平成12年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成12年3月16日(木)
   

1開会 午前10時3分

1出席委員 別紙出席簿のとおり

1事務局職員
事務局長           和 美 宏 幸
議事課長           藤 沢 重 一
議事課長補佐         千 田 正 和
主任議事管理主査       浅 田 和 夫
議事管理主査         筒 井 則 裕
議事管理主査         森 達   也
議事管理主査         熊 谷 正 則
議事管理主査         下 山 義 彦

1説明員
教育委員会委員長       西 井 信 弘
教育長            大 隅 英 喜
教育次長           五十嵐   正
教育次長兼美術館整備室長   千 葉   弘
全国高校総体推進室長     小瀬川 紀 夫
総務課長           及 川 宣 夫
厚生福利室長         鹿 糠 幸 弘
財務課長           中 村   昭
義務教育課長         盛 川 通 正
県立学校課長         佐 藤 和 孝
高校改革推進監        伊 藤   勝
指導課長           西   俊 六
社会教育課長         八重樫   勝
文化課長           伊 藤 学 司
保健体育課長         松 田 郁 夫
美術館整備監         高 橋 信 雄
全国高校総体推進監兼参事心得 早 坂 七 郎
 
警察本部長          出 原 健 三
警務部長           佐 藤 裕 夫
生活安全部長         太田代 憲 夫
刑事部長           佐 藤 三 男
交通部長           沼 崎 喜四郎
警備部長           境 谷   滿
警務部参事官兼警務課長    日 山   忠
警務部参事官兼監察課長    添 田 信 之
生活安全部参事官兼生活安全企画課長 高 橋   榮
生活安全部参事官兼地域課長  千 葉 俊 夫
刑事部参事官兼捜査第一課長  鈴 木   勲
交通部参事官兼交通企画課長  菅 野   通
警備部参事官兼警備課長    中 川   健
総務課長           細 田 敬 一
会計課長           蒲 沢   孝
少年課長           小川口   弘
生活保安課長         千 葉 吉 秋
 
財政課長           池 田 克 典
   

〇工藤篤委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
 議案第1号から議案第21号まで、議案第29号から議案第37号まで、議案第39号、議案第41号から議案第46号まで、議案第48号から議案第51号まで、議案第54号、議案第55号、議案第57号、議案第58号、議案第60号、議案第62号、議案第65号及び議案第100号、以上49件を一括議題といたします。
 本日は、教育委員会及び警察本部関係を終わるように進行いたしたいと思いますので、御協力をお願いします。
 また、世話人会の申し合わせにより、質疑項目が複数ある場合、関連する事項についてはできるだけまとめて質疑されたいこと、また、質疑及び答弁については簡潔明瞭に行い、午後5時を目途に審査が終了するよう議事進行に御協力をお願いします。
 なお、関連質疑については、質疑冒頭に質疑を表明している委員より優先して発言を認めているものでありますので、その性格上、関連性の強いもののみ、短時間、簡潔に発言されるよう、また、要望のみで終わることのないよう御協力をお願いします。
 これより教育委員会関係の審査に入るわけでありますが、教育行政施策について教育委員会委員長から発言を求められておりますので、発言を許すこととし、その後、教育長から教育委員会関係の説明を求め、質疑に入ることといたしたいと思います。

〇西井教育委員会委員長 平成12年度の教育委員会所管に係る予算について御審議をいただくに当たり、教育行政施策について御説明申し上げます。
 今日の我が国の教育に関しては、行き過ぎた受験競争、画一的な学校教育、青少年の問題行動、家庭や地域社会の教育力の低下などの問題点が指摘されております。また、国際化、情報化の進展や生活意識の変化等に伴う生涯学習への意欲の高まりなど、社会の変化に適切に対応した教育の実現も強く求められるようになりました。国においては、心の教育の充実、個性を伸ばし多様な選択ができる学校制度の実現、現場の自主性を尊重した学校づくりの促進などを柱とする教育改革を進めてきております。
 このような状況を踏まえ、県教育委員会では、21世紀初頭を展望した本県教育の進むべき方向と、それを実現するための基本的な教育行政施策を明らかにするため、昨年9月、一人一人が学びの世界を拓く、心豊かでたくましい人づくりを基本目標とする第8次岩手県教育振興基本計画を策定したところであります。
 平成12年度におきましては、この計画に示した施策の方向や国の教育改革に向けた動きなどを十分踏まえながら、教育行政施策の一層の推進に努めてまいりたいと考えております。
 以下、平成12年度の施策の大要について申し上げます。
 第1は、生涯学習の推進についてであります。
 まず、多様化、高度化する県民の学習ニーズに対応するため、広域的な学習サービス体制の整備等をさらに進めるとともに、各種広報媒体を活用し、生涯学習に関する情報を広く発信してまいります。
 また、生涯学習施策の総合的、効果的な展開を図るため、県、市町村、関係機関・団体、民間等との連携に留意しながら、学びの里づくりを推進する生涯学習振興計画の策定に着手してまいります。
 第2は、学校教育の推進についてであります。
 学校教育では、ゆとりある教育活動の中で、子供たち一人一人の多様な個性を大切に伸ばしながら、ともに生きる心をはぐくみ、基礎・基本の習得やみずから考える力など、生きる力の育成を目指してまいります。
 まず、平成14年度から完全学校週5日制のもとで新しい教育課程が実施されますが、来年度からその移行措置が始まることから、新設される総合的な学習の時間の実施など、円滑な移行に努めてまいります。
 次に、道徳教育やボランティア教育、環境教育等の推進により、児童生徒の豊かな心をはぐくむとともに、いじめ、不登校、校内暴力などの問題については、教員の指導力の向上、スクールカウンセラーや心の教室相談員等の配置、関係機関や地域との連携などによって対応してまいります。また、健康教育の充実や体力、運動能力の向上に努め、児童生徒の健全な育成を図ってまいります。
 さらに、コンピューター、インターネットの活用研究や教員の操作・指導能力の向上などにより、情報教育を一層推進するとともに、高校生の海外研修の拡充や語学指導を行う外国青年の招致などにより、国際理解教育をさらに推進してまいります。
 次に、先ごろ策定した県立高等学校新整備計画については、地域との話し合いを深めながら着実に実施してまいります。また、県立高校における入学者選抜方法や通学区域、本県の実態に即した中高一貫教育のあり方について引き続き検討を進めるとともに、地域の特色等を生かしながら、各学校の個性化、活性化を図るなど魅力ある学校づくりを推進してまいります。
 さらに、公立幼稚園における障害児の受け入れ体制等について調査研究を行うとともに、宮古養護学校への高等部設置に向けた取り組みを進めるなど、障害児教育の一層の拡充を図ってまいります。
 また、新しい学習指導要領で示された高校の情報及び福祉の教科を担当する教員を計画的に養成するとともに、県立水産高校の遠洋漁業共同実習船の代船を建造するなど教育諸条件の整備に努めてまいります。
 第3は、社会教育の推進についてであります。
 まず、少子化、核家族化など、家庭を取り巻く環境の変化に対応するため、親子の触れ合いの場の提供、子育てサポーターの養成、電話相談の実施等を通じて家庭における教育力向上のための支援を行ってまいります。
 また、小・中学校施設の地域への開放を一層促進すること等により、児童生徒の体験・交流活動の場を広げ、地域住民に多様な学習機会を提供するとともに、大学等の開放講座、女性や高齢者のための講座の開設など、幅広い学習活動の支援に努めてまいります。
 さらに、さきに策定した図書情報総合センター整備基本計画に沿って、県民に質の高い図書情報を迅速に提供するため、県立図書館のデータベースの構築を推進するとともに、図書情報システムの開発に着手してまいります。
 第4は、スポーツの振興についてであります。
 まず、子供から高齢者まで、だれもが身近にさまざまな種目のスポーツに継続的に親しめる総合型地域スポーツクラブの設立を促進するとともに、多くの県民が気軽に参加できる県民スポーツ・レクリエーション祭を開催するなど、生涯スポーツの振興を図ってまいります。
 また、スポーツ国際交流員の招致や競技スポーツ指導者の海外派遣を継続するとともに、中・高校生に重点を置いた選手強化を図るなど、'99岩手総体の成果を継承していけるよう、競技力の向上対策に努めてまいります。
 さらに、高田松原野外活動センターの機能を充実するため、同センターに艇庫等を整備するとともに、多様なスポーツ活動を支援することができる総合的なスポーツ施設の整備のあり方について調査検討を進めてまいります。
 第5は、文化の振興についてであります。
 まず、青少年の豊かな情操をはぐくむため、青少年劇場などすぐれた舞台芸術の鑑賞機会を提供するとともに、文化事業の自主的な企画、運営等を担当する専門職員の養成を図るなど、芸術文化活動の促進に努めてまいります。
 また、青少年に焦点を当てて民俗芸能の後継者の育成を図るとともに、柳之御所遺跡の発掘調査を初め、平泉文化に関する調査研究をさらに推進するほか、県立博物館開館20周年記念として馬に関する特別企画展を開催するなど、文化財の保存と活用に努めてまいります。
 さらに、平成13年秋の開館に向けて県立美術館の建設と美術館情報システムの整備を着実に進めるとともに、県立博物館にいわて地元学センターとしての機能を持たせるなど、その整備に向けた基本計画の策定を行ってまいります。
 以上、平成12年度の施策の大要について所信の一端を申し述べましたが、県教育委員会といたしましては、その責務の重大さに思いをいたし、本県教育の一層の振興を図るため、各般の施策の推進に全力を挙げて取り組んでまいる所存であります。
 申し上げるまでもなく、教育は、国、県、市町村、団体等の関係者が連携、協力し、学校、家庭、地域社会が一体となって推進してこそ、初めてその成果が期待できるものであります。委員の皆様の一層の御理解、御協力と県民の皆様の積極的な参画を心からお願い申し上げます。
 なお、予算の内容につきましては教育長から御説明申し上げますので、よろしくお願いいたします。

〇工藤篤委員長 次に、教育長から教育委員会関係の説明を求めます。

〇大隅教育長 それでは、平成12年度岩手県一般会計予算のうち、教育委員会関係の予算について御説明申し上げます。
 お手元の議案その1の8ページをお開きいただきたいと思います。
 議案第1号平成12年度岩手県一般会計予算の第1表歳入歳出予算の歳出の表中、教育委員会所管の予算額は、10款教育費のうち1項教育総務費から7項保健体育費までと、9ページの11款災害復旧費のうち3項教育施設災害復旧費をあわせた総額1、761億9、470万1、000円であります。これを前年度6月現計予算と比較しますと、6億3、239万円余、率にして0.4%の増となっております。
 各項目ごとの内容につきましては、便宜、お手元の予算に関する説明書により御説明を申し上げます。234ページをお開きいただきたいと思います。
 金額の読み上げは省略させていただきまして、主な事項を中心に御説明申し上げますので、御了承いただきたいと存じます。
 10款教育費1項教育総務費1目教育委員会費は、教育委員会の運営に要する経費であります。2目事務局費は、事務局の管理運営費及び県立高等学校等に配置し、語学指導や地域のスポーツ指導の支援等を行う外国青年招致事業等に要する経費であります。3目教職員人事費は、教職員の退職手当等に要する経費等であります。236ページをお開きいただきたいと思います。4目教育指導費は、教職員の研修実施に要する経費、いじめや不登校等に対処し、児童生徒の健全育成を総合的に推進するため、心の教室相談員やスクールカウンセラー等を配置し、また、学校、家庭、地域社会の連携の支援に要する経費、障害児の幼稚園教育のあり方や幼児期からのノーマライゼーション意識の醸成について調査研究を行い、公立幼稚園における障害児受け入れの拡充を図る等の幼稚園教育推進に要する経費、21世紀を担う国際感覚豊かな人材の育成を図るため、課題研究テーマ別に世界各国に派遣する高校生世界のかけ橋推進事業、児童生徒の情報の選択、活用能力の向上を図るため、民間の情報処理技術者の活用や学校情報化推進補助要員配置等のマルチメディア活用推進事業、新しい学習指導要領に基づき2002年から導入される総合的な学習の時間の円滑な実施に向け引き続き研究を行うほか、新たに児童期における国際理解教育のあり方等を研究する総合的な学習の時間実践研究に要する経費等であります。236ページから237ページの5目教育センター費は、教職員の研修などに要する経費のほか、総合教育センターの管理運営及び施設等整備に要する経費であります。237ページから238ページにわたる6目幼稚園費は、こまくさ幼稚園の管理運営及び園庭等整備に要する経費であります。238ページをお開きいただきます。7目恩給及び退職年金費は、恩給及び扶助料等であります。
 239ページに参りまして、2項小学校費1目教職員費は、小学校教職員の人件費、旅費等のほか、総合的な学習の時間の実践研究を推進するための非常勤講師の配置に要する経費であります。
 240ページをお開きいただきます。3項中学校費1目教職員費は、中学校教職員の人件費、旅費等のほか、総合的な学習の時間の実践研究を推進するための非常勤講師の配置に要する経費であります。
 241ページの4項高等学校費1目高等学校総務費は、高等学校教職員の人件費及び旅費等のほか、新しいタイプの高等学校や入学者選抜方法、本県の実態に即した中高一貫教育のあり方等の調査検討に要する経費等であります。241ページから242ページにわたる2目全日制高等学校管理費及び242ページの3目定時制高等学校管理費は、それぞれ各高等学校の管理運営に要する経費であります。242ページから243ページの4目教育振興費は、産業教育設備、部活動設備及び情報処理教育設備の整備費のほか、農業及び水産教育等に係る実験実習に要する経費等であります。243ページから244ページにわたる5目学校建設費は、県立高等学校の建設等施設整備に要する経費であります。校舎建設は、盛岡第三高校の建築工事及び千厩高校と千厩東高校との平成14年度の統合開校に向けて整備する千厩東高校校舎増改築設計委託料、産業教育施設建設は、水沢農業高校の農業実習棟ほかの整備、体育館建設は、平舘高校ほか1校、部活動施設整備は、黒沢尻北高校ほか7校、校地整備は、盛岡商業高校ほか6校、教育環境の向上を図る校舎大規模改造は、浄法寺高校ほか7校、水泳プール建設は、釜石南高校ほか1校、遠洋漁業実習船代船建造は、県立水産高校の共同実習船新りあす丸の更新、このほか、校舎・教職員住宅等の整備、維持管理に要する経費等であります。244ページをお開きいただきたいと思います。6目通信教育費は、通信教育の管理運営に要する経費であります。
 245ページの5項特殊学校費1目盲聾学校費は、盲学校及び聾学校の人件費等の管理運営、盲学校校舎の大規模改造に要する経費等であります。246ページをお開きいただきます。2目養護学校費は、養護学校の人件費等、管理運営及びこの4月に宮古市から移管設置される岩手県立宮古養護学校校舎建設に要する経費等であります。
 247ページの6項社会教育費1目社会教育総務費は、生涯学習県民フェスティバルの開催、ボランティア活動の推進、長寿学園の開設等、多様化、高度化する県民ニーズに対応する生涯学習推進に要する経費、次代を担う子供たちを心豊かなたくましい人間として育成するため、テレビ放送等による情報提供、電話相談事業等を実施するほか、新たに子育てサポーター養成講座を開設し、家庭の教育力の充実を図る家庭教育推進に要する経費、訪問地での体験学習等を行う銀河鉄道の旅や、各青少年の家等での自然体験塾等を実施し、主体的に生きるたくましい青少年の育成を図る青少年ふるさと体験学習推進に要する経費のほか、生涯学習推進センター及び青少年の家の管理運営に要する経費等であります。247ページから248ページにわたる2目視聴覚教育費は、視聴覚教育の指導者養成等に要する経費であります。248ページをお開き願います。3目文化財保護費は、指定文化財の保存、修理への補助、埋蔵文化財包蔵地基本図を電子情報化したCD-ROMの作成、一戸町埋蔵文化財センター建設費補助、平泉文化フォーラム開催や柳之御所遺跡学術調査に要する経費、特別天然記念物カモシカの食害防止等に対する補助に要する経費のほか、埋蔵文化財センターの管理運営及び施設整備に要する経費等であります。248ページから249ページの4目芸術文化振興費は、青少年にすぐれた芸術鑑賞機会を提供する青少年劇場の開催、全国高等学校総合文化祭への参加、市町村文化施設職員の企画力の向上を図る研修会の実施など芸術文化の振興に要する経費、岩手芸術祭開幕フェスティバルにおいて交流・公演を行う北東北3県芸術文化連携交流に要する経費、高校生の文化部活動の技量の向上等を目指す高校生カルチャーキャンプ事業に要する経費、平成13年秋の開館を目指し、建設工事を進め、あわせて情報システムを構築するなど美術館整備事業に要する経費のほか、県民会館の管理運営及び施設整備に要する経費等であります。249ページから250ページにわたる5目図書館費は、県立図書館の管理運営に要する経費及び図書資料を適切に管理し、多様な利用者の利便性の向上を図る図書情報システムの整備に要する経費であります。250ページをお開きいただきます。6目博物館費は、県立博物館の管理運営及び施設整備のほか、本県の自然、歴史、文化などの地域資源を再発見するいわて地元学センターとしての基本計画策定に要する経費、博物館開館20周年を迎え、これまで蓄積してきた博物館活動の成果を広く県民に発信するための特別企画展開催に要する経費であります。
 251ページの7項保健体育費1目保健体育総務費は、児童生徒の保健管理、エイズ・性教育の推進に要する経費のほか、岩手県学校給食会に対する貸し付けに要する経費等であります。251ページから252ページにわたる2目体育振興費でありますが、252ページをお開きいただきたいと思います。2目体育振興費は、生涯スポーツの振興を図るため、地域スポーツ活動活性化事業への補助、県民スポーツ・レクリエーション祭開催負担金、地域スポーツクラブの育成を図る市町村への補助等の生涯スポーツ推進に要する経費、全国スポーツ・レクリエーション祭や各種体育大会開催への参加・派遣に要する経費、国体選手やジュニア選手等の強化を行い、本県の全国大会等における競技力の維持向上を図る競技力向上対策事業費のほか、昨年の岩手総体開催を記念し、各市町村において開催された競技の定着化と一層の振興を図るための大会開催費補助に要する経費等であります。253ページの3目体育施設費は、体育施設の管理運営に要する経費及び県営運動公園交通公園のトイレ改修、県営スケート場フィールド内ローラースケートリンク新設など県営体育施設の整備のほか、高田松原野外活動センターの機能を充実させるため、艇庫等の整備に要する経費であります。
 次に、ページを飛んでいただきまして、261ページをお開きいただきたいと思います。
 11款災害復旧費3項教育施設災害復旧費1目学校施設災害復旧費は、県立学校施設に災害が発生した場合の復旧に要する経費であります。
 次に、債務負担行為について御説明を申し上げます。恐れ入りますが、議案その1に戻っていただきたいと思います。15ページでございます。
 第2表債務負担行為の63校舎建設事業及び64校地整備事業の2件であります。校舎建設事業は盛岡第三高校、校地整備は盛岡第一高校と岩泉高校のグラウンドの整備であり、これらは、工期等が翌年度以降にわたることから、それぞれの期間及び限度額を定めて債務を負担しようとするものであります。
 以上で説明を終わらせていただきます。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。

〇工藤篤委員長 ただいまの説明に対し質疑ありませんか。

〇船越賢太郎委員 ただいま教育委員会委員長から12年度の教育行政施策について、また、教育長からは予算についての説明がるるあったわけでございますが、予算についての具体的な質疑に入る前に、西井教育委員長に対し、私、最年長委員のゆえをもって、生意気と存じますが、我々委員もすっきりしないところがございますので、この際、西井教育委員長からぜひ御所見を承りたいと思います。
 つまり、過日の本会議の一般質問におきまして、菅原温士議員の再質問に対しまして教育委員長がなされた答弁についてでありますが、既に御自身の意思によりその一部の取り消しも申し出て、6日の本会議において許可されたところでありますが、私は、答弁そのものは、ある面では当を得たものであったという感じもしたのでありますが、これを本音ととらえるなどしてさまざまな議論があったことも事実でございます。私は、あえて取り消す必要があったのかという疑問もなくはないのでありますが、それはそれといたしまして、教育委員長御自身が、本会議場というこれまでに経験したことのないあのような雰囲気の中で、質問者の迫力に圧倒されてしまったのではないかと思える節もございますので、この際、改めてこの前の発言の真意というか趣旨をお伺いしておきたいと思いますが、いかがでしょうか。

〇西井教育委員会委員長 お尋ねの本会議の御質問における私の発言の趣旨について述べさせていただきます。
 御質問の内容は、道徳教育のあり方と教員の資質の向上についての2点であったと承知いたしております。
 第1点目の道徳教育のあり方についてであります。
 現在の我が国は、経済的には豊かな国でありますが、世の中にはお金や物だけでは解決できない問題がたくさんあります。そのような中では、心の強い、挫折感を乗り越えて頑張っていけるような子供を育てていくことが大変大事だと思っており、自分の課題に積極的に取り組んで、困難な問題を自分の力で、あるいは大人のアドバイスを得ながら乗り越えていく、そういう気持ちをこれから特に大事に育ててまいりたいと存じております。
 また、価値観の多様化などから、子供に対するしつけの問題に関してもさまざまな考え方を持つ方々がおられ、一部の保護者にあっては、本来、家庭でしつけるべきと思われる点にまで学校側の対応を御要望になり、学校現場が戸惑う場面もあると聞いておりました。
 こうした状況の中で、子供たちの将来のために、家庭でのしつけや道徳教育をしっかりやっていただきたいと願いますし、教育委員会としても、できる限り家庭教育に対する支援を行ってまいりたいと考えております。
 また、特に小・中学校においては、心の教育を成立させる一番のポイントは教師と児童生徒の信頼関係であり、それを大事にしながら子供たちに人の道を教えたり一緒に考えていかなければいろいろな問題の解決はなかなか難しいと考えております。このため、教育委員会はもちろん、それぞれの学校で今まで以上に道徳性の育成という観点から努力をしてまいりたいと思っております。
 第2点目は、教員の資質の向上についてであります。
 さまざまな困難な問題を抱えている学校現場において、教員は、一生懸命に子供たちの指導に当たっているものと認識しております。しかしながら、目覚ましい経済成長下に青少年期を過ごした世代にあっては、協調性や自己抑制を伴う生活体験が不足しがちであった場合もあることなどから、学校現場を預かる教員に対しては、自己研さんやさまざまな社会体験を積み重ねながら、あるいは、常日ごろの教育実践などを通じ、子供たちと一緒に汗を流して頑張っていく指導力のある教員になってほしいと強く願っているところであり、今後におきましては、そのような教員の育成に向けて、研修その他の中で一層の取り組みをしてまいる考えであります。
 本会議での私の答弁には一部行き過ぎた言葉もあり、十分意を尽くせない点がありましたことをおわび申し上げます。

〇船越賢太郎委員 大変ありがとうございました。
 教育委員長の言葉の中に大人の背中を見てという言葉がございましたが、果たして子供が望むような大人の背中を今の大人が持っているかどうか、こういうことでございますので、本題に入りたいと思います。
 今、日本列島は、将来の日本を背負うべき青少年たちの犯罪の激増と凶悪化で憂えうべき事態であります。小渕総理も、景気対策の次には、まず、教育の再検討であると申されました。図らずも昨日、教育改革国民会議委員26名の任命が発表されたところであります。しかし、世の中に絶対にあってはならないはずの、聖域とも言うべき警察庁や公安委員会等の唖然とさせられる報道がいっぱいでございまして、日本列島非常事態であると私は思います。
 偏見かもしれませんが、私の持論でありますが、太平洋戦争後のアメリカ方式の民主主義教育なるものは、すなわち、石油、鉄、金、銀、ゴム、アルミニウム、銅等重要欠くべからざる戦略物資、鉱物資源皆無の日本が世界を相手にあれだけの抵抗力を見せたのに驚いて、その再現をおそれまして、日本精神を骨抜きにしようとするためのアメリカの教育政策だと私は思っております。そこで偏見かもしれませんと申し上げたんですが、まず、そのためにマッカーサーは、道徳教育であるところの修身、そして歴史、地理、武道の教育を禁止いたしました。あれから半世紀、その結果が現在の姿であると私は思うのであります。半世紀たっても、相変わらず日本の政府はごめんなさい外交であります。日本の再建のためにも、今こそ倫理教育としつけ教育の復興の徹底を図るべきと私は考えております。そこで、松下村塾の吉田松陰の心が明治維新の志士たちに伝わったように、マン・ツー・マンの教育が絶対必要だと私は思うのでございます。
 そこで、30人学級を目標とすべきと思いますが、教育長に決意のほどをお願い申し上げます。

〇大隅教育長 心の教育の推進につきましては、今次の教育改革の最重要課題の一つでございます。今、委員仰せのように、子供たちの道徳あるいはしつけあるいは人を哀れむ心、そうしたものの重要性を十分国民は今は認識しているのだろうと思います。これからの教育改革におきましては、子供たちのそうしたきめ細かな教育のために、体験学習でありますとか、あるいはティーム・ティーチングなどによるきめ細かな教育を工夫しているということで改革に着手している次第でございます。
 今、30人学級と明確におっしゃったわけでありますが、そういうことになりますと、大変これは内容的にも重要でありますし、財政的にも重要でありますので、慎重な対応が必要だと思っております。
 現在、学級規模のあり方につきましては、国におきまして教職員配置の在り方等に関する調査研究協力者会議という場を設けまして、40人学級あるいはティーム・ティーチングの効果などを分析しまして、現行の教員の配置計画の成果、課題について検討しております。その結果に基づきまして、平成13年度から新たな教職員の配置施策に着手できるように準備すると聞き及んでおりますので、私どもといたしましては、それを十分見きわめ、それを踏まえまして教育環境の整備に適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。

〇佐々木一榮委員 私の方は現実的な問題をお尋ねいたします。
 まず、平成12年度の公立高校の出願状況について、きのう行われました入試では倍率が1.08倍とのことでありますが、実質定員割れを起こしていない学校数、逆に定員割れしている学校は前年に比してどのような傾向と分析されているのでしょうか。昨日の試験までにいろいろ調整もされたかと思いますが、この状況についてお尋ねします。
 次に、県立高校再編計画に照らし合わせた場合、今回、1けたしか志願者がない高校については、今後、どのような検討を進めていかれるお考えかお尋ねしたいと思います。
 また、教育分野ですとか保健・医療分野というのはなかなかコストということの比較はできないのでありますが、県教育委員会として、県の新しい会計方式を考えた場合、学校運営という部分ではどのような問題が発生するとお考えでしょうか。
 それから、実業教育、特にも農業関係の学校の傾向はいかがだったでしょうか。農業教育関係の志願者の減少傾向に県教育委員会として具体的施策をどのようにお持ちでしょうか、お尋ねします。

