平成11年12月定例会 決算特別委員会会議録

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平成11年12月9日(木)
   

1開会 午前10時3分

1出席委員 別紙出席簿のとおり

1事務局職員
  事務局長  和美宏幸
  議事課長  藤沢重一
  議事課長補佐  千田正和
  主任議事管理主査  浅田和夫
  議事管理主査  筒井則裕
  議事管理主査  森達也
  議事管理主査  熊谷正則
  議事管理主査  下山義彦

1説明員
  林業水産部長  佐藤克郎
  林業水産部次長  本山芳裕
  林業水産部次長  木實谷浩史
  林政課長  小 田 島栄
  木材振興課長  溝上優
  緑化推進課長  近藤勝人
  松くい虫対策監  黒澤茂
  森林土木課長  菊池知一
  漁政課長  武市正明
  水産振興課長  上村俊一
  漁港漁村課長  船越穣
 
  農政部長  佐藤徳兵衛
  農政部次長  佐々木正勝
  農政部次長  千葉和男
  農政部次長  高橋民和
  農政企画課長  河村直樹
  地域農業振興課長  澤田行一
  農業普及技術課長  石川格司
  農村計画課長  永嶋善隆
  総合国営対策監  伊藤日出輝
  農村建設課長  佐々木忠正
  農業経済課長  深水秀介
  農協指導検査監  伊藤正俊
  農産園芸課長  千田勉
  生産調整対策監  河村茂幹
  畜産課長  山下進
  農産物流通課長  菅原誠郎
 
  出納長  高橋洋介
  副出納長兼出納局長  三浦雅雄
  監査委員  一戸克夫
  監査委員  佐藤文子
  監査委員事務局長  小 野 寺彰
  総務課長  青木拓
  監査課長  小田中  善治郎
 
  財政課長  池田克典
   

〇折居委員長 これより本日の会議を開きます。
 これより議事に入ります。認定第1号から認定第12号まで、決算12件を一括議題といたします。
 本日は、林業水産部及び農政部を終わるよう進行したいと思いますので、御協力をお願いします。
 なお、世話人会の申し合わせにより、平成10年度決算の審査であるので、当該年度に関する質疑とされたいこと、質疑項目が複数ある場合、関連する事項についてはできるだけまとめて質疑されたいこと、質疑及び答弁については簡潔明瞭に行い、午後5時をめどに審査が終了するよう議事進行に御協力をお願いします。
 また、きのうの決算特別委員会終了後、世話人会を開き、部局別審査におけるいわゆる当該委員の発言の取り扱いについて協議の結果、当該委員の質疑を認めないこととすることは適当でないと判断し、当初申し合わせのとおり、できるだけ遠慮願うこととし、発言する場合は、平成10年度の決算認定に直接かかわる事項について必要最小限の範囲において行うよう申し合わせたところでありますので、委員各位の特段の御協力をお願いいたします。
 最初に、林業水産部長に林業水産部関係の説明を求めます。

〇佐藤林業水産部長 平成10年度林業水産部関係決算の御説明を申し上げる前に、このたび当部が所管する大迫町における県単独の補助事業につきまして、補助事業が完了していないことを知りつつ、確認行為をしないで完了確認調書を作成し、補助金を支出するなど、極めて不適切な処理を行ったことが判明し、県行政に対する県民の信頼を著しく損なう結果となりましたことについておわびを申し上げます。
 本件の概要につきましては、去る6日に総務部長から報告がなされたところでありますが、現在までに当部において調査いたしました結果を御説明いたします。
 まず、本件補助事業における経緯ですが、平成9年7月、大迫町から町の向山森林公園に展望台を設置するため、県単独補助事業である木の肌・木の味・木の香推進事業による補助金交付申請書が花巻地方振興局に提出され、同月、補助金交付契約を締結したものであります。その後、振興局担当者は町に対して工事設計書の委託発注等、早期の工事の着手を指導したにもかかわらず、町の発表によると、平成10年3月に至ってようやく工事の請負契約を締結したところでありますが、平成9年度内には工事に着手せず、平成10年度になって支障木の伐採に着手するにとどまり、補助事業とは別のモニュメント建設工事を実施するため、平成11年5月まで補助事業に係る工事を中断し、平成11年6月になり完了したものであります。
 以上の経過にあるにもかかわらず、町からは、平成10年3月末に事業完了届が提出され、これを受けた振興局の検査担当者は、当該事業が完了していないことを知りつつも、町側の説明等から、間もなく工事が完成するものと判断し、現地確認調査を行わず、3月31日付で事業完了確認調書を作成したものであります。
 また、平成10年度に当該事業を引き継いだ当時の担当者は、当該建設工事が未完成であることを知らずに、町からの補助金交付請求書に基づき処理を進め、4月27日、県補助金730万円の支出手続がなされたものであります。
 その後、振興局担当者は、本庁に提出する事業実績報告書を作成するため、展望台の完成写真を提出するよう町にたびたび要請したところでありますが、本年8月に至り、展望台完成後の写真からモニュメントを消して、あたかも展望台が先に完成したかのように見せかけた虚偽の写真が町から提出されたものであります。
 また、展望台及びモニュメントの建設地は、平成7年に保健保安林及び干害防備保安林の指定を受けており、町は当該工事を行うに当たり、平成9年度及び平成10年度の両年度において、それぞれ保安林内における作業許可を受けておりますが、許可条件として義務づけられていた工事の着手届及び完了届が提出されず、また振興局におきましても、着手届の提出の督促及び工事の進捗状況を確認し期間の延長等を指導するなどの適切な進行管理を欠き、結果として必要な完了確認が行われなかったものであります。
 さらに、展望台そばに設置したイルミネーションが町中心部から眺望できるようにするために、県と大迫町との県行造林契約に基づき、県が造成、管理を行っている特殊材備蓄林県行造林が町により無断伐採され、また、このことに対し適切な対応がなされていなかったものであります。
 また、展望台に通じる遊歩道は、同じ県行造林地内に設置されておりますが、町は平成8年度及び9年度には土地使用許可手続を行っていたものの、平成10年4月以降、当該許可の更新手続を怠っていたものであります。
 以上が現在までの調査結果でありますが、町に対して交付いたしました県補助金の取り扱いにつきましては、補助金交付制度等に照らしながら検討し、適切な処理をしてまいりたいと考えております。
 また、保安林内の作業許可につきましては、当該作業行為が申請内容と合致するか早急に現地確認を行い、保安林の適正な管理上、必要な手続を行うよう町を指導してまいりたいと考えております。
 さらに、県有林の無断伐採に対しましては、早急に損害額を算定し、町に賠償請求するとともに、県有林の適正な使用許可手続を指導してまいりたいと考えております。
 今回の事件の重大性にかんがみまして、去る11月30日に地方振興局の林業担当部長等を招集いたしまして、法令、制度に則した事務処理、平成11年度事業の再点検と事業の徹底した進行管理、さらには組織内におけるチェック体制の強化などを示しまして、適切な事務処理に努めるよう指導したところでございます。
 また、同様の趣旨を12月6日付の文書によりまして部内各課及び関係出先機関に通知し、その徹底を図ったところであります。
 今後におきましては、再びかかる事態が起こらないよう、県行政に対する県民の皆様の信頼の回復に全力を尽くしてまいる所存であり、ここに重ねておわび申し上げます。
 それでは次に、平成10年度の林業水産部関係の決算につきまして御説明申し上げます。
 決算の内容に入る前に、平成10年度の林業・水産業施策の推進状況について御説明申し上げます。
 近年の林業及び水産業を取り巻く環境は、輸入の増加などにより、林産物及び水産物の価格が低迷し、収益性が低下するとともに、労働力が減少、高齢化するなど、厳しい状況が続いております。これらの諸課題を克服し、充実しつつある森林資源や豊かな沿岸漁業を活用して、本県が我が国の木材及び水産物の供給基地としての役割などを十分に果たせるよう、平成10年度におきましても、林業及び水産業それぞれの基本計画に基づき、各般の施策の展開に努めたところであります。
 まず、林業についてでありますが、第1に、生産から加工、流通に至る総合的な木材供給基地の形成を図るため、森林の計画的な造成や間伐の積極的な推進、林内路網の整備や木材加工施設等の整備のほか、県産材のブランド化、需要拡大や間伐材の利用推進などに取り組んだところであります。また、森林組合の広域合併の促進、林業後継者への支援や林業就労環境の改善などにより、地域の森林・林業を支える担い手の育成・確保に努めたところであります。
 第2に、全国に誇る特用林産物の産地づくりを推進するため、シイタケの生産振興と需要拡大や日本一の炭の里づくりの推進に取り組むとともに、ヤマブドウの安定生産に向け、栽培適応実証試験などを実施したところであります。
 第3に、潤いのある森林空間の創造を図るため、豊かな森林を活用し、交流、体験、創作などの活動ができるよう、県民の森など森林公園の整備を推進したところであります。
 次に、水産業についてでありますが、第1に、新たなつくり育てる漁業の展開を図るため、サケ、アワビ、ウニ等に加え、新たにヒラメ、マツカワを対象とした魚類栽培漁業の推進に取り組むとともに、漁獲可能量、いわゆるTAC制度の対象魚種の適正な資源管理、増殖場や魚礁漁場の整備などを実施したところであります。
 第2に、販売戦略の強化を図るため、水産加工場等を対象に新しい食品衛生管理、いわゆるハセップ方式の導入を促進するとともに、アキサケを中心とした新鮮で安全な三陸岩手の水産物の消費拡大に努めたところであります。
 第3に、活力あふれる漁港・漁村の建設を推進するため、つくり育てる漁業や加工流通の振興に対応した安全で機能的な漁港の整備や快適で潤いのある漁村の整備に取り組むとともに、漁協信用事業の統合による漁業系統組織の基盤強化などに努めたところであります。
 以上が平成10年度における林業水産部の施策の概要であります。
 次に、決算の内容につきまして御説明申し上げます。
 まず、一般会計歳出についてでありますが、平成10年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開き願います。
 林業水産部関係の歳出の予算現額は、6款農林水産業費の4項林業費398億7、859万円余、5項水産業費228億8、721万円余、及び16ページをお開き願いまして、11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費のうち8億4、522万円余を合わせたもので、総額636億1、103万円余であります。
 これに対し、支出済額は総額523億6、213万円余、翌年度繰越額は総額112億2、853万円余、不用額は総額2、036万円余であります。
 なお、翌年度繰越額は26事業に係るものでありますが、その多くは国の経済対策に係る補正予算に対応した事業費であり、工事の施工期間等の関係から繰り越しを余儀なくされたものであります。
 以下、個々の内容につきまして、お手元の平成10年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げます。
 なお、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に御説明申し上げますので、御了承願います。
 まず、206ページをお開き願います。6款農林水産業費4項林業費のうち1目林業総務費の主なものですが、管理運営費は、林業関係職員の人件費等に要した経費であります。次に、県有林事業特別会計繰出金は、県有林事業関係職員の人件費、公有林造林資金償還金などに充てる経費を繰り出したものであります。次に、208ページをお開き願います。2目林業構造改善対策費の主なものは林業構造改善事業費でありますが、これは、林業生産の増大及び生産性の向上を図るため、33地区において林道、木材加工施設等の整備を実施した市町村に対する助成などに要した経費であります。次に、繰越明許費15億278万円余についてでありますが、その多くは国の経済対策に係る補正予算に対応した事業費のうち、年度内完成が見込まれないため繰り越ししたものであります。なお、同様の事情により繰越明許費が他の目にもございますが、その内容は省略させていただきますので御了承願います。次に、3目林業振興指導費の主なものでありますが、備考欄3行目の木材産業振興対策事業費は、木材産業の健全な発展を図るため、木材製造業者等に対する経営安定資金の貸し付けなどに要した経費であります。次に、2行飛びまして県産材流通促進対策事業費は、県産材を利用した住宅の取得者に対する助成、岩手県木材協同組合連合会に対する乾燥材の安定供給促進資金の貸し付けなどに要した経費であります。次に、211ページをお開き願います。4行目の森林組合経営体質強化資金貸付金、及び1行飛びまして林業振興資金貸付金は、岩手県森林組合連合会に対し、森林組合の財務改善及び合併促進に必要な資金、森林組合が行う林産事業等に必要な資金をそれぞれ貸し付けたものであります。次に、10行飛びまして、岩手県林業公社事業資金貸付金は、森林資源の育成を図るため、同公社に対し分収造林事業に必要な資金を貸し付けたものであります。次の、水土保全森林緊急間伐対策事業費は、間伐の緊急かつ重点的な実施を図るため、間伐作業道開設等を実施した市町村に対する助成などに要した経費であります。次に、5行飛びまして森林計画樹立事業費は、馬淵川上流森林計画を対象とする地域森林計画の樹立などに要した経費であります。次に、6行飛びまして乾しいたけ等主産地形成促進対策事業費は、シイタケ生産施設等の整備に対する助成、岩手健康しいたけモッコリくん流通促進資金の貸し付けなどに要した経費であります。次の、しいたけ等原木安定供給促進資金貸付金は、森林組合が行うシイタケ原木生産に必要な資金を岩手県森林組合連合会に貸し付けたものであります。次に、一番下の林業普及指導事業費は、普及指導職員の人件費、活動費など、林業技術の普及指導に要した経費であります。次に、4目森林病害虫等防除費の主なものは、備考欄の森林病害虫等防除費でありますが、これは、森林資源の保護育成を図るため、松くい虫被害木の駆除等を実施した市町村に対する助成などに要した経費であります。次に、212ページをお開き願います。5目造林費の主なものでありますが、造林事業費は、森林資源の充実及び森林の公益的機能の維持・増進を図るため、人工造林、除間伐等を実施した市町村、森林組合等に対する助成などに要した経費であります。次に、林野火災復旧対策事業費補助は、平成9年5月に紫波町及び石鳥谷町で、また平成10年4月に軽米町で、それぞれ発生した林野火災の復旧対策として、被害木等整理、被害跡地造林などに対し助成を行ったものであります。次に、6目林道費の主なものでありますが、林道開設事業費は県営36路線及び市町村営12路線の整備に、農免林道事業費は県営3路線及び市町村営3路線の整備に、林業地域総合整備事業費は県営4路線及び市町村営9路線の林道整備に、森林基盤整備促進事業費は市町村営8路線の林道整備に、次に215ページをお開き願いまして、ふるさと林道緊急整備事業費は、県営23路線の整備に、それぞれ要した経費であります。次の木材生産団地路網整備事業費は、大規模な県行造林地等を中核とする木材生産団地内の基幹作業道10路線の開設に要した経費であります。次の森林開発公団林道事業費は、森林開発公団法に基づき、同公団が実施する大規模林道等の事業に係る県負担金の支払いなどに要した経費であります。次に、7目治山費の主なものでありますが、治山事業費は全部で158カ所の山地治山、保安林整備などの事業に、地すべり防止事業費は7カ所の地すべり防止に、県単独治山事業費は全部で26カ所の崩壊地復旧治山施設維持修繕などの事業にそれぞれ要した経費であります。次に、216ページをお開き願います。8目林業技術センター費は、同センターの管理運営、試験研究などに要した経費であります。
 以上で林業費関係を終わりまして、次に、水産業費関係について御説明申し上げます。
 5項水産業費のうち、1目水産業総務費は、水産業関係職員の人件費、水産科学館の管理運営などに要した経費であります。次に、218ページをお開き願います。2目漁業構造改善対策費の主なものでありますが、備考欄1行目の沿岸漁業整備開発事業費は、水産資源の維持・増大を図るため、地先型増殖場7カ所及び広域型増殖場3カ所の造成、大型魚礁12カ所の設置などに要した経費であります。次に、下から3行目の沿岸漁業活性化構造改善事業費は、沿岸漁業の振興及び経営の近代化を図るため、漁業近代化施設の整備等を実施した漁業協同組合に対する助成などに要した経費であります。次に、3目水産業振興費の主なものでありますが、備考欄3行目のさけ、ます増殖費は、サケ、マス資源の維持・安定を図るため、増殖施設の整備及び河川環境の整備を実施した漁業協同組合に対する助成、河川に放流する稚魚の買い上げなどに要した経費であります。次に、3行飛びまして特定海域栽培漁業定着強化事業費は、アワビ資源の増大を図るため、放流効果調査、種苗の購入、中間育成等を実施した漁業協同組合に対する助成などに要した経費であります。次に、221ページをお開き願います。5行目の魚類栽培推進事業費は、マツカワ、ヒラメの栽培漁業を推進するため、種苗生産施設を3カ年計画で整備することとしておりますが、その初年度として、稚魚飼育棟の整備などに要した経費であります。次に、4行飛びまして海洋法対策事業費は、TAC制度により漁獲規制される魚種の資源管理計画の策定、漁獲管理情報処理システムの整備・運営、漁業団体が実施した情報処理システムの整備に対する助成などに要した経費であります。次に、10行飛びまして水産物流通加工振興対策費は、水産加工業の経営の近代化を図るため、財団法人岩手県中小企業振興公社が、水産加工機械類貸与譲渡事業を低利で実施しておりますが、その事業資金の貸し付けなどに要した経費であります。次に、下から6行目の社団法人岩手県栽培漁業協会育成事業費は、同協会の円滑な運営を図るため、アワビ、ウニの種苗生産事業に係る運転資金の貸し付け、ヒラメ、アユの種苗生産業務の委託などに要した経費であります。次に、2行飛びまして水産業改良普及費は、改良普及員の人件費、活動費など、沿岸漁業に関する技術・知識の普及教育に要した経費であります。次に、4行目水産業協同組合指導費の主なものでありますが、備考欄の下から2行目の漁業協同組合信用事業統合促進資金貸付金は、漁業系統団体が推進する信用事業統合の促進を図るため、漁業協同組合の統合に要する長期資金を低利で借り受けができるよう、岩手県信用漁業協同組合連合会に対し無利子で資金を貸し付けたものであります。次に、漁業近代化資金金融対策費は、漁業者に長期・低利の施設整備資金を融資した金融機関に対する利子補給などに要した経費であります。次に、222ページをお開き願います。5目漁業調整委員会費及び6目漁業調整費は、海区漁業調整委員会の運営、漁業調整などに要した経費であります。次に、7目漁業取締費は、漁業取締事務所の管理運営、漁業取締船の運航などに要した経費であります。次に、224ページをお開き願いまして、8目水産技術センター費、次の226ページをお開き願いまして、9目内水面水産技術センター費は、それぞれのセンターの管理運営、試験研究などに要した経費であります。次に、10目漁港管理費は、県管理の漁港施設の管理運営に要した経費であります。次に、11目漁港建設費の主なものでありますが、漁港修築事業費は、県営17港、市町村営3港の修築に、次の漁港改修事業費は、県営6港、市町村営17港の改修に、次の漁港局部改良事業費は、市町村営11港の改良に、2行飛びまして、海岸保全施設整備事業費は、県営7港、市町村営6港の整備に、次の海岸環境整備事業費は、県営2港の整備に、次の漁港漁村総合整備事業費は、市町村営5港の整備に、次の漁業集落環境整備事業費は、市町村営13地区の整備に、1行飛びまして、漁港環境整備事業費は、県営4港、市町村営1港の整備に、それぞれ要した経費であります。
 以上で水産業費関係を終わります。
 次に、大きく飛びまして302ページをお開き願います。災害復旧費関係について御説明申し上げます。
 11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費のうち、2目林道災害復旧費は、県営1路線で1カ所、市町村営59路線で78カ所の復旧に要した経費であります。次に、繰越明許費3億542万円余についてでありますが、これは、28カ所の復旧工事について、用地交渉の難航などにより年度内完成が見込まれないため、繰り越したものであります。次に、5目漁港災害復旧費は、県営2港の復旧に要した経費であります。
 以上で一般会計の歳出決算を終わります。
 引き続き、特別会計の決算について御説明申し上げます。
 334ページをお開き願います。平成10年度岩手県県有林事業特別会計の決算について御説明申し上げます。
 まず、歳入でありますが、337ページをお開き願いまして、収入済額の合計は52億8、337万円余で、その主なものは、一般会計繰入金及び県債であります。
 次に、歳出でありますが、343ページをお開き願いまして、その支出済額の合計は52億3、132万円余で、その主なものは、公有林造林資金の元利償還、293ヘクタールの新植、1万677ヘクタールの保育などに要した経費であります。
 次に、繰越明許費5億4、786万円余についてでありますが、これは、国の経済対策に係る補正予算に対応した事業費であり、事業期間等の関係から繰り越しを余儀なくされたものであります。
 次に、344ページをお開き願います。平成10年度岩手県林業改善資金特別会計の決算について御説明申し上げます。
 まず、歳入でありますが、347ページをお開き願いまして、収入済額の合計は20億1、261万円余で、その 主なものは、貸付金元利収入及び繰越金であります。
 次に、歳出でありますが、349ページをお開き願いまして、支出済額の合計は11億7、029万円余で、その主なものは、木材産業等高度化推進資金貸付金及び林業改善資金貸付金であります。
 次に、350ページをお開き願います。平成10年度岩手県沿岸漁業改善資金特別会計の決算について御説明申し上げます。
 まず、歳入でありますが、収入済額の合計は5億1、691万円余で、その主なものは、貸付金収入及び繰越金であります。
 次に、歳出でありますが、353ページをお開き願いまして、支出済額の合計は2億962万円余で、その主なものは、経営等改善資金貸付金であります。
 以上で林業水産部関係の決算について説明を終わります。よろしく御審議のほど、お願い申し上げます。

