平成19年3月臨時会 第24回岩手県議会臨時会会議録

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〇14番(亀卦川富夫君) 私から、数点にわたりお尋ねしたいと思います。
 まず、構成団体間でのお話は先ほど以来お伺いいたしました。しかし、これだけの融資案提案のときに、これ以上県民の負担は避けたいと、こういう意味でございます。しかし、ここで廃止に進む場合、分賦などむしろ非常に大きい影響が出てまいります。構成団体におきましては、清水の舞台からおりるような気持ちで10億円だと、必死の思いで何とか存続したいと、このような気持ちで競馬議会でも発言がございました。知事は、こういった両市の、構成団体のそのような考え方に基づいて私はやはりもう一度ここは存続、たとえ融資案が否決になりましても、競馬を存続していく中で解決していくと、こういう姿勢が私は必要だろうと思います。
 先ほど以来お聞きしておりますと、そういう点、甚だ私は少ないのではないかと。なぜ、ここでそういうふうなものにかじを取れないのか、この1点まずお伺いしたいと思います。
 特に奥州市の場合、市町村合併間もないところでございます。かつて、さまざまな配分金を受けた旧水沢市。これはその後、昨年、まだ1年余でございますが、市町村合併に踏み切っておりまして、構成しております旧水沢以外の市町村、ここの住民の負担、影響、そういったものをしっかり考えていただきたい。そうでなければ、今後進める市町村合併等もさまざまな私は支障を来たすのではないかと、このように思いますが、いかがでございましょうか。
 また、廃止となれば、先ほど以来この競馬で生活を営んでいる多くの人々が、今自分の人生どうなるのか、あすからどうなるのか、息をひそめてこの議論を見守っておりますが、そういった対策も何一つとらないままに、急に廃止ということになります。私は1年でも2年でも、この辺の存続をしながらそういった─もし、どうしても廃止するならば、そういった対策を十分とってからの廃止にしなければならない。融資案が否決されたからといって、知事は廃止ということに踏み切っていいのでしょうか。この辺をお伺いいたします。
 万策が尽きたのでしょうか。私は、万策はまだ尽きたとは思いません。整備の整った競馬場、あるいはここまで鍛え上げてきた、育てた馬資源、さらに何よりもこの馬を愛し、この馬で生活をしてきた競馬関連の人々が、今何とかこれを続けたい、必死の思いであります。こういったことを総合的に考えれば、私は赤字を出さないスキーム、25%以内の経費構造の中でやるというのは、私はしっかりこれはやり遂げられるものだと思います。ただ、ここには金利の問題が一つございますから、融資がないこの存続というのは難しい点はわかります。この部分をもう少し財政当局での知恵を働かせながら、しかし、この25%以内の経費構造でやる競馬さえ存立すればこれは解決していく、私はこのように思います。
 その存続していく中で初めて議論のあった1場体制ですとか、私はあるいはPFI方式のような、そういったものが考えられると思います。この点についてのお考えをお伺いいたします。
 さらに、国の進める地方競馬の救済策の第1ステージ、地方共同法人化が私は本年国会で成立すると思います。なぜ、そういう成立を目前にしながら、ここで融資案が否決されたから廃止に踏み切るのでしょうか。そういう道を知事として、管理者として、構成団体ともっと真剣にこの辺を詰めて考えて、新しい計画をつくるべきではないでしょうか。この点についてのお考えをお伺いいたします。
〇知事(増田寛也君) 今、何点かございましたのでお答えを申し上げたいと思います。
 廃止に踏み切ったその理由、本当に万策が尽きたのかどうかということで、今お尋ねがございました。
 問題は、今年度に来る借りたお金の返済、これはどのような形でもやはり処理をしなければならないということでありますので、215億円ですけれども、これは必ず必要なお金でございまして、何とかこれはどのような形でも用立てをしなければならないわけでありますが、それにプラス、来年度以降に来るお金をどう処理するのか、この問題も実は大変重要な問題でございまして、来年度以降の返済を求められるお金については、先ほど農林水産部長が具体的な数字を申し上げましたが、当初の5年間は隔年ごとに18億円ずつ返済が求められると。まだ残債で111億円残っていますので18億円ずつ、県として10億円、奥州市が4.5億円、それから盛岡市が3.6億円、こういう大変大きなお金の返済が求められると。金利だけでもその18億円のうち、3億円が必要になるということでございます。
 やはり競馬を続けるということであるならば、赤字を発生させないという、これもまた一方で大事な県民から御理解をいただくルールだと思いますので、そういうことを考えると赤字を発生させない。この赤字を発生させないということは、収支均衡を意味すると思うのですが、その収支均衡をさせるためには、毎年毎年事業を継続していく中で、少なくとも金利、3億円は吸収できるスキームを考える必要があるのですが、それが今残念ながら3億円、1億円でも2億円でも非常に高いハードルでありまして、とても今の事業の継続の中ではそれを吸収し切れないと。やるとすれば、県民の皆さんに御理解をいただける赤字を発生させないで継続するというからには、もう一つ111億円についても今この段階で負債を返すということで処理をしないとどうしても難しいと。そこが結局330億円を、資金を必要とする、こういうことに至るわけであります。
 ですから、私は、先般の競馬議会の中で両市長からも、具体的な提案、先ほど申し上げましたとおりございました。全体の330億円のお金をどういうふうに処理するかというところで赤字を発生させない、そして廃止をするともっと県民負担が生ずるので、それを何とか抑えるという、そこが整えられれば、そういうことであれば私は事業継続の道があるのではないかと、こういうふうに思うわけでありますが、また、そういうふうに私も考えるわけですが、先般、そういう融資の考え方が否決をされましたので今回廃止を提案したと、こういうことであります。したがって、そこのところがクリアされて、そして県民の皆さんから、そういうことであれば何とか御理解をいただけるのではないかというふうに思っていますから、そして継続をしていく中で、例えば1場体制などについて本当に検討していくという時間をいただければ、また次の段階に進んでいけるのではないかと、こういうふうに思うものであります。
