平成13年9月定例会 第11回岩手県議会定例会会議録

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〇12番(阿部静子君) 社会民主党の阿部静子でございます。
 質問に先立ちまして、過日、アメリカにおいて発生いたしました大規模な同時多発テロ事件におきまして亡くなられた多くの方々、傷つかれた方々に心からの哀悼の意を表明し、心からお見舞い申し上げます。
 私の前に佐藤力男議員が大変元気な質問をなさいまして、私、名前は静子でございますが、元気いっぱい質問をしたい、こう思ってございます。年はとり年、順序もトリでございます。
 それでは、通告順に従い質問をいたしますので、誠意ある前向きの御答弁をよろしくお願いいたします。
 最初に、介護保険制度の運営について質問いたします。
 急速な高齢化の進展により、本県は、2010年には県民の4人に1人が高齢者という超高齢社会を迎えると予想されております。このような中、その対応策として介護保険制度がスタートし、間もなく1年半になろうとしております。在宅のサービス利用量の飛躍的な増加、新規のサービス利用者の拡大、在宅サービス事業者の増加のほか、サービスを利用している方の9割近くがサービスの内容に満足しているという調査結果が報告されるなど、制度としてはおおむね順調に運営され、介護保険は21世紀高齢社会にはなくてはならない制度として多くの国民に受け入れられつつあると思います。
 しかし、一方では、痴呆性高齢者に対する要介護認定の問題や低所得者の保険料問題、介護保険施設、特にも、特別養護老人ホームへの入所希望者が増加し、待機者が急増していると言われております。また、要介護認定を受けながらサービスを受けていない方が2割にも上ること等が指摘されております。
 県においては、さきに介護保険の平成12年度実績や運営状況調査の結果を公表されたところでありますが、地域によってサービスの種類や量にばらつきがあり、介護給付費も計画対比の82.4%にとどまっているものと聞いております。
 そこでお伺いいたします。県においては、スタート以来の介護保険制度の運営をどう評価されておられますか。また、サービスの充実に向けて、今後どう対応していこうとお考えなのか御所見をお知らせください。
 次に、ドメスティック・バイオレンス、いわゆるDV防止法施行への取り組みについて質問いたします。
 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律が本年4月6日に議員立法で成立いたしました。来年4月1日が本施行でございますが、この法律の前文には、配偶者からの暴力は犯罪であり、暴力の防止、被害者の保護を図ることは人権の擁護と男女の平等などに必要であることを明記してございます。
 その内容は、一時保護所として専用居室を備えている都道府県の婦人相談所や女性センターを配偶者暴力相談支援センターとして活用しながら、カウンセリングや自立のための情報提供を行うこと、また、警察の通報を受けた場合、暴力の制止や保護、被害を防止するための措置に努めること等を定めております。そして、地方裁判所から保護命令が出されれば、加害者が被害者の身辺につきまとったり住居や勤務先を徘回することが禁止され、その命令に違反すれば1年以下の懲役または100万円以下の罰金を科することとされております。イギリス、アメリカや韓国など各国でDV防止法がつくられる中、ようやく日本も法整備が始まったことを意味いたします。特に、家庭内で暴力を振るっても、夫婦の問題は家の外に出してはならないし、他人の口出しは許さないなどという考えに縛られていた時代から思えば、まさに隔世の感がございます。夫婦間暴力の実態はなかなか把握しにくいものと思われますが、ちなみに、本県における婦人相談所と支部に配置している婦人相談員に寄せられる相談件数を見ますと、平成12年度では電話による相談が150件、来所しての相談が58件あったと聞き及んでおります。いずれ、DVへの問題意識を県民一人一人が高めなければ、法律ができても機能しないことになってしまいます。
 そこでお伺いいたします。DV防止法を実効ある法律にするため、特に、専門家による相談機能の充実、関係機関との連携はどのように考えておられるのかお聞きいたしとうございます。
 また、シェルターの設置については、県の施設を充実して対応するという方向であれば財政面の裏づけも含めてお考えをお聞きいたしたいし、民間の施設も含めてということであればそのお考えもお聞きしたいので、これらをあわせ、ぜひとも知事の決意をお示しいただきとうございます。
 次に、子育て支援について角度を変えて質問いたします。