〇折居委員長 ただいまの説明に対し、質疑はありませんか。

〇谷藤委員 早速の御指名いただきましてありがとうございます。
 それでは最初に、部長が陳謝された部分にかかわりまして、大迫町の補助金の受給をめぐる問題について若干質問させていただきたいと思います。
 この問題をめぐっては、本来は当事者である権限を有した地方振興局長が責任を負うべきものではないかとは思うわけですけれども、今後とも、こういう問題が起きた本当の原因はどこにあるのかということを明らかにしておく必要があるんだろうと思って質問させていただきます。
 振興局には、これまで地域経営の主体ということで、本庁からさまざまな権限を積極的に委譲してきたようですけれども、振興局長がそれらすべてに責任を持って対応できるような人的体制とか仕組みがつくられてこなかったことに、そもそも原因があるんじゃないのかと思っておるんです。権限だけがおりてきて、依然として縦割り組織での事業執行で、局長が最終的に責任をとる体制になっていないことが問題ではないのか。当然、法令違反等の事実があったのはそのとおりで、今後気をつけるのは当たり前のことでありますけれども、むしろ根源的な問題は、分社化というのを一生懸命進めようとしてきたわけですけれども、その弊害といいますか、権限のみを委譲することに走り過ぎてきたと。むしろ、その意味では部長も被害者であるけれども、なかなかその体制の中ができていないところで権限だけをどんどん委譲した、そういう中でのこういう事故であったのではないかと思うわけです。このような根源的な問題は、分社化を進める上で早急に是正する必要があると思うわけです。そのような対応こそが、本当に県民に対して責任を果たしていくことにつながっていくのではないかと思っているんですけれども、部長のお考えをお聞かせいただきたい。

〇佐藤林業水産部長 このたび、花巻地方振興局における林業関係の交付金の補助金の交付事務についての不適切な事務処理、関連して、振興局の体制に問題があるのではないかといった趣旨の御質問でございます。委員も御承知のとおり、振興局の充実を図るということで、本庁からの事務事業の委譲を現在進めております。私ども、林業水産部関係の事業につきましても、平成8年度につきましては、これは林業関係でございますけれども、振興局に八つの事業、それから9年度におきましても4事業委譲しております。この中には補助金の交付事務も入っております。そういった事務の委譲に当たりましては、その委譲に見合った人的な配置といいますか、そういうこともやっているわけでございます。
 今回の事件につきましては、私は、担当職員が関係の法令とか事務処理規定を十分守らなかった、そういった基本的な事項が遵守されなかったこと、あるいはまた、その上に立つ管理監督者が十分なチェック機能を果たさなかったという、いわば組織という問題よりも、事務処理の問題の方がむしろ大きいのではないかと認識いたしております。
 そういうことで、今後におきましては、振興局は、これから地方分権というものが実行段階に入ることになるわけで、地域の視点に立った県政の推進が求められている中で、きちんとした事務処理をしていくことがまず大事だと思います。それから、ただいま委員から御指摘のございました組織の体制、あるいはそれに伴う人的な配置、そういったいわば事務処理だけではなくて、体制整備というものについても心がけていかなければならないと思います。特に、今回の場合は林務関係でこういう不祥事といいますか、不適切な事務処理がなされたということでございますので、少なくとも、林務関係の部署におきましては、組織が一体となって事に当たるように全力を尽くしてまいりたいと考えております。

〇谷藤委員 いずれ、権限の委譲も含めて、地方振興局を充実させていくことは結構なことなんです。ところが、権限だけ委譲して、人的なものとかを含めて、それが追いついていかないというようなことでは、こういう間違いがまた起きていく可能性もあるわけですので、やはりそれはきちっと体制を整えていくんだというようなことがなければならないと思っております。部長は機会あるごとにこの問題が、ある間、いろいろな集まりに出るたびに、まくら言葉のように済みませんばかり繰り返して大変お気の毒だと思いますけれども、県全体の林業の振興、また水産の振興を含めて頑張っていかなければならない部長ですから、元気を出して、ぜひ今後とも県勢発展のために頑張っていただきたいと思っております。
 もう1点、本県の森林の評価についてお伺いいたしたいと思っております。
 森林は、地球の温暖化ガスの一つである二酸化炭素の貯蔵ということで、温暖化を抑制していると言われておるわけです。県内の森林は県土の大体7割以上を占めているわけで、相当な役割を果たしておるわけです。そこで、林業技術センターで樹木の炭素量などを試算して評価したと伺っておりますけれども、これはどういう内容だったのか、お知らせください。

〇小田島林政課長 これは、林業技術センターの方で、一応、土壤における炭素蓄積量が約2億トン、森林全体の炭素蓄積量が6、449万トンで、二酸化炭素の吸収量が年当たり228万トンという炭素換算をいたしたところでございます。

〇谷藤委員 これはちょっと通告していなかったのでばたばたしてしまいましたけれども、いずれ、岩手県の7割を超えるような広大な面積を森林で補っているわけですので、大都市の分を、逆に地方はカバーしているという部分があるわけですので、これらを都会に向けて、岩手の持っている、果たしている役割、これらを大いにアピールしていく必要があるのではないのか。ある意味では、森林交付税とかにもつながっていくことではありますけれども、岩手の果たしている役割、これらをもっと中央にどんどんアピールしていく必要があると思うんですけれども、これらについての何か決意があればお答えいただきます。

〇佐藤林業水産部長 今度新しい林業基本計画をつくったわけでございますけれども、この新しい計画では、従来の木材生産を中心としたものから、森林の持つ公益的な機能というものをより明確に打ち出す、そういう視点に立っての計画の内容になっているわけでございます。
 ただいま委員の方からお話ございましたように、本県の場合、8割近い面積が森林面積ということで、公益的な機能として水源涵養でありますとか、あるいは土砂流出の防止、さまざまあるわけです。そういうことで、一応価格として1兆9、000億円という機能としての評価が、これは林野庁の手法に従って算定した経緯もあるわけです。そういった森林の持つ機能をこれからどんどんアピールしていくということは、私どもも大事だと思っています。幸い、この森林に対する関心も大変強くなっております。そういうことで、前に総務庁で調査したアンケートによりましても、森林への親しみというものが、全国調査ですが、90%近い数字になる。そういうことで、こういう機会をとらえて、また新しい計画もつくりましたので、森林の持つ機能、あるいは岩手県の果たす森林あるいは林業の役割というものを大いにアピールしていきたいと考えております。

〇田村(正)委員 今、森林の環境浄化の役割という話で谷藤委員の方から出たわけですが、実は、農政サイドの方では、緑の政策ということで、今度700億円もかけて直接支払制度というものが創設されたわけです。そういった創設するに当たっての審議会の審議過程で、森林の重要性、森林に対してどうすればいいかという論議もかなり活発にされたと聞いております。そういう面からも、今の谷藤委員の質問にもまさに関連するわけですが、やはり林業として国に具体的にそういった緑の保全という面、環境の保全という面からも要望していく時期ではないのかと思っているんですが、具体的にそういったものが出てきているのか。農政関係の審議の中では、もう既に林業の部分も考えるべきだという議論がなされているわけなんですが、どういうものでしょうか。

〇佐藤林業水産部長 森林あるいは林業の果たす役割というのが最近変わっている。そういう中で、林野庁におきまして、現在、森林・林業・木材産業の基本問題検討会ですか、そういうことで、今後の森林、林業あるいは木材産業のあり方について、この7月に一応報告が出されております。その中でいろいろな課題が取り上げられておるわけでございますので、それを踏まえまして、現在、国の方で、ただいま田村委員の方からお話がございましたような事柄を含めて検討されているということでございます。そういうことで、今、直接支払制度の話もございましたけれども、そういう点についても、現在、この検討会の報告をもとにして、報告の中にも、今の直接払いの関係が記述されているということになっておりますので、今の点についても、今後、国の方で検討されていくのではないかと承知いたしております。

〇中屋敷委員 先ほどの谷藤委員の大迫町の補助金関係の事務について一つ、私も、確かに今回の手順は悪い、それはそのとおりだと思いますけれども、それでは補助金交付事務の流れで、果たして岩手県とか、特に雪の多い地域にとっては、今の国から移設した補助金事務の流れが適正なものかどうかと思っておるんです。例えば、全国画一的な補助金事務で、年度会計をとっているから、やっぱり3月31日までにやらなければだめだということはわかるんですけれども、それは西高東低で全然気象条件も違う。少なくとも豪雪地帯あたりは、多分岩手県全域豪雪地帯になっています。特豪はまた別ですけれども、豪雪地帯あたりは何か軽減措置があってもいいのかと思っているんですけれども、その辺を部長、これは林業水産部長ばかりではなくて、補助事務を持っているいろいろな担当はいろいろな考えがあると思うんです。思っていらっしゃると思うんです。実態は3月31日までにつけなければならないと思っても、多分、多くの例では、形式上は3月31日までにつくっても、実質的には4月の頭とかになっていて、これは悪い表現なんですけれども、出納閉鎖期までにどうにかなればいいよという形の中で実態はあると思うんです。これは県に限らず市町村もですね。
 そういった中で、東北6県とか、豪雪地帯とか、同じような気象条件とか地理的条件の中で、補助金事務の流れでぜひ何か、年度会計はそうだけれども、特例措置みたいな形の中でやってもらいたいというような動きはあるのかどうか。また、部長は今、現実にそういうことをどう考えているか、ちょっとお伺いしたいと思います。
 私は、できれば東北6県とか、新潟とか、豪雪地帯を持っているところは、そういう連携をもって国の方に働きかけてもいいのではないかと。でなければますます実態は厳しく──確かに、今の流れであれば今回の事務は絶対悪いと思います、それはそのとおりやってないわけですからね。それはわかるんですけれども、実態としていろいろな流れがあると思うんですが、その辺はどうお考えになっているか、お聞かせ願いたいと思います。これから、多分その実態を踏まえて、いろいろな主管部長会議とか、流れの中でもそういう話題を提供していくつもりがあるのか、お伺いしたいと思います。

〇佐藤林業水産部長 会計年度にかかわる問題なわけですけれども、いずれ、東北6県、本県も含めて積雪地域におきましては、どうしても事業の執行というのが円滑に進みにくいというのがまさに実態だろうと思います。そういう中で、今委員おっしゃるような会計年度を──言葉はちょっとあれですけれども、ずらすとか、そういう動きが、あるいはそういう要望があるかどうかということについては、私、直接は承知いたしておりません。ただ、お答えにはならないと思いますけれども、いずれ、現在国あるいは県も含めまして、地方団体も含めて、そういう会計年度の制度が確立されている中で事業を執行していく、あるいはそれに伴う金の支払いといいますか、そういう制度が基礎になってさまざまな関連した制度が構築されているわけでございます。いずれ、私どもとしてはそれを遵守していくというのが、法律なり制度を守るという立場からは、そういうことではないかと思っております。

〇中屋敷委員 その分は十分承知して、例えばそういう動きをやらなくてもいいのかと。確かにそれはそうです。今、だれもが書類上、会計年度で3月31日までの、多分その前の完成ということになっているんでしょうけれども、そういう動きを、ぜひこういう結果も踏まえて──私は、今回の事実はわかりません。ただただいろいろな状況でやったのか、多分担当者も、善意に解釈すれば、一生懸命やったけれども、用地取得とかいろいろな事情があってできなかった。はっきり言えば、実態的に無理なんですよ。2月補正で対応して、3月までにつくれと言ったって、実際に私も無理だと思うんです。その辺は明らかに明許繰り越しか何かになるという部分はあっても、実際は明許繰り越しをやるにしても、手続が1月とか2月の初めでなければだめだというような実際の流れがあるわけです。
 そういったときに、これは林業水産部長ばかりではないんですけれども、持っている中で検討しながら、ぜひそういう特例措置というか、あくまでも会計年度は会計年度だけれども、例えば豪雪地帯だとか、その部分についてはこういうものも認めますよというのを働きかけてもいいのかなと。これは、多分岩手県だけじゃなくて、東北6県とか北陸とか、そういう雪の多い地帯は思っているので、ぜひそういうことも検討されるよう、また、いろいろな会議を通じて要望されるよう。むしろ、冬季を考えての発言ですので、一生懸命頑張ってもらいたいと思います。

〇佐藤(正)委員 それでは、私から質問をいたします。通告してありますからね。
 一つは、林業が不振の折、岩手の木炭が見直され、多用途に使われている。木炭の生産、品質の状況はどうか。これが一つ。
 もう一つは、例の大迫の補助金の不正問題でございますが、これは実は根が深い。深いところを言うとそっち側のマスコミが喜ぶから余り言われないんだけれども、これは相当根が深い。ただ、知事以下、こうしてみんなが申しわけないと、ただいまもまた、谷藤委員からも非常に当を得た質問がございました。私はこれはやりません。やらないが、一言申し上げるが、これは例えば総括で企画振興部長が二度とやらないなんて言ったって、二度とあるんですよ、これは。やらないと言ったって必ず出てくるんだから。だから、そのチェック機能をどうするか、そのシステムをどうするかなんだよね。だれも見てないところに金が落ちていれば、拾うのは当たり前なんだ。だれか見てると、これは拾えないでしょう、届けなきゃだめだから。だから、そのチェック機能をどうするか、簡単なことなんだよ。それを怠っているからこういう問題が起きる。また、次出ますよ。また出ます。
 一つ出しましょう。いいですか。私のところに、今、投書が来ているんです。どういう内容かというと、私の近くの人、同じ部落の人がこういうようなことをやっているというので、役場に行って担当者に言ったら受け付けてもらえなかった。それで、どういうわけか私のところに投書が来た。どういうことかというと、江刺市の林業業者に林業改善資金600万円を平成6年に貸し付けて、バックホー1台を買っておりますが、この業者は、この機械は平成9年度に県に無断で売却しており、その後はレンタル機械を使っている。これはわかっているわけだ、ちゃんと言ってあるんだからね。これは貸付金の目的とは違うんじゃないですか。どうですか。これの監査とか監督は、当局ではどうなっているんですか。だから、これは幾らでも出てくるんだよ。いいですか、これはどうなっているんですか。あなた方本当に、二度とやらないと言ったって、監査とか監督はどうなっているんですか。
 だから、大迫の問題はいいから、この二つについて。

〇溝上木材振興課長 最初の木炭の生産の状況と品質についてお答え申し上げたいと思います。
 本県の木炭産業の状況を申し上げますと、現在6、300トン前後でございます。この生産量は、9年度以降、木炭の生産量は景気の動向等とかなり大きな関係がありまして、若干減少の傾向にございます。そういう中でも生産量全体から見ますと、国内の約4分の1が岩手県産の木炭ということで、岩手県の木炭の場合は、黒炭が生産の大部分でございます。そういう中で、木炭全体の輸入の割合が大変大きい状況がありまして、外国木炭との競合ということで、木炭価格がちょっと低迷気味という状況で、生産者にとりましては、現在大変厳しい状況にございます。
 そういう中におきまして、品質の確保というのが大変大きい課題なわけでございます。このために、岩手県の場合、岩手大量窯、製炭窯ということで庭先製炭をやっております。この窯は収炭率も高く、品質の向上を図るためのさまざまな工夫もなされている窯ということになります。
 それから、品質につきましては、木炭品評会とか技術指導、そういうものが頻繁に木炭協会で行われておりますし、特に品質につきましては、平成7年にPL法が施行になったわけですが、これを機会に、岩手県の木炭協会におきましても、出荷者の表示とか木炭の使用方法について明示して出荷するようにしておりますし、この際、特に規格については、切炭については6センチという長さにそろえたパッケージをつくりまして、これによって規格のとれた木炭の出荷をするというような状況でございます。
 こういうことで、現在の生産体制の整備と安定出荷、それから品質の向上に向けた取り組みを、木炭協会ともども現在実施しているところでございます。
 それから次に、改善資金の関係については、今、委員からも発言があったわけですが、昨年来、会計検査もありまして、その実態を調べたわけですが、今の事例について具体的にちょっと把握しておりませんので、今後の調査で対応してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

〇佐藤(正)委員 把握していないって、あなたの方で監査やっているんでしょう。そういうすぐうそを言うから後になってばれるんだよ。近所の人がこうして投書してよこしているんです。投書だか何だか知らないけれども、役場に行って語ったら役場で受け付けてくれないという、それはそうだろう、これ木材業者となると地元では有力者なんじゃないのか。だから、有力者じゃないのが行ったってこれはだめなんじゃないか。そんなことわからないってどうするんですか、あなた、またごめんなさいか。だめだよ、そんなことじゃ、言ってみなさい、はっきり。

〇溝上木材振興課長 今は実態をわからないと言ったのは、具体的な事例がわからなくて申し上げましたが、昨年度の調査の段階で江刺市における売却の問題は把握しておりまして、それについては繰上償還の措置で──措置と言ったらおかしいですが、対応をとっております。ただ、その案件と、今、委員言われた案件と同一のものかどうかちょっと把握できなかったものですから、先ほどそういう答弁をさせていただきました。申しわけありませんでした。

〇佐藤(正)委員 そんなにたくさんあるのか。どれだか把握できないと、そんなにたくさんあるのか。言われたときはわかっているんでしょう。体が震えているんじゃない。私のところに来ているのは、江刺市の、ここはちゃんとある部落が書いてあるんだけれども、林業業者だな。バックホー1台を購入で必要だというので林業改善資金、これは先ほど部長から説明あったとおり林業の貸付資金というのを出しているわけだ。この600万円、平成6年6月に貸し付けております。ところが、この借りた人は平成9年3月──私これは調べたんだから──に県に無断で売っ払ってしまった。どこに売ったか知らないけれども。その後、格好つけて、機械をレンタルで借りて、その機械じゃなく同じようなのを借りてそして使っているわけだ。だから、9年の年度末で償還の残高が360万円、国庫補助金240万円あるわけでしょう。わからないことないでしょう、あなた、そんなこと。そういうことをみんなしてかばうからいよいよ出て、大迫町の話じゃないけれども、これだって私調べたらまだまだあるよ。最後にはこういうことになるんだよ。そうしてみんな、ごめんなさい、ごめんなさいの大合唱だ。これじゃ言ったってもう効き目ないぞ。だから言っているんです。どうなんですか、それ。もう一回言いなさい。

〇溝上木材振興課長 昨年度、会計検査を受検するに当たりまして、林業改善資金で貸し付けいたしました機械の関係につきましてその実態調査を実施しております。その際、出てきた事例につきましては、ただいま申し上げました1件のものが、処分されていたものが1件ございまして、その案件につきましては繰上償還の措置をとって繰上償還をさせております。ただ、全額がまだ返還にはなっていない状況にございます。

〇佐藤(正)委員 だから、あるんでしょう。私はこういうのを来たのは事実かどうかと聞いている。この人、役場に行ったらさっぱり受け付けてもらえないからというので私のところによこした。私のところに来られても私も困るけれども、だけどやっぱり一応語らなくてはならないから。あるんだから、だからちゃんとあるならあると言って、そして今後こういう対応をしますと。だから、最後になるとまた、これはまた部長がまたごめんなさいと言わざるを得ない。部下がしっかりしなければだめだよ、それでは。あなた、ちゃんときちんと調べて報告しなさい。委員長、お願いします。終わり。

〇折居委員長 はい。次に移ります。

〇伊沢委員 私も総括で大迫町の問題も含めて、この間いろいろ県庁の部分で不適正があったということで、組織を挙げて対応していただきたい。一人一人の職員は頑張っているんだ、そういう意味でいろんな意味での対応策をぜひお願いをしたいと思います。これは質問ではありません。
 2点お伺いをしたいと思います。森林の保護といいますか、いろんな公益的な効果も含めて、過日、新聞を見ていましたところ、岩手県でも林業公社とか県の中で森林ボランティアということで、植樹なり育林を含めて大変な取り組みをしているというふうなことを聞いたわけであります。昨年度いろんなところでやっているかと思うんですけれども、そういった部分についてぜひ状況をお示しいただきたいと思います。
 また、県民なりほかの県の方もこれは来ていると思うんですけれども、森林に親しみながら林業に対する理解なり、森林の持つ言ってみれば多面的機能を含めて理解をさせるためには、大変有意義な取り組みではないかなと思うわけであります。今後さらに推進をしていくべきではないかなと、こう思うわけでありますけれども、本県におけるこの森林ボランティアに対する取組状況、また今後の推進対策についてお伺いをしたいと思います。
 もう一点続けて聞きます。松くい虫対策の部分でお伺いをしたいわけであります。森林病害虫等防除の関係で多くの予算が出ているわけであります。また、本県でも松くい虫の被害が出てから20年ぐらいになるのかなと思うわけです。私ども県外調査で南の方によく行く機会があります。松がほとんど枯れている状況、そういった部分を見ると、岩手県もいずれこうなったら大変だなと思ってます。また、去年雫石で地震のあった日でありますが、9月3日の日に岩泉でマツタケの全国大会といいますか、名前を忘れたんですが、佐々木大和委員も一生懸命やっている部分で、私も岩泉に行かせていただきました。ちょうどその日に地震があったわけでありますが、ほかの県から来られた方、とりわけ広島県等の皆さんは、岩手県はこれからの松が残っている部分を含めて、マツタケ等々含めたそういったものの最大の生産県になるんでないかということを言っていたわけであります。そんな中で本県でも松くい虫の被害が出てきていると思うんですけれども、まだ南の方でとまっているんではないかなという感覚を私持つわけです。これまでの取組状況、今どのような状況になっているのかをお知らせいただきたいと思いますし、林業技術センターの方で松くい虫に対する抵抗性のあるそういう育種を含めてやっているやに聞いているわけであります。これまでの研究の状況なり、今後これらが本県における松、アカマツの総合対策を含めてどのような方向になっていくのか、その辺の取組状況についてもお伺いをしたいと思います。よろしくお願いします。

