平成13年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成13年3月21日(水)
   

1開会    午前10時3分

1出席委員  別紙出席簿のとおり

1事務局職員
事務局長      和美宏幸
議事課長      熊谷素紀
議事課長補佐    千田正和
主任議事管理主査  浅田和夫
議事管理主査    浅沼 聡
議事管理主査    森 達也
議事管理主査    熊谷正則
議事管理主査    下山義彦

1説明員
林業水産部長    本山芳裕
林業水産部次長   小国平二
林業水産部次長   木實谷 浩史
林政課長      武田牧雄
木材振興課長    伊藤 巖
緑化推進課長    塩井常文
松くい虫対策監   佐々木 孝昭
森林土木課長    盛合嘉信
漁政課長      小笠原 嘉光
水産振興課長    上村俊一
漁港漁村課長    千葉信明
農政部長      佐藤克郎
農政部次長     高橋民和
農政部次長     石川格司
農政企画課長    河村直樹
地域農業振興課長  澤田行一
中山間対策監    及川傳弘
農業普及技術課長  平野 保
農村計画課長    安樂 敏
総合国営対策監   伊藤 日出輝
農村建設課長    佐々木 忠正
農業経済課長    深水秀介
農協指導検査監   伊藤正俊
農産園芸課長    千田 勉
水田農業推進監   阿部郁夫
畜産課長      山下 進
農産物流通課長   佐々木 崇
財政課長      池田克典
   

〇中屋敷十委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
 議案第1号から議案第21号まで、議案第31号から議案第38号まで、議案第40号、議案第42号、議案第46号、議案第48号、議案第50号及び議案第51号の以上35件を一括議題といたします。
 本日は、林業水産部及び農政部関係を終わるように進行いたしたいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 また、質疑につきましては、世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保証するため、質疑項目が複数ある場合、関連する事項についてはできるだけまとめて質疑されるとともに、質疑及び答弁は簡潔明瞭に行い、午後5時を目途に審査が終了するよう議事進行に御協力をお願いいたします。
 なお、関連質疑については、冒頭に質疑を表明している委員より優先して発言を認めているものでありますので、その性格上、関連性の強いもののみ短時間、簡潔に発言されるよう、また、要望のみで終わることのないよう御協力をお願いいたします。
 最初に、林業水産部長から林業水産部関係の説明を求めます。

〇本山林業水産部長 平成13年度林業・水産業関係の議案について御説明申し上げます。
 説明に入ります前に、平成13年度の林業・水産業施策の推進に当たっての基本的な考え方について申し上げます。
 既に御案内のとおり、本年4月から農林水産部として組織が再編されることに伴い、農林水産行政の一体的な推進という趣旨にのっとり、共通する課題についてより効率的に対応しつつ、林業・水産業施策を展開してまいることとしております。
 平成13年度におきましては、環境首都の実現など、13年度施策重点化方針を踏まえ、岩手県総合計画、第6次岩手県林業基本計画及び第4次岩手県水産業基本計画の目標達成に向けて各般の事業を実施してまいります。
 まず、林業についてでありますが、森林・林業、木材産業をめぐる情勢を見ますと、森林は、社会的共通資本と言われるほど多様な機能を備えており、その公益性に対する国民の要請は近年とみに強まり、その発揮のための適切な整備が重要となっております。
 一方、森林を支えてきた林業や木材産業は、木材の需要の落ち込みや価格の低下など極めて厳しい状況が続いており、山村地域の活力の低下が懸念されるとともに、適正な管理が行われない森林が顕在化するなど、木材供給と公益性の両面から森林の機能の低下が危惧されております。また、木材需要は、建築基準法の改正や住宅品質確保促進法、いわゆる品確法の施行などを背景に、品質、性能の安定した乾燥材や集成材に変化してきており、木材産業は、これらに対する早急な対応が求められております。
 このような状況を踏まえ、平成13年度の本県林業の振興方策として、森林の多面的な機能を高度に発揮させるための適切な森林整備の推進、林業、木材産業の活性化に向けた県産材の需要拡大、木材供給体制の整備及び県民が森林について学ぶ施設の整備に力点を置きつつ、各般の施策を総合的に推進してまいります。
 次に、水産業についてでありますが、水産業を取り巻く情勢は、資源水準の低下による漁業生産量の減少、輸入水産物の増加等による魚価の低迷などにより、厳しさを増しております。特に昨年は、秋サケの2年続きの不漁及びワカメの生産量の減少と単価安も重なり、本県水産業は大きな打撃を受けたところであります。
 このような状況を踏まえ、平成13年度の本県水産業の振興方策として、ヒラメの本格放流やイワガキの養殖など、つくり育てる漁業の一層の推進、生産基盤となる漁港及び漁場の一体的、効率的な整備、ハセップ方式の導入による、新鮮で安全な水産物の提供と生産、加工、流通、販売の一貫した取り組みの促進、漁業集落の水洗化の普及率向上などに重点的に取り組みつつ、各般の施策を総合的に展開してまいります。
 それでは、議案について御説明申し上げます。
 まず、議案第1号平成13年度岩手県一般会計予算についてでありますが、お手元の議案その1をごらん願います。7ページをお開き願います。6款農林水産業費のうち、4項林業費、5項水産業費と、9ページをお開き願いまして、11款災害復旧費のうち1項農林水産施設災害復旧費の一部とをあわせた総額447億8、100万円余が林業・水産業関係の一般会計予算であります。これは、前年度当初予算対比で5.5%の減となるものであり、また、県の一般会計予算全体に占める割合は5%となるものであります。
 予算の内容につきましては、予算に関する説明書により御説明申し上げます。なお、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に御説明申し上げますので、御了承願います。
 178ページをお開き願います。6款農林水産業費4項林業費1目林業総務費の主なものは、人件費など管理運営に要する経費と県有林事業特別会計に対する繰出金であります。次に、179ページに参りまして、2目林業構造改善対策費の主なものは林業構造改善事業費でありますが、これは、林業の振興と山村地域の活性化を図るため、6地域において実施される木材加工施設等の整備に対する助成などを行おうとするものであります。次に、3目林業振興指導費の主なものでありますが、説明欄の一番下の森林組合育成強化対策事業費は、森林組合の経営体質の強化を図るため、広域合併の普及啓発活動等に対し助成するとともに、森林組合の財務改善等に要する資金の貸し付けなどを行おうとするものであります。次に、180ページをお開き願いまして、説明欄の中ほどにあります木材産業振興対策事業費は、製材業者、木材チップ製造業者等の素材の共同購入等に要する資金の貸し付けなどを行おうとするものであります。次に、一つ飛びまして、県産材需要拡大対策事業費は、県産材を使用した木造住宅の建設、公共的施設の整備や学校の机、木製食器等の導入に対する助成などを行おうとするものであります。次に、下から二つ目の木質バイオマス資源普及促進対策事業費は、新たに木質バイオマス資源を活用したエネルギーの供給システムの開発を行おうとするものであります。次の特用林産振興対策事業費は、シイタケ生産施設等の導入に対し助成するとともに、シイタケの系統集荷と森林組合の原木生産事業に要する資金の貸し付けなどを行おうとするものであります。次に、181ページに参りまして、下から三つ目の林業振興資金貸付金は、森林組合の経営の安定化を図るため、林産加工事業等に要する資金を貸し付けようとするものであります。次に、182ページをお開き願いまして、三つ目の水土保全森林緊急間伐対策事業費は、公益的機能の高い森林を中心に間伐を推進するため、間伐の実施、作業路の開設等に対する助成などを行おうとするものであります。次に、三つ飛びまして、公益保全森林整備総合対策事業費は、社団法人岩手県林業公社が新たに行う公益的機能の高度発揮が求められる森林の整備に要する資金の貸し付け及び環境の保全に配慮した森林への転換を図るための分収林契約の変更などに要する経費に対して助成を行おうとするものであります。次の岩手県林業
 次に、188ページをお開き願います。5項水産業費1目水産業総務費の主なものは、人件費などの管理運営費と水産科学館の管理運営の委託に要する経費であります。次に、2目漁業構造改善対策費の主なものは、沿岸漁業漁村振興構造改善事業費でありますが、これは、新鮮で安全な水産物を提供するための荷さばき施設、水産物加工施設等の整備に対し助成しようとするものであります。次に、189ページに参りまして、3目水産業振興費の主なものでありますが、説明欄三つ目の水産物流通効率化推進事業費は、水産分野へのIT導入を促進するため、市場間電子情報活用試験やインターネット等を利用した原産地表示調査を行おうとするものであります。次に、一番下の水産物流通加工振興対策費は、水産加工業の経営の近代化を図るため、財団法人いわて産業振興センターに対し、水産加工設備の貸与譲渡事業に要する資金を貸し付けようとするものであります。次に、190ページをお開き願いまして、一つ目の秋さけ等流通機能強化対策事業費は、秋サケ等の消費拡大を図るため、学校給食、病院給食への利用定着化、県内外での販路開拓等の取り組みに対する助成などを行おうとするものであります。次に、中ほどにあります漁業系廃プラスチック適正処理促進事業費補助は、漁網等漁業資材、FRP廃船の漁業系廃プラスチックの適正な処理を促進するため、岩手県漁業協同組合連合会が行う処理方針の策定等に要する経費に対して助成しようとするものであります。次に、三つ飛びまして、さけ、ます増殖費は、サケ、マス資源の維持安定を図るため、調査研究や稚魚の買い上げ、河川への放流などを行うとともに、増殖効率化施設の整備に対して助成しようとするものであります。次に、一つ飛びまして、イワガキ養殖推進事業費は、新たな養殖魚種であるイワガキの養殖体制を推進するため、種苗の大量生産や養殖技術などの確立を図ろうとするものであります。次の栽培漁業推進対策事業費は、ヒラメ、マツカワの魚類栽培の事業化を推進するため、ヒラメ110万尾を生産する経費への負担やマツカワ放流技術の開発などを行おうとするものであります。次に、191ページに参りまして、三つ目の社団法人岩手県栽培漁業協会育成事業費は、同協会に対し、アワビ、ウニの種苗生産に要する運転資金の貸し付けや、マツカワ、アユの種苗生産業務の委託などを行おうとするものであり
 なお、説明欄の中ほどにあります漁業集落環境整備事業費は、新たに県代行が制度化されたことにより、13年度においては1地区で代行実施しようとするものであります。
 次に、ページを飛びまして257ページをお開き願います。11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費2目林道災害復旧費、258ページをお開き願いまして、3目治山災害復旧費及び4目漁業用施設災害復旧費、259ページに参りまして、5目漁港災害復旧費は、過年災と現年災の災害復旧事業に要する経費を見込んだものであります。
 次に、債務負担行為について御説明申し上げます。
 恐れ入りますが、再び議案その1をごらん願います。13ページをお開き願います。林業・水産業関係は、事項欄の34県産材利用木造住宅建設資金の融通に伴う利子補給補助から、14ページをお開き願いまして、39漁業経営維持安定資金の融通に伴う利子補給までの6件でありますが、これらは、県産材利用木造住宅建設資金などの融通に伴う利子補給と、農林漁業金融公庫が社団法人岩手県林業公社に融通した造林事業資金の元利償還に係る損失補償について、それぞれ期間と限度額を定め、債務を負担しようとするものであります。
 次に、特別会計予算について御説明申し上げます。
 26ページをお開き願います。議案第4号平成13年度岩手県県有林事業特別会計予算についてでありますが、予算の総額を歳入歳出それぞれ40億4、106万6、000円と定めようとするものであります。
 27ページに参りまして、第1表歳入歳出予算の歳入の主なものは、3款繰入金、5款諸収入及び6款県債でありますが、このうち繰入金は、一般会計と県有林造成基金から繰り入れようとするものであります。
 次に、28ページをお開き願いまして、歳出の主なものは1款県有林事業費でありますが、これは、県行造林造成事業等の下刈り、除伐、素材生産などに要する経費であります。
 次に、第2表地方債についてでありますが、これは、県有林事業に充当しようとするものであります。
 次に、29ページをごらん願います。議案第5号平成13年度岩手県林業改善資金特別会計予算についてでありますが、予算の総額を歳入歳出それぞれ14億2、211万円と定めようとするものであります。
 30ページをお開き願いまして、第1表歳入歳出予算の歳入の主なものは、4款諸収入のうち1項貸付元利収入であります。
 次に、31ページをごらん願いまして、歳出でありますが、1款林業改善資金貸付費は、林業経営の改善を図るため、林業従事者等に対し、林業生産高度化資金、林業労働福祉施設資金などを無利子で貸し付けようとするものであります。
 次に、2款木材産業等高度化推進資金貸付費は、森林組合等に対し、木材の生産、流通の合理化に要する運転資金を低利で貸し付けるため、その原資を金融機関に預託しようとするものであります。
 次に、3款林業就業促進資金貸付費は、新規林業就業者等に対し、住居移転などに要する就業準備資金を無利子で貸し付けようとするものであります。
 次に、32ページをお開き願います。議案第6号平成13年度岩手県沿岸漁業改善資金特別会計予算についてでありますが、予算の総額を歳入歳出それぞれ3億554万5、000円と定めようとするものであります。
 33ページをごらん願いまして、第1表歳入歳出予算の歳入の主なものは、3款諸収入のうちの1項貸付金収入であります。
 次に、歳出の1款沿岸漁業改善資金貸付費は、沿岸漁業の経営改善を図るため、漁業従事者等に対し、経営等改善資金などを無利子で貸し付けようとするものであります。
 次に、予算以外の議案について御説明申し上げます。
 74ページをお開き願います。議案第18号林業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてでありますが、これは、平成13年度に実施する林業関係の建設事業に要する経費の一部を受益市町村である大船渡市ほか9市町村に負担いただこうとするものであります。
 次に、76ページをお開き願います。議案第19号水産関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてでありますが、これは、平成13年度に実施する水産関係の建設事業に要する経費の一部を受益市町村である宮古市ほか12市町村に負担いただこうとするものであります。
 次に、条例関係の議案について御説明申し上げます。
 お手元の議案その2をごらん願います。82ページをお開き願います。議案第46号林業技術センター条例の一部を改正する条例についてでありますが、これは、同センターが依頼に応じて行う試験等の手数料の額を平成13年4月1日から改定しようとするものであります。
 以上で説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

〇中屋敷十委員長 ただいまの説明に対し質疑ありませんか。

〇佐々木俊夫委員 トップを承らせていただきます。
 3点につきましてお伺いします。
 まず、第1点でございますが、今ちょうど収穫の最盛期を迎えておりますワカメ漁業の問題であります。物すごく大変な事態に陥っているようでございます。田老町の状況で申し上げますと、これは価格問題でございますが、1998年には125円、2000年には75円、ことしは53円、半値以下に下がっているわけであります。これの原因ははっきりしておりまして、昔は韓国、今は中国からの輸入ということで、民間の訪中団も訪問をしたようでございます。
 これらの対策としまして、本議会でも先般セーフガードの発動を求めての意見書を出しましたし、今度の議会で県下の沿岸全市町村と言ってもいいぐらい意見書を採択したようであります。そこで、この問題について、現在、農林水産省でどのように取り組んでおられるのかということでございます。
 2点目は、漁業制度に絡む課題でございまして、漁業許可制度の取り扱いを改定しよう、こういう計画を立てておられると。確かに、現在のやり方は、1979年、約20年前に定めた方針に基づいているんだそうでありますが、20年ぶりに改めようと、こういうことで、時代の進行とともにこれは当然のことでございますけれども、見直しをしなければならない理由というのは一体何だろうか、こういう点につきましてお伺いします。
 3点目でございますが、SRSV、小型球形ウイルスというんだそうですが、下痢等の原因がどうも本県産の生ガキではないかという疑いが持たれておると。この菌は人間どなたにもあるんだそうでありまして、先般、暮れでしたか、宮古の鍬ケ崎小学校の学校給食で集団中毒があって、どうもこれだということになったのでありますけれども、しかし、この生徒は決してカキを食べたわけではありません。別のところに原因があるようでありますけれども、いずれにしろ、冬場における食中毒の原因はこのSRSVらしいということから、本県特産の生ガキの出荷が停止を食っている。これもまた大変な事態に陥りつつあるので、その現状と対策につきましてお伺いいたします。

〇本山林業水産部長 2点目にお尋ねのございました許可方針の改正に関してでございますけれども、現在、イカ釣り等知事許可のかかるものは15種類で、約6、500件の許可がなされておるところでございます。今、委員から御指摘ございましたように、これらは54年に県が定めました海面許可漁業の許可等の取扱方針に基づきまして、操業実績船の更新または承継ということを基本といたしておりますことから新規参入を難しくしているということがございまして、アンケート調査をしましたところ、大多数の漁業協同組合が、時代も変わっていることだし方針を見直してはどうか、こういうことでございました。このため、今、私どもといたしましては、漁船漁業の活性化と漁業後継者の育成を図っていくということを主なねらいといたしまして、漁業種類ごとに許可方針を見直したいということで考えておるところでございます。
 この見直しに当たりましては、操業実績を金額によりきちんと確認するとか、そういう意味で新規許可枠の設定を行うということを考えておりまして、いずれにいたしましても、関係者の意見を最大限尊重することを旨といたしまして、漁業協同組合等関係者の意見を十分に踏まえて、皆さんの合意をいただけたものから順次着手していくと、そういう考え方をしておるところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては担当課長から答弁申し上げますので、御了承願います。

〇上村水産振興課長 2点ほどあったと思いますけれども、第1点のワカメのセーフガードの関係ですけれども、国の動向ですが、国におきましては、農林水産大臣名でセーフガード発動に向けた調査を開始するよう、財務・経済産業両大臣に14日に文書要請したと聞いております。水産庁におきましては、調査開始に必要な因果関係の証明について、3省の事務レベルで協議を続けるという段階であります。
 県といたしましては、大変大事な問題ですから、これまで以上に調査開始に必要な資料等の提供について積極的に協力してまいりたいと考えております。
 それから、第2点の小型球形ウイルス、いわゆるSRSVについてでありますけれども、まず、事故発生の状況ですけれども、本県のカキに含まれるSRSVが食中毒の原因として疑われた事件でありますけれども、SRSVが食中毒病因物質と指定されたのが平成9年度以降であります。それ以降で見ますと、9年度13件、10年度2件、11年度14件、12年度16件となっております。これにつきましては、他の菌と違いまして、寒い時期、1月から2月にかけて出てくるという特徴がございます。
 発生防止のための対策ですけれども、本県産生食用カキの出荷に当たりましては、生産海域ごとにサンプル抽出検査をやっておりますが、どうしても生ものですから全数検査はできませんので、出荷されたものの中から消費地の調査検査によりSRSVが出てくるといったことがございます。ただ、今は活性化したSRSVだけでなくて不活性化した部分も検出するような検査方法しかないものですから、その辺がちょっと問題になっているわけであります。
 県といたしましては、水産技術センター等においてSRSVの蓄積動態調査あるいは除去試験、これは山田湾でやっておりますけれども、蓄積動態調査においては、し尿処理場に近い海域で養殖されるものほどSRSVが多く検出される傾向になっております。一方、除去試験につきましては、いろいろと試みておりますけれども、今のところ、いいという方法は見つかっておりません。これからも試験を続けていきたいと思っております。
 生産者対策につきましては、本県の生食用カキにつきましては、一粒ガキのブランドで漁協独自で出荷しています。共販制度に乗っておりませんから漁協独自で出荷しておりますけれども、漁協独自ですから、漁協によってばらばらな対策が出ております。したがって、これを全県的に統一していくのが大事だということから、今、県漁連を中心にしまして、衛生管理に関する体制整備を県も入って進めているところであります。

〇中屋敷十委員長 執行部に申し上げますけれども、質問者が多いですから、進行に御協力いただくため、答弁は簡潔明瞭にお願いしたいと思います。

〇佐々木俊夫委員 質問も簡潔にやります。
 最初にSRSVの方からいきますけれども、大変なことを今発言されました。し尿処理場の近くからとれる方に含有が多いと、こういうお話であります。今、海をきれいにするために、公共下水、あるいはまた漁業集落排水でし尿処理工事がどんどん進んでいるわけですけれども、その排水の近くから病原菌を持った貝が多くとれるということになりますと、下水対策という非常に大きな問題が出てきたなとここで直感を得るわけなので、その辺は相当慎重にやっていただかないと大変な事態になるのではないか。相当な件数がありますし、既に出荷停止あるいは賠償問題まであるようでございまして、漁業者たちは事故保険に入って対策を練るということでありまして、これは大変な、ばらばらなことではできない。ただ、宮城県は相当積極的なそうでございまして、私の聞いた範囲では6、000万円ほどの新年度予算を組んで対策に乗り出したと、こういう話でありますので、本県も主産地でありますから、対策費につきましては、財政課長もおられますけれども、大変な事態が発生するおそれがありますのでよろしくお願いします。
 それから、下からさかのぼるような感じですけれども、漁業許可の改定の問題、これは私が言うまでもございませんで、泳いでいる魚はだれがとってもいいんだと、これは明治以来の基本原則でございますから、遊漁の方々も自由に釣りをしているわけであります。しかし、漁業者は専門でありますし、また、混乱が起こる、あるいは資源的な問題があるからこれを許可によって整理しようと、こういう制度だと思うんですが、ただ、漁業というのは長く先祖代々からやっていますし、私自身も経験がありますけれども、年間にこの船で何と何を組み合わせてやるかという一つの経営体でやっているわけでありますから、一つの漁業の許可だけやっても、あとの時期何もできないというと営業として成り立たない。しかし、農業にもあるわけですけれども、ことしは例えばキャベツと何かと何かでやる。しかし、キャベツが悪いから大根と何か、こういうふうにどんどん切りかえる。漁業にもそういう実態があるわけであります。そこで、漁業者は、どういう事態があっても経営できるように許可を保有しておいて、ことしはこれとこれ、来年はこれとこれというようにやるわけですけれども、しかし、営業実績がないからそれを切るよといって切られますと、果たして経営が成り立つのかどうか私は心配をいたします。したがいまして、どうしても整理せざるを得ない場合は、新たに許可をする場合について、必要があればやりますよというような保証をきちっと立てればこの問題はいけるのではないか。それをあいまいにしておくと、漁業者は自己防衛のためにいろいろな手を使ってもあらゆる許可を持っていく、こういうことで、目的とする制度改正がおかしくなってしまうおそれがあるので、その辺をどう考えられますか。
 それから、ワカメの対策でございますが、ようやく農林省も、先ほどの14日というのは今月の14日でしょうか、文書をもって通産省等に要請を出したという動きになって結構な話であります。私どもは何も外国から一切輸入してはいけないと言っているわけではありませんで、やっぱり最後は消費者でございますから、品質がよくて安ければ消費者は当然それを利用するわけでありますが、ひいき的に申し上げるわけではありませんが、やっぱり私は、日本でも三陸のワカメはすばらしい品質を持っていると思うんです。よそと比べてとても違う。
 そこで、やっぱり産地表示、これがきちっとされれば岩手ワカメは相当な力を発揮できるのではないか、こう思います。いわゆるJASですね。4月1日からやるそうでありますが、どうも魚関係の表示が悪い。いろいろな野菜類は現在のところ5割以上のようでありますけれども、魚類は30%を切って、7割は産地表示がない。果たしてワカメが生鮮品なのか加工品なのか私ちょっとわかりませんけれども、少なくても表示制度をきちっとやることによって岩手のワカメは相当その価値を評価されるのではないか、こういうことを思うのでありますけれども、いかがなものでしょうか。

〇本山林業水産部長 漁業許可についてでございますが、生業を営んでいらっしゃる皆様方が本当に困ることになっては許可の意味もございませんので、操業実績の確認につきましては、実際に漁船漁業を営んでいらっしゃる方々に不利益とならないように十二分に配慮したいと思っておりますし、また、新規参入のあり方につきましても、操業の必要性などを実態に即して運用できるように意見調整を図ってまいりたいと考えております。

〇上村水産振興課長 生鮮食品につきましては昨年度から表示義務が生じましたけれども、加工品については特になかったわけです。とりわけワカメ、サバとか、あるいはアジ、ウナギにつきましては優先して加工品についても検討しましょうということで、多分来年度早々だと思いますけれども、そういった義務づけがなされると思います。そうなりますと、表の方には今までもJAS法で原産が中国であれば原産中国と書かなければだめだったんですけれども、裏の方の一括表示には特になかったわけです。したがって、それができるようになったということですから、本県のワカメのブランド維持を図っていくためにも、あるいは全国的に広めていくためにも、その辺をちゃんと指導して優位に活用していきたいと考えております。
 SRSVにつきましては、これはウイルスの特徴としまして、人体の腸でしか増殖できないという特徴がございます。したがって、起源が人体ということが大きいものですから、どうしてもそういった排水の対策をとっていかないとなかなか難しい面がありますので、庁内にも排水対策の会議がございますので、そういったところとも十分連携をとりながら、あるいは漁業団体、市町村等とも連携をとりながら努めてまいりたいと思います。

〇藤原良信委員 岩手県の1次産業の振興のために林業水産部が取り組んでおられますことに心からその労を多としたいと思っております。
 私は、予算に関する説明書の190ページ、海面養殖業振興対策事業費等に関連いたしまして、ただいまワカメのことが質疑で出ましたけれども、このワカメ問題、イワガキ等を含めまして質問させていただきたいと思います。
 岩手県は食料供給基地ということで、農畜産物、水産物、これは双璧でございまして、1次産業の主たる県であろうと思っております。これを振興させていくことは極めて重要であって、県民所得の向上に大きくつながるわけでございますが、特にもワカメにつきましては、生産量が飛び抜けているわけなんです。第1級で第1位でございます。岩手県と宮城県で優に75%を生産している。日本の75%を生産しているということは大変な生産量なんですね。そのうち岩手県が宮城県の倍も生産しているということでございまして、岩手県にとっては主力水産物でございます。ただ、今議会で私も一般質問で取り上げさせていただきましたけれども、ここ数年で急激に大きな深刻な問題になってきている。その原因としては、大量に輸入されているということに端を発しているわけですけれども、政府の取り組み姿勢について、ただいまセーフガードについてはお示しをいただきましたので、そのことについては触れません。
 さきに漁業団体が、岩手県の県漁連を中心にいたしまして中国側の現地に参りまして協議をしたと聞いております。そのことについて把握しておればお示しいただきたいと思います。
 それから、ワカメに関しての2点目ですけれども、第1位の生産県である岩手県に製品として中国産が流通して入ってきているということを聞いております。生協にも入っている、店頭に並んでいるというんですね。そのほか、いろいろなルートで入ってきていると思いますけれども、実態を把握していく必要があろうと思いますけれども、その実態と、将来に向かっての取り組み姿勢についてお示しいただきたいと思います。これは大変大事なことだと思います。物が入っていく、出ていくというのは自由なことですけれども、大きく影響している現状の題材のものでございますので、その点についてお示しいただきたいと思います。
 セーフガードについては私どもも強力に運動していかなければならないし、政府の動向について強力に推し進めていくように行動しなければなりませんが、一方で、輸入に対抗する足腰の強い漁業への構造改革調整といいますか、対策が必要だと思うんです。我が県の水産漁業者にとりましても、みずから足腰の強い体制をつくっていくという姿勢がこの際望まれていくと思います。そういう意味で、漁業者としては連携した取り組みが必要になってくると思いますが、岩手県としてこの点についてはどういう考え方を持っておられますか。190ページに予算計上されておりますけれども、平成13年度の予算にある海面養殖業の振興対策事業ということで、この対策にも盛り込んでおられると思いますけれども、これ以上の積極的な取り組みが望まれると思います。その姿勢についてお示しいただきたいと思います。まずもってこれが第1点。
 それから、イワガキについてですけれども、これは今度新たに計上された分野ですけれども、岩手県の産物のブランド化を図っていくということで、イワガキを岩手県で市場に送り出してやる大きな第一歩になるだろうと思います。そういう意味で新たな事業費を計上しているということで、大変喜ばしいことでございます。この進捗状況についてお示しいただきたいと思います。
 それから、大船渡市が魚市場を今度改築する予定でございます。これは岩手県が直接事業主体ではございませんけれども、補助事業ということで岩手県も関係してまいります。指導体制にも入ってくると思いますけれども、私は、見解といたしましては、ハセップの強化といったら滅菌だと思うんです。殺菌より滅菌。これを体制整備していくことが一般市場に大変力強いものになるだろうと思います。上村課長もヨーロッパに行ってこられたと思いますけれども、欧米では、製品を見ないでも、ハセップの体制整備をしていたところの格によって売買が申し込まれる。とにかく強力な売り上げになっていくということのようでございます。特にアメリカがそうなんですね。殺菌よりも滅菌体制を敷いたところのハセップの体制整備の市場あるいは工場、これは流通が非常に力強く動き出します。したがって、日本全国の魚市場で滅菌体制のところは余りないと思いますけれども、どういうところがあるか把握されておりますか。そして、日本でそういう滅菌体制の魚市場が余りないということは、市場をつくってしまうと数十年つくり変えというのは難しいと思いますけれども、仮に岩手県の大船渡で滅菌体制の魚市場を建設するということになりますと、非常にインパクトをオールジャパンに与えると思います。そういう意味での県としてのスタンスをお示しいただきたいと思います。
 4点目、私はこれは通告しておりません。予算に関する説明書の195ページ、漁港漁場整備費の中の漁港集落環境整備事業で、これも新たに出された事業ですが、県代行が1カ所出ておりますね。千葉課長が課長補佐時代に私もかなり主張してきました。沿岸地域の下水道の整備率というのは内陸と比べるとかなり低いんですね。本当に数%という形でございまして、海面の生産向上をする上で、家庭の集落排水の整備というのは第1番目の要件になってくると主張してまいりました。県代行ということで主張してきたんですが、今回初めて県代行を制度として取り入れてもらいました。今後、この集落排水等の整備のために、県代行、新たにつくった制度ですが、この取り組み姿勢について、将来の見通し等を含めまして、この進め方について、当然ふやしていこうと思っていると思いますけれども、その取り組み姿勢について、この際千葉課長から見解をお披瀝いただきたいと思います。

