平成12年9月定例会 第7回岩手県議会定例会会議録

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〇34番(伊藤勢至君) 自由党の伊藤勢至でございます。
 平成12年9月定例議会に当たり、質問の機会をいただきましたことに感謝しつつ、順次質問してまいりますので、増田知事を初め当局の積極的な答弁を期待いたします。
 まず最初に、第42回衆議院議員選挙の結果についてお伺いいたします。
 本年6月25日、岩手県民の厳粛なる審判をいただき、結果として、1区、3区、4区それぞれの小選挙区と比例代表3人の、あわせて6人の衆議院議員を当選、誕生させていただくことができました。このことは、県内比例代表得票率40.96%とあわせて、県民の皆様の自由党に対する信頼と期待の厳正なる意思表示と受けとめ、この機会に県民の皆様に厚くお礼申し上げますと同時に、我が党が高く掲げてまいりました、たゆまざる改革と日本一新に向かって、小沢一郎党首を中心に一致団結、邁進していくことを改めてお約束申し上げるものであります。
 本県選出の国会議員9人のうち、7人の議席をいただけたことは、まさに岩手に七福神を授かったことと考え、日本国はもとより、東北・岩手の発展のため、御尽瘁をいただかなければなりません。特にも私は、三陸に生を受けた者といたしまして、かつて当県議会で同期・同僚でありました黄川田徹衆議院議員を待望の三陸の黒潮議員、そして再選になりました工藤堅太郎衆議院議員を親潮議員ととらえております。三陸沿岸出身の3人の衆議院議員によって、来るべき21世紀に向かって、三陸への新しい風を国政の場から起こしていただきたいと考えているところであります。
 立っている者は親でも使えという、ちょっと乱暴なことわざがありますが、政治を志して立った者は、まさに使ってもらってこそ、その使命が果たせるものと思います。
 そこで伺いますが、増田知事は県政を進めるに当たって、本県選出の国会議員団との連携をどのように構築していこうとしておられるのか、お示しをいただきたいと存じます。
 次に、大船渡地方振興局における入札不正事件について伺います。
 久慈・花巻両地方振興局、企業局の職員による不祥事、そして今回の大船渡地方振興局の入札不正事件の発生と、県職員の不祥事が連続しております。そして、ついにというか、大船渡の事件では逮捕者まで出てしまい、まことに残念なことであります。そして、そのたびごとに、知事、副知事、関係部局長等から遺憾の意の表明があり、陳謝、おわびが繰り返されてきました。本定例会開会日においても、冒頭、増田知事から陳謝があったところでありますが、就任以来、県内各地の均衡ある発展のためには、地方振興局の充実が先決であるとの考えから、率先垂範、現場重視の姿勢を貫かれてきた知事としては、笛吹けど踊らず、親の心子知らずの状況に切歯扼腕、まさにやんぬるかなの心境であろうと推察いたします。
 地方振興局の充実を図られる考え方には、全面的に賛成するものでありますし、幹部たる者は地方振興局勤務を経験すべしとの考え方も支持いたします。ただ、問題は、地方振興局の勤務に赴く職員の意識にあるのではないかと思います。どうせ2年間ぐらいの都落ちだからという緊張感の欠如から発生する、新しくタッチする事務事業への安易な取組姿勢に根本的な問題があるのではないかと思います。
 知事も私たちも、4年に1度の洗礼を受けてこの場に臨んでいる点では同じでありますし、知事が任命し議会が同意した副知事や出納長も、何か事があれば知事に殉ずるという点では同じであります。しかし、国家・地方公務員は、高校卒で40年、大学卒で30数年、任についてしまえば洗礼やリストラに遭うこともなく、定年までエスカレーターに乗っていくことができ、この点が天と地のごとく全く違うところであります。それだけ公務員の地位は高いのでありまして、ゆえに彼らも試験を受ける際にはパブリックサーバント、大衆への奉仕者を目指しますと必ず初々しく熱っぽく語り、その目は崇高なる使命感に燃えていたはずであります。それがなぜ、このような一連の不祥事を引き起こすことにつながるのか。もちろん、大多数の職員のまさにパブリックサーバントたらんとする懸命の努力によって岩手丸が動いていることは認めるところでありますが、この根本的な問題の解決がなくては今後も起こり得ることと危惧いたしますが、いかがでしょうか。
 また、同時に大切なことは、本県の重要な基幹産業とも言える土木、建設業への発注等の事務執行が、あつものに懲りてなますを吹くような状態となって、県内経済の停滞を来すことのないように、反省とペナルティーと善後策を同時に粛々と進めていただきたいと存じますが、改めて増田知事のお考えを伺います。
 また、今回の事件の報道では、あたかも地元の県議会議員が関与したかのような、個人中傷文書が多量にばらまかれているとの記事が随分と見られました。
 8月3日付の岩手日報紙により、県は、地元の県議会議員が圧力をかけた等とする点について、事実がないことを確認したと発表しているとの記事を見て、この県議会に同じく議席をいただく議員として安心していると同時に、タメにする卑劣な手段に憤りを感じているところであります。
 中傷文書に関して、県警が慎重に捜査を進めているとのことでありますが、現時点でどうなっているのか、捜査に影響のない範囲で県警本部長にお伺いをいたします。
 次に、三陸縦貫自動車道路と、これに結節する西道路及び宮古港の港湾計画の縮小について伺います。
 昨年及び本年の4月、建設省と岩手県から、相次いで宮古待望の道路計画が発表されました。三陸縦貫自動車道宮古道路が新規着工準備箇所として4.5キロメートル、宮古盛岡横断道路のうち、西道路として整備区間3.6キロメートルという事業採択の発表でありました。このことは、宮古広域圏の長年の待望する道路がいよいよ動き出したことでまことに喜ばしく、県当局を初め、今日まで努力されてこられた先輩の方々に心から敬意を表するものであります。しかし、今回発表になりました計画をじっくり拝見すると、私どもが知らされていた当初の計画と随分乖離したものであることに気がつきました。
