平成11年12月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

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〇9番(佐々木順一君) 自由党の佐々木順一でございます。
 きょうは、議長、そして先輩、同僚の議員の御配慮によりまして登壇をさせていただきました。これより知事初め、執行部の皆さんの胸をかりる思いで質問をさせていただきますので、御指導のほど、よろしくお願いを申し上げる次第でございます。
 私は、県内外の諸情勢を踏まえ、県内全域を視野に入れながら、歴史の教訓に学び、現実を直視し、未来を思考するという視点に立って、地方自治の本旨に基づく地方政府の一日も早い到来を念頭に置きながら、岩手の将来をより確かなものとするため、全住民を代表し、また自由党の党員としての立場から、一般質問を行うものであります。
 もとより議会は、県民の最終意思の形成を図るため、公開の場で活動を行うところであることから、審議の経緯と結果につきましては、県民の皆さんの十分な御理解を得る必要のあることは、論をまたないところであります。したがいまして、知事が唱える、ともにつくる開かれた県政を初め、顔の見える県政、さらにはこれを裏打ちする説明責任をより明確にするため、御答弁につきましては、例えば初めに結論を、その後に理由、背景、経緯などの構成にしていただくとともに、用語につきましては、平易かつ明瞭な言葉をお選びいただくなど、できるだけわかりやすい内容に仕上げてくださるよう、特段の御協力をお願い申し上げます。
 私は、県民の皆様はもとより執行機関の皆様と議会が情報や課題を共有し、時には住民の立場にある議会からこれらを提供しながら、自由闊達な議論を展開し、得られた結論に向かって、三位一体となって取り組むことによって、初めて分権の実を上げることができるものと信じております。このことによって、代議員制が正しく機能し、ひいては県政はもとより政治全般への県民の関心も一層高まっていくものと確信しておりますので、格別の御理解をお願い申し上げます。
 初めに、知事の時代認識につきましてお伺いいたします。
 知事は、初当選以来、右肩上がりの終えんを強調しながら、21世紀初頭までの数年間を変革と創造の期間と位置づけ、率先垂範と現場主義、さらにはスピードのある行政運営を行動規範に据えられ、精力的にさまざまな新しい取り組みに着手されてきており、地方分権の水先案内人としての邁進ぶりに心から敬意を表します。私は、この取り組みは、経済至上主義を支えてきた護送船団方式からの脱却を図り、県民が現在抱いている切実なさまざまな将来不安を解消し、もって単独航海方式、すなわち住民本位、住民参加型行政の展開のもと、量よりも質を重視した自立する自治を創造することを念頭に置かれているものと拝察申し上げます。知事自身のお言葉をかりますと、まさに階層型から水平型の社会システムへの転換、あるいは地域主権社会の実現ということになると思います。このことは、いわば社会全体の制度疲労を殊のほか強く意識したものと思っております。私は、今世紀を経済の時代と位置づけるなら、新世紀は、知事が提唱しているように、まさしく環境の世紀であり、加えて精神的価値を創造する時代でもあると考えておりますが、知事の時代認識について御所見をいただきたいと思います。
 次に、自治のあるべき姿につきましてお伺いいたします。
 私は、みんなで創る夢県土いわてという究極の目標をきわめるためには、自治システムを十二分に機能させながらも、行政全般にわたる仕組みも新しいものへと改めていかなければならないと考えます。月並みな表現ではありますが、土台をしっかりとつくらなければ、どんなすばらしい構造物も風雪に耐え忍ぶことは不可能であり、早晩、瓦解の運命をたどることは自明であります。私は、集権体制による従来型社会システムから地方自治による社会システムへの転換を円滑かつ可及的速やかに行い、強固な政策形成、執行基盤をつくり、これを土台に政策展開をすることによって、総合計画の実効性が確保されていくものと思いますが、その道のりは決して平坦なものばかりではないものと思います。しかしながら、新しい総合計画でうたわれている自立、参画、創造の価値観を最大限に引き出すことによって、初めて未来への可能性をつかむことができるものと考えますが、知事がイメージされるあるべき自治の姿につきまして御所見をいただきたいと思います。
 次に、地方政府といえども国家の一翼を担っていることから、国の政治と地方政治の関係についてお伺いをいたします。
 我が国の政治体制は、議会制民主主義による議院内閣制をとっております。したがいまして、政党が組織する内閣と国会との関係は、いわば緩やかな連帯関係にあります。他方、地方自治は、いわゆる首長主義に基づく二元代表制を採用しております。地方自治は民主主義の最良の学校、あるいはカシの木のデモクラシーという教えをひもとくまでもなく、私は団体自治と住民自治の二つの概念に基づく、さまざまなシステムが正しく機能することによって初めて自治が正常に作用し、このことによって国の政治、すなわち政党政治に基づく議院内閣制が健全に機能するものと信じておりますが、国の政治に対する自治の果たすべき役割と国政とのかかわり方につきまして、政治家として自治を預かる知事の御所見をいただきたいと思います。
 関連しお伺いいたしますが、先般、国会にいわゆるクエスチョンタイムが導入されました。初めての試みであることから評価はさまざまでありますが、私は、国民が主役の政治の実現を図るためには画期的な試みと思っております。ついては、県議会活動の今後の参考に供したいと思いますので、知事の率直な御感想をお聞かせいただきます。
 次に、いわゆる首長の多選禁止問題についてお伺いいたします。
 権力は腐敗する、絶対的権力は絶対的に腐敗するとの歴史の教訓は、余りにも人間の本質を見事に言いあらわしている名言であります。しかしながら、成熟傾向にある我が国の民主主義社会においては、この古典的言葉は次第に風化しつつありますが、地方分権の推進に伴い、自治体の首長の権限は今まで以上に強まってくることから、必要最小限の制約は、法律的、政策的にも考慮されてしかるべきとの識者の見解もあります。首長の多選禁止の問題は、国民生活に直結する自治の指導者のあり方と政治と選挙の根幹にかかわる問題であり、県民も高い関心を寄せておりますので、議論をさらに深めるためにも知事の率直な御所見をいただきたいと思います。
 次に、地方自治の健全な発展を図るため、幾つかの問題についてお尋ね申し上げます。
 まず、執行機関と議会の関係と各種審議会などのあり方につきましてお伺いいたします。
 議会は、議事機関として地方公共団体の枠組みの中に位置づけられながらも、長と対等の立場にある機関としてその権限を有効に行使し自己の役割を果たすことが期待されております。また、議会の役割は第一義的には当該団体運営の基本方針の決定とその執行の監視にありますが、地方分権の推進に伴い、これからは執行機関との役割分担をより鮮明にし、新しい議会像を構築しなければならないと考えるものであります。このようなことから、先例集の見直しなど、さまざまな改革に着手してきておりますが、議事機関としての自己完結性や自己責任性をより明確にするためには、今まで以上に研さんを積み重ね、政策提起機能、監視機能を高めていかなければならないと考えるものであります。