〇近藤緑化推進課長 まず、森林ボランティアの活動の取組状況と今後の推進対策ですが、取り組みとしましては、県では平成8年度から国民参加の森林づくり推進事業を実施し、その推進協議会にボランティアの登録を行って、活動場所の情報等の提供を行うとともに、本年度は県民参加による森林整備の普及啓発を目的としましたボランティアの参加による岩手県植樹祭、それから軽米町における林野火災跡地の復旧造林及び県民の森における枝打ち等の育樹活動を実施しているところであります。このほか岩手県緑化推進委員会が推進します森と海づくり体験の集いや、市町村及び各種団体等が企画するボランティアを対象とした森林整備活動が県内各地で開催されているところであります。また、本年度は新規事業としまして新たにみどり世紀の森づくり推進事業を実施しました。これはボランティア活動で使用する枝打ち等の機材を整備しまして、ボランティアの活動に貸し出しをしているところであります。
 今後の推進としましては、平成11年──今年度ですが──はボランティアの活動の参加者が延べ約2、800名ほどになっておりまして、年々増加する傾向にあります。新しい林業基本計画におきましても、ボランティア等の県民参加の森づくりを進めることとしております。したがいまして、今後とも県民が森林ボランティア活動を行うために必要な活動場所の確保だとか機材の整備等を継続して行うとともに、ボランティアに対する情報の提供、技術の指導、それからボランティアの指導者に対する研修などを支援しながら、森林ボランティアの自主性を尊重しながら、なお一層このボランティア活動が促進されるように努めてまいりたいと考えております。

〇黒澤松くい虫対策監 松くい虫関係についてお答えいたします。
 最近の被害の状況でございますけれども、本県で松くい虫の被害が最初に確認されましたのは昭和54年でございまして、その当時の被害量は約500立方メートル、被害市町村数は30ございました。その後、被害量は徐々に増加してきまして、平成7年度には前年度の気象条件等の関係もございまして、過去最高の1万5、000立方メートルということになってございます。以後は1万立方メートル以上で推移してございますが、昨年平成10年度の被害量は9年度に比べまして6%増加いたしまして、量は1万3、500立方メートル、被害市町村数は18ということで、市町村数は減少しております。現在、北上地方振興局管内以南が主な被害地域でございますが、2年ほど前から一部花巻の南部、こちらの方でも少し被害が見受けられるようになってございます。平成8年度から被害のある地域とない地域に防除監視帯、こういうものを設けてございまして、いずれ被害地域が北上しないように、拡大しないように現在努めておるところでございます。
 それと病気に強い松の育種関係でございますが、これにつきましては県の林業技術センターの方で昭和62年から国の林木育種センターと共同で開発について取り組んできてございます。平成10年度までに比較的抵抗性が強いものを選抜いたしまして、現在33系統が国の1次検定に合格してございまして、現在2次検定に向けていろいろ作業しておるところでございます。現在は既存の採種園の中からこの1次検定に合格いたしました系統から暫定的に強い種子、そういうものを採取し、提供してございます。今後につきましてでございますが、いずれ国の2次検定等を経まして平成15年度を目標に採種園を造成しながら、最終的には平成22年度ごろから松くい虫に抵抗性のある種子が配布できるのかなと、こういうふうに考えてございます。
 それと対策につきましては、これまで予防対策あるいは被害の起きたところにつきましては駆除対策、そういうものを総合的に実施してきたわけでございますが、秋田県等でも被害がふえておると、こういうこともございまして、隣接の県とも現在連携を強化しながらシンポジウムの開催をいたしたり、そういうこともいたしてございますし、いずれ先ほど申し上げました平成8年度に設置いたしました防除監視帯、これから北上しないように引き続き努力してまいりたいと、こういうふうに考えております。

〇伊沢委員 ボランティアの関係で大変な参加があるということをわかりました。今後もやるということでありますが、これは追加でちょっとお聞きしたいんですけれども、植林、植える部分では余り危険性はないのかなと思うんです。私も盛岡の市民の森で岩洞湖のわきとか、それから都南のつどいの森で植樹祭があるときには参加をした。それから、枝払いのときにも行ったことがあるわけですけれども、ボランティアに参加する人たちへの技術の教え方といいますか、そういった部分では最善を期さなければならないと思うんですね。けがをされた際のボランティア保険等々含めてあると思うんですが、その辺の扱いはどうなっているのかなということ1点お伺いをしたいと思います。
 それから、松くい虫の関係は今わかりました。いろいろと研究されているという部分あるわけですけれども、たしかマダラカミキリですか、マツノザイセンチュウを運ぶもの、これはやっぱり鳥類の保護も含めて今後必要なのかな。昔は薬をまいたおかげでそういった鳥類もいなくなって、天敵がいなくなったことで広がったんでないかといういろんな部分もあるわけですので、今、育種奨励研究されているその成果が出るように、ここはなお御努力をお願いしたいと思います。1点目の部分についてお答えをいただきたいと思います。

〇近藤緑化推進課長 危険に関してということですが、一応県でもって実施するボランティア活動につきましてはすべてその保険はかけてございます。技術の習得という面では、いわゆる下刈りだとかせいぜい枝払い段階までで、機械を使うような段階のものについては今後いろいろ検討しながら、指導とか何かに出ていくかということは考えていきたいと思っています。

〇伊沢委員 林業の担い手がなかなかいないという部分もあるわけでありまして、こういったボランティアを通じて、言ってみれば林業に対する理解度を深めながら今後生まれてくるのかな。ボランティアでもってこの林業労働者を確保するということにはならないと思いますけれども、同時並行的に進められることをお願い申し上げまして終わります。

〇阿部(静)委員 209ページの県産材にかかわって質問をいたします。県産材の需要拡大について岩手県は県としてどのような対策をおとりになり、その結果に対してどう評価をなさっているのか、端的にお伺いをいたします。

〇溝上木材振興課長 県産材の需要拡大につきましては、昨年10月に岩手県木材利用推進方針、こういう方針を定めまして県内におきます公共施設の木造化の推進、それから土木関係事業における中小径材の利用促進について現在いろいろ進めております。そういう中で公共施設への利用についてはまだ取り組みについたばかりでございまして、顕著な成果というのはまだあらわれてはおりませんけれども、中小径材の利用につきましては、県の土木部だけでなく建設省関係等の御理解も得ながらさまざまな面で活用していただいて、その結果、8年度に比べますと10年度はおおよそ9倍ほどの利用実績という大きな成果があらわれてきております。

〇阿部(静)委員 学校及び公共施設の内装等あるいは建築そのもので建材が使われて、その促進に県が御努力なさっていることに敬意を表します。大きなものだけでなく、いわゆる間伐材等を使いながらその需要にこたえていくという方策の部分はいかがでございますか。

〇溝上木材振興課長 学校等の内装材も含めた木質化の推進でございますが、先ほど申し上げました推進方針に基づきまして、県庁内に40課ありますし、地方振興局の12カ所を含めまして、県庁内におきまして連絡会議を設置しております。この中で、余り長期にわたる計画というのはございませんので、2年ないし3年の計画を把握しながら、その中で木造化、木質化の推進についていろいろ協議しながらお願いしております。関係各課とも県産材利用によります木質化、木造化についてはかなり御理解が得られているんじゃないかと考えております。最近の例で申し上げますと、高校のプールの上屋が木造施設で建てられる等の事例も出てきております。
 それから、間伐材の利用でございますが、間伐材については利用の8割ほどが製材品として活用されております。残りが丸太とか、それからさまざまな原材料として活用されておるわけですが、製材品として活用されるものについては安定した需要があると考えられますが、丸太とか原材料としての使い方、これらの利用拡大は重要な課題でございます。この中小径材という視点から先ほど申し上げました土木資材としての活用を図るということで、関係機関、団体より成りました中小径材推進ネットワーク等、こういういわゆる連絡組織を設けましてその安定的な供給と安定的な使い方、こういうものを現在協議しているところでございます。

〇阿部(静)委員 これは木工品の中に入るんでございましょうか。今、学校給食の食器のプラスチック製というんですか、その害について問題になっているわけでございますが、地域の特産として大野村等では木製品の食器を使用している。ただ、その単価が高いというようなこと等がネックになっているようでございますけれども、それらに対する県としての技術開発であるとかというものの指導体制、それからまた、校舎におきましても、かつては校舎改築及び改装の場合なんかも廊下は木製ではだめ、管理棟の部分も床は木ではなかった。それが改正をされまして随分木材、木が使われるようになってきておりますし、小規模校等の改築におきましては3階まで木造建てが許可されたというかかわりの中で、県内を歩いて見ますと小規模校舎の木造というのがとってもいいんですよ。何とも言われないその木の香りがいたしまして心が安らかになるような雰囲気に包まれてまいります。そういう点をアピールしながら、何とか県産材需要拡大に向けての対策の強化をとっていただきとうございます。
 最後ちょっと、専門家にお聞きをしたいのですが、かつて自然を大事にするということで、割りばし使用を何だか悪いことのような感じがして、私も自分のはしを持って歩いて、レストランや食堂で使ったことあるんですよ。現実には割りばしというのは自然破壊につながるのでしょうかどうか教えてください。

〇溝上木材振興課長 割りばしにつきましては、余り、製品によりましてさまざまな製品がありまして、ちょっとその実態はわかりづらいんですが、どちらにしろ端材を使っての生産というのが大部分というふうに認識しております。そういう意味では木材の全体の需要拡大という面から申し上げますと、端材利用ということでございますので需要拡大に結びつくと思いますし、それから先ほど自然破壊との関連と言われましたが、いわゆるそういう大径材から──大径材というより普通の用材から生産されるという例はかなり少ないんじゃないかと考えております。

〇斉藤委員 最初に森林開発公団林道事業費にかかわってお聞きをします。
 大規模林道川井住田線について。昨年の地元での説明会では、ルートの変更、トンネル化を検討するという説明がありましたが、これはどうなっているでしょうか。
 猛禽類の調査、これが10年度、11年度と行われていますが、その中間報告の内容について示していただきたい。

〇佐藤林業水産部長 大規模林道川井住田線に関連しての御質問でございますが、まずルート変更あるいはそのトンネル化についてでございますが、緑資源公団では稜線部の自然樹林帯の保全、あるいは土石流危険溪流に配慮いたしまして、ルートの変更あるいはトンネル化の可能性を検討するために、ことしの11月初めから来年の2月末にかけて未着工部分の地表面の地質調査、あるいは尾根部の弾性波探査などの基礎的な地質調査を実施していると聞いてございます。
 それから、第2点の猛禽類の調査の関係でございますが、これにつきましては川井住田線の横沢-荒川区間の大規模林道計画路線周辺におきますクマタカを中心とした猛禽類の生息状況を把握することを目的といたしまして実施しているわけですが、4月から8月までの営巣期の調査を終わりまして、9月から12月までですけれども、非営巣期の調査を現在実施していると聞いております。8月に示された中間報告書によりますと、まず第1点は横沢-荒川区間の計画路線から約1.5キロメートルないし3キロメートル離れた3カ所でクマタカの営巣地が確認されたということでございます。
 それから、第2点といたしましては、今後の計画路線の一部はこのうちの横沢上流ペアの行動圏やタイマグラぺアの行動圏、さらに高利用域に含まれるものと考えられるというふうな内容になっております。
 さらに、今後の工事に関連してのことでございますが、これらの付近での工事に当たっては、工事の実施時期とかあるいは工法等への配慮、あるいは一度に多数の工事車両が連なって通行しないような工事計画をする等により、クマタカに対する影響を最小限にとどめるようにと、そういうふうな報告がされております。

〇斉藤委員 私も中間報告書を読ませていただいて、大変大事な中身が、今、部長の答弁にもあったけれども、もうちょっと正確に言いますと、三つのペアは、この計画路線周辺に三つのクマタカのペアが生息そして繁殖していると。それで、計画路線との関係で1.何キロメートルと言ってますけれども、既にできた、いわば工事車両が通る路線、ここからわずかのところに実は営巣地があるんですよね。私はそういう点では本来この区間というのは事前にこのような調査がされていたら、今の路線自身が見直されなくてはならなかったようなところで工事が進んでいる。それで、計画区間自身が高利用域に含まれているということ、そして既につくられた工事区間がそういうふうな、最も微妙なところを通っていると。これから工事とのかかわりで工事の配慮ということを言われているけれども、もしこれが道路が通ったら本当にこの三つのペアの繁殖にかかわるようなところを通るような路線になってしまうわけですね。私はそういう点で、やっとルートの変更、トンネル化の本格的な検討が始まったようですが、去年は何キロメートル工事が進んで、ことしは9月以降どこまでやるんでしょうか。工事を進めながらこの変更を検討するということは、私は矛盾すると思うけれどもどうでしょうか。

〇菊池森林土木課長 川井住田線の昨年度の実績につきましては……、済みません、ちょっと手持ちのあれが。
 その前に済みませんが、一応三つのペアがいるということでの対応の仕方の件でございますけれども、一応距離からすれば1.5キロメートル、それから一番遠いので約3キロメートルという計画路線等の距離があるわけですので、これは現在の環境庁あるいは林野庁のマニュアルを一応クリアしてますので、今後とも猛禽類等と共生する形で配慮しながらやっていくことで支障ないんじゃないかと考えるところであります。
 それから、もう一つの昨年度の実績でございますけれども、ことしで63.3キロメートルで、川井住田ですけれども大体88.2%の進度でございます。今年度の、両側300メートルずつでございますけれども、それの進度で90.5%という状況でございます。

〇斉藤委員 私が指摘したのはこういうことですよ。部長も答弁されたけれども、工事用車両が上記3ペアの営巣地付近を通行するなど、林道建設に伴いクマタカの生息に影響を与える可能性があると、いわば工事車両が通るというのはできた道路ですよ。それ自身が、本来このような調査が事前にやられていたら、つくれないような道路だったのではないかと、これが一つ。
 あと二つ目に、今やっている工事、計画区間、こことのかかわりで工事をどうするか、ああするかということになっているけれども、ここは高利用域だから。大事なのは道路ができたときにどうなるかということなんですよ。今でさえ工事車両が気をつけて通らなくてはならないようなところが、道路ができたらどうなるんですか。そういう問題がここでは提起されているんではないか。
 そして、三つ目に聞いたのは、去年何キロメートル工事が進んだんですかと、ことしは何キロメートルやるんですかと。いわば微妙なところに差しかかっているときに、ルートの見直し、トンネル化が検討されているんでしょう。これは工事をストップして検討すべきなんですよ、あの奥産道のように、本来やるんであれば。ところが、もしことし工事が進んでいるとなれば、高利用域と言われるところの工事が進むことになるから、私はそのことを聞いているんですよ。去年何キロメートルやって、ことしは何キロメートルやるのかと、それは矛盾しないか。

〇佐藤林業水産部長 まず最初に、去年の実績でございますけれども、平成10年度は開設工事はやっておらないと聞いております。それから、今年度は横沢側、それからタイマグラ側からそれぞれ150メートルの開設工事を実施するということで、これは工期といたしましてはことしの10月15日から12月17日という一応予定というふうな、内容としては伺っております。
 それから、今回の中間報告を踏まえての御質問がございましたけれども、いずれ緑資源公団ではこの中間報告を踏まえまして、営巣期間中は工事は中止すると、そういった意味での工事の実施時期への配慮ということ。それから、工事車両の速度の制限であるとか、あるいは低騒音の機械の使用、あるいは発破使用、そういったものについては見合わせるとか、そういった工法の工夫をしながらクマタカに対する影響の回避、低減に努めながら工事を実施していると伺っております。
 そういうことで、私どもといたしましては今回のモニタリング調査の中間報告を踏まえまして、公団の方では環境の保全に十分配慮しながら工事を実施していくと、あるいは実施していると受けとめておるわけで、ぜひそういった観点に立って、自然環境に十分配慮した事業を推進していただきたいと考えているところでございます。

〇斉藤委員 ちょっとかみ合わないからこれ以上はやめるけれども、私が言ったのは、三つの営巣地があって、工事車両が配慮して通らなくてはならない。だから、工事中もそういう事態だと、道路ができたらそういう配慮をしなくてはならない道路になってしまうんじゃないのと私は言っているんですよ。それともう一つは、ルートを見直す、トンネル化を検討すると言いながら、ことしそれぞれ150メートルずつ300メートル工事して進めるというのは矛盾しないかと、こういうことを言ったんですよ。だから、奥産道にしても湯田の広域林道にしても問題があったときにはストップして、結果を待って工事を再開するわけでしょう。私はそういう点では、県の事業だったらいつでもそうやっているのに、公団の場合は工事を進めながら見直すということであれば矛盾するということを指摘したのだから、ひとつそれを踏まえてやってください。
 次に、海区漁業調整費にかかわってお聞きをします。海区漁業調整委員会費が7、303万円決算額として示されています。これに関連してお聞きします。
 増田知事が選任した海区漁業調整委員会会長鈴木氏は、御承知のとおり、出身母体である大沢漁協から除名をされました。県漁連理事の当選無効を求める漁民の署名は1万115人、38漁協、正組合員1万3、870人の72.9%に達する賛同署名であります。こうした漁民の声を前に、鈴木氏はみずから会長就任を断念表明しました。大沢漁協組合長ら少なくない漁民は、すべての職務をやめるべきだと求めています。鈴木氏を学識経験者として海区漁業調整委員会の委員に推薦、選任してきた県として、大沢漁協から除名された理由を具体的にどう認識しているか。1万人を超える理事当選無効の署名が集められた理由についてどう認識しているか。私は県漁連の理事としてふさわしくないと、漁民から審判、批判された人物が学識経験者として海区漁業調整委員にはふさわしくないと考えますが、いかがでしょうか。制度上、知事が選任したこの海区調整委員は解任を求めることができると思いますがいかがでしょうか。

〇佐藤林業水産部長 前漁連会長の鈴木氏に係る御質問でございますが、まず第1点の、大沢漁協の組合員を除名された理由ということでございます。これにつきましては、ことしの6月に開催されました大沢漁協の、これは第1回の臨時総会、その提出議案によりますと、除名の理由といたしまして、出資金の払い込みあるいは賦課金の納入、その他組合に対する義務を怠ったこと、あるいは組合の事業を妨げる行為をしたこと、それから法令等に違反し、その他組合の信用を著しく失わせる行為をしたことというふうに認識をいたしておるわけでございます。
 それから、第2点の、県漁連理事の当選無効の署名が集められた理由をどういうふうに考えるかということでございます。これにつきましては、県漁連理事選挙のやり直しを求める要求書というふうなものを承知しておりますけれども、これによりますと、組合員を除名された鈴木氏は理事に選ばれる資格を失っており、総会決議をやり直し、当選無効を確認することというふうに認識をいたしております。
 それから、学識経験として海区漁業調整委員会の委員に任命することについての制度的なお話でございますが、漁業法の規定によりますと、都道府県知事は特別の事由があるときは解任することができるというふうな規定になっております。

〇斉藤委員 みずから前組合長を務めていた大沢漁協、ここから除名をされたと、その理由は漁協に対して背信行為があったと、こういうことですよ。そして、県漁連理事の解任を求めるという署名、これは大沢漁協から出発して、県下漁協のあるすべての地域で1万人を超える賛同の署名が寄せられた。私はこういう自分の出身の漁協から除名されるような人物を県が推薦して海区調整委員の委員として、今、会長としてやっているわけですけれども、成り立たないんじゃないかと思いますよ。最後に制度上は解任できるとなっているわけだから、これいつまで、漁民から審判を受けた、漁協からそういう背信行為ということで厳しい批判と処分を受けている人が、海の議会と言われる海区調整委員の委員であり、会長におさまるということは、私は漁協を指導する県の態度が問われていると思いますがね。その点についてもう少しお聞きしたい。事務的なことではなくて今度は中身の問題として、矛盾しないのか。

〇佐藤林業水産部長 鈴木氏に係る海区漁業調整委員の選任の問題についてでございますが、制度的なお話につきましては先ほどお答えしたとおりでございます。いずれこの件につきましては、9月の定例県議会の本会議におきまして知事からも答弁されているわけですけれども、いずれ平成8年の知事選任委員の人選に当たっては、鈴木氏には豊富な経験などを十分に生かして、来年8月までの任期を全うしていただきたいと考えているというふうな答弁があったと記憶しておりますけれども、いずれそういうふうな形で県としては取り扱っているということで御了承いただきたいと思います。

〇斉藤委員 それはもう知事がそう言っているから部長としては答えられないという答弁だね。これはぜひ委員長、最終日に知事を呼んでやっていただきたい。これは世話人会でひとつ検討していただきたい。
 それで、この問題だけではなくて、例えば解任をされてからその後もこういうことがあった。一つは、この鈴木氏が漁船保険料の料金も納めてなかった。これは満期を過ぎても納めてなかった。こうなりますと組合に本来800万円入る国庫補助が400万円に減らされる。こういうことで4カ月過ぎてから渋々納入したようですけれども、本当に県漁連の理事を辞任してからもこうした事態が続いているんですよ。さらには、イカ釣りの禁止区域の問題でも、山田の漁民がことしの5月に500メートル禁止区域が拡大するというので、知らなかったと、これはもう本当に漁民の死活にかかわる問題だということで緊急の要望がありました。それで、この構図を見ますとこうなっているんです。県の定置網漁業協会、この会長が鈴木氏、そして海区調整委員会の会長が鈴木氏、県沿岸漁船漁業組合、この組合長は鈴木氏なんですよ。いわばみずから定置を持って、そして定置網協会の会長も務める、また漁船漁業組合の組合長も務め、その調整をする海区調整委員会の会長も務めている。自分が会長をするところで話をして、漁民は全く知らないうちに操業禁止区域が拡大されてしまった。こういうことでそもそもこういう体制が問題なんじゃないか。本来これは調整する資格ないですよ。それぞれの利害団体の会長、組合長としてやってて、自分がそれを調整する会長だと、これはおかしいんじゃないでしょうか。どのように漁民の声を聞かれたのか、この禁止区域の設定に当たって、県はわかりますか。

