平成13年9月定例会 第11回岩手県議会定例会会議録

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〇11番(佐藤力男君) 自由党の佐藤力男でございます。
 今定例会に当たり、先輩、同僚議員各位の御高配を賜り、一般質問の機会を与えていただきましたことに感謝申し上げます。
 新世紀、21世紀の幕があけた我が国は、いまだ混迷の中にあり、経済も暮らしも不透明で、国民の不安は高まる一方であります。県内でも、基幹産業であるはずの農林水産業は、減反の強化、野菜価格の低迷、輸入の影響を大きく受けている林業、水産業の不振など、厳しさは増すばかりで、実りの秋を迎えても素直に喜べない状況であります。また、IT関連産業などの業績不振による事業所の撤退や従業員の削減による雇用環境の悪化など、何一つ明るい材料がなく、深刻な問題が山積しております。地方政治にかかわる一人として、政治が順調とは言いがたい今こそ、これまでの常識を意識せず、県民の立場に立って議論する必要があると強く感じながら、以下、順次質問いたします。
 最初に、小泉内閣の政策に関しお伺いいたします。
 陸上自衛隊の駐屯地を有する本県では、このたびの米国同時テロに関し、米国の軍事行動に対する自衛隊の後方支援活動に大きな関心を寄せていると思いますが、政府の示す対米支援措置に対する知事御自身の御所見をお伺いいたします。
 次に、県版構造改革について知事のお考えをお示し願います。
 小泉内閣は、現在の経済成長の源泉は創造的破壊にあるとして、痛みを伴う聖域なき構造改革を行うとしております。示されたプログラムの実行によりましては、県政の推進方向に少なからぬ影響を与えることが予想されます。
 こうした状況をもたらしたのは、先進国入りを目指してきた国の経済政策や国の政策に呼応して進めた地方の公共投資、経済活動優先の国民生活の中で、税負担のみで公共サービスの充実を求め、注ぎ続けてきた結果の国や地方行政の肥大化によるものと考えます。国の財政は、単年度予算の5倍の借金、県財政も単年度予算を上回る借金となり、これを考えますとき、65%余りを依存財源に頼る本県が、ここまで見通しの立たなくなった国の借金財政のもとでは、財政健全化目標で示された歳出規模の2%相当額の健全化努力程度ではまことに不安の限りであります。
 そこで私は、民間ができることは民間でとする政府同様、この際、自分たちができることは自分たちで、すなわち地方自治の原点に戻って、広く県民の意見を求め、早急に大胆かつ効率的な岩手県版構造改革を検討され、この不透明な時代に岩手県として何をなすべきか、何ができるか、これを明らかにすべき時期と考えますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、ただいまも質問がありましたが、私からも少子化対策についてお伺いいたします。
 近年、我が国の合計特殊出生率は急速に低下を続け、人口減少社会の到来はまさに現実のものとなってきました。こうした傾向が続きますと、労働力人口の減少、ひいては経済活動の停滞を招き、生活水準の維持が難しくなること、さらには高齢の単身者や子供のいない世帯が増加し、社会の基礎的単位である家族の形態が消滅し、家系の断絶を招くなど重大な局面に発展するものと考えられます。国、県ともにさまざまな施策を展開しておりますが、雇用や就業環境の整備、子育て支援などが柱であります。将来の国、県の望ましい社会の姿を考えますとき、事の重大性を認識し、しっかりした取り組みを続け、適切に対応していくことは今を生きる我々世代の責務であります。
 私は、少子化対策の原点は、未婚率を減少させることが大きな対策であり、これを解決せずに人口増加が望めるはずはないものと考えます。本県の男女の未婚率を国勢調査資料により対象を20歳から39歳として私なりに調べましたところ、県全体では対象人口の50%となり、男女比率では男性55%、女性が46%でありました。極めて深刻な事態ととらえるべきではないでしょうか。ある報道によりますと、未婚者の90%はいずれ結婚を望んでいると言われ、結婚したくてもなかなかそこまでいけない社会の側面は大いに問題があります。
 そこで2点お伺いいたします。第1は、長男、長女である方々への結婚支援策についてであります。跡取りなどという立場ゆえに結婚にこぎつけられない方々も多いと思っておりますが、長男長女同士が理解を得て結婚できれば、例えば農家の場合ですと規模の拡大や農地の集約化、商店では合理化や合併ととらえることができます。こういう視点に立った何らかの結婚支援策があると思いますが、御所見をお伺いいたします。
 第2には、出会い対策であります。結婚への最初のプロセスは、まず出会いでありましょう。現代は多くの人たちが職業についておりますが、限られた時間、エリアの日常生活の中では、なかなかそのチャンスはないと言われております。以前、出会いを創出したのは仲人さんであり市町村役場でありましたが、今、そのような機会はごくまれになっております。
 そこで私は、現代社会の特徴とも言うべき情報システムの利用を図るべきと考えます。つまり、世に言われる出会い系サイトあるいは民間で行われているコンピューターによる結婚紹介システムの県行政版であります。このシステムを構築すれば、県内市町村はもちろん、連携する各県、さらには全国の人たちとの出会いも可能と考えられます。セキュリティー対策初め、さまざまな条件をクリアすることが必要と思われますが、運用次第で極めて有効な手段と考えております。市町村レベルの取り組みでは、今や限界を感じております。少子化対策には県の英知を結集した取り組みを期待するものですが、こうした考え方に対する御所見はいかがでしょうか。
 次に、農政の推進についてであります。
 この問題は今定例会で全般にわたり質疑、答弁が交わされ、理解いたしますが、私なりの視点で県の取り組みについてお伺いいたします。
 これまで基幹産業とされる本県農業を支えてきたのは専業農家であります。我が国農業は、近代化とともに国際化にさらされ、国の政策もコスト対策に重点が置かれ、農地の集約化や規模拡大が進められてまいりました。しかしながら、伝来の農地への執着や米づくりへの思い入れで農業を続けている兼業農家が多いのも実態であります。こうした兼業農家は、農機具購入などの経費を農外収入に頼り、あわせて働き手は高齢化が進み、もとより採算は度外視しており、加えて、例えば今の時期であればカントリーエレベーターの利用も大規模農家が優先されるなど経営環境は悪化しており、辛うじて維持している状態であります。総合食料供給基地を標榜する本県にあっては、集落営農形態を確立し、望ましい農村社会の構築を目指しておりますが、この一方の貴重な担い手である兼業農家にも一定の役割を求めている以上、耕作維持のための、例えば農機具の共有化や安心して受委託できる環境づくりなど何らかの手だてが必要と思われますが、その実態とお考えをお示し願います。
 二つ目は、特色ある本県農業についてであります。
 去る8月22日、江刺市で県内初めて青刈りが実施されました。金札米の産地、米づくりを愛するがゆえの苦汁の選択であります。余った米は海外援助に回してでも米は自由につくらせてくれ、これが今の米づくり農家の率直な声であります。農村社会における専業と兼業のよきバランスのもとで、県内の事情を十分把握している県がこの際強い指導力を発揮し、一層の適地適作目化を図り、県全域での地産地消策とあわせ、特色ある本県農業を進めるべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
   〔議長退席、副議長着席〕
 次に、県民による地域社会づくりについてお伺いいたします。
 長引く不況の中、構造改革を進め、真の景気回復に向けての努力が始まろうとしております。新しい時代をどういう社会システムに構築していくかという点に着目いたしましたとき、行政、公と県民、個の分野のバランスをどのような構成にし、効率的で生きがいのある社会にしていくのか、このシステムづくりは、今、行政に課せられている大きな課題であります。言いかえますと、これから行政、公と県民、個の領域がどのように連携していくのかということであります。
 その手順の中で、重要な役割を持つ一つがNPO、いわゆる営利を目的としない公益的活動を行う市民活動団体であります。1998年12月に特定非営利活動促進法、通称NPO法が施行され、以来、この用語は関係者や報道において頻繁に使われますが、県民レベルの認知まで至っていないと思います。私は、今日のような時代、特にも地方の本県などでは、NPO活動と行政がいかに連携していくのか、あるいは県民がNPO活動に参加し、みずから地域社会をどのようにつくり上げていくのかということが大事であろうと思います。逼迫する国家財政では国へは多くを期待できませんし、また、地方みずから財源の手当てを求めるほかはありません。もはや国を頼るのではなく、地方自治が自立する新しいシステムを県行政の場で早いタイミングで構築することしかないと考えるものであります。
 最近、地域通貨あるいはエコマネーということが話題にされますが、この精神を生かし、私は、むしろタイムダラー、時間預託制度を県内の地域づくりに生かせないものかと考えております。つまり、自分のできる仕事やお世話をその難易度によってポイント制にしながら地域活動に参加すること、これは可能だと思います。現実には地域での共同作業の不参加を金銭で清算する例もありますが、これは経済優先の感覚で、正常な地域コミュニティ活動とは思えません。また、県や市町村が行う事業や物品の購入に当たり、業者の指名や選定の際に社会貢献活動をポイント制にして客観点数に加算して評価する、あるいは行政が補助金や交付金を支払う団体に対してもそうした活動を評価していくことなど、県民活動を評価していくシステムづくりを推進することが必要と考えます。