 そもそも、三陸縦貫自動車道路を新幹線に例えれば、仙台から宮古までと久慈から八戸までがフル規格、間にある宮古-久慈間はミニ規格という、とてもトータルで三陸縦貫自動車道を高速道路と呼ぶにはおこがましい計画でありますが、この部分は国政の課題として三陸選出の衆議院議員にお願いすることとし、県政に係る部分でお尋ねをいたします。
 1、三陸縦貫自動車道の宮古のエンド、終点は、閉伊川を越えて市内に深く入ってくる計画と聞いておりましたが、これが閉伊川以南でとまってしまう計画に変わったのはなぜか。
 2、県はこの終点をインターととらえて、ここから西道路3.6キロメートルの計画をしたものと思いますが、連動して、国も県も応分の負担をするので宮古市も応分の負担をということから、この西道路から宮古市内に入る道路を宮古市に負担させるようで、その金額は40億円ぐらいと聞いております。86兆円の予算の国と、9、000億円の予算の県と、185億円の予算の宮古市が応分の負担ということであれば、市の負担は案分率から言ってせいぜい3億円から4億円が妥当だと思いますが、なぜ40億円の負担なのか。また、関係各市町村は、三陸縦貫自動車道に関する地元負担はゼロ円だと聞いておりますが、なぜ宮古市だけが40億円の負担を強いられなければならないのか、お伺いをいたします。
 3、この計画どおり進捗すると、宮古-久慈間の道路が、宮古から久慈方面へ動き出すのは20年も先になってしまうのではないか。そうであれば、宮古市の懸案の県立宮古病院への市内からのあと1本の道路、いわゆる北部環状線は、私の目の黒いうちは見えないことになってしまい、市民の皆様に申しわけなく、死んでも死に切れず、増田知事を初め道路関係者のところに化けて出るしか方法がないと考えますが、いかがでしょうか。事は重大で、宮古広域圏の将来を左右する問題でありますので、真剣なる答弁をお願いいたします。
 次に、宮古港港湾計画の縮小について伺います。
 昨年12月27日、宮古市議会全員協議会が開かれ、その場で宮古港港湾整備計画の縮小が発表されました。私が初めて縮小計画を知ったのはこの後であります。これも国の施策でありますが、どんな計画を縮小するときであれ、国はまず第一に地元の国会議員に説明するはずであり、それを知った県は、当然、我々に説明があってしかるべきと思いますが、なぜ今回の縮小計画の説明がなかったのか、まず伺いたいと存じます。
 計画は、水深7.5メートル岸壁3バース縮小、水深13メートル岸壁1バース縮小、そして龍神崎堤防600メートルを400メートルに縮小ということであります。百歩譲って、バースの縮小は現時点では仕方ないとして、龍神崎堤防の縮小は何としても避けるべきだったと思います。
 現在、宮古湾内の堤防かさ上げ工事が進められておりますが、これは明治29年の三陸津波程度の8.5メートルの潮位にも耐え得る堤防にすることを目的としております。あと数年で完成予定と聞いており、これが完成しますと、当然、宮古湾内の漁業と藤原埠頭に立地する企業を守ろうとの観点から、湾口防波堤が持ち上がってくることは火を見るより明らかであり、そのときのベースとなるのがこの龍神崎堤防であります。
 かつての第2港湾建設局長で宮古の港湾計画の策定に深くかかわった方からも、時間をかけて積み上げてきた成果を縮小させてはだめじゃないかとおしかりをいただきましたし、本年2月、工藤堅太郎氏と一緒に、当時の二階運輸大臣に宮古の港湾計画を縮小しないようにと直訴した際にも、地方の審議会で結論を出す前に来なくてはだめだと、これまたしかられてまいりました。なぜ県は情報を知らせなかったのか。重要港湾と言いながら、なぜ国の縮小計画をうのみにしてしまうのか。言っていることとやっていることが、まるで違っていることの説明を願いたいと存じます。
 次に、横軸連携の推進について伺います。
 県は、宮古、盛岡、秋田の横軸連携を進めていますが、どうも上辺のかけ声だけの運動のように思えてなりません。南部藩と佐竹藩は幕末戊辰戦争を戦った間であり、書籍によれば、南部藩240名、佐竹藩454名の多数の死者を出していますし、隣の津軽藩も79名の死者を出しております。これらの犠牲になった方々は、好んで戦ったのではなく、奥羽越列藩同盟による藩の命令であったり、先を見越して生き残りを考えた末の戦いへの参加であったり、いろいろと時代の背景があってやむなく戦った部分があると思われます。当時の犠牲者への慰霊の気持ちも持ちながら、遺族などの関係者のしこりを解消するなど、岩手、秋田、青森も含めて、過去の歴史を清算し見詰め直すという観点を大事にしながら、心の交流、精神的なものの交流を大事にしていくことで、連携をより実のあるものに高められると思います。
 ちなみに、盛岡中央公民館学芸員の話ですと、原敬がかつて戊辰戦争後50年時に追悼の会を開いたとの話は聞いたことはあるが、その他の慰霊行事などを行っているとは聞いたことがないとのことであります。また、横軸連携を進めるに当たっては、岩手と秋田の県際も大事でありますが、まずもって本県の中の連携、すなわち宮古-盛岡(雫石)間の連携・交流が重要と考えます。県内の連携を進めずに、他県との部分をせっついても説得力に欠けると思います。
 新渡戸稲造先生は、我、太平洋のかけ橋とならんとおっしゃったのであって、日本海のかけ橋とは言っていません。県はこのこともあわせて、横軸連携の進め方をどう考えているのか、お伺いをいたします。
 次に、再び三陸ナンバーの設置について伺います。
 私は、昨年の12月県議会においても、三陸地域をゾーンとして売り出す手段として、車両の三陸ナンバーの設置を提案し、当時の渡辺企画振興部長の答弁は、中長期的課題ということでありました。しかし、あれから1年、いろいろと事情が変わってまいりました。北は種市町から南は陸前高田市まで、それぞれの14市町村長さん方に三陸ナンバーの意義を御説明申し上げ、大変にいいことと思いますから、ぜひ実現させるようお互いに努力しましょうと御理解をいただいてまいりました。