〇武市漁政課長 イカ釣りの漁業の禁止区域のことに関しまして、県内沿岸漁船漁業組合と県定置漁業協会、それぞれの漁業者が入っているわけでございますが、それぞれで調整の結果を受けて、会長は鈴木氏だったわけでございますが、やはりその中には役員もあるわけでございますから、独断専行でやれるわけじゃなくて、それぞれの調整の結果を受けて海区委員会に諮って、海区委員会におきましても出席委員全員の賛成を得て委員会支持としてなったものでございます。そして、今回の問題は確かに沿岸漁船漁業組合の中で、その最終案に対しまして合意をする段階で、いろいろ異議を申し立てました傘下の山田湾の船主会の意向が十分に把握されていなかったというところが、そういった調整不足から生じたものだと、そのように認識しております。

〇斉藤委員 私は海区の議事録も見させてもらった。その検討で議案が出されて、意見なしですよ。何も討論されていないで決まってしまっている。そして、実際には一番死活にかかわるイカ釣り漁業者には知らせてなかったと。そして、その構図は、私が言いたいのはその構図は、漁船漁業にしても、定置にしても、海区にしてもみんな鈴木氏が取り仕切っている構図に一番の問題があるんじゃないかと言っているんですよ。ですから、委員長、これはぜひ選任した知事を呼んで最終日にやっていただきたい。検討していただきたい。

〇武市漁政課長 その三者の構図と、検討した段階は確かにそれぞれの組合等のトップは鈴木氏が務めていたわけでございますが、8月9日の役員会で県の沿岸漁船漁業組合の組合長は鈴木氏から現在の県漁連会長にかわってございまして、現在その沿岸漁船漁業組合の中でこの問題について調整中と聞いております。したがいまして、沿岸漁船漁業組合の中で調整が図られたならば、その後また業界内で再調整を図りまして、海区漁業調整委員会の委員会指示の変更要望がその中で出されたとすれば、そこでまた再度海区委員会に諮られるんじゃないかと、そのように考えております。

〇斉藤委員 さっきでやめようと思ったんだけれども、私が指摘したのは、いわば一番肝心なイカ釣り漁業者が知らないでそういうことが決められてしまったと、今調整していると言うけれども、決めてからの調整なんですよ。そういうことがなぜなされるか。そして、海区の調整委員会ではなぜそれがまともに議論されないかというところに私は問題を指摘したので、そのために海区の調整委員会自身が、残念ながら漁民の立場に立った公正な審議がされていない、そこの根本のところにその会長問題があるんじゃないかという私のは指摘なんです。そういうことでひとつ取り計らっていただきたい。

〇折居委員長 斉藤信委員から申し出のある知事出席の件について、世話人会を開き協議願うために暫時休憩します。
 世話人の方々、委員長席にお集まり願います。
   午前11時55分 休 憩
 
   午前11時57分 再 開

〇折居委員長 再開します。
 斉藤信委員に申し上げます。知事出席の件ですが、まず斉藤信委員の発言の趣旨を踏まえ、再度執行部に答弁させることで御了承いただきたい。進行に御協力いただきたいと思います。

〇佐藤林業水産部長 ただいまイカ釣り漁業禁止区域の問題にかかわる質疑がございましたけれども、いずれこの問題につきましては、新しい県沿岸漁船漁業組合長のもとで再度調整中と伺っております。したがいまして、その調整の中で十分に漁民の方々の意見が反映されるような形で、また海区漁業調整委員会に、もし必要があれば提出されて審議されるということになるよう望んでいるということでございます。

〇斉藤委員 ちょっと私が求めたのと全然違う答弁。そういう鈴木氏を海区調整委員として、学識経験者として引き続き県が推薦すると、お願いするということ自身に私は問題を指摘したんだから、こういう答弁をするから知事の出席が必要なんです、委員長。はっきりしたんじゃないですか。全然違いますよ、今の答弁は。

〇佐藤林業水産部長 海区漁業調整委員会の委員の選任につきましては、いずれ先ほど答弁申し上げたような趣旨の答弁を知事がされておるわけですけれども、あわせてまた次期の海区漁業調整委員会委員の選任に当たりましては、海区漁業調整委員会の設置目的や役割、またその時点における本県漁業の状況などを総合的に勘案しながら、厳正に人選をしたいと考えているというふうな答弁でございますので、御了承をお願いいたします。
   〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕

〇水上委員 今の斉藤委員の話ししているのは、答弁でなく、委員長が世話人会を開いた結果だけ、たしか報告すればいいと思いますから。

〇折居委員長 議事進行の件について。今、水上委員からの議事進行は、まさにそのとおりでございまして、まず知事はこの席に呼ばないということを世話人会で決めたということを御了解いただきたい。
 それでは、この際、昼食のため1時まで休憩したいと思います。
   午前11時59分 休 憩
 
   午後1時3分 再 開

〇折居委員長 休憩前に引き続き質疑を行います。
 ほかに質疑ありませんか。

〇佐々木(俊)委員 先ほど、午前中斉藤委員がお話になりましたイカ釣り漁場の禁止区域の問題であります。これは、先ほど関連でやろうかと思ったんですが、知事を呼ぶ話に行っちゃったものですからちょっと関連しかねておったので、一言申し上げたいと思います。
 先ほど斉藤委員おっしゃるように、禁止の指示、これは海区調整委員会の指示でございますので、規則、法律に準ずる極めて強いものであります。それが現在有効になっているわけであります。あのいきさつについては、先ほどるるお話がありましたので、いわば裁判官も検事も弁護士も同じ人だった、被害を受けたのは零細漁民だという話になるわけであります。そこで、漁民たちは被害を受けるわけですので、抗議を申し込んだ。これは、林業水産部の管轄でございませんで、海区調整委員会という独立した機関でございますので、そっちの方に抗議を申し込んだ。そうしたところ、いやもう皆さんの意見は聴取済みだ、いや違うと、いろいろ論議し合った結果、やっぱり聴取に手落ちがあったということで、じゃもう一回聞いてみましょうというところに進んでいった。
 そこで、私が申し上げたい一つは、いやしくも県のそういう機関が正式に決定して公布したものを、抗議を申し込まれたらもう一回検討しましょうという、そんなに権威のないものなのか。そういうやり方があるから、海区調整委員会は問題があるといつも指摘されるのではないだろうかと。これは、ここにおられる部長以下、答弁し得る課題でございませんので、まずこれは一つ申し上げておきます。
 ただ問題は、そういうことで、漁民の方々の抗議に対しまして、再度協議をしてみますと言ってからおおむね半年近くなると思います。しかし、ことしの漁期も間もなく終わるわけですが、ことしは何か近年最大の大不漁ということで、まさに年を越せるのか越せないのか、関係業者は四苦八苦というよりは、もう最近はやりの措置を講じようかという本当に気の毒な状態に落ち込んでいるわけです。
 しかし、これは利益を受ける定置業者、被害を受けるイカ釣り漁業者、これはいずれも県知事が免許をし、あるいは営業許可を出しているものでありますから、林業水産部として放っておくわけにはいかんと、こういう関係が出てくるんですが、その後の協議の結果はどのように進んでおって、果たして1回出した調整委員会指示が変えられる見通しにあるのかどうか、変えられない状況にあるのかどうか、どのような見通しを持っておられるのか、お知らせいただきたい。

〇武市漁政課長 再度の協議の状況でございますが、8月9日に県沿岸漁船漁業組合で理事会を開きまして、この問題を協議いたしまして、その後、イカ釣りの漁業者、それから定置協会、沿岸組合で再度協議をしてございます。しかしながら、沿岸組合の理事会でいろいろ調整案を出してイカ釣り漁業者と協議しておるわけでございますが、現在のところ、まだまとまっていないというところでございます。しかし、これから、漁期がほぼ終わった段階でまた詰められると思いますが、海区漁業調整委員会の方は、県沿岸漁船漁業組合の意見が集約されて定置協会との調整が図られ、そして海区漁業調整委員会に指示の変更の要望が提出された段階で、改めて速やかに委員会を開催してこの問題を諮っていく、そのように進むと思います。

〇佐々木(俊)委員 本来でありますと、少なくとも権威のある指示を出したわけですよね。これは本来、そう簡単に変えられるべきものではない。県のいろいろな諸規則だってそうです。文句がついたから、じゃ変えましょうかということ、またそういう指示を出す責任者が、先ほど来聞いていますと、本県最大の学識経験者だ、有能な方だということですけれども、そういう権威のないことでは今後困るわけであります。しかも、何か申し入れがあれば再度考えると、こう言っているそうだという答弁でありますけれども、やっぱり現実に困っている漁民がここに存在して、しかも自分たちは相談にもあずからないでそういう処分を受けたという何百人の零細な人たちがいるわけですから、ひとつ林業水産部は強くこのことを訴えて、海区調整委員会に猛省を求めて、きちっとした納得のいく措置を講ずる、こういう決意をし行動すべきだと思いますが、いかがですか。

〇武市漁政課長 今、佐々木委員からいただいた趣旨を海区調整委員会に伝えて、円満な解決が図られるように努めてまいりたいと思います。

〇折居委員長 ほかにありませんか。

〇伊藤委員 今の問題に関連して一つ私もお聞きしたいと思うのであります。
 組織でありますから、当然、理事会なり役員会なりを設けて議論して、そうした中の集大成として方向性をまとめて運営していくというのが組織なんだろうと思っております。先ほどの斉藤委員のいろいろな質問の中に、理事会を開いても一言も意見が出ない。意見が出ないということは、それではさっぱり運営になりませんから、そういった場合には、恐らく執行部が原案を提出して、それで異議なしと、こういうことで行くんだろうと思います。したがいまして、海の代表たる各理事の人たちが、本当に漁民のためを思って、これではいかんということであれば、机をたたいてでも議論をし、徹夜でも議論をし合って方向性を見出していく、そういう部分が私は、そういう組織の理事会なり、役員なり、役員会なり、そういうものだと実は理解しております。ですから、議論がないということ自体が問題なのであって、議論をしない理事さんたちが本当に漁民の代表だったかという部分が実はあるんじゃないかと。私は、組織論から行くとそういう部分があると思うんです。ですから、議論がない、ではこの会をどうしましょうと言えば、当然、執行部原案のとおりと、こういうことになっていくわけでありまして、大いに議論していくことが結構なことと思います。万機公論に決すべし、どんどん議論していただいて、それぞれの立場を代表する方々が正論を吐いていただいて、ぶつけ合っていただく、こういう部分にあるんだろうと思います。そういう指導こそが県がする指導だと思いますが、担当課長の御意見を伺いたい。

〇武市漁政課長 何も議論がないというのはちょっと、そこまでということはないとは考えております。しかし、委員の今の御趣旨のとおり、これからの水産業を元気のあるものにしていくためには、漁業者がその内部で真剣になって協議していくことが大切かと思いますので、我々も一緒になって、大いに議論しながら、水産振興のために頑張ってまいりたいと考えております。

〇折居委員長 ほかに質疑ありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇折居委員長 質疑がないようでありますので、林業水産部関係の質疑をこれで終わります。
 次に、農政部長に農政部関係の説明を求めます。

〇佐藤農政部長 平成10年度決算の御説明の前に、大迫町における農政部所管事業に係る不適切な事務執行があったことに対しまして、心からおわび申し上げ、そのてんまつを御報告いたします。
 本事業における経緯ですが、大迫町ではぶどうの丘の整備の一環として、コテージと共同入浴施設を設置する計画のもとに、国庫補助事業である山村振興等農林漁業特別対策事業を導入することとし、平成10年2月に補助金交付申請書を花巻地方振興局に提出し、同年3月、振興局が補助金交付決定を行ったものであります。
 ちなみに、補助金の交付決定時期が年度末となったのは、平成9年度の2月県議会における補正予算措置に基づく補助枠からの採択のために、3月に入ってからの交付決定となったものであります。
 当初、町では、ぶどうの丘においてコテージと共同入浴施設を一体的に整備する計画でありましたが、向山森林公園に設置するモニュメントを共同入浴施設から明確に眺望できるよう、当初計画した場所からコテージの建設予定地に移動したため、新たなコテージ建設候補地の地権者交渉に臨むこととなったものであります。
 町は、新規に用地取得に臨んだものの、地権者との交渉が折り合わず、最終的には共同入浴施設建設地に隣接する民有地と別な町有地とを交換することで決着したところでありますが、こうしたことから用地確保に日時を費やすこととなり、コテージの建設は、事業完了期限である平成11年3月25日には完成されず、結果として6月11日に事業が完了したものであります。
 以上の経過でありますが、町からは、平成11年3月25日付で事業完了届が提出され、これを受けた県の検査担当者は、3月30日の完了検査において、コテージの整備事業が完了していないことを知りつつ、4月に入って間もなく工事が完成するとの町からの説明を受け、早期完工しか対応の手だてがないとの判断のもとに、工事完了確認書を作成したものであります。
 こうした経過から、平成11年4月20日付で提出された補助金交付請求書に基づき、花巻地方振興局は5月17日に、未竣工であったコテージ相当分646万円余を含む3、622万円の補助金を支出したものであります。
 以上の調査結果でありますが、コテージが完成していないことを知りつつ、間もなく工事が完成するとの大迫町の報告をもとに補助金を支出するなど、事務処理に適正を欠く面がありました。農政部といたしましては、再発防止に向けて12月6日付で部内関係課公所に対し、適正な事業執行の確保について指示したところでありますが、今後は二度とこのような事態を招くことがないよう適正な補助事業の執行に努め、県民の信頼の回復に向けて全力を尽くしてまいります。
 重ねておわび申し上げ、以上で報告を終わります。
 続いて、平成10年度農政部関係の決算につきまして御説明申し上げます。
 初めに、平成10年度の農業の概要と農政の推進状況について申し上げます。
 平成10年度は、7月中旬以降の低温や日照不足、8月以降の多雨により、水稲の作況指数は96のやや不良となったものの、農家の方々の適切な管理によって、県平均での一等米比率は88.8%で全国3位、東北1位となり、県産ひとめぼれは5年連続特Aになるなど、県産米の品質向上に向けた成果があらわれた年であります。
 また、米の緊急生産調整推進対策が実施され、関係機関、団体と一体となって、稲作と転作が合理的に組み合わされた体質の強い水田農業の確立に取り組んだところであります。
 さらに特徴的なこととしては、本県農産物の信頼性を高めイメージアップを図るため、本県独自の認証制度を創設したほか、南部杜氏の里にふさわしい酒造好適米として、岩南酒13号、愛称吟ぎんがでありますが、これを奨励品種としたところであります。
 また、平成10年6月には、本県農業の歴史や現状の展示、農業体験学習の場として、さらには農業・農村の果たしている役割や機能について広く県民の理解を得るため、北上市の農業研究センター内に農業ふれあい公園を開所したところであります。今日の農業・農村は、農業労働力の減少や高齢化の進行、農産物の需給緩和などさまざまな課題を抱えておりますが、本県のすぐれた立地特性を生かした農業の確立と活力に満ちた農村の形成に向け、各般の施策を展開したところであります。
 それでは、決算の内容につきまして御説明申し上げます。
 まず、一般会計についてでありますが、平成10年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開き願いたいと思います。
 農政部関係は、6款農林水産業費のうち1項農業費、2項畜産業費、3項農地費でありますが、このうち、農政部の予算現額は1、396億8、664万円余、16ページの11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費のうち23億6、252万円余を合わせた、予算現額では総額1、420億4、916万円余であります。これに対する支出済額は1、187億4、148万円余となっております。
 また、平成11年度への繰越額は、6款1項農業費から3項農地費及び11款災害復旧費までの33事業で232億5、838万円余であります。繰越の主なものは、国の第3次補正予算に係る経済対策関連予算の補正措置に対応したものであり、工事の施工期間等の関係から繰り越しを余儀なくされたものであります。この結果、予算現額に対する支出済額の割合は83.6%となるものであり、また、県の一般会計決算額に占める農政部の割合は12.9%となるものであります。
 以下、個々の内容につきましては、便宜、平成10年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げます。
 なお、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に御説明申し上げますので、御了承願います。
 歳入歳出決算事項別明細書の178ページをお開き願います。6款1項1目農業総務費は、人件費など、農政部の管理運営に要した経費であり、国土調査事業費は、地籍調査等に要した経費について助成したものであります。次に、2目農業金融対策費の主なものでありますが、農業近代化資金融通対策費、農家負担軽減支援特別資金利子補給は、農業者等の資本装備の高度化による農業経営の近代化等を図るため、農協などが貸し付けた制度資金に対する利子の補給を行ったものであります。次に、180ページに参りまして、3目農業構造改善対策費の主なものでありますが、地域農業基盤確立農業構造改善事業費は、農業・農村の活性化及び望ましい農業経営体を育成するため、土地基盤整備、近代化施設整備、集落の環境条件の改善等に要した経費について助成したものであります。なお、繰越明許費の15億6、746万円余は、地域農業基盤確立農業構造改善事業費の国の経済対策関連予算の補正措置のうち、年度内の完成が困難となり、翌年度に繰り越したものであります。以下、同様の事情によります事業繰越が関係する目にありますが、その説明は省略させていただきますので、御了承願います。次に、4目農業改良普及費の主なものでありますが、12カ所の農業改良普及センターの管理運営に要した経費であります。次に、182ページに参りまして、5目農業振興費の主なものでありますが、山村等振興対策事業費は、定住環境の整備、都市との交流促進対策等に要した経費について助成したものであります。新いわて農業再編総合対策事業費は、収益性が高く、地域ごとに特色ある農業への再編を促進するため、土地基盤、共同利用施設等、生産から流通に至る各種の条件整備に要した経費について助成したものであります。次に、182ページから185ページにかけての6目農作物対策費の主なものでありますが、いわて純情米いきいき生産体制確立事業費は、低コスト、高品質の生産体制の確立を図るため、推進指導、共同利用施設整備など、ソフト、ハード両面の各種事業に要した経費について助成したものであります。共同利用施設等条件整備事業費は、平成9年度から繰り越したもので、生産コスト低減のため、その核となる育苗施設カントリーエレベーター等の整備に要した経費について助成したものであります。次に、7目畑作振興費の主なものでありますが、農業生産体制強化総合推進対策事業費のうち、県産麦・大豆生産流通高度化対策事業費は、高品質の麦・大豆を安定生産できる主産地を形成するため、実証圃の設置、集団営農用機械の整備導入等に要した経費について助成したものであります。野菜産地総合整備対策事業費は、国際化の進展に対応した特色ある高付加価値型農業の推進や共同利用施設等、野菜産地力強化のために要した経費について助成したものであります。次に、186ページに参りまして、8目北上奥羽山系開発費の主なものでありますが、広域農業開発事業償還金は、農用地整備公団が事業主体となって実施した北上山系8区域、奥羽山系2区域の県及び地元負担金を同公団に償還した経費であります。9目植物防疫費の主なものでありますが、病害虫防除所管理運営費は、病害虫の発生予察、防除指導、農薬安全使用指導等に要した経費であります。次に、188ページの10目農業協同組合指導費の主なものでありますが、農協系統組織再編促進事業費は、岩手県農業協同組合中央会等が組織の再編を促進し、農協の経営の健全化に要した経費に対し助成したものであり、農業協同組合経営改善特別対策資金貸付金は、債務超過農協に対する支援事業を実施する岩手県農業協同組合中央会に対し、支援原資の積み立てに要する資金を貸し付けたものであります。次に、11目農業共済団体指導費の主なものでありますが、農業共済団体等事務費補助は、農業共済に係る事務に要した経費について助成したものであります。次に、188ページから191ページにかけての12目食糧管理費の主なものでありますが、地域米消費拡大推進対策事業費は、米の消費拡大等を推進するため、岩手県米消費拡大推進協議会等が行った米消費拡大イベント、米料理教室等の活動に要した経費について助成したものであります。次に、13目農業研究センター費でありますが、センターの管理運営及び試験研究に要した経費であります。次に、14目農業大学校費でありますが、大学校の管理運営及び教育環境の充実を図るための整備に要した経費であります。次に、192ページをお開き願います。15目蚕業費の主なものでありますが、繭安定供給体制整備事業費補助は、繭の安定供給及び生産、出荷体系の実証のために要した経費について助成したものであります。
 次に、2項1目畜産総務費の主なものでありますが、管理運営費は、人件費など管理運営に要した経費であり、岩手県肉牛生産公社経営改善対策費は、同公社に対し無利子資金の貸し付け及び長期借入金への利子補給を行ったものであります。次に、194ページの2目畜産振興費の主なものでありますが、畜産再編総合対策事業費のうち、地域畜産再編対策推進事業費は、29市町村において地域畜産の活性化を図るため、生産集団等が行う活動に要した経費について助成したものであります。次のページの家畜畜産物価格安定対策事業費は、肉用子牛等の価格低落時に生産者補給金を交付するため、岩手県畜産物価格安定基金協会が行う積み立てに対し助成したものであります。次に、3目草地対策費は、畜産関係の公共事業がその主なものであります。畜産基盤再編総合整備事業費は、岩手中部地区ほか3地区において、草地造成及び家畜排せつ物処理施設等の生産基盤、経営基盤の整備に要した経費について助成したものであり、県営畜産経営環境整備事業費は、総合的な畜産経営の環境整備を図るため、畜産の生産基盤及び家畜排せつ物の処理施設等の整備に要した経費であります。次に、198ページに参りまして、4目家畜保健衛生費は、家畜保健衛生所の管理運営、家畜の衛生対策及び伝染病予防対策に要した経費等であります。次に、5目農業研究センター費、次のページの6目牧野費は、それぞれ岩手県農業研究センター畜産研究所種山牧野事務所の管理運営と畜産研究所の整備及び試験研究等に要した経費であります。
 次に、3項1目農地総務費は、農地関係職員の人件費等管理運営に要した経費等であります。次に、202ページをお開き願います。2目土地改良費の主なものでありますが、かんがい排水事業費は、8地区のかんがい排水施設の整備に要した経費であり、農道整備事業費は、広域農道及び一般農道36地区の整備に要した経費であります。また、ほ場整備事業費は、農地等の区画形質の改善を中心に、農道、用排水路等を総合的に整備するとともに、農地の利用集積による農作業の効率化等を図るため、48地区の整備に要した経費であります。次に、3目農地防災事業費の主なものでありますが、防災ダム事業費は、安代町荒沢地区、根石地区の整備に要した経費であります。次のページのため池等整備事業費は、老朽化した施設の改修等10地区、用排水施設整備10地区、土砂崩壊防止11地区の整備に要した経費であります。4目開墾建設事業費の主なものでありますが、開拓地整備事業費は、27地区の道路の整備に要した経費であります。次に、206ページをお開き願います。5目農地調整費の主なものでありますが、農地保有合理化促進費は、農業経営の規模拡大、農地の集団化など、農地保有の合理化を促進するため、岩手県農地管理開発公社が農地の売買、貸借等に要した経費について助成したものであります。
 次に、大きく飛んでいただきまして300ページをお開き願います。11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費1目農地及び農業用施設災害復旧費は、現年災、過年災の713地区の復旧に要した経費について助成したものであります。
 以上が一般会計の歳出決算であります。
 次に、328ページをお開き願います。328ページから333ページにかけて、農業改良資金特別会計の予算現額でありますが、歳入歳出それぞれ18億3、362万円余であります。
 まず歳入についてでありますが、収入済額合計は18億3、984万円余で、その主なものは、一般会計からの繰入金、前年度からの繰越金、諸収入は貸付金に係る償還金等であります。
 次に、歳出についてでありますが、支出済額合計は17億1、622万円余で、その主なものは、農業改良資金及び就農支援資金の貸し付けのほか、この事務の推進に要した経費等であります。この結果、歳入決算額から歳出決算額を差し引いた1億2、361万円余は、翌年度に繰り越しているものであります。
 以上をもって農政部所管に係る平成10年度決算について説明を終わらせていただきます。よろしく御審議くださいますよう、お願い申し上げます。

