平成12年9月定例会 第7回岩手県議会定例会会議録

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〇10番(佐々木順一君) 自由党の佐々木順一でございます。
 ただいまの先輩伊藤勢至議員の後塵を拝しまして、大船渡地方振興局管内における不祥事に関係いたしまして、先ほどの知事の御答弁さらには本定例会冒頭の陳謝、そしてこれに関連する記者会見における一連の御発言を踏まえまして、知事、総務部長及び警察本部長にお伺いを申し上げます。
 まず御指摘申し上げたい点は、かかる類似の不祥事は1年で2回ということもありましたけれども、ほぼ1年周期で発覚していることでありまして、その数はいろいろ見解があると思うんですが、おおむね8件に上っているところでございます。その都度、知事におかれましては事態の深刻さにかんがみまして、議会を中心に陳謝し、県職員一丸となって再発防止など、綱紀の粛正に取り組むことを県民にかたく誓ってきたところでもあります。しかしながら、結果的に、これまでの苦い経験に基づく教訓が生かされない状態のまま今日に至っていることは、極めて残念なことでありまして、議会としても一抹のむなしさを覚えるのは私ばかりではないものと思います。
 有珠山や三宅島あるいは最近の東海地方の自然災害に象徴されるように、自治体はさまざまな危機に遭遇するわけでありますけれども、岩手山問題もさることながら、一連の本県における不名誉な事態は、言うならば内部的危機そのものでありまして、まさにその管理が問われていると言っても過言ではないと思います。
 時代が大きく変化するときには、さまざまなきしみや弊害が生じることは、これはやむを得ないことでありますけれども、一連の不祥事は明らかに許容の限界を超えていると思います。したがいまして、危機への的確な対処こそ、政治家としての首長の最も本質的な機能でありますが、なぜこうも不祥事が続くのか理解に苦しむところでもあります。
 つきましては、知事におかれましては、この原因をどのようにとらえておられるのか。また、こうした内部危機をどう克服しようとしておられるのか、率直な御見解をいただきたいと思います。
 さらに関連し、お伺いいたします。
 一連の知事の御発言から、たび重なる不祥事に心を痛めておられることは、胸中察するに余りあるところであります。思うに、今回の不祥事の報に接し、知事は、言うならば天を仰ぐ心境にあったものと拝察いたしており、やがてその心境は、怒り心頭に発するお気持ちに変化しつつも、直ちにこの危機を乗り越えるために、防災無線を通じて全職員にメッセージを送るとともに、地方振興局へも足を運ぶなど、入札制度の見直しを含めまして、県行政の信頼回復と再発防止に向けまして、これまでにない瞬発力と指導力を発揮し、問題の本質的根絶に先鋭的に取り組まれていることに敬意を表するものであります。
 しかしながら、今回の事態が刑事事件に発展したことに伴いまして、先般、知事は、最高責任者としての御自身の監督責任に言及されたと仄聞しておりますが、同時に、人事の実質的責任も問う旨の考え方もにじませたとお聞きしております。
 私は、もののふの責任の取り方については、高度な政治判断であることから第三者が軽々に論ずるべきことではないと思っておりますけれども、後段の御発言につきましては、知事が常々強調されている人事の基本政策、すなわち、適材適所の配置という人事政策が機能しなかったことを指摘されたものと理解するものでありますけれども、責任の所在が二つに分離されて伝わっていることから、今後、さまざまな誤解が生じる可能性があると危惧するものであります。
 信賞必罰の判断を含む人事政策は知事の専管事項であることから、この二つの責任を分離することは事柄の性質上、不可能であると思っております。つきましては、この御発言の真意について御確認をさせていただきます。
 それからもう一点、ほんのごく一部の方々の行為によって、全体が不名誉な見方をされることは、組織に所属している者の宿命としてやむを得ないことではありますが、一日も早く県行政の誇りと名誉が回復されることを心から願うものであります。しかしながら、私は、相次ぐ不祥事により、健全な県職員の皆さんの士気が萎縮、低下しまして、このことにより無気力感が忍び寄り、結果的に県行政が停滞することを懸念するものであります。
 20世紀の幕は3カ月後には間違いなく下ります。この上は、21世紀を担う分権社会にふさわしい県行政を確立するため、知事におかれましては、世紀末に発生した忌まわしい問題を新世紀まで持ち込むことのないよう、可及的速やかに清算し、新たなスタートを切っていただきたいと念願するものであります。
 つきましては、本庁の職員もさることながら、先端の機関で理想と現実のはざまで日々苦労されている県職員の士気を鼓舞し、積極果敢に問題に取り組む環境を今まで以上に醸成することも考慮すべきと考えるものでありますが、いかがでしょうか。
 例えば、今回の地方振興局の巡回とは、内容、時期を異にされまして、折を見て地方振興局、農村整備事務所など、県行政の重立った最先端の機関に赴き、陣頭指揮に当たられることも効果があるものと考えるものであります。これは、違った意味の現場主義でもあります。この点につきましては、執行部側の裁量の問題であり御答弁は求めませんけれども、何か御所見がおありになるのであればいただきたいと思います。
 次に、総務部長にお伺いします。
 今回の不祥事を重く受けとめ、入札事務を土木部から総務部に移管することを検討されているとお聞きしておりますが、分離の主な理由と効果についてお伺いします。
 また、移管の時期さらには移管される事務処理は県の公共事業の発注に限定されるのか、あるいは入札全般にわたることも考慮の対象になっているのかを含め、所掌事務の区分についてお伺いします。