 県民の地域社会づくりへの参加は、税収が少ない中、乏しい財政の中でも一定の豊かな行政サービスをみずからつくり出すことができるものと考えます。実施には検討課題も多かろうと思いますが、要はいかにして県民が自主的に社会貢献活動に参加しやすい環境づくりを進めていくかであります。本県でも個人レベルでは広く社会貢献活動が行われています。本県が目指す真の夢県土いわての創造のため、社会貢献活動と行政の連携をどのように推進していこうと考えておられるのか知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、市町村合併についてお伺いいたします。
 この問題は、今定例会冒頭の合併決議の討論、さらには一般質問で先輩議員からるる発言があり、その経緯と県の認識は理解しますので、私は、合併特例法の見通しに関しお尋ねいたします。
 法で示された期限、平成17年3月末まで残り3年半と迫りました。もとより、法で規定されている合併は自主的な市町村合併であり、合併の是非は地域住民が決定することでありますが、注目すべきは、国が自主的な市町村合併の推進を閣議決定し、これを国家的課題としている背景であります。これを考えますと、合併の是非はいろいろな意見がありますが、立法以来既に30数年も経過していますので、この自主的な取り組みをいつまで求めるかであります。住民サービスの弱いところには国がその方向を示す、そういう事態が予想されないでしょうか。こうしたこともあって、議論のタイミングとして、多くの市町村長が具体的に賛否の意見を発言され、まさに風雲急を告げる感があります。
 そこでお伺いいたします。国は13年度にも法の一部改正を予定していると聞き及びますが、残りの期間や法の推移にどのような見通しを立てておられるでしょうか。
 また、県は、その見通しの上で、この10月10日に水沢市で開催が予定されている全国リレーシンポジウムにどのようなスタンスで臨まれるのかお伺いいたします。
 次に、雇用対策についてお伺いいたします。
 この問題も既に先輩議員から質問があり、理解いたしております。私からも2点についてお伺いいたします。
 まず、政府は、補正予算で山林整備、警察補助業務、学校の補助教員などで10万人規模の雇用を創出するとしております。全国で345万人と言われる完全失業者のうちで10万人、本県で推定しますと千百数十人と思われます。労働集約型企業に雇用の多くを依存する本県では、撤退等を余儀なくされるのは一部地域に集中するのが実態でございます。国の方針は、本県の雇用対策にどのように反映できると見込まれるでしょうか。私はこの際、言葉は悪いですが、かつての失対事業を検討するに値する深刻さと考えますが、いかがでしょうか。
 第2に、雇用の場の少ない本県では、農業従事者を農閑期の雇用の場として、ある意味で隠れた基幹産業の役割を建設業界が担っていたと認識いたしております。しかし、業界を取り巻く現状は、雇用の場の確保はおろか、業界内で淘汰が進むこともやむを得ない実態であり、せめて仕事を失っていく人たちを、その経験を生かしつつ別の業種で雇用できるよう緩やかにシフトさせる形態を確保していくべきと考えますが、どのように検討され、また、手だてが考えられるのかお伺いいたします。
 次に、新たな観光立県策についてお伺いいたします。
 近年、まちの停滞、少子・高齢化の急速な進展、高度情報化の社会情勢の変化により、これまでの観光振興策の見直しと新たな視点に立った展開を余儀なくされております。観光は、産業として県民生活の向上につながるばかりでなく、地域にとっては人呼んで栄えるとする発展の大きな要素であり、県でもこれまで以上に重点的、積極的な取り組みを行うべきと考えます。花巻空港の拡張に伴う利用増加策の上でも重要な県政課題であります。自然環境や地域の文化、伝統などが見直され、関心を集め、大事にされていく時代を迎えております。四季折々の美しい自然や全国一の宝庫である郷土芸能、そして、1、000年もの歴史を越えて見直されるアテルイや藤原文化が脚光を浴びており、北東北の歴史の原点とも言える本県は、新たな観光立県に向けて今まさに千載一遇のチャンスが訪れているものと認識いたします。
 また、国際観光では、平成11年3月、外客誘致法に基づき、本県を含む北東北3県は、発見!もう一つの日本・北緯40度の道とされ、外客来訪促進の観光ルートを整備する計画を示されました。地方の時代、東北の時代と言われて久しくなりますが、岩手の地がまさに北東北の歴史の入り口であった事実を生かしながら、今こそ地域の伝統文化や恵まれた自然環境をアピールする新たな観光立県に向けた取り組みを行うべきと考えるものであり、ここはぜひ知事にお伺いいたします。
 第1に、だれでも旅行するときには最初に目的地を意識しますので、知名度を上げることが最優先であります。この知名度を上げることにつながる有効なものは、映像産業の利活用と言われております。そこで私は、最近、我が国でもにわかに取り組みが活発化してきたフィルムコミッションへの取り組みを提案いたします。この内容は、県担当部で御認識いただいているものと承知しておりますが、一口で言うならば、映像製作全般をサポートする窓口組織の設置であります。フィルムコミッションは、アメリカ初め世界各国に設置されており、国内でも大阪、北九州初め10カ所以上組織されております。映像産業は今後大きく発展する分野だと確信いたしますし、何よりも、本県は新幹線、高速道路、空港など比較的交通の便に恵まれ、四季を通じてロケーションが可能な美しい自然や情緒豊かな地方都市、伝統文化があり、効率的な撮影が可能と考えられます。同時に、地域の観光資源を国内外にアピールできることにもなり、本県の特徴を大いに生かせるものと考えますが、いかがでしょうか。
 第2に、フィルムコミッションに関連しますが、その方向に大きな特徴を持たせるため、映像製作の支援と伝統文化の伝承という二つの目的をあわせ、観光振興の一層の効果を上げるため、例えば文化・映像館の設置についてであります。映像製作には、映画、テレビ番組、コマーシャル、スチールなどがありますが、ロケで一番重要なことは、俳優やスタッフ、機材などを集中し、短期間の限られた時間内で、移動の時間をなくし、使用する撮影場所に制約がなく効率的に撮影できることであります。そのためには、俳優やエキストラのメーク、仮眠や待機の場所、さらにはリハーサルやスタジオロケが可能な施設があれば理想的であります。こうした施設については、私が一昨年の12月定例会でも取り上げましたが、郷土芸能の保存、発表と観光客の誘致施設として複合的な機能を持たせれば効果的、合理的な運営が可能と考えます。時代が求める新しい方向であるビジュアルイメージ時代に、全国に先駆け、先見性を持った取り組みを行うならばすばらしい観光立県が可能と考えますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、教育の問題についてお尋ねいたします。
 変化の激しい時代の中で、我々の生活全般に直接かかわる大きな問題が多発しております。多くの問題を抱える社会を担っていく青少年を地域を挙げてしっかり教育していくことは、ひとを県政推進の柱に掲げる本県にとって極めて重要であります。
 我が国では、高学歴志向がよい職を得、豊かな生活実現を目指す一手法として広く国民に定着してきました。しかし、最近、教育をめぐる問題が続出しております。
 そこでお伺いいたします。第1に、学校と地域の連携による人材の育成についてであります。県教委はこのほど2004年度からの実施に向けた入学者選抜制度の改善案を示し、この10月にも成案の策定を目指すとされております。この選抜制度の中身の問題もさることながら、率直に申し上げると、今や本県の高校進学率が97.9%にも達していることは、まさに高校教育は義務教育そのものの実態であります。こうした現状のもとで、本県の全国同様の取り組みである選抜制度は必要であるにしても、広い県土の中で、人口密度が小さく、少子化が進行するこの時代には、むしろ中高一貫教育のシステムに見られるような考え方で、本県の実態や特徴に合わせ、学校と地域の連携などに議論を尽くし、そうすることによって個性を伸ばし、地域を担う人材の育成を図るべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 また、関連しますが、教育は地域と連携してとよく言われます。それは基本的に小・中学校までととらえておられるのでしょうか、あわせてお尋ねいたします。
 第2に、教員の採用と資質の問題であります。幸いにも本県では大きな問題がないと認識しておりますが、全国的には問題が多発し、決して対岸の火事ではないと思います。この問題は、変化が激しく、高学歴が一般化してきた今日の社会にあっても、基本的に変わらなかった教員の採用試験制度に根源があるとも言われております。本県では、いろいろな採用に関する基準、枠の中で、求めている人間性豊かで情熱を持った優秀な人材を教員として確保するためさまざまな工夫をされていると思いますが、本県の選抜の特徴をお示し願います。
 また、選抜には、小・中・高ともに男女の比率は考慮されるものなのでしょうか、単に成績順なのかお示し願います。
 二つ目は、教員の資質の向上についてであります。人を育てる立場にあり、教員という職業を得た人には、当然、普通以上に豊かな知識や経験が求められます。いかに優秀な人間であっても、知識の習得だけではこの複雑で変化の激しい社会に順応していくには努力に限界があると思います。まして、大学卒業後、ストレートに教員に採用された人にその多くを望むことは個人にとってはむしろ酷でありますから、問題は、教員の採用のあり方、研修制度にあると考えております。
 そこで、こうした問題点に対処するため、本県でとられている教員の資質向上のための重点的な取り組みは何なのかお尋ねいたします。
 また、希望に燃えて教職についても、みずから適さないと認識するなり、あるいは判断された場合などにはどのような処遇になるのか、その実態をお知らせください。
 第3に、完全学校週5日制にかかわる運動部活動のあり方についてであります。現場では既に移行実践段階に入っていると言われ、さまざまな問題が提起されておりますが、私は、体育関係の行事の持ち方について、昨年12月19日付で岩手県小学校長会、岩手県中学校長会から示された改善案に関連してお伺いいたします。
