平成11年9月定例会 第3回岩手県議会定例会会議録

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〇34番(伊藤勢至君) 自由党の伊藤勢至でございます。
 本年8月、今後12カ年にわたる新県総夢県土いわて構想が示されたところであり、本日はこの点を骨子に質問してまいりますので、知事を初め、当局の夢あふれる積極的な答弁を期待いたします。
 まず、最初に、本県と国連大学、そして東京大学海洋研究所が共同で取り組むことになりました三陸の海洋研究について伺います。
 このことは、平成10年10月29日から同11月2日までの4日間、国連の国際海洋年に合わせて企画された岩手県の委託事業としての国際会議「人間と海」の討議結果、海洋環境に関する研究成果を実際の政策や次世代に生かし、伝えていくことが必要との指針を生かすべく、さらに大きな一歩を踏み出そうとするものであります。
 この共同研究には、生態系、汚染防止、そして食物連鎖の三つのプログラムを設定していると伺いました。本県では、過去長年にわたりサケ、マスのふ化放流事業を推進し、一昨年は、秋サケにおいて7万トンの目標を上回る7万3、000トンの漁獲量を達成しましたが、一方では、1魚種のみを多量に放流することによって食物連鎖のメカニズムを狂わせているのではないかとの危惧も漁業従事者の間で言われておりました。昭和30年代の北海道でのニシンの枯渇の問題、あるいは毎年異なるイワシ、サバ、サンマなどの水揚げ量の問題などであります。
 また、海洋汚染についても、我々の目に見えないところで刻々と侵食が進んでいるようでありまして、船舶塗料に使用されているトリプチルすずが原因ではないかと言われている平成4年と10年の広島湾のカキの大量へい死、国際会議で報告のあった外洋域のハダカイワシがPCB、DDT、PHCなどの化学的汚染物質、いわゆる環境ホルモンに汚染されていること。そして極めつけは、同国際会議でロシアの科学者から報告のあったロシア海域の核廃棄物や沈没した原子力艦等からの放射能汚染が存在するという現実があります。
 このような中で、本県が世界でも初めての試みと言われる国連大学、東大海洋研究所との共同研究はまことに時宜を得たものであり、三陸地域の評価を高めると同時に、海洋環境保全施策を地域から展開していきたいとする増田知事の積極的な取り組みに敬意を表したいと思います。
 寒流と暖流がぶつかり合い、混合し、それゆえに生物の多様性に富んでいる三陸漁場を目前に持ち、その恩恵のみを甘受してきた県政の視点が、海の生態系、汚染防止、そして食物連鎖という基本的メカニズムの解明に向かうことはまさに画期的なことと評価いたしますが、この際、増田知事の所感をお伺いいたします。
 次に、財団法人三陸地域総合研究センター──以下、三陸総研と略します──の充実強化について伺います。
 平成6年5月に設立された三陸総研は、これまでの5年間、文字どおり三陸沿岸地域の活性化に大きな役割を果たしてきたものと高く評価されているところでありますが、わずか3億円の基金では、この低金利時代にあって、その活動資金にも事欠く状況になっているのではないかと推察されます。この財団法人には久慈広域生活圏から気仙広域生活圏までの全市町村と民間企業が出悁しており、その運営には、宮古短期大学や北里大学水産学部、そして東京大学海洋研究所を初め、三陸沿岸に立地している試験研究機関が参画するなど、この地域の産学官一体となった組織として、今後、三陸沿岸地域の活性化のために大いに期待されております。
 そこで、次の3点について県当局の所感を伺いたいと存じます。
 一つ、三陸総研のこれまでの5年間の活動をどのように評価しているのか。
 一つ、このほど策定された新県総の中で三陸沿岸地域の振興策が示されましたが、三陸総研に今後期待しているのは何なのか。
 一つ、期待するところ大であれば、当然財政、基金を強化する必要があると思われるが、今後の三陸総研の運営の根幹に係る基金増額についてはどのように認識しておられるのかあわせてお伺いするものであります。
 次に、河川の管理と利用について伺います。
 本県は、一級河川として北上川水系181、米代川水系6、馬淵川水系19の206河川、そして、二級河川として104の合計310河川、さらに、準用河川542をあわせますと852河川を擁する河川大県でありまして、江戸八百八町、大阪の八百八橋、京都の八百八寺に匹敵するまさに八百八川の県土であります。古来より人類は河川のそばに居を構え、集落を形成して、飲用水、農工業用水、淡水の魚介類の恵みを受け、船による水運、今日ではダム建設による電力供給など、川とともにあったと言っても過言ではありません。また、鴨長明が「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず云々」と説いたように、幾多の人生訓も学んできたのであります。しかし、今の私たちには、本来の川のあり方、川とのかかわり合い、そして川の活用、防災、治水の意識が薄れつつあるのではないでしょうか。
 まず、管理の面で申しますと、53年前のキャスリン台風、52年前のアイオン台風では、北上川、閉伊川の流域住民の生命、財産、公共財産などに多大の被害を受け、その後、堤防築造、護岸の補強などに取り組んできたものとは思いますが、堤防と堤防で挾んだ川に土砂の堆積などがあり、川床が上がった場合などは当然速やかに人間が除去すべきものであります。人間の体に例えれば、ポリープや動脈瘤、静脈瘤は早期に除去することと同じであります。今回の新県総の広域圏ごとの施策の中に、例えば宮古広域圏の計画の中に三陸花と水の回廊の整備支援などとあることは、川とのかかわりの中から新しい魅力をつくり出そうとする試みと評価するものでありますが、この場合も、まず、健康な河川を確保してから行うべきと思いますが、いかがでしょうか。
 あわせて、県内の八百八川は、他県にはない岩手県独自の天賦の財産として、その活用によっては新しい岩手の魅力づくりにも連動し、同時に環境首都宣言を目指す際の環境保全のバロメーターにもなり得ると思いますが、いかがでしょうか。
 さらに重ねて、国にあっては、河川のことをすべて行政がするのではなく、河川の利用、環境管理や上下流の連携事業などの主役になるのは縦割り行政を越えた民間非営利団体──NPO──と位置づけ、NPOを本格的に支援する制度を来年度から導入する方針のようでありますが、これは、従来の河川行政からの大転換であります。県にあってはこれらの流れをどう受けとめ、今後の河川行政をどのように進めるつもりかお伺いいたします。
 次に、林業の振興について伺います。
 戦後盛んに行われた県行造林で植樹した森林の樹木も成長し、一部ではようやく伐採期を迎え、林家の長年の苦労が報われることを大変喜ばしく思っているところであります。
