平成11年9月定例会 第3回岩手県議会定例会会議録

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〇29番(船越賢太郎君) 私は、大正デモクラシーが風靡し、衆議院議員普通選挙法が成立しました大正時代も終わりを告げ、田中義一政友会内閣が成立いたしました昭和の初期に生まれまして、ついに本議会の最年長議員となりました。幾山河を越えし72年の人生を顧みるときに、感無量なるものを覚えるものであります。 それでは、本議会一般質問のトップの名誉に感謝しつつ、順次質問申し上げます。
 まず、洪水津波等における災害救助対策について質問いたします。
 先般、神奈川県玄倉川で起こりました大雨出水遭難事故に論議の沸くところでありますが、問題は、ダム管理者や警察等の再三の忠告にもかかわらず即座に立ち去らなかった結果であり、何をか言わんやの感がございます。しかし、後に警察、自衛隊を初め、多くの人々の努力と莫大な経費を要したことは言うまでもないのでございます。
 我が海岸地方でも、以前は地震の発生するたびごとに津波警報が発せられまして、サイレンが鳴り、消防車が走り回り、地区住民は津波堤防上に集まって事態を見守る習慣が続きました。最近は情報化が進み、地震発生とともに、各戸にあるテレビ画面におおよそ5分間前後で津波の心配なしの情報が入るために、サイレンも鳴らず、外にも出ずに、至極機能的になったわけであります。私も海辺に生まれ、小学校入学直前、昭和8年に三陸大津波に遭い、命からがら裏山に逃げ延びた体験があります。
 玄倉川にテントを張って再三の忠告にも耳をかさなかった人々のみならず、一般的に最近の人々は他人の言うことに率直に耳を傾ける傾向が大変薄れているように思います。なに、おれの方が物事をわかっているんだと、こういうふうな風潮があると思えるのであります。
 このような平和ぼけ的な感覚が広がっているように感じているところでありますが、過去に幾多の津波災害等を受け、また、昨年来火山活動が活発化しているとされる岩手山を有する本県において、今後、どのように対応しようとしているのか、まず、お伺いいたします。
 また、玄倉川中州に孤立した人々に対する救助活動においても、陸地の見えない太平洋の真ん中ならいざ知らず、曲がりくねった川岸を利用して索をつけた救命具をたくさん流すとか、ゴムボートのもやい綱を救命銃のロープの中間を利用して中州に流下するとか、もっと何かなすべき方法がなかったものかと、テレビ画面だけですが感じたのでありました。もちろん現場におらないから余り大それたことは言えないのでございますが、海上労働者として、台風や大しけ、津波等何度か死線を越え、くぐり抜けてきた経験者として、大変失礼とは思いますが、物足りない感じがいたしたのであります。
 本県とて、同じような災害が起きないとは限らないのであります。本県においても、毎年、県内各地で災害救助訓練等が行われており、県を初め、各防災関係機関が真剣に取り組んでおられることは承知しておりますが、こうした訓練等において、マニュアルどおりの基本動作だけでなく、応用動作や研究演習も必要であると思うのでありますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。
 次に、農政問題について質問申し上げます。
 いささか畑違いではございますが、一応常任委員長でございますので、勉強のため質問させていただくものでございます。
 たびたび農業会議等に出席いたしまして、農地及び農業者が激減の一途をたどっている説明をいただきますが、さりとて、我が国の食糧の自給率は41%と言われておりますのに、水田の減反面積はますます拡大し、美田の荒廃は実に悲哀さえ感じるのであります。
 先般9日、東北農業試験場創立50周年記念講演をいただきまして、食料・農業・農村基本問題調査会会長でもありました東京大学の木村尚三郎先生は、基本法は単に農民だけのものではなく、国家、国民のための法律であると力説しておられました。すなわち、食糧自給率はもちろんであるが、同時に農村は美しい人情の集落でなくてはならないし、いわゆるグリーン・ツーリズムの関係、そして、国土保全的役割の重要な空間であるがゆえに、農業は国民全体のものでなくてはならないと力説され、中山間地農業は日本文化の基本であるとも申され、かのロシアでさえ労働者中心のパラダイスづくりの夢を取り下げてまで安定した生活を求める時代になったと、大変示唆に富んだ内容でありました。そのためには、何と申しましても、汗して働いた代償が都会のホワイトカラー族以下であってはならないと思うのであります。
 幸いなるかな、本国会におきましても13本かの関連法案の通過の中に、中山間地域等への直接支払い制度を初め、大部分を輸入で占める小麦、大豆の生産振興策等が含まれており、ようやくして国家としての農業の重要性の見直しの論議に国会が相当数の時間を費やしたようであります。規制の緩和、輸入の自由化などのために日本農業が根底から崩れ去っては、地域社会も崩壊する危険をはらむものと考えるのであります。これらのようやくにして芽生えた国会の動向を地方から幾重にも強く支えて確固たるものに仕上げるべきものと感じたのでございますが、知事の所見についてお伺いするものであります。
 次に、道路整備についてお伺いいたします。
