平成11年12月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

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〇36番(小原宣良君) 社会民主党の小原宣良でございます。
 まずもって、10月27日から28日にかけての二戸・久慈両振興局管内で発生した局地集中豪雨により甚大な被害を受けられた皆様に対し、心からお見舞い申し上げますとともに、お亡くなりになられたお二人の方と御遺族に対し謹んで哀悼の意を表します。復旧に向けた被災された皆様を初め、県、市町村、さらには支援に駆けつけていただいた多くの皆様の御努力に対し心から敬意を表し、一日も早い復旧を願う次第であります。
 質問の第1は、ただいま申し述べました豪雨災害の復旧対策についてであります。
 私ども社会民主党会派は、11月17日、二戸市、軽米町、山形村、久慈市にお伺いをし被災現場を調査させていただきました。対応いただきました両振興局、4市町村の皆様に感謝申し上げますと同時に、御迷惑をおかけいたしましたことを大変恐縮に存じております。
 さて、これら復旧事業には多額の財政負担と多くの時間を要するものと思われ、財政基盤の弱い市町村にとってこの対策は大変困難をきわめるものと憂慮にたえない次第であります。幸い県は、迅速な対応のもとに、生活再建支援法の適用を初め、各般の対策を講じていることは、被災市町村にとって何よりの励みになるものと思います。この際、幾つかお伺いいたします。
 第1点は、商店街において急激な増水により商品を持ち出すことができず廃棄せざるを得ない状況が生じるなど、商店街もこれまでに例を見ないような大きな被害を受けておりますが、県はこの復興に向けどのような対策をお考えでしょうか。
 第2点は、土木・農林災害復旧事業の対象年限が3年とされているようでありますが、今回の被害件数、被害額とも甚大なため3年以内に完了しない事態も危惧されるわけでありますが、対応方針をお伺いいたします。
 また、復旧対策のあり方については、ただ単にもとに戻すことではなく改良復旧に配意すべきと考えますが、施設等の災害復旧に当たっての基本認識をお伺いいたします。
 第3点は、災害廃棄物の処理方法をどうお考えかお伺いをいたします。
 次に、本県人口と経済の見通しについてお伺いいたします。
 県はさきに2010年度を目途とした新しい総合計画を策定いたしました。私も県総合計画審議会委員の一人としてこの計画策定作業にかかわってまいりましたので、関係者の皆様の精力的な努力に対し、敬意を表する次第であります。
 さて、この新しい総合計画を支える大きな柱は、本県人口の推移をどのように見通し、さらに、そうした客観条件のもとで地域経済の振興をどのように図っていくかという点にあったのではないかと私は思っております。そこでまず、人口の推移についてでありますが、推計の基本的な考え方としては、1995年10月1日現在の国勢調査人口に対し、男女別、年齢別に区分された人口集団ごとに一定の仮定を置いて設定した出生率、出生性比、死亡率、転入率及び転出率を掛けることにより、全体としての将来の人口を推計するコーホート要因法により行ったとのことであります。御案内のとおり、目標年次である2010年の本県人口は、上位の数字で140万人、下位で137万人であります。さらに、2025年には上位の数字で131万人、下位で123万人という推定値であります。本年10月1日の本県人口は141万人でありますから、人口減少の傾向は、かつて経験したことのない状況になることは明らかであります。選挙の当確ほどに確率が高いかどうかは別といたしまして、これらの数値を真正面から受けとめて、諸施策の展開に当たるべきものと思います。
 一方、本県経済の見通しでありますが、県内総生産では、目標年次の2010年には、下位の数値を標準シナリオとして5兆400億円、上位の早期回復シナリオとして5兆3、100億円と見ております。なお、1995年、平成7年の県内総生産額は4兆3、460億円であります。注目すべきは、各産業間の相互連携による高付加価値型の複合産業の展開を提起していることであります。これはいわば暮らしに身近な産業構造の構築であり、地域全体の需要に積極的にこたえていく道でもあり、施策的には地域の商工業と農林水産業の連携を強め、地場産品の生産、加工、流通を一体的に行い得る地域の産業構造を整えていくことでもあろうかと存じます。そこで、お伺いいたします。
 第1点は、これら本県人口の推移及び経済の見通しは、県商工業振興計画、農業確立計画等、すべての個別計画に基本として据えられるべきテーマであると思いますが、いかがお考えでしょうか。
 第2点は、人口の推移及び経済の見通しは、各市町村における総合発展計画等においても、その見通しを明確に位置づけるべきと考えますが、現状はどうでしょうか。県の認識を含めてお示しをいただきたいと存じます。
 第3点は、先ほど申し述べました複合産業の展開についてでありますが、人口の推移予測は、すなわち地域経済の担い手を予測することでもあると思われますので、複合産業の展開についてどう取り組まれようとしているのか、具体的にお示しをいただきたいと存じます。
 次に、地方分権の推進についてお伺いをいたします。
 地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律、いわゆる地方分権一括法の制定に伴い、地方自治体の事務は中央集権体制の象徴との批判のあった機関委任事務制度を廃止し、自治事務と法定受託事務としたところであります。県は本議会に地方分権一括法に基づき関係条例改正案を提案しておりますので、この際、基本的認識について幾つかお伺いいたします。
 第1点は、条例等の整備に当たっての考え方についてであります。
 機関委任事務、すなわち知事や市町村を国の下部機関として仕事を行わせる制度の廃止に伴い、新たに自治事務に移行するものについては、従来、規則で規定されていた事項の多くが条例の所管事項となるため、関係条例の整備が必要になるものと考えます。しかも、この条例整備は、基本的には来年4月1日施行までに完了しなければならないものであります。これら規則から条例への変化は自治権の拡大を伴うものであります。したがって、各自治体にあっては、従来の規則をそのまま条例に横滑りさせることではなく、それぞれの地域の状況を十分踏まえながら、住民本位の見地に立ってその内容を吟味し、条例によりその実施基準と手続を定めていくことが重要と思われますが、県はこれら関係条例整備に当たりどのような基本認識に立ってこれらの作業に当たっておられるのでしょうか。