〇折居委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。

〇佐藤(正)委員 ただいま部長の方から冒頭に大迫の不正事件に対して陳謝があったわけでございます。こうなりますと、知事、副知事、関係各部長全部陳謝したことになるんです。そこで、お隣に座っている三役の1人出納長は、出納長の立場で、今回のこの事件をどういうふうにお感じになっておられるか。また、監査委員は監査委員の立場としてどのような御見解を持っておられるか、これをお伺いしたいと思います。
 さて、部長から説明があったとおりでございまして、本県は農業県であり、本県農業の発展は日本の農業を左右すると言っても過言ではございません。県政の中心は農業にありと、私はこのように位置づけをいたしております。
 部長、あなたは福島大学の経済学部の御出身でございます。ただし、農業関係では、平成7年から2年間次長、平成10年に抜てき、農政部長に就任して一生懸命やっておられる。敬意を表するわけでございますが、あなたには岩手の農業を背負って立つにはちょっと荷が重いと私は思います。平成7年当時から振り返り、10年度決算に目を通し、さらには今回の農業基本法の改正を踏まえての21世紀岩手の農業のあり方というものを、あなた自身のお考えでお示し願いたい。

〇高橋出納長 今般の一連の不祥事についての感想というようなお尋ねでございますが、私ども、支出負担行為を確認するチェック機関としての出納といたしましても、今回の件に関しましては、確認をもう少し十分にやれなかったかという反省もございます。そういう点も含めまして、佐藤委員が林業水産部でお話になりましたように、今回の一連の事件を振り返ってみますと、やはりシステム的な点の改善を図らなければどうにもならんと、こういうような感じを抱いているわけでございます。
 私ども出納の方といたしましては、今回の事件の前から、やはり同様の事件が散見されてきておりますので、チェックのやり方について、特に建設工事につきましては、実地調査要領というものを改定いたしまして、さらにチェックに万全を期すというようなことも措置したところでございますが、今後とも、出納以外の全体のシステムなどにつきましても、各部に再発防止のための指導を徹底してまいりたい、そのように思っております。

〇一戸監査委員 決算特別委員会の総括質疑の際にお答えしておりますけれども、再度、重ねてお答え申し上げます。
 感想というようなことを含めてでございますけれども、総括質疑の際にも申し上げましたが、このような公費の不適正な支出が判明したということは、法令等に違反することはもちろんのこと、県民の信頼を著しく損なったということで、極めて残念なことであります。このような不適正な支出が行われたということは、職員個々の、公務員のモラルの問題、それから、先ほど谷藤委員からもお話ありましたように、システムの関係、チェックシステムが機能していないというようなところに問題があると思っております。
 いずれにしても、このような一連の不祥事ということに対しては、監査といたしましても、より効果的な監査手法等を検討してまいりたいと思っております。
 それから、ちょっとそれるわけでありますけれども、監査の場合は公正普遍な態度で臨むということで、このような、非常に残念なことでありますけれども、うそ、虚偽、ごまかしというような不適正な事務執行に対しては厳正な態度で臨みたいと、そう思っております。

〇佐藤農政部長 まず、農政部長の職責が私にとって荷が重いのではないかと、この御指摘でございます。全くそのとおりでございまして、日々自戒しながらベストを尽くしてまいりたいと考えております。
 平成7年4月からウルグァイ・ラウンド農業合意が実施されました。また、いわゆる新食糧法も同年11月から施行されるなど、新たな国際環境、国境措置に対応した農業政策が展開され、本年7月には、食料・農業・農村基本法が成立し、21世紀の農業・農村が担うべき役割や農政の基本方向が示されたところであります。こうした農業情勢を踏まえて、全国に先駆けて農業・農村基本計画を策定し、また、いわて総合食料供給基地宣言を行ったところでもございます。
 21世紀の岩手の農業のあり方といたしましては、この基本計画に盛り込んだことに尽きると思っておりますが、1点だけつけ加えますと、本県農業は、水田営農、園芸、畜産とも、ほかの主産地に比べて、品質の面におきましてはまさしく全国トップクラスにあるものの、経営規模が小さく、したがって生産コストが総体的に割高になっているところがございます。したがいまして、農業後継者の確保を図る上からも、集落における徹底した話し合いのもとに、主業型農家を中心とした産地づくりや、消費者に喜ばれ、生産者も生きがいが実感できる営農のあり方について農家自身の問題として問い直し、地域農業を再構築する主体的な取り組みが不可欠であり、そうした取り組みに行政、JAが一体となってバックアップしてまいりたいと考えております。

〇佐藤(正)委員 今の、御本人謙遜なさって荷が重いと、私も今のところそう思っているんですよ。みんなそう思っている。そこをひとつ、今おっしゃったことがただ言葉じゃなくて、やってみて、結果がそうなんだから、結果を出さなければいけない。これはぜひ期待したい、こう思っております。
 さて、知事は10月14日県民会館での部課長研修会で、悪い情報ほど早く開示しなさい、よい情報は後回しでよいと、こう述べておられます。10月6日、農林水産委員会において、北上市の和賀有線テレビについて菊池勲委員から質問があり、佐藤部長は、会計検査院や農水省と協議していると述べておりますが、その結果はどうなったでしょうか。
 次に、担い手育成基盤事業についてお伺いします。
 本県では、農業県として大いに力を入れているところでございますが、平成9年度、10年度に、三照地区において担い手育成基盤事業高度利用型第1号工事と、11年度に羽田地区において第1号工事を実施しております。御存じのとおりでございます。この両工事とも、私の調査では、用地取得がおくれ、したがって工事がおくれたにもかかわらず、繰り越しの手続をとらないで完成したように報告し問題になっていると、こう聞き及んでおります。事実でしょうか。事実とすれば、これは補助事業として問題であろうかと思いますので、ひとつお答え願います。
 次に、国営農地開発事業須川地区、通称これを須川パイロット事業と申しておりますが、これについてお伺いします。
 この事業は、昭和32年計画、昭和62年度事業完了、昭和63年度事業負担金の償還開始、予定ですと、平成16年に償還完了の予定ですが、農家はほとんど夢も希望もなく、農地を手放したほかに、借金で財産も売り払い夜逃げした人がおります。平成10年までに関係者何人が農地を手放したんでしょうか。また、その一部をやむを得ず手放した人は何人おられますか、ひとつお示し願いたいんです。
 次に、本県は北海道とともに畜産県としてもその重要性が高いわけでございます。本県における家畜の種類と数量についてお伺いいたします。先般、農業環境関連3法が公布されたわけでございますが、これら家畜のふん尿公害が言われておりますが、その状況はどうなっていますか。
 増田知事は10月18日、アメリカで環境に優しい地熱エネルギーについて格好よく講演を行ったようでございます。私は聞いておりません。私は、岩手の大地に根を張った畜産県にふさわしい、家畜ふん尿に由来するところのメタン発酵により発生するメタンガスを利用したエネルギー発電の方に関心があります。これは農政部と同じだ。あなたたちと同じに、私もこの方に関心がある。知事の言ったのは関心がない。既に先進地、デンマーク、ドイツ、イタリアでは、環境保全の立場から、環境に優しいエネルギーとして、家畜排せつ物処理の規制とあわせてリサイクル事業として国や県の支援がなされているわけです。ドイツでは、肉牛200頭のふん尿処理で1日800キロワット発電し、汚水処理、家庭用に使用して、残りは売電していると聞いております。これは、一関の方に一関ミートというのがあるんです。そこの息子さんが、県でも非常に支援しているんですが、ドイツに在住してマイスターの資格を取って活躍している人なんですが、その人から聞いたわけです。
 本県でも、県畜産バイオマスエネルギー等利用検討懇話会の設立など、取り組んでおられるようですが、本県の家畜のふん尿処理状況、公害状況について重ねてお伺いいたします。
 今後、この岩手における畜産バイオマスエネルギーを開発利用するつもりはございませんか。私は、本県における環境に優しいエネルギーならば、経費のかかる知事推薦の地熱エネルギーよりも、安価で実用的な畜産ふん尿エネルギーの方が岩手県にとってふさわしいのではないか、しかも実現性が高いのではないかと思われますが、これはひとつ農政部長の方からお答えいただきます。

〇佐藤農政部長 何点かのお尋ねいただきまして、私からは、バイオマスエネルギーの関係につきましてお答えさせていただきます。
 ただいま委員からお話のとおり、地球環境に優しいバイオマスエネルギーということにつきましては、大変私どもも関心を高めておりまして、先ほど御案内いただきました岩手県畜産バイオマスエネルギー等利用検討懇話会でありますけれども、本年3月に立ち上げいたしました。これは元の農林水産省畜産試験場場長の山下さんを座長に、岩手大学でありますとか、系統関係団体、あるいは国の財団法人畜産環境整備機構とか、そういった有識者の方々をメンバーに勉強を始めております。このほかに、デンマーク、ドイツに畜産担当者でありますが、実態調査のために派遣いたしております。
 いずれ、この家畜ふん尿由来のメタン発酵により発生するメタンガスをエネルギー源として、発電あるいは温水等に利用する技術がますます高まってきておりますので、できるだけ早く、本県におきましても実用化に向けて鋭意研究を進めてまいりたいと思っております。

〇沢田地域農業振興課長 北上市の和賀有線テレビにつきまして、会計検査院とその後どうなっているかというお尋ねでございますけれども、和賀有線テレビ株式会社は、平成8年に農業農村活性化農業構造改善事業を導入しまして、地域の営農情報、生活情報あるいは行政情報など、多目的情報を農村へ伝達することによりまして地域の活性化を図っていくということで、江釣子地域の1、600戸を対象にしまして、農村 型多元情報システムを整備したところでございます。
 本年6月に会計検査院の実地検査が本県で行われました。その際、多重情報受信機596台が未設置であること、また、タップオフ、これは幹線から個々の農家の庭先に接続します分配機でございますけれども、このタップオフ466個が未設置であるというような講評が述べられたところでございます。
 それで、県は会計検査院に出向きまして、こうした事態になった事情等につきまして説明を申し上げました。多重情報受信機とタップオフにつきましては先行投資であるとの理解をいただいたところでございますけれども、この未接続のものにつきましては、事業主体が今後どのように対応するか明記した改善計画書を出すということで指示されているところでございます。県は、事業主体であります和賀有線テレビ株式会社から提示されました、平成13年度までに加入計画戸数1、600戸、全戸が有線テレビに加入するという内容の改善計画書を提出したところでございます。
 さらに、目標が達成できなかった場合には、その措置方針を明らかにするように指示されまして、現在、事業主体において検討しているところでございます。

〇永嶋農村計画課長 先ほどの国営総合農地開発事業、須川地区についての御質問でございますが、須川土地改良区の昭和63年度と平成11年度の賦課台帳を突き合わせまして農地の移動状況を調査しました結果、農地の全部を手放した方は51名、農地の一部を手放した方は198名でございました。この中には、賦課台帳からの調査ということもございまして、農地の集団化のために農地を交換された方、そしてまた、水田からリンゴ経営に転換されたために農地を手放した方、そしてまた、高齢化や病気により耕作ができなくなり農地を手放した方、また、負債整理のために手放した方等々が含まれていると思いますが、それぞれ理由ごとに人数の全体を把握するためには、相当な長期間を必要とするものと思われております。このために、一部の調査でございますが、サンプリング調査を行いまして、平成9年1月から本年4月までの2年4カ月の状況につきまして、一関市農業委員会の所有権移転にかかわる資料を調べましたところ、農地の全部または一部を手放した方が21名ございました。このうち、相手方の強い要望により手放した方が2名、高齢化や経営縮小により手放した方が6名、病気等により手放した方が3名、農業経営上の負債整理のために手放した方が2名、その他が8名という状況になっている次第でございます。

〇高橋農政部次長 担い手育成基盤整備事業の関係で、三照地区と羽田地区についてお尋ねございました。
 この事業は、両地区とも2カ年にまたがる事業でございまして、契約上は2カ年の予算が併記してございまして、その請負契約の中には、9年はどこまで、10年はどこまでという区分をしてございます。それで、厳密に申し上げまして、その年度区分どおりきちっとやらなければならないというものでございますけれども、工期が6月までということがございまして、3月までにやるべき部分を4月に入ってやったということがございました。これは、厳密に言えば大変まずいことでございますけれども、そうしたことが事実としてございましたが、いずれ工期内にはすべて完了したということになってございます。

〇山下畜産課長 本県における家畜の種類別頭数でございます。
 まず、乳用牛が6万4、300頭、肉用牛が13万1、900頭、豚が40万5、500頭、ブロイラーが1、611万羽、採卵鶏が333万羽と、いずれも全国の上位に位置されております。
 次に、これらから排せつされるふん尿の総量でございます。約428万トンと見込まれておりまして、このうち311万トンが堆肥化などで処理されております。残る117万トン、27%に相当しますが、これが今年11月に施行されました家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律の規制の対象となった、いわゆる野積み、素掘りの状態と推定しております。
 次に、畜産公害の状況についてでありますが、家畜ふん尿に起因する環境問題について、地域住民等から寄せられた情報に基づき指導した件数は、平成10年度において82件でございます。ここ数年、この数字は横ばいの状態であります。その内容は、酪農と養豚における水質汚濁と養豚とブロイラーにおける悪臭が大半を占めております。

〇佐藤(正)委員 農政部はなかなか答弁がはっきりしていいな。
 そこで伺いますが、和賀の有線テレビ株式会社、1、600戸対象ですが、この目標を達成するというが、目標達成ができますか。これが達成できないと、ここにいる菊池勲委員から後でがっちり言われるよ。達成の目標はどうなんでしょうか。
 それから、三照地区の問題ですが、次長はかなり苦しい答弁だった。まずい処置ということは、大迫事件よりも軽いのですか、あの程度なのですか。年度をまたがってやったということはどうなんですか。
 それから、須川のパイロット事業でございますが、21名手放した。その中には年とったからとか何とかと理由をつけたけれども、結局、さっぱりはかがいかないから年とってしまったので、年とったから手放したんじゃないんだよ。さっぱりうまくいかないから手放してしまったので、これは、年とったから、やる人がいなくなったからというのと逆なんだ。この点どうなんですか。
 あわせまして、この須川パイロット事業というのは、僕は当初からかかわっているものですが、部長、あなたは経済学部出身ですから、損益分岐点──損益というのは詳しいわけだ。これは失敗だったでしょう。一言でいいから、あなたの立場からすると失敗か成功か。失敗なんでしょう、それとも成功ですか。それ一言だけでいいです。
 それから、家畜ふん尿によるところのバイオマスエネルギーですが、これは非常に岩手県に見合っているし、私は、これは全国に先駆けてやっても、岩手の農業、畜産というものの名前を上げるに十分だと思うんだな。ぜひ、今部長の御答弁を聞くと非常に意欲的なので、私は非常に意を強くしているんです。これはやっぱり家畜のふん尿公害とあわせて、リサイクルというような意味においても、私は先行き大事だろうと思っているんです。こういう点についてそれぞれもう一度お答え願います。

〇佐藤農政部長 いわゆる須川パイロット地区の件でありますけれども、北上山系のケースでも同様の事情がありますが、施行する前の設計段階での土壤の予測と実際に土をいじった後の土壤の実態と比較いたしますと、例えば酪農地帯を目指す地区にありましては、思ったほど草がとれていないということがあります。それからまた、須川の場合には、大変不幸なことに、開田を計画したわけですけれども、いわゆる米余り、生産調整とすっかりダブってしまったということで、稲作を志向した方が思ったようにできなかった。それから、先ほど申し上げました、土壤条件が悪いというようなことで、経営的に大変厳しいということでございまして、これが成功したとは到底言い切れないと思いますが、そういう事情があったということで御理解を賜りたいと思っております。問題があったということであります。
 それから、バイオマスエネルギーの関係でありますけれども、かなり熟度として高まっておりますが、県南の民間の養豚企業の方が、デンマーク製のシステムを導入してバイオマス発電と、何よりも水を浄化して、きれいな水を循環水として使うとか、まさに完璧なリサイクルシステムを導入すべく、現在検討しているところが1カ所ございます。

〇沢田地域農業振興課長 この事業の計画につきましては、まさしく地域農業の熟度の高い地域に対しまして導入されているわけでございますので、今後、この改善計画の達成に向けまして、事業主体がみずからつくった計画を達成するというのは当然でございますので、まずこれを期待しなければならないと思っております。現在、改善計画の検討をしているようでございますので、その資料が手元に届き次第、確認しまして、今後目標に向かってその改善が達成するように指導してまいりたいと思っております。

〇高橋農政部次長 それでは、先ほどの担い手関係の事業について申し上げます。
 大迫町と比較してどうかというお話でございますが、これは先ほど申し上げましたように、2カ年にまたがる事業でございまして、3月で完成届を出すとかそういったものではございません。ですから、すっかり工期、6月でございましたが、それが全部終わってから完成届を出したというものでございまして、確かに2カ年にまたがる工事でございますから、途中でも出来高検査をしまして、そのできた部分について9割を掛けてお金を支払うと、そういうような仕組みになってございますので、ここで言うのもなんでございますが、大迫町の例ではないと、そのように認識しております。

〇永嶋農村計画課長 先ほどの須川地区の御質問でございますが、この地区につきましては昭和36年に着工いたしまして、完成が昭和62年ということで長期の工期にまたがったわけでございます。この間、開田抑制策もあり、また先ほど部長の方からの答弁もございましたように、地区の中で土壤条件が悪く柔粘土地帯であり排水が悪いというような状況もございました。また、規模拡大を目指した養蚕が非常に安い輸入物に押されるなど、計画どおりの栽培が行われない畑地もあったということでございます。しかしながら、関係者の方で須川地区営農推進対策協議会を組織いたしまして安定した営農の確立に努めているほか、担い手育成支援事業により償還金の負担軽減に取り組んでおります。また、来年度国において創設が予定されております維持管理費の助成事業の導入などについても、今後検討を進めていきたいと考えているところでございます。

〇千葉(伝)委員 ただいま佐藤正春委員からバイオマスの話がございました。畜産環境整備というかそういった観点で、もちろんこのバイオマスというのは将来的な意味では諸外国の例等あるわけで、鋭意それに向けて県が現地まで派遣して研究しているということで、私も将来的な分のこのバイオマスには大きな期待をしているわけであります。ところで、それはそれで現実の問題として、現在畜産農家が抱えているこれは大きな問題だろうと、私、思うわけです。したがいまして、この対策をどのようにするかということが、今岩手県の、先ほど部長が今後の取り組みも含めて力強い言葉がありました。米、そしてまた畜産、園芸、その他の作物を使って岩手県の農業をほかに負けないように頑張っていくと、そういった中でこの畜産問題、私は、環境問題というのは大きな課題だろうと、そういうことで現在ふん尿処理の適正化、今度ことしの11月に家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律が施行されたわけであります。地域の畜産農家等から、いや、何とかこの分についてのいろんな施策を期待しているという話がございます。そういった観点で、部長、この家畜排せつ物の処理に関して県の今後の取り組み、考え方、そういったものをぜひお聞かせ願いたいと思います。

