平成12年9月定例会 第7回岩手県議会定例会会議録

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〇23番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第1号、第9号から第16号、第28号について反対の討論を行います。
 議案第1号は、2000年度岩手県一般会計補正予算であります。総額220億円余の補正のうち、公共事業費が約180億円、81.5%を占める公共事業拡大の補正であります。これは、国の経済対策による公共事業等予備費に関連するものが中心ですが、92年8月の宮沢内閣以来、経済対策として11回、事業規模で125兆円、うち、公共事業に71兆円つぎ込んできたものの、ゼネコン奉仕型公共事業が645兆円もの借金の山を築いただけで、景気の回復にも、国民の暮らしと雇用にも、結びつかなかったことは明らかであります。だからこそ、今、むだと浪費の公共事業の見直しが緊急・重大な課題となっているのであります。
 岩手県政の場合も例外ではありません。220億円の補正予算の財源は、県債が102億円余で、借金で賄われるものであります。県債発行額は今年度で1、322億円余、県債残高は1兆2、150億円となり、これは県民1人当たり85万8、000円の借金であります。さらに、昨年10月に見直したばかりの中期財政見通しは、早くも破綻した状況であります。本来、補正予算というなら、緊急・重要な課題に対応すべきものであります。しかし、今回の補正の内容は、従来型の公共事業の積み増しとなっています。
 第1に、総務費78億円余の補正のうち70億円余は、東北新幹線建設事業費負担金であります。今回の事業費288億円に対応するものでありますが、既にこれまでに事業費合計で3、869億円余、岩手県の累積負担額は803億円余、岩手町5億4、000万円、二戸市7億400万円余の負担となっています。ところが、昨年度末の工事発注額は1、704億円余、地元企業への発注額は197億円、発注比率は11.6%となっています。県予算で見ると、昨年度208億円余の負担金のうち87億8、100万円、42%が今年度に繰り越しとなりました。大盤振る舞いの事業費が消化し切れていないというのが現状ではないでしょうか。
 盛岡以北の新幹線の整備は必要なことでありますが、財源の見通しもなく、事業費だけを拡大するやり方は、これは問題であります。経済的にも財政的にも困難を抱えている地方自治体に、大きな負担を押しつけるやり方は、見直すべきであります。
 第2に、農林水産業費の補正は57億円余でありますが、大半が公共事業であります。農政で75.8%、林水で66%が公共事業であります。
 今、農政で求められていることは、米、野菜の価格の暴落への対策であり、水産業でもサケに続くワカメの暴落は重大であります。これらの一番の原因は、無秩序な輸入の拡大によるものであります。緊急にやるべきことは、ミニマムアクセス米の削減と自主流通米の値幅制限の復活、政府米買い入れの抜本的拡大であります。野菜、ワカメの暴落に対しては、セーフガードの発動と必要な価格補償の対策が必要であります。農業土木事業優先、公共事業一辺倒のやり方は、県民の願いにも農林水産業の振興にも役立たない、逆立ち行政そのものであります。特に、新規就農者対策で効果を上げている新規就農者経営確立支援事業を行政改革の名のもとに、わずか3年間で廃止し、補助から融資制度に転換しようとしていることは重大であります。実態は、新規就農者年間200名の目標に対し、80名から90名にとどまっています。
 増田知事は、私の質問に再検討を言明しましたので、ぜひ真剣に対応していただきたいと強く求めるものであります。
 大規模林道川井・住田線、横沢-荒川区間の問題も今議会で熱く議論されました。この議会中の9月30日から10月1日にかけて、大規模林道の問題を考える全国集会がこの岩手で開かれ、現地調査と講演、討論が行われました。改めて、自然環境を破壊し林業振興とは結びつかない事業のための事業という現状、費用対効果でも約150億円のマイナスとなる実態が明らかにされました。こうした事業こそ、冷静に抜本的に見直すべきであります。
 土木費の71億円余はほとんどが公共事業であります。軽米町の大雨災害対策にかかわる住宅整備など、緊急性、重要性があるものもありますが、鷹生ダム建設事業費など、ゼネコン奉仕型が特徴であります。
 今議会では、大船渡地方振興局にかかわる談合事件が発覚し、公共事業のあり方、入札制度の改善、建設業界のモラルが厳しく問われました。今回の談合事件の背景には、これまでの建設業者、業界とのなれ合い的体質があったと思わざるを得ません。落札価格がほぼ予定価格に接近していること、一部業者が公共事業をとり過ぎている事例も見受けられました。これらの解決のためには、県行政として談合は許さないという毅然とした態度を確立し、談合事件の真相と背景を徹底して解明することが必要であります。同時に、入札制度の抜本的改善を図ることが必要であります。
 一つ、原則として、ランク別、地域別の条件つき一般競争として、地元企業の育成を図る措置をとること。二つ目に、設計金額、予定金額の事前公表を拡大し、そして落札結果を公表すること。談合情報が寄せられた場合、入札参加業者を抽選をして半減させて実施するとか、情報どおりの結果が出た場合は入札を無効とするなどの、効果のある具体的対策を実施するよう提言し、その具体化を求めるものであります。