 また、国にあっては、運輸省が、地域振興のため、御当地ナンバーを採用してほしいとの地元自治体の要望を受け、2003年度から、例えば静岡・沼津陸運支局の管轄地域では伊豆ナンバーが、福島・福島陸運支局といわき事務所の管轄地域では会津ナンバーが使えるようにするとのことであります。
 三陸沿岸地域は、雄大な自然環境を有し、豊富な海産物に恵まれた地域であり、その無限の可能性をいまだに秘めておりまして、県勢発展の財産となり得る地域と信じております。地域おこしもまちおこしも、まず気持ち起こしからであります。そして、そのシンボライズとして、県が主導的に三陸ナンバーの取得を目指すべきと思いますが、当局はどのように考えているか、お伺いをいたします。
 次に、海洋研究の推進について伺います。
 県では昨年から、国連大学、東京大学海洋研究所と共同で海洋研究に着手しました。そのテーマは、物質循環、沿岸生態系、そして海洋汚染防止ということで、県政の目がようやく海を向いてきたことに評価いたします。私は、この研究にプラスして、海水に含まれるリチウム、マグネシウムの採取、海底に眠れる資源、メタンハイドレートの研究を進めていただきたいと提案し、知事からは前向きの答弁をいただきましたが、その後、どこのセクションがどのように取り組んでいるのか、お伺いいたします。
 小型化が進む携帯電話やコンピューターの電源としてのリチウム電池は、岩手大学の熊谷教授の20年にわたる研究の成果であり、平成10年8月から松下電池工業が量産を開始しました。通産省四国工業技術研究所では、海水からのリチウム採取──日本は原料を外国から輸入しております──を始めております。地元の大学の先生の研究を、地元でなぜ活用できなかったのか。四国で海水からの採取をすると言っても黒潮からだけで、これを三陸でやれば黒潮からも親潮からも──どちらに多く含まれているかはわかりませんが──とれるはずだから確率が高い分、岩手が有利と考えてぜひやってもらいたい。
 また、同じく岩手大学の森教授の研究によりますと、地球温暖化を防止するため、二酸化炭素を削減するとなれば自動車の燃費向上の考えから、鉄より堅牢で軽いマグネシウムに変わっていく、そしてそのマグネシウムは海水に無尽蔵に含まれているということであります。リチウムもマグネシウムも、高松の池や北上川ではとれないのであります。
 今話題の海洋深層水の研究は、高知県、富山県、沖縄県を先発県として北海道、千葉県、静岡県、兵庫県なども追随しているようでありますが、既に宮古の民間企業2社は、この活用にかなりの成果を出しております。この際県は、ライバル県の少ないリチウム、マグネシウムの海水採取に他県に先駆けて取り組み、新しい海洋ビジネスを興すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、海岸磯焼け対策としての人工藻礁について伺います。
 北海道では、日本海沿岸の磯焼けに対処して昆布を中心とする海藻群落の形成を促す各種の試みが続けられているとのことであります。そして、この磯焼け状況をクリアして、7年続けて磯焼け地帯に昆布が繁茂したという人工藻礁というものが脚光を浴びていると水産専門紙に報じられておりましたが、本県でもこのような人工藻礁の導入を目指して取り組むべきと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、農業振興について伺います。
 大手食品メーカーのカゴメ株式会社やキューピー株式会社が工場での野菜づくり、いわゆる野菜工場を全国的に展開しております。これは人工光を利用した栽培システム、コンピューター管理による作業自動化システム、自動化された溶液栽培システムなど、植物を最大限効率よく生産するシステムと解されており、現在サラダ菜、リーフレタス、フリルアイスが生産販売中で、ロロ・ロッサ、ムスクラン、サンチュ等の西洋野菜がテスト栽培中と聞いております。本県の県北・沿岸地域は、やませで悩まされてきた地域でありますが、太陽の光がなくても人工の光で野菜が栽培できるとなれば、ただ地理的条件のみでハンディキャップを背負ってきた中山間地の農家にとって大きな福音であります。
 さらに、県が進めているクリーンエネルギーとしての風力発電の安定した風が得られる地域は、まさに中山間地域でありますから、風力発電によって生まれた電気を短絡的に電力会社に売電するのではなく、その電気を使って中山間地域に新しい農業を起こそうという考えを持つべきと思いますが、いかがでしょうか。
 ちなみに、これら野菜工場で生産された野菜は、100%無農薬栽培と呼べることから、ハセップと同様な対応も十分に可能であり、病院、保育園、各学校、老人施設を初め、ファーストフード業界でも引っ張りだこと聞いております。あわせて、当局の考え方を伺いたいと存じます。
 次に、転作作目の奨励について伺います。
 世界の先進国と言われる国の中で、唯一、食料自給のできていないのは日本だけであります。主食の米は確保し過ぎている反面、麦、大豆は90%以上が輸入に頼っていることは御案内のとおりであります。
 大正8年7月、当時の原敬内閣が当時の臨時財政調査会に、「食糧ノ充実ニ関スル根本策如何」と諮問したのは、食料自給に進むヨーロッパ諸国の動向を考慮したものであったと記してある本を読みました。今から80年以上も前に、食料自給に思いをいたしておられた我が郷土の先達は、さすがに偉いと思ったところです。以来、80数年を経て、国は転作作物としてようやく麦と大豆を奨励作目として認め、振興策をとっております。本年6月の新聞報道に、ナンブコムギ品不足というタイトルで、本県特産のナンブコムギの小麦粉が、パンやめん類などの材料として引っ張りだこで品不足という記事がありました。本県特産のナンブコムギは、たんぱく質含有量が最大で12%から15%と、他の品種より2ポイントほど高い上、粉の色もクリーミーで、パン、うどんのほかギョウザの皮など中華食品にまで使われている。しかし、県内需要の4、000トンの半分しか生産量がないということでありました。久しぶりに農業に関する明るい希望のあるニュースであったと受けとめております。このナンブコムギの小麦粉は、全国展開の可能性を持っていると思うからであります。問題は、キログラム当たりの単価でありますが、転作奨励金とあわせれば、米と同等以上の単価確保ができるとも聞きました。農家の所得アップの観点からも、大いに推奨していくべきと思いますが、当局の取り組み等について伺いたいと存じます。