 ただ、そういう状況の中で危惧されることがあります。本年7月中旬の大雨による被害は沿岸部を中心に大変大きなものがありましたが、宮古地方においてある特徴的な被害発生状況があったのであります。
   〔議長退席、副議長着席〕
 今まで大雨による被害がほとんどなかったと言えるような比較的小さな沢々から、土石流とともに10尺ぐらいに切った搬出前の木材が流れ出し、下流の道路を埋め、あるいは流失させ、暗渠をふさぎ、田んぼに60センチから80センチの土砂をまき散らしたのであります。そして、その沢をたどれば、新しい林道あるいは木材を搬出するために新しく開設した作業道路に行き当たるのであります。
 仮にAさんが自分の山の木を売ることにして業者と契約を結ぶ場合、県道、市町村道と接点がなければ、Aさん持ちで業者が作業道路を取りつけることになります。さらに、Bさん、Cさんの山を経由しなければならないときは、当然承認をいただいて道路を通してもらうことになり、Bさん、Cさんは、自分の山の木を出すときはその道路を通してもらうことを条件に承認しているようであります。
 今回の宮古のある沢での事例は、木を売りたいAさんが通らせてもらったB、Cさんの山の土砂が全く利害関係のないDさんの田んぼに流れ込んだことであり、もし裁判、訴訟ざたになれば大変複雑で時間もかかり、それぞれが互いに不幸になることが予想されますし、県行造林の根幹にかかわることになりかねません。そして、これは今後、県内各地で十分に起こり得ることでもあります。特に作業道路が沢をまたぐ場合、暗渠に使うヒューム管の太さや路盤の採石厚あるいは集材機を活用するとかのルールづくりが必要と思いますが、当局はどのように対処するつもりかお伺いいたします。
 次に、水産業の振興策について伺います。
 私は、前任期4年間、サケの一本釣りを解禁すべしと叫んでまいりました。市議会時代からの継続であります。昨年は田老町と田野畑村がいち早く取り組み、本年は宮古市を初め、数カ所の市町村が始めるようであります。いずれも一定の区域を網で仕切って、その中に定置網などに入ったサケを放流して釣らせる方式のようであります。釣り人の本心は、釣り堀ではなく外海で釣りたいのが本音とは思いますが、まずは手始めということで、やらないよりは進歩だと受けとめております。
 ただ、私は、この一本釣りだけをやらせるべしと主張してきたのではなく、もし宿泊を希望する来客があったら、まず第一に漁業権を持つ漁民が経営する民宿をあっせんすべきだと。将来、外洋での釣りが解禁となったら、漁業権を持つ人の漁船だけを遊漁船とすべしとも叫んできたつもりであります。それが早くからサケのふ化養殖事業に取り組んできた繁殖組合の方々を初め、漁業者に対する礼儀だと思っているからであります。
 また、各地で行う一本釣りでは大体3匹まで釣らせるようですが、その場合、1匹目は魚拓をとって差し上げるべし。そして、1匹目と2匹目は3枚におろして宅急便で送ってあげるべし。そして、3匹目は地元で預かって新巻に加工してあげるべしとも提案してきたところであります。釣り人はとかく獲物の自慢をしたいものですし、今やほとんどの家庭には出刃包丁がありませんから、大きな魚をおろせない主婦がほとんどと聞いております。また、新巻のおいしさを売り込むなら、まず、食べてもらうことに限るわけであります。
 何をそんなに手間暇かけてとおっしゃる向きもあろうかと思いますが、こうすることによって、1度来た人は必ずリピーターとなって新しいお客を連れて再び三たびこの三陸に来てくれること請け合いであります。三陸沿岸に来たお客は、お土産には野菜や果物を買うのではなく、必ず魚介類、海藻類などの海産物を買うわけですので、大きな意味での水産業の振興に資するものと考えるものであります。林業水産部はどう考えているか、また、これは観光にも結びつくことでもありますので、商工労働観光部の考えもあわせてお伺いいたします。
 次に、県立水産科学館の運営について伺います。
 県立水産科学館は、昭和61年、「岩手の海と暮らし」をメーンテーマに、「200K淼、200海里、200淼を科学する」をサブタイトルに、浄土ケ浜の一角に設置されました。開館初年度の入館者数は6万1、868人でしたが、13年目の平成10年は1万9、520人と、3分の1まで落ち込んでおります。この間、科学館の職員たちは、貝を加工してのペンダントづくりや三陸博で使用した小型の水槽を譲り受けて、宮古近辺の各種定置網に入る珍しい魚などを無償で集め歩いてミニ水族館的展示をするなど懸命の努力を続けてきましたが、小中学生、高校生の入館料が無料ということもあって、平成10年度の維持経費約5、000万円、うち人件費2、000万円に対し、入館料収入は300万円という大変厳しいものがあります。しかし、この科学館は、宮古市内唯一とも言えるインドアの人集めの期待できる建物でもあり、雨天ややませで観光客の行き場のないときなどには、その存在感を大いに示してほしいミュージアムであります。新県総の中に、海の生態系、そして食物連鎖、海洋汚染の研究を盛り込んでおり、海洋への新しい視点とその活用への期待が高まっている流れの中で、水産科学館そのものの存在価値を見直し、展示物などのリニューアルを図り、県内外にアピールするべきときであります。平成12年、来年が開館15周年の節目の年でもありますので、この際、当局の何らかの対応があればお示しをいただきたいと思います。
 また、水産科学館の魅力を増す方策として、コンピューターグラフィックスを活用した魚類の映像展示を整備することが考えられます。生物を展示するためには維持費がかなりの額になり、国内どこの水族館も経営が苦しい状況にありますが、この映像展示では経費が比較的かからずに効果的に展示できるメリットがあり、全国でも数少ない映像による水族館となることから、これを水産科学館に導入してみてはどうかとの提案でありますので、あわせて答弁いただきたいと存じます。
 次に、農業振興について伺います。
 県ではこの22日、新県総の部門別計画として、21世紀初頭の本県農業・農村の進むべき方向と基本方策を示した岩手県農業・農村基本計画を策定されました。これは、国が農政方針を大きく転換して制定した食料、農業、農村基本法の理念と、県農政審議会瀬川理右エ門県農協五連会長が8月に県に答申した新農業基本計画の基本的方向を踏まえて策定されたものと伺いました。佐藤農政部長は、就任のごあいさつでこの壇上から、岩手県の農業を活性化させるため、私自身が元気を出して立ち向かっていきたいと話されました。その言や大いによしといたします。この際、佐藤農政部長の新しい農業・農村基本計画の策定と、それの実施に向けての意欲を披瀝していただきたいと存じます。