 また、市町村における条例整備への指導についてもどのように取り組んでいるのか、あわせてお伺いをいたします。
 第2点は、自治事務に対する国の関与のあり方についてであります。
 地方分権一括法は、地方公共団体は住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとするとしております。したがって、従来の機関委任事務制度に見られるように、国による包括的指揮監督権の行使はもはや許されません。県は、自治事務に関する国の関与のあり方をどうとらえているでしょうか。この国の関与には、地方自治法あるいは個別法による勧告、事前協議、是正措置要求などがあるようですが、これらは地方分権の究極の目的である地域住民の自己決定権の拡充に照らし極めて重要と考え、お伺いをする次第であります。
 第3点は、県と市町村との関係についてであります。
 上下関係の廃止については、国と都道府県との関係と同様、県の市町村に対する指揮、監督規定の廃止、県条例による市町村行政事務に関する規定設定の廃止、市町村長への事務委任の廃止などがあります。これらは地方自治法の改正によるものでありますが、県は今回の地方分権一括法を受けた県条例の制定、改廃に当たり、県から市町村への権限委譲を含めた県と市町村との新たな対等関係をどのように築こうとしておられるのか、御所見を承りたいと存じます。
 なお、国と県、県と市町村間における経費負担のあり方、地方税財源の充実確保についてどのような方向で検討がなされているのか、あわせてお伺いをいたします。
 次に、高齢者保健福祉対策についてお伺いいたします。
 県は、平成6年に岩手県高齢者保健福祉計画を策定し、平成11年度までに確保すべき保健福祉サービスの目標量を定め、市町村と一体となってその推進に努めてきたところであり、その努力を多といたします。一方、来年4月からの介護保険制度の発足に当たり、介護保険事業支援計画を定めることになったことから、県においては引き続く高齢者保健福祉計画と、新たな介護保険事業支援計画を一体的に策定することになったと承知をしております。要するにこの二つの計画を一体的に推進するねらいは、健康な高齢者が家庭、地域、職場などでこれまで培ってきた豊かな経験、技能を十分発揮し、健康で生きがいを持って社会活動に参加できる環境を整えていくことであり、また寝たきり等によって介護を必要とする高齢者に対する支援とに大別できると思います。そこで、お伺いいたします。
 第1点は、元気な高齢者を対象とした事業の展開についてであります。
 今年度を最終年度とする県高齢者保健福祉計画において、岩手高齢者福祉大学の開設や、いきいきシルバー活動総合支援事業など、元気な高齢者を支援する事業が積極的に取り組まれてきたところでありますが、その成果はどのようなものであったのか、今後の方針を含めてお示しをいただきたいと存じます。
 なお、これらの事業展開による高齢者が寝たきりにならないための成果はどうであったのか、あわせてお伺いいたします。
 第2点は、介護を要する高齢者への対応であります。
 これまで家庭内のこと、私的なこととして扱われてきた寝たきり高齢者の介護の問題を公的制度において支え合う意味は、お互いの立場に置きかえてみても極めて重要な社会的課題であります。そして、この介護保険制度の実施主体は市町村であります。既に厚生省は、準則を発して市町村における介護保険条例の制定を指導しているところでありますが、県は、この条例制定に当たって、どのような指導を市町村に行っているのかお伺いいたします。
 その際、例えば自然災害等によって住宅、家財、その他の財産に著しい損害を受けた場合や、世帯の生計を主として維持していた人の死亡、または入院等によって保険料や自己負担支払いが困難になった世帯に対して、市町村長はどのような支援が可能でしょうか。
 また、国はこうしたケースにどうバックアップすることになっているのかお伺いをいたします。
 なおまた、現在、特別養護老人ホームに入っている方、ホームヘルパーを利用している方が自立と認定された場合に、受け入れ先がない、介護者がいないといった状態が起こらないようにする手だては整っているでしょうか、お伺いいたします。
 次に、本県の雇用対策についてお伺いいたします。
 県は先ごろ雇用問題政・労・使会議を行ったとのことであります。引き続く景気低迷と企業のリストラの影響を受けて、新規学卒者や中高年の就職難が深刻な状態にある中、行政、労働、経済団体が一堂に会し対策が検討されたことは、雇用の創出に期待感を持たせるものになったと思います。中でも来春卒業予定で就職を希望する高校生の就職内定率が57.4%で、10月末現在では過去最低とのことであり、そのうち県内就職を目指す高校生の就職内定率が55.3%にとどまっていることを思うとき、これからの社会を担う子供たちの現状を何としても打開しなければならないものと思います。そこでお伺いいたします。
 第1点は、新規高卒者への支援策についてであります。
 高校生の就職内定率を高めていくためには県はどのような対策をお考えか、お伺いいたします。
 また、就職内定率の今後の推移をどう見ているのか、あわせてお伺いをいたします。
   〔副議長退席、議長着席〕
 第2点は、国の緊急雇用対策を受けた県の取り組みについてであります。
 中高年齢者及び学卒未就職者を対象とした緊急雇用対策は、官民一体の再就職の支援、新規雇用創出に向けた企業への助成などがあるようでありますが、これらの対策の現状はどうなっているでしょうか。本県の失業者数の現況と再就職の実態をお知らせいただきたいと存じます。
 第3点は、公共職業安定所との連携についてであります。
 職業安定関係業務に携わっている地方事務官の身分が正式に国家公務員となることから、都道府県の職業安定主務課である県の職業安定課が果たしてきた機能、すなわち公共職業安定所との直接的な連携は、今後間接的なものになることが懸念されるところであります。こうした厳しい雇用状況のもと、県は雇用対策について職業安定課が果たしてきた機能を低下させないためにも、県の行政機構の検討が必要と思われますが、いかがお考えか、お伺いをいたします。
 次に、インランド・デポ──内陸通関基地の本県経済に果たす役割についてお伺いいたします。