 まず、国道106号を初め、広大県岩手県の肋骨線の早急なる整備の必要性についてであります。
 去る7月、農林水産常任委員会の県外調査を終えまして、山形市より車で奥羽山脈を越え、国道約250キロメートルの道のりを約3時間で岩手県庁に到着したのでありました。それに引きかえまして、国道106号は、県都盛岡の海の玄関と位置づけられながら、宮古まで97キロメートルを2時間を要しております。要するに、余りにも危険なカーブが多過ぎるのであります。瀬戸内海をまたぐ長大な本州四国連絡道路を初め、膨大な予算を投じました東京湾横断道路と比較してみるときに、沿岸を結ぶ肋骨道は、技術的にも実に平易なトンネル、鉄橋の連続でしかないのであります。四国4県分の広大な面積を有しながら、豊かな鉱物資源や海洋資源に恵まれた沿岸地域とのアクセス改善は、いまだ進展のスピードが甚だ鈍いのであります。一体いつまで夢県土であり続けるのでしょうか。そして、いつまで我慢し、耐え忍ばなければならないのか、実に気がもめるところでございます。
 今までも何百人かの代表者が壇上に上がってきたのでございますが、道路は産業であり、文化であり、人体に例えますならば血管であることは今さら申し上げるまでもないのであります。沿岸地域とを結ぶ肋骨線の2時間の所要時間がいかにすべての開発、発展のブレーキとなっているのかを思うとき、そして、新しく策定された総合開発計画実現のためにも、肋骨道路の整備を何よりも優先して中央政府に対して明治維新のような戊辰の役のごとき結束をもって働きかけるべきと思うのでございます。特に建設省出身の青年知事として岩手県に乗り込んできた意気を示していただきたいと考えるのでありますが、決意のほどをお伺いするものでございます。
 また、幹線道路に関連する地域の主要な道路の整備も重要であります。我が宮古地域の重茂半島線は、重茂半島の人々にとって、生活用道路として、また、産業用道路として極めて重要な道路であります。しかしながら依然として改良が進まず、地域住民は長年不便を強いられてきました。宮古地域の長年の懸案であり、かつ地域住民の念願でもあります重茂半島線の整備を早急に進めていただきたいと存じますが、その見通しはいかがでしょうか、土木部長にお伺いいたします。
 次に、宮古湾龍神崎防波堤とレジャーボート船だまり整備について質問いたします。
 宮古湾は、県下重要港湾のいずれよりも湾口が北沖に向かう不利な条件にあります。ゆえに、北の海特有の強烈な風浪も呼び込むのであります。しかし、歴史的にも県都盛岡よりの最短距離にあるがゆえに、元和2年、南部藩の軍港として、また、商港として指定され、繁栄をしてきたところであります。かつて岸壁1メートルも工事のなされない時代にも、自然の良港として、遠く江戸より、また、松前航路の中継地避難港として重宝がられてまいりました。江戸で吉原、南部じゃ宮古の語りぐささえ残っておるのであります。そしてまた、明治維新新政府軍の幕府軍五稜郭攻撃艦隊の寄港地にもなったのでありました。その宮古港の重要な役割として、約70キロメートルに及ぶ閉伊川の河口部は、避難港として、また、漁船の基地として、遠く県外船からも名を知られ、重宝がられてまいりました。
 御承知のごとく、世を挙げて所得倍増、高度経済成長の時代は、日本の至上命題として、宮古市もまた大港湾建設がなされたのでありました。ために、1、000メートルにも及ぶ白砂青松の400年の年ふりた大松原及び海岸が犠牲となったのであります。さらに、埠頭に必要な737メートルの防波堤の沖出しによって、船だまり場の閉伊川に波を呼び込む現象を生じたのであります。このため龍神崎防波堤が計画されたのでありました。約600メートルの工事計画の中、現在、120メートルほどが施工済みでありますが、既に5分の1とは申せ、その効果は如実にあらわれておるのであります。
 近年、ますますレジャー船が増加する状況にあります。これに対応するため、閉伊川河口保安部前の船だまりと導流堤などの補強を図り、船着き場を増加するなどしてさらに龍神崎防波堤の完成を急ぐならば、すばらしい海洋レジャーニーズにこたえられると思うのでありますが、宮古港を知悉する土木部長のお考えをお伺いいたします。
 次に、水産業ハセップの導入について質問いたします。
 昨年はO-157問題、そして本年は、猛暑のためか生ウニなどによる腸炎ビブリオ菌の検出等の諸問題が起こっております。折から県当局の要請と強い指導に基づきまして、長い間習慣で行われてきました魚市場の鮮魚の取り扱いについても画期的な改善が行われようとしております。すなわち、今までは、洗浄されたとはいえ広いコンクリート張りのたたきの上にじかに魚を並べておりました。これからは、魚をたたきに直置きしない。そして、市場関係者以外の立ち入りを禁止、市場関係者でも長靴は洗ってから場内に入るとか、市場構内への鳥獣の侵入を防止、そして、当然ではありますが、場内禁煙、場内飲食禁止等によって従来からの悪い習慣を一掃して、衛生面から見直した大改善を加えるべく、再三にわたる県当局の指導と支援をいただきながら、水揚げ高県下一をキープする宮古魚市場として、高鮮度、高品質、そして安全を目標に衛生改善を実施しているところであります。そして、市場関係諸団体ともども鋭意努力を重ねているところであります。幸いにして、皆様の理解と協力のもと、「衛生に一人ひとりが監視の目を」をモットーに、試行錯誤しつつも地場産業の発展に邁進しているところであります。
