平成13年9月定例会 第11回岩手県議会定例会会議録

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〇21番(川口民一君) 自由党の川口民一でございます。
 質問に入る前に、去る11日、アメリカ・ニューヨーク及びワシントンにおいてテロリスト事件で犠牲になられた方々に心から御冥福をお祈りいたします。
 このたびのテロ事件は、アメリカの政治、経済の中枢の人的・物的な破壊を意図としたものでありました。幸いにも政治的大きな混乱は回避されているように見受けられますが、経済的には、多分テロリストの思惑を上回る世界的な影響があるのではないかと考えております。
 加えて、アメリカに次ぐ経済力を持つ我が国は、景気の長期的な低迷にあえいでおり、本県においても、誘致企業の撤退、急激なIT不況等による人員削減、地域商店街の衰退など、経済環境は悪化の様相を強めております。日米両国が今後とも経済的な不振を長引かせれば世界同時不況に陥りかねないと、マスコミでは危惧の声が報じられております。
 そこで、経済的対策の観点を主体に質問させていただきます。
 まず、観光振興策についてであります。
 平成14年12月、東北新幹線は八戸まで開通となり、北東北観光の観光客の動向が大きく変化していくものと予想されます。東北新幹線終着駅が盛岡から八戸まで延伸することは、盛岡駅が途中駅となり、観光客が通過してしまうとの見方や、盛岡以北の新幹線開業を本県の観光宣伝の好機ととらえる見方、北海道、青森県等からの誘客が期待できるとの見方など、プラス面とマイナス両面それぞれあると思われますが、前向き思考での積極的な取り組みが必要と考えております。
 観光産業は、旅行業、交通運輸業、飲食宿泊業などの各産業を初めとする幅広い分野に関するすそ野の広い産業であります。また、地域経済にも雇用の創出や消費需要拡大などに大きな役割を果たし、新世紀の本県の基幹産業として一層の成長が期待されております。
 緑豊かで広大な自然、四季折々の祭事や食材など多くの観光資源を持つ本県においても、観光産業は総合的な産業として県勢の発展を担う重要な産業であります。消費低迷からの脱却、経済不振の解消が課題とされている中、さらに積極的な観光振興策の取り組みを期待しているところでございます。
 そこで、増田知事の、国内外からの観光客の誘致対策やイベントの誘致を含め、本県の新世紀の観光戦略ポリシーについてお伺いします。
 次に、本県への修学旅行の誘致についてお伺いします。
 先般公表された観光白書によれば、個人消費は足踏み状態となっており、国民の旅行ニーズの多様化と高度化の中で、引き続き厳しい状況が続き、国内観光は伸び悩んでいる状況にあると述べられております。このような中にあって、経済の動向に左右されない修学旅行の本県への誘致拡大を図ることは、オフシーズンにおける団体客の確保や、将来再び本県を訪れるリピーターの養成を図る上で重要な課題であります。
 特にも、本県には世界に誇る貴重な歴史的遺産を初め、岩手の気候風土の中ではぐくまれ、人々によって脈々として受け継がれてきた伝統芸能、豊かな自然と四季の移ろいの中で暮らす人々の日々の営みなど、まさに岩手県の新しいキャッチフレーズ、「こちら、岩手ナチュラル百貨店。」が示すように、都会では味わうことのできない多種多様な魅力あるものが数多く存在しております。私は、このような本県の豊富な資源を大いに活用し、修学旅行の誘致拡大にこれまで以上に積極的に取り組んでいく必要があると考えております。
 そこでお伺いしますが、県外からの本県への修学旅行の現状はどのようになっているのか、また、修学旅行の誘致に向け、今後どのような取り組みを考えておられるのか、あわせてお伺いします。
 次に、緑のダイヤモンド計画についてお伺いします。
 環境省では、国立公園や国定公園の核心地域において、我が国を代表するすぐれた自然環境の保全や復元を一層強化し、より快適な利用を確保するための施設整備を計画的に推進するため、自然公園核心地域総合整備事業、いわゆる緑のダイヤモンド計画を策定し、全国の著名な国立公園を対象に事業が進められているところであります。
 本県に関係する十和田八幡平国立公園におきましても、隣の秋田県にまたがる八幡平地区を対象に、平成11年度基本計画が環境省により策定されております。十和田八幡平国立公園には、シーズンには県内外から大勢の観光客が、雄大な景観、高山植物や高層湿原などの大自然を求めて訪れており、この計画の着実な推進は、八幡平地区の魅力をより一層増大させるものと期待しております。
 また一方では、平成11年度には岩手山周辺地域の振興を図るため、岩手山周辺地域振興ビジョンが策定され、現在その実現に向けた取り組みが進められているところでございます。これらの計画を着実に推進するためにも、緑のダイヤモンド計画は大きなウエートを占めていると考えております。岩手山の入山規制も本年7月1日からその一部が緩和され、県内外から多いときには1日1、000人以上の登山者が訪れており、岩手山周辺地域振興に弾みをつけております。
