平成19年3月臨時会 第24回岩手県議会臨時会会議録

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〇40番(小原宣良君) 提案されております議案第1号、第2号ともに競馬事業を廃止することを前提とした議案でございます。私は、この競馬問題の中心をなしている問題は、廃止した場合と継続した場合のどちらが県民の負担が少なくて済むか、さらに、競馬関連産業に従事している皆さんの就労、そして生活問題、これが大変な事態に差しかかってくる。廃止の場合、たちまちにして路頭に迷うようなことを我々は決めてはならない、こういう思いで今まで主張してまいりました。こうした観点で幾つかお伺いいたします。
 提案されております議案の中にある98億円余、これは、178億円の55%であろうと思います。これは分賦割合で算出したということでありましょう。とすれば、今年度中、まさにそれは今月中ですが、奥州市は44億5、000万円、盛岡市は35億6、000万円、これを分賦の割合によって負担をしなければならないことになります。この奥州市44億5、000万円、今月中に工面できますか。盛岡市はどうしますか。このことについて、3構成団体の最高責任者─知事、両市長、これは了解をしておりますか、この点を伺います。
 2点目、来年度以降、111億円の返済はどうなるのかということです。これも分賦によるということだと思いますが、県、盛岡市、奥州市ごとに、向こう数年間の負担見込みについて示していただきたい。
 それから、3点目は、平成19年度補正予算でありますが、これは第2号です。競馬組合が清算処理に入ることを意味しています。このための経費も分賦で賄う、こういう先ほどの総務部長の説明でありました。盛岡市、奥州市の負担は幾らですか。そして、今後数年間、この清算にかかわる管理費の負担内訳はどうなりますか。
 4点目、提案されております議案は競馬事業廃止でありますが、従業員の雇用問題が直ちに発生いたします。この対策をどうとろうとしているのか、明確に説明を願いたい。
 5点目、地域経済への波及効果、これは、これまでも予算特別委員会の場などで議論されてまいりました。改めて伺います。直接の県経済に与える波及効果、そして第二次的に与える波及効果、この競馬産業が及ぼす県経済への波及効果について改めて伺います。
 そして、私は、こうした従業員の雇用問題や地域経済への波及効果、これがストップしてしまう、そのことに対する最大の対策は、競馬事業を継続することであります。これが最大の雇用対策であり、県経済対策であり、そしてまた、盛岡市、奥州市、この二つの競馬場を抱えている地域の活性化の問題と直結する、このように思うのですが、いかがですか。
〇知事(増田寛也君) 私の方からお答え申し上げます。
 まず、今回この議会に提案しておりますのは、今、議員からお話ございましたとおり、今年度、支払いを求められている分のうち、分賦割合で県負担となるものについて今回支払いをしようということで議案を提案しております。したがいまして、今年度中に、奥州市では44億円、それから盛岡市が36億円という支払いが求められるわけでありますが、これについては、やはり組合規約で決められている分賦割合で負担せざるを得ない額でありますので、これをそれぞれの団体で、どのような形にせよ工面していただくしかない、このように考えております。県として、両市の方にきちんと支払いをしていくように求めていかなければならない。実際には、財政的には大変な状況になるだろうと考えますが、両市に対しては支払いを求めていかなければならないと考えております。
 それから、数字の細かなそれぞれの内訳については後ほどまた担当部長から答弁させますけれども、まず一つは、地域経済への波及でございますけれども、直接的に100億円の地域への投資効果がございました。そのほか二次的な波及効果として、私どもの試算では、産業連関表等を使いながら、491億円の経済効果があると思っておりました。したがいまして、両者合わせますと591億円、約600億円ほどは、競馬事業の二次的な効果も含めまして地域に与える効果があったと考えております。こうしたものが競馬をなくすことによって失うことになるわけでありますので、地域経済に与える影響はまことに甚大なものがある、このように考えるわけであります。一方で、しかし、競馬事業を赤字を出したままで続けるということになりますと、これはこれでまた県民の皆様方に大変な御負担をおかけすることにつながります。したがいまして、ここは、続ける以上はやはりそういうことがないような形で続けなければいけませんし、また、そのルールを崩すことは、そういった地域経済の効果があっても、これはやはり許されないことではないか、このように考えているわけでございます。