 10年前、全国で1、101件だった児童相談所への児童虐待相談件数は平成12年度は1万8、004件であり、10年前の約17倍で、しかも年々過去最多を更新していますが、その実態は約3万件に上るのではないかとも言われております。国の調査によりますと、虐待を加えた人の内訳は、実母が61%、実父が23%となっております。かつて私の少女時代、映画の題材は、いわゆる継子をいじめる継母というパターンでしたが、今や生みの母が実の子を虐待する傾向が強いと言われております。虐待の内訳では、体が約50%、保護の怠慢や拒否が36%余となっており、保護の怠慢と拒否の割合が前年と比較して7ポイント増加しております。また、虐待を受けた児童の年齢別内訳を見ますと、0歳から3歳未満児で約20%、3歳児から就学前で約30%、小学生が約35%、中学生が11%となっており、まさにかわいい盛りの乳幼児期から虐待を受けているということになります。
 虐待を加える背景にはさまざまな要因があろうと思います。虐待をする親の中には、自分が子供のときに両親のDVの現場を見たり、自分自身が虐待を受けるなど不安定な親子関係を体験している場合があるとも言われております。北九州市の児童相談所が行った全国66保育所の調査によりますと、いわゆるキレる傾向にある子供は対象となった保育児全数の3%にも及んでおり、その子供たちの約70%が虐待を受けていると推測されることから、虐待がキレる子供をつくり出す要因になっている可能性が高いと分析しております。愛されること、かわいがられること、歓迎されること、喜ばれる存在であるはずの子供たちの命です。「なして、母さん、なして、父さん……」、子供たちの悲痛な叫び声が聞こえるようです。
 一方、加害者である母親の場合、特に核家族、マンション住まいというような環境の中にあっては、子育てへの不安、生活への不満、話を聞いてくれる友人もいない、こういった寂しさゆえの孤独感や焦燥感のはけ口をついつい子供に向けずにはいられない。このような母親の悲しさ、切なさ、そして母親自身を襲う自己嫌悪感と罪悪感。これでは、母親は子供を生んだ喜びもなく、育児の楽しさもなく、子供は生まれてきたかいもなく、不幸せいっぱいです。何としても子育てに悩む親を、みんなで、社会全体で支援することが必要です。
 そこでお伺いいたします。いわて子どもプランでは、子育て環境日本一を目指し、本県が誇る結のきずなに着眼され、結の心・子育て支援コミュニティの形成を進めるとしておりますが、このコミュニティの形成に向けて、具体的にどんな取り組みをなさるのかお示しいただきたいと思います。
 次に、男女共同参画について質問いたします。
 顧みますと、55年前、日本の女性が初めて1票を投じ、自分の思いをあらわした日が4月10日であり、女性週間の初日として位置づけられました。この日を起点として女性の地位向上運動が取り組まれ、現在は男女共同参画社会基本法が制定された6月23日から始まる1週間が男女共同参画週間として位置づけられるようになりました。
 基本法の制定と機を合わせるように、全国的に政治の場、政策決定の場への女性の進出が活発になりました。大阪府、熊本県に続いて千葉県に女性知事が、また、お隣の青森県では女性副知事が誕生しております。市町村においても、兵庫県芦屋市、埼玉県蓮田市、東京都国立市で女性市長が、また、京都府野田川町、広島県湯来町、大阪府豊能町、秋田県大潟村などで女性の首長が生まれました。そして、地方議会における女性議員もふえてきております。本県の場合、横田チエさん以来28年ぶりに及川幸子さんとともに私、阿部静子も県議会に議席をいただいたところでございます。これで、女性県議空白県は山形、広島の2県になりました。
   〔副議長退席、議長着席〕
 本年3月31日現在、本県における女性議員は、県議が2人で3.9%、市議が19人で5.4%、町村議は24人で2.8%です。このように、県内の県議、市町村議をあわせて女性議員は合計45人でようやく3.5%になりましたが、全国的には東京都の19.6%が最高で、本県はワースト9位であります。女性議員1人の進出がその議会にどのような変化を与えているのか、県政、市政、町村政における評価や課題はいろいろあろうかとは思いますが、知事は、県内に女性議員がいない自治体が4市27町村あるという現状や県内の議会における女性議員のあり方についてどのような御意見を持たれ、県政にどう生かそうとお考えでしょうか、率直な思いをお聞かせいただきとうございます。
 さらに、女性の県幹部への登用や審議会等への委員起用など、いわて男女共同参画プランに掲げた指標の達成状況や、県及び自治体の個性的な取り組み、さらに、県における財政面での措置を含めた推進策について前向きの御見解をお願いいたします。
 次に、森林の保全、林業の振興について質問いたします。