 また、国の基本法の中の、中山間地域等の生産条件の不利を補正して適切な農業生産活動が維持されるための支援、いわゆる直接支払いについて県は今後どのように取り組むのか、あわせてその効果についてどのように考えているかをお示しいただきたいと思います。
 次に、2巡目の国体に向けての取り組みについて伺います。
 昭和45年に本県で開催した国体は、前回どおりの各県持ち回りの順番で進むと、平成28年ごろが有力視されることから、県は、総合的スポーツ施設整備の具体的検討に入るとしております。既に盛岡周辺の町村が誘致に乗り出しているとの報道もありました。また、同報道の中に、財政の問題、あるいは北東北3県の共同開催も一つの選択肢との指摘もありました。しかし、10数年先の議論をするとき、余り悲観的になり過ぎては夢も希望もなくなってしまいます。今度の新県総を推進し、この計画が達成されたころのまさに舞台づくりが完成したときのメインイベントになるのが2巡目国体であります。県内各地を90分で結ぶ構想は当然完成し、あるいは仙人峠、土坂峠、早坂峠のトンネル開通でもっと早まるかもしれません。時間距離のために県内各地のイベント参加が必ずしも多いと言えなかった三陸沿岸、県北地域もやっと共通のフィールドに立つことができることとなります。また、東北新幹線が八戸まで開通することにより、盛岡が通過駅になるとの懸念から、十和田八幡平国立公園と陸中海岸国立公園の、いわゆる山と海の二つの国立公園を持つ県土の広さと優位性を生かした横軸連携がますます活発となっていると思います。
 このような予測の上に立って、なお財政については、この経済状態が長く続いた場合の小ぶりの計画と、経済状態好転の場合の夢ある計画と二通りぐらいは立案すべきと思います。さらに、何よりも県土の均衡ある発展が基本でなければなりません。沿岸の先人が、我々は足らざるを憂えるのではなく、等しからざるを憂えるのだと申しておりますが、まさに至言であり、我々沿岸・県北出身者はスクラムを組んで大いに議論をしていかなければなりません。そして、議論の結果には従うのがルールであります。しかし、これらの議論を始める前から内陸の誘致運動に名前をかしている沿岸・県北出身者がいるとすれば、その人は郷土を売った人としてのそしりは免れないでしょう。私は、県北・沿岸の皆さんと協力し、屋内ドームは県北・沿岸に設置すべきと考えておりますが、このことも含めて2巡目国体誘致と施設整備の具体的検討の基本的理念をお伺いいたします。
 次に、県教育委員会が示しております高校新整備計画案について伺います。
 この案が示されてから、県内各地にいろいろと波紋が広がっております。報道機関のどこかが必ず取り上げておりまして、まさに百家争鳴の感があります。新聞のタイトルも、高教組、対応論議へとか、高校再編を急げとか、明確な学校像の視点欠くとか、県教委、説明会を検討とか、要望あれば地域で説明などであります。高校再編は少子化時代に突入した今は必然の問題でありまして、同時に数年前から当然予測されていたことであります。その時に当たっただれかがやらなければならないことでありますが、それにしても県教委の今回の再編整備案の示し方は全く説明不足であります。再編整備案それ自体を作成するのにも相当の時間があったものと思いますが、さらにその案を示す前に、もっともっと父兄を初め関係者への事前の説明に時間をかけるべきだったのではないでしょうか。各地域には、やっとつくってもらった県立高校を放してなるものか、何といってもおれらの地域に県立と名のつくものは病院と学校しかないのだ、これ以上不平等に扱われてたまるかという悲しい現実があることを踏まえた上で、時間をかけて説明すべきであります。一大革命とも言えるこの再編整備は難産でありましょうが、子供たちのことを考えれば必ずやり遂げなければならないものと思います。県教委の今後の取り組みをお示しいただきたいと存じます。
 最後に、宮古地域の県政課題2点について伺います。
 今回の新県総の各地方振興局の施策の説明を受けました際に、宮古広域圏の住民から大変強い要望のあった宮古病院アクセス道路、いわゆる北部環状線と沿岸への県立リハビリセンターの誘致という大変大きな問題が欠落していると指摘をいたしました。例年6月に行われる宮古市からの県に対する統一要望の最重要項目の二つの課題を、なぜ振興局が新県総の中に盛り込まなかったのでしょうか。理解に苦しむところであります。県立宮古病院は平成4年6月に開業いたしました。浄土ケ浜パークホテルに当時の工藤知事をお迎えし、盛大に落成祝賀会が開催されたのでありますが、その際に、御来賓の祝辞の後で、当時の宮古医師会長、道又先生が医師会を代表し御礼のごあいさつを申し述べたのであります。一通りの御礼を申し述べた後で、ところで、我が宮古医師会としては、立地場所は政治に任せるとして、現在地に開業する場合は、45号1本の道路では万一の場合、中核病院との連絡にそごを来すおそれがあるので、市内から通ずるあと1本の道路をぜひつくってほしいと要望をし、確約を得ていたのに、本日開業を迎えたにもかかわらず、道路に着手もしていないのはどういうわけか、ぜひとも解決をしてほしいと大変型破りの、しかし医師会長としての気骨あふれるごあいさつに感動したことでありました。
 平成10年3月25日午後2時、宮古地方振興局の裏山で発生した山林火災は、素早い防災ヘリひめかみの出動と活躍により、最小限の被害にとどまりましたが、その過程では、峠を越えた煙が一部宮古病院を覆い、入院患者を避難させようかという場面もあったようであります。市役所では、それを支援する職員50人を派遣しましたが、45号が消火活動等のために完全にストップしてしまい、車両が使えず徒歩にて50分かかって到着したのであります。また、夏のシーズン、冬季の道路凍結に起因する事故などでたびたび大渋滞を引き起こしているこの道路は、宮古病院に関して全く弱い道路であります。このような状況を踏まえると、北部環状線の早急な県の代行による整備が必要と思いますが、いかがでしょうか。