 このインランド・デポは輸出入貨物について、港湾や空港地区ではなく、内陸部において輸出入通関、保税業務などを行うことのできる拠点であります。内陸貿易港とも呼ばれているインランド・デポの期待される効果としては、国際貿易に必要な手続の一切が可能であり、東京、横浜、成田等の混雑による通関時間や書類送付の時間が短縮できること、輸出入通関に際して、商品説明、検品等のトラブルへの対応が現地ででき、遠距離の港や空港で行う場合に比べ時間、経費の節約が図られることなどが挙げられます。
 さて、このインランド・デポ設置に向けては、輸出関連企業群が張りついている北上市と空港を抱えている花巻市とで、その設置場所について数多くの協議を重ねてきた経緯がございます。結果として、地域一体となってこの機能を強めていくこととしたところであります。とはいえ、この内陸通関基地は北上、花巻地域にとどまるものではなく、全県的な視野で取り組まなければならないものであります。この間、4年前に通関営業所として保税蔵置場の許可を受けて、既に営業を開始していた横手市の営業攻勢に北上の輸出関連企業はさらされてきたのであります。幸い花巻市の御理解と県の御指導をいただき、本年5月10日に北上流通センター内に通関営業所と保税蔵置場の許可を、営業主体である日本通運北上支店が受けたところであります。今後、正規のインランド・デポとなるためには、利用実績を高め税関署が常設されるよう努めなければなりません。県の強力な御支援と御指導をお願いする次第であります。そこで、お伺いいたします。
 第1点は、インランド・デポに対する県の認識についてであります。
 インランド・デポのメリットについては先ほど若干触れましたが、全国では17カ所、東北では山形県にあるのみであり、県としても本県経済活性化のために重要施策の一つとして位置づけて、積極的な支援を賜りたいと存じます。今後、貿易の拡大とともに大船渡港、釜石港など本県港湾の活用を通じ、内陸部と沿岸部との連携、交流が期待できることから、インランド・デポは本県経済の振興にとって極めて重要な役割を果たすものと考えますが、県の認識を承りたいと存じます。
 第2点は、輸出入の振興を図るための具体的対応についてであります。
 貿易振興の意識を高める観点から、本県の輸出企業の製品及び本県業者に係る主な輸入品を一堂に展示する、例えば貿易振興プラザのような施設を県において設置してはいかがでしょうか。また、関税法では一定の要件のもと保税地域内に展示場を設置し、通関することなく外国製品の展示が可能となりますので、将来的にはそうした施設の設置も貿易振興にとって有効であると考えますがいかがでしょうか。
 次に、県立高等学校新整備計画案についてお伺いいたします。
 県教育委員会がことし5月に突如として新整備計画案を発表して以来、県内各地で地域における高校のあり方をめぐり大きな議論が巻き起こってきました。内容は、来年度から平成16年度までの5年間に10校減として、現状83本分校を73校にしようとするものであります。このことに対する各地における意見はそれぞれ地域により異なるものと思いますが、総じて理解、納得の域に達しておりません。花巻、北上ブロックについての状況を申し上げれば、花北商業高校は現状でおおむねよい、黒沢尻南高校は普通科を有する男女共学校としてほしい、花巻農業高校と北上農業高校は統合して農業専門高校として残してほしいという意見に集約されます。なぜ県教育委員会案がすんなりと受け入れられないのでしょうか。その第1は、農業高校については商業科などを含む総合的専門高校としての農業科では、これまでの二つの農業高校とも伝統を継承できないのではないかとの地域の意見にこたえ切れていないこと。第2は、総合学科高校の理解、イメージが受け入れられていないこと。説明する側も聞く側も不足があるというのが私の率直な印象であります。こうした中で、やってみればわかるはずだとの思いがもし県教育委員会にあるとすれば、それは不遜な態度と言わなければなりません。中学生はもちろん高校生も親の保護のもとにあるものです。地域とともに子供たちが立派な大人になることを願っています。この心情を酌み取ることも県教育委員会にとって大切なことではないでしょうか。再編期間を前期5年、後期5年としていますが、中期があってもよいのではないでしょうか。教育長、地域の皆さんとの意識のずれを埋めるには少々時間不足ではないでしょうか。この時間不足を解消するためには花北地区に関しては、両市長の提言どおり花巻農業高校と北上農業高校を統合することであります。この際、率直な感想なりお考えをいただければと思う次第であります。
 次に、県人事委員会勧告並びに報告に対する評価についてお伺いいたします。
 ことしの県人事委員会勧告の特徴は、民間企業の賃金引き上げが低水準であったことを受けて史上最低の率、額となったこと、長期不況下での一時金支給の低迷を受け0.3カ月の一時金削減となったこと。総体として初めて年間支給賃金がマイナスという事態になったことであります。また、県人事委員会報告の内容を見ますと、55歳昇給停止について検討、研究を進める必要があること。勤勉手当の支給率について検討する必要があることとされております。申し上げるまでもなく、人事委員会勧告制度は、公務員労働者の労働基本権制約の代償措置として第三者中立機関たる人事委員会が県職員等のあるべき労働条件について勧告を行い、これを使用者が尊重し実施するというものであります。こうした趣旨から、知事は、人事委員会勧告を完全実施することは当然のことでありますが、同時に職員の勤労意欲の向上に努めることが重要であります。そこで、お伺いいたします。
 第1点は、厳しい経済状況の中でせめて早期に職員の賃金を改定すべきと考えますがいかがでしょうか。我が党は以前から12月議会冒頭での議決を求めてまいりました。早期実施に向けた対応をどうお考えか、お伺いいたします。
 第2点は、55歳昇給停止については、公務推進意欲の維持、向上のためにも実施しないよう強く求めるものであります。外的要因のみで実施すべきではないと考えますがいかがでしょうか。慎重な検討を求めます。
 第3点は、勤勉手当、成績率の改定についてでありますが、このことは直接に勤務成績にかかわる問題だけに、慎重な対応を求めるものであります。
 以上で私の質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 小原宣良議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、いわゆる地方分権一括法の条例の整備についてのお尋ねでございます。