 この案は、完全学校週5日制に向けての学校のあり方の検討協議会の場で示されたものであり、その協議会のメンバーには県教育委員会からも入っておられますから、その内容は熟知されていることと思います。この中でいろいろな改善案やさまざまな現場の問題点が指摘されておりますが、県としては運動部活動のあり方についてどのような所見をお持ちなのかお伺いいたします。
 以上でありますが、今、国民は、この先行き不透明な変革期にあって、物事をはっきり言う小泉総理や石原東京都知事の改革に大きな期待を寄せております。本県増田知事には、就任以来一貫してそれにもまさる県民の絶大な信頼と期待が寄せられております。今定例会の知事の御答弁は、こうした県民の大きな支持のもとに、目指される夢県土いわての創造に向けて残される2期目後半を情熱を持って乗り切ろうとする意欲を感じるものであります。
 県民が力強く前進できるよう、より積極的な御答弁をお願いいたしまして壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 佐藤力男議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、米国における同時多発テロですけれども、このような非人道的な大量殺りくテロ行為は断じて許すことができないものでありまして、そうした政府としての断固たる決意を示す必要があると、このように思うわけであります。今、議員からお尋ねのありました対米支援措置、これは内容が7項目ございますけれども、この対米支援措置は、政府がそうした意図で示したものと、このように理解するわけであります。出入国管理を国際協調のもとに行っていくですとか、人道的・経済的支援などを行っていくといった当然の措置がその中に多く含まれているわけですけれども、自衛隊の対応ということ、この部分については、私個人としては、湾岸戦争以降この10年間、本来議論すべきものを国が議論を怠ってきた。何も国に責任をなすりつけるつもりはございませんけれども、やはり議論を怠ってきたツケが今やはり出てきているのではないかと。急ぐ議論ではありますけれども、そうした湾岸戦争のときに示した国の見解というものも十分踏まえておく必要があると思いますし、何よりもやはり憲法の枠内であるということがございますので、まだ内容が固まっていないわけでありますけれども、やれること、そしてやれないことの中身を区分けして早く明らかにするということ。やれると言っておきながら、後で実際やれなかったということが一番困るわけでありまして、つらい場合もあるかもしれませんが、やはり早い段階から、憲法の制約からこういうことは我が国はできませんということも言わなければならない、そういうつらい選択もしていかなければならない、このように見ております。
 それから、岩手県版構造改革についてでございますけれども、国では、ことしの6月に策定したいわゆる骨太の方針に基づいて構造改革を今進めているわけでございますが、この構造改革は、国の多くの事柄に取り組んでおりますので、従来の国の取り組みにかんがみますと小泉内閣として画期的なものであるというふうに思っているわけでございますが、これは必ずしも岩手県と言うつもりはございませんが、岩手県や他の自治体では既に多く取り組んできたというふうに思われるものがございます。本県では、平成11年2月に県の行政システム改革大綱を定めて、情報公開条例を制定したり個人情報保護条例を制定と、その後、行ってきたわけでございますが、こうした分野は国がことしから行うということで、むしろ国が後からついてきている分野でございますし、そうした情報公開を受けた政策評価システムの構築や財政運営の道筋を明らかにするための中期財政見通し、あるいは財務状況をそうした際に、よりわかりやすく示すための発生主義会計の導入、それから民間の経営感覚を取り入れた顧客満足度を視点とした行政品質向上といったものは、これは岩手県がもう既によく取り組んできているものでございます。また、平成11年8月には、岩手県の総合計画を示したわけでございますけれども、その中にも事業を厳選して、より多く重点化していくような考え方を取り組んでいるわけでございまして、こうした分野、むしろ国よりも機動的、柔軟に取り組んできた部分が多いと、このように考えてございます。
 今後も、分権型社会の形成と地方自治のあるべき姿の構築ということで、県民の立場に立った行政の一層の転換を進めていきたいと、こう思っておりまして、国では電子政府ということを言っておりますが、電子県庁の構築、これはどちらが早いというよりも、できるだけ県民に使いやすいという立場からやっていかなければなりませんが、こうした電子県庁の構築ですとか、あるいは市町村を重視した行政体制ということが重要でございまして、市町村を重視したそういう地方自治のあり方をいろいろな面で模索をしていきたいというふうに思っておりますので、財源や人をセットにした新たな枠組みによる市町村への権限委譲の模索といったことも問題提起をしていきたいと思っていますし、また一方では、県レベルで圏域を越えた広域行政の推進といったことも問題提起をしていきたい。やはり自立・参画・創造ということは総合計画のキーワードになってございますけれども、その中で県みずから変革できるもの、国を待つのではなくて県の方からもできることはできるだけ早く変えていくということで、県みずから変革し得るものにチャレンジをして、一つ一つ着実にその成果を積み重ねていきたいと、このように考えております。
 それから、NPOの関係ですけれども、この夢県土いわての創造というためには、やはり県民一人一人が参画して、その意欲と行動によって、個性を生かした地域づくりを進めることが重要であるというふうに考えております。その中で、ボランティア団体や市民活動団体などのいわゆるNPOと言いますのは、住民みずからの手で社会的課題を発見して、解決に取り組みながら、一人一人が生きる喜びを実感できるような社会づくりの新しい担い手と、このような役割が期待をされているわけでございますし、また、そのNPOの人たちが多種多様な社会サービスの提供など、我々行政や企業などのパートナーとしての役割を果たすことが求められております。
 このようなことから、こうした県内のNPO活動が、より活発に展開されるように、今年度、公益信託いわてNPO基金というものを創設して、ファンドとして1億円を県で出して、そしてその運営、運用についてはNPOの人たちの自主性に最大限ゆだねると、こういうことでやってございますが、これが一つの行政とそれからNPOの皆さん方との連携の一つのあり方だというふうに思いますし、また、県公会堂にいわてNPOサポートルームというものを設けて、情報の提供や相談活動を行っておりますが、こうしたものも場所は行政の方が提供して、その上での活動はNPOの自主的な活動にお任せをするということ、こうしたことも新しいこれからあるべき形態だというふうに思います。来年度の施策重点化方針の策定に当たって、一つ、8番目に県民の参画の促進ということを新たに項目を起こしてそれを加えたわけでございますが、こういったNPO活動といったものは今後、保健・医療や福祉の分野、それから環境の分野、まちづくりの分野、そういったところで既に活動が見られておりますけれども、よりこうした分野でも活発な活動が期待をされるわけでございますので、こうした人たちの活動が活発になるように環境整備を一層進めて、県民参画のもとに、岩手の地域づくりが進むように努めていきたいと考えております。
 それから、フィルムコミッションへの取り組みということです。まず、映画、テレビといった映像作品でございますが、これは地域を対外的に紹介する顔でございまして、そのロケーションなどの制作活動というのは、まちのにぎわいの創出や、また郷土意識の高揚、そして地域経済の活性化にも寄与すると、このようにとらえております。このフィルムコミッションということについては、私も実は勉強不足でございまして、今回のこの問題提起があっていろいろと調べたわけでございます。大変新しい概念だと、新しいものだということをわかってきたわけでございますが、ことしの8月に、こうしたフィルムコミッション活動というのを支援して、映像文化の発展に資するということを目的にして、自治体も入りますが、映像団体や観光関係団体などが構成する全国フィルムコミッション連絡協議会というものがこの8月、先月ですが設立をされたということでございます。まず、このフィルムコミッションということは、これから県としてもよく勉強を重ねていかなければならないと、こういうふうに思っておりますので、この全国フィルムコミッション連絡協議会というものに参画をして、それでその中で今申し上げましたような関係する団体とよく連絡などをし、それからまた、お互いにお互いの立場の理解を積み重ねて、そうした中で積極的にロケーション誘致や、それから我々としての情報収集、さらにはこちらからの情報発信ということにまず第一段階として努めていきたい。
 それから、映像制作全般をサポートするこの窓口組織の設置というお話ございましたが、これについて、これは調べますと各公共団体何なりでいろいろの置き方があるようでございます。まだそういう段階でございますので、こうした窓口組織の設置の可否も含めて、まずはこの連絡協議会の中で情報交換、それから県内の観光関係団体の意向というものを聞きながら判断をしていきたいと、こういうふうに考えています。
 それから、もう一つ、文化・映像館の設置についてお尋ねあったわけでございますが、これはさらにその後、映像関係者、それからそうした関係業界の動向、それからロケ地の地元、それから地元のまた関係の人たち大勢おられると思いますので、そうした方々も含めてその必要性を判断していくべきものと、こんなふうに考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いいたします。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕

