平成11年2月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇1番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第1号1999年度岩手県一般会計予算に反対の討論を行います。
 来年度予算は、増田県政の4年間が県民に何をもたらしたのか、その実態を示すものでありました。増田県政の最大の特徴は、行き詰まった自民党政治に追随して、開発優先、公共事業の大盤振る舞いで1兆円を超える借金をふやし、財政危機を招いたことであります。来年度予算は、知事選挙を前にした骨格的予算とは言うものの、8、697億円余で、前年比3・1%増となるものであります。97年度決算では、普通建設事業、いわゆる公共事業は42・1%を占め、ついに東北第1位の水準となりました。99年度予算でも、政府の経済対策に追随し15カ月予算として、98年度12月補正、2月補正を加えるなら3、349億円、前年比12・8%増となる公共事業の文字通り大盤振る舞い予算となったのであります。その結果、県債、いわゆる県民の借金は1兆1、076億円となり、県民1人当たり78万円、4人家族で312万円もの異常な借金財政となるのであります。
 最大の問題は、財政危機を口実に、県民の福祉・医療・教育が切り捨てられていることであります。難病患者への医療費が昨年5月から一部有料化され、今年度は4、100人、約9割の難病患者に対し6、000万円の負担を強いたのであります。来年度は4、600人に約9、000万円の負担を強いるものとなります。難病患者とは、県が行った実態報告書でも、大多数の方々は長期的療養生活を余儀なくされており、症状の進行に伴い、単に経済的な問題のみならず介護等に著しく人手を要するため、家族の負担が重く、精神的にも負担の大きい疾患と述べているものであります。難病患者の生活の命綱だったと言われる医療費助成を有料化した冷たいやり方は、直ちに改善すべきであります。
 障害者関係の予算を2、300万円も削減したことは、弱者に冷たい県政と言うべきものであります。特に、障害者文化芸術祭開催事業費200万円を廃止したことは、福祉切り捨てそのものでありました。この事業は、年々参加者も作品もふえ、平成13年度まで行うとされていたものであります。保健福祉部も財政課も、Aランクの重要な事業評価をしていたにもかかわらず廃止されたのであります。
 延長保育料軽減支援事業も、唯一の県単独事業として本年度実施されたばかりでしたが、わずか1年で廃止されました。福祉切り捨ての県政によって、ホームヘルプサービス、デイサービス、ショートステイの在宅福祉の水準は、平成3年度全国1位から、平成9年度には20位まで後退したのであります。
 一方で、大型開発、公共事業はほとんど見直しされず、総事業費1、400億円を超える港湾整備事業には、来年度も36億3、000万円の予算が計上されています。大船渡港と宮古の港湾整備事業については、元運輸事務次官の住田正二氏が、お役人のむだ遣いの例として、投資する根拠がないと指摘されているものであります。特に、久慈港の港湾整備事業は、既に350億円の事業計画に対して311億円が投入されていますが、貨物取扱量の実績は目標のわずか7%の40万トンにすぎません。県の事業評価でも、効率性がゼロとされていながら、緑の公園整備事業を含め、今年度7億9、100万円、来年度も2億6、000万円が予算化されています。公共事業は、当初予算が次々と補正されて膨れ上がる仕組みでありますから、これにとどまるものではありません。実際、林業水産部の公共事業は、今年度事務事業の見直しで25億1、000万円が減額されましたが、補正で68億円増額され、結局43億円もふやされたのであります。まさに、増田県政のやり方は、開発公共事業は、投資効果のないもの、あいまいなもの、それもどんどんふやし、県民が切実に求める福祉・医療の予算は、どんなに重要なものでも切り捨てるという逆立ちの県政と言うべきものであります。
 農業問題でも、増田県政、米の関税化を容認するなど、農業切り捨ての自民党政治に追随する農政となっています。牛肉の自由化では、江刺の畜産農家が抗議の自殺を遂げました。この間の推移は、その抗議どおりに深刻な実態を示しています。牛肉の自給率は、当時51%から今36%へと激減し、岩手の畜産農家は1万2、000戸、4割を超える農家が離農に追い込まれました。今、いわて短角牛の存亡が問われる事態にまで至っています。もし米まで関税化、自由化されたなら、牛肉自由化の比ではない重大な打撃と影響を受けることは、火を見るより明らかであります。米の関税化を容認しては、日本の農業も岩手の農業も守れないことは明らかであります。農政予算の約7割が公共土木事業に占められているゆがみも正されなければなりません。
 増田県政は、環境首都を掲げていますが、ごみ減量の具体的目標も計画も示していません。自然破壊と言うべき大規模林道川井・住田線の工事についても、森林開発公団にも物が言えない残念な態度であります。
