平成13年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成13年3月15日(木)
   

1開会    午前10時3分

1出席委員  別紙出席簿のとおり

1事務局職員
事務局長      和美宏幸
議事課長      熊谷素紀
議事課長補佐    千田正和
主任議事管理主査  浅田和夫
議事管理主査    浅沼 聡
議事管理主査    森 達也
議事管理主査    熊谷正則
議事管理主査    下山義彦

1説明員
教育委員会委員長  船越昭治
教育長       合田 武
教育次長      五十嵐 正
教育次長兼美術館整備室長兼岩手県立埋蔵文化財センター所長 千葉 弘
総務課長      土井 進
厚生福利室長    鹿糠幸弘
財務課長      中村 昭
義務教育課長    盛川通正
県立学校課長    田口淳一
高校改革推進監   伊藤 勝
指導課長      西 俊六
社会教育課長    藤堂隆則
文化課長      伊藤学司
保健体育課長    松田郁夫
美術館整備監    高橋信雄
警察本部長     出原健三
警務部長      佐藤裕夫
生活安全部長    太田代 憲夫
刑事部長      境谷 満
交通部長      沼崎 喜四郎
警備部長      鈴木 勲
警務部参事官兼警務課長 伊東忠久
首席監察官兼監察課長 高橋 榮
生活安全部参事官兼生活安全企画課長 小野 長五郎
生活安全部参事官兼地域課長 佐藤久孝
刑事部参事官兼捜査第一課長 及川 攻
交通部参事官兼交通企画課長 菅野 通
警備部参事官兼警備課長 中川 健
総務課長      菊地啓一
情報企画官     菊池義憲
会計課長      荒牧 優
少年課長      及川正文
財政課長      池田克典
   

〇中屋敷十委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
 議案第1号から議案第21号まで、議案第30号から議案第38号まで、議案第40号、議案第42号、議案第46号、議案第48号、議案第50号及び議案第51号の以上35件を一括議題といたします。
 本日は、教育委員会及び警察本部関係を終わるように進行いたしたいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 また、質疑につきましては、世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保証するため、質疑項目が複数ある場合、関連する事項についてはできるだけまとめて質疑されるとともに、質疑及び答弁は簡潔明瞭に、午後5時を目途に審査が終了するよう、議事進行に御協力をお願いいたします。
 なお、関連質疑については、冒頭に質疑を表明している委員より優先して発言を認めているものでありますので、その性格上、関連性の強いもののみ短時間、簡潔に発言されるよう、また、要望のみで終わることのないよう、御協力をお願いいたします。
 これより、教育委員会関係の審査に入るわけでありますが、教育行政施策について教育委員会委員長から発言を求められておりますので、発言を許すこととし、その後、教育長から教育委員会関係の説明を求め、質疑に入ることといたしたいと思います。

〇船越教育委員会委員長 それでは、平成13年度の教育委員会所管にかかわります予算について御審議をいただくに当たり、教育行政施策について御説明申し上げます。
 今日の我が国の教育については、知識偏重の風潮や画一的な学校教育、家庭や地域社会の教育力の低下など、さまざまな問題が指摘されておりまして、これまでの教育のあり方が問われております。
 国におきましては、この間、心の教育の充実や個性を伸ばし多様な選択ができる学校制度の実現、現場の自主性を尊重した学校づくりの促進等を柱とした教育改革を進めてきたところでありまして、また、昨年末の教育改革国民会議の最終報告を受けて、先般、今後の教育改革の取り組みの全体像を示します21世紀教育新生プランを打ち出したところであります。
 県教育委員会では、平成11年9月に、第8次岩手県教育振興基本計画を策定し、本県教育の進むべき方向と、それを実現するための基本的な教育行政施策を明らかにしたところでございますが、平成13年度におきましては、この計画に示した施策の方向やその後の国の教育改革に向けた動きなどを踏まえながら、教育行政施策の一層の推進に努めてまいりたいと考えております。
 以下、平成13年度の施策の大要を、生涯学習、学校教育、社会教育、スポーツ振興、文化振興の五つの領域に大分けをいたしまして説明を申し上げます。
 第1は、生涯学習の推進についてであります。
 まず、多様化、高度化する県民の学習ニーズに対応するため、広域的な学習サービス体制の整備やボランティア活動の促進等をさらに進めるとともに、各種広報媒体を活用して、生涯学習に関する情報を広く発信してまいります。また、生涯学習施策の総合的、効果的な展開を図るため、県、市町村、関係機関・団体、民間等との連携に留意しながら、学びの里づくりを推進する生涯学習振興計画を策定してまいります。
 第2は、学校教育の推進についてであります。
 学校教育では、ゆとりある教育活動の中で、子供たち一人一人の多様な個性を大切に伸ばしながら、ともに生きる心をはぐくみ、基礎的、基本的な内容の確実な習得や、みずから学び、みずから考える力など、生きる力の育成を目指してまいります。
 まず、平成14年度からの完全学校週5日制の実施に向けて、県民に広く周知、啓発を図るなど、その円滑な移行に努めてまいります。また、新しい学習指導要領の実施に向けた学校の取り組みなど、教育に関する情報を、児童生徒の保護者に直接提供する広報紙を発行してまいります。
 次に、いじめ、不登校、校内暴力などの問題については、子供たちの個々のケースに応じ、心の教室相談員やスクールカウンセラー等の配置を進めるほか、教員のカウンセリング能力の向上や市町村の適応指導教室についての支援、関係機関、地域との連携などを図ってまいります。
 また、農林漁業体験活動や北東北3県共同で実施いたします事業などを通じて、児童生徒の健全な育成を図ってまいります。
 さらに、県立学校におけるコンピューター整備やインターネット接続の高度化、教育情報データベースの構築等を進めますとともに、教員の指導能力の向上を図るなど、教育の情報化を一層推進いたします。また、小学校における英会話等の学習のあり方について調査研究を行いますほか、高校生の海外研修や語学指導を行う外国青年の招致などによって、国際理解教育をさらに推進してまいります。
 次に、県立高等学校新整備計画については、引き続き地域との話し合いを進め、御理解をいただきながら着実に実施してまいります。
 また、本県の実態に即した中高一貫教育の導入を図るとともに、岩手らしさや地域の特性を生かしながら、各学校の活性化、魅力ある学校づくりを推進するほか、県立高校における入学者選抜方法や通学区域について新たな制度の検討を進めてまいります。
 さらに、盲、聾、養護学校における教育については、労働関係機関等と連携した進路指導を行うなど、一層の充実を図ってまいります。
 また、教員の視野を広げるため、企業や施設等で長期社会体験研修を実施するなど、その資質の向上に努めてまいります。
 第3は、社会教育の推進についてであります。
 まず、少子化、核家族化など家庭を取り巻く環境の変化に対応するため、テレビ放送等による情報提供や電話相談等を実施するほか、市町村における家庭教育推進事業を支援するなど、家庭の教育力向上に向けて積極的に施策を展開してまいります。
 また、青少年に対し自然体験や生活体験など、多様な体験活動の機会を提供するとともに、大学等の開放講座、女性や高齢者のための講座を開設するなど、幅広い学習活動の支援に努めてまいります。
 さらに、図書情報総合センターの整備に向けて、自動化書庫等の設計を行うほか、県民の学習ニーズに対応した図書情報を迅速に提供していくため、資料のデータベース化を進めるとともに、図書情報システムの設計に着手してまいります。
 第4は、スポーツの振興についてであります。
 まず、子供から高齢者まで、だれもが身近にさまざまな種目のスポーツに継続的に親しめる総合型地域スポーツクラブの普及を促進するとともに、多くの県民が気軽に参加できる県民スポーツ・レクリエーション祭の開催や、平成17年度開催予定の全国スポーツ・レクリエーション祭に向けた取り組みを進めるなど、生涯スポーツの振興を図ってまいります。
 また、スポーツ国際交流員の招致や競技スポーツ指導者の海外派遣を推進するとともに、中学・高校生に重点を置いた選手強化を図るなど、競技力の向上に努めてまいります。
 第5は、文化の振興についてであります。
 まず、本年10月に開館予定の県立美術館において、本県にゆかりのある芸術家の作品を初め、国内外のすぐれた芸術作品を積極的に紹介していくとともに、青少年への舞台芸術の鑑賞機会の提供や文化行政担当職員等の資質向上を図るなど、芸術文化活動の促進に努めてまいります。
 また、青少年民俗芸能フェスティバルの開催などを通じて、民俗芸能の後継者の育成や伝承活動の活性化を図るとともに、柳之御所遺跡の土地の公有化を促進するなど、文化財の保存と活用に努めるほか、世界遺産暫定リストに登載された平泉の文化遺産について、さらなる学術的な調査研究を進めてまいります。
 さらに、県立博物館に、本県の歴史、文化、自然などについて学習する県民の活動を支援する拠点として、いわて地元学センターの機能を整備するため、調査を進めてまいります。
 以上、平成13年度の施策の大要について、所信の一端を申し述べました。
 教育委員会といたしましては、新しい世紀の幕あけに際して、この岩手の大地から、確かな学力を備え、心身ともにたくましい人間が育っていけるよう、各般の施策に全力を挙げて取り組んで、本県教育の一層の振興を図ってまいる所存であります。
 いずれにいたしましても、教育は、国、県、市町村、団体等の関係者が連携・協力し、学校、家庭、地域社会が一体となって推進してこそ、初めてその成果が期待できるものであります。
 議員の皆様の一層の御理解、御協力と県民の皆様の積極的な参画を心からお願い申し上げます。
 なお、予算の内容につきましては、教育長から御説明申し上げますので、よろしくお願いいたします。

〇中屋敷十委員長 次に、教育長から教育委員会関係の説明を求めます。

〇合田教育長 それでは、平成13年度岩手県一般会計予算のうち、教育委員会関係の予算について御説明申し上げます。
 お手元の議案その1の8ページをお開き願います。
 議案第1号平成13年度岩手県一般会計予算の第1表歳入歳出予算の歳出の表中、教育委員会所管の予算額は、10款教育費のうち1項教育総務費から7項保健体育費まで、9ページの11款災害復旧費のうち3項教育施設災害復旧費をあわせた総額1、718億4、495万7、000円であります。これを前年度当初予算額と比較しますと43億4、974万円余、率にして2.5%の減となっております。
 各項目ごとの内容につきましては、便宜、お手元の予算に関する説明書により説明させていただきます。予算に関する説明書の233ページをお開き願います。
 金額の読み上げは省略させていただきまして、主な事項を中心に御説明申し上げますので御了承願います。
 10款教育費1項教育総務費1目教育委員会費は、教育委員会の運営に要する経費であります。203ページから234ページにわたる2目事務局費は、事務局の管理運営費及びこれまでの教育広聴広報活動に加え、新たに児童生徒の保護者に向けた広報紙の発行経費並びに県立高等学校等に配置し、語学指導や地域のスポーツ指導の支援等を行う外国青年招致事業に要する経費であります。234ページをお開き願います。3目教職員人事費は、教職員の退職手当等に要する経費であります。その下の235ページの4目教育指導費は、教職員の研修実施に要する経費、いじめや不登校等に対処し、児童生徒の健全育成を総合的に推進するため、心の教室相談員やスクールカウンセラー等を配置し、また、学校、家庭、地域社会の連携の支援に要する経費、21世紀を担う国際感覚豊かな人材の育成を図るため、課題研究テーマ別に世界各国に派遣する高校生世界のかけ橋推進事業、平成14年度全国産業教育フェアの本県開催に向けて準備等を行う産業教育フェア開催推進費、平成12年度の県立学校の校内LAN整備等に引き続き、教育の情報化を推進するいわて教育情報ネットワーク整備事業、総合的な学習の時間における英会話等の学習の円滑な実施に向け調査研究を行う小学校国際理解教育推進事業に要する経費であります。235ページから236ページにわたる5目教育センター費は、教職員の研修などに要する経費のほか、総合教育センターの管理運営費及び施設整備に要する経費であります。236ページをお開き願います。6目幼稚園費は、こまくさ幼稚園の管理運営に要する経費であります。その下の237ページの7目恩給及び退職年金費は、恩給及び扶助料等であります。
 238ページをお開き願います。2項小学校費1目教職員費は、小学校教職員の人件費、旅費等のほか、総合的な学習の時間の実践研究を推進するための非常勤講師の配置に要する経費等であります。
 239ページの3項中学校費1目教職員費は、中学校教職員の人件費、旅費等のほか、総合的な学習の時間の実践研究を推進するための非常勤講師の配置に要する経費等であります。
 240ページをお開き願います。4項高等学校費1目高等学校総務費は、高等学校教職員の人件費及び旅費等のほか、新しいタイプの高等学校や入学者選抜方法等の調査研究、本県の実態に即した連携型中高一貫教育の推進に要する経費等であります。2目全日制高等学校管理費及び241ページの3目定時制高等学校管理費は、それぞれ各高等学校の管理運営に要する経費であります。241ページから242ページにわたる4目教育振興費は、産業教育設備、部活動設備及び情報処理教育設備の整備費のほか、農業及び水産教育等に係る実験実習に要する経費であります。242ページをお開き願います。5目学校建設費は、県立高等学校の建物等施設整備に要する経費であります。校舎建設は、盛岡第三高校、千厩東高校の建築工事及び一関第二高校校舎解体工事、久慈農林高校のグラウンド用地取得経費等、産業教育施設建設は、盛岡農業高校の作物実習棟の整備等、体育館建設は葛巻高校ほか3校、部活動施設整備は花巻北高校ほか9校、校地整備は岩泉高校ほか5校、教育環境の向上を図る校舎大規模改造は高田高校ほか5校、水泳プール建設は福岡高校ほか1校、このほか校舎、教職員住宅の整備、維持管理に要する経費であります。243ページの6目通信教育費は、通信教育の管理運営に要する経費であります。
 244ページをお開き願います。5項特殊学校費1目盲聾学校費は、盲学校及び聾学校の人件費等の管理運営費、施設維持管理等に要する経費であります。245ページの2目養護学校費は、養護学校の人件費等の管理運営、盛岡養護学校の校地整備を行うなどの施設維持管理に要する経費であります。
 246ページをお開き願います。6項社会教育費1目社会教育総務費は、生涯学習県民フェスティバルの開催、生涯学習ボランティア活動の推進、長寿学園の開設等多様化、高度化する県民ニーズに対応する生涯学習推進に要する経費、次代を担う子供たちを心豊かでたくましい人間として育成するため、テレビ放送等による情報提供、電話相談事業等を実施するほか、先進的な家庭教育に関する事業を実施する市町村への補助などを通じ、家庭の教育力の充実に要する経費、訪問地での体験学習等を行う銀河鉄道の旅や各青少年の家での自然体験塾等を実施し、主体的に生きるたくましい青少年の育成を図る青少年ふるさと体験学習推進に要する経費、子供たちが自分たちの生活する地域を題材に子供の視点でテレビ番組を制作する北東北三県子どもテレビ局事業に要する経費のほか、生涯学習センター及び青少年の家の管理運営に要する経費等であります。247ページの2目視聴覚教育費は、視聴覚教育の指導者養成等に要する経費であります。247ページから248ページにわたる3目文化財保護費は、指定文化財の保存、修理への補助、一戸町埋蔵文化財センター建設費補助、世界遺産登録への契機とするため、平泉文化フォーラムの開催等の文化財保護の推進に要する経費、国指定史跡柳之御所遺跡の史跡整備を促進するため、引き続き学術調査を行うとともに、新たに史跡指定地内にある民有地の取得に要する経費、特別天然記念物カモシカの食害防止等に対する補助に要する経費のほか、埋蔵文化財センターの管理運営及び施設整備に要する経費であります。248ページをお開き願います。4目芸術文化振興費は、青少年にすぐれた芸術鑑賞機会を提供する青少年劇場の開催、全国高等学校総合文化祭への参加、市町村文化施設職員の企画力の向上を図る研修の実施など芸術文化の振興に要する経費、岩手県芸術祭開幕フェスティバルにおいて、交流・公演を行う北東北三県芸術文化連携交流に要する経費、高校生の文化部活動の技量の向上等を目指す高校生カルチャーキャンプ事業に要する経費、県民会館の管理運営及び外壁改修、屋上防水等の施設整備に要する経費であります。5目図書館費は、県立図書館の管理運営に要する経費及び多様な利用者の利便性の向上を図る図書情報システムを整備するとともに、盛岡駅西口複合施設として整備する図書情報総合センターの自動化書庫の設計等に
 251ページをお開き願います。7項保健体育費1目保健体育総務費は、児童生徒の保健管理、エイズ・性教育の推進に要する経費のほか、岩手県学校給食会に対する貸し付けに要する経費であります。251ページから252ページにわたる2目体育振興費は、生涯スポーツの振興を図るため、地域スポーツ活動活性化事業への補助、県民スポーツ・レクリエーション祭開催負担金、総合型地域スポーツクラブの育成を図る市への補助等の生涯スポーツ推進に要する経費、全国スポーツ・レクリエーション祭や各種体育大会への参加、派遣に要する経費、国体選手やジュニア選手等の強化を行い、本県の全国大会等における競技力の維持向上を図る競技力向上対策事業費のほか、子供たちが一流柔道選手と合宿生活をし、本物を生で見るという感動や交流による仲間づくりを行う北東北三県子ども武道交流事業に要する経費等であります。3目体育施設費は、体育施設の管理運営に要する経費、高田松原野外活動センター窓枠等改修工事、県営野球場照明設備取替工事、県営体育館暖房設備改修工事など、県営体育施設の整備に要する経費であります。
 次に、ページを飛んでいただきまして、262ページをお開き願います。11款災害復旧費3項教育施設災害復旧費1目学校施設災害復旧費は、県立学校施設に災害が発生した場合の復旧に要する経費であります。
 次に、債務負担行為について御説明申し上げす。
 議案その1に戻っていただきまして、15ページをお開き願います。第2表債務負担行為の54、校舎建設事業から56、校舎大規模改造事業の3件であります。54、校舎建設事業は、一関第二高校、久慈農林高校、花北商業高校、55、校地整備事業は、高田高校、花巻北高校、盛岡工業高校、久慈工業高校、56、校舎大規模改造事業は久慈工業高校、黒沢尻工業高校、これらは工期等が翌年度以降にわたることから、それぞれ期間及び限度額を定めて債務を負担しようとするものであります。
 次に、予算以外の議案について御説明申し上げます。
 議案その2の43ページをお開き願います。議案第34号県立学校授業料等条例の一部を改正する条例についてでありますが、これは、国の地方財政計画の基準等に沿って、県立高等学校の授業料等及び岩手県立こまくさ幼稚園の入園料を改定しようとするものであります。
 次に、91ページをお開き願います。議案第51号野外活動センター条例の一部を改正する条例についてでありますが、これは、高田松原野外活動センターにカヌー等の水に親しむ活動施設を整備したことに伴い、浮桟橋、船揚場及び研修用舟艇の使用料を定めようとするものであります。
 以上で説明を終わらせていただきます。よろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。

〇中屋敷十委員長 ただいまの説明に対し、質疑ありませんか。

〇折居明広委員 財団法人盛岡橋本美術館についてお伺いいたします。
 盛岡橋本美術館は、我々の大先輩であり、県議会議長も務められた洋画家の故橋本八百二さんが、本県の美術振興を願って、私財を投じ、昭和50年に開館した博物館法に基づく県内初の登録美術館であります。昭和52年に財団法人となり、以来、四半世紀にわたって県民はもとより、県内外の愛好家からも親しまれてきたいわゆる盛岡の観光名所の一つでもありました。その美術館が財団の理事会、評議員会の承認を得て、正式に今月31日をもって閉館するとの報道に接し、驚くとともに、盛岡市民の一人としては、文化の灯が一つ消えることでもあり、まことに残念でなりません。
 八百二さんの長男でもある橋本館長は、生前、父は、県内の人口と同じぐらいの入館者があればと話していたが、開館以来の入館者が約130万人となりましたと言っておりますし、父が先頭に立って建設を目指してきた県立美術館も、ことしの秋開館の予定でもあり、父も納得するのではないかと話しておられたようですが、それにしてもまことに残念でなりません。
 そこでお伺いいたしますが、財団の許認可を担当する県として、盛岡橋本美術館が本県美術の振興に果たしてきた役割をどのように評価しておられるのか。また、登録美術館を所管する県教委は、今日まで財団に対しどのような指導、監督をしてきたのか。あわせて、今後の対応について、例えば美術館の土地や建物、それから収蔵品などに関してもお話し願いたいと思います。特に、橋本美術館には、報道によりますと橋本八百二さん本人の作品のほかに、日本人画家やそれからミレーやクールベら、18世紀から19世紀のフランスのバルビゾン派の絵画もあわせて約120点が展示されていたとありますし、また、県内の民芸品なども多数収集、展示しておったとありますが、これらは一体どうなるのか、その辺をお聞かせ願いたいと思います。

〇合田教育長 今、委員の方から御質問がありましたとおり、橋本美術館は、橋本八百二さんが美術館建設の運動の一環として長らくやっておられまして、みずからが私立美術館設立を進めたという経緯がありまして、昭和50年、庶民の生活と美の探求を理念といたしまして、本県において初の美術館として設立されたものであります。最盛期には先ほどもお話しありましたけれども、県内外から年間7万人もの多数の入館者がいまして、絵画、彫刻、工芸品、民芸品にわたる総合的な展示を鑑賞していただいたところでありますけれども、四半期にわたり私立美術館として本県の美術振興に果たしてきたその役割は、非常に大きいものと認識しております。今月いっぱいで閉館になるという運びになったことについては、私としては非常に残念なことだと思っております。
 そこで、きのう実は理事長さんが見えまして、これからの手続等相談してやりたいというお話で、事務指導等についての協力依頼がございましたけれども、内容がまだはっきりしておりませんから、今までの経過といたしましては、公益法人、財団法人なものですから、公益法人の設立及び監督に関する条例によりまして、毎年事業報告の提出などを受けて運営の指導に努めてまいってきたところでありますが、途中で学芸員不在が若干続きまして、いろいろ事情がございまして、館長に対して、その学芸員を確保するよう継続的にずっと指導してまいってきました。さらに、ここ数年、経営が非常に難しくなってきていることから、平成11年に職員による公益法人法に基づく実地検査を実施いたしまして、県教委といたしましては運営執行体制の見直しを含め、中長期的な経営方針を検討するよう指導したところであります。これらから、それぞれ理事会あるいは評議員会を経まして、さきの廃館の方向に向かったと考えております。
 それで、その後の取り扱いは、先ほどお話ししましたように、特に収蔵品の取り扱いについては理事会あるいは評議員会の決定がまだなされておりませんが、先ほど委員の方からもお話しありましたとおり、あそこは盛岡市の観光の一つのセクションでもありますので、地元盛岡市ともども、理事会等で方針が決定してあるいは決定する前に県あるいは市に相談がございましたら、それに対して対応してまいりたいと今のところは考えております。
 また、具体的な収蔵品の行ったり来たりにつきましては、県立の美術館もこれからできますので、その中でも考えていきたいと思います。