〇保健福祉部長(関山昌人君) 結婚支援策についてでありますが、平成10年に県民を対象に実施しました岩手県少子化に関する意識調査において、少子化に対する行政の取り組みについては、個人の望む結婚や出産を妨げている要因を取り除く限りにおいて、取り組むべきであるとする意見が約6割、結婚や出産は個人の問題であるから、どのような形であれ、取り組むべきではないとする意見が約1割である一方、出生率の回復に向けて積極的に取り組むべきであるとする意見が約3割弱となっております。このような結果を踏まえ、県としては、結婚が個人の選択や価値観にかかわる問題でもあるため、少子化対策としては、結婚や出産を妨げているさまざまな社会的要因を取り除く施策に重点を置くことが必要であると考えております。その少子化の主な要因について見ますと、教育や子育てに係る経済的負担があるものの、仕事と子育ての両立支援の不十分さ、家事や子育てにおける女性の負担などが挙げられ、これらの要因に適切に対応するためには、子育てを地域社会全体で支えていく総合的な仕組みづくりが必要となります。このため、いわて子どもプランに基づき、総合的な子育て支援体制の整備を推進しているところであります。本プランにおいて、出生率の低下を緩和する施策の一つとして、結婚を希望する人たちがその願いを実現できるよう、未婚の男女の出会いの場を提供する取り組みを掲げ、岩手県農業担い手育成基金などにより地域における自主的な取り組みを支援しているところであります。
 なお、御提案のありましたコンピューターを活用した県による結婚紹介システムにつきましては、情報化社会を先取りした御提言ではありますが、さきの県民の意識調査の結果にありますように、結婚が個人の選択や価値観にかかわる問題でもあるため、県に対して結婚や出産を妨げている要因を取り除く限りにおいて、少子化対策を取り組むべきと、大半の県民の方々が望んでいるといった県の関与のあり方等から見て、十分な検討を要する事項と考えております。
   〔農林水産部長佐藤勝君登壇〕