 林業基本法が37年ぶりに改正され、森林・林業基本法が新たに成立いたしました。森林については、国土保全や水源涵養、自然環境の保全、地球温暖化の防止、林産物の供給などの多面的な機能が持続的かつ有効に発揮されることが国民の生活、経済の安定に欠くことができないものであると位置づけてございます。林業については、担い手確保と生産性の向上促進など望ましい林業構造の確立により、持続的で健康な発展が求められております。そのためには、国民の需要に即した林産物の供給や森林、林業への国民の理解を深めながら、林産物の利用促進が図られなければならないと定めてあります。
 そこでお伺いいたします。本県は、年間約3兆円もの公益的な機能を発揮する森林という大きな財産を持っております。森林が持っている公益的機能を保全し、一層発揮させるための施策や取り組みの状況及び林業の振興に係る取り組みについてお知らせください。
 また、木質バイオマス資源利用を促進している市町村等への県としての支援について、どのように取り組んでおられるのかお示しいただきとうございます。
 次に、県道盛岡滝沢線と東北本線馬頭観音踏切の立体交差化について質問いたします。
 盛岡市の青山地区や滝沢村役場周辺は、滝沢ニュータウン室小路団地等盛岡のベッドタウンとして宅地開発が進んでおり、多くの人々が盛岡市街地に通勤、通学しておりますが、朝夕の時間帯には恒常的に物すごい交通渋滞が発生しております。特に青山地区の森永乳業付近は、県道盛岡滝沢線が変則の交差点となっている上、上堂方面に抜ける市道とJR東北本線が交差する通称馬頭観音踏切が平面交差で、しかも青山小学校や厨川中学校の学区内通学路であるのに歩道もないことから、著しい交通渋滞はもとより、児童生徒の交通安全上からも大きな問題となっております。
 昨年2月、盛岡市は、交通渋滞の緩和や公共交通機関の利用促進を目指したオムニバスタウン推進地域として国の指定を受け、現在、この計画に基づいて松園地区でゾーンバスの運行が試行的に行われておりますが、今後は青山地区での試行実施が計画されているようですし、来年の12月、新幹線盛岡-八戸間の開通に合わせて開業が予定されております並行在来線いわて銀河鉄道の新駅設置の構想でも青山地区が候補地の一つに挙げられているようです。そして、盛岡市においては、当該踏切の隣接地に新駅設置の意向があるやに聞いております。このような施策を円滑に推進するためには、この馬頭観音踏切の立体交差化がぜひとも必要であり、ことし6月に実施された盛岡市から県への統一要望に当たりましても、最重点課題として知事に要望しているところでございます。
 そこでお伺いいたします。この馬頭観音踏切付近の整備について、県はどのように取り組んでおられるのかお聞かせください。
 次に、教育の諸問題について質問いたします。
 本日の最新の報道によりますと、7月に引き続き8月の完全失業率も5%となり、厳しい雇用状況が続いています。県内の有効求人倍率も全国ワースト3位の0.41倍で、なおかつアイワ岩手等の撤退による解雇も進められている中で、高校生に対する求人は就職希望者の半数にも満たない状況になっていると伝えられております。希望に胸膨らませ、社会人として、職業人として活躍しようと張り切っている若者たちの意欲を無残にそいでしまっていいものでございましょうか。
 そこでお伺いいたします。県内の高校での具体的な求人状況と、高校生の雇用確保や適切な進路指導に向けて、県教育委員会または各県立高校ではどのような取り組みをしていらっしゃるのかお示しいただきとうございます。
 次に、少人数指導等行き届いた教育実現の方策について質問いたします。
 8月28日付M中央新聞の1面のある見出しに私は目を奪われました。「山形県、公立全小・中学校で30人学級」、「知事表明、全国で初」という見出しがあったからです。その記事の内容は、おおよそ次のようでございます。山形県は今年度予算に約2億円を計上し、県内の小学校で非常勤講師85人を新たに採用して、111校において国語、算数などの基本教科で学級を組がえ、30人学級を実施している。ことし4月の公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の改正で従来の40人学級にとらわれない学級編制が可能になったことから、秋田県や新潟県など数県で30人程度の少人数学級を小学校低学年で導入していることを記しております。また、見出しの部分の内容としては、山形県知事が8月27日の記者会見で、県内の公立小・中学校の全学年で1学級の児童生徒数を30人程度にするという方針を明らかにしたと述べております。今後、二、三年中に正規職員の採用枠を拡大して対応する考えであり、県教育委員会は、必要な教員数や予算の試算に着手するというものです。特に、知事のコメントとして、雇用が深刻なこういう時期にこそ30人学級の実現を考えていい。来年度の予算編成の重点施策として県教委に研究してもらいたい。そして、子供たちに力をつけてもらうには、義務教育の全学年での30人学級実施が正しい。臨時でなく正規の教員を置いた方がいいと述べたと報じ、全国初の知事の決断を大きく大きく紹介しております。
