平成11年9月定例会 第3回岩手県議会定例会会議録

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〇13番(阿部富雄君) 阿部富雄でございます。通告に従い質問いたします。
 地球が太陽系の一惑星として誕生したのが今から46億年前と言われ、人類が誕生したのが300から400万年前と言われています。それ以来、人類は自然から多くのことを学ぶとともに、自然を利用することで豊かになってきました。そして、18世紀の産業革命以降、私たち人類は、地球の有限性を考えることなく、科学や技術の進歩のままにエネルギーや資源を大量に消費し、自然や環境よりも、豊かさ、便利さの追求を行ってきました。その結果、地球の温暖化、オゾン層の破壊、酸性雨、熱帯雨林の減少など、さまざまな地球環境問題を引き起こすことになり、このまま何の対策も講じなければ、人類の生存さえ危ぶまれる危機的な状況にあります。
 人間は、自然や物という器を利用して地域社会を形成し、動かしてきました。地域社会は、人、物、金と情報を食べて生きており、生物は情報が支配していると言っても過言ではありません。新しい総合計画で環境、ひと、情報で新たな可能性の扉を開くということは、自然と人類への帰納的なことと言え、評価するものであります。
 新しい総合計画について各地区で意見交換する県、市町村連絡会議が開かれましたが、私が参加した会場の雰囲気を見る限り、この計画を推進するパートナーである市町村長や市町村議会議員の理解は十分とは言えないように思われます。県政の神経である市町村が敏感に反応し、一体となって取り組むことが、この計画の成否を決めることになると思います。天の時を知り、地の利を生かし、人の和を図るという言葉があります。新しい総合計画は、県民総参加での展開となるよう努力していかなければなりません。
 一方、新しい総合計画では、文化や歴史に対する取り組みが弱いように感じられます。繩文時代には、東日本の人口と西日本の人口を比較すると2倍、すなわち3分の2が東日本に住んでいたと言われています。照葉樹林地帯よりブナ樹林地帯の方が人口の包容力が大きく、木の実、山菜、サケ、マスなどの豊富な自然の恩恵に浴していたことから、他に比類のない文化が続々と興隆し、それがアテルイ、安倍、平泉と受け継がれてきたと言われています。
 東大名誉教授の藤島亥治郎氏は、「平安時代の文化財の中でもすぐれたものが集まっているところと言えば、文化の源泉地である京都を中心とする近畿地方を除いて平泉以外どこにあろうか。草深い雪国に、遺跡、建築、美術工芸、芸能など、あらゆる方面の文化財が残されているということは、本当に天下の奇跡と言ってよい」と言い切っております。平泉文化は、一級品の価値を持っており、その全容の解明や保存活用に力点を置くことも大事なことです。
 まず、農業問題についてお伺いします。
 本年度産米が作況指数102で、2000年10月末の主食米在庫は250万トン程度となり、昨年11月に立てた計画を60万トンも上回ることが予想されます。政府・自民党は、豊作による自主流通米の価格下落を食いとめるため、JAグループが政府持ち越し国産米を30から40万トン程度買い入れ、これを飼料用に回す。国は99年産米を30から40万トン買い入れる。政府持ち越し国産米の20から30万トンの販売を凍結する。2000年産の生産調整は本年度末と同様とする。飼料化に伴う差損や農家手取りの確保については、米需給調整・需要拡大基金と国の助成を充てることなどの緊急需給安定対策を決定したと報じられています。この場合、来年度以降の生産調整の固定化、飼料用に振り向けることによる生産者負担を緩和するための財政措置、自主流通米価格の低下懸念など、大きな課題を抱えることになります。米主産県として、国に対してどのような働きかけを行うのか、県としてはどのように対応するのかお伺いします。
 次に、2000年度以降の米の生産調整の次期対策についてお伺いします。
 JA・全中は、これまでの組織討議を踏まえ、水田営農基本政策の確立、新たな大豆政策の確立に向けた国への要請を決定しました。水田営農基本政策の確立では、稲作並みの所得が確保できる麦・大豆、飼料作物生産への助成、需要に即した米生産を実現するための対策、稲作経営安定対策の充実・強化、豊作時の主食用以外への仕向けなど、新たな生産調整手法への支援対策などを求めております。県では、生産調整目標面積については、新たな米政策大綱に即して緩和することなど5項目にわたり国に対する要望を行っているところですが、麦・大豆、飼料作物などの稲作並みの所得補償などを展望するとき、具体的な要望を行うべきと考えます。
 本県は、新しい農業計画の中で、本県農産物の供給力向上を目指すとしています。計画期間内に、大豆は約15%、麦については約80%の作付面積の拡大を図るとしていますが、大豆の最近10年間の10アール当たりの平均収量は約140キログラム程度にとどまっていること、また、品種改良は農水省が行っていますが、安定的な所得確保の面からは、収量、品質、倒伏、耐病対策は改良途上にあり、促進が望まれるところであります。加えて、内外価格差は米と同様大きな課題となっております。安全な食料を安定的に県民に供給するという考えに立てば、県内での生産物は県内で消費することを基本に生産、加工、流通、消費のシステムをつくる中での生産振興に努めることが必要です。次期生産調整対応について国に求めること、県が取り組む施策をどう展開されていくのかお伺いします。
 次に、中山間地域等への直接支払いについてお伺いします。
 我が国農政史上初めての中山間地域等直接支払制度が2000年から導入されます。県総面積の84%、経営耕地面積の65%、8万8、000ヘクタール、人口の54%が居住する中山間地域の振興に貢献するものと期待するものであります。直接支払制度の実施は、国と地方公共団体が共同で行うものと位置づけられ、市町村が実施主体となり、対象農地の指定、集落協定の承認、直接支払いの交付事務などを行うこととされており、市町村へ重い責任が課されることになっています。県土の大宗をなす中山間地域の活性化、農業立県として農業振興を図る立場から、市町村長の判断で緩傾斜地農地や高齢化率、耕作放棄率の高い地域を対象とすることや県の特認として、いわゆる八法対象地域以外でも耕作放棄地の発生が懸念される農地を対象とするなど、多くの農地を取り込むことができるよう、市町村と連携を密にして取り組むべきと考えます。
 財源の負担については、国とともに地方公共団体も負担することになっていますが、県と市町村の負担割合については、財政基盤を考慮し、持ち出し分の市町村負担の軽減を図ることも検討すべきと考えます。また、中山間地域の担い手育成や耕作放棄防止の観点から、新規就農する場合や担い手が条件不利の農地を引き受ける場合などに上乗せ助成を行い、県土の保全、中山間地域の振興を図るべきと考えますが、具体の対応についてお伺いします。
 次に、介護保険制度実施に向けた当面の課題についてお伺いします。
 介護保険制度の目的は、家族介護から社会的介護への転換を図ること、要介護高齢者の人権の確立と高齢者の自立を支援すること、措置制度からサービス選択可能なシステムへの転換を図ること、社会的入院を解消し在宅介護を充実すること、民間活力を利用して良質かつ大量のサービスを生み出すことにあります。要介護認定については、痴呆性高齢者を中心に認定の正確さに疑問が投げかけられており、コンピューターソフトの公開や判定方法に対する県民及び関係者の意見聴取などを通じて、調査内容や判定方法について絶えず見直しを行うことが必要です。介護保険法は、その制度設計に当たって、住民参加を積極的に取り入れた制度になっています。計画策定委員会などの体制整備に当たっての公募委員の状況、委員会審議の公開や住民向け説明会など地域住民の意見反映の状況について、県はどのように把握されているのかお伺いします。
 次に、自立と認定された高齢者への生活支援サービスの充実についてであります。