〇農林水産部長(佐藤勝君) まず、兼業農家への対応についてでありますが、担い手の減少や高齢化の進展など厳しい情勢の中で、これからの農村の活性化のためにも、本県の農業、農村に大きな比重を占める兼業農家に対して、安心してみずからが農業をしたり営農したり作業を委託できるような環境などの仕組みを構築し、主業型農家と兼業農家が共存していけるようなそういう地域づくりを進めることが重要であると考えております。このため、県といたしましては、農業団体と連携して、生産組織や農業法人の育成、農地保有合理化事業による農地の利用調整、農業機械銀行による農業機械の効率的利用の促進など、さまざまな施策を講じているところであります。このような施策を通じ、例えば金ケ崎町の改断地区では、兼業農家11戸と主業型農家2戸の13戸からなる農業法人が40ヘクタールの水田を活用して、水稲に加え、野菜、花卉や漬物加工・直売も展開しております。また、江刺市の小田代地区では、集落の過半の農地を集積し、集落の農業、農地を担う本県初の特定農業法人が設立され、その構成は主業型農家と60を超える多数の兼業農家を母体としております。こうした動きは隣接する石関地区、原体地区、金ケ崎町の上平沢地区のほか各地区にも波及するなど、主業型農家と兼業農家が一体となって、さまざまな地域課題に取り組む動きが強まってきております。今後とも、本県農業の基本的な推進方向である主業型農家を核とした地域ぐるみ農業の展開について、一層努めてまいりたいと考えております。
 次に、特色ある本県農業の推進についてでありますが、本県の持つ変化に富んだ気象や立地条件を積極的に生かしながら、先ほど申し述べました、主業型農家と兼業農家が一体となって取り組む地域ぐるみ農業を展開する上で、それぞれの地域で個性ある産地を形成し、質の高い農産物の供給力を向上させ、岩手ならではの農業の持続的な発展を図ることが何よりも重要と認識いたしております。こうしたことから、地域の立地特性を踏まえ、平場地域では農地の広がりを生かした米、麦、大豆などの高品質低コスト生産や、トマト、ピーマンなどの集約的な園芸作物の産地の形成に、また高標高地や沿岸地域では冷涼な気象を生かした雨よけホンレンソウ、レタスなどの産地の形成に取り組んできたところであります。今後におきましても、米の作柄や品質の不安定な地域におきましては、高収益な園芸作物を作目再編の戦略的作目と位置づけ、耕種と畜産の連携等による環境に優しい農業技術の展開など、米、園芸、畜産のバランスのとれた生産振興により、全体として体質の強い総合産地化を図ってまいりたいと考えております。
 また、農家の経営規模に応じて、大量ロットの確保による県内外市場への出荷から、少量多品目による産地直売までの多様な流通チャネルにこたえられるよう、消費者が求める新鮮で安全安心な農産物の供給体制の整備を支援するとともに、いわて食財の日の設定などによる県産農産物の県内消費の拡大や、流通コストの見直しをさらに進めてまいりたいと考えております。
   〔地域振興部長飛澤重嘉君登壇〕