〇西指導課長 ただいまお尋ねをいただきました平成12年度の公立高等学校の出願状況の分析等についてでございますが、昨日行われました公立高等学校入学者一般選抜の9時現在の生徒たちの出席数から、実質定員は1万3、127人でございましたけれども、実受験者は1万4、119人でございました。それで、ただいまお話をいただきましたように、実質倍率が1.08倍ということになっております。なお、この数には盛岡市立高校が含まれておる数でございます。
 お尋ねの実質定員割れを起こしている学校数を申し上げますと、きのうの段階では46本分校、68学科となっております。また、定員割れを起こさなかった学校というお尋ねでございますが、56本分校、118学科となっております。
 昨年同期、入試当日の午前9時段階の数と比べてみますと、実質倍率は昨年より0.01ポイント上回っております。学校、学科数が学科改編等によりまして年度によって異なることがございますので単純に比較はできないものでございますけれども、それほど大きな差は見られない状況にあると考えております。
 次に、特にも農業高校の出願状況について申し上げたいと思っております。農業教育関係の志願者の減少傾向に県教育委員会として具体的施策をどう考えているかというところも含めまして申し上げたいと思いますけれども、農業関連学科への志願者数は、推薦入学と一般入試をあわせますと、平成11年度では1、240人でございました。今年度は1、221人と、1.5%の減少になっております。また、志願倍率が1.0を割った学科は、平成11年度は16学科、52%でございましたが、平成12年度は14学科、48%となっております。農業学科全体では、平成11年度が0.97倍、平成12年度は1.01倍となっております。
 日本の食料自給率の向上や、あるいは食料基地を目指す岩手県の農業の担い手を確保するためにも、県教育委員会といたしましても、農業学科に対して次のようなことを努力してまいりたいと考えております。
 まず、第1は、社会の変化や産業の動向に合わせて、先端技術に対応できるような学科の再編をただいま行っております。例えば、バイオテクノロジー──生物工学科、これは盛岡農業でございます。それから、情報処理で申しますと農業情報システム科の北上農業、環境で申しますと、環境工学科でもって水沢農業高校となっております。
 また、各農業高校におきましては、多様な進路希望に対しまして、コース、類型を設けてございます。特に、専門学科も多く科目を開設できるような教育課程を設けております。例えば、岩谷堂農林高校の農林生産科学科では、生産技術・生産機械コースがございます。これらの目的は、地域農業の発展に対応できる人材の育成ということで設けているものでございます。また、特徴といたしましては、工業科目の履修が可能ということになっております。
 また、地域や学校の特徴を示すため、教育課程におきましてはその他の科目というのがございまして、これは平成12年度からは学校設定科目となりますけれども、これらを設定して生徒たちは勉強しているということになります。例えば、馬学利用ということで、これは水沢農業高校ですが、乗馬技術の習得等を行っているということでございます。
 また、地域に親しまれる学校として、学校開放講座や市民農園等を行っております。例えば、この市民農園は岩谷堂農林、北上農業高校で行っております。それから、小・中学校においては、県の農政部が行っております学校農園運動事業や、総合的な学習において自然体験、農業体験等をすることによって今後は農業にさらに興味、関心を抱く生徒が多くなるのではないのか、総合的な学習を通じてそういうことを期待しているところでございます。
 もう一つ申し上げますと、農業高校と農業大学校との連携によりまして、農業大学校における宿泊体験研修──緑の学園と言っておりますけれども──や農業高校と大学における教育課程の検討等を行って、農業の担い手の確保に努めているところでございます。

〇中村財務課長 学校運営に新しい会計方式と、こういうお話でございますけれども、新しい会計方式によりますと、財務諸表が作成される、いわゆるバランスシートということになるわけですが、これによりまして行政が投資した額あるいは資産の関係が明らかになる、これは可能であります。ただ、投資効果、いわゆる費用対効果というところまで踏み込んで数値であらわすとなれば、その効果の判断基準というものをどのようにするかと。福祉のお話もございましたが、大変難しい課題であろうと思っております。
 新しい会計方式というのは今現在検討中でございますので、その方向性を見定めながら、どういう形になればいいのか、勉強なり研究をしてまいりたいと思っております。

〇伊藤高校改革推進監 次に、志願者が1けたの高等学校を今後どのように検討していくかということについてでございますけれども、県立高等学校新整備計画におきましては、今後における各地域の中学校卒業者数の減少傾向や生徒の志望動向等から今後5年間の学級減や学科改編の計画をお示ししたところであります。
 今後、新整備計画実施期間中にあっても、中学生の志望状況、地域全体の高校教育のあり方から所要の検討をし、必要な見直しを行ってまいりたいと考えております。
 なお、12年度入試についてですが、二つの学校で志願者が1けたとなっておりますので、当該校では再募集を行うこととなってございます。

〇佐々木一榮委員 次に、不登校対策についてお尋ねいたします。
 10年度の県内の公立高校で30日以上の不登校の子供が2、000人を超えて過去最高とのことでありますが、小・中・高校別の現状についてお尋ねします。
 また、復帰された生徒さんの現状についてもお尋ねします。
 また、この傾向をどう分析され、一番大きな問題は御本人の問題かと思いますが、181校に設置されているスクールカウンセラーの方々からどのような報告があるのかお尋ねします。
 あわせて、文部省の調べによりますと、全国の10年度の高校中退者は全生徒数の2.6%で、その数は11万1、372人、特に、入学した1年生の中退率が非常に高いということでありますが、本県の現状と対策についてお伺いいたします。
 また、全国的に見ますと、校内暴力が前年度比25.7%増加と発表されているわけでありますが、本県の現状についてもお尋ねいたします。

〇西指導課長 ただいまお尋ねをいただきました不登校の現状あるいはまた復帰の現状ということでございますけれども、不登校の現状を申し上げますと、本県では、平成10年度中にいわゆる不登校で30日以上欠席した児童生徒数は、小学校で224人、そして中学校では1、032人、高等学校では864人、あわせまして、ただいまお話をいただきましたような2、000人台、2、120人となっております。平成9年度に比較しまして317人、率にしまして17.6%の増加となっておりまして、これは、調査を開始以来最多になっておるのが実情でございます。
 また、復帰についてのお尋ねでございますが、登校できるようになった児童生徒、教室までは行かないけれども保健室等に戻ってきたということも含めますと、小学校では47.8%が学校に復帰できるようになったと。それから、中学校では45.1%、そして高等学校では41.7%となっているのが現状でございます。
 不登校の傾向と分析のお尋ねにつきましては、不安など情緒的混乱によるもの、あるいは無気力で何となく登校できないものや、あるいはこれらのさまざまな要素が複合しているものなどがありまして、本県も全国と同様の傾向にあると言っていいのではなかろうかと思っております。
 また、最近見られる傾向といたしましては、学校を絶対視するような考えが弱まってまいりまして、子供たちの間でも、学校に必ず行かなければならないという意識が薄らいでいる子供も中には出てきているのかなと、そのように思っております。学校に行かなくてもよいという意識は、心の問題等を抱える子供や保護者にとって安心と自分探しの勇気をもたらしましたが、しかし近年、不登校と一口に言っても、無気力や怠学あるいは遊び型等多様化しておりまして、こうした子供たちに対しては、学校への登校を指導するという基本に立つべきものが多く見受けられていると、そのように思っております。
 次に、スクールカウンセラーあるいは心の教室相談員などがどのような報告をしておるかというお尋ねでございますが、スクールカウンセラー等の報告によりますと、現在、県内の小学校に15校、中学校に20校、高等学校に5校、あわせて40校にスクールカウンセラーを配置し、また、中学校の141校に心の教室相談員を配置しまして、あわせて、お尋ねのように181校の学校に専門家を派遣していることになるわけでございます。
 スクールカウンセラー及び心の教室相談員からはどのような報告があったかと申しますと、大きく3点でございます。一つは、子供が気軽に相談できるようになった。それから、教師のカウンセリングに関する意識が高まってきている。学校の先生の意識が高まってきている。それから三つ目が、親が子育てに自信を持てるようになってきたという専門家からの報告を受けております。
 また、直接お尋ねはございませんでしたけれども、スクールカウンセラーを配置した学校がどういう意識でいるかというのをちょっと補足させていただきますと、学校での見方としましては、不登校に陥っている子供がスクールカウンセラー等の指導をいただいてどうなったかと申しますと、心の安らぎを見出せる子供がふえてきた、そのように学校は見ております。また、担任とも本心から相談できるようになった。それから、スクールカウンセラーと相談すると生徒自身の問題の整理ができるようになり、負荷が軽減し、情緒の安定が見られるようになってきたというのが学校で全体を通して見ている状況でございます。あとは、心の教室相談員の配置のある学校からは、生徒が非常に気軽に相談や遊びに来るなど、気軽な相談相手という形で、当初の目的が達成されている。いずれもスクールカウンセラーの配置や心の教室相談員の方からの報告によりますと、その状況はいい方向に向かっているということで、その報告を受けているところでございます。
 それから、高校中退者に関する本県の現状及びその対策ということでございますが、残念ながら、本県の公立高等学校における退学者数は全日制で631名ございます。昨年度は733名でございました。多少減っておりますが、定時制では106名、昨年は98名でございました。合計で737名、昨年度831名でありますが、数としてはやや減ってございます。平成9年度に比べますと96名の減少ということが数値としては出ております。私立高校を含めた退学率は2.0%、昨年度は2.2%でございますが、これも数が減ったことによって減っております。全国は2.6%でございますので、本県は0.6%低く、全国においては退学の低い方から7番目となっているところでございます。
 1年生の中退率が高いのではなかろうかというお話でございましたが、本県におきましても全国と同様にやはり1年生の中退が多く、全日制では1年生の退学者が316人で、全体の半数となっておるところでございます。
 退学の理由といたしましては、学校不適応が先ほどの不登校等も含めまして全体の約7割を超しておるところでございます。あとは進路変更、高校に入ったけれども、もっと別の生き方を見つけたということで、いわゆる積極的な進路変更と言っておりますけれども、こういう進路変更がございます。
 対策といたしましては、中途退学者の減少を目指しまして、生徒の能力、適性に応じた教育課程の編成や、あるいはわかる授業の展開、それから魅力ある授業の工夫、生徒指導、進路指導の充実にここ数年努めてまいりましたけれども、数が減ったということでは成果があらわれてきているかと思いますが、もっとこれは指導してまいらなければならない、そのように思っております。
 最後に、校内暴力の件でございますが、本県の現状と傾向についてでございますが、本県における暴力行為の発生につきましては、平成10年度に発生した暴力行為は、小・中・高あわせまして167件でございました。昨年の111件に比較しまして56件の増加となっております。発生件数はふえたものの、発生学校数を見ますと62校で、昨年の73校に比較して11校学校数は減っておるところでございます。これは、自分の気持ちをうまく表現できないまま暴力に訴える特定の個人やグループによって繰り返し起こされている、そういう傾向があろうかと思って見ております。
 学校におきましては、全教師の共通理解のもと、一人一人の理解を深めまして、きめ細かい指導の徹底を図るとともに、どのような場合であっても暴力は許されないものであるという毅然とした態度で接していくことを心がけるよう指導してまいりたい、そのように思っております。

〇佐々木一榮委員 先ほど不登校の生徒の復帰率、平均しますと、小・中・高で大体45%ぐらいかと思いますが、ぜひスクールカウンセラーの方々の協力をもらって、復帰の率を高めるように御要望申し上げておきたいと思います。
 最後に2点続けて簡潔にお尋ねします。
 4月施行の学校評議員制の準備状況と具体についてお尋ねします。
 最後に、教員の資質向上と道徳ということでありますが、最近、宮古での残念な事件を含め、全国的に教員の方のかかわる事件が報道で多く見受けられる傾向にありますが、県内の状況と事故防止対策、事件防止対策についてお尋ねしたいと思います。
 それから、県ではパブリック・コメント制度を導入するということでありまして、幅広く県民の方々の意見を反映していくということでありますが、このパブリック・コメント制度、教育委員会としてはどのようにお考えでしょうか、あわせてお尋ねします。

〇大隅教育長 パブリック・コメント制度について私の方から答弁させていただきますが、今回、知事部局が中心になりまして、これから説明責任を果たしていくという観点から、この制度の徹底を図っていくという方向にございます。これは教育委員会も同一歩調で進めることといたしておりますので、一体となって積極的に対応してまいりたいと思っております。

〇佐藤県立学校課長 学校評議員制の準備状況等についてのお尋ねでございますけれども、今般の学校教育法施行規則の改正によりまして、学校評議員制度が平成12年4月1日から施行されることになりました。しかし、具体的な実施時期や実施方法等につきましては設置者が定めることとされておりまして、本県では、学校評議員制を円滑に実施するに当たり調査研究が必要と考え、関係課で構成する連絡会議をこの3月3日に設置しまして、会議を開催するなど検討を始めたところでございます。
 今後、連絡会議におきまして鋭意検討を進め、県立学校に関しましてはできるだけ早期に方針を決定してまいりたい、このように考えております。

〇盛川義務教育課長 宮古管内での事件にかかわっての御質問でございますけれども、本県における実態を申し上げますと、小・中学校教職員については、今回、このようないわゆるわいせつ事件については、平成9年度に1件あったということでございます。
 さらに、事件防止対策についてでございますけれども、当面の緊急対策といたしまして、市町村教育委員会の教育長に対しまして緊急の通知を2月下旬に発出するとともに、教育事務所長から通知の趣旨について市町村教育長に対しまして改めて説明を申し上げ、その徹底について依頼したところでございます。
 さらに、一人一人の資質の向上ということで、各種研修講座におきまして教職員の服務意識の高揚と指導力の向上が図れるような内容の一層の工夫を行っていきたいと考えておりますし、と同時に、各学校におかれましては、校長が定期的に職員にヒアリングなどを行いながら、工夫しながら取り組みがなされるよう、市町村教育委員会を通じ繰り返し指導していきたいと考えております。同時に、校長自身が学校経営の責任者として、かかる事件が発生したことを厳しく認識し、教職員一人一人に対し公務員としての意識と倫理観を再認識させながら、再発防止について徹底がなされるよう市町村教育委員会ともども指導してまいりたいと考えておるところでございます。

〇千葉浩委員 1点だけ質問いたします。
 236ページにあります高校生世界のかけ橋推進事業についてお伺いをいたします。
 県の総合計画のキーワードの一つであります、このひとを挙げておりますが、私は、ひとづくりというのは最も大事なものだと常々思っておりますし、もっと力を入れるべきだと思っております。特に、21世紀を担う子供の育成にもっと積極的に取り組むべきだと思っております。高校生世界のかけ橋推進事業というのは、全国で余り類のない事業のようでございますが、時宜を得た最も意義ある事業だと、私は大いに期待をしているわけでございます。高校生というのは──私にも孫はたくさんおるわけですが、進むべき方向といいますか、いろんな形でいろんな考えを持ってやっている年代でございます。そういうときに世界というものに実際に触れると、実際に体験するということは非常に子供にとっても意義のある事業と思っております。平成11年度には6コース120人の高校生を派遣し、そして12年度──本年度ですが、ここにもございますが、7コースに分かれて140名に拡大したようでございますが、私は1年に120人、140人というのでは、県内100校ぐらい高校があるんじゃなかろうかと思うんですが、そうしますと各高校から1人か2人、1人半という形の数字になるわけですが、これではどうも余りにも少なすぎるという気持ちを持っています。いろいろなことはあると思うんです。私は、この事業は将来は500人から1、000名ぐらいに拡大すべきだという考えを持っているんですが、そうはなかなか一朝一夕にはいかないということもあるでしょうし、せめて少なくとも2倍──今の140名の倍ぐらいの派遣はすべきだと。そうしますと、高校から3名、4名、多いところで5名ということになると思うんですが、そういう形の派遣ができるということになろうと思うんですが、この事業についていろいろ取り組んでまいったわけですが、今までの実施状況あるいはその評価、総括、いろいろ反省点があるなら教えていただきますし、それから今後の取り組み──ことしはもう140名で決まっておりますが──今後の取り組みもどういう状況でこれを取り組んでいこうとするか、まずお伺いをいたします。

〇西指導課長 ただいまの高校生世界のかけ橋推進事業につきまして、本当に私どもとしてもありがたいお話をいただきまして、高校生世界のかけ橋推進事業の実施状況と今後の取り組みということで申し上げます。
 高校生世界のかけ橋推進事業は、一般的な国際交流事業の概念を越えた全国的にも特色のある人材育成を図る事業でございますけれども、社会の変化に対応する国際理解教育の一環として平成9年度から実施してまいりました。世界的な視野に立って取り組むべき諸課題の中から、福祉・ボランティアあるいは環境、それから情報・理数などについて、生徒が各自研究テーマを持つ事業として、平成9年度、平成10年度には5コースに100名を派遣してまいりました。今年度は農業・医化学コースを加えまして、全部で6コースとして120名を派遣したところでございます。また、平成10年度の福祉・ボランティアのスウェーデンコースでは、盛岡養護学校から1名が車いすに乗って参加し、ことしは盲学校と盛岡高等養護学校から各1名が参加するなど、特殊教育の方からも参加できるようにしているところでございます。事業開始以来、これまで3年間事業が順調に推移しておりますけれども、各学校で募集段階では毎年600名から800名の応募があると聞いております。また、過日、かけ橋推進事業の参加者の進路状況を調査しましたところ、卒業生の中では就職・進学を問わず8割以上が、その参加者が派遣したコースのテーマに関係ある進路状況となっていることを把握したところでございます。
 平成12年度におきましては、文学・民俗学コース──これは、アイルランドでございますけれども、そこに設定いたしまして、あわせまして140名の高校生を派遣する計画としておりますけれども、この事業は、先ほどもお話ございましたように岩手県総合計画に位置づけられているものでもございまして、今後の取り組みとして派遣枠の拡大を含め、事業内容の充実に努めてまいりたいと思っているところでございます。
 特に、先ほど申し上げましたように、応募者が600名から800名と多うございますので、これから漏れる生徒も出てまいりますけれども、それらの生徒たちのためにと思って手元に資料を準備してまいりましたのは、民間の団体が実施する国際交流プログラムというのがございます。例えばエイ・エフ・エス日本協会が語学研修を目的として行っている短期派遣プログラムなどは、オーストラリア、ニュージーランド、タイ、中国、マレーシアなど、多くの国に高校生を派遣しているものでございます。また、国際教育交流協議会──カウンシルと言っておりますけれども、カウンシル日本代表部が実施するプログラムの中でも、アメリカやカナダで2週間から1カ月ホームステイをする、あるいはそういう体験を通して異文化を体験する。また、オーストラリア、ニュージーランドに10日から3週間ホームステイをしながら、現地で英語研修、課外活動、現地生徒との交流などを行うプログラムで、このようなプログラムを通して、より多くの高校生が海外で研修する機会が与えられるよう、周知徹底を図ってまいりたいと考えているところでございます。

〇千葉浩委員 この事業だけじゃなく、いろいろそれはあります。ただ、県としてこれに取り組んでいく場合に、高校の今の申し込み者数もちょっとお聞きしたんですが、私は、まだ徹底してないところもあるような気がしているんです。後からよその子供さんの父兄からも話があったんですが、「千葉先生、こういうのがあったんですか。」という話もあって、どうしてもこの事業には1人か2人ということが決められるわけです。私は、そういう意味で非常に残念だなと。いろいろな民間団体ありますよ、ロータリーだって何だってあります。あることはあるんですが、やはりこの事業を県の大きな事業の柱として、ひとづくりの柱としてやっていくには、まだまだ人員をふやしていかなきゃならないだろうし、この事業と一体となって、特に行きたい、やりたい、行かせたいという父兄さん、子供さんがいっぱいあるわけですから、そういう方々の期待にどうこたえられるか。極端に言うと、自費でも行きたいと、参加できないかという話もされるんですが、私はその辺が非常に難しいところで、片一方は県からの事業で行く、片一方は自費でということになりますと、これもやっぱり問題が出てくるだろうし、いろいろなことを考えなきゃなりませんが、できるだけそういう子供さんの意見、気持ちというものをくみ上げて、どうかこの事業に参加できるようなシステムを今後考えていただけるようなことができませんか、その辺も一つ。それから、ことし行くのはどこですか、派遣先をひとつお答えいただきたい。

〇西指導課長 今後の派遣は各学校から1人ではなしに複数の生徒の参加をということで、何とか努力してまいりたいと思っております。
 それから、12年度に派遣する国でございますけれども、アメリカが2コースの二つでございます。コンピューター関係とそれから異文化体験といいますか言語関係、そういうところが二つでございます。それから、スウェーデンの福祉・ボランティアコースでございます。それから、環境問題という課題テーマの取り組みということでドイツに行きます。それから芸術関係ということで、ことしはフランスのパリに行って芸術関係の美術の方でございますが、そういうところを考えているところでございます。それから、農業・医化学コースということでオランダと、そして最後に、先ほど申し上げましたアイルランドの文学・民俗学ということで7コースと考えております。

〇千葉浩委員 高校100ぐらいと私申し上げましたが、正確に幾らになるかわかりませんが、これに参加している高校が半数以上はあると思うんですが──ことしは140名で去年も120名ですから──あると思うんですが、どれぐらいの高校が参加しているんですか、ひとつ教えていただきたい。

〇西指導課長 各学校の参加の件でございますが、応募した学校数は平成11年度が88校でございます。全部で公立・私立を含みますと学校の分母が104でございますので、そのうち、平成11年度は応募した学校数が88校でございます。そのうち応募しなかった学校数は、平成11年度は16校でございます。応募したけれども派遣のない学校というのがございまして、これは10校でございました。それで派遣学校数は何校かと申しますと、平成11年度の場合は78校となっております。
 なお、平成9年度から始まった事業でございますが、9年、10年、11年と3カ年を通してみますと、つまり応募したが派遣のない学校というのはございません。必ず万遍なく当たるようにしておりますけれども、そういう状況でございます。

〇黄川田徹委員 高校生の国際交流に関して一言意見、質問いたします。
 高校の修学旅行があるわけなんですけれども、公立高校がほとんど修学旅行をやっているかと思うんですが、その状況。そして、その中にあって国際交流といいますか、海外に修学旅行に行っている高校が幾つあるか。そしてまた、父兄の負担も多額だと思うんですけれども、参加率といいますか、そういうところでは全員参加しておるのか。そしてまた、特定のある高校にあっては、地元の市町村からの援助あるいはまた同窓会からの援助でもって独自に海外で研修しているところもあると伺っておるわけなんですが、それらの行き先も含めて御質問いたします。

〇西指導課長 高校生のそれぞれの学校における修学旅行においての海外修学旅行の件でございますが、平成11年度に海外修学旅行を実施した学校は、全部で10校でございます。なお、さらにヨーロッパの海外修学旅行も含めますと、推進母体が若干違ってまいりますけれども11校ということで加えられるかと思いますが、いずれ行き先は主としまして、インドネシアまたはシンガポールというふうにこの平成11年度の修学旅行の概況を申し上げますとそうなります。
 それから経費でございますが、1人当たりの積み立て額が11万円前後でございます。各個人負担がそういうことで11万円前後でございます。
 それから、学校単位でどれほどの学校が世界に派遣をしているかというものでございますが、10年度の場合には27校が実施しております。多くの場合はヨーロッパ、それからまた中国、北米、オーストラリア、ニュージーランドという世界の方々に、各学校で推進主体が例えば同窓会がそれを行ったり、それから記念事業で行くということで実施をしております。

〇黄川田徹委員 特色ある高校ということで、海外修学旅行を目玉にしておるところもあるやに伺っておりますが、これらの傾向についてどのように教育委員会として認識しておられるのか。それから、身近な国として韓国ということがあるわけなんですが、特にも九州に行きますといろんな形で交流しているわけなんですよ。どうもその辺が見えないところがあるんですが、その点もどのようにお考えなのか所感をお願いします。

〇西指導課長 特色ある学校づくりといたしまして、それの学校づくりのために海外修学旅行等をやっている学校は先ほど申し上げましたような数でございますけれども、平成9年度におきましては韓国にも修学旅行で行っておりまして、そういう学校が10年度にはシンガポールに変えたというところもございます。修学旅行の中身といたしましては、すべてではございませんが、大体は現地の高校との交流という研修もプログラムの中に入れてやっている学校もございます。今後におきましては、修学旅行等につきまして高等学校の場合には、海外修学旅行は学校の校長の判断でできるようになっておりますので、そういう見通しの中で展開ができるものと思っております。

〇折居明広委員 修学旅行の中では韓国へ訪問、旅行したというお話でありましたが、なぜ教育委員会の高校生世界のかけ橋推進事業等々では、最も近い韓国とか中国大陸、香港あるいは台湾等々を検討されなかったのか、それを教えてください。

〇西指導課長 アジア地域に派遣しない理由は何かというお尋ねでございますけれども、かけ橋推進事業の派遣先の国につきましては、基本的には事業の調査委託をしてきた国際教育校交換協議会──カウンシルというのがございますけれども、このカウンシルが世界中のネットワークの中から最も適切な国として推薦した国を教育委員会が検討して、そして派遣先として決めてまいったところでございます。
 それでアジアが派遣先にないのは、今のようなカウンシルに委託をしているというところもございますけれども、もう一つは、海外修学旅行に韓国や、あるいはまた東南アジアに行っているということも多くございまして、それらと重複しないところに行くということも、このカウンシルの調査委託の方とあわせまして進めているところでございます。

〇折居明広委員 それでは、岩手県の教育委員会の独自性というものはないわけですか。本来、学校教育では、私たちは文化とか芸術とかあらゆる伝統は、朝鮮半島あるいは中国から直接日本に来ていると勉強しているわけですけれども、そういうところは学ぶものがないというわけですか、それは。岩手県教育委員会としては、そういうように考えるわけですか。

〇西指導課長 教育委員会といたしまして、必ずしもそういうふうには考えていないわけでございますけれども、いずれ先ほど申し上げましたように、今度行います7コースはそれぞれに学ぶべき課題がございまして、そういう課題にどう高校生が取り組んでいくかということを大きな一つの目玉にしているところでございます。
 それから、東南アジア等々に韓国も含めまして、なぜそのコースに入らないのかと申しますのは、先ほど申し上げましたように修学旅行等々とかち合いもございまして、おいおいはこういうこともやはり考えていかなければならないと思っております。

〇折居明広委員 遠いところ、いわゆるなかなか個人的には訪問することのできないような遠隔の地に学ぶことも必要だと思いますけれども、やはり身近な最も交流を深めるべき近隣の諸外国には相当あらゆる角度から勉強するものがあると思いますから、ぜひ岩手県の教育委員会では独自的な発想を持って、韓国とか台湾とか、中国とか香港、そういうところにもう少し積極的に行くような考え方を持つべきだと思いますので、これは次の年度の、あるいは今後検討していただきたい。

〇佐藤正春委員 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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 それでは質問に入ります。
 高校の統合再編について伺いますが、県立高校は83校、総定員1万4、360人と伺っております。先ほど佐々木一榮委員の方から質問があり、御答弁がございました。それは、平成12年度の県立高校の志願者数が定員を何人上回っているか、あるいは志願者数が定員割れしている高校は何校であるかということを伺ったわけでございまして、改めてこれは質問をするつもりはございません。ただ、一番問題になりましたこの農業高校──特に、本県は農業県でございますので──農業高校が1.01倍でございますか。しかも、内容的に農業を目指して農業高校に入る、本県の農業の農業後継者になるべくして農業高校に入るということがいささか感じられない点もございますので、この点が非常に憂慮をされるわけでございます。特に、一番問題になりました宮澤賢治の花巻農業高校の定員あるいは入学志願者数はどうなっているのか、この点を伺いたい。
 今回のこの予算を見ましても、財源不足で県有地まで売却して何とかやりくりしているというのが現状でございます。私は、教育委員会からも統合再編について説明を聞いたわけでございますが、教育問題というよりも財政プラス教育の問題ではないか。私は、この際やっぱり教育問題だけじゃなくて、財政というものが今回は入っているのではなかろうかと思っているわけでございます。
 中学校の卒業予定者が11年度の1万8、440人から16年度には1万5、525人となりまして、約2、900人減少し、経費がかかる割に効率が悪い。すなわち、教育効果が薄いからこのような計画プランを立てたと承知いたしているわけでございます。現状のままだと改革策よりも何十億円の支出が見込まれると伺っておりますが、一体どの程度の支出がなされるのか、この点を聞いてみたいと思います。
 それから、当初計画した案とその後の修正案と比べて県教委自身がどのような判断に立っているのか、実際にこれでいいのかどうか。事実、教育委員会で計画した案でございますが、これでいいのかどうか、この点も伺っておきたいと思っております。

〇伊藤高校改革推進監 まず、花巻農業高等学校の志願状況についてでございますけれども、学校全体としては定員を上回っている状態でございますが、農業科が0.53倍、農芸工学科につきましては0.79倍とそれぞれ定員割れが生じているものでございます。
 次に、県立高等学校新整備計画の当初案と成案等を比べてどのような判断に立つのかというお尋ねでございますが、成案につきましては当初案公表後、数多くの要望や陳情、地域における説明会等を通じて得られた貴重な御意見を参考にいたしまして、これからの高校生にとって望ましい教育環境を整備する観点から、可能なものについては最大限これらを反映させまして新整備計画として策定いたしたものでございます。当初案に対しまして、統合対象校の変更、それからコースの設置・新設、実施時期の延期など若干の修正点はございますけれども、子供たちにすぐれた教育環境を確保していくという新整備計画の所期の目的には沿ったものであると考えているところでございます。

〇千葉教育次長 再編整備にした場合あるいはしない場合で、どの程度の経費の差が出るのかというお尋ねだと思います。
 今回計画をお示ししました19校について、計画が16年まででございますので、3学年完成するのは平成18年でございます。したがいまして、その平成18年で19校の管理経費がどのぐらいかかるかという試算でございますけれども、おおむねその19校で約55億円と見込んでございます。それから、現在統廃合等をしないで現状のままで平成18年の19校を見た場合は、約61億円ということで差は6億円ほどでございます。委員は数十億とおっしゃいましたが6億円程度でございます。