〇佐藤農政部長 来年から具体的にその取り組みを開始したいと思っておりますけれども、平成16年10月までに家畜由来のふん尿の適正処理対策を講じなければならぬわけでありまして、市町村を単位に関係者で協議会をつくっていただきまして、まずその排出する畜産サイドのそのふん尿を完熟堆肥化することによってできるだけ農地に、今も還元しているわけですけれども、もっともっと土づくりのためにも有効利用するシステムが必要だと。ただ、耕種サイドから見ると、いわゆる完熟じゃないととんでもないことになるということで、どういう肥料であれば使いやすいかという、そういう堆肥をつくるサイドと使うサイド、これを両面からバックアップするシステム、これを市町村ごとにつくろうじゃないかと。ところが、特にその畜産主産地域にありましては、その分だけではオーバーしてしまう地域が多いわけであります。そういうところは市町村の区域を越えて調整してあげるという形で、具体的なそれを実行するための手だてはどうあるべきかということを現場現場で、その地域地域でまず洗い出していくと、対策を打ち出していく。それに支援するシステムはどうあるべきかということなわけですが、一つは、畜産農家が自己完結型として広い牧野なり農地を持っていれば、それで還元してもらえばいい。そういう自己完結型もあるだろう。それからまた、堆肥センターを活用した形でのものもあるだろうとか、そういう整備の手法もさまざまありますので、そういった総合的な観点からのふん尿の処理対策を講じてまいりたいと考えております。

〇千葉(伝)委員 いずれこの問題、今までの対策も含めて今後進めていく上で、今、部長御答弁いただいたその中身、いわゆるすべて画一的なそのやり方というのは、これも大変難しい、地域のそのやり方を考えながらやるということになると私も思うわけです。もちろんこういった技術、先ほどのバイオマスも含めて、そのふん尿処理の施設がどういうものが必要だ、それから、そういったものが今までのやり方の中で評価なり今後の研究とか、そういったことがどんどん私は必要だろうと思います。せっかくの畜産研究センターというそういった施設もあるわけで、そういったところのその研究等も鋭意努力していただきたい。これは要望です。

〇菊池(勲)委員 佐藤正春委員に関連がありますけれども、当該委員でありますから月曜日の委員会で質問させていただきます。終わります。

〇佐々木(順)委員 御指名を賜りましてありがとうございました。決算審議は前年度予算をいかに適正に執行され効果をもたらしたのかを総括して、その審議内容を明年度予算に十分に反映させることが基本であると理解しておりますので、こういった観点に立ちましてお尋ね申し上げたいと思います。
 先ほど部長の方から、11年度への繰越金、一般会計の繰越金額は232億5、838万円余とお聞きいたしましたけれども、平成9年度から平成10年度へのものは繰越金は177億3、435万円余であると承知しておりますが、まずこの金額に間違いないかお伺いしたいと思います。

〇河村農政企画課長 ただいま委員から御指摘がありましたように、農政部関係の繰り越しのケースに関しましては、平成9年度から同10年度への繰越額が28事業、177億3、435万7、000円、平成10年度から同11年度への繰越額は33事業、232億5、838万1、000円となっておりまして、委員の御指摘のとおりでございます。

〇佐々木(順)委員 間違いのないという御答弁でしたので、質疑を続けさせていただきます。要求予算額を全部使い切ることは当然ベストでありますけれども、人間は全知全能の神様ではありませんので不測の事態が生じることはよくあることと思います。しかも、現実的に消化困難な予算を無理に執行することによって不適切な結果をもたらすこともまたあります。しかも、また最近では無理をしないで予算を残すことも、これまた美徳という見解もあります。その是非をここで論ずることは私の本意ではありませんが、この数年間、本県が誇りと伝統としているところの食料供給基地岩手という言葉が、行政執行上、余り使われていないのではないかという気がしております。水平社会とか、機会均等、対等・平等が21世紀の重要な価値観であることは十分承知しておりますけれども、繰越金額が前年と比較いたしまして多いということは、私がこれは感じているところでありますが、食料供給基地岩手の強調不足や、その根底にある熱意が不足しているというこの指摘と、予算の繰り越しがふえているということが相関関係がありや否や、農政部長の御見解をお聞きしたいと思います。

〇佐藤農政部長 繰り越しの理由は国の総合経済対策、景気対策の国の予算の成立を待って2月補正で対応せざるを得ない。したがって、大幅な繰り越しを余儀なくされたという事情でございまして、決して岩手の農業基盤整備を促進する意味で少し手を抜いたとかそういうことではございませんで、UR対策で6兆円余の対策が講じられているわけでありますけれども、残念ながら岩手県の圃場整備率は東北の中でもまだおくれている状況にありますので、この関連対策を加速度的に整備する絶好のチャンスということで、積極的な公共事業の対応を行っているところでございます。

〇佐々木(順)委員 それでは、引き続きまして質問を行いたいと思いますが、新農業基本法が38年ぶりに改正制定されました。これはいわば地方分権と省庁再編に匹敵する、明治維新とあるいは戦後改革に次ぐ第3の改革と私は理解をいたしております。当然、先ほど佐藤委員も御指摘いたしましたけれども、農業は国家の基本であります。明治期には勧農ということでありましたし、戦時下は食糧統制、戦後は食管制度と、その時々の政策変更の中にありながらも、瑞穂の国においては米、すなわち稲作が基軸でありまして、これは今後とも、この農政を論ずることは県の行く末、国の行く末を論じることにもなると思います。このようなことから、新農業基本法の精神を踏まえまして、さらにまた農水省の大綱を踏まえまして、本県では水田農業推進基本方針を策定されまして、現在、農業者、各関係団体、それから行政の皆さんと一体となって12年度のスタートを目指し、鋭意取り組んでいるものと承知いたしておりますけれども、一般質問でも申し上げましたが、この成否のかぎを握っているのは政策的には水田の団地化、担い手への土地利用の集積、さらには水田の汎用のための基盤整備、また麦、大豆などの生産、流通の合理化のための機械、施設の助成が円滑に行われることが第一でありまして、中でも各地区における水田農業推進協議会の主体的取り組みいかんにかかっているものと理解をいたしているところでございます。対策期間は5年間と承知しておりますけれども、この5年間の間に食料供給基地岩手にふさわしい期待される成果を私たちは上げなければならないと、このように痛感いたしております。水田農業基本方針の実効性を確保するために、目標年次の数値目標とそれから明年度以降の年次目標数値を設定することも必要であると思いますし、今まで以上に補助金も多くなることから、予算の適切な執行と計画の進行管理に万全を期すべきものと考えますが、農政部長の御見解をちょうだいしたいと思います。

〇佐藤農政部長 新しい基本法のもとで、新しい水田農業推進基本方針という形で、5カ年は総合計画あるいは農業・農村基本計画の前期の5カ年とも符合するということで、大変大事なこの5カ年だと思っております。それで、委員からもお話のありましたとおり、これからの水田営農にあって不可欠なものは、やはり農地の利用集積を高めることとその団地化を進めることがその基本方針だと、これは国の方針でもあります。これが当面、団地化にあっては3ヘクタールもやむを得ない。しかし、早期に5ヘクタール以上の団地化を図ってほしいというステップアップの考え方も打ち出されているところであります。それで、私どもといたしましては、これはちょっと余談になりますけれども、民間の経営者の方から、岩手県人は目標達成能力は確かに高いけれども、自分で目標を設定する能力はさっぱりないと、こういう耳の痛いお話を聞いたことがありますけれども、日ごろやはり私どもの農政の仕事の取り組み方についても、できるだけ具体的な目標を持とうではないかという姿勢でいきたいと思っております。今後の水田営農の関係でも5年後を目標とするその計画を市町村ごとに策定していただくと、これを数値化して、言葉ではなくて数字でもって示せと、こういうことになっておりますので、毎年毎年その進捗度合いをチェックしていくと、進行管理していくということで、予算の財政環境のこともお話ありましたが、やはり事業の重点化、効率化ということは当然のこととしても、この計画を着実に推進していくという姿勢で臨みたいと思っております。

〇佐々木(順)委員 関連してもう一つお聞きしたいんですが、すなわち水田農業の推進協議会の構成、これが一番重要であると思います。当然のことでありますが、農業従事者、市町村は入ると思いますが、やはり生産者サイドのみならず消費者サイド、例えば豆腐の実需者とか、あるいは消費者の方々、こういった方々も入ることによって実効性はさらに確保されるのではないかなと思いますが、その辺の御誘導につきましてはどういったお考えをお持ちなのか、お聞かせいただきたいと思います。

〇河村生産調整対策監 水田農業推進協議会、市町村でつくっていただくということにしているわけですが、いずれ生産から流通までを通じた実効性のある活動をしていただかなければならないということで、生産の関係者のみならず、実需者あるいは消費者団体、こういう方にも参加していただくということで、できるだけその物流の川下を見据えたような、そういう構成になるように、市町村等を指導してまいりたいと考えております。

〇佐々木(順)委員 いずれ食料供給基地岩手の地歩をさらに固めてまいるんだという熱意と決意をにじませた御答弁だと理解をいたしました。最近、新しい標語、こちら、岩手ナチュラル百貨店という標語が花巻市の方の御提案によりまして岩手県の新標語に決定されたようでありますが、いずれこの標語にふさわしい岩手県の県民性、風土、気候に合ったようなみずみずしい農産物を増産していただきまして、消費者に喜ばれるようなそういった農産物を増産し、農業従事者の意欲をさらに高めてくださるよう心から取り組みに対しまして御尽力賜りますようお願い申し上げまして質問を終わります。

〇田村(正)委員 手短に数点お聞きします。
 まず、豚の価格、最近本当に異常な低価格で推移しているんですが、先ほど課長の方からも、本県40万5、500頭ですか、こういった豚の頭数があるというふうなお話もあったわけですが、こういった低価格に対する認識と対応策をお尋ねいたします。
 次に、知事は現場重視主義ということを常日ごろおっしゃっておるわけでございますが、まさに農政部においては農業政策、技術的な面の先頭に立って本当に頑張っておられる農業改良普及員、この方々一生懸命頑張っておられるわけなんですが、この普及員の方々のここ3年ぐらいの人数の動向、これをお示しいただきたいと思います
 もう一点ですが、それに絡んで、その普及員の人数の問題、技術力の問題に絡んで、御案内のとおり農協は合併が進んでおりまして、営農技術指導面が非常に低落しているというふうに私は認識しております。県では膨大な予算をかけて試験研究機関あるいは県立の農業大学校、そういったものを設置しておられるわけですけれども、そういったところでこの農協の営農部門の技術者養成というんですか、そういったものを図っていくべきだと私は思っておるんですが、その辺のお考えはどうか、まずお尋ねいたします。

〇菅原農産物流通課長 田村委員のただいまの豚価の関係についてのお尋ねにお答えいたします。
 委員ただいまお話ございましたように、最近の豚価の状況を見ておりますと、例えば東京の市場なりあるいは大阪の市場におきましても、個々新しいデータにおきましてもやはりキログラム300円台というふうな状況が続いておりまして、国の安定基準価格、これはキログラム370円でございますけれども、割り込んでいるような状況でございます。その要因といたしまして考えられますのは、国内生産は前年並みなわけでございますけれども、輸入量がここ4月から9月の状況を見ますと33万トン、それが前年比にいたしますと123%と大幅に増加していることもございまして、在庫が8万4、000トン、そしてその在庫が前年に比べまして108%というふうな状況にもなっております。これもまた消費の低迷とのかかわりもあるわけでございますけれども、今後いろいろな面で国といたしましてもこのような状況に合わせまして、実は豚肉の調整補完と申しますか、いわゆる安定基準価格を長期間下回った場合に、価格回復のめどが立つまでにいわゆる一応の市場隔離をするというふうな制度がございまして、そのような制度を来週からでも調整補完を行うというふうに聞いておりまして、1万3、000トンほどを買い上げるというふうなことも聞いております。そのような施策によりまして価格の安定が図られることも私たち期待しているところでございます。

〇石川農業普及技術課長 改良普及員の人員の推移とその減少への対応というようなお話でございます。この改良普及員の定数につきましては、県の定数管理計画というのがございまして、それによって見直しをされながら、お話のような人員が減っているというようなことでございますが、平成8年度が293名、現在14名ほど少なくなりまして279名というふうな定数になっております。こうした定数の減少の状況を踏まえまして、平成10年度に農政部の再編整備があったわけでございますが、その中で改良普及センターにつきましても、内部組織を多様な地域課題、あるいは農業者の高度な技術、経営等のニーズに的確に対応できるように3課体制とし、また一部に駐在もあったわけでございますが、それにつきましては本センターに集中配置したというふうなことで整備をしたわけでございます。これによりまして新しい技術の普及、あるいは経営指導などの面について各課の専門性を発揮してもらいながら情報の共有化を図って、各課の連携のもとに組織的・効率的な業務の運営に努めているというようなことでございますが、なお、とにかく普及員の質の向上というのが大事だというふうなお話があるわけでございますが、これにつきましても的確にそういった農業者からの要請なんかにも対応できるように、高度な専門技術を習得するような研修のために国等の試験研究機関、あるいは民間の種苗会社等へ派遣研修を行わせておったり、あるいは何といっても経営指導能力の向上というのが大事でございますので、そういったことでビジネススクールへ派遣したり、あるいは簿記、経営分析のための通信教育講座、こういったものを受講させながら、経験年数に応じた体系的なあるいは計画的な研修を実施して質の向上を図っているというふうなことでございます。今後ともこういった実践指導力の向上を図りながら、市町村あるいは農協、団体と連携しながら産地間競争にも打ち勝つような普及活動の展開に努めてまいりたいと思っております。

〇深水農業経済課長 農協の営農技術指導者の養成についてのお尋ねでございますが、農協の営農指導の充実強化につきましては、県といたしましても従来から、県農協中央会が行っております農協の営農指導員を対象といたしました、農協経営のコンサルタントとしての資質向上のための研修会等を実施する経費についての助成というものに加えまして、検査等を通じて営農指導員の適正な配置あるいは信用事業等の他事業部門との連携の強化、営農指導員の質の向上等、こういったことに対しまして農協に対して指導してきたところでございます。
 一方、農協中央会におきまして農協の区域の広域化、組合員の多様化する営農ニーズに対応するために、JA岩手県営農指導士資格認定制度というものを実施しておりまして、園芸あるいは畜産等の部門におきます専門分野を体系的に教育し、総合的な指導助言を的確に行うことのできる人材を養成しているところでございます。
 県といたしましては、この養成講習の講師といたしましてこれまで現職の農業大学校の教授や農業研究センターの主任研究員、あるいは県の本庁の職員等を多数派遣しているところでございますが、今後におきましては、御提言のありました農業大学校等のその施設、設備等の活用につきまして、農協中央会とも相談いたしまして、協力できるところについて積極的に対応してまいりたいと、このように考えております。

〇田村(正)委員 次に、まさに今の農政の話題の中心になっております中山間地域等直接支払制度というんですか、この制度、一般質問等でもこれは質疑が行われたところでございますけれども、ただ、実際我々──我々というか、末端の農家にはほとんど理解されていないというのが現実なんです。例えば、いやあ、もう1反歩何万円もらえるんだと、もうそういう認識で受け取っているんです。ところが、中身を見てみますと、物すごい縛りで、岩手県でほとんど該当者あるのかないのかというくらいの縛りをつけたこの直接支払制度なんです。そういった意味で、県ではこの直接支払制度というのをどう認識されて、対象になる面積はどのような面積が対象になるのか。そして、金額に換算すれば幾らぐらいなのか。今鋭意努力中だと思いますけれども、概算でいいのでお示しいただきたい。
 今も佐藤委員、そしてまた関連で千葉委員の方からもお話しありましたが、畜産環境の関係の排せつ物ですね。今御答弁では自己完結型あるいは集落による処理型、あるいは大規模な処理型と、こういった三つを想定しておって、そして集落対応型というんですか、そういったものについてはいろんな組織の支援協力がいるんだと、システムづくりが大切なんだというお話承ったわけでございますけれども、集落型、今現実に試行的にやっていらっしゃる方もいます。肥料、堆肥製造ですね。確かにやっているんですけれども、現実の問題としてあの堆肥の製造というのは物すごい悪臭を伴います。周辺1キロメートル以上がもう臭くて住んでいられないというくらいの堆肥製造には悪臭が伴うんです。そういったものを解決しない限りこれはなかなかできない。そういったものをどうお考えになっているのか。そしてまた、良好な堆肥をつくるためにはどうしても稲わらというのが大切なんです。その稲わらの現実は人手不足で、わらにしないで田んぼにもうカッターでかけて仕込んでいるというのが現実なんです。その人手不足の面、わらにしてそのわらをどう畜産農家に運ぶのか、そういった組織づくりというのは私は絶対必要だと。それをやるのはどこかというと、私は、広域合併した農協みたいな組織を有効に利用することが一番肝要だ、それが農協の経営の改善にもつながる、私はそう思っているんですが、その辺のところはいかがお考えですか。

〇佐藤農政部長 中山間地域の件で基本的な考え方といたしまして私からお話し申し上げたいと思うんですけれども、全国の中でいわゆる客観的指標でもって条件不利地域というものを議論した結果、言うなれば傾斜度という一点に絞って、その傾斜度に照らしてそれに土地が地続きのものも含むことになりますけれども、ともかくもそういう客観条件が基準になりました関係で、岩手県でいきますと該当がないという市町村も出ております。それからまた、集落協定、そういう対象、客観基準には該当するんですけれども、具体的な耕作放棄地を防止するためのその土地の利用活動、これが伴わなければ交付対象にならない。それを毎年本当にやっているかどうかを市町村がチェックするというような、委員おっしゃるような大変縛りのきつい制度になることになっております。それで、今のところどの程度の対象集落が申請されるか、市町村、首長さんの手挙げ方式になっております。市町村のサイドから言うと対象地域と対象にならない地域のアンバランス、不公平感が生じないようにしなければいかぬとか、それからそういう集落協定というのは本当に可能かどうかといったような、これからの詰めの問題があるわけでして、もう一つ大きい問題は、交付金の地方財源措置の問題でございます。これは国の政府予算編成が終わらないと、地財対策の交渉が決着しないと、果たして県と市町村半分ずつなのか、そういう財源措置はどうするのかということが見えてこない。その辺が24日あたりになったらわかるだろうということで、今のところ今月の24日に市町村の農政担当課長ばかりでなく、財政担当の人にも来ていただいて、そういう制度について十分お知らせ申し上げ、その導入に当たって集落に入っていただくと、こういうステップを踏みたいと思ってまして、一般の農家の方々なかなか聞こえてこないというのはそういう事情があってのことでございますので、お時間をいただきたいものと思っております。
 あと数字的なことは担当課長等からお願いします。

〇澤田地域農業振興課長 対象農地につきましては、呼応してでございます山村振興法、過疎法等でございますけれども、国の指示を受けまして対象農地の実態把握に努めているわけでございます。そうしますと、最終的にまだ固まっていないところもございますので、1万何がしとなりますけれども、実際には市町村の対象面積として調べたところを、今度は国と協議しまして、先ほど部長が申し上げておりますけれども、地域の方々の集落協定作業が入ってまいります。これは非常に時間がかかると思いますけれども、これらによって最終的にまずその地域の面積が固まると思いますけれども、その次には市町村の方々から具体的にこういう形で進めたいということになると思いますので、もう少し時間がかかるんじゃないかと思っております。

〇山下畜産課長 先ほど農政部長から答弁申し上げた内容に尽きるんでございますけれども、もう一度繰り返して恐縮でございますけれども、現在、今年中に家畜ふん尿の適正処理と堆肥化施設の整備計画を策定することにいたしておりまして、その計画策定に当たっての基本的な考え方でございます。具体的には委員おっしゃるとおり物を集めるということは公害に結びつくということで、それは認識しております。したがいまして、なるべく発生地で処理するのが最も低コストで公害もないという前提に立ちまして、その処理の基本は農地還元であると、今後進める場合には施設をつくるばかりじゃなくて、どういう方法でその農地まで届けるかと、そして農地に散布するか、そういうところまで及んだサイクルシステムづくりをやっていくという、そういう観点で今後猶予期間である平成16年10月までに整備してまいりたいと考えております。

〇田村(正)委員 最後です。この中山間地域の直接支払い、今御説明にあったとおりです。私もこの骨子の中身、審議会の検討経過、いろんな資料を拝見しておりますと、到底我が県にはなかなかこれは該当するものがないんじゃないか。この政策がWTOの緑の政策に対応する政策だというふうに国から位置づけられてこれの政策が出てきたわけですけれども、私に言わせれば今までの国の農業行政というのは、すべて最後の最後まで要綱・要領で縛る。そういったものがまさにこれにあらわれていると私は思うんです。本当に緑の政策を遂行しようとするのであれば、もうちょっと大まかに、緑の占有率で交付税算入するとか、そういった私は政策が今後必要じゃないのかな、それを国に要望していくべきだと思っておる。先ほど林業水産部でも申し上げましたけれども、そういうふうな国に対する要望というのはこれから先必要になるんじゃないのかなと思うんですが、その辺の御見解と、最後に、先ほどの佐藤委員の冒頭の質疑の中で全くそのとおりだという部長のお話でしたけれども、全くそのとおりでは困るんで、私が岩手県の農政部長として一番ふさわしいんだと、そういう気構えで頑張っていただかないと、どうも下に働いているのが大変だと思うので、ひとつ頑張っていただきたいと思います。