 しかしながら、執行機関に比べ議会の事務体制が脆弱であることは否めない事実であります。したがいまして、私は二元代表制の根本精神にかんがみ、法制課の設置、政務調整機能の強化など、議会事務局の充実を図る必要性を感じておりますが、行財政改革への考えにも十分に配慮しなければならないことから、直ちに書記の定数増は困難であることも承知しておりますので、当分の間併任を多用する方法も一つの考えであると思います。
 また、将来、議会予算の執行権を議長に認めていくことも考えていく必要もあると思います。
 さらに、執行機関の附属機関である審議会の委員に議員が就任していることは、議会の存在価値を低下せしめている一因であると思います。特にも、議会の審議の対象となる案件について、議員が委員として就任している審議会であらかじめ検討することなどは、議会の実質審議を空洞化させる恐れがあります。その象徴的なものは、地方自治法に規定されている監査委員の議会選出義務であります。したがいまして私は、議員は審議会の委員に就任しないことを原則とすべきものと考えるものであります。もとよりこの問題は、第一義的には議会内の意思の問題であり、しかも法律改正、条例改正などを伴うことから、直ちにということにはならないと思いますけれども、あるべき自治の実現に向けてお互い不断の努力を行うべき課題であると思います。
 一方、知事はパブリックコメント制度の導入を提唱されましたが、住民自治の一層の実効性を確保するため、住民の意見の開陳・集約の場でもある審議会などには、公募制なども採用し広く一般県民から委員の就任を求めるとともに、審議会の運営などにも見直しを加え、これまでとは違った形態で活性化を図っていく必要があるものと考えます。
 以上、申し述べました数点の事例を踏まえ、議会と執行機関との望ましい関係及び審議会のあり方、さらにはパブリックコメント制度の内容と既存機関との役割分担につきまして、知事の御所見をいただきたいと思います。
 次に、県の機構改革、すなわち部局の再編整備を中心に関係する問題についてお伺いいたします。
 2001年には新しい省庁がスタートいたします。一方、21世紀の扉は1年後に確実に開きます。しかし、この扉を20世紀の延長で開くのではなく、今から加速をつけて勢いよく開け放ち、そしてその扉の向こうにある希望の新世紀を県民がしっかりとつかむことができるような新しい行政システムを整える必要があると思います。すなわち、総合行政、広域行政の展開のもと、ますます増大すると思われる部局横断的課題に適切に対応し、もって新しい総合計画の効果的推進を図るため、55年体制を支えてきた縦割り行政に終止符を打ち、新総合計画が目指している五つの社会の実現を念頭に置いた、分権時代にふさわしい行政機構に改めることであります。
 また、庁内には職員の意識改革啓発のためのポスターが随所に貼付されておりますが、職員の皆様が必死になって変わろうと努力されている姿は、不夜城の県庁を見るまでもなく、かつて県庁にお世話になった1人として、私もその御苦労は十分肌で感じておりますけれども、この意識改革をさらに徹底させ、実効あらしめるためには、機構改革は極めて有効であると考えるものであります。知事自身も、全庁的な組織体制の整備につきましては6月議会で言及されましたが、改めて知事の基本的考え方と具体的取り組みにつきまして御所見をいただきたいと思います。
 関連し、振興局長の位置づけなどにつきましてお伺いいたします。
 知事は、県行政の分社化の一環として、振興局の機能強化を図るため、人事、予算要求などを本年度から導入するとともに、明年度からは総合補助金制度を創設される方向にあるなど、振興局の自己完結性に向けて鋭意取り組まれてきており、まさに国の先取り地方分権岩手版の感を強く抱くものであります。
 私は、権限委譲を図ることによって、今後、振興局は出先機関というイメージから、地域住民に密着したいわば地方県庁としての存在をますます高めていくものと期待を寄せております。しかしながら、大方の県民の皆さんは、地方に赴任されている振興局長を初めその職員よりも、内丸の方が格が上との印象をいまだ捨て切れていないのが実情でございます。分権推進に伴い、これからの地方振興局長はもとより振興局の職員の皆さんは、市町村長や地方議会と対等に渡り合うことが予想され、振興局長自身、場合によっては知事の意を体し、難しい判断や行動を瞬時に求められることも想定されます。
   〔議長退席、副議長着席〕
 したがいまして、私は振興局の自己完結性を確立するため、この際、思い切って局長の身分を特別職的存在に位置づける必要性を感じているところでありますがいかがでしょうか。同時に、将来の本庁と振興局の役割分担につきましても御所見をいただきたいと思います。
 次に、市町村の合併に特化してお伺いいたします。
 市町村の合併問題につきましては、本定例会一般質問でもさまざまな角度から議論が行われましたが、県民意識はその必要性を実感できていないのが実情であると思います。しかしながら、県民の広範な議論そのものにつきましては、公表に伴い必然的に高まっていくものと期待を寄せておりますけれども、心配されることは、指針策定の基本的考え方が県民感情への配慮が足りず、きめ細かさに欠け、事務的、幾何学的思考に陥ることではないでしょうか。したがいまして、市町村間の歴史的経緯、地域の人々の数量化できない帰属意識及び複雑な地域感情などには十分に御配慮いただき指針を策定していただきたいものと希望しておりますが、指針策定の基本的考え方と公表の具体的時期につきまして、企画振興部長の御見解をいただきたいと思います。
 次に、国民関心事の介護保険制度の問題についてお伺いいたします。
 介護保険制度の導入の基本的考え方は、いわゆる介護地獄から家族を救うことと、要介護者を社会全体で支え合うことに主眼が置かれておりますが、実施時期を明年度に控え、さまざまな混乱が生じていることは非常に残念なことであります。しかしながら、保険方式にしろ、税方式にしろ、最終的には国民が負担しなければなりません。しかも、保険方式は市町村間、地域間の格差を生じさせることが欠点でありますし、加えて、社会保険料での財源確保が限界に来ていることから、将来は保険料を段階的に上げざるを得ず、逆にサービスは低下させざるを得ないことなどが明らかになっております。日本の国に生を受けた者はだれでも、社会の営みの中で、家族のため、地域のため、県のため、ひいては国家のため、さまざまな活動を通じ尽くされてきております。人間はいつか召される宿命にありますが、国民一人一人の各方面にわたるそれぞれの貢献に報いるため、安定的で維持可能な質のよい日本型介護福祉制度の中で、人間としての尊厳を損なわないようみんなで支え合いながら温かく迎えてあげることが、国民としての果たすべき役割であると思います。