〇折居明広委員 これからのいろんな作業になると思いますが、ぜひ最大限、有効に活用するような方向に努力していただきたいと、このように思うわけであります。
 さらに、あわせてお伺いしますけれども、今、県内には博物館法による届け出をしている美術館は何館ぐらいあるのか、そしてそれらの運営状況、多分、相当やはり厳しいと思いますが、その辺も少しお聞かせ願いたいと思います。
 あわせて、ことし10月に開館が予定されている県立美術館についても、若干お伺いいたします。
 私、平成3年の6月定例会本会議で、県立美術館の整備について質問しております。特にこの際は、美術館基本問題懇談会の設置事業費とそれから美術品購入に充てる費用の、いわゆる積立金5億円ということに関していろいろ質問をしたわけでありますが、そういう経緯から、ことしの秋10月に開館ということ、非常に楽しみにしている一人でありますので、ちょっとお伺いしますが、この県立美術館は、年間入館者数の見込みをどのように考えているのか、その根拠などを示していただければありがたいと思いますし、それから県民に親しまれる美術館にするためにどのようなPRあるいは誘客計画を考えているのか、あわせてお聞かせ願いたいと思います。

〇土井総務課長 博物館法によります美術館の関係でございますけれども、博物館法第12条の規定によりますと、登録の美術館につきましては、盛岡橋本美術館のほか東和町立の萬鉄五郎記念美術館、それから盛岡市にございます社団法人深澤紅子野の花美術館の3館でございます。
 これらの運営状況でございますけれども、萬記念美術館につきましては、町立の美術館でございますので詳細は承知いたしておりませんけれども、社団法人深澤紅子野の花美術館につきましては、入館者はここ数年1万5、000人前後と、やはりちょっと微減傾向にございます。そのため、館では毎年企画展を開催するなど、運営に努力を図っておるということでございまして、健全な運営が個々図られていると認識してございます。

〇高橋美術館整備監 この秋に開館いたします県立美術館の年間の入場者についてお尋ねでございますが、私ども他県の状況から推察いたしまして、大体県人口の5%ないし6%が年間の入館者という実態があるようでございまして、それからいたしますと、本県の場合には年間8万人程度になるのかなということで、その8万人という入館者数を見込んでおります。
 それから、なお、平成13年度、来年度につきましては開館年度でもございますので、3本を予定している企画展、非常に魅力ある企画展なんかも準備しております関係上、10万人程度の観覧者を予定しているところでございます。
 それから、どのような誘客計画かとお尋ねでございますが、開館後には萬鉄五郎それから松本竣介、舟越保武の3氏の作品を中心とした常設展示を充実させてまいりたいと思っておりますし、また、国内外のさまざまな美術テーマによる企画展も開催いたしまして、あわせて各種の美術館教育活動、教育普及事業等も積極的に展開いたしまして、県内はもとより、県外からも多数のお客さんがおいでになるように努めてまいりたいと考えております。

〇折居明広委員 一応用意してきた質問はこれまででしたけれども、今、教育委員会委員長の演述の要旨を見ながらお話を伺いました。
 第5の文化の振興についてでありますが、この中には開館予定の美術館についてのお話し、それから青少年民俗芸能フェスティバルの開催等のお話し、そして県立博物館についてのことしか載っておりません。こういう時代でありますから、やはり教育委員会が所管する今のお話しではありませんが美術館とか、県内のそういういわゆる施設、会館等々についても心を砕いて演述に盛るような方針を今後考えるべきだと思いますが、そのことにつきまして教育委員長にお話をいただきたいと思います。

〇船越教育委員会委員長 ただいま折居委員からもっともな御意見をちょうだいいたしまして、そのように今後努力してまいりたいと思います。
 御承知のとおり、県内の文化関連の団体というのは昭和50年代以降、急速に各市町村等でふえてまいりましたけれども、その運営が必ずしもうまくいっておりません。ということでございまして、やはり全県的な文化振興という中でネットワークをつくって、いい連携関係を考えていく時期に入ったのではないかと、このように理解しております。
 御意見を承りましたので、努力してまいりたいと思います。

〇折居明広委員 よろしくお願い申し上げます。終わります。

〇水上信宏委員 1点についてお伺いします。
 高校のプール事故の和解が1、000万円の見舞金で成立したわけですが、教育施設が事故時の保険に加入しているどうかということをお聞きしたい。

〇合田教育長 教育委員会が所管する施設、大ざっぱに三つありますが、すべて保険に入っております。一つの分類としましては、県立学校につきましては、都道府県立学校管理者賠償責任保険というのがございます。それから体育施設関係につきましては、社会体育施設保険というのがございます。文化施設関係につきましては、公立文化施設賠償責任保険という3種類がございまして、この場合の要件としましては、施設設備の不備または管理上の瑕疵による事故に起因する損害賠償とか和解という形になっておりまして、今回の場合は都道府県立学校管理者賠償責任保険でありまして、大体見舞金や賠償金の8割程度が適用になります。この事例では1、000万円の賠償になっておりますけれども、800万円は実は保険からおりて、県の実際の一般財源は200万円と、こういう形になっております。予算上、一応特定財源として県に入ってから出すものですから、見る限りでは1、000万円になります。そのほかに、共済制度というのがございまして、その共済で日本体育・学校保健センターというのがありまして、これは見舞金で、原因がどこにあるかどうかということは関係なく、事故があったという事実に対して見舞金をやる制度で、それから県独自でも財団法人岩手県学校安全互助会というのがありまして、この二つをあわせまして約3、000万円、別途支払われていることになっております。

〇飯沢匡委員 統合教育についてお伺いいたします。
 統合教育については、現行の法規定において、盲、聾、養護学校や特殊学級の就学対象となる児童生徒でも、保護者の意向等に配慮して、障害のある児童生徒が普通学級で小・中・高校あわせて240名が学んでいると伺っております。21世紀の特殊教育のあり方については、ノーマライゼーションの進展に向け、障害のある児童生徒の自立と社会参加を社会全体として支援することが必要であり、教育、福祉、医療等が一体となって乳幼時期から学校卒業後まで、障害のある子供やその保護者等に対する相談及び支援を行う体制を整備することが必要とされております。また、都道府県教育委員会においては、福祉、医療等の関係部局との連携を図り、域内の市町村において相談支援体制が整備されるよう努めることとされております。
 そこで、統合教育について教育委員会の対応についてお示し願います。

〇西指導課長 障害のある子供の学校への受け入れについてでありますが、小・中・高等学校では、施設設備などの受け入れ条件が整う場合におきましては弾力的に対応しておりまして、平成12年5月1日現在、委員御指摘のように、障害のある子供たちを240名受け入れているところでございます。また、これらとともに、ノーマライゼーション理念の浸透のために、小学校と養護学校などでは、交流教育を積極的に進めておるところでございます。
 今後の対応につきましてでありますが、現在、国におきましては、本人の障害の種類や程度、学校の受け入れ条件が可能な限り入学を認める方向で就学基準の見直しが行われておりまして、その動向を見て対応してまいりたいと、そのように考えております。

〇高橋賢輔委員 高校再編に関連してお伺いしたいと思います。
 まず、これまでも大変議論を重ねてきているわけでございますが、高校再編の問題は、最近の新聞紙上では、公立高校を受験する子供たちが、統合問題に志望校も決めかねているといったような記事が載ったわけでございますが、中には、再編対象校で志願者が減ったというようなことも言われておったわけでございますが、その結果はどうだったのか、それを伺いたいと思います。
 それから2点目は、再編対象校地域に検討委員会が設置されておるわけでございますが、岩手中部地区におきましては、3回でしたか検討委員会が開かれたわけでございます。今後、ゆだねられる問題は何なのか、具体の項目を示していただければ大変ありがたいと思うわけでございます。
 それから、私は高校再編は対等の認識を持っているわけでございますが、これから問題とされる校名問題についてどのような考え方をもってしてこれから臨まれるのか、その点をお聞きしたいと思います。
 それから、再編後の校舎あるいは跡地の利活用はどういうことをこれから考えられるのか、その点についてもお伺いしたいと思います。
 それから、再編後の校舎の建設計画のめどはいつごろ策定されて地域に示されるのか、その点をお伺いしたいと思います。

〇伊藤高校改革推進監 第1点の平成13年度の岩手県公立学校の学力検査、入試にかかわる状況でございますけれども、一般入試におきます実質定員でございますけれども、これが1万3、127名でございまして、昨年度と比較して452名の減でございました。この点から今年度の一般入試の倍率でございますが1.03倍でございまして、昨年度は1.08倍でございましたので、0.05倍減少しているという状態にございます。
 第2点の統合する際に検討委員会にどのような検討事項がゆだねられるかということでございますけれども、まず校舎の位置、設置の場所でございますね、それから校名、校歌、校章、それから教育内容──内容というのは大きく学科とかそれから教育課程、カリキュラムなども含みます。そうした大きな設置にかかわるものから教育の内容にかかわるものまで御検討いただくわけでございますが、御検討いただきましたものを踏まえまして、私ども県の教育委員会において決定してまいると、このようなことで検討委員会の御理解をいただいているものでございます。
 校舎、校名については、大変いろいろな御検討をいただいているわけでございますが、特に校名につきましては、それまでの学校の歴史ですとか、立地条件でございますとか、学校の特色でございますとか、そうしたものを十分に考えていただきまして、御存じのとおり、検討委員会はPTAの代表ですとか同窓会の代表、それから地域の代表の方、学校長などで組織しておりますので、そうした方々の中で御検討賜ると、このように考えているものでございます。
 それから、再編によって使わなくなった校舎についてどのようにということでございますが、これにつきましては、地元の市町村の御意向も踏まえながら十分話し合って、よりよい活用方法について検討してまいりたいと、このように考えてございます。
 校舎整備の状況といいますか、どのような形で整備してまいるのかということでございますが、そうした検討委員会からいただきました、こうした高校でありたい、こういう教育内容でありたいという、そういう御意向を踏まえまして、まず校舎の改築、改修にかかわる、整備にかかわる設計をいたします。設計いたしました後、工事ということになりますので、一律にいつごろお示しするというわけにはまいりませんで、これは学校ごとに検討委員会にお示ししてまいるということになっていくものと考えております。

〇高橋賢輔委員 私はせっかくの再編、画期的な再編になるわけですから、少なくとも建設計画というものは早い機会に県民に知らしめるべきものだと、こう思っているわけです。したがいまして、いつでしたか、平成15年ごろまでには建設計画を策定したいというような話もお聞きしているわけでございますけれども、そういうことじゃないわけですか。
 それから、検討委員会にゆだねるということの件なんですけれども、私この校名ですが、これ大変大事なことだろうと思うんです。それぞれの学校がいろいろ特色があって伝統のある学校ですから、校名についてはそれぞれ地域エゴとかしがらみなどが伴ったのでは、私は大変子供たちの動揺を増幅させるようなことになるのではなかろうかと、こう思うわけです。したがいまして、私は一般に、県民からの公募をやってはどうかと、そう思うんですが、その辺をどうお考えになっているのかお聞きしたいと思います。

〇伊藤高校改革推進監 校名の決定にかかわる手続、方法論についてのお尋ねでございますが、これは全国的にも、全国に向けてインターネット等で公募するとか、あるいは県内に大きく公募するとか、そうした形で決定しているところはございます。したがいまして、検討委員会で御検討いただくというのは、そうした方法論も含めて検討委員会で御検討いただくということでございます。説明が不十分でございました。
 なお、校舎の整備につきましては、財務課長の方から御説明申し上げます。

〇中村財務課長 校舎の建設計画、いわゆる整備計画を早く示すべきだと、こういうお話ですが、私もそのとおりだと思います。それで実は、今、推進監の方からお話し申し上げましたように、整備検討委員会と内々協議して進めておるわけですが、その中でもスケジュールもいろいろ議論して整備しております。それで、実は今回13年度当初予算の中に設計委託料を予算計上しておりまして、これを認めて御認証いただきたいのでありますが、それが決まりましたらすぐ正式にお知らせすると、こういう段取りで進めておるところでございます。

〇柳村岩見委員 平成13年度におけるいわて型教育の施策の内容と、それから事業数についてお尋ねをいたします。

〇西指導課長 ただいまお尋ねいただきましたいわて型教育についてでありますが、これまで岩手の持つ自然や歴史、伝統文化や地域の人材を活用した岩手らしさを生かした教育の推進に努めているところでございますが、具体的には、国際的視野を持つ人材育成のため、高校生世界のかけ橋推進事業、動植物との触れ合いを行う豊な心を育む推進事業などを実施してまいりました。13年度におきましては、これらの事業をさらに充実させてまいるとともに、新規事業といたしましては、小学校国際理解教育推進事業を実施することとしております。具体的には、県内12教育事務所管内に1校ずつ、小学校国際理解教育、英会話等の調査研究校を指定いたしまして、2年間、英会話等の学習について調査研究を推進してまいろうとするものでございます。
 なお、完全学校週5日制に向けて、幼稚園から小・中・高等学校までの児童生徒の保護者等を対象とした広報誌発行事業を行うこととしておりまして、変わろうとしている学校の姿を初め、本県教育の現状や課題等について積極的に情報提供を行うなど、学校、家庭、地域社会が一体となって教育に取り組んでまいりたいと、そのように考えておるところでございます。

〇柳村岩見委員 時間の関係上、施策の数を全部お話をされなかったと思いますけれども、実はその資料をいただくと18施策があるんですね。私、この18の施策に目を通しますと、これもいわて型の教育なのかと思われるのがあるんですね。例えば、高校生世界のかけ橋推進事業、高校生を国際性豊かな人材を育成するために海外に派遣すると。これいわて型ですか。ほかの県でやっていないかという、ほかの県でやっていなくて岩手でやるからいわて型だという議論と、内容の問題についての議論も当然あると思いますが、しからばこのことについて、これがなぜいわて型教育なのか。要するに、例えば国の補助メニューがございませんと、よって、県単でやりますと、予算上。県単のためにいわて型なのだと。それは内部的な要素であって、外に対していわて型の教育はこれとこれとこれなんだということを言うときは、それはちょっと違うのではないかと。行政感覚における、国に補助メニューがありません、県単でやりますと、持ち出しでありますと。よって、これがいわて型と言うというのは行政感覚の問題であって、外に対していわて型の教育の中の施策の中にこれが入るんだということにはならないのではないかと、普段から思っているんですね。そこをもし、いや、そうじゃありませんと、こうこう、こういうわけでいわて型教育なんだということがありましたらお願いします。

〇西指導課長 ただいま委員からお話をいただきました高校生世界のかけ橋推進事業がいわて型なのかというお尋ねでございますが、これは、確かに各都道府県でこういう高校生等の派遣事業をやっているとこはございます。しかし、派遣するコースまたはその内容等につきましてはどこの都道府県でもやっておらない規模であり、内容でございます。
 特に、今回のかけ橋推進事業の大きな観点といいますか、目玉と申しますのは、高校生がそれぞれに訪れる国が全部で6カ国でございます。アメリカが二つのコースを持っておりますけれども、それぞれのコースに課題を設けております。例えばドイツのボンに参りますと、環境問題とか、これから岩手の若人が生きていくに際しまして、国際的なセンスなり大きな物の考え方なり、そういうものを学んでいただくには大変大きな事業だと、そういうふうに本県、私どもは考えているところでございます。そういう意味で、今後の岩手を支えていく人材を育成するというところでは大きな役割を持つのではなかろうかと、そういうふうに思っているところでございます。

〇柳村岩見委員 実は、18ある施策の中で個々にお尋ねしたいような心境であります。時間の関係がありますのでまた一例を申し上げますけれども、児童生徒の英会話向上への取り組み、そして、小学校における国際理解教育を推進するため調査研究を実施する、これがいわて型教育なのかと一つ一つ思うんですね。時間がありませんから結構ですけれども、後日、こういうところがいわて型教育なんだということを逆に説得していただきたい、そんな思いをしております。
 もう一つ、視点を変えて、いわて型教育の中に、歴史的にも実績的にも評価のある教育振興運動ということも18の施策の中に入っております。県が教育振興運動に、平成13年度に、あるいはまた以前の例を挙げながら、どういうかかわりを持っていますか。私思うに、教育振興運動が立ち上がるとき、あるいはまた、教育振興運動の再構築期、このときに払われたエネルギーの大きさ、これは評価もできますし、大変なエネルギーであったと、立派なことであったと思います。ならば現在、昨年──今の年度ですが──あるいはまた新しい13年度教育振興運動について、県はどういうことをされていわて型という表現になり、あるいはまた教育振興運動の推進ということになるのか、それを聞かせてください。

〇藤堂社会教育課長 教育振興運動につきましては、全国の担当者等の会議等におきましても注目されているという話を聞いたりすることがあるわけでありますが、そういういわて型ということを強く意識して仕事をさせていただいているわけでありますが、現在、県内には、小学校区を基本としまして700を超える実践区の中で、学習にかかわる活動や、あるいは社会参加活動など、さまざまな展開をされてきております。地元の指導者の御努力によりまして理想的な取り組みがなされ、成果を上げている実践区も数多くあるわけでありますが、かつてのように教育振興運動の柱でありました地域ぐるみで子供を育てる体制あるいは教育を語る場というものを整えていくことが非常に難しくなってきている状況にございます。そのような中で、運動を推進する組織の硬直化とか、あるいは活動のマンネリ化等も指摘されているわけでありますが、このようなことから、県の教育委員会といたしましては、教育振興運動を市町村で直接担当しております担当者会議を開催しまして運動の趣旨の徹底を図っているわけでありますが、ここ2年間は、その中で理想的な、あるいは特徴的な取り組みをしている実践区に具体的な事例の発表をしていただくということを行っておりますが、そういうことを通して実践の広がりを図っているところであります。
 昨年度は、九戸村で行われております高校生が小学生とともに読書活動に取り組んだ事例を発表いただきましたし、今年度は、花泉町の実践区から、道具を使おうということを合い言葉にしまして、親子で意識的に道具を使っていく、そのような中で親子の関係づくりをしていったという取り組みの過程等も紹介されまして、大変好評でありました。
 今後は、さらに、このような県内各地で行っているモデルとなるような取り組み事例を県内に発信していくことに努めていきたいと思いますし、教育振興運動は、実は、親あるいは大人の学習活動の場であるという側面も持ち合わせておりますので、生涯学習の場に親が参加しているという観点も意識しまして、全県的な運動の盛り上がりを図るために、生涯学習県民フェスティバル等において教育振興運動の発表の場を設けるなど、そのような展開を図ってまいりたいと思っております。

〇柳村岩見委員 大変立派な答弁だと思います。私、教育振興運動の実践区長をしておった時代があるんですけれども、今の答弁を肌に感じたことがないんですね。県のかかわりを余り感じたことがない。まず、岩手県の教育振興運動大会が開かれます。各市町村においても同様の大会が開かれます。恐らくそのときに講師等における、大会を開催する上で幾ばくかの補助が出ているのでしょう。あるいは、今、答弁されたような要素もあるでしょう。大上段にいわて型教育とおっしゃいますけれども、一年一年の単年度では、そんなにびっくりするほどの、もちろん積み重ねでありますからそれが大事なことでありますけれども、私はなぜこういう質問を取り上げたかといいますと、余りにも立派な答えといいますか、答案用紙を書き過ぎる。非常に立派であり過ぎる。もっと悩みがあって、教育現場における方々も、あるいはまた教育行政にかかわる方々も、もっと悩みがあって、大変懊悩されているときだと思うんです。余りに立派な答案用紙を書いて前に進んでいくということがかえって禍根を残さないか、教育、学校を歴史的に積み重ねていく過程において。やっぱりここはここで、これが悩みなんだと。いわて型教育というけれども、なかなかいわて型教育というのは見つけられないんだという悩みがあってしかるべきであって、18をさっと並べて、一つ一つは、さっき西課長からお尋ねすると、訪ね先が違う、人数が違う、よっていわて型だと、こうなるようですけれども、それが果たしていわて型教育という施策上における立派な答案用紙であるのかどうかということを思っての質問でありました。
 個々について本当はもっとお尋ねしたいことがありますけれども、この辺でやめますけれども、やはりもっと現状は、教育に対する状況は悩み多き時代でありますので、行政マンだって同じだと思いますので、しゃあしゃあと18並べられると私もこんな話をしたくなると、こういうことであります。

〇伊藤勢至委員 船越教育委員会委員長にお伺いいたしたいと思います。
 演述の5ページに書いてございます、県立博物館に本県の歴史、文化、自然などについて学習する県民の活動を支援する拠点としていわて地元学センターの機能を整備すると言っておられますけれども、これについてお伺いいたしたいと思います。
 今、地方分権という部分が大変言われておるわけでありますが、地方分権というのは、まず、各地域がそれぞれ自主独立の心構えを持つことから始まるのではないか、そういうふうに思うものであります。単に物を陳列するだけではなくて、精神的なものも県の最大の展示コーナーとしての県立博物館にあらわすべきだと、私はこのように思っているところであります。
 岩手県は、過去の歴史の中で中央に対して4連敗だという大変残念な部分がございます。つまり、坂上田村麻呂にアテルイが滅ぼされて、安倍一族もやられてしまった。あるいはまた、源頼朝に藤原三代もつぶされてしまった。さらにまた、戊辰戦争では賊軍の汚名まで着せられて敗れたと、こういうことでありますが、しかし、これは絶対に逆だと私は思っておりまして、たまたま人数が少ないから負けたことであって、私は何ら岩手県は負けていないんだと、このように思っているわけであります。
 県立博物館に入ってまいりますと、正面に兜跋毘沙門天というものが展示してございます。前にも何回か取り上げたのでございますが、精神的な背景を考えますと、あれは平安時代の作だそうですから、京都から岩手を見た部分の仏像なんだと思っております。東和町の成島毘沙門天にあったもののレプリカと聞いておりますが、一木づくりの仏像としては大変に立派なものだと思います。しかし、その精神的な部分を考えますと、兜跋毘沙門天が踏んづけている地点といいますか、童といいますか、これが平安の向こうから見たときの我々の姿なのではないかと。つまり、自分たちの影響範囲まで、北縁を守る仏像として兜跋毘沙門天があったんだとすれば、これは我々の反骨精神にまさに反するものであって、こういうものを岩手県立博物館の正面に置くというのはいかがなものかと、実はこう思っております。京都から北を見た場合、北から15度東に下がったところが表鬼門ということでして、まさに岩手県は京都から見ると表鬼門なわけですが、私はそういうことではなくて、もっと県内にある、例えばアテルイの、1、000年も前にこの地域をまとめて中央に対して反発ののろしを上げて、戦いは勝っていたのでありますが、たまたま衆寡敵せずということで、負けたのではなくて、和睦をしに行ったのに裏切られて首を切られてしまったと、こういう部分もあるわけですが、そういった部分に思いをしながら、岩手県のアイデンティティーをあそこにあらわすには今回の展示コーナーに大変期待をしているところでありますので、その部分もお含みをいただいた中での教育委員長のお考えがあればお示しいただきたいと存じます。