 まず、ソフト面から手初めに、大量給水、観光客にも配慮したトイレットや手の自動洗浄装置、衛生的な搬送設備など、ハード面の整備になお多額の予算を必要とするのであります。この時代のニーズにこたえる大事業でありますことから、業界及び市町村、県当局と三位一体の取り組みが欠かされないのであります。ダイオキシン問題とともに、避けて通れない重要事項となりました。時あたかも増田県政の重点目標の中の環境づくりに合致するものであります。事業の万全なる成功を期するためにも予算面における支援や指導を期待するものでありますが、関係当局の抱負についてお伺いいたすものであります。
 次に、漁協統合問題について質問いたします。
 過去の議会においても何度か質問してまいりましたが、何か着物の上から背中をかくようで、質問する方も、また、答える方もなかなか核心に触れ得ぬ感がございました。原因の一つに、図らずも青天のへきれきのごとく、県下1万4、000名漁協正組合員中、約1万1、000余名の署名による県漁連会長不適任という、常識では到底考えられない事態が発生いたしました。本人は自信に満ちあふれていたようでありましたが、ついに交代劇が成就したのでありました。顧みるに、単なる大沢漁協の協力金未払い問題だけでこのような県下一斉の驚異的な反発の数字はあらわれるものではないと思うのであります。長い間うっせきした怨念にも似た答えが期せずして爆発的に起こったものと思えるのであります。この現実を本県最高統治者である知事はいかにお考えか、まず、問うものであります。
 あなた方も決して漁民大衆を烏合の衆とは見ておらなかったとは思いますが、前県漁連会長は、権力の座にあって我が世の春を謳歌し、おのれにあらざればと自信に満ちあふれておりました。しかしながら、近年、漁業生産量や魚価の低迷などにより漁業者と漁協の経営が一段と悪化する中で、金融制度改革に伴う早期是正措置あるいはディスクロージャーなど制度の導入に当たって、今までの恥部が一挙にさらけ出された結果によるものと思うのであります。
 私は、以前よりかかる将来を予見いたしまして、まずもって1市町村1漁協合併の自立漁協統合案を提唱してまいりました。それはとりもなおさず、業界と行政が一体とならざれば、自浄能力の甚だ薄くなった独裁者だけが支配する業界の能力だけでは絶対に不可能なりと断言しておったのであります。しかるに、長い間、業界当事者並びに行政当局がともにあいまいもことした対応と答弁に終始し、核心に至らず、ために日時のみを遷延し、このような膨大な負債を造成されるに至ったものと考えるのであります。そして、その実体に驚き、その始末を専制君主のごとき暴君の威圧と恫喝に頼る行政当局の暗黙の支持容認があり、責任回避の怠惰であると感じてまいりました。
 私は、まずもって地元山田町を一つに統合し、県下に模範を示すべきであるとも進言いたしました。信なくば立たずのことわざもあります。40数年みずからの育成してきた地元組合員から1年前既に信用を失って組合長職を去っておる人物が、全県下一つにまとめ得るものと正気で信じていた人々のあったことが不思議でならないところでありました。何十年という長期在任中に、県当局がその辺の内情に全く無知であったと言い逃れることはできないと思うのでございます。事なかれ、そして、先送りと無責任極まりない態度が今日の結果を招いたものと思えるのであります。当局の責任は重大なりと考えるのであります。ある時期情熱に燃え、正攻法で立ち向かった職員の人々もありましたが、たちまち権力者を取り巻く周囲のやりぶすまに遭って不遇な目に遭っているのであります。
 このたび、幸せなるかな、議会や行政の御支援をいただきながら漁協信用事業の統合に対応するための有利な資金貸し付けをいただいておりますが、いずれは返済いたすべき資金でありますれば、それが可能な体質改善は絶対の急務であります。今こそ漁民の手によりトップの交代がなされ、県当局の構想実現には障害は取り除かれました。白い紙に思う存分の設計図を描きまして、漁協再生指導をする絶好のチャンスでもあります。行政、業界、そして漁民が三位一体となって漁協合併を進めるため力強い指導をお願い申し上げるものでありますが、林業水産部長の考えをお伺いいたします。
 次に、高校再編問題に関連した30人学級について質問申し上げます。
 今、県下最大の関心事は、ますます進行する少子化傾向に起因する高校再編問題であります。90数%の高校進学率を達成し、今や小・中に次ぐ義務教育の観を呈しております。県民のひとしく慕う宮澤賢治ゆかりの農業高校を初め、全国に誇る総理総裁を輩出した有名校など、皆それぞれの歴史と伝統に輝いているのであります。忠ならんと欲すれば孝ならずにも似た、教育長初め関係者各位の頭の悩めるところであります。訴える側も、それを受ける側においても百家争鳴に沸いておりますが、せんじ詰めるところ、文部省が経費節減のために40人学級の基準を維持、堅持しようとするところに起因しているようであります。子供をつくらない責任は父兄の皆さんにあり、だから文部省案も仕方がないという相変わらずの金科玉条式の固定観念のように思えるのであります。
 私の出身校であります宮古水産高校の専攻科制度は、優秀なる幹部漁船員を養成し、国家の発行する海技免状を取得させるために設けられて、毎年周辺高校より小人数の入学者でありますが、マン・ツー・マンの教育方式により100%の成績を上げておるのであります。