 一方、現在サラリーマンが天引きされている各種保険料はかなりの額に達しておりますが、これをゼロにしてその分消費税で賄っても10数%を若干上回る程度であり、この消費税分で介護も医療も年金もすべて対応可能であるというのが、私が所属する自由党の考え方であります。例えば、月3、000円の介護保険料は、月6万円消費する人にとっては消費税5%分ですが、月60万円を消費する人にとっては0.5%分にしか過ぎないのであります。一方、消費税1%のアップで月6万円を消費する人からは600円、月60万円消費する人からは6、000円の財源が確保できることになります。しかも、保険料には滞納や不払いの問題がありますが、消費税はより確実に捕捉されます。確かに消費税率は現在よりふえますが、保険料負担はゼロになり、当然所得税の軽減も行われます。このような考え方に立って、私どもは税方式、すなわち消費税の福祉目的税化による介護制度への変更を強く主張しているものであります。もとより景気の回復が大前提でありますが、将来の社会保険全般を展望した介護制度のあり方につきまして、保健福祉部長の率直な御見解をいただきたいと思います。
 次に、環境政策についてお伺いいたします。
 知事は、新世紀を環境の世紀と位置づけ、環境基本条例の精神を踏まえ、環境ISO認証取得、また国の公約を上回る地球温暖化防止計画の策定など、数値目標を掲げた新しい総合計画や環境基本計画を定め、日本の環境首都を目指すことも表明されるなど、自然と共生し、循環を基調とする社会の実現に向けて意欲的に取り組まれてきております。この情熱は、思うに多感な時期に、岩手の山川草木を含む大自然に直接触れられたことが大きな要因であり、さらには、92年のアジェンダ21の一部始終を体感されたことなどによって強固な意志が完成されたものと拝察申し上げております。したがいまして、我々も環境政策の重要性を一層認識し、県民の1人として、また公人として、さらには地球市民として敏感に対処しなければならないものと痛感しております。
 しかしながら、環境問題はすべての県民の日常生活にかかわる問題であり、取り組みも広範多岐にわたることから、全県民の自覚と誇りに根差した協力と積極的な行動なしには、その実効性を確保することは極めて困難であると思います。このようなことから、私は人類にとって永遠のテーマとも言えるこの地球的課題に対処するため、官、民、学、NPO、企業・団体、そして個々の県民に至るまで、全県民を網羅した戦略的、実践的体制を県が主導的に整備し、それぞれの分野でなすべきこととあるべき方向性を個別具体的に定めた行動計画あるいはガイドラインなどを示し、全県民の理解と協力を求めていく必要があるものと考えますが、生活環境部長は知事の意を体して、環境政策をどのように展開されようとお考えになっているのか、御所見をお伺いいたします。
 次に、新農業基本法の理念を踏まえ、水田を中心とした土地利用型農業活性化対策につきましてお伺いいたします。
 米からではなく水田から所得を上げることを基本とする新たな水田営農対策は、麦・大豆を従来の転作から本作へと促す助成金体系と必要条件である団地化などの構造政策に施策が集中されておりますが、県においては、この考え方を踏まえ水田農業推進基本方針を策定され、新たな対策の推進に向けて鋭意取り組まれているとお聞きいたしております。瑞穂の風景を麦・大豆に塗り変えることは容易なことではありませんが、食料供給県の誇りと実績を持続的に保持するためにも、対策期間5カ年の間に期待される成果を上げる必要があるものと考えます。
 今後は、これまで以上に施策の担い手への集中が顕著になり、同時に価格形成を市場に委ねることになることから、ますます農産物の地域間競争、差別化が激化してくるものと思いますが、農産物の最終評価を下す対象は消費者であります。したがいまして、生産、流通、販売を常に意識したトータルの施策を今まで以上に展開しなければならないと考えますが、農政部長は水田農業の将来像をどう描いておられるのか、御所見をいただきたいと思います。
 次に、県のオリジナル酒造好適米、すなわち吟ぎんがについてお伺いいたします。
 農政部長みずからが田植えと刈り取りをされました吟ぎんがは、装いも新たに新酒に衣がえし消費者の評価を受けることになります。物事は初動の取り組みが最も大切ですが、吟ぎんがに対する思い入れが殊のほか深いと思われる農政部長は、吟ぎんがの岩手ブランドの確立に向けてどのような戦略をお考えになっているのか、明年度以降の作付方針も含め、具体的取り組みにつきましてお伺いいたします。
 次に、危機管理についてお伺いいたします。
 本県で当面予見される危機はY2K問題、いわゆるコンピューター2000年問題と岩手山問題であります。この二つの危機管理につきましては、いわば人事を尽くすだけ尽くしているものと思いますが、目前に年末年始という1年を通じ極めて特異な期間が控えていることから、以前にも増して細心の注意を払う必要があるものと感じております。万が一にも緊急出動などないことを念じておりますが、いざ有事の際に出動する最前線の部門は消防、警察、医療機関であります。県民が安心して新年を迎えていただくため、全県民の生命、財産、安全を守ることに直結した部署を司る最前線の関係部長、本部長の越年に向けての心構えについてお聞かせいただきたいと思います。特に、県警本部長からは、最近の警察行政を取り巻く諸情勢を考慮の上、県民の琴線に響く御答弁をお願い申し上げます。
 最後に、最近の新聞報道などを踏まえ、大迫町の事態に関連しお伺いいたします。
 今回の大迫町における複数の事態につきましては、私自身、稗貫の1人として心を痛めており、町の人々の民生と人心の安定のため微力を傾注しなければならないものと思いを新たにしているところでありますが、補助金等にかかわる事態は、先般の福祉関係貸付金の不正流用事件など、最近殊のほか顕在化しつつあります。
 地方公共団体の財産は、いわば住民からの信託財産であることから、その執行につきましては住民の負託に沿って適正かつ効率的に管理されなければならないことは極めて当たり前のことであります。一日も早い県行政への信頼回復に向けての取り組みが待たれるところでありますが、先ほど知事から、今般の事態に関し遺憾の意の表明と再発防止に努める旨のお答えがありましたので、私から御答弁は求めませんが、ただ1点、食糧費問題などの反省が生かされていないのではないかという一部指摘もあり、また、振興局の権限も強化される情勢にあることから、今回の事態を重く受けとめ、信頼回復に万難を排し取り組まれるよう、強く要望するものであります。
 重ねて、わかりやすい御答弁を賜りますよう、よろしくお願い申し上げまして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 佐々木順一議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、時代認識のお尋ねについてでございます。
 近年、少子化の急速な進行、そして経済のソフト化・サービス化の進展など経済社会環境の変化が進む中で、これまでのような、人口が増加して経済が右肩上がりになることを前提としてきた従来の社会の仕組みは大きく変化する、いや大きく変えていかなければならないというのが私の認識であります。また、ボーダーレス化や情報化が進展する中で、私たちの地域や暮らしが直接世界と結ばれる、世界の異なる地域の多様な価値観がそこには存在するのですが、それをお互いに認め合い、それぞれの地域そのものの個性や魅力が重要な意味を持つ社会への移行がこれからより進展していくと、このように考えております。同時に、地球環境問題が大きく認識される中で、経済社会の仕組みや一人一人、個々人の生活様式を見直ししていくことが求められてきております。このような社会では、知識・情報・技術などのいわゆる知的資本の重要性が高まって、情報ネットワークを生かした地域発展の仕組みづくりや、そのような仕組みを活用した多様な個性や文化の創造が求められていくものと思われます。