〇本山林業水産部長 まず、ワカメについてでございますが、本県では今、委員御指摘のとおり、3万トン程度を毎年生産しておるところでございますが、広く国内流通におきまして2万トンを超える塩蔵ワカメを初めとする外国産ワカメと競合する、そういうことで本当に大変になっております。そういう意味で、流通実態の把握につきましては、国内市場における競合の状態、それから、対策にもかかわりますが、良質な三陸ブランドを維持していく、その両面から流通実態を把握するということは極めて重要だろうと考えております。このため、今後、ワカメの品質表示につきまして、体制がいろいろまた出てまいりますので、そういう所管部局とも連携をとりながら、個々の企業における複雑な事情というのもございまして困難もあるかと思いますけれども、できるだけ県内における実態把握に努めていくということで体制をつくっていきたいと考えております。
 また、JAS法に基づく原産地表示制度が年度早々敷かれますので、ブランドの維持ということでも積極的に対応してまいりたいと考えておるところでございます。
 それから、ワカメ生産の構造改善という面でございますが、やはり、今、市場競争力を高めていくという観点において、経営基盤の強化と販路の拡大、この2点が大事だろうと思っております。経営基盤ということになりますと、やはり作業の協業化ですとか、機械化──今、一部で開発を進めておりますけれども──、また、生産者と加工業者と一体となった処理加工体制というものもつくっていく必要があるだろうと思っておりますし、販路につきましては、ブランド化、また、IT活用によりまして、関係団体、関係者と一体となりまして強力に進めてまいりたいと考えております。
 そのほかのことにつきましては担当課長から御説明申し上げます。

〇上村水産振興課長 第1点のワカメの関係で、漁業団体が中国と協議したということですけれども、その内容につきまして聞いている範囲でお答えいたします。
 去る3月5日、岩手県漁連、宮城県漁連及び全漁連による合同訪中団──団長は岩手県の金澤県漁連会長ですけれども──が中国の大連を訪問しまして、急増するワカメ輸入問題について協議しました。その結果、大連わかめ協会との間には4点ほどにおいて合意がなされ、署名を交わすことができました。その内容につきましては、今後とも相互理解を図り、協議していくといった趣旨のことが主なんですけれども、今後、中国側の窓口としましては、我が国のジェトロに当たるんだそうですけれども、中国食品土畜輸出商会が窓口になって日本側と会合を持つということになっております。日本側は、早期に会合を持つように要請しているところであります。
 それから、イワガキの養殖につきましては既に試験的にやっておりまして、岩手県栽培漁業協会──大船渡にありますけれども──そこでは試験的に養殖用種苗をとっておりまして、とった種につきましては県下21の漁協に配付して、漁業者が、今、養殖試験を実施しております。と同時に、まだまだ解決すべき問題がありますので、来年度予算で新規事業として計上しているわけです。その内容につきましては、イワガキの生態等の基礎的な知見の解明あるいは種苗を安定して大量に生産して供給する技術の確立とか、あるいは養殖技術の普及指導、出荷販売等の推進体制の整備ということがございます。こういった内容について、13年度、水産技術センターを中心に研究していくことになっております。
 イワガキにつきましては夏場の出荷が可能でありますし、漁業界も大変厳しい状況にありますから、こういった技術を早期に確立しまして普及に努めてまいりたいと考えております。
 それから、大船渡市場の海水の滅菌装置なんですけれども、実は私ども、滅菌による処理を行っているところを全国的に探したんですけれども、境港港でそういった言葉を使っているというんですけれども、正確に言いますと滅菌ということではないらしいんです。あそこが殺菌より滅菌に持っていこうという背景には、大変市場の前の水が汚れているということで、そういったことから、願わくはそのシステムに持っていこうということでやっているそうです。
 滅菌につきましては、御存じのとおり、缶詰とかレトルト食品、殺菌するときに使う高圧高熱あるいは薬品による問題がありますけれども、何せ市場というのは生ものを扱うところですから、大変熱に弱い水産物ですから、あるいは薬品に弱い水産物ですから、そこら辺気をつけないとうまくないことがありますけれども、いずれ県としましては、昨年度、岩手県産地市場衛生高度化指針というものをつくりました。それに基づいて、徐々に段階的にハセップに持っていこうという考え方であります。当面は、市場の水については10゚C以下あるいは腸炎ビブリオ菌が100以下ということで進めていきたいと考えております。ハセップ化ですから行く行くはそういった体制に持っていかなければならないわけですけれども、当面はそういった段階ということであります。

〇千葉漁港漁村課長 漁業集落関係の将来見通しということでございますが、委員御承知のとおり、県の中でも沿岸地域は特に下水の処理率がおくれておりまして、中でも漁村部はさらにおくれております。これを推進するために何とか県代行等でできないかということで、これまでも数年前から国に要望し続けてまいりましたが、13年度の政府予算におきまして代行制度ということで一部認められたわけです。これは、道路とかほかの農業集落排水事業とか、そういったものと横並びの関係がございまして、あくまでも過疎地域に限ったことで認められたものですから、沿岸14市町村のうち、この過疎の適用になるのが田野畑村、岩泉町、田老町の3地区だけでございました。その中でも、行政人口が8、000人を超える町村はだめということになりますと岩泉町が外れた。それから、残る2町村でございますが、その中でも県が代行するんだから余り小規模なものはだめということで、やはりこれも1処理区が500人以上と。漁村部は500人以上のまとまった処理区がなかなか難しいものですから、この制度を活用したとしても一、二地区ぐらいしか該当にならないだろうということで、私どもは過疎地域に限定してくれと言ったのではなくて県の代行制度をお願いしたわけですが、ほかの事業との並びで過疎地域に限定されたと、こういうことでございます。今後につきましては、私の考えとしては、この地域の拡大をまた声を大にして国の方に働きかけてまいりたいと、そのように考えております。
 それから、将来見通しということでございますが、県の下水道の適正処理構想の中では、平成22年には県下80%となりますが、漁村部はそのうちで63%までは上がると。現在の11%から見ますとわずか10年で大幅に向上すると。これを担保していくためにもさまざまな支援が必要だろうと考えております。

〇藤原良信委員 その63%にするためには、今の漁業集落排水というのは制度的にクリアしなければならないことがたくさんあろうと思いますので、私どもも一体となってこれに取り組んでいきたいと思っております。改めてファイトがわいてきましたので、よろしくお願いいたします。
 それから、中国産のワカメに関してですけれども、一例でいきますと、1次産品で似たようなものにシイタケがございます。これは林業水産部ですから例として出します。シイタケで、大分県に視察に行ってまいりました。大分県の現場も見せていただいたんです。シイタケは岩手県が天皇賞をとったりしておりますけれども、日本の中でも、大分県産として東京のデパートで贈答品で売られている3段重ねの、上が実は岩手県産だということ等もお聞きしております。実態もそのようでございます。日本国内でもそうでありまして、大分県で言っておりましたけれども、中国産の乾燥シイタケが入ってきて、3分の1程度日本産をまぜてしまうと、もうわからないというんですね。加工しますと中国産のシイタケがわからないと言っていました。
 それで、中国産のワカメを乾燥してカットワカメにして加工品にしますと、中国産か日本産かというのは非常に見分けが難しいのではないかということを専門的な方々からお聞きしております。よって、第1級の生産県であります、大変主流を占めている岩手県の産物が、大量にそういう加工品が入ってきた場合、加工品として使われて、岩手県産だといって中国産のものにかえてやられたら、見分けがつかないと大変な被害があると思うんです。これらの実態を把握していくということは極めて対策として必要だと思います。これらについて、取り組みをどうされていきますか、このことについて考え方をお示しいただきたい。

〇上村水産振興課長 私も2度ほど行って見てきたんですけれども、正直申し上げて、中国産のワカメもだんだん品質がよくなってきております。したがって、消費者が見た場合は、袋の中に入っている場合、特にカットワカメについてはわからない場合があります。ただ、あけてみますと、やはり岩手県産のものについては肉厚で濃緑だということがありますので、専門家が見ればわかりますけれども、一般消費者が見るとわからない面があります。したがって、それを客観的にわかるようなことが大事だと思いまして、今、水産技術センターの方で、岩手県産ワカメの特徴を出すような、例えば歯ごたえがいいというんですけれども、じゃ、歯ごたえをどう数字であらわすかといったことも、今、盛んにやっております。さらに成分等の分析等についてもやっておりますし、そういったことで、ただ単に表示で岩手県産ワカメということではなくて、客観的に岩手県産ワカメはこういった点で違うということを含めてこれからPR等に努めていきたいと思っております。いずれ大変な問題ですから、数字で示せるような努力をしていきたいと思います。

〇藤原良信委員 私が申し上げたのは、把握をしていくことが必要だと思うんです。そういう意味で、それに取り組んでいただきたいと思います。中国産のやつが加工品になってしまって袋詰めにされて岩手県産と上に名前がついてもそれが一般の人にはわからないということなんです、今おっしゃるように。ですから、そういう可能性は極めて大である。シイタケではもう例があるということで、シイタケもワカメもこれは同じでございまして、現にシイタケはかなり前から先んじてそういうことでやられておりますので、そういうことをひとつ調べていただきたいと思います。
 これは確認ですけれども、それは林業水産部としてお取り組みいただきたいと思うんですが、いかがでございましょうか、その姿勢だけ。

〇本山林業水産部長 先ほども申し上げましたように、私どもとしましてもブランドの維持というのは極めて重要なことだと思っております。私どもが関係部局と連絡をとりながら取り組んでまいりたいと思います。

〇伊藤勢至委員 ワカメに関連をして1点お伺いをいたしたいと思います。
 まず最初に、答弁の中で藤原良信委員の質問に対しての部長の答弁でありましたが、中国からの輸入量については詳しく把握していないところでございますというような大変のんきな答弁でございました。今は県産品の総量が2万3、000トン、2万5、000トンとおっしゃいましたが、私が聞くところによりますと、国内生産のワカメは7万5、000トンぐらい、それで中国を初め韓国からの輸入量は15万4、000トンと聞いております。つまり、国内産のワカメの倍以上が中国、韓国から入ってくるという数字を伺っておりますが、部長の現状認識がちょっと違うのではないかと思いますが、中国の林業水産部長ならいざ知らず、岩手県の林業水産部長であれば正しい数字をお示しするべきだと思いますし、第一線で困っているワカメ養殖漁家があす首をつるかもしれないという深刻な時期に、その対抗馬である中国から入ってくる数量を知らないというのは大変不安な答弁と思っておりますが、いかがでしょうか。

〇本山林業水産部長 私が先ほど申し上げました数字は、本県産のワカメが大体毎年3万トン前後であるということと、それから塩蔵ワカメが2万トンを超えて入ってきているということでございまして、このほかに乾燥ワカメが入ってきておりまして、乾燥ワカメを原藻換算すると相当の量になるということでございますが、私が先ほど引用いたしましたのは塩蔵ワカメのベースでございます。

〇伊藤勢至委員 先ほどの上村課長の答弁の中に、県産ワカメの歯ごたえ云々という部分がございました。これは、県の水産技術センターで大変すばらしい研究が起こされているようで、3月17日の読売に発表になっておりました。つまり、今までは見た目とかそういった部分に頼らざるを得なかったんでありますが、中国産のワカメ、塩蔵あるいは乾燥ワカメ、あるいは国内産のワカメを水に戻して張った状態で圧力をかけると、県産ワカメは塩蔵であってもカットワカメであっても、水に戻してやった場合800グラムの付加をかけないと突き抜けないと。ところが、中国産のものですと300グラムで突き抜けてしまうと。つまり、身がかたくてしまっている、したがって歯ごたえがいいという部分の研究なんだと思っております。大変すばらしい部分だと思いますが、ただこういう部分をどう表示してアピールしていくかという部分に今度はかかってくるのか、中国産はキロ100円で入ってくるとも聞いておりますし、県内では400円を切るともう経営が成り立たないんじゃないかと言われております。しかし、購入をする一般消費者は400円の県産と100円の中国産で味、栄養価が変わりないとすれば、これはなかなか愛国心、愛県心があったとしても難しい部分だと思うわけであります。今、大手の食品メーカーが出しております例えばワカメ入りラーメンとか、あるいはワカメスープとか、それらはいずれも三陸のものを使ったとなっているんでありますが、現状はほとんどが中国産ではないかと言われているわけであります。先般、警察の審議の際にも伺いましたが、KSDが本県から60万セットのカットワカメを購入したと言われておりますが、県内の漁協のカットワカメの加工等を見ますと、そういう動きが見えないのであります、数量的に。したがって、これはほとんどが中国産に化けているんではないかという疑いといいますか、この専門家の中では声も上がっており、現実そうであります。そういう部分をどのようにアピールをして検証しながら、例えば800グラムの付加をかけないと突き抜けない三陸産のワカメですよと、こういう表示をいかにして消費者にアピールをしていく部分が大事かということになるんだと思いますが、それについての見解をお示しいただきたい。

〇上村水産振興課長 確かにそのとおりだと思います。今、歯ごたえ、それから成分も水産技術センター等で研究しておりますけれども、やっとああいう方法がわかったということで、これからの問題でありますけれども、いずれそういったことを今度は加工品についても原産表示が義務づけられますけれども、あわせて例えば岩手県から出るワカメにつきましては、そういった歯ごたえについてはこう違うとか、あるいは成分についてはこう違うとか、あるいはなぜ外国のものに比べて高いのか等々の説明を加えた上でPRしていく必要があると思います。そのためには、やはり業界と一体となってやらなきゃなりませんので、漁期が終わりましたら県漁連と私どもでワカメ振興フォーラムを共催して、そこでできるものから具現化していくといったことをしていきたいと思います。いずれこのままでは大変な状況になりますので、できるものからやっていくという姿勢でいきたいと思っています。

〇長谷川忠久委員 ワカメについてでございますけれども、農林水産省がセーフガードの発動に対して準備を始めたということ、大変うれしく思っておるわけでございます。ただ、私は対中国であるとか対外国の問題だけでなく、国内問題も多分にこのワカメ問題が絡んでくるんではなかろうかと、実は思っておるわけでございます。私もよくわかりませんけれども、ワカメの最盛期でございますから、きのうワカメの漁民の方々とお話申し上げたところでありますが、その中に中国産という表示があるんですが、その下に種三陸と書いてあるんだそうですね。その三陸種で中国産だという表示をされたワカメがかなり出回っているということでございまして、多分そのR社ではなかろうかと思うわけでございますけれども、そういう商売の仕方はやはりワカメ生産者と何らかの合意に達することができるような、そういう話し合いは私はできるんではなかろうかと思っておりまして、岩手産あるいは三陸産のワカメを他のワカメと区別するために大変重要なことではなかろうかと思うわけでございまして、対中国だけでなく国内問題としてのワカメ対策も当然のこととして私は力を入れていかなければならないと思うんでございますが、お考えをお伺いいたしたいと思います。

〇上村水産振興課長 ちょうど中国のワカメの生産地が渤海といいまして、大連の北緯40度線の渤海の周辺なんです。したがって、その周辺というのは三陸と全く気候が似てまして、そういったことからこちらの種も合うということで持っていっていると考えております。したがって、そういったことで今後ともワカメ初めその他の水産物についても、中国と渤海周辺は大変脅威なわけなんでして、そういったことから産地では漁業団体も含めてこのままじゃやっていけないということから、やはり対抗するためには産地での生産から加工、消費まで一体となった体制を組む必要があるんじゃないかといったことも今議論されております。特に、本年度は本県の北から南、6グループほど渤海周辺に視察に行っております。したがって、勉強してから対応を考えております。国内でもそれなりに対応しなければならないんですけれども、特に県内におきましてそういった対応策を一体となってやるべきじゃないかと思ってますので、今後とも普及団体、市町村含めて研究して努めてまいりたいと考えております。

〇岩城明委員 それでは1点だけお伺いをいたします。アユの資源造成についてお伺いしたいと思います。
 今年度のアユ漁は県内各河川等も豊漁に恵まれまして、うちの方の管内河川においても連日多くの釣り人が見られたところでございます。これは県において岩手県産アユ資源造成事業を推進するため、秋田県から海産アユの卵を購入し、本県河川に放流するアユを琵琶湖産から海産系種苗に切りかえてきたためと聞いております。うちの方の管内の下安家漁業協同組合におきましても、優良なアユ資源を造成するため、平成12年度におきまして内水面環境活用総合対策事業でアユの中間育成施設を整備し、中間育成を行っているところであり、今後の漁獲量の増大を期待しているところであります。しかしながら、県の取り組み状況も高く評価をいたしておりますけれども、一言注文をつけさせていただきます。
 岩手にも天然遡上のアユがありますし、本県河川には岩手県の自然環境にはぐくまれた、そして岩手の香りを持ったアユを放流することが、本来の意味での岩手県産アユの資源の造成だと思っております。そこで県として、今後アユ資源の造成につきまして、どのように推進していかれるのかお考えをお伺いいたします。

〇上村水産振興課長 県といたしましては、平成11年度から13年度まで3カ年計画で岩手産アユ資源造成事業を実施しております。これによって、本県の河川に適合した海産系アユ資源の造成を図ることとしております。事業の内容としましては、種苗生産技術の確立もさることながら、委員おっしゃるとおり本県由来の種苗を生産するため、遺伝子解析による本県固有のアユの把握を行っております。こういったことで今までの成果もありますけれども、昨年度は御存じのように、近来まれに見る川での放流があったわけですけれども、今、委員おっしゃるような本県固有のアユにつきましては、平成12年度から内水面水産技術センターにおいて、沿岸の5河川に天然遡上するアユの遺伝子解析を行っております。その中で、本県河川に見合ったアユを把握することにしております。こういったことがわかれば種苗生産技術ができるわけですので、いずれ早くそういった本県由来の固有のアユをとらえて、本県の自然環境に合ったアユの資源造成に努めてまいりたいと考えております。

〇岩城明委員 ありがとうございました。大きく期待をしたいと思います。いずれ、今の上村課長がおっしゃったように、今後とも健康で岩手県の香りを持ったアユの種苗の生産を積極的に推進されるように要望しまして、終わります。

〇谷藤裕明委員 2点についてお伺いをいたしたいと思います。
 まず、今回の組織再編ということで農政部と統合するということですけれども、林業水産部としてどういうふうにこの問題を考えているかという部分についてお聞かせいただきたいわけですけれども、まず、規模が全体として大きくなっていくというのは、業務効率が低下するという部分にもつながるという、国の方の省庁再編のときにもいろいろ指摘されている部分もあるわけですけれども、その辺についての考え方。それから、どうしても縄張り意識というのはそれぞれの専門分野の方々ですから出てくるんじゃないかという部分の心配もありますし、それから融資補助金とか融資制度さまざまあると思いますけれども、これらの整理合理化というんですか、類似しているものというのはそれぞれあるんだろうと思いますけれども、その辺のものというのは何か新たに変わった部分というのを考えておるものがあるのかどうか──一つになることによってですね。
 それから、このことによって行政コストというのは現実として削減されるということになっていく再編なのかどうかという部分があるとすれば、その辺についてお聞かせをいただきたいし、それから林業水産部として統合することによって、今までよりもメリットがあるというものがあるとすれば、それをお聞かせいただきたいと思います。
 もう一つ、次に林道関係についてお聞かせをいただきたいんですけれども、新規の問題で不採択になっている林道が出てますけれども、これはB/Cの評価の上でそうなっているんだろうと思います。理由を見てみると、局部的にはのり面崩壊が発生しているが通行に支障がなく、全体的には適正な維持管理で実施しており、緊急性が低いため不採択とするという理由が出ている部分があったように思いますけれども、もともと林道の果たしていく役割というか、それについては間伐作業とか林業の振興とかにつながっていく部分が非常に大きいとは思います。もう一つ、この中で評価として忘れている部分というのがあるんじゃないかと思うのは、災害とか何か本来の道路の中で緊急事態が発生したとか、そういうときの代替道路としての役割も林道というものは果たしてきている部分があるんじゃないのかなと思うんですけれども、そういう視点での評価というものをしてこなかったんじゃないのかなと感じるわけですけれども、その辺についての考え方をお聞かせいただきたい。

〇本山林業水産部長 部局再編についての私どもの考え方ということでございますけれども、仕事が遅くなるということがないように事業実行にかかりますようなものにつきましては、林務局長、水産局長を設けることにしておりますので、局長に先決権限をできるだけおろす形で即断即決ができていくようにということで、効率が低下したり、妥協による弊害が起きるということのないように努力してまいりたいと考えておるところでございます。
 それから、縄張り意識で合理化みたいなということでございますけれども、流通課とそれから森林組合、漁協というものの指導につきましては団体指導課ができることでございまして、そういうところに係るものにつきましては、統合といいますか、整理される予算も一部はあるかと思いますけれども、林業3課、水産2課というところに係る予算そのものについては、13年度予算では大きな見直しは入っていないと私は認識いたしております。
 それから、全体としての行政コストということでございますが、これは農林水産部だけではなくて、恐らく県全体の取り組みの中で実現していくことだと思いますのでそういう考え方でございまして、あと私どもの固有のメリットということでございますが、例えばということで考えますと、何といいましてもやはり流通という関係でいいますと、農産物の流通ロットが大きいとか多様な手法がとられているという実績に照らせば、私どもの木材にしろ、シイタケ、ワサビそういうものも、それから水産物にしてもやはりそういうところとマッチングさせて手段を勉強しながら、適用しながらやっていくという林業・水産業の側のメリットがあるだろうとも思っておりますし、それからもっと即物的な面で申しますと、農業施設等への木材利用も使われていくんじゃないかなということで、私どもも頑張っていきたいと考えておるところでございます。
 あとのことにつきましては、課長から答弁申し上げます。

〇盛合森林土木課長 林道の新規路線の不採択のことについてでございますが、林道の役割には代替道路としての役割も当然のことながらあるわけでございます。代替道路の評価につきましては、費用便益計算──B/Cでございますが──その中の一つの項目に災害時の迂回路などを確保効果として算定されてございます。なお、平成13年度の林道事業といたしまして採択されなかった路線の中には、当該迂回路としての評価が可能なものもございましたが、その中におきましては接続道路が狭いと、奥に4メーターをつくるのに手前道路が3メーターしかなくて、そういう理由のために不採択になったものもございますし、林道改良工事の申請があったわけでございますが、局部的なのり面崩壊が発生しておりまして、そこの町村におきましては維持管理が適正になされておりまして、緊急性が低いという考え方から不採択としたところでございます。

〇谷藤裕明委員 林道についてもそれぞれに評価した結果としてそうなっているんだろうと思いますけれども、今後またいろんなところでも採用してほしいということでいろんな地域が出てくるんだろうと思いますけれども、その時点でも災害時も含めて代替道路としての活用ができるという部分もにらみながらの判断をぜひしていっていただきたいなと思います。
 それから、先ほどメリットという部分の中に入るんでしょうけれども、林業振興に非常に有意義だと思いますけれども、農業土木とかいろんな分野に、今までは部局横断型で連携をとるという部分が一つになるわけですから、そういうところにぜひ木材の振興という部分が加わり、いろいろ林業技術センターとかで研究も進んでいるだろうと思いますけれども、そういう部分にぜひ一つの部になったことを生かしながら活用策を推し進めていただきたいと思います。

〇及川幸子委員 御指名いただきまして、委員長ありがとうございます。少し長目にやらせていただきます。
 部長御説明の木材産業振興対策事業費の中で、木造住宅の促進とか、学校では木製机の促進とか、それから木の香る学校づくりの中では、学校給食での木のお椀を進めていかれるということですが、将来を担う子供たちにこそ、木のよさや環境保全に果たす木材利用の重要性などを教育していく必要があるというところから御質問いたしますが、子供たちが学校の中でどのくらいそういう木材に触れているのかと、私、方々視察の中で歩かせていただいておりますが、地元の黒石小学校がこの間落成されまして訪れました。ホールには地元の方から寄贈いただいた大きな大木が備えつけられて、まさに子供たちに木の温もりを触れさせるいい事業をなされているということで見てきたわけですが、今後、どのように事業費の中で学校づくりの木材振興ということで取り組まれているのかを具体的にお示しいただきたいと思います。それから学校給食の中で、私以前から給食食器はなかなか洗浄の点で難しいということを伺っておりましたが、子供たちが使うはし、今はもちろんフォークとかスプーンで、大学生でもはしが十分に使えない子供たちが多いと見ております。私の孫も1歳半で木製のはしを上手に使うことができました。プラスチック製のアニメ入りの子供たちが大変喜ぶはしは、全く物がつかめない状態です。やはり、子供たちにはああいう木製のはしを使わせて普及していくことが大変重要だと考えておりますが、答えはわかっております。洗浄が大変なので木製はひどいということですが、子供たちにこそ学校給食が終わった後で、自分で洗わせて自分ではし箱に保管させる、それも木材の振興に大変重要なことであるんじゃないかと思っております。その点が一つでございます。それから、今度私たち女性、特に主婦層が待望しておりました木製トレーが──県内の久慈ですが──大規模な木製トレーの生産を国内初めて生産するという会社が発表されておりました。これは久慈地区などに生産するアカマツ、カラマツなどの間伐材を十分に利用した事業だということで、私たち主婦層も台所に立ちながら本当に木製トレーの必要性を考えるわけです。燃えないごみの処理というのは大変なことでございまして、プラスチック製のトレーは洗って、油があれば洗剤で落とす、その手間が大変なわけでございまして、過剰包装の中で本当に多くのトレーがたまって、男性の方々も台所に立たれる方もいら

〇本山林業水産部長 それではお答えしますが、今の委員から御質問いただきましたとおり、お子さんたち、また、家庭の奥様方に木材を身近に感じていただくということを大変私うれしく思っていることでございまして、私どももできるだけ施策を進めてまいりたいと考えておるところでございます。その中で、特に木製トレーにつきましては、林業構造改善事業によりまして御指摘ございましたように、アカマツ、カラマツを使うということでやってきたわけでございますが、しばらく機器の整備の点等で少し時間かかっておりましたが、大体年度初めから本格生産に入れるという具体的な見込みができてまいりました。私どもといたしましても、これまでも地方振興局の地域活性化事業調整費や県の事業でマーケティング調査なんかをしてきておりますし、これからも関係団体ですとか久慈市とも十分連携とりまして、その販路の拡大にできる御支援を申し上げるという形で進めてまいりたいと考えておるところでございます。
 あと学校関係につきましては、課長の方からお答え申し上げます。

〇伊藤木材振興課長 それでは、学校の木造化あるいは木製の机・いす等の質問にお答えいたします。
 木材の需要拡大を図る上からも、子供たちに木の持つ温かさや柔らかさといったものを──さまざまな特性を持っているわけですけれども──それを肌で感じていただくということは非常に重要ではないかと考えております。このため、学校施設につきましては、市町村等にモデル的な木造事例集の配付あるいは木材を活用した学校施設に関する講習会というものが文部科学省主催で開催されておりますので、そういったところへの参加要請等を通じまして木造化の促進を図っているところでございますし、また、遠野市等におきましては、計画的に木造校舎の建設が進められていると聞いております。これまで学校関係の木造校舎といいますのは、平成10年から12年度までの実績ということになるわけですが25棟ございますし、また、最近は県立高校等でセミナーハウス等の教育関連施設の木造化ということで、そういった児童生徒の触れ合う場に木造施設ができてございます。平成13年度には弓道場等も含めて7棟を予定されているということでございます。
 それから、木製の机・いす等でございますけれども、これらの導入を促進するということで県単独補助事業を創設いたしまして進めておりますし、また、工業技術センターと連携を図りながら間伐材を利用した木製の机・いすの開発に今年度取り組んでおります。木製の机・いすの補助事業の実績でございますけれども、平成11年度から12年までの実績でございますが、机が12校で1、329台、それから、いすが13校で1、459脚となっております。平成13年度の計画でございますが、机・いすのセットで11校、785セットが一応今見込まれてございます。先ほどはしの問題もございましたけれども、県下で浄法寺町あるいは大野村におきまして木製食器等を使われてございますので、こういったものにつきましても県の補助事業の中で取り組んでまいりたいと思います。

〇佐々木大和委員 林業は、それこそ百年の大計をもって取り組む事業と言われておりますが、ちょうど世紀も変わりまして新しい取り組みに入る岩手県の林業であります。私どものこの岩手県はまさに北海道に次ぐ森林県と言われておりますが、奥羽山系、北上山系の地質や特異な気象によって、特徴ある森林形態が創造されていると思います。しかしながら、最近のこの林業関係の現況は、国内総需要に対する外材の占める割合が8割以上となりまして、大変厳しい状況を呈しております。当初、昭和35年ごろのようですけれども、戦後の復興期に必要な木材を輸入するということで始まった木材輸入も、やはり経済活動とすればマイナスになることはありませんで、徐々に伸びて8割以上になりまして、まさに主導権は外材が握るという状況になってしまいました。そういう中で今岩手県は、特にもこの森林造成について新しい取り組みをしていかなければならないという状況にあるわけでございますが、この3年間担当をされました本山林業部長にそこについてお伺いをしたいと思います。
 森林造成につきましても、山の、言うなれば都市計画ともいうべき用途地域の指定と同じように公益性の高い水源林や保安林、そして、また木材生産に向けるべき経済林という形で分けられているわけですけれども、そういう中で特にも国土保全に関係してまいります保安林や水源林、海の方に行きますと魚つき保安林等もありますが、土砂崩壊、そういうところの公益性の高い森林造成につきましてはどういう事業方式がいいのか、ひとつどんな方法で進めるのがいいのか、方向と方針を示していただきたいと思います。
 それから、経済林というべき木材生産に対する山につきましては、この長伐期施業等々を求められておりますけれども、特にも本県はアカマツが県の木でございますが、杉、カラマツ等とこれからの対策が必要であります。特に、間伐が今緊急間伐として進められておりますが、これらの針葉樹林のこれからの対策、そして、またもう一方では、6割に及ぶような広葉樹林があります。この広葉樹林の対策はどうやっていくべきかということで、大きく言いますと三つの方法がある気がしますが、これらにつきまして本山部長から見解を求めたいと思います。