〇船越教育委員長 ただいまは、いわて地元学センターあるいは岩手の文化行政の原点の考え方をお求めになったような気がいたしまして、非常に重い課題でございますが、今、話題に挙げられました県立博物館にいたしましても、恐らく博物館の開設当初というのは、広く世界的な、あるいは全国的なレベルの文物を県民に広く見てもらう、勉強する機会をつくるという先導的な役割を持たざるを得なかったと思います。その段階から、今問われておりますのは、委員御指摘のように、そういう文化とか思想とかというものを岩手県民はどのようにとらえたか、先人の生きざま等に即して、そういうものを先人の岩手づくりあるいは岩手の心を磨いていったものを学んでみるというようなセンター的な役割を持つことが必要ではないかという気が私自身もしているわけでございます。
 いわて地元学センターというのは、そういう意味では県立博物館のリニューアルの一環として、今、検討が進められているわけでございますけれども、岩手の風土、文化、社会、自然、そういったものをそこで広く学んで、そして、その中から何か新しいものを発信できるような拠点的なものにしたい。一つは、生涯学習教育という県民の期待にもこたえたいし、それから、学校教育の中でも、これから総合的な学習の時間というのがふえてまいります。そういう中で、学ぶ心、それから学んだことがどのように生かされていくのかというものを具体に検分する役割を地元学センターに持たせることができたらと、このように考えておりまして、ただいまの御意見、非常に貴重な御意見と承りました。ありがとうございます。

〇伊藤勢至委員 まさに釈迦に説法の質問をしたようなことでありまして恥ずかしく思っているのでありますが、いずれ地方分権というからには、何でもかんでも中央の下請ではないぞ、地域からむしろ中央に向かっていろいろなものを発信をしていく部分が必要なんだろうと思いますので、どうぞひとつお含みをいただきながら重ねて御検討いただければと思います。
 重ねて伺います。
 アテルイを言いましたが、これは、水沢地方振興局でつくったアテルイの像、想像の部分なようでありますけれども、実はこれは、私、10数年前だと思ったのでありますが、フランスのルーブル美術館からモナリザの肖像画が日本に参りまして1カ月ぐらい展示をしたことがあったんですね。その際に、モナリザの肖像画からコンピューターで骨相学から何からやってモナリザの声というのを制作しまして、岩手からでも、モナリザの肖像を見にいけない人は電話をかければモナリザの声が聞けた部分があります。ウイ・ムッシュだか何だか、何を言っていたか忘れましたけれども、いずれこういったものを活用して、これをコンピューターでやっていきますとアテルイの声が多分再現できるんだと思うんです。これは合田教育長とやりとりをしていた部分でありますので、ひとつ教育長の方からお伺いしたいと思います。そういうものを使いながら、県立博物館にもっと人を集める、子供たちに夢を持たせる、誇りを持たせるという部分があっていいんだと思います。
 重ねてもう一つですけれども、海でありますけれども、アメリカ大陸を最初に発見したのはコロンブスということになっているようでありますが、アメリカ大陸を最初に発見したのは縄文人、しかも三陸の縄文人だということを説いているアメリカの考古学者がおりますが、こういった部分も、海に関心を持ってもらう、子供たちに海の部分を壮大なロマンを与えるという部分でぜひ陳列、御検討をいただきたいと思いますが、この本につきましては教育長にも読んでいただいていましたから、この部分について感想をひとつお聞かせいただきたい。

〇合田教育長 まず、アテルイに関しての御質問でございますけれども、今、確かにリニューアルで考えているのは、これからの博物館は単に見せるだけではなくて、手で触ってみる、そういういろいろな対応が必要かと考えておりますし、さらに、博物館への一つの誘導策として、これから週完全5日制で、子供が土日あく回数が多くなったと。そういう意味で、博物館にもう一回子供たちを帰さなければならない。そのためのいろいろ工夫をしなければならない。ですから、先ほど申したように、触るとか、今、委員おっしゃったように、アテルイの像から声が再現できるとか、こういう子供が単純に興味を持つような形のリニューアルをひとつ検討したいと考えております。
 それから、海につきましても、実は今の博物館というのは、美術館がなかったものですから、近代美術部門と人文科学、いわゆる考古学を中心とした形の対応で済ましてきましたけれども、今後は、美術館が独立しますので、若干、今、博物館の全国的な規模からいうと自然科学系が足りないものですから、その自然科学系の展示をするという形で今検討しておりますので、今、お話のありました海に関しても、その中でいろいろ展示の検討をさせていただきたいと思っております。

〇樋下正信委員 私からは3点ほどお聞きしたいと思いますけれども、1点につきましては、先ほど折居委員の方からお話がありましたので、これは要望ということでお話ししたいと思います。
 橋本美術館についてでありますけれども、個人的な話で恐縮でございますけれども、私の父も随分橋本八百二先生にはお世話になったということで、絵も何点かありますけれども、いずれ過去に馬事資料のようによその県に出ていったという例もありますので、ぜひ施設を含めてできる限りの御協力をお願いしたいということでございます。
 次に、県内の小・中学校の就学の状況についてでございますけれども、昨今、出生率が低下している、また、少子化ということもあるわけでございますけれども、自分の住んでいる小学校も、私が通っていたときに比べましたら生徒数が3分の1ぐらいに現在減少しています。その中におきまして、数年前には校舎の改築ということで大変すばらしい教育環境ができているわけでございますけれども、先ほど述べましたように、1年生の学年が15人、2年生の学年が18人というように、本当に少なくなってきている状況でございます。その中におきまして、統合とか閉校ということにもなりかねないと懸念するものでございますけれども、そこにはさまざまな規制があり、また、住宅が建てられないという理由があってこういう状況になっていると思いますけれども、県の教育委員会としましては、このような理由から、各市町村の教育委員会等の意見聴取なり、また、これには農政部の線引きとかいろいろな諸問題があろうかと思いますけれども、各部局との打ち合わせ、すり合わせなどがどのようになっているのかお聞きしたいと思います。
 それから3点目でございますけれども、高校生の運転免許の取得についてでありますが、国の法律では、16歳になればバイクの免許も取れる、そして、18歳になれば車の免許も取れるわけでございますけれども、各高校では、校則などでバイクの運転免許の取得を制限しているところが多くあると聞いております。免許取得当初は運転が未熟であり、また、若い人はスピードを出す傾向もあり、交通事故が心配されるということもわかるわけでございますけれども、ただ厳しく制限してばかりではなく、学生たちにもいろいろなその時々のすばらしい体験や思いをさせるのも教育ではないかと思っているところでございます。自分自身もかつて高校のPTA会長をやっていたときに、多くの父兄の方々からいろいろな話を聞く機会があったわけでございますけれども、そのときにつくづく思ったことは、自分の行動に対しては最後まで責任を持たせること、つまり自分の責任を自覚させることがいかに大切であるかと思ったことでございます。運転免許に限らず、規制するだけでなく、やるからには十分に各自で責任を持たせるということを粘り強く指導していくことが必要ではないかと思うわけでございます。若者がこれほどに車に対して関心が高いという現実を我々は直視しながら指導をしていかなければならないと思っているところでございます。厳しいことばかりでなく、時には大らかな心を持って対処していくことも大事ではないかと思っているところでございます。
 また、一概に比べるわけにはいかないわけでございますけれども、アメリカでは16歳になれば免許も取れるということで、これは国土の問題もあろうかと思いますけれども、そういう中におきまして、各高校における生徒の運転免許の取得に対しての考え方、指導などがどのようになっているのかお聞かせ願いたいと思います。

〇盛川義務教育課長 少子化に伴う学校の設置、統廃合についてでございますけれども、学校の設置、統廃合は、基本的には教育上の利点にも十分留意しながら総合的に市町村教委が判断するものであります。各市町村においては、それぞれ就学児童の動向や地域住民の意向等を把握しながら、計画的に将来の小・中学校のあり方について検討されておるところでございます。
 県教委といたしましては、学校統合等の計画に当たっては、地域住民の理解と協力及び関係する部局等の調整においても十分留意しながら進めるよう指導しておるところでございます。

〇西指導課長 県立高校における生徒の運転免許の取得の状況はどうなっているかというお尋ねでございますが、各学校におきましては、生命の尊重などの観点から、生徒指導の面もございまして種々の規制を行っていることは委員御指摘のとおりでございます。その主な理由といたしましては、第1には、高校3年間は学業を全うしてほしいということが一つでございます。また、二つには、交通違反や交通事故の危険性などが考えられるなどがございます。
 しかし、やがては交通社会の一員となって社会の安全に貢献できる態度や能力を育成しなければならないことから、各学校では、一律禁止ではなく、免許取得の時期や条件を勘案しながら取得を許可し、学校教育のさまざまな機会をとらえ安全教育を進めているところでございます。
 運転免許にはバイクの免許または四輪車の免許もございますけれども、特に自動車の免許取得につきましても、具体的には年齢的に高校3年生ぐらいの時期になろうかと思いますが、進路が確定したなど、さらにまた、保護者の了解を得て許可をしているというのが実態でございます。
 県教育委員会といたしましても、各学校において、生徒個々の状況や学業、進路等、おのおのそれぞれの学校の状況に応じて許可の判断をするよう指導しているところでございます。

〇樋下正信委員 免許についてはそれなりに各学校の状況とかもあろうかと思いますけれども、いずれ個々の権利というものもあるわけでございますので、その辺はそれなりに考えていただきたいと思います。
 それから、就学状況でございますけれども、私の住んでいるところは田舎の農村地帯でございますけれども、先ほども言いましたけれども、そういう中におきまして、農振とか調整区域という規制の中での減少も大いにあろうかと認識しているところでございます。それは私の住んでいるところだけではなく、岩手県内には多くあろうかと思うわけでございますけれども、そういう地元の現実を勘案していただきながら、ぜひ地域の人たちとの懇談を重視していただきながらそれなりに対処していただきたいとお願いして終わります。

〇及川幸子委員 豊かな心をはぐくむ教育推進費についてお尋ねいたします。
 けさ、新聞を見ましたら、大変恐ろしい記事が載っておりました。私が一般質問の中で取り上げました児童虐待を行った親のコメントでございましたが、3歳児が餓死するまでものを与えない21歳のお父さん、お母さんでしたけれども、その段ボールの中でうめき声を上げている子供、そのうめき声を聞いて、お父さんは耳栓をしながら寝ていた。そしてお母さんは、結構持つねと。子供がそういう瀕死の状態でいることに対して、結構持つねと、その21歳同士のお父さん、お母さんが交わした言葉。私は大変、今、新聞を見ますと血圧が上がるわけでございますが、そうも言っておられません。親自身の子供の育て方についてもしつこく追及していかなければならないと思いますが、問題は、起きてしまってから親の責任を問うのではなく、親になる以前の小さいころからの心のあり方、特にも、自然に触れ合い、人に対する、ものに対するいたわりなど温かい心を育てていくことが大変重要であると考えます。
 そこで、幼児教育、小学校教育のあり方で体験学習が挙げられておりましたが、この子供たちに対しての体験学習を今後どのように進めていこうとしておられるのかお聞きしたいと思います。そしてまた、今まではどのようにして子供たちに自然との触れ合いを進めてきたのか、その点もお聞かせいただきたいと思います。
 そして、船越教育委員長にお伺いいたします。先ほど述べられました生きる力の育成、もう一つ、農林漁業体験学習を進めていかれるとお聞きいたしましたが、この具体的な施策をお聞かせいただければ幸いでございます。と申しますのは、農林水産業費として一学校一農園という事業を取り上げているわけですが、しかしながら、私の目で見ますと、余りにもその進め方が遅いような気がいたします。これは農政部門では農業に触れ合う機会を進めていくということで大変重要ですが、これは別な意味から教育の面でも大変に重要であると考えるところからお伺いいたします。

〇西指導課長 ただいまお尋ねいただきました豊かな心をはぐくむ教育推進事業についてでございますが、この事業は、幼稚園20園、小・中学校を48校それぞれ指定いたしまして、地域と連携して農林漁業体験学習を行い、その過程の中で子供たちが豊かな心をはぐくむ教育を推進しようとして行っているものでございます。
 それからまた、今後さらに総合的な学習の時間や特別活動を通しまして農業体験学習等を推進してまいりたい、そのように思っております。また、これは同時に、心の教育、委員御指摘のように、大変むごい記事がけさあったわけでございますが、そういうことにならないように、幼児の段階から心の教育の充実とか、あるいはまた道徳性の涵養というものもこの事業を通して進めてまいりたいと考えているものでございます。

〇船越教育委員長 ただいま指導課長の方から教育委員会としてのスタンスについてはお話し申し上げたとおりでございますが、農政部の方でも、一学校一農園に向けて、今、16ぐらいの取り組みをやっているはずでございますけれども、豊かな心をはぐくむ教育という中で、こういう農村体験、農業体験等を重視して教育委員会として取り組んでおります。全国軒並みそのようにやっているわけですが、都市の学校の体験活動等を見ておりますと、例えば春に1クラスか2クラスの子供たちを連れてきてジャガイモをまかせる、そして、夏になったら次のクラスが来てそのジャガイモの収穫をして農業の体験をやったとか何とかという形でとどまらざるを得ないのでありますけれども、岩手の力というのは、丸ごとやっぱり体験させたい。農業体験なり、あるいは生物、動物と触れ合う中から心を磨いていくというようなことは、非常に教育材料としては豊富だと。できれば農業体験も、種をまいて、それから草むしりもやったり、虫や病害虫に対してもどのようにして苦労していくのかというようなことまでトータルな体験をする中で心をはぐくむ体験活動をやっていきたい。これは農業だけではなくて、例えば地場のものづくりの局面でもそうであろうし、そういう点においては岩手は非常に素材に恵まれているので、これを生かさない手はないと、このように考えております。

〇及川幸子委員 先ほど幼稚園が20園、小・中学校48校、大変少ない数でございます。後で結構でございますが、これは全県下で何園のうちの何%か、小・中学校何校のうちの48校なのか、後でお知らせいただきたいと思います。今わかれば今でよろしいです。
 そしてまた、教育長、その収穫したものを給食などで取り入れられているのでしょうか。

〇合田教育長 給食の関係に利用されているかということですが、現在のところは、給食関係は一つの体系がございまして直接対応しておりませんけれども、収穫祭をやっております。結論的には同じ意味だと思っておりますが、農政部の一学校一農園なんかをやっているところでは収穫祭をやっておりますので、食文化の認識としては高くなってきているのではないかと、そう考えております。

〇西指導課長 小・中学校48校、そして幼稚園20園でございますが、ただいま小学校の数は全部で310校でございます。それから中学校は94校でございます。(後刻訂正)それに対しましての48校ですから確かに少ないのでございますが、ただ、一方では、総合的な学習の時間にただいま移行措置で取り組んでおりますので、そちらの方でも、この豊かな心をはぐくむ推進事業以外でも各学校で取り組んでおります。特に小学校では何%ぐらい取り組んでいるかと申しますと、80%超える数が農林漁業体験等をやっているのが実態でございます。
 それから、幼稚園につきましては69園中の20園でございます。幼稚園につきましても、心の教育、この事業以外にも取り組んでいると聞いております。

〇佐藤力男委員 1点、体育振興費のうち、競技力向上対策についてお伺いいたします。
 このたび人事異動の内示がございまして、県のスポーツ振興事業団事務局長及び岩手県体育協会事務局長に新たに県の幹部職員が任命されるところでございまして、さらに、知事の演述にも、2行ほどではございますけれどもスポーツの振興について競技力の向上に努めるという項が入ったわけでありまして、いよいよ知事におかれましても、本県の体育振興、特にも競技力向上に本腰を入れて取り組んでいただけるものと大きな期待をいたして評価いたしているところでございます。
 そこで、このたび、こうした今までなかった配置を新たにされて取り組もうとされたその認識、さらには目指すところをまずお聞かせいただきたいと思います。

〇松田保健体育課長 国体の選手の強化ということで、今回新たに職員を派遣することに伴ういろいろな体制上の私どもの考えていることを御紹介申し上げたいと思います。
 まず、一つは、県から体育協会に、今、お話ありましたとおり、事務局長を含めまして2名の職員を派遣するということで今考えてございます。今までどうしても体育協会の事務の執行というものの弱さを指摘されておりましたけれども、2人派遣することによりまして、事務執行体制の充実が図られるということを考えております。
 それから、もう一つは、2名増員することになりまして体協職員の人数も多くなるわけですけれども、今までは人手不足ということで、各種の事業をやっている場面に行って直接の指導というものがなかなかできなかったということなんですけれども、今度増員することによって、直接いろいろな会場に出向きまして細やかな指導ができるものと考えてございます。2人派遣増ということで、新たな対応ということではそういうところが出てくるだろうと思います。

〇佐藤力男委員 これまでは県の職員が直接入ってという形をとられておらなかったわけでありまして、そうした意味では指導体制が確かに充実されていくと期待いたしております。
 そこで、細部にわたってお聞かせいただきたいと思います。御案内のとおり、本県の競技力、今日的な状況を見ますと、国民体育大会の成績等を見ましても、残念ながらインターハイを最後にいたしましてどんどん落ちるばかりでございます。特にも、青年、それから少年女子の種目が極端に下がってきている。それまでは男子と女子、大体同じような成績で推移してきたところでありますが、ここに来まして顕著に少年女子の種目が弱くなっていると感じているところでございますし、また、東北6県の各県の成績を見ましても、残念なことにここ5年ぐらいは本県が最下位ということで、スポーツ立県を目指している青森県がここに来まして急激に力をつけてまいりました。また、国体が開催される予定の宮城県が今トップであることは承知のとおりでございます。
 こうしたことを考えますと、本県の増田県政によって東北各県の中においても力強い県政を推進しながら全国で注目されている中にあって、スポーツだけが東北6県で一番弱いというのはいささか残念な思いをしているところでございます。そうしたことを考えますと、新日鐵釜石のラグビー部を初め、県内の企業スポーツがどんどん企業の中で取り組まれなくなってきているという現状も考えますと、これはやっぱり体育協会が本当に本腰を入れて取り組まないことには大変なことになるのではないか、私はそういう危惧をいたしているところでございます。
 そうしたことから、一つの考え方として、先ほどの教育委員長の演述にも、中高生に重点を置いた選手強化を図るとございます。このことを考えますと、中学生がスポーツ少年団等で成果を上げても、高校に行ってばらけてしまう。あるいは、その地域に指導体制があっても、その指導体制が十分生かされないままに推移してきているという実態もあるわけでありますが、私は、一つの高校にいろいろな部を持たせながらやっていくことも結構でありましょうが、やはり一つの学校の特徴を持って、その地域が一緒になって成果を上げていくというような抜本的な対策を講じないと大きな成果は期待できない、そのように思っているところでございます。
 そうした点で、2点について、まず一つは、女性の種目を向上させるための指導者育成にどのように取り組まれるか、それから、中高一貫して目指すものを本県の特色ある取り組みとして具体的に踏み込んで考えていただけないものか、この2点についてお尋ねいたします。

〇松田保健体育課長 本当に御指摘のとおり、全く頭を何ぼ下げても謝り切れない状況の近ごろの国体の成績でございまして、私も本当に頭を悩めているところでございます。女子の成績低下ということでの問題点ですが、指導者も問題の一つになるかもしれませんが、競技者が少ないというのが一番大きな原因でございまして、競技者というか、その競技に親しむ、いわゆる底辺の拡大ということをやれるような、そういう体制をとらなければならないと思ってございます。
 それから、どうしても1人で育てるという時代はもう終わりまして、体育協会とか高体連にお願いする形になるんですけれども、オール岩手という観点で国体のための選手強化をしなければならないと思ってございます。そういう意味で、各競技団体の方では強化委員会とか強化部会というものをつくってございますので、今までとちょっと違った観点で選手強化の指導をしていただきたいということで、体協ともども指導をこれからしていきたいと思ってございます。
 それから、もう一つ、今、委員御指摘のとおり、高校の方もかなり落ちてはきましたが、高校生の中身をよく見てみますと、高校でいい成績をおさめても、なかなか本県に定着できるような企業がないということを見ますと、子供たちの夢がなくなるというか、子供たちを本県で抱えてやるんだと、そういうこともしなければならないのかなと思っておりますし、あと、精神面というんですか、指導者の方も催眠術を覚えた形で指導しなければならないのではないかと私も思っているんですけれども、メンタル面で何とか人に負けたくないという意識、こういうものも植えつけるような指導もしなければならないということを感じてございます。その辺のところをあわせながら、体育協会だとか強化指定校なんかも含めながら、中体連、高体連の方の力もかりながら、何とか競技力の向上に努めてまいりたいと思ってございます。

〇佐藤力男委員 ただいまの課長の御答弁は、まさに十二分に認識されて、そして意欲的に取り組んでいこうとされてきた姿勢、私、よく存じ上げております。ぜひ後任の方に十分な引き継ぎをしていただきまして、課長の思いを託していただきたいと思うところでありますが、最後に、教育長に、こうした現場の課長の声を教育長としての責務の中でどのように生かされていこうとされるのかお伺いします。
 そしてまた、一緒に富山国体にも行かせていただきました。私、あのときに思いましたのは、競技で弱いことはいたし方ないにしても、残念ながら、行進の先頭に立っている知事から何列目かまでは大変立派でありますが、その後ろはマナーにおいても全国に誇れるものがなかったような気がいたしております。まず、この辺から改めないと本県のスポーツはよくならない、私はそう思ってきたところでありますが、国体の選手でありますからインターハイの選手と違うわけでありまして、本県の体育関係者はすべてそうした認識に立って行うことこそが本当の競技力の向上ではないだろうか、そんなことも思っておりますので、その意気込みを最後にお聞かせいただきたいと思います。

〇合田教育長 今、委員の方からいろいろ御指摘がございましたけれども、私も国体に一緒に行かせていただきまして、やはり普通以上の、今、うちの担当課長もお話ししましたけれども、もう少し根から頑張ってやっていく形が必要かなと。それから、心強くやっていく、ちょっと引っ込み思案だと。サッカーやラグビーをやってもなかなかエンジンがかかるのが遅くて、エンジンがかかったらもう終わりだというのが見受けられますので、そういったいい意味での県民性を早く切りかえる、そういった形の切りかえでスポーツ・体育関係を振興していきたいなと。
 なお、先ほど課長が抜かして言いましたけれども、高等学校を指定して、選手の強化をすると。一つの高校で何種類ものスポーツというのは生涯学習とか学校教育の保健体育の中では必要ですけれども、それと別な形で競技力強化ができないかと、それを今後検討してまいりたいと考えております。

〇川村農夫委員 大変いい質問の後でちょっとやりにくいんですけれども、質問に入る前に、さっき及川幸子委員の方から質問のありましたことに関連いたしまして、一学校一農園ということで、教育長の方から収穫祭もやっているという話がございましたが、実は、この収穫祭をやろうとしたときに、給食衛生上の問題で学校の教員の方が非常にしり込みする傾向がありますので、この辺も積極的に進めていただきたいと思います。
 質問に入りますが、平成12年から設けられました学校評議員制についてでございますけれども、地域の協力を仰ぐことや意向を反映させるために導入されておりますが、この制度への取り組みの実態状況を伺いたいと思います。制度を設けた趣旨と、その運営による新たな成果あるいは課題をどうとらえているのかを含めてお伺いいたします。