〇佐藤正春委員 教育長、私はあなたに聞きたかった、これは。やっぱりこういう問題は横綱級がやらないと、前頭ではちょっとね。いいですか。今説明のとおり、当初の計画した案とその後の修正案と比べてみて、教育長自身がどのような判断に立っているか、これを聞きたかったわけですよ。これをひとつ伺いたい。

〇大隅教育長 御指摘のとおり、当初考えました案と成案とに差があるわけでございますけれども、しかしながら、それは地域のさまざまな御意向等考えまして、私どもももう一度ほかに円滑に進めていく方法はないかということをよく再考いたしまして、その結果の成案ということでございます。そこに学校が、例えば予定した10校の予定が9校の調整ということになりまして、学校数では1校の差が出たということがありますし、それに関連いたしまして運営費等の増大もその分あるということでありますが、総合的な高校教育を地域の中で育ててもらいながらやっていくという観点からすれば、総合的に考えてこの方法でよかったと思っております。

〇佐藤正春委員 どうも大隅教育長は、最初の勢いと大分後退しているんじゃないかと思うんですよ。この歴代教育長の中では、信念を持って進めてきたというのは、私は大隅教育長ではないかと非常に高く評価しているんですよ。いつからそんなにやわになったんですか。どうも最近は、知事も教育長も反対されればすぐ引っ込めると、非常にある意味では物わかりのいいお役人になってしまったんですね。
 この総合計画の柱は、環境、ひと、情報とございます。今回の再編計画とひととの整合性はどうなっているんでしょうか。総合計画の実施計画の中には、オンリーワンのひとづくり、場づくりというのがございますが、学校教育も金をかけてもオンリーワンでやるつもりがあるんですか、ないんですか。特に、反対ののろしを上げた花巻農業高校の志願状況は、今御答弁のとおりでございまして、余り芳しくないんじゃないですか、花巻農業高校の入学状況というものは。そういう状況の中で、この21世紀の農業を引っ張っていくという、本県の農業をリードする花巻農業の状況が今までのとおりでございます。してみると、この余りにも偉大な私どもの郷土の偉人、遺産でございます宮澤賢治の精神を伝承していくというものが目的なのかどうか。この花巻農業という問題にかかわってマークした場合に、花巻の出身の委員に申しわけないんですが、私どもの他の地域の人から見ればよく理解できない、この点については。たしか、花巻市長は元県の幹部でございまして、教育長とも大変親しいと私は聞いております。そうしますと、県財政、教育問題に詳しい花巻市長が反対するわけがない。なぜあんなに反対したのか。教育長の所感をひとつ伺ってみたい、この再編問題について。
 それから、先ほど折居委員からお話ございましたこの海外での学生の見聞でございますが、私は折居委員のおっしゃるのはもっともだと思うんです。それはおっしゃるとおり、日本の文化というのは朝鮮半島、中国からきているわけでございますから。ワイゼッカーという人は何と言ったかというと、過去の歴史を学ばない者は過去を繰り返す、こう言っているんです。我々が一番感じなきゃいけない、戦後半世紀経って、我が日本人が、そして我々の子供、孫が一番検証していかなきゃならないのは、かつて日本が支配した植民地、そして迷惑をかけた場所、国、これをつぶさに見て、我々の子供、孫が見て日本の国はどういうことをしたんだということを学ぶことが大事じゃないですか。そのことを先にやって、そしてそれからヨーロッパへ行くなりアメリカに行くなり、それは結構なことでございます。もう日本人は国際人でございますから。まずそのことをする。だからこそ、今近隣の朝鮮半島、中国から何て言われているんですか、日本が。それは我々は我々の子供、孫の前にあらわしていくということが重要だと思うんですが、この点についてもひとつ、そういう識見があるのかどうか、本県の教育委員会に。これもあわせて伺っておきます。

〇大隅教育長 まず、高等学校の新整備計画と総合計画の柱のひと、これとの整合性についてでありますけれども、県の総合計画におきましては、岩手の可能性を生かし、未来を切り開いていくための視点の一つとしてひとを位置づけておりまして、創造性や感性が豊かで、さまざまな課題に柔軟に対応できる岩手のひとを創造していこうとしているところであります。また、新整備計画におきましては、高等学校の適正な規模や配置あるいは新しいタイプの高等学校の設置等によりまして、望ましい教育環境を整備すると、国際化、情報化、少子・高齢化社会、科学技術の発展など、変化の激しい21世紀を担う子供たちを育成しようということにいたしております。したがいまして、これらの計画はその基本理念において十分整合性が図られていると考えておるところでございます。
 次に、総合計画におきますオンリーワンに係る学校教育についてでありますが、新整備計画におきましては、社会の変化に伴った生徒の能力・適性、あるいは興味・関心、進路希望等の多様化に適切に対応するために、高校教育の工夫・充実を図り、また総合学科高校など新しいタイプの高等学校の整備を進めることとしておりまして、子供たちに多様な学習の機会を提供して、社会に貢献できる活動やあるいは文化・スポーツ、科学技術などの分野において、岩手を舞台に地域のみならず、さらには国内外に活躍できるようなひとづくりを進めてまいりたいと考えているところでございます。
 この21世紀における花巻農業高校についてということでございますが、これにつきましては私どもといたしましては、本県の基幹産業の一つである農業及び農業教育の重要性につきまして十分に認識をいたして進めておるところでございまして、新整備計画では時代の進展に対応して農業教育の充実を図るために、学科の改編あるいは他の専門高校の統合による選択肢の拡大など、内容の充実を図ったところであります。花巻農業高校につきましては、平成15年度に北上農業高校と統合することによりまして、本県中央部の農業教育を推進するとともに、地域の農業後継者育成に重要な役割を担っていくものと期待しているところでございます。
 次に、かけ橋事業についてのお話がございましたが、この派遣先につきましては、いずれこの事業は先ほど千葉委員の発言もございましたけれども、私どもとすれば大変力を入れている事業でございまして、財政当局の理解を得ながら今後拡大をしていきたいと考えておるところでございます。そうした中で派遣先等につきまして、先ほどの委員の御指摘も踏まえまして十分検討・研究をしていきたいと存じます。

〇佐藤正春委員 わかりました。これは私だけじゃなくて、ここにおられる同僚委員も同意でございますが、本県はやはり農業県ですから、農業立県、そして長い歴史と伝統、技術というのを持っているわけですから、何としてもこの農業高校を充実させて、そしてその農業後継者というものを育てていかなきゃいけない。これは本県の使命だと思うんです。それはやはり教育だと思うんです。それをひとつ十分に御配慮いただきまして、本県農業、そして農業後継者の育成に対して御努力を願いたいということを申し上げまして、終わります。

〇工藤篤委員長 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

〇佐藤力男委員 ただいま我が国の歴史にもかかわりまして、大変高い議論が展開されましたけれども、ちょっと幼稚になりますが質問させていただきます。
 昨日、県勢の振興策として、歴史を取り入れた方策を検討する基本的な考え方はないかということで御質問をさせていただきました。関連いたしまして、本県の歴史についての教育委員会の取り組みについてお伺いをいたします。
 本県の歴史をしっかり幼少のころから学びまして、県民として誇りを持って、自信を持ってその生涯を生きていくことは大変大切なことだと考えております。そこで第1点では、全国的に画一的に行われる教育とは別に、本県の歴史教育をどの時点でどの時代までさかのぼって、どのような方策で取り組んでおられるのかお聞かせを願いたいと存じます。
 それから関連いたしまして、岩手県民歌の2番目には、「みちのくの文化かぐわし、金色に咲けるこの国」という歌詞が盛り込まれているところでございます。この県民歌、広く県民に浸透し、あらゆる機会で親しまれ歌われているという認識は残念ながら持っておりません。先日、先輩委員である佐々木一榮委員から、岩手国体の際に小学生としてこの県民歌を教わったことがあると伺いました。私は、この県民歌に幼少のころから親しんでいただきながら、そして郷土を愛する気持ちをはぐくむ一環として、ぜひ広く取り入れるべきじゃないか。また、日常、県民の皆さんにあらゆる機会で歌っていただけるような取り組みも必要ではないかと思っておりますが、御所見をお聞かせ願いたいと存じます。

〇西指導課長 ただいまお尋ねをいただきました本県の教育の中での歴史の件でございますが、児童生徒が先人の知恵や生き方を学び、また本県の県民性や歴史、文化、風土など岩手らしさを継承していくという教育は、やはりこれは大変重要であると考えております。これまでにも社会科や道徳の時間の中で、先人の生き方に学ぶような授業は行ってきております。具体的には、道徳教材といたしまして、宮澤賢治の生き方だとか、あるいは盛岡市の白鳥の世話をした三太郎じいさんだとか、あるいはまた辞典をつくり上げた一関市の大槻文彦氏など、それからまた、社会科の副読本といたしましては、鹿妻穴堰の釜津田甚六、または塩の道の鞭牛和尚、あるいは寿庵堰の後藤寿庵等を教材として活用しているところでございます。
 県教育委員会といたしましては、今後におきましても郷土の先人の生き方等に関する道徳教材を作成・配布し、各学校において活用を図ること、それから新学習指導要領で創設されます総合的な学習の時間の中で、豊かな自然や恵まれた環境、伝統文化、代表的な偉人等の岩手の特色を素材とする授業を促進してまいりたいと今進めているところでございます。これらのことを通しまして、岩手の先人の生き方等を学び、それを生かすような特色ある教育を推進してまいりたいと考えておるところでございます。
 県民歌につきましては、実際にこれはなかなか歌うことは難しいわけでございますけれども、何とかこれは県民歌として岩手県の郷土等を理解していくということの一つの大事な要素でもございますので、県民体育大会のときなどにはその曲を紹介していたということは覚えておりますけれども、今のところはそのくらいでございます。

〇佐藤力男委員 前段の分につきましては、ぜひそれぞれ個々に活躍された偉人は数多くおられることは承知をしておりますし、また、大変大事なことだと思っておりますが、それに加えましてぜひこの本県の歴史の中には、きのう言いましたアテルイ初め藤原四代の、なぜこの地を思い、そうした思いの中でこの国を守らなきゃならないと思ったのかということは、私大変大切な教育の一環にかかわることだと思っておりますので、御検討をお願いしたいと思います。
 それから県民歌についてでございますが、今歌ってみろという話もございましたが、私ども県議会議員の中でも、実は私も含めましてそうすらすら歌える人は余りいないんじゃないかと思っております。あの歌詞は大変難しい。専門的な歌い方も要求されるようなそんなメロディーでもございますので、ただ、これは広くあらゆる機会にぜひ県民の皆さんに流していただきながら、もっともっと歌う機会をふやさないと、県民歌を定めている意味がないんじゃないかと、私はそのようにも思っておりますので、県議会でも一生懸命やろうと言っておりますから、ぜひ当局の方でも御検討していただきたいと思います。要望して終わります。

〇飯沢匡委員 簡潔に質問いたします。外国青年招致事業についてお尋ねします。
 昭和62年度から文部省のJETプログラム、外国語指導助手の制度を取り入れまして、岩手県でも話す英語の授業というものを取り入れております。今年度はもう14年目になるわけですが、高校における話す英語の能力の開発・改善がなされたのか、まずそれをお聞きして、あわせて県教委として英語指導助手とその指導に当たる英語教師との統一の指導基準みたいなものがあるのかどうか、そういう協議会があるのかどうか、あわせてお尋ねいたします。

〇西指導課長 ただいまお尋ねいただきましたJETプログラムによるALTの活用によって、生徒のスピーキング能力が向上したかということでございますが、生徒の英語によるスピーキング能力につきましては、全国的にも客観的なデータがないのが現状でございます。しかし、本県におきましては、日常的な指導の状況を見ますと、英語によるコミュニケーション能力の育成に力を注いでいる学校がふえまして、また英語検定の上級試験への受験者が増加していることなどから、英語を積極的に話そうとする生徒が多くなってきているととらえております。また、徐々に、聞き、話す能力が育成されてきているととらえているところでございます。
 なお、文部省では、ことし1月から1年間の予定で、英語教育関係の識者による英語指導法等改善の推進に係る懇談会を発足させたところでありまして、英語を話す力についての指導方法や評価等を含めた総合的な検討を開始しているところでございますので、これらの動きも注意しながら見て、一層その英語教育またはALTを活用した指導の方法等について、工夫改善を図ってまいりたいと思います。
 それから二つ目のお尋ねでございますが、ALTと日本人の英語の教員等との研修会または協議会等があるかというお尋ねでございますが、これはその講習会は実施しております。そして、日本人の英語教員とそれからALTとの合同の協議会等がございまして、その場でのお互いの意思疎通を図るなり、文化の違い等についての説明等につきまして、また指導の方法等につきましても研究はしているところでございます。

〇飯沢匡委員 もう1点。
 現場のALTからじかに聞いた話なんですが、各先生によって扱い方が非常に異なる。例えば簡単に言えばテープレコーダーの代役みたいな形で終わっている教育現場もあると。確かに、当初は非常に優秀なALTが岩手県の場合も来ました。今、米国の好景気もあって志願率が2倍を切るという状況も聞いております。私も実際にいろんな会に参加してみますと、レベルが少し低下しているのは否めないという状況もあって、県教委もその指導は非常に大変だとは思うんですが、その扱い方が現場でまちまちであると。そのような協議会もある、統一指導基準もあるように聞いておりますけれども、今後その声を反映してどのように改善していくのか、それのみお聞きします。

〇西指導課長 最近までは御指摘いただきましたように、なかなかALTの受け入れになれないところも見られましたけれども、ALTの雇用増加に伴いまして、徐々にその受け入れ態勢も学校の中で整備されてきております。教師も含め、学校全体の活性化になっているというところもございますし、また学校によっては、単に英語の授業だけに参加してもらうのではなくて、例えば国語の時間だとか、または専門性が、ALTにも数学の免許を持っていたりする方もおりますので、そのような数学の時間に一緒に教室に行って、英語以外のそういう黒板を使って授業をしながら、さらに英語でもって生徒が数学を学びながら、英語等の会話能力を身につけるということも、学校によってはさまざま工夫が始まっております。今後ともこういうALTの活用の仕方につきましては、単に外国語担当者のところだけではなしに、学校全体でもってどう取り組むかという体制のところまで指導してまいりたいと考えております。

〇工藤篤委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時54分 休 憩
 
   午後1時4分 再 開

〇伊藤勢至副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 午前中の説明に対する質疑を続行いたします。

〇千葉伝委員 私は、予算の説明書の250ページの博物館費に関連してお伺いいたしたいと思います。
 先ほどの教育委員長の演述等の中でも、さまざまな教育行政施策を平成12年度においても進めるということになっております。そういった中で、5番に文化の振興ということを掲げておられるわけですが、青少年の情操教育とか民俗芸能等の後継者の育成等、本県の芸術文化活動、文化財の保存、活用等に鋭意努められていることには敬意を表するものであります。
 その中で、県立博物館に関連しまして、まず最初に、最近の入館の状況等あるいはまたその特徴等、おわかりになる範囲でお答えいただきたいと思います。

〇伊藤文化課長 県立博物館の最近の入館者数に関するお尋ねでございますけれども、県立博物館は、御案内のように昭和55年に開館以来、来年度でちょうど20周年を迎えるわけでございますけれども、この間、多くの県民の方々に御利用いただいているわけでございます。しかしながら、近年、各地域におきまして市町村立の博物館等が数多くでき、また、県立博物館の方も開館以来相当の年数がたつということで、近年は入館者数は漸減の傾向でございまして、ここ5年間を見ますと、平成6年度には6万7、000人余りございますが、平成10年度には6万1、000人余りという形で、少しずつ減少している状況でございます。

〇千葉伝委員 せっかくの施設であります。来年度20周年を迎えるということで、前に私、お聞きしたことがあるんですが、10周年のときには、岩手県のさまざまな歴史、文化の中でとらえるという観点から、たしか鉄の歴史ということで開催されたと伺っているわけですが、来年度20周年を迎えるに当たって、予算の中では馬に関する特別企画展を開催するということになっております。この中身、どういった目的、そして概要をお聞かせ願いたいと思います。

〇伊藤文化課長 本県は、御案内のとおり、蝦夷の時代から良馬の産地として知られ、中世、近世と引き続きまして大変良馬を産出し、名声を博しているところでございます。また、これに関連しまして、南部曲がり家ですとかチャグチャグ馬コなど、馬と関係する文化というものをはぐくんできた土壌でございます。しかしながら、20世紀の終わりを迎えた今日、人と馬との関係が非常に希薄化しておりまして、馬事文化に関する貴重な文化財や資料も散逸、また、消滅するような状況でございます。
 こうした観点から、今回の企画展におきましては、人と馬とが織りなしてきた歴史と文化に係る岩手や全国各地の貴重な資料等を展覧することを通じまして、そうした調査研究の成果を記録にとどめ、将来に伝えるとともに、現在に生きる我々が人と馬との共生を考えていくことを目的に企画したものでございます。
 具体の内容につきましては、人と馬にかかわる古代からの特に岩手におけるかかわりというものに関する展示を中心に考えてございますけれども、さらに、記念の講演やシンポジウム、チャグチャグ馬コやポニー等を使ったイベントなども含め、大人から子供まで楽しめるような企画展にしたいと考えているところでございます。

〇千葉伝委員 馬にかかわって、馬にこだわってというか、岩手県の馬の歴史はもちろん南部の馬から始まるわけですけれども、世界的な馬という観点から人とのつながりといいますと、古代最古の証拠というのはウクライナの遺跡から発掘された約6、000年前の馬の歯に見られるということで、人と家畜、そしてまた馬の関係というのは物すごく長い歴史の中で受け継がれてきていると。そういった中で、御存じのように、岩手県の馬というものは、人馬一体──人と馬の共生──という言葉があるんですが、最近は人車一体というか、人と車が一体みたいな時代になっているような気がするわけであります。そういった意味で、岩手県の馬の歴史を地域の皆さん、それから岩手県民の皆さん、さらには県外の方に知っていただく機会、見ていただく機会、そういったものがぜひとも欲しいと私自身としても思っていたわけですが、そういった観点から、今度、博物館の大きなイベントとして馬にかかわってのさまざまな行事も含めてやると。先ほどのお答えの中には、子供さんから大人まで参加あるいは見ていただく、あるいは触れる機会を多くしたいという話であります。もちろんそういうやり方というのはどんどん進めていただきたいと思います。人と動物とのかかわりというのは、途中からですと、これはかえって遠くから見ているというだけの話になります。したがって、教育の話ではありませんけれども、すべてかかわってくると思うんですが、子供のとき、小さいときから人と動物、犬でも猫でも馬でもいいんですが、馬というのはまたさらに人とのかかわりでは柔順ということで、乗用馬もあります、競走馬もあります、ポニーもあります。さまざまな部分があって、今、岩手県では競走馬で約1、000頭、乗用馬、ポニー、愛玩の馬まで含めてこれまた約1、000頭。岩手県では、戦前13万頭いた時代から、今は2、000頭前後の馬の数になっております。そういった意味において、地域地域の部分で残っているもの、これはチャグチャグ馬コなど、一つの大きなイベントがあります。それから、教育的な観点ではポニースクールというものもあるわけであります。そしてまた、馬にかかわった歴史的な家屋では、先ほどの答えのように南部曲がり家ということで、例えば遠野の馬の里も今いろいろと頑張っていただいているんですが、そういった意味において、これからの岩手県民にとって、この機会を通じていろいろな方々に見ていただくということが必要だと私も思っています。
 そこで、そのやり方の部分で、いろいろな宣伝の仕方とか、あるいはもちろん教育だけの話ではなくて、いろいろな関係部あるいは関係団体、そういった方々との協力なり連携なり御支援なり、いろいろあろうかと思うんですが、その辺はどのようにお考えでしょうか。

〇伊藤文化課長 先ほど申しましたような形で20周年記念の特別展ということで、これからさらに細部を検討していくこととしております。そうした中で、関係部局、また、県内には馬にいろいろな形でかかわっている方々がおりますので、そうした方々の意見も聞きながら、効果的な特別展が開けるようにしていきたいと考えております。

〇千葉伝委員 どの程度の入場者とかはまだわからないと思うんですが、そのPRの仕方によって何十万になるか、より多くの方に参加して見ていただいて、それがまた私が最初に言った入館者数という部分に少しずつつないでいける。常設の今やっている部分に、毎年さまざま皆さん方が工夫して少しずつの展示、特別展示というか、これよりも小さな、それはやっていただいている。私もたまに、個人でもですし、県外から来たお客さんを連れていって見たりしているんですが、本当に濃い中身になっていると思います。プラスして、せっかくこういう機会、是非私は成功に向けて、いろいろな方々からの御協力を得て頑張っていただきたいと思います。
 その上で、今、馬の博物館というのは岩手県内にはないということであります。牛の博物館は前沢町でやっているし、例えば10年前の鉄の関係であれば鉄の歴史館とか、岩手にかかわる部分のそういった器なり展示するところがあるわけです。小さなものはその地域地域ではやっているんですが、県の方でこれを一つのきっかけに、馬の博物館という構想を頭に入れていただくということについても私は何とか頑張っていただきたいと思います。
 常設ということでもなくて、例えばほかのもの等のときに、こういったものが博物館の中にありますよと。あるいは、遠野の南部の曲がり家じゃないでしょうけれども、県内の有名な曲がり家を博物館のわきに建てて、そこに馬の資料なりを県内のいろいろな方々から御協力いただいて置くとか、そういったことも、今後、御検討いただければありがたいと思っております。この馬の展示会が成功裏に終わりますように御祈念申し上げまして私の質問を終わります。

〇柳村岩見委員 3点についてお尋ねいたします。
 1点目は、市町村にスポーツ少年団という団体が各市町村の社会教育行政機関の認知を受けて存在しております。正確に、地域でいえばそのスポーツ少年団の単位団が各競技において頑張って、それなりの成果が目に見えるようになってきました。私どもの身の回りの地域でもそういった現象が起きておりますが、実は、このスポーツ少年団が、活動の中で成果が出て、全国大会に児童生徒を出場させる機会を得た、こういった際に、開催地あるいはまた開催日の関係で、学校が普通の日で授業があると、こういった日の参加があるわけですが、そのときに欠席扱いになるわけです。それは単純に学校長の裁量ということにはなっていなくて、一つの規則・規定があってそうなるということでありますが、質問の真意は、教育現場、教育行政の方々が、地域との一体感だとか連携であるとか、今後14年度から始まる完全学校週5日制のことを絡めても地域の役割が大事だと、こういうように説かれるんです。そして、そのことに理解を示している最も理解度の高い方々でしょう。スポーツ少年団を運営し、あるいはまた指導していくというこの方々が、成果を出して全国大会レベルに出場するのに、そのとき初めて学校現場の方は欠席と、こうなります。一生懸命やった成果として喜んでいるときに、いざ出場するとなると学校現場は欠席ということで非常に割り切れない思いを持ってしまう。それはもちろん規則によってなっていることだろうと思います。当然ではありますけれども、しかし、今の学校現場、子供たちを取り巻く諸課題の中で、そういう状況でいいのかと。一体感とはどういう意味の一体感だと。連携とはどういう意味の連携なのだと。本当の心の底での一体感でなければならないので、そこのところ、簡単に岩手県の教育委員会がこのようにということにはならないだろうと思いますけれども、現在こういうふうになっておりますということを、それは恐らく教育行政をやっておられて、悩みの一つでもあろうと思います。しからば、これからどういう働きかけをしなければならないかということが1点であります。
 それから、2点目は、総合的学習の時間の新設というのが平成14年度から完全実施ということで始まります。実は、平成12年度は移行期に入ると、こういうことであります。小学校ですと週3時間程度、中学校だと2ないし4時間とか、あるいはまた高等学校だと3ないし6単位に相当する時間、こういうようになっております。ただ、この総合的な学習の時間の新設については、今まで文部省がやってこられた指導書をつくるとか、研究会を開くとか講習会を開くとかということをしないで、学校の創意工夫にゆだねるということになっていると思います。この点については制度的にも大改革であると思います。ただ、学校に創意工夫をゆだねるのでありますが、移行期の平成12年度において、ゆだねるにいたしましても見守るにいたしましても、その見守り方というのがあると思います。いろいろなソフト面について情報を提供したりという見守り方もあれば、割と突き放した見守り方もあれば、いろいろそういった形で、今現在、学校校長会であるとか教頭会であるとか教務主任の会議とか、いろいろ市町村レベルあるいは県レベルであると思います。学校でどのような受けとめ方をされておられるのか。あるいはまた、文部省が学校の創意工夫にゆだねるという観点から、岩手県は、学校現場に関与しないで創意工夫を促していくということであってもかかわりはゼロではないという形で、どういったかかわりをなさって完全実施の平成14年度を迎えようとなさっておられるのか、そのことについて第2点目にお尋ねいたします。
 それから、第3点目ですが、岩手県の教育委員会では、教員の長期社会体験研修を平成11年度から実施しておられます。報道によりますと、平成11年度は3人の実績なそうであります。いろいろと予算書を拝見しますと、先生方の人数たるやかなりの先生方であります。ベテランの先生はともかくといたしましても、2番目の総合的な学習の時間の新設ということにも絡めて、体験的学習時間の確保ということなどが言われている中で、岩手県の先生方、年間に3人の方が長期体験研修をやられて教育現場の諸課題をいい方向に回転をさせていくのには、幾らそのためには講師の確保が必要だ、それには予算が伴うといいましても、このスピードでよろしいのかと。平成12年度はどういう予定になっておられるか。ましてや現場現場では悩みがあろうと思います。民間においても受け入れ先の問題もありましょうし、団体においても同じようであります。ましてや、特に民間などは厳しい経済環境の中で各職場が大変な状況の中に、先生方が研修に行ったときに必ずしも社員と同様に活躍してくれる場合だけではないと思います。そうしますと、もう一つの仕事がその民間現場に起きていく。先生の面倒を見なければならないということが起きて、なかなかそれが進まないという要素があると思いますが、そういう観点から、教育現場への応援体制ということも啓蒙していかなければならない状況の中で、平成11年度の状況と12年度の予定についてお尋ねします。

〇松田保健体育課長 まず、最初に、私の方からスポーツ少年団活動で学校を休む場合の生徒の出欠の取り扱いということで御説明申し上げたいと思います。
 御案内のとおり、スポーツ少年団の活動の意義というのは、地域におけるスポーツによって青少年の健全育成を目指すということからこの少年団活動というものを行っている状況でございます。
 活動の基本的な考え方ということで、私どもは、体力、運動能力の向上、それから、各種スポーツへの興味づけやスポーツの楽しさや苦しさ、それから、地域でボランティア活動を体験させることなど、スポーツへの関心、態度を一層啓発することをねらいとして行われると思っております。ただ、活動が特定の専門種目への傾向を強めてしまったり、勝利至上主義ということで過度の活動に陥ったり、または団員の健全な発育、発達を阻害したり、さらには学校や家庭での生活を乱すような活動であってはならないととらえてございます。
 御質問の、スポーツ少年団の活動によりまして学校を休む場合の取り扱いということになりますけれども、スポーツ少年団の組織そのものでは、県大会や全国大会、そして東北大会は、原則的には児童生徒の長期の休業中や各土曜日、日曜、いわゆる祝祭日中に開催することとなってはいますが、今、委員御指摘のとおり、平常日に係る行事というものも二、三出てきております。日曜、祝祭日に関しては特に問題ないわけですけれども、委員からお話ありましたとおり、移動日だとか平常日に係るものが当然出てまいりますけれども、そういう平常日に係る大会への参加に当たりましては、その活動が学校教育活動の一環として認められている場合につきましては出席扱いとすることができるとなってございます。どういう場合が学校教育活動の一環かということになるわけなんですけれども、学校の年間計画をつくる上で、こういう大会はその学校の教育活動上必要だということで計画等に盛っていただきますと当然教育活動の一環ということで判定できますので、そうすると公欠という形で出席できます。ただ、急に入ってきた場合の取り扱いということになると、本来は校長先生が判断すべきものなんですけれども、なかなか判断に困るような状況の場合につきましては、市町村の教育委員会の方と御相談なさいまして適宜な対応をしていただければいいなと思ってございます。よろしくお願いしたいと思います。

