平成12年12月定例会 決算特別委員会会議録

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平成12年12月7日(木)
   

1開会 午前10時3分

1出席委員 別紙出席簿のとおり

1事務局職員
事務局長      和 美 宏 幸
議事課長      熊 谷 素 紀
議事課長補佐    千 田 正 和
主任議事管理主査  浅 田 和 夫
議事管理主査    浅 沼   聡
議事管理主査    森   達 也
議事管理主査    熊 谷 正 則
議事管理主査    下 山 義 彦

1説明員
林業水産部長    本 山 芳 裕
林業水産部次長   小 国 平 二
林業水産部次長   木實谷 浩 史
林政課長      武 田 牧 雄
木材振興課長    伊 藤   巖
緑化推進課長    塩 井 常 文
松くい虫対策監   佐々木 孝 昭
森林土木課長    盛 合 嘉 信
漁政課長      小笠原 嘉 光
水産振興課長    上 村 俊 一
漁港漁村課長    千 葉 信 明
 
農政部長      佐 藤 克 郎
農政部次長     千 葉 和 男
農政部次長     高 橋 民 和
農政部次長     石 川 格 司
農政企画課長    河 村 直 樹
地域農業振興課長  澤 田 行 一
中山間対策監    及 川 傳 弘
農業普及技術課長  平 野   保
農村計画課長    安 樂   敏
総合国営対策監   伊 藤 日出輝
農村建設課長    佐々木 忠 正
農業経済課長    深 水 秀 介
農協指導検査監   伊 藤 正 俊
農産園芸課長    千 田   勉
水田農業推進監   阿 部 郁 夫
畜産課長      山 下   進
農産物流通課長   佐々木   崇
 
出納長       高 橋 洋 介
副出納長兼出納局長 藤 沢 政 則
出納課長      山 口 喜 弘
 
監査委員      一 戸 克 夫
監査委員      及 川 桂 子
監査委員事務局長  小笠原   宗
総務課長      青 木   拓
監査課長      三 上 佑 子
 
財政課長      池 田 克 典
   

〇佐々木大和委員長 これより本日の会議を開きます。
 これより議事に入ります。認定第1号から認定第12号まで、決算12件を一括議題といたします。
 本日は、林業水産部及び農政部を終わるよう進行したいと思いますので、御協力をお願いします。
 なお、世話人会の申し合わせにより、平成11年度決算の審査であるので、当該年度に関する質疑とされたいこと、質疑項目が複数ある場合、関連する事項についてはできるだけまとめて質疑されたいこと、所属する委員会の部局審査では、当該委員の発言はできるだけ遠慮願いたいこと、各委員の発言機会を保証するため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう願いたいこと、また、質疑及び答弁については簡潔明瞭に行い、午後5時をめどに審査が終了するよう議事進行に御協力をお願いします。
 最初に、林業水産部長に林業水産部関係の説明を求めます。

〇本山林業水産部長 平成11年度の林業水産部関係の決算について御説明申し上げます。
 決算の内容に入る前に、平成11年度の林業及び水産業施策の推進状況について御説明申し上げます。
 近年の林業及び水産業を取り巻く情勢は、木材や水産物の輸入増加等による木材価格や魚価の低迷、労働力の減少や高齢化の進行など、非常に厳しい状況が続いております。
 このような状況の中、林業水産部では、新しい岩手県総合計画の部門別計画として、平成11年度を初年度とした第6次林業及び第4次水産業の両基本計画を策定し、21世紀に向けての新たな方向づけを行い、それぞれの基本目標の達成に向けて各般の施策を推進したところであります。
 まず、林業についてでありますが、第1に、県土と県民を守る緑豊かな森づくりの推進のため、間伐推進の取り組みを強化したほか、火山地域の治山対策の推進、林内路網の整備、松くい虫被害の防除など、森林が有する多面的な機能の維持・向上に努めたところであります。
 第2に、地域資源を生かした総合的な林産物の供給基地づくりの推進のため、木材加工施設の整備や県産材のブランド化、需要拡大を推進したほか、シイタケ、木炭の生産施設の整備など、豊かな森林資源を基盤に林産物の産地体制の強化に努めたところであります。
 第3に、地域の森林・林業を支える人と組織体づくりの推進のため、林業後継者の支援や高性能林業機械オペレータの養成のほか、森林組合の広域合併の促進など、林業担い手の育成・確保に努めたところであります。
 第4に、森林文化に恵まれた活力ある山村づくりの推進のため、森との触れ合いを促進する県営森林公園を整備したほか、生活に密着した林道の整備、森林ボランティア活動の促進など、活力ある山村の形成に努めたところであります。
 第5に、多様な要請にこたえる林業技術の研究開発の推進のため、林業技術センターにおいてヤマブドウの栽培適応実証試験を初め、アカマツなどの育成保護技術の開発など、県民のニーズに即した研究開発に努めたところであります。
 次に、水産業についてでありますが、第1に、豊かな海と資源づくりの推進のため、漁場環境保全活動の促進や、カキ殻などの漁業系廃棄物処理に対する取り組みなど、豊かな資源をはぐくむ環境づくりに努めたところであります。また、サケ、アワビ、ウニなどの放流に加え、ヒラメ、マツカワなどの魚類栽培の推進に取り組むとともに、適正な資源管理や増殖場、魚礁の整備など、つくり育てる漁業の推進に努めたところであります。
 第2に、新鮮で安全な水産物の供給の推進のため、産地市場の衛生管理機能の向上やウニ衛生管理マニュアルの策定など、ハセップ方式の導入を促進するとともに、秋サケを中心として本県水産物の販路拡大、消費宣伝に努めたところであります。
 第3に、活力と潤いのある漁村づくりの推進のため、漁家、漁業協同組合の経営基盤強化の促進や、漁業後継者の育成、安全で機能的な漁港の整備、下水道など漁村環境の整備などに努めたところであります。
 第4に、未来を切り開く技術開発の推進のため、水産技術センターなどの試験機関において、イワガキの天然発生状況の把握やヒメマスの品種改良試験など、各種の試験研究に取り組んだところであります。
 以上が、平成11年度における林業水産部の施策の概要であります。
 次に、決算の内容について御説明申し上げます。
 まず、一般会計歳出について御説明申し上げます。お手元の平成11年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開き願います。
 林業水産部関係の歳出の予算現額は、6款農林水産業費のうち4項林業費382億3、206万円余、5項水産業費267億2、128万円余、及び16ページをお開き願いまして、11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費のうち、16億6、354万円をあわせまして総額666億1、688万円余であります。これに対し、支出済額は総額551億4、688万円余、翌年度繰越額は総額114億4、673万円余、不用額は総額2、327万円余であります。
 なお、翌年度繰越額は29事業に係るものでありますが、その多くは国の経済対策に係る補正予算に対応した事業費であり、工事の施工期間等の関係から、繰り越しを余儀なくされたものであります。
 以下、個々の内容につきましては、お手元の平成11年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げます。
 なお、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に御説明申し上げますので御了承願います。
 208ページをお開き願います。6款農林水産業費4項林業費1目林業総務費についてでありますが、備考欄一つ目の管理運営費は、林業関係職員の人件費等に要した経費であります。次に、二つ飛びまして県有林事業特別会計繰出金は、県有林事業関係職員の人件費、公有林造林資金償還金などに充てる経費を繰り出したものであります。次に、2目林業構造改善対策費についてでありますが、説明欄一つ目の林業構造改善事業費は、林業生産の増大及び生産性の向上を図るため、17地区において林道、木材加工施設等の整備を実施した市町村に対する助成などに要した経費であります。
 次に、繰越明許費5億6、713万円余についてでありますが、その多くは国の経済対策に係る補正予算に対応した事業費であり、年度内完成が見込まれないため繰り越したものであります。
 なお、繰越明許費は他の科目にもございますが、いずれも同様の事情でありますことから、以後の説明は省略させていただきますので御了承願います。
 次に、210ページをお開き願います。3目林業振興指導費についてでありますが、備考欄三つ目の木材産業振興対策事業費は、木材産業の健全な発展を図るため、木材製造業者等に対する経営安定資金の貸し付けなどに要した経費であります。次に、一つ飛びまして県産材流通促進対策事業費は、県産材を利用した住宅の取得者に対する助成、岩手県木材協同組合連合会に対する乾燥材の安定供給促進資金の貸し付けなどに要した経費であります。次に、四つ飛びまして森林組合経営体質強化資金貸付金及び一つ飛びまして林業振興資金貸付金は、岩手県森林組合連合会に対し、森林組合の財務改善及び合併促進に必要な資金、森林組合が行う林産事業等に必要な資金をそれぞれ貸し付けたものであります。次に、八つ飛びまして岩手県林業公社事業資金貸付金は、森林資源の育成を図るため、同公社に対し、分収造林事業に必要な資金を貸し付けたものであります。次の水土保全森林緊急間伐対策事業費は、間伐の緊急かつ重点的な実施を図るため、間伐、作業道開設等を実施した市町村に対する助成などに要した経費であります。次に、一番下の森林計画樹立事業費は、大槌・気仙川森林計画区を対象とする地域森林計画の樹立などに要した経費であります。次に、213ページをお開き願います。備考欄三つ目の森林資源管理システム整備事業費は、森林資源管理システムの機器更新などに要した経費であります。次に、三つ飛びまして乾しいたけ等主産地形成促進対策事業費は、しいたけ生産施設等の整備に対する助成、岩手健康しいたけモッコリくん流通促進資金の貸し付けなどに要した経費であります。次のしいたけ等原木安定供給促進資金貸付金は、森林組合が行うしいたけ原木生産に必要な資金を岩手県森林組合連合会に貸し付けたものであります。次に、一番下の林業普及指導事業費は、普及指導職員の人件費、活動費など、林業技術の普及指導に要した経費であります。次に、4目森林病害虫等防除費についてでありますが、備考欄一つ目の森林病害虫等防除費は、森林資源の保護育成を図るため、松くい虫被害木の駆除等を実施した市町村に対する助成などに要した経費であります。次に、5目造林費についてでありますが、備考欄一つ目の造林事業費は、森林資源の充実及び森林の公益的機能の維持・増進を図るため、市町村、森林組合等が実施した人工造林、除間伐等に対する助成などに要した経費であります。次に、214ページをお開き願います。6目林道費についてでありますが、備考欄一つ目の林道開設事業費は、県営29路線及び市町村営12路線の整備に、一つ飛びまして農免林道事業費は、県営3路線及び市町村営2路線の整備に、次の林業地域総合整備事業費は、県営5路線及び市町村営11路線の林業整備と2地区の施設整備に、次の森林基盤整備促進事業費は、市町村営8路線の林道整備に、二つ飛びましてふるさと林道緊急整備事業費は、県営28路線の整備にそれぞれ要した経費であります。次の木材生産団地路網整備事業費は、大規模な県行造林地等を中核とする木材生産団地内の作業道11路線の開設に要した経費であります。次の森林開発公団林道事業費は、緑資源公団法に基づき、同公団が実施する大規模林道等の事業に係る県負担金の支払いなどに要した経費であります。次に、7目治山費についてでありますが、217ページをお開き願いまして、備考欄一つ目の治山事業費は、全部で168カ所の山地治山、保安林整備などの事業に、次の地すべり防止事業費は、7カ所の地すべり防止にそれぞれ要した経費であります。次の直轄地すべり防止事業負担金は、3地区において国が実施した地すべり防止工事の県負担金の支払いに要した経費であります。次の県単独治山事業費は、全部で35カ所の崩壊地復旧、治山施設維持修繕などに要した経費であります。次に、8目林業技術センター費につきましては、同センターの管理運営、試験研究などに要した経費であります。
 以上で林業費関係を終わりまして、次に、水産業費関係について御説明申し上げます。
 218ページをお開き願います。5項水産業費1目水産業総務費につきましては、水産業関係職員の人件費、水産科学館の管理運営などに要した経費であります。次に、2目漁業構造改善対策費についてでありますが、備考欄一つ目の沿岸漁場整備開発事業費は、水産資源の維持・増大を図るため、地先型増殖場7カ所及び広域型増殖場2カ所の造成、大型魚礁12カ所の設置などに要した経費であります。次に、下から四つ目の沿岸漁業活性化構造改善事業費は、沿岸漁業の振興及び経営の近代化を図るため、漁業近代化施設の整備等を実施した漁業協同組合に対する助成などに要した経費であります。次に、220ページをお開き願います。3目水産業振興費についてでありますが、備考欄三つ目のさけ、ます増殖費は、サケ、マス資源の維持・安定を図るため、河川に放流する稚魚の買い上げなどに要した経費であります。次に、八つ飛びまして魚類栽培推進事業費は、マツカワ、ヒラメの栽培漁業を推進するための種苗生産施設の整備などに要した経費であります。次に、下から三つ目の水産物流通加工振興対策費は、水産加工業の経営の近代化を図るため、財団法人岩手県中小企業振興公社が、水産加工機械類貸与譲渡事業を低利で実施しておりますが、その事業資金の貸し付けなどに要した経費であります。次に、223ページをお開き願います。備考欄の下から八つ目の遠洋まぐろはえなわ漁業者救済対策事業費補助は、国際的な漁業規制の強化に対応した遠洋まぐろはえなわ漁業の再編を図るため、岩手県鰹鮪漁業協同組合に対し、減船により廃船となった漁船の処理費に助成を行ったものであります。次に、二つ飛びまして社団法人岩手県栽培漁業協会育成事業費は、同協会の円滑な運営を図るため、アワビ、ウニの種苗生産事業に係る運転資金の貸し付け、ヒラメ、アユの種苗生産業務の委託などに要した経費であります。次に、二つ飛びまして水産業改良普及費は、改良普及員の人件費、活動費など、沿岸漁業に関する技術、知識の普及教育に要した経費であります。次に、4目水産業協同組合指導費についてでありますが、備考欄五つ目の漁業協同組合信用事業統合促進資金貸付金は、漁業系統団体が推進する信用事業統合の促進を図るため、漁業協同組合が統合に要する長期資金を低利で借り受けできるよう、岩手県信用漁業協同組合連合会に対し、無利子で資金を貸し付けたものであります
 以上で、水産業関係費を終わります。
 次に、災害復旧費関係について御説明申し上げます。
 大きく飛びまして300ページをお開き願います。11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費2目林道災害復旧費は、県営7路線で19カ所、市町村営78路線で160カ所の復旧に要した経費であります。
 次に、繰越明許費9億3、152万円余についてでありますが、これは、57カ所の復旧工事について年度途中の不測の発生であり、用地交渉などの事情により、年度内完成が見込まれないため繰り越したものであります。
 次に、302ページをお開き願います。5目漁港災害復旧費は、県営1港の復旧に要した経費であります。
 以上で、一般会計の歳出決算を終わります。
 続きまして、特別会計の決算について御説明申し上げます。
 332ページをお開き願います。平成11年度岩手県県有林事業特別会計の決算について御説明申し上げます。
 まず、歳入でありますが、335ページをお開き願いまして、収入済額の合計は51億4、967万円余であり、その主なものは、基金繰入金及び県債であります。
 次に、歳出でありますが、341ページをお開き願いまして、支出済額の合計は50億8、495万円余であり、その主なものは、公有林造林資金の元利償還、192ヘクタールの新植、9、260ヘクタールの保育などに要した経費であります。
 次に、繰越明許費7億9、054万円余についてでありますが、これは、国の経済対策に係る補正予算に対応した事業費であり、事業期間等の関係から繰り越しを余儀なくされたものであります。
 次に、342ページをお開き願います。平成11年度岩手県林業改善資金特別会計の決算について御説明申し上げます。
 まず、歳入でありますが、344ページをお開き願いまして、収入済額の合計は21億1、551万円余であり、その主なものは、貸付金元利収入及び繰越金であります。
 次に、歳出でありますが、347ページをお開き願いまして、支出済額の合計は10億9、392万円余であり、その主なものは、木材産業等高度化推進資金貸付金及び林業改善資金貸付金であります。
 次に、348ページをお開き願います。平成11年度岩手県沿岸漁業改善資金特別会計の決算について御説明申し上げます。
 まず、歳入でありますが、収入済額の合計は5億7、803万円余であり、その主なものは、繰越金及び貸付金収入であります。
 次に、歳出でありますが、351ページをお開き願いまして、支出済額の合計は1億7、135万円余であり、その主なものは、経営等改善資金貸付金であります。
 以上で、林業水産部関係の決算について説明を終わります。よろしく御審議のほど、お願い申し上げます。

〇佐々木大和委員長 ただいまの説明に対し、質疑ありませんか。

〇佐々木俊夫委員 第6款林業水産費3目水産業振興費に関連をしまして、2点を質問いたします。
 まず第1点でございますが、これはワカメのセーフガードについて。
 岩手県のワカメ生産は日本一の実績を誇っております。しかるに、このごろ養殖中の病害による被害あるいはまた海水温異変等で大変生産者は困っている状況でございます。
 けさの岩手日報の2面のトップに出ておりました陸前高田市の広田町で従業する漁民が大変高齢化したので協業組合、全国初めての協業組合をつくると。従業しておった方が350人ほどあったが、現在はもう100名を割ったと、こういう状況であるという厳しい状況が報じられております。これらの多くの原因でございますけれども、いろいろある中でも、どうも昨今は韓国あるいは中国からの輸入が増大しているということから来る価格低迷が大きな原因になっているのではないかと、こう思うわけであります。そういう関係でございましょうか、これ初めてでございますけれども、県漁連の方から輸入規制について、つまりセーフガードについての請願が出されると、こういう状況であります。
 そこで、去年、ことしのワカメ漁業の実態についてどのように現状把握をしておりますか。あるいはまた、要請されようとしているこのセーフガードについての見通しをお伺いしたいと思います。
 幸い、ここは林業水産部でございまして、両部を兼ねる部長がおります。どうも昨今の林業の最大の課題もやっぱり木材の輸入ということが問題と私は思っておりますが、もしそういう認識が正しいのであれば、やっぱり木材輸入にもセーフガードの問題が出てくると。それができますと、今日の当面している林業問題はあらかたもう解決できるのではないかと、こういうようなこと。あるいはまた、先般は農業の方からも、野菜に関するセーフガードの請願が出ると。いわば、農林漁業のすべてがセーフガードを要請する時代に入ったと、こういうことでございますので、これについての見解をお伺いしたいと思います。
 第2点でございますけれども、秋サケの問題でございます。これは物すごい豊漁が続きまして、価格低迷ということで随分嘆いたわけでありますけれども、どうも11年あたりから急激に漁獲が減ってきたということで、今度は不漁による問題と、こういう形になってきました。これは自然に支配される漁業の実態といいますか縮図でございまして、何ともできない原因はございます。しかし、こうしたことの原因はいろいろ言われております。例えば海流によるものではないのか、あるいはまた人工ふ化の技術上の問題なのか。あるいはまたせっかくふ化放流した稚魚が、岩手県、日本の沿岸にしばらく滞留するのでありますけれども、このときの状況がどういう状況になっているのか。あるいはまた、北太平洋全体の生態系に異変が起きているのではないのか等々、いろいろ言われておりますけれども、昨今の本県の漁業あるいはまた全国的な状況はどのようになっていると把握されておられますか。

〇本山林業水産部長 セーフガードについての御質問でございますが、今さら申し上げるまでもございませんが、一般セーフガードはガット、関税及び貿易に関する一般協定に基づきまして、輸入急増による国内産業への重大な損害の防止のために認められている緊急措置でございまして、具体的には関税引き上げまたは輸入数量制限というような措置がとられるものでございます。その発動の要件の一つといたしまして、輸入増加により国内産業に重大な損害またはそのおそれが生じていることというのがございまして、これを満たすためには、客観的な証拠に基づくその因果関係の立証が前提となるとなっております。
 木材につきましては、農林水産大臣から大蔵及び通商産業大臣に対しまして、既にこの調査のための要請がなされている一方、ワカメにつきましては現段階で国の対応は伝えられておりませんが、いずれにせよ、セーフガードに関連して国からの調査依頼等がございました場合には、速やかに適切な対応をとるよう努力することで考えておるところでございます。
 特に木材の件に関しましては、今申し上げましたように、12年の11月30日に農林水産大臣から関係大臣に調査の要請を行ったということで新聞報道等で伝えられておりますけれども、林野庁の資料によりますと、製材品及び集成材ともに最近の輸入が増加傾向にございまして、平成12年のこれまでの状況をもとにした推計では、対前年比で製材品は6.3%の増、集成材は46.4%の増が見込まれるということでございまして、農林水産大臣の要請はこのような状況に基づくものと考えておるところでございます。
 ワカメまた秋サケ等の御質問につきましては、担当課長の方から御説明させていただきたいと思いますので、御了承いただきたいと存じます。

〇上村水産振興課長 セーフガードに関しまして2点ほど御質問があったと思いますけれども、まず最初にワカメの輸入の実態と価格の動向でありますけれども、大蔵省の貿易統計によりますと、平成11年のワカメの輸入量は、塩蔵品で約2万9、800トン、約3万トンですけれども36億円、乾燥品で6、500トン、40億円となっており、この5カ年程度の傾向では塩蔵は横ばい、乾燥品は年を追って増加する傾向が見られております。岩手の塩蔵ワカメ、これはしん抜き製品でありますけれども、製品1キロ当たりの平均価格で見ますと、最近では平成10年に975円と高値でありましたけれども、平成12年には600円まで一気に下落しております。
 12年のワカメの養殖漁家の経営状況でありますけれども、このような価格の低下と病虫害ですけれども、病虫害による生産量の減少により、近年では最低の水揚げ額となっておりまして、経営を圧迫しているものと考えております。そうしたことから、セーフガードの発動の見通しについてでありますけれども、このような輸入ワカメの影響は、本県にとっては大きな問題だと認識しております。
 セーフガードの発動につきましては、WTOの協定によりまして一定の要件が定められておりますし、それに対して、国が全国的な調査を行い決定することになっておりますが、現段階ではその取り扱いについては明らかになっておりません。
 次に、秋サケの不漁でございますけれども、本年度の本県の秋サケ漁でありますけれども、12月5日現在でありますが、漁獲量で1万9、000トン、対前年比109%、それから金額では78億円、対前年比105%となっております。こういったことから、本年度も引き続き大変厳しい漁模様になるのではないかと考えております。
 全国なんですが、全国は11月20日現在の統計しかないんですが、漁獲量で12万8、000トン、対前年比90%、金額で505億円。これは金額は対前年比で104%となっております。この中で、全国の秋サケの7割を占める北海道でございますけれども、北海道は漁獲量が10万トン、対前年比84%、金額が407億円、対前年比98%となっておりまして、北海道においても、岩手県同様に平成8年度をピークに減少の傾向が見られております。