 厚生省の98年度の要介護認定モデル事業の結果によれば、在宅で8.1%、施設入居者でも、自立、要支援と判定され、施設介護の対象外となるケースも8%ありました。5年間の経過措置があるものの、住みなれた地域で在宅ケアが受けられるよう、ケアハウス、グループホームなどの在宅サービス基盤や生活支援プログラムを整備して、こうした施設介護の対象から外れた高齢者に対する生活支援サービスを充実することが必要と考えます。これらを踏まえて、介護保険事業計画を策定するに当たっては、県や市町村の高齢者保健福祉計画との一体性の確保を図るとともに、必要な予算措置を講ずべきと考えますが、これが対応についてお伺いします。
 次は、保険料の地域格差についてであります。
 先般、県内市町村のサービス需要調査に基づく保険料試算が明らかにされました。最高額は湯田町の3、916円、低いのは室根村の2、412円と格差が生じています。これは基準額であり、所得に応じ5段階に格差がつけられ、基準額の0.5倍から1.5倍の開きが出てくることになり、湯田町は高い人で5、974円の高額も想定されます。このような格差が生じる場合、また市町村の責任によらない特殊な事情などがある場合については、広域化による保険料の平準化や保険料低減のための諸方策を講ずる必要があると考えますが、これらの対応についてお伺いします。
 次に、県が行う重要な業務に、施設サービスを中心とした広域調整があります。サービス事業者の指定に当たっては、施設サービス全体のバランスや質について配慮し、市町村は在宅サービスを基本に取り組むことができるよう、とりわけ保険料に大きな影響を与える療養型病床群が過剰に生まれないよう十分留意する必要があります。施設サービスを中心とした広域調整についての県の考え方をお伺いします。
 次に、緊急雇用対策に係る雇用創出事業についてお伺いします。
 緊急雇用対策では、国、地方公共団体による臨時応急の雇用、就業機会の創出として、雇用、就業機会増大効果30万人強を見込み、国は臨時応急の措置として、緊急地域雇用特別交付金を交付することとしています。市町村の事業は、従来の臨時的対応の延長にとどまり、県内の求職者3万1、000人余の失業状況に対応した対策とは見えません。情報提供を含めどのような指導をされていくのかお伺いします。
 また、2、700人程度の雇用を確保すると聞いていますが、厳しい雇用状況にかんがみ、基金の上積みや県独自の雇用対策も必要と考えますが、これが対応についてお伺いします。
 国は、交付金の対象となる学校教育関係の事業の具体例として、全生徒が学習することができる数のコンピューターの導入やインターネットへの接続を進め、コンピューター取扱能力等の高い者を小中高に臨時的講師として活用することによるインターネット・コンピューター教育の充実など9項目を挙げています。一方、県では新しい総合計画で、平成17年度にコンピューター設置割合、インターネット接続割合をそれぞれ100%にするとしていますが、現時点でのコンピューター設置割合は、小学校32.7%、中学校17.8%、高校41.8%にとどまっています。また、設置の機種が古いため、ウインドウズを組み込むことができなかったり、インターネット接続ができないものがほとんどであり、名ばかりの設置や接続でしかありません。
   〔副議長退席、議長着席〕
 新しい総合計画では、情報で新たな可能性の扉を開くとしていますが、極めてお粗末で、情報の分野では全国から大きくおくれをとっています。こうした状況にかんがみ、緊急地域雇用特別交付金事業の活用を契機として、小中高校に設置されている旧式コンピューターの更新を図るべきと考えます。
 NTTでは、郵政省の肝入りもあり、学校インターネット用の割引サービスも本年度9月から提供しています。これらを活用することにより、すべての学校でインターネットに接続できるよう整備すべきと考えますが、先行投資としての学校における情報化をどうつくり上げていくのかお伺いします。
 次に、認定職業訓練校の整備充実についてお伺いします。
 本県における平成11年7月現在の月間有効求職者数は3万1、639人、有効求人倍率0.48と厳しい状況にあります。特にも高齢者の再就職は困難を来しています。再就職に当たっては、コンピューターの操作や新たな技術、技能を身につけることが求められています。職業訓練協会で設置している認定職業訓練校では、会員事業所の従業員の共同訓練施設としての本来の役割があるものの、今日まで求職者の再就職促進講習などにも大きく貢献してきたことから、従業員以外の職業能力開発のための施設として活用することも重要と考えます。現在の認定職業訓練校は、施設の老朽化、訓練設備の不足など厳しい環境のもとにあることから、これら訓練環境の整備を進めるとともに、必要であれば、統合なども視野に入れて、機能の充実、高度化を進めるべきと考えます。これには設置者である職業訓練協会の主体的な取り組みが求められるものでありますが、県は、認定職業訓練校の整備充実についてどのようにお考えなのかお聞かせ願います。
 次に、平泉文化を総合的に調査・研究し、その成果を公開、活用する施設整備についてお伺いします。
 国立博物館の誘致については、平成3年度以降、政府予算統一要望などの機会をとらえて、文部省と文化庁に、日本列島の北の文化や歴史をテーマとした博物館の設置を要望してきました。しかし、平成9年度からの政府予算統一要望からは除外されています。また、平成6年度から学識経験者から成る考古学研究機関の整備に係る研究者会議において、平泉文化など本県を代表する歴史的文化遺産の研究機関の整備のあり方について検討を進め、平成7年度には、考古学研究機関の整備構想を策定しています。この中で、研究機関の名称を、仮称でありますが、岩手県立平泉文化研究所としています。しかしながら、以後の取り組みがなされていません。柳之御所遺跡は、昭和63年から平成5年までの6年間に及ぶ緊急発掘調査の成果を踏まえ、遺跡の保存と治水事業の両立が図られ、堤防、バイパスルートが変更されるとともに、当遺跡の保存が決定されたほか、平成9年には国史跡に指定されたところであります。
 県は、史跡整備について平成7年から10年まで史跡整備計画の策定、11年から整備着手としたスケジュールを策定したところですが、遅々として進展が見られません。このように事業の中断、延期を見るとき、歴史や文化に対する取組姿勢や熱意が希薄に思えてなりません。知事は、本県を代表する平泉文化をどのように評価し、今後どのような施策を推進していくおつもりか、御所見をお伺いします。
 以下、具体にお伺いします。
 国立博物館等の設置については、太宰府の取り組みなどに見られるように、長期にわたって取り組むことが確かな一歩を踏み出すことにもなります。日本列島の北の文化や歴史をテーマとした博物館の設置要望を政府予算統一要望から除外しましたが、どのような事情によるものか、これにかわる具体の取り組みをどのように展開されるのかお伺いします。
 次に、考古学研究機関の整備についてであります。考古学研究機関の整備構想の具体化については、柳之御所遺跡の整備や無量光院などの発掘調査による遺物・遺構の歴史的意味や平泉文化の意義についての指導・助言を行うためにも、整備構想を放置することなく、発掘調査と並行して年次計画を定め、研究機関の整備に向けて推進すべきと考えます。中尊寺地区、毛越寺地区、無量光院地区の遺跡群は、近年の調査でも、町割関連遺跡が検出されており、中世都市平泉が明らかになりつつあることから、古代から中世に至る日本歴史の解明を図るためにも促進すべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 次は、柳之御所遺跡の公有地事業の着手及び早期整備についてであります。平泉町では、指定地外に家屋を移転したいとの地権者からの要望にこたえ、約4ヘクタールの民有地の公有化を県に要望しています。平成8年度に策定した柳之御所遺跡整備基本構想の中で、当遺跡の民有地の土地利用について、指定地外に家屋移転の要望があった場合は積極的に対応するとありますが、公有化事業をどのようなスケジュールで行おうとしているのかお伺いします。