 地方共同法人に向けた動きで、今競馬法の改正案が出されているわけであります。これも一方でまたよく見ていかなければならないものであるわけですが、既存の負債を減免するといったような形には、あの法律の中ではならないというふうに聞いております。地全協への納付金を一時猶予するような話は聞いておりますが、既存の負債についての減免にはつなげることはないというふうに聞いておりますので、将来に向けて地方共同法人化というのは、事業がもし仮に許されて継続された場合には今後それを活用するという、その選択の余地は十分あるというふうに思っておりますが、今この時点で、いずれにしても既存の負債については、やはりそれぞれの構成団体などにおいて、基本的にはその中での努力として処理をしなければいけないものと、このように考えているところでございます。
 廃止をした場合に、今お話ございましたような雇用等の問題、経済的な影響を考えますと、甚大な影響が出てくるということは事実でございます。それはもう大変心を痛めることになるわけでありますけれども、一方では、事業のルールということで考えなければいけない点があるということで、今回こういうふうに判断をさせていただきました。もちろん、そういった今申し上げました事情の中で、債務処理が可能なような考え方があれば、それは当然選択肢として継続の道は開けるというふうに考えるわけであります。
〇14番(亀卦川富夫君) まずもって私は、管理者として責任を感ずるというような意味では、雇用の関係、特に競馬関係の方々に対して急に廃止と、さまざまな議論はあったにせよ、融資案が否決になった直後に廃止と、これはまことに理解のしにくい話だろうと、このように思うわけであります。
 確かに、今いろいろな金融面でのお話はございました。私は金融面の問題は、これは本当に大きい問題だと思います。しかし、その案が否決されたからといって、万策尽きたということで廃止ということに通じ、こういった雇用の場、あるいは生活を直撃するようなものに進むというものはいかがかと思うわけであります。また、奥州市のように、市町村合併間もない市にとって、大変な事態に陥る。そういった中で、私はこの廃止という問題につきましては、先ほど、競馬のレースはやめるんだけれども組合は解散したわけではないと、このようなお話がありますが、そういう競馬法特有の開催権、主催権、こういったものをしっかりもう一度それを確認して、そういう中での競馬経営というもののあり方も私は探るべきものがあると、このように思います。例えば、組合がなくなったとしても、岩手の競馬が存続すると、このような道を知事としては私は考えるべきではないかと、このように思うのであります。私はそういう道は必ずあると思います。先ほど申し上げました1場体制あるいはPFI方式、私はただいま具体的にそれを提言する能力は持ち合わせておりませんが、そういうものを識者の間でしっかり組み立てて私は進むべきだと思います。
 融資否決、即廃止ということは私は到底うなずけない話でありますので、この辺をもう一度、知事は本当に万策尽きたと思うのでしょうか。私は両市の10億円積み増しというような具体的な提案があった以上、もう一度知事としては、私は再建の道を探るべきだと思います。しかし、残された時間がないのでありますが、そういう意思を表明して、直ちにそういう道を探るべきではないでしょうか。この1点をお伺いしたいと思います。
〇知事(増田寛也君) 今後の競馬について、仮に継続が許されるといったような条件が整えられた場合には、今お話がありました1場体制それからPFIですとか、開催権を保持しつつ、民間の力を入れていくですとか、そうしたことをいろいろ道を探る、その努力は行っていきたいと思いますし、また、その中で前に進んでいけるような岩手競馬にしていかなければならないというふうに私は思います。それは、この限られた時間の中では難しいので、それは継続がなされた後、本当に関係者、私も含めて、渾身の力を込めてその道を探るということをしていかないと、また県民の納得も得られないというふうに思います。その上で、今のこの事態を乗り切れるかどうかがやはり当面、差し当たり問題になってくるわけでありまして、これにつきましては、先般、融資ということの議案が否決をされたわけでありますので、それまでの答弁に従って私も廃止の議案を提出したわけでありますが、今まで申し上げてきた存続が許されるような条件といいましょうか、その仕組みというものがやっぱり維持されないと、そこも県民の皆さんからお認めいただけないだろうと。確かに両市から10億円ずつの提案が出てまいりました。これはそれぞれの市の財政状況の中でもぎりぎり譲歩した提案だと思います。全体としては、330億円というものが維持されておりますので、そういう今までの私どもの考えに沿った形になっておりますけれども、しかし、そこの330億円というそのルールの中でいろいろ考えられるのであれば、今後、先ほど言いましたような財政的な問題の対応ができますので、私どもとして対応は可能かというふうに考えるわけであります。
 この競馬の問題、今お話がありましたように、雇用ですとか経済ですとか大変大きな影響が出てまいりますので、大変苦しい選択を迫られる問題であります。しかし、今後も判断をするに当たって、県民負担を最小にすると、そして県民から許されるその条件は何かということを前提に考えていきたいというふうに思うわけであります。
〇議長(伊藤勢至君) 次に、斉藤信君。

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