〇西指導課長 総合的な学習の時間について、学校ではどのような受けとめ方をしているか、また、円滑に開始されるのかというお尋ねでございますが、県教育委員会といたしましては、今年度から新教育課程説明会を実施しております。そしてまた、昨年10月には総合的な学習の時間Q&Aを作成いたしまして、これらを各学校に既に送付して、各学校で研究をしていただくように配慮しておるところでございます。
 また、平成10年、11年度2カ年にわたりまして、総合教育センターでこれらの総合的な学習の時間を取り上げまして、そして、これらの研究を進めて学校がどう円滑に導入すべきか、どういうテーマでということでの研究会を開催いたしまして、多くの教員がこれに参加しておるところでございます。
 なお、平成10年度からは移行措置があって、学校では一体どの程度の実施計画なのかというところもお尋ねでございましたので、県内の小・中学校におきましては、小学校では、2月末現在ですけれども、99.6%の学校が今、進めようとしているところでございます。また、中学校では98.1%ということで、かなり多くの小・中学校では、2月末現在の段階ですけれども、開設の予定を組んでいるところでございます。
 特に、総合的な学習の時間にかかわる費用等のこともございますが、これにつきましては、基本的には小・中につきましては市町村で措置することでございますけれども、県といたしましても、平成11年10月から緊急地域雇用特別基金事業──総合的な学習の時間推進非常勤講師配置等──がございまして、それらでもって非常勤等を配置し、総合的な学習の時間の円滑な導入を支援しているところでございます。
 総合的な学習の時間は新しい教育内容でございますので、各学校において学習内容や学習活動を決定していく際には多少の不安はあるかと思いますけれども、今後、学校の状況を把握しながら、その都度適切に支援してまいりたい、そう思っております。
 次に、教員の長期社会体験研修についてでございますが、本年度は、小・中・高等学校教員あわせて3名を盛岡市内の二つの企業に約2カ月間派遣いたしました。来年度につきましては、盛岡、花巻、北上の三つの管内の五つの企業に小・中学校の教員各2名、高等学校1名、計5名をそれぞれ3カ月間派遣することとしております。派遣人数、派遣地域等、今後さらに拡大に努めてまいりたいと考えているところでございます。
 また、派遣を終えた教員からは、自校において研修成果を報告したり、あるいはまた、以後の教員としての仕事に生かしていくことはもちろんですが、教職経験者研修等がございますので、その各種研修等において講師として参加してもらいまして、その体験談を多くの教員に聞かせようということで、体験できなかった教員にも、間接的ではございますけれども、そういう話をさせて役に立ててまいりたいと思っているところでございます。

〇柳村岩見委員 松田保健体育課長から一つの許容範囲のお知恵をいただいたので、その許容範囲をいただける予定がなかったので、私たちは地域のスポーツ少年団の指導者に何と答えればいいのかと本当は質問したかったんですけれども、許容範囲を示していただきましたから、あとはこちらの方で上手に、許容範囲の中で、当初から学校に対して、あるいはまた、恐らく村立とか町立とか市立学校が対象でありますので、市町村単位の中でこのような働きかけなり方向づけと、こういうことにさせていただきながらやっていきたいと思います。
 蛇足でありますけれども、スポーツ少年団を運営、指導する方々は、ボランティアで、自分のライフワークに団の運営あるいは指導というものをすっかり取り入れて、確立して一生懸命やっておられます。その成果は上がっているのであります。ただ、最後のところに行ったときに、そういうことになったときに、私たちの活動は本当は認知されていなかったのだという思いが起きてしまって、今後の活動にマイナス要因が働きかねない、こういうことであります。
 今後、私どもも許容範囲を勉強しながらやっていきたいと思います。
 これも蛇足でありますが、余りしょっちゅう立ちたくないので、教育現場における、あるいはまた子供たちの環境に係る諸課題の中で、恐らくいろいろな制度、新しい改革、何か一つが完全にいい方向になったときに、120点取ったときに初めてほかの諸制度が同じいい方向に進み始めると。何か一つ、例えば総合的学習の時間の新設についても、これをやってよかったと、あるいはまた、岩手県が大変そのことについて十分な成果が出ているということができればほかのことも自然によくなっていくという意味合いで、何か一つ120点を取る教育行政があってしかるべきだと、そんなふうな思いをいたしております。
 1回だけ、保健体育課長、それでいいですか。許容範囲を我々が勉強して対応するということで。

〇松田保健体育課長 今、お話ししたとおり、一応学校教育活動の一環と認める場合には出席扱いとすることができるとされております。ただ、運営の方になりますと、やっぱり市町村立学校の子供たちですので、そちらの方との相談も当然必要になろうかと思いますので、その辺のところは管理監督者の市町村の方とも御相談なさりながら、よりよい対処の仕方ということでやっていただければと思います。

〇小原宣良委員 4点についてお伺いしたいと思います。
 前段、西井教育委員長からは演述を含めてお話がございました。学校教育等々にかかわる方針でございます。その中で、子供たちと先生との信頼関係の大切さをお話しされたわけでありますが、私は、県教育委員会と学校現場あるいは保護者の皆さん方との信頼関係も同様に大切であろうと思いますので、どうかひとつそうした環境の一層の充実に向けて御努力をいただきたいと思います。
 まず、質問の第1は、高等学校の新整備計画に伴う校舎建設の考え方についてでございます。
 私のところで申しますと、北上・花巻地区におきましては、黒沢尻南高校は男女共学の総合学科高校とする、北上農業高校と花巻農業高校は統合して農業専門高校とするということであります。もちろん全県的な整備計画がなされておりますし、教育委員長の演述にもありましたように、地域の理解のもとに進めていくわけでございますが、この際お聞きしたいんですけれども、この校舎ですね。統合した学校の持ち方、あるいはそのありようという部分についてはかなりイメージ的には出てきたと思うんですけれども、私がお聞きしたいのは、校舎建設という部分をどのように展望されるかという点でございます。
 それから、二つ目は、学校のトイレの水洗化の問題です。
 学校は、子供たちにとっては教育の場であると同時に生活の場でもございまして、小・中・高において、現状、水洗化の進捗率はどのようになっておるでしょうか、今後の計画とあわせてお示しいただきたいと思います。
 3点目は、スポーツ施設の有効利用についてでございます。
 御承知のとおり、インターハイ関連で各市町村で整備をしたスポーツ施設がございます。県は、このインターハイ関連のスポーツ施設整備に約60億円ほどの支援をしてきたわけでございますが、これら施設について、今後の活用に当たって県はどのような支援を考えておられるでしょうか。
 なお、平成4年の12月議会でございましたが、当時高橋教育長の本会議における答弁がございますが、教育委員会で検討を進めているスポーツ施設整備基本構想においては、中長期的展望に立った整備を進める必要があることから、県及び市町村あるいは地域生活圏の役割分担、機能分担等を考慮しながら、地域バランスを踏まえた広域的な配置計画を立てて整備を積極的に進めてまいりたいということで、生涯スポーツという観点を含めて、県民のスポーツ振興、これらの観点から、いわば施設については全県分散型といいましょうか、地域地域における拠点という物の考え方、広域的な視点という点でとらえているように私は受けとめてきたわけでございますが、それらを含めながら、今後のスポーツ施設の有効利用、この点をどうお考えかお伺いいたします。
 それから、4点目は、昭和45年の岩手国体の際に、記念事業として編さんされ、発刊された岩手県植物誌というのがございます。これは大変貴重なものでございまして、まさに自然環境あるいはその保全という点で、本県にとってはバイブル的な存在ではないかと思うんですが、この岩手県植物誌の再編さん、絶滅危惧種等についてもいろいろ県では調査をされているということです。これは生活環境部の自然保護課かと思ったんですが、実は発行いたしましたのが県の教育委員会でございますので、発行元に聞くのがよろしかろうということでお伺いするわけですが、今後、再改訂をして、今までの部分になお資料的に補足をしていくべき点とか、さまざまあると思うんですが、検討するお考えがおありかどうかお伺いいたします。

〇伊藤高校改革推進監 まず、高校再編成に伴う校舎の整備についてでございますけれども、校舎整備のあり方につきましては、学校教育を行う上で極めて重要な要素でありますことから、今後、それぞれの学校について、私どもの考えをしっかりと持ちながら、地域の御意向等も伺うなど、慎重に検討してまいる必要があると考えているところでございます。
 お尋ねの北上・花巻地区の新整備計画に基づく校舎のあり方でございますけれども、地域においても大変強い関心のあるところでございますので、今後、慎重にその方向性を定めてまいりたいと考えております。
 なお、校舎整備につきましては、一般的には、生徒の通学の利便性、現有の施設設備の有効活用、それから、周辺の環境条件などが重要な観点であろうと、このように考えているところでございます。

〇中村財務課長 学校のトイレの水洗化の状況でございますけれども、県立学校につきましては、高等学校、盲聾・養護学校とも水洗化100%となってございます。市町村立小・中学校につきましては、小学校が67%、中学校が77%、全体では70%ほど。ただ、これに簡易水洗が若干入ってきますので、それらを入れますと74%の水洗化率となってございます。
 全体の計画自体あるのかということでございますが、御承知のとおり、小・中学校につきましては市町村自体の事務でございまして、個別の全体的な計画は特に定めておらないということでございます。
 先ほどお話ございましたように、学習の場あるいは生活の場という観点から考えますと、やはりどうしても整備する必要があるだろうということで、県としてもいろいろ御指導しておりますが、実態としましては、国庫補助事業の大規模改造事業を導入してトイレを水洗化していくという方策をとらない限りなかなか難しい。それで進展しないということと、公共下水道の進捗度合いが影響するわけです。
 いずれにしましても、そういう観点に立ちまして、国に対しましては国庫補助予算を十分確保してくれるよう要望してまいっておりますし、今後ともそういう努力をしていきたい、こう思っております。

〇松田保健体育課長 インターハイ関連で整備した施設の今後の有効利用ということでお答えしたいと思います。
 インターハイ関連で整備されました施設につきましては、当該市町村はもとより、広域圏をも巻き込んだスポーツの活動の場として、生涯スポーツ、競技スポーツの振興を図る上からも大きな効果が期待できる施設ととらえてございます。
 整備されました各施設につきましてはその活用を十分図っていくのが重要だと考えているところでございまして、平成12年度、全国選抜ゲートボール大会が開催されるほか、平成17年に開催が予定されております全国スポーツ・レクリエーション祭という全国的なイベントに鋭意活用することというふうに考えております。また、県民体育大会や県高等学校総合体育大会などの各種大会の開催はもとより、県民スポーツ・レクリエーション祭やスポーツフェスティバルなど、広く県民が参加できるイベントなどにも積極的に活用してまいりたいと思います。地域の生涯スポーツの場として気軽に活用されること、これもまた一つ重要なことだと思ってございます。
 それから、私どもは、全国大会などのイベントの誘致についても、市町村、競技団体と連携を図りながら計画的に取り進めてまいりたいと思っておりますし、県及び市町村等が加盟する岩手県体育施設協会と連携しながら、施設の有効活用にも取り組んでまいりたいと考えております。
 施設の整備に当たりましては、施設整備のあり方についてということで、関係者から成る検討の場を設けまして、有識者からも意見を伺いながら取り進めてまいりたいと思っておるところでございます。

〇伊藤文化課長 岩手県植物誌についてでございますが、委員御指摘のとおり、本誌は、1970年に民間の研究団体でございます岩手植物会が資料等の収集整理を担いまして、その上で県教育委員会から出版されたものでございます。その後、1度の改訂を経ましたが、現在では絶版になっているところでございます。
 岩手県植物誌は、御案内のとおり、県内ほぼ全域の植生を調べるなど、大変膨大な調査資料をもとにつくられてございますので、その資料すべてを見直しながら直ちにこれを改訂するということは大変難しい問題もあるかなと考えてございます。
 しかしながら、将来的には、環境首都構想ということで、岩手県も自然環境を重視していくことを構想に位置づけているわけでございまして、教育委員会といたしましても、県立博物館に岩手の歴史や文化、自然など総合的に調査研究し、情報発信を行ういわて地元学という機能を整備していきたいと考え、総合計画の中にも位置づけているわけでございます。こうしたいわて地元学センターとして自然科学部門の充実強化等もあわせ検討していく中で、こうした植生の部分におきまして、どのような調査、どのような研究が求められているのか、こういうことを自然環境の保護を担当する関係部局とも十分連絡をとりながら検討していきたいと考えております。

〇小原宣良委員 改めてお伺いいたしますが、最初の県立高校の再編整備計画に伴う校舎の、私は建設と申しましたが、答弁では整備と、こうおっしゃっておりましたが、校舎整備について、この考え方としてのポイントは確かにわかりました。一つは通学の条件等を勘案すること、それから、現有の校舎、施設の有効利用をできるかどうかという点、それから、周辺の環境がマッチするものであるかどうか、こういうことですね。その判断ポイントはわかったんですが、例えば北上農業と花巻農業の統合という点では、平成15年からということになっています。そういう点からいうと、近々それらの検討の中で新規の建設が必要であるということがもしあるとすれば、これらは計画に乗せていかなければならないことになりますね。そうした判断というのはいつごろとお考えでしょうか、その時期を明示していただきたいと思います。
 それから、2点目の学校のトイレの水洗化、小学校67%、中学校で74%。しかし、全体計画については、市町村の教育委員会が第一義的な所管ということで把握していないということですね。しかし、今の時期ですから、時期というのは、生活様式等々、それぞれ子供たちの家庭の生活様式も変わっているわけです。そういう点で急ぐ必要があると思いますが、ぜひこれは全体計画を取りまとめてみる必要があるのではないでしょうか。その点はぜひ今後の検討課題としてお願いしたいんですが、そういう考えがおありかどうか、これをぜひお願いしたいと思います。
 それから、スポーツ施設の有効利用については、県段階としての支援という点では大変重要です。かなり大規模な施設整備というものがなされてまいりましたから、それらの有効利用という点では、地域の市町村という枠にこだわらないで、広域的な面で、あるいは県全体としてそれらを活用していくということ、お互いの立場で十分連携をとりながら有効利用をしていくことがひいては県民の生涯スポーツあるいは競技スポーツ等にも有効に利活用されていくものと思いますので、そういう点では、市町村のみのことではなくて、県としてもしっかりそこを対応していただきたい。これは要望にとどめておきます。
 それから、岩手県植物誌の再改訂という部分で御要望申し上げましたが、県では、県立博物館の機能強化とあわせて将来課題としたいというふうに受けとめましたが、それでよろしいでしょうか。これはかなり膨大な資料から成っております。私もここに持ってまいりましたけれども、こういうものですね。かなり膨大なものでして、力作中の力作です。そういう点で、ぜひ改訂してほしい。
 実は、これには歴史的な部分の記述も前段にございます。例えばロシアの植物学者であるマクシモビッチという人が明治の初期に函館の方に開国直後に入って岩手の植物を調査した。その際に、紫波町の須川長之助という方がその手伝いをして、早池峰などの貴重な高山植物が世界に発信された、こういった歴史がありまして、それらも記述されております。
 今、時間がたって、そうした古い資料の掘り起こしというのは困難な部分はあるかもしれませんが、関係者の皆さんで、そうした資料などを持ち合わせている方がまだおられるかもしれない。そうしたものをぜひ、時間がたてば薄まってきますから、そういう資料も散逸されてしまうということですので、ぜひここは岩手県植物誌の再編さん、再改訂に向けた具体的な取り組みをお願い申し上げたい。この点については、再度、補足してお考えがあればお伺いしておきます。

〇伊藤高校改革推進監 校舎整備の方向性を定める時期についてのお尋ねでございますけれども、12年度早々に、統合ですとか学科改編にかかわるすべての高等学校に校内の検討組織、また、統合する場合には合同しての検討組織の設置を指導してまいりたいと考えております。これと並行いたしまして、必要に応じて地域の行政の方ですとか、PTAあるいは同窓会の方々にも入っていただく組織も指導してまいりたいと考えておりまして、こうした話し合いの中でさまざまな御意見等もお伺いしながら、また、私どもの考え等も申し述べながら、できるだけ早く整備計画の年限に応じた形で方向性を定めてまいりたい、このように考えているところでございます。

〇中村財務課長 小・中学校におけるトイレの水洗化計画を把握すべきではないかということでございますが、実際には、全体計画とは申しませんが、国庫補助事業の絡みがございまして5年ごとに意向調査をやっておりますが、なかなか出てこないのが実態でございます。その理由というのは、やはり校舎の改築なり大規模改造と一緒にやらなければいけないということで、そっちの方が主体になっていきますので、トイレだけということであれば大変難しい話ですが、それらも踏まえて、いずれにしろ老朽化している校舎もございますので、どういう市町村の考えかということを意向調査し、把握してまいりたい、こう思っております。

〇伊藤文化課長 先ほども申しましたように、本岩手県植物誌は大変膨大な図書でございますので、直ちに全面的に改訂に取り組むということは難しいわけでございますけれども、必要な情報ですとか資料ですとか、散逸するものについては随時適切な形で収集に取り組んでまいりたいと、このように考えております。

〇小原宣良委員 最後になりますが、学校のトイレの水洗化、どこの年代でもそうなんですが、特に小学校低学年、この部分については、校舎全体を新しくしないうちはなかなか手がかけられないというのはいかがなものかと。部分的にでもトイレの改修というのはできないものでしょうか。全体全部ということではなく、部分的にでもできないものかという感じがあるんですが、いかがですか、最後に伺います。

〇中村財務課長 おっしゃることはわからないわけではございません。ただ、1階、2階、3階とあるわけですが、そういうところを一体化して工事をしますので、それに多くの金がかかると。それから、公共下水をもう供用開始しているのであれば、法的に御承知のとおりつながなければならないということですからこれは問題ないんですが、公共下水がないとすれば、単独合併処理浄化槽になるわけです。そうすれば、その浄化槽そのものもかなり大きなものになりますし、その処理した水をどこに流すかということで、その形態によってもかなりの金がかかることになります。そういう状況を考え、市町村ではなかなか手をかけられないでおると、いわゆるトイレの水洗化だけに手をかけられないでおるというのが実態でございます。ただ、私たちも、できる限り速やかに計画的に整備していただきたい、こういうことで、いろいろな場で御指導申し上げております。
 それから、こういうことを言えばおしかりを受けるかもしれませんが、何%だからいいということではございませんが、岩手県の一般家庭を含めた汚水処理施設整備状況というのがございますが、これを見ますと、10年度末現在、岩手県の場合は44%の水洗化率の状況でございます。そういうところを見ましても、市町村はかなり学校には力を入れてくれているのではないかと、こう思っております。
 今回のお話もございますので、今後さらに御指導してまいりたいと思います。

〇斉藤信委員 まず最初に、教育委員長の本会議での発言について、私からも改めて質問させていただきます。
 道徳教育に関連して、教育委員長は、指示がなければ何も動けないで、指示を待っている消極的な、そういう子供がふえてきている、自分の子供たちに対するしつけというものが非常にあいまいであると述べていました。私は極めて一面的ではないかと思います。今の子供をどう見るのか、学校教育と教育行政にはどういう問題があるのか、ここを含めて改めて示していただきたい。
 若い先生方についても、見方が極めて一面的な発言がありました。今の先生方についての見方、これも示していただきたい。
 日本の子供の現状について、国連子どもの権利委員会が1998年6月24日に厳しい勧告を出しています。極度に競争的な教育制度のもたらす発達のゆがみ、余暇・遊びの欠如、学校嫌いがふえている。極度に競争的な教育制度の改革が勧告されていますが、教育委員長として、この国連子どもの権利委員会の勧告をどう受けとめているでしょうか。
 子どもの権利条約は、子供に最善の利益を実現するというものでありますけれども、学校教育の場でどう具体化、実践すべきと考えているでしょうか。

〇西井教育委員会委員長 指示がなければ何も動けないで指示を待っている消極的な子供がふえている、そういう発言についてでございますけれども、少子化や核家族化等を背景とするさまざまな生活体験の機会の減少、親の放任、逆に過保護、過干渉といった傾向が一般的に指摘されているところであります。子供が自分で気づき、考えるという習慣をつくる大切さを忘れて、子供が考える前にすぐ介入してしまうことなどは、子供たちの主体性や自主性を育てる上で大きな妨げとなるものであると思います。
 子供の行動に注意を払い、大事な基礎的なしつけはきちんとしながらも、細やかな口出しをできるだけ控え、見守るという姿勢を徐々に強めていくことが大切であり、そういうことが自分の課題に積極的に取り組んで、困難な問題を自分の力で、あるいは大人のアドバイスを得ながら乗り越えていく、そういう気持ちを特に大切に育てていきたいと、そういうことからの発言でございます。
 次に、子供に対するしつけがあいまいであるという発言についてでありますが、価値観の多様化などから子供に対するしつけの問題に関してさまざまな考え方を持つ方々がおられて、一部の保護者にあっては、本来家庭でしつけるべき点にまで学校側の対応を要望するなど、学校現場が戸惑う場面もあると聞いていることから発言したのでございます。
 次に、今の子供たちについてでありますけれども、最近の青少年は、遊びの心、センスのよさ、異文化を受け入れる柔軟さなどの面ですぐれていると言われております。今後は、こうした長所を生かすとともに、生活体験、自然体験をもとに、自分の課題に積極的に取り組んで、困難な問題を自分の力で、あるいは大人のアドバイス等を得ながら乗り越えていくような教育をしていかなければならないと考えております。
 また、学校教育及び教育行政につきましては、戦後の学校教育は、全国的な教育水準の維持向上に力点を置き、全員一斉かつ平等にという発想が強かったと言われております。今後は、豊かな人間性を持ち、心身ともに健全で激しい社会の変化にも柔軟に対応できる資質や能力の育成を目指し、子供たちの個性や能力に応じた教育を行っていくことが大切と考えております。
 若い教員に対しての私の発言につきましては、目覚ましい経済成長下に青年期を過ごした世代にあっては、困難を伴うような体験がともすれば不足がちであることなどから、教員に対しては自己研さんを、さまざまな社会体験を積み重ねながら、あるいは常日ごろの教育実践などを通じて、子供たちと一緒になって汗を流して頑張っていく実践的な指導力のある教員になってほしいという願いから出た発言であります。
 権利条約にかかわりましては、国連子どもの権利委員会の勧告についてでありますが、これは国に対して出されたものであり、多くの省庁の施策にまたがるさまざまな内容が盛り込まれていることなどから、今後の国の動向を十分踏まえながら、県教育委員会としても勧告の趣旨をできる限り尊重してまいりたいと考えております。
 次に、子どもの権利条約の学校教育の場での具体化についてでありますが、国連子どもの権利条約は、児童に基本的人権があることを認めるとともに、児童が身体的及び精神的に成長過程にあり、社会の中で個人として生活するため十分な準備を必要としている、そういう考えに立ったものだと思います。この考えのもとに、各学校では道徳の時間や学級活動の時間、社会科などの教科など教育活動全体を通して、互いに人格を尊重し、思いやりの心を持って接する態度などをはぐくんでいくような教育実践を行っております。

〇斉藤信委員 大変丁寧な答弁をいただきました。後半は大変前向きな中身もありましたので、次に具体的な問題についてお聞きをいたします。
 高校再編統廃合計画、いわゆる新整備計画についてでありますが、私は一般質問で取り上げて、教育長は幾つかの地域にあっては御意見のあるところであり、と答弁がありました。根強い反対の声が今でもあるというのが実態ではないでしょうか。紫波町、一戸町、陸前高田市とのこの間の協議結果はどうだったのか、このことを示していただきたい。
 新整備計画について、今後とも引き続き十分な御理解を得られるよう努めてまいりたい、こういう答弁もありましたが、具体的にどう努力をされるつもりか。地元地域の反対の声を無視して、この計画を強行すべきではないと思いますが、いかがでしょうか。
 総合学科という新しいタイプの高校は、紫波、一戸高においては、学区の拡大ということになるのではないでしょうか。そうなれば広い学区の普通科への希望者がふえ、地域との結びつきが薄れるのではないでしょうか。学校間格差の拡大、固定化を招くと思われますが、いかがでしょうか。
 今回の新整備計画では、普通科の問題については改革の中身は示されていません。普通科の改善・改革をどう検討しているのでしょうか。

〇伊藤高校改革推進監 まず、地域との話し合いと今後の努力ということについてでありますが、地域においては、この調整案で計画をさせていただき、今後とも話し合いを続けるとお話したところであります。今後は、地域の方々の御意見も伺いながら、新しい学校づくり、高等学校づくりに取り組んでまいるものでございまして、そうした検討委員会などを通して、引き続き御理解が得られるよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、学区についてでございますが、今後整備する総合学科の学区等につきましては、現在協議している岩手県公立高等学校入学者選抜のあり方に関する調査研究委員会の報告を受けまして、今後、紫波、一戸学区等も含めて、全県的視野に立って検討してまいりたいと考えております。
 学区の拡大による学校間格差の拡大、固定化についての御懸念でございますが、仮に学区が拡大するといたしましても、そうした危惧を招かないような方策について検討してまいりたいと考えているところであります。
 次に、普通科には問題はないのかとのお尋ねについてでありますが、県立高等学校新整備計画にも記載してございますように、普通科に入学する生徒の進路意識や興味・関心などが多様化していますことから、多様な科目の開設、進路意識の向上等を図る、こうした教育の充実の必要があるだろうと考えております。

〇斉藤信委員 私は今、具体的に聞いたんです。紫波町、一戸町、陸前高田市の協議結果はどうだったのか。どこに理解がされていないのか、このことをはっきり答えてください。
 それと私は、こういう地域の同意が得られない場合も強行するのかと聞いているんですよ。実際に、この新整備計画というのは学校設置条例の改正が必要ですから、計画を立てたからといってそれで決まるわけではないんです。そういう点で紫波、一戸を1年間延ばしたというのはどういうことなのか。そして、延ばした期間で話し合いをしても理解されなかったらどうするのか、このことを聞いているんです。もう1回答えてください。

〇伊藤高校改革推進監 この計画で計画としては策定させていただくと。なお、これについては、今後とも協議をさせていただくということで話をしてまいったということでございます。計画書にも明記してございますように、今後とも地域との話し合いを深めて実施してまいりたいと考えております。

〇斉藤信委員 私の聞いたことについて答えてないんです。紫波町、一戸町はどういう理由で反対しているんですかと聞いているんです。そして、1年延ばした理由は何か。反対が続いた場合でも、これは強行するつもりなのか。そのときにまた検討し直すのか。そういう余地はあるのか。何回も同じこと聞かせないでください。

〇伊藤高校改革推進監 紫波町、一戸町の反対につきましては、新しいタイプの総合学科という高等学校に対する御懸念が強いものであると認識いたしております。これにつきまして、今後一層具体的な点で町当局あるいはPTA、同窓会との話を進める中で総合学科についての理解をいただき、その上で進めてまいりたいと考えております。

〇斉藤信委員 私聞いているのは、あなたの認識を聞いているんじゃないんです。あなたは二度も紫波町、一戸町と協議しているわけでしょう。どういう点で疑問が出されているのかを私は聞いているんです。あなたの認識を聞いているんじゃないんです。
 紫波町の町長は、この3月議会の所信表明でも、現行の普通科を軸にした学校の拡充を求めたいとはっきり言ってます。いわば例えば紫波高校の場合、私は直接校長先生にも話を聞いた、先生方からも聞いた、説明会も聞いた。今まで努力をしてきたと、紫波高校を改革、改善するために。ところが、全く別の上のところから総合学科という計画が出されると。とてもこれは理解できないと。なぜ、今の普通科を改革・改善する方向でだめなのかと。これが大変根強い気持ちですよ。だから、私は県教委の認識を聞いているんじゃないんです。そういう気持ちを本当にどういうふうに受けとめていくのか。1年延ばしたのは理解を得るためでしょう。得られなかったらどうするか。
 あわせてもう少しお聞きをします。
 この整備計画の中には、学校規模の考え方についてこう書いています。本校として最小限必要な募集学級数を2学級とし、入学者が2学級に満たない状況が3年続いた場合にはブロック内で調整を行います。これは、2学級に満たない状況が3年続くというのは、40人以下が3年続くという理解でいいのか。このこともあわせてお聞きしたい。