 そこでお伺いしますが、八幡平地区の緑のダイヤモンド計画はどのような進捗状況にあるのか、また、今後の見通しはどうなっているのかお尋ねします。
 あわせて、県内の他の国立公園及び国定公園でも今後実施するよう積極的に国に働きかけていくべきではないかと考えますが、その実現可能性について御見解をお示し願います。
 次に、中小企業、商店街の振興策についてお伺いします。
 景気浮揚対策を種々講じてきましたが一向に改善の兆しが見えない状況であります。株価は1万円を割る最悪の状況下にあります。経済の先行きが不透明で景気回復の兆しが見えない現状の中で、中小企業は四苦八苦いたしております。
 去る11日、米国の世界貿易センター及び国防総省への同時多発テロ事件は、遠く岩手までも影響が及ぶものと考えております。今や最小限の影響にとどめるよう、迅速で具体的な対策が必要であります。
 大型店の進出や経済不況により、各市町村の地域商店街にはシャッターをおろし、閉店や廃業に至った小売店が数多くあります。商店街の再生は、個性を持ったそれぞれの個店が、地域に密着し、消費者ニーズに十分こたえ、魅力ある商店街を目指していく姿勢が重要でありますが、一方では、経営者は資金面や後継者などにおいて難題を抱えている実態にもあります。
 こうした中で、江刺市や遠野市においては、地域の資源や特色を生かしながら商店街の活性化とまちづくりに積極的に取り組んでおり、地域振興に大きなインパクトを与え、集客対策に連動させていると聞いておりますが、まずその取組状況をお伺いします。
 あわせて、近年の中小小売業は取り巻く環境変化に対応していくことが求められておりますが、今後における中小小売業振興策をどのように進めていく考えであるのかお伺いします。
 次に、電線類の地中化についてお伺いします。
 本県の自然景観は、訪れただれもが絶賛しており、後世に伝えるべき県民の誇る貴重な財産であります。しかし、市街地で空を見上げると、そこには縦横に多くの電線が張りめぐらされており、それはすぐれた自然景観とは正反対のものであります。観光客としても訪れた欧米では見られない光景であります。環境対策に力を入れている本県においては、見た目にも美しい市街地や快適な生活空間を創造していく視点を一層強化していただくことを強く期待するものであります。
 近年、地域活性化や環境改善への要請が強まっているのみならず、良好な生活空間の拡大など、社会ニーズが多様化しております。
   〔議長退席、副議長着席〕
 今後、社会・経済・生活の活動が一層効果的、効率的に展開され、さらなる発展の基盤を築くことが強く望まれておりますが、国では都市景観の向上、都市災害の防止等の観点から、電線類地中化約3、000キロメートルを平成11年度から平成15年度の5カ年で実施することとしております。この電線類の地中化事業については、安全で快適な通行空間の確保や情報通信ネットワークの信頼性の向上、また、快適な生活空間の形成による集客力の向上など、地域振興に大きく寄与するものであり、また、情報化社会の質的向上を着実に前進させるものでもあると考えられます。快適で安全な通行を確保するとともに、よりすぐれた都市景観を形成するため、電線類の地中化を積極的に推進すべきと考えております。
 そこでお伺いしますが、本県においてはどのような取組状況となっているのかお示し願います。
 次に、農村の活性化についてお伺いします。
 農業・農村は、食料を安定的に供給する基本的役割に加え、生産活動を通じて国土の保全や水源涵養など多面的な機能を果たしておりますが、我が国の食料自給率は40%と、先進国の中では大変低い状況にあります。本県は、我が国有数の総合食料供給基地として食料自給率向上の一翼を担うこととしており、この方向性は本県農政の進むべき道と評価しております。
 農業は、自然条件、地理的条件に大きく左右される産業であります。本県においては、中山間地域が県土の8割を超えるなど不利な地形のもと、また、冷涼な気象条件の中で冷害など幾多の困難を克服しながら、先人の知恵とたゆまぬ努力により今日の農業が築かれてきました。しかし、地域の農業を支える農村の現状は、高齢化の進行や担い手不足、混住化社会の拡大により、昔からの伝統ある結の崩壊、また、農業生産条件の不利性による中山間地域の耕作放棄地の増加、都市部と比較して生活利便性が低いことによる過疎化の進行など、農村の活力は大きく低下してきております。このまま手をこまねいていては、本県農業生産のもととなる農村の活力がさらに低下し、総合食料供給基地は名ばかりのものとなるのではないかと思っております。