〇地域振興部長(飛澤重嘉君) 市町村合併についてでありますが、現在、国会におきまして、合併特例法の一部改正等を内容とする地方自治法等の一部を改正する法律案が上程されているところでございます。この改正案は、地域住民の意向がより反映されるよう、合併協議会に関する住民発議制度の拡充、あるいは住民投票制度の導入などを図ろうとするものでございまして、自主的な市町村合併の推進という観点に立った改正案であると認識をいたしております。合併特例法におきましては、既に御案内のとおりでございまして、市町村合併に対しまして、地方交付税や地方債、議会議員の身分取り扱いなどさまざまな特例措置が設けられておりますので、平成17年3月以降、さらに期限を延長するという考えは現段階においてはないものと聞いております。また、県といたしましては、今後とも自主的な市町村合併という前提が変わることはないものというふうに理解をしているところでございます。
 それから、10月10日の水沢市での全国リレーシンポジウムでございますけれども、地域での議論を活性化することを目的として開催するものでございまして、胆江地区の市町村長さん、地元の青年団体の代表者、総務省の幹部といったパネリストに加えまして知事も参加いたしまして、青年会議所など地元の経済団体などからの意見も踏まえまして、これからの市町村のあるべき姿について議論をされることになっております。こういったことがそれぞれの地域におきまして、合併特例法の期限をもにらみながら、これからの行政サービスのあり方、さらにはそのための行政体制のあり方について自主的かつ主体的に検討が行われまして、積極的に議論がなされるよう期待しているものでございます。
   〔商工労働観光部長鈴木清紀君登壇〕

