平成19年3月臨時会 第24回岩手県議会臨時会会議録

前へ 次へ

〇45番(千葉伝君) 自由民主クラブの千葉伝であります。
 今回示された議案に関して、以下について質問をいたします。
 まず最初に、知事は、3月15日の本会議で、330億円の基金創出による融資案を否決された翌日未明の記者会見で、即、競馬廃止という結論を述べたと言われているが、それは事実か。また、事実としたら、その発言は、両市の市長との合意のもとで行われたものでしょうか。もし、そうした手続がなされていないとすれば、知事1人の判断で行ったと理解するが、それは可能なのでしょうか。融資案否決即廃止という論理は、否決以前から知事がそう述べていたとしても、知事の勝手な論理であり、管理者としての知事が存続させたいのであれば他の方法を模索すべきと考えるが、いかがでしょうか。融資案否決即廃止という論理について、知事の考えを詳細に改めて示していただきたい。
 また、報道によると、17日に開催された競馬議会に、両市の市長から、それぞれの自己負担分を10億円ずつふやすことが可能であるとの発言があったというが、それは事実でしょうか。それを受けて、競馬議会では、どのような議論がなされたのでしょうか。
 そこで、競馬組合として競馬の存廃を決定したのでしょうか。決定していないとしたら、組合が結論を出していない中で廃止という結論を前提とした今回の臨時議会の提出議案は、提出することが可能なのでしょうか。また、今回提出した理由を再度お聞きしたいと思います。
 また、両市への融資案について、融資金利が0.3%と聞いておりますが、今、財政厳しい折、各市町村で、同じような金利であれば私どもも借りたいという声が大きいわけであります。そこで、自治振興資金の最低金利が1%と言われておりますが、両市への融資金利の考え方についてお聞かせ願います。
 また、今回の融資案の98億円の財源はどこから出るのでしょうか。これまで融資した27億円が返済不能となったわけでありますが、その責任をどのように考えているでしょうか。この分については、私ども議会も通しております。しかし、返済不能というところまでは考えていない部分もあるわけであります。そこをお聞きしたいと思います。
 知事は、今任期で退任するとしても、これまでこのような状態を招いた責任を感じていると言われておりますが、管理者としての知事の責任は、私は任期の最後の最後まで存続に向けた努力をすべきではないかと思うわけであります。仮に、4月1日以降、競馬廃止とされれば、即路頭に迷う人たち、競走馬、競馬関係者に対し、知事はどのように責任をとるのでしょうか。
 私は、競馬存続を願う一人であります。仮に、廃止するにしても、競馬議会、競馬関係者にしっかりとした説明責任と、廃止するにしても、1年、2年、しっかりとした廃止スキームを示し、私どもにわかる形で理解を求めるべきではないでしょうか。
 さまざまな議論の中で、きょうの臨時議会が開催されております。知事には、任期最後に当たっての本当の気持ちと、それから私の質問に対してしっかりと説明願いたいと思います。
〇知事(増田寛也君) 私の方からお答えを申し上げます。
 まず、3月16日未明の記者会見で、先般の県議会で提案をいたしました330億円の融資、この議案が否決されたという事実を受けまして、私の方から、こういう状況の中で、今後、岩手競馬について事業を継続することは難しいと、廃止せざるを得ないと、こういうふうに申し上げたところであります。
 今、そのことについて二つお尋ねございましたが、一つは、手続的にそういうことができるのかどうかということでございますが、この点につきましては、管理者が競馬組合を統括し代表しております。したがいまして、副管理者あるいは組合議会との意見の一致を見ない場合でも、競走を実施するかどうかの判断は執行権限の内容でありますので、それについての競走実施の最終判断は管理者の判断によるものと、このように考えております。
 ちなみに、組合を解散するかどうかといったようなことは、構成団体の議決が必要になりますので、これはそういうことはできませんけれども、競走を実施するかどうか、これは執行権の範囲であり、管理者ができるというふうに思います。
 それから、その手続的なことはさることながら、そういった判断に至った考え方を今お尋ねになったのだろうというふうに思います。