 岩手県においては、本年度、小学校1年生で1クラスに30数人の児童がいる40校を対象に、学校生活への適応や小集団の学習などをサポートする非常勤講師を1学期の間配置しております。入学直後の学校生活を円滑にスタートさせるのがねらいのこの事業は、全国でも先進的な取り組みと報じられました。この配置は、4月から7月下旬まで、週5日、1日4時間の勤務です。新入学児の授業準備や基本的生活習慣の定着を支援したり、基礎学力向上のために少人数グループ学習事業を行うなどきめ細かい指導を行い、講師の活用は学校に任せるという方針です。
 私は、本県での措置は、30人以下の学級の実現に向け段階的な措置として評価しておりますが、配置校での反応を聞きたくて、9月の初旬、盛岡市議と盛岡市内の講師が配置されました10校を訪ねました。10人の学校長が口をそろえて言われたことは、大変助かりました、子供たちも喜んでいます、できれば、せめて1年間にしていただきたいということでした。生活面では学級がえはしなかったようですが、10校中4校が国語、算数などの教科で集団を分けて指導しているということですし、講師10人中、男性は20代の方が1人で、ほかは女性でした。年代は20代から50代の方でした。どの方も子供たちを愛し、好かれ、すばらしかったと各学校長は評価されておりました。サポートの内容はさまざまですが、注意欠陥多動症、落ち着きがなく教室を走り回ったりする子、母子分離不安症、母親にしがみついて離れられない子がいる場合は、そのような子につきっきりのような状態であったと伺いました。そうなのです。子供たちの心を、体を抱き締めてくれる大人が学校に必要なのです。
 そこでお伺いいたします。県教委は、小学校1年生に対する少人数指導のための措置をどのように分析され、来年度はどんな取り組みをなさろうとしておられるのですか、お知らせください。何事も首長の決断が決め手でございます。知事には勇断を持って30人以下学級の実現に取り組まれるよう私は強く強く要望いたします。
 最後に、学校トイレの環境整備について質問いたします。
 ちょうどあす29日、14時から県民会館中ホールにおきまして学校トイレフォーラムinいわてという催しが開かれますので御紹介させていただきますが、県内の小・中学校には、臭い、暗い、恐い、汚い、4Kと言われるトイレがまだまだ存在いたしております。トイレは文化でございます。トイレの汚いところにはだれも行きたくございません。そのトイレは文化であるという発想で、県内小・中学校の新築、改築、修繕に当たっては、トイレに行くのが楽しくなるようなトイレの整備を自治体に広く呼びかけるほか、市町村への特別な財政的支援等の方途を講ずることはできないものでしょうか。
 御所見をお伺いいたしまして私のこの場からの一般質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 阿部静子議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、DV防止法──ドメスティック・バイオレンス防止法の施行への取り組みについてでございますけれども、専門家による相談機能の充実につきましては、国の来年度予算の概算要求におきまして、婦人相談所への心理療法担当職員の配置、それから職員に対する専門研修の実施など、この婦人相談所における相談体制の強化を図ることとしてございます。また、関係機関との連携については、婦人相談所と福祉事務所など関係機関との連絡会議を開催して、連携の強化を図る暴力被害者保護支援ネットワーク事業を実施することとしてございます。本県も、これら国の施策と相まって、本年の1月に県福祉総合相談センターや警察などを構成機関として設置いたしました女性に対する暴力対策関係機関連絡会議、この会議の場を積極的に活用するなど、関係機関との連携を図りながら、県としての責務を果たしてまいりたいと考えております。
 次に、配偶者からの暴力を受けた被害者を避難させ一時保護する、いわゆるシェルターの設置についてでございますが、このDV防止法におきましては、被害者の一時保護は婦人相談所がみずから行い、または厚生労働大臣が定める基準を満たす者に委託して行うものとされております。本県では、DV防止法が成立する以前から被害者の一時保護を、母子室を含め5室、定員10人を有する県福祉総合相談センターで対応してございまして、平成12年度の利用人員は同伴児を含め延べ384人、1日当たりの平均入所者数約1.1人、最大入所者数6人となっております。このようなことから、被害者の一時保護につきましては、現時点では、婦人相談所としての機能を持つこの県福祉総合相談センターで対応をするということとして、必要に応じて婦人保護施設などの既存施設の利用を図っていきたいと考えております。