 さらに、当然、地方振興局もこれに沿った機構になるものと思います。したがいまして、さまざまな精密な審査が伴うことから、専門的知識と経験豊富な人材の確保が求められると思いますが、このハードルをどうクリアされるのかお伺いいたします。
 最後に、警察本部長にお伺いします。
 今回の不祥事が刑事事件に発展したことから、その容疑と犯罪の構成について明確にする必要があると思いますので、御答弁をいただきたいと思います。
 以上であります。
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 佐々木順一議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、不祥事が連続して起こっているわけでありますけれども、まず、職員が全体の奉仕者として公正かつ厳正な職務遂行が求められる、これが公務員の基本だと思います。こうした公務員の基本的な職責に、今回問題を起こしたそういった職員の人たちは思いをめぐらせなかったということがございますし、また、公金は県民からお預かりした貴重な税金に基づくものであるという意識にも欠けていると。これがすべての職員にそうした意識が薄れているということのないように願うものでございますけれども、こうした職員の公務意識ということについては、常々その意識の喚起に努めておかなければならないと、こういうふうに思っております。そうしたことで、今まで不祥事が起こるたびにその再発防止ということでいろいろな取り組みをしてきたわけですが、そうした不祥事の反省が実は今回生かされていなかったという点は、これは事実は事実として厳粛に受けとめなければならないというふうに思っておりますけれども、これが職員一人一人、やはり事件が発生した際には、知事部局5、000人を超える職員がいるわけで、本当に一握りの本当にある部署の特定の問題ということで、他人事のようなとらえ方をしていて、当事者意識が全体として欠如していたということも、その大きな要因の一つであったというふうに思っております。
 いずれにしても、県政に対する県民の信頼というものは、今回のことで大きく信頼が揺らいでいるわけでございますし、こうした信頼を失ったもの、一度失われた信頼を取り戻すことは容易でないというふうに、私自身、大変厳しく受けとめているわけでございますが、こうしたときにこそ、従来ずっと職場の慣行として続いていた見直すべき事柄、そうしたものをしっかりと見直しをしていくと、変革を遂げるチャンスととらえていかなければならないと、私も含めて職員一丸となって、そうした新しく県庁が生まれ変わるチャンスというふうにとらえて、そして県民の信頼回復に向けて全力を挙げて取り組んでいきたいということで、今考えているところでございます。
 いずれにしても、今回の事態を招いたということにつきましては、私自身は県政の運営全体を預かる最高責任者としてのその責任を痛感しているところでございます。さらに、事業実施部門あるいは管理部門と、県庁も大きく分ければそのようにいろいろそれぞれ部門部門があるわけでございますが、事業実施部門は事業実施部門としてのそれぞれ責任があるわけでございますし、人事なども含めた管理部門は管理部門としての責任といったように、すべての職場でこの問題を他人事としてではなくてみずからのこととして受けとめて、そのみずからの持っている責任というものを十分自覚をして職場再生に向けて努力をしていく必要があると、このように強く感じているところでございます。
 それから、私の陣頭指揮についても最後に触れておられたわけでございますが、特に県民の皆さんと直接接する機会や現場業務の多い地方振興局、それから特に出先の職員に対して、私自身もそうでございますし、私も含めて幹部職員がいろいろな機会をとらえて足を運んで、公務意識の高揚とあわせて、いろいろな仕事が日常待ったなしで今対処しなければならない問題が山積しておりますので、積極的な業務執行ということについて激励、督励をするなど、職員の士気の高揚にも努めていきたいと、このように考えております。
   〔総務部長武居丈二君登壇〕
〇総務部長(武居丈二君) 入札業務に係る総務部門への移管についてでございますけれども、今後のより一層の業務の信頼性、公正性の向上を図るため、県営建設工事等にかかわる入札業務を工事執行部門から分離しまして、本庁・地方振興局とも平成13年4月に総務部門へ移管したいと考えておりまして、これは組織再編全体とも絡んでまいりますことから、現在、その対象や範囲などの詳細につきまして、関係部局とともに検討を進めているところであります。
 移管に当たりましては、事前の研修会の開催、マニュアルの整備を行うほか、総務部門におきまして業務量に応じた増員、入札業務の従事経験者など専門知識を有した職員の優先的な配置、工事執行部門との調整に当たる技術職員の活用なども含めまして、入札業務の執行が円滑に進むよう万全の体制で臨みたいと考えております。
   〔警察本部長出原健三君登壇〕
〇警察本部長(出原健三君) 御質問の容疑罪名に関してお答えいたします。
 今回の事件につきましては、本年9月7日、競売入札妨害並びに虚偽公文書作成、同行使の容疑で6人を逮捕し、9月9日、同容疑で盛岡地方検察庁に送致したところであります。
 なお、捜査につきましては現在も継続中でありますので、詳細についての答弁は差し控えさせていただきます。
〇議長(山内隆文君) 次に、小野寺研一君。
   〔6番小野寺研一君登壇〕(拍手)

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