 その点について申し上げますと、従来からこの岩手競馬については、当県議会を含め、さまざまなところで大変長い議論が行われてまいりました。そして、その中で、大きく言いますと二つのルールがやはり考えられると。それは、継続をする場合ということでありますけれども、もう少し厳密に申し上げますと、競馬の経営が思わしくなくなってから何回か競馬の改善計画をつくったわけでありますが、直近の改訂実行計画を2年の猶予をいただいて、37億円の融資をいただいて、それで改訂実行計画を実施したわけでありますが、残念ながら、その改訂実行計画も計画どおりに達成をされない、赤字が出てしまうということでありますので、2年前の原則に立ち戻ると、廃止ということに、結論としてはならざるを得なかったわけでありますが、これまでの議論の経過の中で、そのことによって失われる雇用の問題や経済効果等さまざまな問題がございます。したがいまして、私どもでは、今までの議論の経過を踏まえて、県民の負担が最小になるということ、それから、今後事業を継続するにしても赤字を出さないと、こういう厳密なルールのもとで、厳格に事業を進めるという場合にのみ事業の継続が許されるのではないか。特に、今後、赤字を出さないという、そこのルールの中で事業の継続をお願いしたいということで330億円の融資、巨額でありますが、これを御提案申し上げたところでございます。そして、こうした融資が認められませんとこのルールが崩れますので、その場合には競馬事業を廃止せざるを得ないと、こういうふうに申し上げてまいりました。
 先日の議会の中で、さまざまな議論、御意見があった中で、最終的にその議案が否決ということになりましたので、そこは私として、従来、県議会で申し上げてまいりましたそのことを踏まえて、記者会見でこの岩手競馬の競走は廃止せざるを得ない、このように申し上げたものでございます。
 他の方法を模索する、そういう思い、考えはないのかと、こういうことでございましたが、やはり事業の継続を前提に考えますと、今までのいただきました御意見あるいは県民の皆様方からの御意見でも、赤字をこれからふやすことがあってはならない、そして負担を最小にしなければいかんと、こういうお話でありましたので、そこの前提を崩すような形での方策はないものと、このように考えておりまして、私はこの点については、やはり330億円の融資の枠組みということしか考えられないと、こういうふうに思ったところであります。
 それから、3月17日の競馬議会での議論の内容でありますが、3月17日の競馬議会におきましては、そこの競馬議会におきましても、議案といたしまして、廃止を前提とした議案を提案するために、従来出しておりました330億円を前提とした議案の撤回をこちらの方から申し上げたわけでございますが、その予算の撤回を申し出た際に競馬組合議員の方から、競馬事業の廃止の再考を求める意見がそこの段階で出てまいりました。それから、その後、休憩をとった後再開した中で、奥州市長、盛岡市長、両市長から、それぞれの自主財源を10億円ずつ増額する旨の表明があったわけでございますが、その段階で、議会として、これ以上の議事進行は難しいという判断が議長の方から出まして、予算案撤回の審議途上で一昨日の会議は閉会になったと、こういう状況でございました。そうした状況を受けまして、私の方では、県議会の招集通知を16日に出しているわけでございますが、その後、そういう競馬議会での議論が途中に終わっているということはございますが、16日に招集通知をお出ししたその内容に沿って、今回議案を提案しているということでございます。
 それから、今回98億円の、基本的には私どもで分賦を前提にいたしました、そういう考え方で議案を提案しているわけでありますが、こういった競馬事業に至った状況を招いた、それはさまざまな、いろいろな要素が絡み合ってのことだというふうに思っておりますが、当然、それを率いてまいりました最高責任者としての知事として、こういった事態に立ち至ったことに対しまして大変重くこれを受けとめておりますし、また、責任も痛感しているわけであります。
 今回、組合の事業を、レースを廃止するということを提案しているわけでありますが、当然、私は管理者としての責任におきまして、最後の最後まで、この競馬組合の対応について万全を期すということで努力をしていかなければなりません。
 今、議員の方からお話がございましたとおり、一方で知事あるいは管理者としての任期が迫っておりますし、時期が来ましたら退任ということになるわけでありますが、私はこの競馬問題につきましては、任期の間は任期の間の中で、一番最善の対応ができるように全力を尽くす覚悟でありますし、また、任期が終わりましても、それはその任期が終わって管理者、知事を退いた後でも、その退いた後の立場で、こうした問題について自分としてできること、最善を尽くしていきたいと、このように考えております。