〇伊藤高校改革推進監 子供たちの教育にとってどのような教育環境が望ましいかという観点から、私どもは総合学科というものを提案しているところであり、紫波町、一戸町におかれましては、現状のままが望ましいと言っておられるということでございます。これを教育的観点から申しまして、どちらがよりすばらしいのかと、より妥当であるのかということを今後とも協議してまいりたいということでございます。
(斉藤信委員「理解が得られなかったらと聞いているんだ。」と呼ぶ)
 それにつきましては、今後とも理解が得られるように努力してまいりたいと考えております。
 それから、2学級という問題でございますが、これは募集定員80人としての2学級という問題と、それから実際に学級が2学級構成できる41人以上という2学級の問題と、考え方と実際の部分のところでの乖離がございますので、ここにつきましては実際にそうした事態が今後考えられますので、それについてはできるだけ早く私たちの考え方をしっかりとお示ししてまいりたいと考えております。

〇斉藤信委員 今の後半の答弁は大変重大です。いいですか。この計画では入学者が2学級に満たない状況、40人以下でしょう、これは。それが3年続いた場合に、ブロック内で調整するというのがこの計画書じゃないですか。今の答弁は80人で考えてますと。今、2学級の学校たくさんあるんですよ。だったら、いつでもこれはブロックで調整できるという中身になるじゃないですか、今の答弁は。国語的にそんな解釈ができますか、これは。教育長、ああいう解釈だったらこの計画書はペテンになるよ。はっきり答えてください。

〇大隅教育長 ただいまの学級規模のお話についてでございますけれども、今回の計画はあくまでも現行制度の上での計画でございますので、考え方も同様でございます。

〇斉藤信委員 今、だれもわからない、教育長の答弁は。私が聞いたことについて、迷う「迷答弁」です。これは、40人の場合に2学級でなくなるでしょう。そういう状況が3年続いたらブロックで調整すると、こうしか理解できないじゃないですか。教育長、それ以上できないの、「迷答弁」しか。ということは、私の言ったとおりには解釈できないということですか。

〇伊藤高校改革推進監 現在の学級構成につきましては、1学級40人をもって2学級としているわけでございます。それで御指摘のように、80人になっていない学校も現在あるわけですが、これは募集定員として80人を定めているけれども、しかし残念ながら80人には達していないということでございまして、今後80人という募集定員を2学級規模の学校本校として続ける場合に、80人という募集定員は継続してまいるわけです。結果として、41人とか42人という子供しか入らないということがあるわけですが、その場合にそれをもって2学級の本校とすることが、果たして学校の活性化とか学校の教育の充実ということから妥当かどうかという点については考えてまいらなければならないということで、今後とも検討させていただきたいと申し上げているわけです。

〇伊藤勢至副委員長 斉藤信委員に申し上げます。
 この際、進行に御協力をお願いいたします。

〇斉藤信委員 これは、極めて重大な問題です。2学級に満たない、今80人定員に満たない学校全部挙げていただきたい。いいですか。今の答弁だったら、今すぐこれはブロック内調整の対象になるということですよ。この報告書がまとまる前の、いわば長期構想検討委員会では41人という数があったんです、実は。ところが、それがこの整備計画になったら消えてしまった。41人を割ったらブロック内で調整する、統廃合するというのは、長期構想検討委員会の中にはあったんです。それが途中で消えたんです。それは、結局2学級に満たなくてもブロック内で調整するということになるわけじゃないですか。これは、県民が全然理解できない、この中身は。だから、どれぐらいあるか、ちょっと示していただきたい。

〇伊藤高校改革推進監 定員を割っている学校の数につきましては、総数では先ほど指導課長から申し上げたとおりでございますので、時間の関係もございますので各学校を申し上げることは……。
(斉藤信委員「冗談じゃない。委員長、学校名出させろ。何言ってんだ。」と呼ぶ)

〇伊藤勢至副委員長 答弁を続けてください。

〇伊藤高校改革推進監 全部申し上げますか。
(斉藤信委員「全部言ってください。そう聞いているんだから」と呼ぶ)

〇伊藤勢至副委員長 斉藤信委員に申し上げます。
 ただいま全部示せということでございましたが、進行の関係もありますので、了解をお願いいたします。

〇伊藤高校改革推進監 80人、40人という問題でございますが、こういうふうに明示していないということは、募集定員は80人と、それから実際に40人そこそこになった場合はどうするかという問題については、今後検討してまいりたいということでございますし、さらに40人とか50人という入学者しか見込めない状況が続いた場合には、地域との協議等を進めてまいるということでございまして、今現在75人とか78人であるから、それをもって本校として廃止するのであるということではないということについては御理解いただきたいと思います。

〇斉藤信委員 この問題は計画書が書かれて、今初めてこの考え方が出ました。私は、本当にこの文章の理解からいったら、とてももう理解できないような考え方だと思います。しかし、そういう考え方が明らかになりましたから、これは本当に今2学級で努力している学校が統廃合対象にすぐなるんだという大変な問題でありました。しかし、時間の関係がありますから続けます。
 この新整備計画にかかわって中高一貫教育の導入、これが今検討されています。新整備計画が出されたばかりでありますが、この中高一貫教育の導入をいつから考えているのか。それは県立高校の再編、統廃合とどう関連するのか。
 もう一つ、30人学級の問題です。
 文部省も年度内には、この新しい教員の配備計画を来年度には決めていくと。この30人学級の方向が出た場合に、この新整備計画はどう検討されるのか、この点についてお聞きしたい。

〇伊藤高校改革推進監 本県における中高一貫教育導入の見通しについてでございますけれども、現在岩手県中高一貫教育研究会議において検討を行っているところでございまして、今年度中には報告書が出るだろうと考えております。さらに、研究推進校を指定いたしまして実践研究を進めているところでもございますので、これらの報告を受けまして導入の時期ですとか、今後における高校整備計画との関連などについて検討してまいりたいと考えております。
 30人学級についてでございますが、これは先ほど教育長も申し上げましたように、現在国において教職員配置のあり方等に関する調査研究協力者会議を設置しているところでございます。ここで40人学級やティーム・ティーチングの効果など、現行の教職員配置改善計画の成果と課題について検討を進めているところでございまして、この検討結果に基づいて、平成13年度から新たな教職員配置施策に着手できるように準備を進めると聞き及んでいるところでございます。県教育委員会といたしましても、このような国の動向を踏まえて教育環境の整備を適切に行ってまいりたいと考えております。

〇斉藤信委員 中高一貫教育については、岩手県は二つのケースでこの間実践研究をしてきました。軽米高校と町内の中学校との連携型、もう一つは、上田中学校と不来方高校との併設型であります。私は、この実践研究の中身を示せと言ったんです。ところがないんですよ。しかし、中高一貫は連携型が望ましいと報告書では出ているわけです。今、実践研究している最中なのに、何で岩手県では連携型の中高一貫が必要だということになるのか、私はそこがわからない。そして、連携型の導入ということになると、今、実際に研究している軽米町ということになるんじゃないでしょうか。軽米高校は本当に地域が頑張って、地域からの入学者が多いところです、普通科で。しかし、報告書では総合学科を検討すべきだと、私は、本当に矛盾に満ちた実践と報告ではないのかと思うけれども、いかがですか。
 そして、30人学級の問題について言いますと、文部政務次官がこう言っています。「当然、小人数学級の効果または世界のいわゆるヨーロッパ、欧州並みに近づけるように努力という話もきております。全体の流れはそういう方向にある。特に、強く感じている。やはりこの際、大胆な計画を立てるときに来ているのではないか。」これ、文部政務次官の答弁です。だから、もうこういう方向に大胆にいかなければならんということを文部省もここまで国会で答弁しています。私は、こういう方向が出た場合に、財政的な保証がどうなるかはまだ見えませんが、新整備計画は抜本的に変えなくちゃならんということになるんじゃないか。改めてお聞きいたします。

〇伊藤高校改革推進監 研究会議と実践研究委員会の関係でございますけれども、実践研究委員会の報告を適宜受けて研究会議は研究を進めておりますので、最終的な報告がなければ研究会議の方ではそれを聞いた形での方針を出せないというものではないものでございます。
 本県でなぜ地域連携型が望ましいかということでございますが、現在、日常的に中学校と高等学校が連携を進めているという実態もございます。それから、本県の地理的条件がございます。本県の大変すぐれた伝統として、地域で地域の子弟を育成するという伝統がございます。こうしたことから、本県にあっては地域連携型の中高一貫教育が望ましいのではないかと、このように協議会の方では進めていると聞き及んでいるところでございます。
 さらに、中高一貫型の場合には、中学校からさまざまな進路希望を持った子供が高校に入ってまいります。そうした多様な進路希望にできるだけ対応するためには、総合学科などの選択ができるだけ保証できるような学校であることが望ましいと、このような方向で協議を進めていると聞き及んでいるところでございます。(斉藤信委員「30人学級の方向、抜本的改革なんじゃないかと聞いているんだよ。」と呼ぶ)

〇伊藤高校改革推進監 失礼いたしました。
 30人学級が仮になった場合はどうであるかということでございますが、あの計画をごらんいただけばわかりますように、2学級規模が実現できないので統合する、あるいは学科を改編するということを計画しているところは一つもないわけでございます。したがいまして、前期の計画につきましては、大筋の方向性は変わらないものであろうと考えております。なお、後期につきましては、仮に30人学級等が実現できた場合には、所要の見直しを図りながら策定してまいると、このようになろうかと存じます。

〇伊藤勢至副委員長 斉藤信委員に改めてお願いを申し上げます。
 進行に御協力をお願いいたします。

〇斉藤信委員 わかりました、まとめて聞きますから。
 中高一貫については、実践をやりながらその途中で方向性を出すと、これは全く結論先にありきだと思います、岩手県の実践校が実践してまだ報告書も出てないんだから。しかし、これ以上いけませんから、あと二つだけ聞いて終わります。
 学校評議員制度について、文部省の方針は極めて一面的な制度だと思います。これは、校長の推薦で教育委員会が委嘱すると、本当に教育委員会と校長の制度。ところが、高知県では土佐の教育改革の方針のもとで、教師、父母、地域、生徒からなる開かれた学校づくり推進委員会が設置をされて成果を上げています。私は、教育委員会と校長による学校評議員制度ではなく、子供を中心に学校、父母、地域に開かれた高知のような推進委員会こそ進めるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 最後です。盛岡近郊の公立高校における体罰事件について。
 3月5日の卒業式の日に、卒業生が教師による体罰を受けたと相談を受けました。具体的な経過と体罰の内容、学校と県の対応について示していただきたい。学校教育法では、厳しくこの体罰は禁止をされていますが、今回のような体罰について、私は厳しく対処すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

〇佐藤県立学校課長 学校評議員のあり方についてのお尋ねでございますけれども、学校評議員制度は地域に開かれた学校づくりを一層推進するために、保護者や地域住民等の意向を把握・反映し、その協力を得るとともに、学校運営の状況等を周知するなど、学校としての説明責任を果たしていく観点から創設されたものでございます。教育活動の中で、児童生徒の声あるいは意見に耳を傾け、それを生かしていくことは大変大切なことでございますが、この学校評議員制度における学校評議員は、教育に関する理解及び識見を有している保護者や地域住民等を委嘱することを想定しているところでございまして、児童生徒を委嘱することは想定していないというところでございます。本県におきましては、学校評議員制度の導入に係る調査研究組織を設置して検討を進めているところでございまして、地域の実情等に応じた教育活動が一層活発になるよう環境整備に努めてまいりたいと考えてございます。
 それからもう1点は、県立高校における体罰事件についてのお尋ねでございますが、県立高校において行われた卒業式当日に、教諭による卒業生の男子生徒に対する体罰行為があったとの報告を校長から受けてございます。報告の概要は、卒業生の男子生徒に対する頭髪に関する指導を行う中で、当該生徒に対し暴力行為があったというものでございます。県教育委員会では、一昨日学校からの報告を受けたところでございまして、昨日は高校入試がございまして、きょうも含めまして、今後体罰を行った教諭を含め関係者から事情聴取を行うなど、早急に調査を進めてまいりたいと考えております。なお、学校では事件後、これまで当該教諭を初め数回にわたりまして保護者宅を訪問し、今回の行為について謝罪をするとともに、職員会議の席上、校長から各教諭に対して体罰の再発防止について指導を行ったところでございます。
 それから、教員による体罰につきましては、御指摘のように学校教育法で禁止されているほか、児童生徒の人権を侵害する行為であり、いかなる場合においても許されない行為でございます。このため、県教育委員会といたしましても、日ごろから体罰の防止について各学校を指導してきたところでございますが、今般このような事件が発生したことは、まことに残念に思っているところでございます。県教育委員会といたしましては、今回の事案について十分に調査した上で、厳正な処置を講じてまいりたいと考えてございます。なお、今後におきましても、学校現場において体罰が行われることのないよう一層の指導の徹底を図ってまいりたいと考えてございます。

〇斉藤信委員 この体罰事件、今答弁があったように、一昨日報告あったということでしょう。3月5日の事件で父兄が抗議をしているんです。それでも県教育委員会に報告がなかった。一昨日というのは私が調査を求めたときですよ。それまで学校から報告がないんです。これ、もみ消しでしょう、何もなければ。本当に卒業式の日に、卒業生が高校3年間の生活を記念する日に教師から体罰を受けたというのは本当に残念なことです。
 それで、こういう経過です。担任がこの頭髪の問題については問題にしなかった。担任が問題にしなかったのに卒業式を待って待機をしていたときに、生徒指導の教官に体育教官室に呼ばれて正座をさせられて、バスケットボールを頭に投げつけられて、ここをこぶしで3発殴られて、その後、頭をさらに足でけられるという中身です。これだけの重大な事態で父兄から抗議もされているのに、なぜ県教育委員会に報告がないのか。今、職員会議で体罰をやめろと言ったというけれども、そうではありません。職員会議が終わってからです。体罰をやめましょう。ところが、参加している先生方はわけがわからないんです。この体罰事件が明らかにされてないからです、先生方に。本当にそういう点で、学校が責任ある対応をとってない。だから、厳正に教育委員会が調査をして、そして本当に今回だけなのか、そういうことも含めて学校現場から体罰を一掃するということでしっかりやっていただきたい。同席した先生もこういうことを言っているんです。これで逆恨みしてもあなたが悪いんだから。全然反省がないんです。体罰した先生と同席した先生は、こういうふうに子供に言っているんです。私は、そういうことも含めて、本当に体罰を容認するような風潮が学校にないのかどうか、こういうことも含めて厳しく調査をしてやっていただきたい。どうですか。

〇佐藤県立学校課長 学校では、事実関係の徹底調査を行う一方、生徒本人あるいは保護者に対する謝罪等誠意ある対応を優先させてきたものによるものであり、決して事実を隠そうとしたものではないととらえております。そのために報告がおくれたという事実については、否定できないところでございます。一般に多くの本県県立学校の教員は、体罰は決して許されない行為であるとの自覚を持って、誠心誠意学習指導、生徒指導に当たっているものであり、こうした事件の発生によりまして、多くの教員の日ごろの努力が水泡に帰すことはまことに残念に思っております。県教育委員会といたしましても、このような多くの教員の努力に報いるためにも、県民の学校教育に対する信頼の回復に最大限の努力を傾注していかなければならないと考えてございます。

〇阿部富雄委員 平泉文化研究機関の整備についてお伺いをいたします。
 この整備については、平泉文化に関する国際的、学際的な調査研究、あるいはその展示研修等を総合的に行う機関の整備を検討するということにしているわけでありますけれども、本年度どのような事業を行おうと計画をされているのかお伺いいたします。そして、全体的な整備計画というのは、どのように検討されているのかお伺いをいたします。

〇伊藤文化課長 平泉文化にかかわります歴史遺産を明らかにし、その成果を広く公開活用していく機能を有する研究機関を整備するためには、柳之御所遺跡を初め未調査の平泉遺跡群につきまして、計画的、継続的調査研究を進めることが必要でございます。また、あわせて平泉文化研究の軸となります研究者のネットワークづくりや研究活動の支援、インターネットを初めとする平泉文化の情報発信など、積極的に推進する必要があると考えております。
 このため、平成12年度におきましては、柳之御所遺跡の整備に必要な発掘調査をより一層積極的に進めるとともに、平泉フォーラムを開催し、平泉文化の解明に欠くことのできない最先端の研究課題についての研究活動を支援するなど、平泉文化に関する調査研究を促進していくことといたしております。今後、これらの施策を積極的に推進しながら、柳之御所遺跡の整備とあわせ、研究機関の整備についても検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。

〇阿部富雄委員 今お話された柳之御所等の計画的、継続的な調査を行うということが整備推進事業だということですが、私はちょっと考え方が反対じゃないかと思うんです。調査研究をするためのいわゆる事業、設備をつくるというのであって、今まさにこれから平泉の眠っている柳之御所にしろ、あるいはさまざまな文化遺産を整備してしまったら、平泉文化全体の構造がもう明らかになってしまうということになるんじゃないですか。やっぱりその辺のとらえ方、整備の仕方がきちっとなされていないところにこういうフォーラムをやって、言葉は悪いわけでありますけれども、ことしの事業をごまかしてしまうという形になっているのではないでしょうか。今、全体計画を聞いても、これは今後検討していくということですけれども、フォーラムをやるということであったって、全体計画の中の位置づけの一つとして進めていく中身じゃないんですか。その辺について、もう一度お考えを聞きたいと思います。

〇伊藤文化課長 研究機関につきましては、当然研究機関という箱物だけを用意いたしても、その後の調査研究というものを箱がするわけでございませんので、当然人的なスタッフ、そしてその分野における研究者の幅広いネットワークづくりというものが不可欠なわけでございます。そうした観点から調査研究に必要な人材やスタッフなどのネットワークづくり、また平泉文化をより多くの研究者に研究してもらうような土壌を準備段階としてしていきたいということを考えて、平泉フォーラムというものを予定しておりますけれども、このフォーラムは単なるフォーラムということで一日限りの形で終わるものではなくて、あくまで新しい研究分野につきまして、研究者がこの場で発表してもらおうという準備期間もとり、その準備ができるような支援もしていきたいと考えているところでございます。

〇阿部富雄委員 それだけに私はこだわるつもりはありません。言われるとおり、人的なものあるいは平泉文化を広く内外に知らしめるという意味でネットワークづくりも必要だということもわかるわけでありますが、全体の構想がない中で単発的に取り組んでいくこと自体がどうなんですかと、これが計画的なものになっていくのかということを聞いているわけです。少なくとも平泉文化の認識については、課長どのように認識されているかわかりませんけれども、少なくとも日本人は日本のことをニッポンあるいはニホンと言いますけれども、英語圏を中心に海外では日本のことをジャパンと言っているわけです。なぜジャパンなんですか。これは、少なくとも私が認識している限りでは、今から1200年前に平泉文化が栄えて、それをマルコポーロという人が東方見聞録の中で東方の国ジパング、いわゆる黄金の国だという、これをもとにこのジャパンという言葉が出てきた。このことが世界航海時代の幕開けになって、コロンブスにしろマゼランにしろ、そういうことが出てきたということになるんです。言うなれば、平泉文化というのは世界の歴史を大きく変貌させた文化だと思っているわけです。そういう認識に立って、やっぱりもう少し真剣に全体計画を考えていただきたいと思うわけですけれども、もう一度答弁をいただきたいと思います。

〇伊藤文化課長 ただいま委員御指摘のとおり、平泉文化というものは岩手県を代表するだけじゃなく、この日本そして東アジア圏も含めました世界的にいっても大変すばらしい文化遺産であると私どもも認識しております。そうした観点から、通常多くの調査というものは市町村等が単位で行っているわけでございますけれども、柳之御所含めここにつきまして、県の教育委員会の方で今鋭意取り組んでいるところでございまして、平成12年度の予算におきましても平成11年と比較し、新しい事業また大幅な拡充ということで鋭意取り組んでいるところでございます。なお、具体の全体計画整備時期につきましては、先ほど申しましたように、柳之御所遺跡の復元的な整備というような公園的な整備を含めて全体として考えていきたいと思っておりまして、柳之御所遺跡にかかわります現在の発掘調査によって、一定の資料が得られるであろう平成15年ごろを目途にいたしまして整備の方針を示していきたいと考えております。

〇小野寺好委員 皆さんお疲れのようですので、簡潔に2点まとめてお伺いいたします。
 まず1点は、学校農園でありますけれども、学校農園の有用性についてはかねてより主張してまいりましたが、なかなかいろんな条件がクリアできないので難しいのかなと半ばあきらめておりましたが、農林水産業費の中に一学校一農園運動推進事業費といった1項がありますが、教育委員会の方ではどのようにかかわっていくのかお伺いいたします。
 もう1点は、教職員住宅についてであります。
 恐らく現在の教職員住宅は、学校がふえていった時期にその当時住宅事情もよくなかったということで急いでつくったものかなと思います。見た感じ狭い、もう既に古くなってきていると。周りの状況もちょっと余りいい印象ないんですが、そういった中で毎年整備費を計上しているわけですが、利用状況はどのようになっていて、あと今後の整備計画はどうなのかお伺いいたします。
 意見でありますが、あえて教育委員会が教職員のための住宅を維持していく必要性というのがあるのかどうか。民間あるいは公営住宅もかなり整備されていってますので、そちらの方の活用を考えてもいいんじゃないかと思いますが、お伺いいたします。

〇西指導課長 一学校一農園運動推進事業についてのお尋ねでございますが、この事業は具体的には農政部の事業でございまして、小・中学生は農業へのあこがれの形成期、そういう時期として農業体験学習等を通じた農業教育を充実するため、平成12年度から一学校一農園運動推進事業を展開するということになっておるものでございます。
 具体的な事業の内容は、農業体験教育ファームの設置や小・中学校への出前授業などが挙げられております。教育委員会といたしましては、農政部との年に二度の連絡協議会を開催いたしまして、この連携を一層密にしまして毎年その検討を加えながら進めていこうとするものでございます。

〇中村財務課長 高校の教職員住宅の整備関係でございますが、現在1、370世帯分ございます。入居率ですけれども、約80%弱──79%程度になってございます。それで先ほどお話ございましたように、なぜ入らないかということになりますと、かなり古いのがございます。それで整備計画を策定しておりまして、5カ年計画なんですけれども、それが平成12年度で終わります。これから新しい第4次の計画を策定していくわけでありますが、それの策定に当たりましては、各高校、先生方いろいろお聞きしながら策定するわけですが、その中で先ほどお話ございました民間の住宅ということも出てくると思いますけれども、いずれその時点で計画をきちっとまとめて整備してまいりたいと思っております。

〇小野寺好委員 教職員住宅の関係で2億も3億もつぎ込んで、恐らく20所帯、30所帯分くらいしか改善していかないんじゃないかと思います。そういったことを考えれば、果たして県教育委員会としてこれを保持していくといった必要性があるのかお伺いしたんですが、その辺の御見解をお伺いしたいと思います。
 あと最初の方の一学校一農園運動、向こうの部なんですけれども、教育委員会としては年2回連携をとっていくという御答弁でありましたが、予算的には余り多くないようなんですが、数はどのくらいの数なのか、それだけお聞きしたいと思います。

〇中村財務課長 教職員住宅の整備について、いつまであるいはどの程度教育委員会で所管するかという考え方につきましては、第4次の計画を策定する際にいろいろ議論していきたいと思っております。

〇西指導課長 国の補助もございますので、ただいまお尋ねの件につきましては、こういう国の補助を活用しながら、平成12年度からの事業でございますのでこれから学校等にいろいろなアンケートをとったり、そういうところで今後学校名が具体的に上がってくるというものでございます。

〇伊藤勢至副委員長 ほかに質疑ありませんか。

〇田村正彦委員 大隅教育長はこの3月末をもって退任されますことから、商工文教委員会委員長を仰せつかっている関係で、私から御礼の言葉を述べさせていただきたいと思います。
 さて、大隅教育長におかれましては、昭和35年に人事課に採用され、以来39年余にわたり、県行政に多大な貢献を果たしてまいりました。その間、自己には特に厳しく、部下には厳しさと慈愛の心を持って接し、幾多の人材を育成してきたところであります。また、秀でた洞察力と沈着冷静な判断力で、多くの困難な事態を乗り越えてまいりましたことは、ここに出席の委員各位におかれましても十分御承知のことと思います。
 大隅教育長は、議会事務局長の後、総務部長を務められ、平成10年4月から教育長に就任されました。教育長に就任されてからは、豊富な行政経験に加え、卓越した識見で、本県教育行政の推進に大きな指導力を発揮してこられました。昨年9月には、国が進める教育改革の動向を踏まえ、一人一人が学びの成果を拓く、心豊かでたくましい人づくりを基本目標とする第8次岩手県教育振興基本計画を取りまとめ、21世紀初頭を展望した本県教育の進むべき方向とその実現に向けた基本的な施策を明らかにされました。また、昨年5月には、生徒の多様化、個性化や少子化に対応した魅力と活力のある高等学校の実現に向けた県立高等学校新整備計画案を公表し、本年1月に新整備計画を取りまとめられました。この新整備計画(案)には、さまざまな意見や要望等が出されたところでありますが、大隅教育長は、粘り強く地域との話し合いを続け、計画の策定をみたところであります。これは、子供たちにとって望ましい教育環境を整えることが必要であるとの強い思いと、類まれなる行政手腕によるものと考えております。
 さらには、昨年8月に開催されたインターハイにおいては、各選手の活躍によりこれまでにない好成績を上げるとともに、生徒の一人一役運動や地域住民の参加により大会を盛り上げ、全国から参加した選手や役員等から好評を得るなど大成功をおさめたところであり、これは県民ひとしく認めるところであります。
 本年1月には、県立図書館、公文書館、視聴覚障害者情報センターの三つの機能を有する岩手県図書情報総合センター整備基本計画を策定し、県民が注目していた同センターの設置場所や整備内容等を明らかにされました。また、豊かなスポーツライフの実現を基本目標とする岩手県スポーツ振興計画を策定し、県民が生涯を通じてスポーツに親しめる環境の整備を図ることとされました。
 さらに、中高一貫教育に関する調査研究、県立高等学校入学者選抜のあり方に関する調査研究、また、民間企業の感覚を身につけた教員の養成のための教員の長期社会体験研修、生涯学習や社会教育に関する総合的な情報誌いわて学びランドの発行、スポーツにおける指導者の海外派遣研修や優秀な指導者の海外からの招聘、柳之御所遺跡の整備促進などに御尽力されました。
 退任されましても、どうぞ御健勝で、本県教育の振興のため、今後とも御指導、御助言賜りますようお願い申し上げまして、御礼の言葉とさせていただきます。
 この際、御所見があればお聞かせいただければと思います。

〇大隅教育長 ただいまは過分なお言葉を賜りまして、大変恐縮いたしておるところでございます。
 今御紹介いただきましたように、大変長い間、県職員として仕事をさせていただきました。この3月末をもちまして、この国、県挙げての教育改革の中で退職をいたすこととなりました。足かけ40年の間、県議会の先生方には陰に陽に御指導、御交誼を賜りました。特にも併任書記でありました時代あるいは県議会事務局におりました時代、先生方と委員会調査などでお供をしまして、数々の思い出をつくらさせていただきました。4月からは行政の外にありまして、この県勢の発展あるいは県民が真に豊かな生活ができるようなそういう社会の実現を見守りながら、また私も微力ではございますけれども、できれば少しでもお役に立つようにして心がけてまいろうと思っているところでございます。
 諸先生方におかれましても、どうか御健康で、なお一層御活躍を賜りますよう御期待を申し上げ、またお願いを申し上げたいと祈る次第でございます。大変長い間ありがとうございました。(拍手)

〇伊藤勢至副委員長 これで教育委員会関係の質疑を終わります。
 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
   午後2時58分 休 憩
 
   午後3時18分 再 開

〇工藤篤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 次に、警察本部長から警察本部関係の説明を求めます。