〇西指導課長 先ほど及川委員のお尋ねの中に、私、学校数の分母を間違った数字をお示ししましたので、おわびして訂正したいと思います。
 小学校の数は全部で479校でございました。それから、中学校は全部で212校でございました。大変失礼いたしました。

〇盛川義務教育課長 学校評議員制について、藤沢町で実施している概要と実態及び成果ということについてでございますけれども、藤沢町の教育委員会におきましては、平成12年9月に学校管理運営規則の一部を改正いたしまして、学校に学校評議員を置くことができるとし、校長の推薦を受け、10月27日、町内のすべての小・中学校、小学校6校、中学校2校において学校評議員を委嘱したと聞いております。人数につきましては、1校当たり5人以下とされておりますが、学校規模によりまして、3人とか4人というところもあるようでございます。また、学校評議員の職業とか役職については、元PTA会長とか、あるいは自治会長、老人クラブの会長とか民生委員とか、そういう方がなっておるようでございます。
 これまで学校ごとに学校評議員全体の連絡会を持ちまして、学校長から学校運営について説明をし、その後、授業参観をして児童生徒の様子を見たり、あるいは学校行事等に招待し、学校の様子を知ってもらうよう努めており、そして、校長の必要に応じましてスポーツ少年団とか、あるいは生徒指導について、個々の学校の評議員に相談や情報交換を行った学校もあるように聞いております。この3月には2回目の全体連絡会を学校ごとに開催して、本年度の学校運営について校長が説明を行う予定と聞いております。藤沢町の教育委員会におきましては、各学校の全体連絡会がすべて終了した後に本年度の総括を行うものと、そのように聞いております。
 県教育委員会といたしましては、現時点で藤沢町におきましてまだ制度導入後5カ月ということでございますので、今後の動向を見守りたいと考えておるところでございます。

〇伊藤勢至委員 通告をしていなかったのでありますが、関連して1点だけお聞かせいただきたいと思います。
 学校教育の中で、特に高校でございますが、校長先生がいて教頭先生がいて教務主任がいて一般の先生方がいて、こういう中にありまして、校長先生がその学校をあらわすという、校長先生の意向を体して全体の指導をしていくといいますか、範を示していくという中にありまして、一般の教員の先生方と校長先生の間に立つまさに中間の教頭先生におきまして、大変いろいろなあつれきに悩んで、途中で任を離れていく教頭先生が大変多いということを実は伺ったことがあるのでありますが、そのような実態があるのでしょうか。もしそういうことがありましたならば、大変本県の教育界にとって残念なことではないのか。そして、もしそれがあるとすれば、それはどういう原因によるのか、その点について、突然でありますが、お聞かせいただければありがたいと思います。

〇田口県立学校課長 今、委員からお話ありましたような、任に耐えかねて離れていく教頭の件でございますが、このような実態についてはこちらとしては把握しておりません。
 実際、学校というところは、校長が最高責任者として学校の教育方針あるいは全般にわたって責任を負うわけでありますが、その下にそれを補佐する形で教頭がい、また、実際の職員組織というのは、そのもとにまた教務主任とか、あるいは生徒指導主任等主任も配し、また、学年長とか、そういう形で構成されております。そういうことからして、いろいろな問題点が教頭にだけ集中するということは避けなくてはなりませんし、また、そのような実態ではないと認識しておるところでございます。

〇中屋敷十委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時58分 休 憩
   午後1時4分 再 開

〇佐々木一榮副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。

〇小原宣良委員 2点お伺いをいたします。
 本県が保有する水産高校の実習船の安全航行の確保と実習活動の向上について1点はお伺いいたします。
 先月9日に発生をしました愛媛県立宇和島水産高校の実習船えひめ丸が、ハワイ沖で米海軍原潜グリーンビルとの衝突事故は、いまだに高校生、教員を含む9人の方が行方不明という痛ましい事故であり、二度とこうした悲しい事故があってはならないと思い、心が痛む思いがいたします。
 我が党及び県の高等学校教職員組合など関係団体は、先月21日に、知事と教育長に対して、この事故を受けて、国に対して再発防止策を早急に打ち立てるよう求めること、また、本県が保有する水産高校実習船の安全確保対策などを求めましたけれども、その後の措置はどうなっているでしょうか、お伺いをいたします。 また、本県が実施してきた実習船による学習の効果、実績、例えば地元漁業の担い手として活躍している状況などあろうかと思いますが、この点についてもあわせてお伺いをいたします。

〇田口県立学校課長 まず、水産高校実習船の安全航行についてでございますが、県といたしましては、今回のえひめ丸の事故の発生に伴い、いち早く2月21日、全国水産高等学校長協会理事長を通じて、文部科学大臣、外務大臣及び駐日米大使に対し、人命・船舶航行の安全確保についての要請書を提出したところであり、県といたしましても2月27日、独自に文部科学大臣と外務大臣に対し、同趣旨の内容による知事名の要請書を提出したところであります。
 次に、本県の実習船による学習効果についてでございますが、実習船による遠洋漁業実習は高等学校指導要領に基づくものであり、水産教育の総合的な実習の場として、マグロはえ縄による漁業の実習や航海運用学、機関学及び無線通信学等の実習が行われております。実習を行うことにより、船舶の運航に関し最新の知識、技術を習得し、同時に船舶職員としての資質が高められ、国家資格である海技士資格受験の特例を受けるなど、教育的効果は多大なものがあり、水産業、海運業の発展に寄与できる人材の養成が図られていると考えております。

〇小原宣良委員 大変重要な役割をこの本県の水産高校の実習船も持っていると、大きな成果を上げているということでございますが、高校再編との関連でお伺いをするわけですが、今後の本県の水産高校実習船、この活用の考え方、これをお知らせいただきたいと思います。
 本県は、久慈水産、宮古水産そして広田水産ということでただいまお話がありましたように、これからの海運そしてまた漁業を担う人材の育成に当たっておられるわけですが、高校再編との絡みの中で、この本県の実習船はどのような活用のあり方が考えられておられるかお伺いをいたします。

〇伊藤高校改革推進監 高校の再編、特に水産高校の改編に伴います実習船の活用でございますけれども、先ほど県立学校課長が申し上げましたように、実習船は今後も漁業の乗り組み実習ですとか機関乗船実習などを行うわけでございますし、海洋観測や生物の調査研究など、幅広い分野に活用してまいりたいと考えているものでございます。
 これは、今後、水産の専門高校として続いていく宮古水産高校においてはもちろんでございますが、改編も考えております総合的な専門高校の中で、広田水産高校というのが改編ということで考えられているわけでございますけれども、この場合でも小型船舶操縦士の資格取得ですとか、あるいは幅広く水産教育にかかわる観点で活用してまいりたいと考えております。
 また、総合学科として改編を考えております久慈の水産高校でございますが、これにつきましては、同じように小型船舶操縦士などの資格取得を目指す教育には必要でございますし、専攻科を希望する諸君にとっては3カ月の乗船履歴が必要になってまいりますので、そうした観点から、この実習船が活用できるように工夫してまいりたいと、このように考えております。

〇小原宣良委員 ぜひ、大事な本県保有の実習船でありますので、その活用方については十分意を配していただきたいと思います。
 知事にお会いした際にも知事がおっしゃっておられましたけれども、この実習船、船それ自体が学校の教室であると、教室だから安全というのは、もう、何にもかえがたいものなのだというお話がございましたけれども、全く同感でございます。ぜひそうした点で、今後の安全航行を含めましてもう一点お伺いをいたしますが、今、新しい実習船として建造がなされていると聞いておりますが、それの使用についてはいつ時点からどんな形で使用されるのか、その点をお聞かせください。

〇田口県立学校課長 現在建造されております新しい実習船でありますが、船名はりあす丸ということでございますが、この3月28日に竣工ということで宮古市で取り行うことになっております。この後、4月から現在の新リアス丸にかわりまして予定どおりこの実習等で使わせていただくと、そういうことにしております。

〇小原宣良委員 それでは、高校再編に関連をしまして、先ほど高橋賢輔委員からも質問がございましたが、岩手中部地区における農業専門高校のあり方についてお伺いをいたします。
 北上農業と花巻農業との統合による新しい農業専門高校については、教育長は、去年の9月の定例会でございましたけれども、幾つかの判断要素を示しまして、当面、花農の校舎を活用するということでありますが、この要素の中に、花巻農業高校の校舎の耐用年数を挙げておられました。
 この際お伺いをいたしますが、この耐用年数というのは何年でしょうか。また、北上農業高校の実習地は旧相去村の財産区のものでございまして、この使用の用に供する際に、教育という面で活用いただけるのであればという地元の強い意向があった経緯がございます。先ほども議論がございましたが、地元各地区の検討委員会、これはこうした跡地利用という部分まで意見を述べる場になるかどうかという点はいかがでしょうか。

〇中村財務課長 まず1点目の花巻農業高校の校舎の耐用年数ということでございますが、花巻農業高校の校舎に限らず、校舎の耐用年数というのは、法令によりまして鉄筋コンクリート構造の場合は60年と決まっております。ただ、校舎の場合、使用頻度が非常に高うございまして、実際の使用年数は今までの改築事例から見ますと、おおむね40年前後と思っております。花巻農業高校の場合は、建築してから33年ほどたっております。
 それから、2点目の北上農業高校の実習地の活用でございますけれども、この校舎は黒沢尻南高校が総合学科高校として移転する予定になっておりますが、総合学科高校の中に農業系列が設けられることになっておりまして、その実習地としてできるだけ幅広く活用してまいりたいと考えています。
 その具体的な例を申し上げますと、米づくり、花や野菜の栽培あるいはまた小中学校の体験学習の場としての活用など、いろいろ考えてございますが、今後地域とも十分協議の上で検討してまいりたいと、こう考えております。
 なお、跡地利用に関する地元の意見あるいは地区整備検討委員会の意見ということでございますが、これはきょうのお話しの中にもございましたが、地元の市町村といろいろ協議しながら、よりよい活用方法を考えていきたいと、その中で当然地元学校整備検討委員会のお話しも聞くこともございます。

〇小原宣良委員 教育長、ぜひ当面という要素、当面活用すると、花農の校舎をですね、という中で、今の耐用年数の部分も出たわけですけれども、今後この当面というところは、本来に向かう途中を意味するわけですけれども、そうした本来のこの地区における農業専門高校としての位置づけの中で、どのように展望をされているかという点です。これは平成15年から統合という形で開始をされるということでございますけれども、ただいまの耐用年数、もちろんこれだけの要素ではないと思いますけれども、いずれにしてもこうした方向性の中で、どういう形で地域の皆さんと一緒になって新しい農業専門高校を地域の皆さんと一緒になってつくっていくかということをイメージなさっておられるのか、この際所見を伺いたいと思います。

〇合田教育長 花巻農業と北上農業の統合でございますけれども、先ほど委員の方からお話がありましたとおり、当面、花巻農業高校を使用すると。その中の決定要因としてはいろいろな例示がございますけれども、やはり現況にある花巻農業の耐用年数──通常、使用可能というか利用可能、環境整備がいいあたりも一つの検討する要素ではないかと考えています。これは、移転をする、出る側の要素の一つと考えています。
 それから、将来的に考えますと、受け入れする側の熟度がどういう形になっていくかということが、今若干、まだ周辺のあるいは市町村の土地利用計画というものが見えてきませんので、その辺がある程度見えているときに移転も検討委員会か何か、今やっている検討委員会とまた違った形で地域の方々と検討会の委員会を設けまして、将来に向け、あの周辺の土地利用計画の要素を見つつ、その中で検討していきたいと、そう考えております。

〇小原宣良委員 教育長は、当面する中期見通しの中で明確に将来展望のもと、さまざまな要素を勘案しながら前に進んでいくんだと、こう受けとめました。ぜひ、そういう点では、関係する皆さん方とも十分に話し合いをいただきながら、その検討の場がどういうものであるか、これは後ほど明らかになろうかと思いますけれども、いずれそうした方向で地域の皆さんの理解、協力のもとで、ぜひ中部地域に限らず本県の農業の担い手としての子供たちの育成に全力を挙げていただきたい、以上を申し上げて終わります。

〇斉藤信委員 私まず最初に、2月23日に盛岡地方裁判所が過労自殺事件についての判決を下した問題について教育長にお聞きをしたい。
 小学校の教諭の夫が自殺したのは、仕事上の精神的重圧からうつ病になったのが原因だとして、労災と認めず公務外災害と認定した地方公務員災害補償基金岩手県支部の処分取消を求めた訴訟について、過労自殺は労災に当たるとした画期的な判決が下されました。私は判決文を全部読んだのですが、教育行政上、今後に酌み取るべき重要な内容、教訓があると思います。この判決を見ますと、年間3回にも及ぶ授業研究会の担当、平田方式と言われた子供を3グループに選別して指導する道徳教育の押しつけ、ふろしき残業ともいうべき過剰な公務労働、こうしたことがうつ病の原因となり過労自殺に追い詰められたこと、教育行政の責任者として今回判決と事件をどう受けとめているか、今後に生かすべき教訓をどうとらえているか、まず最初にお聞きをしたい。

〇合田教育長 この判決についての所見でございますけれども、現在、控訴されて裁判の中に入っておりますので、誤解を招くといけませんので今後の推移を注視したいと。
 ただ、我々教諭仲間でありましたので、私の心情としては御遺族の方、若干時間を置かれて非常に心を痛めております。そしてこれを一つの物事の考え方としまして、私としてはやはり学校の教員の、現場の先生たちの健康管理を第一に考えて、管理者等につきましても今後の教育行政の進行につきましても、先生たちの健康管理が十分なんだと、そういう意味の体制にこれから努めていきたいと考えております。

〇斉藤信委員 裁判をどう争うかということを私聞いているのではなくて、この事件について、私は教育行政上教訓があるのではないかと、こう聞いたんです。
 裁判について言いますと、これ被告側の主張は全面的に退けられました。ですからこれ控訴されましたけれども、控訴審も恐らく短期間で終わらざるを得ないと。ある意味でいけば、事実認定は全面的に確定をしている判決だと思いますが、そこで、これ自殺してから18年です。裁判が始まってから8年という長きにわたって続いてきたという異例な事件で、判決の中にも遺書が紹介されていますけれども、学校の仕事にいささか疲れたと。もっと楽しく生きたかったと。この自殺した日は公開授業の日だったんですね。この裁判経過を見て、例えばここで争われた平田方式と言われる道徳教育は今でもやっているんでしょうか。私は、こういう管理教育というのはもうやられていないと思うけれども、いかがですか。

〇西指導課長 ただいまお尋ねいただきました道徳教育の平田方式というものでございますが、これについては行われておりません。それで、当時もただいまも、やはり学習指導要領では道徳教育の三つの大きな大事な視点がございまして、一つは、体験活動等を生かした心に響く道徳教育の実施と、それから二つ目は、家庭や地域の人々の協力に関し開かれた道徳教育の充実、そしてともに考える道徳教育の推進という形で進められているところでございます。

〇斉藤信委員 当時もやられていなかったという答弁ですか。今はやられていないということでいいんですか。当時もやられていなかったんですか。

〇西指導課長 考え方の基準は、今申し上げた3点でございます。平田方式というものは、やられていなかったのではないかと私は思います。

〇斉藤信委員 これは裁判で争われている大変大事な事実認定で、被告だってこういうことをやっていないという主張をしていませんよ。私ね、ここにあなた方の大変重大な視線があると思うんですよ。
 平田小学校というのは、当時、道徳教育で有名な学校だったんです。そして子供を三つのグループに分けて、よい子、悪い子、普通の子、三つに分けて指導するという、そういう教育理念に疑問を持った先生が、悩んで悩んでこの事件を起こしたんですよ。そんな、あなた、指導課長、当時もやられていなかったなんていうそういう認識では、事実と違うんじゃないですか。責任を持ってそんなこと言えますか。

〇西指導課長 一般に道徳教育に限らず、抽出の方法による指導というものは、理解を深めるためにそういう指導を持っている場合がございます。ただいまでもございます。したがいまして、抽出方法による指導というものは現在も行われておりますし、当時も行われていたということでございます。

〇斉藤信委員 あなたはね、今、指導課長、平田方式は今やられていないという答弁でしたよ、最初は。全然矛盾するんじゃないですか。そしてそういうやり方について、疑問を感じて、実はこの1月24日の公開授業の前日に校長先生からその修正を求められたと、指導案でね。そして翌日なんですよ、自殺したのは。本当に有名な平田方式なんですよ、あなた。はっきり答えてください。当時これがあったのか、今はどうなっているのか、平田方式について答えていただきたい。一般論で聞いているんじゃない。

〇西指導課長 先ほども申し上げましたように、これは抽出指導という形でやって、それはあと名づけたことはあろうかと思いますけれども、実際の指導の姿勢というものは、そういうふうに生徒に理解を一層深めるための方法として用いられて、現在もそういう指導法があるということでございます。

〇斉藤信委員 何回も押し問答をするつもりはありませんが、よい子、悪い子、普通の子というグループ分けを今もやっているということですか、道徳教育で。改めて確認したい。

〇西指導課長 何度も申し上げますが、やっておりません。

〇斉藤信委員 だから、何度も私聞きたくなかったけれども、やっていないんでしょう、今は。しかし、それはやられた先生の自殺事件だということです。私が聞いたことにはっきり、行ったり来たりしないで答えていただきたい。
 次に進みます。
 この問題は大変重大な、私は今も論議したように、教育行政上、重大な教訓を残した事件だし、こういう痛ましい事件を絶対に繰り返してはならない、そういう立場でこの判決を受けとめ、今後の教育行政に生かしていただきたい。
 第2に、私は教科書の採択問題についてお聞きをします。
 新しい歴史教科書をつくる会の歴史教科書は、侵略戦争を美化し歴史認識をゆがめるものとして、中国、韓国、アジアの各国から厳しい批判の声が上がっています。この歴史教科書の検定と採択を求めてきたのが、実はKSD汚職事件で逮捕された村上正邦氏と小山孝雄前参議院議員でありました。
 そこで伺いたい。教科書の採択問題でありますが、新しい歴史教科書をつくる会の方々は今、国会と全国の地方議会に対し、教科書の採択は教育委員会の専権事項であり、教育委員会の権限で進めるべきだという主張と運動を進めています。
 そこで具体的に質問しますが、文部省は平成9年9月11日に、教科書採択の改善についてという通知を出していますが、行政改革委員会の教科書採択制度の改善を求める意見を含めて、その内容を示していただきたい。

〇西指導課長 教科書の採択の件でございますが、本県におきましても、教科書の採択につきましては、義務教育諸学校の場合には、義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律により定められており、採択の権限は市町村教育委員会にあります。高等学校の場合におきましても、地教行法第23条及び岩手県立高等学校管理運営規則第15条、高等学校において使用する教科書は文部大臣の検定を受けた教科用図書または文部大臣において著作権を有する教科用図書で、教育委員会が採択したものでなければならないとあって、これに基づいてこれまでも進めているところでございます。(斉藤信委員「答弁、違っている。委員長、私が聞いたことと違うでしょう。教科書採択の改善についての通知の中身聞いているんだよ。ちゃんと聞いて答えてください。」と呼ぶ)

〇西指導課長(続) 教科書採択の改善に関する取り組み状況ということで、平成9年9月の11日に文書が来ております。

〇斉藤信委員 私ね、ゆっくり冷静に質問しているのだから、しっかりと聞いて答えてください。
 私が聞いたのは、教科書採択の改善についてという通知が平成9年9月11日、文部省から通知をされている。その通知の中身は何ですかと聞いたんですよ。

〇西指導課長 内容については6点ほどございます。教科用図書選定審議会について、それから教科用図書採択地区について、それから3として、採択の方法について、それから4として、高等学校用教科書の採択について、5として、教科書展示会について、以上でございます。

〇斉藤信委員 実はこの教科書採択の改善について一番大事なところはこういうところです。各都道府県教育委員会におかれては、上記調査結果を参考の上、行政改革委員会の意見の趣旨を踏まえ、地域の実情に応じ教科用図書採択地区の小規模化、採択方法の工夫改善など、教科書採択のあり方の改善に引き続き努められるとともに、あわせて貴管下の市町村教育委員会に対して周知徹底を図り、同様の改善方を指導されるようお願いしますと。いわば教科書採択に地域の声、教員の声をもっと反映させるべきだと、小規模化すべきだと、これは行政改革委員会の意見を踏まえたものなんですね。だから、現場の先生の声を聞いて教科書採択をするようにしなさいと、そういうことでしょう、どうですか。

〇西指導課長 教員の希望を聞くよう文部省通知が出ているということでございますが、教科書の採択の問題についてでありますが、教科書採択に関して教員の意見を聞くということにつきましては、平成2年の3月20日付文部省初等中等教育局長通知では、採択地区においては各地区の実情に応じて各教科ごとに適切な数の調査員を配置するなど、調査研究体制の充実を図ることが必要であるとされております。また、本県におきましては、県の選定審議会が委嘱する調査員には教員が入っており、各教科書を具体的に調査研究しているところでございます。また、市町村の採択地区における教科書の調査員は、指導主事、校長、教頭、教員等で構成されており、十分な調査研究を行っておりますし、教員の意見も十分に取り入れながら、最終的には各市町村教育委員会において採択されておるところでございます。

〇斉藤信委員 ですから、平成2年より平成9年の通知の方が改善の通知をしているわけです。
 私、もう一つ紹介しますと、平成10年3月31日の閣議決定、ここでは教科書採択について、将来的には学校単位の採択に向けて、法的整備を含めて検討していく必要があるとの観点に立ち、採択地区の小規模化や採択方法の工夫改善についてフォローアップを図りながら都道府県の取り組みを引き続き促す。これ平成10年、閣議決定です。私は、こういう立場に立って教科書採択の改善に取り組むようにしていただきたいと思うけれども、どのようにこの趣旨が徹底されているでしょうか。

〇西指導課長 ただいまも本県の教科書の採択につきましては文部省で示した方法にのっとって十分にやっておると、そのように認識しております。

〇斉藤信委員 私が紹介した平成9年の通知と今の閣議決定、この趣旨に基づいてぜひやっていただきたい。逆流があるので、私はこの問題について取り上げました。
 次三つ目に、高校再編統廃合計画についてお聞きをします。
 高校再編統廃合計画を目指すいわゆる新整備計画について、これまでどう進められているでしょうか。特に、地域の同意のない地域との話し合い、それぞれ具体的にどういう状況になっているでしょうか。
 教育委員長に伺いたいと思います。
 教育委員長は12月県議会本会議において、岩手の教育論として、岩手で私ども重視しなければならないことは、地域及び家庭の持っている教育力を引き出し、かつ高める。その関係の中で、学校との協力関係の中で新しい教育システムを、子育てのシステムをつくっていけるかということだろうと思っています。その中の原点にあるもの、地域が持っている核になる教育力、こう述べて、地域と結びついた教育のあり方について言及をされました。私、大変重要な指摘だと思います。共感するものであります。私はこの観点からするなら、地域自治体が強く反対している高校の再編統廃合、新しいタイプの総合学科の押しつけというのは行うべきではないと考えます。
 これまで県教委の対応を見ますと、説明会と言って県教委の計画だけを押しつける、こういう話し合いの中身です。これでは私は本当に地域と結びついた、地域の教育力を引き出すような形にはならないと思います。その点で私は地域の高校に対する要求、要望をしっかりと聞いて、受けとめて、そして話し合いを進めるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