〇本山林業水産部長 森林整備の今後の方向でございますが、森林整備に対する県民の要請は冒頭申し上げましたとおり、今までの拡大造林を主体とした森林資源の充実という面から、多面的な機能を持続的に発揮していくというふうに県民の要請は変わってきているだろうと認識いたしておるところでございます。11年に策定いたしました私どもの林業基本計画におきましても、そういう意味で木材生産とともに公益的機能の高度発揮を図るという、両々相まった森林整備をこれからやっていくことが大事だという方向をお示し申し上げたところでございます。
 こういう中で今、国におきましては、既に国有林ではなされつつあるところでございますが、民有林におきましても重視すべき機能に応じた森林の機能区分──ゾーニングと言われておりますが──これを進めて、それぞれの機能に応じた助成体系を整備していくということでの林業基本法、また森林法の改正というものが今準備されておるように聞いております。先ほどのお話で考えますと、やはり今の私どもの事業の体系で考えると、公益性の高いものから順番に申し上げれば、まず荒廃林に対する治山事業、それから、それに準ずる水源地域の整備ということで緑資源公団の水源林造成事業、さらに一般の森林所有者がみずから行う造林事業という大きな体系があるかと思っております。そういう意味で、これからも公益性の必要性、また県土保全の必要性という地域地域の状況に応じまして、こういう事業体系をそれぞれ適するところに応用していくことが大事だろうと考えております。いずれにいたしましても、今後とも自然的条件、社会的条件を反映しながらの適切な森林整備を推進してまいりたいと考えております。
 あと針葉樹、広葉樹、保安林の具体的な中身につきましては、担当課長から御説明申し上げたいと存じます。

〇盛合森林土木課長 水源林等の保安林における森林の造成についてでございますが、保安林は委員御承知のとおり、森林の持つ公益的機能を高度に発揮する観点からも、適正な森林として整備されることが重要となっております。このため、治山事業では、災害等による荒廃地や保安機能の低下している森林で、緊急に機能回復を図る必要がある箇所におきましては、治山ダム等とあわせまして森林造成を行い、災害の防止に努めているところでございます。また、緑資源公団におきましては、水源涵養機能の回復を図るため、重要な河川の流域内の未立木地や粗悪林などとなっております水源涵養保安林などに水源林造成事業を行い、良質な水の供給等に寄与してございます。今後とも、保安機能の維持増進を高めるため、森林の造成及び森林の整備を推進いたしまして、緑豊かな県土の保全に努めてまいりたいと考えております。

〇塩井緑化推進課長 杉の針葉樹林の見通しと対策についてということでありますが、本県の針葉樹資源は、杉、アカマツ、カラマツ等の多様な樹種に恵まれておりますが、林齢構成に大きな偏りが見られますことから、将来にわたり安定的、持続的な森林経営を実現するためには、国が13年度から新たに取り組みます抜き伐りを繰り返します長期育成循環施業の推進により、長伐期化や複層林化を含めた計画的な森林整備を進めることが重要なことと存じております。
 例えば杉ですが、通常伐期に比べまして長伐期の素材の単価が約1.8倍も高いという事例もありまして、経済林としての収益の増大も図られるものであります。また、さらに複層林化した場合には、森林状態の維持による公益的機能の確保や森林資源の循環利用の推進が図られるものでございます。このため、民有林の中で長伐期施業の対象地の選定に当たっては、立地条件、生育状況のよい森林及び林家の経営目標等から検討し、実施可能な箇所を選定しつつ、長期育成循環施業の導入により長伐期化・複層林化に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、広葉樹資源の対策についてでありますが、本県の平成11年度末における広葉樹資源は、面積がおよそ37万ヘクタール、蓄積がおよそ5、200万立方メートルと全国第2位の資源量となっております。この豊富な広葉樹資源を背景に、本県は家具、木工などの原材料となる広葉樹材やシイタケ原木などの生産量において、全国有数の生産県となっております。県では、これまで広葉樹造林や育成天然林施業によるコナラ、クリ、ケヤキ等の有用広葉樹の育成に努めてきたところでありますが、近年の木材加工・製品需要の変化による樹種、材種の多様化から小径材以外にも大径材の広葉樹の供給も求められております。また一方、公益的機能の発揮など広葉樹の有用性の見直しなどから、多様な広葉樹林育成の重要性が高まってきており、さらに四季の変化に富む美しい景観の保持のため、奥地のみならず里山の広葉樹の整備が必要とされてきているところでございます。
 こうしたことから、今後地域性に配慮した広葉樹林の育成を進めることとし、県北地域においては、木炭、シイタケ、家具等の原材料となるコナラ、ケヤキ等の育成、また、県内地域の松くい虫被害跡地におきましては、景観や森林機能の保全を図るため、アカマツにかわる広葉樹を造林するなど、地域特性を生かした特色ある健全な広葉樹林の整備を図ってまいりたいと考えております。

〇佐々木大和委員 この保安林の改良事業というのは非常に大事だと思いますし、さらに、治山工事等もこれからもぜひ進めていただきたいと思います。
 先般の軽米・二戸の大雨洪水被害のときにも、局地的な大雨被害ということで、あの際にも何カ所か出ているわけでございますし、人家事故にもなっております。今の気象状況からいきますとどうも局地被害が多くなってますので、そういう意味におきましては山肌を守るというか、災害を防ぐためには非常に大事な事業だと思いますので、今後ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。
 また、この針葉樹につきましては、それぞれこれから進めなければならないわけでございますけれども、特にもそういう中で生産する段階にいけばもちろんですけれども、それまでの過程の育成、手入れの段階でも大事なのは、やはりこの林道の整備だと思っております。今、そういう意味におきましては、岩手県の林道はどのような状況か示していただきたいと思いますが、特にも林道の場合に県土を縦断、横断するような大規模林道、また市町村にまたがって──言うなれば県道的な役割でしょうか──広域林道がありますが、これらにつきましては、特に山村地域の産業基盤、林業基盤の整備のほかに生活基盤の整備を目的としておると思いますし、先ほど谷藤委員から出ました代替道路としての役割も非常に大きいと思います。そういう意味で国道的な役割をする大規模林道や広域林道、これらは県においてぜひ積極的に進めていただきたいと思いますし、また、木材そのものに係わる普通林道──言うなれば町村道みたいな道路ですね──そういうところは木材の林業生産の基盤となりますので、むしろそういう認識をしっかりした形で今後の林道振興を図っていただきたいと思います。
 そこで、現在の県内の林道の状況についてお示しをいただきたいと思いますが、ヘクタール当たりの林道の敷設メーター数、そして、またこのことが他県と比較してどういう状況になっておるのか。本年度さらに100億3、500万円ほどの予算が林道費として組まれておりますけれども、これでどれぐらい伸びていくんだろうかと。できれば岩手県が将来を目標にして、この林道を十分活用して木材生産ができる状況になるのは、何メーターぐらいになったときにそれが可能で、いつごろそれができるんだろうかと。やはり長伐期にしましても、今木材の丸太で出すときの占める割合に確実に上がっていくと思われるのは、搬出費用だろうと思っております。そういう意味におきまして林道がその前段でまいりますので、林道の敷設率の向上という意味で今の数字を示していただきたい。

〇盛合森林土木課長 林道のことについてのお尋ねでございますが、11年度末の林内道路といいますか、林道密度といいますか、1ヘクタール中に5.2メーターの道路が入っております。これが林道密度ということで、これにつきましては全国平均は大体同じぐらいでございます。本年度の進捗状況の見込みでございますが、約100億円投入いたしまして50キロメートル程度の進捗になってございます。林業基本計画に定めております平成22年度までは2、000キロをほしいということで、年間約200キロを達成していかないと林業基本計画に定めております数値にはほどほど難しいと、実際のところ50キロメートルしか実施しておりませんし、年間200キロ程度やる必要がございます。そういうことから、将来的には林内道路密度、林道と市町村道も含めまして市町村道、県道、林道、作業道も含めまして我々考えておりますのは、ヘクタール当たり50メーターをほしいと考えてございます。この林内道路密度は、現在のところ15メーター程度にしかなってございません。

〇佐々木大和委員 ありがとうございました。
 今、長伐期化をして先ほど森林土木課長からお話がありましたように、いよいよ生産の時期が来ると。しかし、現状は40年代からの造林ですから30年ぐらいのはほとんどのもので、生産にいくにはどうしてもあと20年ぐらいが最盛期になるんだろうと思います。今示されましたような林道密度、今15メーターと言われましたが、50メーターまでは3倍ちょっとありますので、今のペースをどんどん上げていただきまして、あと20年後にはこの50メーターに達するように計画を示して実行していただくように要望して終わります。

〇佐藤力男委員 ただいま御専門である佐々木大和委員から、森林林業のことについては後半に質問あったわけでありますので、私は1点だけお伺いをさせていただきます。
 ただいまお話ございまして、また、冒頭に部長からも今日における林業の状況についてはお話あったところでありますので詳しくは申し上げませんけど、いずれ戦中戦後、そして、また昭和30年ころからの経済の活発化に応じて木材がどんどん切られて、その結果、国内の木材がほとんど皆裸の山になってしまったと、それを何とかしなきゃならんということで、51年ころからと思いますが造林事業が大幅に導入されて今日の森林の形成をしているわけでありますが、しかし、その結果、外材がどんどん入ってきて原木価格が低下をしていく、そして林業にかかわる皆さん方が意欲をなくしていって今日のような状況になったと、これが私は原因だと思っております。
 そこで、一つだけお伺いいたします。
 この造林事業によって農林系の公庫から金融機関、そして森林組合、そして組合員と転貸事業をしながら大幅に造林事業を行ったわけでありますが、結果、この伐期を迎える直前に償還金が来て払えなくなって、今にっちもさっちもいかないという組合がいっぱいあると聞いております。この森林組合の岩手県の現状は、まずどうなっているのかお聞かせを願いたいと思います。

〇伊藤木材振興課長 森林組合の経営状況についてお答えを申し上げたいと思います。
 平成12年度におきます県内森林組合の決算の状況を見ますと、26組合ございますが、当期剰余金を計上した組合が20組合、また、当期欠損金を計上した組合は6組合となっており、平成11年度と比較し、当期欠損金を計上した組合は4組合増加してございます。
 次に、繰越金についてみますと、剰余金を計上した組合は14組合で、その総額は1、700万円、また、累積欠損金を計上した組合は12組合で、その総額は8億100万円となり、平成11年度の決算と比較しまして1億6、000万円ほど増加しており、欠損規模が大型化するなどますます厳しい経営状況にあると認識をしております。

〇佐藤力男委員 組合の経営状況についてはそのようなことだと思います。しかし、中身についてみますと、今私が申し上げたようなことが大きく隠されているわけでありまして、こうした償還期を迎えて木を売っても借金は払えない、そういう人たちがお話されているのは、山でとってくださいと。もう5倍もの担保の価値になって借金をしているわけでありまして、それが今5分の1だと。5分の1の価格では切ってもどうにもならない、到底返せないよという結果になっていると認識をいたしておりますが、県はこうした状況にある造林事業による借金をどのような指導をなさりながら行っていこうと考えているのか。私は、このことを解決しないことには間伐はおろか、もう森林を持つことにさえも意欲を失っているという林家が多くなっているんじゃないだろうかと。ですから、新たな展開をするよりも、まず現実に抱えている大きな問題を県としては解決するという努力をなさらないと、何の施策を講じても私は岩手県の林業はよくならないと思っておりますが、いかがですか。

〇伊藤木材振興課長 森林組合の今の債務の問題等を含めまして答弁させていただきたいと思いますが、森林組合が将来的に経営改善をするということにするためには、まず、不要不急な事業の見直しが必要だと思いますし、また、多角的な事業の展開あるいは事業のコスト管理の徹底などによって収益性を高めていくということが大事かなと思います。また、組合員から信頼されるような組合経営の透明性といったことを高めるなど、総合的に取り組んでいくことが必要であり、また、平成9年の森林組合法の改正がございました。そのときに、理事、監事の役員の皆さん方の権限が評価されたということから、役員の経営責任の明確化が求められてきております。それでこのことから、県としましても常例検査あるいはコンサル担当による組合員の経営診断及び役職員研修等を通じ、系統指導機関であります森林組合連合会と連携を密にしながら、役職員の意識改革に努めてまいりたいと考えてございます。
 また、今お話ございました森林組合の問題につきましては、関係市町村の理解と協力を得ながら財務内容の改善を図り、森林組合系統と一体となって広域合併の推進等に取り組んでまいりたいと現段階で考えてございます。

〇本山林業水産部長 造林資金で大きな債務を抱えているという委員の御指摘でございます。私ども今般の議会にもお諮り申し上げております林業公社の対策も根っこは同一のものだと考えております。今までどちらかと申しますと、森林組合の事業というのは地域の中で森林所有者の皆様の協同組合として行われてきておったわけでございますけれども、今お話がございましたように、私どもも公社の問題はこういうことだと具体的に御提示申し上げたわけでございまして、これからやっぱり森林組合、単組の方の側におかれましても、今の状況をやはりきちんと世の中に説明していただくと、私どももそういうことをちゃんと系統の中から吸い上げるということで、全県的に単協それぞれの取り組みではなくて、やはり系統全体としてどう対処していくんだという取り組みをしていくことが私は極めて重要だと思っております。そういう意味におきまして、今、課長からの答弁は、どちらかといいますと単協における責任の全うという観点でございましたけれども、私はやはり系統としても全体的な取り組みを県と一体となってやっていくということが大事だと思っておりますので、県信連を初めといたしまして今のようなことにつきまして、きちんとした場を設けていきたいと考えておるところでございます。

〇佐藤力男委員 時間でございますから詳しくはやりませんが、言ってみれば我が国の林業政策の過ちが今日林家に大きな負の負債として乗っかかってきていると。私は、一方ではそういうことも言えるんじゃないだろうかと、そんなふうに思っておりますときに、この問題は今お話されたような意味合いのほかに、貸し付けた側にも債権放棄を求めるような動きもしないことには、これは絶対直らないと私はそう思っているところでございます。それから一つだけ言いますが、アカマツの虫くい対策にしても、どうも林業の行政というのは本当にこれでいいんだろうかということを繰り返しているんじゃないだろうかということも思っておりますので、本県に合った林業の推進を一層力強く行われますように要望して終わります。

〇中屋敷十委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午後11時57分 休 憩
   午後1時4分 再 開

〇佐々木一榮副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。

〇吉田昭彦委員 水産業振興にかかわりまして2点お伺いいたします。
 第1点は、本県と宮城県との知事許可漁業の操業区域問題についてでございます。
 宮城県は、知事許可漁業の操業区域の北限として陸上の県境から真東のラインを主張しておられますが、これは本県の広田半島や漁業権漁場を横断しており、明らかに不合理なラインとなっております。このことにつきましては、30年も前に宮城県に対して調整のための協議を申し入れて以来、長年の課題として提起され、取り組んでこられたわけでございまして、大変な歴史的経過をたどってきたわけであります。これらの経過を踏まえまして、平成5年に本県の主張する操業区域のラインを設定し、宮城県と協議を行ってきたところ、両県の次長間で5項目の意見の一致を見たと伺っているところであります。
 そこでお伺いいたします。その後、宮城県との対応、業界との対応などどのような状況になっておりますか、今後の対応についてどのように考えておりますかお伺いいたします。
 2点目でございますが、漁業系廃棄物の処理対策につきましてお伺いいたします。
 昨年、12月議会の一般質問で漁業系廃棄物の処理対策についてお伺いしたところでありますが、その際に、カキの生産漁家にとってカキ殻の処理が大変な問題になっておることを提起し、処理対策について伺ったところ、平成10年度から平成12年度にわたりまして、漁業系廃棄物再資源化システム開発促進事業による実証試験でもって、堆肥及びセメント原料として再利用が可能であることが確認されたようでありますが、再資源化活用のためには塩分除去などの条件整備が必要とのことでありました。
 そこでお伺いいたします。3カ年の実証試験で確認されたカキ殻の再資源化の活用方途の具現化が、カキ養殖漁家の生産意欲の向上と、築地市場で日本一のレッテルを張られております産地ブランドの発展のためにも早急な対策が必要と考えますが、どのような対処を考えておられますかお伺いいたします。

〇小笠原漁政課長 本県と宮城県との操業区域に係る問題についてでありますが、これまでの協議におきまして、実質的に4項目の合意がされております。具体的には、一つは、双方の漁業権漁場の区域内には入らないこと、二つ目は、宮城県船のサケ固定式刺し網漁業は唐桑半島から北側の海域では操業しないこと、三つ目は、沖合漁場につきましては、双方の権限が及ぶ幅を設けるよう検討すること、四つ目は、相互に入り会って行う漁業につきましては、平成6年に規制した以前の実績をもとに許可することであります。この中で、前の2項目につきましては合意しておりまして、実際に実行され、解決されております。しかし、あとの2項目につきましては解決されておりませんで、現在も引き続き協議を続けているところであります。
 しかしながら、本県の漁業者からは、両県が設定しております境界線の間の海域におきましても操業が可能であるということから、実際に操業に大きな支障はないという意見も最近強くなってきておりますので、今後は、さらに県内関係漁業者の意見集約を図った上で、引き続き宮城県と粘り強く交渉してまいりたいと考えております。

〇上村水産振興課長 漁業系廃棄物の処理対策についてお答えいたします。
 委員おっしゃっているとおり、平成10年から本年度まで漁業系廃棄物再資源化システム開発促進事業を実施してまいりました。本年度が最終年度でありますけれども、本年度、この成果を踏まえまして、漁業関係者が手元において活用できる実務マニュアルとしてまとめまして、関係者に配布する予定になっております。この中で、おっしゃっていますカキ殻の処理につきましても、このマニュアルの相当部分を割きまして触れております。そして、いろいろな資源化の方法があるわけですけれども、具体的な手順を示しております。ただ、おっしゃるとおり、やはり塩分が多いとか付着物があるとかといったことで問題も抱えておりまして、さらに運搬、収集等の具体的問題が出てきますけれども、そういった条件整備もあるわけであります。
 一方では、こういった漁業系一般廃棄物についても市町村は一般廃棄物の処理計画の中に盛り込まなければならないという整合性も出てきておりますので、今後、こういった問題多々ありますけれども、いずれ実務マニュアルができましたので、具現化に向けて、市町村あるいは漁業団体と連携を密にして取り組んでまいりたいと思っています。
 なお、平成13年度から、漁業系一般廃棄物のほかに、FRPとか漁網とか漁箱といったものについても有効利用を図ろう、再資源化を図ろうという観点から、そういった予算も計上しておりますし、さらに、この事業についても県漁連が事業主体となる予定ですし、さらに漁業関係者、市町村、県から成る委員会をつくってこういった事業を進めてまいる考えでございますので、引き続き、そういった中で具現化に向けて取り組んでまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

〇吉田昭彦委員 県境の問題につきましては、協議中であり、また、関係団体等との意見交換も踏まえて、粘り強く交渉を続けられるというお話でございますので、沿岸漁業者が安心して操業できることを基本に、合理的な解決に向けてさらに積極的な対応を要望いたしたいと思います。
 それから、カキ殻の処理についてでございますが、実務マニュアルの具現化に向けて積極的に対応したいというお話がございました。ありがとうございます。漁業系廃棄物の適正処理、再資源化は、漁場環境、漁村環境の改善上からも重要な課題でありまして、特にもワカメ養殖につきましては、先ほど来議論がありましたけれども、近年の中国産を初めとして輸入品の脅威にさらされ生産意欲を減退させているということもございますので、その中で比較的安定していると私は見ておりますが、カキ、ホタテの生産を安定的に生産させるためにも、漁業関係団体と一体となって、県、市の行政側の支援策が必要と考えますので、このことについてもどのような対策を考えておられますかお伺いしたいと思います。

〇上村水産振興課長 まだ印刷前でありますけれども、この実務マニュアルにおきましては、こういった漁業系一般廃棄物について、県、市町村、漁業団体、漁業者それぞれの責務と役割が明記されてあります。したがって、こういったものを踏まえまして具体的に詰めてまいりたいと考えております。

〇吉田昭彦委員 カキ殻の処理につきましては、8割が気仙地域の課題であるとも伺っておりますので、上村課長は4月から大船渡地方振興局長として御栄転されると伺っておりますので、気仙地域の課題として積極的に対応していただくことをお願いいたしまして質問を終わります。

〇小原宣良委員 本県水産物の産地市場への水揚げの状況と流通の現状についてお伺いいたします。
 私は、かつて北上にあります水産卸売市場と横手市場を調査したことがありますけれども、北上の水産市場は規模が小さいということもありまして、大船渡、気仙沼方面からの水産物が北上を素通りいたしまして秋田へ向かうという現状を目の当たりにしたことがございます。
 そこで何点かお伺いしますが、第1点は、本県産の水産物について、県内市場と、東京など県外市場への出荷割合はどのようになっているでしょうか。
 第2点は、県外漁船でありますが、本県産地市場への水揚げ量はどういう傾向にあるでしょうか。このことについては県も力を入れていると聞いておりますけれども、ここ数年の傾向についてお知らせいただきたいと思います。
 第3点は、産地市場における市場価格の動向でございますけれども、ここ数年の傾向をお伺いしたいと思います。本県には14の産地市場があるようでございますけれども、近年の動向はどうなっているでしょうか。

〇上村水産振興課長 第1点の県内市場、県外市場への出荷割合でございますけれども、一番水揚げのあります宮古市場の例をとりますと、鮮魚等の生鮮出荷ですけれども、これは県内が3割、県外が7割となっています。
 それから、県外船の県内市場への水揚げの比率でありますけれども、ここ数年の傾向としましては、約3割となっております。各市場とも県外船の誘致を図っていますけれども、全体的には3割となっていまして、サンマ棒受網が主体でございます。
 それから、産地市場におけるここ数年の価格の傾向ですけれども、サンマについて過去6年間の価格で見ますと、全国の水揚げ量に左右されますけれども、平均価格はキロ75円から246円となってございます。

〇小原宣良委員 県内市場と県外市場の割合は3対7ということですけれども、こうした水産物を県民の皆さんの食卓に直接上らせるという点でありますが、これらを県内消費に振り向ける指標といいますか、これぐらいは新鮮なものを県民の皆さんにぜひ食べてもらいたい、学校給食もあると思うんですが、そういった県内消費に向けた指標というのはあるんですか。そういう努力目標というんですか、そういったものはどうなんでしょうか。
 それから、本県水産物の加工の体制整備でありますけれども、高付加価値化を目指すという点で大変重要でございますが、以前にサケの中骨ということで大変話題になりました。ヒット商品であったと思いますが、これに次ぐ商品開発という点ではどういう状況になっているでしょうか。

〇上村水産振興課長 県内向けの指標はあるかということですけれども、特にはないんですけれども、本県の産地市場は9月から12月の水揚げが年間の6割となっておりまして、さらに産地市場が県内13市場あるわけであります。20万トンそこそこの水揚げに対して、13市場ありますから、荷のまとまり方等々から、取引先等の条件がございまして、すべて産地市場に回したいという希望はあるでしょうけれども、なかなか難しいところもあるわけです。ただ、最近サンマについては、例えば大船渡、釜石、宮古市場で、宅配等で大分人気が出てきまして、消費者はやっぱり安くておいしいものを望んでいますので、そういった傾向をよくつかみながら、そういった部分を県内に応用できないかといったことも含めて考えていきたいと思っています。
 それから、高付加価値化ですけれども、サケの中骨はヒットして大分たったんですけれども、その後もいろいろと取り組んでおります。水産技術センターを中心に、先ほど申し上げましたように、例えば本県ブランドであるワカメを何とか外国産に太刀打ちできるように、その裏づけとなるものとして歯ごたえについても研究しておりますけれども、なかなか一朝一夕にはいかないと。いずれ、開発だけではなくて改良というものもありますので、改良というものを見ますと結構出ております。そういった成果につきましては、数年前から岩手県水産加工品コンクールを毎年やっていますけれども、その中を見ますと結構いいものが出ておりまして、先般、東京の銀河プラザでそういったものを展示しましたけれども、結構人気がありました。そのほか、大阪とか福岡でもやっておりますけれども、取引件数も多くなってきております。したがって、開発だけではなくて、従来のものを消費者ニーズに応じたような観点から開発品についてもどんどん進めておりまして、そういったことから見ますと、前から比べますと随分いいものが出ているなという感じがしております。

〇小原宣良委員 私も内陸の人間でございまして、新鮮でおいしい魚、魚介類を食したい、こういう気持ちは多いわけですが、県内卸売市場などで確かに価格あるいはまとまった量等の問題があるんだろうと。出荷する生産者の立場からいってもそういうことになるんでしょうが、生鮮魚介類の流通という点で、県内市場が取り扱う量というのは3割ということになるわけですけれども、これは、原因として、言われておりますように価格の問題と、あるいは出荷する側からすると、まとまった量でないと経費がかさむということもあると思うんですが、この辺を県内消費に回していく努力というんでしょうか、そういったものは流通段階で特にとられているものでしょうか。ぜひ県内に、まずは大いにそれらの食味というもの、あるいは評価という部分が上がって、なお大量消費地の方に出荷という形が望ましいのではないかと私は思うんですが、その辺の考え方をお聞きしたいと思います。

〇上村水産振興課長 全くすべての水産物というわけではないんですけれども、サケなんかにつきましてはやはり県内を主体に消費していただきたいということから、これも数年前から学校給食で取り上げまして、毎年鮭の日には知事を先頭に私どもも積極的に出かけていって、学校給食には100%使われている状況にございます。そのほか、県立病院の給食にも使われておりますし、さらに、ワカメにつきましても、県漁連を主体として県立病院の方に働きかけておる段階でございます。できれば多くの水産物を県民の皆さんに食べていただきたいということが基本でありまして、今後ともそういう視点で取り組んでまいりたいと考えております。

〇菊池雄光委員 今、小原委員からの本県の市場に外来船がここ数年間どういう傾向にあるかという質問についてはお話がなかったんですが、恐らく傾向としては、ふえるというより減ってきているのではないかと思うんですが、例えば青森の八戸とか宮城県の石巻、こういった1港よりも県内の13港、市場の外来船の水揚げの方が少ないと。水揚げ高が少ないと私は記憶しておるんですが、最近、外来船誘致のためにどういう手だてを県としてやっているんでしょうか、それについて御説明を願いたいと思います。

〇上村水産振興課長 各魚市場単位に外来船誘致には努力しておりますけれども、日本全体の生産量が減ってきておりますので、いわば一つの資源を、あるいは水揚げを相手に各魚市場がオリンピック競争みたいな感じでやっていますので、なかなか昔ほど入ってこないというのが実情だと思います。
 そういった中で、例えば大船渡魚市場なんかは、隣にカツオが日本一揚がる気仙沼があるわけですけれども、カツオをできれば少し回してほしいということで、そういったものを目当てに取り組んだ結果、昨年度、休日開業でありますけれども、そういったカツオ船が入ったといったことで特徴を持った外来船誘致がされておりますけれども、なかなか今までのようなやり方では来なくなってきたということがございます。サンマについてもそうであります。
 誘致の取り組み方につきましては、例えば市町村が開設者になっている大船渡とか宮古市とか、あるいは久慈市なんかにしますと、市町村あるいは生産団体一体となって取り組んでいますけれども、小さい市場につきましてはなかなか無理なところもございます。県のかかわりとしましては、平成10年に水産物流通加工ビジョンをつくったんですけれども、その中で、やはり市場の活性化、水揚げということを重点的にとらえておりまして、県もその中で、例えば地域に水産物流通加工振興協議会というのがあるんですけれども、その中でこういった市場での水揚げ増進、その一環として外来船の誘致についても取り組んでいるところでありますが、先ほど申し上げたとおり、日本全体の水揚げ量が減っている中で市場の数だけはなかなか減らないという現状がございますので、なかなか所期の目的どおりにはいかないというのが現状でございます。

〇伊沢昌弘委員 林業関係についてお伺いしたいと思います。
 前の委員の方からもいろいろとお話がありまして、民有林を中心とした森林組合等の問題についての指摘があって、大変な状況だと御答弁をいただいているわけでありますけれども、私は、県有林特別会計にかかわってお伺いしたいと思っております。
 議案書340ページに特別会計が載っているんですけれども、まず一つは、今年度の当初予算の中に国庫支出金が盛り込まれていまして、前年度予算額はないということであるんですが、これまで補正予算でこれが組み込まれてきた経緯があると思うんですけれども、13年度当初予算の中で盛り込まれたというのは何か理由があるのかどうか、単純なことでまずお伺いしたいと思っております。
 あわせて、県有林特別会計の借入金、この予算書を見ていきますと、13年度末で501億円余りの県債残高という形になっているわけであります。基本的に、今、県有林の関係、伐採をした材木の収入、分収も含めて大変厳しい状況があると思うんですけれども、今後、この特別会計の健全な財政運営をしていく上でどのような方策を考えておられるのかお伺いしたいと思っています。
 また、県有林の会計の中では、分収林事業をずっとやってこられたと思っています。昨今の林業の問題でいきますと、分収林、切った段階で民間の皆さんに一定程度、最初に契約したような十分なお金が行っているのかというと大変厳しい状況ではないのかと感じるわけでありますけれども、現状はどのようになっているのかお示しいただきたいと思います。切った材木、売った代金、それぞれ分けて山を持っている方にお渡ししていると思うんですけれども、それらの状況がどうなっているのか。
 また、いろいろお話を聞いていますと、今後、この分収のあり方も含めていろいろ検討が必要だということが出ているわけでありますけれども、主伐期を迎えても、もっと時間を置くことによって材木の価格が上がるということも踏まえて、それぞれ関係をしているところで苦労されているのではないかと思うわけですけれども、そういった状況についてお伺いしたいと思います。

〇本山林業水産部長 県有林特別会計の件でございますが、総括的な考え方につきまして私の方から御答弁申し上げたいと存じます。
 県有林での分収林事業は、農林漁業金融公庫資金を主な財源として実施してきておりまして、御指摘のとおり、近年、既存債務が相当額になってきたと。また、木材価格が引き続き苦しい厳しい状況にあるということでございまして、林業公社ともあわせまして、私どもも経営改善について検討する必要が生じてきたところでございます。
 このため、財源の確保、また、経費節減等の観点から抜本的な経営改善を図ることといたしまして、国庫補助金の導入、作業工程の見直し、長伐期優良大径材の生産という手段につきまして、可能なものから措置しつつ検討してきたところでございます。13年度におきまして、このような項目につきまして具体的にどういう形で地べたにおろしていくかということを検討いたしまして、13年度内に県有林基本計画を大幅に改定する考え方をいたしておりまして、それに基づきまして今後とも適正な森林整備の推進に努めてまいりたいという考え方をとっております。
 具体的な施策につきましては担当課長から御説明申し上げたいと存じます。