〇出原警察本部長 平成12年度の警察予算の御審議をいただくに当たり、まず、最近の治安情勢について御説明いたします。
 県内の治安情勢は、来日外国人犯罪の増加、インターネット利用犯罪の発生など、犯罪の複雑多様化、悪質巧妙化が進んでおります。また、本年に入り交通事故による死亡者が著しく増加しているほか、岩手山の火山活動も決して予断を許さない状況が続いており、県警察にとって大きな課題が山積しているところであります。
 このような情勢にあって、これらの課題に取り組むための指針として、平成12年の岩手県警察の運営重点について、基本姿勢を県民の期待と信頼にこたえる警察とし、重点目標を、従来から取り組んできました交通死亡事故の抑止、悪質重要犯罪の徹底検挙、少年非行の防止、組織犯罪対策の推進、安全な地域づくりの推進の5項目に、新たに大規模災害対策等の推進を加えることといたしました。
 この項目は、2年続いた大規模な水害や岩手山火山活動などの自然災害に加え、かつて予想もできなかった東海村で発生した臨界事故などを教訓にして、これらの突発重大事故に迅速的確に対応すべく、新たに重点目標に加えたところであります。
 それでは、平成12年度警察費当初予算について御説明申し上げます。まず、議案その1の8ページをお開き願います。
 一般会計歳出第9款警察費の総額は328億4、115万1、000円であります。
 これを項別に見ますと、第1項警察管理費が297億3、392万8、000円、第2項警察活動費が31億722万3、000円であります。
 次に、目別予算の内容について御説明申し上げます。お手元の予算に関する説明書によりまして主なものについて御説明いたします。恐縮ですが、228ページをお開き願います。
 第1項警察管理費第1目公安委員会費は815万5、000円であります。その内容は、公安委員会の運営に必要な経費及び委員報酬であります。第2目警察本部費は260億413万5、000円であります。その内容は、岩手県警察の運営に必要な経費であり、警察職員の給料、職員手当などの人件費が主なものであります。この中には、警察業務の高度情報化のための警察情報管理システム開発事業費、駐在所勤務員と同居して警察業務に協力している配偶者の方などに支給している駐在所等報償費などがあります。次に、229ページの第3目装備費は3億3、107万5、000円であります。その内容は、犯罪捜査、大規模災害対策などに的確に対応するための警察装備品の整備と維持管理の経費で、車両、災害対策資機材の購入費及び車両、警備船、航空機の維持管理費が主なものであります。第4目警察施設費は27億4、351万4、000円であります。その内容は、治安の基盤をなす警察署、交番、駐在所などの整備、維持管理のための経費で、来庁者のための駐車場の確保など県民のニーズにこたえるとともに、職員の勤務環境の改善を図るものであります。この中には、平成12年度から3カ年計画で旧庁舎跡地に建設する盛岡東警察署の整備事業費5億6、824万1、000円が含まれております。次に、230ページをお開きください。第5目運転免許費は5億2、451万2、000円であります。この内容は、自動車運転免許の取得、更新、行政処分などに関する運転免許行政のための経費であります。第6目恩給及び退職年金費は1億2、253万7、000円であります。
 次に、231ページの第2項警察活動費第1目一般警察活動費は4億5、584万9、000円であります。この内容は、交番相談員の配置など交番・駐在所関係経費及び警察通信施設の維持管理経費が主なものであります。第2目刑事警察費は2億9、578万1、000円であります。この内容は、少年非行防止対策及び保安警察に必要な経費並びに犯罪捜査に必要な経費であります。この中には、ハイテク犯罪に対処するため、パソコンなど資機材の整備、捜査員養成のための研修などの経費が含まれております。次に、232ページの第3目交通指導取締費は23億5、559万3、000円であります。この内容は、交通指導取締活動、交通安全施設整備など交通警察に必要な経費であります。交通安全施設整備につきましては、総合的な計画のもとに、交通管制区域の拡大整備、交通信号機の新設、改良などを行い、交通事故防止と交通の円滑化を図ろうとするものであります。
 次に、予算以外の議案について御説明いたします。恐れ入りますが、議案その2に戻りまして、160ページをお開きいただきたいと思います。
 議案第36号岩手県公安委員会の管理に属する事務手数料条例についてであります。
 本条例は、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律、いわゆる地方分権一括法の制定に伴い、地方自治法第227条の規定に基づき、特定の者のためにするものにつき徴収する手数料に関し、必要な事項を定めるものであります。
 手数料額につきましては、いわゆる地方分権一括法において、全国的に統一した取り扱いが特に必要な事務として定められている標準事務につきましては政令で定める標準額を条例の手数料の額とし、標準事務以外の手数料については従前の額と同額としております。全体としても、従前の額とほぼ変更がないものと考えております。
 以上のとおりでありますので、よろしく御審議いただくようお願い申し上げます。
 なお、この席をおかりしまして一言申し上げたいと思います。
 このたび、盛岡西警察署の元巡査長に係る不適切な行為が報道されましたが、このことに関し、委員各位や県民の皆様には大変御迷惑をおかけいたしましたことにつきまして、この場をおかりいたしまして改めておわびを申し上げたいと思います。
 この件につきましては、私どもは、関係者のプライバシーの保護の観点等から公表を差し控えていたことを御理解いただきたいと思います。
 今後、このような事案の再発防止に取り組んでまいることは申し上げるまでもないことでございますが、各種事案の報道等につきましては、今後とも関係者のプライバシーの保護の観点等から、個別具体的に検討を加えながら適切な対応に努めてまいりたいと考えております。
 また、県警察の情報公開につきましては、先般の県議会一般質問の際にもお答えいたしましたとおり、法の施行後速やかに適切な情報公開ができるよう準備してまいりたいと考えていることには変わりないことを念のため申し添えさせていただきまして説明を終わらせていただきます。

〇工藤篤委員長 ただいまの説明に対し質疑ありませんか。

〇村上惠三委員 警察本部にお尋ねいたします。
 まず、コンピューター犯罪に関してお伺いいたします。
 ハッカーによる県や中央省庁などへの不正アクセスが問題となっておりますが、不正アクセスの行為の禁止等に関する法律が先月から施行されました。その主な内容と、県警察においてどのような取り締まりをしていくのかということについて、詳しく御説明をいただきたいと思います。

〇太田代生活安全部長 平成12年2月13日からいわゆる不正アクセス法が施行されておりますけれども、その主な内容については4点ございます。
 その第1点は、3条の不正アクセス行為の禁止・処罰規定でございます。これについては、他人のIDあるいはパスワード等の識別符号を不正に使用して侵入する行為、さらには、プログラムの不備等セキュリティーの不備をついて入り込む行為、これらを不正アクセス行為として処罰するものでございまして、これについては、1年以下の懲役または50万円以下の罰金となっております。これが1点目でございます。
 2点目は、4条の関係でございますけれども、不正アクセス行為を助長する行為の禁止ということでございます。これは、他人の識別符号を無断で提供する行為を禁止するということで、これに違反した場合には30万円以下の罰金となってございます。
 三つ目は、5条の関係でございますけれども、アクセス管理者による防御措置の規定でございます。不正アクセス行為から防御するために必要な措置を講じなければならない、こういう規定になってございますけれども、これについては罰則はございません。
 それから、四つ目でございますけれども、これは、都道府県公安委員会による援助等の規定でございます。これは、委員御案内のとおりまだ施行になってませんで、今年7月1日から施行になるということでございますけれども、都道府県公安委員会は、不正アクセス行為が行われたと認められる場合に、特定の電子計算機のアクセス管理者から申し出があった場合で、しかも必要な援助を行う必要性が出た場合となっておるものでございまして、これについては、援助を行うために必要な事例分析を委託できますが、委託を受けた者に対する秘密の保持を義務づけ、これに違反したとき1年以下の懲役または50万円以下の罰金ということになっています。
 これが主な法律の内容でございますけれども、本年1月、法律の施行前に当岩手県庁に対して不正アクセスがあったということが大きく新聞で報じられたのは御案内のとおりでございますけれども、これは、県庁内のワールド・ワイド・ウエブのサーバーに大体4万回ぐらい不正に侵入を試みたという事案でございます。しかし、この内容については、ガードがかたかったということで、侵入ができなかったということでございます。ということで、これについては未遂ということになっておりますので、今後ともこのような事案があった場合には処罰の規定はございません。ということで御理解いただければと思います。
 なお、現在、当岩手県警察では、私以下48名の体制でハイテク犯罪対策室を設置してございまして、現在、コンピューター犯罪捜査手法の研究なり、さらにはその技術の習得あるいは研修等に向かって鋭意努力しておるところでございます。
 昨年は北上署でハイテク犯罪の検挙が1件ございました。これも新聞報道等で御案内のとおり、北上市内の男性が東京都内のプロバイダー業者と偽名で契約を結んで、アメリカのニューヨークにあるアイネというプロバイダー会社の無料のホームページに自分のわいせつビデオ販売のホームページを開設したと。その結果、日本全国の135人に対してわいせつビデオ約1、000本を販売して利益を上げたということで、これについては1月末に判決がございまして、懲役1年、執行猶予3年という判決になっておりますので、お話ししておきます。

〇村上惠三委員 大変丁寧に御答弁いただきましてありがとうございます。
 今の答弁を伺っておりましてちょっと心配になったわけでありますが、このようにハッカーによるいろいろな犯罪が出てくるということになりますと、今日の警察本部の人的体制で捜査に支障がないものかどうか、この点についてお伺いいたします。

〇佐藤警務部長 委員御指摘のとおりでございまして、大変心細いというところが現状でございます。

〇村上惠三委員 今の答弁で私も心配になりました。現体制で大変でありましょうが、今後とも大いなる努力をされまして犯罪の防止に全力を尽くしていただきたいと要望して終わります。

〇佐藤正春委員 まずもって、冒頭、本部長から、盛岡の警察署の署員の不祥事件にかんがみまして、被害者のプライバシー保護のために発表を差し控えたという報告があったわけでございます。今後、警察の情報公開もあるわけでございますが、その際にも、プライバシー保護、いわゆる人権上の問題からこれは公開をしないのかどうか、これについて、まず、お伺いしておきます。
 それから、2月29日、K新聞の河北春秋という欄にこのようなことが出ております。
 神奈川県警の事件で警察への不信感が高まった。新潟県警がそれにだめを押した。両県警だけが特殊と考える人は少ない。でも、多くの警察官は、靴をすり減らしながら仕事に励んでいる。──ここで中略しますが──一般の警察官も腹を立てている。そこで、逆査定だ。県警の全警察官が本部長を査定する。平の警察官にとって本部長は雲の上の人だが、清廉潔白か出世主義者かの程度は組織の中にいればわかるものだ。内部チェックになる。上意下達への逆回路にもなる。信頼回復と組織の立て直し策にいかがかと、こうあるんです。
 これは大変私どもが見ても一般県民から見ても、また、国民から見てもなるほどなと。特に今度の事件というのはいわゆるキャリア組と言われる人の事件が多うございまして、聞くところによると、内部の警察官の告発であろうというようなことも言われているわけでございまして、ああ、なるほどなと実は思ったわけでございます。
 この点について、何かお考えがありましたらひとつ御見解を賜りたい。
 さて、ここに来て警察のスキャンダルがまとめて出てまことに残念でございます。職業柄、県議会議員と警察官は同じでございます。一生懸命やって何もなくて当たり前、何かあると大たたき、これも選んだ道でございますから、本部長、お互いにしようがない。世界に誇る我が警察がという感がするわけですが、せめて本県に在籍していた村上元本部長が立て直しに就任したことが岩手県警の健全さを示しております。テレビなんかでも目立つこと、背が大きいから。
 不祥事の原因の一つは現場の警察官にノルマを強いているからだと言われるが、犯罪は、検挙率よりも出さない方がいいのは当然のことですが、犯罪防止、事前チェックというのは犯罪発生前に取り調べることだと思いますが、そういう方法は現行の犯罪検挙では無理なことなんでしょうか。
 選挙違反は随分前から調べるね、これは。みんなここの委員は思い当たるところが随分ある。かなり前から着々と調べている。
 現場の警察官が多くの県民と交わることが地域活動となるし、犯罪に目を光らすことになると思いますが、余り交流は見られない。交通安全か暴力団追放大会か、ある交番の巡査が時々腹話術などで地域の子供たちと交流している。
 この際、いい方の例を一つ御紹介申し上げたい。いつも悪いことばかりで、警察もここのところ悪いことばかりだから、いいことを一つ紹介したい。
 北海道警本部では、全職員1万1、000人を対象として、昨年8月から職務以外に何か一つできるもの、アマチュア社交ダンス優勝者、全国そば打ち大会優勝者、毒キノコ鑑定人──これはすごいね──、手品、落語の名人を集め、本職以外のことで地域活動をし、新しい親しまれる警察官像をつくろうとしております。御存じのとおりでございます。これは大きな警察の改革だと思います。
 本県でも、柔道、剣道を通じて青少年非行防止などに警察署の道場を開放してやるとか──今もしているところはあるんですが──、北海道警に負けないぐらいの人材があると思いますが、現在やっている事例があったらぜひ紹介してほしいし、これからの取り組みについてお伺いいたします。

〇出原警察本部長 まず、私の方から情報公開の関連についてお答えいたします。
 もちろんこれからは情報公開の趣旨を踏まえ、我々としても積極的に取り組んでいくことは言うまでもないことでございますが、しかし、その過程におきまして、捜査上の秘密の保持とかプライバシーの保護という問題も考えながら対応していかなければいけないこともあるということをぜひ御理解いただきたいと思います。
 2点目の、内部の下からの評価といいますか、端的に言いますとそういう御質問だったと思いますが、もちろんこれは民間会社等でもそういうシステムを取り入れているところがあるということも我々はお聞きしておりますし、今後、参考にしていく問題であると思っておりますが、いずれにしましても、組織内で下から評価されるとかそういう問題の前に、やはり評価されても問題のない幹部でなければいけないと思っておりますので、まず、私どもとしましては、幹部としての心得としまして、そういう気持ちで部下に接していきたいと考えておりますので、御理解よろしくお願いしたいと思います。
 以下は担当部長の方から答えさせていただきます。

〇佐藤警務部長 不祥事の関係につきましてはさまざま報道もございまして、私たちも、参考にしながらといいましょうか、他県の例も踏まえながら、岩手県内におきましてもそういうことのないように心を引き締めて、教養あるいは規律の振粛に励んでいるところでございます。

〇太田代生活安全部長 まず、最初に、犯罪発生前の取り調べができないか、こういう御質問でございましたけれども、現行の刑罰法令には犯罪の未遂というのはありますけれども、犯罪の未遂や犯罪の予備、例えば、予備の段階で処罰できるのはといいますと、現行の刑法では放火予備あるいは強盗予備、殺人予備というのが代表的なものでございますけれども、これらの処罰規定がある場合にはそれらの規定に従って必要な取り調べなり捜査をすることができます。それ以外には、事案の内容に応じて、警職法でも犯罪の予防、制止という問題もございますし、個々の事案に照らして警告できるものは警告する、あるいは指導できるものは指導して犯罪の発生の未然防止に努めたい、こう考えております。
 それから、地域警察官等々のいい活動事例というお話がございましたけれども、これについては、まず、一つは、委員の方々も御案内のとおり、花巻警察署の駅前交番では、地域住民の協力を得まして宮澤賢治の童話の本をそろえて貸し出しをしておる、こういう事例もございます。それから、江刺警察署の米里の駐在所では、岩手県警の音楽隊の元隊員が勤務してございましたので、マーチング駐在所として地域の子供さんたちにマーチングバンドの指導をしておる、こういう活動事例もございます。さらに、きょうの新聞にも載ってましたけれども、岩手警察署の西根交番では、勤務員がギターが非常にうまくて、有線放送等々でトークを交えた交通安全の情報提供をしている、こういう活動もございます。
 二つ目には、青少年の健全育成活動の一環として、柔道なり剣道なり、あるいはその他のスポーツ活動をやっている事例でございますけれども、調べてみましたところ、本年2月末現在で、盛岡西警察署ではもりにし柔・剣道教室を開催してございます。いずれ、県下で28人の警察官が29のスポーツ少年団等々に対して指導しながら防犯活動に努めているということでございます。
 さらには、一関警察署の花泉交番で、暴走族等が轟音を鳴らして走行しておる、こういうことで、少年の健全育成を図るために、暴走族のリーダーとの対話あるいは連絡協議会等を活用して、さらには、暴走族のリーダーとサッカーの大会などをして融和に努めまして解散に追い込んだ、こういう例もございます。
 いずれ、県警といたしましては、今、話したようなことで、今後とも地域安全活動を推進しながら、少年の健全育成活動に精いっぱい努めてまいりたいと考えております。

〇佐藤正春委員 なかなか活躍しているようで、北海道に負けないぐらいひとつやっていただきたい。本当は警察官はカラオケが上手なんだから、大抵一緒になるとカラオケが上手で、カラオケなんかを大いに利用するといいのではないかと思っています。
 それから、本部長、念のために聞いておきますが、プライバシー保護といっても、特に岩手県の県警詰めとか県政記者などはなかなか敏腕記者が多くて、守れないときがあるんですよ。だから、本人のプライバシーを保護します、警察もこれは人権上守りますと言っていても、ばーっと新聞に出されたりするんです。そういうときはどうなんですか。この点についてお伺いします。
 それから、県警では新年度から被害者対策室というのを新設するということでございまして、これは大変いいことだと思っております。県民、市民にとって、困ったこと、あるいは恐いことがあれば警察、病気になれば病院、これは当たり前のことでございまして、ところが、実際には、県民は法律もわからないんですよ。また、弁護士に行くとなると、金を取られるんじゃないかということで非常にちゅうちょするわけなんですね。民事だとか刑事だとか言っても、これもわからない。ですから、警察へ行っても、これは民事ですから、刑事事件じゃないですからちょっと無理ですねと言われると途方に暮れる、こういう状態になるわけでございまして、最近、私のところに相談に参りまして、夫婦で来たんですが、この人は全国の紳士録に名前を上げろと電話で言われまして、イエスと言ったところ1冊30万円の本が勝手に送られてきた。要らないと言ったら、何を言ってるんだと。おまえが欲しいと言うから送ったんじゃないかと、契約違反じゃないかと。おれの方は弁護士50人ついているとか、けしからぬと。おまえみたいなうそを言うやつはぶっ殺してやると。何回も何回もおまえみたいなやつは死ねと。前にも日栄とか何とかあったね。目玉をくれとかはらわたをくれとかね。あの手と同じなんだね。そして、殺してやるのなんのと言ってきまして、ノイローゼになりまして私のところに参ったわけでございまして、どうしたんだと言ったら、おっかなくてしようがないから30万円送ったと。送る前に私のところに来ればいいのにと言ったんだけれども、送ってしまったということで、その後も、今度はこの人の名前を消すのにまた何十万円かかるから金を送れと言われるものだからとうとう来たんですが、なぜ警察に行かないんだと聞いたところが、この人のおやじは元警察官なんだそうです。だから遠慮で行かれないんだな。そんなことで実は私どもに来たわけでございまして、私は、しようがないから一時電話を外しなさいということは申し上げておったんですが、こういうものは、例えば今までも相談所とか、あるいは今度つくる被害者対策室、こういうところに行った場合、警察の方から電話をしていただいて、それは脅迫行為ですよとか、それじゃいけませんよということを言ってもらえれば、私はかなりこういう問題は解消されるのではないかと思うんです。恐らくこういう事犯というものは、私は本県だけではなくてかなりあるのではないかと思うんです。
 こういうことを含めまして、最近の押し売りというのは民事も刑事もすれすれでございますので、これらについて、非常に当人にとっては大変なことでございますので、何かいい方法、お答えがございましたらひとつお願いしたい。

〇出原警察本部長 まず、初めに、プライバシー保護との関連についてお答えいたしますが、委員言われましたとおり、私どもも端的に申し上げまして、プライバシーの保護と報道のあり方ということについては、普段から非常に悩みといいますか、苦労しているというのが率直なところでございます。しかし、いずれにしましても、基本はプライバシーの保護を最大限尊重しながら、必要なことについては報道し、公にしていくということが当然私どもに課せられた任務だと思っておりますので、今後とも基本的にはそのような方向で対応したいと思っています。
 ただ、蛇足ながら申し上げますと、やはり私どもいつも苦衷の思いでいるのは、プライバシーの保護の観点から発表しないと、それは隠ぺいじゃないかと誤解されるということで、非常に我々もつらい立場でいるということはぜひ御理解いただきたいと思います。今回の西署の問題も、くどいようですけれども、私どもは組織防衛のための隠ぺいとか、そういう気持ちは全くなかったということです。あくまでこれは関係者のプライバシーの問題ということがあって公にしなかったと。現に、これも余談ですけれども、今回報道されたことによりまして、関係者からも警察に対して苦情めいた、どうしてくれるんだと。警察がプライバシーを保護すると言ったじゃないかという趣旨の苦情とも受けとれる電話があったということも参考ながら御紹介させていただいて、私どもの立場も御理解いただきたいということでございます。
 2点目の困りごと相談等につきましては、細かくは担当部長から説明しますが、私の方から一言言わせていただきますと、確かに委員言われるとおり、警察にいろいろ相談ごととか悩みごとで来られるのは、思い余った段階での相談だと理解しております。したがいまして、今までもいろいろ各種窓口を設けまして対応してきたわけでございますが、今、考えておりますのは、この春の異動におきまして、さらに相談とか困りごと相談に対する受け入れ態勢を整備しまして、それに的確に対応できるような人事配置も考えておりますので、参考までに答えさせていただきます。

〇日山警務部参事官兼警務課長 被害者対策室の件についてお答え申し上げます。
 本県警察では、4月1日をもって被害者対策室を設置したいと考えております。従前も被害者対策については心を配ってきたわけでございますけれども、体制が弱いということで、4月1日に発足すると。本部には調査官クラスを室長といたしまして、4名体制でございます。そして、各署には警務管理係長クラスを兼務として発令いたしまして、その被害者対策に専従するということになります。
 なお、佐藤委員のおっしゃっておる相談窓口でございますけれども、これは、たしか困りごと相談の方の部類じゃないのかと考えておりますが、本県につきましては、従来から岩手県警察には生活相談コーナーというコーナーがございまして、これは、各所属の次長、署であれば副署長が責任者になって、その下に体制を組んで相談に応じてきておりますけれども、これをさらにこの4月から専従の体制にしようということで、本部にも専従員を設置いたしますし、また、一線署の方も、東署については専従員、他の署については兼務で、しっかりした名称で動き出すということでございますので、いろいろなお困りごとがあれば、ぜひその相談窓口にいらしていただきたい。
 なお、直接出向くことは控えたいという方もおりますので、そういう方は電話でも結構でございます。なおいろいろな電話を設置しておりますし、また、そのもので解決できない場合は専門の方に回して、そこで相談を受理するようにしておりますので、ぜひ御活用いただきたいと思います。

〇太田代生活安全部長 まず、最初に、委員御指摘の30万円取られたという事案でございますけれども、これは、一関警察署が中心になりまして、県内の被害者は4名ございました。全部で被害額が1、300万円と理解しておりますけれども、この事件については、当県警察を含めまして、愛知県警、岡山県警、警視庁等々で合同して捜査していた事件でございまして、最終的には当県の3名を含めて全部で被疑者9名を逮捕して、事件の件数で205件、送致事件の金額では1億4、000万円余になっておると、こういう大きい事件でございました。このことだろうと思いますけれども、いずれにしましても、これらの悪徳商法絡みでございますけれども、当県の警察本部の生活保安課に悪質商法や金融の相談電話を設置してございます。
 参考までにお話しいたしますと、平成11年中の相談電話の件数は887件と、非常に多うございます。その内容でございますけれども、債務整理に関するものが866件、それから悪徳商法に関するものが8件、その他13件ということになってございます。いずれ、私ども警察としましては、まず、第一に被害者の立場に立って、被害者の話をよく聞いて、迅速、的確に対応するということを基本として、刑罰法令に触れる行為があれば迅速に的確に対応していきたい、こう考えてますので、よろしくお願いしたいと思います。

〇佐々木一榮委員 佐藤委員の後で非常にやりにくいのでありますが、簡潔に質問しますので、答弁よろしくお願いします。
 犯罪被害者支援について、若干ただいまと関連いたしますが、県の中心であります盛岡広域地区犯罪被害者ネットワークが東・西署と紫波管内をエリアに事務局を盛岡東署に設け、医療、市町村、教育、警察、社会福祉、交通など45の機関・団体、個人でスタートしたと伺っておりますが、今後の活動の基本的内容についてお尋ねします。
 また、想定される被害者数の状況についてもお伺いします。
 それから、被害者の相談体制や、中には、今もありましたが、相談しにくい思いの被害者に対する対応についてもお伺いします。
 それから、けさ、宮古署のことも出ておりましたが、県内のネットワークについて、今後、どう構築されるのかについてもお尋ねします。
 2番目でありますが、免停ドライバーの違反講習についてお尋ねします。
 軽微な交通違反を繰り返し、免停処分を受けたドライバーの違反講習について、ボランティアなど社会活動をすれば処分を取り消す規定を盛り込んだ道路交通法の施行から1年が経過いたしましたが、昨年の県内の状況は、対象者1、477人のうち、社会活動に参加した人は361人ということで24.4%にとどまり、1、116人は実車講習を選択されたと伺っておりますが、活動の内容、また、全国の傾向、また、県内の地域的傾向などありましたらお知らせいただきたいと思います。

〇日山警務部参事官兼警務課長 第1点目の被害者支援の関係についてお答えいたします。
 犯罪や事故の被害者が十分な支援を受けていないという実態については社会の注目の的になっておるわけでして、その支援の必要性が強く求められておるというのも確かでございます。被害者の多様なニーズといいますか、要望に対応するためには、警察だけではどうしてもできないという部分がございます。ですから、関係機関・団体等も一緒になってこの多様なニーズにこたえていこうということで、本年3月15日をもって全警察署管内に構築いたしました。ただし、盛岡東、盛岡西、紫波警察の3警察署は盛岡広域ネットワークということで一つを立ち上げておりまして、全県下で15のネットワークを構築、すべて終了いたしております。
 活動内容についてでございますけれども、具体的には、課員相互の緊密な連携及び相互の協力関係を構築し、それぞれの業務の中で被害者の心情に配意した支援活動を展開していくということでございます。また、課員の被害者支援に対する連携を強化するための分科会とか研修会等も開催していきたいと考えております。
 次に、相談体制でございますけれども、この相談体制につきましては、警察本部に専従の者がおりますし、また、各種相談電話も設置してございます。ヤングテレホンとか暴力団相談とかいろいろな電話がございますが、どの電話にかかってきても対応できるようになっておりますので、御活用いただきたいと思います。
 なお、先ほども申し上げましたけれども、出向くのがちょっと都合が悪いとか、そういった方については電話で結構でございますので、御相談があればぜひ一報していただきたいと感じております。
 最後に、想定される件数ということで、大変難しい御質問と受けとめておりますけれども、昨年──11年──の殺人、強盗、強姦、傷害、強制わいせつ等の件数を見ますと、総数で69件でございました。それから、交通事故に遭われた方は、平成11年中は122件、128名の方が犠牲になっております。こういった方たちの何割かが相談に訪れておるというのが実態でございます。もっと窓口を広げて相談しやすいような形にしていきたいと思っております。よろしくお願いします。

〇沼崎交通部長 違反者講習についてお答えいたします。
 御案内のとおり、違反者講習は、道交法の改正に従って昨年10月1日から施行になっておりますけれども、軽微な違反を重ねて点数が6点になった時点でこの講習を受けると行政処分がなくなると、こういうものでございまして、これには、御指摘のように、社会参加活動コースと実車指導コース、この二つのいずれかを本人が選択できるようになっております。
 社会参加活動につきましては、この内容としますと、当県の場合は、放置自転車の実態確認及び整理、主要交差点におけるチラシ等の配布、シートベルトの着用調査など5項目を設定しているところでございます。
 社会参加活動のコースを選定する者は当県は少ないのではないかという御指摘でございますけれども、まさしくそのとおりでございまして、当県は、こちらの方が24%強、実車コースが75%強、こうなっておりまして、全国と比較しますと、全国はほぼ50%程度までいっておりますので、当県は大変低い状況にあるということでございます。
 なぜ低いのかということでございますけれども、当県は面積が広大であるということがその主な理由でございますけれども、実は、社会参加活動の場合ですと、その地域において例えばチラシ配布等をやる、それから、免許センターに来て座学の講習も受けなければならない、こういうことになりますので、社会参加活動を選定した方は、盛岡から遠い場合には実質2日間かかってしまう。それよりは免許センターに来て実車コースを受ければ1日で終わってしまう、こういうことから社会参加活動を選ぶ方が少ないのではないか、このように理解しているところでございます。