 あわせて、同じ転作作目の大豆についても、不耕起播種などの研究を進めていると聞いておりますので、今後の見通し等についてお示しいただきたいと存じます。
 次に、防災対策について伺います。
 本県が防災ヘリコプターひめかみを導入してから5年が経過いたしました。この間、山火事消火、山岳遭難者の捜索及び救助、湾内・海岸での行方不明者の捜索、さらに患者搬送など、まさに八面六臂の活躍であり、県民生活に欠かせない働きぶりであります。この陰には、防災航空隊長以下、隊員の皆様の並々ならぬ御苦労があったものと推察し、その御努力に敬意を表し感謝申し上げたいと存じます。しかし、いかに隊員の士気が高くても、機械は摩耗するものでありまして、点検整備のための運航休止日数、つまり飛べない日は平成8年15日、9年61日、10年93日とふえてきております。また、本年7月17日に防災対策特別委員会が行った岩手山のヘリによる視察は、直前にトラブルがあって代用ヘリを使ったところであります。当局では、ひめかみが飛べないときは、秋田県、青森県などと協定を結んでいるので心配ないとの考えのようでありますが、仮に自分の県で一たん事があった場合、それを置いて他県の応援に行くことは無理だと思いませんか。まして、四国4県に匹敵する本県では、同時に複数の火災や事故が発生する可能性は極めて高いと思われます。また、国にあっては救急専用ヘリ、いわゆるドクターヘリの全国導入を目指す動きもあるやに聞いておりますので、これらを視野に入れて2機目のヘリを導入し、整備点検のためにトータル3カ月も飛べない日をカバーし、さらに県民の期待にこたえるべきと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、大雨洪水災害対策について伺います。
 現在、岩手山の火山防災マニュアル及び地震、津波に対する防災マニュアルについては、相当に検討が進んできていると受けとめております。また、岩手山防災に関して庁内の担当者は、土日も含めて24時間警戒体制を継続していると伺い、その一般県民には見えないところの努力に敬意を表したいと存じます。一方で、大雨洪水に対するシミュレーションや大雨洪水災害の防災マニュアル整備の面ではおくれをとっていると思います。
 軽米町の雪谷川の洪水災害は、今まで降ったこともない雨量が、しかも短時間に集中した、まさに集中豪雨の影響ということでしたが、全般に山が薄くなっている状況では、県内のどこでもあり得ることであります。この際、キャサリン、アイオン台風クラスを想定しての大雨洪水災害の防災マニュアルを検討、策定すべきであると思いますが、お伺いをいたします。
 最後に、県立博物館についてお尋ねいたします。
 県立博物館は、県制100年を記念し昭和55年に設置され、その基本構想は、県民が郷土についての知識と理解を深めるとともに、未来の岩手が持つ可能性を認識し、県民としての誇りと自覚を培うということで、これまで本県の教育、学術、文化の発展に寄与してきたものと思います。
 一方で、ことしで開館20周年を迎え、入館者が次第に減ってきているとも聞いております。また、平成13年には県立美術館が開館する予定であり、これにあわせて近代美術部門が移管されるとも伺いました。
 そこでお尋ねいたしますが、1、今後、入館者の増加を図り、県立博物館が県民に十分に活用してもらえるようにどのような対策を講じられるのか。
 2、県立美術館に近代美術部門が移管された後の展示室をどのように活用されるのか。
 3、昨年策定された岩手県総合計画及び第8次岩手県教育振興基本計画においては、県立博物館にいわて地元学センターの機能を整備するとされておりますが、どのように取り組んでいるのか、以上についてお尋ねいたします。
 以上で私の質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 伊藤勢至議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、本県選出の国会議員団との連携についてお尋ねございましたけれども、今、まさしく中央集権の時代から地方分権への時代に移行しつつある時期でございますので、国においては地方の実情が十分に反映された柔軟な行政運営を行う必要があると思っておりますし、また、私ども地方におきましても、自己決定、自己責任に基づく政策形成能力をみずから高め、県民の立場に立った地域づくりに取り組んでいくことが一層強く求められると、このように考えております。
 こうした中にありまして、本県選出の国会議員の諸先生方からは、日ごろから国政の場で本県の発展のためにさまざまな面で御尽力をいただいてきているところでございます。今後におきましても、国政は国政の場、地方行政は地方行政の場、それぞれの立場でお互いに岩手県の発展のために全力で努力すべきと、このように考えておりまして、そうしたそれぞれの立場で全力を出すためには、政府予算要望ももちろん大事なことでございますが、それ以外にも、県政の個々の重要課題について個別具体にきめ細かく連携を密にしていく必要があると、このように考えております。私ども知事部局──執行部──でも、こうした考えのもとに、本県のさまざまな施策の実現のために引き続き御尽力を賜りたいと、このように考えております。
