわたり委員会を開催し、活力ある農山漁村の形成に関する調査及び中山間地域の振興に関する調査について、その都度、課題を設定し、その現状と課題、対策等について、県当局から説明を求め、質疑・意見交換を行うとともに、県内3回、県外2回の現地調査を実施してまいりました。
 まず、活力ある農山漁村の形成に関する調査のうち、女性、高齢者の活動の促進についてでありますが、県におきましては、21世紀をひらくいわて・ふるさと女性ビジョン及び岩手県農山漁村高齢者ビジョンを策定し、関係者が一体となり、その対策に取り組んでいるところであります。
 農山漁村地域の女性については、家庭生活はもとより、生産や地域活動の中心的役割を担っており、県では、その社会的認識や評価を高めるための啓発を行ってまいりましたが、現状では、経営や公的な立場への参画が十分ではない状況にあります。
 このような状況を踏まえ、女性が持つ豊かな感性と能力を発揮できる環境づくりを促進するため、経営に主体性を持って、参画できるような技術・経営管理能力の向上や地域の方針決定の場への積極的な登用を行い、女性の社会参加を推進するとともに、農村生活アドバイザーや農村リーダーなどの人材育成が必要と考えます。
 また、高齢者の活動促進については、都市部に比較して高齢化率が高い農山漁村地域において、地域社会の活力低下、農林漁業の停滞など高齢化の急速な進行に伴う問題が顕在化しております。
 このような状況の中で、高齢者が生産活動や暮らしの中で培った技術、経験を若い世代に伝えながら、生涯現役として生き生き活動できる環境づくり、いわゆるシルバーパワーの多様な活動を促進するため、生産活動を行う高齢者グループへの経済的な支援、活動拠点等の各種施設の整備を図るとともに、医療及び福祉部局と連携し、高齢者が健康で暮らしやすい地域づくりの推進を図ることが重要と考えます。
 次に、活力ある農山漁村の形成に関する調査のうち、農産物の生産・加工対策についてでありますが、県においては、豊富な農業資源を高度に生かし、米、園芸、畜産のバランスのとれた収益性の高い農業、いわゆるトライアングル農業への再編を推進しているところであります。
 今後は、この実現に向け、平場地域においては、良食味米の効率的な生産や転作田への園芸作物等の団地的導入、また、中山間地域においては、野菜・畜産の土地利用型農業の展開、施設園芸や新需要作物等の地域特産物の導入を促進するなど、それぞれの立地条件に応じた農業を展開し、我が国の総合食料供給基地としての地位を確立されるよう期待するものであります。
 また、農産物の加工については、農産物の高付加価値化による農業所得の向上を図る観点から、加工処理施設の整備や加工組織の育成を図るとともに、食品製造業や外食産業などの関連産業との連携を強化しながら、消費者ニーズにマッチした新商品の研究・開発や多彩な宣伝活動を促進していくことが必要であると考えます。
 次に、活力ある農山漁村の形成に関する調査のうち、新しい米政策と県の対応についてでありますが、国においては、米の需給と価格の安定を図るため、生産調整対策及び稲作経営安定対策等を基軸とする新たな米政策大綱を策定し、新しい視点に立った対策を総合的に推進しているところであります。
 今後におきましては、この新しい米政策を踏まえ、適地適作による転作田への麦、大豆、飼料作物等の土地利用型作物や園芸作物の導入拡大を進め、稲作と転作を融合した望ましい水田農業を確立していくことが望まれるところであります。
 次に、活力ある農山漁村の形成に関する調査のうち、林産物の高付加価値化についてでありますが、外材や国内との産地間競争に対処するため、木材の高次加工施設の整備を促進し、高品質で地域材の特性を生かした製材品やプレカット、集成材などのエンジニアリングウッドの生産など、付加価値の高い製品の開発や生産を進め、公共施設・公共工事を初め、民間における木材の利用を推進しながら、県産材の有効活用を図ることが重要であります。
 また、中山間地域の複合経営の中核的な役割を担っているシイタケを初めとするキノコ類や木炭、ワサビといった特用林産物につきましては、施設化の促進と生産技術の向上を図ることが不可欠であると考えます。
 次に、活力ある農山漁村の形成に関する調査のうち、水産物の高付加価値化についてでありますが、水産業については、国内漁業生産が激減する中にあって、本県においては天然資源に依存するだけでなく、種苗放流や養殖によって、人為的な資源の増大を行い、つくり育てる漁業を推進しているところであります。