 減反の実施や、本年度に行われた収穫を目前にした青刈りに助成金を支払う仕組みも、耕作者が米の豊作を素直に喜べないという状況をつくり出しております。国の農政は、基本的にどこかがおかしいと素朴に思っているのは私ばかりではないと存じます。私は、農業者が1年間丹精込めて育てた農作物の収穫の喜びを、地域の農業者同士はもとより、消費者とも分かち合えるとともに、農作物の高付加価値化や生活の向上、文化の伝承などに、それぞれの世代が目標を持ち、役割を分担して取り組むことが農村の活力の向上につながるものと思っておりますが、県は、本県の農村の活性化を図るためにどう取り組んでいく考えであるのかお伺いします。
 次に、狂牛病問題についてお伺いします。
 去る9月10日、農林水産省は、8月6日に千葉県内で飼育されていた乳牛1頭が屠畜処理されたが、この牛が起立不能を呈していたため脳を動物衛生研究所で検査したところ、牛海綿状脳症、いわゆる狂牛病の疑いがあることがわかった旨、公表いたしました。狂牛病は、牛の慢性かつ悪性の中枢神経系の疾病であり、昭和61年にイギリスで発見されて以来、欧州諸国において多くの発生が報告されておりますが、原因はプリオンと呼ばれる異常化したたんぱくであると考えられており、感染した牛は2年から8年の潜伏期間の後、脳がスポンジ状に変化し、奇声、旋回等の異常行動や運動失調等の神経症状を示して、最後には死亡するというものであります。当初、狂牛病は牛だけの病気と考えられておりましたが、英国におけるヒトの新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の患者分布との類似性や動物試験の結果などから、平成8年以降、ヒトへの感染の可能性が指摘されているところであります。
 農林水産省の公表の後、畜産県である本県においては、根拠のない風評被害が出る前に農林水産部が直ちに実態調査に着手したと聞いておりますが、御承知のとおり、牛肉は外国からの輸入が多い食品で、また、今回、欧州以外では初めて日本国内での狂牛病発生が確認され、韓国やオーストラリアなどが日本からの牛肉の輸入禁止措置をとったことなどもあって、消費者の間に食肉の安全性についての不安が広がっているところであります。
 そこでお伺いしますが、狂牛病に係る食肉の安全対策として、国、県はどのような対応を行っているのか、その内容をお示し願います。
 また、今般の問題の牛の頭部や骨、肉が肉骨粉加工業者に渡っていたという報道がなされております。本県においてはそのようなことはあり得ないと思いますが、確認のため、食肉処理場での対応についてあわせてお伺いします。
 次に、電気事業に対する今後の取り組みについてお伺いします。
 企業局の決算特別委員会が2日に予定されておりますが、ここでは基本的な今後の対応等についてお聞きしたいと思います。
 企業局は、12の水力発電所のほかに、今月11日に浄法寺町に完成した稲庭高原風力発電所を運転し、現在、松尾村に柏台発電所を建設中であります。経済社会活動や国民生活に不可欠なエネルギーである電力は、経済社会の高度化、アメニティー志向や情報化の進展などに加え、電気の持つ利便性などから電力化率の高まりを反映して、省エネルギーの進展による減少要因を踏まえても、今後も着実に需要は増加するものと見込まれております。
 一方で、我が国の電力料金は国際的に見て高い水準にあるため、電力の小売の一部自由化を促進し、料金を適正にすることなどを目的とする改正電気事業法が平成12年3月に施行されたところであります。新規参入者が電力会社との競争に勝って、大口の需要家を獲得した事例もふえていると聞いております。今後、電気料金は引き下げられていく方向にあると期待を込めて考えております。
 このような中で、本年は企業局にとって2年に1度の電気料金改定の年に当たるわけですが、電力小売の一部自由化の影響がどのような形であらわれてくるものと考えているのかお伺いします。
 また、電力の自由化によって、電力会社からはこれまで以上に経済性が求められることとなり、今後の水力開発の展望はますます厳しいものになると思われますが、企業局ではこのような状況をどう認識しているのかお伺いします。
 さらに、昭和32年10月に運転を開始した胆沢第二発電所を初め、運転開始後30年以上を経過した発電所が多くなっており、年々施設の改良や維持修繕の費用も膨らんできていると聞いておりますが、維持管理にどのように取り組んでいるのかあわせてお伺いします。
 最後に、増田知事の名を全国的に高めた政策評価制度についてお伺いします。