 なお、お尋ねの、財政的には、この一時保護事業が国庫負担金の対象となっておりますので、この国庫負担金の導入により対応してまいりたいと考えております。
 次に、子育て支援についてですが、結の心・子育て支援コミュニティの形成は、県でつくりましたいわて子どもプランに基づいて、地域で生じた問題はできるだけ地域で解決できるよう、出産前から思春期などにわたる少子化対策に関する総合的な支援体制づくりを市町村ごとに進める取り組みでございます。このため、それぞれのライフステージに応じて、主として、妊娠・出産期は母子保健ユニット、乳児・幼児期は子育て支援ユニット、それから子育て相談ユニット、小学生・中学生は健全育成ユニット、それから中学生・高校生は思春期ユニットと、これを五つのユニットに分けて、各年代の子供と、そしてその家庭にふさわしいサービスが提供できる体制づくりを進めることとしております。このコミュニティの形成を推進するために、ことしの6月には地方振興局単位に地域説明会を開催して、また、この12月には、市町村における先駆的な取り組みや座談会をテレビで放映することを計画しておりまして、県民の皆さんに対してこのコミュニティの一層の周知を図ることとしております。
 また、市町村における子育て支援の総合的なサービス・コーディネートを担う総合相談窓口担当者の研修を、今ちょうど実施をしているところでございます。さらに、市町村の目標値を盛り込んだ県のプランを踏まえて、市町村において、より地域の特性に即した取り組みがなされるよう、今、詳細な計画の策定を市町村の方へ促しておりまして、これらの取り組みなどを通じて、子育てを地域で支える体制が構築されるように、市町村に対して積極的に支援を行っていきたいと考えております。
 次に、県内に女性議員がいない市町村があると、こういう現状についてなんですが、これはやはり私は残念だというふうに思います。女性議員の数は、確かに議員を選ぶ住民の方々の考えや、そして議員となる意欲を持つ女性がいるかどうかなど、さまざまな条件のもとでの住民の総合的な判断の結果というふうには思うわけですけれども、それにしてもやはり、先ほど議員がお話しになったような数値を見ますと、もっと多くいらっしゃっていいのではないかと、このように思うわけであります。なぜかといえば、女性議員は、男性、女性がお互いに能力を発揮してともに責任を担うという、この男女共同参画社会の観点からは、今以上に政策決定過程へ参画し、男性議員とともに、お互いに補い合いながら、十分その能力を発揮していただき、ともに社会への責任を担っていく姿が望ましいものであり、何よりもこの女性議員の活躍というのは、女性の皆さん方にとっての大きな励みになるものと、このように考えているからでございます。また、今後ますます女性が議員として政策決定過程に参画していくことは、多くの女性の声を直接政策に反映させることを意味するものでございまして、この結果、県としても、そのような多様なニーズに応じた施策を展開していけるものと、このように考えております。
 私は、常にこの県議会の場におきます阿部静子議員、そして及川幸子議員の言動に注目をしているわけでございまして、こうした道を切り開いてこられた両議員に敬意を表するわけでございますし、また、その後に続く女性議員の新鮮かつ斬新な発想や、さらなる活躍に大いに期待をしたいというのが私の率直な思いでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので、御了承をお願いします。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕

〇保健福祉部長(関山昌人君) 介護保険制度の運営についてでありますが、この制度は、高齢化の進行とともに国民だれもが直面する介護の問題を、社会全体で支える新たな仕組みとして創設されたものでありますが、市町村を初め関係者の御尽力により、大きな混乱もなく、また、介護サービスについて居宅サービスの質と量の利用満足度でも約9割の方々に評価を得るなど、制度としてはおおむね順調に実施されていると認識しております。しかしながら、痴呆性高齢者の要介護認定、低所得者の利用料や保険料の負担、介護老人福祉施設の入所希望者の増加などさまざまな課題もあることも認識しております。このため、介護保険制度が県民生活に定着できるよう、県民や市町村等の声を聞き、また、実施状況の定期的な評価などによって、改善すべき点については国に対して制度施行当初から改善を求め、その解決に当たってきたほか、市町村等に対しても可能な限りの支援を行ってきたところであり、引き続き適切に対応してまいります。