〇佐々木俊夫委員 まずセーフガードの件でございますけれども、ただいまの部長の説明によりますと、木材については農林大臣の方からセーフガードを要求するための作業といいますか、調査活動に入ったと、こういうお話でございます。しかし、ワカメを含む水産業については、国から何か話があったら調査をしたいと、こういうお話でございますけれども、私が申し上げているのはそういうことではなくて、岩手の現状から見て、東北全体の、全国の状況から見て、むしろ県が国に対してセーフガードの必要性を訴えていくと、いわば国を動かすんだと、そういう姿勢が必要ではないだろうかという意味で先ほど質問をしているわけでございますので、たまたま今回の議会に請願が出ます。したがいまして、何か聞きますと林業からも出ると、こう聞いておりますので、農業からも出ていますから、そういうことを含めながらやっぱり国、岩手県が積極的に国に働きかけていきますと、こういう気迫をここで示してほしいと、こう思います。御意見をいただきます。
 それからもう一つ。秋サケのことにつきまして、去年との比較ですから、不漁で価格が高いので5%ほどの水揚げ増ですと言えば、ああ、そうか、そんなものかと思うんですけれども、そうではなくて、一昨年、その前から比べますと、物すごい落ち込みなんですね。やっぱりそういう感覚で見ないと、対前年比だけではちょっと実態をあらわしていないのではないかなと、こう思いますが、いずれそれはそれとしまして、実はきのう、ここにおられますけれども伊藤勢至委員が商工労働観光部の審査の中で取り上げた問題がございます。サケに絡んでサケの一本釣りの話でございます。
 伊藤委員のおっしゃるとおり、まさに看板に偽りありと、これは私もそうだと思うんです。ただ、問題は、サケの一本釣りに期待する方の層というものがいろいろございまして、いわゆる大洋に出まして豪快な一本釣りをしたいといういわゆるプロ的な、釣りマニアと言えば失礼なのか、プロ的な方。それからもう一つは、家族、子供を連れていってその辺でにぎやかに、ささやかに楽しむというグループ、この二つが大別すればあると思います。したがいまして、一概には言えない点がございますけれども、それにしても今の一本釣りのやり方では、ちょっと子供だましと言っちゃなんですけれども、そうなんですが、では、あれを規模拡大してやるとなりますと、まず魚の確保の問題それから囲い等の技術的な問題、風水害の場合の施設維持というのは大変なものだと思うんです。そうしたことの問題もありますが、いずれにしろ、いわゆる本格的な洋上での一本釣りということになりますと、恐らく私は現在に施行されております漁業法上のいろんな取締規制等の絡みが出てくるのではないかと、こう思いますけれども、一体その辺はどのようなものなのか。あるいはまた、現段階でそういう制度改正というものが可能なものかどうかと、こういうようなことを考えるのが1点であります。
 それからもう一つは、きのうも出ましたように、ようやく今6市町村で一本釣りをして、観光客誘致に大きな威力を発揮しているのでありますけれども、先ほど来申し上げましたように、ことしは価格も大分高いものですから、入漁料は安くしたい、しかし魚は高い、逆ザヤ現象になって、これを運営している方々は経営上、とても困ると。果たして来年やれるのかどうか、やらないのではないか、やめるのではないかという報道もございました。そういう状況になりますと、せっかく観光上のこと、あるいはまた漁業に親しんでもらおうということが挫折をすると、こういうことになりますので、林業水産部としてもこれについて何らかの対応策を考え、支援策をとるべきではないかと。地方振興局でも若干の助成はしているようでありますけれども、やっぱり何といっても採算の問題が絡んできますので、その辺を考えながら何か対策を講ずるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

〇本山林業水産部長 セーフガードの件についてのお話でございますけれども、農業はもとより、林業、水産業も大変県内におきまして重要な産業であるということは十分認識しております。先ほど御質問にもございましたように、内々県漁連さんの方でも動きを始められると伺っておりますし、私どももこのような県内の雰囲気を十分踏まえまして、適切に前向きに対応してまいりたいと考えております。
 それから、秋サケの一本釣りにつきましては、担当課長の方からお答え申し上げたいと思います。

〇小笠原漁政課長 洋上でのサケ一本釣りの漁業調整についてお答えいたします。
 船釣りによるサケ一本釣りにつきましては、観光資源として有効であり、沿岸地域の活性化のためにもぜひ認めてほしいということで、観光関係者の方から要望が出されております。これに対して、大多数の漁業関係者は難色を示しております。
 その主な理由としましては、秋サケは長年の間、漁業関係者が共同して多額の経費を負担し、地道な努力の積み重ねにより造成された資源であると。その資源は、主に漁協自営の定置漁業で漁獲しているという特色があります。このようなことから、遊漁者によるサケの採捕は理解が得られない状況にあります。また、本県海域では約1、000隻のさけはえなわ漁船が操業しております。これとの操業上のトラブルも懸念されるということ、さらに昨年とことしは秋サケが大不漁でありまして、今の時期は悪いということにしております。
 県としましては、今後とも遊漁と漁業との調和が図られ、共通の認識が深まるよう、引き続き関係者との話し合いを進めてまいりたいと考えております。

〇上村水産振興課長 秋サケの一本釣りの件につきましてもっと支援できないかという話なんですけれども、現在、御存じのように、大槌町、宮古市、田老町、田野畑村、普代村、山田町でやっていますけれども、この中で活性化調整費を活用しているところが大槌町、宮古市、田野畑村、普代村であります。田老町と山田町が活用しなかったということがありますけれども、この調整費の中で御存じのようにサケの買い上げについても、供給するについても見ているところでありまして、私どももこういったことが消費拡大あるいは生産者の魚価のアップにつながるということから、今後とも技術強化するように地方振興局に伝えてまいりたいとともに、できれば消費拡大予算、かなり限られていまして、限定された中で最大の、精いっぱいやっているつもりなんですけれども、そういった中でも見られるかどうか検討してまいりたいと考えております。

〇高橋賢輔委員 林業水産部の皆さん方には、日夜御苦労されておりますことに心から感謝を申し上げたいと思います。
 そこで、今回の決算そのものについて、きょうは出納長もおられますから、その辺も含めましてお伺いしたいと思います。
 総括でもそれぞれ出納長あるいは総務部長からも説明を受けたわけでございますが、そこでまた細部にわたってお聞きしたいと思います。
 まず、今回の決算は前年度に比して総括的にそう改善されておる面が少ないのではないかと、こう思うわけでございます。例えば収入未済額あるいは不用額、そしてまた不納欠損金などはすべて昨年よりは多くなっているわけでございます。
 そこで、繰越明許、繰越額、これまた総額から言わせれば約1割強の繰越明許をされておるわけでございます。その中でも大きいのは林業水産部、農政部、土木部がほとんどを占めておるわけでございます。したがいまして、私がお聞きしたいことは特に繰越明許の関係なわけでございますけれども、この繰越明許は当然国の経済対策ということで、急遽、そういう予算が年度ぎりぎりに入ってきて決まってきているわけでございますけれども、そこで、説明によりますと、調査あるいはいろんな要因があって、どうしても明許繰り越ししなければならんという説明を受けておるわけでございますが、そこでこの資料を見ますと、ほとんど明許された事業等々は13年の末日の事業が多いわけです。私はせっかく景気をよくするためには、こういった経済対策ですから、本来であれば上期にほとんどそういった事業が済まされるのが普通ではないかと思うわけでございます。県民は、せっかくいろいろな補正予算が組まれて幾らかよくなるのではないかという期待をしているわけでございますが、残念ながら見ますと、ほとんど13年の末日が工事完了という形になっておるわけでございますが、そこで私はよく耳にするわけでございますけれども、事務事業の効率化とかということが言われていますけれども、そういうことを考えますと何ら事務事業が効率化、そういった簡素化というようなことがないのではないかという感じをするわけでございます。そこで私は、そのことについて早く発注をして、そして事業も早く完成させるようなことができなかったのかどうか、その点をお聞きしたいと思います。

〇本山林業水産部長 繰越明許の関連についての御質問でございますが、私どもも昨今の経済状況に照らしまして予算の早期計画的な消化といいますか発注、それからまた年度内の事業完成ということを原則といたしまして、鋭意、努力させていただいているつもりでございます。このような中で、今御指摘ございましたように11年度から12年度への繰越額で申しますと、一般会計、特別会計あわせまして部全体では31事業、122億円余、また、そのうち特に国の経済対策に対応した分が19事業、59億6、000万円余というような形になったところでございます。この理由につきましては、今委員御指摘のとおり、国の経済対策がいわゆる15カ月予算として位置づけられていたこともございますし、私どもの方の努力はしたわけでございますが、計画調整、設計、工法の検討に不測の日数を要したというようなことが主な理由になっておるわけでございます。
 なお、そういう中ではございますけれども、経済対策分につきましても、その約1割に相当する6億8、000万円余を、工事の前払い金等といたしまして、11年度内に支出いたしておるところでございます。
 それからまた災害復旧の件でございますが、12年度に繰り越しました災害復旧につきましては、林道災害復旧事業の35路線、9億3、000万円余がございます。このうち、既に完成したものを含めますと35路線中32路線が年内の完成予定、残り3路線につきましては、年度末の完成予定ということで努力させていただいているところでございます。

〇高橋賢輔委員 わかりました。いずれにしても、今度新年度予算も控えてきているわけですから、やはり繰越明許は特にやむを得ずして繰越明許しなければいけないでしょうから、できるだけそういったことが発生した場合は、早い機会に発注あるいは完成させるような努力は必要だろうと、こう思いますので、これを御要望申し上げて終わります。

〇田村正彦委員 私も短い議会経験しかありませんけれども、国から県に来ていただいている部長の中では、一番地域に溶け込もうとして一生懸命努力いただいている部長には、本当に敬意を表すものであります。
 通告にはありませんでしたけれども、今まで、国の森林行政というのはずっと、戦後続いてきたわけでございますけれども、これからの国の森林行政というのはどういう方向に向かって行こうとしているのか、これをまず部長の立場からお聞き申し上げたいと思います。

〇本山林業水産部長 大変大きい御質問を賜りまして、私、少し面食らっておりますけれども、ただいま国の方におかれましては、林政の基本見直しということで、水産の方も抜本見直しということで動いておるわけでございますけれども、林・水とも次の通常国会に向けて抜本的な対策を、新たなものを講じていくというような考え方をとっておられるところでございます。
 林の方につきまして具体的なことを申し上げますと、さきに林政審の答申が出されまして、その中で民有林の施業についても、今まで経済中心で木材生産を念頭に置いて資源整備等を進めてきたけれども、これからは多様な森林の機能を発揮させるということを主眼にするということで、公益側面にも力を入れるというような考え方が打ち出されてきております。具体的なそのための手段としては、民有林についても、現在、国有林が森林の状態を踏まえた主に発揮させるべき機能で公益林ですとか資源循環林ですとか、そういうような区分をしておるところでございますけれども、民有林においても、そういうような仕組みを取り入れることができないであろうかというようなことが、まず一つ出てきております。
 それから、それの裏づけといたしまして、今まで育ててきた資源を皆伐させるということで、一気に切ってしまうような方策をとっておりましたけれども、少しずつ抜き切りしながら長く持ちこたえさせて循環させていくと、そういうような方向が出てきておりまして、そのほかそういうものを具体化するための公的な管理システムのあり方ですとか、林産業の振興をより積極的に位置づけるというようなことも議論されているように伺っておるところでございます。私どもも、その動向を踏まえまして、県内におきましても適切な対応をしてまいりたいと考えております。

〇田村正彦委員 御案内のとおり、県内の民有林というのは本当に零細な林家からなっておる民有林がほとんどだと認識しております。ぜひ今おっしゃられたような方向で、強力に推し進めていただければ本当にありがたいなと思うわけです。
 次に、全く今の話とは変わりまして、地域課題と申しますか県民の森に付随した森の駅構想、これについてお尋ね申し上げたいわけですが、実は一般質問で質問した際に企画振興部長の答弁で、森の駅構想については各部局ごと、事業ごとに粛々と進んでいくであろうというような、ちょっと投げやりな答弁があって後で訂正がありました。そういうことはありません、企画振興部もちゃんと入って一生懸命やりますというようなお話が後でありましたけれども、いずれ、この事業を進める上には財政的な面あるいは総合的な企画の面からも、そういった連携というのが絶対不可欠だと思っております。
 そういうことで、改めてお聞きしたいんですが、そういった地方振興局あるいは自然保護課、そういったものとの連携をどのように現在図っておられるのか、これからどう図られていこうとしているのかお伺いします。

〇塩井緑化推進課長 森の駅の推進体制についてでございますが、森の駅整備計画案につきましては、盛岡地方振興局が昨年作成いたしました岩手山周辺地域振興ビジョンに定められた振興方向の一つである環境学習、教育の推進ということについて、その関連事業を具体化するために策定しているものであります。そういうことで、振興ビジョンの総合的な推進は、基本的には盛岡地域振興局においてなされるものと考えております。その際、我が林業水産部におきましても必要な助言、指導につきましては、引き続き適切に行ってまいりたいと存じております。

〇田村正彦委員 森の駅の整備、11月8日でしたか地域で懇談会を開いておられます。実は私も御案内いただいて、どうしても出られなくて欠席したんですが、地元の皆さんから私の方にもいろんな要望というのかそういったものが来ております。その中で一番要望の強かったのが、いわゆる林業水産部で行おうとして計画の中に組み入れている森のガイド、あとは登山ガイド、そういったものの養成を図っていくんだということが計画の中に組み込まれております。地元の皆さんの意見では、そういったのを具現化するためにどういったやり方をやろうとしているのか、ぜひ具現化してほしいと、具体化を早急にしてほしいというのは、地元の今後の地域の観光とかいろんな森林保護とか考えた場合、これはぜひ必要なのでやってほしいというのが根本にあるんですが、それをどうこれから早急に具現化していくのか、それが非常に興味を持っておられるんです。そこの辺をどう考えておられるのかお伺いします。

〇本山林業水産部長 森林のガイドをどう育成するかという御質問でございますが、私どもは計画の中に、一つは森林インストラクターという、国の方の団体が行っております認定資格がございまして、それの養成ということと、それから地域の皆さんに森のガイドになっていただくという2段階の書き方をしているかと思います。その森林インストラクターの方は養成といいますか、いろいろな講習会また試験がございまして、それなりのバックグラウンドをお持ちの方にチャレンジしていただきたいと考えておるわけでございますが、そういう方々を中核といたしまして、また県の緑化推進委員会さんの方ですとか、そういう方の関連の事業も活用いたしまして、地域の皆さんにガイドの素養を身につけていただくというような取り組みを考えておるところでございます。
 先般の一般質問の際にもお話しございましたわけなんですが、森の駅整備計画におきましては、私どもは現段階で歩道の整備というようなことですとか、そういうガイドの養成を含めたような、今後、整備される施設も含めた地域の活性化施設の有効利用というもののあり方について書き加えるべきを書き加えた上で年内に決定してまいりたいと、そういう考え方をとっておるところでございます。

〇佐々木大和委員長 田村委員にお願いしますが、関連する質問、ひとつ議事進行に協力いただくためにまとめてお願いしたいと思います。

〇田村正彦委員 私だけじゃなくて、すべての委員の人にひとつお願いします。
 県民の森の管理運営というんですか、そういったものにはかなり11年度の決算でも8、000万円ぐらい県ではお金をかけていらっしゃるんですけれども、今後、県民の森とも森の駅については密接な関係があるわけですから、県民の森、これは植樹祭、何年でしたか植樹祭の際にこれの整備がなされております。その際にも県民の森に岩手県内全市町村が植樹をして市町村の森というんですか、そういったものも設置されております。そういった観点から、やはりこういった森の駅を整備した段階で、やはり市町村にも呼びかけて何らかの市町村参加型の森の駅整備、これから先、見直し見直しといくと思うんですけれども、そういった発想も私はぜひ取り入れるべきだと思うんですが、最後にその辺のところを、部長、どうお考えになっているのか。

〇本山林業水産部長 森の駅に対する地域の参画ということでございますが、私どももこの計画を策定する段階から、地元の関係2町村には御参画いただいておるところでございますし、今後ともこの計画についてはパブリックコメントはやっておりませんけれども、地元の意向を反映するということで、先ほどお話しのございました説明会も開催しておるところでございますので、できるだけ地域の御意見を踏まえながら対応してまいりたいと考えておりますし、今まで出ております意見、また、今後伝えられる意見があるとすれば、そういうものの反映状況につきましては、関係の皆さんにフィードバックしていきたいと考えておるところでございます。

〇谷藤裕明委員 211ページでございますけれども、林業の新規就労者確保、また、この確保というのは新規というか、お休みの方も掘り起こしていかなければならないのかもしれませんけれども、いろいろ労働力確保というのは大変大切な局面に入ってきているのだろうと思います。これは本来は佐々木大和委員長の専門分野でございますけれども、私の方からもちょっとお聞きしたいと思います。
 他産業でもなかなか高齢化が進んできて、労働力を確保するという大変な分野というのはたくさんありますけれども、林業も特にその分野の一つであろうかなと思っております。そういうことで、林業労働力確保支援センター等いろいろ活躍していただいていると思いますけれども、どういう状況に今なっているのか、また、課題というものはどういうところにあるのか、それに向けての対策というものはどうなされてきているのかという部分についてお伺いをいたしたいと思いますし、また、林業労働力対策基金というのが36億円ほどだったでしょうか、関係団体を含めていろいろ拠出して運営がなされてきていると思いますが、この低金利時代の中で大変悪戦苦闘しているのだろうと思いますけれども、ただ、その運用益が非常に少ないだろうと思いますけれども、そこの中でそれらの事業はなされてきていると思いますけれども、その辺ではどういう実績があるのかお知らせをいただければと思います。

〇伊藤木材振興課長 林業の新規就労者の確保対策についてということでのお尋ねにお答えいたします。
 本県の森林・林業の担い手となります林業従事者の育成確保を図るため、平成3年に財団法人岩手県林業労働対策基金が設立され、その基金から生じる運用益を活用し、若年の林業就業者を新規採用した林業事業体に奨励金を交付するとともに、林業退職金共済掛金あるいは社会保険掛金等の助成を行うなど、就労条件の改善を主体に取り組んできたところであります。
 また、平成8年に林業労働対策基金が林業労働力の確保の促進に関する法律に基づきまして林業労働力確保支援センターとして指定されて以来、林野庁の補助事業及び労働省の委託事業を導入いたしまして、積極的に林業就業者の育成確保対策を推進してきたところでございます。
 林業労働力確保支援センターにおける林業就業者の育成確保対策としては、引き続き基金の運用益を活用し、これまで61名の新規就業者を雇用した事業主に対して奨励金を交付したほか、平成8年度から新たに新規就業者14名に無利子の林業就業促進資金の貸し付けを実施したところでございます。これらのことによりまして、林業労働力実態調査によりますと、平成8年度からこれまでの新規林業就業者の数は125名ということで、年々増加する傾向にございます。
 平成11年度に林業労働力確保支援センターで林業事業体の意向調査を実施いたしましたところ、新規就業者の採用を考えている事業主が多かったということで、緊急間伐5カ年計画を積極的に推進し、間伐あるいは林産事業の拡大によって新規就業者の就労の場の確保を図ることが必要だと考えております。
 また、林業労働対策基金は、県、市町村、林業関係団体の出捐によりまして、現在までに先ほどお話ありましたように36億円の基金を造成してまいりました。低金利の影響ということで、平成11年度の運用益は約6、900万円ほどの実績となっております。今後、高利回りであった債券の償還が始まるということで、今後は運用益が4、000万円から5、000万円ほどという厳しい見通しになるだろうと考えております。当面、金利回復の見通しが立たないことから、引き続き、確実かつより有利な債券により運用するとともに、管理費の節減と事業の見直し等による効果的な事業展開を図るよう林業労働対策基金を指導しながら、今後とも林業の担い手となる林業従事者の育成確保に努めてまいりたいと考えております。

〇谷藤裕明委員 平成8年から125名新規に取り組んでいただく方が出てきたと。何しろ広大な岩手県でございますから、そこの中で考えたときに、全体を見てこれからいろいろ整備していく。特に間伐を促進していかなければならないということも出てきておると思いますけれども、全体にこれらを計画的に整備していくにしても、実際、労働力として本当はこれぐらい必要なのではないか、その中で今の割合というのはどれぐらい不足しているという認識なのか。十分なのか、その辺を含めて、今後どういう考え方が必要なのか。
 それから、よくわからないんですけれども、新規に林業関係に従事していくことになったときの取っかかりというかPRというか、その辺がちょっとよく見えない。関係者のところではそれぞれ動いているのかもしれませんけれども、一般の方から見ると、新規就労といってもどこにどういう形で窓口に行ったらいいのかというのがよくわかっていないような感じの話も聞きますけれども、その辺のPRの仕方とか、その辺の進め方、どういう状況になっているのかお知らせいただきたいと思います。

〇本山林業水産部長 適正な林業労働力の規模、また、その確保の具体的な方法ということかと思いますが、私どもも、どういう施業をどれだけやれば適正かということについてはなかなか規定しがたいものですから計算したりしたことはございませんけれども、雑駁に申し上げまして、今の間伐計画の達成率がおよそ7割、8割という水準であることを考えますと、決して今、充足されているとは考えておらないところでございます。
 それからまた、将来に向けまして、これから高齢の方々がリタイアされての世代交代ですとか、苦しい林業の状況の中で生産性を上げていくための機械の導入ということになりますと、オペレーターといいますか、高性能機械を使える若い方々に入っていただくことが大切だろうと思っておりまして、そういう側面から、今後とも新規の方々に参入していただくことが大事だろうと思っているところでございます。
 そのための具体的な方法でございますけれども、全国的には全国森林組合連合会の方と、それから、この林業労働力確保支援センターが一緒になりまして、東京の方でIターン、Jターンの方々に対する説明会ですとか、それからまた、ホームページなんかも使って紹介申し上げておるところでございまして、私どもの林業労働力確保支援センターの方からも東京における説明会には人が出ていっておりまして、岩手の状況を具体的に説明したりしております。また、県森連にも直接問い合わせもあるようでございますし、PRが少し不足しておるという面もあるかもしれませんが、努力して改善してまいりたいと考えております。

