平成11年9月定例会 第3回岩手県議会定例会会議録

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〇24番(伊沢昌弘君) 社会民主党の伊沢昌弘でございます。
 私は、1期4年間の活動を通じて、多くの県民の方々が行政に求めているのは、安心して暮らせる地域社会の実現であり、そのことを県政に対して大きく期待していることを実感してまいりました。県民の信頼のもとで、県民の求める行政執行が遂行されるよう、微力ながら与えられた任務の中で精いっぱい努力していくことを表明し、以下、通告に従って質問をいたします。
 第1に、新しい総合計画についてお伺いいたします。
 まずもって、新しい総合計画の策定にかかわった職員を初め、総合計画審議会委員の方々の御労苦に敬意を表します。総合計画には、副題として、新しい岩手・21世紀へのシナリオ、そして、みんなで創る夢県土いわてが挙げられ、そのキャッチコピーが県民総参加の県政運営に結びつくことを切に願っているものであります。さて、この基本構想・基本計画はこれまでに示された中間報告をさらに豊富化し、環境・ひと・情報を社会を変えるキーワードととらえ、目標年次における数値目標を持って夢県土いわてが描かれております。計画に盛り込まれている経済見通しを見ますと、着実に成長することを見通しており、加えて国及び地方自治体をめぐる厳しい財政状況の中で、事業の実施主体が、県だけでなく、国、市町村、民間の事業並びに県との共同事業などで実現を目指す計画が数多くあることから、事業遂行に向け多くの課題があるものと考えます。そこで、まずお伺いをいたします。前期実施計画期間中の主要な事業343件に総額4兆円を超える事業費が見込まれておりますが、平成10年2月に策定された岩手県中期財政見通しとの関連をどのように見ているのでしょうか。変更の必要はないものでしょうか。財政運営に係る今後の中期計画をお示し願いたいと思います。
 また、この計画の基本目標に掲げてある、みんなで創る夢県土いわての実現には幅広い分野で県民の参加が必要となり、特に若い世代が積極的にかかわる必要があると考えられます。この計画の内容を県民に知らせ、理解を得た上で参加を求めるためには、広報活動のみならず積極的な働きかけが必要であると考えますが、いかがでしょうか。県としての推進策とあわせてお示し願います。
 次に、産業構造と就業者数の推計についてお伺いいたします。
 人口推計や経済の見通しは、いつの時代でも県が策定する総合計画の柱になるものと私は理解をしております。基本構想の第4章に産業構造と就業者数が示されておりますが、第1次産業について見れば、現状に比べて平成22年度には産業別県内総生産はほぼ横ばいであるものの、就業者数は10万1、000人、12.2%と、平成7年の16万3、000人、19.7%から大幅に減少する見通しとなっています。このことは、農林水産業を岩手県の基幹産業として位置づけていることと矛盾するものではないでしょうか。今回の計画では、これまでの総合計画には見られない産業間の連携についても示されており、第1次産業が第2次、第3次産業に波及し、高付加価値型の複合産業を目指す核と位置づけたことを評価するものですが、農林水産業は環境首都を目指す本県にとって、食料生産や木材生産のみならず、県土の保全とあわせて生活に欠かせない水や空気を守るために重要な産業であり、将来の岩手の産業として従事する人にとっても希望の持てる生命産業に育てる必要があると私は考えております。そこで、お伺いいたしますが、第1次産業の県内総生産や就業者数の見通しは、県や市町村等における農林水産業に対する施策を現在に比べて強化した結果として推計したものなのでしょうか。種々の施策を強化することによって、目標年次における数値をさらに上げることができないものでしょうか、お示しをいただきたいと思います。
 第2に、地方分権の推進についてお伺いいたします。
 地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律、いわゆる地方分権一括法案がさきの国会で成立いたしました。私は、住民自治が保障される地方主権の実現を望んできた者として、この法案が成立したことにより一歩前進と受けとめたいと考えております。しかし、機関委任事務の廃止が地方分権の大きな柱であったものが、最終的には法定受託事務が数多く残されていることや、自治事務の中にも国の関与が従来以上に強化されていること、岩手県議会でも幾度となく決議した社会保険業務等に携わる地方事務官身分とその業務が国に一元化されたこと、さらには地方税を含む地方財政についての改革が盛り込まれていないことなど、真の地方主権への道のりがまだまだ先であるとの認識を持つものであります。そこでまず、今回成立した地方分権一括法に対する知事の御所見と、市町村との連携も含めた推進方策についてお示し願います。
 また、一括法案の成立を受けて、条例改正のための準備を進めていると思われますが、具体的な改正作業の体制はどのようになっているのでしょうか。来年4月の施行に合わせた改正が必要となりますが、条例改正までの準備状況と議会への提出時期についてお伺いをいたします。
 また、県条例として他県とは異なる独自性が求められるところですが、改正整備に向けた基本姿勢をお示し願います。
 次に、地方分権と密接な関係にある市町村の合併の特例に関する法律の改正に関してお伺いをいたします。
 地方分権一括法が公布された本年7月16日に合併特例法の改正に関する部分が即日施行されました。私は、平成4年の盛岡市と都南村の合併時に盛岡市議会議員としてかかわった者の一人として、市町村合併推進の基本は、関係する自治体に住む人々の生活を最優先して進めるべきものと考えております。しかし、今回の合併特例法は、あくまで自治体の自主性を尊重するとしていながら、都道府県知事に対して自治省から合併推進に向け市町村の合併の推進についての要綱の作成を要請していることや、合併に伴う財政措置を大幅に強化するなど、あたかも特例法の有効期間中に合併をしなければならないような印象を受けるのは私だけでしょうか。そこで、お伺いをいたしますが、県として、これまで市町村の合併について調査研究を行ってきていると存じますが、その取組状況についてお知らせ願います。
 また、本年8月に自治省から示された指針では、平成12年度の早い時期に都道府県が市町村の合併の推進についての要綱を策定することとなっていますが、市町村合併についての考えと、要綱策定に向けた基本的な方針をお示し願います。
 質問の第3に、防災対策についてお伺いいたします。
 この項の質問に先立ち、さきのトルコ、台湾等で発生した地震、並びに先々週日本を襲った台風18号で多くの方々が犠牲になられました。心から哀悼の意を表しますとともに、被災された方々の一日も早い復興を願うものであります。本県においても、継続している岩手山の火山活動や昨年9月の直下型地震の発生、さらには大雨による洪水被害が毎年のように発生するなど、常にみずからの問題として災害対策を念頭に置く必要があると考えるところです。そこで、まず岩手山の火山対策について伺います。岩手山火山活動の活発化に伴う防災体制の強化については、県を初めとする関係機関や地域住民との連携をもとに鋭意努力されていることに敬意を表します。この際、岩手山の火山活動をどうとらえているのでしょうか。また、2度目の冬場を迎えるに当たって留意している点があるとすれば、お示しをいただきたいと存じます。
 次に、河川改修等についてお伺いをいたします。
 私ども社会民主党会派では、本年8月18日に大船渡地方振興局管内を訪れ、7月13日から14日の大雨による被害調査とあわせ、気仙川支流の津付ダム建設予定地の視察を行ってまいりました。陸前高田市内で気仙川のはんらんにより住宅が冠水した地域や、農業、林業、道路、河川関係などの被害状況説明を現地で受け、復旧工事現場の様子からも当時の状況をうかがい知ることができました。大船渡地方振興局を初め関係市町村では、災害復旧に全力を挙げておりましたが、現時点におけるこれら気仙地方の大雨による公共土木施設の被害の復旧見通しとその財源対策についてお示し願います。
 次に、津付ダムについてお伺いいたします。
 このダムは、洪水対策を主目的に、工業用水の確保も視野に入れ、昭和56年から実施調査を行ってきていると伺っておりますが、建設予定地は気仙川の支流の大股川であり、現地を見て、水量的にも本流に比較して少ないように見受けたところでございます。洪水調整機能として有効なものなのか素朴な疑問を抱いたものでございます。計画に当たっての場所選定理由や現時点での工業用水利用見込みと、総合的な洪水対策の検討状況をお示し願います。