 次に、不祥事発生の根本的な問題として、今、地方振興局職員の意識についてお尋ねがございましたが、私は、地域の課題は地域で責任を持って考えていくという、いわゆる現場重視の地域経営というものが、今後、地方分権時代にあっては特に重要になる、こうした考え方から今まで地方振興局の充実強化に努めてきたところでございます。地方振興局に勤務する職員の多くはこうした私の考え方を理解し、活力ある地域づくりを進めるためのさまざまな施策に積極的に取り組んでいるものと、このように認識しているところでございます。しかしながら、議員御指摘のような職員の意識や姿勢の問題が相次ぐ不祥事の発生の要因にかかわっているとしたならば、極めて残念なところでございます。
 今回の不祥事に際しましては、私からの全職員に対するメッセージや、また、三役初め、各部長が地方振興局を回りまして、地方振興局職員に対しての訓示の中で、原点に立ち返って、全体の奉仕者として清廉な業務執行により県民の負託にこたえるよう訴えてきたところでございますし、公務員としての意識や業務への姿勢のあり方を職員一人一人が改めてみずからに問い直すよう、各職場での話し合いを徹底して行うことを指示してきたところでございます。
 今後におきましては、公務員倫理などの内容を盛り込んだ研修、業務遂行の基本を習熟する研修、こうしたものを充実していきたい。今年度中からもできるものはどんどん実施していきたいと思っておりますし、職員の公務員倫理の確立などを目的とした、いわゆる職員倫理条例の制定に向けて、今後、検討を進めていきたいと思っておりますし、地方振興局の職員に対しては、特にこれまでにも増して、地域の一員として、地域に根差した着実な業務の遂行に全力を挙げるよう、私自身も直接そうしたことを職員に訴えかけていきたいと、このように考えております。
 次に、今後の入札事務の執行についてお尋ねがございましたけれども、今回の事件の重大性にかんがみまして、また、これまで継続して入札制度についていろいろ検討を行ってまいりました。その中で浮き上がってきた課題等もございましたので、公正性、透明性、そして競争性をより高める方向での入札方式の改善を進めていきたい。談合などの違法、不正な行為を行う不良不適格業者については、これを排除していくことが必要である、このように考えておりまして、一方で、価格だけでこうしたことを判断するのではなくて、価格以外に技術提案を評価する方式など、技術開発や経営努力を重ねる企業が伸びていけるような入札方式の導入を行っていく必要があると、このように考えております。
 また、県営建設工事の真の発注者は実は県民であると。県民の財産をつくるものでございますので、真の発注者は県民であるとの認識に立って、倫理意識の向上を図って厳正な事務執行に努めるとともに、新たな改善策を実施するに当たっては、県営建設工事の発注自体が停滞することのないように、職員に対する研修や巡回指導を速やかに行って、その円滑な導入に努め、県民の皆様方の信頼の回復に向けて全力を尽くしていく考えでございます。
 次に、横軸連携の推進についてお尋ねございましたが、今、お話ございました宮古市でございますが、浄土ケ浜に代表される観光資源、それから、サケが遡上する我が国有数の河川──津軽石川などの豊かな自然環境に恵まれました本県沿岸の拠点都市と、こういう位置づけがあるものでございまして、こうした地域の特色をより一層生かしていくためには、盛岡都市圏との連携強化が重要であるということ、これは、今、議員の方から御指摘をいただいたとおりだと考えております。
 また、昨年つくりました岩手県総合計画におきましても、それぞれの地域がその特色を生かして個性や魅力を発揮していくためには、さまざまな交流・連携を通じてお互いのよさというものを共有して、あるいは足りない部分があった場合には、そうした足りない部分を補い合いながらともに発展していくことを目指しているわけでございまして、県内の状況を見ますと、宮古-盛岡-秋田間を初めとする横軸連携におきましては、民間が主体の北東北交流連携倶楽部、岩手、秋田両県の関係市町村で構成する秋田・岩手地域連携軸推進協議会、それから、商工会議所の青年部の人たちが中心になって進めている北緯40°Bライン地域連携軸推進協議会など、さまざまな主体によって交流・連携の活動が活発に展開されているわけでございます。
 こうした地域連携活動というのは、それぞれの地域がみずから自立と発展に向け、住民が主体となって取り組んでいくことが基本であると考えておりまして、県では、今後とも市町村と十分に連携をとる必要があると思っておりますが、こうした交流・連携活動に対して積極的に支援策を講じていきたいと、このように考えているところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁をさせますので、御了承お願いします。
   〔土木部長竹内重徳君登壇〕
〇土木部長(竹内重徳君) まず、三陸縦貫自動車道とこれに結節する道路についてでありますが、三陸縦貫自動車道の宮古道路が閉伊川南側までとなっていることにつきましては、宮古市の地形、市街地の状況及び宮古西道路との接続位置等を考慮して決められたものと承知しております。
 宮古道路以北につきましても、三陸縦貫自動車道の延伸、もしくは地域高規格道路のいずれかによって自動車専用道路として早期に整備されるよう積極的に取り組んでまいりますが、そのためにも、まず、昨年度新規着工準備箇所として採択された宮古道路に一日も早く着手することが重要であると考えております。
 また、宮古西道路から市内に進入する道路の整備につきましては、一般県道宮古港線までのインターチェンジのアクセス道路は県が整備する考えであります。
 一方、これと接続して閉伊川を横断して現国道106号に至る道路は、市内の交通の円滑化を図る観点から宮古市が整備を必要として検討しているものであり、国、県及び市が連携して、計画的に整備に取り組むことによって宮古地域の骨格道路網の早期整備を推進しようとするものであります。