 また、地域や組織などの関係も、従来からの階層型から、いわゆる水平型へと変遷していくなど、個々の人々の生活から社会の構造に至るまで、これまでの前例が通用しない大きな時代の転換期を迎えている、このように私は考えております。
 私は、このような時代の大きな流れを、世界の中の岩手、それから日本の中の岩手という広い視野からしっかりと認識して、岩手と私たちのかかわりについて、生活者や地域の視点に立ってまず足元から見つめ直していくことが必要である、このように考えております。
 次に、あるべき自治の姿についてお尋ねがございましたが、要は、私は自治の究極の姿というものは、みずからの意思と責任のもとで物事を決めていくこと、このことに尽きると思っております。すなわち、これを二つに分けて言うと、行政の側では自主性、自立性を高めた県なり市町村が、それぞれの果たすべき役割を十分認識しながら、お互いに相協力して自己決定・自己責任の行政システムのもとで生活者、地域の視点に立った総合行政を展開していくこと。それから、住民の側にあっては、地域に暮らす人々が自立し、責任を持って地域が持つ独自の自然や歴史、文化に根ざした個性的な地域づくりを行っていくこと、このようなものであると考えております。そして、この行政と住民が、今申したそれぞれの役割を尊重しながら、お互いにしっかりとしたパートナーシップを築いて、真に豊かさを実感することのできる地域社会を創造していく、その一つ一つの過程がいわゆる自治そのものではないか、このように考えております。
 今言葉で申したわけですが、実際にはそこに至る道のりは決して平たんではありませんけれども、私は、この美しく、豊かで、さらに魅力あふれる岩手という舞台で、そうしたまさにあるべき理想の自治の姿の実現に向けて、全力を挙げて取り組んでいく考えでございます。
 次のお尋ね、国の政治に対する地方自治の果たすべき役割、国政とのかかわり方ということでございましたが、国と地方公共団体というのは、国民福祉あるいは住民福祉の増進というそれぞれの共通の目的に向かって、それぞれその機能は分担し合うわけですが、それぞれの機能を分担しながらも、国と地方が相協力して行政の処理に当たらなければならない、お互いが、上下ではなくて、水平の関係での──国と地方も水平の関係でのよきパートナーであると考えております。この中で、我々地方公共団体は、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を幅広く担っていると考えております。特にも、地方分権時代を迎えた今日、地方自治の果たす役割と責任は以前に比べて格段に増しておりまして、地域みずからがその責任と判断において地域の実情に応じた地域経営を行っていくことによりまして、自治の充実を一層図っていくことが極めて重要だと考えています。
 このようなことから、私は、住民が主体的に地域づくりに参加して、行動する自治の実現を図ることが必要だと思っておりまして、地方がそれぞれあるべき方向性を模索し、真の地方自治を実現していくこと、地方公共団体はそれぞれ小さな存在ですから、一つ一つですと影響力がないわけです。しかし、今申しましたようなあるべき方向性をみんながそれぞれ模索して、その地域地域において真の地方自治を実現していけば、ひいては、こうしたことが我が国全体の発展にもつながっていくのだ、このように確信しています。
 それから、国会での党首討論会、いわゆるクエスチョンタイムについてお話がございましたが、私は、これは与野党それぞれの党首が、その政策や政治理念を互いに率直に語ると──まだ2回だけですので、最初の段階ではいろいろ試行錯誤があると思いますけれども、1回目よりは2回目の方がよりそういったことが行われたような印象もございましたし、ともに討論することによって、国政の方向性や具体的な施策が、結局は国民の前により明らかにされるということで、国会審議の活性化につながると考えています。
 それから、首長の多選禁止問題のお尋ねでございます。
 これは、一般論としては多選は行政の硬直化やマンネリ化を招くなどの弊害を生じる恐れがあると考えられるわけですが、この問題はまさしく、首長本人の識見と最高の判断にかかわるものであると思いますし、一方で、有権者側から見ても、有権者としての選挙民の考え方がこの問題については最大限尊重されるべきものと考えていまして、これから地方分権の進展に従ってこうした問題がより深く議論されるような状況になると思っているのですが、今後、こうした立候補の自由と、それから選ぶ側の選挙民の、住民のその選挙の自由という観点から、やはりこの問題についてはひとつ幅広い意見を踏まえて、十分に国民的な議論がなされる必要があると、このように考えております。
 それから、議会と執行機関との関係についてのお尋ねでございます。
 地方分権が実行段階をもう今まさしく迎えようとしているわけで、本県の特性や地域の実情を踏まえた新しい施策、事業を展開していく上で、我々のこの執行機関を監視して団体意思を決定するという上で、この議会の役割というのはこれからますます重要性を増していくというふうに認識をしております。申すまでもなくこの両者というのはまさしく対等の関係であり、まずそれぞれが自主的にその機能が発揮されるべきものと、このように考えておりますが、県政推進という上からはやはり車の両輪のような関係で、相互に切磋琢磨して、そしてやはり県政を引っ張っていくと、こういうことが望ましいと思っております。
 それから、次に審議会のあり方ですけれども、まず審議会委員への議員の就任につきましては、今は幅広い見識や経験に基づくそうした議員の皆さんの御意見を伺うということで、この議会からも御参加をいただいております。今後この問題についてはやはり議会での御意見というものがまず大事だろうというふうに思いまして、議会での御意見も参考にさせていただきながら、そのあり方について検討していきたいと考えております。
 また、審議会の運営の関係については、今、議員からもお話ありましたが、委員の公募制の導入ですとか、それから若手委員や女性委員の登用を積極的に行うといったことも必要であると思います。政策形成過程の県民参画機会の拡充とあわせて、審議会運営の一層の活発化、活性化が図られるように努めてまいります。
 それから、現在これは検討中ですけれども、パブリックコメント制度です。県行政の運営に関する基本方針の決定ですとか、県民生活に重大な影響を与える制度といったようなもの、そうしたものを導入するに際しては、事前にその原案の段階や関係する情報というのを広く公表して、県民の幅広い意見をこれらの施策に反映させる仕組みにしたいと、このようなことを考えて今検討しているわけです。主として委員の合議機関である審議会、先ほど申し上げましたああいう審議会というのは委員の合議機関でございますが、そういったものとはまた違って広く県民が自由に参加できるということが特色だろうというふうに思っています。
 いずれにしても政策の実現に当たっては、その意見を参考にしながらも、最終的にはこの県議会の場というものが最終的な場であって、この県議会の場を通じて十分な調整が図られるべきものと、このように考えております。