 近年ダム計画の休止や中止の事例が全国的に見られますが、津付ダムの建設見通しについてもあわせてお示し願います。
 また、事前調査において建設予定地内周辺でイヌワシ、クマタカの営巣地が確認されたと伺っており、環境影響評価条例に基づく調査をどのように進める計画なのか、お示し願いたいと思います。
 次に、昨日東海村の民間核燃料施設で起きた放射能漏れ事故に関してお伺いをいたします。
 報道によれば、日本における原子力史上最悪の事故であり、住民を含めて多数の方々が被曝しているとのことであります。本県においては原子力発電所は設置されておらず、核燃料に関する施設も存在していないわけでありますが、隣接する宮城県には女川原発、現に活動している原子力発電所があります。青森県にも核燃料の再処理施設があるなど、遠い地域のこととは見過ごすことができないものと考えます。また、滝沢村には医療用低レベル放射性廃棄物処理施設でありますラジオメディカルセンターが設置されており、低レベルとはいえ安全対策について危惧されるところでございます。そこでお伺いをいたしますが、これまでのラジオメディカルセンターに対する安全対策について、県としてどのようにかかわってきたのか、お示し願います。
 また、原子力発電等についての直接の担当は国において行っているものと承知をしておりますが、県として原子力発電所等による放射能汚染に対する監視体制はどのようになっているのか、お示し願いたいと思います。
   〔議長退席、副議長着席〕
 質問の第4に、環境基本計画についてお伺いをいたします。
 昨年4月に施行された岩手県環境の保全及び創造に関する基本条例に基づいて岩手県環境基本計画が策定され、去る9月22日に発表されました。岩手の環境保全施策を前面に立てながら、二酸化炭素の削減やフロンの破壊の目標も組み入れ、地球規模での環境対策をも視野に入れた幅の広い多様な施策が体系的にまとめられており、内容を拝見して私は、環境首都を目指す意気込みを感じた次第であります。しかし、数値目標を掲げている施策のうち、廃棄物排出量の抑制や下水道普及率の向上など、実現に向けた方策についてある程度想像できるものもありますが、施策の実行に困難さを伴う計画も多く掲げられており、具体的な進め方について見えない点もあります。そこで、お伺いいたしますが、環境基本計画に盛り込まれた内容を、目標年次である平成22年度までの期間内にどのように具体化していくお考えなのか、知事の御所見をお示し願いたいと思います。
 第5に、福祉施策についてお伺いいたします。
 介護保険制度は、来年4月1日からスタートいたしますが、介護サービスの開始に向けて、本日から介護認定の申請の受け付けが始まり、事実上の開始日であり、歴史的に意義のある日となりました。介護認定の申請が始まることから、これまでに指摘されてきた問題も表面化することが予想されますが、介護サービスが実施に至るまでの半年間で諸課題が解決され、制度として充実されることを期待しつつ、以下、質問をいたします。
 まず、公的介護制度としての市町村のかかわり方についてお伺いいたします。
 介護サービスの事業に各種団体や企業が参入することにより、市町村が現在行っているホームヘルパー派遣事業や特別養護老人ホームなどの直営事業が廃止されることが懸念されます。私は、公的制度の充実を図るために、市町村もみずからが介護サービスの事業者となって、住民に接しながら介護事業を進めていくことが必要であると考えておりますが、いかがでしょうか。
 また、現時点における市町村の介護福祉事業の直営での実施状況と、介護事業への参入計画についてお知らせ願いたいと思います。
 次に、現行の福祉施策として実施されている介護サービス水準の維持について伺います。
 被保険者の期待にこたえるためには、介護保険で給付対象とならないサービス、例えば現在在宅で介護サービスを受けている方が自立と判定された場合のデイサービス事業などであります。これらについて、自治体の高齢福祉施策として何らかの援助を継続する必要があると考えます。市町村によっては、独自に計画している施策もあると存じますが、県として現行の介護サービス維持に向けての基本的な考え方と市町村に対する指導状況をお示し願いたいと思います。
 この項の最後に、マンパワーの確保について伺います。
 制度の運営に欠かすことができないのは、ホームヘルパーやケアプラン作成にかかわる介護支援専門員などでございます。資格要件を有する人材は、これまでの各種養成事業や試験によって多数存在していると思われますが、私は、実際に業務に携わる人員を確保するためには、職業としての生活が成り立つとともに、身分が保障されなければならないと考えますが、いかがでしょうか。ホームヘルパーや介護支援専門員等の確保策とあわせて御所見をお伺いいたします。
 第6に、並行在来線対策についてお伺いをいたします。
 東北新幹線盛岡以北については、ことしから盛岡市内でも本格的な工事が始まり、新聞報道によると、開業目標も政府・与党の整備新幹線協議会では、平成15年1月に青森県で開催される冬季アジア大会の前と確認されたと承知しております。私は、先月6日と7日の2日間、長野新幹線の開業に伴い、平成9年10月に第三セクターとして発足をした長野県のしなの鉄道を視察してまいりました。軽井沢駅と小諸駅で駅長さんから利用状況や開業後の問題点を伺い、本社では社長さんから経営状況などについて説明を受け、翌7日には県庁の担当者から第三セクターの設立経過や県の対応について伺ってきたところでございます。しなの鉄道は、盛岡以北と比較して利用者が約3倍あり、料金は当面JR並みに据え置き、開業後に新駅を設置するなどして利用者の利便性の確保に努力しているとのことでございました。しかし、それでも平成10年度は、営業収益26億円に対し営業費用が35億円余りとなり、8億7、000万円の赤字決算とのことでございました。東北新幹線の並行在来線である東北本線盛岡以北は、新しい総合計画でも経営主体を県及び市町村等で設立し存続するとされていますが、しなの鉄道の状況を見ても、第三セクターでの経営を続けていくためには、今後大きな財政負担が県や地元自治体、さらには利用者の間に大きくのしかかるのではないかと懸念をしております。盛岡-八戸間で簿価にして総額111億円と言われるJR東日本の鉄道事業用の資産については、県は従前から統一要望などの機会を通じ、その無償譲渡を運輸省やJR東日本に対して要望してきたと伺っており、これまでの要望活動のほか、JR東日本と具体的な交渉を重ねてきたと存じますが、資産の無償譲渡は相当難しいものがあると伺っております。この資産の有償・無償は、並行在来線の大きな課題であると存じますが、知事はこの状況をどう評価しておられるのでしょうか。また、無償譲渡の実現が困難だとすれば、今後どのように対応していこうと考えておられるのでしょうか、御所見をお伺いいたします。
 また、仮に簿価で譲渡を受けようとした場合には、県内分はおよそどの程度の額になるのでしょうか、お示しいただきたいと存じます。
 次に、並行在来線の利便性、サービスの確保についてお伺いいたします。
 並行在来線が県民の利便性の確保を至上命題とする以上、そのサービス水準がどのようになるのかは、特に日々東北本線を利用している沿線住民の方々の大きな関心事であると存じます。現在、盛岡-八戸間で、特急はつかりを除いても50便以上運行されている列車がどのようになるのか、また例えば現在の北上発沼宮内行きのように、JR東日本の経営区間をまたがって運行されている列車がどのようになるのか、花輪線の扱いはどのようになるのか、などなど課題は多々あろうと存じます。去る7月8日に行われた青森県の木村知事と増田知事のトップ会談では、利便性の確保、向上については、列車の増便、JR東日本の経営区間を含めた相互乗り入れの実施、快速列車の運行等を積極的に進めるとしておりますが、このことについて県当局では具体的にどのような方策を考えておられるのか、現時点での検討状況をお知らせいただきたいと存じます。
 この項の最後に、鉄道貨物輸送についてお伺いいたします。
 現在、並行在来線上を走行したいとするJR貨物と岩手・青森県両県との間で交渉が行われておりますが、今以上は払えないとする貨物側と、適正な対価を要求する両県との交渉は難航していると伺っております。私は、鉄道貨物輸送は、環境に優しい輸送手段として今後ますますその必要性は高まるものと考えております。また、東北本線は、東北・北海道地域と首都圏を結ぶ大動脈として将来的にも重要な位置を占め続けるものと考えております。この問題については、JR貨物の成り立ちを見ても明らかなように、鉄道貨物輸送については、本来、国が産業振興、運輸政策上の課題として対応すべきものであると認識しております。鉄道貨物輸送に係る費用を第三セクターが負担することは、結果的に利用者である県民がその費用を負うことであり、到底認められるものではありません。県としても、このことを強く国に働きかけるべきものと考えますが、いかがでしょうか。