 県は、平成10年度に柳之御所遺跡発掘調査事務所を現地に構え、詳細な発掘調査を開始しています。遺跡の重要性や全国的に注目されていることから、整備期間を明らかにするなど、目に見える形で整備すべきと考えますが、この整備計画がおくれることにより、平泉バイパスや一関遊水地事業の堤防建設がさらにおくれることが懸念されるところであります。この対応についてお伺いします。
 次に、平泉文化の世界遺産登録についてであります。平泉町では、平成10年に平泉文化を世界遺産の登録に向けて本格的に取り組むこととし、県にも援助、協力を要望しています。平泉文化の価値については、文化庁の文化財調査官や有識者が、平泉は普遍性という点では平安時代後期を代表する貴重な文化財であると評価できるし、次の世界文化遺産の暫定リスト登載の相談を受けている他の団体の物件の中でも質がよい等々、登録基準をクリアできるものと評価しています。申請に当たっては、現存している金色堂の単体もあり得るが、中尊寺境内、観自在王院跡を含む毛越寺跡、無量光院、柳之御所のセットでの可能性がさらに高まると言われています。全体を解明するための基本調査や資産の周囲に十分なバッファゾーンが用意され、必要な保護が与えられるべきとの世界遺産条約ガイドラインのクリアなど、平泉町の取り組みを支援し、連携を図りながら、県としても重点課題の一つとして取り組むべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 次に、県際連携についてお伺いします。
 岩手、青森及び秋田の北東北3県の知事が一堂に会し、共通の政策課題について意見交換を行い、21世紀に向けて相互の連携及び交流の一層の促進を図り、本地域の発展に資するため、北東北知事サミットが開催されています。これを具体化するため、岩手、青森、秋田3県の連携構想を協議している北東北広域連携構想調査委員会は、連携によって達成すべき社会像として、持続的な発展が可能な北東北など三つの柱を設定し、新産業の創出、滞在観光の促進などアクションプランを協議していると聞いております。
 振り返って、同じ県境にある岩手、宮城県際交流について見ると、一関、千厩、大船渡地方振興局と築館、迫、気仙沼の地方事務所をもって構成する県際連絡会議の開催、具体の取り組みとしては、地域づくり団体の県際交流会やホームページの開設などにとどまっています。同じ隣接県でありながら、具体の交流や連携の方途が模索の段階と言えます。これは、地方振興局レベル、事務レベルでの限界を示していると考えます。
 こうしたことから、岩手、宮城の両知事が、県際交流の方向を明らかにし、共通の政策課題について構想を立てて推進することが必要と考えますが、新しい総合計画の隣接県との交流圏を踏まえ、知事の意気込みをお聞かせ願います。
 最後に、県立磐井病院及び南光病院移転候補地についてお伺いします。
 医療局は、用地交渉や道路、上下水道などの周辺整備のほか、跡地利用などについて地元の努力が必要であることから、市と市議会の意見一致を求めてきたところです。県が内定している前堀地区と市長が推薦している矢ノ目沢地区について、市と市議会は話し合いができず、調整を見るに至っていません。両地区については、候補地ありきで誘致運動が繰り広げられ、市民や圏域住民には具体的な利点や問題点が明らかにされていないのも事実です。このような状況を見るとき、両地区を含め、候補地として従来から要望されている現在地での検討、国立岩手病院の隣接地など、幅広く候補地について情報を提供し、市民や圏域住民の理解、選択ができるよう取り組むべきです。
 一関市は12月に市議会議員選挙が予定されており、情報提供は市民の理解を得るよい機会でもあろうと思います。その情報提供や候補地の合意形成を図るため、医療局、市、市議会、関係県議、両地区誘致運動代表者など、関係機関、関係者が同じテーブルで話し合うことが解決の唯一の方法です。県は、こうした情報提供や合意形成のための話し合いに積極的に参加すべきですが、対応についてお伺いいたします。
 これで質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 阿部富雄議員の御質問にお答えいたします。
 まず、平泉文化の評価と今後の施策の推進についてのお尋ねでございますが、この平泉文化は、国宝の金色堂に代表される本県における最も貴重な文化財を生み出しているだけではなくて、さらに古代社会から中世社会への変遷の先駆けとして、その後の日本の歴史の展開に重要な影響を及ぼしたと考えられておりまして、全国的にも類例のない極めて重要な内容を持つ文化であると理解をしております。また、この平泉文化は、北日本、さらにはアジア世界をも含む地域性と国際性を兼ね備えた文化でありまして、国際社会にも誇り得る本県における貴重な文化遺産であると考えているところでございます。こうした認識に立って、これまで国と連携をとりながら、県では毛越寺庭園の復元整備や史跡の公有化などに取り組んできたところでございまして、現在は、奥州藤原氏関連遺跡群の中心でございます柳之御所遺跡の本格的な学術調査を実施するなど、平泉の歴史遺産を明らかにするための調査研究を進めているところでございます。
 今後は、より積極的に発掘調査を推進することで、順次、平泉文化の解明を進めていくとともに、その成果を広く公開・活用していくために、柳之御所遺跡を史跡公園として整備してまいりたいと考えております。また、平泉文化に関する研究をより一層推進することが極めて重要であると考えておりまして、このため、研究者のネットワークづくりや若手の研究者の育成など研究活動の支援を積極的に進めていくとともに、全国に向けた情報発信に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、県際連携についてでございますが、少子・高齢化や高度情報化の急激な進展など、経済社会情勢が大きく変化してきている中で、時代の変化に適切に対応しながら質の高い地域社会を形成していくためには、地域の特色を生かし、市町村や県の枠を越えてさまざまな分野での交流・連携を進めていくことが、ますますこれから重要になってくるものと、このように認識をしております。このため、去る8月に策定をした岩手県の総合計画におきまして、自然、文化、歴史など、地域資源を生かした個性あふれる地域づくりを進めるとともに、機能の相互補完を図りながら、一体的な地域としてともに発展していくために、宮城県を初め、隣接県との交流圏の形成を進めていくことといたしましたほか、両磐広域生活圏の地域計画の中におきましても、県際の交流・連携を通じて地域の振興施策を図っていくことを明らかにしたところでございます。
 宮城県との連携につきましては、特に岩手県南・宮城県北地域において早くから、日常生活面を初め、産業、経済、文化などさまざまな分野での県境を越えた交流・連携が繰り広げられておりまして、地域が主体となって推し進める活発な活動がいち早く展開されている地域であると、このように考えております。
 近年では、例えば北上川流域連携交流会、北上川流域市町村連携協議会、観光物産連携推進交流会、また岩手・宮城県際連絡会議など、さまざまな地域づくり団体や、市町村、県などによる流域を軸とした交流・連携が活発化してきておりまして、森と海との関係をテーマとした森は海の恋人植樹祭、川の達人を養成するリバーマスタースクール、地域づくりを担う人材育成のための岩手・宮城県際交流会の開催、また地域情報ネットワークの整備など県境を越えた連携を通じて、活力ある地域社会の実現を目指すいのち交流村みちのく悠遊快朗プランの策定など、新たな交流連携の輪が着実な広がりを見せてきていると、このように考えております。
 県では、このような地域の主体的取り組みが一層活発化するよう、さまざまな支援をさらに積極的に行っていく考えでございます。浅野宮城県知事とは、これまでも岩手・宮城県境議員懇談会や北上川流域連携フォーラムを初めとしてさまざまな、とにかくしょっちゅうお会いをしているわけでございますが、幅広く意見交換も行ってきているところでございまして、今後におきましても、私自身もみずから県境を越える交流連携活動に積極的に参加していくなど、宮城県との県際連携についても率先して取り組んでいきたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係の部局長から答弁させますので、御了承をお願いいたします。