 また、徳川300年の封建的鎖国社会の日本を打破し、欧米並みの文化国家に塗りかえた明治維新の礎、原動力となった高杉晋作を初め、伊藤博文、久坂玄端などなどの元勲志士たちが学んだいわゆる吉田松陰の松下村塾、その他藩校等は決して何百名、何千名の塾生・門下生ではなかったはずであります。敗戦後54年、お盆も過ぎましたが、忘れ得もせぬ8月15日を卜して戦争問題が反省されますが、東大生を先頭に学徒出陣がなされ、そして特攻隊の出現もまた、当時の教育方針のしからしむるものでありました。道義の荒廃、そのきわみに達した日本が、金融安定の後、何に金を投ずべきかを考えるときに、国を挙げて人間性と教育向上にこそが最大の急務であると考えるのであります。40人ではなかなか目が届かない、30人学級でよりよい効果ありとするならば、何をためらうことがありましょうやであります。かの有名な上杉鷹山候に習い、国家の基盤をなす産業教育を初め、地域振興に根差した人格の育成こそが国家最大の急務とするならば、夢県土いわての精神にのっとり、あえてマン・ツー・マン教育の徹底のためにも、挙げて30人学級を文部省に迫るべきと思うのでありますが、当局の腹構えをお伺いいたします。
 最後に、道義の荒廃と教育の見直しについて質問いたします。
 バブル経済の崩壊いたしました日本は今後どうなることかと国を挙げて憂慮されたのでありました。そして、次に緊急に取り組まなければならないのが、教育改革であるとも言われておるところであります。次代を担うべき青少年の非行、暴力の激増、そして子供の虐待、保険金欲しさの我が子の毒殺事件など、毎日のニュースには目と耳をふさぎたくなるのであります。ヒューマニズムと民主教育を標榜してやまなかった戦後の教育も、半世紀50年の結果を再評価しつつ検討を加えるべきときと思うのであります。有名大学出身のエリートが、事もあろうに大型旅客機を操縦してみたくなり、機長を殺害し、あわや数百名の乗客の命が大惨事に直面する事件も耳に新しく、頭にきたとか、キレたとか、チョームカつくとか、他人への迷惑など何とも思わない風潮が蔓延しております。その傾向を見るときに、衣食足りても礼節は日増しに軽んじられ、忘れられようとしております。それらの傾向は特定の少年だけの問題ではなく、ごく普通の子供が突然起こすケースが多くなったとも言われます。戦後半世紀、怒涛のごときデモクラシー旋風により、百家争鳴、万家万節を唱えてまいった今日、一向にその嘆かわしい現状は改まらないのであります。
 そこで、問題の一つに家庭教育力の低下の問題がクローズアップされております。しかしながら、戦時教育の反動から一挙に民主教育にならされた親たちであります。こうした現代社会の風潮を一挙に改めることも困難な事態であります。青少年の教育は厳しくてあるべきと声を大にして強調するものであります。先般来の高校総合体育大会、そして甲子園球児たちの熱戦に次ぐ熱戦、そしてそのマナー、たゆまざる努力、その経験はその子供たちの生涯の宝として、人生を支えるものと思うのであります。これらは皆、監督さんはもちろんでありますが、指導教師を初め、周囲の人々の厳格なしつけによる成果にほかならないと思うのであります。百獣の王と呼ばれるライオンでさえ、我が子を千尋の谷底へ落として教育すると言われております。ジャン・ジャック・ルソーは、貧乏は最良の教育者でもあると言われました。人生を生き抜くことは幾山河の連続であります。決して、決して甘いものではないということを、幼児教育からかたくしつけることをまず何よりも優先すべきであり、他人に迷惑をかけないことから始め、しかる後に文字や数字を教える順序と考えるものであります。さにあらざれば、いつまでも現在の社会の荒廃は改まらないと思うのであります。
 増田知事の提唱する三大方針の中の人づくりが、それではないかと思うのであります。他県に比較し、多くの総理大臣を輩出し、そして新渡戸稲造や宮沢賢治を生んだ岩手の風土でもあります。風紀紊乱の日本国の空気を入れかえるためにも、我が岩手より列島改造ならざる人間改造の心意気を全国に向かって発信いたすべきものと思うのでありますが、心の教育に向けた教育長の決意のほどをお伺いいたしまして、壇上よりの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 船越賢太郎議員の御質問にお答えいたします。
 まず、国の農政改革を踏まえた本県農政の基本姿勢についてでございますが、我が国の食料・農業・農村をめぐる情勢が大きく変化をしている中で、本年の7月に食料・農業・農村基本法が制定をされたところでございます。この新しい基本法におきましては、食料の安定供給の確保と、そして多面的な機能の十分な発揮などを基本理念とした、今後の我が国農業が進むべき方向が明示をされておりまして、また、我が国の農政史上初めて中山間地域等への直接支払いが導入されるなど、農業を基幹産業とする本県にとりましてはまことに心強いことと、このように考えております。