 最後に、教育行政についてお伺いをいたします。
 まず、インターハイに関連して伺います。さきの工藤委員の質問の中に詳細にわたっておりましたので、簡単に1点だけお伺いをしたいと思います。
 本年8月に開催されたインターハイでは、全国から訪れた方々を温かく迎え、恵まれ過ぎた天候の中、暑さとの戦いはあったものの、総じて成功裏に終了したものと承知をしております。長い期間準備に当たってこられた関係者の御労苦に心から感謝を申し上げたいと思います。大会における岩手県選手団の活躍は大変なものであり、県議会の場でも以前から論議のあった競技力の向上対策も一定の成果があったものと考えられます。そこで、開催県として大会運営を通じて得られた成果や問題点をどのように認識しておられるのか、教育長の御所見をお伺いしたいと思います。
 次に、県立高等学校新整備計画案についてお伺いをいたします。
 本年5月20日に教育委員会が県立高等学校の新整備計画案を発表してから、県内各地で大きな反響を呼んでいます。統廃合を含む再編整備の対象校周辺の自治体や多くの団体から、県に対して陳情や申し入れがなされたことからも、この問題に対する関心度の高さが推察されます。既にこの問題では本定例会でも多くの論議があったところですが、重ねてお伺いをしてまいりたいと思います。
 今回の整備計画案は、一昨年の3月に設置された県立高等学校長期構想検討委員会が昨年9月にまとめた報告書に基づいて、教育委員会が本年2月に策定した中間まとめを受けて発表されたものですが、多くの県民は、具体的な統廃合を含む再編整備の該当学校を突然知らされたことに驚いたことと思います。私は、盛岡地域で本年8月に開催されました高校教育改革を考える集会に参加する機会がありました。統廃合される対象高校の卒業生や地域の人々の学校に対する思いの強さ、さらには、本県の基幹産業と位置づけている農林水産関係の高校が、今回の再編整備の中心になっていることに対して多くの問題提起がありました。参加した方々の熱心な討論に触れ、整備計画案の成案までの道のりの遠さを感じたものでございます。
 そこでお伺いいたしますが、教育委員会みずからが、県立高等学校新整備計画案の公表以降、関係市町村や県民に対してどのような形で理解を得るための説明を行ってきたのでしょうか。また、この間多くの意見が提出されていると思われますが、新整備計画を策定するに当たって、こうした意見をどのように反映されるおつもりなのか、教育長のお考えをお示しいただきたいと存じます。
 私は、計画に示されているように、高校入学者の絶対数が減少していく中で、このまま手をこまねいていることはできないものと理解はしております。しかし、これまで論議されてきた30人以下学級の実現の視点が示されていないことや農業高校や水産高校を中心とした専門高校を統廃合することについては、本県の基幹産業としての第1次産業軽視につながるのではと懸念されるところでございます。知事は、岩手県総合計画の柱に、県民総参加のみんなで創る夢県土いわてを掲げており、県立高等学校新整備計画の成案に向けて、より一層関係者の理解を得るための取り組みが必要であると考えますがいかがでしょうか。教育委員会の所管とは存じますが、この際、知事の御所見をお伺いしたいと思います。
 以上でこの場からの質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 伊沢昌弘議員の質問にお答え申し上げます。
 まず、いわゆる地方分権一括法に対する所見についてでございますが、この法律は、地方公共団体が長年にわたりまして要望してきた地方分権の推進に関する制度改革を大きく前進させるものでありまして、個性豊かで活力に満ちた地域社会を実現するための新たな出発点になるものと確信しているところでございます。今般の制度改革では、なお国と地方の役割分担に応じた地方税財政制度の確立ですとか、さらなる事務・権限の委譲などの極めて重要な課題が今後に残されているところでございまして、これらにつきましては、引き続きその実現を強く要望してまいりたいと考えておりますが、この法律の成立は、この岩手において生活者主権・地域主権社会の実現に向けた第一歩を踏み出す極めて重要な節目となるものでございまして、自己決定と自己責任の原則に基づき、県民の皆様の負託にこたえられるよう、全力を傾注していく考えでございます。
 そして、地方分権の推進に当たっては、市町村を包括し広域的な事務を担う県と住民に最も身近な行政主体である市町村との連携が不可欠でございまして、県と市町村がそれぞれの果たすべき役割をしっかりと認識して、お互いに相協力しながら、地方振興局の一層の機能強化や市町村が行う広域行政の支援など、新しい時代に対応した行政体制の整備を進めて、一体となって地方分権の推進に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、環境基本計画の具体化の方策についてでありますけれども、環境基本計画は、21世紀に向かって真に豊かな暮らしを創出する環境と共生する地域社会を構築して、持続可能な発展を実現するために、地球環境問題を含め、本県の環境施策の基本的方向などを示したものでありまして、県民、事業者、行政といったそれぞれの主体が参加・連携のもと、この計画に沿って環境に配慮した取り組みを展開する必要がございます。このため、まず庁内において計画の推進体制を充実・強化して、各種の環境施策を部局横断的かつ体系的に推進していきたいと考えております。
 また、地球温暖化問題などの今日の環境問題の解決のために、ISOの認証取得など、環境負荷を少なくする行動に県として率先して取り組むほかに、県民や事業者の方々の具体的な行動が必要不可欠なことから、ボランティアやNPOの参加・協力を得ながら、各種県民団体や事業者団体、市町村も含め、パートナーシップ推進のための仕組みづくりに着手したいと考えております。
 さらに、環境審議会が進捗状況を点検するなど、計画の進行管理を適切に行いながら、循環型の地域社会の形成に向けて、県民の皆さんとともに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、JR資産の譲渡問題についてでございますが、県は、これまでJR東日本に対してその無償譲渡を要望し交渉を重ねてきたところでございます。これに対しJR東日本は、分割民営化の際に旧国鉄から譲り受けた資産の価格に相当する債務を引き継いでおりまして、無償譲渡となれば、この債務だけが残り会社に著しい損失が発生すること、また、先発事例でございます長野県のしなの鉄道に対しては簿価で有償譲渡していることなどから、無償譲渡には応じられないと、このような考えを示しております。このように、JR東日本としても、民間会社の立場から容易に無償譲渡を認める状況にはなく、その実現は大変難しいものと認識しておりますが、本県と同様に無償譲渡を申し入れている青森県とも連携をとりながら、今後の対応を検討してまいりたいと考えております。
 なお、県内分の鉄道資産の額につきましては、現在JR東日本にその概算額を照会しているところでございますが、簿価にしておよそ90億円前後になるものと、このように見込んでおります。
 次に、県立高等学校新整備計画の成案に向けての取り組みについてでございますが、国際化、情報化、科学技術の発展など、社会が大きく変化し、さらに今後児童生徒が急激に減少する中にありまして、子供たち一人一人が、その個性や創造性を伸ばして、さまざまな将来の可能性に挑戦し、新しい時代を切り開いていくためには、豊かな人間関係に恵まれた活力ある、いわゆる学びの場が必要でございます。このため教育委員会では、子供たちが目的意識を持って主体的に学ぶことのできる新しいタイプの高等学校の設置などを内容とする今回のこの整備計画案を策定したものであります。
 もとより、こうした問題については県民の理解が不可欠でございまして、教育委員会ではこれまで、計画内容について地域の方々への説明を行っていると承知はしておりますが、本整備計画案に対しましては、現在、地域からさまざまな御意見が寄せられているところであります。私は、この問題はこれからの学校教育を考える上での絶好の機会でもあると考えておりまして、引き続き教育委員会では十分な説明を行う必要がございますし、また、地域の皆様からも建設的な御意見をいただいて、その上で、今後一層相互理解が深められ、成案が得られることを期待しているところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承お願いします。