 次に、県の機構改革の基本的考え方と、それから振興局長の位置づけについてお尋ねがございました。
 何度も言うようですが、私は、右肩上がりでない社会の到来を迎える一方で、地方分権がいよいよ実行の段階に入っていくという今日ですので、地域や県民のニーズというのは地域にいろいろあるわけですが、そうしたものをより迅速に、そしてまた的確に把握をすると、そして対応していくと、それからより質の高い行政サービスを総合的、効率的に提供すると、そして限られた行政資源を県民の満足度の高い施策に重点的、効果的に投入できるような、そうした行政機構の整備がやはり必要であるというふうに思っております。このような基本的な考え方のもとで、ことし2月に策定をした岩手県行政システム改革大綱に基づいて、現在基礎的なまだ調査、検討を進めているわけですが、この検討に当たっては、やはりこの間つくりました新しい総合計画の推進ですとか、それから私が常々申しております現場重視の地域経営と、こうした観点にも留意しながら、今その検討を進めているところでございます。
 具体的には、その本庁組織については、総合的な政策の形成機能というものの強化と、それから評価機能を重視した総合政策部門の整備と、そういうものを進めていきたい。政策を形成する機能と、それから一方そのやったことを評価する機能、これを重視した総合的な政策部門の整備を進めたい。それから、振興局の方では、県政全体が目指す方向を踏まえながらも、本庁組織の再編との整合性も図りながら、結局は地域特性に応じた施策の推進がそれぞれの地域で一層図られるように、これからさらにその整備充実を図る、そして権限も強化していくと、この方向でいきたいと思っています。今後これらの行政機構の整備につきましては、今年度じゅうにたたき台をまず検討して、平成12年度──これは来年度の方に入ってしまいますが──の早い時期に行政改革推進懇談会という、有識者が入った懇談会がございますが、ここ、それ以外にももう少し幅広く意見を聞かなければいかぬと思ってますが、こうした行政改革推進懇談会などの御意見も伺って再編案というものを調整し、そして決めて、平成13年度の再編実施ということを目指してこれから準備を進めていく考えでございます。
 それから、先ほどあわせてお尋ねあった地方振興局長の位置づけと、これはこれからどんどんその位置づけもまた重要になってくると、こういうことであるわけですが、先ほど具体の御提案もございまして、これは今後の今検討している地方振興局のあり方とも深くかかわってきて、局長の位置づけだけ、それだけで決められないので、その地方振興局のあり方とも関連したその機能強化とあわせて、これから将来に向けての課題として検討していくと、こういう考えでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔総務部長武居丈二君登壇〕
〇総務部長(武居丈二君) まず、将来の本庁と地方振興局の役割分担に関する所見についてでございますが、地方分権が実行の段階を迎えました今日、市町村と連携して、地域の実情に即した県行政を推進していくために、とりわけ広い県土を有する本県におきましては、地方振興局の役割の重要性はますます高まっていくものと考えられます。このような認識から、将来的な本庁と地方振興局の関係につきましては、まず地方振興局は、今後、より市町村行政との連携を深めながら、地域における施策の企画立案、事業実施を自己完結的に担い、一方、本庁は、国や他の都道府県との調整及び共同事業の推進、県全体の政策の企画立案、調整と、地方振興局の事業の評価を担うことなどを基本としていくものと考えておりまして、現場重視の地域経営を推進する観点からは、地方振興局の施策遂行に対する細部にわたる関与は縮減していくものと考えております。具体的に、例えば地域性の強い施策や事務事業、現地での迅速な対応が必要になるものにつきましては地方振興局が、また県下全域に影響があるものや国や他の都道府県などとの総合的な調整や協力が必要な事項につきましては本庁が、それぞれ責任を持って行うべきものと考えております。
 また、個別の施策や事務事業の実施に当たりましても、適切な指示、連絡、報告、情報交換などのほか、必要に応じまして庁議でありますとか政策会議へ地方振興局長が出席する、あるいは総合計画の策定などの政策決定や、予算、人事組織の調整への参画の機会などの拡充などにつきまして、こういったものを今後拡充していく。さらに、情報ネットワーク、現在、企画振興部の方で情報ハイウェイというものを検討しているところでございますけれども、こういった情報ネットワークも活用しながら、組織間の有機的な連携、調整を図り、行政の一貫性も十分に確保されるよう留意していきたいと考えております。
 それから、危機管理についてのお尋ねがございました。総務部におきましては岩手山問題を抱えているわけでございますが、県では昨年の6月24日に臨時火山情報第2号を発表いたしまして、これを受けまして災害警戒本部を設置しておりまして、私自身が災害警戒本部長でございますけれども、現在まで情報収集でございますとか、山体の監視を続けているところでございます。仮に災害が発生した場合には、職員の参集でありますとか、関係機関との連絡、こういったものが必要になってくるわけでございますが、こういった体制につきまして、夜間や休日におきましても的確にとれるよう、消防防災課と盛岡地方振興局の職員2名の宿日直によりまして、日々24時間体制で警戒に当たっているところであります。これによりまして、岩手山の対策に限らず、地震でありますとか津波などの災害が発生した場合におきましても、現行の体制によりまして、初動時の体制を確保し、その後の対策を的確にできますことから、年末年始につきましても適切な対応ができるものと考えているところでございます。
   〔企画振興部長渡辺勲君登壇〕
〇企画振興部長(渡辺勲君) 広域行政推進指針の基本的考え方についてでございます。
 市町村合併を含む広域行政の推進につきましては、地域のあり方は地域が決めるという地方自治の基本的考え方を踏まえつつ、市町村とりわけ地域の住民が地域の現状や課題をともに考え、将来の望ましい姿を描きながら自主的に判断すべき問題でありますことから、この指針は、あくまでも市町村や地域住民一人一人が主体的かつ積極的に広域行政を議論するためのたたき台として県が策定するものでございます。その策定に当たりましては、地理的事情や歴史、文化等の背景、さらには地域によって異なる住民感情等々、市町村ごと、市域ごとのさまざまな実情を踏まえるとともに、一方では、交通・通信網の発達に伴う住民の日常生活の拡大、介護保険や廃棄物処理の広域化等の新たな行政課題への対応などの多種多様な諸条件を勘案していくことが必要でございます。
 こうした考えに立って、指針の策定に当たっては、県立大学の有志による広域行政研究会の協力を得て、4月以降全市町村を訪問し、各市町村長、各市町村議会の代表者、さらには地域住民の皆様方からさまざまな御意見、御提言をいただきますとともに、地域の実情を示す基礎的な資料を収集してまいりました。これからはこれらの調査等を踏まえ、研究会が策定するこの報告書の内容を参考としながら、さらに市町村からも御意見をいただき、平成12年3月中をめどに指針を策定し公表できるよう作業を進めてまいります。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕
〇保健福祉部長(関山昌人君) 介護保険制度のあり方についてでありますが、少子・高齢化の一層の進展に伴いまして、我が国の年金、医療、介護を初めとする社会保障費用は、さらに増大することが避けられないものと認識しております。このような状況におきましては、高齢者介護の費用をどのような財源で賄っていくかという問題につきましては、介護保険法の制定時におきましても最も議論のあった点の一つであります。税方式につきましては次の点などを踏まえながら慎重に検討する必要があると考えておりますが、まず社会保険方式は、御指摘のとおり、保険料未納などの問題があるものの、個人の力だけでは対応できない事態に備えて、社会連帯の理念のもとに、国民が互いに助け合う仕組みとして、我が国の社会保障制度の中核をなしており、税方式と比較して負担と給付の関係が利用者にとってわかりやすいこと、また税方式だと全国一律の介護サービスなり地方分権の流れと異にし、社会保険方式では市町村において地域特性を踏まえた介護サービスの提供が可能になることなどの利点があります。
 次に、社会保障費用を消費税のみによって賄おうとした場合、基礎年金、高齢者医療、介護の3分野の費用は、平成11年度、これは国庫予算ベースでありますが、8兆8、000億円に達し、一方、消費税収入、これは国分でありますが7兆3、000億円と、これだけ見ましても1兆5、000億円も不足しているということでありまして、その導入に当たっては十分現在の経済情勢を考慮することが求められます。このように税方式においては以上のような問題点などがあるわけであります。いずれにいたしましても、まず介護保険制度が平成12年4月に円滑にスタートすることが最も重要と考えており、施行5年後を目途として、制度全般に関し検討がなされることとなっておりますことから、制度を運用する中で改善すべき点があれば、機会をとらえて国に必要な意見を述べてまいりたいと考えております。
 次に、医療機関におけるコンピューター2000年問題等の危機管理についてでありますが、既に本年1月から医療関係者等による連絡会議の開催や模擬訓練等により、適切に対応できるよう体制づくりを進めてきたところであります。とりわけコンピューターの誤作動等が発生した場合、患者の生命、健康に及ぼす影響が大きいとされる医療機関の中で、救命救急センター等の救急医療機関49カ所については、その対応に万全を期すよう重点的に指導してまいりましたが、11月中までにこれらの全病院から医療機器の総点検等を完了したとの報告を受けております。なお、それ以外の医療機関についても適切に対応できるよう指導しておりましたが、特に注意が必要とされる越年時の対応として、県においては、不測の事態に備え24時間体制で職員を配置する一方、今月14日には県内全病院の関係者を招集し、指導の徹底を図るほか、引き続き医師会等の関係団体を通じて注意を喚起してまいります。
 また、岩手山災害への対応についてでありますが、災害発生に伴う負傷者の受け入れ、被災地への医師の派遣等を迅速に行うため、災害拠点病院11カ所を指定しているほか、医師会等との連携のもと、被災情報の収集及び伝達、患者受け入れ病院の調整等について、これまで実践的な訓練を実施するなど万一の事態に備えております。今後におきましても関係機関、団体等との連携を密にしながら、これらの危機管理に万全を期してまいります。
   〔生活環境部長村上勝治君登壇〕
〇生活環境部長(村上勝治君) 環境政策の展開についてでありますが、御指摘のとおり、今日の環境問題の解決には、地域住民の相互協力や自主的な取り組みが必要不可欠と認識いたしており、今般策定いたしました環境基本計画においても、施策の方向の第1番目に、みんなの参加とパートナーシップによる環境づくりを掲げたところであります。この中で県は、環境保全に向けた具体的行動に県民の参加を求めていくため、環境情報の提供のためのシステムや県民の環境学習、環境保全活動の拠点施設の整備を進め、岩手環境市民・環境NPOの育成を図ることとあわせ、産学官が一体となった取り組みを促進するとともに、地球温暖化防止フォーラムの開催等による地球に優しい暮らしの普及啓発を行うことといたしております。
 さらに、環境基本計画には、県民、事業者の環境配慮の視点、行動の具体例を環境配慮行動指針、いわばガイドラインとして掲げたところでございまして、農業、林業などの他の部門別計画におきましても、それぞれの分野でなすべきこと、あるべき方向が示されているところであります。今後は県内の主要な150団体で構成されております組織、愛ランドいわて県民運動協議会と連携し、県民各界各層がそれぞれの立場で自律的に環境の保全と創造に取り組む県民運動として、県民の環境保全意識の高揚を図り、計画の基本目標であります環境首都岩手の実現を目指してまいりたいと考えております。
   〔農政部長佐藤徳兵衛君登壇〕
〇農政部長(佐藤徳兵衛君) まず、水田農業の将来像についてでありますが、本県の水田農業につきましては、高品質・良食味米を安定的に供給できる米主産地としての地位を確固たるものとするとともに、それぞれの立地特性に応じて、野菜、花卉等の園芸作物や麦、大豆等の土地利用型作物を中心とした産地が形成され、稲作と他作物の生産を通じた所得形成力の高い水田農業を推進することが重要であると考えております。このため、今後におきましては、水田を最大限に活用するとともに、消費者や実需者の求める高品質な農産物の生産を基本とし、稲作につきましては、適地適作による売れる米づくりを推進するため、生産者や関係団体の理解のもとに、可能な限り良質米地帯において生産拡大が図られるよう誘導してまいりたいと考えております。
 また、米以外の作物につきましては、野菜、花卉等の園芸作物を稲作の減収分を補てんする戦略作物として位置づけ、県の農業・農村基本計画における重点推進品目を中心に生産拡大を図るとともに、麦、大豆等の土地利用型作物につきましては、国の新たな助成措置等を積極的に活用しながら、農地の利用集積や団地化を促進し、担い手を中心とした生産組織や大規模経営を育成してまいりたいと考えております。こうした経営の具体例として、宮城県古川市では、集落の徹底した話し合いのもとに振興作物を麦、大豆に統一して900ヘクタールに及ぶ団地化を図るとともに、農作業については認定農業者が担うなど、まさにモデル的な取り組みを展開しておりますが、本県におきましても、地域の条件に応じて、将来的には可能な限りこうした水田農業の姿を目指してまいりたいと考えております。
 次に、本県オリジナル酒造好適米吟ぎんがの作付方針とブランド確立についてでありますが、この吟ぎんがは本年から農家圃場において栽培したところでありますが、一等米比率が従来の美山錦に比べ格段に高い、9割を確保するなど期待どおりの成果が得られたところであります。来年度は酒米の主産地である石鳥谷町を中心に、種もみ供給が可能な50ヘクタール分の作付を行うこととしておりますが、13年度以降は県内仕向けのほか、全国で活躍する南部杜氏さんのネットワークを生かして県外にも販売できるよう、北上川下流地帯を対象に普及拡大をしてまいりたいと考えております。