 まず、平成13年度の政策評価結果についてであります。県においては、限られた資源を最大限活用しながら、県民にとって満足度の高い行政を運営していくため、これまで行ってきた事務事業評価や公共事業評価に加えて、昨年度試行した政策評価を統合し、今年度、政策評価システムとして総合的、体系的な評価を実施したと伺っております。このシステムは、総合計画の着実な推進を図るため、合理的かつ的確に政策及び施策を評価し、その結果をその後の政策立案等に反映させるものであり、今年度の実施に当たっては、外部の有識者などの意見を聞く外部評価を試行的に実施するなど、透明性や客観性の一層の確保に向け努力したと聞いております。また、評価に当たっては、総合計画に掲げる主要な指標の動向を基本とし、県民意識調査の結果や社会経済情勢をも検討の中に加え、総合的な評価を行ったものと聞いておりますが、国、地方を通じて厳しい財政状況の中、今後は、こうした評価結果に基づく施策、事業の選択が一層重要になってくるものと考えております。
 そこでお伺いしますが、増田知事は、本年度の政策評価の実施結果をどのように認識しておられるのか、また、評価結果を今後どのように施策等に反映していくか、お考えをあわせてお尋ねいたします。
 次に、平成13年度の政策評価における外部評価についてお伺いします。
 県は、厳しい財政環境の中で、限られた財源の効率的、効果的な活用を図るため、全国でもいち早く政策評価システムとして総合的、体系的な評価を行ったわけでありますが、今後は、その成果を注目している全国の都道府県のみならず、各市町村にも影響を与えていくものと考えております。現に政策評価に取り組んでいる都道府県があらわれてきておりますが、その手法については、それぞれの都道府県で独自の手法を開発していると聞いております。地域の実情に合った評価が行われていると推測しております。
 本県における政策評価は総合計画の推進を目的としたものでありますが、総合計画は、県民一人一人の参画により推進されていくことが強く期待されております。したがって、総合計画の進捗状況の評価については多くの県民が注目するところであり、評価結果がどのように県民の生活に結びついていくのか関心のあるところであります。
 そこでお伺いしますが、県においては、政策評価の客観性と透明性を高めるため、本年度の政策評価に当たって試行的に外部の意見を聞く仕組みを取り入れたと聞いております。その結果はいかがだったでしょうか。また、外部評価の今後の取組方向についてどう考えているのかあわせてお伺いいたします。
 以上で私の一般質問を終わります。御清聴まことにありがとうございます。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 川口民一議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、観光についてですが、国民の間の観光ニーズもやはり多様化しているわけでございまして、特に豊かな自然環境ですとか歴史文化との触れ合い、また、農林漁業体験などを目的とする、従来とは違う、より多彩な観光の創出が今求められていると思っています。
 特に本県の観光振興につきましては、都会にはない本県の個性というのをやはり十分に生かしていく必要があるわけで、それは、歴史ですとか文化ですとか自然といった要素をこうした観光地づくりに生かしていくということが必要だろうと思います。それが一つと、それから二つ目は、温かく観光客を迎え入れる。そして、来ていただいた皆さん方だれもが安心して本県を気楽に旅行できる。この岩手の県民性を背景とした温かなホスピタリティーというものを醸成していく、そういう環境づくりを進めるということが必要かと、この二つに特に意を用いる必要があると思います。
 このため県では、いわゆるふれあい体験型観光を志向して、今まで実施してきたいわて四王国事業というものがございます。魚彩王国ですとか穀彩王国ですとか、そうした四つの王国での特色を生かしていくという事業がございますが、これをさらに内容を磨き抜いていくということが必要かと思います。それから、環境に配慮し、農山漁村の魅力を十分に満喫できる体験・滞在型のいわゆるグリーンツーリズム、それから海岸ではブルーツーリズム、さらには、最近はエコツーリズムというようなものも出てきておりますが、こうした旅行の新しい形態の推進といったような、そういう地域の特性を生かした新しい旅の創造と普及に努めていきたいと考えております。
 それから、トレッキングなどが最近非常に盛んになってきておりますが、この際には、観光ガイドを養成して、こうした人々を積極的に活用していくといったようなこと。それから、高齢の方や障害をお持ちの方が県内自由に観光できるような、いわゆるバリアフリーの観光という観点も必要かと思いますし、それから、台湾、そして韓国などがこれから主要なターゲットになると思っていますが、そうしたところを含めた、いわゆる東アジアをターゲットとした国際観光の推進というものも必要だろうと思います。こうした際には、やはり岩手ということを強く意識、認識してもらうためにも、時に応じて各種イベントを誘致する、あるいは自前でのイベントを用意していくということが必要かと思います。