 今回の地方分権改革によりまして、地方公共団体の自主性、自立性が高まって、県民のニーズや地域の実情に応じたきめ細やかな施策の展開がさらに可能になると、このように考えております。このため、この地方分権一括法に関係する条例の整備に当たっての基本的な考えとしては、まず県と市町村のあり方という観点から見ますと、第1には、県と市町村との間に新たな対等、協力の関係を築いていくこと、第2に、住民に近いところで処理した方がより望ましい事務、権限については市町村への委譲を進めていくことと、以上の2点が挙げられます。また、県民から見た、より望ましい行政運営という観点からは、各種の基準や手続を設定する際には、全国一律の基準や手続というものではなくて、より地域の実情を反映したものにしていくことや、手続などについても公正・透明性を確保していくことなどが挙げられます。
 以上のような観点を踏まえて、現在、条例の整備を行っているところでございまして、来年の4月以降の事務の円滑な執行に向けて万全を期していきたいと、このように考えています。
 それから次に、県と市町村との新たな対等関係の構築についてお尋ねがございました。
 いわゆる地方分権一括法においては、県と市町村の関係について、市町村は基礎的な地方公共団体と言っていますし、県はこうした市町村を包括する広域の地方公共団体として、それぞれの役割分担を明確にして対等なパートナーとして協力していく関係、このようにされたところでございます。また、関与のあり方についても、市町村に対する県の関与は、その目的を達成するために必要最小限とすると。当然のことでありますが、必要最小限のものとするということとともに、市町村の自主性、自立性に配慮しなければならない、このようにされたところでございます。
 県では、こうした地方分権一括法の趣旨を十分に踏まえて、県の条例で個別の法律などの根拠がないままに、例えば市町村に義務を課しているものについては、これをすべて見直しして、今議会に、少し長い名前ですが、地方分権に対応した県と市町村の新たな対等・協力の関係を構築するための関係条例の整備に関する条例、この形で一括提案したところでございます。
 今後、県と市町村の間に真の対等・協力関係を構築していくためには、こうした制度だけではなくて、運用面、ここが実は重要でございまして、この面におきましても市町村重視の考え方を浸透させていくよう、今後より一層努めていきたいと思います。
 次に、市町村への権限委譲についてでございますが、現在、県が処理を行っている事務であっても、住民の利便性の向上が図られたり、市町村の総合的な施策の展開に資するものなど、市町村が処理することがより望ましいものについては、今後とも積極的に市町村に委譲していきたい。もちろん、事前に市町村と十分協議した上でこうしたことを行うわけですけれども、やはり市町村が処理することがより望ましいものは、今後とも積極的に委譲していきたい、このように考えております。
 そうした場合に当然、委譲に伴って市町村に新たな負担が生じては、かえって困るので、そういう負担が生じることのないように適切な措置を講ずるのはもちろんでありますけれども、市町村の自立を促進し主体的に特色ある地域づくりを進めることができるよう、市町村を支援していくことがこれまで以上に強く求められてくると考えていまして、地方振興局がこうした役割を十分発揮できるように、地方振興局の機能の強化を図っていきたいと考えております。
 地方分権一括法を受けて、このように今後さまざまな取り組みが必要となってくるわけで、これらの取り組みを通じて、分権時代にふさわしい県と市町村の新たな対等関係がより強固なものになっていくものと考えております。
 次に、元気な高齢者を対象とした事業の展開についてでございました。
 県におきましては、高齢者が生涯を健康で生きがいを持ち、自立した生活ができるように、市町村や関係機関・団体ございますが、こうしたところとの連携のもとに、地域活動のリーダー養成や組織づくりを初め、健康づくりや学習活動などの場づくりを積極的に推進してきたところでございます。例えば、これらの事業の成果としては、高齢者大学やシルバー洋上セミナーにおいて、これまで約5、500人の活動リーダーをここから養成しております。それから、県民長寿体育祭などの健康づくり事業に毎年約4、000人が参加しておりますし、老人クラブにおいては12万7、000人の会員が社会奉仕活動などに参加しております。また、今年度から新しく始めた事業ですが、いきいきシルバー活動総合支援事業というものがありまして、ここでは、今22市町村で地域活動交流センターというものを設置して、そこで約2、600人の会員登録が見込まれております。こうした登録者の人たち、高齢者の方々が、健康で生きがいを持って社会参加できる環境づくりが地域で着実に整備されてきているところでございます。
 今後は、高齢期における社会参加を一層促進するために、もっと早く、中年期からの生きがい設計づくりの支援、高齢者大学も、より深く学んできた人には大学院化というものも必要だろうと思います。活動リーダーをコーディネートするコーディネート機能が大事でございますので、そうしたコーディネーターなどの人材の養成や、先ほど申し上げました地域活動交流センター、これは今22市町村ですが、全市町村への整備といったことも必要だろうと思います。そうしたことなど、社会参加の機運づくり、具体の場づくり、人づくり、こうしたものを総合的に推進してまいります。
 また、これらの事業は、健康診査や健康教育のように直接寝たきり予防につながるものではないわけですけれども、心身の機能の活性化を図ることによって、ひいては寝たきりの予防にも役立っているものと考えております。
 最後に、インランド・デポについてお尋ねがございました。
 県は、このインランド・デポを国際化に対応した新たな物流体制の整備を図る上で重要な機能の一つと、このように認識しております。幸い、本年5月に北上市に保税蔵置場と通関営業所が設置されたわけで、県内陸部での輸出貨物の通関が可能となって大きな前進を見たという状況でございます。しかし、現時点では税関機能が設置されていないということで、現実に輸入貨物の取り扱いができないなど、まだ機能が不十分だという状況であるわけです。
 今後、21世紀の岩手の産業活動というものを考えてみれば、この北上川流域を中心により一層工業集積が高まって、国際的な視野に立った企業活動が展開され、海外との経済交流の活発化が大きく期待される、こういうことでございます。こうした岩手の将来を見据えながら、国際的な貿易、物流機能の強化を図るためには、今後、何としても税関機能の誘致というものが重要になると考えております。