 また、第二の県立リハビリセンターを沿岸の中心地の宮古に設置していただきたい旨何度も要望してまいったところであります。県立久慈病院、県立大船渡病院には高次救急センターが併設されておりますが、宮古病院には正式には設置されておらないのであります。救急車で盛岡に運べば間に合うという論法だと伺いましたが、ならば久慈病院と大船渡病院にあって、宮古地域にないものとしての第二の県立リハビリセンターは宮古地域に設置すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 以上、2点をお伺いして私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 伊藤勢至議員の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、三陸の海洋研究についてでございますが、この共同研究プロジェクトは、国際的な研究ネットワークを有しております国際連合大学、我が国の海洋科学に関する中心的な研究機関である東京大学の海洋研究所、そして海洋生物の多様性に富むなど研究フィールドとしての条件に恵まれました本県の三者が、それぞれの持つ機能、特性を生かして、地球的な、そして地域的な海洋環境を保全するとともに、海洋資源、そして水産業の持続的な発展に資することを目的として実施をするものでございます。国連大学と地方自治体が海洋環境に関して共同して研究を実施することは世界で初めての試みでございまして、岩手の三陸においてこのような試みがなされることは、大変意義深いものと考えております。本プロジェクトの実施が、本県沿岸における海洋環境の保全、水産資源の維持、さらには養殖漁業の漁場管理などに資するとともに、安全な水産物を提供する三陸の海の評価を高め、本県水産業の振興に寄与することを期待するものでございます。今後は、これにより得られました研究成果を広く本県三陸地域の振興に積極的に活用するとともに、三陸に集積する大学や学術研究機関と国連大学との相互連携をさらに深めまして、水産・海洋の研究拠点として三陸沿岸地域を国内外に発信してまいりたいと考えております。
 次に、財団法人三陸地域総合研究センターの活動の評価についてでございますが、この三陸総研は、三陸地域の特性を生かした自立的な地域振興を図るための産学官による交流・研究の促進、地域振興に向けた自主的な取り組みを支援することなどによりまして、三陸地域の総合的な振興を図ることを目的として、平成6年5月に設立されたものでございます。以来、これまで三陸地域における産業、自然、歴史、文化などの特性を踏まえて、この地域の振興に関する自主事業としての調査研究や、国、県、市町村からの受託による調査研究を実施し、また三陸の活性化策を提言するなど、三陸地域振興のためのシンクタンクとしての役割を果たしてきたものと考えております。
 今後におきましては、先般策定いたしました岩手県の総合計画において明確に位置づけをいたしました、沿岸の各地域が連携し、相互に機能を分担、補完し合いながら沿岸地域全体の活性化を図るさんりくサンライズ交流圏づくりや、農業、林業、水産業について、生産から加工・流通までを含めて、自然活用産業としての高度化、複合化を進め、すそ野の広い産業育成を図る創造型自然活用産業の形成など、三陸地域の振興のためのさまざまな施策の実現に向けて、これまでに培った大学や研究機関とのネットワークを生かしながら、三陸地域の産業振興や地域づくり、人材育成などの役割を積極的に果たすことを期待するものでございます。
 次に、河川の管理と利用についてでございますが、我が国はその地形、気象条件のほかに、河川沿いの限られた地域に人口や社会基盤施設が集中しているという特性から、台風や豪雨により一たび洪水が発生をすると、河川は一瞬にして生命や財産を奪ってしまうという恐ろしさを持っているところでございます。こうしたことから、県としては、県民の方々が安全に暮らせるよう、河川の整備など、県土の保全に努めてきたところでございます。一方、河川は水循環を構成する地上の大動脈であるばかりでなく、その流域社会にとって生活の糧を与え、心の豊かさをはぐくみ、自然豊かな文化を育ててきたところでございまして、その恩恵もはかり知れないものがあると認識をいたしております。河川の管理につきましては、洪水被害を軽減していくという大きな目的のために、周辺の環境や緊急性などを考慮しながら河川の整備を進めるとともに、必要な箇所については堆積土砂を取り除くなど、従来より適正な維持管理に努めてきているところでございます。
 また、河川の環境についてでございますが、近年、河川が本来持っている水と緑の貴重な環境空間としての役割が見直しをされまして、自然が豊かな本県の河川は、釣りやカヌー、ボートなど水に親しむ場を提供しておりまして、県内はもとより県外の多くの方々からも喜ばれているところでございます。河川は、その流域に住んでいる人々の生活の状況が、水質や景観などに大きな影響を与えるものでございまして、御指摘のとおり、河川の活用の度合いが河川環境の一つのバロメーターになり得るものでありますので、今後とも地域の個性を生かした河川環境の保全に努めてまいりたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承お願いいたします。
   〔企画振興部長渡辺勲君登壇〕
〇企画振興部長(渡辺勲君) 三陸総研の基金についてでございますが、三陸総研におきましては、現在、その運営に当たり、事業の企画に創意工夫を凝らしながら、基本財産の運用益を活用した自主事業に加えて、国・県・市町村からの受託事業を積極的に展開しながら、三陸地域振興のためのシンクタンクとしての役割を果たしてきているところでございます。三陸総研の機能の一層の活性化を図り、その役割をより的確に果たせるようにするためには、三陸総研自体の研究体制や業務内容の見直し、さらには、これと密接に関連する基本財産を含む財政基盤の強化などにつきまして、総合的な検討を進めることが必要と考えられますが、現下の経済状況、とりわけ低水準で推移してございます金利の状況、加えて今日の中央財政を取り巻く環境等あわせ考えますとき、三陸総研においては当面、国、県、市町村などとの連携をこれまで以上に深め、これまで培ってきた大学や試験研究機関とのネットワークをフルに活用することなどが重要であると認識をいたしてございます。県といたしましては、今後これらについて、三陸総研とさらなる検討、協議を重ねてまいりたいと考えております。
   〔土木部長大石幸君登壇〕
〇土木部長(大石幸君) まず、今後の河川行政の進め方についてでありますが、建設省河川局では、地域の独自性を生かした河川整備や河川管理を支援するため、河川の利用者への窓口、流域ガイド、河川を生かした環境教育などを行い、市民、関係自治体、河川管理者などの間を支える専門家の制度のあり方を検討するための予算を、平成12年度の概算要求に盛り込んだことは御案内のとおりであります。現在、県内には、このような専門家などが中心となった川に関する民間団体が77ありまして、さまざまなボランティア活動を通じて、例えば例を挙げますと、川の達人を育てるリバーマスタースクールの開催、川を考えるシンポジウムの開催、子供たちが川遊びをする企画や河川の清掃活動などが行われております。
 県といたしましては、河川を整備する際には可能な限り、県内各分野の有識者の方や民間団体の方々の意見を取り入れながら行ってきているところであり、また、これらの活動に対してもできるだけの支援を行っているところであります。したがって、今回このような制度が整備されることとなれば、行政と地域住民や民間団体とのパートナーシップの確立が一層図られることから、幅広い方々の意見を取り入れたきめ細かな河川行政につながるものと考えており、今後は、この制度を積極的に活用しながら地域に密着した河川行政に努めてまいりたいと考えております。