〇岩城明委員 水産に関して2点ほど質問させていただきます。
 まず、第1点目でございますが、先ほど佐々木委員からもお話がございましたけれども、秋サケの不漁原因の究明に対する県の取り組み状況についてお伺いしたいと思います。
 秋サケは、関係者の長年にわたる増殖努力によりまして、漁獲に増減はあるものの、平成10年度までは3万トンから7万トン、魚市場水揚げの金額の4割を占め、沿岸地域の活性化に大きく貢献してまいったところであります。ところが、平成8年度の7万3、000トンをピークにいたしまして漁獲量が急激に減少し、11年度には2万4、000トン、約20年前の漁獲水準まで落ち込む大不漁となっております。今年度も前年を若干上回る程度で不漁傾向が続いていることから、早急に原因を究明し、適切な対応をとることが必要であると考えております。
 一方、私の久慈管内にある安家川ふ化場では基本に忠実に増殖努力を真摯に続けており、その結果、県下全般に遡上効果が不調な中で、安家川には順調にサケが遡上しております。このことは、しっかりした増殖事業を行うことの大切さを痛切に感じたところであります。
 不漁原因にはいろいろあると思いますが、秋サケは100%ふ化場産で占められていることから、安定して漁獲していくためには、健康な稚魚を生産して放流することが何よりも重要と考えます。この点も含めて、県は秋サケの不漁原因究明についてこれまでどのように取り組み、今後どのように対応していかれるのかお伺いいたします。
 もう一点は、マツカワ栽培漁業の事業化の見通しについてでございます。
 現在、県下で進められている魚類栽培については、平成13年度からヒラメ110万尾、マツカワ10万尾を放流することになっておりまして、その成果に大いに期待しているところであります。特にヒラメにつきましては、私の管内で県内のほぼ半分近くを漁獲しており、事業化によってさらに漁獲の向上が期待されているところであります。
 さて、4日の決算特別委員会において、我が会派の田村誠委員からマツカワについても早急に事業化に取り組むべきであるとの観点の質問がございました。これに対して、千葉副知事からは、現在、調査研究を進めており、できるだけ早く事業化の目途を立てたいとの回答があったところであります。マツカワは冷水性の高級魚でありまして、成長も早く、本県沿岸海域に適していることから、私といたしましても、今後積極的に増産を図るべき魚種だと考えております。
 そこでお伺いいたしますが、マツカワについて現在行われている調査研究がどのような段階にあるのか、調査研究の現状と課題を踏まえ、今後の早期の事業化に向けてどのように取り組んでいかれるのかお示し願いたいと思います。

〇上村水産振興課長 2点ほどあったと思いますけれども、まず、秋サケの不漁原因の究明に対する取り組みでございますけれども、本県の秋サケの不漁原因につきましては、国、県において多くの研究者がその解明に努めているわけですけれども、なかなか難しい状況にあります。その中で、原因と考えられるものに、サケの放流時期あるいは回帰時期、これは成長して川に帰ってくる時期ですけれども、そういった回帰時期における三陸沖における暖水塊等の影響、あるいは北太平洋、サケというのは放されて、沿岸から北太平洋、アリューシャン列島を挟んであそこで育ってくるわけですけれども、そういった北太平洋の生息環境の変化等々が議論されておりますけれども、いまだ決定的な要因は明らかにされておりません。
 現在、水産技術センターでは、先ほどふ化場における技術あるいは取り組みが大事だという話がございましたけれども、ふ化場における稚魚生産段階及び放流後の沿岸滞泳時、沿岸に若干とどまっているわけですけれども、そのときの環境等について不漁要因の解明に努めているところであります。
 こういった早急な原因究明もありますけれども、本県の秋サケにつきましては100%ふ化場産と言っても過言ではありませんから、サケ資源の安定化を図るためには、やはり御指摘のとおり、川のふ化場において健康な稚魚を適期に放流することが重要でありますことから、岩手県さけ・ます増殖協会を初めとする関係者の自助努力を一層期待しながら、県としてもその取り組みを支援してまいりたいと考えております。
 それから、2点目のマツカワの事業化の見通しでございますけれども、マツカワにつきましては、現在、試験研究を進めているわけです。現在、放流技術につきましては、水産技術センター及び社団法人岩手県栽培漁業協会において研究調査が行われておりまして、その結果、採卵技術あるいはふ化放流技術及び放流サイズである10センチまでの、いわゆる基本的な育成技術についてはほぼ確立しているところであります。これらの技術は確立しておりますけれども、さらに良質な、健康な種苗を大量に安定的に生産するための技術確立が求められておりますことから、今現在も努めておりますけれども、今後ともこれまでの研究成果をもとにこの技術確立に努めてまいりたいと考えております。
 また、ヒラメ110万尾、マツカワ10万尾を放流していますけれども、マツカワにつきましても来年度から試験的に毎年10万尾ずつ種苗放流していくこととしておりまして、その漁獲量調査等を通じて、適切な放流サイズ、場所、それから経済効果等を把握して、できるだけ早期に事業化のめどを立ててまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

〇岩城明委員 大筋で了解したところでございます。
 今後は秋サケの不漁究明に徹底的に取り組むとともに、今、お話のあったマツカワの早期事業化を進めるように期待いたしまして質問を終わらせていただきます。

〇飯沢匡委員 私は、6款4項3目の乾しいたけ等主産地形成促進対策事業費に関連してお伺いいたします。
 御案内のとおり、近年、中国産の輸入乾しシイタケが日本にも入ってまいりまして、日本全国、また、主産地である岩手県もかなりの影響を受けているわけですが、おかげさまをもちまして、高い品質と量を維持していることによって岩手県は乾しシイタケにおいて有数の主産地ということで評価を受けているところであります。私の出身の大東町においても、岩手県の乾しシイタケ品評会において団体の部で30年連続優勝ということで、主産地の中核をなしていることに私も誇りを感じているところであります。
 そこでお伺いしますけれども、流通対策の面で生産者の方から指摘を受けているところですが、岩手県では統一ブランドとしてモッコリくんという愛称をつけて全国的に市場に訴えているわけですが、現実問題として、その流通過程において3系統ありまして、全農系統、椎茸農業協同組合、それから森林組合連合会と。これは販売するにも商標が3種類ということで、なかなか岩手統一のブランドとして統一的な歩調がとれていないという指摘がございます。それについて、まず、その現状の把握と課題についてお伺いしたいと思います。

〇伊藤木材振興課長 県産乾しシイタケの流通の問題についてお答えしたいと思います。
 今、お話ありましたとおり、岩手県内の乾しシイタケの集荷団体は、全農系統の岩手県経済農業協同組合連合会と日椎連系統の岩手県森林組合連合会、それから、岩手県椎茸農業協同組合の3団体がございます。各系統の県内での集荷割合が全農系統が5割、日椎連系統が4割となっているということで、各団体の系統出荷先市場というのは、主に埼玉県にあります全農乾しいたけ事業所と静岡県にございます日椎連乾しいたけ流通センター、そちらの方に出荷されているということで、本県の乾しシイタケというのは非常に品質がいいということで、各市場での取扱量あるいは取扱高の面からも主要な位置を占めているということでございます。
 今、お話ありましたように、岩手しいたけモッコリくんということで一応ブランド化ということで進んできているわけでございますけれども、残念ながら、先ほどお話ありましたとおり、3団体が一緒になってそういったブランドを使いながら出荷する状況には確かにないということが言えるかと思います。ただ、各団体におきましても乾しシイタケの取扱量が伸び悩みの傾向にあるということ、それから、価格の低迷と相まって、シイタケの取り扱いの採算性の問題もございまして、こういった現状を乗り越えるためには、流通の一元化により何とか流通ロットの拡大を図り、需要の拡大あるいはブランド化に一体となって取り組むのが望ましいのではないかと考えております。

〇飯沢匡委員 現状については大体同じような認識だということがわかりました。
 昨日、商工労働観光部の審査のとき、岩手ブランド推進室長から、来年はいわてブランドの推進の目玉として乾しシイタケが採用されたということで、これは非常に岩手県も全面的にバックアップできるものと期待しているわけですが、先ほどの販路の問題についてはいろいろな歴史的背景もありましてなかなか難しい面がありますけれども、モッコリくんを中心としたブランドをさらに強力に推し進めて、本当に岩手の誇れる主産品でありますから、真剣に強力に推し進めていただきたいと思いますし、さっき申し上げた部局横断的なものについて何かコメントがあれば、取り組み姿勢があればお伝え願いたいと思います。

〇本山林業水産部長 乾しシイタケのブランド化についての御質問でございますけれども、12年度におきまして、ブランド化をこれからどうするかということの取り組みを、岩手ブランド推進室の方の予算もいただきまして、今、鋭意検討を進めておるところでございます。それからまた、この議会で御議論、御審議いただいておるところでございますが、流通関係につきましても先々きちんとした横断的な体制を県としても整備するように総務部の方の案では聞いておる面もございまして、組織的な体制もしっかりしながら進めてまいりたいと思いますので、またよろしくお願い申し上げたいと思います。

〇伊沢昌弘委員 1点だけお伺いしたいと思います。
 岩手県は環境首都を目指すということで、この間、環境の分野に各部も含めて取り組みをされていると思うんですけれども、水産技術センターの調査にかかわってお伺いしたいと思います。
 企画振興部が所管しております2款総務費2目計画調査費の中に海洋環境国際共同研究事業費というのが11年度から盛り込まれているわけですが、この事業はたしか3年ぐらいの計画で、国際連合大学とか東京大学海洋研究所大槌臨海研究センター、さらに、北里大学水産学部と県の試験研究機関であります水産技術センター等がかかわって取りまとめをしていくと聞いているわけでありますけれども、水産技術センターがどのような形でかかわってこられているのか。まだ取りまとめまでなっていないと思うんですけれども、経過なり、かかわり方についてどの程度の分野を担当されているのか、そういったところについてお示しいただきたいと思います。

〇小笠原漁政課長 岩手県は平成10年に、委員が今おっしゃいましたように、国際連合大学、東京大学海洋研究所の三者で共同開催しました海洋環境に関する国際会議におきまして海洋環境国際共同研究プロジェクトに参画しております。この中で、本県は物質環境の研究テーマのリーダーとして、東京大学海洋研究所等と共同で研究を行っております。
 この研究は、本県の湾内漁場がこれまでの長年にわたる養殖生産で海底に有機物が堆積しており疲弊しつつあるということから、湾内漁場が持っている浄化能力により底質の改善を図ることを目的としております。これは、平成11年から13年までの3年間で、大槌湾を対象に、湾内の植物プランクトンによる基礎生産力あるいは沈降物質、海水の交換、有機物の分解等の調査により物質環境を明らかにして、現状の養殖生産を維持しながら、海底への有機物の堆積を最小限に抑える環境収容力モデルを開発するものであります。将来的には、大槌湾におけるこのモデルを順次他の湾へ展開することにより、養殖漁場の底質改善、漁場の永続利用により養殖経営の安定に資することが期待されていると考えております。

〇伊沢昌弘委員 専門的な言葉がいっぱい出てきたのであれなんですけれども、成果が上がることを期待したいと思います。
 私、これを聞いた理由は、三陸漁場といいますか、岩手県の場合は大きな川もさほど海に入っていないということで、沿岸の水域はかなり良好に保たれているのではないかと思っています。大船渡湾を含めて、大変なプロジェクトを含めて、今、湾内の浄化もやっているわけですけれども、そういったところで考えていけば、海というのは全部つながっているということで、過日、県政調査会でも先生をお呼びして、PCBを含めた大きな汚染が進んでいるという話を聞いたわけですけれども、そういったことも含めて、三陸でとれた海産物が価格も含めていろいろな意味で大変難しくなってきている面があるんですけれども、将来にわたってこういった基礎研究をもとにしながら、安全なものだというところがセールスポイントになって再び活気が出てくるところに結びつけるような、そういった基礎研究にしていただきたいと思っているものですからお伺いしたわけであります。
 御所見があれば、部長から一言いただければ終わりたいと思いますけれども、よろしくお願いします。

〇本山林業水産部長 今後、岩手のよさ、水産物のよさを主張していく上での水産環境の保全という御質問かと思いますが、まことに私もそう考えておるところでございまして、委員おっしゃるとおりでございます。
 三陸のよさ、水産物のよさをこれからますます訴えていくことが県の水産業を振興していく一つの大きな手段になるだろうと先般の一般質問のときにも答弁申し上げましたが、JAS法改正もございまして、これから原産地表示という制度が拡充されてまいりますので、そういう中でもきちんと訴えることができるような対応を考えてまいりたいと考えております。

〇阿部静子委員 質問が最後の方になりますと、自分のと重複しないかと心臓をドキドキさせて今を待っておりました。
 では、質問いたします。
 岩手県森林の公益的機能と木材需給に関連して質問いたします。
 本年9月、林野庁は、日本の森林の公益的機能の評価額を試算し、公表いたしました。それによりますと、水源涵養機能、降水の貯留、洪水防止、水質浄化で計27兆1、200億円、土砂流出防止機能28兆2、600億円、土砂崩壊防止機能で8兆4、400億円、保健休養機能で2兆2、500億円、野生鳥獣保護機能で3兆7、800億円、天然保全機能及び二酸化炭素吸収機能で1兆2、400億円、酸素供給で3兆1、400億円、それに3兆9、000億円が入りまして合計74兆9、900億円、これが年間の日本の財産であると報じられてございます。今、地球規模で緑資源が失われ、地球環境が悪化しているとき、地球を救うのは森林なのだと言われているゆえんがここにあろうかと思います。
 きのう、きょう、岩手県の花巻温泉を会場といたしまして、第32回食と緑、水を守る全国集会が、1、200人の関係者が集まって、「大地とともに、自然とともに、イーハトーブの力21世紀へ発信」というテーマのもとに集会を開いてございます。循環型社会を求め、環境を大事にしていくという岩手県の総合計画の中心テーマに向けて、この集会の中で、全国の方々が何を求め、何を目指していくか、そしてどんなことが決められていくか、大変本県にとっても重要な関心のあるところと私は期待いたしております。
 そこでお伺いいたします。水と緑の輝く自然豊かさをモットーといたしております本県において、冒頭に申し上げました日本の森林の公益的機能が岩手県においてはどのように評価されておりますでしょうか、その数値を挙げていただきとうございます。
 また、日本の林業は輸入材が80%と言われておりますが、本県の場合はどのような状況でございましょうか。本県の自給率の目標はどれくらいでしょうか。自給率向上に向けてどのような施策をおとりなのかお尋ねいたします。
 また、私は、公益的機能の大事さはそのとおりでございますが、岩手県における森林の景観というのがまた大事であろうと思います。生活及び精神的な部分、心にゆとりを持たせる大事なものであろうと思いますが、この森林の景観の価値をどのように県は認識されていらっしゃるのでしょうか、お伺いいたします。

〇本山林業水産部長 岩手県の森林、また、全国の森林の価値に関しての御質問でございましたが、まず、順番がちょっと変わるかもしれませんが、岩手県の森林の景観をどのように認識しているかという点から御答弁申し上げたいと存じます。
 岩手県の森林につきまして私として考えておりますことは、温帯林から高山帯に至ります多様な樹種、また植物層がございまして、私が印象を深くしておりますのは、カラマツですとかブナの春の芽のやわらかい緑色ですとか、また、常緑のアカマツ、杉と紅葉したカエデの調和ということで、いろいろな美しさが心に残るということで強い印象を受けておるところでございます。
 このように岩手の森林は多様でございますが、こういう森林が岩手らしさといいますか、岩手らしい特徴ある景観の重要な構成要素ともなっていると考えておりまして、委員御指摘のように、県民生活にいろいろな意味での潤いですとか彩りを与えているのではないかと考えて、大きな恩恵に寄与していると思っております。
 また、私どもの立場といたしますと、こういうような森林を引き続き健全に維持、保全、整備していくことが大事だと思っておりまして、そのためには、必要な間伐ですとか路網の整備ですとか保安林の機能の充実という諸施策を適切に進めていくことが大事だと考えております。
 ただ、公益的機能の評価につきましては、非常に心に受けとめるという感情的な、精神的な面でございまして、今のところ評価の直接の金銭的な対象にはなっておらないところでございます。
 公益的機能の評価と今後の県の自給率ということでございましたが、以下、課長の方から答弁させていただきます。

〇武田林政課長 お尋ねの岩手県の森林の公益的機能の評価額についてお答え申し上げます。
 今回の林野庁の手法に準じまして試算いたしましたが、阿部委員からお話のありましたとおり、六つの大きな項目から評価されております。一つ目が水源涵養機能、これは降水の貯留、洪水の防止、水質の浄化が含まれておりますが、7、600億円。二つ目が土砂流出防止機能1兆2、900億円。三つ目が土砂崩壊防止機能3、900億円。四つ目が保健休養機能1、100億円。五つ目が野生鳥獣保護機能1、800億円。六つ目が大気保全機能、これには二つの要素がございまして、二酸化炭素吸収機能が500億円、酸素供給機能が1、600億円、あわせて2、100億円となっております。以上の六つの項目でそれぞれ試算した合計額が2兆9、400億円となっております。繰り返しになりますが、岩手県における森林が持つ公益的機能の評価額は、本県で試算しましたところ、総額で2兆9、400億円となるものでございます。

〇伊藤木材振興課長 木材の自給率について3点ほどお尋ねがありましたので、それについてお答えしたいと思います。
 本県における木材の輸入割合は、若干の増減はありますが、ここ10年ほど30%台ということで、言いかえますと自給率が60%台で推移しているということで、全国の動向に比べまして地域材が有効に使われている状況にあります。
 また、本県の木材の自給率の目標につきましては特に定めてはおりませんけれども、昨年度策定いたしました第6次岩手県林業基本計画の主要指標として木材の需給量を定めております。この中で、目標年度である平成22年度の総供給量に占める県産材の割合を算出すると62%となっております。
 このような中、本県の森林資源の構成上、今後一層人工林の活用が重要になってくると見込まれており、杉やカラマツ等の間伐材を有効に活用していくことが重要であると考えております。このため、今後とも岩手県木材利用推進方針及び岩手県緊急間伐5カ年計画に基づき、地域材の需要拡大と森林の整備に努めてまいることにしております。

〇阿部静子委員 岩手県の森林が約3兆円の財産だということで、いやあ、よかったなと。この財産を減らさないために頑張っていかなければならないという思いと、岩手県の高等教育は盛岡高等農林からたしか始まってきていると思っています。岩手が森林県である、そこに高等農林という、そのことをもわきまえながら、これからやはり美しい岩手の森林、年間3兆円のお金を生み出す森林を本当に大事にしていくために、今、部長から森林のうち人工林を大事にしていかなければならないというお話がございましたが、その手入れをだれがやっていくか。それは、先ほどの谷藤委員のお話の中にも出てまいりましたが、もやしのような山にならないよう、景観をも含めて、県民一体となっての運動展開に向けての手だてをどうか積極的に県がおとりになるようにお願いいたしまして質問を終わります。

〇斉藤信委員 今、大変興味深い質問、答弁がありました。3兆円近い森林の機能、ところが、これを破壊する事業をまた林業水産部がやろうとしていることを私は取り上げたいと思います。
 大規模林道川井住田線横沢-荒川区間について、平成11年度の進捗状況はどうなったでしょうか。計画、実績、率、事業費、そして平成12年度の見込みも含めて示していただきたい。平成12年度の工事区間も教えていただきたい。
 緑資源公団は、ルートの変更、トンネル化を検討すると言っていますが、工事は進められています。このルートの変更とトンネル化、これがどうなっているか。本当にこれを検討するというなら、工事を凍結してこの検討の結果をまつべきではないかと思うけれども、その検討状況、見直し状況を示していただきたい。
 平成13年度に再評価にこの林道はかかります。そのスケジュール、そして、再評価の内容、現地調査があるのか示していただきたい。
 また、それにかかわる県が準備する資料等作成状況はどうなるか。岩手大学の井上教授が費用対効果分析も示しました。私は3月の議会でこれを取り上げました。大変科学的な費用対効果分析としてこれも林野庁に報告すべきと思いますけれども、いかがでしょうか。(「林道は岩手県の特産だ。」と呼ぶ者あり)大規模は違う。

〇盛合森林土木課長 大規模林道川井住田線横沢-荒川区間の平成11年度の進捗状況は、開設延長が133メートルでございまして、11年度末の累積延長が34.5キロメートルとなりまして、計画延長41.4キロメートルに対しまして83.3%の進捗率となっております。事業費は2億6、100万円となってございます。
 平成12年度の見込みは、事業費2億5、000万円で、開設延長300メートルの計画で、12月末の完成予定で工事を実施しているところでございます。その結果、計画延長に対しまして84.1%の進捗率になる見込みでございます。
 次に、トンネル化の可能性を含めたルート変更の検討についてでありますが、緑資源公団では昨年の11月から地質調査やボーリング調査などの基礎調査を実施いたしまして、ルート変更の検討に必要な資料を整備してきたところでございます。このたび基礎調査の資料の大部分が整備されましたことから、横沢-荒川区間の残工事区間におきまして具体的なルート検討に着手するため、学術的、専門的、技術的な見地から自然環境の保全等に配慮いたしました、より適切な路線形、防災及び景観工学上の検討を総合的に行います『大規模林道川井・住田線「横沢・荒川区間」路線検討会』の第1回目の検討会を12月中下旬に開催いたしまして、平成13年前半まで必要な検討を行い、検討結果を取りまとめる方針であると聞いてございます。
 検討結果が出るまで工事を凍結すべきとの質問がございましたが、緑資源公団では、平成13年度の工事の実施につきましても引き続き猛禽類のモニタリング調査を行いまして非営巣期間に工事を実施する方針であり、路線形の検討に支障のない部分で工事は実施できるものと考えてございます。
 次に、平成13年度の再評価のスケジュールについてでございますが、林野庁からの具体的な通知は来年度になる予定でございますが、これまでの例を見ますと、再評価委員会は第1回が6月から7月に開催されまして、11月から12月ごろまでに約6回程度開催している状況のようでございます。それから、委員会の開催とは別に、10月ごろに一部の区間を対象に現地調査及び地元などの意見聴取を実施、12月に再評価結果が林野庁から公表というスケジュールになっているようでございます。
 県は、林野庁からの資料の作成の要求に基づいて、それから資料の作成につきましては着手したいと考えてございます。
 岩大の井上教授の資料につきましては、林野庁からの要求があった際には提供する考えでございます。
 大規模林道事業の費用対効果については、林野庁は平成11年度の新規着工区間から試行的に導入しておりまして、その後、平成12年3月に策定されました林野公共事業における事前評価マニュアルに基づいて分析を行うこととしており、基本的には一般林道と同じでございますが、大規模林道においては集落孤立化防止効果等、一般林道より広範囲の要因について分析することになってございます。

〇斉藤信委員 ルートの見直しとトンネル化の検討を行うと初めて明らかになりました。私は、ルートを変えるにしてもトンネル化にしても、本当に環境アセスメントが必要になってくると思います。その点についてお聞きしたい。
 それと、ルートを見直したりトンネル化になった場合には工事区間も変わるわけですから、当然工事は凍結されなければならない。今の話だと、12月中下旬に検討会を設置して13年早々には結論を出したいと。これでは緑資源公団が先に結論を出して、わずか一、二カ月ぐらいで決めてしまうと。これでは、私は本当に説得力ある検討にはならないと思います。
 もう一つ聞きたい。実は、大規模林道に関して、総務庁の行政監察局が平成11年12月に特殊法人に関する調査結果報告書というものを出しています。この内容を承知していますか。

〇盛合森林土木課長 総務庁行政監察局が特殊法人に関する調査報告書ということでなされてございます。これについては、それがなされた旨の新聞報道等は承知しておりますが、県といたしましては資料等を提示したものではございませんで、国において取りまとめるものと承知しておりますので、これらについてのコメントは差し控えたいと考えてございます。