   〔総務部長武居丈二君登壇〕
〇総務部長(武居丈二君) まず、県財政の中期見通しについてでありますが、現在の中期見通しは、平成14年度までの財政運営や予算編成の参考とするため、平成10年度当初予算をベースとして昨年2月に策定したものであります。その後、本年8月に本年度を初年度とする新しい総合計画を策定したところでありますし、また、国においても財政構造改革の凍結や景気対策の実施に加え、恒久的減税を含む税制改正を行うなどの新しい情勢変化があったところであります。したがいまして、総合計画の取りまとめの過程で検討してまいりましたプロジェクトや最新の経済指標の動向等を踏まえ、現在、鋭意中期財政見通しの見直しを行っているところであり、来年度の予算編成方針とあわせ、遅くとも今月中にはその内容をお示ししたいと考えております。
 次に、地方分権一括法に対応するための条例改正の準備状況と議会への提出時期についてでありますが、去る7月15日に各部局等の職員21名で構成する地方分権推進プロジェクト・チームを設置し、現在ある295本の条例や382本の規則すべてについて、改正などが必要か否かの調査を行ってきているところであり、現時点において制定・改正または廃止が必要な条例は約60本、規則は約110本と見込まれております。
 現在、国においては地方分権一括法に関連した政省令の制定・改正等の準備が進められており、その内容いかんによってはその数が変動することも予想されるところでありますが、政省令の内容を精査した上で、制定・改正等を必要とする条例については、その性格上、2月県議会定例会などになじむものなどを除きまして、原則として次の12月県議会定例会に提案したいと考えております。
 次に、条例、規則の制定・改正等に向けた基本姿勢についてでありますが、最も重要なことは、平成12年4月以降の国と地方公共団体との間における事務や権限の移動後においても、それぞれの事務などの執行が円滑に行われることであり、このような観点から、関係する条例や規則の制定・改正または廃止を漏れなく、かつ確実に行うことを最優先課題として作業に取り組んでいるところでありますが、今後、条例等の運用面も含めて、岩手の特性や地域の実情を踏まえた取り組みができるものがあれば、前向きに対応してまいりたいと考えております。
 次に、岩手山の火山活動についてでありますが、最近の岩手山の火山活動に関する検討会においては、火山性地震が継続して発生し、岩手山西側の大地獄谷と姥倉山の稜線では、噴気温度の上昇やガス成分の変化が認められ、黒倉山から姥倉山の南北斜面ではササ枯れ区域の拡大や新たな噴気箇所が確認されるなど地表現象が活発化し、地下温度が上昇している可能性があると指摘されております。このことから、県は引き続き活動の推移を注意深く監視してまいる必要があると認識しているところであります。
 また、冬場を迎えるに当たり留意している点でありますが、積雪期の噴火では火山泥流が広範囲に発生することが予想されますことから、県は、特に火山活動が活発な黒倉山から姥倉山の頂上付近に、積雪期においても観測可能な地震計と地温計を今月下旬までに設置を進め、観測・監視体制を強化することとしており、周辺市町村においても、現在詳細な火山防災地図の作成を進めるとともに、防災行政無線の整備などにより、地域住民等を迅速かつ安全に避難させる体制を強化しているところであります。また、昨年に続き市町村や防災関係機関と連携し、地域住民の避難を中心とした噴火対策、防災訓練の実施や火山防災シンポジウムを開催するなど、火山災害に対する防災意識の高揚に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔生活環境部長村上勝治君登壇〕
〇生活環境部長(村上勝治君) まず、ラジオメディカルセンターの安全管理体制についてでありますが、このセンターは、社団法人日本アイソトープ協会が、核医学の発展を図り、医療全般の水準の向上に寄与することを目的として設置したもので、医療用廃棄物の処理のほか、核医学に関する研修等を行う施設であります。この施設では、全国の使用済み医療用アイソトープ廃棄物を焼却、圧縮、濃縮し処理しております。
 この施設が処理する廃棄物が放射性物質であることから、日本アイソトープ協会と滝沢村との間で公害防止に関する協定が取り交わされ、この協定に基づき、大学等学識経験者、農業関係団体、行政機関、地元住民によるRMC監視委員会を設置するとともに、定期的に施設周辺の河川水などの放射能の監視測定を行っているところであります。県におきましても、同監視委員会の委員を務めておりますが、これまで事故に関する事態の発生はないと承知いたしております。
 なお、ラジオメディカルセンターにおきましては、茨城県東海村の事故に関し、けさ職員を招集し処理体制に万全を期するよう注意を喚起するとともに、滝沢村からセンターに対し、安全管理に万全を期すよう要請したと伺っております。
 この施設で処理する放射性廃棄物は医療用に限定されておりますが、県といたしましても、今後ともRMC監視委員会等を通じ、引き続きその安全管理について監視を行ってまいりたいと考えております。
 次に、原発事故等による放射能汚染に関する監視体制等についてでありますが、本県における放射能汚染に対する対策といたしましては、昭和63年度から、科学技術庁の委託を受けまして、県内の環境中の放射能レベルの監視を行っております。具体的には、盛岡市内においては、常時監視として大気中及び降雨について放射能を測定しているほか、県内数カ所で土壤、農作物等について年に2回から4回の調査を実施いたしております。本日の午前中における常時監視の結果によりますと、大気中の放射能レベルは通常と変わりなく、異常が認められないという報告を受けております。
 原子力発電等による放射能問題につきましては、国の直轄事項ではありますが、県といたしましても、環境汚染問題の一環として引き続き環境放射能の監視を行うとともに、事故発生に際しましては、状況に即した監視と迅速な情報提供に努めてまいりたいと考えております。
   〔企画振興部長渡辺勲君登壇〕
〇企画振興部長(渡辺勲君) まず、総合計画推進への県民参加についてでございます。
 今回の計画は、みんなでつくり、みんなで進めることを基本として、多くの県民の皆様の御意見を聞きながら策定したところでございます。これからは、みんなでつくった計画をみんなで進めるために、できるだけ多くの県民の皆様にこの計画の推進に参加いただけるよう、その内容を理解いただくことが大切であるとの考えから、この計画をコンパクトにまとめた全世帯配布用印刷物や子供用副読本の作成・配布など、さまざまな方法により県民への積極的な周知に努めてまいることとしております。
 また、この計画策定後、直ちに九つの広域生活圏ごとに説明会を開催したところでございますが、今後におきましても、職員が地域に出向いて計画の内容を説明する、いわゆる出前説明会をできるだけ多く開催するとともに、いわて地元学の実践など、生活者や地域の視点に立った住民参加の仕組みづくりに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 さらに、この計画の効果的な推進を図るため、総合計画審議会に総合計画推進委員会を設置したほか、広く県民満足度を把握するためアンケート調査を実施するなど、引き続き県民の幅広い参加を得ながら、計画の着実かつ効果的な推進に万全を期してまいりたいと考えております。
 次に、総合計画における第1次産業の県内総生産と就業者数の推計についてでございます。
 就業者数の見通しに当たりましては、総人口の見通しの推計値と過去の就業者数の趨勢などをもとに推計を行ったものであり、また県内総生産の見通しに当たりましては、これまでの経済構造の枠組みのもとで各種施策が継続的に推進された場合と、新たな経済社会に適応するための構造改革等各種施策が早期に行われた場合、この二つのケースについて推計を行いまして、一定の幅を持ったものとしたところでございます。この計画で示しましたこれらの数値は、可能な限り客観的な前提を置いて推計を行った見通しとしての性格を有するものでありますことから、今後、計画に盛り込まれたさまざまな施策の推進に当たって、その効果がより大きなものとなるよう努めることにより、目標年度において見通しを上回る数値を得ることができるものと考えております。
 次に、市町村合併についてでございます。
 市町村が合併などの広域行政を検討する際の目安となる指針の策定に当たりましては、各地域の実情についてのきめ細かな調査に加え、学術的・専門的な視点からの検討が必要との考えから、県立大学の協力を得て、4月以降全市町村を訪問し、市町村長や議会の代表者の方々からの御意見、さらには地域住民の皆さんからもさまざまな御提言をいただき、現在その内容の取りまとめを行っております。