〇商工労働観光部長(鈴木清紀君) まず、雇用対策についてですが、さきに政府が発表した総合雇用対策では、雇用の受け皿整備など三つの課題に対応するための施策を講じていくこととしておりまして、県といたしましても、国の施策と相まって、雇用の確保を図るため、現在、各部局において、幅広い分野にわたり、雇用を生み出す具体的な施策や取り組みの検討を進めているところであります。本県は、全国に比し、多くの雇用需要が見込まれますサービス産業の分野の集積がまだまだ低いことから、これからは情報、環境、福祉など生活関連サービス産業、こういったサービス産業の創出、拡大、誘致などに継続的、段階的に取り組んでいくことが必要であると考えております。この10月に取りまとめる県の雇用対策では、短期的に取り組むもの、中期的に取り組むものなど、優先度を見ながら、そのような新しい分野でのサービス産業の創出やコミュニティ・ビジネス、NPOビジネスの創業なども含めまして、新たな視点での雇用対策に総合的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、いわゆる労働移動についてでありますが、離職者が他業種に円滑に移動できるような仕組みや体制を構築することは、今後の雇用対策を進める上で重要な課題となっております。こうしたことから、国におきましては、さきに決定した総合雇用対策の中で、再就職促進の視点に立った雇用保険の訓練延長給付制度の拡充、高齢者を一定割合以上雇用する事業所を新たに設置する事業主への助成、民間就職支援会社を活用して再就職支援を行う事業主への助成、建設業における同業他社から技術者を雇い入れる事業主への助成など、労働移動のための施策を講じることとしているところであります。
 また、離転職者に対する職業能力開発につきましては、雇用・能力開発機構におきましてOA事務系訓練や大型車両運転技術習得などの訓練を実施しているところであり、県におきましても、職業訓練を希望する離転職者を県立職業能力開発施設で受け入れ、IT技術習得やホームヘルパー資格取得のための委託訓練を実施するなど、円滑な労働移動について支援していくこととしております。
 さらに、労働移動に必要な雇用の受け皿につきましては、継続的に取り組んでいくことが必要ですので、県としても産学官、産業間の連携を強化しながら、成長が見込まれる、先ほど申し述べました生活関連サービス産業やリサイクル産業など、こういった創出、拡大といったものを図りながら、雇用の場の確保に努めてまいりたいと考えております。
   〔教育長合田武君登壇〕

〇教育長(合田武君) まず、学校と地域の連携による人材の育成についてでありますが、小・中学校のみならず、高等学校においても、地域社会との連携を深めながら、その協力を得て、さまざまな教育活動の充実を図っていくことは極めて重要であると考えております。このため県教育委員会では、各高校において、地域の人材を活用した講演会や体験学習、地域の伝統芸能の伝承活動や福祉ボランティア活動を促進するなど、地域社会との連携のもと、地域の特色を生かした学校づくりを推進しております。さらに、地域の方々の信頼にこたえ、家庭や地域と連携協力した学校運営を進めるために、学校評議員制度の導入を推進しており、近々、県立の数校において学校評議員を設置することとしております。
 また、中高一貫教育についてでありますが、これは、中学校と高校の6年間の中で、生徒がゆとりある学校生活を送ることができ、一貫した指導によりその基礎基本に係る学力の定着を図ろうとするものであり、現在、本県におきましては、軽米町において本年度から実施しており、教科指導における教員交流や部活動等での交流、中学校と高校を通じて郷土を伝える人材を育てることを目標にした郷土学習等に取り組んでいるところであります。また、葛巻町においても、現在、中高一貫教育についての実践研究が進められているところであります。県教育委員会といたしましては、今後とも、生徒の進路動向や地域の意向などを踏まえながら、必要に応じ中高一貫教育の導入を進めるとともに、学校評議員制度の導入拡大を図るなど、学校と地域の連携を図る施策の充実に努めてまいりたいと考えております。
 次に、教員の採用と資質についてでありますが、教員には、教育に対する情熱と使命感、豊かな人間性と思いやりなどを基盤とした実践的指導力が求められております。このため、教員採用に当たっては、従来の個人面接に加え、集団面接や模擬授業等を実施するとともに、平成10年度から面接委員に民間人を起用し、幅広い視点から評価するなど、人物重視の選考をしてまいりました。採用試験につきましては、平成7年からスポーツ特別選考、9年から芸術特別選考、ことしからは民間企業等での勤務経験があり、特別な資格を有する社会人に対する特別選考試験を実施し、また、平成9年からは社会経験の豊富な人材を確保するために受験年齢制限を45歳未満に緩和するなど、さまざまな工夫改善を行い、多面的な選考に努めてきたところであります。なお、選考の際の男女の比率については特に考慮せず、志願者の意欲、適性などを総合的に評価し、人物本位の選考をしております。
 教員の資質向上につきましては、初任者研修を初め、教職経験や職能に応じた研修を通じ、教員としての必要な知識、技能の習得や、意欲の高揚を図ってきているところであります。特に、幅広い視野を持った教員の育成を図るため、社会福祉施設での介護体験など、教員みずから内容を企画立案して行う研修のほか、社会貢献活動体験研修、民間企業への長期派遣研修などを行ってきているところであります。
 また、教員としての適格性が危惧される教員に対しましては、従来から研修や個人指導等を通じてその資質向上に努めるとともに、職場環境を変えるなどの配慮をしてまいりましたが、本年6月に地方教育行政の組織及び運営に関する法律が改正され、教職以外の他の職種に配置がえすることが可能になったことなどから、現在、指導力不足等適格性が危惧される教員に対する人事管理のあり方を研究する委員会を設置し、具体的な調査、研究を進めているところであります。
 次に、完全学校週5日制にかかわる運動部活動のあり方についてでありますが、学校における運動部活動は、学校教育活動の一環として行われ、体力の向上や健康増進を図り、たくましい岩手の子供を育て学校生活に豊かさをもたらすものととらえており、土・日の活動も含め、生徒の生活や成長に合わせ実施されることが望まれるとともに、活動の成果を発表する各種大会は、子供たちが期待しているものであり、適切に位置づけることが大切であると考えております。また、望ましい部活動を進めるためには、顧問である教職員の指導力を高めることが必要であるほか、さらに競技力向上を図るためには、関係諸団体、地域の専門的指導者の積極的な協力を得ながら活動を行う必要があると考えております。このことから、県教育委員会といたしましては、指導者研修会を実施し教員の指導力向上を図るとともに、外部から専門的指導者を学校に派遣し運動部活動の活性化に努めているところであります。
 なお、御指摘のありました県小学校長会、県中学校長会の体育関係行事の改善案は、運動部活動と各種大会、指導者養成、競技力向上等の改善案を示し、これをたたき台として検討するよう関係諸機関、諸団体に要請したものと聞いておりますので、この改善案については、校長会と関係諸機関、諸団体が十分な協議を重ね、適切な対応がなされるべきものと考えております。