〇塩井緑化推進課長 県有林への国庫補助金の導入についてでございますが、平成10年度の総合経済対策による6月補正予算から導入しているところでございます。その後、毎年度国の経済対策等の補正予算で導入してきましたが、平成13年度におきまして初めて当初予算案に計上しているところでございます。これは、先ほど部長が申し上げましたとおり、県有林の経営改善を図るため、財源確保対策として国庫補助事業を導入することとしたものでございます。
 次に、借入金の返済についてでございますが、当面は、県有林造成基金の取り崩しや一般会計からの繰り入れにより償還を行い、今後、本格的な主伐期を迎えることから、平成13年度には県有林基本計画を抜本的に見直しまして経営改善を図り、将来的には採算の合う県有林となるように努力してまいりたいと考えております。
 また、土地所有者との契約期限が到来した分収林の取り扱いについてでございますが、土地所有者と十分協議の上、森林の持つ公益的機能を低下させないため、既往の造林地のうち、立地条件のいいものにつきましては長伐期化、複層林化などへの転換を進めることにより、皆伐面積をできるだけ抑制することにしております。
 また、契約期限到来時の分収方法につきましても、従来ですと立木をすべて売り払って収益を分収するという交付金分収を行っておりましたが、今、委員から御指摘がありましたとおり、これからは分収金も非常に少ないということで、土地所有者の希望もありますので、土地所有者が県の分収割合分を買い取る立木買い取りや、それから、土地所有者が自分の分収割合分を立木で取得する立木分収など多様な分収方法により森林の裸地化を可能な限り防止するように努めるとともに、あわせて収入の確保も図ってまいりたいと考えております。

〇伊沢昌弘委員 国庫支出金を含めてやっていかないと、多分どうしてもこの特別会計はクリアできないだろうと思っているところであります。今、部長の方から13年度に新たな施策展開ということで、過日、12月に出された報告書を見せていただいたんですが、公益保全森林整備検討委員会が去年一生懸命検討されたと。この中身を見ますと、今、お話にあったようなところが13年度の中でこの報告に基づいて具体化していくのだろうなと思っていますので、大変期待するところであります。
 この報告書の中でちょっと気になった部分があったんですが、新規造成の中止という部分が分収林の関係のところにあったんですが、今後、拡大造林については実施しないことを原則とするということなんですけれども、これだけ読みますと全く造成しないのかなということで、新たな拡大をしないのか。とったところについてはこれからも植林を含めてやっていくと思うんですけれども、そういったところがどのようになっていくのかお示しいただきたいと思っています。
 また、もう一点ですが、森林事業につきましては、国有林野の問題も含めて、特別会計でやっていてとても成り立たないということで、林野庁そのものが大幅な改正をしながら、水源保全を含めた形で、木を切り出して売るという事業から公益的な部分ということで大幅に国の方の会計事務も変わってきて、縮小、再生産の中で森林を守るという分野になってきたと思うんです。本県の場合はまだまだ民有林の用地も78万ヘクタールとか、県有林も6万ヘクタール余り造成をしてきたということで、財産としてはいっぱいあるということで、将来の県産材の生み出すものとしては大きな財産だと思うわけですけれども、ただ、皆伐をしなくても、間伐なり部分伐をしながら森林保全をしていく。その中で、苗を植えていくことも含めて、先ほどの民有林の皆さんは、更地にしておけばお金をかけないで済むわけですけれども、植えるための費用が生めないということで、大きな補助事業というものが絶対必要になると思うわけであります。
 この報告書の中には、国で調査をした国民のアンケートの中で、9割ぐらいの人が森林を保全するために税金を投入をしていいのだと、そういった分野を考えろということになっているわけであります。国に対してもいろいろとこういう事業に対して要望している経緯があると思うんですが、県独自としても、新たな展開の中で、民有林もそうですけれども、県有林事業に対して、これまでも一般会計から繰り入れしているわけですけれども、ふやしていくとか、国に対する要望を強化していくとか、そういった部分が必要だと思うんですけれども、そういった意味で、13年度計画を立てるということのようですけれども、その基本的なお考えをお示しいただければと思います。

〇本山林業水産部長 まず、拡大造林の取り扱いについてでございますが、今まで岩手県におきましては、県南を中心に県行造林で分収林をつくってまいりまして、また、県北の方を中心に公社造林でやってきた。前生樹である広葉樹を伐採してその後に針葉樹を植えていくと、それを経済的なインセンティブ──動機づけ──でやっていくということでやってきておったわけでございますが、先ほどから各般の御指摘がございますとおり、非常に林業が厳しい中で、経済的なものをねらっての分収事業というのはもう限界があるだろうということで、その拡大造林を原則的に取りやめると、こういう考え方をとったものでございます。
 しかしながら、これからもいろいろな荒廃森林が発生することでございましょうし、また、伐採跡地でいろいろな事情で放棄されるものも出てくるかもしれない。こういうものに対して、県としてもきちんと手当てをしていかなければ公益が確保できない。森林が破壊されてしまっては県民の安心した生活ができない。こういうことではいけないと思いまして、今度は県そのものがやるのではなくて、林業公社が造林補助金等、また、各般の御理解をいただきながら資金を調達して、公益を主目的とした公益保全森林整備事業を創設すると、そういうことで13年度予算に盛り込ませていただいたところでございます。そういう措置を講じながら、経営自体としてどうするかということを具体的に県行造林につきましても公社造林につきましても13年度において検討してまいりたいということでございます。よろしくお願い申し上げます。

〇阿部静子委員 ただいま林業にかかわって専門的に随分と論議がなされているわけでございますが、私は、森林愛護意識の部分について、意識の醸成が大事ではないかと思いまして質問いたします。
 森林の持つさまざまな機能と役割に対し、県民の期待が年々高まってきております。森林、緑の大切さについて、子供から大人まで広く県民から理解を得ることが肝要であると考えております。特にも、次代を担う子供たちが、森林の学習活動や地域の奉仕活動などを通じて心豊かな人間に育っていくことを目的とした緑の少年団の活動については、緑に包まれた豊かな岩手の自然環境を守り育てる心の礎となるものであり、本当にすばらしく、その活動を大変心強く思っております。
 そこでお伺いいたします。これまで植樹祭や育樹祭で活躍している緑の少年団の県内における活動について、現在の活動状況についてどのようにとらえていらっしゃるのでしょうか。
 また、岩手の森林は、3兆円ものさまざまな公益的機能を果たしている、県民にとって貴重な財産でございます。この大切な森林を守り育てる森林愛護意識の醸成を県民に対してどのように普及啓発を図っていくのかあわせてお伺いいたします。

〇本山林業水産部長 後段の方の今後の愛護意識の醸成という観点でお答え申し上げたいと存じますが、やはりこれからは、森林を県民全体が県民共有の財産として守り育てていくことが大事になっていくのではないかと認識しておるところでございます。これまでも県の緑化推進委員会、また、いろいろな団体における緑化活動が積極的に展開されてきたところでございますが、さらにこういう活動を促進してまいりたいと考えますし、また、今後、やはり水を媒介とした上流、下流の協力意識といいますか、相互関係の意識というものを醸成していく。そういう中で、例えば緑の募金活動もそういうことを意識した展開を図っていくということも大事になるかと思っておりますので、そういう観点から、また、ボランティアの方々の活動もあちこちで今非常に盛んになってきております。そういうものを促進させていただくということを含めまして、これからも積極的に推進してまいりたいと考えております。
 緑の少年団の活動につきましては課長から御答弁申し上げます。

〇塩井緑化推進課長 本県の緑の少年団の結成状況でございますが、平成10年度現在では、小・中学校で163団体となっており、その団員数は約7、500人となっております。これは、団体数では全国第4位、団員数で全国8位と全国でもトップクラスとなっているところでございます。
 活動内容についてでありますが、緑の少年団の活動は、自然を愛し、みずから社会を愛する心豊かな人間に育っていくことを目的に、各地域において、学校林での植栽や下刈り、地区の植樹祭や育樹祭への参加、川の生き物調査、地域の清掃活動などを通じまして、ふるさとの自然環境の奉仕の心を学んでいるものであります。
 本年度、これら活動実績が認められまして、住田町の五葉森林愛護少年団が緑化推進功労者として内閣総理大臣賞を受賞されましたし、また、釜石市の橋野森林愛護少年団が国土庁長官表彰を受賞するなど、全国的にもすぐれた活発な活動をしているところでございます。
 また、緑の少年団活動を全県規模で行うものとしまして岩手県緑の少年団大会を行っておりますが、これまでに継続して32回の大会をしております。少年団同士の交流を深めてきておりまして、今年度は初めて海づくり少年団を招待いたしまして、山と海の少年団の交流を図ったところでございます。
 今後とも、市町村や学校あるいは少年団連盟、少年団育成指導者との連携をさらに強化いたしまして、活動に対する指導、支援を行ってまいりたいと考えております。

〇阿部静子委員 子供たちが一生懸命になって活動していることは大変心強いわけでございます。私も盛岡市におりましたときに、盛岡森林公園での植樹祭あるいは下枝を払う、そういう育樹祭に参加いたしまして、子供たちが一生懸命やっている状況を見てまいりました。ただ、少年団に集う子供たちがいわゆる山に近い子供たちで、町場の子が少ないわけなんです。最も知ってほしい町場の子供たちにも、そのような自然体験を通してどんなに緑が大事か、岩手にとって森林が大事かということを広げていってほしいという思いでいっぱいだったわけです。
 そこで、これから県民並びに子供たちへ森林愛護の気持ちを広げてこそ、環境首都いわてになるのではないかという思いがございまして、運動拡大に向けてのお考えを再度お伺いいたします。

〇本山林業水産部長 森林愛護思想または緑化活動の促進ということでございますが、今、県には議会の議長をトップにいただいております県の緑化推進委員会がございます。私どもも、この緑化推進委員会を中心といたしまして、関係の職員、団体等も一緒になりまして、また、教育委員会、さらにいろいろな関係方面に働きかけを強力に行いまして拡大に努めてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。

〇斉藤信委員 最初に、予算の中身についてお聞きします。
 来年度予算の中で、林政、水産、それぞれ公共事業の占める額、比率、これはどうなっているでしょうか。
 先ほど林道をもっとやれという質問もありましたが、私は、林道を総点検して見直しすべきではないかと考えています。また、漁港の整備費も、総務庁の行政監察、去年の6月に出ていますけれども、この抽出調査によれば、漁港の約1割はむだな施設だったという厳しい指摘がありました。幸い県の7施設についてはそういう指摘はなかったのですけれども、これは抽出調査ですから、全体として1割、過大、むだという点からいけば、大幅に見直す、また、総点検が必要ではないか。森林整備、造林を私は逆に抜本的に強化すべきではないかと考えます。
 今、伊沢委員も指摘しましたが、林業水産部からいただいた資料によりますと、県有林も林業公社も新規造成はどちらもやらないとなっているけれども、これは造林事業の縮小、撤退ということになるのか、改めてそこらも含めてお示しいただきたい。
 水産振興費の指導費が21.7%減少したのはなぜでしょうか。
 公益保全森林整備総合対策事業、私は、これ自身は積極的な事業だと評価します。この事業の目的、計画期間、面積、事業費、これは全体でどうなっているかを示していただきたい。
 これを見ますと、県の貸付金は、無利子で60年一括償還となっていますけれども、60年の貸し付けというのは林業ならではと思いますが、これを60年とした意味は何でしょうか。
 木材生産振興の位置づけはこの中でどうなるんでしょうか。
 改めて、森林整備が必要な面積、その中で今回対応しようとする面積はどういう比率になるか示していただきたい。

〇武田林政課長 まず、平成13年度林業・水産業関係一般会計予算の公共事業費の状況についてでありますが、林業関係は181億2、800万円でありまして、林業関係予算に占める割合は68.5%であります。また、水産業関係は123億4、200万円で、水産業関係予算に占める割合は67.4%であります。
 次に、林道費、漁港漁場整備を総点検し、大幅に縮小、見直す必要があるのではないかとのお尋ねでありますが、公共事業につきましては、厳しい財政状況の中で効率的に事業を実施することとし、費用対効果分析を基本として精査の上、今議会に当初予算案として計上させていただいたものであります。新規箇所を抑制し、事業の重点化を図りながら、工期の短縮、事業効果の早期発現を図ってまいることとしております。
 次に、森林整備、造林を抜本的に強化すべきではないかとのお尋ねでありますが、森林の持つ多面的な機能を高度に発揮させるためには、森林の整備は重要な事業であり、従来から岩手県総合計画及び岩手県林業基本計画に基づき鋭意進めてきたところであります。今後とも、これらの計画に掲げる目標を目指し、積極的に推進してまいることとしております。
 次に、水産業振興費が前年度と比較して減少したことについてでありますが、平成10年度から実施しておりました大船渡市及び大槌町における魚類栽培施設の整備費として12年度当初予算において3億6、400万円余計上しておりましたが、これらの施設が12年度に完成したことにより、13年度において魚類栽培施設整備費が皆減となったことが主な理由であります。

〇塩井緑化推進課長 今の公益保全森林整備総合対策事業は、災害の防止あるいは水資源の涵養等の公益的機能の発揮が高度に求められ、真に森林整備が必要な荒廃林地については、社団法人岩手県林業公社を事業主体といたしまして、将来債務を少なくするような措置を講じた上で整備を実施するものでございます。
 計画面積は、岩手県総合計画の中で平成13年度からの5カ年間で新規造成1、200ヘクタール計画しておりまして、平成13年度は110ヘクタール、事業費で8、400万円余りを計上しているところでございます。
 事業費の負担についてでございますが、事業費の約7割については造林補助金を使いまして、残りの3割につきましては県などの貸付金で賄うことにしております。
 貸付金の貸付期間を60年とした理由についてでございますが、この事業は、森林の公益的機能が高度に発揮できる複層林施業や長伐期施業を実施することとしておりますので契約期間を60年としておりまして、県の貸付金の貸付期間につきましても60年としたところでございます。
 木材生産振興についてでありますが、森林の育成過程において所要の間伐等の森林施業が必要でありますので、その際、生産された木材は有効に木材生産として利用していくことにしております。
 県行造林あるいは公社造林をやめた、新規造成はしないということはどういうことかということでございますが、先ほど部長が申し上げましたとおり、経済性を重視した県行造林あるいは公社造林は今後やっていかない。ですが、公益的な森林につきましてはこの事業によって進めていきますし、また、一般の所有者の方々が造林されるものにつきましては高率の造林補助事業で支援してまいりたいと考えております。

〇斉藤信委員 私は、今、森林の整備事業を聞きましたが、今回、公的機関で森林整備をやるというので1、200ヘクタールとなりました。これは、大ざっぱな数字でいいんですけれども、適切な森林整備がなされていない、いわば手を打つべき森林整備面積のどのぐらいに当たるのか、このことを示していただきたい。
 もう一つは、県内の民有林の間伐実績を聞きたいんですけれども、今の答弁だと立派にやっているということでしたが、私は、県が立てた計画から見たら、実績は7割、8割程度にとどまっているのではないかと思いますけれども、こういう事業こそしっかりやっていただきたいというのが私の意見なんです。さっき聞いたように、林業も水産業も大体7割近くが公共事業という中で、本当に今県民が求めているこういう事業こそ進めるべきではないのかということであります。
 最後に、造林事業について、県と公社は撤退するということになりますが、これは、岩手県全体の造林事業、木材産業の振興という点からどうなるのか。全体として撤退、後退ということになるのか、そのことを示していただきたい。

〇本山林業水産部長 一つは、まず、荒廃林の何%が対策されるかということでございますが、荒廃林の見方もいろいろございますので、画一的に何ヘクタールということを言うのはなかなか難しいと思いますが、緊急に公益上整備が必要なものについては計画的に処理していきたいと考えております。
 それから、間伐実績が七、八割どまりではないのかということでございますが、12年度は新たな間伐対策を入れたこともございまして、年度の途中から動き出したということもございますので、13年度は年度当初から力を入れてまいりたいと考えておるところでございます。
 それから、もし、公社、県行造林が全面的に林業から撤退するような誤解があるとすれば大変遺憾なことでございまして、これまで契約をした森林については最後まで育て上げていくこととしておりますし、また、そういう過程において、長伐期化という中で間伐もやりますし、長伐期の択伐ということの中で出てくる素材についてはきちんと木材産業で使っていく、こういう考え方をしておりますので、新たな経済を目的とした分収事業をやめるからといって林業から県、公社が全部撤退するということではないと私は考えております。

〇斉藤信委員 なかなか苦し紛れの答弁だけれども、本当にこれは大変なことですよ。今、林野庁自身が木材生産から撤退して環境的機能を評価すると言っているけれども、産業からの撤退ということになったら大変なことなので、今度の予算の中で、一方では公的に手を打とうという積極面と、もう一方ではそういう産業から手を引くという2側面あるので私は取り上げました。ですから、産業として成り立たなかったら森林の整備もできないんですよ。ここはその点を指摘するだけにしておきます。
 続いて2問まとめてお聞きします。
 大規模林道川井住田線について、ルートの見直し、トンネル化、この具体的な案が出されています。それぞれのルート見直し案の事業費はどういうふうに示されているのでしょうか。
 そして、この事業は、今、事業費、距離でどこまでいっているんでしょうか。残区間の事業費も含めて示していただきたい。
 大規模林道は木材生産のためだということも言われています。しかし、実際に、この大規模林道と作業道は連結しないと、こういう話も私は聞いているんですが、本当に木材生産、森林整備とこれは結びつくような計画になっているのかどうか。
 国の再評価が来年度に行われます。ルート見直し、トンネル化の検討と、この国の見直しの作業、これがどういう形で連動するのか。そして、県がそのために今、準備している作業、資料などをわかれば示していただきたい。
 最後ですけれども、KSD問題についてお聞きします。
 私は一般質問でこの問題を取り上げました。県の答弁は、県の常例検査は昨年10月、そのときには問題はなかったと、こういう答弁でした。当然です。実は、KSDの報道は12月1日だったんです。12月1日に平成11年度にそういう取引があったということが報道されたので問題になったわけであります。そこで、この関係する漁協、私は被害者ではないかという感じもしますが、10月に問題なかった決算というのは、その後の新聞報道から見て、平成11年10月に2億円の前払い金があった。そして、平成12年3月末日までにはさらに3億4、000万円の支払いがあって、それも関係する漁協に支払われたと、こういう証言があるわけです。だとするなら、平成11年の決算にこれが反映してしかるべきではないのか。ですから、新聞報道後の取引の状況が新たにわかったわけだから、10月のこの常例検査から見たら状況が違ったのではないか、この点について県はどういうふうに考えているのかお聞きしたい。

〇盛合森林土木課長 大規模林道川井住田線のルートの見直し、トンネル化の場合の事業費はどうなるのかというお尋ねでございますが、緑資源公団では、横沢-荒川区間、トンネル化を含むルート変更案といたしまして路線検討会に6ルートを提示いたしまして、事業費は、現計画の場合は約31億円としているところでございますが、トンネル化をした場合は4ルートございまして、36億円から43億円の間の概算事業費になるものと見込んでおります。なお、トンネル化しない場合の2ルート案では31億円及び36億円の概算の事業費となってございます。
 次に、大規模林道と作業道は連結しないのではないかという御質問でございますが、大規模林道は、緑資源公団法に基づき、政令に定める区域内におきまして、当該地域の林道網の枢要部分となる林道と規定されておりまして、他の林道、作業道が積極的に開設され、連結し、活用されるべきものと考えてございます。また、現実に連結されている作業道もございます。
 なお、作業道につきましては、林道をつくる際の規格、構造でございますが、林道規程の適用も受けないことから、構造の基準が明定されておりません。伐採、植林、間伐などの森林施業を行う一時的な利用のために開設されております簡易なものから、林道に準ずるものまで多種多様となってございます。
 次に、国の見直し作業と関連する県の資料の作成及び進捗率でございますが、この横沢-荒川区間の進捗率は12年度末で84%となってございます。また、県の資料作成でございますが、13年度に国が行う再評価に関する県が行う資料作成についてでございますが、国からの通知は来年度になってからの予定でございまして、まだ現在のところ未定でございます。
 なお、これまでの例によりますと、県が作成いたします主な資料につきましては、民有林の森林資源、最近5カ年の民有林施業実績、今後5カ年間の民有林施業予定量、地域の林業生産の現状と今後、関連する木材、林産加工施設などの数、位置図、関連する道路の整備状況、関連する山村集落の状況、集落の今後などとなってございます。

〇小笠原漁政課長 当該漁協の平成11年度決算への計上についてでありますが、11年度に受け取った前払い金は仮受金として受け取っております。そして、11年度に売り上げた分は加工品販売高に振替計上し、仮受金の残額につきましては普通預金に計上している旨確認しております。したがいまして、適正に処理されたものと考えております。

〇斉藤信委員 大規模林道について、今、残区間、現行ルートで31億円で、トンネル化をすれば36億円から43億円になると。これは約1.4倍近くにはね上がるということになります。現行ルートで31億円という事業費が突然出たので改めて聞きたいんだけれども、ここの事業費は総事業費が108億円でしたね。そして、これはもう平成10年末で支出額が90億円だったんですね。その段階では18億円しか残っていなかった。それから2年間事業が進んでいるのに、何で今の段階で事業費は31億円になるんですか。そのことを示してください。31億円というのはいつの段階の何キロのところの事業費なのか、もう倍ぐらいに膨れ上がっているのではないでしょうか。
 それと、もう一つは、これだけのトンネルを掘るとすれば、私は改めて環境アセスメントが必要だと思うんです。そういう環境アセスがやられることになるのか。特に、この大規模林道の計画路線上には、クマタカの生息はもとより、植物のレッドリストに出てくるヤシャビシャクというのもあると指摘されているんですね。だから、本当に新たなルートのトンネルをつくるとすれば、私は当然科学的な環境アセスが必要になってくると思うけれども、その辺はどうなるんでしょうか。

〇盛合森林土木課長 4.6キロメートルの現行ルートで31億円の事業費が必要でございます。横沢-荒川区間の全体の計画事業費は確かに108億円で、今まで使用済みの事業費は90億円でございます。残りの金額18億円でございますが、これにつきましては事業費の変更を、承認といいますか、申請する予定であると聞いてございます。

〇佐々木一榮副委員長 答弁漏れ、環境アセスメント。

〇盛合森林土木課長 環境アセスメントにおきましては、法に定めております延長とか幅員とかの関係でそれに該当しておりませんので、環境アセスメントは必要ないのではないかなと考えてございます。

〇斉藤信委員 今の31億円の事業費というのは本当に突然出てきたわけですね。実際に今までの計画よりも倍近くかかると。さらに、トンネル化すればその1.4倍かかると。これにはもちろん県の負担金もあるわけです。そして、受益者の負担金もあるわけです。私は、そういう点ではこういう見直しについて県としてもきちんと分析検討する必要があるのではないかと思いますよ。そして、今環境アセスの対象にならないというけれども、本当にこれはレッドデータブックにもレッドリストにも出ている希少種、こういうものも県自身が指摘しているわけだから、そういう点でルートを変えてトンネルまで掘るというときに、環境が大事だからやるわけでしょう、これ、実際には。しかし、まともな科学的な検討もしないでそういうことをやっていいんでしょうか。県独自にやるぐらいの気持ちでやらなくちゃだめなんじゃないですか、どうですか。部長、どうですか。

〇本山林業水産部長 予算の問題とルート変更にかかわる説明経費とアセスメントのことかと思いますが、せっかく今緑資源公団の方でこれからルート変更をするときに、どういう環境の変化、影響があろうかということで検討会が開催されているところでございまして、二重の経費をかけることはいかがなものかと私どもは思っております。やはり、きちんとした専門家を公団の方でお願いして検討されている以上、私どもはその結論をきちんと見守っていきたいというのが基本スタンスでございます。
 それから、環境アセスメントということでございますが、当然そういう中で経費につきましても、また環境アセスメントの必要性がもしあるのかないのか、そういうことは当然その検討会で恐らく必要であれば議論されることでございましょうし、また13年度再評価が予定されておるところでございまして、前々からこの検討会の結果を踏まえて13年度の再評価がなされると伝えられておりますので、私どもはきちんとそのフォローアップをしていきたいと考えております。

〇斉藤信委員 それは問題のすりかえなんですよ。検討委員会というのはルート見直しの検討委員会なんですよ。環境影響評価による検討委員会じゃないんです、これは。いろんな公共事業のときに専門家でそういう調査を県がつくったこともある、国がつくったこともありますよ。しかし、今、公団がやっているのはルートの見直しを決めるだけの検討委員会ですよ。それは全然違うんですね。私は、それだけでいいのかと言っているわけですよ。ルートの変更を決めるだけの検討委員会でいいのかと、だから6月に第3回やって、来年度の前半には決めると言うんですよ。その程度では環境影響評価できないわけです。だから、私は問題提起したのでね、これは指摘だけにとどめて終わります。

〇佐々木一榮副委員長 ほかに質疑ありませんか。

〇田村正彦委員 済みません、4項目ほど通告しておったんですが、時間も大分押しているようなので2項目に絞ってお尋ねします。
 簡単に、昨年県においては緊急間伐5カ年計画策定なされて、これを鋭意推進していく方向なわけでございますが、それによって間伐材が大量に市場に出てくる、あるいは切り捨ての部分もあるかもわかりませんが、かなりの数の間伐材が市場に出てくるということで、これを有効に活用する方法というのは今は望まれておるものだと思うんです。そこで商品価値というんですか、間伐材の商品価値を高める意味で県ではどういうことをお考えになっているのか、まず1点お尋ねします。
 もう1点ですが、今もいろいろ議論があったんですが、今の議論を聞きながらちょっと私はむなしさを覚えておるんですが、林業の立場からすると今の労働条件、今の労働環境の中で、例えば林道がない場合、盛んに森林の重要性というのが叫ばれてその維持管理というのは大変重要なんだと、自然を守るためにも重要なんだと盛んに叫ばれておりますけれども、それを維持管理するために、例えば維持管理というのは大体6月から9月までです。暑い盛りです。こういう暑い盛りに既存の道路から5キロも6キロもチェーンソーと刈り払い機と燃料を背負って、どうやって現地に行って働いていただけるんですかと、私はそれを言いたいんです。とんでもないことなんです。今そんなことやったらだれも維持管理に当たる人はいなくなります。そういった観点からも、林道の整備というのは森林維持の面からもぜひ必要だし、労働の面からも考えて私は必要だと思うので推進していただきたいと思うんです。
 これとはまた別に、先ほどいろんな議論の中の御答弁の中で、森林組合の赤字の問題が出ました。その赤字についてやはり経営者責任、理事者責任というのもあるんだよというお話がされたわけでございますが、それと同じことだと思うんですが、まさに今の予算で林業公社に無利子の資金12億3、000万円ですか、この程度の無利子の資金補てんをしようとしています。そういった森林組合でいわゆる民間の理事者に対する責任の認識であれば、それでは公社の今までの経営に対する経営者責任というのはどうなんだという議論が出てきて、私は当然だと思うんです。そういった責任をどうお考えになっているのかお尋ねしたいと思います。

〇本山林業水産部長 公社の経営責任という点に関して御答弁申し上げますが、公社の事業費につきましては、大変口幅ったい言い方でございますが、県議会の方に債務保証の件につきましてはお諮りし、御審議を願った上で財源を対処してまいったものでございますし、また、公社の事業そのものは森林組合の作業班といいますか、森林組合または造林事業体に発注しておるものでございまして、そういう意味では地域の皆様方と一緒に事業をやってきたものではないかと私は認識をしておる次第でございます。
 あとの件に関しましては、担当課長から答弁申し上げます。

〇伊藤木材振興課長 間伐材の利用法促進につきましてお答えしたいと思います。
 間伐材の新たな利用方法としまして、現在、私どもの方で関係のところといろいろ相談している内容についてちょっとお話を申し上げたいと思います。
 間伐材や林地に残っております残材等をチップ化しまして、水田等の農地の暗渠疎水材として利用できないかということで北海道の利用事例の情報収集を行いますとともに、これまで2回ほど関係課あるいは林業技術センター、それから農地管理開発公社等とその利用の可能性について打ち合わせを行ったところであります。この結果、木材チップを暗渠疎水材として利用するには、施工方法の検討、それから施工経費の比較、それから植物の生育阻害物質等の排出の有無、また、排水効果や耐久性について検証する必要があるのではないかということで、実証試験をしましょうというところまでたどり着きました。今後、この実証試験を円滑に進めるために、暗渠疎水材としての利用の具体化に向けて、関係課、試験研究機関及び関係団体等構成員としまして検討委員会を設置して組織的に取り組んでまいりたいと考えております。

〇田村正彦委員 農政部では、これからの水田農業のあり方ということで基盤整備を非常に今盛んにやられております。ただ、一番問題なのがそこの暗渠排水用のもみ殻というのを今まで使っておったんですが、そのもみ殻が全体的に不足していると。では、このかわりに何をやろうかと現場では非常に悩んでいるわけです。ぜひ今答弁ありましたそういったものを鋭意推進していただくようにお願い申し上げます。
 それでもう1点ですが、部長の答弁で林業公社も森林組合も一体となって維持管理に当たっているんだと、その結果のこういった状態だというお話がありました。そこで私はぜひ短期という観点でお考えなんじゃなくて中長期的に考えていただきたいのは、林業団体いわゆる施業団体というのは非常にあります。公社、そして造林協、あとは創林会ですか、森林組合、いろんな組織があって、それがばらばらとは言いませんけれどもそれぞれ施業事業をやっているということなんで、これをできる限り一本化まではいかなくても整理統合して経費削減を図って、より有効な施業というのを今後私は求められているんだと思うので、その御見解をお尋ねして終わります。

〇本山林業水産部長 林業団体の今後のあり方ということでございますが、確かに日ごろからいろいろ数が多いんでないかという御指摘も耳にしておるところでございますけれども、それぞれ民法上の公益法人でございましたり、中小企業等協同組合法に基づく協同組合ということもございましてそれぞれの立脚点がございます。私ども直接、間接、監督官庁と言えば監督官庁でございますけれども、やはりそういうそれぞれの組合の目的を踏まえて、まず組合自身がその事業上の現状を踏まえてお考えになることが肝要だと思っておりますが、いずれにいたしましても、余り時間が経ってその名称からしてももう今の世の中にそぐわないんでないかというものについては、日ごろ林業協会との意見の交換の場などもございますので、そういうところを通じていろんな形で県も行政改革を進めていることを踏まえて対応してまいりたいと考えております。