 また、吟ぎんがを原料とした酒の販売戦略については、本県が誇るきれいな水と、南部杜氏の卓越した技術、品質のすぐれた吟ぎんが、さらには岩手生物工学研究センターが開発した酵母など、岩手尽くしでつくられたオリジナリティーを前面に出しながら、酒造業界と一体となって、当面新年1月下旬から蔵出しが見込まれております新酒デビューキャンペーンや大型イベントなどPR活動を展開し、ブランドの早期確立に努めてまいりたいと考えております。
   〔警察本部長篠宮隆君登壇〕
〇警察本部長(篠宮隆君) 警察における危機管理体制についてお答えをいたします。
 いわゆる緊急事態が発生した場合に、統一的指揮命令系統のもと、強力な執行力を迅速に発動できる警察に対する県民の期待は小さくないと認識しております。いわゆる2000年問題につきましては、本職を長とする対策推進本部を既に10月20日に設置しており、特に年末年始における不測の事態に備えて、延べ1、300名の体制で対応することとしております。
 また、最近、水蒸気爆発の可能性が指摘されている岩手山問題につきましては、県警察の抱える当面の重要課題であると認識し、去る10月24日、700名動員による大規模な訓練を実施するなど、各種訓練を実施して教訓の蓄積に努めるとともに、11月12日の臨時火山情報の発表に際しては200名体制で警戒活動に当たったところであります。さらに、この問題を県警察を挙げて対処するため、大規模災害対策等の推進を平成12年の県警察の運営重点の一つに新たに加えたところであります。
 いわゆる2000年問題や岩手山問題につきましては、県警察としても未経験の分野ではありますが、最悪の事態を想定して備えることは当然のことながら、万一発生の際は、警察は県民のために存在するという原点に立って、本職以下警察職員が一丸となって県民の警察に対する信頼にこたえてまいる所存であります。
〇9番(佐々木順一君) わかりやすい御答弁、丁寧な御答弁ありがとうございました。論点をさらに深めたいと思いますので、再質問をさせていただきます。
 本定例会は来週から決算特別委員会がありますし、私は商工文教委員会に所属しておりますので、各部局にわたる個別的な具体的な問題につきましては、それぞれの委員会で質疑を行わせていただきたいと思います。しかしながら、知事への質疑は本日以外に機会がないことから、各部長、本部長の御答弁を踏まえまして、知事にお尋ね申し上げたいと思います。
 まず、市町村の合併の問題について特化してお伺いしたいと思いますが、県の基本的な考え方などにつきましては、先ほど企画振興部長の御答弁で、あるいは本定例会の一般質問の御答弁でわかりましたけれども、さらに合併問題をわかりやすくしたいと思いますのでお尋ねいたします。
 すなわち、私は合併指針の公表とあわせまして、合併に伴って見直しを余儀なくされる事項、例えば広域生活圏、振興局、出先機関など、県民生活に密着している県のさまざまな公共施設のあり方につきましても、公表の時期と軌を一にいたしまして、可能な限り県民に提示された方がよろしいのではないかと考えるものであります。その理由は、県立高等学校の再編問題でも特に感じたことでありますけれども、個別具体的な見直しをその都度公表し議論を行っていては、大局を見失う恐れもありますし、さらに時間的、物理的な労力的コストも無視できないものがあるものと考えるからであります。これは私の印象でありますけれども、高校再編の問題は、議論の中心が移転場所と組み合わせの方向に向かいまして、生徒の視点や高校教育の実態を踏まえた望ましい教育のあり方など、本来議論されるべき本質的問題が横に置かれまして、結果として次世代を育てようとする大人社会の意思の表明が集約されないまま今日に至っていることは、まことに残念なことであると思います。このようなことから、合併の本質的、本格的な議論を深め、利害の広域調整を円滑に進めるためには、一括提示方式は極めて有効な方法であると考えるものであります。
 この問題は県民だれもが避けては通れない最重要課題でありますので、県民の多角的な議論を積み重ねまして、十分な理解を得るためにもぜひ真剣に御検討いただきたいと希望するものでありますけれども、知事の御所見をいただきたいと思います。
 次に、環境政策についてお伺いいたします。
 環境政策の具体的取り組みにつきましては、生活環境部長の御答弁でおおむね理解いたしましたが、さらに県民の意識を高め実効性を確保するため、次のような施策を御検討いただきたいと考えるものでございます。
 具体的に申し上げますが、まず、環境首都創造宣言を県内外に発信することでございます。この宣言発信の日は、例えば環境保健センター開設の日、あるいは環境条例の施行のあった日、あるいは国民の祝日のみどりの日などが挙げられると思います。そして、この宣言の日を意義あるものとするため、毎年テーマを決めまして、県民総参加のもとに環境創造の事業を展開することはいかがでしょうか。具体的テーマとしては、例えば多くの市町村で行われております植樹祭、育樹祭、河川の清掃などが挙げられると思います。特に、明治神宮の森林が80年前に国民こぞって植えられた人工林であることに着目していただければ、極めて有益な取り組みであると思います。同時に、知事が提唱されている環境政策の具体化を図るため、県民各界各層を網羅した実践母体、例えば──これは例えばですが、環境首都創造戦略会議、いわて環境市民育成会議、環境日本一づくり実践フォーラム、全県民・環境博物館創造協議会などの組織を、個別的あるいは包括的に整備することもそろそろ必要ではないかと感じております。また、環境保全基金の内容を充実させることも必要ではないでしょうか。
 いずれにしろ、ほうはいとして県民世論が沸き上がることがベストでありますが、時ここに至っては、いかにして県民のエネルギーを結集するかにかかっております。環境問題は守備範囲が広く、しかも人類が生存する限り、日々県民があらゆる知恵を出し合いながら、思想、信条を超越いたしまして対処しなければならない半永久的テーマであります。したがいまして、個別具体の各論、すなわちだれでもできるような施策から接近し、次第に核心に迫るようなアプローチこそ、戦略、戦術的には最も効果的と考え、あえて提起させていただきましたので、御批評を仰ぎたいと思います。
 次に、危機管理についてお伺いいたします。
 部長、本部長の心構えをお聞きいたしました。印象として、政治と行政の要諦である国民の生命、財産を守ることに徹する不退転の決意をにじませながらも、危機管理の心構えでございます悲観的に考え、楽観的に振る舞うとの感を深くしたところであります。まさに人事を尽くし天命を待つ、この心境にあるものと拝察申し上げておりますが、くれぐれも想定外の出来事という表現など用いられることのないよう、一層の御尽力をお願い申し上げる次第でございます。
 しかしながら、県民一人一人が予見できる目の前の危機に対処するため、備えに万全を期すための最新情報を発信することは危機管理の基本中の基本であります。よって、県民が高い防災意識を持ちながらも穏やかに新年を迎えていただくために、知事は、備えは備えとして、県民に対し注意喚起を促す情報、あるいは一定の安心感を与える情報など、その状況に適した最新の情報を提供することも必要ではないかと感じております。例えば、12月28日には本年を総括する恒例の記者会見が予定されていると思いますが、有事の際に総合指揮をとられる知事におかれましては、ぜひこのような会見の場で、科学的解析を加えた最も新しい適切なメッセージを県民の皆さんに直接送っていただきたいと望むものであります。これは要望でありますので御答弁は求めませんが、何か御所見があればお聞かせいただきたいと思います。