 県では、今般、国の基本法を踏まえて、21世紀初頭の本県農業・農村の進むべき方向を明らかにした岩手県農業・農村基本計画を策定したところでございますが、この計画におきましては、地域農業の中心を担う意欲ある担い手の育成を最重点課題としてとらえておりまして、主業型農家への農地の利用集積を加速するなど、農業構造の再構築に取り組むこととしております。また、米への依存度が低下する中で、本県農業の一層の発展を図るために、野菜、花卉などの園芸作物や水田を活用した麦、大豆の生産拡大など、それぞれの地域の立地特性を生かしながら、米と園芸と畜産のバランスのとれた総合産地化を図って、食料自給率の向上の一翼を担うなど、我が国有数の総合食料供給基地として、国の農政改革の方向に即しながら、本県ならではの農政を積極的に展開してまいりたいと考えております。
 次に、岩手県の肋骨道路の整備の必要性についてでございますが、本県では、東北縦貫自動車道と三陸縦貫自動車道などを縦軸といたしまして、東北横断自動車道や国道106号などを横軸とする、いわゆる多軸ネットワークを構成する骨格道路網の構築を目指しているところでございます。こうした県土を支える肋骨道路につきましては、地形的、気象的条件を克服して、時間距離の短縮と安全性を確保する道路規格とする必要があるために、トンネルや橋梁などの構造物が多く占めますことから、膨大な事業費と期間を要するものと、このように考えております。現在のような社会経済情勢下におきましては、財源の確保が非常に厳しいものがございますけれども、県の道路整備プログラムの中におきましても、これらの肋骨道路の整備につきまして、優先的に取り組んでいくこととしております。また、これらの肋骨道路の中で、国道106号につきましては、高規格幹線道路と一体となりまして機能をいたします地域高規格道路として位置づけられていますほか、21世紀を展望した新しい岩手県の総合計画におきましても距離と地形の壁を乗り越え、県都盛岡と宮古市を90分で結ぶ道路とすることとしております。この路線の整備によりまして宮古沿岸地域の連携・交流を促進して、地域の持つ豊かな自然や水産資源を活用した特色ある地域づくりを支援してまいりたいと考えております。
 なお、県では、この路線の果たす役割の重要性や整備の緊急性、さらに適正な管理の必要性などから、国道106号の直轄管理区間への編入を県の重点課題として国に強く要望していく考えでございます。
 次に、前県漁連会長をめぐる漁協系統団体の一連の動きについてでございますが、先般、県漁連会長の選任などをめぐって組合員の間でさまざまな動きがございまして、県漁連総会時の理事会において会長の選出に至らず、その後一時期、会長の代行制がとられるなどの経過があったわけでございますが、現在、本県水産業を取り巻く情勢が、漁業生産量の低下、魚価の低迷、就労者の減少や高齢化の進行など、一段と厳しさを増している中で、県漁連が県内水産団体を指導する重要な役割を担っているという観点に立って、真摯な議論がなされて、自助努力の上で正常な執行体制が確立されたものと、このように考えております。今後、県漁連においては、このたびの経緯を乗り越えて傘下の漁協が一致協力して難局に対処して、漁村地域の活性化に向けて取り組んでいただきたいと考えております。
 県では、漁協系統団体とこれまで以上に連携を深めながら、養殖や栽培漁業などの、いわゆるつくり育てる漁業の推進、担い手の育成や漁協・漁村整備の推進、さらにはハセップ方式の導入による安全な水産食料の提供など、本県水産業の一層の振興に努力してまいりたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので、御了承を願います。
   〔総務部長武居丈二君登壇〕
〇総務部長(武居丈二君) まず、防災意識の低下と今後の対応についてでありますが、平成11年6月に実施されました総理府の防災と情報に関する世論調査によりますと、阪神・淡路大震災を契機として高まった国民の防災意識の風化が顕著となっており、居住地域で避難勧告が出た場合に即座に避難すると答えた人は半数に満たないなど、防災意識の低さがうかがえる結果となっております。このような中で、本県におきましては、特に津波の常襲地域と言われる三陸海岸を抱えており、また昨年来、岩手山の火山活動が活発化している現状にあることから、これまでも総合防災訓練の実施を初め、岩手山噴火対策防災訓練の実施、津波防災マップや岩手山火山防災マップの住民への説明配布など、県民の防災意識の啓発に努めてきたほか、さきの大雨災害時においては、住民避難の実態を事後に検証し、その課題と改善策について各市町村、関係機関に周知徹底を図ったところであります。御案内のとおり、津波災害や火山災害などの自然災害からみずからの生命を守る最善の方法は、まず避難するということであり、そのためには、県民一人一人が防災に関する正しい知識を持ち、自分の身は自分で守る、自分たちの地域は自分たちで守るという心構え、備えをしっかりと持ち、津波警報や火山の前兆現象を受けた市町村長の避難勧告・指示に速やかに対応し、地域を挙げて直ちに避難することが最も重要であると考えております。