 現在構築中の新しい観光情報システムというものがございます。これはかなり本格的な大がかりなものでございまして、この観光情報システムの中に、今、言いましたような新しい旅の情報をすべて入れる。そして、国の内外に向けて積極的に発信をしていく考えでございます。こうした取り組みを通じて、岩手らしい、新しい、そして人の心に残る旅の創造、提案をしていきたいと、このように考えております。
 それから、農村の活性化についてですが、やはり農村の活性化を図っていくためには、まず、農業者が自信と誇りを持って日々の営農にいそしむということが必要でありますし、また、行政としては、そういうような条件づくりにとにかく専念していくということが必要かと思います。
 今、県では、認定農業者を核として、地域が一体となって取り組むいわゆる地域ぐるみ農業というものを推進して、また、非常に広い県土の中で、適地適作による作目再編を進めてきたわけでありますけれども、全国に誇るピーマンですとかホウレンソウあるいはリンドウのような産地の形成というものがなされてきていますが、これらに続くものをつくり出すということ、それから、今までどうしても重点が余り置かれていなかった加工とか流通、販売に至るところまでをすべて含んだ、生産から加工、流通、販売に至る付加価値の高い農業生産というものを一体として進めていく必要があると思っています。
 一方で、こうした農村というのは生活の場でもある、また、交流の場でもあるというとらえ方が必要だろうと思っておりまして、快適で豊かな農村生活がそこの場において営まれるためには、下水道や集落道などの生活環境が整備されていることが必要でありますし、それから、里山や田園などの景観形成、そして、そこは多様な生き物と触れ合う豊かな環境の場でもございますので、今、各地域でビオトープづくりなどが行われておりますが、そうした面にも目を向けていくということ、そして、今に残っております祭りや神楽など、いわゆる農村文化の伝承といった面にも目を向けていく必要があると思います。農村に暮らす人々が、世代を越えてこうした面にも意欲を持って取り組めるようなハード、ソフト両面からの条件整備をこれからさらに進めていく考えでございます。
 また、地域地域におきましては、女性のさまざまな活動のグループがございますし、それから、古くからの伝統食などを伝える食の匠なども非常に多く今いるわけでございます。こうした食の匠や女性グループによる農産物加工、多彩に品ぞろえした産地直売の取り組み、そして、そば打ち、炭焼き体験などを取り入れた観光と一体となったグリーンツーリズムを展開して、都市と農村との多様な交流を積極的に進めていく考えでございます。こうしたことを通じて生き生きとした元気のある農業が展開されることを願っておりますし、その実現に向けて努力をしていく考えでございます。
 平成13年度の政策評価についてでございますけれども、この政策評価は、成果が上がっているかどうかという観点から成果重視の行政運営や効果的な施策の選択をしていく、そのために、総合計画に掲げております施策、分野、主要な事業の体系全体を対象として、昨年度は試行としてやったわけですが、そうした昨年度の試行結果も踏まえて、より客観的な評価の実施に努めてきたところでございます。
 評価に当たっては、総合計画の主要な指標の達成状況を基本として、必要性、効率性、有効性の観点から評価を行いましたし、一方で、別に県民意識調査によって、県民の満足度、優先度や、さらに外部の有識者から成る政策評価委員会の意見、我々の中だけではなくて、こうした第三者の目というものも意識して、その上で総合的な評価を実施したところでございます。
 この評価結果については、主要な指標の進捗状況についていえば、今回評価を行ったのは195の指標でございますが、そのうち順調に推移しているものはおおむね6割ということですが、一方で、県民1人当たりのごみ排出量、これは以前より少しふえておりまして、こうしたものを含めて38の指標が平成10年度の基準値を下回る、到達度でいうとマイナスの方向になっております。したがって、それぞれの課題がこうした評価結果を受けて明らかになってきたと、こうとらえております。また、施策別の状況でいえば、環境や社会資本整備の分野、こうしたところはかなり指標が順調に推移しているんですが、産業分野では、これは再三申し上げているんですが、やっぱり伸び悩んでいる指標が目立っております。そこで、施策に対する総合評価として、循環型社会の構築に向けた各種施策を組み合わせたり、それから、雇用の安定確保などの必要性を改めてこうした政策評価を通じて確認をしたところでございます。