〇総務部長(川窪俊広君) お尋ねのうち、0.3%という利率の考え方でございますけれども、これは、さきの定例会で否決となりました融資スキームにおきましては、0.3%の金利で競馬組合へ貸し付けを行うという案にしてございました。
 0.3%という考え方は、県の歳計現金や基金等のいわゆる余裕資金を現実に運用している運用の実績見合いの率であるというものでございます。
 他の市町村との関係につきましては、他の市町村とは、県は基本的に対等な関係にある他団体への貸し付けであるということでございますが、競馬組合は、県と二つの市を構成団体とする一部事務組合でございまして、県の事務を共同処理する一部事務組合である地方公共団体であるということから、運用利息程度の利子をいただくことで適当なのではないかという考え方で、0.3%という考え方にしているものでございます。
 また、次のお尋ねの98億円の今回の補正予算の財源でございますが、これは、県債管理基金を取り崩して充てることとしたいと考えております。これにつきましては、さきの定例会で否決となりました競馬融資のスキームにおきまして、県の主要3基金を297億5、000万円取り崩すという提案をしておったわけでございますが、それが否決されたことに伴いまして、その残高が残る形になりますので、その部分から98億円の財源を県債管理基金取り崩しとして充てることとしたものでございます。
〇45番(千葉伝君) 御答弁いただきましたが、私どもの中で、前回の案、いわゆる330億円の融資案、これについて賛成、反対、それぞれの考え方が出たわけであります。そういった中で、特に私どもの中では何とかこの競馬を存続する手だてはないのか、ここが根底に実はありました。そういった中から、可能な限り県からの支出を圧縮する案を実は期待しておったわけであります。そうした中、知事の御答弁、これまでの答弁は、一貫してこれしかないと、こういう案であります。私は、そういった中で、一つは、奥州市あるいは盛岡市、この構成団体としてぎりぎりの線で10億円ずつ、20億円を拠出すると、この分については、県の基金の取り崩し分がその分圧縮される、20億円が圧縮される。
 もう一つ、0.3%が1%にならないかと言ったのは、確かに、ほかの町村との整合性も考えるべきであろう、そういった意味で、やっぱり奥州あるいは盛岡市も、自治振興資金並み、そういったあたりで私は考える必要があろうかと、こういうことであります。そこまでやりますと、たしか2億7、000万円、3億円近い分がそこからも出てくる、こういうこと。あるいは、さまざまな案を考えて、何としても代案として私どもは期待していた、こういうことになります。そこの分を私は再度お聞きしたいと思います。
 それから、廃止という意味の中では、競走をやめるという意味と、競馬組合をやめるという意味がある、こういう御答弁。そうした中では、もちろん廃止していく部分の一定の期間が必要だと。そういった部分では、競馬組合が存続する必要があろうと思います。そういった中で、競走をやめるという判断については、知事自身が判断をしたのでしょうか。
 いずれ、4月1日からいきなり廃止、いわゆる競走をやめる、そこを考えますと、たしか知事は、昨年の11月か12月、いろいろな関係者と協議を行って、あるいは馬主の方々と馬を確保する、こういったことでいろいろ協議をしたと思います。それから、いろいろな関係者と来年度計画において契約を結んでやってきた。もしこれが廃止ということになれば、そうした方々への補償も含めて、いろいろな形で経費はかかってくるだろうといったことが考えられます。
 最後の最後は、よく県民、あるいはほかの人たちは、何で県のお金をそんなにいっぱい出すんだと、単純な考え方を多くの人が持っているかもしれません。私自身も、いろいろな方々から聞けば、やめたときの、廃止のスキームのときに、では幾らかかるかと。ここの部分のいろいろな考え方の中で、330億円なのか、あるいは372億円とは言いますけれども、やめた場合は本当にそれで済むのか。私は、もっとかかるんじゃないか、こういうふうな思いもあります。そういったことは、今回の競馬を廃止する、あるいは存続するといった論の中で、もう一度県民に、どちらがいいのか、こういったことも私は再度考えていただきたいという思いをしております。