〇佐々木一榮副委員長 ほかに質疑ありませんか。

〇菅原温士委員 本山林業水産部長には、この3月末をもって林野庁に復帰されると伺っておりますので、この場をお借りいたしまして、一言送別の言葉を述べさせていただきます。
 本山林業水産部長は、平成10年4月、林野庁指導部治山課治山対策室長から林業水産部次長として本県に着任され、その後、平成12年度には林業水産部長として、その幅広い識見と卓越した実行力をもって岩手県の林業、水産業の発展に尽力されました。着任された平成10年は、県の総合計画の部門別計画であります第6次岩手県林業基本計画の策定に向けた検討が盛んに行われているときであり、本山部長は、その林業行政にかかる豊富な経験と卓越した識見をもって、森林の持つ多様な機能を高度に発揮させるための適切な森林整備の推進や、森林資源の循環利用を促進するための木材需要の拡大などを骨子とした本県林業が進むべき道筋をつける基本となる計画を取りまとめられました。
 また、林業水産部長に就任された平成12年には、林業水産各部門計画を実現する施策として、林業関係では、森林の持つ公益的機能の維持向上を図る公益保全森林整備総合対策事業の創設や林業公社の経営改善対策の具体化、あるいはもっとウッド県産材を、をキャッチフレーズに木材利用間伐推進キャラバン隊による県下一円のPR活動の実施、新エネルギー資源としての木質バイオマス資源の利用に向けた調査検討など、県産材の需要拡大に積極的に取り組まれました。
 また、水産関係では、新たな魚類栽培基地であるヒラメ種苗の生産施設の完成、ブラックバス等外来魚の再放流等の規制の方策、健全な遊漁船業の育成のための遊漁船業の組織化を図るなど、本県の水産業の振興に多大に寄与されました。このように林業、水産業両面にわたり、幾つもの重要課題に積極的に取り組まれ、その実現に邁進されてこられました。これらの数々の御尽力に対しまして改めて敬意を表し、それから感謝を申し上げる次第であります。
 本山林業水産部長におかれましては、林野庁に戻られましても健康に留意され、広い見地から国政に携わられ、一層の御活躍を祈念申し上げますとともに、岩手県勢の発展のためにも引き続き御尽力いただくようお願い申し上げまして、御礼の言葉とさせていただきます。
 本山部長、本当に長い間御苦労さまでございました。この際、本山林業水産部長から退任に当たっての御所感があればお聞かせ願いたいと思います。

〇本山林業水産部長 ただいま過分な身に余るお言葉を賜りまして大変恐縮いたしております。3年前、出生地の生まれ故郷のこの盛岡に仕事を賜りまして、喜んで赴任させていただいたのがきのうのようでございます。県議会での答弁をお許しいただきましたのはこの1年でございますが、議員皆様の御高配、また励ましをいただきまして、県の組織、職員各位に支えられての本日だと感じております。林業、水産業ともまことに厳しい状況にはございますが、今その多面的な機能を全面に打ち出してそれぞれ基本法などが制定されようとしておりますし、分権の進展とも相まって今後岩手県らしい1次産業の振興が必ずや図られていくと確信しておるところでございます。これまで各地の森林整備、木材加工、魚類の放流、定置網の網おこし、また早池峰山や姫神山への登山など、岩手の林業、水産業とこのすばらしい自然とに恵まれて過ごした日々を忘れることなく、新たな職におきましても、もとより微力ながら引き続きお力添えができればと心に念じておる次第でございます。
 最後になりますが、岩手県と議会皆々様のますますの御隆盛と御健勝を祈念申し上げまして、御礼とさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)

〇佐々木一榮副委員長 これで林業水産部関係の質疑を終わります。
 林業水産部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでございました。
 次に、農政部長から農政部関係の説明を求めます。

〇佐藤農政部長 それでは農林水産部のうち、農政関係の平成13年度当初予算内容等につきまして御説明申し上げます。
 予算の説明に入ります前に、本年度の農業概要と平成13年度における農業施策の推進に当たっての基本的な考え方について御説明申し上げます。
 まず、平成12年は、春先から気温の高い傾向が続き、7月下旬から8月中旬にかけては記録的な高温によりブロイラーの熱死等の被害を受けたところであり、また、7月上旬には大雨、洪水、暴風被害等の発生を見たところであります。こうした中にあって、米については、作況指数106の2年連続の豊作となり、また品質もすぐれ、日本穀物検定協会の食味ランキングにおいて、県内ひとめぼれが7年連続で最高ランクの特Aに評価されたところであります。しかし、一方では、依然として米の需給不均衡が続いていることから、国の平成12年緊急総合米対策を受け、平成13年度の本県の生産調整面積については、2、070ヘクタールの緊急拡大を実施することとしたところであります。その他の品目の中で、特に野菜につきましては、去る1月11日に国に対してWTO農業交渉におけるセーフガードの機動的発動に関する要望を行ったところであります。また、本年度から実施している中山間地域等直接支払制度の取り組み状況については、55市町村において集落、個別あわせて1、288の協定が締結され、その実施率は82%と本県は全国でも高い実施率となったところであります。なお、直接支払交付金の交付は3月末に完了する見通しとなっております。
 次に、平成13年度の農業施策推進に当たっての基本的な考え方についてでありますが、引き続き主業型農家のデータベースをフルに活用しながら、意欲ある農業者の確保・育成を重点的に進め、こうした農家を中核とする効率の高い地域ぐるみ農業の形成を促進してまいります。また、水田での麦、大豆などの本格的生産の定着・拡大や園芸作物の導入、拡大による水田農業の活性化などにより、緊急総合米対策にも対応しつつ、適地適作による作目再編を加速させるとともに、県産農産物の総合的な販売戦略の展開などに重点的に取り組んでまいりたいと考えております。農業農村整備事業の推進につきましては、関係受益農家など地域のニーズや国の政策、予算の動向等を的確に把握しつつ、新規着工地区を厳選するなど、事業の重点化、効率的な予算執行に取り組み、工期の短縮と効果の早期発現を図ることといたします。さらに、家畜排せつ物の適正な管理と堆肥化を促進し、耕種と畜産との連携による有効活用を積極的に進め、環境に配慮した持続的な農業の展開を図ってまいりたいと考えております。なお、新年度から発足する農林水産部においては、総合食料供給基地の形成を目指した第1次産業振興に向けて、共通する課題、特に、流通・販売対策について一丸となって取り組むこととしております。また、地方振興局農政部、農林部及び普及センターの一体的な機能をさらに強化するため、普及センターを農政部、農林部にも位置づけることにより、総合性と専門性を備えた機動的な推進体制を構築することといたしたところでございます。
 それでは、農政関係の各議案につきまして御説明申し上げます。まず、議案第1号平成13年度岩手県一般会計予算についてでありますが、議案その1の7ページをお開き願います。農政関係の予算は、6款農林水産業費のうち1項農業費、2項畜産業費、3項農地費及び9ページの11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費の一部を合わせた総額909億9、456万円余であります。これは、前年度当初予算と比較し33億5、259万円余、3.6%の減となっており、県の一般会計当初予算に占める割合は10.1%となっております。
 その内容につきましては、便宜、予算に関する説明書により御説明申し上げます。なお、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に御説明申し上げますので、御了承願います。
 予算に関する説明書の154ページをお開き願います。6款1項1目農業総務費のうち、管理運営費は、人件費など農政関係の管理運営に要する経費であり、国土調査事業費は、地籍調査等に要する経費について助成しようとするものであります。次に、2目農業金融対策費の主なものでありますが、農業近代化資金融通対策費は、農業者等の資本装備の高度化による農業経営の近代化等を図るための資金を貸し付けた農協などに利子補給をしようとするものであります。次に、155ページから156ページにかけて、3目農業構造改善対策費の主なものでありますが、経営構造対策事業費は、効率的かつ安定的な農業経営を育成するため、農業近代化施設等の整備に対し助成しようとするものであります。次に、4目農業改良普及費の主なものでありますが、女性高齢者対策事業費は、農山漁村における男女共同参画及び女性の地位向上に向けた施策を推進するとともに、生涯現役を目指す農村高齢者が生き生きと農業生産や地域活動を行う支援体制の整備に対し助成しようとするものであります。次に、5目農業振興費の主なものでありますが、いわての農林水産物まるごと展開事業費は、農、林、水産が一体となった県内外への総合PRの実施により、県産農林水産物の需要拡大を促進するとともに、地産地消の推進を図ろうとするものであります。158ページに参りまして、いわて農業担い手支援総合対策事業費は、農地の利用集積による意欲ある担い手を育成・確保し、地域ぐるみ農業を推進するため、生産から流通に至る各種の条件整備に対し助成しようとするものであります。次に、6目農作物対策費の主なものでありますが、水田作付体系転換緊急推進事業費補助は、生産調整の緊急拡大を達成するため、米から他の作物等への転換を図る農業者に対し助成しようとするものであります。また、地域ぐるみ生産調整緊急支援事業費補助は、稲作担い手への軽減や麦・大豆、園芸作物への集積を促進し、担い手の育成や地域全体の農業所得向上を図るために取り組む集落に対し助成しようとするものであります。次に、159ページから160ページにかけて、7目畑作振興費の主なものでありますが、県産大豆生産販売緊急対策事業費は、県産大豆の販路拡大を図るため、消費者、小売業者、加工業者等を構成員とするいわての大豆普及推進協議会を設立し、総合的な生産販売対策を行おうとするも
 次に、166ページをお開き願います。2項畜産業費1目畜産総務費の主なものでありますが、畜産団体育成対策費のうち、岩手県肉牛生産公社経営改善資金貸付金は、同公社の運営の円滑化を図るため、無利子資金を貸し付けしようとするものであります。次に、2目畜産振興費の主なものでありますが、畜産振興総合対策事業費のうち共同利用畜舎整備事業費補助は、家畜排せつ物処理の適正化を図りながら、肉豚生産を効率化、共同化するための施設整備に要する経費に対し助成しようとするものであります。また、168ページに参りまして、家畜畜産物流通対策事業費のうちいわて短角和牛流通対策費補助は、いわて短角和牛の販売促進に要する経費及び株式会社岩手畜産流通センターが実施する高性能の冷凍・解凍施設の整備に要する経費に対し助成しようとするものであります。次に、3目草地対策費の主なものでありますが、県営畜産経営環境整備事業費は、家畜排せつ物処理施設等を整備し、家畜経営に起因する環境汚染の防止と経営の合理化に資するための整備に要する経費であります。次に、4目家畜保健衛生費の主なものでありますが、家畜保健衛生所施設整備費は、盛岡家畜保健衛生所の本館等施設建設工事等に要する経費であります。次に、170ページに参りまして、5目農業研究センター費は、畜産研究所の管理運営及び研究活動に要する経費であります。
 次に、172ページをお開き願います。3項農地費1目農地総務費は、農地関係職員の人件費など管理運営に要する経費であります。次に、172ページから174ページにかけて、2目土地改良費の主なものでありますが、ほ場整備事業費は、農地等の区画形質の改善を中心に農道、用排水路等を総合的に整備するとともに、農地の利用集積による農作業の効率化を図るための整備に要する経費であります。次に、175ページに参りまして、3目農地防災事業費の主なものでありますが、ため池等整備事業費は、老朽化した水利施設の災害の未然防止を図るための整備に要する経費であります。次に、4目開墾建設事業費の主なものでありますが、農地開発事業費は、農業経営の規模拡大等により自立経営を図るため、農地造成、農道、用排水施設等の整備に要する経費であります。次に、176ページに参りまして、5目農地調整費の主なものでありますが、農地保有合理化促進費は、農業経営の規模拡大、農地の集団化など農地保有の合理化を促進するため、社団法人岩手県農地管理開発公社が行う農地の売買、賃貸等に要する経費を助成するものであります。
 次に、大きく飛んで257ページをお開き願います。11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費1目農業用施設災害復旧費は、過年災及び現年災の災害復旧工事に要する経費を見込んだものであります。
 次に、債務負担行為について御説明申し上げます。
 議案その1に戻っていただきまして、11ページをお開き願います。第2表債務負担行為の表中、12ページの8から33までの26件が農政部の所管に係るものであります。まず、8は、市中金融機関が岩手県農地管理開発公社に融通した農地の買い入れ資金等について、元利金の償還がない場合の不足額の損失補償であります。それから、9から17土地改良負担金償還平準化事業による資金の融通に伴う利子補給補助までは、各種資金の融通に伴う利子補給等であります。18から33農地開発事業までは、平成13年度から翌年度以降にわたって施工される工事等であり、いずれもそれぞれ期間及び限度を定めて債務を負担しようとするものであります。
 次に、23ページをお開き願います。議案第3号平成13年度岩手県農業改良資金特別会計予算についてでありますが、歳入歳出それぞれ7億3、534万円余であります。
 24ページに参りまして、歳入の主なものでありますが、1款繰入金は、一般会計からの繰入金であり、3款諸収入は、貸付金に係る償還金が主なものであります。
 次に、歳出でありますが、1款農業改良資金貸付費は、農業経営の安定や生産力の増強を図るため、一般資金、畜産振興資金、経営規模拡大資金、特定地域新部門導入資金について、無利子で貸し付けしようとするものであります。
 次に、62ページをお開き願います。議案第17号農業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてでありますが、これは、県営等で実施するかんがい排水事業、ほ場整備事業など、農業関係の建設事業に要する経費の一部を受益市町村に負担させようとするものであります。
 次に、議案その2の44ページをお開き願います。議案第35号岩手県手数料条例の一部を改正する条例であります。当部の所管するものは、49ページの下から2行目の別表第6関係で、その内容は家畜注射手数料の額を改正し、あわせて所要の整備をしようとするものであります。
 次に、69ページをお開き願います。議案第37号繭品質評価手数料条例を廃止する条例であります。これは、繭品質評価業務を繭取引当事者へ移行することに伴い、繭品質評価手数料条例を廃止するものであります。
 以上で説明を終わらせていただきます。よろしく御審議くださいますようお願いいたします。

〇佐々木一榮副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
 17人の方が今質問予定をされておりますので、関連する質問事項につきましてはなるべくまとめて質疑を行い、また、執行部におかれましては簡潔明瞭に御答弁方お願いを申し上げます。

〇藤原良信委員 委員長の申し出がございますので、1点で私は質問させていただきます。簡潔に質問させていただきますので、お答えの方もよろしくお願いいたします。
 予算に関する説明書の172ページでございますが、中山間の地域総合整備事業費等に関しましてお尋ねをいたします。特にも、私の地域であります気仙地方を題材にとって、ちょっとその進捗状況について予算の執行上とあわせてお示しをいただきたいと思います。
 気仙地方の特色を若干申し上げますと、簡潔に申し上げます。済みません、これは起承転結がございまして……地理的条件が極めて、これは環境がございまして狭隘で非常に狭く、そして分散している耕地が多うございます。そういう特徴が一つございます。それから2番目といたしまして、水田の整備率は新いわて農業・農村整備計画の水田整備率表の資料からいきますと、岩手県全体が55.26%の整備率ですけれども、気仙地方の大船渡市、陸前高田市、住田町、三陸町の整備率というのが、これは極めて低いんですね、整備率が。36.7%です。まだ、これから整備をしていかなければならないという数字だと思います。気象条件は非常に温暖で、10月から2月の平均気温が盛岡市を題材にしますと2度以上も高いという、農作物の生産には極めて優位なところがございます。そういう諸条件が気仙地方の耕作地帯でございます。その中で、耕作の放棄率が極めて高くなってございます。岩手県の全体からいきますと、この気仙地方の耕作の放棄率が20%を超えていると、岩手県が6%台だということでいきますと極めて高いわけなんです。そういう観点からいきますと、農用地の確保の必要性が極めて重要になってきます。耕作放棄率をこのまま見過ごすことになりますと、農業生産の低下はもとより環境の保全や景観形成の上からも極めて大事な課題でございます。これまでの農業生産の向上を目的とした基盤整備に加えまして、地域の環境保全を含めた農用地の確保の対策が近々の必要性を帯びてくることになろうと思います。
 そこでですけれども、中山間の地域総合整備事業の必要性が生まれてくるものだと思います。気仙地方では県内陸部と比較いたしましても、このような理由から非常に耕作放棄率が多くなっていると思っております。このため、農業の効率を図るための基盤整備を行いまして、耕作放棄や農地の休遊化を防止する必要性があろうと思います。そして、また過疎化や高齢化による集落社会の崩壊を防ぎ、農村・農業の継続性を保つために定住条件を改善して、活力のある地域づくりを推進する必要があろうと思います。そういう意味で、大船渡市が中心となりまして──日頃市地域ということを伺ってございますが──中山間の整備の事業を県に御相談をされていることと思いますが、将来的な観点からその進捗状況、この事業の推進がぜひ必要でありますので、そういう観点から全体的な岩手県の中山間の地域総合整備事業を今回も予算計上されておりますけれども、これを将来充実させていくとともに、この気仙地方の課題について当然おわかりのことと思いますけれども、担当次長等からその進捗状況についてお示しを賜りたいと思います。

〇高橋農政部次長 ただいま中山間地域総合整備事業についてお尋ねいただきました。現状につきましては、委員御指摘のとおりでございます。今、お話ございました中山間地域の活性化についていろいろお話ございましたが、農業生産基盤の整備、それから集落道とか営農生活用水施設など、生活環境関連施設の整備を一体的に進めておりますのが中山間地域総合整備事業でございます。県といたしましても、中山間地域の対策につきましては農政の重点施策の一つとして考えてございまして、この事業を積極的に進めているところでございます。進捗状況でございますが、これまで完了地区も含めまして28市町村42地区で事業を実施しているところであります。今後とも、積極的に推進してまいりたいと考えているところでございます。
 お尋ねの大船渡の日頃市地域でございますが、ここに中山間地域総合整備事業についていろいろ要望がございます。県は、平成11年度から調査を行っております。現在、地元の方々あるいは市当局からいろいろ要望をお聞きしながら、平成14年度の採択に向けて鋭意取り組んでいるところでございます。

〇谷藤裕明委員 3点について簡単にお伺いをいたします。
 先ほど林業水産部の方でもお聞きしたんですけれども、農政部にも聞かないとちょっと片手落ちだなと思ってお聞きしたいと思うんですけれども、今度の組織再編にかかわって規模は大変大きくなる部になるわけですけれども、一般的には業務効率が大きく低下するんじゃないかなと心配している声もありますし、縄張り意識が出て、またどう調整していくのかという問題やらいろいろあると思いますけれども、農政部として独自のメリットというものはこの再編によってどういう点が起きてくるだろうと予想されるか、その辺についてお聞かせをいただきたいと思います。
 それから、先ほども出ましたけれども、地産地消についてですけれども、花巻の地方振興局で昨年から取り組んできた事業だと思うんですけれども、オール地場産品による学校給食への取り組みをやってきたということで私は高く評価しております。農林部の方で頑張ったようですけれども、学校給食の関係ですから栄養士とか各市町村の教育委員会、それに農政部も入って実行委員会を結成して、管内の小・中学校に統一メニューで地元の食材を使ってそれを食していただくというようなことで取り組んだようですけれども、このオール地場産品学校給食の今後の取り組み、そして今までやってきた部分の評価も含めてお聞かせをいただきたいし、また、いいことだなと私は非常に思ってるので、全県に一過性のものに終わることなく、ぜひこれを全県に広めていってもらいたいなと思うんですけれども、その辺のお考えがあればお聞かせをいただきたいと思います。
 それからもう1点、新規就農対策ですけれども、予算における重点説明書の47ページに新規就農総合対策事業費というのがございますけれども、最近の就農状況はどうか、あと定着というのはどうなっているのか。それから、せっかく就農しても離農する場合も多いとも伺っているわけですけれども、この原因は行政側が支援してどうにかなったものなのか、どうにもならない原因によって離農していっているものなのか、その辺についての課題と対応についてもお聞かせをいただきたいと思います。
 それから、平成9年からいわて農業入門塾というのが開塾してあるわけですけれども、この辺の状況についてもあわせてお聞かせいただきたいと思います。

〇佐藤農政部長 私からは、農政部と林業水産部の統合に関連した御質問に対してお答え申し上げます。それから、学校給食を中心とした地産地消の問題、それから新規就農対策については、それぞれ担当課長の方からお答え申し上げます。
 来年度からスタートいたします農政部と林業水産部の統合は、新しく農林水産部ということでスタートするわけですけれども、今回のこの再編の大きな目的は、やはり本県の目指しております総合的な食料供給基地の形成を目指した産業活動の支援体制というものを充実強化していくということだと思っております。そういう意味で、例えば具体的には生活環境整備事業などの農山漁村の総合的な整備でありますとか、あるいは農林水産物の流通あるいは販売対策の一元化、また、次代を担う農林漁家の育成等の課題といったものに部門連携して取り組んでいくということに大きな意義があるということで、私ども農政部といたしましても、4月からのスタートに向けて林業水産部と一緒になって担当レベルでワーキング・グループ等を設置いたしまして、このスタートに向けてのさまざまな課題について検討を進めておるところでございます。組織が新しく整備され、スタートをした後においても、そういった横の連携といいますか、今設けておりますそういう組織を引き続き継続しながら、より機動的で効率的な組織運営を図って、それで農業あるいは水産、林業といった振興に積極的に取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。

〇佐々木農産物流通課長 オール地場産品学校給食の評価と今後の対応についてのお尋ねについてでございますけれども、昨年、花巻地方振興局が地場産品を活用しながら取り組んだいわてまるごと給食でございますが、学校給食に県産農産物の利用拡大を一層進めるということで、モデル的な取り組みとして実施したものでございます。その結果、児童生徒に対しましては、その地域ならではの食材を利用した豊かな給食を提供することによりまして満足感が与えられたというように認識してございますし、その食材が生産される農業・農村というものへの理解が深まるなどの成果が得られたと考えているところでございます。
 ただ、一方で、県産農産物の価格でありますとか、供給量の安定あるいは配送体制の整備など、まるごと学校給食を進める上で解決していかなければならない課題も明らかになったところでございます。こうした課題を解決して、その学校給食を全県的な取り組みとして普及拡大していくために、関係者が連携をとって進めていく必要がございます。このために、教育委員会、農業団体、それから食品加工・流通等の関係者、さらには、委員から御紹介ありました栄養士さんなどで構成します岩手県学校給食県産農産物等利用推進懇談会を設置いたしまして、去る3月16日でございましたが第1回の会議を開催したところでございます。
 今後におきましては、この懇談会等の意見等も踏まえまして、学校給食への県産農産物等の利用促進するための基本的な方向を大体6月を目途に取りまとめまして、その方向に沿って全県的な推進を図ってまいりたいと考えてございます。

〇平野農業普及技術課長 新規就農対策のことについてお答えをいたします。
 まず、新規就農者の状況についてでございますけれども、平成9年度から11年度までの3カ年につきましては、89名、87名、89名という数で推移をしてございます。12年度の状況につきましては、現在、普及センターの方で取りまとめ中でございますが、県立農業大学校の新卒者の就農状況で見ますと、これまで15名程度でございましたが、今年度につきましては33名が見込まれてございます。
 それから、新規就農者の定着状況ということでございますが、平成7年度からスタートしてございます就農支援資金の貸付者への状況ですが、既に就農している130名の状況を見ますと、その中で離農している者は2名ということで、大部分は就農されて継続して営農されていると認識してございます。離農の原因ということでございましたが、就農者が希望する作物について必ずしも地域の周りでやっていない、地域の支援の状況が不十分というミスマッチのようなこと、あるいは就農のために市町村の研修農場に引っ越してきていた方が、なかなか適当な農地の手当てが地元でできなくて別に移ったという例がございます。
 それから、いわて農業入門塾についてでございますが、新規就農希望者あるいは県内外の農業に関心を持っている方々を対象にして、農業の知識あるいは栽培方法などを実践的に研修させるということで平成9年度から実施してきてございます。これまで350名を超える受講者がございます。受講者のその後の状況についてでございますが、既に就農している人は15名から20名と把握してございます。また、近い将来就農を考えている人は50名程度と見込んでございます。13年度におきましては、この入門塾に入門コース、それから先進農家研修コースとありましたが、新たにインターネットによりまして、農業の基本を自宅で勉強できるEメールコースというものを設けることにしてございます。

〇佐々木一榮副委員長 谷藤裕明委員の質疑途中ではありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、10分間程休憩いたします。谷藤裕明委員御了承願います。
   午後3時4分 休 憩
   午後3時19分 再 開

〇中屋敷十委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。

〇谷藤裕明委員 先ほどもう終わってもいいような状態でしたけれども、せっかくの機会ですから。
 林業水産部の方でもお聞きしたわけですけれども、林業水産部では、今度、組織再編に伴って期待するものというのは、農政部と同じ部屋になったと。そうなったときに、木材などの活用で、農業部分──農業土木とかいろいろ関係あるかもしれません──にも自分らのものが今まで以上にかかわりを持っていけるのではないかという期待の声が実際にありまして、縄張り意識はそれぞれあるでしょうけれども、そこがもっと密になっていっていい成果が生まれていくというものを具体的に出していってもらいたいと思います。
 先ほど、いろいろな部分で一元化が図られることでいい部分が出てくるのではないかというお話もいただきましたけれども、例えば、シイタケの場合特用林産ということで、どっちかというと今までは林業水産部の林業関係の部分だったんでしょうけれども、これが経済連、森林組合、椎茸農協と三つに分散していたものが、今度そこに入ったときに、何か農政部としてそれにかかわっていける分野というのは特にありますでしょうか。

〇佐藤農政部長 今回の統合に伴いまして、例えば組合等の団体指導、こういったものに一元的に対応できますし、それから、今もお話ございましたように、農林水産物の流通販売を一緒になって一体的にやれるというのが一番のメリットではないかなと思っています。そういう意味で、今、お話のございましたシイタケ等の販売対策についても、確かにおっしゃるとおり、今、農協関係の団体でもやっていますし、それから森林組合等の関係の団体でも取り扱っておりますので、そういったものがより連携がとれた形で、岩手県のシイタケを全国的に展開できるようにぜひ取り組んでいきたいと考えているところでございます。

〇田村正彦委員 4点お聞きいたします。
 まず、予算書にありますいわて農業担い手支援総合対策事業、これは、かねてから認定農業者から非常に要望の強かった件、いわゆる認定農業者になったり担い手農業者になっても何もメリットがないのではないかという強い指摘があったわけですが、それにこたえる形でこういった事業が出された。8億円ぐらいですか、予算計上されたということは、本当に認定農業者あるいは担い手にとって心強い限りだと思いますし、この場をおかりして当局の姿勢に敬意を表します。
 そこで、この事業の内容ですが、どういう内容なのか御説明をいただきたいと思います。
 次に、かけはしの価格についてでございます。
 御案内のとおり、かけはしは、沖縄の石垣島での種子の栽培を受けて、岩手県の農政部挙げての事業の結果の水稲の品種だと理解しております。我々県北の水田農業のエースだと思っているんですけれども、このかけはしの価格が、先般の2月23日の自主流通米第8回の入札の結果を見ますと、北海道を除いた本土の65品目の中で下から2番目の価格なんです。確かに需要と供給ということもありますし、また、いかにして全量をさばくかという難しい問題もあると思うんですが、我々生産者から見ると、岩手県の米が青森県の米より安いという非常に釈然としないものが現実としてあるわけなんです。このかけはしの価格問題についてどういう御認識をお持ちなのかお聞きします。
 次に、これも岩手県の園芸作物、県を挙げて取り組んだキャベツでございますけれども、何とか目標面積に達するレベルまで向上したわけなんですが、これも御案内のとおりの去年の価格の暴落ということで、非常にキャベツの生産農家の生産意欲の低下が懸念されております。昨年12月の一般質問でも私、申し上げました。キャベツ対策をどうするんだということで質問した経緯があるわけですが、それに対する答弁では、基金制度、中身はどう変わるかわからないけれども、引き続き出荷団体で自主的に運営できるような誘導をしていくという答弁がございました。また、それと同時に、機械化によるキャベツの一貫生産というのもその際の答弁にございました。こういった点が来年度予算にどう生かされておるのかお尋ね申し上げたいと思います。
 最後に、これは肉牛生産公社の問題でございますが、予算書にもありますとおり、無利子資金9億4、800万円を計上されて再建に向けてスタートするということでございますが、外部監査というんですか、包括外部監査人ということで議会にも意見が提示されております。この中で、減価償却の問題も結構大きいウエートで指摘を受けております。ただ、私、非常に疑問に思うのは、減価償却を見なさいというような表現がこの監査報告ではあるんですけれども、索道、そういったものまで減価償却の対象にしなさいという意見が付されておるんですが、私から見れば、これは性格上、果たして減価償却で見るのが妥当なのかどうかという単純な疑問があります。こういった見方に対してどういう御見解をお持ちなのか。
 それから、再建策というのを策定なされておるわけですが、その中で、改良部門と一般事業部門をはっきり区分けしていこうと。改良部門、これはあくまでも改良部門だから県費で賄う。いわゆる赤字でもいいんだ、これは県費で責任を持って賄っていくんだ。そして、一般事業については収支均等の精神で今後進めていくという表現が再々建計画には載っております。その一般事業の部門で収支均等でいくという表現をなされておりますが、果たして収支均等でいけるのかどうか、この目安、どういった対策を立てて収支均等でいけると見ているのかをお尋ね申し上げたいと思います。