〇佐藤農政部長 私どももこの中山間地域への直接支払いというのは、中山間地域の活性化の決め手になるのではないかという期待をかなり長い間抱いておりました。これが実際に最終的にいろんな方々の御意見、消費者サイドからあるいは都市のサイド、いろんな方の御意見を踏まえた結果そういう条件が固まってきたと、こういうことでございまして、今のところまず新しい制度というものがどの程度の成果が期待できるか、市町村と十分お話し合いをして、そしてその制度の効果なりあるいはその課題なりを把握した上で、御提言のありましたような中山間地域に向けた新たな支援のあり方としてはどうあるべきかと、こういったことを研究しながら国に要請してまいりたいと思っております。

〇谷藤委員 今、田村委員の方から質問された部分に本来は関連してもいいぐらいの分野でございますけれども、農業の多面的機能の評価という部分についてお伺いをいたしたいと思います。
 先日、アメリカのシアトルでこのほど開かれた世界貿易機関──WTOの閣僚会議が開かれたわけであります。この会議には県民がひとしく待望していた農林水産大臣、このたび玉沢徳一郎大臣が就任されたということでこの会議に代表して出席をされたわけです。この会議の中で反ダンピング問題とか、農業の自由化問題などが決裂をしたということで報道された。決裂をしたということ、農業の自由化にかかわる閣僚宣言が白紙になったということ、これは農水省とすれば今後巻き返しを図っていくための猶予期間ができたということで、ある意味では評価している部分もあるようでございますけれども、この閣僚宣言に関税引き下げ圧力が高まるのを防ぐため、また環境保全などの農業、多面的機能への配慮という文言を盛り込もうとしたようでございますけれども、今の段階ではできなかった。ただ、本県においては、先ほど出ていますけれども中山間地域とか農村部に居住している方々も非常に多いわけでございますから、そういう意味では本県独自の立場から東北で始めて多面的機能評価を行ったと伺っておりますけれども、この辺についてお知らせいただきたい。

〇佐藤農政部長 多面的機能の具体例でお話し申し上げた方がいいと思うんですけれども、平場にありましても胆沢町の散居集落、これが農村アメニティコンクールの最優秀賞をいただいたほどの集落と水田との調和、あるいはそのきずまといったような景観、こういった多面的機能と言っていいんじゃないかと思いますし、北の方でいきますと岩泉町で短角牛が放牧されているわけですけれども、その放牧地が?取湿原、湿原は牛が放牧されないと雑木がふえて湿原にならないと言われておりますけれども、そういった景観とともに多面的機能を果たしている事例でありますとか、沿岸の方に行きますと室根とそれから漁民と連携した、森は海の恋人というような形で連携が図られていることとか、各地でそういうような岩手しかないようなそういう多面的機能というのを保持しているということでございまして、こういうものはまさに知事の一般質問の答弁で、県民の財産でもあり国民の財産だと、これを継承しなければいかぬのだというたしか答弁があったと思いましたけれども、そういうようなその多面的機能を一般県民の方に認めていただくための具体的な手だてとして、お金に換算したらどのぐらいになるかということを試算いたしました。マスコミの一部にまやかしじゃないかという御指摘もいただいてますけれども、できるだけ数字的な形であらわせないものか、そういったことをこれからも研究しながら、そして多くの方々に農業・農村の果たしている多面的機能というものに対する御理解を深めていきたいと思っております。

〇河村農政企画課長 ただいま部長の方から数字の存在について指摘がございましたので、先ほど委員の方からも東北で最初のアンケート調査を実施したという御指摘もいただきましたので、その内容について若干御紹介させていただきたいと思います。
 まずもって、多面的機能をまず十分に発揮いたしますには農業者の方々の努力のみならず、県民皆様の理解と協力が不可欠でございましたので、まず先般策定いたしました岩手県の農業・農村基本計画にまず明記させていただいたところでございますが、これに先立ちまして本県の県民の方々がまず多面的機能についてどの程度御理解いただいているか、あるいはそれを数字的にどの程度評価されておられるかというのをアンケートにより調査させていただきました。それによりますると、まず多面的機能を知っておられるという方が82%という非常に高い数字を回答いただいております。それから、多面的機能を将来にわたって残していきたいという方に至りましては97%と、非常に高い御返事をいただいておるところでございます。それから、計数的に積み上げました経済効果につきましては、県全体で2、573億円と、これは本県の農業粗生産額にほぼ匹敵する額でございまして、こうした結果といったものを県民に積極的にPRしてまいりまして、理解の一層の醸成と多面的機能の今後一層の維持増進に努めてまいりたいと考えております。

〇谷藤委員 そういうことでいろんな方面というか、まさに多面的、そういうふうな機能を有しているということは評価されているわけですね。そういうことで97%に及ぶ方々が将来にわたってそれを評価しつつ継続していく環境を整えてもらいたいものだという評価をしている分野でございますので。ただ、農業を取り巻く環境は非常に厳しいわけですね。そういうことで林業水産部でも申し上げたそれぞれの持っている特色というもの、意義というものを理解していただくためにやはり消費者にも働きかけなければならないだろうし、特に都市部の住民の方々にも理解をしていただくための働きかけというものを相当アピールをしていかなければないだろう。これも制度化していくという形には何かできる分野でもありますか。

〇佐藤農政部長 制度化できないものかというお尋ねであるわけですけれども、少なくとも中山間地域というのはそれぞれの立地条件が非常に異なっているわけであります。そういう手だては、例えば直接支払いが万能じゃないように、いろんな手だてを組み合わせて対策を講じていくと、まさに総合対策なものですからメニュー的なことをマニュアル的につくる制度化というのはちょっと、今お話ししながら思い浮かべているんですけれども、なかなか、必要性は当然私どもも十分認識しているつもりですけれども、制度づくりということについては少し研究をさせていただきたい。

〇千葉(伝)委員 先ほどはちょっと関連でしたけれども、本質問をさせていただきます。
 農業の中で、先ほども畜産の話が出ましたが、本県の大きな柱である畜産部門についてお伺いします。実はけさほど私のところに数人から電話がございました。中身は、飼料作物を荒らすクマ対策を進めるのも大変これは必要であるけれどもということで、あらかたにはクマ談議と映ったようでございますけれども、ぜひベゴ談議をという電話がございました。そういったことも踏まえながら、本県の畜産という分でお伺いいたします。
 まず、第1に酪農振興についてお伺いします。
 事項別明細書の194ページ、畜産振興費に関連してくるわけですけれども、本県の酪農は農家を初め、関係者の努力により全国屈指の主産県に成長しております。これまでの乳用牛群の総合改良推進事業の成果はどのようになっているのかまずお伺いします。
 引き続き質問します。最近の酪農情勢を見ますと、国では加工原料乳の不足払制度を見直して、市場の実態を反映させた対策を講ずることとしたところであります。また、先ほどの話に出ました、ことし11月には家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律が施行されるなど、大きな変革の時代を迎え、本県の酪農家は先行きに大きな不安を抱いております。知事は、今議会において本県の酪農振興について、岩手県酪農振興方針に基づき各地域で酪農振興アクションプランを定め現在取り組んでいると答弁しております。私は体質の強い酪農経営体の育成を図るには、生産基盤の強化がぜひとも必要と思うのであります。どのような取り組みをしようとしているのか、具体的内容についてあわせてお伺いいたします。

〇山下畜産課長 乳用牛群総合改良推進事業のこれまでの成果についてでありますけれども、本県では昭和50年から本事業による牛群検定を実施しております。この牛群検定事業は個体の産乳能力あるいは繁殖能力、飼料効率等について数値で評価するものでありまして、平成10年度末での事業参加は610戸、1万7、475頭が検定に参加しております。それぞれの参加率は、戸数で27.9%、頭数で42.4%となっております。平成10年度の牛群検定農家の1頭当たりの平均搾乳量は8、466キログラム、検定をしていない農家の推定搾乳量が6、700キログラムに対しまして約1、800キログラムすぐれております。1頭当たりの乳量格差が大変顕著になってきております。また、検定実施農家の平均飼養頭数は43頭で、現在の県平均の28頭を大幅に上回っておりまして、牛群能力も高位平準化が進んでおりまして経営の安定に大きく貢献しているところでございます。
 今後の生産基盤強化のための具体的な取り組みについてでありますけれども、まず意欲ある酪農家を重点的に支援して、頭数規模の拡大と経営の効率化を進めてまいりたいと思っています。このため、平成22年度を目標に、具体的には各地域ごとに酪農振興アクションプランを策定いたしまして、規模、階層別に経営体質の強化に向けた改善計画をつくりまして、生産基盤の強化を図ることとしております。その内容は、飼養頭数で言いますと現在の28頭から50頭規模にぜひ持ち上げていきたい。それから、個体乳量が6、800キログラムから8、400キログラムまで伸ばしてまいりたい。それから、乳成分でありますと総乳たんぱく質でございますが、現在3.14%から3.4%以上のものにしていきたい。そして、その風味豊かな岩手ならではの生乳づくりに努めてまいりたい。これらを具体的に実現するための対策といたしまして、北海道の牛群検定のレベルが産乳量能力が今ざっと9、000キログラムでございます。これらに匹敵するような優良な雌牛の県内保留に積極的に推進してまいりますことや、飼料給与方式の改善、ミルキングパーラーだとか搾乳ロボットの導入など、生産性の高い省力飼養管理システムの普及拡大、これらについて進めてまいりたい。いずれにしましても酪農主産県としてこれから発展していくためには、ぜひとも家畜の改良に重点を置いたそういう体質の強い所得率の高い酪農家を目指して、改良事業に積極的に取り組んでまいりたいと、そのように考えております。

〇千葉(伝)委員 酪農振興を図る上で乳牛の資質の向上ということで、牛群検定等を鋭意頑張っていただいていると。その中で、先ほど北海道の例がございました。もちろん北海道に次ぐ本県は畜産県、また酪農県であるということから考えますと、牛群検定の参加率、そういったものが、私はこの制度は大変すばらしい制度であり、もっともっと進めるべきであると常日ごろ考えております。そういった中で、今まで牛群検定を──牛群検定というのは先ほど課長おっしゃったとおり、いわゆる例えば30頭飼っている酪農家が1頭1頭の個体の能力、この牛は何キログラム出て、それから成分がこういう脂肪率が幾ら、たんぱく率が幾ら、そういったことで1頭1頭のデータがきちっと出る検査をするということなわけです。そういったことを個体ごとのデータをきちっと持って、次の後継者をどうする、そういうようなことを進めていくにはこの牛群検定制度というのは大変すばらしいということなわけです。そこで、お尋ねしたいのはその参加率の向上という意味で、これから進める分の中で課題というか、検査した、そしてまたデータをそれを還元していく、そしてまた還元していくためにはやっぱりきちっとした指導する人がなければこの制度というのは生きてこない、そういうふうに私は考えております。そういった意味で今後の取り組み方としてこういったあたりをどうお考えでしょうか。

〇山下畜産課長 本県では牛群検定を現在18検定組合でもってそれぞれがやっております。御指摘のとおり、いかにその検査したデータに基づいて情報を個々の農家に還元するか、どういう内容でもって還元するかということがこの牛群検定のその魅力でもありますし、その使命でもあるということから、この18の検定組合を極力早い時期に統廃合して、一極集中型でその検査体制を組んでいってその情報化を高度化していくということが、これからの本県の酪農を振興する上で重要な課題だと認識しておりまして、現在、経済連ともこの統合に向けて取り組んでいるところでございまして、なるべく早い時期にそういう形に誘導してまいりたいと存じております。

〇千葉(伝)委員 そういった取り組み、方向ということで一元的な形で県も、それから地域の団体、こういったところが一体になってこれを進めていくことが私もぜひ必要だと思いますので、今後とも御努力願いたいと思います。
 次に、同じ牛の中で今度は黒毛和種の関係についてお伺いいたします。
 県内の和牛農家が待ち望んでおります優良な県産種雄牛、つまり種牛でありますけれども、この造成に鋭意取り組んでいると思います。これまでの黒毛和種の牛群育種改良推進事業の成果はどのようになっているのでしょうか。
 あわせて、最近の新聞報道によりますと、畜産研究所で実施しております県産牛の造成におきまして大変すばらしい優秀な種牛が続けて2頭誕生した。あわせて、先般開催されました全国の肉用牛枝肉共励会において、本県から出品した牛が去勢牛の部において岩手県としては4年ぶり9回目の名誉賞を獲得した。それから、雌牛の部門でも最高位の最優秀賞を獲得したということで、日本一のダブルの受賞という快挙と私も思うわけであります。これらの成果といったものを今後、黒毛和種の子牛や枝肉の市場価格が今低迷しているわけでございます。そしてまた、先行きに不安感を抱いている県内の和牛生産農家にとっても大変朗報だと、こういうふうに思うわけであります。家畜改良は生産対策の基本であり、常に最大限の努力が求められると思いますが、本県の黒毛和種の改良について現在の取り組み状況と今後の課題についてもあわせてお伺いいたします。

〇佐藤農政部長 県有の種雄牛、おかげさまでことし大変すばらしい牛が2頭誕生したということで、生産をいただいた一関あるいは江刺の農家の方々には大変感謝申し上げているところであります。これがなかなかいい種牛を見つけるというのは、全国でも必死になってやっているわけですけれども大変なことだということで、全国的には宮崎県が種雄牛の一元管理を行って成績を上げております。それから、あわせて優良な雌牛群の県内保留対策も一生懸命やっておられるということでの産地づくりのモデルが宮崎県で示されておりまして、私どもも経済連なり関係のJAさんと十分御相談しながら、宮崎方式の一元化体制というもの、雄雌一貫的な産地づくりにどう取り組むべきかということについて、鋭意検討を進めてまいりたいと考えております。

〇山下畜産課長 これまでの黒毛和種の改良事業についての成果についてでありますけれども、本県では62年から黒毛和種牛群改良推進事業に取り組んでおりまして、これまで本事業によって造成された県産種雄牛は平成12年度までに11頭でございます。約11万本の精液を供給してきたところであります。この間、平成9年度には本県で開催された第7回全国和牛能力共進会で第5夏藤の産子が内閣総理大臣賞を受賞するなど優秀な成績をおさめ、全国の評価を得たところであります。また、今年10月には東京で開催された全国肉用牛枝肉共励会で本県出品牛が4年ぶり、9回目の名誉賞に輝いたわけでございますが、これを反映して県内の子牛市場価格が5万円も上昇するなど大きな反響を得たところであります。これらは生産者、農協、県が一体となったこれまでの長年にわたる地道な取り組みの成果によるものであると考えております。そして、何よりも育種価、つまり親から子に伝える産肉形質の遺伝的能力を数字であらわしたものでございますが、そういう育種価が判明した雌牛を整備して、それと計画交配にやったその成果がようやく今になって収入の増勢に結びついてきたということ、それが実感として今感じているところでございます。それ以外は、先ほども部長も申しましたとおり、種牛の造成はもとより、やはり雌牛の方の改良、増殖についても非常に重要であるという認識のもとで、これからもこの事業を中心にした改良の推進を展開してまいりたいと、そのように考えております。

〇折居委員長 千葉委員の質疑の最中ですが、この際、世話人会の申し合わせによって10分間ほど休憩いたします。
   午後3時5分 休 憩
 
   午後3時23分 再 開

〇上澤副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

〇千葉(伝)委員 先ほどは農政部長並びに畜産課長から御答弁いただきました。この和牛、黒毛和種の改良といった意味では、先ほど畜産課長から御答弁いただいたさまざまな部分というのをこれから進めていかなければならない。そういった中で、一つは、優秀な種牛ができたわけです。もちろん、これからもそういった近いもの、あるいはそれを越すものが出るかもしれません。いずれ、畜産農家、黒毛和種を飼っている方々に対して、こういったすばらしい種牛のPR、新聞に載ったからいいということではなくて、どんどんPRをしていただきたいと思います。
 そしてまた、種牛はそういうのができた。一方ではそれを使う側の、いわゆる雌側の基礎雌牛、こういったものがもっともっと大事な部分だろうと思うわけであります。したがいまして、これの保留対策といったものを進めていただいて、優秀な子牛を生産し、それがまた、岩手県のみならず他県からも注目され、またそれが価格に反映されていくといった形になることを望んでおります。
 もう一つ、部長から種牛の管理の関係で御答弁いただきました。宮崎県のやり方の例、私も前にここの宮崎県の種牛管理センターを視察した経緯がございます。そういった中で、やはり県の中にそういった立派な種牛があっちとかこっちということじゃなくて、きちっとした一元管理ができる施設があって、その中で、またこれからの種牛の方の後継も含めて進めていくことが本県にとっては大変重要なことだろうと思います。県のみならず、ほかの団体と、これは一体となってぜひ実現化に向けて御努力いただきたい。これは要望で終わります。

〇菊池(勲)委員 関連質問になるとまた斉藤信委員に怒られるんだけれども、この1点だけ聞かせてくれないですか。
 部長、1週間ほど前になるけれども、秋田県の菅原さんという方が、秋田県の家畜商協同組合理事長をやっている方で、叙勲のお祝いに出席する機会があったんです。その方のごあいさつの中で、今言ったように岩手県も大変畜産が振興して、見事に全国の上位クラスに入った。秋田は、残念ながらちょっと岩手に負ける状態になってしまった。今全部大きなものが芝浦屠場に集中して、あそこでみんな販売しているけれども、将来は、東北3県でこういう市場をつくる、屠殺場をつくるべきだという発言があったんです。その適地は岩手県だというこの人の発言です。初めて聞いたんだけれども、黙って聞いていたら、見事ないいあいさつだったんです。部長も考えてくれませんか、いかがでしょうか。これだけ。

〇佐藤農政部長 やはり、家畜商の方々、それぞれの商売のそれなりのお考えの方もあろうかと思います。ただ、全体として、いい牛を選択できるようにするためには、頭数をそろえた方が商売もしやすい、取引もしやすいということでありましょうから、その意味で、北東北で黒毛の数から言っても質から言っても、確かに岩手がリード県という立場を自負していいのではないかと思います。秋田には川井とかの、短角のF1がむしろ秋田の方に流れているというか、取引されているといったようなこともございますので、そういう業界の方々、あるいは経済連とか、そういった方々の御意見も拝聴しながら、より広域的な体制づくりという見方から研究させていただきたいと思います。

〇伊沢委員 農業にかかわって、農業基本計画も含めてつくられたわけであります。食料生産県として岩手県が一生懸命頑張っているということに敬意を表したいと思います。また、この間議論ありました、畜産関係も含めて大変な力を入れている。私も現場で畜産公害を担当してきた1人として、当時から、何とかならんのかと思ってきた部分があります。法律もでき、そして県でもいろいろなことをやる。あとは、廃プラも含めていろいろな研究が進むということでありますので、ぜひ農家の方々の経営が成り立つような、そういう施策の展開も、農協、県一体となって進めていただきたいということをまず御要望しておきたいと思います。
 今まで華々しく食料生産等々を含めて、どうするんだという議論がありました。私はかつてお伺いしました養蚕、繭の関係を含めてここでお伺いしたいと思っています。
 10年度予算の決算の中にも、養蚕ブランド活性化対策事業等を含めて盛られています。億というお金ではないわけですが、盛られているということがあります。また、過日岩手県でも、昔からいろいろ研究していた天蚕を含めて、一定程度繭の大きなものが、技術開発といいますか、その中で出てきたということがあったわけであります。この間、岩手県の養蚕業者、多分農家数で減ってきているのではないかと思うんですけれども、その動向をまずお知らせいただきたいと思います。
 また、今後、これをなくすことはまずいのではないかと私自身思っています。後で中山間の問題にちょっと触れたいと思うんですけれども、岩手県におけるこれからの中山間地を含めたいろいろな場所での産業として、何とか農業と林業との間を埋めるような意味での産業を起こすという意味での必要性もあると思いますので、今後の展望といいますか、そういった部分をも含めてお知らせいただきたいと思います。
 また、蚕糸業法が廃止されて、繭検定所が、言ってみれば検定所として廃止されて、今、農業研究センターの中に繭品質評価分室ということで組織上置かれていると思います。現地の中で、将来の繭の中で今やっているわけですけれども、これが今後どうなるのかということで一つ心配があります。業界の方からは、ぜひ品質改良の部分で残してほしいということで、今継続していると伺っているわけですけれども、これらの部分を含めて、どのようになっていくのかお知らせいただきたいと思います。