 なお、宮古市内から県立宮古病院に至る道路は、都市内の生活道路としての機能を持つ路線でありますが、市街地北部の環状道路の一部でもありますことから、その整備につきましては、県の支援方策を総合的に検討しながら早期整備に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、宮古港の港湾計画の縮小についてでありますが、宮古港の改訂前の港湾計画は、目標年次を平成7年として昭和61年に策定いたしたものであります。その後、港湾取扱貨物量が大幅に減少するとともに、港湾の取扱貨物の質的な変化や小型船の安全の確保など新たな要請が出てまいりましたことから、港湾計画の改訂が必要となったものであります。このことから、港湾計画の改訂に当たり、広く地域の意見を聞くため、地元商工会議所や港湾利用者を初め、地域の代表者や学識経験者で構成される宮古港活性化調査委員会を設置し、公開のもとに、さまざまな議論を経て提言をいただいたところであります。県では、この委員会の提言に沿って、小型船だまりの整備や埠頭用地の確保等、地域の意見を踏まえた港湾計画を策定し、県の地方港湾審議会及び国の港湾審議会の審議を経て平成12年3月に決定したものであります。
 また、今回の港湾計画改訂で見直しをいたしました藤原地区につきましては、将来貨物の増大が見込まれた場合に整備できる開発空間を留保する区域として位置づけておりまして、今後とも港湾取扱貨物量の増大に向け、地元と一体となってポートセールスを進めるとともに、重要港湾である宮古港の整備をさらに積極的に進めてまいりたいと考えております。
   〔企画振興部長佐藤徳兵衛君登壇〕
〇企画振興部長(佐藤徳兵衛君) まず、自動車の三陸ナンバーの設置についてでありますが、現在、自動車のナンバープレートは、当該地域を管轄する陸運支局または自動車検査登録事務所の名称が用いられておりますけれども、本年8月1日付の日本経済新聞に議員御指摘のナンバープレートに関する記事が掲載されたことから、この記事の内容について運輸省に確認いたしたところであります。
 確認の結果、ナンバープレートの地域名表示の細分化、すなわち自動車検査登録事務所の設置を伴わない御当地ナンバーの採用については、運輸省自動車交通局長のもとに発足いたしましたナンバープレートの活用方策等に関する懇談会が取りまとめた報告書において、地元の合意形成の状況、車両数のまとまり、ナンバープレートの製造ラインに与える影響など、さまざまな要素を総合的に勘案することが適当であるとされております。運輸省からは、今後、懇談会の報告書を踏まえ、地域名表示の細分化について中長期的に検討していくこととしており、現時点では、新聞記事にある伊豆等の御当地ナンバーを2003年度から使えるようにするという結論に達しているものではないと伺っております。
 県といたしましては、三陸ナンバーのような新たな御当地ナンバーの実現は、地域の活性化や住民の利便性の向上、さらには全国的な知名度の向上等につながるものと考えておりますので、地域の合意形成を促しつつ、国の検討状況を注視してまいりたいと考えております。
 次に、海洋研究の推進についてでありますが、海洋は、さまざまな生物資源、鉱物資源の宝庫であるほか、潮流、波力、温度差という形で膨大なエネルギーを有しており、近年の科学技術の進歩によってこれら資源の利用方法が開発されつつあり、今後、社会経済の発展に大きく貢献していくことが期待されているところであります。
 県といたしましても、太平洋を臨む本県の特性を生かし、海洋環境国際共同研究やリモートセンシング技術を活用した新水産情報システムの開発などを行ってきております。
 ただいま議員から御提言のありましたリチウム、マグネシウムなどの海水に含まれる鉱物資源や、海底に存在し、メタンが水と混在したシャーベット状のメタンハイドレートにつきましては、地球温暖化や資源の枯渇など地球環境問題がクローズアップされている中、有望な資源として期待されており、現在、国を中心に長期的な視点から採取技術に関する研究や賦存量の調査などが行われているところであります。
 県といたしましては、企画振興部が中心となり、国の情報を収集しながら、本県における取り組みの可能性について調査研究を行っているところでありますが、今後、国や民間、さらには海外の研究機関の動向を見据え、各関係機関と密接に連携をとり、本県の新しいビジネスとして展開できるように取り組んでまいりたいと考えております。
   〔林業水産部長本山芳裕君登壇〕
〇林業水産部長(本山芳裕君) 人工の藻場の造成についてでありますが、近年、本県の一部海域では、アワビ、ウニのえさとなる昆布などの大型海藻類が十分に生育せず、いわゆるえさ不足の状況が確認されており、これは、春先の海水温が高いためとも言われております。このため、アワビ、ウニのえさとなる海藻の確保を目的として、これまでも県では、水産資源の生育環境を整備する増殖場造成事業により増殖ブロックの設置を行い、また、県内漁業協同組合では、ロープに昆布を着生させて育成する海中林──海の中の林──の造成等を実施しております。
 しかしながら、つくり育てる漁業の推進には、漁場における藻場を確実に造成し、育成していくことが極めて重要でございまして、議員御指摘のようなブロックを用いる手法が北海道日本海沿岸での設置試験で良好な結果を上げていることから、本県でも、本年度の種市地区における地先型増殖場造成事業に取り入れております。
 今後は、この事業実施後における藻類の着生や生育状況を確認し、事業効果を検証するとともに、漁業関係者の意向等を踏まえつつ、本県海域における藻場造成に反映してまいりたいと考えております。
   〔農政部長佐藤克郎君登壇〕
〇農政部長(佐藤克郎君) いわゆる野菜工場の活用による農業振興についてでありますが、御指摘ございましたように、野菜工場は天候に左右されず、やませ地帯や中山間地域におきましても、年間を通じて安定した品質の野菜の生産が可能であるという点で有効なシステムであると考えているところであります。