   〔農政部長佐藤徳兵衛君登壇〕
〇農政部長(佐藤徳兵衛君) まず、自主流通米価格の下落などに対する対応についてでありますが、米の需給は、本年産米が豊作の見込みであることや予想外の消費量の減少から大幅な持ち越し在庫量となることが確実視されております。国においては、こうした動向にかんがみ、米の需給バランスの早期回復を図る観点から、米の緊急需給安定対策を講ずることとしておりますが、その効果が早急に発現され、米価の低下に歯どめがかかることが強く期待されているところであります。県といたしましては、この対策の一つである政府米を主食用以外の飼料用に仕向ける場合にあっては、農家の手取りが大幅に減少することにならないような国の助成措置を講ずることや、見通しを超える分はこれを市場隔離することにルール化することを、国に対して要望してまいりたいと思っております。また、米の産地間競争はますます激化することが予想されますので、明年度以降においても、高品質・良食味米の安定生産による売れる米づくりを一層徹底してまいりたいと存じております。
 次に、生産調整次期対策への対応についてでありますが、先般、国が示した次期対策の基本方向におきましては、水田を中心とした麦、大豆等の本格的な生産振興を図ることとしております。県といたしましては、この麦、大豆等について、これまでも本県に適した優良品種の開発や稲作並みの所得が確保できる助成措置の充実などを国に要望してきており、今後とも引き続き生産・経営両面の安定対策について要望してまいりたいと考えております。
 一方、本県の水田における麦、大豆等につきましては、排水対策や団地化が進んでいないことなどから、生産が安定しないといった課題を抱えております。したがいまして、次期対策につきましては、米以外の作物で所得を確保することを基本に、担い手への水田の利用集積などにより麦、大豆などの団地化を進め、こうした団地に排水対策を計画的に導入するとともに基本技術の徹底を図り、稲作と他作物の生産を通じた生産性の高い水田農業を確立してまいりたいと考えております。
 また、議員御指摘の県内消費への取り組みにつきましては、現在玉山村の地元豆腐製造企業との契約栽培や一関市のだいず工房への地域内供給など、農家にとって安定生産が可能となる事例も出ておりますので、県内食品製造業界などとの連携のもとに、このような取り組みを積極的に支援してまいりたいと考えております。
 次に、中山間地域等への直接支払いについてでありますが、直接支払い制度におきましては、対象農地の要件として、1ヘクタール以上のまとまりが必要とされており、こうした農地について、維持保全活動等を内容とする集落協定を作成することが前提となっておりますので、要件を満たす農地については、地域の方々の積極的な参画を得ながら、上乗せ助成制度の活用を含め、できるだけ多く対象としていく必要があると考えております。財源につきましては、交付事務に要する経費を含め、適切な地方財政措置が必要であると考えており、国に対し強く要望しているところであります。なお、国におきましては、本制度の運用に当たって、可能な限り地方公共団体の自主的判断を尊重することとしておりますので、市町村との密接な連携のもとに、現在、法指定地域以外の市町村も含めて実施している対象農地の調査結果等を踏まえながら、明年度からの交付を円滑に実施できるよう、諸般の準備を進めてまいる所存であります。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕
〇保健福祉部長(関山昌人君) まず、市町村等における介護保険事業計画策定に当たっての住民の意見の反映状況についてでありますが、県下48団体のうち、4割を超える21団体において公募による委員の参画のもとに計画を策定しており、その他の団体においても住民組織の代表を計画策定委員として委嘱しており、住民の意見を反映する配慮がなされております。また、計画策定委員会の会議の公開については、19の団体で行われております。さらに、ほぼすべての団体において、計画について何らかの形でアンケート調査や懇談会の開催などにより、住民の意見を反映する取り組みを行っております。県といたしましては、市町村が住民の声を計画に反映できる取り組みを行うよう、今後とも市町村に対して指導してまいります。
 次に、自立と認定された高齢者への生活支援サービスについてでありますが、自立と認定された高齢者が住みなれた家庭や地域の中で、生きがいを持って引き続き自立した生活ができることが大切だと考えております。このため、生活支援対策や介護予防対策等を総合的に展開していくことが重要であると考えております。具体的には、生活支援対策として、従来の配食サービスや移送サービスの提供のほか、本年度新たに、ひとり暮らしの高齢者が安心して暮らせるよう緊急通報体制の整備の促進や、高齢者の自立した共同生活を支援する高齢者共同生活支援事業の普及を進めております。
 また、生きがい対策として、これまでの老人クラブによるひとり暮らし高齢者への訪問活動に加え、本年度新たに、家に閉じこもりがちな高齢者に生きがいの場を提供する生きがい対応型デイサービスや、元気な高齢者が地域ボランティア活動などを行う、いきいきシルバー活動総合支援事業を実施するなどさまざまな施策を積極的に進めております。
 さらに、介護は要しないが、独立して生活することに不安のある高齢者や心身機能の改善により介護保険施設を退所する高齢者が、地域で安心して生活できるよう、高齢者生活福祉センターやケアハウス等の生活支援機能を重視した施設の整備を積極的に進めております。一人一人の高齢者にふさわしいサービスが総合的に提供されるよう、また市町村にとって初めての制度施行作業となるため、現在、市町村に対して県で作成いたしました計画のひな型を示しながら、介護保険事業計画と高齢者保健福祉計画が一体のものとして適切に策定できるように支援してきております。県においても介護保険事業支援計画と高齢者保健福祉計画を一体的に策定しているところであります。今後においては、計画に基づき必要となる生活支援サービスの整備に努めていくこととしております。
 次に、保険料の地域格差についてでありますが、65歳以上の第1号被保険者の基準額は、それぞれの市町村の被保険者が利用できる介護サービス料の水準によって決定されます。しかしながら、保険料の決定要因として、市町村の責任とは言いがたい要因が存在することは事実であります。このため、要介護発生率の高い後期高齢者の比率や、低所得者の占める割合が高い場合などには、国が調整交付金を交付することにより、市町村間の保険料の平準化を図る措置が講じられることとなっております。また、介護保険事業全般の広域化は、関係市町村の間での保険料の平準化が図れることや介護保険財政を安定的に運営できることなど、有効な方策と考えておりますことから、引き続き広域化のための環境が整うよう、市町村を支援してまいります。
 次に、施設サービスを中心とした広域調整についてでありますが、県といたしましては、在宅による介護を充実しつつ、在宅サービスと施設サービスとの均衡が図れるように介護基盤の整備を進めているところであります。このため、施設サービスの整備に当たっては、真に必要な施設ニーズに基づいて整備していくことがよいと考えております。国において施設種類ごとの整備量の参酌標準が示されており、これを踏まえつつ、各高齢者保健福祉圏域の実情に応じて必要となる介護老人保健施設、介護老人福祉施設、介護療養型医療施設の定員数の設定を行っているところであります。県といたしましては、施設サービスの広域利用及び高齢者保健福祉圏域内において、地域均衡のとれた施設の整備を図る等の観点から、今後とも県介護保険事業支援計画策定などを通じて市町村間の広域調整を行ってまいります。
   