〇佐藤農政部長 私からは、肉牛生産公社の包括外部監査の結果の関係についてお答え申し上げます。
 まず、固定資産の減価償却の取り扱いについて指摘をいただいておるわけでございますけれども、公益法人会計は、企業会計と異なりまして減価償却が強制されていない。あるいはまた、公社の公益事業運営上の性格など総合的に勘案してみると、従来、公社では、道路であるとか、あるいは隔障物、ヤード等、そういった構築物については、理事会あるいは総会の議決──これは昭和58年にやっておりますけれども──で減価償却の実施を見合わせてきたという経緯がございます。ただ、一方では、公益法人にとって事業運営に必要な施設機能の維持でありますとか、あるいは施設設備の更新の方法は公益事業の機能維持にも重大な影響を与えるということで、近年は公益法人にあっても自主的に償却を行って、そして資産の価値減少を決算に反映させることが必要ではないかといった意見も強まっております。こういうことから、このたびの包括外部監査の指摘を踏まえまして、構築物の減価償却のあり方につきましては外部の有識者の意見を聞く、これは実は公社の経営改善計画といいますか、公社の経営の健全化に向けて、県としても、来年度は有識者による検討会といいますか、そういうものを設けたいと考えておりますので、その有識者の検討会の場で減価償却の取り扱いについての意見を聞くなど、今後十分な検討が必要であると考えております。
 それから、もう一つの、いわゆる改良事業以外の一般事業の取り扱いの問題ですけれども、これについてももちろん公社の健全経営を図るために収支均衡を図っていくということが必要なわけでございます。12年度末で、一般事業については私どもの区分で見ますと累積2億8、000万円ほどの赤字もございますので、そういうことで早期に解消していかなければならないと認識しております。
 いずれ、この件についても、公社全体の健全経営に向けて、検討を行う検討組織の中で、改良事業、一般事業を含めて検討して、今後の方向づけをしてまいりたいと考えているところでございます。

〇澤田地域農業振興課長 いわて農業担い手支援総合対策事業の概要につきましてお尋ねがございました。
 農業者の減少や高齢化が進んでいる中で、本県農業の生産基盤を確固たるものにするためには、地域農業の中心的な担い手、意欲ある担い手を育成していかなければならないと思っております。
 この事業のねらいでございますけれども、これまで実施しております作目別の生産振興施策に加えまして、新たに認定農業者など意欲ある担い手の育成をねらいとしたいわて農業担い手支援総合対策事業を創設するということで考えたわけでございます。
 事業の内容でございますけれども、意欲ある担い手であります認定農業者に対しまして、トラクター、コンバインなど高性能農業機械を専属利用させる方法、あわせまして、青年農業者を育成していくために、認定農業者と同様に、機械、施設を専属利用させていきたいと。また、園芸作物の生産振興を図っていきたいということから、野菜の定植機、収穫機や、あるいは養液栽培など省力化・低コスト化を促進するための機械、施設を優先的に採択することとしたところでございます。さらに、女性や高齢者の労働環境を改善するためのトイレあるいは休養施設など生産環境施設を事業メニューに加えたところでございます。
 今後のこの事業の実施に当たりまして、国庫補助事業あるいは融資事業などを効果的に組み合わせまして、認定農業者など意欲ある担い手の経営基盤を強化してまいりたいと考えております。
 こうした取り組みを通じまして、認定農業者を中心としますところの地域ぐるみ農業を一層展開しまして、それぞれの地域の特色を生かしました個性ある産地を形成しまして、県の農業・農村基本計画が目指します我が国の食料供給基地としましての地位を着実に築いてまいりたいと、こう考えておるところでございます。

〇佐々木農産物流通課長 かけはしの価格についてでございますけれども、平成12年産米の入札は全銘柄において価格が下落するとともに、落札比率が大きく低下するなど、厳しい環境下にございました。また、入札取引が食味値の高さに連動した形で行われているということからしましても、かけはしは大変厳しい販売となったところでございます。
 しかし、かけはしと同様に、業務用米として取引されてございます銘柄、青森のむつほまれあるいは北海道のきらら397と比較してみますと、それぞれ60キログラム当たり250円から350円ぐらい高い価格となってございまして、このことは、厳しい状況下でありましても、かけはしの品質、食味がすぐれているということが評価されているものと考えているところでございます。
 県のオリジナル品種でございますかけはしは、県北地帯に適した唯一の良食味米でございますし、また、近年、弁当でありますとかすしなどを提供してございます大手炊飯加工業者等を中心に業務用米が伸びてきているという追い風もございます。今後とも、すぐれた生産環境で栽培されている県産米ならではの特性を積極的にPRしながら、より高い価格で販売されるよう努めてまいりたいと存じております。

〇千田農産園芸課長 キャベツの関係でございますけれども、平成9年度から、価格の低落時においても継続出荷できるように、先導産地育成基金を創設して、作付拡大、販売促進に取り組んできたところであります。平成13年度以降は、基金の繰越金を財源の一部といたしまして、出荷団体が自主的に運営する基金制度に移行しまして、引き続き生産者の意欲の醸成を図ることとしているところでございます。
 さらに、価格安定対策でございますけれども、キャベツを含む指定野菜につきましては、これまでは最低保証基準額を下回る低落分、いわゆる足切り部分と申しますが、この足切り部分は交付の対象外とされていたところでございます。しかし、13年度からこの足切り部分に対しましてもその8割まで保証できるよう新たに県単事業を拡大することとしているところでございます。
 また、生産面でございますけれども、生産所得をできるだけ多く確保していくということも経営の安定を図るために非常に大事でございますが、このために、販売価格向上の前提となります良品質生産あるいは鮮度保持を徹底することはもちろんでございますけれども、生産に当たっての省力・低コスト化、そのための農業機械・施設費をできるだけ抑えて実質的に単収を上げていくといった、実質的に生産コストを下げていくことも大事であると考えております。こうした観点から、来年度から新たに、先ほど地域農業振興課長が御説明申し上げましたいわて農業担い手支援総合対策事業をこのキャベツ振興に当たりましても積極的に導入してまいりたいと考えております。

〇田村正彦委員 いわて農業担い手支援総合対策事業に触れて認定農業者のお話があったわけでございますけれども、認定農業者の認定の際に、年齢の制限というのがあるのかどうか。と申しますのは、我々地域営農に当たる際に、なかなか若い人のなり手がないという現実もあるわけです。なり手がないということは、それで子供を養育したりなんかする十分な所得が得られないという状況も現実にあるわけです。そういったことで、今、盛んに地域で話し合われていることは、退職者、例えば地域の人で農協に勤務されていて、その方が57歳ぐらいで退職して地域に帰るといった場合に、こういった人たちを認定農業者として確保して地域の営農の中核になってもらう。それを継続的に繰り返すことによって地域というのは継続性が出てくるというような意見が結構あるわけなんです。そういった観点から、認定農業者のあり方、年齢制限のあり方、もし制限しているのであれば、そういった制限もこれから考えていかなければならない時代だと認識しているわけですが、その辺の見解をお尋ねいたします。
 キャベツについてですが、御案内のとおり、キャベツは生産地の競争が物すごく厳しいものです。今、まさに岩手のキャベツというのは正念場にあるのではないかという認識を持っております。ここで行政の支援を、カットという表現はよくないんですけれども、支援がなくなったことによって、せっかく今まで岩手のキャベツということで確保したシェアが下がってしまえばもうぼろぼろになってしまうということで、私はここ二、三年が群馬、長野に対抗する正念場だと思うんです。ぜひこの支援策というのを強化していただきたいと思っていますし、今、やっている事業をぜひ効果を上げるべく頑張っていただきたいと思っておりますし、そういう観点から、足切りに対応する予算額というのは大体どの程度なものかお尋ねして終わります。

〇澤田地域農業振興課長 認定農業者につきまして年齢制限がないか、あるいは地域農業に取り組むためには、退職した方も含めて進めるべきではないかというお話でございますけれども、国が定めております認定農業者につきましては特に年齢制限はございません。それから、本県におきまして、地域ぐるみ農業を中心としまして地域農業生産を振興するために、もちろん地域に住んでいる方々、やっている方々のほかにも、退職されまして就農されていく方々を支援してまいりたいと思っておりますし、現在、主業型農家を希望する方々を対象にしましてデータベース化を進めておりますけれども、そういう方々を重点的に指導してまいりたいと思っております。

〇佐々木農産物流通課長 足切りに対応する分でございますが、事業費ベースで1、880万円ほどでございます。

〇及川幸子委員 地元農産物の促進についてお尋ねいたします。1点でございます。
 人の多く集まる道の駅での産直販売は、地域の人々、そして県内各地から訪れる人々にも大変喜ばれ、消費拡大にも大いにつながっていると考えます。県内道の駅を訪れますと産直販売所を併設しているところが目立ちますが、中には、地元姉帯地区の道の駅のように、駐車場、店舗とも大変狭く、産直するにも、屋外利用のため、雨のときなどは販売のできない状態です。農家のお母さんたちが集まって、安全、安心、しかもおいしい農産物ということで販売促進しようとする意気込みがそこで薄れております。今後、県として、このような産直活動をどのように促進なさろうとしているのかお聞かせください。

〇佐々木農産物流通課長 産直活動でございますけれども、産直活動は、生産者の方々が消費者の率直な評価を受けまして生のニーズを学ぶことができるということで大変効果的であるということとあわせまして、地元でとれたものを地元で消費する地産地消という観点からは大変大事だと思ってございます。
 こういう産直活動を具体的に進めていこうということで、県といたしましては、産直活動をやろうとする方々を対象としました産直セミナーでございますとか、あるいはアグリビジネス女性講座等の開催あるいは産直を基点としましたいろいろな事業化、そういうものをやっていこうとする方々に、箱物といいますか、施設整備等の活用等にも支援しているところでございます。

〇及川幸子委員 農家のおばちゃんたち、兼業農家のおばちゃんたちに、セミナー、アグリビジネスというのはとても遠いところの言葉なんですよ。いかに自分たちがつくった農産物を身近なところで売れるかというところで、その道の駅での販売を促進していくおつもりはないかと、そういうところをお尋ねしたんですが。

〇佐々木農産物流通課長 最近の産直施設でございますが、委員おっしゃるような道の駅での出店という形もふえてございます。そのほかに、産直施設単独で、例えば今まで販売だけしていた産直施設がレストランでありますとか加工場をつくる、あるいは小売施設などを設けるなど、最近の産直活動というのは、事業メニューの拡大とか、あるいは複合化が進んできてございます。道の駅の整備にあわせまして、市町村からの産直施設の設置希望があれば、当該市町村や、あるいは所管します土木部との連携を図りまして、これまでも紫波町の道の駅フルーツの里しわに併設されている産直施設など5カ所の整備を支援してきたところでございます。
 今後も、こういう連携を図りまして、国庫補助事業等を活用いたしまして、産直施設の整備でありますとか農産物等の加工施設整備に対する支援を行い、農家のお母さん方が生き生きとして産直活動に励めるような条件を整えてまいりたいと思っております。

〇及川幸子委員 農家のお母さんたちが生き生きとして販売しようと思ったところで私、多くのお母さんたちから相談されました。
 それで、農政部にお伺いしたところ、これは土木部の方の部門だからといって、私、土木部に参りました。そうしたら、今度は土木は、うちでもないと。農家のお母さんたちが経費を自分たちで出して、屋根つきの部分を駐車場につくらせてもらえないかということでお伺いしましたところ、これは土木部だということで土木部に行きましたら、お金を取って物を売るのはまかりならぬということで、今度は地元の地方振興局の方に行きました。ここでもだめだと。そういうことでしたので、今、まさにお聞きしました。これからなさるときはどうぞ連携をとりながら進めていただきたいと思います。

〇藤原泰次郎委員 私からは、4目農業改良普及費に関連してお伺いいたします。
 平成10年の農業改良普及所の再編で普及所が統合され、普及に鋭意努力されていることは私も認識しておるところでございます。本来でありますと現在の部長ではなくて前の方にお聞きしたい面もあるわけでございますけれども、普及センターは、今さら申し上げるまでもなく、農業改良助長法により事業が進められておるわけでございます。私の感じとしては、本来でありますと行政と普及は別と位置づけているわけでございますが、そしてまたさらには、先ほど部長の予算説明の中にもございましたが、行政部門と普及部門の一体化ということで、今までは一体化ではなかったのかなという感じも受けるわけでございますけれども、いずれ説明の中では、今後の再編においては一体化を図るということでございます。これに関連して若干お伺いしますが、農業改良普及の基本的な考え方をひとつお示し願いたいと思います。
 次に、地元のことも若干含めて申し上げさせていただきますが、農業改良普及の関係の中で、紫波農業改良普及所の場合は盛岡に統合されて、現在、紫波・矢巾地区には3人の普及員が対応する形になっております。臨時職員にOBを委嘱するなどの対応をしておりますけれども、システムとしては形が整っているように見えます。しかし、本所との連絡は欠かせず、勤務時間に非常にロスが多いように思います。どうしても本所に出勤し、そこから現場に行くようになりますとなかなか時間がかかり、現場の指導にも影響があるように思われます。職員の勤務も大変ではないかと思うわけでございます。
 このように、前回の再編によって普及所が統合された地域の普及員の勤務状況や、このような地域の農家の指導状況はどうなっているのか、その状況をお伺いいたしたいと思います。この関係は12月議会の伊沢委員からの質問にも関連するわけでございます。そういうことで、ひとつお伺いしたい。
 また、今回の普及所と農政部の再編も、普及所の現場指導の確保には配慮するとの答弁もありましたが、どのように配慮していくのかお伺いするものでございます。
 県の組織変更は、いつも農家は多くは物を言わずということで、いずれは行政の傘の中にどうしても抗し切れない、意見が発揮されないという面もあって、農家としては、いずれは時がたちますとあきらめムードになっている。このあきらめが農業振興にも影響しはしないかという心配もするわけでございますので、その点をひとつお伺いしたいと思います。
 とりあえずは、まず、この2点についてお伺いします。

〇佐藤農政部長 農業改良普及業務の基本的な考え方ということでございますが、この普及業務は本県の場合農業改良普及センターが担っているわけですが、これは御案内のとおり、農業技術や、あるいは経営等につきまして、試験研究機関等で開発された新しい技術とか、あるいは農業者の先駆的な知恵等を地域条件に適応し得るように組み立てて、これを具体的に農家に移転するといいますか、そういった過程の中で農業者を育成する、そしてまた、農村の地域課題の解決を図るということが農業改良助長法で定められている職務だと考えております。
 お話のございました、今回の農業改良普及センターと地方振興局の農政部あるいは農林部との統合といいますか、その中に位置づけることにつきましては、地域農政推進の車の両輪という形であります二つの組織を、一体的にさらにその業務を強化するといったこと、そしてまた、いわば総合性と専門性というものを備えた推進体制をつくっていこうというのが今回の再編の考え方なわけでございますけれども、基本的には、今回の再編で、普及センターの組織体制であるとか、あるいは業務の内容は変わらないということで、むしろ農業に関する制度面と、それから技術指導面の両面からの一体的な取り組みを行うことによりまして、これまで以上に実効のある執行体制が確立できるのではないかと考えておりますし、また、私ども農政部といたしましては、今後とも普及職員の指導能力の向上を図りながら、農家の方々の期待に一層こたえられるように、普及活動の展開を今後とも一生懸命展開していきたいと考えておるところでございます。

〇平野農業普及技術課長 平成10年度の組織再編による地域の普及員の勤務状況と地域の農家の指導状況についてでございますけれども、この統合に伴いまして、農業改良普及センターの職員はすべて普及センター本所に集中配置し、そこからそれぞれ現場に出向くという体制にしたところでございます。この中で、地域との接点が減少しないように、市町村ごとに農業者等の相談活動を行う連絡拠点を設置しましたこと、また、普及センター内に複数市町村を統括する地区主任、それから市町村担当の普及員を配置しまして、農協等との緊密な連携によりまして地域の課題解決に当たることとしたところでございます。さらに、高度で専門的な経営面や技術面につきましては、経営担い手課、それから技術普及課の職員が担当することとしまして、このような体制で総合指導力を強化し、機動的で効率的な指導を展開してきているところでございます。
 また、紫波地域におきましては、旧紫波普及センターを情報センターとしまして、研修会や講習会、さらには農業者との相談や情報提供の場として活用してきているところでございます。
 次に、今回の再編における普及センターの現場指導の配慮についてということでございますが、今回の組織再編は、部長からも答弁ございましたが、行政部門と普及部門の業務推進の一体化をねらいとしたものでございますが、この中にありましても、普及部門の業務内容と指導体制は従来とは何ら変わりがないものとしたところでございます。また、新しい体制の中に企画調整会議を設けまして、両部門の業務の進め方につきまして調整を徹底しながら、総合的、重点的に取り組むこととしたところでございます。特にも、農業改良普及センターにおきましては、このような調整のもとに、普及事業は人づくり──組織づくり、地域づくり──が基本だという認識のもとに、常に現場において直接農業者に接した活動を推進していく考えでございます。

〇藤原泰次郎委員 再編当初は出前指導ということを重点にという御説明で、そのとおりのシステムになっているわけでございますが、ただ、現実に、県内全部調べたわけではございませんけれども、全体として見た場合に、紫波はもちろんその中に入るわけでございますが、特にも時間距離というものに問題がある。
 それから、もう一つは、センターの本所の場合は盛岡の合庁にある。合庁に行きますというと、入り口には履き物の泥を落としなさいとかきれいにしなさいとかという文言があります。それはそれで私は結構だと思います。やはり庁舎は汚れてはうまくないのでそれはわかるんですが、ただ、農民というのは、夏は外仕事というのが多いわけでございまして、ワイシャツやシャツは汗で汚れたり、あるいは泥で汚れたりということで、非常に作業上苦労しておるわけでございます。そういう人にこちらに来て相談しなさいといっても無理ではないかと。やっぱり地域のセンターである程度対応できるような、そういう形でと言えばなんでございますけれども、キュウリの葉っぱに病気が出ましたという場合にはすぐその場に行って、若干の汚れがあったにしても指導できるということでお願いしたいという経過もあったわけでございますので、いずれ今回、若干その辺は配慮していただいたようでございますが、特にも職員の勤務の状況を見ますと、県内の町村の役場といいますか、中心地とセンターの距離を見ますと片道37キロ以上というのが1カ所あるわけでございます。30キロ以上も距離のある場所が、往復になりますと60何キロ。職員は一生懸命勤務時間とのかかわりの中で行ったり来たりということで非常に時間のロスが多いのではないか。その分が技術指導の場合に影響があるのではないかとも感ずるわけでございます。やはりこうしたことを考えた場合には、そうした地域にも、紫波にも若干配慮していただいたわけでございますが、OBの優秀な職員──県職員はみんな優秀なわけでございますが──、そうした優秀なOBでも若干地域地域に配慮して、そういう時間距離あるいはその指導の時間に間に合わないことのないように配慮する考えがあるかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。

〇平野農業普及技術課長 OBの普及員への活用のことでございますが、今の普及センターで直接OBを雇用という形にはまいらないかと思いますが、確かに普及のOB職員は経営面や技術面で高いレベルを持っておりますので、地域の期待も大きいという実情がございます。そういうことから、例えば、市町村が経営改善支援センターというものを設置してございますが、そういったところにはOBなどを農業経営指導マネジャーという形で生かしていただいておりまして、12年度はその数が10名という数字になってございます。また、地域ということにつきましては、例えば普及センターでは産休代替職員というものがこのところふえてございますが、12年度では4名、やはりOBの方にその職で持ち前の経験、技術力をそういった形で発揮していただいております。

〇藤原泰次郎委員 そのようなことで大変な時間ロスがあるので、費用対効果ということが言われておりますが、いずれはやはり迅速な指導ができるような体制を考えていただきたいと思います。
 次に、5目農業振興費の関連と13目農業研究センター費のかかわりについてお伺いします。
 現在のところ、本県としては、農業振興の一番のもとである生物工学研究センター、そしてまた、岩手県農業研究センターがあるわけでございますが、そのどちらにも共通することでございますが、生物工学研究センターは平成4年に設立されて今日に至ったわけでございます。今日までいろいろと研究なされてまいったわけでございますが、現在の取り組みとこれから目指すべき研究の主要なものは何があるのかということが第1点。
 二つ目は、農業研究センターも同じことでございますが、いろいろと大きな成果を上げているのは御案内のとおりでございますけれども、各部門ともそれぞれあるわけでございますが、各部門全部は要りませんが、その中の主要な項目の研究のテーマ、そしてまた、今後の見通しについてお伺いいたします。

〇平野農業普及技術課長 生物工学研究センターのテーマと目指す方向ということについてですが、現在、生物工学研究センターでは、水稲やリンドウなどの耐病性品種の開発、保存性の高いシイタケ優良品種の開発、優良こうじ菌の育種などに取り組んでございます。
 生物工学研究所の目指す方向としましては、いずれこのような新しい技術を持ち込みまして、他県にない優位性の発揮できる農産物をいち早く開発し、産地間競争に優位的な形で持っていこうと、そういうことで鋭意努力しているところでございます。
 農業研究センターでございますが、最近のテーマとしましては、水稲あるいは花卉のオリジナル品種の開発、稲作等の低コスト・省力技術の開発ですとか、あるいは、最近広範に問題になっております環境保全型農業技術の開発、さらには、中山間地域の活性化方策、また、畜産の方では、高品質、低コスト生産技術の開発ということを重点課題として取り組んでいるところでございます。
 農業研究センターの目指す方向も生物工学研究センターと同様でございますけれども、例えば、これまでの成果としまして、酒造好適米品種では吟ぎんがに次いでぎんおとめというものが出てございます。それから、耐冷性も備えた良質食味米の水稲品種岩南16号というものも開発されてございますし、花でも、リンドウ、スターチス、小菊という独自の品種を開発してございます。このようなものを着実に積み重ねまして、ますます農業環境が難しくなる中で、産地間競争に優位な立場を築いていこうということで今後とも努力してまいりたいと思います。

〇及川敦委員 いろいろお伺いしたいわけでありますが、まだ6人目でございますので、質問は1点にして、あとは意見を申し上げたいと思います。
 今議会は、増田知事の知事演述の中で地産地消という言葉が出てきまして、きょうの委員会でもいろいろそういった議論がありました。本県農業を盛り上げていくためにはこの地産地消というのは非常に大事な概念だと思いますし、これを実現していくためには、私は食と農をいかに近づけるかというのが非常に大事だと思っております。その意味では、今回提案されています議案の中で、一学校一農園事業とか、純情米の学校給食安定供給事業、昨年に引き続きまた予算化されているわけでありますけれども、こういった事業はすごく大事だと思いますし、今、喜ばれておると思いますので、そのような声もたくさん聞いておりますので、ぜひまた積極的に進めていっていただきたいと思います。
 これに関連して伺うわけでありますけれども、昨年、食と農の距離を非常に乖離させた事件が雪印牛乳の事件であったと思うわけでありますが、あの事件以来、消費者の方々は牛乳を購入する際に非常にナーバスになっているのは御承知のとおりだと思いますし、特に学校給食でミルク給食がかなり普及しているわけでありまして、その現場において本当にどうなんだという声もまま聞くわけであります。その意味で、農水省の方では、学校給食に供給する牛乳についてはハセップ承認を受けさせることの方向ということも伺っているわけですが、現状、県内の牛乳の供給体制においてハセップ承認の生産工場等がどのような状況になっているのかお知らせいただきたいと思います。

〇佐々木農産物流通課長 ハセップの対応についてでございますけれども、委員おっしゃるように、国では、将来的には乳業施設のハセップ承認取得を事業選定の要件としたい意向であるということは伺ってございます。
 県内の状況についてでございますけれども、現在、学校給食に牛乳を納入している業者は16業者でございますが、そのうち、ハセップの承認を受けているのは小岩井乳業の小岩井工場、雪印乳業の花巻工場の2業者でございます。また、現在、奥中山高原農協乳業でで申請中でございます。そのほかに、不二家乳業、岩手牛乳、大石乳業では取得に向けまして、現在、研修を受講するなどの取り組みを行っているということで、4社が進行中ということでございます。進行中と取得であわせて6社でございますので、あとの10社につきましては、早急にハセップの取得に向けて検討するよう積極的に指導してまいりたいと考えてございます。

〇及川敦委員 16業者中10社がまだ未対応だということで、これから御対応いただけるということでございますので、ぜひ進めていただきたいと思います。ハセップがすべてだとは私も思いませんし、その生産体制のところからいろいろ吟味していかなければいけないと思っておりますが、健康で安全な牛乳の供給体制ができているのであれば、その旨きちっと、これまでも少しやってこられたようでありますけれども、私も商工文教委員会所管の委員でありますのでそちらの方でも申し上げたいと思っておりますけれども、県産牛乳の安全性のPRも含めて、きちっとPRをお願いしたいと思っております。よろしくお願いします。

〇佐藤力男委員 3点についてお尋ねいたします。
 まず、農業振興費のうち、中山間地域直接払制度についてお尋ねいたします。
 冒頭の部長の説明にもございましたように、12年度の直接払い、いよいよ今月行われる運びとなっております。本県における実施状況は、東北や全国平均に比べても高い実施率になっていると示されております。まずもって、取り組みに当たられました集落関係者初め、市町村、県の関係者の御尽力に敬意を表するところであります。
 そこでお伺いいたしますが、この制度は、我が国の農政史上初めての制度であり、取り組みに当たってさまざまな問題も出されたと思いますが、その内容と、今後、普及を図る上で、そうした対応を含めてどのように進められていくお考えなのかお尋ねいたします。
 次に、畜産振興費、種山牧野放牧事業の移管についてお伺いいたします。
 種山牧野は、明治34年に馬の夏季放牧場として開設以来100年の歴史を持っております。放牧事業は、本県の畜産振興はもとより、その牧歌的景観は県民に広く親しまれ、特に宮澤賢治はこよなく愛されまして、歌われた牧歌は余りにも有名でございます。このほど、県は、県営の種山牧野事務所を廃止し、今後は家畜改良業務を中心に黒毛和種種雄牛の造成に取り組むことといたしましたが、本県の肉用牛の振興を図るためには、今後ともこの放牧事業自体をなくしてはいけないという声も広くあることは御承知のとおりでございます。
 こうしたことから、今後は、種山預託放牧に係る管理運営協議会が事業運営に当たると聞いておりますが、その業務を続ける上で、スムーズにこの移管を進めることは極めて重要だと思いますが、どのようにお進めなのか、この事業への県の対応についてお伺いいたします。
 最後に、土地改良圃場整備事業に関連してお尋ねいたします。
 県では、これまでも県の管理する道路や河川などと一体となって、圃場を整備するという方途を可能な地域では取り組んでこられたところでありますが、この事業を進める上で、予算の措置など、関係部との連携はうまくとられておるのか、その点についてお伺いいたします。

〇佐藤農政部長 私からは、中山間地域の直接支払制度についてお答え申し上げます。
 今年度スタートしましたこの直接支払制度、おかげさまで対象面積で80%の実施率ということになったわけですけれども、実施する過程の中でいろいろ課題も出ておりまして、例えば、田の基準に比べて畑の基準が厳しいといった意見でありますとか、あるいは、転作田へ果樹等を植栽すると対象農地にならなくなる場合があるとか、あるいは5年間の協定期間は長いのではないかといった意見が出ておるところでございます。この中山間地域直接支払制度につきましては、実施状況等を踏まえ、5年後あるいは必要に応じて3年後に所要の見直しを行うとされておりますので、ただいま申し上げた課題につきましては、この制度の事業効果の評価とあわせまして、制度の見直しの際に本県の実情として国の方に伝え、そしてまた、よりよい直接支払制度が構築されるように取り組んでまいりたいと考えております。

〇山下畜産課長 種山の牧野事務所の廃止に伴う放牧事業の扱いでございますが、県営の寄託放牧事業は、昭和24年以来、江刺市を初めとして近隣の市町村の家畜をお預かりしてきたところでございますが、平成8年に種山に岩手県畜産試験場種山肉用牛改良センターを開設するに当たりまして、肉用牛振興の重要性が増すと見込まれて、種雄牛造成事業に力を注ぐことといたしまして、寄託放牧事業は民間に移管することで検討を重ねてきたところであります。
 寄託放牧事業の移管につきましては、平成13年4月から業務をスムーズにスタートできるように、新たな事業推進母体となる種山寄託放牧事業運営協議会──これは仮称でございますが──を年度内設立に向けて、今現在、関係市町村、団体等と鋭意協議を進めているところであります。
 協議会は、利用市町村、農協等関係団体を構成員としまして、寄託放牧計画の策定、事業実績の検討等を行って放牧事業を円滑に推進する組織であります。県は、この協議会に参画いたしまして運営面での支援を行うことといたしております。

〇安樂農村計画課長 圃場整備事業における関係機関との連携についてのお尋ねでございますが、公共事業の効率的な執行という面もございますし、また、我々の立場といたしますと農家負担の軽減にも非常に役に立つということでございますので、地方振興局を中心に、毎年定期的に関係機関と協議を行い、効率的な事業の執行をしているところでございます。

〇佐藤力男委員 初めに、中山間地域直接支払制度にかかわってお尋ねいたします。
 今、部長から示されました問題点も含めて、今、この事業を進める上で、私が存じ上げてることの中に、どうしても圃場整備を進めないことにはこの制度が本当に機能していかないのではないか、そうした声が多くあると承知いたしております。そうした上では、交付される交付金の使途が限定されて、なかなかそうした使途には使えないという声もあるわけでありますが、ぜひこうした点は実態に合わせて国に改正を求めていくということを早急に進める必要があるのではないかと、そのように思っております。
 それから、国の予算がどうも計算と合って交付されてこないという声も一部あるわけでありますので、そうした実態もどうぞ精査されまして、ぜひこの制度が円滑に進むようにお願いいたしたいと思いますが、その点についてお尋ねいたします。
 それから、種山につきましては、いずれこれまでの利用者の利便性を損なうことなく、本県の肉用牛の振興にますます重要な役割を果たしていただけるように、どうぞ県の御支援をお願いいたしたいと思います。
 それから、圃場整備でございますが、私は、これまでも、若干ではございますがなかなかうまくいっていない事例を承知いたしております。まだ私が7番目なそうですから詳しいことは申し上げませんが、いずれ関係部とこうした事業を進めることこそが私は一番その地域の実態に合っている進め方ではなかろうかと思っておりますので、どうぞ農政部の方で強く働きかけながら、関係部の協力、支援を得ながらこうした県民の要求にこたえてほしい、そのことを要望いたしまして終わります。