〇船越教育委員長 ただいま斉藤委員の御質問でございますけれども、お説のとおり、議会における答弁の中で、今までも家庭、地域との協力関係なしに教育は成り立たなかったし、今後、一層その役割は重要になってくると思われると。特に、学びの内容を高めていくという新しい教育観、学力観を今後追求していくわけでございますので、殊さらに地域や家庭教育との密接な連携というのが必要であると理解しております。
 それで、ただいまの高等学校新整備計画でございますけれども、これにつきましては、県として21世紀を迎え、高校教育の充実、発展という全県的な立場から整備計画を策定いたしまして、それについて地域とのお話し合いを、協議をやっている最中でございます。これにつきましては、議員御指摘のように、やはり地域との協力、連携なしにはその実現というのは不可能、難しいと理解しておりますので、引き続きその努力を続けてまいりたいと、このように考えております。したがって、議会の方からも地域との連携を十分考慮して進めろという決議をいただいておりまして、その意味は非常に重いと理解しております。

〇伊藤高校改革推進監 いまだ理解をいただいていない地域におけるこれまでの取り組みでございますけれども、これまでと同様、引き続き地域の御理解をいただけるような説明会を、地域の、市町村等の御理解もいただきながら進めてまいったということでございます。また、地区PTA等へもできるだけ御説明申し上げたいということで働きかけ等をいたしたところでもございましたけれども、残念ながら実現できていないところもあるということでございます。また、当該校におきましては、地域におけるさまざまな会合に出かけていくとか、各中学校に出かけていって、これからの学校のあり方について説明するなどの働きかけもしているところでございます。
 私どもが一方的に説明しているという御指摘でございましたけれども、私どもが提示していることにつきまして、まず御理解を賜りたいということで御説明申し上げているわけでございまして、その私どもの説明を踏まえ、その後にさまざまな御意見を交わしてまいるという形にまだ至っていないところも残念ながら一部あると、こういうことでございます。

〇斉藤信委員 大変わかりにくい答弁でしたけれども、理解いただけるような説明をしていると、理解いただけるような説明というのは一方的説明じゃないと、具体的にどういう理解がいただけるような説明の努力をしているのか。
 もう一つ私は、今、船越教育委員会委員長からも答弁いただきましたけれども、やっぱり地域の要望、地域の要求というものもちゃんと酌み上げる必要があるのではないか。そうしないと、話し合いにならないわけですね。県教委はそれなりの確かに考え方を持ってやったかもしれないが、これだけ根強い反対や批判があるということは、これは教育委員会の案がベストということではないわけだから、特に新しいタイプの総合学科の押しつけというのは、決して岩手県内でも全国でもこれが検証されたものではないですよ。私はそういう点で、そういうちゃんと地域の要求、要望を聞いた話し合いになるのかどうか、改めてお聞きしたい。

〇伊藤高校改革推進監 どのような説明かということでございますけれども、その地域の高等学校の教育にとってどのような形で進めるのが最もいいかということについて私どもの考え方を御説明申し上げ、また御意見も承ると、こういうことで進めているわけでございます。
 地域の要望や要求を聞くということについてでございますが、教育的な観点から考えまして、今後の地域の高校教育にとってどちらがいいのかという観点から判断いたしまして、そこはどっちがよりいいのかということは今後とも話し合ってまいらなければならないと思いますし、御説明申し上げて御理解いただかなければならない部分もあると、このように考えております。

〇斉藤信委員 ここまで長引いているわけだから、地域の要求も聞いた話し合いを、建設的な話し合いをぜひしていただきたいし、その結果によっては見直しもあるのだと、こういうスタンスでやっていただきたい。
 次に、盛岡市内の中学校の体罰事件についてお聞きをします。
 私は昨年の予算特別委員会でも、高校の残念な体罰事件を取り上げました。再びこうした問題を取り上げざるを得ないというのが、本当に残念な思いであります。
 昨年11月13日、盛岡市内の中学校において、教師による体罰事件が発生しました。これは教師による一方的な体罰事件でしたが、学校長から教育委員会に提出された報告書は、被害者である生徒の証言は無視し、体罰を加えた教師の報告に基づく不適正なものでありました。この間の学校長と市教委の対応はどうだったか、示していただきたい。

〇盛川義務教育課長 見前中学校の件につきましては、盛岡市教育委員会による事実の確認、そして本人、保護者との話し合いなどの一連の経過を踏まえながら、関係者の協力を得て2月下旬には理解を得たと聞き及んでいるところでございます。
 なお、今、校長の報告と違うというお話しの件でございますけれども、体罰事件については個人的に起こした非違行為とは異なりまして、教師といえ、生身の人間同士のぶつかり合いでありますので、当事者の間での食い違いも出ざるを得ない面があるのではないかと、そのように考えております。そのため、市教育委員会でも、何度か事実の確認を行ったと伺っておるところでございます。

〇斉藤信委員 実はこの事件は大変複雑な経過をたどったんですね。当初、学校からの報告書は、体罰をした教師の一方的な証言に基づいて報告書がつくられたと、私、指摘しました。そして殴られた生徒と家族は、それについて納得できないというので弁護士さんを通じて、どういう報告がなされたか教育委員会に問い合わせをしたんです。そして警察にも被害届を出した。被害届を出したから、体罰した教師は警察に呼ばれたんですよ。そのときの事情聴取で本当のことを話したんです。刑事事件になりますからね。そういう経過をたどって再び再調査を求めたんです。その再調査報告書がまた再び出されたら、その中身が大変違ったものだったと。殴った、体罰をした先生自身が、全面的に誤りを認めたんです。だから和解に至ったんですね。この当事者間の和解はいいんだけれども、問題は、責任者である学校長が両方から話を聞きながら、なぜ殴った当事者の話しか報告書には触れなかったのかと、こういう問題なんですよ。そして教育委員会もそれを真に受けた。私はここにうんと重大な問題があると思うんですよ。先生をかばう体質。本来なら、事実に基づいて厳正に対処しなくてはならない。そういう問題について子供の人権がないがしろにされた。この子供は大変心が傷ついて、一時、不登校の状況にも陥ったんですね。私はそういう点で、体罰事件がなくならないその重要な背景に、こういう体罰を容認する、先生をかばう体質があるのではないか、こういうことは絶対に私はあってはならないと思うんですね。そういう点で、この事件を本当に教訓にして、弁護士を立てなければ解決できないようなことではなくて、警察に被害届を出さなければ是正されないようなやり方ではなくて、こういう体罰については本当に事実を確認して厳正に対応するし処罰もすると、このことが必要だと思いますけれども、いかがですか。

〇盛川義務教育課長 今、委員からの御指摘のように、市教育委員会から、本人、校長に係る報告書をいただいておるわけでございますので、今後は改めて調査をしながら、先例や慣例、関係法令等を踏まえながら適切に対応してまいりたいと、そのように考えております。

〇斉藤信委員 これで最後になりますけれども、再調査は市の教育委員会の段階で終わっていますから、私はこの問題を重視して、担当課からどうなっているんだと聞いても、本当に報告ありませんでしたよ。もう現場では解決済みなんですから、もっとこういうのはスピーディに、厳格に、正確に対応するようにしていただきたい。
 最後、二つまとめてお聞きします。
 少人数学級の実現について。
 文部省は、来年度から第7次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画で、5カ年計画で、生徒減少に伴う教職員の自然減を減らさないという計画を示しました。これは5カ年間で2万6、900人、来年度は5、380人教員をふやすという計画ですが、本県ではどうなるでしょうか。計画では、少人数による授業などの取り組みに2万2、500人、来年度は4、500人の増となっていますが、本県ではどうなるでしょうか。少人数での授業の必要性を認めたということは、少人数学級の必要性を認めたということになるのではないでしょうか。問題は、少人数の授業の進め方でありますが、小学校段階から生徒を選別する習熟度別授業はやるべきでないと思いますけれども、県の教育委員会はどう少人数の授業を進めようとしているのでしょうか。
 全国、東北では、県単独で少人数学級編成に取り組んでいます。学力の危機を打開するためにも、一人一人に行き届いた教育を進めるためにも、私は岩手県の教育委員会としても、各県の取り組みを把握し検討するべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
 最後ですけれども、サッカーくじ問題についてお聞きします。
 3月からサッカーくじが全国で販売されています。サッカーくじは青少年の健やかな成長に悪影響をもたらし、スポーツをギャンブルでゆがめる懸念があるとして、各界から問題点と批判が出されていたものであります。県内でも50数カ所で販売されています。青少年の出入りが多いところにも販売店が設置されているのが実態であります。新日本婦人の会による調査によると、19歳未満購入禁止の表示がない販売店がありました。また、あっても、文字が小さく目立たない、写真付身分証明書による年齢確認がされていないことなど、問題点が指摘をされています。私は、県教委として、こうした実態調査、総点検をして対応すべきと思いますけれども、いかがでしょうか。

〇盛川義務教育課長 本県の少人数教育についてどう取り組んでいるのかと、そのような御質問なわけでございますが、まず、少人数教育にかかわる全国状況についてでございますが、詳細については調査しておりませんが、おおむね把握しておるところでございます。
 なお、本県の取り組みについてでありますが、例えば1学級当たりの児童生徒数が30数人になるような多人数の学級を有する学校で積極的に少人数指導を進めようとし、計画のある学校に対して教員の加配を進めてまいりたいと、そのように考えております。
 基本的に国の第7次改善計画による加配定数を活用しながら、市町村の教育委員会と協議しながら措置してまいりたいと、そのように考えております。
 国からの加配数についてでございますが、まだ通知がありませんが、配置する場合には、原則としてその学校で活用できるような措置を考えていきたいと思っております。
 なお、現在は、少人数指導を導入する学校の計画案について精査している段階であるというところでございます。

〇松田保健体育課長 スポーツ振興くじtotoの発売のことについて、禁止されている19歳未満の人々への対応ということでのお尋ねだったと思いますけれども、このtotoのくじにつきましては3月3日から開始されたわけですが、本県では56店が一応登録されて発売をするということですが、実際には1店が辞退をするということで55店での発売ということになったようでございます。ほとんどJOMO、イエローハットそれからauショップという、電話の販売だとかガソリンスタンドというのが中心でしたけれども、委員御指摘のとおり、やっぱり人の多いところでの販売というものもありました。私どもは1件1件まだチェックはしてございませんけれども、今回初めての発売ということで、今お話しあるようなチェックというものはしていかなければならないと思ってございます。いずれ、運転免許証などでの年齢の確認、それからシャドーバイヤーというものを使っての販売店の対応チェック、それからスーパーバイザーというもの、そういう人の巡回指導ということもやると聞いておりますが、うちの方としてもその辺の情報等早く取り入れながら射幸心をあおるような、そういう販売にならないように気をつけたいと思ってございます。

〇斉藤信委員 サッカーくじについてはぜひ総点検をして、本当に19歳未満の原則が守られるようにやっていただきたい。問題があればやっぱりサッカーくじの廃止を求めていくべきだと思います。これは指摘にとどめます。
 義務教育課長、おおむね全国の状況を把握されているというので、私このことだけお聞きしたい。県単独で少人数学級に取り組むところ、これはどのぐらいあるか。

〇盛川義務教育課長 小学校1年生ということで支援体制をとっている県単独での県は、先ほどお話ししましたように詳細ということではありませんが、10数県ととらえております。

〇阿部富雄委員 3点についてお伺いをします。
 まず第1点は、教員の資質向上についてでありますけれども、先ほど来いろいろ議論がありましたように、いわゆる暴力行為、これは皆さんは暴力行為と言わないで体罰という表現を使っているようでありますけれども、ですから問題が出てくる。暴力行為なんですよね。こういう暴力行為なり、あるいはわいせつだと私は思っていますが皆さんはいたずらだと、こういう言い方をしているわけでありますが、こういう実態というのはどういう状況にあるのかお伺いしたい。
 それから、あわせて最近教員の指導力不足ということが言われてきているわけですね。この問題については教育委員会としてはどういうふうな受けとめ方をし、現場ではどういう状況にあると把握をされているのかお伺いいたします。
 2点目は、コンピューターの関係でありますけれども、ことし校内LANなども整備をすると、こういうことでありますが、問題は、大体の教職員の皆さんは使いこなせるくらいの状態までにはレベルは上がってきているのかなと思いますけれども、それを教えるというところまで果たして技術的に向上しているのかと心配をしているわけでありますが、教員のコンピューターの指導の問題というのはどの程度のレベルまであるとお考えなのかお尋ねします。
 それから3点目は、先ほどもお話しありましたが学校評議員の問題でありますけれども、先ほど藤沢町での導入状況について説明がありました。県教委は、設置のあり方だとか運営方法、委嘱方法など全般的な検討をするということで、ことし1年間検討されているようでありますけれども、その検討結果というのはどういう方向に進んでおられるのか。そして県教委とすればどういう形での、時期も含めた導入方法を考えていらっしゃるのかお伺いいたします。

〇盛川義務教育課長 体罰、暴力、児童等へのいたずらの処分の件数ということでございますが、過去3年間を見ますと、懲戒処分については、体罰では3名、暴力では2名、児童等へのいたずらは1名となっておるところでございます。 

〇田口県立学校課長 次に、指導力不足教員についてでございますが、指導力不足等適格性に欠ける教員に対しましては、現在のところ、本県としては明確な判定基準が確立されていないことから、その正確な実数というのは把握してございませんが、指導力不足等適格性が危惧される一部の教員に対しましては、従来から研修や個人指導等を通じまして資質の向上に努めてきたところであります。また、現在、教員の適格性を確保する観点から関係各課による協議会を設け、調査研究をしているところであります。
 今後は、このような教員に対する研修等を含めました適切な人事管理のあり方につきまして、国や他県の動向をも参考にしながら研究し、生徒にとってよりよい教育環境の整備に努めてまいりたいと考えております。

〇西指導課長 パソコンで教えることができる教員の養成をどのように行っているのかというお尋ねでございますが、現在、初任者研修や教職経験者研修等の教職基礎研修においてコンピューターに関する研修を行っているところでございますが、委員御指摘のように、今後の教育の情報化が重要であるとされておりますことから、教員における情報研修を次のように行おうと、ただいま進めようとしているところでございます。
 第1は、県立学校教員対象の情報研修についてであります。総合教育センターのほか、県立学校での実施を含め、県内4カ所の会場で実施する予定でございます。総合教育センターでは、年間10回の研修を実施し、そのほかの会場では5回程度研修する予定でございます。
 なお、その際の講師でございますが、教科に新しい情報ができますので、その教科情報の免許保有者、総合教育センター指導主事、研修主事、それから民間の情報処理技術者等を予定しているところでございます。
 なお、それらを受講する数でございますが、大体総合教育センターでは472名を予定しているところでございます。他の県立学校3会場におきましては390名を予定して、合計862名を平成13年度に予定するというところでございます。平成13年度中に県立学校教員の50%の、つまり862名の半分、50%の教員がやがてコンピューターを使って教科指導ができる、コンピューターを道具にして授業ができるという形での計画で、今、進めようとしているところでございます。
 それから、第2点は、市町村立学校教員対象の情報研修についてでございますが、小中学校教員の研修につきましては、教育事務所及び市町村教育委員会の指導主事等を対象として、総合教育センターにおいてコンピューター指導者養成講座研修を新設することとしております。また、各教育事務所単位に教員情報リテラシー向上研修推進講習会を新設し、校内リーダーとなるべき指導者を養成する予定でございます。さらに、民間企業のシステムエンジニアを県内240校に派遣しまして、校内研修会を実施する予定でございます。その際の受講する対象教員を約3、000名ととらえているところでございます。
 以上により、教員の指導力向上を図ってまいる覚悟でございます。

〇田口県立学校課長 学校評議員制度の導入についてでありますが、各学校におきましては、地域社会の一員として開かれた学校づくりを今後より一層進めていくため、地域住民の学校運営の参画を得ていくことは必要であり、そのためには、各学校や地域の実情に応じて学校評議員を設置できるようにする必要があるとの認識に立ちまして、県立学校の管理運営規則に学校評議員に関する規定を新たに設けるなど、現在準備を進めているところであります。既に幾つかの県立学校におきましては、地域住民等の参画を得た類似した組織を持っているところもあるところから、これらの学校を参考としながら、また、モデル校設置も含めまして、学校評議員制度につきまして検討してまいりたいと、そう考えております。

〇阿部富雄委員 まず最初に、職員の資質向上の関係でありますけれども、ただいまの答弁でありますと暴力行為と体罰を分けて報告があったわけでありますが、暴力行為というのは教員同士のものもあったような記憶もしていましたから、そのことを指すのでしょうか。
 それから、こうした処分を受けた人、これは恐らく平常心では暴力はだめだ、体罰はだめだというのは十分わかっているんだろうと思うんです。何かのきっかけでそうなったんだろう思うんですが、やっぱり性格によるものだとか、その人の考え方が大きな、私は、部分を占めているんだろうなと思うんです。そういうことを考えた場合に、処分をして終わりだということではなくて、特別な研修を受けるとか再教育を進めるとかそういう形があってしかるべきじゃないか。また同じような状況を繰り返す可能性だって出てくると思うんですが、そういうことを考えていらっしゃるのか。
 それからもう一つは、指導力不足が危惧される教員もいらっしゃると、こういうことでございました。問題は、この方々については、特別研修なども受けてもらっているということですけれども、それは校長さんの判断で危惧されるというふうに評価するのだろうと思うんですが、本人に弁明の機会というのをきちっと私は与えた上で、そういう対応をしていくということが大変大事なことではないかと思っているわけですけれども、そういうことはどうお考えになるのかお尋ねしたいと思います。
 それから、先ほど来いろいろ議論がありましたように、校長さんとの関係、教育委員会とはいい関係だろうと思うんですが、地域でやるとかあるいは同じ校内における校長さんとの関係について、必ずしもいいという声ばかりは聞こえてこない部分があるわけです。したがって、教育委員会はそれなりに校長は把握をしていると思いますけれども、もう少し客観的にそれぞれの学校の最高責任者である校長の評価をする方法も私は考えていくべきではないかと思うわけでありますが、そのことについてどのようにお考えかお尋ねします。

〇盛川義務教育課長 最初に、暴力についての件数にかかわってでございますが、委員御指摘のとおりでございます。
 次に、研修についてはどのようにということでございますけれども、最も重要なことは、児童生徒の人格形成に大きな影響を与える教員といたしましては、さらに職全体の信用を得るべき公務員ということでございますので、みずから受けた処分に対する意味の重大さを深く受けとめさせることだと考えておるところでございます。さらに、校長を中心にして教育公務員としてのあるべき姿や自己の資質向上についての指導に努めたり、本人の経験や職能を吟味し、さまざまな役割や研修の場を設けたりしながら、市町村教育委員会と連携を図りながら、本人の改善について指導に努めているところでございます。

〇田口県立学校課長 指導力不足教員についてでございますが、先ほど申しましたように、明確な判断基準というものは現在の段階では設けていないと。今後は、このことについて検討していかなくてはならないだろうと考えておりますが、現在、一部指導力不足と危惧されると。何をもって危惧されるかというようなことがあろうかと思いますが、今議員御指摘の体罰と不祥事を繰り返すような教員とか、あるいは教科指導等が適切にできない、あるいは児童生徒とのコミュニケーションがうまくいかない、あるいは保護者等との良好な対応といいますか、そういうようなことがいけない等、いろいろ判断があるかと思いますけれども、それらのところにつきましてはよく本人の考え等も聞きまして、研修というのは一方的にこう、ああという形ではなくて、本人の考え等も聞きまして、そしてその中で本人の資質を高めていければと、そういう考えでおるわけであります。
 また、そのような形で、学校の責任者として校長の役割というのはまことに大きいわけですが、この校長の評価につきましては、現在でも校長等の研修とか、あるいはさまざまな場面での校長と県とのやりとりの中で、校長の持っている資質あるいは力量を十分学校運営の中で発揮できるような、そういうことも含めまして指導してまいりたい、そういうふうに考えております。

〇阿部富雄委員 校長の評価の関係ですけれども、資質、能力を最大限に発揮するということはだれでもできることだと思うんです。問題は、それが果たして子供のため、地域のために評価される中身のものかどうかということを私は言っているんです。そこを含めて客観的な評価のあり方も考えていく必要があるのではないかということを質問しているわけですので、もう一度御答弁いただきたいと思います。

〇田口県立学校課長 現在、県立学校には95名の校長がおるわけですが、各校長は、各地域の実情あるいは学校の生徒の実態等を把握しながら適正に学校を運営し、そして教育活動が円滑になされるよう努力していると認識しております。しかし、今、委員御指摘のとおり、地域の中にはすべてがそうではないよと、そういうお話がございました。そういうことに対しましては、こちらでそのことを把握しながら、もしそういう不適切な部分があるのならば正してまいりたいと考えているところであります。

〇佐々木一榮副委員長 ほかに質疑ありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇佐々木一榮副委員長 質疑がないようでありますので、これで教育委員会関係の質疑を終わります。
 教育委員会の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでございました。
 次に、警察本部長から警察本部関係の説明を求めます。