〇佐々木一榮委員 次に、運転代行に関する新法についてお尋ねします。
 運輸省と警察庁は、運転代行サービスの適正運営を図るため新たな事業法を制定する方針と伺っておりますが、この法案の内容についてお尋ねいたします。
 また、400の事業者で組織する社団法人全国運転代行協会では、悪徳業者排除のためにも事業法の制定は大歓迎としていますが、県内の反応はいかがでしょうか。
 あわせて、県内の業者数、台数、また、県内で発生しているトラブル、事故の状況についてお尋ねいたします。
 最後でありますが、これは総括、また、きのうも企画で質問させていただきましたが、県警は全く独自のコンピューターシステムということでありますのでお尋ねしたいと思いますが、例のオウム関連の企業についてであります。
 防衛庁、警視庁など、ソフト開発に関係して、警視庁の場合、車両ナンバーを車両すべて入れかえたり、ソフトそのものを入れかえたりと問題になっておりますが、恐らく県警察本部においては、全国的なネットワークもあり、全国の警察との情報通信分野の連携は業務上行われていると考えておりますが、本県警察本部として、今回の事件に関しどのような調査をされ、対策を講じておられるのかお尋ねします。

〇沼崎交通部長 運転代行事業に関しましてお答えいたします。
 これに関する法案につきましては、警察庁と運輸省共管ということで、現在、検討されておるようでございますけれども、実のところ、私の方では、去る1月30日の日経新聞に報道されておりますけれども、これ以外のことについては情報は得ておりませんので、それにつきましてはひとつ御容赦いただきたいと思います。
 それから、県内の運転代行の業者数とか車両台数の関係でございますが、本年2月末現在でございますが、事業者数は128、車両台数は491、従業員数は1、277人と掌握しております。
 参考までに、昨年中の運転代行者の事故の関係でございますが、発生件数では12件、死者数はゼロ、負傷者数は18人となっております。ただ、一応数年間を見てみますと、運転代行車による事故というのはほぼ横ばい状況で推移しているという状況でございます。特異なトラブル等は特に発生しておりません。

〇日山警務部参事官兼警務課長 オウム関連の件についてお答え申し上げます。
 オウム真理教の関連企業が警視庁などのソフト開発に関係したことについては報道等で承知しているところであります。
 県警における情報通信ネットワークシステムにつきましては、基盤整備、それから、その計画及び業者発注段階、そして、メーカーの問題等を含めましてセキュリティー対策を講じて万全を期しているところでございます。
 なお、本県では、発注業者が契約条項を確実に履行しておるかどうか確認いたしましたが、現時点では同種のような問題は把握しておりません。
 なお、今後とも各県警との連携を強めながら、一層の諸対策を講じて、そういったことのないようにしてまいりたいと思っております。

〇菊池勲委員 本部長、大変毎日御苦労さまでございます。テレビ、新聞を見るとさっぱりいいことが書かれておらないので、気の毒と思いながらきょうこんな質問になるわけであります。
 実は、あなたの部下が大勢おることは知っておったんだけれども、数はわかりません。きのう、私のところにこういう文書が入っておるわけです。見出しは、岩手県北上警察署長殿、以下ずっと長く書いてあります。3月10日午前7時半ごろ、これは北上管内でありますから、沢内村の工事現場で働いておる土木作業員でありますけれども、湯田町地内を走っておったところが、かなり吹雪の状態であったから本当はとまっていればよかったんだけれども、相手の車も吹雪の状態を気にしながら走ってきたと。目に入ったときに両方ともお互いにブレーキをかけたところが、接触せずにお互いに横たわって道路をふさいでしまったんだそうですね。後ろから4トン車のトラックが来て追突されたときにぐっと押されてくっついたと。車両の事故的には大した問題はなかったんだけれども、もちろん人身でも何でもなかったということで、その方──被害者の方になるわけですけれども──は、早速川尻駐在所に電話したんだそうです。実はこういうわけで、雪の中だったんだけれども、接触事故を起こしたので、ぜひとも来て調べてくださいという話をしたところが、二、三分たったらパトロールカーが来たんだって。あの山奥だから、北上から来るとなればかなり距離が遠いわけですね。湯田町の錦秋湖のほとりを走っているわけですから、107号線。そうしたら、巡回中のパトロールカーだったらしいんだけれども、あら、随分早く来たものだなと思ってお願いして、事故処理を迅速にしてもらったそうだ。本人は喜んで作業場に向かったと。そして、夜帰ってきて8時ごろ、川尻駐在所から電話が入ったんだそうです。何ぼ待っても来なかったけれども、どうなったのだという話だった。実は、私はちゃんと事故処理してもらって、稼ぎに行って今帰ってきたばかりだと話した。これは夢みたいないい話だよね。そして、1人の県民が見事に喜んだ。冒頭申し上げたとおり、警察の問題は新聞、テレビではめちゃくちゃ悪くされているときなものだから、岩手県の警察にこんな親切な者がいるかという話になった。そして、彼はこの文章を、自分で打てないから娘に打たせたんだそうです。そして、翌日働いた帰り、5時50分ごろ家に着いて、そして、北上警察署に行ったところが、もちろん表玄関は閉まっておったから、裏があいているかと思って裏に回ったらある警察官とばったり廊下で会った。突然裏から入ったものだから何しに来たのだと、こうなった。その言葉は当たり前の言葉だったんだけれども、その方はこれを伊東署長にやってくれということで、これを渡していかれた。岩手県北上市和賀町長沼5地割110番1、高橋国郎という男なんだ。ちゃんと高橋の判こも押してある。私は本物をもらってきたんだ、うそじゃなく。
 そういう男がおったので、冒頭、予算説明が終わって本部長は陳謝をしておった。それはあなたの部下だからやむを得ないだろうな。だけど、こんなすばらしい部下をいっぱい持っているんだもの、あなた。できた事案に対しては当然陳謝もしなきゃいかぬだろう。県民に対しても謝らなきゃという気持ちはわかるけれども、大勢のまじめな部下に対しての示しがつかないような形の状態が今マスコミで報道されているから、それにひるむことなく、こういう部下をもっと激励をして、そして我々県民の治安のために努力してほしいんだ、私は。
 本部長は最近就任されたばかりだから、こういう部下がおるということをあなたはまだ知らないかもしれない。その人が涙ぐみながらしゃべっておったんだ。よし、きょうは警察の審査があるから、私は必ず本部長に伝えておくからという話でこの文書をもらってきたの。どうですか、本部長、一言。

〇出原警察本部長 今の委員のお言葉につきましては、厳粛に、しかも心強く受けとめさせていただきたいと思います。私ども着任以来、平素から県民の皆さんの立場に立った警察活動ということを常々申し上げているわけですが、その一端がそういう活動として評価されたということにつきまして、非常に心強く思っておりますし、また、そういう事例を各署員にも伝達しまして、今後、活動の参考にさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

〇菊池勲委員 もう一つ、伊東署長から御礼の手紙をもらったそうです、はがきで。これまた感動に感動を与えたという話で、本当に気持ちいい事故処理だったということを申し添えてくれと言っておりましたので、北上警察署長にも、ひとつ本部長の方から委員会ではそんな発言があったんだけれどもという話をしていただければ大変ありがたいし、士気もまた盛り上がって部下のためになると思うので、ぜひともそういう形で持っていっていただきたい。お願いします。要望です。

〇田村正彦委員 激励の言葉が続いた中で、大変ぶしつけですけれども、1点だけお尋ねいたします。
 御案内のとおり、西口の複合施設が計画されておるわけでございますけれども、御説明を受けたところによりますと、そこに運転免許更新センターを設置する計画だとお聞きしております。
 そこでお尋ねしたいんですが、既存の玉山の免許センターとの役割分担はどうなるのかお尋ねいたします。

〇沼崎交通部長 西口に免許更新センターを設置するという計画で、現在、作業を進めているところでございますけれども、西口の免許更新センターにつきましては、日曜日にも窓口を開設する、そして更新事務をやる、こういう計画で進めております。
 内容としますと、今、申し上げた更新手続、学科試験、再交付手続等々でございます。
 一本木の現在の免許センターにつきましては、当然コースが設定されておりますので、運転実技を伴う試験及び講習業務を中心とするセンターと位置づけしたいと思っております。
 ただ、地元の一本木センター付近に居住している方々の利便性というものも考えなければなりませんので、一部の事務は駅西口の更新センターの方に移りますけれども、ほとんどの事務については一本木センターにおいても手続できるように対応してまいるべく、今、努力しているところでございます。

〇田村正彦委員 私は浅はかなもので、当初、どうせ西口に更新あるいは学科試験場を設置するのであれば、これはもう一本化して、こういう財政厳しい折、合理化をしたらいいのではないかという発想を持っていたんですけれども、実地試験は学科試験が伴うということでどうしてもそこに残さなければならないという説明を受け、確かにそのとおりだと思います。
 そこでお尋ねいたしたいんですが、実地試験の関係ですけれども、先ほど本部長から県民の立場に立った警察行政という話がありましたけれども、周りの人からよく言われるんですけれども、実地試験の試験回数がどうしても少ないと、特に受験者の多い普通免許の実地試験がどうしても思うように受験できないと。申し込んでも、2週間後、3週間後という状態だということをよく言われます。そういったことで、こういった機会に何とか体制を強化して、財政厳しい折人員の問題もあると思うんですが、県民の負託にこたえられるような実地試験体制というのを組む必要があるんじゃないかと思うんですが、この問題についての御見解をお尋ねしたいと思います。

〇沼崎交通部長 実技試験の関係につきましては、御指摘のとおり、すべて毎日パーフェクトに御要望にこたえてやれればいいんですけれども、現実的な問題といたしまして、やはり季節とか曜日によって受験者の数に大変ばらつきがございます。そういうことでばらつきをなくして、できるだけ希望した日に試験を受けられるように、多数の受験者があった場合、曜日指定というものも実際は行っているわけです。それから、やはり試験場のコースあるいは技能試験官の数、あるいは試験車の台数といいますか、そういう物理的に制約された部分もございます関係から、御指摘のように曜日指定等で回数も制限しているというのが現実でございます。ただ、受験者数につきましては、平成7年を100とした場合には、昨年は59.6というふうに実技試験、技能試験の受験者数が大幅に減少してきております。また、情勢としまして、今後増加に転ずるという要素も見当たらないもんですから、当分の間は現状のやり方で効率的な運用をしてまいりたいと考えておりますので、御理解いただきたいと思います。

〇田村正彦委員 現状で何とか効率的にということでございますし、また物理的な制約というのは、多分財政的な問題だと理解しておるんですけれども、そこで実際は普通の第一種免許の仮免許試験も2日間しかないんです、1週間に。本試験も1週間に2日間しかないという現状ですし、また東北各県見ましても、ほとんどが毎日おやりになっているという状況もありますし、試験官の数あるいは車両の数、財政的な面でこれはどうしても厳しいというのであれば、我々も一生懸命やりますので、きょうは財政の方も来ていますので、ぜひそういった面へも働きかけをしていただいて、県民が受験した場合、スムーズにその日に受験できるという体制を──やりくりもあるでしょうけれども、財政的な面からも警察としても財政に要求していくべきではないかと思うんですが、最後にこの点について。

〇沼崎交通部長 あくまでも私どもは需給のバランスというものを検討しながら、この問題については取り組んでいきたいと思っておりますので御理解いただきたいと思います。

〇佐々木順一委員 本部長にまとめてお伺いいたします。
 まず、川路利良氏に対する所感をお尋ね申し上げたいと思います。
 次に、着任後、県内の警察署をくまなく巡回されまして、また未成年行方不明者の解決に強い意欲を示されるなどとお聞きしておりますけれども、一連の視察を踏まえまして、本県警察行政と治安の状況について御所見をいただきたいと思います。
 また、着任後の記者会見で本部長は、県民の信頼と期待にこたえる警察活動を展開すると述べました。同時に、岩手県警のよい伝統は生かし、改善すべき点は改善していくと語られたところでありますけれども、よい伝統と改善すべき点は何なのかお尋ねしたいと思います。

〇出原警察本部長 質問の内容から若干個人的な見解にわたることもあると思いますが、その点は御了解いただきたいと思います。
 まず、いわゆる警視庁の初代総監と言われております川路大元帥に対する所見ということでございますが、実は御案内のとおり、私は、警視庁巡査の拝命でございまして、警視庁の警察学校には川路大元帥の銅像がございます。したがいまして、私ども6カ月の初任官入校中にほとんど毎日この川路大元帥の銅像を見ながら、僣越ですが自分の警察官としての理想なり理念というものをこのとき学んできたと自分で感じております。
 それからもう一つ、感想ということでございますが、川路大元帥について私の個人的な見解で僣越ですけれども申し上げさせていただきますと、先生方も御案内のとおり、この川路大元帥というものは公のためには私情を捨てるということで、いわゆる警察官としてもろもろのことを犠牲にしながらも、国家なり国民のために尽力したということで我々認識しておりますが、それで一番印象に残りますのは、いわゆる故郷の大先輩であり、大恩師である西郷隆盛公に最後は盛南の役のときに対するような立場になってしまったと。そして、地元からは川路大元帥に対する大きな批判があったということは、今日つい最近まで言われたわけですけれども、そういう中でもやはり正義と国家、国民のために自分は何をやるべきかということをしっかりと守って、最後までその使命を全うしたということは、私の非常に僣越な浅はかな勉強でございますが、その範囲で痛感していることでございます。
 それから2点目の本県の警察行政と治安の状況についての感想ということですが、私もまだわずか2カ月ですので的を得ていないかも知れませんが感想を申し上げさせていただきますと、本県の治安情勢というものは、現在のところおおむね安定的に推移しているととらえております。しかし、交通網が今後一層整備されるとか、また情報化時代ということを迎えまして、恐らく事件・事故も今後ますます広域化、複雑化するということが予想されますし、また組織犯罪とかハイテク犯罪等も今後当然多発してくるということが懸念される状況でございます。したがいまして、我々としましても、限られた財政ではございますが、組織の再編とかまた人員の効率的運用を図りまして、この種事案に的確に対応していかなければならないと感じております。
 最後の本県県警のよい伝統と改善すべき点と、これも非常に正直言いまして難しいところですが、若干抽象的で恐縮ですが、私も本県に着任して2カ月ということで感想を述べさせていただきますと、本県県警の職員だけではなく、知事部局の職員等も含めまして感じるのは、非常に県民の立場に立って公務に忠実に、かつまた全力で仕事に取り組んでいるということを実感として感じているわけでございます。しかし、一方では、先ほども申し上げましたとおり、社会情勢というものがどんどん変わってきているわけです。また、警察を取り巻く情勢というものも年々厳しくなっておりますので、やはり私どもとしましては、これからこういう情勢を的確に認識して対応するためのそれぞれが意識の改革といいますか、自己の研さんに努めていかなければいけないということを感じている次第でございます。

〇佐々木順一委員 ありがとうございました。本部長は数少ない、いわゆるノンキャリアであると伺っております。また、ノンキャリア組からの本部長就任は本県とそれから石川県の2県とお聞きしております。一方、国の方でも国家公安委員会のあり方を含めまして、警察行政の見直しが政治的なテーマになっている今日、ノンキャリアの方々が注目を浴びまして、本部長への登用の拡大が浮上しつつある現下の情勢下にあって、このたびの就任はまさに本県にとって歓迎するものであると思っております。
 先ほどの川路感をお聞きいたしまして、第一線に立つ本県警察官の皆さんの士気も高まっていくものではないかと期待を寄せているものでありますが、しかしながら、現下の県内外の警察行政を取り巻く情勢に接するとき、県民の中には一抹の不安を感じている方も少なからずいるのではないかと思います。今、監察機能の強化策として、外部監察制度の導入などが浮上しておりますけれども、事柄の性格上、この点については県民も恐らく高い関心を寄せていると思いますので、貴重な経験を踏まえた御見解をいただければと思います。
 また、情報公開に関連してですが、今検討中であるとは承知しておりますが、捜査情報なども一定の制約のもとに原則公開の方向にあるやに聞いておりますが、開示可能なものあるいは開示不可能なもの、あるいは開示するかしないか今検討中なもの、この3分類に分類されまして、考え方をお聞かせいただければありがたいと思います。

〇出原警察本部長 まず、お尋ねの外部監察制度の導入ということについてでございますが、この問題につきましては、御案内のとおり、現在国の方で検討を進めていると聞いておりますが、いずれにしましても基本的には国全体の問題でありますので、私どももその検討の過程を見ながらいろいろ対応していきたいと考えておりますが、ただ個人的な意見といいますか、見解を申し上げさせていただければ、先ほどの情報公開でも申し上げましたとおり、やはりそういう監察制度の導入についても、私どもの立場としましては、捜査上の秘密の保持とかプライバシーの保護ということも考えながら、検討していただくことが必要ではないかと考えている次第でございます。
 それからまた、情報公開の問題につきましても、現在県警におきましても知事部局と連携をとりながら検討を進めているところでございますが、現在個別にどの点が──なかなかお答えできないわけですけれども、少なくとも私どもとしましては、警察行政の透明性の確保といいますか、そういう点から公開して支障のないものについてはもちろん積極的に公開していくというスタンスで取り組んでおりますので、その点では十分なお答えではないと思いますが御理解いただきたいと思います。

〇佐々木順一委員 いずれ情報公開の件につきましては、精力的な検討を御要望申し上げる次第であります。
 先ほど川路イズムを踏襲されながら警視庁の巡査から警察活動一筋に歩まれてこられた本部長の、いわば出原イズムと言ったらいいんでしょうか、お考えを本県警察行政全般に浸透させていただきまして、県民からなお一層信頼される県の警察行政を確立してくださるようお願いを申し上げますが、警察官として一番心がけなければならない事柄は何か、現在の情勢を踏まえてお答えいただければありがたいと思います。

〇出原警察本部長 これも先ほど若干申し上げたことと関連して恐縮ですが、まず、私が現在考えていることを僣越ですが申し上げさせていただきたいと思います。
 一つは、これは警察官全体に言えることでございますが、まず警察官として心がけるべきことは、先ほど来申し上げておりますとおり、やはり県民の皆さんのための警察であるということを常に念頭に置いて、善良な県民の皆さんの立場に立った、また県民の皆さんの要望とか意見を踏まえた活動に全力で取り組むということは当然のことです。このためには、当然、高い職務倫理観を持って自己を厳しく律していくということは必要ではないかと思っています。そしてまた、つけ加えさせていただければ、やっぱり警察官としてだけじゃなく社会人として心がけるべき問題としましては、やはり厳しいこのような情勢の中でも常に目標といいますか、夢を持って自己の研さんに努めていかなければいけないと。そしてまた、立派な一社会人として豊かな見識を身につけるということも当然必要ではないかと考えております。さらに、若干時間をいただいて申し上げさせていただきますと、また一方、幹部としての心構えとしましては、やはり今非常に情勢が厳しいわけですけれども、こういう厳しいときこそ組織内の融和といいますか、団結というものが必要であるということを幹部はみずからそういうことを実践して、やはり組織の運営に心がけていかなきゃいけないと。私自身僣越ですが、今日まで約三十数年、常に誠意と熱意を持って仕事に取り組んでまいりましたが、こういう考えを幹部全員に浸透させて、いわゆる部下に対する思いやりとか優しさを持って組織運営に当たるということが大事ではないかと考えておりますので、御理解と御支援をよろしくお願いしたいと思います。

〇谷藤裕明委員 安全で安心できるまちづくりにつきまして、お伺いをいたしたいと思います。
 最近における犯罪は、道路上とか駐車場、駐輪場あるいは公園というところで急増していると伺ってますけれども、特に子供、女性の被害が目立っているわけですけれども、まず本県における実態というものはどうなっているのか。
 これに関連して、警察庁ではこれまでのパトロールや巡回連絡などの強化に加えて、犯罪被害に遭いにくい生活環境づくりを推し進めるための新しい防犯対策に乗り出すこととして、先ほど申し上げた安全・安心まちづくり推進要綱なるものを作成したと聞いておるわけですけれども、まことに時宜を得たものであろうと思います。欧米で発達しているコミニュティー防犯の考え方を警察活動に取り入れていこうということで、中長期的に犯罪の発生を防止しようとしているものだと伺っておるわけです。この要綱によれば、車道と歩道の分離、それから周辺から見通しのよい公園、それから施設ごとに防犯基準を盛り込んだものを警察庁は各県の県警本部に自治体等の関係機関と協調してやるようにという働きかけを指示したというものが出たようですけれども、本県の対応というのはどのようになっているのかお聞かせをいただきたいと思います。

〇太田代生活安全部長 まず最初に、委員御指摘の岩手県の子供あるいは婦人の被害に遭う実態というお話ございましたけれども、昨年全国では、戦後最高と言われる216万件の刑法犯の発生がございます。これは、時間に換算しますと、大体全国では刑法犯の発生が15秒に1件という割合でございます。岩手県はと申しますと、1万3、600件余の事件でございますので、時間に換算しますと、大体35分から36分に1件の割合ということで、先ほど本部長もお話しましたけれども、非常に治安的には私どもはいいと思っていました。そこで安全・安心まちづくりの関係で、1万3、600件のうち道路上での犯罪というのは、去年1年間で1、286件ございました。それから、駐輪場等での犯罪も都市公園等も引っくるめますと、これも3、900件余ございます。そこで、2月24日に警察庁の方から要綱が示されて当県もこれで取り組むわけですけれども、この犯罪の被害に遭いにくい、豊かで住みよくて安心して暮らせるまちづくりということでございますけれども、例えば当県でもガードレール等により歩道と車道を分離する、それから防犯灯、街路灯の設置によって、明るい、だれしも安心して通行できるような照明の確保、明るさの確保、こういう問題等もございます。それと公衆便所については、道路から引っ込んだ離れたところではなくて、直接人が通行できる道路から視認できる、見えるようなところに設置するなどして、犯罪の予防、犯罪の防止に配慮したまちづくりを進めていかなければならないものだと考えてました。
 いずれ警察といたしましては、警察独自でできる問題でもございませんので、県の関係当局なり、さらには防犯団体、防犯ボランティアの団体とで問題意識を共有することが一番大事だということでございます。そういう関係者の理解の上に立って、手を携えてこの豊かで安心して暮らせるまちづくりのために精いっぱい努力したいと考えております。

〇谷藤裕明委員 いずれガードレール、街路灯、公衆便所とかさまざまあるわけですけれども、なかなか県警だけで対応できるわけでもないものがたくさんあろうかと思います。そういうことで土木部等や市町村といろいろ連携をとって、そういう安全な安心して住めるようなまちづくりに対して日ごろからの活動の中で、また土木部とか他の部署では感じ得ない、現場のパトロール等で感じる点がたくさんあろうかと思いますので、それらを土木部とかいろんな市町村にやはり提言をしながら、こういうまちづくりがいいのではないかという提言をしていくという形を強く打ち出しながら、ぜひ取り組んでいただきたいと思っております。
 それから、犯罪の検挙という部分でございますけれども、他県ではさまざま不祥事が発生していろいろ騒がれておりますけれども、我が県でも全くないわけではないわけです。いずれ、当然正すべきものは正しながらということになるわけですが、まじめな警察官の方々がほとんどなわけです。ところが、世間から見ると一つでも二つでもあれば、もうそういう目で見られるので、士気が低下してはならないとそんな気持ちでおります。そういうことで、本県の犯罪の検挙率の状況について、どういう状況にあるのか何かお知らせをいただければと思います。
 そしてまた、先ほど菊池委員の方からもありましたけれども、不祥事の方は大きく取り上げられますけれども、いろんなところでボランティアというか、さっきスポーツ少年団のこと等いろいろ出ましたけれども、そういう形でたくさん各地域で頑張っている方々がいるわけです。これらをもっともっとアピールして、本当に親しみのある警察活動というものを全面に出しながら、地域で取り組んでいってもらいたいものだと思っております。そういうことで、今の状況というのはどうなっているのかお知らせいただきたい。

〇佐藤刑事部長 岩手県の犯罪の検挙状況ということでございますので、お答え申し上げます。
 岩手県内における主要犯罪の発生状況について申し上げますが、平成11年中の県内の刑法犯の認知件数は、1万3、610件、前年比は1、387件減少しております。そのうち、県民の皆様方に非常に不安を与えておるところの殺人とか強盗、放火などの重要犯罪は、認知件数が85件、これは前年比マイナス5件であります。検挙件数が66件、これは前年比マイナス20件であります。検挙率は77.6%で、前年比マイナス18.0ポイントとなっております。全国の検挙状況を見ますと、全国平均の検挙率が71.5%、それから岩手県は今申し上げました77.6%ですので、全国平均を若干上回っているという状況にあります。それからまた、空き巣ねらいや自動車等などの重要窃盗犯は、認知件数が1、493件、前年費プラス129件、検挙件数が1、016件、前年比プラス10件、検挙率が68.7%、前年比マイナス5.8ポイントとなっております。これを全国平均の検挙率で見ますと、全国は53.7%の検挙率でございますので、全国平均を若干上回っているという状況にあります。

〇谷藤裕明委員 若干ではあるけれども、全国を上回るように頑張っているということだろうと思います。ただ、いろいろこれからの時代、高速交通時代の中とか、さまざまな難しい事案もたくさん出てくるだろうと思いますけれども、ぜひここはひと踏ん張りしていただいて揺るぎない信頼をかち取るように、職員一丸となってぜひ頑張っていただきますことを御期待申し上げて、終わります。

〇水上信宏委員 予算に直接関係ないわけですが、県民の一部の困っている人もあると思いますので、自分の例も挙げてお聞きしたいことがありますので、よろしくお願いします。
 といいますのは、犯人と間違えられて調べられた後のケアということで、自分の経験では昔、岩手県ではなく隣の県ですが、その日どうしても70万円必要で八戸のあるところに朝行って、70万円借りてようやく仕事をして手形をおろして帰って来たんです。そうしたら、3時ごろパトカーがそこに来て待ってて自分を乗せて、ちょうど70万円強盗事件があって、ちょうど70万円なくなっている。そしてパトカーに乗せられたら、すぐ身柄確保、身柄確保と言うんです、警察の人が。何が身柄確保で困る、税金ドロボーは黙って、おれは連れて行ってもいいけれども、あなた方は別な方をどんどん犯人が逃げて行くから探せと言ったんです。大体7時か6時ごろの事件で、自分がちょうど3時ごろでしたから。それでも、どんどん構わず自分をまず八戸へ、警察署の何課かわからないが行ったら、もう次々と周りから帰ってきたんです、刑事の方が。何でおまえら帰ってくるのか、黙ってそっち探せ。おれは必要だったら、ここにいてやるからと言ったんです。そして、3時ごろから夜中の11時までテーブルをたたかれ、髪をこう引っ張って、指紋を当然やって、そして足をはかられて、そしてそこらの穴から時々のぞきますよね。そしてずっといたんです。いいからおれはここにいるから、絶対おれはやってないから、周りを探せと言ったんです。必ずおれでない人がやっているから探せと言っても、何だかんだ言っても1人はなだめ、1人は脅かし、いろいろテレビで見るようにテーブルをたたいたりしてやられたんです。
 そして、これから言いたいことは、その間に11時になってタクシーに乗ったと言ったら、そのタクシーの人が2時に上がっていたそうです。それで11時までかかったようですけれども。11時になったら、だれかのぞいたちょっと直後に間違っていたと言うから、いや間違っていたじゃ済まされないということで、そのことはいいんです。自分のことはいいんです。大体18年ぐらい前で、割合自分のことは忘れっぽい方で淡泊な方ですから。ただ、今困っているのは、そのとき、3時から11時ごろまで一生懸命その種市に行っておれが歩いたというところを全部──確かに商売人だから、商売している人だったらわかると思いますけれども──全部調べているんです、おれの足取りを。そして、何ともなくて大手を振って帰ったら、次の日から町の人の見方が違うんです。おれも若いころは余りいいことしていなかったですから、ふだんずっとやってなかったから、これはもう仕方がないんですけれども。もう何となく、ずっと声には出さなくても視線が違うんです。そういうことで1年か1年半経ったら、結局、元の従業員だということでそこで捕まってから、またみんなよくなって今の自分があるわけです。そういうことでたまたまこの間、結婚式で会った人がやはり犯人に間違えられて、そしてその職場でもみんなの目が冷たかったり、お前よく上手に逃げたなと言われて、その職場をやめて前途を大分悲観している人がいるんです。そういう人がいますので、例えば警察署の皆さんの意識というものは、やるのは徹底的に調べてもらいたいんです。ただ、間違ってそういうことをやったり、ちょっと違ってやったときは、歩いたところを大体は一回り、実際我々は犯人でなかったという話をしてもらわなかったら、本当は次の犯人が捕まるまで大変その人権というか、将来がかわいそうな人が今いますので、そのことについてちょっとお聞きしたいと思います。