 一方で、この税関機能の誘致に向けては、地元民間企業の主体的な取り組みによって、とにかく現在の通関実績を高める必要があるということなど多くの課題があるので、県では、県内企業の現在のこうした通関実績を高めるための利用意欲の喚起にこれから一層努めたい。それから、従来から函館税関との定期的な情報交換会を行ってきていましたけれども、こうしたことをこれから引き続き行い、関係機関とのより密接な連携を図って、内陸部における税関機能の誘致と、東北では今、議員御案内のように山形だけなんですが、何としてもこの北上川流域地域への税関機能の誘致を支援していく考えでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承お願いいたします。
   〔商工労働観光部長合田武君登壇〕
〇商工労働観光部長(合田武君) まず、このたびの豪雨災害による商店街復興の対策についてでありますが、11月1日に、大雨洪水災害に伴う金融商工相談窓口を県庁、二戸、久慈の各地方振興局、久慈地区及び二戸地区の各商工会等に設置し、各事業者からの金融相談等に対応する一方、商工観光振興資金及び中小企業経営安定資金の金利の引き下げを行っております。
 さらに、各金融機関に対しては、窓口における印鑑や通帳を流失した被災者に対する支払い、既存貸出貸付資金の償還猶予など弾力的な対応を要請し、各機関においては、低利の災害資金の創設に御尽力をいただいたところであります。
 また、被害を受けた商店街に対する支援策として、金融面では、新たに無利子の中小企業向け災害復旧資金貸付制度の創設、また商店街施設の復旧対策として、街路灯、ごみ集荷所などの共同施設の整備、さらに、今後経営相談等が増加するものと見込まれることから、相談体制の強化に必要な経費を今議会において補正予算として提出し、御審議いただく予定であります。このほか、誘客対策として、商店街の開催するイベントを中小商業活性化事業費補助金などの活用により支援を行い、商店街の復興に万全を期してまいりたいと考えております。
 次に、複合産業の展開への取り組みについてでありますが、これまで本県では、ヤマブドウジュースやワイン、各種乳製品、サケの革製品、間伐材を活用した木製トレーの開発、農村レストランの開業など、農林水産資源を活用したさまざまな取り組みがなされているところであります。県といたしましては、これらの生産から加工、販売までの一体的な取り組みを今後一層支援するとともに、オリジナルの酒造好適米と吟醸酒の開発やひっつみの商品化、芸術性の高い漆器製品の開発など、産学官の多様な交流・連携による新たな製品や技術の開発を推進し、本県ブランドの計画的な創造と位置づけを進めるほか、産業活動そのものを広く観光資源としてとらえ、グリーン・ツーリズムの促進などにより、新たな体験型観光の創出を図っていくこととしております。
 本県経済の活性化のためには、地域経済の活力ある展開が極めて重要でありますことから、1次産業から3次産業までの産業間交流を深め、本県の恵まれた農林水産資源や固有の産業資源などの特性を生かした地域産業の複合化を進めてまいりたいと考えております。
 次に、雇用対策についてでありますが、新規高卒者に対する支援は、就職面談等、これまでもさまざまに行ってきたところでありますが、この厳しい雇用情勢を踏まえ、今年度は特に県内の2万4、000社を対象に採用意向調査を実施し、効果的な求人開拓を図ることとしているほか、各安定所に特別相談窓口を設置し、生徒、担当教師、保護者との個別相談を実施しております。また、就職面接会の開催回数をふやすなど、就職機会の確保に向けてきめ細かな支援を行っているところであります。
 なお、就職内定率の今後の推移を的確に見通すことは困難でありますが、雇用失業情勢が依然として厳しい状況でありますので、随時適切な情報提供を行うなど一層の求人開拓を行い、就職を希望する生徒全員が就職できるよう努力してまいる考えであります。
 次に、緊急雇用対策による再就職の支援等についてでありますが、中小企業雇用創出人材確保助成金等の10月末における申請は78件、雇入れ予定労働者は302人となっており、今後とも助成金制度の積極的な周知を図ってまいりたいと考えております。
 次に、失業者数の状況等についてでありますが、総務庁の失業者数に関する調査は全国ベースのサンプル調査であり、各県ごとの数字は公表されておりませんので本県分は把握できませんが、県内職業安定所の統計で申しますと、5人以上の企業合理化による非自発的離職者は10月末現在1、480人で、このうち再就職した人は515人となっているところであります。
 また、地方事務官廃止後の組織についてでありますが、これまで職業安定課等で処理していた事務の大方が国の直接執行事務となるものの、一部の事務は県の自治事務等として残りますことから、これらに適切に対応するため、部内の行政組織の再編を図るとともに、今後設置が予定されている雇用対策連絡調整会議等を通じて、地方労働局及び公共職業安定所と密接な連携を図ることとし、雇用対策が停滞することがないよう努めてまいる考えでございます。
 次に、輸出入の振興を図るための具体的対応についてでありますが、本県の輸出品及び輸入品の展示施設並びに保税地域内への外国製品の展示場の設置につきましては、現在の本県における貿易実績等を考慮しますと、海外との取引の活発化による輸出入品の増加を図ることは必要であり、そのためには、まず海外での本県物産展や見本市、あるいは県内で開催される輸入品展示会等への積極的な参加を促進するなどの取り組みが重要であると考えているところであります。このことから、現段階ではこのような施設の整備については困難と考えておりますが、本県の貿易振興を図る上での一つの方策であると存じますので、中長期的な課題として検討してまいりたいと考えております。
   〔土木部長中山隆君登壇〕
〇土木部長(中山隆君) 公共土木施設災害復旧事業の対応方針についてでございます。
 この事業は、災害の速やかな復旧を図ることにより、公共の福祉の確保と民生の安定を目的としていることから、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法では、災害の発生年を含めまして3カ年以内で完了を図ることとなっているところでございます。