〇議長(山内隆文君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   
   〔商工労働観光部長合田武君登壇〕
〇商工労働観光部長(合田武君) 緊急雇用対策についてでありますが、このたびの緊急地域雇用特別交付金制度は、現下の厳しい雇用失業情勢に対処するため、各地域の実情に応じて緊急に対応する必要のある事業を実施し、雇用・就業機会の創出を図ろうとするものであります。もとより、市町村事業につきましては、各市町村がそれぞれの創意と工夫に基づき事業を計画することが基本でありますが、県といたしましては、国の都道府県に対する説明会に先立ち、いち早く情報収集に努め、市町村に対する説明会を開催し、対象となる事業は、雇用効果の高い事業や、緊急性、必要性の高い事業であることなどについて周知徹底を図るなど、市町村との連携を密にしながら取り組んでまいったところであります。市町村におきましては、こうした制度の趣旨を踏まえて事業を計画したものであり、県といたしましては、市町村の主体的な取り組みを可能な限り尊重して、本年度の事業を決定したものであります。市町村事業は種々さまざまな事業がありますので、今後の事業執行に当たりましても、引き続き市町村と密接な連携を図りながら、所期の目的が達せられるよう指導してまいる考えであります。
 また、基金の上積み等についてでありますが、この交付金制度は応急の対策でありますことから、当面、この事業の効果的な執行に全力を傾け、今後の推移を見ながら、総合的な観点から検討してまいりたいと考えております。
 さらに、県といたしましては、地域産業資源を活用した新たな事業の創出や、企業の誘致に一層努力するほか、国の雇用活性化総合プランによる雇用拡大のための各種助成金等の活用や職業能力開発の推進を初め、県単独の職業アドバイザー等を配置するなど、きめ細かな事業の展開により、雇用機会の拡大に努めてまいる考えであります。
 次に、認定高等職業訓練校の整備充実についてでありますが、現在、県内には認定高等職業訓練校は17校あり、主に職業訓練協会会員企業の従業員に対する技能向上のための職業訓練を実施しているところであります。ここ数年の認定高等職業訓練校の修了者は、長期と短期の訓練課程を合わせ、年間2万人前後で推移しておりますが、昨今の厳しい雇用情勢を反映して、離職者に対する委託訓練など新たな需要もふえてきており、地域の多様な人材育成を図る施設としての役割は年々重要性を増しているところであります。議員御指摘のとおり、近年、企業では情報機器の導入が急速に進み、パソコンやコンピューターを応用した設計機器、いわゆるCADなどの操作もできる幅広い人材を求めていることから、訓練施設においてもこうした需要に対応した施設・設備の整備が要求されております。
 このようなことから、県といたしましては、活力ある地域産業の創造と発展を図るためには、今後とも技術・技能の育成・確保が重要であると認識しておりますので、施設の利用実態や地域の職業訓練ニーズ等を総合的に勘案し、関係機関とも協議しながら、職業訓練協会の主体的取り組みを支援してまいりたいと考えております。
   〔医療局長佐藤文昭君登壇〕
〇医療局長(佐藤文昭君) 県立磐井病院及び南光病院移転候補地についてでありますが、地元一関市長からは、内定している前堀地区にかわり、新たに真柴矢ノ目沢地区を推薦していただいたところでありますが、これを推薦していただいた時点では、地元市と市議会の意見が一致しているとは言いがたい状況にありましたので、一関市長には、さらなる調整をお願いしたところでございます。その後、一関市長からは、この調整に努力をしておりますが、もう少し時間がかかる旨、連絡をいただいているところでございます。もとより病院建設はその場所により、特にも道路や上下水道などその環境整備に向けて多額の地元負担が伴う協力をいただくこともあり、この事業執行に当たる市と、これを議決する市議会が一致して協力をいただかなければならないことは、御案内のとおりでございます。その前提として、地域住民への理解を得るため的確な情報提供が不可欠であると考えられます。したがいまして、ただいま御提言のありました情報提供や合意形成のための話し合いの場への参画につきましては、一関市長に御提言の趣旨をお伝えし、その上で地元から望まれる形でこうした話し合いの場に参画できるとするならば、医療局としても積極的にこれに対応してまいりたい、このように考えております。
   〔教育長大隅英喜君登壇〕
〇教育長(大隅英喜君) まず、緊急地域雇用特別基金事業に係る情報化の推進についてでありますが、国は、本年7月、学校を中心とした教育の情報化を推進するため、教育の情報化プロジェクトを公表したところであります。それによりますと、高度情報化社会に対応する人材を若いうちから育成するため、学校を中心とした教育の情報化を最重要課題とし、ハード面とソフト面を段階的に整備することとしております。本県におきましては、現在、県立学校のコンピューターのうち、ウインドウズ対応機種の割合は約6割にとどまっております。今後、平成13年度までには全校のコンピューターを新型機に更新するとともに、通信事業者が提供する割引制度を活用しながら、インターネットの接続及び利用を進めることとしております。
 また、情報教育を担う教員の指導力の育成が重要であることから、新学習指導要領において、情報教育が特に重視された高等学校の教員の情報活用能力の向上を図るため、緊急地域雇用特別基金事業を活用し、高度な専門知識と技術・技能を有する人材を、今年度は県立学校約30校へ情報アドバイザーとして派遣したいと考えております。県教育委員会といたしましては、国の支援施策を活用し、今後ともハード面・ソフト面の整備を図りながら、高度情報化社会に対応した情報教育の一層の推進に努めてまいりたいと考えております。
 次に、平泉文化に関する施策の推進についてでありますが、まず国立博物館等の設置に関する政府への要望についてでありますが、国立の博物館等を本県に誘致することは、本県の文化の振興に寄与するのみならず、北日本の歴史や文化の研究の進展のためにも極めて有意義なことであることから、平成3年度から政府予算統一要望を行ってきたところであり、平成9年度からは文部省関係の重点事項として継続して要望しているところであります。今後とも長期的展望に立ち、国に対して働きかけるとともに、先行する誘致運動の事例調査等を進めてまいりたいと考えております。
 次に、考古学研究機関の整備についてでありますが、平泉文化にかかわる歴史遺産を明らかにし、その成果を広く公開、活用していく機能を有する機関を整備するためには、柳之御所遺跡の発掘調査を初め、隣接している無量光院跡や伽羅之御所跡など奥州藤原氏にかかわる未調査の平泉遺跡群について、計画的、継続的な調査研究を行うことが必要となってまいります。このため県では、平成10年度に建設省との土地交換により、柳之御所遺跡の大半を取得し、現地平泉町に柳之御所遺跡調査事務所を開設して本格的な学術調査に取り組んでいるところであります。今後は、柳之御所遺跡の発掘調査と並行して、平泉文化研究の軸となる研究者のネットワークや研究者の研究活動の支援、インターネットを初めとする平泉文化の情報発信などを積極的に推進し、平泉文化を研究する機関の設置に向け条件整備を図ってまいりたいと考えております。
 次に、柳之御所遺跡の民有地の公有化と史跡整備についてでありますが、柳之御所遺跡の民有地の公有化につきましては、遺跡の保存を図りつつ、地域住民の生活権を尊重するとともに、地域住民の理解と協力を得ながら進めていくことが必要と考えております。特に史跡指定地内では、将来的に実施する史跡整備やその前提となる発掘調査を実施することとなるために、これらとの整合性を持たせながら、早期に公有化計画を作成し、段階的に進めてまいりたいと考えております。
 また、史跡整備につきましては、県では、昨年度から柳之御所遺跡の全容を解明するため詳細な学術調査を実施いたしておりますが、今後ともより一層調査を推進するとともに、その成果を踏まえ、計画的に史跡公園としての整備を進めてまいりたいと考えております。