 今後は、これまでの面談調査の結果に加え、通勤・通学圏など住民の日常社会生活圏や都市計画、医療計画など各種計画上の位置づけ、地域の課題等についてのデータの収集・分析を行い、平成11年度中をめどに指針を策定したいと考えております。
 また、市町村合併につきましては、地域のあり方は地域が決めるという地方自治の基本的な考え方を踏まえ、それぞれの市町村が地域の現状や課題を考え、市町村みずからが自主的に判断することが重要であると考えております。
 なお、広大な面積を有する本県におきましては、それぞれの地域において自然的・歴史的な事情や合併に関する住民の意識も異なり、さまざまな課題もありますことから、この指針の策定に当たりましては、各地域の実情を十分踏まえた上で、市町村との調整をも図りながら進めてまいりたいと考えております。
 次に、並行在来線の利便性・サービスの確保についてでございます。
 サービス向上の方策といたしましては、現在運行しております特急はつかりの廃止が見込まれますことから、運行本数の大幅な増加を目指すほか、普通運賃で乗車できる快速列車の運行や新駅の設置、駅に隣接した駐車場・駐輪場の整備、さらには環境定期・フリー乗車券の発行など、沿線市町村と連携しながらハード、ソフト両面から幅広く検討してまいりたいと考えております。
 なお、並行在来線につきましては、将来にわたり健全な経営のもとで鉄道輸送サービスの利便性を確保することが必要でありますことから、総合的なサービスの向上を図った上で、経営の健全性を考慮しつつ、可能な限り低廉な運賃水準になるよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、鉄道貨物輸送についてでございますが、これまでの経緯に照らし、並行在来線の経営分離後において、県を初めとする地元が責任を負いますのは、地域の旅客輸送の確保でございます。一方、全国一元的な鉄道貨物輸送の機能の確保は、まさに国の運輸政策上の課題でありますことから、国またはJR貨物自身の責任において解決されるべきものであると認識いたしてございます。
 本県は、旅客輸送に係る経費の一部をJR貨物に求めているものではございませんで、貨物列車が走行する場合は、旅客輸送だけを行う場合に比べまして施設の維持管理水準を格段にグレードアップする必要があることなどから、それに見合った対価を求めているものでございまして、貨物走行に必要となるサービスを提供する以上、適正な対価を負担いただかなければならないものと考えております。現在、関係者間で線路使用料等に関する交渉が本格的に行われておりますが、県といたしましては、青森県等と連携を図りながら粘り強く交渉を行っていく一方、国が鉄道貨物問題の解決に向けて主体的な役割を果たすよう、強く働きかけてまいりたいと考えております。
   〔土木部長大石幸君登壇〕
〇土木部長(大石幸君) 気仙地方の大雨による公共土木施設の被害の復旧の見通しとその財源についてでありますが、本年も昨年に引き続き大雨などによる災害が発生しており、特にも、去る7月12日から14日にかけて沿岸部を中心に大きな被害が発生いたしました。公共土木施設における被害状況は、県全体で809カ所、110億1、000万円余の被害報告額となっているところであります。御質問の気仙地方におきましては、県、市町村合わせて180カ所、29億2、000万円余の被害状況となっております。
 これらの復旧見通しについてでありますが、陸前高田市横田町における国道340号の路肩決壊など、緊急に復旧を要する箇所につきましては、直ちに応急工事により対応を行ったところでありますが、本格復旧につきましては、今月中旬に予定しております災害査定が終了し次第、可能な箇所から年度内に着工し、早期復旧が図られるように努力してまいります。
 また、財源対策についてでありますが、今年度の災害報告額は、これまで135億円余となっておりますが、災害査定を終えて、今年度の実施額はおよそ86億円と見込んでおります。11年度に係る災害復旧事業費は当初予算において109億円余を計上しておりますことから財源は確保されているところであります。
 次に、津付ダムについてでありますが、まずダム建設予定地の選定につきましては、気仙川水系の洪水調節や工業用水等に必要なダムの貯水容量を確保でき、良好な地形、地質を有することを選定条件として調査を進めた結果、気仙川支流大股川の住田町津付地先としたものであります。また、工業用水についてでありますが、供給対象は陸前高田市が造成する滝の里工業団地とニューインダストリアルパークで日量2、000立方メートルの利用計画でありますが、そのうち滝の里工業団地では既に1社が操業しております。しかし、工業用水が確保されていないことから、現在は水道用水を利用しており、陸前高田市ではダムにより工業用水を確保し、積極的な企業誘致を展開するものと伺っております。
 洪水対策についてでありますが、気仙川の現況流下能力が小さく、これまで幾度も家屋浸水等の被害をこうむっておりますことから、ダムにより30年に1回程度の確率で発生する洪水に対して地域住民の生命財産を守ることとしております。
 また、建設採択の見通しについてでありますが、県といたしましては、これまでも国に対し新規建設ダムとして採択されるよう要求してきたところであります。その結果、このたび建設省の平成12年度概算要求に盛り込まれたところでありますので、引き続き事業の採択に向けて強く国に働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、環境影響評価についてでありますが、これまで専門家の指導を受けながら猛禽類の調査を主体として実施しており、その他の動植物や環境への影響につきましても、今後引き続き岩手県環境影響評価条例に基づいた調査を行い、公表してまいりたいと考えております。また、このダム計画を進めるに当たっては、今後とも地域の方々や学識経験者の意見を伺いながら、周囲の良好な自然と調和した地域に親しまれるダムの建設に努力してまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕
〇保健福祉部長(関山昌人君) まず、公的介護保険制度への市町村としてのかかわり方についてでありますが、介護保険制度においては、多様化、増大化する介護需要に対応するため、さまざまな事業主体の参入が見込まれております。このような中で、市町村の役割としては、介護サービス基盤の確保を図るほか、利用者に対する介護サービス情報の提供やサービスの質を確保するための事業者指導など、高齢者が安心してサービスを利用できる環境の整備などの役割が増してくるものと考えております。したがって、県といたしましては、市町村がこのような役割を適切に果たせるよう支援しているところであります。また、介護サービス基盤の確保に当たっては、事業主体のいかんにかかわらず、良質な介護サービスを提供できる事業者の参入がよいと考えております。
 なお、介護福祉事業の市町村直営での実施状況については、ホームヘルプサービス、デイサービス及びショートステイの、いわゆる在宅サービスの3本柱について見ると、いずれかのサービスを直営で実施している市町村は平成10年度末28市町村、12年度見込みで18市町村となっております。また、特別養護老人ホームについては、現在、市町村直営が8市町村となっており、12年度においても引き続き市町村が運営する予定となっております。
 次に、自立と認定された高齢者等に対する現行のサービス水準の維持についてでありますが、これらの高齢者に対しては、必要となる介護予防や生活支援サービス等を総合的に提供できる体制の整備を図っていくことが必要であると考えております。したがって、県といたしましては、今後必要となる保健福祉サービスメニューを市町村に例示するとともに、各地方振興局を通じて個別に助言を行うなど、市町村への支援に努めているところであります。なお、介護保険給付以外の介護サービスについては、すなわち特別給付でございますが、地域の実情に応じて保険者たる市町村で御検討いただくこととなっております。
 次に、マンパワーの確保についてでありますが、ホームヘルパーの有資格者については、県全体では平成10年度末6、355人となっており、今年度においては、さらに地域的な偏在を解消するため、今補正予算案の中高年離職者等ホームヘルパー養成研修事業の実施も含め、有資格者の比較的少ない地域での重点的な養成に努めております。また、いわゆるケアプランの策定等に携わる介護支援専門員については、平成10年度に1、055人養成し、本年度の実務研修受講試験において720人が合格しております。