 次に、サービスの充実に向けた今後の対応についてでありますが、これまでもいわていきいきプラン2005に基づき、介護基盤の整備に努めてきたところであり、利用者にとってふさわしい介護サービスが適切に受けられるよう、サービス提供体制のより一層の基盤強化を図るため、岩手県介護サービス事業者連絡会の設置によって、各圏域における事業者間の効率的なネットワーク化を進めているところであります。さらに、サービスの質の向上を図るため、苦情解決制度の定着や、介護従事者の研修の充実等を図るとともに、来月には、身体拘束廃止への取り組みを推進するための岩手県身体拘束ゼロ作戦推進会議や、介護支援専門員に対する一層の支援方策を協議する場として、岩手県介護支援専門員支援会議を設置、開催することとしております。
 また、未利用者や入所希望者の解消については、市町村に対して、今までも必要な助言、指導を行ってきたところであり、今後においても、市町村介護保険事業計画の見直し等を通じて、介護サービスのより一層の充実を図ってまいりたいと考えております。
   〔環境生活部長時澤忠君登壇〕

〇環境生活部長(時澤忠君) いわて男女共同参画プランに掲げた指標の達成状況についてでありますが、審議会等におけます女性委員の比率を初め、目標値に向かって順調に推移しております項目が29項目でございまして、全体の63%となっております。県などにおける個性的な取り組みにつきましては、まず県において国の男女共同参画週間に先駆けまして、独自に6月をいわて男女共同参画推進月間と定めまして、公募による実行委員会の方法によります、いわゆる県民参加型のフェスティバルを開催するなど、意識啓発事業を重点的に実施しております。また、全国でも先駆的な男女共同参画サポーター養成事業を実施しておりますが、サポーター認定者はサポーターの会を組織し、市町村男女共同参画計画の策定支援などの活動を開始するとともに、県や市町村の審議会等の委員に登用されるなどしておりまして、今後とも本県の男女共同参画推進の担い手としての役割が期待されております。
 また、市町村における特色ある取り組みといたしましては、盛岡市や花巻市、釜石市におきまして、民間が主体となった男女共同参画に向けた学習会の企画、運営などの活動が活発に行われております。
 県における推進策についてでありますが、県の男女共同参画関連事業は平成13年度当初予算ベースで137事業、284億6、000万円余、前年同期比5.7%の増加となっております。プラン策定後2年目となります本年度におきましては、人材育成事業等の内容を見直ししながら、より効率的に実施しておりまして、今後とも各部局と連携をとりながら施策の総合的な展開に努めてまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長佐藤勝君登壇〕

〇農林水産部長(佐藤勝君) 森林の保全と林業の振興についてでありますが、本県の豊かな森林は、林産物の供給はもとより、水資源の涵養や自然災害の防止など、県民が安全で快適な生活を営む上で大変重要な役割を果たしております。このような森林の持つ多面的な機能を将来にわたり維持、増進させていくためには、適切な森林の整備とともに、林業、木材産業の活性化を図り、森林資源の循環的利用を推進していくことが必要であると考えております。このため、県といたしましては、公益的機能が高度に発揮される健全で多様な森林を整備するため、本年度から実施している公益保全森林整備総合対策事業や、緊急間伐5カ年計画に基づく間伐の積極的推進に加えまして、北上高地の荒廃した森林を復旧するための北上高地グリーナリープロジェクトや身近な里山の整備のための美しい里山づくりプロジェクトを促進するとともに、一方では、県産材の幅広い利活用に向けて、住宅、公共施設などへの県産材利用の促進や乾燥材の安定供給体制の整備、さらには、気仙地域に見られるような素材の生産から製品の加工・流通まで、上流、下流一体となった総合的な木材供給体制の整備を図るなど、さまざまな施策の推進に鋭意取り組んでいるところであります。
 また、木質バイオマス資源利用を推進している市町村等への支援についてでございますが、今般、住田町など木質バイオマス利用を目指している関係市町村との連絡会議を立ち上げ、情報交換や具体的な取り組みの協議を行っているところであります。本年度は、住田町における木質エネルギー検討調査や沢内村におけるチップボイラーの導入に対して助成を行うとともに、二戸地方振興局におきまして、杉を原材料としたペレットの製品化の可能性の検討を進めているところでありすます。