〇斉藤信委員 大規模林道全国32路線について、総務庁の行政監察局がこの事業効果について分析した報告書ですよ。関係ないなんて話はないんですよ、これ。
 そこで、私は、知らないというから教えます。32路線について、大規模林道事業の事業効果を分析した。木材生産上の効果については、投入事業費4、200億円に対して木材生産上の効果は1、600億円だと。第2に、他産業、地域の振興等の効果については、その内容は具体的に示されていないため検証できなかった。第3、環境に与える影響、事業の実施により生じる環境への影響等の分析は行われていないが、環境に与える影響や環境保全に要するコスト等についても分析する必要があると。全国32路線の大規模林道について──これには大規模林道川井住田線も入っているんですよ──こういう分析があるんです。余りにも効果が低いのではないか。そして、この費用は、大規模林道の場合は国費、県費、市町村費、全部税金でやっているんです。私は、この事業効果というのは本当にシビアに見なければならないと思います。そういう点で、井上教授は一定の具体的な根拠に基づいて、あの試算でさえ145億円から150数億円のマイナス効果だと言ったが、環境に与えるマイナス効果は試算に入っていないんです。そういう点で、都合の悪いのは知らないというのでは困るんですね。きちんと見て、これは政府内でもこういうふうに問題視されているわけだから、それにたえ得る資料を私は岩手県がちゃんと報告すべきだと思います。そして、皆さんの報告する内容についてきちんと県民に公開できますか、この点についてお聞きしたい。

〇本山林業水産部長 報告書について県がどう考えるかということかと存じますが、今の報告書は、まさに委員が御指摘のとおり、総務庁の方で財貨等を算出されたものでございまして、どういう根拠で当局の方がなされたものか、私どもが具体的なものを特に提示を受けているわけではございません。ただ、このことに関しましては、やはり事業につきまして費用負担をしているという観点から、私どももどのような動向になっていくのかということには大変関心を持っておるところでございます。そういう中で、御指摘ございましたように、全国の全路線にかかわる話でございますので、逆に私どもの方から個別的なお話をみずから申し上げるものかどうかということで、私は全体の動きをしっかり、今、見守っていきたいと考えておるところでございます。
 それから、県として評価して、ちゃんと評価した効果を公開しろというお話があったかと思いますが、林道につきましては、御指摘にも一部書いてあったかと存じますが、環境的な機能は、これからどういうふうに評価するものかということがまだきちんと明らかになっていないわけでございますし、そういう面も考えろという御指摘があったのではないかと思っておりますけれども、林道自体も、路線全体が開通した暁に林業生産にどのように具体的に寄与していくかということが明らかになる面もあるかと思っておりますので、今の段階で個々具体的に計算していくことが必ずしも適当ではないと考えておるところでございます。

〇斉藤信委員 井上教授の費用対効果分析は、森林整備計画そのとおりやった場合の試算をしているんです。実際にはそういうふうに整備されていないんですよ、造林計画は。それでも145億円マイナス効果になるという指摘、あなたは見ているんですか。私は計画がそのとおりいかないと思うし、そして、伐採する計画の44%は天然林ですよ。これを伐採したら、さっき言った3兆円の森林の果たす機能は破壊されるんじゃないですか。これはマイナス効果ですよ。そういう点で、きちんとそういう試算をしているんだからよく見て、参考資料でちゃんと挙げなさいよ。
 この問題の最後に聞きたいんだが、大規模林道の再評価実施要領を見ますと、再評価の内容で6項目ありますけれども、ここには費用対効果がないんですね。費用対効果分析はされるんでしょうか、それが第1点。
 もう一つは、岩手県に求められているさまざまな資料があります。15項目の資料がありますね。この15項目、いわば再評価に必要なこの資料は県民に公開されるのかと私さっきも聞いたので、そのことをちゃんとお答えいただきたい。

〇佐々木大和委員長 斉藤信委員、発言中でございますけれども、簡潔な質問にしていただきたいと思いますので、そのほかにありましたらここで質問を足してください。時間の都合もありますので、続けてやってください。

〇斉藤信委員 あと二つありますけれども、やっていいんですか。

〇佐々木大和委員長 一緒にやっていただきたいと思います。

〇斉藤信委員 休憩した方がいいんじゃないですか。

〇佐々木大和委員長 一緒に続けて質問していただきたいと思いますけれども、御協力をいただきたいと思います。

〇斉藤信委員 それでは、あと2点ですから、今の質問にあわせて聞きます。
 広域基幹林道横川金沢線について、この事業の内容と目的、進捗状況はどうか。
 2月7日、作業員2名が死亡する事故が起きましたが、その原因は何だったんでしょうか、捜査状況を含めて示していただきたい。
 この死亡した作業員には労災は適用されているんでしょうか。被害者への補償はどうなっているんでしょうか。
 死亡した下請の作業員は、下請契約書は交わされていたのかどうか示していただきたい。
 労働基準監督署が起訴していますが、その内容は何でしょうか。
 事故調査中にもかかわらず、平成12年度もこの事業については同じ業者を指名し、落札していますが、これでいいんでしょうか。
 最後ですが、昨年、ことし、ワカメの価格暴落が取り上げられましたけれども、地元の漁民は三つのことを要望しています。セーフガードの適用と価格補償と、もう一つは原産地の表示です。養殖ワカメは岩手県が全国の3分の1の生産ですよ。岩手県が声を上げなかったらセーフガードは実現できないんですから、改めてこの三つの漁民の要求に対してどう積極的に対応するか聞きたい。

〇本山林業水産部長 まず、大規模林道に関連することについてでございますが、B/Cの分析が再評価のときにあるかということでございますが、これは、国が再評価を行うものでございまして、国が明示していない限りにおきましては、国においてはそのような取り扱いをされるものだろうと考えております。
 それから、再評価の提出資料について公開だということでございますが、再評価の委員会のために県がどのような資料の提出を求められるか、現段階でまだわかりません。先ほどおっしゃったのは、前回県で再評価の対象になった路線の資料かと存じますけれども、そういう意味で、具体化した段階で情報公開条例等に基づきまして判断してまいりたいと考えております。
 それから、ワカメのセーフガードにつきましては、先ほども申し上げましたように、業界、団体等の動向を十分踏まえ、また、この議会での御議論がこのようであるということもきちんと国に伝えるなど努力してまいりたいと考えております。ただ、価格補償ですとか、そういうことにつきましては、大変いろいろな観点から多面的な検討が必要になると考えておりますので、勉強してまいりたいと考えております。
 そのほかにつきましては課長の方から答弁申し上げます。

〇盛合森林土木課長 広域基幹林道横川金沢線の開設工事についてでございますが、事業内容、目的は、森林の多面的機能の発揮が期待される広域的な森林地域を開発する骨格林道として整備するものでございます。この計画は平成6年度から16年度までの11年間を予定してございますが、全体計画延長15.2キロメートルに対しまして平成11年度末で7、259メートルが完成してございまして、進捗率は47.8%となってございます。
 悲しいことに昨年2月7日に事故が発生したわけでございまして、午前3時ごろ(後刻「午後3時ごろ」と訂正)、側溝の取りつけ作業中、上部のり面から突然崩落が起きまして作業員2名が生き埋めとなりまして、救出はしたんですが、間もなく2名が死亡した事故でございました。この事故原因につきましては、大船渡警察署が現在も捜査中でございまして、発表されていないことから、不明でございます。
 次に、建設業に係る労災保険でございますが、労働者災害補償保険法により加入が義務づけられております。当然のことながら加入していると考えております。
 また、補償問題については、事業主と雇用者との関係における問題であるということから県は関与すべきではないと考えておりますし、状況についても把握してございません。
 次に、下請契約書でございますが、これにつきましては、平成12年8月16日付の注文請書が下請調書に添付されておりまして、大船渡地方振興局に提出されてございます。
 それから、現場監督、見張りの件につきましても、先ほど申し上げましたとおり、大船渡警察署が捜査中でございます。
 それから、労働基準監督署の起訴の内容でございますが、労働基準監督署の発表によりますと、平成12年2月7日に現場代理人が無資格でブレーカを運転したということにつきまして、労働安全衛生法違反で建設会社と現場代理人が書類送検されてございます。
 それから、事故があったにもかかわらず、平成12年度同じ業者を指名し、落札しているということでございますが、それにつきましては、県営建設工事請負契約に係る指名停止等措置基準に基づきその取り扱いが決められることになっておりますが、その場合において、捜査機関による処分等が措置要件に該当するか否かにより措置することとしており、当該処分等がなされていない段階では通常の手順によるものであると定められてございます。

〇谷村水産振興課長 先ほどワカメの関係で原産地表示の御質問があったと思いますけれども、原産地表示につきましては、輸入ワカメと明確に区別ができるよう、ワカメ等の海藻加工品について原材料の原産地表示を行うよう、国に対して要望してきております。その結果ですが、水産庁では来春の告示に向け、表示方法等について検討が行われていると聞いております。

〇斉藤信委員 1点だけ、もう時間を過ぎているから。
 下請契約書については結んでいなかったと私の調査では言われていますよ。平成11年度の事業で下請契約は本当にあったんですか。
 それと、当時見張りはいなかったという話も私の調査では言われているけれども、県はそういう点を確認をしていますか。これはもう警察任せですか、その点をお聞きしたい。

〇盛合森林土木課長 下請の請書につきましては先ほど答弁したとおりでございます。
 それから、見張りのことにつきましては、当部では見張りがいなかったという話については確認はしてございません。
 なお、一つ訂正がございます。事故の発生ですけれども、2月7日の午前3時と申し上げましたが、午後3時でございます。訂正いたします。失礼しました。

〇斉藤信委員 指摘だけで終わりますけれども、死亡した作業員2名については葬式代しか出されていません。労災はまだ適用になっていません。全く不誠実な対応ですよ。
 そして、先ほどのような起訴もある。今、警察も捜査に入っていると。ところが、同じ業者が今年度も同じ事業を落札しているんですよ、指名されて。私は、こういうものにはもっと慎重に対応すべきだと思いますが、このことを指摘して終わります。

〇水上信宏委員 今の質問に関連して、福祉と教育の30人学級では大変斉藤信委員に賛成で共鳴できるところがあるわけですが、この大規模林道については、この間10月5日、委員長も同行したわけですが、いろいろ視察した結果、その地域の方々の強い要望があります。本当に涙の出るような要望がありました。その地域の方々が、これはちょっと不謹慎な言い方かもわかりませんが、クマタカがいなかったら道路を通してもらえるのかなという話も、それ以上は話ししないですけれども、そういう話もありますし、それからクマタカも、林の中から獲物を見つけるのが難しいから、時々道路があった方がとりやすくて、逆に道路のある方にクマタカがいるというような話もあります。これは専門的な話ではないです。地元でも大変林道を希望していることに対してどういう考えか一言お願いします。

〇本山林業水産部長 地元の要請につきましては、9月に村の主催で会合が開かれたということも承っておりますし、また、その旨の御報告も村の方からいただいておるところでございまして、私どもも十分踏まえながら、また、環境保全の要請もあることも意識しながら適切に対応してまいりたいと考えておるところでございます。

〇佐々木大和委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇佐々木大和委員長 質疑がないようでありますので、林業水産部関係の質疑をこれで終わります。御協力ありがとうございました。
 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午後0時11分 休 憩
   午後1時5分 再 開

〇阿部敏雄副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 次に、農政部長に農政部関係の説明を求めます。

〇佐藤農政部長 平成11年度農政部関係の決算につきまして御説明申し上げます。
 初めに、平成11年度の農業の概要と農政の推進状況について申し上げます。
 平成11年度は、7月下旬から8月上旬にかけての記録的な高温乾燥による農畜産物被害などに続き、10月下旬の大雨洪水災害では、軽米町を中心に農作物及び農地等に甚大な被害をこうむったところであります。こうした中で、米については、作況指数が105のやや良となったものの、夏場の高温障害やカメムシ被害等によって1等米比率は79.1%と、平成6年以降では最も低い値を記録したところであります。しかしながら、農家の方々の適切な栽培管理により、県南ひとめぼれが日本穀物検定協会の食味ランキングにおいて6年連続で特Aの評価を受け、高品質、良食味産地としての評価を確保したところであります。園芸では、夏場の高温、乾燥により、一部の品目で品質や収量の低下が見られたこともあり、販売額は前年を下回りました。その中で、キャベツの作付拡大に取り組んだ結果、作付面積が対前年比104%の905ヘクタールと大幅に伸長したところであります。畜産では、梅雨明け後の高温により、ブロイラー等の中小家畜を中心に熱射病等によるへい死などの被害を受け、生産量、販売額ともに前年並みかやや減少となったところであります。
 次に、農政全般の動向についてでありますが、平成11年7月に制定された食料・農業・農村基本法を踏まえながら、21世紀初頭の本県農業の進むべき方向とその実現のための基本方策を明らかにした岩手県農業・農村基本計画を同年9月に策定し、意欲ある担い手の育成、個性あるいわて農業の形成、活力とうるおいにあふれ開かれた農村社会形成を基本方向として、それぞれの具体的な施策の方針等についてアクションプログラムを策定し、施策の計画的かつ重点的な推進を図ることとしたところであります。こうしたこととあわせて、同年10月には、県計画の実現に向けて農業者の意欲を結集するとともに、県民の農業・農村に対する理解を深めることを目的として、岩手県農業・農村振興大会を開催し、大会の総意としていわて総合食料供給基地宣言を行ったところであります。
 以上、申し述べましたとおり、平成11年度は新たな施策展開の実質的な初年度に当たることから、地域や農業者の意向を十分踏まえ、地域に根差した農政の推進に努めたところであります。
 それでは、決算の内容につきまして御説明申し上げます。
 平成11年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開き願います。農政部関係は、6款農林水産業費のうち1項農業費、2項畜産業費、3項農地費でありますが、このうち、農政部の予算現額は1、385億4、464万円余、16ページの11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費のうち40億9、499万円余及び4項庁舎等施設災害復旧費をあわせた予算現額では総額1、426億8、545万円余であります。これに対する支出済額は1、110億3、895万円余となっております。
 また、平成12年度への繰越額は、6款1項農業費から農地費及び11款災害復旧費までの40事業で315億9、985万円余であります。繰り越しの主なものは、国の第2次補正予算に係る経済対策関連予算の補正措置に対応したものであり、工事の施工期間等の関係から繰り越しを余儀なくされたものであります。この結果、予算現額に対する支出済額の割合は77.8%となるものであり、また、県の一般会計決算額に占める農政部の割合は11.9%となるものであります。
 以下、個々の内容につきまして、便宜平成11年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げます。
 なお、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に御説明申し上げますので御了承願います。
 歳入歳出決算事項別明細書の180ページをお開き願います。6款農林水産業費1項農業費1目農業総務費は、人件費など農政部の管理運営に要した経費であり、国土調査事業費は、地籍調査等に要した経費について助成したものであります。次に、182ページに参りまして、2目農業金融対策費の主なものでありますが、農業近代化資金融通対策費、農家負担軽減支援特別資金利子補給は、農業者等の資本装備の高度化による農業経営の近代化等を図るため、農協などが貸し付けた制度資金に対する利子の補給を行ったものであります。次に、3目農業構造改善対策費の主なものでありますが、地域農業基盤確立農業構造改善事業費は、農業・農村の活性化及び望ましい農業経営体を育成するため、土地基盤整備、近代化施設整備、集落の環境条件の改善等に要した経費について助成したものであります。
 なお、繰越明許費の8億9、617万円余は、地域農業基盤確立農業構造改善事業費の国の経済対策関連予算の補正措置のうち、年度内の執行が困難となり翌年度に繰り越ししたものであります。
 以下、同様の事情によります事業繰り越しが関係する目にありますが、その説明は省略させていただきますので御了承願います。
 次に、184ページに参りまして、4目農業改良普及費の主なものでありますが、12カ所の農業改良普及センターの管理運営に要した経費であります。次に、5目農業振興費の主なものでありますが、山村等振興対策事業費は、定住環境の整備、都市との交流促進対策等に要した経費について助成したものであります。また、新いわて農業再編総合対策事業費は、収益性が高く地域ごとに特色ある農業への再編を促進するため、土地基盤、共同利用施設等、生産から流通に至る各種の条件整備に要した経費について助成したものであります。次に、186ページに参りまして、6目農作物対策費の主なものでありますが、いわて純情米生産体制強化総合推進対策事業費は、生産コスト低減、高品質の生産体制の確立を図るため、推進指導、共同利用施設整備など、ソフト・ハード両面の各種事業に要した経費について助成したものであります。また、中央卸売市場整備事業費補助は、平成13年度に供用開始予定の盛岡市中央卸売市場の移転新設整備に要する経費について助成したものであります。次に、7目畑作振興費の主なものでありますが、野菜産地強化整備対策事業費は、国際化の進展に対応した特色ある高付加価値型農業の推進や共同利用施設等野菜産地力強化のために要した経費について助成したものであります。また、188ページに参りまして、青果物等価格安定対策事業費補助は、産地から市場に出荷した青果物等の価格が著しく低下した場合、農家経営の安定、青果物生産及び出荷の安定を図るために交付する生産者補給金の財源に対し助成したものであります。次に、8目北上奥羽山系開発費の主なものでありますが、広域農業開発事業償還金は、北上山系8区域、奥羽山系2区域に係る県及び地元負担金を緑資源公団に償還した経費であります。次に、9目植物防疫費の主なものでありますが、病害虫防除所管理運営費は、病害虫の発生予察、防除指導、農薬安全使用指導等に要した経費であります。次に、190ページに参りまして、10目農業協同組合指導費の主なものでありますが、農業協同組合経営改善特別対策資金貸付金は、債務超過農協に対する支援事業を実施する岩手県農業協同組合中央会に対し、支援原資の積み立てに要する資金を貸し付けたものであります。
 次に、11目農業共済団体指導費の主なものでありますが、農業共済団体等事務費補助は、農業共済に係る事務に要した経費について助成したものであります。次に、190ページから191ページにかけての12目食糧管理費の主なものでありますが、米飯学校給食環境整備支援事業費は、地域の実情に合った米飯学校給食の普及、推進のための米飯弁当保温庫の設置、地域の創意工夫による米飯給食の推進に対し助成したものであります。次に、13目農業研究センター費でありますが、センターの管理運営及び試験研究に要した経費であります。次に、14目農業大学校費でありますが、大学校の管理運営及び教育環境の充実を図るための整備に要した経費であります。次に、194ページに参りまして、15目蚕業費の主なものでありますが、県産優良繭安定供給対策事業費補助は、県産繭の高品質化により、繭の安定した供給、取引を図るため、養蚕農家の優良繭生産に助成したものであります。
 次に、2項畜産業費1目畜産総務費の主なものでありますが、管理運営費や人件費など管理運営に要した経費であり、岩手県肉牛生産公社経営改善対策費は、同公社に対し無利子資金の貸し付け及び長期借入金への利子補給を行ったものであります。次に、196ページに参りまして、2目畜産振興費の主なものでありますが、畜産再編総合対策事業費のうち環境保全型畜産確立対策費は、家畜ふん尿の適切な処理を行うため、浄化処理施設、堆肥舎等の整備に要した経費について助成したものであります。また、198ページに参りまして、食肉処理施設等再編整備事業費補助は、と畜場法施行規則の一部改正により、食肉の衛生基準の強化に伴う施設整備に助成したものであります。次に、3目草地対策費は、畜産関係の公共事業が主なものであります。県営畜産経営環境整備事業費は、総合的な畜産経営の環境整備を図るため、畜産の生産基盤及び家畜排せつ物の処理施設等の整備に要した経費であります。次に、198ページから200ページにかけて、4目家畜保健衛生費の主なものでありますが、家畜保健衛生所施設整備費は、水沢及び盛岡家畜保健衛生所の新庁舎の整備に要した経費であります。次に、5目農業研究センター費、6目牧野費は、それぞれ岩手県農業研究センター畜産研究所、種山牧野事務所の整備及び試験研究等に要した経費等であります。
 次に、202ページに参りまして、2項農地費1目農地総務費は、農地関係職員の人件費等管理運営に要した経費等であります。次に、2目土地改良費の主なものでありますが、圃場整備事業費は、農地等の区画形質の改善を中心に、農道・用排水路等を総合的に整備するとともに、農地の利用集積による農作業の効率化等を図るため、52地区の整備に要した経費であります。また、中山間地域総合整備事業費は、農業・農村の活性化、地域の定住化を図るため、33地区の生産・生活基盤の整備に要した経費であります。次に、204ページに参りまして、3目農地防災事業費の主なものでありますが、防災ダム事業費は、安代町荒沢地区、根石地区等の整備に要した経費であります。また、ため池等整備事業費は、老朽化した施設の改修等8地区、用排水施設整備13地区、土砂崩壊防止12地区等の整備に要した経費であります。次に、206ページに参りまして、4目開墾建設事業費の主なものでありますが、農地開発事業費は、農業経営の規模拡大及び機械化営農の導入等、農業構造の改善を図るため、大野地区ほか1地区の整備に要した経費であります。次に、5目農地調整費の主なものでありますが、農地保有合理化促進費は、農業経営の規模拡大、農地の集団化など、農地保有の合理化を促進するため、社団法人岩手県農地管理開発公社が農地の売買、貸借等に要した経費について助成したものであります。
 次に、大きく飛んで300ページをお開き願います。11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費1目農地及び農業用施設災害復旧費は、現年災、過年災の540地区の復旧に要した経費について助成したものであります。
 次に、304ページに参りまして、4項庁舎等施設災害復旧費は、10月28日の大雨により発生した農業研究センター県北農業研究所の復旧に要した経費であります。
 以上が、一般会計の歳出決算であります。
 次に、特別会計について御説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の平成11年度岩手県歳入歳出決算書の32ページをお開き願います。平成11年度岩手県農業改良資金特別会計の決算について御説明申し上げます。
 まず、歳入決算の状況ですが、収入済額合計は12億4、124万円余であります。その主なものは、一般会計からの繰入金、前年度からの繰越金及び貸付金に係る償還金等であります。また、歳出でありますが、支出済額合計は11億806万円余で、その主なものは、農業改良資金及び就農支援資金の貸し付けのほか、この事務の推進に要した経費等であります。この結果、歳入決算額から歳出決算額を差し引いた1億3、317万円余は、翌年度に繰り越しているものであります。
 以上をもって、農政部所管に係る平成11年度決算についての説明を終わらせていただきます。
 よろしく御審議をくださいますよう、お願い申し上げます。