 県といたしましては、これらの人材が有効に活用され、介護サービスの担い手として業務に従事できるよう、岩手県社会福祉協議会の福祉人材センターへ登録を行うなど、雇用者と就業希望者双方への便宜を図っているところであります。また、これら従事者の確保に当たっては、適切な雇用条件等が確保されることが必要であり、現在国において検討が進められている介護報酬については、従事者の給与等の雇用条件にも影響するものであることから、地域性や採算性に十分配慮するよう国に要請しているところであります。さらに、適切な就労条件等が確保されるよう、介護サービス事業者に対して、関係法令に基づき必要な指導を行ってまいります。いずれにいたしましても、マンパワーの確保に当たっては、サービス利用者との信頼関係のもとできめ細やかに対応できる介護サービスを担う人材の養成と確保に努めてまいります。
   〔教育長大隅英喜君登壇〕
〇教育長(大隅英喜君) まず、インターハイの成果等についてでありますが、'99岩手総体は、関係市町村や大会関係者並びに多くの県民の皆様の御支援により、円滑な大会運営が確保され、特に問題もなく成功のうちに終了することができました。感謝の気持ちでいっぱいでございます。この大会は高校教育の一環として開催されるものであることを踏まえ、県内すべての高校生が、総合開会式への出演や式典補助員、各競技の補助員、さらには全国から集う大会関係者を心から歓迎するための草花育成や手づくり記念品の作製等積極的に一人一役運動を展開し、大会成功の大きな原動力となったところであります。この運動を通じて高校生は、互いに協力し分担して物事をなし遂げる協調性や責任感、あるいは地域の人々や全国の選手、役員と接し、人の気持ちを大切にする豊かな心とボランティア精神を養うという大きな成果を得ることができました。
 また、各競技での本県選手の活躍は目覚ましく、持続的な競技力の向上策の必要性を感じているところでございます。そしてまた、開催期間中、各会場には連日多くの観客に来ていただきましたが、この県民のスポーツに対する関心の高まりは、今後の生涯スポーツの振興にも大きく寄与するものと考えているところでございます。
 次に、県立高等学校新整備計画案についてでありますが、この計画につきましては、本年2月に中間まとめを発表し、5月には具体的な学校名を挙げた計画案をお示ししたところであります。整備計画案の説明に当たりましては、関係市町村長、関係市町村教育委員会、教育関係団体を初めとし、説明の機会の得られた市町村議会、地域首長懇談会、地域が設置する検討委員会、同窓会、PTAなどに出向き説明を行ってきたところであり、その回数は合わせて37回となっております。一方、各地域から延べ27回にわたる御要望等をいただいたところでございますが、その機会に整備計画案策定の背景、趣旨、内容について御理解いただけるよう努力を払ってまいりました。また、総合学科高校や総合的な専門高校など新しいタイプの高等学校等の内容については、特にこれから高等学校に学ぶ中学生と保護者の理解を深めることが大切であることから、リーフレットを作成いたしまして、県内の全中学生等に配布したところでございます。
 この整備計画案につきましては、現在、それぞれの地域との話し合いを深め、御理解をいただくよう努めているところでありますが、今後はいただいた御意見をも参考としながら、お示しした整備計画案に十分検証を加え、成案を得たいと考えているところでございます。
〇34番(伊沢昌弘君) 広い分野での質問をさせていただきましたが、お答えをいただきましてまずありがとうございます。数点について再質問させていただきたいと思います。
 まず、財源措置の部分で総務部長からお話をいただいたわけでありますが、中期財政見通しについては、現在見直し中ということでございますけれども、県債残高が今の時点で1兆円を超えていると、こういう中で、新しい総合計画の推進のためにまた新たに県債を発行せざるを得ないのではないかなと思ってます。このことについては、私、質問の都度、後年度に過大な負担を残すようにはならないのかと懸念を表明してきたところでございます。これまでの御説明であれば、県債については後年度に交付税措置される優良起債を中心に計画をしてきているということで、県が負担をする割合というのは、総額の4割程度という御説明があったわけであります。しかし、これから地方分権が進むと、そして地方交付税制度も含めて見直されて、地方財源対策が今後どうなるんだろうかということについて、現時点でこの予測は難しいと思うんですが、国の方でも国債の残高がふえる一方の中で、地方債に対する交付税措置が継続をしているのかな、これからも継続をするんだろうかということで、私は不安をいまだに持っているわけであります。県としても、今後国が進める地方財源の確保策については、強力にいろんな立場で要請をしてきたと思われるわけですけれども、これまでの取り組みについて改めてお示しをいただき、これからの中期見通しの中で地方財源がどう変わっていくのかも含めた、御所見があればお伺いをしておきたいなというふうに思います。
 次に、土木部長から津付ダムについての御答弁をいただきました。私ども4人で現地に行った際に、長年にわたって気仙川流域に住む方々が大雨の都度洪水に見舞われ、大きな被害を受けてこられたと、一日も早いダムの完成を望んでいることは、住田の町長さんからも直接お会いをして感じてきた次第でございます。同時に、本質問でも言いましたけれども、全国的に戦後かなりのダムがつくられてきたわけであります。それぞれの地域の目的によってもこの評価は違うと思われますけれども、環境破壊が進んだこと、さらには大型公共事業の最たるものとしてダムがあったわけでありますが、税金のむだ遣いではなかったのかとの批判もあったところであります。私は、この津付ダムに関して、今、再質問の中でやめろという反対の意を表明するつもりはありませんが、クマタカなりオオタカなり、1カ所に猛禽類が住んでいるという極めて環境の優良な地域だということが、地域の方々もおっしゃっていたわけであります。環境首都を標榜する岩手県として、総合的な河川対策を十分に考慮すべきだと思うわけでありますけれども、これまでの中で河川改修によっての洪水対策を含めた御検討をされたのかなというふうに思うわけであります。ダムでとめればそれなりに洪水調整の能力は出ますが、現地を見てきたわけですが幅の狭いところや堤防がまだ不十分な場所もある。河床も、きのうの伊藤勢至議員の言葉ではないわけですが、土砂堆積も含めてあると。これらの掘削も含めて一定程度の改良策は可能ではないのかなと、こう思ってきた部分があるわけですが、これまで鋭意検討されて、御答弁の中にありましたように概算要求までのったということですから、改めて掘っくり返す必要はないと思うわけですが、県民にこのダムが河川改修を進めるよりも有利であるというふうな理由を改めてお示しをいただければ、地域の皆さんも御納得がいくのではないかなと、こういうふうに思うわけでありますが、御所見をぜひお願いをしたいと思います。
 それから、高校再編につきまして、知事から御答弁をいただきました。おっしゃっているとおり大変な課題であって、皆さんが関心を持ちながら、私も盛岡地域で総合計画の説明を受けた際に、首長さんから、知事さん何とかしてくれと、個別の中で廃止はだめだよというふうなことも含めてあったわけですが、知事は現地でも、教育長が今鋭意検討していると、その中で皆さんの案を参酌をするものだと、こういうふうなお話があったと思います。
 あと私は本質問の中でも、本県産業の振興の分野で基幹産業と位置づける第1次産業、決してこれを形骸化するものではないのだという部分を含めて、きのうまでの論議の中でも出たわけで、御答弁をいただいているわけですが、多くの皆さんはやっぱり専門高校がなくなるということに対して、何でなんだろう、子供に対して高等学校で将来の職業を全部決めてしまうというのをあてがうことがいいのか、自分たちで見つけてやるのがいいのかという部分は、これは選択の自由でございますから、いいわけであります。ただ、私は、教育長が再三再四、新しい形の学校、総合学校なり総合的な専門校というお話をしているんですが、パンフレットをつくり、リーフレットをつくり、中身を含めてお話をすると言っているわけですが、私も含めてイメージがいまいちわかないんでございます。改めてこの部分を含めて、もう私は8番目の登壇ですから多くの方に全部お話をされてきて、教育長のお話の部分はもうすべてかと思うんですが、改めてこういった部分をお示しする中で理解を得る、そういう形の御所見をぜひお伺いしたいものだと思っています。というのは、新聞報道の中で、この議会を通じて論議はあったけれども、論議はあったが既定どおりの案で成案かというふうな、これは勝手に書いたマスコミの方だと思うんですが、大変県民は誤解をしているんじゃないかなと思うんです。その件につきまして教育長からのお考えをぜひお願いしたいと思います。