 次に、平泉文化の世界遺産の登録についてでありますが、世界遺産の推薦は政府において行っているところであり、推薦に当たっては、遺産の学術的な価値が世界的にすぐれているものであることが前提となるものでありますが、これまでに推薦された先例を見ますと、文化遺産の保護に向けた地元住民・自治体の取り組みや熱意も一つの要素と勘案されているものと認識しております。平泉は、国宝金色堂を初め、国の特別史跡、特別名勝、史跡等が集中しており、価値は極めて高く、世界に誇り得る本県を代表する文化遺産であります。県といたしましては、平泉文化の世界遺産への推薦実現に向け、地元平泉町の取り組みを支援しつつ、関係機関に積極的に働きかけてまいりたいと考えております。
〇13番(阿部富雄君) まず最初に、県際連携についてお伺いいたしますが、知事の答弁は、前向きな答弁かなというふうにも受けとめられますし、従来の交流の域の中での答弁かなというふうにも私は受けとめたわけであります。浅野知事とは親しくいろいろな意見交換もしていると言いますが、親しいことと事業を一緒に進めることは、私は別だと思います。かつてピンポン外交などということがございました。ピンポン外交は、やっぱりピンポンだけであって、それを飛び越えて、トップが行って握手をして、そして話し合いをすれば物事が解決したと、こういうことがあるわけです。まさに、隣接県、他との取り組みというのは、私は外交だと思っています。ですから、地方振興局や事務レベルがやっても限度がある。外交の中で大枠を決めて、それを事務当局が具体化を図っていく、こういう姿勢があってしかるべきだというふうに思うんです。青森、秋田とはそれができ、何で宮城とできないのか、こういう疑問を県南に住んでいる者とすれば感じるのは当然のことではないでしょうか。もう一度その辺について明確に、交流の域を越えて連携に入るんだと、こういう話し合いに進んでいくものなのかどうかお尋ねしたいと思います。
 特に青森なんかの例を見ても、津軽海峡連携軸というようなことで、青森県知事と北海道知事は、新たに橋をかけるとか、あるいはカートレインなど具体的な項目で津軽海峡構想をやろうというようなこともやって、やっぱり隣接する県との取り組みというのはどこも重要視して取り組んでいるというふうに私は思っております。ですから、ぜひ宮城県知事とも膝を交え話し合いをして、具体的な共通の政策課題についてどうするかという大枠を決めていただければというふうに思うんですが、このことについての答弁をもう一度お伺いしたいというふうに思います。
 それから、先ほど介護保険関係を詳しく聞いたんですけれども、実は、まだ聞き足りないことがいっぱいあって、再質問でお伺いしたいというふうに思うんです。
 一つは、先ほど低所得者の保険料負担困難者についての取り組みといいますか、国の特別措置もあるというふうなことがあったわけでありますけれども、保険料負担困難者については、やっぱり実態が十分に反映されていないのではないかと、こういう心配をしているわけであります。ですから、地域の実情に合わせて弾力的な軽減が行われるような制度運営を国に求めていくことが必要だというふうに考えています。それから、利用料の負担、これも一番高いものが適用になるとしますと、10%負担ということで四万五、六千円ぐらいの負担が強いられるわけです。こうなった場合に、果たしてそういう負担に耐えられるのかということも懸念されるわけであります。したがって、医療費でもそうでありますけれども、高額医療については、一定額を超える分については免除するという別の制度をつくっているわけでありますから、介護保険についても、こうした利用料負担の上限といいますか、そういうものについても強く働きかけをすべきではないかというふうに考えているところでありますが、このことについての御所見をお伺いしたいというふうに思います。
 もう一つは、家族介護です。法では、原則として家族介護については現金給付は行わないというふうにされているわけでありますけれども、それぞれの多くの自治体から、やっぱりやってほしいという要望を受けて、政府は一定の基準をつくって、それに合うものについては現金給付もやるという方向が今検討されているというふうに聞いております。長年、近親者に介護されてきて、今さら他人に介護ということを嫌う方もたくさんいらっしゃるというふうに私は思うわけであります。そういう意味では、自治体の判断で家族介護に現金給付ができるということも強く働きかけていくべきではないかというふうに思っているわけですが、この辺についての対応はどのようになさっていくのかお伺いします。
 それからもう一つは、介護保険制度の導入の大きな目的というのは、社会的入院を中心とするいわゆる老人医療費のむだをなくすといいますか、負担を減らす、こういうことが大きな課題だったわけです。ところが、医療制度が改革されないまま、この制度が取り入れられるということになりますと、第2号被保険者の負担というのは非常に大きくなっていくのではないかと思っているわけです。特に国民健康保険なんかは、今でも厳しい状況にあるわけでありますけれども、これにさらに介護保険料が上積みされるとなった場合には、国保の滞納が多い中で、それに拍車がかかって、国保運営そのものが脅かされるのではないかという懸念もされるわけです。ですから、この辺については一体国にどういう働きかけをされていくというふうにお考えなのかお伺いいたします。
 次に、緊急雇用対策ですが、私は、ぜひ基金の上積みもしくは県独自の雇用対策もやるべきではないかということをお話し申し上げましたが、いずれ今後の推移を見ながら総合的に勘案していくのだという答弁でございます。先ほど言ったように、岩手県内の求職者というのは3万1、000人を超えているわけです。ここずうっと3万人を超えている。それから、有効求人倍率も0.5を割って、これまたずうっと来ている、こういう状態が何カ月か続いているという深刻な状態だということをまず受けとめてもらいたいと思うんです。今度の雇用対策で臨時的に雇用されるのは2、700人でしょう。とてもこの数字を淘汰する中身ではないんです。3万1、000人というのは大した数字じゃないんじゃないかというふうに思われるかもしれませんけれども、県職員は4、800人ですね。それから、学校職員、いわゆる部局も含めた職員を合わせると2万9、000人、県職員と合わせて約3万人なんですね。これだけの人が県内では職を求めて失業している、こういう実態にあるわけです。今後の推移を見て、もっと下がったら対応するというんですが、今この3万1、000人の方々をどうするかというのが緊急の対策だと私は思うんです。これ以上悪くなるのを待ってからやるということじゃなくて、ここを底にして、ここからさらに下げない、こういう取り組みが今求められているのではないでしょうか。もう一度そうした考えに立つとすれば、県独自の新たな対応をやっていってもいいだろうと思うんです。
 先ほどありました、6月にも50万円の貸付制度などを創設したということもありますけれども、今までの自治体における雇用対策というのは、どうしても民間がやるものだという域を出ていないわけです。かつて冷害などのときは、これは古い言葉になってしまいましたけれども、救農土木事業なんていう言葉もありましたけれども、やはりそういうような効果が上がるような事業を行っていくことが必要だと思いますが、その点についてのお考えをお聞きしたいというふうに思います。
 それから、平泉文化の関係、特にも柳之御所の遺跡整備についてお伺いしたいというふうに思います。
 建設省が柳之御所遺跡について、昭和62年からの緊急発掘調査の中で柳之御所遺跡であることが裏づけられるような遺品や遺構が数多く出たことから、ここは柳之御所遺跡に間違いないだろうということで、貴重な文化財を守らなければならない、こういう考え方でバイパス、堤防ルートを川に移したわけです。こうした建設省が配慮したにもかかわらず、柳之御所遺跡整備については、いまだに具体的な計画が示されていないわけです。建設省岩手工事事務所のお話では、柳之御所整備計画が、あるいはそれにかわるようなものがなければ、バイパスあるいは堤防建設をするという理由づけができない、まず、そういう計画をきちっとつくってもらうことが、平泉のバイパスや堤防を促進することになるのだと、こういう話も聞いているわけです。やっぱりこれを重く受けとめていかなければならないと私は思います。