 さらに、このことにつきましては、現在、学識経験者等で組織する木質バイオマス資源活用検討委員会において検討中でありまして、その検討結果を踏まえ、本年末、これを目標に具体的な木質バイオマス活用計画を策定することにいたしております。今後、これに基づきまして関係部局と連携をして総合的な支援策を検討してまいりたいと、こう考えております。今後におきましても、森林の多面的機能の持続的発揮が図られるよう、適切な森林整備や木材の需要拡大に向けて、広く県民の理解を得ながら、各般の施策を積極的に、そして総合的に推進してまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長竹内重徳君登壇〕

〇県土整備部長(竹内重徳君) 馬頭観音踏切の立体交差化についてでありますが、この路線は昭和49年に都市計画道路上堂鵜飼線として都市計画決定を行い、これまで月が丘方面など順次整備を行ってきたところでございます。馬頭観音踏切は、県道と市道が交差する青山地区の幹線道路の主要な交差箇所に近接しておりまして、御指摘のように交通量が多く、朝夕には交通渋滞が生じております。この踏切部分は、市の管理する道路として地下式の立体交差、いわゆるアンダーパスで計画されておりますが、建築物が立ち並んでおりますことから、側道の設置など沿道土地利用との整合性が必要でありますし、また、立体交差の構造につきましても、高齢者や障害者に優しい構造の確保、あるいは降雨時の排水の方策、新幹線の地下構造との調整など技術面の課題も多くございまして、現在の都市計画決定の大幅な見直しが必要となっております。また、並行在来線の新駅構想の一つに青山地区も挙げられておりますことから、新駅が設置された場合の人や車の流れなど、さまざまな影響について新たな検討の必要が生じております。
 本路線が盛岡都市圏の主要な交通ネットワークを構成する路線でありますことから、県といたしましては、馬頭観音踏切の交通渋滞の解消や歩行者の安全の確保は大きな課題であると認識しておりますので、今後とも市内の街路網整備の進行状況も勘案しながら、盛岡市と連携いたしまして、この踏切の立体交差化の実現に向けて、さらに検討を進めてまいりたいと考えております。
   〔教育長合田武君登壇〕

〇教育長(合田武君) まず、高校生の求人状況と雇用の確保に向けた取り組みについてでありますが、岩手労働局のまとめによりますと、本年8月末現在の本県高等学校卒業予定者のうち、県内求職者数は4、010人、求人数は1、705人、求人倍率は0.43倍と大変厳しい状況にあります。このため、県教育委員会といたしましては、本県高等学校卒業予定者の雇用確保に向け、本年7月、岩手労働局とともに、岩手県経営者協会等の経済団体を訪問するなど、高校卒業予定者の採用枠の拡大や採用計画の早期確定を要請したところであります。
 また、各学校におきましても、積極的に企業を訪問するなど、雇用の確保に努めるとともに、企業のニーズに応じた適切な人材の育成を図るため、情報処理技術者検定や電気工事士等の各種試験資格取得に向けた取り組みを促進するなど、生徒の専門的能力の向上に努めております。さらに、望ましい職業意識の育成を図るため、3、000名以上の生徒がインターンシップに参加し、就業体験を行うとともに、200名近い企業の方々を学校に招き事業等を実施するなどの取り組みを行っているところであります。県教育委員会といたしましては、今後とも、岩手労働局や庁内関係部局との連携をより一層密にし、高校生の適切な就職活動の支援に向け、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、少人数指導等行き届いた教育実現の方策についてでありますが、今年度、小学校1年生に対し、基本的生活習慣の定着と基礎学力の向上をねらいとして、40校を対象に非常勤講師を1学期配置したところであります。配置した各学校からのアンケート結果を分析いたしますと、非常勤講師が基本的生活習慣にかかわる個別指導や教科指導における担任の支援及び学級集団を分割した指導などに活用されたことから、児童が落ちついて授業を受けることができるようになり、学習意欲が向上するなど、学校生活の円滑な適応に結びついているととらえているところであります。また、指導する教員にとっては、複数の目による多面的な指導と評価ができ、児童一人一人の学習状況を詳しく把握できることから、配慮の必要な児童の早期発見と早期対応に効果を上げております。しかし、今後の課題として、集団生活への適応に向けてさらに継続的な指導を必要とする児童に対応したり、多様な学習集団を組織し基礎学力の向上を図ることなどが必要であると考えております。
 なお、教科指導が本格的に始まる2学期以降にも継続して配置することや、午前中だけであった勤務時間を、さらに午後まで延長した方がより効果的であるとの意見も寄せられております。したがって、来年度の非常勤講師の配置については、今年度の成果と課題を十分に精査しながら、効果ある少人数指導の推進を図ってまいりたいと考えております。