 9分ですが、もう一度立つ権利がありますので、とりあえずここで切って、御答弁をお願いしたいと思います。
   〔総務部長武居丈二君登壇〕
〇総務部長(武居丈二君) 地方財源の確保策についての御質問でございます。
 地方財政の健全化を図り、分権型社会に対応した行財政運営を行っていくためには、地方一般財源の充実強化が何よりも不可欠であるというふうに考えております。先ほどの地方分権一括法が成立し、これからいよいよ実行段階という状況の中で、ますますそのような要請が高まっているというふうに認識しております。その際に幾つかのポイントがあろうかと思いますが、一つは国税から地方税への、税源の委譲という問題があろうかと思います。消費税でありますとか所得税などの税源を国から地方へ委譲する、そういったことによりまして地方税財源の充実強化を図っていく。また、地方税の中でも税収の安定的な確保という問題がございます。これにつきましては法人事業税への外形標準課税の導入、こういった問題があろうかと思います。またさらには、本県のような税基盤の脆弱な地方公共団体にとりましては、地方交付税の総額を安定的に確保するという問題が今後も引き続き重要になろうかというふうに考えております。
 こういった点につきまして、一体となりまして地方一般財源の充実、確保が図られるようにしていく必要があるというふうに考えてございますが、こういった点につきましては、本年7月にも全国知事会で国へ要望を行っているところでありますが、本県独自でもあらゆる機会をとらえまして関係機関に強く要望してまいりたいというふうに考えております。特に今月の27日には本県で北海道東北知事会が開催されます。こういった中でも地方財政対策の強化について決議することとしておりますので、こういった関係団体とも協力をしながら、国の関係機関に強く要望してまいりたいというふうに考えております。
   〔土木部長大石幸君登壇〕
〇土木部長(大石幸君) ダムによる治水効果が河川改修より有利であるということでございますが、治水対策としては河川改修も当然考えられますが、この場合、河床掘削や川幅を広げ、築堤による改修となりまして、現地では住田町世田米や下流の住田町田畑から槻沢地区、さらには陸前高田市の島部地区など、総延長約11キロメートルにも及ぶ大規模な河川改修が必要となり、さらに現在あります橋梁とか頭首工などの改築も伴い、現況の河川を大幅に改変することになります。しかし、本流域は狭隘な地形で河川沿いに人家が連檐していることから、家屋の移転や現在有効に利用されている土地を失うなど、地域に大きな影響を及ぼすものと考えられます。
 さらに、気仙川では、豊かな自然が残されており、アユなどの溪流釣りでも全国的に有名な河川であることから、地域の河川懇談会などで、気仙川の水生動植物の保護対策や保全も強く求められているところでありますが、河川改修ではこれらの自然環境にも大きな影響を及ぼすものと考えられます。ダムによる治水対策では、山林、家屋などの水没も生ずることになりますが、ダムの竣工により上流から河口まで同時に効果があらわれ、現況の河川環境が保護され、さらに貴重な土地の有効利用が可能となります。また、渇水時には農業用水を補給するとともに、河川環境を保全するための水の確保や、新たに工業用水の開発など、地域振興に大きく貢献するものと考えているところであります。したがいまして、ダムによる治水対策が総合的な評価から見て有効であると判断したものであります。事業の実施に当たりましては、できるだけ建設コストの縮減に努め、地域の関係者の皆様方からの御意見を十分踏まえまして、地域の文化や自然環境の保全に十分配慮しながら取り組んでまいりたいと考えております。
   〔教育長大隅英喜君登壇〕
〇教育長(大隅英喜君) 新しいタイプの高校等についての再質問をいただいたわけでありますけれども、今、地域の方々とのお話し合いを進めている中で、議員おっしゃるような考え方、受け取り方の違い等が確かにございまして、例えば総合学科高校について申し上げますと、総合学科高校の中では今で言う普通科高校のような授業、学科の履修ができないのではないかというふうに例えば思っておられまして、それではその進学に支障が出るのではないかというふうなお話がよくございます。そうした点につきましては、総合学科高校におきましては例えば、そこにおいて文系への大学の進学を志すという場合はほとんど今の普通科と同じような科目を履修し、その道に進むこともできると。一方において、それぞれの地域特性を生かした1次産業の基礎的な事柄をそこの中で普通科目と同様に、ともに学んでいくという地域理解のような授業の科目も履修できるというふうな選択の幅を広げる、したがって科目も多く設置される、教員の配置も多くなるというふうなタイプの学校だということを御説明して、理解してくださる方もありますし、さまざまな御意見がございますが、いずれそうしたことをよく理解していただくということが必要だなと思っておりまして、これからも鋭意そういうことを行っていきたいと思っております。
 一方、また、総合的専門高校につきましては、後退をするのではないかと、例えば農業高校と工業高校をあわせますと、どちらも今の専門的な分野が薄らいで半端なものになりはしないかというふうなお考えを持っておられる方もございます。これにつきましては完全に今の内容が後退しないような履修ができます。例えば、三つの学科があわさった高校であっても、専門に農業を学ぶということであれば、完全にそういうスタッフなり環境を整えて行うということでありますので、そこを考え違いしておられる場合もございます。また一方において、農業なら農業を履修しながら今の社会、1.5次産業とかさまざまの、非常に産業構造が変わっております。したがいまして、農業を学びながら同時に流通の問題でありますとか、工業、商業等に関連する分野の学科も履修したいという場合は、それも可能になるというふうなことを考えておりまして、これからは非常に多様な選択の幅、あるいは多様な学科内容を準備する必要があるということで、今までと違った新しい高校というものを真剣に我々は構築しまして、そこにこれからの時代に生きていく若者たちを育てていきたいという念願を持っているものでございますので、ぜひこれは御理解をいただきたいと思っております。
 なお、その検証をどうしていくかという話でございますが、これはまさに今そうしたことを盛んに努力しているときでございますので、どういう方向になるかということは今申し上げられる段階にはございません。そういうことでございますので、よろしくお願いいたします。
〇24番(伊沢昌弘君) ありがとうございます。再質問については余りお話もしないでも御答弁をいただいた部分があるんですが、あと2点ほど質問という形で質問させてください。
 総務部長にお伺いをしたいんですが、私、放射能漏れの関係で、今、村上生活環境部長から御答弁をいただきました。RMCの監視体制関係も含めて、実は設立される段階で私もちょっとかかわりまして施設なんかを見せていただいて、委員会も設置されて協定を結ばれたというのは承知をしていたわけであります。こういった部分では直ちに滝沢村もきょう動いていろんな申し入れをしたということで、迅速な対策が行われたなというふうには思ってます。ただ、問題なのは、監視だけではなくて、今、総理大臣以下が、史上初めてのケースだということで、危機管理を含めてこの問題について余り安全ということで考えていなかったんじゃないかというふうに思っているわけであります。となると、本県も全く、国のことだということで、この部分について、地域防災計画等々あるわけですが、自然災害を中心にしたものではなかったのかというふうに私は思っています。ただ、放射能に限らず、化学物質を含めて世の中にはいっぱいあるわけでありまして、揮発性のものが突然工場から出たりした場合も同じようなケースだと思うわけであります。危険度の違いはあるにしてもですね。そういったことについて、県としての危機管理といったものについて、自然災害を想定して、だけではないと思うんですが、危機管理の中で、住民避難も含めた、対策を含めた部分が確立されているのかどうか、そ の部分をお示しいただきたいというふうに思います。