 以上です。
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 今、幾つか佐々木議員の方から再質問がございましたので、順次お答え申し上げたいと思います。
 初めに、市町村の合併問題について、広域生活圏ですとか、地方振興局のあり方も含めて一括にして提示して総体で議論してもらったらどうかと、戦略的、戦術的な観点も含めていろいろそういうお話になったのだろうとお聞きしておりました。私は、今度指針をつくって、皆様方に議論のたたき台として活用してもらおうかと思っているわけですが、その中に今言ったような観点、当然、振興局のあり方、位置づけ、具体の位置ですとか、広域生活圏にかかわる問題もあるので、その問題の所在はその中にも含めて示すことは必要だろうと思います。
 さらに、一歩進んで具体の案をあわせて出すということは、先ほど議員がお話になった中でも、県民の皆さんの意識がまだそれほど盛り上がっていない、煮詰まっていないという状況があるので、市町村の合併の具体的なくくりの一つのたたき台、さらに振興局、それから広域生活圏と全部一時に出すのは、論点を一時に広げ過ぎてしまうのではないかと私の方は考えております。いずれ合併の案を出して、いろいろ真剣に、例えば地域で議論してもらえれば、すぐに、そういった問題はどうなるんだという話になってくるので、その際におくれずに、順次必要な情報を積極的に提供することがいいのではないかと。早晩その問題に触れなければならないとは考えておりますが、まだ指針の中に盛り込む内容等について十分煮詰めているわけではありませんので、来年3月がめどとなっていますが、その問題はもう少し私どもで検討していきたいと思っております。
 次に、環境について先ほど幾つか提案がございました。環境首都創造宣言といったようなものを出したらどうかということで、これは県民運動につなげ、そして県民のエネルギーが結集するということからも、そうした行動が必要じゃないか、効果も大きいのではないかと思っています。内容はもちろんのことですが、発表する場だとか、時期だとか、そのタイミングが重要になってくるので、やはり関係する団体、県民運動に仕立てる上で非常に裾野を広くとらえていかなければならないので、そうしたところとも検討を進めながら、こうした宣言をしていきたいと思っています。
 それから、環境政策を具体化するための実践母体について、フォーラムですとか会議といったようなものをつくったらどうかという御提言で、今考えていますのは、愛ランドいわてという県民運動協議会があって、これは本来のいろいろな歴史を経て今のような形になってきているわけですが、ここが県民総参加で県民運動を結集していく上での一つの母体の組織だと思っています。組織を複数つくっていくやり方もあるのですが、今はここの団体、県内の主要な150の団体が入っていて、それぞれいろいろな活動をしている団体が入っています。民間主導の協議会であるので、こういった運動を進めていく上でもふさわしいと思っていますし、名称等の問題もありますが、いずれはだんだん御理解いただいて、環境のことをこうしたところで中心にやっていただきたいという期待も込めているのです。この愛ランドいわて県民運動協議会で、市町村ですとか、環境ボランティア団体とかNPOなどの民間団体、あと、いろいろな事業者の人たちとも密接な連携、あるいは新たにまたいろいろ入ってもらってもいいと思っていますが、そこでこの推進母体として、今言った宣言の内容を中心にやっていくということを考えています。
 それからあと、環境基金も含めて財政的な配慮のことも話がございましたが、これは、現下の厳しい財政状況を踏まえながらも、とにかく予算の重点的な配分ということで、総合計画全体を壁を乗り越えるプロジェクト、重点的にそういったところに結びつけていこうということですが、これはまた予算の段階で、重点的な予算配分ということで解決していきたいと思っています。
 最後にミレニアム事業についての具体の御提案があったんですが、現在その内容を検討しています。ちょうど環境の世紀である21世紀につながるような事業として企画していきたいということで今検討していまして、これはまた、予算の時期などに議会の方に御提案申し上げて、そして御審議いただきたいと思っています。
 最後に、危機管理について何かあればということでしたが、繰り返しになりますが、先ほど総務部長にも答弁させましたが、有事の際の危機管理については、業務を明確化して、私どもとしては万全を期していくという決意でおります。特に、ことしはコンピューターの西暦2000年問題の対応ということがあるので、12月28日の私の定例記者会見では、これから内容も十分練りたいと思っていますけれども、県民の皆さんに冷静に対応していただく必要があるということでの、この問題についての県民の皆さんへのメッセージを発表したいと、今このように考えております。これから内容を十分に検討して、当日28日に年末年始向けのメッセージを発表したいと思っています。
 以上です。
   
〇副議長(吉田洋治君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時49分 休 憩
   
出席議員(48名)
1 番 及川敦 君
2 番 飯沢匡 君
3 番 樋下正信 君
4 番 照井昭二 君
5 番 柳村岩見 君
6 番 小野寺研一 君
7 番 工藤大輔 君
8 番 川村農夫 君
9 番 佐々木順一 君
10 番 佐藤力男 君
11 番 及川幸子 君
12 番 阿部静子 君
13 番 阿部富雄 君
14 番 田村誠 君
15 番 岩城明 君
16 番 中 屋 敷十 君
17 番 千葉伝 君
18 番 佐々木大和 君
19 番 水上信宏 君
20 番 阿部敏雄 君
21 番 川口民一 君
23 番 斉藤信 君
24 番 伊沢昌弘 君
25 番 田村正彦 君
26 番 上澤義主 君
27 番 瀬川滋 君
28 番 藤原泰次郎 君
29 番 船越賢太郎 君
30 番 谷藤裕明 君
31 番 菊池勲 君
33 番 黄川田徹 君
34 番 伊藤勢至 君
35 番 高橋賢輔 君
36 番 小原宣良 君
37 番 長谷川忠久 君
38 番 千葉浩 君
39 番 吉田洋治 君
40 番 工藤篤 君
41 番 菅原温士 君
43 番 山内隆文 君
44 番 折居明広 君
45 番 村上惠三 君
46 番 藤原良信 君
47 番 及川幸郎 君
48 番 菊池雄光 君
49 番 佐々木俊夫 君
50 番 那須川健一 君
51 番 吉田秀 君
欠席議員(3名)
22 番 小 野 寺好 君
32 番 佐 々 木一榮 君
42 番 佐藤正春 君
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
午後4時5分 再 開
〇副議長(吉田洋治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。小原宣良君。
   〔36番小原宣良君登壇〕(拍手)

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