 10月27日から28日にかけての豪雨による公共土木施設の被害報告は、県全体で1、342カ所、309億2、000万円余となっております。特にも軽米町、二戸市を所管する二戸地方振興局管内におきましては865カ所、234億9、000万円余の甚大な被害状況となっておりますことから、二戸地方振興局に対しまして、本庁並びに他の振興局からの応援体制をとるとともに、軽米町を初めとする被害の大きい市町村に対しましても、本庁並びに振興局による指導はもとより、関係機関とも連携をとりながら取り組んでいるところでございます。
 この災害復旧につきましては、被災地域の復興や生活再建など、早期に事業の完了を図る必要があることから、3カ年以内に完了を図れるよう組織体制の整備を検討していくとともに、市町村に対しましても必要な支援をしてまいりたいと考えております。
 また、復旧対策のあり方についてでございますが、再び同様の災害が発生することを防止するため、改良復旧事業の計画に当たりましては、地元の声を反映させ、よりよい川づくりを行っていくことを目指して、これまで地元自治体、地域住民の意見をお聞きしながら、雪谷川を初めとする6河川におきまして検討を行っているところでございます。特に甚大な被害をもたらしました雪谷川につきましては、改良復旧事業がまちづくりに大きくかかわることから、軽米町が独自に雪谷川河川改修についての話し合いを4地区で開催し、また、県におきましても軽米町並びに地元住民の方々の意見や要望をお聞きするため、これまでに2回の説明会を開催しております。
 さらに、県内の川づくりに関する提言をいただくため、平成7年度から設置しております各分野の有識者で構成いたしますいわての川づくりプラン懇談会を現地で開催するなど、多くの方々の意見をいただきながら、改良復旧事業の導入に向けた検討を行っております。
 現在、詳細な計画につきましては建設省と協議中でございますが、今後とも改良復旧事業の実施に当たりましては、地元との連携を図りながら積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
〇議長(山内隆文君) 本日の会議時間は、議事の都合により延長いたします。
   〔農政部長佐藤徳兵衛君登壇〕
〇農政部長(佐藤徳兵衛君) 農地・農業用施設災害復旧事業の対応方針についてでありますが、被災地における農業の維持とその経営の安定のため、災害復旧に関する暫定法で、土木部長が答弁申し上げましたとおり、災害発生年度を含め3カ年度以内に復旧事業が完了するよう必要な措置が講じられております。また、全国各地の同規模あるいはそれ以上の災害にありましても、長崎県の雲仙・普賢岳噴火災害以外は、3年以内に復旧が完了していると承知いたしております。
 農政部といたしましては、軽米町に対し早期に復旧が完了するよう、災害査定に引き続いて、これからも全面的な支援を行ってまいりたいと考えております。
   〔生活環境部長村上勝治君登壇〕
〇生活環境部長(村上勝治君) 災害廃棄物の処理方法についてでありますが、今回の災害で発生した軽米町における廃棄物の量は約6、000トン、これは軽米町で発生するごみの量の3年分という話を聞いております。現在、焼却処理の必要なものや金属など資源化が可能なものなどに分別、破砕をしているところでございます。これらの災害廃棄物は早期に処理することが必要であることから、生活環境部といたしましては、盛岡市のほか8一部事務組合に協力要請をいたしまして、受け入れ可能量の調整を行ったところでございます。その結果理解が得られ、焼却の必要なごみ約4、000トンを含めまして資源化や埋め立てのめどがつきまして、年度内に処理できる見込みとなっております。
 なお、焼却物の処理経費につきましては、軽米町の負担をできるだけ軽減するため、国庫補助金の導入や特別地方交付税の配分について国に要望するとともに、県といたしましても一定の支援を行ってまいりたいと考えております。
 また、所管の二戸保健所におきましては、軽米町に仮集積場の確保、集積した廃棄物の分別や消毒など、衛生面での助言を行ってきたところでございます。
   〔企画振興部長渡辺勲君登壇〕
〇企画振興部長(渡辺勲君) まず、総合計画の人口・経済の見通しについてでございますが、総合計画に掲げる目標の実現に向けてさまざまな施策を効果的に推進していくに当たって、できる限り具体的で正確な展望を持つ必要があるということから、経済社会に関する本県の推移や我が国の将来方向などを踏まえまして、人口・経済の見通しの推計を行ったところでございます。こうして策定した総合計画の人口・経済の見通しの各部門別計画における位置づけについてでございますが、環境基本計画や農業・農村基本計画など、各部門別計画策定に際しまして、各部局におきましては、この総合計画の人口・経済の見通しを基本として、それぞれの部門別計画における経済社会活動の将来動向等々を展望し、さまざまな施策の展開や取り組み、あるいは検討などを進めてきているところでございます。
 次に、この総合計画の人口・経済の見通しの各市町村の総合発展計画等におけるかかわり、位置づけについてでございますが、市町村の総合計画は、もとよりそれぞれの自主的判断によって策定されるものでございまして、それぞれの人口・経済の見通しについては、それぞれその市町村計画の基本構想において示されているところでございます。県のこのたびの総合計画につきまして、この人口・経済の見通しを含めまして、その策定の段階から市町村と協議を重ねてまいったところでございました。また、策定後においてもその計画書を提供し、十分な説明を行ってきたところでございます。
 今後におきましても、市町村における計画策定の際の人口・経済の見通しに当たって参考となるように、市町村の要請に応じて、県のこの総合計画策定に当たっての人口・経済の見通し、策定に当たっての考え方、あるいは基礎となる資料等は提供してまいりたいと考えてございます。
 次に、地方分権一括法に対応した市町村の条例整備への指導についてでございます。
 県におきましては、平成7年度に発足いたしました地方分権推進市町村連絡会議を初め、さまざまな場において地方分権一括法の内容やそれに伴う市町村の対応等につきまして周知を図るとともに、分権型社会にふさわしいより地域の実情を反映した条例等の整備が図られるように、必要な技術的助言や情報提供等により市町村に対する支援を行ってきているところでございます。
 現在、市町村では来年4月の法律の施行に向けた条例等の整備を鋭意進めているところでございますが、県におきましては、今後も法制面の助言やさまざまな情報提供等を通じまして、市町村の作業を積極的に支援してまいりたいと考えてございます。