〇阿部敏雄副委員長 ただいまの説明に対し、質疑はありませんか。

〇佐藤正春委員 きょうは知事は呼ばなくてもいいですから、そのつもりでいてください。
 私は2点についてお伺いいたします。
 まず最初は、肉牛生産公社についてでございます。
 これはさきの総括質問で我が党のエースでございます千葉伝議員から質問があったわけでございますが、私なりにひとつ詳しくお伺いをいたしたいと思います。もう、たくさんと言わないでくださいね。
 県は、行政システム改革大綱を踏まえて出資法人の見直し、その一つとして、肉牛生産公社についても県が経営改善の指導を行うとしている。
 1番、経営の健全化への取り組みは当然でありますが、累積赤字12億5、800万円。これを生じた経営責任はだれが負うのですか。どなたが負うんですか、これを明確にしていただきたい。後でまた聞くけれども。
 2番、これまでも公社がたびたび経営改善計画を策定している。これだけ巨額の累積赤字が生じていることは、そもそも計画自体に問題があったのではないでしょうか。
 これは前にも私は指摘をした。特に第3次新経営計画、これは11年度から15年度までですが、初年度から頓挫しました。この原因と責任はどこにあるんですか。前にも言っているんです、私、そのことを。明らかにしていただきたい。
 そもそも、どんな立派な経営計画を策定しても、公社自体に経営能力がないんじゃないですか、天下りが行っているから。
 3番、今回の経営改善計画について、予算特別委員会では、14年度の黒字転換との答弁が、新聞記事では15年度と後退しているということを、この間、質問書をやっていたところの次長から来て、これ思い違いだからひとつ──おれの思い違いかと言ったら、いや、いろいろ思い違いがあったかもしれない、考えてくれと、こう言ってきたものだから、それはそれで了としますが、次長──平泉の町長選はそうはいかないんだからな、いいかい。──当初予算の公社への貸付金9億5、900万円等を審議の際に誤った経営見通しを示したことは、これは問題だ。だけれども、一応了としたけれども。
 4番、この経営改善計画は県の支援が前提となるが、そもそも公社は独立した法人であるから、当然、公社自身の自己責任と自助努力を基本とすべきだが、県の支援がなければ成り立たない。経営改善計画は、本当の改善計画と言えないでしょ、どうですか。
 5番、そもそも県が支援する根拠は何ですか。知事が発表した県出資法人の見直しについてによれば、肉牛生産公社については、県の施策の推進との関連について十分検証を行うとともに、経営改善計画の策定、経営の健全化の推進を指導していくと、こういう方針だったですね。検証なしに県の支援措置を内容とする経営健全計画を認知する根拠というのは何ですか。
 十分考えてきたと思うんだ、答弁。前に出しているから。
 6番、肉牛生産公社の場合、出資比率が5割以下で、地方自治法上、議会の経営状況報告は不要でございます。累積赤字が巨額で、しかも莫大な県費投入が必要とされるような法人については、積極的に経営状況を公表すべき、これは当然だと思うんです、議員にそのくらいの公表をするのは。そう思うんですが、どうでしょうか。
 以上が肉牛の方です。
 もう一点。これは地方卸売市場の統合整備について伺います。
 ここ数年、景気の低迷を反映して地方卸売市場の取扱高も厳しい状況が続いております。例えば県内の主な地方卸売青果市場の取扱高を見ると、平成8年度に141億円強だったものが、平成11年度には138億円と、2.1%減少しております。特に県南のある市場では、この4年間に16%も減少しております。非常に経営が苦しくて職員の給与も払えない、リストラもやっているわけですが、そういう状況でございます。また、産地の市場集約化あるいは量販店の市場外調達の増加等により、今後とも取扱高の増加は見込み薄と思われる。そういう状況でございます。これに加えて、農水省は、価格の引き下げをねらって平成13年度から卸売手数料の自由化を行い、手数料を下げるということを言っておりますが、本当でしょうか。
 そこで何点かお伺いをいたします。
 1、地方卸売市場の財務状況はどうなっておりますか。その概要と赤字の市場数をお示し願います。
 2、財務状況の悪い市場に対して、県としてどのような指導、援助を行っているのですか。
 3、財務状況を改善するために、地方卸売市場としては、今後、どのような対策を講ずるべきですか。
 ほとんど農政部の指導でやってきているんですよ。だから、あなたの方の指導でやると悪くなる、どういうわけか知らないけれども。
 4、財務状況の悪い市場は早晩、統合、再編が必要となると思いますが、第7次岩手県卸売市場整備計画策定に当たって、どのような方向で再編整備を行おうとしているのか、以上についてお答え願いたい。

〇佐藤農政部長 地方卸売市場の御質問につきましては、佐々木農産物流通課長の方からお答え申し上げます。
 私の方から、肉牛生産公社について何点か御質問がございました、これにつきましてお答え申し上げたいと思います。
 肉牛生産公社の経営改善につきましては、平成4年度以降、3次にわたる新経営計画を策定いたしまして経営改善に向けて全力を挙げてきてまいったわけでございますが、ただいま委員の方から御指摘いただきましたように、平成11年度末で15億円余の累積赤字を、12億……、(佐藤正春委員「5、800万円。上がるな。」と呼ぶ)はい。累積赤字を抱えまして、計画との乖離が進んでいるといった状況の中で、現在、公社を所管する農政部といたしましては、公社と一緒になってその赤字要因等を分析しております。その分析結果を踏まえまして、県それから関係団体の支援を含めまして、経営改善策を検討していきたいと考えているところでございます。
 ただいま経営責任というお話もございましたが、公社におきましては、経営安定のために数次にわたる計画をつくってそして取り組んできたわけでございますが、平成3年度の牛肉の輸入自由化以降、景気の低迷等もございまして牛肉市場価格が大幅に下落したこと、あるいはまた、計画策定時には予想し得なかった産直取引価格の大幅引き下げ、そしてまた大口の量販店との取引が中止になったなど、そういった事態の発生によりまして計画達成に今至っていないわけですけれども、公社の役職員はそういった計画の策定時、また、それぞれの達成に向けまして、その時々において精いっぱいの努力をしてきたものと思っております。
 私自身も現在、農政部長は肉牛生産公社の副理事長ということになっておりますので、そういう立場で私も経営改善には全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っていますし、そういう責務が当然あると考えているところでございます。
 次に、経営改善計画自体に問題があったのではないかといった御指摘でございます。
 公社の事業は大別して、おおむね家畜改良事業とそれからもう一つは肥育事業などの一般事業と、この二つに区分できるのではないかと認識をしております。経営が安定しておった当時は、この家畜改良事業に要する費用を、肥育事業などの一般事業の収益で補ってきたといった経過があるわけですけれども、先ほども申し上げたように、平成3年の牛肉の輸入自由化といった問題が発生した以降、いろんな公社を取り巻く環境の変化、そういった中で改善計画の達成というものは困難になったというものと認識をいたしているわけでございます。現在、平成12年の3月に見直しをいたしました第3次新経営計画の再見直しということを今行っているわけでございますが、その見直しの検討に当たりましては、先ほども触れましたけれども、家畜改良事業と肥育事業などの一般事業を区分してその赤字要因がどういったものになっているのか、そういったものを分析して対応策を検討する必要があるのではないかと考えておるところでございます。
 それから、第3次の新経営計画は初年度、これは平成11年度なわけですけれども、初年度から頓挫したと、原因、責任ということでございます。
 平成11年度は、当期欠損で1億3、620万5、000円の計画に対しまして実績は2億1、381万7、000円の欠損ということで、計画に比べまして7、761万2、000円の欠損増ということになったわけでございますが、これは経営再建の一環として、一つには肥育牛の棚卸評価額の下方修正、これを行っておりますし、それからまた繁殖牛の縮小に伴う処分損ということも行っております。さらには、干ばつによる牧草生産の減少、そして牛肉市場価格の下落、そういったこともございまして、結果的に計画を上回る欠損増といった形になったわけでございます。
 なお、この原因について若干また申し上げますと、肥育牛の棚卸評価額の下方修正につきましては、これはその当時の市場を見据えた修正ということで、含み損の早期軽減を図るといった意図に基づいたものでありますし、それから短角の繁殖牛の処分損の増加、これについては経営の早期健全に向けての処分を早めたといったことによるものでございます。
 それから、肉牛生産公社に経営能力がないのではないかといった御指摘がございました。肉牛生産公社の経営安定につきましては、先ほども申し上げたとおり、公社の役職員、一生懸命努力していると思っております。また、そういった努力に加えまして、また平成11年度には出資機関、団体の職員で構成する岩手県肉牛生産公社経営改善委員会というものをつくりまして、公社、委員会一体となって経営の再建に取り組んでいるのが現状であります。
 また、現在、県出資法人につきまして、包括外部監査委員による監査が行われておりまして、肉牛生産公社もその対象として監査を受けることとなっており、今後、この結果も踏まえながら経営改善に取り組んでまいりたいと考えております。
 それから、現在、私ども肉牛生産公社に対する県なりあるいは団体と一緒になって経営の安定化のために検討している中で、県あるいは団体の支援というものも検討の対象の中で考えているわけですけれども、それに関連して県の支援が前提になるのかといった御趣旨の質問でございました。
 現在、公社では平成10年度に策定いたしました第3次の支援計画について、平成11年11月に家畜排せつ物法の施行に伴いまして平成12年の3月に見直しを行ったわけでございますが、現状では計画の達成がなかなか難しいということで、さらにその見直しを、現在、検討を行っているわけでございます。
 この見直しに当たりましては、先ほども触れましたが、累積の欠損を見ますと、これは家畜改良事業とそれから肥育等の一般事業の二つに分けて分析をした結果、家畜改良事業関連でおよそ8割、その他事業で2割というのが累積の赤字の区分となっております。
 このうち現在、肉牛生産公社が実施しております家畜改良事業、これは優良種雄牛の造成を推進し、また、そういった中で本県の肉用牛振興を図り、農業経営の安定化を進めていくためのいわば本県の畜産振興の基盤になるものだと認識しておりまして、引き続きこの改良事業については公社においてやっていただくという必要があるのではないかと思っているわけでございます。
 実はこの家畜改良事業は御案内のとおり、多くの労力とまた経費も要するということもございまして、補完する対策を講ずることなど公社経営の健全化を図ることが必要だと、そういう視点に立って当農政部といたしましては、県あるいは関係団体の支援について検討し、公社経営の安定を図ることが必要ではないのかと考えておるものでございます。
 それから、県が支援する根拠というお話でございましたけれども、今のお答えとかなり重複する部分があるわけでございますが、公社は県の肉用牛の振興施策に沿いながら、農家への支援やあるいは県が推進する家畜改良事業の一翼を担うなど、公益性の高い事業を中心に現在取り組んできて、これまでも取り組んできたわけですし、またこれからもそういう役割が期待されておるわけでございますが、特に先ほども述べましたように、家畜改良事業につきましては、種雄牛の能力判定のための肉質や増体などの産肉能力検定を行っていると、こういった事業についてはいずれ肉牛生産公社……。

〇阿部俊雄副委員長 執行部に申し上げます。
 答弁は簡潔に、簡単でいいそうですから。

〇佐藤農政部長(続) 本県の肉用牛の改良を推進するというために、この公社事業というのはぜひ必要ではないかと考えておるわけでございます。したがいまして、そういう観点に立って、県としても支援するといいますか、そういう視点に立って部としては検討しているものでございます。
 それから、県の施策の推進との関連ということで、検証なしで経営改善計画を認知するのかといった御趣旨の御質問でございましたが、これにつきましては、いずれ、今後、公社に対する支援についてさらに検討を深めるわけでございますけれども、ただいま御指摘いただいた点についても十分検証しながら、県としての支援策について検討してまいりたいと、このように考えております。
 また、公社の経営状況の公表というお話でございます。これについてはいろいろな場を通じて情報提供を県の方でも行いますし、また、肉牛生産公社の方に対しましてもそういった指導をしてまいりたいと考えております。
 大変長くなりました。

〇佐々木農産物流通課長 地方卸売市場の卸売手数料の自由化についてでございますけれども、農林水産省では、卸売手数料に加えましてさまざまな規制緩和を含めた市場に係る総合的な検討を行うということで卸売手数料も検討されておりまして、これに係る総合検討ワーキンググループというものをことしの11月に設置いたしまして、この場で約3年間かけて卸売手数料の検討をしていくということとなってございまして、13年度から卸売手数料の自由化はするとはしていないということでございます。
 それから、地方卸売市場の財務状況の概要とそれから赤字市場数でございますけれども、県内の地方卸売業者は28となってございまして、平成11年度の決算状況を見ますと、当期損益赤字卸売業者は8で、その割合は28.6%となってございます。
 赤字業者の数の内訳は、総合、これは青果と水産ということでございますが1、青果が2、消費地の水産が2、産地の水産が3となってございます。
 それから県の指導につきましては、卸売市場法第66条の規定に基づきまして、大体2年から3年のサイクルで卸売市場の立入検査指導を実施してございます。必要に応じて緊急指導を行っているところでございます。
 財務の悪い業者につきましては、パソコンによる経営合理化あるいは長期化した販売代金の早期回収、販路の拡大等を指導いたしまして、健全経営が確保できるような計画の策定でありますとか対応を求めてきたところでございます。
 それから、卸売市場の今後の財務改善対策につきましては、近年、市場外流通の増加でありますとか市場間の競合による取引量の減少、農林水産物の価格低下等の状況にございますことから、財務改善のためには、地方卸売市場みずからが積極的に卸売市場法等の改正の趣旨を踏まえまして、相対取引による市場取引の増加、円滑化を図るとともに、卸売市場間の連携を強め、共同仕入れによるコスト削減、情報の共有化による取引量の拡大を図っていく必要があると考えてございます。
 最後でございますけれども、第7次岩手県卸売市場整備計画における再建整備の方向性についてでございますけれども、この整備計画は、今年度末までに国が策定します卸売市場整備基本方針に即して策定するものでございまして、その内容を踏まえ、県といたしましては来年度中に策定することとしてございます。
 整備計画の策定に当たりましては、市場の再編整備を基本としながら、経営体質の強化を図っていくため、複数の卸売市場のネットワーク化を進め、情報の共有化による取引の増大、あるいは販路の共同開拓、さらには共同仕入れによるコストの削減を図ることなども視野に入れ、また、各市場の意向を十分に尊重して策定することとしてございまして、現在、そのための予備調査を実施しているところでございます。

〇佐藤正春委員 本当にマデマデの御答弁をいただきまして、ありがとうございます。
 そこで重ねて伺いますが、本県は農業県でございます。特に畜産は大事でございまして、畜産振興というのは必要でございます。知事は、この間幹部の研修会で何と言っているか。部長も出たでしょ。何と言っているかというと、失敗そのものよりも過ちを隠す方が悪いと、こう言っているんです。私は出なかったけれども、新聞で見た。公社は隠しているんだよ、だから悪いんだよ。恐らく、知事はテレビを見て怒るかもしれないよ。なぜ隠すんですか。
 いいですか。私はこの問題についてたびたび申し上げてきている。前の予算か決算かで申し上げたんですが、経営計画がずさんじゃないですかと何回も言っているんです。何回も改善計画を出しながら、年中ずさんなんです。
 今、部長の答弁を聞いていると、いろいろと言った。ベコが下がったとか何がこうだとか言っているけれども、いいときはどうなんですか。いいときはみんなボーナスで分けたじゃないですか。悪くなった原因はこうだ、ああだろうと言ったって、悪くなるにはなる原因がある。第1番に経営計画がずさん、公社に能力がない、そういうことでしょ。だからこういう結果になったわけです。だから、そういう結果というものを早く、知事がおっしゃるように、過ちより隠す方が悪いというんだから、隠したってだめなんだよ。議員というのはみんなどっかで調べてきてこうやるんだから。
 そこで、一番大事なことをお伺いします。
 この累積赤字の解消はどうするんですか。責任はあなた方、どうしてとるか知らないけれども、累積の赤字の解消はどうするんですか。この点についてまず、一番大事なことだからお伺いしておきます。
 それから、例えばにっちもさっちもいかないからこれはやめたということになると、いわゆる出資金だの補助金の返還、あるいは牧野なんか借りているというんですが、これはどのくらいかかるんですか。それも見合わせて、とってもやり切れないしあんた方でやれないというならやめた方がいい。その場合どういう、どの程度の金がかかるのか。
 それからさらに申し上げれば、いいですか。役所の、県庁の天下りが行くからいいときはいい、悪いときは責任とらないということになるんだから。今度、公社の役員に個人補償をさせたらどうですか。農協は皆そうやっているんだから。そうすれば責任を持って、これは家、財産とられたらかなわないと思うから一生懸命やるんだから、そのくらいの覚悟でやったらどうですか。この点についてひとつお伺いしたいと思います。
 それから地方の市場、わかりました。
 1点だけ聞きますが、あなた今、第7次の岩手県の卸売市場整備計画について共同仕入れ等もやりたいと、こう言っているんです。やっているんだよ、もう、みんな。やっているけれどもうまくいかない。なぜうまくいかないかというと、先ほどもちょっと申し上げたけれども、中央卸売市場の整備というのは県の農政部の指導によってやっている。県の農政部の指導によるとだんだん悪くなっていく。あなた方のやっている反対をやればいいかと、今みんな話し合っている。みんな悪くなっている。なぜかというと、大型店あるいはスーパー、そういうところはみんな共同仕入れで中央市場とみんな組んでやっている、直接。だから、地方卸売市場に行って物を買って、手数料を払う必要はない、大型店。かつての小売店はみんなつぶれて、無い。共同仕入れというのはどこの共同仕入れを言うのか、零細店あるいは中小のスーパーのことを言っているのか、そういうことを十分に見きわめてやらないと、あなた方がこれもまた何回も整備計画をつくったって、やるたびに逆な方向に行くということを考えていかなければいけないですよ。その点はどうなんですか。よくそのことを十分に踏まえておやりにならないと、私はやはり本県における、これも大事なものだ、野菜、流通ですから。野菜、果物の流通というものを扱っているわけでございますから、この点について伺います。

〇佐藤農政部長 肉牛生産公社が現在抱える累積赤字の解消をどうするのかというお話でございます。これにつきましては、11年度末現在で12億円余という大変大きな累積赤字を抱えているわけですけれども、先ほども申し上げたように、この事業の中で公社事業を二つに区分してその赤字の状況を検証しているところでございます。家畜改良事業に係るものとしては、全体の約8割程度、それから肥育等の一般事業については2割程度がその内訳と私どもとしては把握しているわけですけれども、特に改良事業についてはやはり本県の肉牛の生産そして畜産のこれからの本県の振興を図っていく、いわゆる基盤となる事業でもありますし、これが今後とも公社の事業としてその役割を果たしていただくということになりますと、やはり県あるいは関係団体の信用をいただきながらその解消に取り組んでいくのが適切ではないのかということで、当部としてはその取り組みについて検討をしているところでございます。
 また、今もし仮にこの事業をやめた場合はどうなるのか、あるいはどの程度の経費がかかるといいますか、そういう趣旨のお尋ねだったわけですけれども、その辺についても内々これは当部の方で試算したところ、清算した場合の見込額といたしましては約40億円程度になるのではないかと。先ほど委員の方からお話しのございました出資金の返還でありますとかあるいは建物の撤去の問題とか、さまざまな費用がかかるわけですけれども、一応の試算としてその程度の額を出しております。
 それから、個人補償というお話がございました。これについては、先ほど申し上げたようなさまざまな経過があって今日の赤字が出たわけですけれども、その時々、役職員、一生懸命やってきたと認識をいたしておるわけでございます。そういうことで、今後こういう事態を私ども関係する、所管する部として厳しく受けとめまして、経営改善のために頑張っていきたいと思っております。

〇佐々木農産物流通課長 委員おっしゃいました共同仕入れが県内で大分進んでございます。そういう実態も調査いたしますし、幸い本県はすぐれた産地、品質のよい農産物がふんだんにあるところでございます。消費者も健全としているということで、それらをうまくジョイントできるといいますか、そういう場面で地方卸売市場が十分機能できるような、そういう計画になっていけばという考え方で計画策定に携わっていきたいと、そう考えてございます。

〇佐藤正春委員 部長、最後だからあと立たないように、立たせないようにひとつ答弁してください。
 一番肝心なところ、わかりました。今の答弁だと、これはやめた場合に約40億円ぐらいかかると、こうおっしゃっているわけですね。累積赤字が今これを見ると12億5、800万円、約13億円あるわけだ。あなたの今の答弁だと、この借金を県の支援でお願いしたいというわけでしょ。県のどこで支援、どういう格好で支援してもらうの、県に全部出してくれと言うの。どういうことなんですか。

〇佐藤農政部長 どういう形でこれを支援していくかということにつきましては、その内容といいますか方法論につきましては、まだ私どもとしても具体の案といいますか手法は持っておりませんけれども、ただ、いずれ本県の畜産振興に果たす公社の役割またこれまでも取り組んできた、そういう経過を踏まえますと、県あるいは出資団体等の関係団体においてやっぱり協力し合いながらこの問題について取り組んでいく必要があるのではないかと思っております。

〇佐藤正春委員 部長、もう一回立たせないでくれよと私お願いした。答弁にならないでしょ。決算議会というのは何ですか。決算議会というものは11年度の決算をみんな見て、チェックをして、間違いがないかどうか、そしてどうもこれはおかしいと思ったならば、次年度に対してどういう対策を練るかと。今おっしゃるような13億円近くの金の赤字が出たならば、赤字が出たことがはっきりしたんだから、そうしたらこれはどういう形で来年度から返還していくのか、いかに払うのか、月賦で払うのか、年賦で払うのか、そういう計画を立てないと我々議員がわからないではないですか。議員というのは、そこが聞きたいんですよ。議会というのはそういうことをチェックするところなんですよ。決算というのはそういうものを調べるところなんですよ。これから対策を立てるとか立てないとか、予算でしょう、次の。どうなんですか、そこは。

〇佐藤農政部長 御指摘のとおり、大変膨大な累積債務でございます。もとより、これについては公社自身の自助努力というものももちろん求めるわけですけれども、具体の仮に県の支援の方法等につきましては、県の財政も大変厳しい状況にありますので、計画的にこれは何年になるかこの場でははっきりと申し上げられませんけれども、内部的にそういう全庁的な調整を図りながら、計画的な債務の解消に向けて努力していきたいと思っております。

〇千葉伝委員 今、佐藤正春委員の肉牛生産公社問題で関連してお伺いしたいと思います。
 この問題につきましては、私、総括でも御質問を申し上げ御回答をいただいているわけですが、(佐藤正春委員「余り語られないんだぞ、総括でやったんだから。」と呼ぶ。)はい。関連でありますので簡潔に申し上げます。
 最後に、正春委員が質問した今後の経営計画のあり方という部分で、この畜産問題については本県だけが大変だということではないと。全国を含め、農業全体の中で畜産部門を抱えている部分が大きいのではないかと思います。その中でいろんな方策を今検討している最中だという話ですが、岩手県だけがこういった問題を抱えているか、あるいは東北の中でも恐らく同じような問題を抱えているところがあると、そういったあたりの状況なりやり方なりを、もちろんいろいろ検討をなさっている部分もあろうかと思います。その辺をちょっと教えていただきたいと思います。

〇山下畜産課長 委員御指摘のとおり、東北各県も同じような問題を抱えておりまして共通の問題を抱えております。
 それで、青森県の事例でいきますと、ヘレフォードの飼養管理に生じた累積欠損で14億700万円ほどあったわけですが、これにつきましては、3カ年計画で県費を投じながら解消したという経緯がございます。その内容については、なかなか情報を取り得ない状況でございます。宮城県につきましても、同じように9億8、900万円余の累積を抱えておりまして、これにつきましても県費を投じながらの解消に取り組んでおる、そういう状況でございます。