 今、緊急に対応すべき緊急課題の一つは、10月から高齢者の保険料が徴収される介護保険への対応であります。県が実施した利用状況調査では、在宅介護サービスの利用率が限度額に対してわずか28%にとどまっています。50%未満の利用が88%に達しています。これでは家族の負担が重く、在宅介護は成り立たないのではないでしょうか。訪問介護やデイサービスなどの介護サービスを減らした高齢者が12%から14%に及び、ショートステイは3月と比べ、延べ1万人が利用を減らしています。こうした問題の背景にある一番の問題が、高過ぎる利用料の負担であります。10月からの保険料の徴収であります。水沢市や釜石市など、10市町村で独自の利用料を免除、軽減策を実施し、遠野市も実質3%負担軽減策を実施しました。これは住民の切実な願いにこたえた当然の措置であります。
 山田町、岩泉町で、独自に老齢福祉年金受給者に対し、保険料免除措置を実施したことも、住民の生命と健康を守る自治体として積極的に評価されるべきものであります。新聞報道によれば、自民党の亀井静香政調会長が1日夜、低所得者からは保険料を徴収しないなど、減免措置を講じる法改正を来年の通常国会で行うと述べたと報じられています。介護保険制度の根本的欠陥を是正し、低所得者に対する利用料・保険料免除、軽減措置を一刻も早く確立すべきであります。真剣に積極的に取り組んでいる市町村に、県は激励、援助することはあっても、干渉、介入すべきではありません。
 議案第9号から議案第16号までは、建設事業に要する経費の一部を関係市町村に負担させるものであり、反対します。
 議案第28号は、釜石漁港修築工事の請負契約に関するものでありますが、落札金額が設計金額に対して98.6%となっています。予定価格との比率はさらに接近します。これは、適正な競争が行われたとは考えにくいものであり、今後の入札のあり方の改善を求め、反対するものであります。
 以上で私の反対討論といたします。御清聴ありがとうございました。
〇議長(山内隆文君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、議案第1号、議案第9号から議案第16号まで及び議案第28号を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(山内隆文君) 起立多数であります。よって、議案第1号、議案第9号から議案第16号まで及び議案第28号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第2号から議案第8号まで、議案第17号から議案第27号まで、議案第29号から議案第37号まで及び請願陳情を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(山内隆文君) 起立全員であります。よって、議案第2号から議案第8号まで、議案第17号から議案第27号まで、議案第29号から議案第37号まで及び請願陳情は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
日程第40 委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件
〇議長(山内隆文君) 次に、日程第40、委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件を議題といたします。
〔参照〕
総務委員会
 超高速光ファイバー回線を利用した研究開発の現状について
環境福祉委員会
受理番号件  名
32介護保険の改善を求める請願

商工文教委員会
 県立高校における職業教育の現状について
農林水産委員会
受理番号件  名
29米価の下落を抑えるため、自主流通米の値幅制限の復活を求める請願
30激増する野菜等の緊急輸入制限(セーフガード)の発動を求める請願

土木委員会
 簗川ダム建設事業について
〇議長(山内隆文君) お諮りいたします。委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件につきましては、先ほど各委員長から報告のとおり申し出がありましたが、委員長から申し出のとおり、閉会中の継続審査及び継続調査に付することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(山内隆文君) 御異議なしと認めます。よって、本件は、委員長から申し出のとおり、閉会中の継続審査及び継続調査に付することに決定いたしました。
日程第41 認定第1号平成11年度岩手県立病院等事業会計決算から日程第43 認定第3号平成11年度岩手県工業用水道事業会計決算まで
〇議長(山内隆文君) 次に、日程第41、認定第1号から日程第43、認定第3号までを一括議題といたします。
 各案件に関し、委員長の報告を求めます。伊藤決算特別委員長。
   〔決算特別委員長伊藤勢至君登壇〕(拍手)

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