〇佐藤農政部長 まず、中山間地域における圃場整備が重要だというお話、それに関連いたしまして、今回の交付金でもって充当できないのかという話ですけれども、これについては、私どもといたしましては、農業者等に交付された交付金をもって例えば圃場整備の受益者負担に充当することについては差し支えないと理解しているところでございます。
 二つ目の、直接支払制度の市町村に対する交付金の問題ですけれども、今回初めての制度ということもありまして、これについては、国からの交付金、それから交付税措置とかいろいろ財源措置があるわけですけれども、それらが必ずしも十分でないといった意見もありましたので、私どもも農水省の方に参りまして強くその辺を要望した経緯がございます。この点については、なお今後とも十分国の方には要請してまいりたいと思いますし、それから、今、関係部局との連携とか、そういうお話がございましたが、実は、私どもは、この直接支払制度の効果の評価、これについては、13年度までの実施状況を14年度に実施してみたいと。これは国でもやるわけですけれども、さらに県独自の制度、そういったより多面的な評価をしてまいりたいと。そういった中で、今、委員から御指摘のございました点についても十分踏まえながら対応してまいりたいと考えております。

〇佐藤力男委員 終わりと言いましたが、一言だけ。
 いずれ、今お聞きいたしましたのは、私の聞いていることとは若干違う。いい面での違いでありますから、そのように進むのであればそれにこしたことはございません。農政部長のこうしたことに御理解を賜ってのお進めに感謝申し上げて終わります。

〇佐々木大和委員 畜産振興費にかかわってお伺いします。
 岩手県農業の一角を占める畜産の振興につきまして、厳しい環境の中でありますが、大変努力をされて所定の成果を上げておりますことを高く評価し、敬意を表する次第でございます。
 その中で、特に市場で苦戦しております短角和牛についてお伺いいたします。
 本県ならではの貴重な資源とも言える短角和牛を維持、強化することにより生産者の所得確保を図るとともに、そのすばらしい肉質を消費者にも理解していただくことが重要であると考えますが、県は、この短角和牛の生産・販売対策についてどのように取り組もうとしておられるのかお伺いいたします。

〇佐藤農政部長 短角和牛の振興といいますか、販売対策でございますが、販売面におきましては委員御案内のとおり、この日本短角種は季節繁殖ということもございまして、出荷時期が12月から3月に集中するため、終年需要に対応できないということで、無理な飼養による肉質の低下などを招いているところでございます。こういった課題を克服いたしまして、適期肥育によるコスト低減と肉質の安定による販売価格の向上を図るということで、来年度におきましては岩手畜産流通センターが整備するストックヤード──これは、冷凍・解凍施設でございますけれども──この整備に対し、支援をするということにいたしております。このストックヤードを活用することによりまして、牛肉の需給調整やあるいは実需者ニーズの高い部分肉流通への対応が可能ということになることから、県内のホテルあるいはレストラン等の小口の取引への需要といったものにも対応していけるんじゃないのかと考えておるところでございます。
 また、部分肉流通により生ずるバラ、スネ等のいわゆる需要の低い部位につきましては、1次加工品の開発などによる学校給食等業務用への利用拡大を図るということ、あるいはまた、従来の産直中心の取引に加えまして地元での消費拡大を促進し、生産者の所得向上を図ってまいりたいと考えているところでございます。

〇佐々木大和委員 今、製鉄の産業というのはもう連続鋳造機になりまして世界的な企業になって、私どもの地域の経済に関係ないところで動いているような感じがありますけれども、ちょうど橋野に溶鉱炉ができたときにこの短角牛は誕生していると思います。その前段の鑪の時代に、要するに南部牛と言われる牛が鉄を運び、石を運んだ牛ですけれども、その改良時に私の記憶でいけば、岩泉の場合明治4年にショートホーンを導入して改良したのが短角牛という形で今の牛ができてます。先ほどのお話のとおり、非常に芸術的な素の牛を維持してますからなかなかいいわけでございますけれども、現在の状況でいきますと非常に頭数が減ってきて、これを産業的に維持するのはなかなか大変だろうと思います。そういう中で、今申し上げましたもう100年以上経っている牛でございますから、やはりここでもう一度原点にかえってこの生産対策ということになれば、品種改良というものをやっぱり考える必要があるんではないかと。そういう分野についても今情報化時代で世界の情報を皆さん持っておられますから、そういう中でさらにこの品質を保持しながらいい牛を、たくさん肉の量がとれる増大率の高い牛をつくるという品種改良に取り組むことが必要ではないかと思いますけれども、その点についてのお考えを伺いたいと思います。
 特にも、このニーズはある一部にはしっかりしたものがあるわけですが、ニーズに対応するシーズを確立させておくというのは岩手県の農業振興でやっぱり必要ではないかと、そういう意味でお伺いいたしたいと思います。
 また、この販売対策につきましては、ただいま御答弁いただきましたストックヤードの整備というのは非常に効果があると思います。飼養期間を延長して肉質の低下、価格の低下を招くというのは、ああいう生き物につきまとっておりますので、そういう意味では非常にいい対策だと思います。特に、肉の場合には、かたさとかしなみをかなり温度を下げることで解消するということも聞かれておりますし、そういう意味におきましては今回の措置によって、供給とともに肉質がもっとあるいは評価されるのかとそんな期待もあるわけでございますし、ぜひ今回のことをきっかけにしてさらに販売に努めていただきたいと思います。肉の販売のときに今みんなスライスでやっておりますけれども、現実的には肉を食べてきたヨーロッパやアメリカの場合に、スライスで肉を売るという発想は本来はないということを肉屋の人も言っております。そういうことを聞いたことがあります。やはりブロックで販売をして、食べるときに小分けするというのがいい肉を食べさせる一番の方法なようでございますから、そういう意味で本物としての販売方法、そういうところも検討していただきたいと思いますが、それらの以上2点につきまして御所見をいただきたいと思います。

〇山下畜産課長 品種改良についてでございますけれども、日本短角種の改良につきましては、日本短角種集団育種推進事業によって推進しているところでありますが、この産肉能力検定成績の平成元年と平成11年度の10年間の比較において、肉量の枝肉重量において約70キロの増加をして、現在、枝肉重量417キロでございます。また、高級部位でありますロース芯の面積が4.8平方センチふえまして、現在、47.6平方センチに改良されております。日本短角種の特性として、肉質ランクがAの1から5まであるんでございますけれども、肉質がA-2の規格以上を基本としておりまして、11年の格付成績によりますと、2等級以上の割合が83%ほどとなっております。10年間で2%の増加という状況になっております。今後とも、この哺育性や強健性など本来持っている日本短角種の特性である放牧適正をさらに助長してまいりますとともに、肉のきめ・しまりなど肉質改善につきましては肥育技術の影響も大変大きいので、この辺からも畜産研究所が主体となって、飼養管理の指導とあわせて枝肉データの解析や受精卵移植技術の導入などをやってまいりたいと。
 それともう1点は、現在、畜産研究所においてDNA解析でもって、その肉量・肉質に富むような解析が進んでまいりますと大変加速的に改良が進むものと思っております。それから、委員御指摘の改良のためには雑種強勢というやり方もあるわけでございますが、これについては肉成分だとか肉質を損なわないために十分検討を要すると考えております。

〇佐々木農産物流通課長 短角の牛肉につきましては、東北農試の分析などによりましても、いわゆるうまみの成分である遊離性アミノ酸が多く含まれているということもデータとしていただいてございます。また、首都圏でありますとかいろんな著名な方々からも、これはおいしい肉だと評価いただいておることもございまして、従来、短角につきましては肉のPRは自然・健康ということに加えて、安全ということで三本柱でいったわけでありますけれども、むしろ自然・健康はそのとおりでございますが、うまみを全面に出して販売してまいりたいということで、そういうことを柱とした販売対策というのが大事なのかなと思ってございます。
 また、委員御指摘にございましたストックヤードにつきましては、かたさとかしなみの緩和というのも期待できますし、それから部分肉流通で対応するということで、ブロックでありますとかフレキシブルにできていくものと思ってございますので、そういうことを活用しながら販売に努めてまいりたいと思っております。

〇佐々木順一委員 4点について簡潔に聞きますのでよろしくお願いします。
 まず第1点、エコファーマーに対する支援策についてお伺いいたします。
 先般、花巻振興局管内のリンゴ農家が県内で初めて持続農業法に基づくエコファーマーに認定されたと聞いておりますけれども、このエコファーマーの認定状況についてお伺いいたしますし、それから減農薬栽培の実践に当たって農家の皆さんそれなりの苦労が多いと思うんですが、今後の育成策と支援策についてお伺いいたします。
 次に、米の生産調整問題についてお伺いいたします。
 明年度の減反目標面積は、今までやってこられたところの良質米地帯に配慮した配分プラス、いわゆる一律の緊急拡大分と承知しておりますが、一方において、農家の皆さんは前からいろいろな面で報道やらあるいは我々も肌で感じているところでありますが、いわば限界感があるという実態、状況にあると思います。ついては、この方針で岩手県農政部としては事足りると思っているのかどうか、その御認識についてお伺いをするものであります。
 それから、米、大豆主要作物の本作化の一環として、特に大豆についてお伺いいたしますが、大豆についてこれから需要の拡大が一層求められてくると思いますが、加工業者が地場産の大豆を導入する場合には、これは例えばでありますが、契約栽培や相対取引などを前提にしたメリットを与えるような誘導策といったらいいんでしょうか、そういった施策の検討が必要と思うのでありますけれども、これに対する御所見をお伺いしたいと思います。
 それから最後に、過般、農相が他県における事実認定に基づいて公共性の強い土地改良区が政党の党費を支出することは違法と指摘した上で、事例の調査と報告を都道府県に求めたとお聞きいたしております。ついては、仄聞でありますので念のため事実関係を確認したいと思いますし、事実であるならば自治事務ではないわけでありますけれども、この依頼に対して県はどうされるのか、また、どのような調査依頼であるのか、そして、またいつまで報告されることになっているのかお伺いをするものであります。どうぞ明快な御答弁をお願い申し上げまして、なるべく再質問に達したくないと思っておりますのでよろしくお願いします。

〇佐藤農政部長 私からは、生産調整面積の配分についてお答え申し上げます。
 今回の生産調整に当たっての対応についてでございますけれども、県に対する配分に関連いたしましては、本県の良質米生産やあるいはその生産調整の目標達成といったことについて、これまで県として努力してきた経過を国の方にも十分説明してまいった経緯がございます。そういうことで、米主産県への重点配分を行わないようにということで要請をしてまいった経過がございます。最終的には国からの県別配分につきましては、緊急拡大面積の一定面積が全国一律に配分されましたので、こうした本県の取り組みが一定の評価をされたのではないかという受けとめ方をしておるわけでございます。
 それからもう一つは、市町村に対する具体の配分の関係でございますが、これにつきましては平成9年度までの生産調整面積につきましては、基本的に良質米品種の作付状況でありますとかあるいは上位等級米の比率、あるいは畑作であるとか畜産の依存度といったものを考慮しながら、稲作の主産地に生産調整の割合が低くなるいわゆる傾斜配分を行ってきたわけでございます。今回の13年度の市町村配分に当たりましては、農業団体とも協議をいたしまして適地適作の推進や、あるいは市町村の取り組み状況などさまざまな観点から検討したわけでございますが、まず一つには、今回の緊急総合米対策が基本的には来年度1年限りの緊急措置であるということ、それから二つ目といたしましては、また、産地ごとに価格・販売動向を踏まえたガイドライン配分が平成14年度からとされており、今回の緊急拡大には反映されていないといったことなどから、従来の面積は固定し、緊急拡大分については一律配分としたわけでございます。ただ、平成14年度分については、これは都道府県段階で国から本来のガイドライン配分が行われると考えておりますので、その動向を見て同業団体とも協議しながら検討してまいりたいと考えております。

〇平野農業普及技術課長 エコファーマーの認定状況についてでございますが、環境にやさしい持続的な農業を推進するという観点から、平成12年3月に持続農業法に基づく導入指針を定めますとともに、土づくりや農薬・化学肥料の低減に取り組む農業者をエコファーマーとして認定する制度をスタートさせてございます。エコファーマーの認定につきましては、地方振興局単位に認定委員会を設置しまして、これまでに石鳥谷町で8名、千厩町で1法人の計9名が認定されてございます。さらに、現在14名からの認定申請について審査中でございます。
 それから、支援策についてでございますが、県は、これまでも環境にやさしい栽培技術集の作成ですとか、意欲的な農業者と共同で行う実証展示などを通じまして、このような技術の普及定着に努めてきたところでございます。13年度におきましては、農業改良普及センターを中心に、地域ごとにエコファーマー育成協議会というものを設置しまして、エコファーマーあるいはエコファーマーを目指す幅広い農業者を対象に、性フェロモンによる防除技術ですとかあるいはアイガモ農法という技術の実証展示、あるいは技術講習会などを拡大していきまして、また一方で、産直施設等におきまして、エコファーマーが生産した農産物販売コーナーの開設あるいは栽培技術のパネル展示などを行いまして、消費者に対するPR等の支援についても実施してまいることにしてございます。

〇佐々木農産物流通課長 加工業者が地場産大豆を導入する場合のメリット施策ということについてでございますけれども、県内の加工業者を対象としたアンケート調査を行いましたところ、県産大豆の使用に当たって、まず第1点は品質が均一で一定ロットのもの、輸入大豆に近い価格であればよい、それから農協との契約栽培などを求めておるということがわかったところでございます。また、ソフト面につきましても、時期別に出回り数量や価格情報あるいは生産者や消費者との交流の場の設定などが求められているところでございます。このため、新年度でございますけれども、生産から加工、消費に至る関係者をメンバーといたしますいわての大豆普及推進協議会──仮称でございますけれども──これを設置いたしまして、その中で生産者と産地と、それから加工業者との情報交換による結びつきの強化を図ると、これを前提とし基盤といたしまして、高品質・安定供給によります売れる大豆づくりの技術実証あるいは関係者が一体となった大豆加工品の開発、広報宣伝、販売活動の促進ということに取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 委員御提言のありました事項につきましても、施策につきましても、この協議会の場で具体的に検討してまいりまして、加工業者の方々が地場産大豆を利用しやすいような対策を講じてまいりたいと考えてございます。

〇安樂農村計画課長 土地改良区の調査の件でございますが、現時点ではそのような調査依頼は国の方から受けておりません。したがいまして、その調査の内容また報告期限などについても不明でございます。また、国からそういう調査依頼があった場合でございますが、県といたしましては土地改良区を指導監督する義務がございますので、そういった観点から調査に協力していこうと考えておるところでございます。

〇佐々木順一委員 わかりました。まず、この米の生産調整の問題でありますが、部長のお話で今後のおおむねの方向性は理解いたしましたけれども、要は流した汗が報われるような評価をしていただきたいというのが、率直な農家の米づくりの方々の偽らざる気持ちであると思います。岩手県の米は7年連続で特Aということでもありますので、やはり農業の、農政の基本は何といっても米であると思います。我々の主食の米であるわけでありますから、こういった産業に従事されている方々が報われるような生産調整のあり方を今までもさまざまな教訓を岩手県農政部はお持ちになっていると思いますので、あとは関係機関、農民との意見調整を経ていい方針をつくることが大事だと思っておりますので、どうぞひとつその辺に御配慮を賜りたいと思っております。
 さっき認定農業者の関係で話がありましたけれども、やはり認定農業者がいろんな投資をするわけでありますが、かなりきつい状況にあると聞いております。したがって、この現在の認定農業者が現在の支援策で十分事足りているという御認識なのか、そして、また今後こういった認定農業者などが行う投資に対する優遇策、あるいはそういった優遇策を御検討する御意思があるやなしや、その点についてお伺いをいたします。

〇澤田地域農業振興課長 麦・大豆の本作化関係につきまして、認定農業者の方々にいろいろと支援していく考えはあるかということでございますけれども、先ほども申し上げましたが、これまで新しい県単事業を起こしまして進めようとしているところでございます。特にも、12年度から国が実施している部分に加えまして、地域ぐるみ団地化緊急促進事業などによりまして団地化を図ってまいりたいと思いますし、県独自の支援措置としまして本会議で御審議をいただいております新たないわて農業担い手支援総合対策事業を活用しまして、高性能農業機械のリースによりまして認定農業者に専属利用させるなど、意欲ある農業者の要望も踏まえまして支援策を充実してまいりたいと考えております。

〇千葉伝委員 畜産部門の中の家畜衛生対策という観点からお伺いいたします。中身は口蹄疫の防疫対策についてであります。
 世界の家畜伝染病の中で最も恐れられている牛の口蹄疫が、昨年3月に宮崎県及び5月には北海道で約90年ぶりに発生し、生産者を初め関係者を震撼させたところであります。隣国台湾では豚の口蹄疫が大発生した後、今なお散発的に発生していると承知しておりますが、最近イギリスでも発生があり、フランスにおいても発生が確認されたばかりであり、連日、新聞、テレビで報道がなされております。国際化が進展する一方、家畜伝染病の感染が懸念されるところであります。先般、保健福祉部の審議において工藤大輔委員からBSE──ウシ海綿状脳症──いわゆる狂牛病と人のクロイツフェルト・ヤコブ病との関連で感染の可能性のある血液製剤、献血の実態等が質疑あったところですが、これは人との感染があるということから重要視されているものと承知しております。一方、口蹄疫につきましては、人への感染はなく、食してもよいわけでありますが、一たん発生すると偶蹄類間の感染力は極めて強く、世界の家畜伝染病の中で最も恐れられているゆえんであります。ワクチンの効果も余り期待できず、殺処分、焼却処分が防疫の基本と認識しております。また、口蹄疫が発生した場合、畜産業の被害はもちろん、輸出入の停止、家畜の移動禁止等により他方面に大きな影響を与え、その経済的被害は甚大となるものであります。
 そこでお伺いしますが、世界の口蹄疫の主な汚染地域はどういう地域でしょうか。
 2番目、また韓国、台湾、中国、さらにはヨーロッパの汚染国に対し、国はどのような処置を講じているのでしょうか。
 あわせて3番目、昨年の我が国での発生の際に、飼料及び敷料として使用される麦わら及び稲わら等の輸入粗飼料が感染源として疑われたが、現在どのような対策がとられているのか。また、稲わら等の加工対策はどうなっているのかをお伺いいたします。

〇山下畜産課長 口蹄疫は、オセアニア地域を除く世界の各地域で発生が見られております。中でも、中東地域が常在汚染地域として考えられております。アジア地域においては、特に中国が重度汚染国でありまして、平成9年以降の台湾、韓国、日本及びウラジオストクでの発生との関連が強く示唆されているところであります。日本では、平成12年9月26日に清浄国に復帰いたしましたが、現在の世界の清浄国は52カ国であります。これはOIE──国際獣疫事務局の公表したところによるものであります。
 次に、国内への侵入防止対策でありますが、家畜伝染病予防法に基づきまして、口蹄疫汚染国からの偶蹄類の家畜及び畜産物の輸入禁止措置が講じられております。また、海外から輸入される麦わら、稲わらにつきましては、平成12年の我が国での口蹄疫発生を機に、家畜畜産物と同様に安全性が確保できる検査証明書の添付がなされたもの以外は一切汚染国からの輸入禁止措置がとられております。
 稲わらの確保対策についてでありますが、平成12年7月に県産稲わら等緊急確保対策協議会を設置いたしまして、県産稲わらの安定確保対策について検討協議してまいりました。その結果、JA新いわてなどで国が緊急措置した国産粗飼料を増産緊急対策事業によりまして、稲わら確保対策に取り組んでいるほか、前沢町におきましては、町単独で事業に積極的に取り組んでいるところであります。県といたしましては、今後とも県全域で県産稲わらの確保対策を推進してまいりたいと、そのように考えております。

〇千葉伝委員 連日の報道はヨーロッパ等の話でありますが、お聞きしたとおり、隣国の台湾、中国といったあたりでの発生、あるいはいつ入ってきてもおかしくない状況であるといったことだろうと思います。さらに、被害の話をしますと、一部報道でたしか3月18日付の新聞等ではもうイギリスの被害が1兆6、000億円を超えると、岩手県の予算の1.5倍の被害がもう既に出ているという状況であります。一たん日本国あるいは岩手県にこの伝染病が出た場合は、もう一つのところの話じゃないと、こういうことだろうと思います。そういった意味におきまして、これの発生防止イコール侵入防止であると思います。そこを進めるには、岩手県という以前に国の国家防疫の観点からの侵入防止をまず一つ進める必要がある。そして、また岩手県で一たんどこかに出た場合に、今はどうしても物資の移動というのが全国的に動いているという状況でありますので、今後の発生防止あるいは侵入防止に向けて本県の対策を十分に進めていただきたいなと思っております。その中で、私の要望として国の防疫体制とあわせて、家畜保健衛生所等の病性鑑定機能との防疫機能の確保に万全を期するよう要望して終わりたいと思います。ありがとうございました。

〇川村農夫委員 一農夫として2点質問させていただきます。
 家畜ふん尿処理施設の整備と堆肥のリサイクルについてでございますが、家畜ふん尿処理施設の整備につきましては、県計画では係る事業及び予算は、実際に利用する農家の側に立った意見を十分踏まえたそういったものであってほしいと思うわけですが、現状を伺いたいと思います。
 また、家畜ふん尿のリサイクルを進めるには、堆肥の生産に加えてできたものを生産者が現場で実際使うようにすることが何より大切でございますが、施肥改善あるいは施肥管理などの利用面での指導も極めて重要だと思いますので、堆肥の利用促進に向けての県の取り組みをあわせてお伺いします。
 2点目でございますが、先ほども出ましたけれども緊急需給調整対策についてでございます。
 緊急需給調整対策は、あらかじめ設定した需給調整水田を作況が100を超える場合、作況に応じて青刈り等を行い、収穫前に生産量の調整を行うものだと承知しておりますが、しかし、現場で実際に行う場合、作況の判断、実施する時期や面積など、具体的な面で非常に農家は不安を持っております。こうした判断をだれが、いつ行うことになるのかお聞かせいただきたいと思います。
 また、作況などについては、統計情報事務所のデータを活用することになると思われますが、場合によっては県独自のデータを持って判断をする必要も出てくると思いますが、そういった面はどう考えているのかお聞かせいただきたいと思います。

〇山下畜産課長 家畜ふん尿処理施設についてお答えいたします。
 家畜ふん尿処理施設の整備につきましては、県計画に基づきまして計画的に整備を進めているところでありまして、広域の堆肥センター、共同利用施設あるいは個人施設などの整備に当たっては、地域の実情あるいは要望を踏まえまして、国庫補助事業、県単事業、補助付リース事業、制度資金等各種事業の導入、活用を図っているところであります。特に、簡易堆肥舎の整備を行う県単独事業の地域有機物資源活用促進事業につきましては、地域の要望の大きかった建築基準単価を実情に応じて見直しを行って、きめ細かな対策を講じ、施設整備に支障の来すことのないよう支援しているところでございます。また、汚水の流出や地下浸透を防ぐ観点から防水シートを下に敷いて、上からは防水シートで覆うなどの簡易な方法も認められておりますので、これらの普及につきましても徹底を図り、野積み、素掘りといった不適切な管理の解消を図ってまいることといたしております。

〇平野農業普及技術課長 堆肥の利用促進に向けた県の取り組みについてでございますけれども、堆肥の利用促進につきましては、耕種側と畜産側の堆肥活用に対する共通の認識が重要でありますので、地方振興局単位に地域たい肥生産利用推進協議会を設置しまして、土づくり交流会あるいは堆肥品評会の開催ですとか、優良事例の紹介などを行ってございます。また、堆肥の生産量には地域的な偏りがございますので、その流通促進が図られるよう堆肥マップを整備しますとともに、県下3地域にモデル地域を設置しまして、堆肥生産組合等と耕種農家とが堆肥流通協定を締結し、堆肥の生産から運搬、散布までの実証に取り組んでございます。新年度におきましては、このモデル地区を6地域にふやし、こうした取り組みを継続し重ねていきますとともに、堆肥の流通促進につきましても盛り込んだ岩手県土づくり推進方針を策定しまして、良質堆肥の生産とその需給調整を推進し、有機物リサイクルのネットワーク化を促進してまいる考えでございます。

〇阿部水田農業推進監 御案内のとおり、緊急需給調整対策は、新たな生産者団体の主体的な取り組みといたしまして進めているものでございますが、御指摘のとおり、実際の発動に際しましては、その判断あるいは決定後の、また農家までの周知など、非常に手続的に厳しい難しい面があるのではないかと考えております。お尋ねの具体的な発動の判断につきましては、全中、全農等が生産者団体で構成しております米の需給・価格情報に関する委員会というのが既に設置されてございますけれども、この中に新たに作柄部会というものが設置されるとお伺いしております。その発動の可否あるいはその必要面積の検討をその場で経た上で、この判断に基づいて順次6月下旬ころから9月の下旬ころまでに随時発動する予定であるとされておりますけれども、具体的な判断材料の詳細につきましては、さらに引き続いて検討がされているとお伺いしております。
 また、作柄部会における判断でございますが、お話の統計情報事務所のデータのほかに、需給調整水田に対する各県の取り組み状況あるいはその意向等も踏まえて発動することも現在では検討がなされているということでございますので、県の農業研究センターなり、各農業改良普及センター等の稲の生育状況の詳細な把握に努めてまいりたいと思っておりますし、統計情報事務所等との連携を図りまして、本県の作柄の実態と全国段階の部会の判断との間にそごを来さないように適切に対応してまいりたいと考えております。

〇川村農夫委員 ふん尿のリサイクルにつきましては、大規模農家から中小規模の農家もあるわけございまして、その方たちが実際に使えるような本当の末端までの施策あるいは支援をお願いしたいと思います。
 それから、作況の判断の件でございますけれども、これは地域座談会等でも大変農民が不安に思っているところでございますし、また判断した後に、例えば昨年の長雨によって胴割れが生じるとか、そういった要因もあって非常に難しいことだと思います。ぜひこれをいろんな面でアピールしながら、誠実な対応をお願いしたいと思います。

〇樋下正信委員 私からは1点お聞きしたいと思います。
 13年度から農業集落排水と公共下水道の各市町村の見直しにより、お互いの下水に流せるということで時期を得た大変な進歩でありますが、これにより平成20年度県が掲げている下水の普及率の目標の80%が早まることは間違いないと思いますけれども、どの程度早まるのかお知らせを願いたいと思いますし、また、13年度は2カ所ほどその地域があるということで聞いておりますが、今後どの程度の見直しがされていくのかお知らせをお願いしたいと思います。

〇佐々木農村建設課長 公共下水道と農業集落排水の結びつきにより、建設費及び維持管理費が軽減される地域につきましては、つなぎ込みができるといった制度が平成12年12月になされたところでございます。平成13年度には県土整備部が中心になりまして、公共下水道と農業集落排水施設を連携して整備した場合のコスト縮減効果など調査することを目的といたしまして、花巻市及び西根町において汚水処理連携モデル調査を行うこととしてございます。汚水処理の普及率の向上は県政の重要な課題でございまして、このモデル調査の成果をもとに、より経済的な処理区域が設定されるよう各市町村を指導し、汚水処理施設の整備が促進されるよう最大限の努力を図ってまいりたいと考えておるところでございます。

〇樋下正信委員 前に私も一番最初に一般質問したときにもお話させていただいておりますけれども、同じ県民でありながら同じ環境の中で生活ができるように、ぜひ今後ともよろしく御努力をお願い申し上げたいと思います。

〇吉田昭彦委員 農業研究センター費に関連しまして御質問いたします。
 岩手県農業研究センター園芸畑作部南部園芸研究室は、東南・沿岸部地域の施設園芸を中心に研究業務に取り組まれてきました。このたび、関係市町村及び地域の要望と県の試験研究機関の再編整備のもと、次代の要請に向けた試験研究機関として新たに整備を図られたことに関係する地域のものとして佐藤農政部長初め、歴代農政部長と関係課長方に感謝を申し上げるところであります。
 地元、陸前高田市では、県のこの施設の整備とあわせて機能分担、相乗効果をねらいまして、隣接地に担い手農業者及び新規就農者の教育研修、経営研修を目的に総合営農指導センターを整備中であります。このことによりまして、研究指導研修が一体的に行われる東南・沿岸部地域の農業振興の拠点施設として期待されるものであります。
 そこでお伺いいたします。
 第1点は、施設の拡充整備とあわせた業務執行、運営体制をどのように整備し、市の施設との連携についてどのように対処されるお考えかお伺いいたします。
 2点目は、先ほど先輩委員の御質問のお答えでありましたけれども、農業改良助長法に基づく農業改良普及センターが振興局農林部の内部組織として統合されるわけでありますが、地域の農業振興、地域の活性化、環境保全型農業の推進のため、地域に密着した指導が重要であり、役割が大きいと思いますが、研究指導研修の一体的な拠点施設の中で普及・指導の役割を担うことが必要であると思いますが、どのようにお考えになっておられますかお伺いいたします。

〇平野農業普及技術課長 南部園芸研究室の拡充整備に関連してでございますが、この南部園芸研究室は平成11年、12年と2カ年にわたりまして、約4億円をかけて陸前高田市浜田川地区に整備し、4月からこの新しい場所で業務を開始することとなってございます。この研究室では、これまで取り組んでまいりました夏期冷涼、冬期温暖な気仙地方や沿岸地域の気象条件を生かした花や野菜の周年生産技術に加えまして、新たに高級切り花あるいは鉢花、野菜などの施設栽培ですとか、養液土耕栽培など当地方に適応した技術の組み立てと実証展示を行うこととしてございます。この研究室で組み立てられました技術は、隣接する市の総合営農指導センターにいち早く移転をしますとともに、同時に行われる技術の実証展示でございますが、これは、共同で分担して行うなどによりまして、地域の若い農業者等への普及を図ってまいる考えでございます。
 それから、また新技術等を地域の農業経営に着実に取り入れていくために、ほ場整備事業が実施された陸前高田市浜田川地区を対象にしまして、13年度から地方振興局の新しい再編された体制でそこが核となりまして、加えて南部園芸研究室とか農業経営研究室、さらに市などとも一体となりまして、21世紀型農業経営モデル実証試験地事業に取り組むこととしてございます。この事業の実践に当たりましては、その中で農業改良普及センターが調整役を果たしながら、また一方、市の総合営農指導センターの機能も活用し、果菜類ですとか花卉を中心とした施設及び露地栽培の組み合わせ、また省力栽培システムの導入、さらに農業経営の実証ということを展開してまいる計画でございます。