 次に、県立宮古病院のアクセス道路の整備についてでありますが、宮古市道・北部環状線は、平成4年に移転された県立宮古病院へのアクセス機能の強化、宮古市中心街における交通混雑の緩和等の重要な機能を有する路線であります。このことから、宮古市において主要地方道宮古岩泉線から国道45号までの総延長約2.4キロメートルのうち、延長964メートルを工事区間として、平成5年度から国庫補助事業により実施しており、現在、用地買収、建物補償及び埋蔵文化財調査に鋭意取り組んでいると伺っております。また、残りの国道45号までの区間、延長約1.4キロメートルにつきましては、山間部を通るため大規模な構造物等が必要となり、完成するまでに莫大な費用と時間を要すること、さらには高規格道路として、三陸縦貫自動車道宮古道路や三陸北縦貫自動車道が計画されていることから、これら道路と本路線との役割を果たすべき機能などを整理し、より経済的で効率的なルートや、費用のかからない工法の採用等について、十分検討していく必要があると考えております。
 なお、県による支援方策の一つとして代行事業が考えられますが、この事業を実施する場合には、整備の必要性、緊急性及び県全体の代行事業費の枠などを勘案することが必要であります。県といたしましては、これらの課題やその支援方策を総合的に検討調整し、本路線の今後の整備について積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔林業水産部長佐藤克郎君登壇〕
〇林業水産部長(佐藤克郎君) まず、林地災害への対応についてでありますが、去る7月12日から14日にかけて発生した集中豪雨は、県下各地、特に沿岸部に甚大な被害をもたらし、宮古市におきましては、県行造林として分収契約する以前に伐採され沢沿いに放置された未処理木等が、作業道ののり面崩壊による土砂とともに下流に流出し、沢や排水管等をふさぎ、雨水が路面にも流出するなどによる被害が生じたところであります。
 県といたしましては、早急に日常生活に支障となる流木等の除去、整理を行ったところであり、また二次災害を未然に防止するため、緊急治山事業による冶山堰堤の設置など、復旧対策を講じているところであります。さらに、作業道につきましても、現在補修工事を実施し、危険な箇所につきましては、土どめ工などの補強対策を進めているところであります。県行造林につきましては、今後分収契約期限の到来とともに、伐採対象箇所が多くなることから、既設作業道の適切な管理はもとより、大面積の皆伐を避けることや、伐採跡地の整理等にも十分配慮し、事業を進めてまいりたいと考えております。
 なお、県行造林以外の民有林につきましても、これまで伐採の届け出制度等を通じて適正な森林施業の啓発に努めてまいりましたが、今後も林業の普及指導活動とあわせた、これら制度の適切な運用を図っていくことが重要であると考えております。このため、下流に被害を及ぼさないための伐採や作業道の開設方法等についての指針を検討するとともに、森林所有者や伐採関係者へのPR等を引き続き実施するなど、林地災害の防止に努めてまいりたいと考えております。
 次に、サケの一本釣りについてでありますが、釣りによるサケの採捕は昭和55年ごろからふ化放流の成果により秋サケ資源が急激に増加し、これに合わせてはえ繩漁業が急速に普及するとともに、遊漁者による採捕も行われた経緯があります。しかし、漁場での操業トラブルの発生や無秩序な採捕の懸念が生じたことから、昭和56年に海区漁業調整委員会は、船舶によるサケの一本釣りを禁止し、現在もその措置がとられているところであります。議員お話しのとおり、昨年から漁港内を網で仕切った区域に定置網で採捕したサケを放し、一本釣りが実施されておりますが、これは冬季における沿岸地域の活性化に一定の役割を果たしているものと認識をいたしております。
 船舶によるサケの一本釣りにつきましては、サケ資源が漁業者の長年の努力により造成されたことや本県水産業に占めるサケのウエイトが高いことから、漁業者の広範な理解が不可欠であるとともに、サケはえ繩漁業などとの調整、遊漁者の安全確保、ふ化放流事業費への負担など解決しなければならない多くの課題があると考えております。現在のところ、漁業関係団体においては、船舶によるサケの一本釣りを積極的に導入しようという動きは見られないと理解しておりますが、さまざまな話し合いの場を通じまして漁業と遊漁の調和について論議の深まることが重要であると考えております。
 次に、県立水産科学館の運営についてでありますが、県立水産科学館は昭和61年に開館し、本県の特色を生かした水産技術や歴史等の資料展示のほか、磯の生物展などの企画展やワカメのしん抜きなどの体験学習を開催するなど、本県水産業について広く県民等の知識と理解を深めることに寄与してきたところであります。御指摘にもございましたように、入館者数は減少傾向にあることから、昨年度は県内すべての小、中、高等学校や旅行会社等に対して紹介パンフレットを送付したほか、本年度は旅行会社の観光コースに水産科学館を組み入れていただくなど集客に努めているところであります。
 また、設備につきましては、開館10周年に当たる平成8年度には、施設の改修やマルチスクリーンのリニューアルを行い、昨年度におきましては、衛星情報を活用して三陸沖の海面の温度や色の状況を展示するためのコンピューターを導入するなど展示施設の整備を行っているところであります。今後とも、本県水産業の普及啓発を行う重要な施設として、展示内容等の充実を図ってまいりたいと考えております。お話のありましたコンピューターグラフィックスを活用した魚類の映像展示施設の整備につきましては、新たなソフト開発を必要とするほか、水産科学館の持つ本来の機能を損なわずに新たな機能を付加するとした場合、既存施設の改修を要することが考えられるなどの課題がありますことから、今後研究してまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長合田武君登壇〕
〇商工労働観光部長(合田武君) サケの一本釣りと観光についてでありますが、最近の観光は、文化や産業を生かした触れ合い・体験型へと志向が変化してきており、サケの一本釣りなどの水産資源の活用は、沿岸地域の体験型観光を推進する上で一定の役割を担うものであると考えております。