 野菜工場を導入しようとする場合は、現在のところプラントの価格が高価で、光熱費などの経費も割高となることから、補助事業を活用したとしても多額の初期投資や運転資金を必要とするほか、厳しい価格競争の中で、生産コストに見合う価格での安定した販売先が長期的に確保できるかが大きな課題ではないかと考えております。したがいまして、本県における野菜工場の導入に当たりましては、資金対応や、あるいは安定した販路の確保などの課題を十分に見きわめながら検討していく必要があると考えております。
 また、風力や太陽光発電等の自然エネルギーの農業施設での利用につきましては、今後、クリーンエネルギー利用の視点から、ハウス内暖房や電照栽培あるいは冷暖房育苗などにつきまして、経営的な評価を含めまして調査研究してまいりたいと考えております。
 次に、麦、大豆の生産振興についてでありますが、水田の有効利用や食料自給率の向上の観点から、麦、大豆の生産振興は極めて重要な課題であると考えております。
 まず、麦につきましては、加工適性が高いとして評価をいただいておりますナンブコムギを初め、県内の製粉業者からおよそ4、000トンに上る供給が求められておりますが、本年産小麦の検査数量がおよそ3、300トン、昨年比で134%と生産が大幅に拡大してきているものの、まだ需要に追いついていない現状にあります。このようなことから、県内はもとより、全国的な需要にもこたえるため、水田麦・大豆振興指針において平成22年の目標を7、000トンとしているところでありますが、その目標達成に向け、県独自の支援措置や国の事業を組み合わせ、農業機械・施設の導入と圃場の整備を進めるとともに、規模拡大や団地化を促進するなど鋭意振興を図ってまいる考えであります。
 また、大豆の不耕起播種につきましては、昨年から農家圃場を使った実証試験を実施しておりますが、春作業の大幅な軽減などの利点がありますが、一方で雑草や排水対策などの問題がありますので、これらの課題解決に向けましてさらに検討を重ねてまいりたいと考えております。
   〔総務部長武居丈二君登壇〕
〇総務部長(武居丈二君) まず、新たなヘリコプターの導入についてでありますが、現在、災害や救助への対応につきましては、防災ヘリコプターと県警ヘリコプターの2機により行っているところでございまして、防災ヘリコプターの点検整備等による運航不能期間につきましては、県警ヘリコプターとの連携や東北各県との相互応援協定などに基づきまして、業務に支障が生じることのないよう対応しているものであります。
 なお、運航休止日数について、ここ何年かでふえているのではないかという御指摘がございましたが、たまたま歴年で統計データをとっている関係上、平成10年度93日と高く出ているような感じになっておりますが、これは、整備点検がたまたま1月から3月の間に行われた結果になるわけでございまして、一般的に防災ヘリの場合、定時点検が年間、1年点検が30日、半年点検が10日、その他の点検等でおおむね60日前後ぐらいが点検に入るわけでございまして、これは周辺各県のヘリコプターとも同じ状況がございますので、各県とも連携をとりまして、こういった点検時が重ならないように調整を図っているところでございます。
 また、活動範囲につきましては、花巻にある防災航空センターからおおむね30分以内で県内全域をカバーできる状況にありますこと、また、同時に多発する災害対応につきましても、協定等に基づきまして十分対応が可能であると考えております。
 新たなヘリコプターの導入につきましては、初期投資が多額になりますことや、維持管理費の増嵩、さらに、特に現在10名の市町村からの航空隊員を派遣いただいて体制整備しているところでございますが、この人員の確保など運用面におきまして解決すべき課題が多く残されているところでございますけれども、防災に限らず、救急救命におけるヘリコプターの需要、こういったものが今後増加することも予想されますし、また、現在、建設中の盛岡東警察署屋上にヘリポートが設置される予定でもございますことから、先ほど御指摘ございましたドクターヘリ、これはちょっと別の観点ではございますが、保健福祉部でございますとか医療局が関係部局になりますけれども、これは救急救命体制そのものをどうするかという問題とも深くかかわってくるわけでございますが、こういったドクターヘリも含めまして、将来に向けての検討課題とさせていただきたいと思います。
 次に、大雨洪水災害の防災マニュアルについてでございますけれども、本県の大雨洪水に対する防災対策につきましては、県及び市町村において地域防災計画、それから水防計画を策定しているところであります。地域防災計画は、大雨洪水災害についての総合的、基本的な防災対策を定め、水防計画におきましては、災害発生時の初動対応である情報通信体制や監視、警戒体制、水防団の出動基準などを具体的に定めているものであります。
 また、県におきましては、近年多発する局地的な集中豪雨による洪水被害や、昨年10月の軽米町を中心とした県北地区の集中豪雨被害を踏まえまして、キャサリン、アイオン台風などの既往最大洪水にも対応できる洪水ハザードマップにつきまして、水防活動上必要であるとの判断から、市町村に対し、その作成につきまして積極的に支援しておりまして、これまでに盛岡市など6市町村におきまして作成されたところであります。
 県といたしましては、水防計画やハザードマップの未策定市町村があることから、引き続き早期策定を要請、支援するとともに、市町村水防計画に基づきました水防活動マニュアルなどの参考となる大雨洪水対策ガイドラインの策定につきまして、市町村とともに検討してまいりたいと考えております。
   〔教育長合田武君登壇〕