   〔総務部長武居丈二君登壇〕
〇総務部長(武居丈二君) まず、自治事務に関する国の関与のあり方をどのようにとらえているのかといったお尋ねについてでございますが、機関委任事務につきましては、包括的な指揮監督に基づく必要以上の関与が地方公共団体の事務処理の効率化を妨げるとともに、自主性、自立性を阻害する要因の一つとされていたところであります。この機関委任事務制度の廃止によりまして、国の地方公共団体に対する関与につきましても大幅な見直しが行われ、関与の原則、基準、手続などについて新たなルールが創設されましたり、関与につきましても、自治事務につきましては是正の勧告、是正の要求など、また法定受託事務につきましては是正の指示・代執行など、その類型が定められたこと、また、是正の要求などの権力的な関与につきまして地方公共団体に不服がある場合には、第三者機関である国地方紛争処理委員会に審査の申し出を行い、その委員会が勧告または調停を行うなどの係争処理制度が設けられたことは、基本的に評価できるものであります。したがいまして、自治事務に関しまして関与の類型が定められていたといたしましても、そのことにより県の自主性、自立性が損なわれることはないと考えておりますが、見直し後の事務の執行の過程において、地方自治法の改正の趣旨が定着するよう県として努力してまいりたいと考えております。
 次に、国と県との間における経費負担のあり方などについてでありますが、実施段階を迎えました地方分権を実効あるものとするためには、国、地方公共団体が明確な役割分担に応じて経費を負担すべきものでありまして、そのためには適切な財源配分が必要であると考えております。現在、国、地方の歳出純計に占める地方歳出の割合は約3分の2でございますが、実際に租税総額に占める地方税の割合は約3分の1ということで逆転しておりまして、この乖離をできるだけ縮小する観点から、地方税源を充実強化していく、こういう方策を検討していくことがこれからの課題となっているところでございます。特にも少子・高齢化に対応した地域福祉等、ますます増大する財政需要を抱える地方団体にとりましては、将来とも自主的、自立的な行財政運営が可能となるよう、地方一般財源の充実強化が不可欠であると考えております。
 このため県といたしましては、国に対しまして統一要望等の機会を通じまして、まず国において負担すべき超過負担の解消及び直轄事業負担金の廃止を強く主張しているほか、所得税などの税源の委譲などによる地方税財源の拡充強化を初め、法人事業税への外形標準課税の導入などによる税収の安定的な確保や地方交付税の安定的確保などにつきまして、具体的に要望を重ねているところであります。
 また、県と市町村との間にありましても、分権型社会における適切な役割分担に応じまして経費を負担すべきものと考えておりますことから、今議会に提案しております条例、すなわち、岩手県の事務を市町村が処理することとする事務処理の特例に関する条例におきましては、県の事務を市町村において処理することとした場合には、県が財源措置を講ずる旨明示し、本来県が負担すべき経費につきましては、当然ながら県が負担することとしているものであります。
 次に、県人事委員会勧告並びに報告に対する評価についてでありますが、まず、給与改定の早期実施につきましては、去る10月8日に県人事委員会の勧告を受けて以来、これを尊重するという基本姿勢に立ちながら、地方公務員法に定める給与決定の諸原則に従い慎重に検討してきたところであります。この間、国における給与改定関連法案が11月18日に可決成立し、また、他県におきましてもこれに準ずる取り扱いをする方向が明らかになったことなどから、この勧告を完全実施することとし、本日、関係条例案を追加提案することとしたところであります。
 次に、昇給停止制度につきましては、県人事委員会から、国の措置、他の都道府県の動向などにも留意しつつ、所要の措置を講ずるよう速やかに検討を進める必要がある旨報告を受けたところでありまして、この報告を尊重するという基本姿勢に立ちながら、地方公務員法に定める給与、勤務条件に関する諸原則に従いまして、昇給停止制度を導入する方向で十分に検討を進めてまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕
〇保健福祉部長(関山昌人君) まず、介護保険条例の制定についてでありますが、この条例は、65歳以上の第1号被保険者の保険料率など、介護保険事業を運営するための基本的な事項でもあり、自治の原則のもとに、保険者である市町村が自主的に作成することが基本となるため、県といたしましては、市町村が国の条例準則を参考としながら、地域の実情を踏まえて、介護保険条例を制定するに当たり、必要に応じて市町村に助言を行っているところであります。とりわけ、介護保険条例の制定に当たって、その基礎となる保険料率の算定や市町村介護保険事業計画の策定等につきましては、保険料率の算定方法や県独自に策定した事業計画のひな型など、具体的に示しながら、きめ細やかに支援を行っております。
 災害等特別な事情により被保険者が保険料や利用者負担を支払うことが一時的に困難となった場合につきましては、市町村が被保険者の申請により、第1号保険料については条例に定める要件に基づき、また利用者負担については厚生省令で定める要件に基づいて減免を行うことができる仕組みとなっております。
 なお、市町村が災害等により減免を行った場合については、国においてその経費の一部を調整交付金により補てんする方向となっております。
 次に、特別養護老人ホーム入所者やホームヘルパー利用者が自立と認定された場合の手だてについてでありますが、まず、特別養護老人ホーム入所者については5年間の経過措置が講じられているところでありますが、退所後、地域で安心して暮らすことができるよう、高齢者生活福祉センターやケアハウスなどの生活支援型の施設整備を推進しているところであります。また、ホームヘルパー利用者で自立と認定された高齢者に対しては、配食サービス、シルバーメイトによる見守りや生きがい対応型のデイサービス等に加え、新たに食材の買い物などの軽易な日常生活上の援助を行うサービス等も検討しながら、そのサービスの拡充を図ってまいります。
 いずれにいたしましても、必要となる施策が市町村において現在策定中の老人保健福祉計画に位置づけられることが必要であり、その計画の達成を支援してまいります。
   〔教育長大隅英喜君登壇〕