〇千葉伝委員 他県もしかりという話ですが、いずれ問題はこれからの改善計画を立てる上で他県の例もあるということです。そういった中で、今まで県が進めてきている改良、肉牛生産公社が持つ使命という部分を、きちっと方針を今まで以上に抜本的対策を私は立てて、そして改良なら改良をきちっと進めるという部分の位置づけをして、そうすれば私らの地域、岩手県が肉牛生産振興を生産者が、岩手県のここはこういうことをやっているよというようなことで、ぜひ示していただくようなことを進めていただきたいと思うわけであります。
 先ほどの経営改善検討委員会あるいはこれからの監査とかいろいろあるわけですけれども、そこの部分がきちっとならないと、県の支援といった部分に県民の理解というものは得られないと、そう思います。ぜひともそういったあたりの検討をしていただいて、県が今まで示してきた責務、ここの部分も十分に考えていただいた改善策を進めていただきたいと、これをお願い申し上げまして終わります。

〇佐々木一榮委員 私は後輩でありますので質問が優しくなって大変恐縮でありますが、6款1項6目についてお尋ねしたいと思います。農作物対策費のオリジナル酒造好適米吟ぎんがについて4点にわたりましてお尋ねします。
 まず、平成11年の吟ぎんがの作付方針に対しての実績と成果をどのように分析評価されているか、お尋ねいたします。
 次に、ことし商工文教委員会でも一関の両磐酒造に調査にいらしたわけでありますが、南部杜氏の方々からも大変評判がよいということでありますけれども、平成11年のただいま質問しました評価の結果から、今後の品種改良等を含めた検討状況についてどうなっているのかお尋ねしたいと思います。
 それから、ブランド確立の観点からということで、この吟ぎんが、たしかことしの2月の定例会招集日の懇談会だったと思いますが、恐らく皆さんいただいたと思いますけれども、今後の県内の酒造メーカーの生産数量傾向等についておわかりであればお知らせいただきたいと思います。
 それから、4点目でありますが、人数をしっかり把握しておりませんが、灘ですとか全国の方に南部杜氏の方々が大分いらしているようでありますけれども、私は、この販路拡大、それから地元でもこの吟ぎんがが非常に評判がいいということから、この普及拡大に向けて、全国にいらっしゃる南部杜氏の方々とのネットワークについて、一般質問等でもあったようでありますが、今後の検討状況についてお尋ねしたいと思います。
 以上4点です。

〇佐藤農政部長 酒米の吟ぎんがの関連の御質問でございますが、まず、吟ぎんがの実績と評価ということでございます。
 本県のオリジナル酒米の吟ぎんがにつきましては需要に応じた計画的な生産を図っておりまして、平成11年度は8ヘクタール、そしてことしは48ヘクタール作付されたところでございます。この品質でございますが、農家の努力によりまして1等米が98%ということで、極めて高い品質の酒米を提供できたと考えております。
 今後につきましては、吟ぎんがは北上川下流地帯向けの品種として、また、本年度から新たに作付されましたぎんおとめにつきましては県中北部向けの品種といたしまして、いずれも団地化により品質向上を図りながら計画的に生産をしてまいりたいと考えております。
 また、品質改良についてのお尋ねでございますが、これについては農業研究センターでいろいろ取り組んでおりますが、いずれにいたしましても、国内で最も評価の高い酒米であります山田錦にできるだけ近づけるように、今後ともこの品種の改良に努力してまいりたいと思っています。
 それから、酒の生産数量でございますが、県内の酒造メーカーの吟ぎんがを使った酒は、現在すべて吟醸酒となっております。その生産量につきましては、平成11年は40キロリットル、ことしの場合は250キロリットル程度見込んでおると伺っております。
 それから、南部杜氏との関係でのお話がございました。委員から御指摘ございましたように、今、南部杜氏につきましては北海道から四国までの30都道府県に行っていろいろ仕事に取り組んでいただいているわけですけれども、今後は、こうした全国で活躍する南部杜氏の御協力をいただきながら、県内向けはもとよりでございますが、県外でも販売できるように、その普及拡大に頑張っていきたいと思っております。

〇佐々木一榮委員 平成11年の生産量40キロリットルから今度は250キロリットルということで大幅な増産になるようでありますけれども、私は、銀座の銀河プラザ、それから福岡の夢プラザ、そういうショップもあるわけでありまして、全国の南部杜氏の方々もだんだん高齢化をしていると伺っております。そういった意味で、やはり後継者育成も必要かと思いますけれども、販路拡大という意味では、銀河大使のような、特に何かキャッチフレーズをつくって、ぜひその方々に委嘱状なりを出して、そしてもっとブランド確立、それから流通という意味では何かプロジェクトをお考えになったらいかがかと思うのでありますが、今後作付もふえていくでしょうし、恐らくメーカーも非常に評判がいいということで増産になると思います。そういった意味での方針等があれば最後にお伺いしたいと思います。

〇佐藤農政部長 本県のオリジナル酒米の吟ぎんがにつきましては、先ほども申し上げたとおり、県内だけではなくて県外にもっと普及していかなければならない。県産農産物の普及拡大といいますか、全国PRにつきましては、いろいろなイベントを組んで、今、取り組んでおりますので、今、委員の方から御指摘いただいたように、本県産の酒米を使った吟ぎんがの活用についても大いにこれから意識をしてPRに努めてまいりたいと思っています。

〇田村正彦委員 大分質問項目を用意しておったんですけれども、冒頭から大分お疲れのようなので、割愛して、絞って3点ほどお尋ね申し上げたいと思います。(「1点にしろ。」と呼ぶ者あり)1点の方がいいんですけれども、3点御容赦いただきたいと思います。
 まず、米の問題ですが、これは私のずっと持論で、価格補償問題で毎回提言申し上げてましたけれども、今回の一般質問でもなかなかいい御答弁をいただけないということで、方針替えした形で質問しようかと思っておったところが、今月5日、自民党の方で、私が主張しております所得を補償するような制度導入を2002年度を目指して推進していくということが一般紙あるいは専門紙で報道されておりました。その中身が全然県の段階ではわかっていなかった。情報収集不足ではなかったのかと私は思っているんですが、その辺の動きというのは察知していたものかどうか。そして、これからどういう中身になっていくであろうと予想しているのか、まず、お尋ねいたします。
 次に、キャベツにつきましては、平成9年度から県もかなりの金をかけて南部甘藍の復活を図って今まで推進してきたわけですが、平成12年度でその事業も終わってしまう。ただ、事業が終わってしまうんですが、今のキャベツの現状というのは、御承知のとおり、面積はふえたが価格的に非常に厳しい状況にある。まさに今が正念場だと。ここを乗り切らなければキャベツの生産県としての地位を失ってしまう、そういう現状に、今、置かれていると思うんです。そういう現状の中で、キャベツの価格安定とまではいかなくても、その振興策、1、000ヘクタールという面積を維持するための強力な県単独の推進策というのは私はぜひ必要だし、生産者から求められておるものだと思うわけです。今後、事業が終わることによってどういった推進策をお考えになっているのかお尋ね申し上げます。
 最後に、これは冒頭の佐藤委員の質問にも関連するんですが、計画の立て方が非常にずさんとは言いませんけれども、本当に実現可能な計画なのかという観点からお尋ね申し上げるんですが、今度の農業・農村基本計画にありますが、例えば、今、話題になっている肉用牛、この計画が平成9年度に比べて26%もふやしている。もう皆さんが現実に知っていると思うんですよ。家畜排せつ物に関する法律といったものもできて、周りを見ましても、肉用牛生産農家はもうやめていこうかという人が最近非常にふえているんです。そういった中で、また、過去3カ年の肉用牛の飼養頭数の実績を見ても、今までどんどん減ってきているんです。そういった中で、果たしてそういう計画を立てて可能なのかどうか。ただの計画倒れに終わるんじゃないか。確かに途中で見直しということはあるでしょうけれども、当初の計画にすれば余りにもこれは乱暴な計画ではないかと私は思うんですが、その辺のところを御答弁いただきたいと思います。

〇佐藤農政部長 3点の御質問をいただきました。
 キャベツの生産振興につきましては千田農産園芸課長、肉用牛の計画の立て方についてのお尋ねにつきましては山下畜産課長の方からお答え申し上げます。
 新聞報道されました新たな農業経営所得安定対策についてでございますが、これにつきましては、自民党内で設けられました小人数のケーススタディーグループにおきまして検討された結果が提言という形で示されたと。内容につきましては、報道等にも出ておりますが、地域における他産業従事者並みの生涯所得の確保を目指して、規模拡大、生産性向上等の経営改善努力を行うと。意欲ある担い手──これは農業法人を含めて40万程度の経営体を想定──を対象とすることを基本として、米国、カナダ、EUにおける制度の実態も踏まえつつ、具体的な仕組みについて今後多少時間をかけて詰めていくこととするといった内容になっております。
 私どもの方では事前にそういう情報についてはキャッチいたしておらないところでございますが、ただ、こういう提言がなされたことに関連いたしまして一言申し上げますと、県といたしましては、これまでも主業型農家の育成策につきまして国に対して提案してまいったところでございます。これについても、ただいま申し上げたような他産業従事者並みの生涯所得の確保を目指して意欲ある担い手を対象とした新たな農業経営所得安定対策を講じるといった趣旨の提言でございますので、そういう意味では、私どもがこれまで国等に要請してまいったことの趣旨に沿った提言ではないかと受けとめております。
 したがいまして、国におきましては今後具体的な検討に入るのではないかと思いますけれども、いずれそういった検討の状況を十分注視しながら、主業型農家の育成等について今後とも提言をしてまいりたいと考えております。

〇千田農産園芸課長 キャベツの振興についてでございますけれども、キャベツ農家の経営安定を図るためには、高品質生産、それから低コスト生産、これが非常に大事でございます。特に低コスト生産についてでございますけれども、これまでもキャベツ栽培の省力化に向けまして、県単の新いわて農業再編総合対策事業とか、あるいは近代化資金などの制度資金を活用して、移植機でありますとか乗用管理機の導入を支援してまいりました。さらに省力化を図るために、実はキャベツの全体作業の中で収穫作業に4割も時間がかかっています。この機械化がこれまで課題となっておりました。そこで、平成10年からでございますけれども、県内の産地で、農家の皆さんの参加もいただきながらキャベツ収穫機の現地実証試験を重ねてまいりました。近くこの機械化一貫体系の確立に向けた条件が整うのではないかと考えております。
 今後は、こうした一般普及機械の完成を機に、先ほど申し上げましたような県単事業等を重点に配置するなどして導入を促進してまいりたいと思います。
 もう一つ、当初目標としておりましたキャベツの1、000町歩、もう少しでございますけれども、農業計画ではもっと拡大することにしておりますので、関係団体との連携を一層強化しながら、例えば牧草地との輪作体系を組むというような形で作付面積の拡大を図ってまいりたいと考えております。その中で、例えばグリーンヘルパーの労力支援対策を実施するなどしてキャベツの一層の生産振興を図ってまいりたいと考えております。

〇山下畜産課長 岩手県農業・農村基本計画の中の肉用牛の頭数の目標の件についてでございますけれども、国が定めました牛肉の生産努力目標の中に、基準年である9年度の生産目標53万トンに対しまして平成22年度は63万トンとしております。これは、1人1年間当たりの牛肉の望ましい消費量として、9年度7.2キログラムに対して22年度には8キログラムを見込んでいることなど、牛肉の消費見通しを踏まえて策定されております。本県といたしましても、このような消費見通しを踏まえて、我が国の肉用牛主産地としての役割を担う観点から目標頭数を設定したものであります。
 目標達成のための具体的な施策につきましては、家畜排せつ物処理や担い手の高齢化等、肉用牛生産が抱えている諸問題に適切な対策を講じながら、優良雌牛及び肥育素牛の県内保留を積極的に促進するほか、肉用牛の生産効率化、肉用牛生産基盤の強化を図るため優良牛の改良増殖を進めておりますし、公共牧場の積極的な活用、これは再編と機能強化に現在精力的に取り組んでいるところでございますが、このようなことをして黒毛和種の放牧促進や繁殖・肥育の生産団地あるいは生産支援組織、堆肥センター等を整備するいわゆるキャトルセンター構想を打ち出しておりまして、これらによりまして増頭を図ってまいりたいと考えております。

〇田村正彦委員 米の問題について、農業経済課長から御答弁をいただく機会がなかなかないのであえてお尋ねしますけれども、これは自民党の小委員会の提言なんですが、農業共済制度との整合性も図りながらこれをやっていこうという提言がされています。この問題については、私も四、五年前でしたか、当委員会において、農業共済制度と整合した形での所得補償方式が一番理想的だという御提言を申し上げた経緯もあります。そういったことで、そういう情報が所管課長としての農業経済課長にあったかどうか、そして、その整合性ということに対してどうお考えになっているのかお伺いします。
 次に、肉用牛の問題ですが、いみじくも課長が今おっしゃられましたが、国が定めた消費計画があるので、それに合わせた形で岩手県もやったと。逆じゃないかと思うんです。下から積み上げた計画、私はこれが必要だと思うんです。国がそう定めたからそれに合わせて計画をつくって、それにつけ足しでいろいろな施策をやっていく、それではなかなか目標というのは達成できないのではないですか。岩手県は、岩手県独自の今の生産体制、人口構成あるいは飼養を取り巻く環境、そういったものを加味しながら着実な計画をつくるべきであると思います。
 公共牧場について、これからいろいろな意味で再編整備をしていかなければならないと思うんですが、そしてまた、キャトルセンターも整備していくという話ですけれども、それは予算的な面も絡むことですので、そういったちゃんとした裏づけがあってやっていこうとしているのかどうか、最後にそこのところもあわせてお聞きします。

〇深水農業経済課長 ただいま農家経営全体に対する経営安定対策に関して、農業災害補償制度との関係も踏まえた上でなされるべきではないかというお話がございましたけれども、国の検討におきましても、食料・農業・農村基本計画の中にありますとおり、品目別の価格政策の見直しの状況、品目別の経営安定対策の実施状況あるいは農業災害補償制度の関係などを加味しながら今後行っていくということで検討されていると伺っているところでございます。
 今回の経営安定対策につきましては、災害補償という観点だけではなく、経営全体に対する影響を考慮するというものでございますので、より幅広いものになろうかとは思います。寡聞にして報道される前に情報は収集しておりませんでしたけれども、そうした方向で検討されているといったことを聞いておりますので、今後、災害補償制度との十分な調整も図りながら、実効性のある経営安定対策が検討されるものと期待しております。

〇山下畜産課長 本県は肉用牛の主産県でございます。しかしながら、1戸当たりの飼養頭数は全国平均の半分以下であるという現実があります。これまで長いこと本県は子牛の生産県で他県に供給していたという背景があって、今後は肥育農家を育てていかなければならないと。県内の繁殖肥育一貫体制を何とか整備してまいりたいというのがつまりキャトルセンター構想であります。その条件として、一方では高齢化が進んでいくわけですから、これまでの条件を公共牧場の方に移転して、公共牧場を機能強化して高齢者でも飼えるような条件整備をしてまいりたいと。そういう形の中で何とか1戸当たりの飼養規模を拡大していって肉用牛からの所得を上げてまいりたいということで設定したものでございます。

〇谷藤裕明委員 さっき佐藤正春委員の方からも卸売市場の整備関係という今の運営状況についてお話がありましたけれども、私の方から、平成11年度の決算にかかわって、盛岡市の中央市場移転新築整備事業にかかわりまして8億8、000万円ほどの補助をもらって進められているようです。平成13年度の開設を目指して今やっているところでありますけれども、まず、進捗状況はどうなのか。
 それから、今お話を伺っていると大変経営的に厳しい市場もあるということでございましたけれども、盛岡市につくられるこの市場については流通機能拠点として大変高く位置づけられている施設だろうと思っていますけれども、そこの中での経営見通しを県の側として見たときに、この施設をどういうとらえ方をされておられるのか、これについてお聞かせいただきたい。

〇佐々木農産物流通課長 盛岡市の新卸売市場の進捗状況でございますけれども、平成12年12月1日現在で、事業費ベースで約90%でございます。そのうち、道路、駐車場等の土木工事が約60%、本棟につきましてはほぼ完成ということで、12月20日には竣工予定と市から伺ってございます。
 経営の見通しと県の評価というお話でございましたけれども、市場の経営は使用料によって成り立っているということでございますので、現在、盛岡市におきましては施設使用料について検討している状況でございまして、入場業者の財務状況を考慮しながら、新市場の経営採算に見合う水準を設定すると聞いてございます。
 県の評価でございますけれども、中央卸売市場の整備は国の定める中央卸売市場整備計画に基づいたものでございまして、今回は、老朽化した現在の市場にかえて、ハセップへの対応あるいはインターネット等の情報化に対応できる機能を付加することによりまして取扱高の増加を目指すということで整備するものでございます。盛岡の中央卸売市場は、県人口の約3分の1を占める盛岡地区に対して設置されているということでございます。また、国との計画の整合性を考慮しながら市に対して県も補助したということでございまして、新市場がその機能を十分に発揮しまして、盛岡地域に対する生鮮食料品等の円滑な供給が可能になるものと期待してございます。

〇谷藤裕明委員 いずれ大いに期待をしている施設でありますから、今後とも御支援をお願いしたいと思います。
 ただ、現実となると、確かに入る家賃等で運営はそのとおりでありましょうけれども、今までの施設と今度の新しい施設では、まあ、基準がどうなのかわかりませんけれども、5倍ぐらいに家賃が高くなるというので、大分入る方々も苦労しながらという声も聞いておりますけれども、いずれ重要な施設であろうと思っておりますので、今後とも御支援をお願いしたいと思います。
 次に、生物工学研究所についてお聞かせいただきたいと思います。
 いろいろな研究をしているのだろうと思いますけれども、これまでの成果についてお聞かせいただきたいと思います。
 どういうテーマでそれぞれの研究者が取り組んでいるのかというのは個別に私もよくわかりませんけれども、現実に県民が大いに期待しているような方向での成果というものが出ているとすれば、それを具体的にお聞かせいただきたいと思います。
 それから、5年間で一つの成果を出すというような契約制のもとで研究員を採用するようになっておるようですけれども、それぞれのテーマによって、5年間で成果がうまくあらわれるものもあれば、今後ともまた努力が必要な分野もあろうかと思います。私、一時期あるテーマについて研究している方にお話を伺った機会がありますけれども、我々ではとても想像もつかないような、昆虫を使って粘り強く研究している分野とか、さまざまあるんですね。そういう独特な分野で粘り強く研究しているものもあったようですし、そのほかバイオ関係を含めていろいろやっているんだろうと思います。そういう中で、一つの5年間という区切りの中でそれぞれ評価をしていかなければならないだろうと思います。しかしながら、一つのこの5年間という区切りの中で、あなたの研究はちょっと見込みがありませんと、どこかの方々が基準を持って恐らく判断をするのか、また頑張れというのかよくわかりませんが、そういう一定の5年間という区切りがあると伺っているんですけれども、その場合に、その研究を評価されなかった方々というのは、もう、では、さようならと、単純にそういう形のものになっていくのか、今後引き続き何らかの関係を持ちながら成果のあるものになっていくものなのか、その辺のこと、私も流れがよくわからないのでお聞かせいただきたいと思います。

〇平野農業普及技術課長 生物工学研究所のこれまでの研究成果ということでございますが、平成5年に研究をスタートしてございます。これまで、組織培養によりますスターチスの大量増殖技術の開発あるいはDNA解析を応用した新しい育種法によります県独特の吟醸酵母の作出、こういったものについて実用化し、普及に移しているところでございます。
 スターチスでは、この大量増殖技術を活用しまして、平成11年度にはアイスターという共通の名称をつけた五つの新品種を育成しまして、県下全域で3ヘクタール程度の普及を見込んでございます。
 また、吟醸酵母でございますが、現在、県下6社でこの酵母を用いまして醸造が行われてございます。
 それから、遺伝子組換え技術を活用した最新の成果としましては、斑点落葉病に抵抗性のあるリンゴの系統、あるいは低温時でも発芽伸長の早い水稲の系統、そのようなものの作出に成功してございます。これらにつきまして、現在、閉鎖系温室での安全性評価試験に着手してございます。
 また、これらの研究の過程で、これまでに12年11月30日現在でございますが、有用遺伝子など32件の特許出願を行うなど、遺伝子組換え研究の基礎技術の蓄積に努めて着実に研究を進めてございます。
 それから、研究員の処遇のことでございますが、岩手県生物工学研究センターは常に最先端の研究水準を維持するということで、研究員の流動性を確保することで高度な能力と実績を有する人材の確保に努めてございまして、研究員につきましては任期制としてございます。研究推進の主体は中核研究員でございますが、任用期間は原則として5年としてございます。
 また、この採用に当たりましては、公募制ということで、また、任用期間の延長、再任用もあるわけでございますが、この場合に、財団に選考委員会を設置しまして、研究課題に対応した専門的な能力あるいは研究業績等について審査をして決めているところでございます。
 また、全体の研究業績の評価につきましては、全国の第一線の大学教授など各専門分野の有識者5名で構成されております研究推進委員会を設置しまして、毎年客観的な評価をお願いしてございます。
 中核研究員の任期満了後でございますが、あるいは人によりましては任期途中に招聘などされまして、これまで大学とか国公立の試験研究機関に採用になっているという状況がございます。

〇谷藤裕明委員 いずれそれぞれの研究テーマに基づいて頑張っているんでしょうけれども、費用対効果といったときに、これが今々花開くものばかりではないでしょうから、なかなかこれは今求めても答えにくい分野だとは思いますけれども、ぜひ今後とも優秀な人材を招聘して、岩手のためになる研究を大いに進めていただきたいと要望して終わります。

〇佐々木順一委員 委員長の再三にわたる議事進行協力要請の御発言を重く受けとめまして、簡潔に1点に絞りましてお伺いいたします。
 5目の農業振興費の中のいわての食文化発信戦略展開事業費の11年度における具体的実績についてお伺いいたしますし、同時に、この事業には平成8年度からスタートしたところの食の匠の認定制度が関係しておりますので、これまでの認定数、そしてまた、認定以降の県内外における活動状況についてどう把握されておられるのかお伺いします。
 特に、この制度のねらいとした食の匠の知恵や技能を保存、伝承するとともに、という目的がありますけれども、この目的に向けて、県におかれましてはどう対処されてきたのか、その指導内容があればお聞かせいただきたいと思います。