 また同じように、経済効果のみならず、従業員の雇用の問題等、直ちに発生するわけであります。廃止を避けることがこういった雇用問題の発生につながらないというのはまさにそのとおりでございますが、しかし一方で、今申し上げましたような赤字を毎年毎年生じさせるような事業の継続も許されない状況でございますので、今回、レースの廃止という選択をせざるを得なかったわけであります。仮にまたそういうことになれば、当然、再就職支援ですとか、移転先、その他の相談、これは県として万全の体制を尽くさなければならないと思っているところでございます。
 いずれにしても、この関係については、そういう事態に至ればやるべきことは大変大きなものがございますし、そのことについて、個々具体的にどういうことをするかというのはこれからまたいろいろ考えていかなければならないと思いますが、大変大きな問題になると考えております。
 そういったことも含めまして、いろいろ廃止になった場合の問題点について御指摘をいただいたかと思うわけでありますが、この競馬事業は、今まで自己規律というのがなかなか事業の継続の中で働かない仕組み、スキームになっておりまして、立てた計画どおりに売り上げが伸びない、それからコスト削減も一方で進まない、こういう形で、結局、毎年毎年の赤字が累積してきた。それから、大変大きな盛岡競馬場の建設費という、その投資についての負担がございましたので、稼いでも稼いでもそれを金融機関への償還に充てなければならないということで、関係者もそういうことで、本当に黒字体質に転換していくということについてのインセンティブに欠けるようなことがございました。今回は、そういうことがないように、赤字が出そうになればコスト削減をして、それで事業を継続できるかどうかというぎりぎりの判断を関係者自身が行っていく、それから、過去債務を一度清算をして、黒字になった分をすぐ金融機関に持っていかれるのではないような仕組みを考えたわけであります。
 しかし、そういった前提となる仕組みを含めた融資案が否決されたという状況でございますので、大変厳しい選択を迫られたわけでありますが、今、議員から御指摘いただきましたような問題点もあるわけでございますけれども、その後の対応、さまざまな面での両市への相談には県としてもきちんと乗りつつ、今後、対応に万全を期していきたい、このように考えております。
〇農林水産部長(高前田寿幸君) 平成19年度以降、償還が求められます111億円の元利償還額についてでございますが、今後、おおむね5年間程度は毎年度18億円程度の返済が求められるということでございまして、これを、競馬組合規約分賦率で分賦して負担するということで試算いたしますと、県がおおむね10億円程度、奥州市が4億5、000万円程度、盛岡市が3億6、000万円程度、これを今後5年間は毎年負担するという計算になります。トータルといたしましては、平成19年度から大体29年度までの償還期間ということになりまして、県は、総額で67億4、500万円、奥州市が30億6、600万円、盛岡市が24億5、300万円となるものでございます。
〇40番(小原宣良君) 私、平成19年度の清算にかかわる経費についても同様に分賦かと、こういうふうに伺いましたが、後で答えてください。
 そこで知事、分賦によって、今月中に奥州市は44億5、000万円、盛岡市は35億6、000万円、これを工面しなければなりません。こういうことになるんです。そこで、工面できなかった場合、何ともやりくりできませんでしたといった場合に、県はどうしますか。これは返さなければいけないのですよ、踏み倒しはできませんからね。そうした場合に、3構成団体の最大構成の県がどうするのかということになりますから、その分について県が立てかえるのかどうか。何としても工面できませんでしたと。奥州市44億5、000万円、今、10億円を積み増しをして何とかやっていきましょうということでも、清水の舞台から飛びおりる思いで、と言っていますよ。44億円、どうしますか。こういう状況の中で、工面できない場合に県はどうするかということをお尋ねいたします。
 それから、先ほどの経済波及効果であります。二次波及効果を含めて600億円、当面これにかわる産業を立ち上げることはできないでありましょう。大変な県経済における損失になりますが、もし起死回生の一手があるなら、県経済はこれにかえてこうするという考えがあるなら教えてください。
 それと、もし、この県競馬事業が継続できる、こういう環境が整ったとしたならば、県は─知事は、そのことを受け入れますか、拒否しますか、その環境について。継続できるという環境が出たならば、それは受け入れますか。
 それから、盛岡、奥州両市長から10億円の独自資金の積み増し、これが提案されました。このことを、管理者、副管理者として─副管理者でありますが─どう受けとめたか、先ほども質問ありました。私からも、この両市長の決断に基づいて10億円の独自積み増しの提案がなされました。これを管理者としてどう受けとめましたか、再度お尋ねいたしたいと思います。