 御案内のように、昨年、漁港内ではありますが、田老町及び田野畑村においてサケの一本釣り等を始めたところ、参加者が1、000名を超えるなど大好評で、今年度はさらに宮古市など3カ所で実施する予定とされているところでありますので、このように、地域が持つ水産資源を生かし、さらに趣向を凝らしながら地域が一体となって新たな魅力を創造していくことは三陸沿岸地域の活性化に寄与するものであり、地域の特色を生かした観光振興を積極的に図る面からも、関係機関と連絡を密にしながら支援してまいりたいと考えております。
   〔農政部長佐藤徳兵衛君登壇〕
〇農政部長(佐藤徳兵衛君) まず、新しい岩手県農業・農村基本計画と実施に向けての取り組みについてであります。
 御案内のように、本県においても昭和1けた世代の担い手層のリタイアによる農業者の急激な減少や、安全、安心を重視した消費者ニーズの多様化など、農業・農村を取り巻く情勢は著しく変化しております。このような大きな変革の時代にあって、本県は、米、園芸、畜産とバランスのとれた農業県としての特色と有利性を保持しており、新しい農業・農村基本計画においては、今後の日本農業の進むべき方向を踏まえながら、本県が有する多彩な農業資源を積極的に活用し、我が国有数の総合食料供給基地としての地位を確固たるものとすることを目指したところであります。
 この計画の推進に当たっては、農業者の主体的な取り組みに対し、県、市町村、農業団体等がそれぞれの役割をしっかりと果たしながら、緊密な連携、協力のもとに効果的な支援を行うとともに、農業・農村が果たす役割、機能について県民の理解と協力を得られるよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、中山間地域等への直接支払いについてでありますが、直接支払い制度は、傾斜度等から農業生産条件が不利な地域において、耕作放棄地の発生を防止し、適正な生産活動を維持することにより、国土保全等の多面的な機能を確保する観点に立って実施されることとなったものであります。現在、直接支払いの導入に向けて、支払い基準に該当する対象農地の実態調査を実施しているところでありますが、今後、これらの農地の維持保全活動等を内容とする集落協定の作成について、関係市町村に対し、指導支援してまいる考えであります。
 したがいまして、直接支払い制度が県内でどういう形で導入できるかはっきりするまでもう少し時間を要しますけれども、御案内のとおり本県には多くの中山間地域があり、耕作放棄地の増大が危惧される地域が出てきておりますので、今次の直接支払い制度の導入を契機として、県土の保全や水源の涵養などの多面的機能の確保はもとより、集落機能の発揮により、将来にわたり地域農業を維持することのできる生産体制が確立されることを期待しているところであります。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕
〇保健福祉部長(関山昌人君) 宮古地域への県立リハビリテーションセンターの設置についてでありますが、本県におけるリハビリテーション医療の提供体制につきましては、県下全域を対象とした中核施設として設置したいわてリハビリテーションセンターにおいて、急性期病院などとの連携をとりつつ、主として病状回復期の患者に対してリハビリテーション医療を実施するとともに、県内各地域におけるリハビリテーション体制の強化を図るため、同センターの専門スタッフの地域への派遣及び市町村や社会福祉施設などのリハビリテーション関係職員に対する研修などを実施しているところであります。さらに、地域支援を推進するため、本年度、いわてリハビリテーションセンターと沿岸地域の宮古市及び久慈市の保健センターなどとの間を動画像のネットワークで結ぶ遠隔リハビリテーションモデル事業を実施しているところであります。
 また、県の新しい総合計画では、地域におけるリハビリテーション機能の充実を図ることとしており、その具体化に向けて、本年度中に地域リハビリテーション協議会を設置し、地域リハビリテーションに係る医療と保健・福祉の連携確保のための指針の作成など、地域リハビリテーションサービス提供体制のあり方について検討していくこととしております。こうした協議会の意見等を適宜聞きながら、具体的な推進方向を検討してまいりたいと考えております。
   〔教育長大隅英喜君登壇〕
〇教育長(大隅英喜君) まず、2巡目国体の開催についてでありますが、現在のところ、平成13年の宮城大会までは開催地が決定しており、平成15年の静岡大会までは内定、平成22年の千葉県までは内々定となっている状況でございます。
 大規模な競技大会等を開催して、県民が高度な技術に直接触れることや県民一丸となって取り組むことは、先般開催いたしましたインターハイにも見られますように、本県のスポーツの振興と地域の活性化を図る上で極めて重要であると認識しており、このほど策定いたしました第八次岩手県教育振興基本計画においても、国際的、全国的レベルのスポーツイベントの招致を推進することとしているところであります。
 総合的スポーツ施設につきましては、国際的、全国的規模のスポーツ大会が開催できる機能を有するとともに、指導者養成や優秀選手の育成強化などの多様なスポーツ活動を支える総合的な機能を備えた施設が望ましいと考えております。
 施設整備に当たりましては、県内各地はもとより、全国各地からの交通アクセスの利便性や県及び市町村、あるいは広域的な機能・役割分担などをも考慮しながら、中長期的な観点のもとに計画的に整備を進めるよう検討してまいりたいと考えております。
 なお、雨天時や冬季間でも天候に左右されないでスポーツ・レクリエーション活動が可能となる多目的グラウンドの整備につきましては、新しい教育振興計画の検討事項となっているところであります。
 次に、県立高等学校新整備計画案についてでありますが、国際化、少子・高齢化等、社会が急速に変化する中で、高等学校教育を取り巻く環境も大きく変化していることから、県教育委員会では、これからの県立高等学校の適正な配置等について検討を重ね、本年2月に整備計画の理念並びに平成16年度時点の学校数や学科別の学級数などを示した県立高等学校新整備計画中間まとめを公表したところであります。その後、5月には、具体的な学校名を挙げた計画案を公表いたしました。これは、高等学校のあり方について、全県的な視野に立って将来の姿をお示しし、御理解をいただこうとしたものであります。
 この計画案に対しまして、さまざまな御意見をいただいているところでありますが、これからの時代を生きていく生徒がその個性や能力を最大限に伸ばし、さまざまな可能性について挑戦できる学びの環境を構築していくことが何よりも重要であると考え、関係市町村等に対する説明におきましても、このことを御理解いただけるように努めているところでございます。
 県教育委員会といたしましては、中学生が将来の進路を決定するに当たり、適切な判断ができるよう、できるだけ早期にこれからの県立高等学校の姿を示す必要があると考えており、今後さらに検証を加え、地域の方々の御理解をいただきながら成案を得たいと考えているところでございます。