 国道4号平泉バイパスというのは、昭和56年に着工してもう20年になるんです。20年たっても、いまだに供用開始のめどが立っていない。建設省の本省では、20年も何やっているんだということで、投資効果を疑問視して、地建あるいは工事事務所も非常に大変な状況にあるというふうに聞いております。やむを得ず一関の進入路から高舘橋については暫定供用するという方針も打ち出されているようでありますけれども、バイパス、それから一関遊水地事業というのは国直轄の事業ということで、発掘調査が終わった時点で、建設省東北地建岩手工事事務所、それから県、平泉が一緒になって柳之御所遺跡に係る一関遊水地事業、平泉バイパス事業連絡協議会というのをつくって、これからの整備をどうするかということを話し合いをして結論を出したわけです。その中で、県が施設整備計画をつくる、その策定に合わせながら、工事の再開は平成8年からやるということをつくったわけです。ところが、整備計画が未決定なために、ほとんど進んでいないというか、今の状態にあるということなんです。平泉バイパス建設のおくれというのは、今非常に大変な状況でありまして、衣川から、あるいは一関までつながっている広域的に渋滞がひどくて、平泉の町長さんから言わせれば、日本一渋滞する国道だと言っているわけです。建設省がこのように大きく譲歩したわけでありますから、県としても、やっぱりやるべきことはきちっとやるという姿勢がないと、私は信頼関係を失うことになると思うんです。
 土木部長にお尋ねしたいと思うんですけれども、このようにバイパス建設が始まって20年もたって供用開始できないでいるなんて、全国で例がありますか。もし知っているところがあったら教えていただきたいというふうに思います。
 それから、工事事務所とかバイパス建設にかかわって、県道の取りつけ道路だとか、橋梁かけかえなどでいろいろ協議して、バイパス問題も取り組みしていると思いますけれども、平泉バイパスについてはどういうふうな話し合いの状況になっているか、このこともお知らせいただきたいと思います。
 それから、渋滞が恒常的だということを考え、しかもバイパス建設のめどが立たないとなれば、どうするかということも大きな問題だと思うんです。これにかわる道路については、いわゆる新しい西ルートの県道をつくってくれないかということが、関係自治体とか民間の方々からも出ていますけれども、これまたいろいろな課題を抱えている。こういう状態になった場合に、県としてはこういう交通渋滞をどのように解消されるお考えを持っているのかお伺いしたいというふうに思います。
 それから、同じこの渋滞にかかわって、警察本部長にもぜひお伺いしたいというふうに思うんですけれども、平泉地区の渋滞というのは、ここにいる方々はわからないと思いますが、非常に激しいものがあるわけです。したがって、交通安全対策上も憂慮される事態になっているわけです。ですから、こういう渋滞を幾らかでも緩和するということでは、信号機の見直しだとか、右折レーンだとか、こういう交通規制の見直しなども含めて解消を図る努力をすべきだと思うわけでありますけれども、この平泉地区の交通状況も含めてどのようなお考えをされているのかお伺いしたいというふうに思います。
 このように、いずれ柳之御所整備というのは、平泉バイパス、それから一関遊水地の堤防、これと密接なかかわりがある、このことをまず県あるいは教育委員会はきちんと認識していただきたい。私は、ここがないと進まないというふうに思っています。ですから、具体的にどのような日程で発掘調査を進めて、いつ史跡整備計画をつくるのか、それについて具体的にお示しいただきたいというふうに思います。
 以上でございます。
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) ただいまの県際交流の関係についてお答え申し上げたいと思います。
 北東北3県の知事サミットというものを今、青森と、それから秋田と私ども岩手とで行っているわけでございますが、私がちょうど知事に就任したときには、まず秋田との広域的な交流というのはほとんど何もなかった、それから、青森との関係も非常に希薄であったというふうに考えております。何かの形でそういう仕掛けをつくって、そして、そうした広域連携交流ということを進めていく必要があるということで、両県知事の方に話をしてああしたものをつくり、今2回ほどそのサミットを行いまして、具体的な交流の事業を進めているわけでございます。やや官主導の色彩がなくはないですけれども、そうしたことを続けながら、広域的に北東北3県で具体のプロジェクトを見つけつつ事業を進めていくことが、これからさらに有益であろうというふうに考えたからでございます。
 それに比較いたしますと、宮城県県北地域との県際交流は、従来からの歴史的、文化的つながりも強かったという影響もあるのかもしれませんが、民主導でかなり数多くのものが既になされてきているというふうに私自身は考えております。そのことがこれからの地域の発展なり、あるいは進展に十分かどうかということから言えば、やはりもっともっとそれをさらに積極的に進めていく必要があると。民間で既にいろいろな活動が、先ほど申し上げましたようにかなり以前からなされていく、その動きをさらに行政としても後押しして進めていきたい。それから、私自身もああした活動の中にみずから主体的に参画していきたい。そうした活動の中の幾つかには、もう既に私も行って、向こうの人たちといろいろ話をしてございますが、やはり大事なのは、これからの広域交流・連携を進めていく内容、どういうレベルでどういうものを進めていくことが、地域の皆さん方の生活なり何なりに有益であり有意義なのかということだろうと思いますので、私もそういった活動に参加しながら、さらに地域の人たちの意見を聞くということをこれからやっていきたいと思いますし、そうした内容について、もっともっと宮城の知事とも腹を割って話をし、そして行政として支援するところを十分明らかにしながら、そうした交流が活発化するようにしていきたいと、このように思っております。
 何よりも、やはり地域からもまた、こういう部門について行政の支援、後押しがあればもっとそうした両県の県際交流が活発化するという提案も大変大事だと思いますので、そうしたことも地域からどしどし出していただければということでございます。
 先ほどあのように答弁いたしましたが、趣旨は、これから行政も、それから常に続いてきている民間活動もさらに力強く進める上で、また民間の人たちにもそうした交流・連携活動をさらに積極的に進めていきたい、私どもも進めていきたい、こういう考えでおります。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕
〇保健福祉部長(関山昌人君) 介護保険料の負担についてでありますが、65歳以上の第1号被保険者の保険料は、所得段階別で老齢福祉年金受給者等と市町村民税世帯非課税、市町村民税本人非課税、市町村民税本人課税250万円未満、市町村民税本人課税250万円以上、こういった5段階に設定されております。
 市町村長は、このうち所得の高い層、市町村民税課税者の区分をさらに細区分するなどによって、低所得者に配慮した保険料を設定できるなど、地域の実情に応じて保険料の算定基準を弾力的に運用できるようになっております。
 また、介護サービスを利用した場合、利用額の一定額を超える金額は、先ほど議員御指摘の医療と同じでございますが、高額介護サービス費として市町村から被保険者に支給されることとなっております。一定額の具体的な額については、現在国において低所得者に配慮し、所得別、状況別に検討されております。
 なお、これらの保険料、利用料についての低所得者の方々に対する配慮については、政府統一要望の際に国に対し求めてきたところであり、今後とも国に強く要望してまいります。