 この政策評価結果を踏まえて、来年度の施策重点化方針、八つの項目を決定したわけでございまして、今後は、事業の効果や必要性というものをさらに見定めて、重点的に取り組むべき施策のより明確化に努める。そして、これは予算編成にやはり反映をさせていかなければなりませんので、そうした予算編成に反映させることによって限られた財源の効率的な活用を図って、総体としての総合計画の着実な推進を図っていく考えでございます。
 その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁をさせますので、御了承をお願いいたします。
   〔商工労働観光部長鈴木清紀君登壇〕
商工労働観光部長(鈴木清紀君) まず、本県への修学旅行の誘致についてですが、昨年度の県外からの修学旅行の入込状況は、小・中・高あわせまして延べ2、155校、約21万人回となっておりまして、これを一昨年度と比較いたしますと、学校数で延べ150校、人員で約1、000人回上回っておりまして、これは平成2年以来11年ぶりに増加に転じたところであります。これは、児童生徒の体験学習に比重が高まる中にありまして、修学旅行が、従来の施設見学中心の旅行から、農業体験や工芸などの手づくり体験あるいは伝統芸能体験など、都会では味わえない、本県ならではのこういった体験型の学習素材が注目されたものと考えております。
 現在、県では、県観光協会と一体となりまして、大都市圏の修学旅行担当教諭や旅行会社の担当者を本県に招く現地研修会、それから、大都市圏における誘致説明会の開催などのほか、本県の学習素材を紹介したガイドブックやインターネットのホームページを活用した情報の発信などに努めているところであります。来年度から総合的な学習の時間が本格実施されますことから、これからは児童生徒の自主研修に配慮した観光地づくりを進めていく必要があると思いますので、県観光協会などと連携し合って、体験メニューの充実、交通手段の確保、ボランティアガイドの充実、魅力ある体験施設の整備など、修学旅行生が安心して自主研修ができるような環境づくりに努めまして修学旅行の誘致拡大を図ってまいりたいと考えております。
 次に、江刺市と遠野市における商店街活性化の取組状況についてでありますが、江刺市におきましては、TMOであります江刺商工会議所と民間のまちづくり会社が中心となりまして、蔵を生かしたまちづくりというコンセプトのもとに、住民協定によりまして蔵風の町並みを整備するとともに、未活用の蔵を活用して、ガラス工房など新しい店舗を導入して新たな顧客を創出するなど、活性化に成果を上げているところであります。また、遠野市におきましては、TMOの遠野商工会が中心となりまして、民話の里づくりというコンセプトのもとに、商店街の外観の統一や空き店舗を活用した休憩スペースの設置などによりまして、市街地を回りながらショッピングや観光を楽しめるまちづくりを進めておりまして、観光と一体となった商店街の活性化に向けて取り組んでいるところであります。
 県としても、地域の特性を生かしたテーマを持った両市のまちづくりに対する取り組みは他の市町村のモデルとなるものと考えておりまして、それぞれの市や関係団体と連携をとりながら、引き続き支援してまいりたいと考えております。
 次に、今後の中小小売業振興策についてですが、中小小売業が商店街の空洞化やライフスタイルの変化などに伴います消費者ニーズの多様化に対応していくためには、まず、このような環境の変化に対応できる能力と意欲を持った人材の育成が大切であると考えております。
 このため、経営者大学などを通じまして商店経営者の意識改革を促しますとともに、TMOの中核となる人材などを継続的に中小企業大学校に派遣して、商店街等の活動をマネジメントできる人材の育成に努めているところであります。
 また、商店経営の高度化のためには、インターネットを活用した商品情報の提供や宅配サービスなど、生活者のニーズに合った多様な商品やサービスの開発支援など、今後とも商店街の活性化に向けた意欲的な取り組みを支援してまいりたいと考えております。
   〔環境生活部長時澤忠君登壇〕

〇環境生活部長(時澤忠君) 緑のダイヤモンド計画の進捗状況等についてでありますが、本県における計画は、八幡平、岩手山、網張、駒ケ岳の各地域を対象に、ビジターセンターやキャンプ場など利用拠点施設を初めとして、避難小屋、登山道等の整備を実施しようとするものであります。平成11年度に着手して以来、これまで網張地区のキャンプ場や各地域における登山道の整備を行い、本年度では、これらに加えまして八幡平地区のビジターセンターの設計等を進めておりまして、平成13年度末現在における進捗率は約37%となっております。
 また、この計画にはビジターセンターの整備や入山規制が一部解除された岩手山における施設整備など、岩手山周辺地域振興ビジョンの柱となる事業が含まれておりまして、計画の実現は、岩手山周辺地域の振興には不可欠なものと考えております。したがいまして、県といたしましては、今後とも計画実現のため、事業の実施に鋭意取り組んでまいりますとともに、国に対しましても予算の確保など積極的な働きかけを引き続き行ってまいりたいと考えております。