〇34番(伊藤勢至君) ただいまは、知事を初め、各部長からの御答弁をいただきましてありがとうございました。知事を初め、各部長に1点ずつ4点にわたりまして再質問をいたしますので、よろしくお願いいたします。
 まず、増田知事にお伺いいたします。
 県、そして国連大学、東大海洋研究所が共同で進めようとする海の研究は、漁業、観光あるいは海上輸送ということだけしか考えていなかったこれまでの視点を、母なる海そのものの基本的なメカニズムの解明と、未知なるもの、そして未活用の部分とどうかかわっていくかに移行させるものと理解し、大いに期待いたしております。ただ、できれば今回の研究にぜひとも加えていただきたい部分がありますので、提案をいたしたいと思いますので、ひとつお願いいたします。
 それは、海のメカニズムあるいは資源を活用しての新しいビジネスを起こす研究も同時に進めていただきたいということであります。
 例えば、波の力を利用しての波力発電あるいは海水の上層と下層の温度差を利用しての温度差発電、あるいは携帯電話やパソコン等に必要なリチウムの海水からの採取、これは既に宮崎県が昨年から通産省の支援を受けて試験的に始めております。宮崎県の場合は黒潮だけからの採取でありますが、三陸海岸なら黒潮と親潮の両方から採取でき、優位性があると思います。また、リチウム電池については、岩大の熊谷教授の研究が松下電池工業に採用され、本年8月から量産が開始されております。
 そしてまた、海洋深層水の活用による水産業の振興という面もあります。深層水とは、直接大気の運動や太陽光の影響を受けない200から300メートル以下の海水を指しており、この深層水の持つ富栄養性、冷温性、清浄性などの特性をさまざまに組み合わせて活用が図られております。
 魚類の増養殖プロジェクトとしては、飼料となる海藻の養殖、種苗生産、親魚畜養などでありますし、深層水を利用しての新しいビジネス活動として、酒、みそ、しょうゆ、豆腐、ドリンク類、菓子などの食品から医薬、美容関係にまで及んでおります。さらには、都市冷房やエネルギー施設の冷却などのエネルギー利用、砂漠の緑化や海中植林などへの応用が研究されておりまして、高知県、富山県、沖繩県などが積極的に取り組んでおります。
 また、メタンハイドレートという部分もあります。メタンハイドレートとは、世界の海底に広く分布するメタンガスの堆積を言うようであります。この総量は地球上の石油、石炭の3倍以上の熱量があると言われており、南米のそばの、いわゆる魔のバミューダ海域と言われるところで過去に幾度も大型の船が原因不明の沈没をしておりますが、先般、米国の学者が、この原因はメタンハイドレート層から地殻の何らかの変動によって噴出したメタンガスであるとの説を発表いたしておりました。液体としての海水だから浮力が働くのであって、気体が船全体を取り囲めば浮力がなくなり、船は沈むとのことでありました。既に東京ガスがこの研究に着手したとの報道もありましたが、三陸の沖合にもメタンハイドレート層が存在いたしております。
 そしてまた、マグネシウムの採取ということでありますけれども、海水中に溶け込んでいる0.13%のマグネシウムは、鉱物資源の少ない日本にあっては自給可能な貴重な金属だそうであります。マグネシウムは実用金属の中で最も軽く、また、比強度、振動吸収性、被削性など種々のすぐれた特性を持つが、ほかの金属材料への添加、還元剤が主な用途で、マグネシウム合金として構造材料に使用するのは航空機などの特殊な分野に限られておったようであります。しかしながら、近年、自動車の軽量化のニーズがますます高まっていることから、自動車部品を従来の鉄やアルミニウムからマグネシウムに代替する試みが進められておるようでありまして、また、家電製品の分野においても、リサイクルの対応から、外装部品をプラスチックからマグネシウムに代替する動きが進んでいるということで、岩大の森教授は、これからは自動車はマグネシウムの時代になるとおっしゃっておられました。ならば、マグネシウムを海水から採取することを全国に先駆けてやるべきと思います。
 このほかにもいろいろと海の活用はあると思いますけれども、今回の共同研究と同時に、ただいま申し上げました点もぜひ早急に取り組んでいただき、海を活用した岩手の新しいビジネスチャンスをつくり出すということは21世紀の岩手のルネッサンスになり得ると思うのですが、いかがでございましょうか、知事の所感をお伺いいたしたいと思います。
 次に、土木部長にお伺いいたします。
 河川の管理は、治水、防災対策上大変重要な業務であると思います。しかし、宮古地方振興局管内には県の管理する河川が25あり、その維持管理費は年間1、000万円しかないと伺いました。単純に申し上げれば1河川40万円。これでは1河川に40人の草刈り人夫を入れて草刈りをしますと1日でなくなってしまうわけで、大変心もとないことであります。言葉で幾ら重要、重要と言っても、原資がなければどうにもなりません。
 そこで提案でありますが、前にも委員会などで申し上げましたが、かつて県では、御所ダムを建設する際に、完成の暁には湖底に眠ってしまう川砂利を、建設業者に組合をつくらせ、そこに販売する形で採取させたということがあるわけであります。そして、その金額は10億円にも達し、それを原資に湖岸の整備を進めたという大変すばらしい前例を持っているわけであります。
 長野県の木曽3川と言われる木曽川、長良川、揖斐川では、この方式で国が堆積土砂の管理を行い、それを原資に河川の整備を進めているそうであります。時あたかも東海道新幹線のトンネルでは、海砂、海砂利を使ったためと言われるさまざまな問題点が指摘されておりますけれども、この際、県におきましてもこれらのことを勘案して、県民の財産である河川に堆積している砂利、砂を県民のために活用し、公共事業に品質のよい骨材を供給し、それを原資として河川整備を進め、NPOなどを支援し、同時にそれが防災、治水にもつながればまさに一石三鳥と思うのでありますが、お考えをお示しいただきたいと思います。
 次に、農政部長にお伺いいたします。
 新しい農業・農村基本計画を推進する佐藤部長の熱意を伺い、心強いものを感じます。県の担当部長は相当やる気になっている。あとは農家のやる気をいかにして起こさせるかだと思います。
 そこで伺いますが、農家のやる気を起こさせるために、いわゆる中山間地農家支援の直接払いは、文字どおり農家へダイレクトにキャッシュで払うように取り計らってほしいのですが、いかがでしょうか。いつもにこにこ笑う現金、現下のいろいろな状況から見てこれが最もカンフル剤になり得ると思うのでありますが、いかがでしょうか。せっかく支給があっても、どこかの通帳に入ったのと自由に使ってもいい現金が手元に来るのとでは文字どおり月とスッポンの差があると思いますが、いかがでしょうか。