〇出原警察本部長 平成13年度の警察予算の御審議をいただくに当たりまして、まず、県内の治安情勢及び当面の課題について若干御説明させていただきたいと思います。
 初めに、県内の治安情勢についてであります。
 平成12年中の県内の全刑法犯認知件数は1万3、865件で、前年比255件増であり、依然として高水準で推移しております。特に、強盗、強制わいせつなど重要犯罪の増加、少年事件の凶悪化、来日外国人犯罪の増加などが顕著になっており、さらに、新たな形態の犯罪としてハイテク犯罪の認知件数も増加しているところであります。また、昨年10月発生したけん銃使用立てこもり事件に見られるように、銃器を使用した犯罪や、さらには、覚せい剤事犯も予断を許さない状況にあります。
 一方、交通事故の発生件数は6、057件で、死者は133人、傷者は7、565人であり、いずれも前年比で増加するなど依然として厳しい状況にあります。
 また、いわゆる迷惑行為防止条例が昨年4月1日から、同じくストーカー規制法が11月24日から施行されましたが、平成12年中にストーカー行為の被害者などから警察へ寄せられた相談件数は、前年の約2倍の515件になっております。
 なお、これまでに迷惑行為防止条例で7件検挙するとともに、ストーカー規制法に基づき7件の警告及び3件の被害者への援助措置を実施しております。
 また、近年の社会情勢とも相まって困りごと等の相談件数が急増しており、昨年1年間で1万109件の受理となっております。これは前年比で4、045件、66.7%もの増加であります。
 次に、当面の課題について説明申し上げます。
 昨年の警察刷新会議の緊急提言を受け、国家公安委員会、警察庁において警察改革要綱が制定され、さらに、警察法の一部改正が行われたところであります。
 県警察といたしましては、県民のための警察活動を推進するため、これら警察改革の施策の具体化及び実施に取り組んでいるところでありますが、中でも、警察署協議会の設置、情報公開の推進、困りごと相談に対応する体制の整備、公安委員会の管理機能の充実及び活性化、新たな犯罪への的確な対応などにつきましては早急に実施しなければならないものと決意しております。
 このような情勢を踏まえ、これらの課題に取り組むため、本年の県警察運営重点の基本姿勢を県民の期待と信頼にこたえる警察と設定し、新たに活動指針として県民のための警察活動の推進を掲げ、県民の視点に立った活動の推進を明確にしたところであります。
 この基本的な考えを具体的かつ効率的に推進するため、重点目標を交通死亡事故の抑止、悪質重要犯罪の徹底検挙、少年非行総合対策の推進、組織犯罪対策の推進、安全な地域づくりの推進、被害者支援対策の推進、大規模災害対策等の推進及びハイテク犯罪総合対策の推進の8項目とし、それぞれの活動を着実に推進していくこととしております。
 なお、先ほども申し上げました困りごと相談や被害者対策、さらには情報公開への対応など県民生活にかかわりの深い業務を適正かつ効率的に推進するため、今春、県警本部に県民課を新たに設置することとしたところであります。
 それでは、平成13年度警察費当初予算について御説明申し上げます。まず、岩手県議会定例会議案その1の8ページをお開き願います。
 8ページの一般会計歳出の第9款警察費の総額は354億1、887万2、000円であります。
 これを項別に見ますと、警察管理費が321億9、222万5、000円、第2項警察活動費が32億2、664万7、000円であります。
 次に、目別予算の内容について御説明申し上げます。お手元の予算に関する説明書によりまして主なものについて御説明させていただきます。恐縮ですが、226ページをお開きいただきたいと思います。
 226ページの第1項警察管理費第1目公安委員会費は830万8、000円であります。その内容は、公安委員の活動経費及び公安委員会の運営に必要な経費並びに委員報酬であります。第2目警察本部費は261億665万円であります。その内容は、岩手県警察の運営に必要な経費であり、警察職員の給料、職員手当などの人件費が主なものであります。この中には、犯罪等の国際化対策として、部内通訳要員育成のための海外研修経費、部外通訳要員の通訳経費、警察業務の高度情報化のための警察情報管理システム開発事業費などがあります。次に、227ページ、第3目装備費は2億9、594万2、000円であります。その内容は、犯罪捜査、災害対策などに的確に対応するための警察装備の経費で、車両の購入費及び車両、警備船、航空機の維持管理費が主なものであります。第4目警察施設費は51億2、660万7、000円であります。その内容は、治安の基盤をなす警察署、交番、駐在所などの整備、維持管理のための経費で、警察施設に来庁する方々のための駐車場の確保など県民のニーズにこたえるとともに、職員の勤務環境の改善を図るものであります。なお、この中には、平成14年度完成予定で建設中の盛岡東警察署の整備事業費38億6、537万1、000円が含まれております。次に、228ページでございます。第5目運転免許費は5億4、233万4、000円であります。この内容は、自動車運転免許の取得、更新、行政処分などに関する運転免許行政のための経費であります。229ページ、第6目恩給及び退職年金費は1億1、238万4、000円であります。
 次に、230ページ、第2項警察活動費第1目一般警察活動費は5億3、353万4、000円であります。この内容には、警察改革要綱及び警察法改正に基づく本県警察の改革推進経費としての警察署協議会設置経費2、287万円、警察安全相談員設置経費1、127万8、000円、情報公開推進経費1、063万3、000円が計上されております。また、交番相談員の配置など交番・駐在署関係経費及び警察通信施設の維持管理経費並びに老朽化した110番通報処理装置を平成13年度からの3カ年計画で更新、高機能化する新通信指令システム整備費1、260万円などが含まれております。第2目刑事警察費は3億1、398万7、000円であります。この内容は、少年非行防止対策及び銃器、薬物事犯等を担当する保安警察に必要な経費並びに犯罪捜査に必要な経費であります。この中には、ハイテク犯罪対策、指紋自動識別システムなどの経費が含まれております。次に、231ページ、第3目交通指導取締費は23億7、912万6、000円であります。この内容は、交通指導取締活動、交通安全施設整備など交通警察に必要な経費であります。交通安全施設整備につきましては、総合的な計画のもとに、交通管制区域の拡大整備、交通信号機の新設、改良などを行い、交通事故防止と交通の円滑化を図ろうとするものであります。
 次に、予算以外の議案について御説明いたします。恐れ入りますが、定例会議案その2の70ページをお開きください。
 議案第38号岩手県公安委員会の管理に属する事務手数料条例の一部を改正する条例についてであります。
 昨年の商法等の一部を改正する法律の公布により、会社の営業を承継させるための会社の新設分割が認められたこと及び風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部改正により、法人の分割による風俗営業者の地位の承継を公安委員会の承認を要件として認められ、本年4月1日から施行されることに伴い、本条例は、風俗営業者たる法人の分割に係る承認の申請に対する審査手数料の金額を新たに定めるものであります。また、風俗営業の相続、合併などの承認申請を複数同時に行う場合の手数料について、所要の整備を行うものであります。
 手数料の額につきましては、全国的に統一した取り扱いが特に必要な事務として政令で定める標準額と同額としております。
 以上、雑駁な説明でございましたが、よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。

〇佐々木一榮副委員長 ただいまの説明に対し質疑ありませんか。

〇谷藤裕明委員 3点についてお聞かせいただきたいと思います。
 まず、犯罪被害者への支援という分野についてお聞かせいただきたいと思います。
 警察では、これまでにも犯罪の被害に遭った方とか遺族の方に対してさまざまな活動施策を行ってきていると承知しておりますけれども、特にも、心の傷が大きい青少年などへの支援体制はどうなっているのか。
 それから、犯罪の被害に遭った少年は極めて強い精神的ショックを受けている状態にあるようですし、心のケアが必要だと言われておるわけですけれども、その辺に対する取り組みはどのように行っているのかお聞かせいただきたいと思いますし、先ほども説明の中にありましたけれども、性犯罪の被害者、特にもこういう問題はプライバシーにもかかわるので非常に神経を使う分野だろうと思いますけれども、その辺の支援というのは非常に難しい部分もあると思いますけれども、その辺の取り組みというのはどうなっているのかお聞かせいただきたいと思います。

〇伊東警務部参事官兼警務課長 犯罪被害者への支援についてお答えいたします。
 犯罪被害者への支援体制につきましては、警務課内にあります被害者対策室や少年課内にあります少年サポートセンター、捜査第一課内にあります性犯罪被害者対策係が中心となりまして、各警察署の担当者や警察で委嘱している専門医の先生方と連携を図りながら、相談やカウンセリング等の被害者へのケアを行っているところであります。
 また、事情聴取や面接相談の担当者には、女性が性犯罪の被害者となる例が多いことから、その心情等を考慮して女性警察官や女性の少年補導職員を配置しておりますし、聴取や面接場所につきましても、被害者等から申し出があった場合は警察施設以外の場所で行っているところであります。さらに、被害者には個々に指定被害者支援要員を配置しまして、病院への付き添いや被害者自身のケアに当たっているところでもあります。
 なお、少年サポートセンターにはヤングテレホンを設けまして、臨床心理士の資格を有する担当者が被害少年やその家族からの電話相談に対応しておりますが、昨年は301件の相談を受理しております。また、精神的ダメージの大きい相談者につきましては面接相談やカウンセリング等を行いますが、昨年は117件実施しております。

〇谷藤裕明委員 警察自身の努力もさることながら、関係機関、先ほども医師会初め、いろいろ専門医の先生方等の力をかりる部分もたくさんあると思いますけれども、今後ともぜひその辺の連携をとりながら、積極的に県民の方にもPRを進めていただければと思います。
 次に、犯罪被害者給付制度についてお伺いしたいと思います。
 この制度は、殺人などで死亡した遺族とか重い後遺症が残った被害者に対しての社会の連帯共助というんですかね、そういう立場の中から生まれた制度のようでありますけれども、これは国の方の制度のようですけれども、本県における支給の実態というか、そういうのは国との関連の中で何か実際にあるのかどうか。もしあるとすれば課題が何かあるかどうかお知らせいただきたいと思います。

〇伊東警務部参事官兼警務課長 犯罪被害者給付制度についてお答えいたします。
 犯罪被害者等給付金支給法の趣旨は、いわゆる通り魔殺人等、故意の犯罪行為により亡くなられた被害者の遺族や重い障害を受けられた被害者本人に対して、社会連帯共助の精神に基づいて国が一時金を支給し、その精神的、経済的打撃の緩和を図ろうとするものであります。
 給付金の種類は、被害者の遺族に支給される遺族給付金と被害者本人に支給される傷害給付金の2種類があります。給付金支給の手続につきましては、給付金の支給を受けようとする方がその住所地を管轄する公安委員会に申請書を提出し、公安委員会が裁定することとなっております。給付金支給の裁定を受けた方は、国に対して給付金の支払い請求を行うこととなります。
 岩手県では、昭和56年1月の法施行以来、昨年末現在で66件、約1億3、600万円余の給付金を支給・裁定しているところであります。
 なお、同制度が施行されてから20年が経過しておりますことから、現在、給付金の支給範囲や支給金額を中心とした法改正案が今国会に提出されているところでもあります。

〇谷藤裕明委員 次に、環境犯罪対策、これは環境首都を標榜している本県にとって、廃棄物の不法投棄を徹底的に防除する必要があるわけですけれども、生活環境部では廃棄物対策監があって、保健所、産廃Gメン等と連携しながら県警もいろいろ頑張っていただいていると承知しておりますけれども、これらの連携を通じながら、県警サイドから見て、最近の環境犯罪の傾向と対策についてお聞かせいただきたいと思っております。

〇太田代生活安全部長 平成12年中の産業廃棄物不法投棄事件の検挙でありますけれども、マスコミ報道等で御案内のとおり、捜査本部を設置して約1年以上にわたって内偵して、120名の捜査員を投入いたしましたけれども、最終的には5人を逮捕し、現在公判中の事件がございます。これは、御案内のとおり、青森・岩手県境にまたがる広域の産業廃棄物の不法投棄事件でございました。これを含めまして、昨年は検挙14件、検挙人員10名の数になっております。
 5年前になりますけれども、平成8年が4件でございました。さらに平成9年が2件の検挙ということになりますので、産業廃棄物の不法投棄事案は年々増加傾向にあるのではないかと見ておるところでございます。
 産業廃棄物の不法投棄事件は広域化が一段と進んでおりまして、再三にわたる行政指導を無視したり、あるいは組織的に敢行するなど、ますます悪質あるいは巧妙化の傾向を示しておりますことから、当県警察といたしましては、今後とも環境犯罪、とりわけ産業廃棄物の不法投棄事案等の悪質な環境破壊行為に重点を置いた取り締まりを強化し、本県の豊かな自然環境を守り、県民の快適な生活環境維持のため、今後とも鋭意努力してまいりたい、こう考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

〇谷藤裕明委員 相当頑張っていると受けとめさせていただきました。やはり何といっても一番頼りにしているのは警察であるというのは県民の偽らざる気持ちだろうと思っておりますので、今後の健闘をお祈りして終わります。

〇折居明広委員 9款2項1目一般警察活動費に関係して質問いたします。
 新交通指令システムにかかわるわけですが、多発する犯罪への迅速な対応を目指して、神奈川県警では、新年度からITを駆使した次世代型通信指令システムの整備に着手するとのことであります。ヘリコプターからとらえた事件、事故の映像を関係警察署の端末に映し出したり、カーナビゲーションシステムを活用してパトカー同士が位置を確認できるチームナビ機能を付加するなど、全国に先駆けた支援情報システムを導入すると神奈川新聞には報じられておりました。
 ところで、ただいま本部長の説明の中で、新通信指令システムの整備費として今回1、260万円計上されたと説明がありましたが、これは、いつまでにどのようなものを整備しようとしているのか御説明願います。

〇太田代生活安全部長 委員御承知のとおり、現在の通信指令システムは、昭和57年に当県の警察本部が建設になったわけですけれども、そのときに整備して、もう既に運用開始から19年が経過してございます。ということで、システム機器そのものが老朽化しておる。しかも110番受理時に音声等が聞こえにくいということでいろいろ通報者等には御迷惑をかけておるという実態でございます。それと、110番通報時に、犯罪場所、通報場所を確認するために現在では手めくりで市販の住宅地図を活用してやっておるということで、事件、事故への対応にも支障を来しておるところでございます。ということで、110番通報処理装置の更新とあわせ、地図情報や情報ネットワーク、高性能を備えた通信指令システムを整備しようというものでございます。
 整備しようとするシステムは、110番情報管理システムあるいは緊急配備指揮支援システム、地図情報システム、それからカー・ロケータ・システムでございます。平成16年度の本格稼働を目標に、平成13年度においては設計委託を行うことといたしまして、委員御指摘のように予算が計上されたところでございます。
 いずれ、このシステムの整備によりまして、事件、事故への的確な対応、さらには効果的な緊急配備によって犯人の捕捉等が期待されますので、県民の期待にこたえる活動が展開されるものではないかと思っているところでございます。

〇折居明広委員 この予算に盛られた1、260万円は整備のための設計委託費ということはわかりました。それでは、整備しようとしている内容をもう少し具体的にお聞かせ願いたいと思います。

〇太田代生活安全部長 具体的に申し上げますと、まず、交通事故の現場なり、さらには重要事件・事故の現場等々を目撃した目撃者なり被害者からの通報がまずあるわけですけれども、110番が入ります。それを地図検索システム、コンピューターを使いまして現場が確認される。それが大型のスクリーンで通信施設に出るわけでございます。それを発生警察署と同時にリアルタイムで監視しながら発生現場の確認をするし、一線署の方でも同時に発生場所がわかる、こういうシステムを考えております。
 さらに、現場が確認されますと、カー・ロケータ・システム、これはGPSを活用いたしまして、発生現場周辺にいるパトカーなり、さらには捜査用車、これらがどの方向に何台走って何キロぐらいで現在進行しておるのかということで、現場近くにいる捜査用車なりパトカーを現場にいち早く急行させる、こういうこともございます。それと、現場に行きまして、例えば強盗事件等々が発生したということになりますと当然緊急配備を敷くことになるわけですけれども、その場合に、関係署やパトカーに同時に情報を送れますので、それとあわせまして交通管制センターあるいは他の交通機関との情報を連動させて犯人の逃走経路を予測し、あるいは犯人の逮捕に向けての効果的な配備が期待できる、こういうものでございます。
 しかし、今の情報システム、私も昨年、東北6県では山形県が模範的ということで警察庁の方から御指導いただきまして、山形県の通信指令室も見学させていただきました。まことにすばらしいものでございます。ぜひそれに負けないような通信指令システムを構築したいと考えておりますけれども、日進月歩の開発となっておりますので、他の県の整備状況等も研究しながら、よりよい通信指令システムの構築に努力してまいりたいと考えておりますので、よろしく御理解をお願いしたいと思います。

〇折居明広委員 もちろん神奈川県とは、人口も世帯数も、あるいは予算の警察費の金額からいっても雲泥の差がありますけれども、やはりいいものはどんどん取り入れてそれに挑戦していくということにしていただきたいと思いますし、そのためには我々もどのような協力でもしていかなければならないという覚悟でございます。
 神奈川県警ではパトカーも360台ぐらい動いているようですけれども、県警本部と各署を結ぶ専用回線の拡張を図ると。それから、今、お話ありましたカー・ロケータと呼ばれるシステムを機能強化する。それから、交番管理システムを整備すると。これは、交番勤務員の無線機を通して、位置情報把握、交番に勤務員がいるかどうか、それが本部でも一目でわかるようなものにしていくんだと。それがすなわち事件・事故現場に一番近い勤務員に指令を出せるなど、地域活動の効率化が図られるということでありました。もちろんマルチ型の大型スクリーンも導入予定になっておりますし、いろいろ読んでみますと、全国初となるチームナビ機能ではこういうことをやるんだという話も載っています。
 ところで、念のためにお伺いしますけれども、昨年1年間の110番通報受理件数、それから緊急配備の件数、それから、警察官が現場に到着するレスポンスタイムについて御説明願いたいと思います。

〇太田代生活安全部長 まず、最初に、110番の受理件数でございます。全部で6万3、638件、年々増加の一途をたどってございます。6万3、638件でありますけれども、このうち、有効110番、本当に110番の性質を有するのは3万1、138件ということで、全体の48%だと。残りは何なのかということになりますけれども、無効110番、全然関係のない警察への相談なりいたずら電話なり、これが実に驚くなかれ3万2、500件、全体の51%を占めておるということで、3万1、000件の有効に対して3万2、000件もむだな通報が寄せられている、こういう実態でございます。
 次に、緊急配備の状況でございます。これは、当県警察、146件緊急配備をして岩手県内の配備網を敷いたわけですけれども、そのうち、検挙したのは75件ということで、半分強ということで51.4%になってございます。
 ちなみに、隣の青森県では38件発令してございます。当県より100件以上少ないわけですけれども、14件検挙ということで、当県の緊急配備の発令はかなり高い、こういうふうに理解していただいて結構だろうと思います。それから、隣の秋田県は、やはり当県と同じぐらい151件の45件検挙していますけれども、検挙率の方は29.8%ということで、検挙率、今、お話しいたしましたとおり、51%、半分以上検挙しているということで、これは東北で一番と理解してございます。
 それから、110番通報を受けてから現場に到着するまで、レスポンスタイムとうちの方で言っておりますけれども、これは、昨年は7分2秒かかってございます。出動する場合には、現在出動、現場到着ということが通信指令施設に逐一全部入ってございます。ということで、発生場所までの到着時間、これを全部計上した平均が7分2秒ということで、これは一昨年と比べますと、6分31秒ということで、31秒残念ながら遅くなってございます。いろいろ交通車両等の渋滞、車両等々の増大、これらが影響して、年々パトカー等々のレスポンスタイムは、若干ではありますけれども延びておるという実態にございます。

〇折居明広委員 いずれ、IT化と申しますか、情報化を図ることでレスポンスタイムの短縮化や事件、事故への迅速な対応につながるということでありますから、なお一層このIT化に向かって頑張っていただきたいと思います。
 ところで、テーマが変わってきますけれども、けさの岩手日報の第1面にはびっくりするような記事もありましたが、その中の地方版、盛岡エリアのページにはこういう記事があります。盛岡東西両署管内で補導された刑法犯少年は前年比で13.5%減少したが、逮捕者が2.5倍に急増していると。少年非行は悪質化、粗暴化の傾向だと。飲酒、喫煙や無職少年対策など非行を生み出さない環境づくりが課題となっているという記事がありましたが、まさにそのとおりでございます。この非行を生み出さない環境が必要であるという観点で、私たちはこれからもなお一層努力しなければならないわけでありますが、青少年に影響を及ぼす風俗環境の実態というものを説明していただきたいと思います。いろいろあると思いますが、詳しくお話しいただきたいと思います。

〇太田代生活安全部長 まず、最初に、折居委員には、風俗営業適正化法に基づいて公安委員会の方から委嘱していただきまして、15年余にわたって少年指導員をしておられることにつきまして非常に厚く御礼と感謝を申し上げたいと思います。
 風俗環境といってもいろいろあるんですけれども、手っ取り早く申し上げますと、風俗営業取り締まりの絡みの問題で風営適正化法という法律がありますけれども、スナック、バー、キャバレーあるいはパチンコ屋、マージャン屋、これは許可業者になっていますけれども、全部で県内には1、400軒ほどございます。それ以外に公安委員会あるいは警察の方に届け出を要する性風俗特殊営業等々もあるわけでございますけれども、いずれこれらの代表的なものを申し上げますと、個人浴場──ソープランドですね──は県内に2カ所あると。それから、ストリップ場が4軒、モーテル等々は94軒、平成11年4月に法律が改正になりまして、派遣型ファッションヘルス、これはお客さんの求めに応じまして、ホテルあるいは旅館でもいいですし、あるいは個人宅でも、場合によっては要望があれば山小屋でもということになるんでしょうけれども、いずれお客さんの要望に応じて女性を派遣して必要なサービスをする、こういうものもあるわけでございます。これらが全部で平成11年から74軒、物すごく多くなってございます。
 このほかには、警察の届け出は必要ございませんけれども、昨年、盛岡東署で検挙したわけですけれども、韓国エステ、韓国女性8名、さらに男性経営者等々3名、全部で11名逮捕しましたけれども、これらのファッションヘルス店が盛岡を中心に5軒あると。さらに、デートクラブ、これは委員の皆様御案内のとおり、盛岡市内を歩きますと公衆電話ボックス等々にカラーのヌードの写真がいっぱい張ってございます。これはデートクラブ売春なわけですけれども、盛岡市内には大体12ぐらいの業者がございます。1人の業者で大体5人から6人ぐらいの売春婦を抱えておるということで、12業者でございますので、当県警察で把握しているのでは大体50人から70人ぐらいの売春婦がおるのではないか、こういうふうに見ておるところでございます。
 それから、女子高校生、さらには中学生等が非常に多く利用しておりますけれども、テレクラ営業、今はやりのテレクラ、これが県内に9軒ございます。それから、ツーショットダイヤルあるいは伝言ダイヤル、これらの営業所が30軒と非常に多くなってございます。
 ということで、代表的なものを今お話しいたしましたけれども、最近検挙しました事例といたしましては、県立高校の盛岡市内の高校生がテレクラで知り合った男性とモーテル等々を利用して性交渉を結んだと。実に驚くなかれ、その相手となった男性が大体70人から100人ぐらいと。さらには、これも盛岡の事例でございましたけれども、盛岡市内の中学校3年生の女子生徒でございました。これもテレクラで知り合って、大体50人から60人ぐらいの男性を相手にしてホテルあるいはモーテル等を泊まり歩いた。家出の少女でございましたけれども、こういう実態もございます。それと、県南地区でございますけれども、ツーショットダイヤル、伝言ダイヤルで知り合った男性とホテル、モーテル等々でいかがわしい行為をしたということで、青少年の条例違反で検挙し、あるいは児童福祉法を適用したと、こういう事例もございます。
 いずれ、今後とも取り締まりを強化することはもちろんですけれども、補導にも力を入れまして、青少年の健全な育成に取り組んでまいりたいと、こう考えてございます。
 最後に、警察活動の一環なんですけれども、盛岡西警察署でみたけ駐在所、運動公園前にございます。ここの警察官、わいせつな雑誌等を販売している自動販売機がございます。この3台を、設置者に働きかけて、青少年に悪影響を及ぼすので撤去してくれないかと粘り強く活動して撤去したと、こういう好事例もございますので、参考までに御紹介させていただきました。

〇折居明広委員 まことに御苦労さまでございます。
 いずれ、少子・高齢化が進む中で、青少年の果たす役割に期待するものというのは相当大きいわけでありますから、そういう悪質な環境を除去するため今後とも頑張っていただきたいし、私どもも頑張りますので、お互いに明るい活力のある県土づくりに努めていただきたいとお願い申し上げまして質問を終わります。