〇佐藤刑事部長 逮捕して取り調べる場合でも、任意で取り調べる場合でも、容疑者として取り調べる場合には、容疑性を裏づける捜査資料を十分検討しまして、そのようなことのないように注意してやっているわけでありまして、私の経験では嫌疑がなかったということはありませんでした。しかし、あり得ないということは委員御指摘のとおりでございまして、万が一、容疑者として取り調べした場合でその嫌疑がないことが明白となった場合には、やはりその時点でそれまでのいきさつや事情を十分御説明申し上げ、御理解いただけるように最大限努力すべきものと考えておりまして、もしそのようなことがありましたら、あってはならないことですけれども、やってまいりたいと思っております。

〇水上信宏委員 それでは税金云々と話したのは、そこで身柄確保と話したから、決してふだんはそう思ってないですから。本当に先ほど菊池委員や皆さんのお話はもっともですから、そういう意味で大変尊敬しておりますから、これからもよろしくお願いを申し上げまして、終わります。

〇阿部静子委員 迷惑行為防止条例が4月1日から施行されるわけですが、その施行に向けてどんな取り組みをなされているか、その状況及び対応についてお伺いをいたします。

〇太田代生活安全部長 4月1日からいわゆる迷惑防止条例が施行になるわけですけれども、現在当県警察といたしましては、一つは県内48万世帯あるわけですけれども、各戸に周知徹底を図るために、このパンフレットといいますかリーフレットを配布する予定になってございます。3月末までには全戸に配布したいと考えてます。
 それともう一つは、ポスター──これは大きいのを現在印刷中でございますけれども、県下に3、000部を今印刷中でございますので、これらについても3月中に掲示するという予定になってございます。それと県の方のホームページに掲載を依頼するという予定も組んでございますし、また御案内のとおり、新聞あるいはテレビ等々で各種のメディアを活用しての広報にも努めておるということでございます。
 それと二つ目は、私ども警察の内部の問題でございますけれども、県民の権利を不当に侵害しないように、適正な運用を図るということで内部教養という問題ですけれども、県下17警察署──実は、きのうまでで17警察署の巡回教養を全部終わりまして教養の徹底を図っておるということでもございますし、全警察官を対象にしまして、条例の解説、それから捜査要領等も全部配っておるということでございます。
 それから三つ目には、嫌がらせ電話なりストーカー行為なり、あるいは卑わいな行為に適切に対応するために、相談に当たってはよく被害者の立場に立って心情を把握しながら、女性警察職員等の活用も引っくるめて適切に相談業務を推進していきたいと考えてございます。
 参考までですけれども、昨年1年間で当県警察への相談届け出は、ストーカー行為については107件、嫌がらせ電話については110件、それから卑わいな行為については47件ということで、合計264件の相談電話がありましたけれども、今後ともこれらの行為については増加するのではないかと考えてましたので、いずれにしても内部教養を充実し、県民の権利を侵害しないように指導教養を徹底し、適正な運用に努めてまいりたいと考えています。

〇阿部静子委員 この手のいろいろなことは、随分ふえるんではないかと危惧されるわけです。いたずら電話にしたってあるいは卑わいな行為にしても、表に出ている部分は氷山の一角ではなかろうか。よく小学校なんかでも、変なおじさんがあの辺に立っているよということなどがあるわけでございますが、小さいときに受けたショックというのはなかなか断ち切れるものではない。
 そこで、女性の警察職員の方を相談にと対策としてあるようでございますが、その心の傷の部分をどういやすか、この辺が一つ大事な点であろうと思います。わいせつ行為等などに遭った女性などにすれば、その直後のショックが大きくて、それがずっと尾を引いて、いわゆる男性恐怖症、結婚恐怖症へと発展するという例も言われているところでございますので、守秘義務というのはおありでございましょうから、その点本当に被害を受けた女性たちや子供たちの心を大事にしながら、専門的な心理療法士とでもいうのでしょうか、そういう専門的な方々とチームワークをとりながらこの件について対応なさるように、いかがでございますか。その点についてお答えをいただきとうございます。

〇太田代生活安全部長 今、委員御指摘のとおり、この種事案は年々増加傾向にございます。警察に寄せられた相談電話の内容、ストーカー行為と嫌がらせ電話、それから卑わいな行為についてみますと、平成8年は11件、平成9年には27件、それから平成10年には115件とウナギ登りでございます。先ほどもお話いたしましたとおり、平成11年は264件ということで、平成8年から比べれば昨年は24倍にふえておるという実態でございます。そこで私ども警察といたしましては、心の傷といいますか、心のケアという問題が大きく取り上げるべきことと考えておりますけれども、幸い当県警察には臨床心理療法士の資格を持った人もございますし、現在少年課の方で精神科医、あるいはそういう専門医の方々も嘱託・委嘱してございますので、それらの先生方ともタッグを組みながら、心の傷をいやす被害者対策に今後とも万全を期していきたいと考えておりますので、御了承お願いいたしたいと思います。

〇阿部静子委員 件数がウナギ登りだという、県の財政は右肩上がりなしということですが、これはどんどん右肩上がりのようでございますけれども、かつてはこういうことを口に出して言うことがはばかられたのです。言うことが何か恥ずかしい、言ってはならないことだった。それが言えるようになったということをまず押さえていただきとうございます。それゆえに児童買春であってもポルノであっても、法が一つできたことによって、一つ一つ住みよい社会になり、皆さんの御努力によってそれが達成されていくのだということで自信をお持ちになって、どんどん悪いのは捕まえるように頑張ってくださるようにお願いをいたしまして、終わります。

〇斉藤信委員 私は2点ありますから、まとめてお聞きをします。
 一つは、警察官元巡査長のセクハラ事件についてであります。
 警察官によるセクハラ事件が明らかになりましたが、県警のセクハラ防止策の内容はどうなっていたでしょうか。どういう基準、判断で諭旨免職となったのでしょうか。県公安委員会、東北管区警察局にはいつ報告をされたのか、なぜすぐ報告されなかったのか。12月24日、東北管区警察局による不祥事案に対する特別監察があったと思いますけれども、どういう不祥事について監察を受けたのでしょうか。西署も監察を受けていますが、セクハラ事件について報告もしない監察では意味がなかったのではないでしょうか。公安委員会の報告事項はどうなっているのでしょうか。
 もう1点。警察官の被服の入札問題について。
 今年度の入札参加業者はどうなっていますか。その契約額は幾らでしょうか。1社を除いてこの入札に参加した業者の縫製工場は同一の業者だと思いますけれども、本当でしょうか。納期は9月30日になっていますけれども、守られたのでしょうか。入札条件の中にその他の条件ということがあります。生地メーカーの出荷証明書は卸メーカーを経由して出されるものと思っていますけれども、そうなっているでしょうか。縫製メーカーが発行する引受証明及び社歴、これはどうなっているでしょうか。中間検査を必要に応じてやるとありますけれども、中間検査をしたことがあるんでしょうか。

〇佐藤警務部長 県警察におけるセクシャル・ハラスメントの防止対策についてその回答を申し上げます。
 県警察におきましては、犯罪行為に当たらない、いわゆるセクシャル・ハラスメントにつきましても、異性の人格を傷つけることのないよう職場環境の保持に努めておりまして、昨年4月にそのための基本方針などを定め、男女全職員に対して、いわゆるセクハラの判断は相手方の判断を重視すること、良好な勤務環境は相互の人格の尊重にあること、問題が生じた場合には、問題解決のため迅速な行動をとること──これは、もみ消しではございません。迅速な対策をとることでございます──などを周知徹底しているところでございます。今後は、職場の内外を問わず、相互の人格を尊重することの重要性について、男女職員に周知してまいりたいと考えております。
 2問目の質問でございますけれども、どういう判断で諭旨免職にしたのかというお問い合わせでございますが、捜査及び調査の結果、暴行あるいは凶悪という行為ではなく、2人で写真を撮るために腕やひざに触れ、腰を引き寄せた行為もわいせつとは認められず、また相手方からも告訴をしない旨の申し立てがあり、事件性がなく懲戒処分には当たらないと判断したものであります。しかしながら、警察職員としてはまことに不適切な行為である旨説諭した結果、本人がその責任を認めて辞表を提出したので受領いたしました。
 3問目でございます。厳正な捜査並びに調査の結果、懲戒処分には当たらないと判断し、県警の責任において報告しなかったものでございます。なお、管区警察局には3月7日、公安委員の先生方には3月8日にそれぞれ報告をしておりますけれども、これは内容の間違った報道がないように事実関係について報告をしたものでございます。
 それから、12月24日行われました東北管区警察局の不祥事案監察でございますが、これにつきましては、間違いなく12月24日東北管区警察局の総務部長以下の特別監察を受けております。その主な内容は、個別の事案ではなく県警本部、盛岡西警察署とも、不祥事案防止対策及び職務倫理教養の推進状況、業務管理の徹底状況、身上把握の徹底状況など、不祥事案防止対策全般についての監察を受けたものでございます。
 公安委員会の報告の御質問でございますが、具体的に報告事項として定めたものはございませんが、これまでにも懲戒処分を行ったもの並びにパトカーや白バイ、いわゆる公務中の交通事故などについては適切に報告をしております。なお、今後とも適切な報告に努めてまいりたいと考えております。

〇日山警務部参事官兼警務課長 被服の入札についての御質問にお答えいたします。
 当県警においては、入札は全くいたしておりません。これは、すべて県の出納局で対応しておるものでございます。なお、入札に参加された業者については見本品等の提示がございますので、4社であることは確認いたしております。
 それから、納期の問題でございますけれども、これは9月30日と守られております。なお、メーカーが同じだという御指摘がありますが、そのとおりでございます。なお、中間検査等につきましては、必要に応じて実施しておるという状況でございますが、ここ数年間については不審点はなかったという報告になっております。

〇工藤篤委員長 審査終了の目途としている5時を経過しております。
 この際、進行に御協力を願うため、質疑答弁は簡潔にするよう御協力願います。

〇斉藤信委員 セクハラ防止策について、例えば県庁では基本方針がありまして、この中に最後のところですけれども、懲戒処分というのがあります。セクシャル・ハラスメントに該当する言動にはさまざまのものがありますが、地方公務員法に規定する信用失墜行為、全体の奉仕者たるにふさわしくない非行に該当する場合には、懲戒処分に付されることがあります。それで地方公務員法に規定する中身は何かというと、職員の非行と公務の信用、どういうことかと言いますと、職員には一般の国民以上に厳しい、かつ高度の行為規範に従うことが要求される。そして、本法は倫理規範にとどめることなく、法律上の規範として本条で規定している。
 もう一つは、信用失墜行為の内容です。職員の個人的な行為であっても、道徳的に強い非難を受けるようなスキャンダルに関係したときはこれに該当する。私は、今回の事件というのは、これに該当するんじゃないかと思います。県警として、今回のセクハラ事件を不祥事として対応してきたのかどうか。この県警自身のセクハラ防止策から見て、ここに該当しないのかどうか、このことを示していただきたい。
 もう一つは、これが不祥事だというなら、なぜ東北管区警察局と県公安委員会に速やかに報告しなかったのか。これは公表するかしないかの問題じゃないですよ。不祥事として認識していたら、当然これは公安委員会にも東北管区警察局にも報告すべき事項です。そして全国の不祥事を受けて、東北管区警察局の特別監察を受けているわけです、不祥事案で。私は、この件についてお聞きをしたい。

〇佐藤警務部長 委員御指摘のセクシャル・ハラスメントに関する規定につきましても、当方は十分承知をしております。しかし、今回の場合は懲戒処分に付す内容ではないと判断をいたしまして、本人にその責任を追及したところが、本人が非を認めて退職をするということで身を引いたわけでございます。
 不祥事との認識でございますが、確かに広い意味では不祥事ではございますけれども、懲戒処分に付するほどの不祥事案ではないと判断をしております。

〇斉藤信委員 新聞報道を見ますと、8日の夕方にこれはマスコミで報道されて、急遽記者会見をして釈明したと。そのときには、この件を不祥事としては受けとめていないと。その1時間後にこれを訂正して、今回の件は不祥事だったと。あなた方が1時間後に訂正した不祥事だったというのであれば、本来これは報告すべきものだったのではないのかと。結局、認識が甘かったということになりませんか。

〇添田警務部参事官兼監察課長兼監察官 新聞報道にあります不適切、不祥事とは考え得ないという報道がされているのはそのとおりでございますが、記者レクチャーの際の説明の中で、懲戒免職に当たる不祥事とは考えにくいという認識を述べた際の一部分でございまして、私どもとしては警察職員として不適切な行為であり不祥事であったと認識しております。

〇斉藤信委員 今の発言だと、不祥事だとしたらなぜ半年間も公安委員会や東北管区警察局に報告しなかったかという問題が出てくるんです。本部長、そのとき本部長はいなかったけれども、せっかく今明らかになったわけだから、このセクハラ防止の基本方針を出して、今説明したように地方公務員法に規定する信用失墜行為、全体の奉仕者たるにふさわしくない非行に該当する場合は、懲戒処分もあり得るんだということがあるわけです。結局、こうしなかったということは事件にしないと、もみ消すということになるんじゃないですか。そして、明らかになったら不祥事だと。私は、こういう経過は県民から見てわかりにくいし、今本当に全体警察に対する信頼が揺らいでいるときに毅然とこの問題をはっきりさせて、今後の教訓として生かしていくべきと思いますけれども、本部長、最後にどうですか。

〇出原警察本部長 委員御指摘のとおり、管区等に対する報告という問題につきましては、若干そのときの判断に問題があったということは、正直言って私自身は感じております。今後、そういう誤解のないように努めていきたいと思っています。
 ただ、くどいようですけれども御理解いただきたいのは、当時の判断としまして、決してこれは事件をうやむやにするとか隠ぺいするということは全くなかったということだけは御理解いただきたい。なお、それは別にしましても、今後より厳正に対応していきたいということはお誓い申し上げたいと思います。

〇小野寺好委員 財物を窃取あるいは強取されれば、犯罪に遇ったという意識がありますけれども、昨今のこういった不況という社会を背景にして、非常に経済犯罪が巧妙化していると思います。
 例えば各種カード類、名義貸し、資格商法、高額商品とさまざまあるわけであります。先ほどもこういった経済犯罪に対して、悪徳商法に対する質問があったわけでありますけれども、大体こういった被害に遇う方は知識がちょっと不足していると。真剣に別に法学部で法律とか学ぶわけじゃないですから、あるいは言われているクーリング・オフといったのもなかなか手続しにくいという方が被害に遇っているかと思います。
 そこで、これこれの状況になれば被害に遇ったとわかるような対策の一つとして、パンフレットみたいなものをつくってはいかがかと思いますが、そういった対応をお伺いいたします。
 もう1点は、本県の警察官2、000人余りでこの広い県土をカバーしているわけであります。まして高速交通時代あるいはハイテク犯罪に対する対策、生活相談また被害者対策室と、今までにないさまざまな仕事がふえているかと思います。そこで退職なさった警察官の方たちに、最近言われている有償ボランティアといった形でお手伝いしていただけないものかと。通常の場合あるいは災害時、緊急時、こういった場合分けをして、今まで培った豊富な経験、もちろん業務に従事していたときの秘密は保持しなくちゃならないというのがありますけれども、貴重な経験を生かしていただけないものかといったことで御質問いたします。

〇大田代生活安全部長 被害に遇いやすい、だまされやすいといいますか、お年寄りの方等が被害に遇う実態にあるわけですけれども、私ども警察といたしましては、委員御指摘のように、そういう被害に遇わないためのチラシの配布という非常にいい御提言がございましたけれども、現在当県警察では各交番、駐在所でミニ広報紙を発行してございます。ミニ広報紙を活用しての被害防止の運動もやっておりますし、それから各種会合あるいは防犯団体とも連携して、それらの被害防止のいろんな施策を講じてございます。さらには、先ほどお話がございましたとおり、後で考えてみれば要らないものを買わされたということで、クーリング・オフという制度──購入したときから8日間できるわけですけれども、それらの指導等々も鋭意徹底しながら、被害に遇わないための施策をどんどんこれからも進めてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

〇日山警務部参事官兼警務課長 2点目のいわゆる警察OBの有効活用というか有償活用ということの御質問でございますが、現在は交番相談員、それから少年巡回指導員として採用いたしております。この交番相談員につきましては、11年度で合計11名でございます。そして12年度も2名増員予定で県の方に要求中ということでございますし、また少年巡回指導員につきましては5名体制で、現在OBの持っております知識、技能を十分に活用させていただいているという状況でございます。委員御指摘の災害時とか大規模な事件等の発生時も、当然こちらでは考えてはおりますけれども、ただ、これは本当に制度をしっかりさせた上でボランティアというかやっていかないと、事故等に遭遇した場合への補償等もございますので、これらについても検討しながら進めたいと思います。
 なお、平成13年度からは一般職の公務員等についての再任用制度が動き出しますので、これをできるだけ幅広く、いろんな分野でOBが活動できるように検討してまいりたいと考えているところでございます。

〇阿部富雄委員 飲酒運転によるひき逃げあるいは当て逃げ事件というのは後を絶たないわけでありますけれども、飲酒運転の検挙状況、それと飲酒運転による事故発生状況というのはどういう状態になっているのかお伺いをしたいと思います。今まで法律では、酒を提供した人についても罰則を適用するということができるようになっていたと思いますけれども、いまだかつて飲酒提供者に対する検挙というのは耳にしたことがないわけでありますが、そうした追跡調査をしての飲食提供者に対する対応状況というのはどのようになっているのかお伺いいたしたいと思います。あわせて、このことを立証するというのは非常に難しいだろうと思いますから、それについては事前に防止をするということで広報啓発が大事だと思っているわけでありますが、その広報啓発のあり方についてどのような状況にあるのかお伺いいたします。
 まとめてお聞きいたします。
 平成4年に暴力団対策法が施行されたわけでありますけれども、施行後の県内の暴力団に関する状況といいますか、情勢はどうなっているのか。岩手は暴力団のことは心配しないで生活してもいいという状況にあるのでしょうか。特に、禁止行為等に対する行政処分の状況はどうなっているのか、あるいは、暴力団追放県民会議であるとか、さらには暴力団離脱者社会復帰対策連絡会など、できるだけ暴力団を解散なり壊滅しようということでさまざまな民間組織もつくって対応しているわけでありますけれども、こうしたところの運動状況についてお伺いしたいと思います。
 それから、最後になりますが、県内各都市も、いわゆる中心商店街については非常に客足が減って、何とか活性化をしなければならない、こういう状況にあるわけであります。客足が減ったにもかかわらず、違法駐車というのは中心商店街においてはなかなか根絶できないでいるという実態であります。したがって、何とかこうした交通渋滞を防止すると同時に、商店街の活性化を図るという意味で、パーキングメーターというものは私は有力な手段にもなり得ると考えているわけでありますが、このメーター設置に係る公安委員会の基準というのは、特に何か定めているものがあればお示しいただきたいと思いますし、市町村なり、あるいは商店街等それぞれの団体から設置要望が出てきた場合にはどのように対応されているのかお伺いいたします。

〇沼崎交通部長 最初に、飲酒運転の状況について申し上げます。
 昨年1年間でございますが、飲酒運転の検挙件数は、総件数で2、700件余となっております。単純に、前年対比ではやや増加という傾向でございます。
 それから、飲酒運転の事故でございますが、昨年は、物損事故を含めますと414件発生しております。このうち、死亡事故は20件発生しております。ちなみに、人身事故件数だけでいきますと135件、負傷者は156人となっております。
 こういう実態でございまして、御指摘のように飲酒運転は危険行為そのものでございますが、酒を提供する飲食店等──酒類提供者はどうなっているかということでございますけれども、昨年は酒類提供者等の検挙はゼロとなっております。
 実は、飲食店等で酒を提供する側の処罰の問題でございますけれども、基本的には、酒類を提供する側は、客が飲酒運転をして帰るかどうかという確認は極めて難しいだろうと、このように考えております。ただし、例えば知人宅で飲んで、おまえは大丈夫だから運転しろとか、そういう言動があった場合については、例えば刑法で規定されている犯罪の幇助とか教唆という部分がございますので、そういう部分では適用する範囲はあろうかと思いますけれども、現実的にはなかなか厳しいという部分がございますので、御理解いただきたいと思います。
 それから、あわせてパーキングメーターの設置についてお答えいたしますが、これにつきましては、交通規制の一種でございまして、時間制限駐車区間規制と私どもは呼んでおります。これは、交通の安全と円滑を確保するという目的でやっております。駐車については路外駐車場で対応していくというのが基本的な考え方でございますけれども、御指摘のように、地域の駐車需要と路外駐車場のバランスが崩れているとか、あるいは当該地域の都市計画、対象道路の構造機能等、必要やむを得ない短時間駐車の需要に応ずるためには最小限度路上での駐車を認めている、こういう実態でございます。
 基準はあるかないかということでございますが、交通規制の基準の中で、商業地域、その他短時間駐車の需要が大きい地域で短時間駐車需要を路外駐車場で吸収することが困難である地域、それから、原則として幹線道路でないこと、歩車道の区別があること、車道幅員が一定以上確保できること、バス路線でないこと等々、基準を一応設けております。
 現在、県内の自治体等からのパーキングメーターの設置要望は受けておりませんけれども、要望等があった場合については、個別具体的に、先ほどの基準等にのっとりまして検討して適正に対処してまいりたい、このように考えております。

〇佐藤刑事部長 暴力団対策法施行後の暴力団の情勢についてお答えいたします。
 最初に、県内の暴力団情勢でございますが、平成4年の暴力団対策法施行当時の勢力は29団体637名でありましたが、この法律による取り締まりと県民挙げての暴力団追放運動の結果、本年2月末現在では22団体441名に減少しております。しかし、残存しております暴力団の96%が広域暴力団でありますところの山口組、住吉会、稲川会の傘下に入っているという状況にあります。
 それから、暴力団の犯罪について見てみますと、これまでの恐喝とか傷害あるいは覚せい剤の密売といった従来型の犯罪に加えまして、最近は高金利の貸金業を営んでいた事案とか、あるいは無登録で貸金業を営むとか、裁判所が行うところの競売を妨害するとかといった経済取引に介入して不法な利益を得るなど、暴力団の資金獲得の方法が巧妙かつ多様化してきている状況にあります。
 それから、暴力団に対する警告、中止命令の状況でございますけれども、同法律施行後に、これまで中止命令は39件、再発防止命令は6件出しております。平成11年には3件の中止命令を出しておりまして、この中身を申し上げますと、飲食店経営者に対して、他の飲食店のパーティー券の購入を要求した事案とか、女子プロレスの入場券の購入を要求した事案それぞれありまして、これらに対しまして中止命令を出しております。
 次に、岩手県暴力団追放県民会議におきますところの活動の状況について申し上げますが、主な点だけ申し上げたいと思います。
 広報啓発活動といたしまして、昨年10月に県民の方々1、100名ばかり集まりまして第8回岩手県暴力団追放県民大会を開催し、さらに、7月には、会社等の経営者を対象といたしまして民暴対策企業セミナーなどを開催しております。日本弁護士連合会の民暴対策の専門家とか、あるいは兵庫県の神戸で暴力団の実際の対立抗争事件で娘さんを失いました遺族の方とか、それから、警視庁で暴力団に関する取材をしておった記者の方々などを講師に招きまして講演していただき、大変好評をいただいておるところでございますし、さらに、最近では、医療機関に対する民事介入暴力を防止するための冊子などを作成して関係者に配布しているところであります。
 また、組織離脱者の社会復帰を促進するための施策ですけれども、県民会議に相談員を置きまして、あるいは暴力相談電話などを設置しまして随時相談に当たっておりますが、平成5年に県民会議が中心となりまして、職業安定所や刑務所、それから離脱者の社会復帰に賛同していただきます企業の皆さん方41社などによりまして岩手県暴力団離脱社会復帰対策連絡会というものを設置して活動しておりまして、これまで暴力団組織離脱者24名の方に対しまして街商組合への加入とか、建設業あるいは工務店などへの就職のあっせんなどの支援を行っておりますし、さらにはまた、暴力団からの離脱者の更生を援助するということで、この県民会議におきまして10万円を限度に更生資金ということで支給をしておりまして、現在まで3人の方々に支給して援助しているという状況であります。
 警察といたしましても、今後とも県民の皆様の御協力をいただきながら、引き続き暴力団の壊滅のために努力してまいりたいと考えております。

〇阿部富雄委員 1点だけお伺いいたしますが、先ほど飲酒運転による死亡事故は20件だということですね。御答弁を聞いてますと、酒類提供者の立件はなかなか難しいということで、積極的にやられているようには私には受けとめられなかったんです。少なくても人身事故、死亡事故なり、あるいはけがを負わせたという案件については、やっぱりそれなりの追跡調査をきちっとやって、先ほど来お話があるように、犯罪被害者、交通事故が犯罪ということになるかどうかは別にして、そういう犯罪被害者に対する配慮だって私はやっていかなければならないと思うんですが、そういう人身事故等にかかわる部分についてはもう少し酒類提供者に対する追跡調査というのを行うべきだと思うんですが、その点についてはどのようにお考えかお尋ねします。

〇沼崎交通部長 あくまでも犯罪として摘発するためには、当然、御案内のとおり犯罪構成要件に該当する行為がなければだめだと。決して捜査をサボタージュしているわけではございませんので、当然重大事故等が発生した場合には、運転者が飲んだ場所とか、量とか、そういう状況等についても詳細に捜査をし、措置しているものでございまして、その点については御理解いただきたいと思います。

〇樋下正信委員 簡潔に3点ほど、信号機の件でお聞きしたいと思います。
 昨年9月議会でも質問しておりますが、あえて信号機の設置状況についてお伺いします。
 13日の総括で瀬川先輩委員からも質問がありましたが、平成12年度は40基余りの信号機が設置されるとのことですが、どのような場所に優先配慮して設置されるのかお聞きします。
 次に、9月議会での答弁で、地域の自治会とか諸団体と懇談し、どのような場所に設置をしたらいいか要望を受けているとの話でしたが、詳しく、いつごろどのような形で懇談会を持っているのかお聞きしたいと思います。
 三つ目でございますけれども、現在、設置している数は県内に1、600余あるようでございますが、有効に活用されているのか、そしてまた、どのような見直しをしているのでしょうか。そして、最近では矢印の信号機とか右折レーンが随分多くなってきているわけでございますけれども、大いにこれを活用するべきと考えますが、御所見をお伺いしたいと思います。

〇沼崎交通部長 信号機の関係でございますけれども、まず、どういう優先順位で設置しているかということにつきましては、私どもも一定の基準のもとで、基本的には安全と円滑を図るべき重要度というものを勘案し、決定しているところでございます。
 それでは、どのようにしてその場所が選ばれるかということでございますけれども、この点につきましては、交通信号機、交通規制いずれもでございますけれども、各警察署とか主要交番に住民の方々から意見をもらう目安箱を設置しておりまして、そういうところからも把握しておりますし、それから、各警察署単位に交通規制対策協議会を毎年開催しております。これには道路管理者とか交通関係団体とか自治体の方々とかいろいろな方が入っておりますけれども、そういう方々で構成する協議会でいろいろ意見、要望をくみ上げ、それで県警本部の方まで上げていただく、こういう形で意見の集約を図っているところでございます。
 それから、見直しとか矢印云々というお話でございますけれども、当然、道路環境とか周辺環境の変化によって信号機が必要でなくなった場所もございますし、有効活用という観点から、信号機の移設も実際やっております。それから、矢印等とか、あるいは時差式信号機とか、交差点の交通流量の変化に対応して、多機能の機能を持たせた信号機への改良を図りながら交通の実態に応じている状況でございます。

〇工藤篤委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇工藤篤委員長 質疑がないようでありますので、これで警察本部関係の質疑を終わります。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時35分 散 会


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