〇平野農業普及技術課長 いわての食文化発信戦略展開事業費の実績でございますが、この事業を用いまして食の匠を認定してございます。また、その方々の活躍場面ということで、例えばめぐみフェアでいろいろ実演なり消費者等に紹介をする、伝承をするという取り組みをしてございます。また一方、JAグループの方との連携によりまして、食と農のシンポジウムも開催してございます。
 食の匠の認証状況でございますが、これは平成8年度から実施しておるわけでございますが、12年度までに131の個人と団体、正確には108の個人と23の団体ということになってございますが、認定をしてございます。
 それから、食の匠の活動、あるいはそれへの対応ということでございますが、各地で、特に近年、食にかかわるいろいろな催しをしてございます。そういった場所、あるいは県の主催しておりますものでいいますと銀河系いわてフェスティバル、あるいは先ほども申し上げましためぐみフェア、こういった場所で技術あるいは味の紹介をするということをかなりやっていただいております。一方、地元の小学校などに出かけまして、子供たちにふるさとの味あるいはわざまで含めて伝承するという活動もやってございます。こういった方々は、131人の中で101の個人、団体と把握してございます。
 また、食の匠の認定をきっかけにしまして、例えば営業許可を取得するということで、わざを生かして製造した特産品あるいは菓子、総菜を販売するとか、さらには農家レストランを始めるというふうな起業活動をされる方もおりまして、51の個人、団体という数に及んでございます。

〇佐々木順一委員 今の御答弁で子供たちに云々という話がありましたけれども、まさにそのとおりでありまして、これから教育行政は総合的な学習の時間ということが大きな柱になってくると思いますので、子供や児童に生きる力を養っていただくためにも、やはり食から学ぶということが大変重要ではないかと思っております。
 資料を見ますと、おおむね県内全域に食の匠の皆さんが適当に認定されているようでありますので、どうぞ農政部の皆さんにおかれましては、所管は教育委員会であるわけでありますけれども、そちらの方に強くこれからも、総合的な学習時間の一環として食を通じて学ぶということ、特にも食の匠の皆さんがそういった教育現場に立って児童生徒に食の大事さを教えるということについて活動の場をさらにお与えいただければありがたいと思いますが、もしこれに御所見があればいただきたいと思います。

〇佐藤農政部長 食農教育のあり方ということで、特に総合学習時間との兼ね合いでもっとこれを普及してはどうかというお尋ねでございますけれども、ちょうどことしの3月、食生活指針というものが国から出されております。そういうことで、特に幼児からの食に対する親しみとか、そういったものをもっとこれから普及していかなければならないと考えておりますので、農政部といたしましても、教育委員会初め、関係の機関と十分その辺を連携しながら積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

〇岩城明委員 1点お伺いいたします。
 岩手県立農業大学校の施設整備についてお伺いいたします。この件につきましては、先般、同僚の田村委員からも質問されましたけれども、改めて質問させていただきます。
 岩手県立農業大学校は、今から30年ほど前、私が卒業した母校でもあります。その母校の見学調査のために、10月3日、現地金ケ崎町に行ってまいりました。しかしながら、農業施設及び農作業機械は極めて老朽化が進み、特にも前近代的なトラクター、骨とう品的な建物等が多くありまして、本当に残念でありました。また、実習地への遠距離時間のロスなど、大きな失望を感じたものであります。とてもこの施設の状況では本県農業の次代を担う後継者の養成に十分に対応できないものと強く思ったところであります。知事は、新しい総合計画の中で夢県土いわてを提唱し、その中で、第1次産業、特に農業の重要性を強調しておりますが、この大学の状況の中で本当に本県の新しい農業リーダーを養成できるのか、大いなる疑問を感じたところであります。
 つきましては、今後の整備の方向等平成11年3月に策定されました岩手県立農業大学校再編整備計画、骨子をいつ、どの時点で全庁的にオーソライズされるのかお聞きいたします。

〇佐藤農政部長 農業大学校の施設整備の関係でございますけれども、農業大学校の再編整備基本計画に沿いまして、平成13年4月から学科の再編、そしてカリキュラムの見直しを行うことといたしております。また、施設整備につきましても、その教育内容に沿いまして、例えば花や野菜の新しい品目について、通年栽培でありますとか、あるいは高品質・安定生産の技術教育ができる温室でありますとか、あるいは環境保全にも配慮した畜産施設など、順次施設整備についても取り組んでまいりたいと思っております。
 農業大学校再編整備基本計画でございますけれども、これは、平成9年に設置いたしました岩手県農業担い手懇談会から将来における大学校の教育内容でありますとか施設整備につきまして提言を受けまして、これに基づいて農政部として農業大学校の再編の指針として策定いたしたものでございます。そういうことで、一応これは計画としては農政部の計画という位置づけになっているわけでございます。
 いずれにいたしましても、御指摘ございましたように、かなり施設も老朽化が進んでいるものもございますので、国庫補助等を積極的に導入しながら施設整備には積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

〇岩城明委員 ちょっと承服しかねる部分もございますけれども、一応了解はしたいと思います。
 なお、私見でありますけれども、岩手県立大学への多大な投資を見るとき、この農業大学校の整備についてもバランスをとられるようにお願いしたいと思います。いずれ佐藤農政部長の頑張りを期待したいと思います。
 この場所に池田財政課長もおられますので、今の論議に十分に留意されて、整備計画に沿い予算措置を講ずるようにお願いをして質問を終わります。

〇千葉伝委員 2点お伺いしたいと思います。
 一つは、肉用牛振興であります。もう一つは、花卉の振興ということでお伺いしたいと思います。
 最初に、畜産振興の観点から、各年度継続して実施されている家畜改良対策に関連した黒毛和種の種雄牛、いわゆる種牛の一元管理の取り組みと見通しについてお伺いします。
 本県の和牛繁殖雌牛の飼養頭数は、鹿児島、宮崎、北海道に次ぐ頭数となっておりますが、市場価格の低迷などにより、特にもこれまでの主産地を中心に減少が続いていることは生産者とともに胸を痛めているところであります。本県が和牛生産地としての地位を確保し、先進地に追いつき、追い越すためにも、生産者に喜ばれ、市場評価の高い牛づくりのための体制強化が早急に望まれているところであります。そのためには、優良な雌牛の整備とあわせ、特にも全国トップクラスの優良な種雄牛をいち早くつくり出すことと、管理体制として一元的、広域的利用体制の整備が必要と思っております。
 県では、統一した改良方針や手法のもとで効率的な改良を図るため、県内農協で行われている種雄牛管理の一元化を推進していくとお聞きしておりますが、一元化に当たっての見通しについてどのようにお考えなのかお伺いします。

〇山下畜産課長 近年、遺伝的能力を数値であらわすいわゆる育種価評価法というのがございまして、その活用によりまして全国的にも産肉能力にすぐれた種雄牛が急速に造成されております。このような中で、生産者を初め、農協等から種雄牛の一元管理を図り、優良種雄牛の凍結精液の県内広域流通や統一した和牛改良方針のもと、より効率的な黒毛和種種雄牛の造成等、和牛改良の推進体制の整備を望まれていたところであります。
 このような情勢を踏まえまして、我が国における和牛主産県としての地位を確立するため、昨年来、種雄牛を所有している江刺市農協など3農協や経済連等の団体と一元化後の種雄牛管理体制のあり方について検討を重ねてきたところであります。その結果、おおむね黒毛和種種雄牛の一元管理体制について合意が得られたところでありまして、平成13年度当初を目標に、畜産研究所種山畜産研究室をメーンセンターとして集中管理する方向で検討しているところでございます。

〇千葉伝委員 家畜改良の基本というのは雄側、雌側両面からのアプローチが必要だということでありますが、今、御答弁のとおり、種山畜産研究室で平成13年度を目途にということであります。先ほどの御答弁では育種価が優先されるものと思うわけであります。そのためには、雌牛の方の基礎的な分野で、改良の基礎雌牛牛群の認定確保というのがまた必要だと思っております。その部分について今後ますます増頭確保を図っていただきたい、これは一つ要望です。
 雌側の面から申しますと、いろいろな統一的な改良方針を立てて今後進めるということであります。私はいろいろな方々から話を聞く機会があるわけですが、そういった中で、今求められている種牛というものが、才色兼備ではなくて質量兼備という中でこれは進める必要があろうと思っております。ですから、地域地域、岩手県の主産地というものがまた県内いろいろあるわけですが、そこで飼われている人たち、いわゆる生産者のいろいろな御意見、要望、そういったもの、そしてまた、それを統一的に進めている各農協があるわけで、そういったあたりでぜひともいろいろな牛に合った種牛づくりを進めていただきたい。
 実は、私も前に宮崎県の種牛センターを視察、あるいは鹿児島の方のやり方を聞いたりしているわけです。そういった中で、この一元化を図る上では課題もあってすごく苦労された面があるそうですが、ただ、やった結果は、宮崎、鹿児島県内はもちろんですが、全国的にもトップということで見直しもされているということであります。ぜひともそういった意味では早く進めていただきたい。
 一元化に向けての進め方の中で、県内の農協とか団体あるいは生産者の御意見といった部分は、今まで、それから今後どういう形でそれに取り組むかというあたりをお聞きしたいと思います。

〇山下畜産課長 本県の家畜改良につきましては、協議会を設けて、協議会の中で合議制で実際は進めているところでございます。地域地域の育種組合だとか、そういう方々の意見を委員会の中に反映させて、そこで議論をしていって、種雄牛を認定する、しないもそういう空間の中で進めているということがございまして、委員御指摘のような地域地域の事情あるいは特性を生かしたような種雄牛づくりを進めているところでございまして、これにつきましては、一元管理化後も同じような手法で進めてまいりたい、そのように考えております。

〇千葉伝委員 そういった方向でぜひとも御努力をお願いしたいと思います。
 続きまして、花卉の生産振興についてお尋ねいたします。
 最近の農業をめぐる情勢を見ますと、これまでになく厳しい米の需給情勢もあります。生産抑制の一層の強化を柱とした水田への取り組みが求められているといった状況もあります。こういった中で、小麦、大豆などの土地利用型の作物の生産拡大が重要であることはもちろんでありますが、あわせて、それぞれの地域の立地条件を生かした収益性の高い園芸作物再編を積極的に進めることが重要であると考えております。県では、これまでも園芸を本県農業の戦略部門と位置づけてその振興を図ってきており、全国に通ずるブランドとしてのキュウリやホウレンソウなどの野菜や市場評価の高いリンゴなどの生産拡大に向けて各種の振興策に取り組んできたことは評価すべきものと考えております。
 こうした中で、特にリンドウは冷涼な気象条件を好む作目として定着しており、その重要性は論をまたないところでありますが、それと同時に、第二のリンドウとすべき花卉に照準をとらえて、園芸農家の元気が出るような施策を広く展開していくことが期待されているのではないかと考えます。
 そこでお伺いしますが、県として、今後、花の生産振興に当たり、どのように取り組んでいかれるのかお聞かせ願います。

〇千田農産園芸課長 花卉の生産振興についてでありますけれども、平成22年度を目途に生産額を現在の約2倍の100億円まで拡大することを目指しまして、ことしの3月に策定した花き産地確立ステップアップ・プランに基づきまして、今後は重点品目の推進や花卉の専作経営体の育成を図りながらその振興に努めていきたいと考えております。
 具体的には、主力のリンドウにつきましては、職員を派遣してヨーロッパで収集してまいりました遺伝資源をもとに新品種開発を引き続き進め、新たな花の色づくり、あるいは出荷期間の拡大により責任産地としての地位をさらにしっかりしたものにしていきたいと考えております。
 それから、リンドウに次ぐ品目の育成についてでございますが、特に小菊について、黄色の有望な2系統を奨励品種として普及に資するように、今、準備を進めているところでございます。また、農業団体と一体となって、日本一の産地である沖縄県との連携によりますリレー出荷を進めておりまして、こうした取り組みを強化しながら生産拡大に努めてまいりたいと考えております。
 そのほかにユリや鉢花があるわけでございますけれども、本年度から全国に先駆けて措置いたしました認定農業者への助成制度によりまして、高規格ハウスでありますとか、そういったものを導入しながら周年生産体制を強化してまいりたいと考えております。
 いずれこうした各品目の振興策にあわせまして、花きセンターにおける研修機能をより一層充実しながら担い手の育成と技術向上に努めまして本県花卉の産地化に取り組んでまいりたいと、このように考えております。

〇千葉伝委員 リンドウの部分についてというか、花という分野で、私も二、三度花きセンターあるいは農業研究センターで、コンクールというんでしょうか、展示、そういった部分も拝見したことがあります。すばらしい花、色というか、そういった部分も見ております。
 そこで、ヨーロッパからの遺伝子を入れたリンドウの新品種に取り組んでいるということでありますが、めどというか、どの辺までというのをもう一度お聞きしたいと思います。

〇千田農産園芸課長 ヨーロッパから収集してまいりました遺伝子資源でございますけれども、これは、今、養成をしている段階でございまして、まだ今のところ時間的なめどにつきましては申し上げられませんが、いずれ極力交配を進めるなどして、早目早目に作業を進めてまいりたいと考えております。

〇千葉伝委員 リンドウしかり、それから小菊、沖縄との交流も含めていろいろな分野で頑張っておられるということであります。
 花の振興ということを考えますと、もちろん農政サイドでは生産振興して農家の所得向上を図るといった意味があるわけですけれども、私、生活する中で、家の中あるいは道路のそばとか、いろいろなところに花がいっぱい見られるということで、そういった環境美化といった意味もかなり大きい分野がある。そしてまた、花のある生活というのは、めでるとか飾ることによって心を和ませる部分、それからまた、青少年とか子供たちにも、日本人の心として花を認識して大事にするといった気持ちを持たせるという面もあると考えております。したがって、花の振興を今後とも大いに頑張っていただきたいということをお願い申し上げまして終わります。

〇菊池勲委員 担当委員ですからやめようと思ったんだけれども、さっぱりいい答弁が出てこないので、元気を出すために質問させていただきます。
 実はきのうあったことだからお願いするわけですけれども、岩手県の畜産流通センターという組織がありますね。そこで年に7回か8回の競り市を開催しているんだそうです。ところが、きのう私は商協の忘年会に呼ばれて行った。経済連系統の開催もあり、商工系統の市場の開催もあり、購買者がばらばらで、競争の原理からかなり外れて安くしか売れないと。これを一元化してもらえないか、先生という話なんだ。担当委員だからここでしゃべるのはまずいと思って、けさからずっとここでもって我慢していたけれども、千葉委員の畜産関係に関連するものだから、部長にひとつ答弁をもらいたい。これを一本化してオールいわて牛の販売ということになれば見事に高く売れるだろうと私も生産者も期待をしているんだけれども、ぜひとも先生、何とかしてもらえませんかという話なんです。

〇佐藤農政部長 今の菊池委員のお話、私、初めて、今、伺うわけですけれども、流通の形態、畜産の関係もいろいろあって、御指摘ございましたように、経済連系統とか、あるいはその他の系統、産直等を含めてさまざまあるわけですけれども、そういった中で、今のような御指摘につきましては、関係の団体等とも一緒になって今後の流通のあり方という点で研究させていただきたいと思います。

〇菊池勲委員 そう言ってはなんだけれども、不思議に思ったのは、経済連系統は瀬川理右エ門さんがトップなんだよね。岩手畜産流通センターのトップもこの人なんだよ。それで畜協と仲が悪いというのはどういうことなんだろうね。これに私は腹が立ったの。あなたに文句を言ってもしようがないけれども、でもあなたは担当部長だからね。そういう点はどうなんですかね、部長。

〇佐藤農政部長 ただいま御指摘のございました点を含めまして団体の方ともいろいろお話をさせていただきたいと思います。

〇阿部敏雄副委員長 質疑の途中ですが、この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
   午後3時8分 休 憩
   午後3時25分 再 開

〇佐々木大和委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

〇飯沢匡委員 2目の畜産振興費にかかわってお尋ねいたします。
 昨年策定しました岩手県酪農振興方針、これに関して具体的な取り組みについて、昨年でしたか水上信宏議員が一般質問で質問したときに、知事からも、酪農振興アクションプランというものを立ち上げて個別的に対応したいという話がありましたので、その後どのような形で振興しているのか、そこら辺を具体的にお伺いしたいと思います。
 これは岩手県の酪農振興方針というものを策定し、その主体として、岩手県と岩手経済連が、酪農生産振興委員会というものがまず主体となると。そして地域においては、各JAとそれから各地方振興局が各地域の酪農振興会議と、ほかの団体もありますけれども、これが各地域ごとの課題を立ち上げてアクションプランを策定して、そして、その策定した結果をこの岩手県生産振興委員会ですか、こちらの方に報告しながら、さらにフィードバックさせて、生産状況についていい方向に持っていくと私は把握しておりますけれども、今の状態、各単組で、各農協で、このアクションプランの策定、それからその生産振興委員会に対するフィードバックの状況、それについてまずお伝え願いたいと思います。

〇山下畜産課長 酪農振興アクションプランの取組状況についてでありますが、このアクションは3年ごとのローリング方式で推進していることにしておりまして、第1期プランとして県内の酪農主要産地、8農協、30市町村に及ぶわけですが、そこで策定することといたしております。
 その策定の状況でありますが、平成11年度には3農協、14市町村で策定済みでありまして、平成12年度にはいわい東農協を初め4農協、13市町村で策定中であります。
 これまでの策定されたアクションプランに掲げられている主な課題といたしまして、担い手の確保あるいは飼養規模拡大や1頭当たりの産乳量の向上による経営体質の強化、あるいは家畜排せつ物法の施行に対応した処理施設の整備などとなっております。これらの課題に対しまして、具体的には各地域で策定したアクションプランに基づきまして、ゆとりある経営実現のためのヘルパー制度の充実、あるいは牛群検定を推進しながら生産拡大に取り組んでいるところであります。
 なお、アクションプランの目標達成のために地域での解決が困難な、例えば環境問題でありますとか家畜改良の問題、あるいは牛乳検査の問題、作業の外部化等の全県的な課題につきましては、岩手県酪農振興方針に基づく県委員会で必要な対策について検討することといたしております。
 これまでの具体的な成果をかいつまんで申し上げますと、酪農ヘルパー制度が充実されていて、ここ最近では17%の伸びとなっております。これは、ヘルパー制度を使いやすく助成単価を上げるとかそういうことがあっての成果であります。
 それから産乳量向上対策につきましては、いわい東農協あたりでは、優良の受精卵を外国から輸入して産乳量の高いものあるいは乳成分の高いものなんかを平成7年から取り組んでおりまして、これらの成果が、現実、今出始めているということでございます。それから、今盛んに進めておりますのは牛群検定の加入促進、これは内容的には情報の提供の充実強化を図っているところでございます。
 それから作業の外部化につきましては、これは例を挙げますと金ヶ崎町農協でTMRセンター、これは完全混合飼料と、1カ所で完全混合飼料をやったものを各酪農家に供給していく、そういう集合体制のもの、これらが成果として上がってきていると、そういう状況でございます。

〇飯沢匡委員 そういう成果が出ているということなんですが、ちょっと現実的にはかなり厳しい状況だというのは私は認識しております。
 このアクションプランの前提として具体的に数値も、知事も申しているんですが、2010年までには1戸当たりの頭数を現在の2倍の50頭程度まで拡大、これは平均でしょうけれども拡大したいと。それから乳量についても30万トン、過去に岩手県でも30万トンの生乳を生産していたんですが、いろいろな背景があって去年などは猛暑の関係で乳量が落ちたということもありますが、これ、年々下降の数字をたどっていると。そのような現状を把握して、いろいろな制度の御説明がありましたけれども、今、非常に岩手県をしのぐ勢いで栃木県などは物すごい県の方でもテコ入れをして、ヘルパー制度基金についても岩手県では6、600万円、ところが栃木県では2億5、000万円、物すごい勢いで、そういうことがやはりヘルパー制度の、ヘルパーをやっている方々も県の意気込みというものを感じながらやっていると思うんです。ここで余り時間があれですから言いませんけれども、現実的には数字はかなり乖離していると、そのような状況において今後の県としての姿勢といいますか、それだけをお伺いしておきます。農政部長にお願いします。

〇佐藤農政部長 現在、酪農振興につきましてお話しございましたように、方針をつくって、また、各地域レベルではアクションプランを策定してその振興を図っておるわけでございますが、ただいまお話しあったように、例えば平成6年度30万トンの生乳量があったわけですけれども、平成11年度では28万トン程度まで落ちております。お話しありましたように、去年の場合は夏が暑かったといった、そういう暑熱被害等もあったわけですけれども、いずれ本県の場合、酪農はいわゆる中小規模といいますか飼養頭数、規模が小さいという現状でもございますので、これを規模拡大による生産量の確保という形で、今後、生産量の増大に向けまして取り組んでまいりたいと思います。

〇及川敦委員 事項別明細書の186ページ、6款7目畑作振興費のうち、農業用廃プラスチック適正処理緊急事業費440万円余の件についてお尋ねしたいと思います。
 この件につきましては、昨年の一般質問で私も御質問いたしましたけれども、本県畑作作物のブランドの確立という観点と、また、消費者が安心して食べられる野菜を生産していただきたいという観点で非常に私も気にしていたことでありますけれども、昨年のこの事業、いわゆるダイオキシン対策規制の問題から発したこの廃プラスチックの処理についての事業効果についてお尋ねをしたいと思います。
 具体につきましては、11年度全県でいわゆるこの農業用の廃プラスチックが予測として全体でどのくらい排出され、そしてそのうちどの程度が適正処理されたのか、そしてその処理方法はいかなるものであったのかということについてお知らせをいただきたいと思いますし、また、その処理の中でどのようなリサイクルがされ、一連のこの事業の中で非常に私も課題が多いと思っておりますけれども、御当局の方ではどのような課題を今お持ちになっているのか、その点についてもお尋ねしたいと思います。

〇千田農産園芸課長 農業用廃プラスチックの処理の関係でございますけれども、平成11年度から農業用廃プラスチックの組織的な回収に本格的に取り組んでいるところでございます。総排出量でございますけれども、私ども今約2、100トン程度ではないかと推計しておりますが、これらのうち農協等により組織的に回収処理されているのが718トンでございます。その他を含めますと、全体で約1、000トンが回収処理されているところでございます。ただ、地域によっては回収量が少ないために処理装置の運用コストとかあるいは輸送コストが割高となって、回収処理がスムーズに進んでいないといったような課題も実は含んでございます。こうしたことから、これまで、特にことし12年度は大型農家の方々のリストアップなどをして、そして個別に巡回して回収の意識啓蒙も図りながらこれを進めてまいりました。そして回収ロットの拡大に努めてまいりました。そういったことによって、全体的に量を集めて農家負担の軽減を図ってまいりたいと、実はその辺は思っているところでございます。
 それからポリ類ですけれども、現在、燃料として実は再利用しているところでございますけれども、このポリ類につきましても資源の有効的な活用を図るという観点から、例えば肥料袋でございますとか育苗箱等への再生原料として使えないかどうか、そのあたりのところの可能性について、今後、検討を進めていきたいと考えているところでございます。