〇教育長(大隅英喜君) 県立高等学校新整備計画案についてでありますが、まず、花巻・北上ブロックにおける農業教育にかかわりましては、新整備計画案では、花巻地区に総合的な専門高校を、北上地区には総合学科高校を設置することとしております。総合的な専門高校においては、農業の専門分野を深く学習することはもちろん、必要に応じて、工業など他学科の専門分野も学習することができ、また、総合学科高校では、農業や商業など、地域の産業にかかわる学習も可能となることから、地域を担う人材の育成のためにはより有効であると考え御提案申し上げたところであります。
 これに対して地域の方々から、農業高校の単独存続や複数を統合しての農業高校としての存続等の御意見もあり、話し合いを重ねてきたところでありますが、今後も十分検討してまいりたいと考えております。
 また、総合学科高校への転換についての不安などが寄せられておりますが、総合学科は、生徒自身が自己の進路希望や興味・関心に基づいて主体的に履修科目を選択し、上級学校への進学や将来の職業選択をも視野に入れた効果的な学習を行えるという特徴があり、こうした点についてなお一層御理解が得られるよう努力してまいりたいと考えております。
 なお、中期計画があってもよいのではないかとの御提言についてでありますが、中学生の進路決定に際し、できるだけ早く生徒や保護者に方向性を示すことが必要であることから、まず、前期5カ年間についての具体的な計画を策定したいと考えているところでございます。
〇議長(山内隆文君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
   
日程第2 認定第1号平成10年度岩手県一般会計歳入歳出決算から日程第51 議案第38号市町村立学校職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例まで
〇議長(山内隆文君) この際、日程第2、認定第1号から日程第51、議案第38号までを一括議題といたします。
 議案第25号から議案第38号まで、以上14件について提出者の説明を求めます。武居総務部長。
   〔総務部長武居丈二君登壇〕
〇総務部長(武居丈二君) 本日提案いたしました各案件について御説明いたします。
 議案第25号は、平成11年度岩手県一般会計補正予算であります。これは、国の経済新生対策に係る第2次補正予算に対応する公共事業等に要する経費のほか、さきの大雨災害の復旧及び被災地支援に要する経費及び職員の給与改定に伴う人件費等について、総額654億6、616万6、000円を補正しようとするものであります。
 補正の主なものは、東北新幹線建設事業費負担金42億5、170万円、救助及び小災害見舞金8、620万7、000円、災害援護資金貸付金4、650万円、農道整備事業費21億7、875万円、ほ場整備事業費79億2、417万1、000円、中山間地域総合整備事業費21億5、943万円、中小企業災害復旧資金貸付金2億500万円、道路改築事業費39億3、300万円、直轄道路事業費負担金39億279万7、000円、河川災害復旧等関連緊急事業費20億円、河川災害復旧助成事業費11億円、美術館整備事業費23億6、699万6、000円、団体営農地等災害復旧事業費24億7、777万円、河川等災害復旧事業費71億8、275万7、000円等であります。
 なお、給与改定等に伴う人件費などの補正額は、各科目の管理運営費等に分散して計上しておりますが、合計38億874万9、000円の減額であります。
 歳出の補正に充てる財源は、地方交付税10億4、942万6、000円、分担金及び負担金34億2、250万8、000円、国庫支出金297億5、654万9、000円、県債308億4、170万円であります。
 次に、債務負担行為の補正は、県庁舎管理費に係る冷暖房機器設置工事など20件を追加し、ほ場整備事業など5件の限度額を変更しようとするものであります。
 また、地方債の補正は、地区合同庁舎施設整備事業など5件を新たに追加し、東北新幹線建設事業など29件の起債の限度額を変更しようとするものであります。
 議案第26号から議案第28号までは、平成11年度の岩手県県有林事業特別会計等、3特別会計の補正予算でありますが、これは、国の経済新生対策に係る第2次補正予算に対応する経費等について、それぞれの事業計画に基づいて補正するものであります。
 議案第29号から議案第34号までの6件は、予算の補正に伴う建設事業に要する経費の一部負担及びその変更に関し、議決を求めようとするものであります。
 議案第35号は、一般職の職員の給与に関する条例の一部を改正する条例でありますが、これは、国の例に準じて一般職の職員の給料月額並びに宿日直手当、期末手当及び勤勉手当の額を改定し、並びに指定職給料表の適用を受ける職員の期末特別手当を新設し、及び当該職員の期末手当を廃止する等、所要の改正をしようとするものであります。
 議案第36号は、職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例でありますが、これは、地方公務員の育児休業等に関する法律の一部改正に伴い、期末手当、勤勉手当または期末特別手当の基準日に育児休業をしている職員のうち、直前の基準日の翌日から基準日までの間に勤務した期間がある職員に対し、それぞれこれらの手当を支給するとともに、あわせて所要の改正をしようとするものであります。
 議案第37号は、平成11年10月27日から28日にかけての大雨洪水災害による被災者に対する個人の事業税の減免に関する条例でありますが、これは、10月27日から28日にかけての大雨洪水災害による被災者が納付すべき平成11年度分の個人の事業税を減免し、もって災害の被災者の災害復旧を助長しようとするものであります。
 議案第38号は、市町村立学校職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例でありますが、これは、国の例に準じて、市町村立学校職員の給料月額並びに宿日直手当及び期末手当の額を改定しようとするものであります。
 以上のとおりでありますので、よろしく御審議の上、原案に御賛成くださるようお願いいたします。
〇議長(山内隆文君) これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。

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