 県といたしましては、今後とも市町村や防災関係機関と十分連携を図り、あらゆる機会をとらえ、地域における自主防災組織の育成強化と県民の方々の防災意識の高揚に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、災害救助訓練等のあり方についてでありますが、本県では、防災関係機関が一体となって、有事の際に迅速かつ円滑な応急対策活動ができるよう、毎年総合防災訓練を実施しており、さらに阪神・淡路大震災以降、厳冬期における市街地の実践的な訓練として、毎年1月に1・17合同防災訓練を行ってきたほか、昨年から、火山活動が活発化している岩手山の噴火対策防災訓練を実施しているところであります。これらの訓練におきましては、阪神・淡路大震災の教訓をも踏まえ、訓練内容を見直し、災害想定をより明確とした上で、初動体制の確立を図るための職員非常招集訓練や住民の避難訓練、中州やビルの屋上に取り残された人たちの救出救助訓練などを実施してきたほか、さきの9月3日に釜石市で実施した総合防災訓練におきましては、建物の2次災害を防止するため被災建築物応急危険度判定活動訓練や、隣接県の防災ヘリと連携した広域訓練、訓練映像を活用した災害対策本部運営訓練を新たに盛り込むなど、毎年訓練内容の充実と訓練方法の改善に努めながら、より具体的、実践的な訓練の実施に努めているところであります。
 今後におきましても、地域の実情を踏まえた災害想定のもとに、あらゆる災害に対応した実践的な訓練の実施に一層努めるとともに、市町村、消防本部等が実施する訓練につきましても、住民参加による地域により密着した訓練が実施できるよう指導してまいりたいと考えております。
   〔土木部長大石幸君登壇〕
〇土木部長(大石幸君) まず、主要地方道重茂半島線の整備についてでありますが、この路線は、半島地域の住民の生活を支える唯一の路線であるとともに、美しい三陸海岸の景観や豊かな水産資源を生かす上でも、道路整備が必要であると考えているところであります。そのため県といたしましては、重茂地区から赤前地区間について交通量も多いことなどから2車線道路として整備を行うこととしております。また、重茂地区から山田町-大沢地区間につきましては、安全性の確保のために待避所の設置などの部分改良を行うため、県単独の事業として半島地域生活路線確保道路整備事業を創設し、交通隘路区間の解消に努めております。その結果、里地区の約1キロメートル間の供用のほか、平成11年度末までには約10カ所の部分改良工事が完了する予定であります。
 重茂地区の人家連檐区間や重茂地区から赤前地区間の峠部や海岸沿いの道路につきましては、地域の利便性の観点などから、この県道と重茂白浜線などの市道とルートを切りかえ、早急に整備を進める必要があると考えております。しかしながら、市道の台帳整備に当たって地元の同意が得られていないことや、その他の地区の用地が難航しているなど工事を進めるに当たり多くの問題を抱えている状況にあります。この課題解決には、なお時間を要するものと考えておりますが、この路線整備の重要性から、今後とも宮古市と連携をより一層密にして、早期に事業着手が図られますよう、引き続き努力してまいりたいと考えております。
 次に、宮古港のレジャーボート用船だまりの整備についてでありますが、近年、余暇の増大とともに海洋レジャーが活発化する中、プレジャーボートの数も年々増加しているところであり、県といたしましては、これら対策の一環として、平成10年度に神林地区にディンギーヨットを対象としたマリーナ施設を整備し、今年8月に開催されたインターハイヨット会場としても有効に利用されたところであります。神林地区や高浜地区などに係留されているプレジャーボートにつきましては、現在、既存施設の有効利用を図り、共存できるよう地元宮古市を初め漁業関係者と協議をしているところでございます。閉伊川河口部の船だまりにつきましては、現在、国の直轄事業により整備が進められております龍神崎防波堤の整備延長が平成11年度末には130メートルとなる予定であり、さらに静穏度の向上が期待されることから、プレジャーボート係留候補地の一つとして考えているところであります。現在、この船だまりは官公庁船や漁船が使用しており、限られた水域の中でプレジャーボートの収容場所とするためには、地元関係機関や漁業関係者の御理解と御協力が必要なことから、現在協議を進めているところでありますが、調整が整った時点で港湾計画を変更し、既存静穏水域を活用した係留施設の整備を目的としたボートパーク事業などの導入を検討してまいりたいと考えております。
   〔林業水産部長佐藤克郎君登壇〕
〇林業水産部長(佐藤克郎君) まず、水産業へのハセップの導入についてでありますが、水産物は鮮度が落ちやすく傷みやすいことから、水産物の流通の出発点である産地魚市場での取り扱いが大切であり、魚市場での食品衛生管理対策に万全を期することにより、消費者や流通・加工業者に対する信頼性を確保し、マーケットでの競争力を高めていくことが重要であると認識しております。このようなことから、現在、宮古魚市場を初めとして県内の主要産地魚市場におきましては、卸売業者、漁業者、加工業者などの関係者と行政が一体となって衛生管理検討会などを設置し、ハセップ方式導入を目指して、水産物の衛生管理対策に積極的に取り組んでいるところであります。