 次に、一つ提案をいたします。先ほど壇上から岩手は八百八川の県だと申し上げましたが、名もなき沢々を含めれば膨大な数になると思います。山の国岩手は川の国、特に中山間地は沢の国であり、ほとんどの農家は半径100メートル、いや50メートル以内には必ず沢を持っております。県では、新しいクリーンエネルギーとして太陽光発電や風力発電に一生懸命でありますが、農家にとりましては、沢々を活用した水車発電がより現実的ではないでしょうか。また、水車は農村の原点とも言えますし、グリーン・ツーリズムを進める目玉にもなり得るものと考えます。農村に新しい光をもたらすものと思いますが、いかがでしょうか、農政部長のお考えを伺います。
 それから、関山部長、ただいまさっぱりわけのわからない御返事をいただきました。後ろの席からは、わからないように答えるのが名答弁だと、こういう発言があったわけでありますが、そうではなくて、いわゆるリハビリの体制、体制とよくおっしゃいます。雫石のリハセンターから各地区に映像で送ると言いますけれども、その治療なり手当てを受ける人たちは、そういった部分に対しては大変信頼感が薄いんです。私が思いますには、医療の根源はやはり手当てということにあるのではないのか。こう思いますときに、お料理の番組なら、それは中央でつくって砂糖1グラムとかみそが何グラムとか、そういったのでいいのでありましょうが、中央でやっている部分を画像で見て、しかも医療の部分を、その人がやる部分をまねをしてやるということは信頼感を欠くことになるのではないか、私はそのように思うのであります。
 我が宮古下閉伊地区におきましては、食生活の長年の習慣でありましょうか、いわゆる脳卒中、アタリという部分が多いのでありますが、これがいわてリハに入ってそれなりのリハを受けますと現役復帰ができる、こういうことでありまして、宮古下閉伊の人たちはこぞってぜひとも第2の部分は沿岸の中心地あたりに欲しい、こういうことを言っているわけでありますので、余り技術論にこだわらずに、県民の要望という部分をとらえてのお考えをもう一度お聞かせいただきたいと思います。
 以上で再質問を終わります。
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 海洋環境国際共同研究に海のメカニズムあるいは資源を生かした研究を加えることについてでございますが、本プロジェクトは、国連大学、そして東京大学の海洋研究所と県の三者が締結をして、共同で三陸地域の海域を研究フィールドとして、沿岸生態系、海洋汚染防止など幅広い内容について研究を行う重要なプロジェクトでございまして、まず、当面は、緒についたばかりの本プロジェクトを軌道に乗せて、所期の目的を達成できるよう、着実な推進を図ることが重要であると考えております。
 一方で、近年における科学技術の進歩は、海洋に存する資源やエネルギーなどの新たな利用方法を生み出して、海洋開発に対する期待は一層高まってきているところでございます。
 ただいま議員から御提言のありました波力や温度差などのエネルギーやリチウム、マグネシウムなどの海洋鉱物資源、さらには海洋深層水などの利用については、現在、国などにおいても長期的な視点に立って実証試験や基礎的な利用技術の開発、賦存量の調査などを行っているところでございます。県では、その動向を見据え、各関係機関と密接に連携をとりながら、こうした海のメカニズム、これら海洋資源の利活用についても検討を進めてまいりたいと考えております。
   〔土木部長大石幸君登壇〕
〇土木部長(大石幸君) 河川に堆積している砂利や砂の活用についてでありますが、現在、河川区域内の砂利の採取は、適正な河川管理を行うため、県が作成している砂利採取認可予定5カ年計画に基づき、認可しているところであります。
 河川区域内の砂利や砂は、河川そのものを形づくっている要素であり、また、その地域が有している財産でもあることから、その活用については、適正な河川管理や環境保全などの観点から、漁業関係者や自然保護団体などの関係者の同意や調整が必要であります。また、河川区域内の用地は民地が多く占めているところから、県の収入となる官地からの砂利採取は限られている現状にあります。このため、砂利採取の収入は、県全体で、最近の4カ年の平均では年間おおよそ790万円程度となっており、河川維持管理費の一部に全額充当しているところでございます。
 したがいまして、採取料金を原資とする御提言につきましては、金額が大変少ないことから難しいと考えておりますが、河川砂利などの有効活用につきましては、平成12年度に策定予定の第7次砂利採取認可予定5カ年計画の中で検討してまいりたいと考えております。
   〔農政部長佐藤徳兵衛君登壇〕
〇農政部長(佐藤徳兵衛君) まず、中山間地域等への直接支払い制度の支給方法の件でありますけれども、この制度は、集落協定に基づいた農業生産活動が実際に行われることを前提としておりますので、そういう意味で、参加者が実感を持って受給できるよう、支払い方法については、今、検討中でございますが、実感を持って受給できるようなシステムになるよう要請してまいりたいと思っております。
 それから、水車発電の関係でありますけれども、県内の水車の活用事例では、御案内かと存じますけれども、平成9年度、全国の農村アメニティコンクールで最優秀賞を受賞いたしました室根村の水車小屋でありますとか、それから、葛巻町におきましては、そば粉ひきを行って森のそば屋さんという形で使っておられますし、それから、久慈の山根六郷ではくるま市という形で水車をシンボル的に大いに活用なさっておられます。
 御提言の発電の関係につきましては、簡易な自家発電以外のケースを考えますと、どの程度の発電能力が可能か、あるいはコストの問題、水利権の問題などクリアすべき課題が多いというふうに承知いたしておりまして、具体的なプランをお聞きしながら研究テーマの一つにさせていただきたいと思っております。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕
〇保健福祉部長(関山昌人君) 宮古地域への県立リハビリテーションセンターの設置についてということでございます。
 まず、本県における地域リハビリテーション体制のあり方では、全体図を作成するために、この点について施設整備のあり方も含めまして、今般、設置を予定しております医療・保健・福祉などの関係者で構成いたします地域リハビリテーション協議会で検討させていただくことにしております。その意見を適宜聞きながら、できるだけ早い時期に具体的な推進方策を取りまとめたいと考えております。

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