〇飯沢匡委員 交通事故の抑止対策についてお伺いいたします。
 本年に入り、交通事故の発生状況は、発生件数、死傷者ともに昨年に比べ減少傾向にあると聞いております。交通事故抑止対策に関して、特にことしに入って県警としてどのような抑止対策に取り組んでいるのか、まず、お聞かせください。
 また、スピードの出し過ぎによる事故も多いと思います。特に、私もよく利用しておりますが、高速道路などで最近特に目につきますのは、時間を守るためでしょうか、人命を預かる路線バスが特にスピードを出しているような気がいたします。また、営業用車両と思われる南の方の隣県のライトバンの速度超過は目に余るものがあり、一たん事故が発生すれば大変な事態を招くことは必至であると考えます。
 そこで、高速道路での速度取り締まりなど、スピード抑止対策についてどのように取り組まれているのかお伺いしたいと思います。

〇沼崎交通部長 まず、当県のことしの交通事故でございますけれども、人身事故の発生件数、負傷者数あるいは死亡事故、これらについては前年に比較してやや減少しておりますが、天候のせいか、物損事故は大変増加しております。
 ところで、御指摘の本年の事故防止対策でございますけれども、先ほど本部長の方からも御説明ありましたように、本年の県警の運営重点の一つに交通死亡事故の抑止というものを掲げております。具体的な取り組みといたしましては、一つは、主要幹線道路における速度抑制、特に悪質、迷惑、危険性の高い違反の取り締まり、そういうものを強化してまいる所存でございます。第2点は、やはり適正な交通規制と広報・啓発活動の推進。これにつきましては、関係機関・団体等の方々の御理解、御協力もいただきながら、年当初から重点的に進めておるところでございます。
 それから、2点目の高速道路におけるスピード抑制対策でございますけれども、第1には、やはり事故多発区間あるいは時間帯におけるパトロールの強化、特に冬期間など道路条件に応じた適正な交通規制の推進、あるいは、通称オービスと言われておりますけれども、自動速度取締機をフルに活用した速度違反の取り締まりの強化などの対策を講じておるところでございます。
 ただ、当県の高速道路につきましては、御案内のとおり、大変区間も長い、あるいは気象条件の厳しさというものもございますので、今後ともきめの細かい適切な対応をとっていきたい、このように考えているところでございます。

〇飯沢匡委員 特に冬期間は非常にパトカーが出ていまして、非常にそういう啓発活動をしているなと理解しております。これからも頑張っていただきたいと思います。
 もう一つお伺いしますけれども、先ほど申し上げました路線バス、新幹線の時間に間に合わせるのかどうか、非常にスピードの超過が目立つわけです。陸運事務所との連携と申しますか、そこら辺はどうなっているのか1点だけお伺いします。

〇沼崎交通部長 私どもの方では特に路線バスだけが極端な速度違反をしているという見方はしておりませんけれども、ただ、バスそれ自体は形が大きいだけに、他の車両に与える威圧感が大型の場合は多分大きいのだろうと、このように思っております。また、御指摘のように、路線バスには多数の乗客を乗せているということから、なお一層の安全な運行が望まれるわけでございますので、これにつきましては、御指摘のとおり、陸運支局等とも連携をとりながら、十分な啓発活動について推進してまいりたい、このように考えております。

〇川村農夫委員 交通事故にかかわって私からも1点質問させていただきます。
 高齢化社会の進展によりまして、高齢者ドライバーによる交通事故とその発生状況についてお伺いいたします。高齢者が被害に遭う事故の増加もありますけれども、最近ではクローズアップ現代でも取り上げられましたが、高齢者ドライバーが加害者になる交通事故も増加しているように伺っております。県内における高齢者ドライバーの関係する事故の発生状況はどうなっているのか、また、大変難しいことであるとは思いますが、こうした事故を防止するためにこれからどういう対策が考えられるかお伺いしたいと思います。

〇沼崎交通部長 まず、昨年の人身交通事故は県内では約6、000件発生しておりますけれども、そのうち、高齢ドライバーが関係した事故というのは937件ございます。これは、前年比で約20%ぐらい増加しております。それから、高齢ドライバーが関係した死者でございますが、これは23人。全体の死者数は133人でございます。それから、傷者が1、172人ということになっております。いずれ、高齢ドライバーが関連する事故というのは、御指摘のように毎年増加の一途をたどっているということでございます。
 そこで、937件の高齢ドライバーの関連する事故のうちで、どちらの責任が大きいかといった場合には、高齢ドライバーの方の責任が大きい事故というのは全体の66%、四捨五入しますと7割近くの方が、高齢ドライバーが事故を起こすと7割ぐらいの方が高齢ドライバーの方が責任が大きいと、こういう結果になっております。そういうことから、御指摘のとおり、やはり被害者オンリーではなくて、高齢者もこれからどんどん加害者の立場になるという部分をとらえましてこれらの対策をしっかりとっていく必要がある、このように考えております。
 それから、現在、制度的には、75歳以上の免許更新者の方については高齢者講習というのが義務づけられております。これは、座学、適性検査、実車指導、こういう内容でございます。それから、65歳以上75歳未満につきましては、過去に違反歴のある方を対象とした高齢者学級というものを編成して講習をやっております。そのほか、関係機関・団体の皆さんとの連携をとりながら、高齢ドライバーの指導、実践・体験型の指導というものやら、あるいは、余りそういう機会に恵まれない方といいますか、外に出歩かない方等に対しては、被害者対策の一環として、高齢者宅に赴いての安全指導、こういうものも実施しているところでございます。

〇川村農夫委員 この問題は確かに警察側だけで解決できることではなく、やっぱり家族あるいは地域の協力が大きなウエートを占めてくることだと思いますので、また、そういった地域の方々に対しても、そういった目というかそういった意識を啓発していただくようなアピールもこれから必要ではないかと思いますので、よろしくお願いします。

〇佐々木一榮副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
   午後2時58分 休 憩
   午後3時14分 再 開

〇中屋敷十委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。

〇伊藤勢至委員 KSD問題についてお伺いをいたしたいと思います。
 財団法人ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団、略称KSDに関してお伺いをいたします。
 このKSDが設立をされました昭和39年、1964年当時、我が国はまさに高度成長の真っただ中にあり、日本経済を支えてきたのは国内企業の99%を占める中小企業であったわけであります。しかしながら、中小企業の経営者は、労災保険制度は適用されず、万一労働災害に遭っても、救済の道が閉ざされていたのであります。そこでこのKSDは、この現状を踏まえ、中小企業経営者の窮状を相互扶助の精神によって保障することを目的として設立をされました。以来、35年余にわたり災害保障、共済事業、災害防止事業、福利厚生事業など、中小企業の発展のために総合的な支援ができる体制をつくり上げてまいったのであります。もとより、KSDは中小企業の発展と福祉の増進に寄与することを目的とした厚生労働省許可の公益法人であり、国からの補助金は一切受けていない団体であります。しかるに、このKSDのトップと政治家の癒着によって、中小企業経営者の血と汗の結晶である会費が政界に垂れ流され、今や国民の、特にも戦後の日本の復興期を必死に支えてきた中小企業経営者の政治に対する不信感は、そのきわみに達していると言っても過言ではなく、政治の道を志してきた者として非常に恥ずかしく思っているところであります。しかも、つい先ごろまで現職であった自民党の国会議員が相次いで2人も逮捕されており、これは戦後最大の疑獄事件に発展するのではないかと言われております。
 私も21歳で宮古に帰ってから22年間、44歳まで自民党員でありましたが、今もって体質の変わっていないことにあきれているところであります。現在、東京地検特捜部が着々と捜査を進めているようであり、国民の間には、徹底的な真実の解明と国民を欺く政治家の排除の声が高いのであります。
 そこで伺いますが、岩手県の社会正義の番人たる岩手県警察として、この事件をどうとらえているのかお伺いをいたします。
 あわせて、昨年の12月1日のある新聞に、大変センセーショナルな記事、すなわちKSDの前理事長「古関容疑者が指示」、「元農水相の地元業者から」、「5億円分海産物購入」という記事が掲載をされており、その中で「東京地検特捜部でもこの事実を把握しており、背任の疑いもあると見ている模様だ」とありました。このことについても、岩手県警察としてどう考えているのか、また、東京地検の捜査を支援して合同の捜査などをしているのかどうか、差し支えのない範囲でお聞かせをいただきたいと思います。

〇境谷刑事部長 県警察といたしましては、いわゆるKSDに関連する事件捜査につきましては、御指摘の合同捜査、税法違反も含めまして関与いたしておりませんので、御了承を願いたいと思います。
 なお、論評につきましてということでございますけれども、論評につきましても私の立場では申し上げる立場ではございませんので、ひとつ御了承をお願いしたいと、このように思います。

〇伊藤勢至委員 このKSDの問題がマスコミに取り上げられてから私も大変大きな関心を持っておりました。この間、私の友人から、自分もある金融機関から言われて10年前から2口月2、000円、2口ですから4、000円掛ける12カ月、年間4万8、000円加入していたけれども、今度のことで非常に腹が立ってやめたということ。そして盛岡にもKSDの支所があることなどを伺いました。盛岡に支所があるとは知らなかったので、これは県民の代表として調査する必要があると考え、マリオス16階にあるKSD北東北支所に連絡をとり、時間をいただき、2月14日午後3時から1時間ぐらいお話を伺ってまいりました。これに先駆けて、議会事務局調査課に概略調査を依頼いたしたところであります。
 それによりますと、KSDの件でございますが、盛岡の北東北支所では窓口を一本化しており、つまり本部に一本化しており、北東北支所では取り扱わないという冷たい報告でありました。しかし、寄附行為それから規約は郵送するということで、これは送ってもらったところであります。また、決算そして役員名簿等は送れないけれども、こちらに来て閲覧するのであれば閲覧は結構ですと、こういうことでありました。また、本県の会員数は12年11月末、事業所数7、000、人数が1万2、000、会員名簿はプライバシーの公表の関係上公表できないと、こういうことでありまして、したがって、お邪魔をして調査をしてきたところであります。
 その中で、11年度の決算書を閲覧させてもらったのでありますが、その中で1点、これはと思うところがございました。それは、有限会社Hほか前払金5億2、213万9、646円というところであったのであります。現在のこの経済状況の中で、5億円を超える前払金のある商取引というのは、非常に珍しいものではないかと思い質問をしたのでありますが、本部が答えますということでなかなか口がかたかったのであります。さっぱりらちが明きませんから、それならば次なる手段としてこの前払金の対象者である有限会社H社を訪ねて、その社長さんからお話を伺おうと思ったのであります。
 そこで、この有限会社H社の社長さんに電話をし、御説明をいただきたい旨お願いを申し上げ、2月23日午後1時半から1時間ぐらいということでお時間をいただき、いろいろとお話を伺ってまいりました。
 また、この際にも、同じく議会事務局の調査課に依頼をし、このH社の公開されている会社の経歴書や決算書をとってもらったところであります。

〇中屋敷十委員長 伊藤勢至委員に申し上げます。
 この際、進行に御協力を願うため、質疑は簡潔明瞭にお願いします。

〇伊藤勢至委員(続) その中で、この決算書でありますけれども、平成9年は年商1億2、200万円、それから10年度が1億6、900万円、11年度が1億6、700万円と、こういうことでございまして、この前途金という部分、前払金という部分が決算に反映されていないのではないか、このように思ったところであります。しかも10年度は利益が158万円、しかるに11年度は343万円と倍以上にアップをしています。大変もうかっていいことだと、このようには思うわけでありますが、そこで、ここが窓口になりまして1セット800円のものをKSDに買ってもらったと、こういうことでありますが、これがいわゆるカットワカメであります。40グラムで400円。それからこっちが削り昆布ということで、これが20グラムで大体300円ぐらいかなと聞いておりますけれども……。

〇中屋敷十委員長 重ねて申し上げます。進行に御協力願うため、質疑は簡潔明瞭にお願いします。

〇伊藤勢至委員(続) 今、一生懸命短くやっております。
 その中で、800円なわけでありますが、これは買い取ってもらったのが800円でありますけれども、原価というのがありますから、これは通常6掛けぐらいと、こういうことなようでありますから、6掛ける7、420円。そうしますと、箱代を入れても450円にはならない。そうしますと、KSDは250円を上乗せして買っている。250円掛ける60万個でありますから、1億二、三千万円の上乗せ部分がここにはあるのだと、こういうことになるのだと思っております。
 そこで続けて伺いますが、この削り昆布を販売しておりますT食品株式会社でありますが、ここの決算書は11年度は2、800万円……。

〇中屋敷十委員長 伊藤勢至委員、質問中ですけれども、県警本部に対する質問でございますので趣旨を簡潔明瞭に、何を聞きたいか、経過は経過であるでしょうけれども、簡潔明瞭にお願いします。

〇伊藤勢至委員(続) 起承転結というのがありまして、結ばかり言ってもわからないので今言っていますので、ちょっとお待ちください。
 いいですか。T食品株式会社でありますが、11年度には2、800万円の売り上げなんでありますが、12年度は1億円の売り上げにふえております。ここは反映しているんだと思う。その中で、T漁協が有限会社Hから依頼を受けて、一式のセットのほとんどの部分を販売したと、こういうことでありますが、そのT漁協さんの10年度、11年度、12年度、この3年の決算額を見ますと、年商額を見ますと、10年度が42億4、900万円、11年度が41億8、100万円、12年度が40億8、500万円、売り上げはふえていないのであります。そういう中で、H食品の社長さんが言いましたところ、平成12年の4月、5月と10万個ずつ納入をさせてもらった。6月に20万個、平成13年度の1月に20万個を納めて完納したと、こういうことでありますが、お金の流れは、平成11年10月、2億円のお金がKSDから入ってきたので、自分のところが即日T漁協に送ったと、こういうのであります。さらに、平成12年の3月に残金の3億4、000万円が入って、これは若干の経費を取ってT漁協に送りましたと、こういうことなんでありまして、5億円ぐらいの本当は年商が上がっていなければならない。しかし、上がっていないのであります。したがって、これは今まさに予算の委員会でありますから、こういうものが架空の取引であったか、あるいは本当の取引であって反映をされていないとなれば、消費税、事業税、法人税、所得税、こういう部分に反映をされて岩手県に入ってこなければならない部分だと考えるわけであります。しかし、これが欠落をしているとなれば、これはまさに税法違反に当たるのではないか、このように思うわけでありますが、これについての御見解をちょうだいしたい。

〇水上信宏委員 委員長の見解をお聞きしたいと思います。
 今は警察本部の13年度の予算を審議していると、自分自身そう思っていますが、委員長は今の質問に県警が答えるような質問かどうか。

〇中屋敷十委員長 予算委員会で税法違反ではないかという質問でございますので、その点については認めますけれども、再三注意しているとおり、質疑経過が長く、簡潔明瞭に、途中で何を聞きたいのかわからない部分もあったものですから、簡潔明瞭にお願いいたしますと。御了解願います。

〇境谷刑事部長 御指摘のことにつきましても、いわゆるKSD事件に関係するものでございまして、先ほど答弁申し上げましたが、他の捜査機関が現実に捜査をしているところでもございますので、答弁を差し控えさせていただきたいと、このように思います。

〇伊藤勢至委員 手短にあと1点だけ伺います。
 仮に、先ほども言いましたけれども、これを800円で買い上げてもらった。これは市販では大体400円のようでありますし、大体これが300円。しかも原価という部分がありますので、約400円ぐらいで宮古関係の水産業の方々に、これをセットで箱まで入れて何ぼぐらいで上がりますかと聞きますと、恐らく大体400円もあればできるのではないかと、こういうことをおっしゃるわけであります。そうしますと、400円上乗せをした掛ける60万個で、2億4、000万円のお金が、これ、どっかに消えていることになりはしないかと、こう思うわけであります。しかも、今、韓国産、中国産のワカメが日本にどんどん入ってきている状況でありまして、特にこの三陸沿岸の漁民は中国、韓国産のワカメで完膚なきまでに今たたきつぶされようとしておりまして、大変な事態であります。そういう中で、この中には三陸ワカメと名乗っておりますけれども、あるいは業界の中には、ひょっとして中国産が交じっているのではないか。もし、そうだとすると、さらに安く300円ぐらいのセットでできるのではないかと、こういう方も実はいるわけでありまして、そうなりますと、岩手県の水産業をこれは圧縮をしてしまうというほかに、大変に不透明な部分があるのだと思うのであります。
 当局の答えは、別なる捜査機関が捜査をしているのでとおっしゃいますけれども、県警本部長が冒頭お話をされましたように、岩手県民の期待にこたえる警察でありたい、こうおっしゃったわけでありますが、こういう要望が高いといたしましたならば、そういう大きな巨悪を眠らせてはいけないと、そういう県民の期待が高いということにおいては、ぜひとも、今後、厳正なる審査なり調査なりをやっていただくようにお願いをいたしまして、感想があれば県警本部長の声を伺いたいと思います。

〇出原警察本部長 警察は活動を行うに当たりましては、常に法と証拠に基づいて厳正に対応しているところであります。したがいまして、県警としてやるべきことがあればきちっと対応していきたいという方針でおりますし、今後ともそのような方針で臨んでいきたいと思っておりますので、御理解いただきたいと思います。

〇伊沢昌弘委員 2点についてお伺いをしたいと思います。
 まず、運転代行業についてお伺いをしたいと思います。
 県内における自動車運転代行業、多くの方々も、私も含めて毎晩のように利用していると、こういうことで、正しい使い方とそうでない使い方があるかと思うんですけれども、これも含めてお伺いしていきたいと思っております。
 この問題については、数年来、県警本部に対しましてハイタク関係者を中心といたしまして、不適正な営業の取り締まりを含めて何とか指導をお願いできないだろうかと、私も同席をさせていただきながらお願いをしてきた経緯がございました。過日、宮古市の関係する業者が検挙されるという事案も発生したことが報じられていたわけであります。警察のこういった声におこたえをしながら不正を許さないと、こういうことでの一つのあらわれであろうかと思って敬意を表するわけであります。また、現在、警察庁におきまして、自動車運転代行業に対しての認定性を含めた利用者保護を目的とした法律の試案がまとめられて国会に上程をされようとしている、こういう状況があるとも伺っております。また、今議会の中で、各派共同ということになるわけでありますけれども、同様に国で早くこういった問題に対しての法案整備をするように、意見書も用意をしているところでありますけれども、県内の実態を含めてお伺いしてまいりたいと思います。
 最初に、県内運転代行業者の営業状況をどのように把握しておられるのでしょうか。営業台数とか業者数、それからどのようなこれまで取り締まりをしてきたのか、そういった部分についてお知らせをいただきたいと思います。
 それから、警察庁がこれを検討している運転代行業の概要について、もしつかんでいるとすれば内容をお示しいただきたいことと、仮に法案が成立した場合、業界に対する指導、取り締まり、規制がどのように変わっていくのか、それから利用する立場の私たちがどのように保護されるようになるのか、お示しをいただきたいと思います。

〇沼崎交通部長 まず、運転代行業につきましては、これまで特別な法律等の規制はなかったわけでございまして、しかしながら問題点もいろいろあったものですから、私ども警察とすれば陸運支局との連携を図りながら、情報交換等をしながら各種対策をとってきたところでございます。
 ただいま御質問の運転代行業の県内の数等々につきましては、今ここには資料を持ち合わせておりませんので、後日、委員の方にはお伝えしたいと思います。
 それから、現在、国会で審議中の運転代行業の業務の適正化に関する法律並びに道路交通法の一部改正の問題でございますけれども、報道されているところによりますと、運転代行業の業に当たる運転者は、二種免許が義務づけられる、あるいは保険制度の加入が強制化されるといいますか、そういうことについてはある程度内容を把握しておりますが、いずれ、今回初めて代行の問題に関しまして法規制がなされるわけでございますので、これが現実、法施行になれば、安全上大変好ましい状況になると考えておるところでございます。
 それから、現在この利用形態でございますけれども、一般的には運転代行業の車に客を乗せて運送することについては違反となりますが、単に運転代行業の本質は、飲酒した場合に車を搬送することでございますので、客がたまたまその車に乗って搬送されることについては違反でないという見解でございます。
 それから、実態についてお知らせいたします。
 平成12年12月末現在で県内の運転代行業者の数でございますが、私どもが把握しているのは128業者、車両台数が516台、従業員数が1、290人ということになっております。

〇伊沢昌弘委員 確認をしたいんですが、代行運転の車に客が乗れないというのが原則で、たまたま乗ることは違反ではないということですが、A-B間輸送、A-C間輸送という問題をよく言うんですけれども、宮古の事例は、どういう形で指導といいますか取り締まりの対象になったのか。もう既にこの事案ができているわけですので、差し支えなければお知らせをいただきたいと思います。

〇沼崎交通部長 一般的にはA-B間輸送と業界では言っておりますが、すなわち、お酒を飲んだ場所から車をとめておくところまで、それをAとBと仮定しましてA-B間輸送と言っておりますが、この間に客を乗せて、代行車の車に客を乗せて運ぶことは、これは業としてやろうがやるまいが違法となります。ただ、駐車場から例えば自宅に戻るため客の車に客が乗って運行されるという部分については、その部分は違法ではない、こういうことでございます。
 なお、宮古の事例でございますけれども、これにつきましてはA-B間輸送、A-C間輸送とも、違法行為の形態であったために摘発したものでございます。

〇伊沢昌弘委員 今、実はタクシー業界も含めて大変不況の波の中で、多くの方々から私も意見を言われてきた部分があります。今、このモヨモヨという声が上がったんですけれども、多分、利用している側も実はこのA-B間輸送についての認識がないのではないかなと思うわけです。そういった意味で、100点満点であれば、どっかで所用して疲れたとか飲んだとかといった場合には、自分の車のところに行って代行者を呼んで乗るとか、逆にそこの場所に代行を呼んでかぎを渡して車を持ってきていただいて、自分の車もしくはその代行の車に乗って同行して家に帰ると、こういう形でなければならないという部分、今の段階でもこれは徹底をしていかなければならない課題だと思いますので、法律ができてからではなくて、あると思いますので、そういった部分の御指導もぜひお願い申し上げたいと思います。
 次、2番目でもう一点お伺いしたいんですが、これは先ほど来交通事故の問題だとか青少年のいろんな非行問題を含めて絡むような気もするわけですけれども、バイクとか自動車の改造といいますか、マフラーを取りかえて大きな音を立てて走っている車が多く見受けられるわけであります。私も以前、市内の警察の方にお邪魔をいたしまして地域で大変困っている方の、何とかならんかということで相談をしながら、多分、陰の方でいろいろ御指導をいただいた経緯があるわけでありますが、マフラーをかえて暖機運転等々をすれば大変重低音といいますか、大変低い音でドンドンと住宅街に響くと。それから、道路を走っていく際にも大きな音を立ててバリバリッといいますか、そういう音を立てていくというのが見受けられるわけであります。違法なのかどうか、これもよくわからない点があるわけですけれども、こういうものに対する指導、取り締まりはどういう形になっているのかということでお伺いをしたいわけであります。騒音の規制について、これ車種によってたしかいろんな束ねがあるといいますか、規制の違いがあると思うんですけれども、そういったところをかいつまんで、どういう基準になっているのかお知らせをいただきたいし、この間、いろんな取り締まりの中で改造されて騒音の大きいものとか、それから車として改造した場合は車両そのものが不良になるという部分もあろうと思うんですけれども、指導なり検挙をしたなり取り締まりをしたと、そういう事例があればお示しをいただきたいと思うわけであります。