〇教育長(合田武君) 県立博物館についてでありますが、まず、入館者の増加と活用に向けた対策につきましては、今年度は開館20周年を記念した特別企画展、北の馬文化を開催することとしておりますが、今後とも、このような県民が広く関心を持つ企画展を開催していくほか、学校週5日制や総合的な学習の時間の導入を踏まえ、自然観察会、学校への出前授業など、子供たちを対象とした教育普及事業を強化するとともに、移動展の開催や各種講座の開設等により、広く県民に活用していただけるよう努めてまいりたいと考えております。
 さらに、県立博物館を県民が地域を再発見するための取り組みであるいわて地元学の支援センターとして整備するための検討を現在行っているところであり、このいわて地元学センターの整備に伴う県立博物館全体の見直しの中で、展示の一新による利用促進や、あわせて、近代美術部門が移管された後の展示室の活用についても考えているところであります。
 次に、いわて地元学センターの取組状況についてでありますが、今年度は、整備基本計画を策定するため有識者による協力者会議を設置し、御検討をいただいているところであります。これまで3度会議を開催し、さまざまな提言をいただいているところであり、今後、関係機関等の調整を踏まえ、今年度内には整備基本計画を取りまとめ、来年度以降、基本設計等に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔警察本部長出原健三君登壇〕
〇警察本部長(出原健三君) 文書頒布に関する件についてお答えいたします。
 警察といたしましては、本年7月中旬、大船渡警察署長あてに、御質問にかかわる文書が送付されたことで認知したところであります。この件につきましては、既に関係者から名誉棄損されたとの申し出があり、被害届を受理しております。これを受けまして現在捜査中でありますが、その詳細についての御答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
〇34番(伊藤勢至君) 再質問をいたします。
 ただいまは、知事を初め各部長からるる答弁をいただきましたが、まるで大相撲の本場所を見ているような感がいたしまして、いなされたり、はたき込まれたり、うっちゃられたり。これは時間がないということもありますので、質問漏れもあった点、特に土木の部分につきましては、港湾の龍神崎堤防という部分については何ら答弁がなかったわけでありますが、これはまたの機会にゆっくりやらせていただくといたしまして、1点だけ再質問いたしたいと存じます。
 壇上でも申し上げましたが、県立博物館についてであります。
 この博物館の基本構想は、県民が郷土についての知識と理解を深めるとともに、未来の岩手が持つ可能性を認識し、県民としての誇りと自覚を培う、こういう基本構想であったようであります。そうした中で、今度県立美術館が開館をすると、展示が若干変わってくるという中で、実は平成8年の6月の議会にもこの場から提案を申し上げたことでありますが、県立博物館に入ってまいりますと正面に大変立派な木像が立っております。これは兜跋毘沙門天と言うそうでありますが、しかしこれは歴史的には大変立派なもの、このように認識をいたしますが、これは平安時代の作だそうでありまして、つまり平安京から見た北辺を守る神だそうであります。12天神と言われる中の兜跋毘沙門天は、いわゆる北辺を守る神だそうでありまして、平安の都から見ますとまさに岩手県は表鬼門に当たる、こういう観点もあります。したがいまして、この平安時代の彼らが自分のエリアを誇示するための仏像だったと考えますと、県民の誇りを培う県の誇りのシンボライズとしての県立博物館の真ん中に置くのはいかがなものか。つまり、これは彼らの西側から見た自分のエリアを誇示する仏像にすぎないのではないかというふうに思いますと、仏像そのものは立派だと思いますけれども、やはり日本のあるいは岩手県のアイデンティティーを示す県立博物館と、こういうことであれば、岩手県の歴史に根差した部分を展示するべきだと、それが誇りにつながっていくものと、私はこのように思っておりますし、平成8年の6月にもこれを提案したところであります。
 例えば我が岩手県の中には、今から1200年ほど前に東北の雄として中央に戦いを挑んだアテルイがいるわけでありますし、また、平泉には中尊寺文化という大変立派な文化があります。宮澤賢治は、今まで決して人をくさしたことがない人であるわけでありますが、唯一、源頼朝だけを大盗人と言ってくさしている。これはつまり、自分の覇権のためにイーハトーブを目指した藤原文化の堂塔を消滅させてしまったと、こういうことからでありまして、岩手県の誇りを展示する県立博物館、こういうことであるならば、やはり岩手の歴史に根差した、風土に根差した部分の誇りの部分を正面に据えていくのが新しいこれからの部分の誇りを取り戻すやり方であろうと、このように思うわけでありますが、県立博物館の再編といいますか、展示スペースが変わるということについてどういう、何といいますか、精神文化的な岩手県の誇りをどのように表示をされるのか、教育長に1点伺って終わります。
   〔教育長合田武君登壇〕
〇教育長(合田武君) ただいま議員の方から県立博物館の兜跋毘沙門天立像につきまして御提言がございましたけれども、計画当初につきましては、この毘沙門天が一本づくりであること、そしてこの種のものでは日本一大きいと。それから造形的にもすぐれた美術工芸品で、国の重要文化財に指定されているというふうに、どちらかというと歴史的な範疇より芸術的な価値、そういった意味で県の一つの重要な文化財として県民の皆様に見ていただくと、こういうことで展示してきた経緯がございます。
 今後につきましては、先ほども申し上げましたけれども、現在、いわて地元学センターの整備に伴う県立博物館の見直しをやってございますので、議員から今御提言の趣旨を十分に踏まえまして、岩手の歴史、文化についてより深く理解できるという観点から、エントランスホールの展示につきましても再度検討してまいりたいと。その中で、今お話しの趣旨も踏まえて検討してまいりたいと、そう考えております。

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