 次に、同居家族に対する介護についてでありますが、本県においては、過疎地域や冬期間の積雪によりサービスが利用できない地域などについては、家族介護に依存せざるを得ない状況が想定されます。このようなことから、このような地域において資格のある家族の方々が介護した場合については保険給付の対象とするよう、昨年来、国に対し強く働きかけてきたところであり、今般国の審議会において、一定条件のもとに市町村の判断によって保険給付の対象とするとの答申がなされたところであります。まず、現物給付で適切に介護サービスを提供できる体制の確保に努めることが必要と考えております。
 次に、介護保険制度の導入後の国保運営についてでありますが、40歳以上65歳未満の第2号被保険者に関しましては、新たに介護保険料を従来の国保税に上乗せして徴収することになるため、国の試算によれば、1人当たり月額900円相当ふえるということになっております。このため、被保険者の方々におかれましては、国民健康保険や介護保険が相互扶助の理念に基づいた住民のための制度であることやその必要性について十分御理解をいただき、御負担願うことが大切だと考えております。その周知徹底を積極的に図ってまいりたいと考えております。
 なお、介護保険制度導入に伴いまして国保制度の見直しが行われており、特別の事情がないまま保険税を一定期間滞納した場合については、保険給付の支払いの一時差しとめ等を行う滞納者対策の強化が図られておるという状況であります。
 また、国にも話しておりますが、介護保険制度導入によりまして、適正な収納確保対策を講じてもなお国保税の滞納が国の示す一定基準を上回る市町村に対しましては、国による財政支援が検討されているところであります。
   〔商工労働観光部長合田武君登壇〕
〇商工労働観光部長(合田武君) 基金の積み上げあるいは県単の雇用対策をなすべきじゃないかという御質問ですが、雇用対策全般的に原則的なことをお話いたしますと、基本的には、雇用対策は雇用対策基本法で国の事務になっております。しかし、こういう情勢でございますので、県としては、従来も含めまして県単独で求人活動をする11名の職業アドバイザーを国の機関である職業安定所にそれぞれ配置しておりまして、求人活動を行ってもらっております。
 さらに、ソフト的な面につきましては、今年度、知事名によりまして、1万2、000部を印刷しまして、それぞれの県内企業に対して雇用の申し入れをすると同時に、新聞広告もそれぞれ3回、地元紙あるいはブロック紙についてお願いしております。さらに、私個人ですが、経済団体、商工連合会とか、そういう県の団体、連合会にそれぞれ雇用の要請を7月に行っております。
 このように、県につきましては現在の求人活動を県単独でやっておりますし、さらにこれをフォローアップするように企業誘致につきましても力を入れておりまして、特定地域に指定されておる久慈が1社、二戸に1社、沿岸の宮古に1社、釜石2社というように、特に特定地域に指定される地域に企業の導入を試みまして、ことしから、1期目の採用計画によると、今お話ししたもので300人程度の雇用増が見込まれ、もう既に雇用の活動をやっている形になっております。こういうふうに、県単独では、今までの継続と同時に新たにいろいろなアクションを起こしているところでございます。
 もう一つ、先ほど議員の方からお話ありました、パートを含めて3万1、000人以上の失業者、求人申込者というのは、私たちの方もちょっと分析しなければならないんですが、失業率の4.9%のうち3%はミスマッチ、つまり求人と求職者がそれぞれ合わないことがあるということが全国の労働省の分析にあります。求人、求職のときには、職業安定所におきましてそれぞれ求人の人たちの希望を聞いて、あるいは調査をして現在対応しているところでありますが、例えば、具体的な例で申しわけありませんけれども、県北地方のある有力な企業で20人募集したところ、実際は9人しか採用できなかった。いわゆる申し込みが少なかったということです。どういう理由かというと、小中高一緒になって、将来会社も一緒だというのは嫌だという形がありまして、いろいろな意味で求人者の方もミスマッチが起きますので、このミスマッチをなくすためにどういう対応をしていくかということを当面頑張っていきたいと考えています。
 それから、基金については、全く新しい事業でございますので、一回といいますか、やってみて、総合的な雇用対策によって基金の上積みが必要であればその対応をするし、逆に基金が下がっても、雇用対策全体がよければ上積みをしない場合もあると思いますけれども、当面、新しい今の緊急対策に全力を挙げたいと思っておりますので、どうか御了承願いたいと思います。
   〔土木部長大石幸君登壇〕
〇土木部長(大石幸君) 平泉バイパスについてお答えいたします。
 まず、平泉バイパスと同様な事例はどうかということでございますけれども、建設省におきましては、国道4号のバイパス、県内各地で工事を起こしていただいております。平泉のバイパスと同様な継続事業としては、北上バイパスが昭和57年から、それから金田一バイパスは昭和54年から、それから盛岡の拡幅事業は58年から、さらに水沢東が60年とか、花巻東が62年からとか、いずれも地元地権者との調整、または事業費の枠とか、さまざまな要素によりその進捗に長期間を要している状況でございます。
 平泉バイパスの整備の見通しでございますけれども、本バイパスは全体計画が5.8キロメートルの規模で、一関遊水地の大堤防と兼用する構造物であることから、これまで遊水地の事業とともに整備が進められてきたところでございます。先ほどお話ありましたとおり、その結果、本年度内に高舘橋から一関側への4号線のタッチの延長約2.4キロメートルの区間につきまして暫定供用する予定と聞いております。この供用によりまして北上川左岸の長島地区と一関方面を結ぶ交通の円滑化、さらには平泉周辺の主要な観光地である猊鼻溪と平泉を連絡するルートの確保が図られるものと考えております。
 しかしながら、特に観光施設における国道4号平泉地区の交通渋滞緩和のためには、高舘橋より国道4号平泉前沢インター入り口までの残りの3.4キロメートル区間をさらに延伸してバイパスの機能を果たすことが重要だと考えております。しかし、この区間は、衣川の橋梁とかJRの跨線橋、さらには水門と、大規模な構造物が必要となっております。そのため、この全体の区間の完成にはさらに時間を要する見込みでありますので、国道4号への暫定的な取りつけを行うなど、段階的な整備による効果を発現させることが望ましいと考えております。
 このため、県といたしましては、地元平泉町と一体となりまして協議を行いながら、国へ早期整備を実現するように要望してまいりたいと考えております。
   〔警察本部長篠宮隆君登壇〕
〇警察本部長(篠宮隆君) 平泉町内の国道4号の交通渋滞対策についてお答えいたします。
 現在、周辺地域に設置されております交通信号機の有機的な制御により、国道4号の現在の道路構造のもとでは可能な限りの交通渋滞緩和策に取り組んでいるところでありますが、御指摘のありました渋滞の現況にかんがみ、引き続き渋滞が少しでも緩和されるように努めてまいる所存であります。
   〔教育長大隅英喜君登壇〕
〇教育長(大隅英喜君) 柳之御所についてでありますが、よく検討いたしまして、しっかりした計画のもとに、調査並びに整備を進めてまいりたいと、このように思っております。
〇議長(山内隆文君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
   
日程第3 認定第1号平成10年度岩手県立病院等事業会計決算から日程第33 議案第28号財産の取得に関し議決を求めることについてまで
〇議長(山内隆文君) この際、日程第3、認定第1号から日程第33、議案第28号までを一括議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。

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