 それから、関山保健福祉部長から介護保険に向けてのお話をいただきました。ヘルパーさんの事業が28から18自治体に減る、10自治体が手を引くのかと思うわけでありますが、今回のこの介護保険法は、民間株式会社も含めて参入できるわけであります。本当の意味からいけば、市町村がいろいろな事業をする中で、みずからがそういうヘルプサービスを含めて対応しながら、問題点を探り、住民と一緒にやっていくべきだというふうに私は考えたものですから、実態の御説明をお願いしたわけであります。制度の中で認定に基づいて計画を立ててやるということで、だれがやっても同じなわけであります。そういった意味で、県がこれまでいろいろと、市町村、民間の事業者の皆さんも含めて御検討してきた経緯があったと思います。残された期間は、申し上げたようにあと6カ月であります。この間の中でいろいろな課題が整理されると思うんですけれども、改めて、残された期間、市町村とともに県として介護保険制度に向けた実施の立ち上げに万全を期すという意味での御所見を、この際ぜひお伺いしたいというふうに思っているところであります。
 最後になりますけれども、質問じゃありません。9月29日の一般質問に先立ちまして、関山保健福祉部長から、久慈地方振興局保健福祉部の不祥事件についてお話がございました。陳謝と経緯の説明があったわけであります。私は、この事件をあってはならない事例だと思っているわけで、特に福祉行政の最前線で生じたことに大変なショックを持っているところであります。詳細についてはこれからも調査継続中ということでありますけれども、事件に至る原因の究明を含めた十分な解明を行う中で、再発防止策をぜひとっていただきたいと思うわけであります。これは、県庁全体でつくり上げることが必要だというふうに思っています。
 岩手県総合計画についても取り上げてまいりましたが、知事以下、皆さんがおっしゃるとおり、みんなで創る夢県土いわてであります。県民の信頼がなければ進みません。県行政を推進するために、この事件も含めた県民の理解を得られるための最大限の努力をされることを要望いたしまして、私の再質問を終わらせていただきます。答弁の方はよろしくお願いいたします。
   〔総務部長武居丈二君登壇〕
〇総務部長(武居丈二君) 危機管理対応につきましての御質問でございましたが、特に阪神・淡路大震災以降、危機管理に対する関心が国を挙げて高まっているところでございます。県におきましては、特に昨年来の岩手山の火山活動の活発化に伴いまして、災害や事故に関する危機管理体制というものをどのようにしていくか、そういった点の関心がすごく高まっているところでございます。正直に申し上げまして、現在の体制という中では、危機管理室のようなものが特にないものですから、私どもで、内部で点検、見直しする過程で、それぞれの所管に明確に入らないような災害とか事故が発生した場合に、それをどこが所管し、特に初動体制をどのように整えていくかという問題は、どこがとったらいいかということが、特に昨年来議論になっているところでございます。
 今回も茨城県で放射性物質に関するこのような事故が発生したわけでございますが、今回の事案に関しますと、その監視なり情報収集の所管というのは生活環境部になるわけでございますが、一たんこれが事故になった場合に、生活環境部だけで対応できるかという問題がございます。特に事故が発生した有事の場合には、初動時の的確な対応というものが大変重要になってまいりますが、本県におきましては、初動時の対応が最も整っているのは消防防災課になるわけでございまして、私ども、今現在の危機管理体制を見直しする過程で、とりあえず総合的な危機管理の窓口は総務部が中心になってやろうということにしております。これをこの夏から整えました。こういった中で、情報収集につきましては生活環境部なり関係部局がございますので、こういった部局の情報と総務部の初動期の対応をあわせて考え、的確に対応していこうと。さらに、大規模な事故等が発生した場合は、これは災害対策基本法に基づく災害対策本部を設置することになりますので、そういった中で一元的に初動体制を敷いてまいろうというふうに考えております。
 いずれにしましても、事故や災害発生時の不測の事態の対応、これは的確にしていかなくてはいけないわけですが、今、岩手山の火山対策で関心が高まってきておりまして、さまざまな分野についてマニュアルづくりを指示しているところでございます。かなり整ってきておりますが、一部まだマニュアルづくりが整っていない部分もございますので、そういった部分を早期に立ち上げまして、初動体制を整え、そういった不測の事態に的確に対応できるよう、今後とも頑張ってまいりたいというふうに思います。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕
〇保健福祉部長(関山昌人君) 残された期間、介護保険制度について万全を尽くす、その所見をということでございます。
 この介護保険制度の趣旨というものは、その人が持つ心身の能力でいかに自立した日常生活が営めるかであり、そのような指示をするために、介護保険サービスを総合的かつ一体的に提供していく体制を整備していくことが必要だと考えております。このため、まず公平かつ適正な認定というのが必要であるということ、また、認定された方に対して適切なサービスを提供していくということが必要であります。また、認定とならなかった方々、いわゆる自立者の方々に対しても、適切な対応があわせて必要になってきます。こういった体制づくりを含めて今後進めていきたいと思っておりますが、いずれにいたしましても、この介護保険制度というものについては、要介護に至ってしまった方でございます。
 一方、この要介護に至らないような対策というのも十分今のうちにとっておかなければいけないということでございまして、こういった介護予防対策を十分とりつつ、要介護に至った方々に対しても、その体制づくりを今現在、市町村と一体となって進めているということでございます。
 また、この介護保険制度というものは、初めての制度でございますので、住民の方々も、制度の内容あるいは御不安を抱いているかと思っております。したがいまして、本年5月に市町村に相談窓口を設置いたしまして、また市町村において対応できないような住民の方々の御相談、お悩みについては、この9月に各地方振興局に市町村をバックアップする相談体制、そして各地方振興局で解決できないような問題について、本庁にセンターを設置させていただいたということでございます。こういった御不安、お悩みについては、私ども今のうち事例集をつくりまして、またそういった事例を市町村に返しまして、適切にこの介護保険制度が平成12年4月にスタートできるように、そういった事例集も市町村において活用していただきながら詰めてまいりたいと思っています。
 いずれにいたしましても、平成12年4月に介護保険制度が円滑に導入できるよう、市町村と一体となって準備作業を進めてまいりたいと考えています。
   
〇副議長(吉田洋治君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時45分 休 憩
   
出席議員(47名)
1番 及川敦 君
2番 飯沢匡 君
3番 樋下正信 君
4番 照井昭二 君
5番 柳村岩見 君
6番 小野寺研一 君
7番 工藤大輔 君
8番 川村農夫 君
9番 佐々木順一 君
10番 佐藤力男 君
11番 及川幸子 君
12番 阿部静子 君
13番 阿部富雄 君
14番 田村誠 君
15番 岩城明 君
16番 中 屋 敷十 君
17番 千葉伝 君
18番 佐々木大和 君
21番 川口民一 君
22番 小野寺好 君
23番 斉藤信 君
24番 伊沢昌弘 君
25番 田村正彦 君
26番 上澤義主 君
27番 瀬川滋 君
28番 藤原泰次郎 君
29番 船越賢太郎 君
30番 谷藤裕明 君
31番 菊池勲 君
32番 佐々木一榮 君
33番 黄川田徹 君
35番 高橋賢輔 君
36番 小原宣良 君
37番 長谷川忠久 君
38番 千葉浩 君
39番 吉田洋治 君
40番 工藤篤 君
41番 菅原温士 君
43番 山内隆文 君
44番 折居明広 君
45番 村上惠三 君
46番 藤原良信 君
47番 及川幸郎 君
48番 菊池雄光 君
49番 佐々木俊夫 君
50番 那須川健一 君
51番 吉田秀 君
欠席議員(4名)
19番 水上信宏 君
20番 阿部敏雄 君
34番 伊藤勢至 君
42番 佐藤正春 君
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
午後4時4分 再 開
〇副議長(吉田洋治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第2、一般質問を継続いたします。阿部富雄君。
   〔13番阿部富雄君登壇〕(拍手)

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