 教育の問題も深刻であります。不登校が1、803人、高校中退831人、いじめや校内暴力も解決されていません。子供をめぐるこうした状態のもとで、この4年間で小中学校で544人の教員を削減いたしました。今必要なことは、生徒の減少を教育条件を拡充する好機として取り組むことであります。教員を減らさずに取り組むなら、小学校1年生から計画的に30人学級を実現することは、大きな財政負担なしに実現が可能であります。ところが増田県政は、生徒の減少を口実に高校再編を行い、県内で10の高校を減らす統廃合を強行しようとしています。これは、地域で通える高校をなくすとともに、その効果が疑問視されている総合学科制の高校を五つもつくり、高校間格差を一層拡大するものであります。今、教育行政に求められていることは、過酷な受験中心の教育を見直し、希望者全員の高校進学を保証することであります。20年以上の小学校の老朽校舎は51%を占め、そのうち大規模改修はわずか21%となっております。8割が深刻なおんぼろ校舎のまま放置されています。老朽校舎の総点検を行い、優先して改築・改修すべきであります。
 日の丸・君が代問題も、広島県の県立学校長が自殺するなど、大きな社会問題となっています。法的根拠もなしに学校教育の現場に強制すべきではありません。
 平和の問題でも、増田県政は、自民党追随の姿勢を明らかにしました。憲法9条をないがしろにして、国民と地方自治体を戦争に動員する新ガイドライン関連法案、戦争法案を容認する態度を明らかにしました。2度にわたる三沢米軍機の墜落に対しても、アメリカと米軍への抗議申し入れはいまだに行っていません。アメリカに物が言えない自民党政治に追随する県政そのものであります。
 議案第11号、12号は、港湾整備事業と県民ゴルフ場の特別会計であり、むだと浪費の見直すべき事業でありますから反対するものであります。
 議案第16号から21号までは、市町村に負担を求めるものであり、反対いたします。
 議案第26号、29号から37号、40号、43号、45号から47号、49号、50号、54号から64号、これは、不況のもとで公共料金を値上げするものであり、反対します。
 議案第52号は、花巻空港の使用料を約1億円値下げし、1億円の赤字をつくるものであり、反対するものであります。
 最後に、今県政に求められていることは、開発優先の県政から、県民の福祉、暮らし、教育を守る本来の地方政治を取り戻すことであります。日本共産党は、県民が主人公と言える県政の実現のために全力で奮闘する決意を述べ、討論といたします。
 御清聴ありがとうございました。
〇議長(那須川健一君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、議案第1号、議案第11号、議案第12号、議案第16号から議案第21号まで、議案第26号、議案第29号から議案第37号まで、議案第40号、議案第43号、議案第45号から議案第47号まで、議案第49号、議案第50号、議案第52号及び議案第54号から議案第64号までを一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(那須川健一君) 起立多数であります。よって、議案第1号、議案第11号、議案第12号、議案第16号から議案第21号まで、議案第26号、議案第29号から議案第37号まで、議案第40号、議案第43号、議案第45号から議案第47号まで、議案第49号、議案第50号、議案第52号及び議案第54号から議案第64号までは、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第2号から議案第10号まで、議案第13号から議案第15号まで、議案第27号及び議案第28号を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(那須川健一君) 起立全員であります。よって、議案第2号から議案第10号まで、議案第13号から議案第15号まで、議案第27号及び議案第28号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
   
日程第71 環境対策に関する調査、省資源・ゴミ・産業廃棄物処理に関する調査、エネルギー問題に関する調査の件から日程第74 活力ある農山漁村の形成に関する調査、中山間地域の振興に関する調査の件まで
〇議長(那須川健一君) 次に、日程第71、環境対策に関する調査、省資源・ゴミ・産業廃棄物処理に関する調査、エネルギー問題に関する調査の件から日程第74、活力ある農山漁村の形成に関する調査、中山間地域の振興に関する調査の件までを一括議題といたします。
 各調査事件に関し、委員長の報告を求めます。菊池環境・エネルギー対策特別委員長。
   〔環境・エネルギー対策特別委員長菊池雄光君登壇〕(拍手)

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