 次に、学校トイレの環境整備についてでありますが、学校は、児童生徒にとって学習の場であるとともに、生活の場でもあることから、学校施設もこれにふさわしい環境を整備する必要があると考えております。このような観点から、県教育委員会としても、これまで市町村教育委員会教育長会議等で機会あるごとに、清潔で使いやすいトイレの環境整備を図るよう指導してまいったところであります。このことから、県内の市町村立小・中学校のトイレの水洗化率は、平成13年5月現在で81.2%となっているところであります。また、この水洗化率をさらに向上させるために、今年度、市町村において小・中学校のトイレ整備計画を策定し、計画的に推進を図ることとしているところであります。今後ともこの計画を着実に実行し、快適なトイレ環境の整備を促進するために、文部科学省の校舎改築事業及び大規模改造事業、特にも、平成13年度に創設されたトイレ単独の改造工事に係る補助制度の活用を図るとともに、総務省及び環境省においてもトイレの水洗化の補助制度や起債制度が措置されていることから、庁内関係部と連携を図りながら、これらさまざまな制度を有効に活用し、積極的にその整備に努めるよう指導してまいりたいと考えております。

〇12番(阿部静子君) 大変中身のある御答弁をいただきまして、特に知事には過分なお言葉をいただきまして、ありがとうございます。
 それで、再質問はDV防止法にかかわって再質問をいたします。
 一般質問におきましては、基本的な点について質問をし、御答弁をいただいたところでございますが、まだまだこの問題には課題が多くございます。例えば、DVに関する実態を正確に把握するために県民の意識調査や実態把握をきっちりと行う必要があり、その際、行政のみではなく民間を含めて事実がはっきり浮かび上がるような調査を行うことが必要であると思います。被害女性の相談に当たっては、相談員の不用意な言動で被害女性が不快に感じ二次被害をこうむるということがないよう、女性心理などの専門研修とフェミニズムに立った相談員の意識啓発が重要でございます。新しい着眼といたしまして、加害者である男性に対する心のケアも忘れないようにしなければなりませんし、親だけではなく子供も含めたケアも必要な場合がございます。配偶者暴力相談支援センターについては、相談、保護、自立支援までが一貫して行える総合的な機能を備える必要がございます。このような諸課題があり、その多くが各部局や警察等、あるいは民間や県民一般との連携協力が不可欠と思われますので、県において条例制定ということも視野に入れていくべきであろうと考えますがいかがでしょうか。
 最後に、10月13日の法律一部施行の前、10月10日に、民間での動きではございますが、被害に遭っても声を上げられず身動きもできないでいる女性を対象にして、あなたは悪くない、あなたはひとりではない、安心して電話をくださいねというキャンペーンのもとで、意識啓発を目指しながら全国一斉電話相談が計画されているようでございますが、県としてはこのような民間の動きを御承知でいらっしゃいましょうか。それをどのように評価なさっていらっしゃいますか。支援等を講ずるお考えがあればよろしくお願いをしとうございます。
 以上でございます。
   〔環境生活部長時澤忠君登壇〕

〇環境生活部長(時澤忠君) まず、DVに関する条例制定も視野に入れていくべきということについてでございますが、男女共同参画の推進に係る条例の提案を来年度に予定をしておりまして、今後その内容の検討を行うこととしております。その検討に当たっての課題というふうにさせて検討させていただきたいと思います。
 次に、10月10日の全国一斉一日DV電話相談についてでありますが、その実施については承知しているところでございます。この電話相談はDV防止法の施行に対応した民間団体の啓発活動として意義あるものというふうに考えております。県としましては、今後ともこのような民間団体の活動と連携、協力を図るとともに、地方団体は民間団体に対し必要な援助を行うよう努めるとDV防止法にあります。その趣旨に従いまして、民間団体からの要請がある場合には必要な援助について検討してまいりたいと考えております。

〇議長(谷藤裕明君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
   
日程第2 認定第1号平成12年度岩手県立病院等事業会計決算から日程第31 議案第28号訴えの提起に関し議決を求めることについてまで

〇議長(谷藤裕明君) この際、日程第2、認定第1号から日程第31、議案第28号までを一括議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。


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