〇及川敦委員 大体組織的に回収されたもので半分ぐらいまで到達したということの御答弁だったと思いますけれども、課題で、今御答弁にもありましたけれども、回収が私は問題なのだろうと思っております。今までコストとしてなかったものが、ある意味で突如として発生したコストということで、農家の方も御対応に非常に困っているというのも十分承知しておりますけれども、やはりダイオキシン対策ということをきちっと本県の農業はやっているんだということは、非常に消費者に対して強いメッセージにもなろうかと思っておりまして、より一層御対応いただきたいと思うわけですが、その課題の回収についてでありますけれども、いろんな工夫をされていると思うんですが、私は、例えば最初の農家の方がメーカーサイドから買い上げる際に、デポジットという方式になろうかと思いますけれども、最初から回収費用について上乗せをしておくとか、また、買い取りではなくても、これ非常に消耗品でありますから適当かどうかわかりませんけれども、リースとかレンタルとかいろんな方式が考えられると思っておりますけれども、農業関係団体の方からも、特に回収について制度を確立してほしいというような要望も出ているようでありますので、この点の課題についてまず早急に今後も取り組んでいただきたいと思いますけれども、この点についての御所見をもう一度お伺いしておきたいと思います。
 なお、リサイクルの内容につきましては、私は育苗箱とか飼料の袋とかいろんなものに使うのもいいでしょうし、今、熱源というサーマルリサイクルをされているということでありますので、その点については今後の検討課題だと思いますけれども、まずは適正処理が初めだと思っておりますので、この最大の課題である回収について、今後、どのようにお考えなのかお尋ねしたいと思います。

〇千田農産園芸課長 農業計画、基本計画におきましては100%回収したいと、それから再生処理化を50%にしていきたいということをうたっております。いずれ、これに向かって回収処理といいますか適正処理を進めてまいりたいと思いますけれども、今委員からお話しございましたデポジットの話、これも実はいろいろと今課題もありまして、その辺のところを十分検討しながら進めていきたいと思います。ただ、この農業用の廃プラスチックの処理、基本的にはできるだけ再生処理したような形で、リサイクルをするような形で進めていくような方向でやっていきたいと思いますし、そういった方向での回収の体制、特に農家の方々の一番身近なところの市町村、農協との連携をとりながら、啓蒙普及を図りながら回収を進めていきたいと考えております。

〇及川敦委員 最後にもう一点ですが、適正処理に向かって御尽力いただきたいと思いますし、回収されていない約1、000トン近いものに関してでありますけれども、これはそれぞれの農家の方が産業廃棄物としてまた事業系ごみとして、それぞれ御処理なされているというような認識であろうと思いますけれども、実態はまだかなり不適正な処理をされているのも私承知しております。農家の方の小屋に保管されているのも知っておりますけれども、この点についてもくれぐれも焼却処理などをしていろいろまた大きな問題にならないように、徹底的に指導をしていただきたいということを最後に御要望して終わります。

〇菅原温士委員 今、マルチの話がありましたけれども、いわゆる崩壊マルチの県内の使用の状況等々は把握いたしておりますか。

〇千田農産園芸課長 具体的な数値についてはちょっと今手元にございませんでしたけれども、例えば、たばことかそういったところで使用されていると承知しております。

〇菅原温士委員 値段がちょっと高いですからですけれども、やっぱり公害という問題がありますので、県も積極的に崩壊マルチを使用するような方向、指導体制を敷いていただきたい、そんな感じです。

〇阿部静子委員 それでは2点について質問をいたします。
 まず最初は、農政における女性施策についてお伺いをいたします。
 昨年策定されました男女共同参画社会基本法の施行に当って、国においては一番先にその施策に取り組んだのが農水省でございました。本県では女性が農業就業人口の約6割、また、林業や漁業分野においては約2割を占め、全産業に占める第1次産業就業者の女性割合が、全国で第1位の状況でございます。岩手におきましては、このような状況の中で、平成6年3月に、21世紀を開く岩手ふるさと女性ビジョンに基づいて、関係機関、団体と一体となってその具現化に努めてこられました。
 そこでお伺いをいたします。このように大変努力をして取り組んでいらした本県におけるこの女性施策について、基本法をもとにしながらその施策の内容と成果、また、県が財政の支援をどのようにやっていらっしゃるのか、それが第1点の質問でございます。
 第2点は、岩手の雑穀について御質問をいたします。
 今、岩手の雑穀への関心は全国で大変大きく盛り上がっているようでございます。私、11月23日のNHKでの岩手の北上山系における県北のその状況が放映になった中身を見まして、感動をいたしました。それは、南米産の紅色のアマランザスを、(「アマランサス。」と呼ぶ者あり)違いますか、名前──を初め、ヒエ、アワ、キビ等のその本県の栽培面積及び収穫量はどうなっているのでしょうか。県は、雑穀栽培推進策についてどのようにお考えなのか、お伺いをいたします。

〇佐藤農政部長 雑穀類の振興につきましては、千田農産園芸課長からお答え申し上げます。
 私から、農業における女性施策についてお答え申し上げます。
 お話しございました男女共同参画社会基本法、これは平成11年の6月に施行されたわけですけれども、県におきましてもこの法の趣旨を受けまして、ことしの4月に、むら・もり・うみ女性ビジョンを策定いたしまして、関係機関、団体と一体となって、農業・農村分野における男女共同参画社会の実現に向けまして取り組みを進めているところでございます。
 こうした取り組みの中で、女性の自立意識が向上されまして、例えば農家経営内での女性の役割を明らかにする家族経営協定、こういったものも進んでおりまして、現在、212組の協定が締結をされております。また、御案内とおり、直売あるいは加工施設の多くが女性によって運営されております。さらに、女性の力を地域づくりなどに生かすために、女性の農業委員の登用も進んでおりまして、本年度、新たに3名の女性農業委員会が選出され、県全体で9名となっております。
 県の具体的な取組支援といいますか事業でございますけれども、例えばアグリビジネス女性講座といったものを開催いたしまして、女性の例えば起業活動を支援しておりますし、また、同じようにこれはアグリビジネス振興対策事業というのもございますけれども、こういう事業でもって食の匠の認定でありますとか、その活動を支援しているところでございます。またさらに、農村生活アドバイザーという制度もございます。これの認定あるいは支援のために、アドバイザーの活動促進事業というものにも取り組んでおります。さらに、先ほども触れました家族経営協定締結を推進するということで、農村女性・高齢者支援活動促進事業といった事業、いろいろ取り組んでおります。
 そういうことで、今後とも農山漁村に係る女性組織の団体でもって構成する岩手県農山漁村女性組織連携会議というものがございますので、この会議と一体となりまして、農村女性の地域活動への参加等について今後とも促進してまいりたいと考えております。

〇千田農産園芸課長 雑穀類は先ほど委員からお話しありましたように、大変健康によい成分がたくさん含んでいるということで、消費者の関心が高まってきております。本県で栽培されている雑穀類でございますが、ソバ、ハトムギ、ヒエ、アワ等々でございまして、平成11年にはソバの814ヘクタールを初めとして雑穀合計で959ヘクタール、そして869トンの生産が行われております。雑穀に関しましては、現在、各地で例えばそば打ち体験ツアーとかあるいは貸し農園でのソバ栽培といったように、消費者と連携した活動が行われておりますが、今後こうした活動を支援するとともに、みずから加工し農家レストランで提供する取り組み、あるいは外食業界との連携を促進して、その需要の拡大を図りながら雑穀の生産振興、これに努めていきたいと考えております。

〇阿部静子委員 女性施策につきましては、質問の中の、県が財政的にどう、そういうグループであるとか起業者であるとかに支援をしているのかのお答えはございませんでしたので、もう一度その部分はお聞きいたしとうございますし、それから雑穀の部分はソバを中心としてのお答えでございました。ソバの部分につきましては確かにそば打ちから延ばすことから、その実践についてお客さんたちに見せる、そういう行事も多く行われているわけですが、私が申し上げたのは、いわゆるソバ、ソバを抜いてのヒエ、アワの部分で、こうやってNHK等で有名になってまいりますと需要の部分も多くなってくるであろうと、そして問い合わせも多く出てくるだろうと。私、ここで岩手をアピールするための手だてをも一緒に考えながら、商工労働観光部関係との連携を持ちながらやっていく必要があるのではないかと。
 また私もう一つ、ここに監査委員の及川桂子先生がいらっしゃるんですが、彼女は、1年後輩でございますから、彼女は、食料の部分で、鉄鍋がいかに栄養それから食品の部分でいいのかということを研究しているんですよ。それと岩手の鉄の部分と兼ね合わせながらということまでお考えになったらいいのではないかと、提案でございますが、いかがお考えでございましょうか。

〇平野農業普及技術課長 女性対策のための財政支出というお尋ねでございますが、先ほど御紹介しました四つの事業、これが直接的な支援事業。しかしながら、中身はソフト活動でございますが、トータルで2、200万円ほどになります。また、こういうソフト事業を生かしながら支援ということでは、農業改良普及センターの生活担当の普及員がいろいろと相談にのるとか、起業家の活動の指導などをしてございます。また、そういう中で、例えば加工施設とか販売施設とかというものが出てまいりますと、また別のものをお勧めするというか、そういうものに結びつけていくということでハード事業の方に含まれてくるわけですが、それはかなりの部分になりますので把握はしかねておりますが、以上でございます。

〇千田農産園芸課長 大変失礼をいたしました。アマランサスのことについてちょっと触れさせていただきたいと思いますけれども、私どもの県北の農業研究所、実はここのところでアマランサスの関係の、例えば系統選抜とかあるいは機械化ができないかということで研究をしておりまして、その中でアマランサス関東2号というのが機械集約の適応性にすぐれた品種であるということがわかっておりまして、12年から種子生産を始めているところでございます。
 それから、アマランサス、それからキビ、アワとかこういったものを組み入れて普通作物の大型機械化体系ができないかといったようなことで、こういったようなことも研究しておりまして、こういったようなことで県北、特に雑穀づくりの盛んな県北地域に適応した、地域に適応したアマランサスの振興についてさまざま検討しているところでございます。

〇斉藤信委員 2回に分けてお聞きをしたいと思います。
 一つは、米の暴落、減反拡大の問題であります。
 私、総括質疑でこの問題を取り上げまして、大規模農家への打撃が大きいと。10町歩の農家の場合には180万円の減収になると、こういうことでありました。私も実際、花巻の18町歩をやっている農家の話を聞きましたけれども、300万円の減収だと。大体合っていると思います。それで、今の国のやり方に追随していたら、この米の暴落に歯どめがかからないのではないか、大規模農家はやっていけなくなるのではないか、私、大変心配していますが、その点についてどうお考えか。
 それで、私たちは米価の最低補償がどうしても必要だと、せめて2年前の1万8、000円台の米価を最低価格にして補償して、それを下回った場合には政府が300万トンを上限に買い入れると、こういう制度がなければ、米の下落には歯どめがかけれないと思います。
 また、ミニマムアクセス米は義務輸入ではないですから、米が余っているときにはこの輸入は減らすと、こういうことも求めるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 あわせて、小麦、大豆の転作を本作にすると言っていますけれども、平成11年度の実績、その中で市場流通、販売分はどうなっているか示していただきたい。
 平成22年までの目標を見ますと、とても本作と言えるような目標計画になっていないと思いますが、いかがでしょうか。
 私は本作と言うなら、加工施設や流通販売対策、農業機械、こうした総合的な対策をとらなければ、小麦も大豆も成り立たないと思います。そういう点で、岩手県にそういう計画があるのか。また、県内の市町村でそういう対策をとっているところがあるかどうか、示していただきたい。

〇佐々木農産物流通課長 米でございますけれども、米は本県の基幹をなす大変重要な作物であるということでございますので、先般、稲作農家の経営安定が図られる価格というようなことで国に対して要望してきたところでございます。
 また、ミニマムアクセス米につきましては、国産米の需給に大きく影響するということが懸念されますことから、WTO農業交渉におきましては可能な限り輸入水準の引き下げに努めるよう、国に要望してきているところでございます。

〇千田農産園芸課長 小麦、大豆の関係でございますけれども、本県大豆の平成11年の生産量はおよそ5、000トンでございまして、自給目的の小規模栽培が大きいことから、流通に乗っているのはその中でおよそ2、000トンとなっております。
 それから、小麦の生産でございますけれども、およそ3、000トンでございまして、2、500トンが市場に販売されております。
 それから、出荷量をふやすために安定した販売先を確保することが重要な課題であります。したがいまして、産地情報を収集して実需者へこうした情報を提供するとともに、県内の生産者や農協のほか、それから実需者にも参加していただいて、麦、大豆等産地体制確立推進協議会、こういったものを組織しておりますけれども、こうした中で実需の方々と連携を強めながら進めているところでございます。そういった中で、例えば豆腐業界さんからこれに呼応していただいて、本県産大豆を100%使った新製品づくり、こういったものも進められているところでございます。
 また、本作化に対応して水田への作付が順調に麦、大豆が拡大しているところでございますけれども、単収が低くて、それから特に品質面で実需の方々から指摘されているところでございます。
 今後、栽培管理指導の徹底はもちろんでございますけれども、各地での排水対策の実施あるいは水稲との共用を念頭に置いた乾燥施設等の整備、それから麦の特に流通関係業者がばら流通にしてくれないかという話もございます。そういったことで、麦のばら流通の拡大、あるいは大豆加工施設の整備など、こういったことについて関係者一丸となって高品質の麦、大豆の生産流通体制強化に支援していきたいと考えております。
 それから、最近の具体的な動きを若干御紹介申し上げたいと思いますけれども、北上市において、大豆の団地化を進めながら産地の拡大に取り組んでおりまして、ことしの11月、つい先だってでございますけれども、色彩選別機を備えた先進的な乾燥施設を整備して、いわゆるすばらしい品質のいい大豆の生産に取り組んでいると、これが始まっているところでございます。

〇斉藤信委員 それで大規模農家が大減収ですよ。農政部長、本当にこの対策をとらないと、私が話を聞くと、大体10町歩規模の農家で、農業機械更新のときに農業を続けるかどうか、この選択を迫られているというんですよ。いわば、岩手県の農業を支える大規模農家が、これから本当に続けるかどうかということを今迫られている状況ですから、この米の暴落対策、体を張ってひとつ取り組んでいただきたい、部長。
 それで、私、減反のことについてちょっとお聞きしたい。
 来年減反が大幅に拡大されます。全国10万ヘクタール、そのうち5万は需給調整水田ということですけれども、岩手県の減反拡大分、緊急拡大分は2、070ヘクタールですが、これにはいわゆる需給調整水田が入っているんでしょうか。入っていないとすれば、どういうふうにやるんでしょうか。いわば豊作分、青刈りするというやつですよ。そして2、070ヘクタールふやして減反面積は36.6%になると思うけれども、それでよろしいか。
 それと、11年産米に豊作分のえさ米処理というのがありました。これ、12年産米もやられるそうでありますが、11年産米は結局これは額として、量と額、どういう影響額があったか示していただきたい。12年産米についてもどういうことになるか、わかれば示していただきたい。
 続いてお聞きします。
 米の消費拡大の特効薬は、私は学校給食での米飯給食であると思います。それで、岩手県と花巻振興局が最近、いわてまるごと給食事業を実施して大きな反響がありました。その内容と実績、特徴について示していただきたい。県産品はどのぐらい使われたでしょうか。
 学校給食での米飯給食の回数は、現在、約3回です。それを4回、1回ふやすとしたらどのぐらいの消費拡大になるでしょうか。私は、県教委、市町村と協力して米飯給食の回数を、せめてあと1回はふやすべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。地場産品を活用した取り組みを本格的に進めていただきたい。
 それと、新規就農者対策と農業大学校の整備について私もお聞きをします。
 県の農業計画によりますと、年間200名の新規就農者を確保する計画になっていますが、これの実績はどうでしょうか。それと、新規就農者確保に当たって、農業大学校がどういう役割を果たしているか。9月の県議会でも取り上げましたが、成果が上がっている新規就農者経営確立支援事業、成果が上がっているこの事業を本当にやめるんでしょうか。私は、継続、拡充するべきと思いますが、いかがでしょうか。
 農業大学校について、私も現地調査を行ってまいりました。これは大変政和会の方々が精力的に取り上げたので敬意を表しますが、こういう三つの点が指摘をされました。
 一つは、教室等講義を行う教育環境として十分とは言いがたい。二つ目は、施設、機械等の老朽化が進み、農業教育施設としての機能が低下しており、高度な教育、最新技術を駆使した研修教育に支障を来している。三つ目は、実習圃場が本館から離れ分散的に配置しているため、効率的な教育に支障を来していると深刻な状況です。農業学校よりも設備の水準はおくれていると。ところが、この農業大学校には県外から結構入っているわけです。岩手の農業大学校はすばらしいということで、それでも県外から入って岩手県に就農しようとする学生もいるし、作文コンクールや研究発表では全国的にすばらしい成果を上げている生徒も紹介をいただきました。それで、農業大学校の整備はこの間着実に進んでいるわけです。去年、ことしで、男子寮もできた。問題は、来年度から本館や圃場整備や本格的な農業大学校の整備に取り組むべきだと思うんですよ。そういう点で、いつからこの対策に取り組むかを、もっと明確に示していただきたい。

〇阿部農産園芸課水田農業推進監 来年度の需給調整水田でございます。現在、2、070ヘクタールの追加がございまして、3万4、000ヘクタールばかりの最終的に生産調整が行われることになっておりますけれども、需給調整水田はこの中には含まれてございません。これは農業団体の主体的な取り組みといたしまして、現在、全中から県中の方に通知があったと聞いておりますけれども、米の作付面積のガイドラインの3%とお聞きしております。したがいまして、米の今回お示ししましたガイドラインが5万8、820ヘクタールでございますので、それの3%、1、800幾らでしたか、そのぐらいが配分されたと聞いております。これから農業団体の方で、各農協に具体的な話として出てくるかと思います。細かい取り扱いについてはまだ定められておらないようでございますので、これから決まり次第、団体の方から通知されるかと思います。
 それから、えさ米につきまして今資料を持ち合わせておりませんので、大変申しわけありません。

〇佐々木農産物流通課長 いわてまるごと給食事業の事業内容と実績についてでございますけれども、いわてまるごと給食事業は、米飯学校給食の普及推進と県産農産物の利用拡大を図ることを目的といたしまして、国庫でございますが米飯学校給食推進オリジナル事業を活用しまして、地元の関係機関、団体が一体となって実施したものでございます。
 その内容と実績でございますけれども、地元の農産物をできる限り活用した五つのメニューをつくりまして、このメニューの普及のための調理講習会に35名の地元栄養士さんの方々に出席していただきました。また、このメニューによりますいわてまるごと給食の日を2日間設定いたしまして、花巻地域の全小中学校38校でございますが、延べ約2万人の児童生徒の方々にいわてまるごと給食を食べていただいたところでございます。
 なお、いわてまるごと給食における県産食材の使用割合でございますけれども、主な品目でございますが、品目の数の割合で申しますと82%でございますし、重量ベースでは98%というような状況になってございます。
 それから、米飯学校給食の方の実施回数の関係でございますけれども、米飯学校給食週当たりの回数を現在の平均3.2回から4回、すなわち1週間に0.8回増加させますと、全県でおよそ年間278トンの米の消費量が増加すると見込まれます。また、学校給食におきます米飯学校給食の実施回数あるいは米以外の地場農産物の利用拡大を図るための具体的な進め方につきましては、教育委員会それから市町村の方々と鋭意検討してまいりたいと、そのように考えてございます。

〇平野農業普及技術課長 新規就農者対策と農業大学校の整備のお尋ねについてお答えをいたします。
 新規就農者の確保対策と現状ということでございますが、総合的な事業としましては新規就農総合対策事業というものを、県、市町村それから財団法人の岩手県農業担い手育成基金、あるいは農業団体というところが一体となって実施してございます。この事業は、例えば県とか市町村が就農窓口を設けるとか、あるいは県が農業入門塾とか新規就農者研修を開設するとか、あるいは市町村が新規就農者のための研修農場を設置するということについての内容ですし、また支援するものでございます。それから、就農時の支援としましては、技術習得の研修あるいは就農準備のために住居移転等にかかる資金について、無利子の就農支援資金というものを用意してございます。これにつきましては、研修の部分では一部償還免除措置もございます。さらに、経営開始時に必要な機械の導入や施設整備あるいは住居の改修というものについて、新規就農者育成推進資金というものを創設してございます。
 それから、新規就農者の現状ということでございますが、ここ数年、80名から90名で推移してございます。内容としましては、新規学卒者は減少する傾向がございますが、Uターン就農や新規参入者が増加傾向にございます。
 次に、農業大学校が果たしている役割ということでございますが、農業大学校は農業自営者等の養成を目的として教育を行ってございます。卒業後、直ちに就農する割合は20%前後ということで高くないわけですが、会社勤めの後の就農あるいは兼業就農も含めれば、卒業生の大半は農業経営にかかわっていると認識してございます。また、同校の研修科におきましては、農外などからの新規参入者、これを対象にした新規就農研修というものも平成7年から実施してございまして、修了者の中には地域に定着し就農している者も出てまいっております。
 次に、新規就農者経営確立支援事業の継続ということでございますが、この事業、平成9年から11年までの3年間実施しまして、27名に支援をしてきてございます。これは、減少してきている新規就農者の確保ということのために、緊急的な措置として創設した対策でございます。今年度からは、これにかわる県単独の新規就農者育成推進資金を措置しているところでございます。
 また、従来からの就農支援資金でございますが、これに新たに機械導入や施設整備についてもその対象とするというような制度の拡充を図ってきてございます。
 次に、農業大学校の施設整備でございますけれども、整備の考え方のポイントとしまして、委員から御指摘ありましたように、学科の再編カリキュラム、これで高度な教育をしていくということへの対応、あるいは家畜排せつ物に係る新しい法律、これへの対応、あと老朽化してもございます。そういうところを総合的に勘案しまして、実習圃場の集約化ということなど順次整備をしてまいりたいと。この事業につきましては、県の総合計画の実施計画で、いずれ期間中に取り組む事業として位置づけられておるわけですが、我々担当として頑張って、なるべく早く整備が進むようにやってまいりたいと考えております。

〇佐々木大和委員長 先ほどの答弁の用意ができましたので、佐々木農産物流通課長から答弁させます。

〇佐々木農産物流通課長 平成10年産米のえさ米の配分でございますが、本県へは1万389トン配分するということでございます。

〇斉藤信委員 これで終わりますが、11年度の農政部の決算は1、194億円余です。そのうち公共事業が62.9%で、今、本当に米の暴落で生産が大変なときに、どんどん圃場整備や農道整備にお金をかけている。私はこれを根本的に転換すべきだと思います。そして、農家が今切実に求めている生産者価格の補償、さらには米の消費拡大、これに全力を挙げて取り組んでいただきたい。そして新規就農者対策で、せっかく成果を上げている新規就農者経営確立支援事業、これは新規就農者に対して70万円、90万円の補助を出すんです。融資と補助では、天と地の違いなんですよ。なぜ成果が上がっているこういう事業をやめて融資にしてしまうのか、こういう点では悪しき行革の考え方です。3年間実績があったらそれを拡充すると、それが本当に私は効率的な行革であり金の使い方だと思いますよ。そのことを指摘して終わります。

〇佐々木大和委員長 ほかに質疑はありませんか。   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇佐々木大和委員長 質疑がないようでありますので、農政部関係の質疑をこれで終わります。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時16分 散 会


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