〇沼崎交通部長 御指摘のとおり、特に暴走族等がマフラー等を改造して大変高い騒音で走り回るということは、大変沿道の市民の皆様に御迷惑をかける行為でございますので、この点につきましては私どももある程度実態は把握しております。そこで、これまでとってきた対応でございますけれども、一つはマフラーの不備による騒音、それからもう一つは急発進とか空吹かしによる騒音、これらを中心にこれまで取り締まりをやってきたところでございます。
 ちなみに、昨年中の違反の検挙でございますが、マフラーの不備による騒音では31件、整備不良で検挙しておりますし、それから急発進それから空吹かし等では23件、合計54件検挙しております。ただし、この自動車騒音の取り締まりに関しましては、御指摘のとおり規制する数値につきましては車種別に決まっておりますし、また、製造年月日によってもまた異なってまいります。それからもう一つは、市民の方から苦情等の通報を受けましてパトカーが現地に行きますが、その時点ではもう既に逃走されているという部分もありまして、取り締まりには種々困難な部分も伴っております。しかし、いずれにしても、御指摘のとおり大変迷惑性の高い違反でございますので、今後ともこの種違反につきましては厳正に対処してまいりたいと、このように思っております。

〇伊沢昌弘委員 頑張っていらっしゃると思うんですが、別に暴走族を撲滅して取り締まるというのはまた別な視点でいろんな意味での少年の指導体制といいますか、そういうことが必要だと思いますけれども、そういうものが車につけられるといいますか、つけているということは、言ってみれば大きな音が出るものを売っていると。それから整備を含めて工場等でつけているのか、自分でつけているのかよくわからないわけですけれども、物が世の中にあるということ自体がやっぱり大きな問題ではないのかなと、こう思うわけであります。警察の所管ではないかと思うんですけれども、ぜひそういった部分も含めて、何らかの法的措置が講じられるような形をとる必要があるのではないかと思っています。
 また改めてこの取りつけたマフラーが環境に対する影響はどうなのかなと。車の規制の中ではCO2を含めてNOxを含めて、いろんな意味での規制値があるわけですけれども、そういったものの視点からもこの取り締まりが必要ではないかと思っているところでありますので、そういったことで、もし御所見があればお伺いをしたいと思います。

〇沼崎交通部長 御指摘の問題につきましては、あらゆる商品につきまして言えるかと思いますけれども、販売側は、必ずしもこれをつけて走れという趣旨では売っていないと、こうなるものですから、なかなかこの点についてはいろいろ難しい問題があろうかと思います。ただ、私どもは現実にそういうものをつけて走行している車両については、特に例えば騒音とかあるいはライトの部分とか、構造に関する部分につきましては、陸運支局等とも連携を強化しながら厳正に対処してまいりたいと、このように思います。

〇伊沢昌弘委員 所管といいますか、いろんな仕事の範疇も含めてあると思うんですけれども、ぜひお願いをしたいと思っています。警察行政についていろんなお話が出てまいりました。県警本部も頑張っていらっしゃると思うんですが、多くの場合、犯罪者をつくるのではなくて犯罪に加担をしてしまったという人を救うというのも、実は警察の大きな任務ではないかと思うわけであります。テレビを見ていますと、刑事物というのはいっぱいありまして、私も好きで見ているんですが、涙を誘うような、そういう状況物がいっぱいあります。そういうのを見ていて、なぜ犯罪がなくならないのかということで時々思う部分があるわけであります。そういった意味で、犯罪者をつくって罰するのが目的ではなくて、社会に更生をさせるといいますか、そういう意味での取り組みがやっぱり岩手県警でも、もちろんやってこられたと思うんですけれども、必要だと思うわけであります。とりわけ、先ほどお話しにありました少年少女のいろんな非行問題を含めて、抹殺をするのではなく一日も早く更生をさせる、そういう意味での指導といいますか逮捕の時点から取り調べそして送致をする、最終的には更生をさせる、そういうことが私は求められているような気がするわけであります。そういった意味での取り組みをぜひお願い申し上げたいと思うわけであります。本部長、御所見があれば賜って終わりたいと思います。

〇出原警察本部長 ただいまの件につきましては、委員言われるとおりでございます。警察としましても、単に犯罪があった場合に被疑者を逮捕し、送検するということだけが警察の本来の仕事ではないと自覚しております。不幸にして犯罪を起こした少年等につきましても、自己の精神的なケアとかまたいろいろ就職の問題等につきましても、警察のできる範囲で支援をしていきたいと。そういうことからも、先ほども御説明の中で申し上げました被害者対策とか相談窓口等を一元化しました県民課を設置して、より具体的な指導等に当たっていきたいと考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。

〇阿部静子委員 今の私の会派の伊沢昌弘委員の話を伺っていて、ああ、すとんと落ちたなという感じはいたしますが、あえて質問をさせていただきます。
 昨年の11月24日に施行されましたストーカー規制法でございますが、桶川でございましたでしょうか、いわゆるストーカーによって殺人事件にまで発展をしてしまった不幸な事件を境にして、このストーカー規制法が制定をされたように記憶をいたしております。その際に、あの女性は、家庭の人も、何度か警察にその旨を訴えたにもかかわらず、動いてはくれなかったという情報でございますが、この施行されたストーカー法、施行後、岩手におきましては先ほど本部長の方から数字においては発表がございましたが、その中身、そしてそれによって県警はどう動いていくのかということをお伺いいたします。

〇小野参事官兼生活安全企画課長 ストーカー規制法施行後の運用状況等についてお答えをいたします。
 昨年1年間で警察に寄せられましたつきまとい行為、嫌がらせ電話などのいわゆるストーカー関連の相談件数は515件となっておりまして、昨年の2倍近い相談を受理しており、県民の皆さんの関心の高さが伺われるところでございます。
 ストーカー規制法は昨年11月24日に施行されておりますが、これまでにストーカー規制法に基づいて違反行為者に対して7件の警告を実施しております。
 被害の概要について申し上げますと、元夫が復縁を迫って待ち伏せを繰り返す行為でありますとか、また、携帯電話のiモードで知り合った女性に対してしつこく交際を要求するといったものでありまして、いずれも相談者の申し出によりまして事実を確認の上、警察署長名で直接警告をしております。また、同法に基づきまして被害防止の援助措置というのがありますけれども、これにつきましては、つきまとい行為や暴力などからの保護措置あるいは当事者間の話し合う場所として警察施設を利用させるなど、3件の援助を実施しております。警告を実施した後は、現在のところ7件とも事案がおさまっている状況でありまして、禁止命令や告訴を伴う摘発までには至っておりません。
 次に、相談に対する警察の対応でありますが、この種事案は女性の相談者が多いということから、各警察署に女性警察官を中心にした女性・子供セーフティアドバイザーを指定し、相談に当たらせておりますし、毎月第3水曜日を女性・子供のための相談日と指定するなど、女性が気軽に相談しやすいような環境にも配慮しておりますし、また、新しい年度におきましては、各警察署に相談員を増強し、また、本部ではストーカー対策の専従職員を現在の2名から6名の体制にするなど、相談対応及び事件対応については充実強化を図ってまいる所存であります。
 県民を不安に陥れ、生活の平穏を害するこのようなストーカー行為について、警察といたしましては、今後とも、引き続き被害者の立場に立った適正な法律の運用と、初期段階における迅速かつ適切な対応に努めてまいりたいと考えております。

〇阿部静子委員 県警の皆さんが大変御努力をなさっていること、本当に敬意を表するところでございますが、岩手においてはいわゆる禁止命令であるとか検挙であるとかはなかったと。警告によってそれはまず直ったといいますか、いわゆるストーカー、つきまといというのは顔見知り等が多いような場合もございましょうが、このごろ知りもしない、いわゆる姿が見えないような形でのストーカー行為というのも出ているのではなかと、こう思われますが、そういう実態はないのでしょうか。

〇小野参事官兼生活安全企画課長 御指摘のとおり、行為者のわからないストーカー行為というのも現実にございまして、これは被害者の保護をあわせまして被害者の割り出しということ、そしてストーカー規制法の適用ということで努力してございます。

〇阿部静子委員 相談件数が、昨年、法規制の前より2倍にふえている。これは法ができたから今まで泣き寝入りしていた部分が救われている、相談ができるというような前向きの効果であろうと思います。それで、こういうパンフもあるわけでありますが、何かの場合には被害者がいわゆる自己防衛のための策というのが出てくるわけです。加害をする方への対策というのはないものでしょうか。

〇小野参事官兼生活安全企画課長 このストーカー行為に対しての被害者側の防御の方法ということでございますけれども、現在、警察の方では、例えば嫌がらせ電話等につきましてはナンバー・ディスプレイの電話があるわけですが、これを各署に配置しまして、被害者の方からの要望に応じて貸し出すとか、それから交番等にブザーなんかも配置してございまして、相談があった場合にはこれを貸し出すというようなこと、それから必要に応じてはまた警戒、被害者の周辺の警戒等、事案事案に応じて被害にかからない、未然防止のための最善の策を講じているということでございます。

〇斉藤信委員 私、簡潔にやります。公安委員会と警察の情報公開について、県警本部長にお聞きをしたいと思います。
 今議会に情報公開条例の改正として県警も情報公開の対象にするという議案が提案をされています。それで私お聞きしたいんですが、第1は、県警の第一次判断権についてであります。
 諸外国の情報公開法を見ますと、警察の第一次判断権、裁量権というものが規定されているところが少ないと私思いますけれども、なぜこの日本ではこの規定が必要なのか。
 情報公開法の制定過程でも、当初の要綱案ではこれは入っておりませんでしたが、中間報告からこれが挿入をされました。これに対して日本共産党、民主党、平和改革──これ今の公明党に当たると思いますけれども──自由党、社民党が共同修正案を提出して削除を求めた経過があります。最終的には、4年後に見直す付記事項がつけ加わったと思います。この経過をどう受けとめているのか。県条例では、この見直しの付記はないのか。行政警察分野は、県警の裁量権を認めないとしていますけれども、具体的にこれはどう区分けされているのでしょうか。行政警察分野とは具体的にどういうものでしょうか。

〇出原警察本部長 まず、第一次判断権の必要性ということでございますが、委員御案内のとおり、国の行政情報公開部会でまとめた情報公開法要綱案の考え方というものがございます。この中にも、司法審査の場においては、裁判所は外交、防衛、情報とか公共安全情報に規定する情報に該当するかどうかについての行政機関の長の第一次的な判断を尊重し、その判断が合理性を持つ判断として許容される限度内のものであるかを審理、判断することが適当であるということが明記されております。これが、この要綱案の規定は、いわゆる行政機関の第一次判断権を尊重する規定であるということを認識しております。
 これは基本的な考えですが、具体的に若干御説明させていただきますと、例えば、実施機関の第一次判断を尊重する規定がない場合としますと、御案内のとおり、裁判は原則公開となっております。この公開の訴訟の場で、支障を及ぼすおそれを具体的に私どもとしましては立証する必要があるということで、具体的な立証をすることにより、相手方に捜査の内容等が察知され、逆に具体的な立証を避ければ立証不十分として敗訴するということで、非開示情報が取り消されることになるわけです。その結果どうなるかといいますと、事実上、警察の情報が公になることにより警察業務に支障が生じ、県民の安全で安心な生活を脅かす事態となるおそれのある情報が明らかになってしまうという可能性があるということから、行政機関の長としての第一次判断権が必要であると考えているわけです。
 なお、一見、開示しても何ら捜査上支障が生じないと思われるような情報でも、中には重要な意味を持つ情報があることから、治安に影響を与え得るさまざなま事柄に関する情報を日ごろから収集、分析している捜査機関でなければ、専門的、技術的判断をすることが困難であると理解しております。
 ちなみに、国や先行しております27都府県の条例におきましても、公共安全情報の開示、非開示の取り扱いについて、司法審査の場合において、実施機関の第一次的な判断を尊重するという規定になっているということを承知しております。
 次に、議員御指摘の共同修正案に関してでございますが、情報公開法の国会審議の過程におきまして、法案に対する修正要求があり、この中には国の安全等に関する情報や公共安全に関する情報も含まれていたということは承知しておりますが、国会での慎重な審議の上、衆議院では全会一致、参議院でも賛成多数で可決され成立したということを承知しております。
 また、4年後の見直しの附帯決議に関してでございますが、情報公開法の将来の見直しについては、公共安全情報の規定を特に見直し対象としているものではなく、法の全体が対象となるものと理解しております。
 なお、これに関しましては、県警といたしましては条例の趣旨にのっとり、適正に運用することにより県民の皆様の理解を深めるとともに、条例の定着化が図られるものと理解しているところでありますので、御理解いただきたいと思います。
 次に、いわゆる行政警察分野についての規定等についてでございますが、委員御案内のとおり、警察の行政文書についての規定は、改正条例案では第7条第2項のとおりであります。申し上げるまでもなく、公共の安全や秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあるものなど、いわゆる非開示情報を除きまして原則公開とするということになっております。これが情報公開の言うまでもなく基本的な考えでございます。したがいまして、このことをもちまして、行政警察分野について裁量権を認めないとか認められなかったというような表現は、私としては若干適切ではないと考えております。
 要するに、何を申し上げたいかといいますと、本来、情報公開というのは、当然、原則公開すべきものだと。しかし、その中には、警察の場合ですと警察の業務の特殊性というようなものから、公共の安全とか秩序の維持のために例外として非開示情報があると。したがいまして、行政警察分野について、それが第一次判断権が認められなかったからと言ってそれは制約されたものではなくて、当然の考えだと御理解いただきたいと思います。
 なお、行政警察分野にどういうものが該当するかということを申し上げますと、風俗営業の許認可とか交通の規制、運転免許の発給とか災害警備等に関する情報がこれに当たると理解しております。これらは公共安全情報に該当しませんが、当該情報が個人情報等情報公開条例上の他の非開示情報に該当する場合以外は、当然、原則として開示することになると理解しております。
 なお、参考までに申し上げますと、先ほど委員の方から、諸外国ではこういう第一次判断権の規定を設けているのは少ないというような御指摘がありましたが、私どもの理解といいますか承知している範囲では、先進国を含めまして私どもの立場からしますと、多くの国が同趣旨の規定を設けていると理解しているところでございます。

〇中屋敷十委員長 斉藤委員に申し上げます。
 情報公開条例については付託議案ではありませんので、当委員会での審査は当初予算に関連する部分についてのみ、簡潔明瞭にお願いします。

〇斉藤信委員 これは予算にかかわるでしょう。来年度から実施されるんだから、とんでもないよ、今の委員長の話は。条例の賛否について言っているのではなくて……。

〇中屋敷十委員長 ですから、予算に関連する分のみと話しておりますので、その分について簡潔にお願いします。

〇斉藤信委員(続) かかわるでしょう。情報公開業務そのものが丸々。私ね、今の委員長の言うの、納得できないね。そんなに、私はあと少しで終わろうと思っているんだよ。

〇中屋敷十委員長 簡潔明瞭にお願いいたします。

〇斉藤信委員(続) 腰を折るような、それはあなた、言い過ぎるんだよ、委員長。
 それで、第一次判断権について、裁量権についてですけれども、私はこれが恣意的に拡大されることがあってはならないと。当然、捜査情報、個人情報というのはこれは秘匿、非開示とされるべきものです。
 それと、私、各論についてちょっとお聞きしたい。不服審査についてであります。例えば非開示となった場合に、不服申し立てをする。警察情報についても、情報公開審査会に諮問をされると思いますが、この非開示そして非開示情報そのものは審査会に提示をされるのか。いわゆるインカメラという問題ですね。同時に、審査会から求められた情報は提示されるのか。これはボーン・インデックスと言われるものですけれども、このことについて明確にお答えいただきたい。
 ついでに最後ですけれども、宮城県の県警の情報公開、これは裁判になりました、これは当時の条例で。その結果、何が明らかになったかといいますと、平成7年の5月から7月、この時期の調査をしたわけですが、警察庁幹部職員と、県警本部幹部との懇談が毎月やられていたということが実は裁判を通じて明らかになったんですね。私はこういういわゆる警察版の官官接待、こういうものは情報公開の対象になると思うけれども、どうなのか。
 また、岩手県警の場合も、平成6年、7年当時、やはりこうした警察庁幹部との懇談、会食というのがあったと思うけれども、そういうことも含めて、いつまでやられていたか示していただきたい。

〇出原警察本部長 まず、不服審査に関連してですが、若干、委員の御質問の趣旨がちょっと私どもに理解できないところがあるので、私ども条文に従って御説明させていただきたいと思います。
 いわゆる開示請求を受けた行政文書に対する処分につきまして、行政不服審査法の規定に基づき、不服申し立てを受けた場合は、当然、原則として情報公開審査会に諮問を行うことになります。これは御案内のとおり、現行条例での第18条第1項に規定されております。その際、審査会には調査権限がありますので、いわゆるインカメラ審理による行政文書そのものの調査が行われる場合については、私どもの方でも、当然、その必要文書は出すということになっております。また、行政文書の内容について、いろいろ複雑なものにつきましては、いわゆるボーン・インデックス方式による資料の作成とか提示を求められた場合につきましても、これに応じていくということは当然であると考えております。これはちなみに28条第1項、第2項及び同条第3項に規定された内容でございます。
 それから、最後にいわゆる食糧費の関係についてのお尋ねでございますが、食糧費関係の会計文書につきましても、開示請求を受けた場合につきましては、他の行政文書と同様に、当該情報が個人情報等の条例上の非開示条項に該当する場合は、その部分を除いて開示することになりますが、いずれにしましても、開示、非開示の判断は最終的には個々の事案に応じ、個別に判断するものと考えております。
 また、お尋ねのいわゆる官官接待についてでございますが、私ども官官接待という言葉の意味がどのようなことを指すのか判然としませんので明確にお答えすることはできませんが、私の立場で申し上げられるのは、少なくとも県民の皆さんから批判を受けるような不適切なものは現在はもちろん、過去においてもなかったものと承知しております。

〇斉藤信委員 最後のところ、残念ながら、新潟県警ではああいう事件がありました。そして宮城県警の場合も、私、今リアルに紹介しましたけれども、これはオンブズマンの方々が情報公開請求をして非開示になって、裁判の中を通じて懇談会の資料が出たと。そうしたら平成7年の3カ月間は、毎月警察庁幹部職員と県警本部長などの県警幹部との会食をやられていたと初めて明らかになった、裁判を通じて。当時、平成6年、7年というのは、岩手県も全庁的にあったんですね。これは大問題になって今是正されました。だから私は、岩手県警もそういうことがあったのではないかということをひとつ指摘したい。
 もう一つは、そういう懇談は、当然、情報公開の対象になるべきものだと思うが、どうなのか。そこに私は情報公開で第一次判断権、恣意的な判断の試金石があると思うので、そのことについて改めてお聞きしたい。

〇出原警察本部長 今委員お尋ねのとおり、例えば会合等に関して食糧費が出されたとかということであれば、当然それに関連する文書は原則公開の対象になるということでございます。ただし、先ほども申し上げましたとおり、その中に個人情報等がある場合は、それを除いて公開することになるという趣旨でございますので、御理解いただきたいと思います。

〇中屋敷十委員長 ほかに質疑ありませんか。

〇菅原温士委員 委員長から指摘されますから、9款警察費2項警察活動費1目一般警察活動費に関連して御質問をいたします。
 今、全国的に警察官の不祥事というのが発生しておるわけですね。警察関係者は頭が痛いと、そういう感じをしているのではないかと、そんな感じをいたしまして御同情を申し上げる次第でございます。岩手県の警察はそういうような問題点は実はないわけでありまして、非常に安堵をいたしておるわけであります。
 そこで本部長にお伺いいたしますが、いわゆる警察官の養成、それに関連いたしまして御質問をいたしたいと思うわけでございます。
 皆さん新聞でごらんになったと思いますが、3月3日の岩手日報の紙上に、親身の激励ありがとう、ヒッチハイク中に保護、藤村巡査部長(一戸交番)にお礼状という大きな写真入りの見出しの記事が実はあったわけなんですね。私はこれを見まして、非常に感動したと、そういうことであります。
 この内容は詳しく申し上げなくてもいいと思いますが、いわゆるヒッチハイクで傷心旅行をしていた高校生、しかも夜中の11時ころ、中山峠のセンターライン付近でヒッチハイクしていた高校生を保護したと、こういうことなんですね。この少年は、失恋のショックから、津軽海峡を目指して高崎市を出発し、ヒッチハイクで新潟県から日本海沿いに青森県を回り、3日目で同町にたどり着いたと、こういう記事なんです。
 この藤村巡査部長はパトカーに高校生を乗せて、どういう事情だということを聞いたわけなんですね。そして子供に対して何と申しますか、そういうのはだめだよというようなことを言い聞かせて帰したと、こういうことなんですね。この生徒も、私は勝手でしたと。家族に対しての反省やお巡りさんたちに対する感謝の気持ちでいっぱいですと、そういうことを書いて、両親からも手紙が来たと。この巡査部長は、この青年は行動力のある子供だったのできっといい大人になると、こういう記事ですね。
 これは私、これを見まして、やっぱり岩手の警察は立派だなと。

〇中屋敷十委員長 菅原温士委員、質疑は簡潔明瞭にお願いします。

〇菅原温士委員(続) これだけで終わりますから。
 そこで、これは特に藤村巡査部長が立派だということは、岩手県の警察は立派だと、こういうことなんですが、今後、住民との触れ合い、心の温かい警察官を養成するということ、これが重要ではないかと、そんな感じで、今、実は発言をいたしたわけでございます。この新聞に載ったことによりまして、県民は、やっぱり岩手の警察は信頼できるなと、そういう印象を与えたと、非常に私は効果が大きいと思うんですね。
 そこで、今後、こういう心と心のつながりを大切にする優しい警察官の養成は積極的に進めていくべきだと、そんな感じでこの対応について質問すると、こういうことであります。

〇出原警察本部長 ただいまは、菅原委員からお褒めとも受けとめられる言葉をいただきまして、非常に感激しているわけですが、私、組織の責任者として、自分の部下を褒められて、余り喜んでもいけないかもしれませんが、素直に喜んでいるわけでございますが、ただ、私、僣越ですが着任以来、皆さん方にもお話ししたとおり、やはり県民の立場に立った警察活動というのが当然のことながら何よりも必要であると。ということは、常に県民が警察に何を求めているかと、警察が今何をすべきかということを常に全警察官が頭に置いて活動しなければいけないということを言っているわけですが、この事例の場合も、本人の立場はもちろん、家族の方の立場を考えながらそういう適切な措置をとったということで、私どもも、そういう普段からの指導が少しずつでも徹底してきているのではないかということで評価しているわけでございますが、今後とも委員御指摘のとおり、さらにそういう活動を推進していくために、私ども幹部はもちろんですが、第一線の職員に対する指導も徹底していきたいと思いますので、御理解、御支援、よろしくお願いしたいと思います。

〇中屋敷十委員長 質疑がないようでありますので、これで警察本部関係の質疑を終わります。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時12分 散 会


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