 県といたしましては、こうした取り組みを支援するため、本年度、財団法人日本冷凍食品検査協会などのハセップ認定機関による産地魚市場の衛生診断に対して助成するとともに、水産技術センターにハセップアドバイザールームを開設し、ハセップ導入の相談・指導に当たっているところであります。また、県単独の産地市場衛生管理緊急対策事業を起こし、鮮度保持タンク、海水殺菌装置、トイレの改修、高圧洗浄機、魚置き台など、市場施設の改修・改善を進めているところでありますが、今後とも新鮮で安全な水産物を消費者に提供していくという観点に立ち、関係者と一体となって水産物の衛生管理に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、漁協合併の推進についてでありますが、本県漁業を取り巻く環境は、漁業生産量の低下や魚価の低迷、さらには漁業就業者の減少、高齢化等によって一段と厳しい状況にありますことから、将来の安定した漁業の構築を図っていくため、漁業協同組合の経営基盤強化に向けての取り組みが急がれているところであります。このため、県といたしましては、漁協の経営改善に向けて、サケ自営定置に依存している現在の経営体質からの脱却や購買事業、販売事業などの経済事業の独立採算が確保できるよう効率的な運営について指導するとともに、現在、漁業系統団体が推進している1県1信用事業体への統合や欠損金を抱えている漁協に対して財務改善等について指導・支援をするなど、漁協経営基盤の強化に取り組んできているところであります。漁協合併の推進につきましては、全漁連から平成19年度をめどに1県1漁協、または1県複数自立漁協の構築を内容とする基本構想が示されており、この基本構想を受け、県漁連等の系統団体では、平成9年2月に岩手県漁協事業・組織改革検討委員会を設置し、目下、将来の漁協合併のあり方等について協議しているところであります。
 また、漁協合併促進法では、県漁連が傘下の漁協合併の促進に関する基本的な計画を作成し、知事に届け出ることとされております。本県の漁協が本来の社会的使命を果たすためには、自立可能な漁協組織の構築を目指す合併は不可欠であると考えますが、漁協合併の推進に当たりましては、漁協系統組織において十分に論議され各漁協及び組合員の理解と合意のもとに進められるべきものと認識しており、県といたしましても、このような観点に立って早期に計画が樹立されるよう指導・支援してまいりたいと考えております。
   〔教育長大隅英喜君登壇〕
〇教育長(大隅英喜君) まず、県立高等学校新整備計画案に関連した30人学級についてでありますが、さきにお示ししました案におきましては、現行制度に基づき1学級の定員を40人として計画いたしておりますが、従来から高等学校教育におきましては、教科・科目によって、少人数の班単位の授業や一度に学ぶ生徒数を変えた授業を行うなど、学習集団のサイズの弾力的な運用を進めてまいりました。特にも、専門高校においては、実験・実習を班単位で行うことによって、高度な知識・技術の理解や習得が効果的に図られてきたところであります。
 また、このような弾力的な学習活動を可能にするため、国の学級編制基準及び教職員配置改善計画により、これまで専門教育や少人数指導、進路指導、多様な科目開設等の観点から、逐次改善が行われてまいりました。今後における学級編制基準等のあり方につきましては、現行の第5次公立高等学校学級編制及び教職員配置改善計画の評価、学校が抱えるさまざまな課題や新学習指導要領に適した教職員配置のあり方、必要とされる財源の確保など、多方面にわたって専門的な立場からの検討が必要であることから、国においては、昨年10月に教職員配置のあり方等に関する調査研究協力者会議を設置して検討を続けているところであります。本県といたしましては、その検討状況を注視するとともに、高等学校教育の一層の充実のため、次期改善計画を早期に策定するよう、都道府県教育長協議会を通じて国に要望をしているところであり、今後におきましても、引き続き要望してまいりたいと考えておるところでございます。
 次に、子供の心の教育についてでありますが、近年、都市化、少子化、核家族化、社会全体のモラルの低下や、家庭・地域社会の教育力の低下が見られ、本県におきましても、児童生徒の心の問題に端を発した不登校やいじめ・校内暴力などの学校不適応の問題が見受けられます。子供の健全な育成を図るためには、個性や自主性を尊重するとともに、基本的なしつけや生活習慣を身につけさせることが大切であると考えており、こうした考えに立って、子供たちの心の教育の充実や、生きる力をはぐくむ教育を推進していく必要があると考えております。
 県教育委員会といたしましては、これまでも学校教育においてはもちろんのこと、あらゆる機会を通じて思いやりの心や正義感などのモラルや倫理観の育成に努めてまいりました。また、児童生徒の規律ある生活態度の育成にも配慮してきており、御指摘の99いわて総体におきましても、地域の方々の御協力と相まって競技成績のみならず大会運営面におきましても、大きな成果を見たところであります。本県には、豊かで、時に厳しい自然の中にあって、粘り強く生きてきた精神風土があり、その中で豊かな感受性や素朴で忍耐強い県民性をはぐくんでまいりました。今後も、人づくりの豊かな土壤を生かし、家庭や地域との連携を密にしながら、思いやりの心、郷土愛、自他を尊重する心などを養う心の教育の充実に一層努めてまいりたいと存じます。そして、こうした人づくりの面からも、その取り組みを通じて夢県土いわてを全国に発信してまいりたいと考えているところでございます。
〇29番(船越賢太郎君) 漁業問題について知事に再質問いたします。