〇吉田昭彦委員 ありがとうございます。普及センターの職員の普及指導についてお願いを申し上げるわけですが、先ほどの先輩委員のお答えの中で、集約化をし、総合力で現場指導されるというお答えがございました。農家の方々にとっては、普及センターで総合力でもって指導していただくことも大切でありますが、農家の方々は現地、現場で指導いただくというのが最も望んでおるところでございますので、そういう現場での指導をもっと徹底されるようにお願いをしておきたい、そのように思います。
 それから、教育改革の一環として、農業体験など体験学習が提起されておりますが、農業後継者の育成ということからも子供のときから農業に触れ、農村環境に魅力を感じる機会をつくることが急用と考えるものであります。施設の参観、即売デーなどに加えまして、資料館的機能の整備など多機能を持った施設として整備をされるよう、このことについても今後の検討課題とされるよう提案をしたいと思いますが、どのようにお考えになりますかお伺いいたしまして、質問を終わります。

〇平野農業普及技術課長 小・中学校時代から農業体験ですとか自然とか環境ということを教育するということは非常に大事なことということで、一学校一農園事業あるいは世代間交流事業に取り組んできてございます。このような取り組みの推進に当たりましては、指導農業士とかあるいは普及センターが世話役となりますとともに、指導農業士の圃場ですとかあるいは地域の公共的な施設も生かすということで、工夫を重ねながら取り組んでいるところでございます。幸い、今回県の研究センターの施設、それから市の営農センターというものが一つの地域にできておりますので、農業教育の体験学習ということにつきましても、地域でいろいろ工夫をしながら検討をしてまいりたいと思っております。

〇伊沢昌弘委員 予算書の160ページ、北上奥羽山系開発費に関してお伺いをしたいと思います。
 ここには二つの項目があるわけでありますけれども、この償還金の部分と、それから北上山系入植農家経営安定緊急対策費補助に関してお伺いをしたいと思っております。
 昭和50年代から、言ってみれば鳴り物入りで北上山系の開発が取り組まれました。膨大な事業費が入ったと思うわけでありますけれども、13年度の予算書の中に償還金として30億6、700万円余が計上されているわけであります。これは長きにわたっての事業で、一概にこの償還時期がどこまでなのかちょっと私もわからないものですから、全体にかかわった事業費の部分と、それから、先ほど部長の概略説明の中で10地区における事業が行われてきたということで報告があったわけでありますけれども、開発をした地域が今、農業、畜産、酪農を含めてどのような使われ方をしているのかおわかりであればお示しをいただきたいものだと思っております。
 また、これに関連をするわけでありますけれども、この入植をした農家の皆さん、現在どのくらいの方々が残って、入植当初かなり無理をしながら多額の負債を抱えて大変な状況があったということで、マスコミの皆さんも大いに騒いだ時期があったわけであります。私どもの当時社会党会派の先輩の委員の皆さんも農家にお邪魔をしながら、いろんな政策を展開せよと、こういうことで取り組み、議会の中でも言ってきた経緯があると思うんです。その後、どのような形になっているのか、経営状況をなかなかお示しいただけない部分があるわけでありますけれども、13年度予算ではこの利子補給だと思うんですが、860万円程の予算を計上されているわけであります。これがこのくらいの対策事業で農家の皆さんが頑張っていくのに足りるのかなということもちょっと気になる点でございますので、今申し上げたように事業全体にかかわるものと、30億円からの償還はいつまでの償還が必要になっていくのか、あわせてお伺いをしたいなと思います。

〇山下畜産課長 まず、事業費等の概要と償還についてでございますが、北上山系開発事業は、昭和50年度から平成5年度までに県内10地区29市町村で、総事業費986億円を投じて農用地面積で6、797ヘクタール、関連道路565キロメートル、入植農家19戸を含む創設牧場171牧場を整備した事業であります。その償還金は、各地区とも事業完了後、地元負担額を20年間にわたって事業主体である緑資源公団へ償還しているものでございまして、事業完了の早い新山貞任地区におきましては、平成12年度に償還が完了いたします。最終的には奥羽南部地区、これは、松尾村から湯田町までの8市町村が該当しますが、平成25年度をもって償還完了する予定であります。
 次に、この北上山系入植農家経営安定緊急対策事業についての内容と入植農家の経営状況についてでありますが、これにつきましては目的に沿って借り入れた制度資金を対象に、平成7年度から経営再建のめどがつく負債額2、400万円まで、最長10年間にわたって当該年度の約定利子相当額を助成しているものであります。当該事業の対象農家は、平成12年度で葛巻町、大東町、岩泉町、軽米町の4町で14戸となっております。これらの入植農家では、乳価の低迷や輸入自由化などによって、平成6年度において平均負債額が1億3、000万円であったものが、この事業によりまして現在8、800万円まで縮小しております。なお、これらの入植農家に対しましては、県が設置する北上山系入植農家経営対策委員会において経営再建計画の実績検討を行うとともに、現地営農指導班や山系営農アドバイザーによる現地指導を実施しているところであります。

〇伊沢昌弘委員 ありがとうございます。約1、000億円を投じて長きにわたってやってきたということで、農地としてお使いになっている部分もあるだろうし、変わったものもあるのかなと思ってお聞きしたわけでありまして、全体が岩手の農業にとってプラスになればいいと私自身も思っているし、頑張ってもらいたいと思っているわけであります。今お話をお伺いしたように、14戸の平均で8、800万円という借金があると。その中で、それぞれ酪農家もあるでしょうし、畑作も含めてやっている方々があると思うんですけれども、毎年、協議会といいますか、指導するための期間の中で農家の皆さんと一定程度経営目標といいますか、来年度こうするとか、長期的にそのまま今のものを続けるとか、いろんな事業も取り入れるということも含めて、多分県としても農協としても多くの営農指導をやっていると思うんですけれども、農家の皆さんの声というのは平成6年に1億3、000万円もあったものがここまで減ってきたと言うのであれば一定程度頑張れるという見通しがあるのか、いやまだまだもうちょっと何とかなりませんかという声になっているのか、その辺は率直なところどうなんでしょうか。

〇山下畜産課長 毎年、単年度ごとにその農家個々についての経営計画を策定して新たな投資を要するもの、それから経営を増投するもの、事細やかに経営計画の内容について検討をいたしております。それでもって経営の状況というものを踏まえた上で投資をすべきものはするし、それから増投するといったものについて徹底して議論をして御納得をいただいてやっているということで、全体としては見通しが立つ経営体が現在経営継続しているところであります。

〇伊沢昌弘委員 わかりました。私も実は県職員であったころ、畜産の畜舎を回って指導する経緯があって、葛巻の関係のところを見せていただいて大変苦しいなということも聞いてきたことがあったものですから、その後取り上げることなく来て、今回の議案書の中でそういった形も見えたものですからぜひ頑張っていただきたいし、県としてもせっかくやったものですから、よかったか悪かったかの総括は部長に聞けばよかったんですけれども、もし所感があればお聞きしたいんですけれども、せっかくこういった1、000億円も入れた事業を将来に向かって入った人が頑張れるんだということも含めてやっていただきたいと思うんですが、部長、もし所感があればお話をいただければと思います。

〇佐藤農政部長 先ほどもお答えしたとおり、この北上山系開発に伴う農家の償還金の問題は現在でも逐次少なくはなっておるわけですけれども、大変各農家にとっては課題だと思います。いずれ私どもといたしましても、さまざまな難しい農業をめぐる状況ございますけれども、そういう農家の方々が少しでも将来見通しを持って、なお引き続き農業経営ができるように、さまざまな面での支援をしてまいりたいと思っております。

〇阿部静子委員 私は、県産米ひとめぼれが7年連続特Aを獲得したことについてお伺いをいたします。
 本県の県南ひとめぼれが平成12年度の食味ランキングで最高位の特Aを7年連続したということは、これは大変なことだと思います。本当なら飲めや歌えの大騒ぎをして、県民の皆さんにこの喜びをあらわしたらいいんじゃないかなと考えてたりしておりますが、7年連続の特Aは、新潟県の魚沼のこしひかり、これを初めとして宮城県北のひとめぼれ、山形内陸のはえぬき、そして岩手県南のひとめぼれの4品種だけが7年間特Aの評価なわけでございます。本県の米づくりのレベルの高さをまさに知らしめる結果であろうと思います。ここまで至る生産者の日ごろの良質米生産に対する御努力はもとより、関係機関の指導のたまものであると敬意を表しておりますが、そこでこのような成果を県行政はどのように受けとめて、今後の県産米の販売活動にどう生かしていこうとしていらっしゃるのか。NHKなどで見ますと、この新潟の魚沼のこしひかりは、60キロ2万8、000円の高値がついているという報道がなされているわけで、大変な自信を持って全国一だという誇りを背に持っての運動だと思っているんですが、岩手も自信を持ってどうか取り組んでいただきたいものですが、いかがでしょう。

〇佐藤農政部長 平成12年産米でございますが、これは高温登熟による品質の低下が懸念されたわけでございますが、ただいまお話ございましたように、食味ランキングで7年連続特Aということになったわけでございます。これは、生産者を初め関係の方々が一体となって、基本的な栽培管理の徹底に努めるなど、本県産米の品質食味の向上に向け、現在一生懸命展開しておりますいわて純情米レベルアップ運動、この成果があらわれたものだと受けとめておるところでございます。米の販売環境というものは大変厳しいといいますか、予断を許さない状況にあるわけでございますが、県産ひとめぼれにつきましては、これまでの卸を中心とした販売対策に加えまして、特に、本年度におきましてはご飯として提供するホテル、旅館、そして料理店などを対象にいたしまして、ひとめぼれの店というシンボルプレートですか──これをひとめぼれの店ということで設置をいたしまして、直接消費者にわかりやすいPRを展開しておるところでございます。今後とも食味評価の高い県産ひとめぼれを前面に打ち出しながら、県産米全体が有利販売されるよう高品質・良食味米の安定的な生産供給に努めてまいりたいと考えております。

〇斉藤信委員 最初に、予算と公共事業のあり方についてお聞きをします。
 農林水産部に統合されますけれども、来年度予算を見ると農政部の予算は909億円余で、これは減少──マイナスです。結局、リストラ予算ではないかと考えざるを得ませんが、統合した効果、これを目指す予算の内容について示していただきたい。なぜマイナスなのか。農政部予算に占める公共土木事業の額、比率はどうなっているでしょうか。
 それで私は見直すべき公共事業の問題として、馬淵川沿岸水利事業について取り上げてきました。最近、二戸市に行って舌崎地区の状況について聞いてまいりました。これは先発地域です。ここでは農家負担額が総額5、940万円でありましたが、これではとても農家を負担できないというので軽減策をとったと聞いています。どういう軽減策なのか、承知していれば示していただきたい。
 同時に、その軽減策でも地元ではこれでもつらいという声があると市長も述べています。私、今のまま馬淵川沿岸水利事業が進んだら、もう使わない水の負担が農家に押しつけられる、自治体に押しつけられるということになるんではないか。この馬淵川沿岸水利事業の現状、それに関連する県営畑地帯総合整備事業の現状はどうなっているか、このことを示していただきたいと思います。農家が必要としている規模に事業を見直すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

〇川村農政企画課長 予算に対するお尋ねでございますが、ただいま御指摘ございましたように、農政部といたしましては平成13年度当初予算909億円となってございますが、農林水産部所管の一般会計予算額といたしましては1、357億6、850万円余となっておりまして、前年度当初予算と比較いたしまして4.2%の減少、金額では59億4、351万円余の減額となっております。
 そこで、予算編成に関する考え方でありますが、厳しい財政状況の中で、事務事業評価等に基づき優先度に応じた重点的、効率的な事務事業の実施に向け、施策や事業の見直しに取り組んだものとなっておるところであります。
 林業水産部と統合した効果を目指す事業でございますが、優先度の高いものといたしまして、例えばいわての農林水産物まるごと展開事業がございます。農林水産一体となった県内外への総合PRの実施により、県産農水産物の需要拡大を図るとともに、地産地消を推進しようとするものでございます。
 公共関係でございますが、平成13年度当初予算における農業農村整備事業の公共事業関係予算額は482億5、597万円余で、農政関係一般会計予算に占める割合は53%となっております。また、前年度の当初予算比較では5.7%の減少、29億4、374万円余の減額となっております。
 公共事業関係予算編成の考え方といたしましては、厳しい予算事情の中、最大の事業効果を上げるため、事業の重点化に取り組んでおるところでございまして、工期の短縮化等によりまして事業効果の早期発現を図るとともに、完了に見合った新規地区の採択の実施などにより効率的な事業実施に取り組むものとしたものであります。

〇伊藤総合国営対策監 馬淵川沿岸地区の国営事業についてでございますけれども、国営事業は、現在の進捗率が48%となっております。
 それから、水が使われない事業となるのではないかという御質問でございますけれども、この地域は畑作が中心でありまして、地域農業の振興を図るには、国営かんがい排水事業による畑地かんがいが極めて有効であると考えているところであります。具体的には、作物の干ばつ被害防止及び適期播種、定植などのかんがい用水や防除用水として利用するほか、表土の飛散防止、霜害防止及び機械や収穫物の洗浄用水など、多様な利用方法によりまして有効に活用されるものと考えております。

〇安樂農村計画課長 お尋ねの県営の舌崎地区でございますが、平成12年度に12億1、700万円の総事業費でスタートしてございます。この事業におきましては、農家負担10アール当たり約3、000円、維持管理費約4、000円という形で農家の方たちに御理解いただきまして御同意をいただき、事業を推進しているところでございます。
 委員御指摘のさらなる軽減につきましては、市と地元の間で検討がなされているということは承知しておりますが、具体的な数値については承知してございません。県といたしましても、事業主体でございますので、市、地元と連携して今後とも事業を推進してまいりたいと思っております。

〇斉藤信委員 農政部の予算で53%が公共事業だと、私はこれはゆがみだと思うんです。その典型の問題として馬淵川沿岸地区農業水利事業を取り上げました。
 舌崎地区は、いわばその先発地域ですよ。二戸はこれ以外にやる意欲はなかったんです。だからここだけがスタートしたんです。ところが、そこが12億1、700万円の事業でスタートしたときに、農家の負担は5、940万円だったんです。これではとてもできないというので2、690万円まで軽減すると。その分は市負担ですよ。最近ではこれは1、850万円まで軽減するという方向になっているようだけれども、結局、農家の負担を軽減すれば、その自治体の負担がふえてくるということになるんですよ。この事業全体は2、591ヘクタール、851万立方の水を使うという計画ですよ。一般論を聞いているのではないんです、私は。どこでどういう利用する計画があるのか、ないでしょう。ダムはもう着々と進んでいる。しかし、つくってしまったら、その農業用水、水を使う計画は今、ないんですよ。しかし、その維持費、管理費は全部農家に押しつけられる。ダムの維持管理費は1億円だと聞いています。だから、事業の負担金とあわせて維持管理費も負担しなければならない。これは大変なことなんですね。だから、対策室長、本当にそういう計画があるのか私は聞いているんですよ。そして、実際には困って今それを検討しているのではないんですか。農家の必要に応じた計画に見直さないと負担だけが残ってしまう、その点について明確に答えていただきたい。
 そして、農地計画課長、知らないのではだめなんだね。現場が困っているときにどういう軽減策をとっているか知らないじゃだめだよ。しっかりつかんで、そこに矛盾、問題点があるわけだから、そういうのをどんどんつかんで改善を図るようにしていただきたい。
 続いて質問をいたします。
 米と野菜の暴落対策について、米と野菜の暴落の原因をどう認識しているか。これは一過性のものではなく、暴落の序の口だと、こういう指摘もあります。ですから、本当にこれからの対策が大変必要だ。新食料法以来の米価の推移と助成金の総額はどう推移しているか示していただきたい。
 政府と県の対策は、暴落の原因に対策をとるのではなく、農家に犠牲を強いるやり方であります。これまで減反目標を達成しても米価が暴落したのはなぜでしょうか。今回もまた減反の拡大であります。ミニマムアクセス米というのは義務輸入ではありません。国会でもこう答弁しています。アメリカや韓国のように、ミニマムアクセスの制限、削減を私は地方からも強く求めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 県の緊急総合米対策についてお聞きします。
 適地適作を基本とした売れる米づくりの基本とは、売れない地域での米づくりを縮小するということでしょうか、このことも示していただきたい。
 緊急拡大分の減反面積2、070ヘクタールにさらに青刈り減反が押しつけられます。どれだけの青刈り減反の対象面積となっているのか具体的に示していただきたい。
 この青刈り対象面積はどのように農家に配分されるんでしょうか。それも示していただきたいと思います。

〇伊藤総合国営対策監 馬淵川沿岸地区につきまして計画を見直すべきではないかということでございますけれども、この地域におきましては、レタス、キャベツなど、これまで土地利用型の野菜を中心に生産が行われてきているわけでございますけれども、最近では雨よけホウレンソウやキュウリなど施設野菜の導入にも力を入れてきている状況にありまして、多様な作物生産を目指しているところでございます。このため、県といたしましても、展示圃場の設置などによる畑地かんがい営農の普及に努めるとともに、地域農家の意向を十分踏まえまして、関係する二戸市、一戸町及び地元農協と一体となって事業の推進に取り組んでいるところでございます。

〇佐々木農産物流通課長 米と野菜の暴落の原因についてでございますけれども、米価の大幅な下落につきましては、連年の米の消費量の減少と豊作続きの中で需給が緩和したということが大きな原因であると受けとめてございます。また、野菜につきましては、国内消費の低迷と、天候に恵まれたことによる国産野菜の生産増が野菜全体の価格低下の要因と考えておるところでございます。さらに、ことしの大きな特徴でございますが、ネギ等におきまして、国内産の生産量の減少を契機に、従来端境期輸入であったものが国産との競合時期におきましても輸入量が増加し、価格が大幅に低落いたしましたことから、結果として野菜全体の価格低下をより加速したものと考えているところでございます。
 食糧法以来の米価と助成金等の総額につきましては、法施行直後の平成8年産の県産ひとめぼれの価格は60キログラム当たり1万9、350円、11年産米につきましては1万6、454円となり、また、農家への助成金の総額は、平成8年が約100億円、平成11年が約142億円となってございます。
 米価の暴落原因とミニマムアクセス米の制限の関連でございますけれども、米価の下落につきましては、生産調整を実施し米の需給バランスの回復に努めたものの、先ほど申しましたような連年の豊作となり、計画を上回る供給量となったことや、米の消費量が大幅に減少したためと考えてございます。
 ミニマムアクセス米の輸入については、国は、国産米への影響を最小限にするため、国家貿易品目として一元的な輸入を行うこととしており、国が輸入を行う立場にあるということから、ミニマムアクセス数量の輸入を行うとの見解を示しているところでございます。
 なお、国は、一定量のアクセス機会の提供を義務づけている現在のシステムは、輸出入国間の権利義務バランスの面で均衡を欠くという基本的な問題があるとして、昨年12月のWTO事務局に提出しましたWTO農業交渉日本提案の中でこれを改善すべきとしてございまして、県におきましても、その考え方に沿って改善を進めるよう国に要望しているところでございます。

〇阿部水田農業推進監 まず、適地適作の基本についてでございますが、国は、現在、今年度からスタートしております水田農業経営確立対策におきましても、需要に応じた米の計画生産を徹底するということを基本に置いております。具体的には、14年度から、販売できるものを生産するのが計画的生産の本来の趣旨であるとして、都道府県別の米の作付面積のガイドラインの配分につきましては、産地ごとに価格・販売動向等を踏まえて行うことが想定されております。このため、今後の稲作につきましては、適地適作を基本にいたしまして、高品質、良食味を安定的に供給し、消費者から信頼される産地を確立することがより重要になるのではないかと考えてございます。
 次に、緊急需給調整対策についてでございます。
 今回の緊急総合米対策におきましては、農業団体の主体的な取り組みといたしまして、来年度の豊作による米価の低落を防ぐため、作況が100を超えることが見込まれる場合、稲の子実前刈り取り、いわゆる青刈りでございますが、これを全国で5万ヘクタール行うと。緊急需給調整対策と称しておりますけれども、これが導入されているところでございます。
 この対策に伴いまして、昨年12月に全中から県中央会に示された本県への需給調整水田の配置面積は1、765ヘクタールとなってございます。
 この緊急需給調整対策は全国の豊作が見込まれる場合に発動されるものでございますが、従来分の生産調整面積3万1、954ヘクタール、それから緊急拡大分の2、070ヘクタールに、性格は多少異なりますけれども、今の緊急需給調整対策の本県への配置面積1、765ヘクタールを仮に加えて合計を出しますと、最大で3万5、789ヘクタールの生産調整が実施されるということになります。比率につきましては、市町村から報告された水田台帳面積をベースにして計算いたしますと、38%ほどになります。
 この配置面積の青刈りの発動の判断でございますが、先ほども申し上げましたとおり、米の需給・価格情報に関する委員会に設置されます作柄部会で判断されることになっておりまして、また、判断時期につきましては、6月下旬から9月下旬まで、作柄に応じて随時決定されるとお聞きしております。
 なお、本対策の農家への面積配置につきましては、全中の配置方法では、12年度の水稲作付面積の3%を目安にしているとお聞きしております。現在、農協が中心となりまして地域での話し合いを行っているところとお聞きしております。

〇斉藤信委員 米、野菜の暴落の原因について、農水省より本当にひどい答弁だったね。大体野菜なんていうのは、輸入野菜の急増で、我々セーフガードの意見書まで上げているでしょう。それが最大の原因ですよ。米の暴落だって、ミニマムアクセス米の10万トンが市場流通しているんですよ。そして、11年度までに277万トン入っているんですよ。これがなかったら均衡するんですから。私は、そういう点で、本当に農家の責任みたいな言い方というのは正しくないと思いますよ。
 それは指摘だけにとどめますが、問題なのは青刈りですよ。この青刈り減反の仕組みというのは、私は絶対に継続させてはならないと思うんです。いわば豊作になれば自動的に青刈りしなければならないというシステムなんです。本当に豊作が喜べないシステムを導入する。緊急拡大分が2、070ヘクタールですが、青刈り分が1、764ヘクタールですよ。あわせると、今、38%と言ったけれども、39.6%ではないんですか。緊急拡大分を入れて36.6%でしょう。3%足したら39.6%になるのではないんですか。いずれにしたって、本当に4割減反になってしまうんですね。これ、農家は知らされてないですよ。そして、たくさんとれたら青刈りさせられるという、こういう仕組みというのは本当に許せない仕組みだと思います。こういうものの見直しを求めていただきたい。
 最後に、地産地消の取り組みと学校給食について私もお聞きしたいと思います。
 岩手県がこれに取り組んだということは評価をしたいと思うんです。岩手県が学校給食への県産米の活用について利用実態調査をしました。どれだけ今実際に使われているか、この実態と、なぜそうなっているかということを一つは示していただきたい。
 日本農業新聞の1月7日付を見ますと、米飯給食がふえると学校給食の需給率も高まるという大変興味深い記事が出ていました。私は、昨年の決算でも取り上げましたが、県産品を積極的に活用する、そのためにも米飯給食を、今、平均すれば3.2回ですが、せめてこれを4回まで広げていただきたい。これは米の消費拡大にもなる。そして、米飯と一緒に県産農畜産物の活用推進にもなる。そういう点で、そういう取り組みを農政部としても強めていただきたい。
 もう一つ、私は、しかし、パン給食をなくしていいと考えません。せめて週1回ぐらいはパン給食も、子供たちの要望もありますからやっていただきたい。埼玉県はこのパン給食で県産小麦を使っているんです。今、転作で進めていますけれども、ぜひ学校給食のパンは県産小麦を活用すると、そういう取り組みをぜひ農政部としては進めていただきたいと思います。
 最後ですが、きょうの新聞に出ましたけれども、土地改良区の自民党費の立てかえ問題について、農水省が各地方農政局長あてにこういう通知を出したと報道がありました。土地改良区等の適正な業務運営の確保について。中身は、一部土地改良区において政党の党費や政治団体の会費を土地改良区の会計から支出していたことが明らかになった。政党の党費や政治団体の会費を支出することは、土地改良法において認められている事業以外の支出であり、土地改良法に違反した不適当な支出である。こういうことで、管内の都道府県を通じて土地改良区への指導徹底を求めていますけれども、岩手県はこれをどう把握しているでしょうか。今後どういうふうに対応するのかお聞きしたい。

〇佐々木農産物流通課長 地産地消と学校給食に関してでございますが、昨年実施いたしました学校給食の県産農畜産物利用実態調査の結果を見ますと、県産品の使用割合は、畜産物とかみそ、豆腐などの農産加工品が60%以上という高い数字でございましたが、生鮮野菜や果物は約20%でございました。野菜や果物は、本県の生産出荷時期の制約もございまして低い状況にあるわけですけれども、いずれにいたしましても、今後は県産品がもっと使われるような取り組みを強化してまいりたいと考えているところでございます。
 そのために、谷藤委員にも御答弁申し上げましたが、岩手県学校給食県産農産物等利用推進懇談会というものを設置いたしまして、この中で基本的な方向を踏まえ、もっと使うようなことを全県的に推進してまいりたいと考えてございます。
 また、米飯給食でございますけれども、将来にわたって米の消費拡大につながるという面も大変重要でございますので、純情米学校給食安定供給事業や米飯学校給食環境整備等支援事業の活用によりまして、実施回数が増加するように努めてまいりたいと考えてございます。
 それから、県産小麦の活用でございますが、県産小麦のパン給食につきましては、県内の製粉業者でありますとか、財団法人岩手県学校給食会等におきまして、積極的に活用したい、そういう意向がございますので、県産小麦を導入するに当たっての利用割合を高めた製品の開発でありますとか加工技術の普及などの課題を整理いたしまして具体的な活用方策を検討してまいりたいと思っております。

〇安樂農村計画課長 土地改良区の調査についてでございますが、先ほどの佐々木順一委員の御質問と同様でございます。現在のところ、岩手県にはそのような調査依頼は来ておりません。また、きょうの昼過ぎまで農政局に対しましてもそのようなものが来ていないのかということを問い合わせておりますが、農政局にも来ていないということでございます。
 いずれ、報道のとおりでございますとこちらの方に来ると思いますので、こちらにそういう依頼がありましたら、岩手県としても調査に協力してまいりたいと思っております。

〇中屋敷十委員長 ほかに質疑ありませんか。

〇千葉浩委員 佐藤農政部長にはこの3月をもって県を勇退されると伺っておりますので、この機会をおかりいたしまして一言御礼の言葉を申し上げたいと存じます。
 佐藤農政部長は、昭和41年に県議会事務局総務課に勤務されて以来、35年間の長きにわたりまして、常に県政の第一線で活躍され、その豊富な行政経験と幅広い識見をもって岩手県の発展に御尽力をいただきましたことは皆様御承知のとおりであります。
 その間、企画調整部企画調整課長、一関地方振興局長、土木部次長などの要職を歴任され、平成9年には企業局長に就任され、新エネルギー・産業技術総合開発機構と共同で、自然エネルギーである太陽光を利用した発電にかかわる調査研究に取り組まれたところであります。平成11年には、林業水産部長として、総合計画の部門別計画であります第6次岩手県林業基本計画と第4次岩手県水産業基本計画を策定され、21世紀にふさわしい本県の林業と水産業の確立に向けた振興方策を先見性をもってお示ししていただいたところでございます。
 そして、本年度農政部長に就任されましたが、本年度は、岩手県農業・農村基本計画の実質的なスタートであるとともに、我が国の農政にとって大きな転換点となる重要な年でございました。特にも、我が国の農政史上初めて中山間地域の直接支払制度が本格的に実施されまして、佐藤農政部長におかれましては、本県の実情に応じたものとなるよう、特認基準の設定を初め、制度の円滑な導入を図るため、何度も現地へ足を運ばれるなど意欲的に取り組まれたところでございます。その結果、本県の実施率は80%を超え、全国にも誇れる成果を上げ、全国のモデルケースとして高い評価を得ているところであります。そして、新いわて農業・農村創造運動を新たにスタートさせるとともに、本県ならではの地産地消の推進に積極的に取り組まれるなど、食料供給基地として21世紀にさらなる飛躍を目指す本県農業のビジョンをしっかりと示されたのでございます。
 佐藤農政部長は、常に部下職員の先頭に立ち、真摯に、かつ情熱的に幾多の県政の難題に真っ正面から取り組まれまして、冷静沈着な判断力と卓越した行政手腕をもって大きな御功績を残されたところでございます。長い間まことにありがとうございました。
 退任されましても、どうぞ健康に十分留意されまして、引き続き県勢発展のために御指導、御助言をいただきますようお願い申し上げましてお礼の言葉といたします。
 この際、佐藤農政部長から、退任に当たりまして御所見などをお聞かせいただければ幸いに存じます。

〇佐藤農政部長 ただいまは、千葉委員から過分なお言葉をいただきまして大変恐縮いたしております。
 お話ございましたように、議会事務局をスタートに35年間勤務してまいりましたけれども、この間、県行政のさまざまな部署を経験させていただきました。特にも、最後の2年間は、本県の産業、生活のいわば基礎とも言える第1次産業の仕事に携わらせていただいたということにつきましては、岩手県で生まれ、そして育った者として本当に幸せだったと思っております。
 今、農林水産業は大変厳しい状況にございます。しかし、将来の環境あるいは食料問題、そういったものを考えると、21世紀においても、本県は食料供給基地としての発展を着実に図っていくことが大切ではないかと、そういった思いをいたしているところでございます。
 私自身、振り返ってみて至らないことばかりで、内心じくじたる思いもあるわけでございますが、これまで何とか務めてこられたのも委員の皆様方の温かい御指導、そして御厚誼のたまものと心から感謝し、そして厚く御礼を申し上げる次第でございます。これから行政の立場を離れても、県勢の発展を念じながら、自分なりにできることを心がけ、応援してまいりたいと考えておるところでございます。
 委員の皆様方には、ますます御健勝で、県勢発展のため一層の御尽力を賜りますようお願い申し上げ、まことに粗辞ではございますけれども、御礼の言葉とさせていただきます。長い間本当にありがとうございました。(拍手)

〇中屋敷十委員長 これで農政部関係の質疑を終わります。
 農政部の皆さんは御苦労さまでございました。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時52分 散 会


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