 今後におきましては、鮮度についての消費者ニーズの高まりに対応するため、産地市場での鮮度の保持・管理を徹底することが重要であります。
 また、水産加工品については、産学官が一体となり、高次加工品の増大、消費者志向にマッチした新商品の開発を行う体制づくりが必要と考えます。
 次に、中山間地域の振興に関する調査についてでありますが、県においては、今年度、中山間地域が抱える過疎化、農業従事者の減少と高齢化、後継者不足、耕作放棄地の増加などの諸問題の解決に向けて、庁内に中山間地域活性化対策推進会議を、各地方振興局には中山間地域活性化対策地方推進会議を設置し、関係部局が連携し、各分野にわたる施策を総合的に推進する体制を確立したところであります。
 今後は、農業生産基盤、農村生活環境の整備が平地農村に比べておくれがちであることから、特にも、これらの整備を一層推進することが重要と考えます。
 農業生産基盤整備については、多様な地域特性や資源を活用した農業生産活動の実現に必要な圃場や農道などの整備を地形条件に応じて、可能な限り低コストに進めることが重要であります。
 農村生活環境の整備については、地域住民が魅力を感じて定住し、多様な地域間交流が促進されるよう、集落道や飲用水供給施設、汚水処理施設のほか、地域活動の拠点となるコミュニティー施設の整備を図り、アメニティーに満ちた潤いのある農村空間を形成することが求められます。
 また、自然志向やグリーン・ツーリズムへの関心の高まりを受け、農村と都市との交流や消費者と生産者の交流が今後、ますます盛んになると思われることから、産地直売施設や農林漁業体験交流拠点施設などの受け入れ体制の整備により、一層の交流が図られることが期待されます。
 経済・社会が大きく変化し、経済優先社会から生活優先社会への転換が求められている中、農山漁村の持つ多様な機能に大きな期待が寄せられているところであります。
 これらの機能を十分に発揮できるよう、本県農林漁業及び農山漁村の発展に向け、施策の一層の充実に努力されんことを強く要望いたしまして、御報告といたします。(拍手)
〇議長(那須川健一君) お諮りいたします。各調査事件については、これをもって調査を終了したいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(那須川健一君) 御異議なしと認めます。よって、各調査事件については、これをもって調査を終了することに決定いたしました。
   
日程第75 発議案第2号特別職の職員の給与並びに旅費及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例から日程第80 発議案第7号盛岡地方裁判所の裁判官増員を求める決議まで
〇議長(那須川健一君) 次に、日程第75、発議案第2号から日程第80、発議案第7号までを一括議題といたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております各案件は、各派共同提案及び委員会提案でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(那須川健一君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 これより、発議案第2号から発議案第7号までを一括して採決いたします。
 各案件は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(那須川健一君) 起立全員であります。よって、発議案第2号から発議案第7号までは、原案のとおり可決されました。
   
日程第81 発議案第8号「新しい日米防衛協力のための指針」関連法案の慎重審議と国民的論議を広く求めることについて
〇議長(那須川健一君) 次に、日程第81、発議案第8号「新しい日米防衛協力のための指針」関連法案の慎重審議と国民的論議を広く求めることについてを議題といたします。
 提出者の説明を求めます。小原宣良君。
   〔36番小原宣良君登壇〕(拍手)

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