〇知事(増田寛也君) 支払いが両市に求められるもの、今年度45億円と36億円。知事の立場で見ますと、両市の財政状況等も勘案すれば、大変両市、厳しい内容でありますから、これについてどういうふうにそれぞれ市で工面をされるのか。特に、盛岡市は別にしても、奥州市ですね、ここがどういう工面をされるのか、大変な高い、そして厚い、飛び越えられるかどうかわからないようなハードルだろうと考えるわけであります。
 しからばどういう対応があるのかと言われて、今直ちにこの場で妙案を出せるような状況ではございませんけれども、奥州市長さんとこの点についてはよく話をしなければなりませんし、それから、場合によっては、奥州市の方でそのお金を金融機関から工面されるなり何なり方策を考えるのかどうか、そういったことについても相談に乗らなければいけない。要は、事実としては、現実にもうそういう債務がまさに発生せんとしているということと、それは、期日を待つことなく、待ったなしのものであるということ。それから、分賦という性格上、それに対して県が何か支援をするという形が、従前からこの議会でも申し上げておりますとおり、極めてとりにくい性格のもの、それぞれの自治体の確定した責任に基づく債務ということになりますから、これは他の市町村との関係上、分賦というものに生じた負担については、県として何か財政的な支援をとりにくい性格のものである、こういうことでありまして、極めて選択肢は狭められると思うわけであります。しかし、両市に対して、県としても支払いをお願いしていく、ぜひ払ってくださいということをお願いしていく中で、両市長さん、特に奥州市長さんの相談に乗って、何とか金融機関から金を工面するなり何なり方策を考えなければいけないものと思います。
 それから、県経済に対して与える失われる利益に対して起死回生の一手があるかどうかという御質問がございました。
 これも、すぐに600億円もの経済効果があるものをにわかに生み出すのは大変難しいと思います。そういうものが現実にあれば、これまでもいろいろな場面でそういう産業創出等を行ってきたわけでありますので、これについては、やはり時間をかけて何かしていかなければならないものである。逆に、何かこういうものがございますというようなことはないと申し上げなければならないと思います。
 それから、競馬を続ける環境が整えば、それについて、管理者として、あるいは知事としてはどう対応するのかということでありました。
 私は、赤字が拡大しないという歯どめがある、ルールがかぶさっている、それから、全体として見れば、今後の展開の上で県民負担が最小だというスキームになっているということであれば、これは私が継続の判断をしても、県民の皆様からも、いろいろ御意見はあると思いますが、最終的には御理解が得られるものと考えているところでございます。
 最後に、10億円の提案、管理者としてどう受けとめているかということでございます。
 これは、両市としてもぎりぎりの中で提案をしてこられたことであろうと。そして、全体のスキームは崩しておりませんので、その中で、何とか市として、それぞれ御予定はあったかと思いますが、それをこの競馬事業という大きな問題のために拠出するということでございまして、結果として県負担がその分軽くなっているということでありますので、これはこれで大変貴重な提案であろう、こういうふうに考えるわけであります。
 やはりこうした提案があって、災害等の県の備えということも両市もおっしゃっておられましたので、そういうことも本当に真剣に考えてくれているということでございますけれども、やはり続けるについては、赤字が拡大しない、これ以上出さない、そして、全体としての県民負担、あるいはそれぞれの自治体の負担を最小にしていく、こういうことで考えなければいけませんので、また、それをどう形として具体化していくのか、いろいろそういう形が見えてくれば、また私も考えていきたいと思うわけでございます。
〇農林水産部長(高前田寿幸君) お尋ねのございました今後の処理経費についてでございます。
 今回御提案申し上げております補正予算案におきましては、四半期分の経費ということで計上させていただいておりまして、競馬組合の方の処理経費の総額が2億6、700万円ほどということでございまして、その55%を県の予算という形で計上させていただいておるところでございますが、これは四半期分ということでございますので、年間ということになりますと数億円の経費が見込まれるということだろうと思います。いずれにいたしましても、この経費につきましては、分賦による負担というものを考えておるところでございます。
〇議長(伊藤勢至君) 次に、亀卦川富夫君。

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