 昭和24年、GHQによって戦前からの漁業会が解体されまして新漁業法が制定されました。新たに漁業協同組合が発足いたしましたが、その漁業法の中で、定置漁業権は多数の漁民の結集による組合に最優先的に免許されることとなっております。本県漁業の大黒柱は、何と申しましても、御承知のとおり秋サケ漁に負うところが大であります。県下38漁協の中で、水産は厳しい、漁業は厳しいと言われながら何とか営々とした組合活動をしております漁協は、それら漁業権の個人経営からの開放と経営に勇気ある断行を行ってきた組合だけが健全経営をなしておる現況にあります。
 金融問題に端を発した早期是正問題などで、全漁連、水産庁が提唱する漁協統合問題等に端を発して、このたび、山田町の大沢漁協の漁民一揆とも思われます爆発的な改革運動に対しまして、我が県議会内にも漁協問題等調査会が結成され、発足いたしました。そして、各単位漁協役員全員の400余名に対してアンケートを行ったところでございます。その集計結果によりますと、県知事指名の海区調整委員の長期留任に対して好ましいか好ましくないかという問いに、好ましくないという回答が驚くなかれ90.4%もございました。また、前漁連会長の8選を支持いたしますかとの問いに対しましては、支持しないが88.7%もございました。このような世論の中で、増田知事は開かれた県政とか、あるいは人づくりとか高い理念を掲げられておりますが、甚だ漁民、大衆とかけ離れたこの現実の相違に大いなる違和感を私は抱くものでございます。この点について、今後はどのような対応をするのかお答えをいただきたい、こう思うものでございます。
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 知事選任の海区漁業調整委員会委員についてでございますが、平成8年の知事選任委員の人選に当たりましては、本県の漁業を取り巻く環境がますます厳しくなっているということを考慮して、本県の漁業界をリードし、かつ全国の漁業団体の役員も経験されるなど、漁業に関して豊富な経験を有する方と、このようなことで鈴木氏を選任させていただいたところでございます。この鈴木氏には、その豊富な経験などを十分に生かして、来年8月までの任期を全うしていただきたいと考えております。
 また、次期の海区漁業調整委員会委員の知事選任に当たりましては、海区漁業調整委員会の設置目的や役割、また、その時点における本県漁業の状況などを総合的に勘案しながら厳正に人選をしたいと考えております。
〇29番(船越賢太郎君) 事実長くその役にあれば豊富な経験という見方もございますが、私のような者から言わせてみれば、長いから全く困ったというような見方もあるわけでございます。これはまあ、来年の8月には立派に考えたいということで了解いたしました。
 林業水産部長にちょっとだけ申し上げて質問したいと思うんですが、国が与えました漁業権免許の優先順位に対しては、勇気を持って努力をしているにもかかわらず、勇気を持って努力もしないでじり貧になって現在に立ち至ったと。努力を重ねてきた組合たちが裕福な財産を持っているから、それを目当てにして、前会長みずからの漁業権はかたくなに守って、それはもう開放しないできた人たちが、合併しなくちゃならない現下の情勢だと、そうしなければならないんだという理想論ばかり掲げたって、号令をかけたって人は言うことを聞かないと私は思うんです。少なくとも字の読める人たちは絶対言うことを聞かないはずです。
 それから、このような体制を長い間何とか保持し続けてきた当局、私は何度も何度も当局に対して、もう何代の当事者にもこれではだめだ、ああしろこうしろ、もう少し県が強くなれということを何度も何度も、もちろん県議会議員はきのうきょうやったんですが、長い間随分と、宮古で言うならけつぱたき、ねじを巻いてきたんですが、さっぱりはかどらないというのが今までのことでした。だから、今、盛んに中央の方では長銀や、あるいは住専等の責任者たちがどんどん罰せられております。そういったようなことから考えますというと、何となく罰しろというわけにもいかないが、そんなような罪に値するような気がするわけでございますので、今度はあなた方が体制をすっかりやったのではないと。漁民の手によって体制が立派になったと。本論の中でも申し上げましたけれども、本当に立派なキャンバスをどうぞと与えたんだから、あなた方は立派な図面をかいて、そして県知事の指導のもとに思い切りやっていただくことを念じまして私の質問を終わります。
   〔林業水産部長佐藤克郎君登壇〕
〇林業水産部長(佐藤克郎君) お答え申し上げます。
 漁協合併の問題でございますが、先ほどお答え申し上げたとおり、全漁連の構想として1県1漁協構想というものがその中の一つとしてあるわけですけれども、これは合併の形態の一つであるわけですけれども、いずれ漁協合併につきましては、自主的な取り組みということが前提になるわけでございます。そういう意味で、漁協あるいは組合員の理解と合意に基づいて、漁協系統組織の総意としてどういった形の漁協の合併が構想として打ち出されるかと、そういったものを十分踏まえまして、県といたしましても漁協の合併につきましては積極的に協力、そしてまた支援してまいりたいと、このように考えておるところでございます。
〇議長(山内隆文君) 次に、伊藤勢至君。
   〔34番伊藤勢至君登壇〕(拍手)

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