 そのことも含めて知事の見解を聞きたいと思います。
〇知事(増田寛也君) 存続あるいは継続させるための考え方として、私どももいろいろなケースを考えてみました。その上で、先ほどの、県民負担を最小にする、それから、赤字をこれ以上出さない形でレースを続ける。この赤字を出さないという形がどういうものかということで先般の案になったわけであります。
 今お話しの中で、一時的な県の支出を圧縮するようなことを期待していたというお話もございましたが、私どもの考え方は、今、金融機関からお金をお借りしているものについて、それ全体を一度清算する、こういう考え方に立っているものでありますが、仮に、平成18年度までの分を清算する、こういう形ですと、見かけの一時的な県費の支出はもっと抑えられることは確かに事実でありますけれども、しかし、19年度に入ってすぐにそこの元利の償還が求められます。少なくとも、赤字が出ないという収支均衡のルールをその際には適用できなくなるわけで、単年度でも平成18年の元利の支払いが求められる。利息だけでも3億円の支払いが求められる。私どもで、これは何度も何度もこの場でも議論がございましたけれども、今、継続するとしても、競馬組合が行います事業計画の中で、その収支の中で3億円を吸収することは事実上不可能でありますので、継続したとしても、即その時点で廃止をする。もしそのルールを外してしまいますと、赤字が毎年毎年膨らむ。その赤字補てんをしながら事業を続ける、こういうことになってしまうので、その330億円全体で融資をするということが一番この事業を継続する場合の最小の負担であるということについては、やはりこのルールはなければいけないもの、このように判断しているものであります。
 先般、両市長から10億円ずつの自主的な財源の積み増しが出てまいりました。この考え方は、私どもが先般県議会の方に御提案申し上げておりました330億円という全体の枠組みの中で、それを維持しながら、県負担を少しでも減らそうということで出せるものということでありますので、全体として見れば、枠組みを維持しつつ県負担の軽減につながる案であると思えるわけでありますが、しかし、15日に、あるいは16日の未明までかかりました議会で330億円の融資自体が否決されたということでありますので、今回、事業の廃止を前提とした議案を提案させていただいたところであります。
 それから、組合解散ではなくて競走をとめるということについては、知事あるいは管理者自身がその内容についてまで判断していいのかどうかということでありますが、これは、未明の記者会見で私そのように申し上げました。それは管理者の権限というふうに申し上げたのですが、当然のことながら、事前に両市長とも十分に話し合いをして、それで、両市長も言っておりましたけれども、この案がなければ競馬は廃止に追い込まれるんだということを両市長とも何度も打ち合わせをして、そしてつくり上げたあの案でありました。したがって、あの案が否決されますと、それは即廃止につながるという認識は両市長さんとも持っておられるものでございます。もちろん、大変重たい判断が加わるわけでありますので、一方で、競馬場が所在し、多くの今まで一生懸命競馬を支えてこられた人たちが地元にいる中での市長さんの判断ですから、それを外に出して言うのは大変難しいと思っておりますが、今まで両市長さんとも相談し合った議論の上で練り上げたそういう計画でございますので、その点については、両市長さんも、あの案がだめであれば廃止につながるということは認識しているものと思います。
 それから、廃止に伴う経費がかかりますので、ぜひともそこの経費が生じないように、何とか事業を継続したい、こういう思いでおりました。今お話ございましたとおり、いろいろな関係者の皆さんの生活再建の問題、それから補償の問題等々ございまして、他競馬場が廃止になった場合のこともいろいろ聞いているところであります。そういったこともありまして、それを何とか避けるためにも、廃止になれば372億円ほどかかると考えておりますが、それでなくて、330億円の融資を何とかお認めいただきたい、こういう思いでいたわけでございますけれども、この点については、経費のみに換算できないものもいろいろ出てくるかと思います。仮に廃止になれば、もちろんそうした対応については県として万全を期していきたい、こういうふうに考えているものでございます。
〇議長(伊藤勢至君) 次に、小原宣良君。

前へ 次へ