 また、県内他地域への緑のダイヤモンド計画の導入についてでありますが、現在、全国九つの地域でこの計画が実施されております。国におきましては、今のところ新たな地域における実施については検討されていないというふうに聞いておりますが、今後とも情報の収集に努めてまいりたいと考えております。
 なお、県内の他の国立・国定公園において必要とされます施設の整備につきましては、今後とも鋭意取り組んでまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長竹内重徳君登壇〕

〇県土整備部長(竹内重徳君) 電線類の地中化についてでありますが、本県では、昭和61年度から地中化事業に取り組んでおりまして、平成10年度末までの13年間で県、市町村を合わせまして延長20.7キロメートルの整備を進めてきたところでございます。平成11年度からは、新電線類地中化計画として、5カ年間に県全体で21.9キロメートルの整備を推進することとしておりまして、このうち平成13年度末までには、既に実施済みの平泉町志羅山地区ほか、現在事業中の盛岡市中央通、花巻市里川口、久慈市荒町地区など、延長約10.8キロメートルの地中化を見込んでおります。
 この電線類の地中化は、中心市街地の活性化にも資するものでありますことから、今後とも、災害に強く、快適ですぐれた景観を有する市街地の形成を目指しまして、都市の中心市街地や駅周辺における地中化事業を積極的に推進してまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕

〇保健福祉部長(関山昌人君) 狂牛病に係る食肉の安全対策についてでありますが、まずは、汚染されている肉骨粉等を飼料として牛に与えないことが重要であります。また、万が一狂牛病に罹患した牛がいた場合、速やかにその牛を発見することが必要であり、食品衛生行政としては、安全な食肉が消費者に届くよう、市場に流通する前での食肉検査の強化を図ってきたところであります。
 厚生労働省では、平成8年に狂牛病がヒトに感染する可能性があるとの報告を受け、英国産の牛肉及びその加工品の輸入自粛を指導するとともに、屠畜検査時の検査対象疾病として、狂牛病を含む伝染性海綿状脳症を追加しました。
 また、本年2月には、狂牛病対策をより確実なものとするため、EU諸国等からの牛肉、牛臓器及びこれらを原料とする食肉製品について、輸入禁止の措置が講じられました。
 一方、県におきましては、この国の動向を踏まえ、平成8年以降、食肉衛生検査所において狂牛病等の検査を行ってきたところであります。
 また、本年5月下旬から実施された厚生労働省の伝染性海綿状脳症サーベイランス事業と連携し、生後24カ月以上の牛のうち、食肉衛生検査所の検査で運動障害や神経障害が疑われる牛については、専門の研究機関で精密検査が実施できる体制の整備を図ったところであります。
 さらに、神経症状がない牛であっても、生後30カ月以上のすべての牛に対して狂牛病の検査を実施することとしているため、現在、厚生労働省において準備され、10月に開催される技術研修に参加することとしております。
 今後とも、食肉検査体制の強化を図るとともに、県民に広く情報を公開して、安全な食肉の確保に万全を尽くしてまいります。
 また、食肉処理場において狂牛病の疑いがある牛が発見された場合は、結果判明まで肉、内臓、骨等のすべての搬出を禁止し、狂牛病と決定した場合は、焼却処分することとしております。
   〔企業局長石川戡君登壇〕

〇企業局長(石川戡君) 電気事業に対する今後の取り組みについてでありますが、電力小売の一部自由化に伴いまして、電力会社は、電力市場への新規参入者との競争に対応するため、一層の経営の効率化を進めております。このため、卸電気事業者として電力会社に電力を供給している本県におきましても、事業運営のさらなる効率化を推進することが必要であります。
 電気料金につきましては、昨年度の電気事業法改正によりまして、公営電気事業を含め、電力の卸供給を行うすべての事業者の料金算定は、新たに定められた卸供給料金算定規則によることとなりました。本県の場合、平成14年、15年度分の料金改定からこの規則の適用を受けることとなるわけですが、利益に相当する事業報酬の算定方法が大幅に見直されたことなどによりまして、これまでよりも厳しい内容となっており、前回の料金水準を維持することは困難な見通しであります。
 このため、県としましては、事業の一層の効率化を進めるとともに、事業運営上必要なコストについては料金原価の中に確保するなど、今後も安定した経営に努めたいと考えております。