〇11番(佐藤力男君) 貴重なお時間をおかりしまして恐縮でございますが、せっかく私に与えられました機会でございますので、御丁寧に答弁いただきましたが、この際、知事に再質問させていただきます。
 今回、私は、この質問をするに当たりまして、高度経済成長期にその青春時代を過ごし、そして、発展する我が国の本当に豊かさを享受しながら、何不自由なく上澤先生ではございませんが生きてきたわけでありますが、しかし、周りを見ますと、リストラに毎日おののくような同世代あるいは個人業種の不振に悩んでいる、そしてまた、学校は出たけれども自分たちの子供が就職する先がない、そうした世代になっておりまして、こうした閉塞感を何としてもこの県政の場で打開してほしいと、そういう願いを込めまして今回質問項目を定めたつもりでございます。
 閉塞感を生むのも政治であります。また、これを打開していくのも私は政治であろうと思っております。そうした意味では、財政がこういう状態になり、国がこういう状態になる、あるいは市町村もその存在すらわからないようなこうした時代でありますから、ここは県政が本当に力強くリーダーシップを発揮して、元気を持って牽引をしていただきたい、私はそう思っているわけであります。特にも、言葉は悪いんでありますが、リストラもなければ倒産もない県庁、県職員でありますから、県民の力強さの根源はまず県が率先して示していただきたいものだ、そのように考えております。事を起こせば必ず何かが起きます。問題も起きるし、さまざまなことも出てきますが、しかし、そこには新たなエネルギーやアイデアも生まれてくる、私はそう思っております。何もやらなければ失敗もありませんけれども、成功もあり得ない。また、目標がないところに、達成したということもないわけであります。そうした意味では、金がなくてもできることは情報と優秀な人材を抱えている県がやる。それが今、県民が求めている元気のある県政のあり方であろうと私は思っているのであります。
 そうした意味で、増田知事が誕生しましたときには、私どもは夢と希望を、これから岩手県が変わる、本当に何かが起きるんだと、そういう気持ちを持っておりました。今日でもその気持ちはいささかも変わっておりません。どうぞ金がなくても任せておけと。この岩手県は元気に頑張るからという知事の御決意をお伺いして私の質問を終わらせていただきます。
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) ただいま佐藤議員から愛情あふれる、しかしなお厳しい御叱正も含めた御意見の開陳があったと受けとめております。
 県職員も大変みんな熱意を持って仕事しているわけであります。一方で、古来から、休まず、おくれず、働かずという言葉に代表されるような公務員像というものがあって、これはやはり今お話があったように、倒産がないということで、ともすれば緊張感を欠くような場面がありはしないかといった戒めの、励ましの言葉というふうに受けとめなければならないと、そんなふうに思います。
 いずれにしても、こういう時代でございますので、確かにおっしゃるとおり金は余りありませんけれども、その中で沸き上がるようなエネルギーとアイデアを実行していかなければなりませんので、佐藤議員初め、県議会の先生方の適切な御指導をいただきながら粉骨砕身努力をしていきたい、このように考えております。
   

〇副議長(瀬川滋君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時10分 休 憩
   

出席議員(47名)
1  番  及 川   敦 君
2  番  飯 沢   匡 君
3  番  樋 下 正 信 君
4  番  照 井 昭 二 君
5  番  柳 村 岩 見 君
6  番  小野寺 研 一 君
7  番  吉 田 昭 彦 君
8  番  工 藤 大 輔 君
9  番  川 村 農 夫 君
10  番  佐々木 順 一 君
11  番  佐 藤 力 男 君
12  番  阿 部 静 子 君
13  番  阿 部 富 雄 君
14  番  水 上 信 宏 君
15  番  田 村   誠 君
16  番  岩 城   明 君
17  番  中屋敷   十 君
18  番  千 葉   伝 君
19  番  及 川 幸 子 君
20  番  阿 部 敏 雄 君
21  番  川 口 民 一 君
22  番  小野寺   好 君
23  番  斉 藤   信 君
24  番  伊 沢 昌 弘 君
25  番  田 村 正 彦 君
26  番  上 澤 義 主 君
27  番  瀬 川   滋 君
28  番  佐々木 大 和 君
29  番  藤 原 泰次郎 君
31  番  谷 藤 裕 明 君
32  番  菊 池   勲 君
33  番  佐々木 一 榮 君
34  番  伊 藤 勢 至 君
35  番  高 橋 賢 輔 君
36  番  小 原 宣 良 君
37  番  長谷川 忠 久 君
38  番  千 葉   浩 君
39  番  吉 田 洋 治 君
40  番  工 藤   篤 君
43  番  山 内 隆 文 君
44  番  折 居 明 広 君
45  番  村 上 惠 三 君
46  番  藤 原 良 信 君
47  番  及 川 幸 郎 君
48  番  菊 池 雄 光 君
49  番  佐々木 俊 夫 君
51  番  吉 田   秀 君

欠席議員(3名)
30  番  船 越 賢太郎 君
41  番  菅 原 温 士 君
42  番  佐 藤 正 春 君
   

説明のため出席した者
休憩前に同じ
   

職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   

午後3時31分 再 開

〇副議長(瀬川滋君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。阿部静子さん。
   〔12番阿部静子君登壇〕(拍手)


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