〇千田農産園芸課長 養蚕のことでございますけれども、農家数、それから繭生産量とも残念ながら減少を続けております。ただ、中山間地域を中心といたしまして、複合部門として、よその物にかえがたいという農家もございます。これも事実でございます。そういったことで、こうした養蚕農家の方々の経営が維持・継続できるように、県内に配置しております養蚕産地育成推進員、今10名ほど配置しておりますけれども、こういった推進員の方々を通じて、養蚕技術の改善指導を進めていきたいと思っております。
 また、養蚕農家の方々の経営全体としての体質を強化していく必要があろうかと思います。そういった面から、冬の間にあいている養蚕施設を有効に活用して、例えば菌床キノコでありますとか、そういったものを導入して、養蚕農家の経営全体としての体質を強めていくように指導してまいりたいと思っております。
 お話ありました天蚕でございます。非常にすばらしい織物になります。これは、最近新聞でも出ましたけれども、採卵の技術が簡単になりそうだと。これからさらに詰めないといけませんけれども、そういった技術が開発されるというようなことでございます。こういった飼育法の改善についてさらに研究が進んできておりますので、この技術を早期に確立して増産に結びつくようにつなげてまいりたいと思っております。
 そのほかに、黄金の繭とか、あるいは三眠蚕、細い糸、こういった特色ある繭も農業研究センターで開発しておりますので、現在、現地への適応性あるいは織物への実用性について検討を進めるという段階でございます。そういったことを通じて、養蚕を農家の方々に踏ん張っていただくようにしてまいりたいと思っております。
 それから、繭の検定業務のことでございます。これについては、お話ありましたように、蚕糸業法が廃止されて、平成10年度から、これまで県が行ってまいりました繭の品質評価業務、これが任意化されたところでございます。しかし、国の指導通達あるいは取引業者からの要望もございまして、農業研究センターのお話ありましたような繭品質評価分室を設置しまして、繭取引に混乱が生じないようにやってきているところでございます。ただ、平成13年度からは、何とか当事者間の合意に基づく取引に移行していきたいと考えておりまして、その場合の品質評価法について、研究センターで今検討しております。円滑に当事者による繭取引に移行できるように努めてまいりたいと考えております。

〇伊沢委員 ありがとうございます。
 天蚕も含めて、これは育てるのが大変難しいと思いますし、繭から卵をとるのも難しいということで、いろいろ研究されているという部分で、ぜひ継続されるような、そして蚕業を含めて振興されるようにお願いしたいと思います。
 次に、先ほど田村正彦委員が、中山間地の地域等直接支払制度の部分について部長からも御答弁をいただいているわけですが、関連して1点だけお伺いしたいと思っています。
 国の部分の基準で法指定地域というのがあって、傾斜地を含めていろいろな部分がある。これはこれから県としてもやっていく。その地域でいろいろな説明会もしながら契約を結ぶということになると思うんですが、私は、その部分はこれから進むということは了承するんですが、あわせて、知事の特認といいますか、知事が定めるということで、法指定地域と法指定のない地域の部分でそれぞれ今後検討していく必要のあることが出てくると思うんです。国の部分で該当しないものを県としてやれるのかどうかという部分、基本的なことで結構ですのでお示しいただければと思いますが、いかがでしょうか。

〇佐藤農政部長 基準に該当する地域について、これからどういう手だてというか詰め方をするかということについては、先ほどお答え申し上げたとおりでありまして、まず、このルール分を円滑に立ち上げる、そして特認分をさらに広げた場合の財源手当が可能かどうかという、さまざまな検討が必要になろうかと思っております。今、市町村にお願いしておりますのは、その基準に該当するところをまずないない尽くしで、地形図もそろっていないとかという形で、傾斜度が本当に確保できるかとか、そういう詰めの作業がたくさんございますので、それを今年度大体交通整理して、それから特認制度をどうすべきかということを検討させていただきたい、そういう状況にございますので、御了承願います。

〇伊沢委員 わかりました。本法が決まらないうちに条例をどうするかと聞いたような気がしないでもありませんが、あわせて、いろいろな意味で、できるだけ農家の方がわかりやすくあるようになっていただきたいと思っています。特に、これは私どもも、いわゆるデカップリング方式で直接補償制度をやっていかないと、中山間地の農業、林業を守れないでしょうということから言ってきた部分ですが、形とすれば、大変厳しい束ねの中で本当に物になるのかというところがありますので、部長から先ほどあったとおり、これらを含めたわかりやすい形をぜひお願いしたいし、そこで救えない部分は、知事特認の部分で、やっぱりこれも岩手県の特徴ということでやっていただけるようにお願いしておきたいと思います。
 最後に、大変申しわけないですが、先ほど大迫問題で部長の方からお話がありました。私も、これはあってはならないことであるし、いろいろな経過の中でこれから対応するということがありますので、統一して、今後、再発防止のための手だてをぜひ講じていただきたいと思っています。総括でも述べながら、組織を挙げてということでお願いした部分でありますが、1点だけお伺いしたいと思うんです。お答えができればで結構ですので、教えていただきたいと思います。
 農政部にかかわる部分は、国庫補助も含めて支払いがなされたと了知しているわけです。これは、言ってみれば、町の方の手続も含めて、県の指導も確認も含めて大変なそごがあったと思うんですけれども、町の方で、書類のつくり方を含めて一定程度瑕疵があったと思うわけです。既に交付している補助金の扱いについて、今後どのようになるんでしょうか。方針が決まっているのか、今後検討されるのか、その辺をお示しいただきたいと思います。

〇沢田地域農業振興課長 大迫に対する補助事業の補助金の取り扱いをどうするかというお尋ねでございますが、まずもって、いろいろと補助事業をいただいておりますが、国の方に対しまして事情のてんまつ、まだはっきりわかっていなかったんですけれども、まずおつなぎをしました。国の方からは担当課長が対応していただきましたけれども、まず、事情はどういうふうになっているのだということで、わかっている範囲でおつなぎをしたところでございます。
 それで、事情がどうなっているかまだはっきりしないのでという前置きはありましたけれども、取り扱いをどうしようかということで考えているような雰囲気はございました。当方としましては、どう扱うかというよりも、御指導いただいて、今後対応しなければならないと思っております。

〇斉藤委員 最初に、県産米を活用した学校給食の独自事業についてお聞きします。
 一つは、政府の学校給食への政府米の値引措置が削減廃止をされていますが、その削減額は、平成10年度、平成11年度とどうなっているでしょうか。米飯による学校給食は、成長途上の生徒の栄養、健康にとっても、米の消費拡大にとっても最も重要な課題だと考えますがいかがでしょうか。その人の食味は、教育委員会でも述べましたが、10歳までに形成されると専門家は指摘しています。小中学校での学校給食の豊かさで米の普及の度合いも決まると、こう言っても過言ではないのではないか。全国的に都道府県単位で独自に学校給食に対する対策を実施している具体例はどうなっているでしょうか。総合食料供給基地を宣言している本県でこそ、新鮮でおいしい県産米を活用した学校給食の独自事業を進めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 アキサケの学校給食への活用で、林業水産部は1、330万円かけているんですね。だから、農政部はその何倍もの対策をとって当然ではないでしょうか。

〇菅原農産物流通課長 まず、値引措置が廃止されることに伴う10年度、11年度の削減額についてのお尋ねでございますけれども、国の米飯学校給食につきましては、平成9年度から段階的に引き下げられている、こういうことになっておりまして、平成10年度は約9、100万円、平成11年度はさらに約7、300万円が削減されたと試算しているところでございます。
 次に、米飯学校給食は重要であると考えるがどうかというお尋ねについてでありますけれども、米飯学校給食につきましては、ただいま委員御案内のように、児童生徒の栄養と健康にとっても一番大事であると私も認識しておりますし、さらに、児童生徒の地域農業への理解や、あるいは食べ物に対する関心を深める上でも非常に重要であると認識しております。このようなことを通じて、米飯学校給食は消費拡大につながっていくのではないかと考えておる次第でございます。
 次に、都道府県における独自の政策についてはどうかということでございますけれども、11年度におきまして、都道府県単位で、団体等と協調しながら、ある一定額を補助するなど、学校給食の対策を実施しているのは12府県であると把握しておるところでございます。
 総合食料供給基地を宣言している本県でこそ、新鮮でおいしい県産米を活用した学校給食を独自の事業として進めるべきではないかということでございますけれども、理想的には、地域の子供を大切に守り育てる見地から、体験農業の実証圃場の提供、あるいは栽培技術の伝承など、21世紀を担う子供や地域、学校が一体的に取り組む実践活動の一環として、学校給食のあり方についても考えるべきものと認識しておりまして、当面、いろいろと検討していかなければならないと考えている状況でございます。

〇斉藤委員 最後の答弁がトーンダウンするんですよね。そこまでは、大変学校給食は大事だと。県がどうやるかというと、がくっとトーンダウンする。
 それで、私は部長に聞きます。今答弁あったように、12府県で実際には何千万もかけてやっているわけでしょう。総合食料基地で、米が余って減反だと言っている岩手県で、なぜおいしい県産米を子供たちに食べさせる事業をしないのか。例えば、値引措置がどんどん削減されて、来年度はゼロになるんですよね。ことし、学校給食がどうなったかというと、28市町村で学校給食費値上げ、13市町村で学校給食の回数を減らしているんです。これは学校給食の後退です。私は教育委員会でも聞いたんですけれども、教育委員会は、あなた方と協議しながら、いいですか、県産米のひとめぼれを使って、学校給食を政府米価格でやろうじゃないかということで市町村の意向を聞いているんですよ。何ですか、今の答弁は。そういうことをあなた方はやろうとしているんじゃないんですか、部長。

〇佐藤農政部長 教育委員会で質疑されましたとおり、県産米をお使いいただくという教育委員会のお取り組みは、今お話あったとおりでございまして、私どもも、県産米を学校給食に取り入れていただくように教育長に申し入れし、そういう線でお取り組みいただいていると認識しております。

〇斉藤委員 本当に何か歯切れが悪いね、部長。財政課長がいるから遠慮しているのかね。12府県がやっているように、逆に言えばそれ以上に、この総合食料基地岩手で、税金を使って子供たちの健康と成長と米の消費拡大を大胆にやっていただきたい。部長、そう考えてよろしいですか。

〇佐藤農政部長 大胆かどうかはともかくとして、実現するべく、今、取組中であります。

〇斉藤委員 最初からそう答弁していただければ、僕は何回も立たなくてよかったんです。
 第2点に、水田営農対策についてお聞きします。
 平成10年度の減反拡大による農家の減収額はどうだったでしょうか。減反面積分の活用状況、耕作放棄地はどうなっているでしょうか。政府は10月末に、向こう5年間の水田を中心とした土地利用型農業活性化対策大綱、いわゆる水田対策を打ち出しましたが、その中身はどうでしょうか。
 豊作米のえさ米への投げ売り、飼料用を今年度から前倒しで実施するとしていますけれども、岩手県分の飼料用分の転用は幾らになるか。その結果、農家負担となる総額は幾らか。10町歩の農家の場合は、どれだけの負担額と推計されるか示していただきたい。
 ミニマム・アクセス米は義務輸入ではないと、国会で玉沢農林大臣が答弁しています。義務輸入でないとすれば、豊作のときにはミニマム・アクセス米の輸入を減らすことを求めるべきではないでしょうか。韓国は実際にやっています。アメリカは、酪農製品をミニマム・アクセス以下しか使っていない。なぜ日本だけが、米が余っているときに全量ミニマム・アクセス米を輸入しなくちゃならないのか。そういう道理は全然ないと思うけれども、岩手県として強く求めるべきじゃないでしょうか。

〇河村生産調整対策監 私からは、米の生産調整の状況と国の新たな対策大綱について御説明申し上げます。
 まず、減収の話でございますが、生産調整面積拡大前の平成9年と本年の減収額を現時点で推計いたしますと、生産調整面積の拡大分と米価の低下分、合わせて約138億円の減収と見込まれます。一方、これに対して転作作物の収入の増加分がございます。それから、生産調整の助成金の交付がございます。それから、稲作経営安定資金の補てんがございます。ということで、これの補てんが約82億円ということで、差引、実減収額は56億円ぐらいと見込んでございます。
 それから、生産調整面積の活用状況でございます。まず一つは、低利用水田でございますが、これは、生産調整面積が大幅に拡大したということでございましたが、その中でも、平成10年に5、696ヘクタール調整水田等があったということですが、現時点では5、050ヘクタールということで減少してございます。また、活用状況についてでございますが、特に野菜につきましては338ヘクタール増加して2、966ヘクタール、大豆につきましては530ヘクタール増加して1、414ヘクタール、麦につきましては292ヘクタール増加して1、120ヘクタール等々となってございます。
 もう1点の、国の新たな対策大綱の内容についてでございます。この対策の主な内容としまして3点挙げられるかと思います。一つは、農家経営の見通しが立てやすいようにということで、5カ年の中期対策であるという点。それから2点目は、従来、生産調整面積ということで、つくらない面積を国が配分していたということですが、次期対策からは、つくる面積、米を生産する面積ということで、いわゆるポジ面積の配分に変わる。ただし、12年度に限りは経過措置で従来どおりということでございますが、それが第2点。もう一つは、新しい基本法で食料自給率の向上ということで、水田を最大限に活用して、自給率の低い麦・大豆の本作化を目指す。この3点が挙げられると考えております。

〇菅原農産物流通課長 まず、岩手県分の飼料用米分についてのお尋ねにお答えいたします。
 御案内のとおり、国と生産者団体は、11年産の作柄及び最近の需給等動向にかんがみまして、先般、緊急需給安定対策を講じることといたしまして、その中で11年産の生産分、全国17万トンのうち、本県には1万1、694トンの配分があったところでございます。
 また、農家負担となる総額については、国は11年産米17万トンを買い入れる一方、飼料用仕向けとして7年産米を売却することとしておりまして、この入れかえにより差益は1俵当たり約2、000円となる見込みでございます。
 さらに、政府助成金90億円と農家が拠出しております自主流通米の価格の1%拠出の中からの90億円、合わせて180億円とで充当されます6、000円を合わせまして販売代金約8、000円と試算されるところでございます。
 農家負担額についてでございますけれども、本年産米の米価が確定していないということもございまして、あくまでも見込みであるわけでございますが、約14億円から15億円と試算されております。これを10ヘクタール農家で見ますと、10アール当たり9俵出荷した場合、約40万円前後の負担となると見込まれております。
 次に、豊作のときにミニマム・アクセス米を輸入すべきでないのではないかとのお尋ねについてでございますけれども、ミニマム・アクセス米の輸入につきましては、ウルグァイ・ラウンド農業合意に基づき行われているものでございまして、国際的な約束事項であると理解しております。

〇斉藤委員 去年の減反で最終的には56億円の減収になったと、これは大変大きな問題ですね。それに対して、今度は豊作になったら、平成7年産の古米だけれども、えさ米を全農が買い入れる、農家負担でこれを処理すると。私、10町歩の農家は幾らかといったら、40万円の減収ですよ。私は、こういうことをやったら、これから米をつくる農家がなくなってしまうと思いますよ。本当にこういう減反対策というか、ポイントは、やっぱり生産者米価を守っていく、保障していくことなしに、今の農家のやる気、やる気だけではない、生産そのものがもう縮小再生産しかないと思うんです。それで、米が余っている最大の理由は何かといったら、ミニマム・アクセス米ですよ。この間、222万トン、そのうちの100万トンは市場に入っているんです。加工用に使われている。これは政府の統計でも出ています。だから、余っていると言うけれども、このミニマム・アクセス米が非常に出回って下げているんですね。
 国際的取り決めだと言ったけれども、玉沢大臣が義務的輸入じゃないと答えていると私言ったでしょう。これはつい最近ですよ。そして、韓国は、豊作のときにはミニマム・アクセス米を減らしている。アメリカは、これは酪農製品だけれども、ミニマム・アクセス以下しか入れていない。何で日本だけが、米が余って大変なときにそのとおりやらなくちゃならんのか。これは国際的取り決めじゃないですよ、WTOで決まったものじゃないですよ。その点、農政部長は知っていると思うから。義務的輸入でないと玉沢農林大臣が言うんだったら、ミニマム・アクセス米を減らすことを求めるべきじゃないですか。
 最後にお聞きします。家畜ふん尿対策は何人かの方々が聞いていますから、私はダブらないようにお聞きしたいと思います。
 さきの答弁で428万トンの家畜ふん尿が出ていると、これは産業廃棄物よりも多いので私はびっくりしましたが、そのうち310万トンが堆肥化されている、それ以外の118万トン程度が適正化の対象になるということでしたが、この310万トン堆肥化されているものが実際にはどう活用されているのか。100%堆肥として活用されているのかどうか。最近のテレビなんかを見ますと、立派な施設をつくって堆肥肥料にしたんだけれども、買い手がないということで困っているところもあるようですが、この310万トンの堆肥化というのは、どれだけ農家がみずから使い、そしてどういう状況になっているのか。あと118万トン弱のものは、実際にはどういう処理になっているのか、これをもう少し詳しくお聞きしたい。
 それと、これまではこの家畜ふん尿対策というのは国の補助事業がありましたけれども、個人では利用できない。複数、グループの場合だけ国庫補助事業が対応になるというので、農家に聞きますと、個人でもぜひ活用できるようにしていただきたいと。そういう制度がないのかどうか。新しい法律が適用されるとすれば、私はこの法律に沿った新しい補助制度、新しい施策がなかったら農家は対応できないと思うけれども、この点はどうなのか。
 もう一つは、この補助制度、現行では2分の1補助なんですね。だから、1、000万円の堆肥を処理する施設をつくると、500万円は農家が払わなければならない。今の本当に深刻な農業情勢のもとでこれは大変なことですが、私は、国、県、市町村、農協などが一体となって8割、9割ぐらいまでの補助をしないと、本当に農家が一斉にこういう対策に乗り出すことは難しいと思うけれども、その点お聞きしたい。

〇佐藤農政部長 ミニマム・アクセス米の件でございますけれども、一つは、韓国におきましても、ミニマム・アクセス米の輸入は実施されていると承知いたしております。
 それから、国に対してどうすべきかということの考え方としては、お米の生産の次期対策の中に、豊作の場合には飼料用米に充てるんだ、そういう形で需給の安定を図ってお米の値段の改善をしていく、こういうことの枠組みの中で5カ年をスタートさせよう。ことしはその前倒しをやろう、こういう前提で、農家負担が、できるだけ影響を少なくするような仕組みが最大限とれる仕組みということで政府米の入れかえをしたりといった形で、緊急措置として手当てされたという状況でございます。少なくとも次期5カ年間においては、次期WTO交渉がいつ再開されるかわかりませんけれども、少なくても我が国の食料自給の状況なりが強調され、あるいは国民に農業・農村の果たしている多面的な機能の問題だとか、いろいろな形での、一本釣りではなく、包括的な交渉の一つとして取り上げられていくことになると思っております。

〇山下畜産課長 家畜から排せつされる428万トンの堆肥化に向かった具体的数字を示せということに対してお答えいたします。
 311万4、000トンが処理されていて、そのうち堆肥化に向かったのが222万7、000トンでございまして、それから堆肥化になる量が168万4、000トンでございます。この減ったのは、蒸散するとか、そういうことで減るわけでございます。そのうち、農地還元されたのが137万3、000トンで、利用割合は81.5%になります。堆肥化されてもなお未利用なものが31万1、000トンございまして、これが高齢化等によりましてなかなか農地に還元されない状況ということでございます。
 それから、法制化されたことに伴ってどういう制度ができているのかということについてのお尋ねにお答えします。
 国では、新たに家畜排せつ物処理施設の整備を重点的に行うために、制度資金を新たに設けたわけでございまして、それは、畜産経営環境調和推進資金ということで、これまでの利率から大変有利で、現在2%、それから償還期限が、これまで15年だったものが25年、据え置きが、これまで3年だったものが8年、そういう措置が講じられている。それから、税制措置でございます。これは、このことによる新たな措置でございますが、所得税は、堆肥化施設等に対する特別償却が、通常は9%のものが16%適用になった。それから、固定資産税の堆肥化施設等に対する特例として、5年間課税標準の2分の1で措置するという状況になっております。

〇斉藤委員 今の答弁だと、ちょっとさっきの答弁と数字が合わないんですね。428万トンのうち310万トンが堆肥化だというのが、前の私への答弁だったと思うんですよ。そうすると、今222.7万トンだとすると、428万トンの内訳をはっきり教えていただきたい。合わないんですよ。適正化対応になるのは幾らになるのか、これが一つ。
 もう一つは、私が新しい対策はないのかと言ったら、融資の税制措置も悪くはないんだけれども、今も融資の制度はあるわけですよ。全額借金でやったら大変なんですね。だから僕は、今の補助制度について聞いたわけです。50%補助、これだけでも大変だ、だからもっと、8割、9割補助できるようなものはないのか、県はどういう補助をしているのか、私はこういうことを聞いたんです。新しい補助制度は、今度の制度に当たってはつくられないのか、そのことを聞いたんです。そして、補助率を高めることはできないかということを聞いたので、その点よろしくどうぞ。

〇山下畜産課長 失礼しました。
 もう一度申し上げます。家畜排せつ物の総量が428万トンでございます。そのうちの未利用、いわゆる素掘り、野積みの状態が117万トンでございます。それから、処理に向かっているのは311万トンでございます。そのうち、堆肥化に向かったのが222万7、000トンでございます。そして、堆肥化された量は168万4、000トンでございます。そして、農地還元された量は137万3、000トンでございます。未利用なのが31万1、000トンでございます。
 次に補助制度でございますけれども、現在県は、県営畜産環境整備事業等で高率の助成を実際に行っておりまして、高いので75%で実施しております。法制化されたことによる新たな制度というのは今後検討するということで、現在、いろいろと検討しているところでございます。

〇斉藤委員 今聞いてもわからないのは、311万トン処理されて、そのうち堆肥化が222.7万トンだと。この差は何ですか。約90万トンは。

〇山下畜産課長 この差は、一つは、岩手県は放牧が非常に盛んでございまして、放牧地で直に処理されているものとか、浄化処理されているもの、焼却処理されているもの、液化処理されているもの、これが88万7、000トンございます。

〇上澤副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇上澤副委員長 質疑がないようでありますので、農政部関係の質疑をこれで終わります。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時6分 散 会


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