 また、中小水力発電の開発におきましても、建設コストを引き下げる必要がありますが、これからの開発地点は山間奥地化することから、工事費が割高となり、採算性の確保が課題になるものと認識しております。しかしながら、水力発電は環境に優しい再生可能なエネルギーとして極めて重要であることから、電力の自由化を取り巻く情勢や国のエネルギー施策の動向などを注視しながら、開発に取り組んでいく考えであります。
 次に、水力発電所の施設の改良及び維持修繕につきましては、企業局電気工作物保安規程に定められた定期点検や日常点検の結果により実施しているところでありますが、施設の老朽化の状況によって10カ年間の長期計画を立てて、適時適切に修繕・改良を行っております。
 また、工事を行うに当たりましては、特定年度に集中して経営を圧迫することのないよう、年度間の事業費を平準化して計画的に進めることとしているところであります。
   〔総合政策室長佐藤徳兵衛君登壇〕

〇総合政策室長(佐藤徳兵衛君) 平成13年度の政策評価における外部評価についてでありますが、外部の意見を聞く仕組みにつきましては、本年度から本格的に実施した政策評価の客観性及び透明性を確保するため試行的に導入することとし、有識者で構成する 岩手県政策評価委員会を設置したところであります。
 政策評価委員会では、各部局で行った自己評価や総合政策室で行った総合的評価のほか、政策評価システムのあり方についても御意見をいただいたところであります。具体的には、新たな指標の設定や目標値の検討、県民意識調査の実施方法や分析方法、県民にわかりやすい政策評価の検討、政策評価委員会の役割の明確化など、評価機能の向上を図る上で貴重な御意見をいただいたところであり、今後の政策評価システムの改善に生かしてまいりたいと考えております。
 また、外部評価の今後の取り組み方向についてでありますが、本年度の試行を通じて、外部評価が政策評価の信頼性の確保や評価方法の向上に大変有意義でありましたことから、来年度におきましては、試行結果で抽出された課題を十分検討の上、外部評価を本格的に導入してまいる考えであります。
   

〇副議長(瀬川滋君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時19分 休 憩
   

出席議員(47名)
1  番  及 川   敦 君 
2  番  飯 沢   匡 君 
3  番  樋 下 正 信 君
4  番  照 井 昭 二 君
5  番  柳 村 岩 見 君
6  番  小野寺 研 一 君 
7  番  吉 田 昭 彦 君
8  番  工 藤 大 輔 君
9  番  川 村 農 夫 君
10  番  佐々木 順 一 君 
11  番  佐 藤 力 男 君
12  番  阿 部 静 子 君
13  番  阿 部 富 雄 君
14  番  水 上 信 宏 君
15  番  田 村   誠 君 
16  番  岩 城   明 君 
17  番  中屋敷   十 君
18  番  千 葉   伝 君 
19  番  及 川 幸 子 君
20  番  阿 部 敏 雄 君
21  番  川 口 民 一 君
22  番  小野寺   好 君
23  番  斉 藤   信 君 
24  番  伊 沢 昌 弘 君
25  番  田 村 正 彦 君
26  番  上 澤 義 主 君
27  番  瀬 川   滋 君 
28  番  佐々木 大 和 君 
29  番  藤 原 泰次郎 君 
31  番  谷 藤 裕 明 君
32  番  菊 池   勲 君 
33  番  佐々木 一 榮 君 
34  番  伊 藤 勢 至 君
35  番  高 橋 賢 輔 君
36  番  小 原 宣 良 君
37  番  長谷川 忠 久 君 
38  番  千 葉   浩 君 
39  番  吉 田 洋 治 君
40  番  工 藤   篤 君 
41  番  菅 原 温 士 君
43  番  山 内 隆 文 君
44  番  折 居 明 広 君
45  番  村 上 惠 三 君
46  番  藤 原 良 信 君
47  番  及 川 幸 郎 君
48  番  菊 池 雄 光 君
51  番  吉 田   秀 君 

欠席議員(3名)
30  番  船 越 賢太郎 君 
42  番  佐 藤 正 春 君
49  番  佐々木 俊 夫 君 
   

説明のため出席した者
休憩前に同じ
   

職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   

午後3時40分 再 開

〇副議長(瀬川滋君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。藤原泰次郎君。
   〔29番藤原泰次郎君登壇〕(拍手)


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